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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】冷暖切換装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/26 20210101AFI20230704BHJP
   F25B 41/24 20210101ALI20230704BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20230704BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20230704BHJP
   F25B 41/42 20210101ALI20230704BHJP
【FI】
F25B41/26 Z
F25B41/24
F25B13/00 S
F25B5/02 510Q
F25B41/42
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019196785
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071214
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 魁斗
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-025668(JP,A)
【文献】特開平06-252527(JP,A)
【文献】特開2016-142427(JP,A)
【文献】特開2002-130845(JP,A)
【文献】特開2018-129521(JP,A)
【文献】特開平10-332216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室内機及び少なくとも1つの室外機に接続された複数の冷媒配管と、前記複数の冷媒配管に設けられた複数の開閉弁と、を有する配管部と、前記複数の開閉弁をそれぞれ開閉する複数の開閉機構を有する駆動部と、前記複数の開閉機構を制御する制御部と、前記配管部、前記駆動部及び前記制御部が収容される筐体と、を備え、
前記制御部は、前記複数の開閉機構を制御する複数の制御回路基板と、前記複数の開閉機構に電力を供給するための複数の電源回路基板と、前記筐体内に設けられて前記複数の制御回路基板及び前記複数の電源回路基板が収容される基板収容空間と、を有し、
前記基板収容空間には、前記複数の制御回路基板が第1方向に沿って配列され、前記複数の電源回路基板が、前記複数の制御回路基板に積層されて前記第1方向に沿って配列され、
1つの前記室内機に対応する複数の前記開閉機構と、当該1つの前記室内機に対応する1つの前記制御回路基板及び1つの前記電源回路基板は、前記筐体内の前記第1方向と直交する第2方向に互いに重なるように配置され、
1つの前記制御回路基板は、2つの前記室内機に対応する複数の開閉弁を制御し、
1つの前記電源回路基板は、4つの前記室内機に対応する複数の開閉弁をそれぞれ開閉する複数の前記開閉機構に電力を供給し、
1つの前記電源回路基板は、前記第1方向に対して2つの前記制御回路基板に跨るように当該2つの制御回路基板の前記第2方向に積層され、
前記第2方向から見たときに前記第1方向の位置が1つの前記電源回路基板及び2つの前記制御回路基板と隣り合うように、4つの前記室内機に対応する複数の前記開閉機構が前記筐体内に配置される、冷暖切換装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記駆動部が収容される第1筐体と、前記制御部が収容される第2筐体と、を有し、
前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方には、前記第1筐体から取り外された前記第2筐体を前記第1筐体に係合させる係合部材が設けられ、
前記係合部材によって前記第2筐体が前記第1筐体に係合されたとき、1つの前記室内機に対応する複数の前記開閉機構と、当該1つの前記室内機に対応する1つの前記制御回路基板及び1つの前記電源回路基板とがそれぞれ隣り合うように配置される、
請求項1に記載の冷暖切換装置。
【請求項3】
前記第2方向から見たときに、前記係合部材は、1つの前記室内機に対応する複数の前記開閉機構の前記第1方向の位置が、当該1つの前記室内機に対応する1つの前記制御回路基板及び1つの前記電源回路基板と隣り合うように、前記第2筐体を前記第1筐体に固定する、
請求項に記載の冷暖切換装置。
【請求項4】
前記第1筐体には、前記複数の開閉機構が1つの前記室内機に対応する4つの開閉機構毎に集めて配置され、当該4つの開閉機構の近傍に、当該4つの開閉機構が当該1つの室内機に対応することを示す第1表示部材が設けられる、
請求項またはに記載の冷暖切換装置。
【請求項5】
前記第1表示部材は、1つの前記室内機に対応する4つの開閉機構の配置を示す表示部材を含む、
請求項に記載の冷暖切換装置。
【請求項6】
1つの前記室内機に対応する1つの前記制御回路基板と1つの前記電源回路基板は、積層されて配置され、
当該電源回路基板は、前記複数の室内機に対応する複数の接続端子を有し、前記接続端子の近傍に、当該接続端子に対応する室内機を示す第2表示部材が設けられる、
請求項ないしのいずれか1項に記載の冷暖切換装置。
【請求項7】
1つの前記室内機に対応する1つの前記制御回路基板と1つの前記電源回路基板は、積層されて配置され、
当該制御回路基板は、前記複数の室内機に対応する複数の接続端子を有し、前記接続端子の近傍に、当該接続端子に対応する室内機を示す第3表示部材が設けられる、
請求項ないしのいずれか1項に記載の冷暖切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の室内機及び室外機を備える空気調和装置(冷凍サイクル装置)において、複数の室内機の冷房及び暖房の稼働状態をそれぞれ切り換えるための集合型冷暖切換装置が知られている。この種の冷暖切換装置には、複数の室内機及び室外機に接続された複数の冷媒配管と、複数の冷媒配管に設けられた複数の開閉弁と、を有する配管部と、複数の開閉弁をそれぞれ開閉する複数の開閉機構を有する駆動部と、複数の開閉機構を制御する制御部と、配管部、駆動部及び制御部が収容される筐体と、を備えるものがある。制御部は、複数の開閉機構を制御すると共に複数の開閉機構に電力を供給するための複数の回路基板と、複数の回路基板が収容される基板収容空間と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-163657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の冷暖切換装置の制御部は、1つの室内機に接続された2つの冷媒配管を有する1つの冷媒循環回路毎に、1つの回路基板を備える。このため、筐体内に占める基板収容空間が大きく、装置全体及び筐体が大型化する問題がある。この問題は、冷暖切換装置に接続される室内機の個数が増えるのに伴って顕著になる。そこで、回路基板を制御回路基板と電源回路基板とに分けて制御部に収容することが提案されている。
【0005】
しかし、このような構造の場合、複数の室内機に対応する複数の開閉弁、複数の制御回路基板及び複数の電源回路基板の中から、保守対象となる任意の1つの室内機に対応する、複数の開閉弁、制御回路基板及び電源回路基板をそれぞれ見付け出すと共に、1つの室内機に対応する各開閉弁、制御回路基板及び電源回路基板を相互に確認しながら保守作業を行うことになる。このため、冷暖切換装置の保守作業が煩雑になる。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、駆動部及び制御部を保守する作業性を向上することができる冷暖切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する冷暖切換装置の一態様は、複数の室内機及び少なくとも1つの室外機に接続された複数の冷媒配管と、複数の冷媒配管に設けられた複数の開閉弁と、を有する配管部と、複数の開閉弁をそれぞれ開閉する複数の開閉機構を有する駆動部と、複数の開閉機構を制御する制御部と、配管部、駆動部及び制御部が収容される筐体と、を備え、制御部は、複数の開閉機構を制御する複数の制御回路基板と、複数の開閉機構に電力を供給するための複数の電源回路基板と、筐体内に設けられて複数の制御回路基板及び複数の電源回路基板が収容される基板収容空間と、を有し、基板収容空間には、複数の制御回路基板が第1方向に沿って配列され、複数の電源回路基板が、複数の制御回路基板に積層されて第1方向に沿って配列される。1つの室内機に対応する複数の開閉機構と、当該1つの室内機に対応する1つの制御回路基板及び1つの電源回路基板は、筐体内の第1方向と直交する第2方向に互いに重なるように配置される。1つの制御回路基板は、2つの室内機に対応する複数の開閉弁を制御し、1つの電源回路基板は、4つの室内機に対応する複数の開閉弁をそれぞれ開閉する複数の開閉機構に電力を供給し、1つの電源回路基板は、第1方向に対して2つの制御回路基板に跨るように当該2つの制御回路基板の第2方向に積層され、第2方向から見たときに第1方向の位置が1つの電源回路基板及び2つの制御回路基板と隣り合うように、4つの室内機に対応する複数の開閉機構が筐体内に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する冷暖切換装置の一態様によれば、駆動部及び制御部を保守する作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の冷暖切換装置を備える空気調和装置を示す概略図である。
図2図2は、実施例の冷暖切換装置を示す斜視図である。
図3図3は、実施例の冷暖切換装置を下側から示す斜視図である。
図4図4は、実施例の冷暖切換装置における筐体の内部を示す斜視図である。
図5図5は、実施例の冷暖切換装置における筐体の内部を示す斜視図である。
図6図6は、実施例の冷暖切換装置を示す冷媒回路図である。
図7図7は、実施例の冷暖切換装置の配管部及び駆動部を示す側面図である。
図8図8は、実施例における駆動部の伝熱部材を示す正面図である。
図9図9は、実施例における駆動部の伝熱部材の変形例を示す正面図である。
図10図10は、実施例の冷暖切換装置の制御部を示す正面図である。
図11図11は、実施例の冷暖切換装置の制御部において電源回路基板を回動した状態を示す斜視図である。
図12図12は、実施例における制御部の支持台及び第1基板ホルダを示す正面図である。
図13図13は、実施例における制御部の第1基板ホルダを示す斜視図である。
図14図14は、実施例における第1基板ホルダの要部を説明するための斜視図である。
図15図15は、実施例における第1基板ホルダの要部を拡大して示す斜視図である。
図16図16は、実施例における支持台の要部を拡大して示す斜視図である。
図17図17は、実施例における開閉機構、制御回路基板、電源回路基板の各位置を説明するための分解斜視図である。
図18図18は、実施例における駆動部に設けられた取付け金具を示す斜視図である。
図19図19は、実施例における取付け金具を拡大して示す斜視図である。
図20図20は、実施例における筐体の要部を示す縦断面図である。
図21図21は、実施例において駆動部及び制御部を保守する状態を示す正面図である。
図22図22は、実施例における開閉機構の識別ラベル、配置ラベル及び電源回路基板のコネクタラベルを示す正面図である。
図23図23は、実施例における制御回路基板のコネクタラベルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する冷暖切換装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する冷暖切換装置が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
(空気調和装置の構成)
図1は、実施例の冷暖切換装置を備える空気調和装置を示す概略図である。図1に示すように、実施例の冷暖切換装置1は、空気調和装置2に設けられている。図1は、実施例の冷暖切換装置1が設けられている空気調和装置2を示す概略図である。空気調和装置2は、冷暖切換装置1と、複数の室外機3-1~3-2と、複数の室内機5-1~5-4と、低圧ガス管6と、高圧ガス管7と、液管8と、を備える。複数の室外機3-1~3-2のうち、室外機3-1は、低圧ガス管6、高圧ガス管7及び液管8を介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0012】
室外機3-1は、図示しない圧縮機、室外熱交換器及び四方弁を備える。圧縮機の一端は、低圧ガス管6に接続されており、圧縮機の他端は、高圧ガス管7に接続されている。圧縮機は、低圧ガス管6を介して室外機3-1に供給される低圧気相冷媒を圧縮することにより高圧気相冷媒を生成し、高圧気相冷媒を高圧ガス管7に吐出する。室外熱交換器の一端は、液管8に接続されており、室外熱交換器の他端は、四方弁に接続されている。四方弁は、高圧ガス管7及び低圧ガス管6に接続されている。四方弁は、第1モードと第2モードとに切り換えられる。四方弁は、第1モードに切り換えられたときに、低圧ガス管6を高圧ガス管7及び室内熱交換機に接続せずに、高圧ガス管7を室内熱交換機に接続する。四方弁は、第2モードに切り換えられたときに、高圧ガス管7を低圧ガス管6及び室内熱交換機に接続せずに、低圧ガス管6を室内熱交換機に接続する。複数の室外機3-1~3-2のうち、室外機3-1と異なる室外機3-2も、室外機3-1と同様に形成されており、低圧ガス管6、高圧ガス管7及び液管8を介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0013】
また、空気調和装置2は、複数の室内機液管11-1~11-4と、複数の室内機側ガス管12-1~12-4と、を備える。複数の室内機液管11-1~11-4は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。複数の室内機5-1~5-4のうち、室内機5-1は、複数の室内機液管11-1~11-4のうちの室内機5-1に対応する室内機液管11-1を介して冷暖切換装置1に接続されている。複数の室内機側ガス管12-1~12-4は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。室内機5-1は、複数の室内機側ガス管12-1~12-4のうちの室内機5-1に対応する室内機側ガス管12-1を介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0014】
室内機5-1は、図示しない膨張弁及び室内熱交換器を備える。冷媒の流れ方向における膨張弁の一方側は、室内機液管11-1に接続されており、膨張弁の他方側は、室内熱交換器の一端に接続されている。室内熱交換器の他端は、室内機側ガス管12-1に接続されている。複数の室内機5-1~5-4のうちの他の室内機も、室内機5-1と同様に形成されており、複数の室内機液管11-1~11-4のうちの1つと、複数の室内機側ガス管12-1~12-4のうちの1つとを介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0015】
また、空気調和装置2は、13台以上の室内機を備える場合、他の冷暖切換装置14と、低圧ガス管15と、高圧ガス管16と、液管17と、をさらに備える。冷暖切換装置14は、冷暖切換装置1と同様に、13台目以降の室内機に接続されて、低圧ガス管15、高圧ガス管16及び液管17を介して冷暖切換装置1に接続されている。空気調和装置2は、12台以下の室内機を用いる場合、冷暖切換装置14を備える必要がなく、冷暖切換装置14、低圧ガス管15、高圧ガス管16、液管17が省略されてもよい。
【0016】
(冷暖切換装置の構成)
図2は、実施例の冷暖切換装置1を示す斜視図である。図3は、実施例の冷暖切換装置1を下側から示す斜視図である。図4及び図5は、実施例の冷暖切換装置1における筐体の内部を示す斜視図である。
【0017】
図2図5に示すように、冷暖切換装置1は、複数の室内機5-1~5-4(以下、室内機5とも称する。)及び少なくとも1つの室外機としての2台の室外機3-1、3-2(以下、室外機3とも称する。)に接続された複数の冷媒配管30(図5、6参照)と、複数の冷媒配管30に設けられた複数の開閉弁31~34と、を有する配管部51を備える。また、冷暖切換装置1は、複数の開閉弁31~34をそれぞれ開閉する複数の開閉機構53(図4参照)を有する駆動部52と、複数の開閉機構53を制御する制御部54(図2、3参照)と、配管部51、駆動部52及び制御部13が収容される筐体55と、を備える。なお、駆動部52は、筐体55内の後述する機構収容空間56Bに収容された複数の開閉機構53全体を指す。
【0018】
配管部51は、図4及び図5に示すように、12台の室内機5の各々に対応する複数の配管群24-1~24-12を有する。複数の配管群24-1~24-12のうち、配管群24-1は、複数の冷媒配管30と、複数の開閉弁31~34と、複数のキャピラリーチューブ35~36と、を備える(図6参照)。また、複数の配管群24-2~24-12についても、配管群24-1と同様である。配管部51は、1台の室内機5毎に2つの冷媒配管30が接続されており、この2つの冷媒配管30(図4図5中の破線参照)が、1台の室外機3に接続された室外機側低圧ガス管21及び室外機側高圧ガス管22に接続されている。室外機側液管23は、配管部51内を通過するように配置されている。1台の室内機5に接続された2つの冷媒配管30には、合計4つの開閉弁31~34が、1つの冷媒循環回路(冷凍サイクル)における冷媒の流れ及び圧力を調節するための吐出弁、吸入弁、加圧弁、減圧弁として設けられている。開閉弁31~34は、いわゆる電磁弁であり、開閉機構53の電磁コイル53bによって開閉される。
【0019】
駆動部52は、1台の室内機5毎に4個の開閉機構53(図4参照)を有しており、合計48個の開閉機構53を有する。各開閉機構53は、図4に示すように、開閉弁31~34を作動させる駆動軸53aと電磁コイル53bを有しており、電磁コイル53bを介して制御部54と電気的に接続されている。駆動部52の要部については後述する。
【0020】
筐体55は、冷媒配管30及び開閉弁31~34が収容される配管収容空間56Aと、開閉機構53が収容される機構収容空間56Bと、後述する基板収容空間56Cとが内部にそれぞれ独立して仕切られて設けられている。筐体55は、図2及び図3に示すように、基板収容空間56Cと機構収容空間56Bとを仕切る仕切り板82aを有する。また、筐体55は、基板収容空間56Cを開閉可能とする蓋体57(図2、3参照)を有する。蓋体57は、筐体55に対して着脱可能に設けられており、ネジ等の締結部材(図示せず)によって筐体55に固定されている。
【0021】
図6は、実施例の冷暖切換装置を示す冷媒回路図である。図6に示すように、冷暖切換装置1は、室外機側低圧ガス管21と、室外機側高圧ガス管22と、室外機側液管23と、複数の配管群24-1~24-12と、複数の室内機側ガス管25-1~25-12と、複数の室内機側液管26-1~26-12と、を備える。室外機側低圧ガス管21は、低圧ガス管6に接続されている。室外機側高圧ガス管22は、高圧ガス管7に接続されている。室外機側液管23は、液管8に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12は、複数の配管群24-1~24-12に対応している。複数の室内機側液管26-1~26-12は、複数の配管群24-1~24-12に対応している。
【0022】
複数の配管群24-1~24-12のうち、配管群24-1において、複数の開閉弁31~34と複数のキャピラリーチューブ35~36は、複数の冷媒配管30を介して互いに接続されている。すなわち、複数の開閉弁31~34のうち、第1開閉弁31は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側低圧ガス管21に接続されており、第1開閉弁31の他方側が、複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの配管群24-1に対応する室内機側ガス管25-1に接続されている。複数の開閉弁31~34のうち、第2開閉弁32は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側高圧ガス管22に接続されており、第2開閉弁32の他方側が、室内機側ガス管25-1に接続されている。複数の開閉弁31~34のうち、第3開閉弁33は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側低圧ガス管21に接続されており、第3開閉弁33の他方側が、第1キャピラリーチューブ35の一端に接続されている。複数の開閉弁31~34のうち、第4開閉弁34は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側高圧ガス管22に接続されており、第4開閉弁34の他方側が、第1キャピラリーチューブ35の一端に接続されている。第1キャピラリーチューブ35の他端は、室内機側ガス管25-1に接続されている。第2キャピラリーチューブ36の一端は、冷媒の流れ方向における第1開閉弁31の一方側に接続されており、第2キャピラリーチューブ36の他端は、第1開閉弁31の他方側に接続されている。
【0023】
複数の配管群24-1~24-12のうちの配管群24-1と異なる他の配管群24-2~24~12も、配管群24-1と同様に形成されている。例えば、複数の配管群24-1~24-12のうちの配管群24-12は、複数の開閉弁31~34と、複数のキャピラリーチューブ35~36と、を備える。配管群24-12は、複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの配管群24-12に対応する室内機側ガス管25-12に接続されている。
【0024】
複数の室内機側ガス管25-1~25-12は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。例えば、複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-1に対応する室内機側ガス管25-1は、室内機側ガス管12-1に接続されており、室内機側ガス管12-1を介して室内機5-1に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-2に対応する室内機側ガス管25-2は、室内機側ガス管12-2に接続されており、室内機側ガス管12-2を介して室内機5-2に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-3に対応する室内機側ガス管25-3は、室内機側ガス管12-3に接続されており、室内機側ガス管12-3を介して室内機5-3に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-4に対応する室内機側ガス管25-4は、室内機側ガス管12-4に接続されており、室内機側ガス管12-4を介して室内機5-4に接続されている。
【0025】
複数の室内機側液管26-1~26-12の各々は、室外機側液管23に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。例えば、複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-1に対応する室内機側液管26-1は、室内機液管11-1に接続されており、室内機液管11-1を介して室内機5-1に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-2に対応する室内機側液管26-2は、室内機液管11-2に接続されており、室内機液管11-2を介して室内機5-2に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-3に対応する室内機側液管26-3は、室内機液管11-3に接続されており、室内機液管11-3を介して室内機5-3に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-4に対応する室内機側液管26-4は、室内機液管11-4に接続されており、室内機液管11-4を介して室内機5-4に接続されている。
【0026】
冷暖切換装置1の室外機側低圧ガス管21は、空気調和装置2が他の冷暖切換装置を備える場合に、低圧ガス管15に接続されており、低圧ガス管15を介して冷暖切換装置14の室外機側低圧ガス管21に接続されている。このとき、冷暖切換装置1の室外機側高圧ガス管22は、高圧ガス管16に接続されており、高圧ガス管16を介して冷暖切換装置14の室外機側高圧ガス管22に接続されている。冷暖切換装置1の室外機側液管23は、液管17に接続されており、液管17を介して冷暖切換装置14の室外機側液管23に接続されている。すなわち、冷暖切換装置14の室外機側低圧ガス管21、室外機側高圧ガス管22及び室外機側液管23は、冷暖切換装置1を介して、低圧ガス管6、高圧ガス管7及び液管8にそれぞれ接続されている。さらに、冷暖切換装置14は、冷暖切換装置1と同様に、複数の室内機側ガス管25-1~25-12と、複数の室内機側液管26-1~26-12とを介して、13台目以降の室内機に接続されている。
【0027】
(駆動部の要部)
以下、本実施例における駆動部52の要部の構成について説明する。図7は、実施例の冷暖切換装置1の配管部51及び駆動部52を示す側面図である。図8は、実施例における駆動部52の伝熱部材を示す正面図である。
【0028】
図4及び図7に示すように、1台の室内機5に接続された2つの冷媒配管30における4個の開閉機構53は、室内機5を冷房または暖房で稼働するときに制御部54から電力が供給されることで一方の開閉機構53が作動状態となり、制御部54から電力が供給されずに他方の開閉機構53が作動停止となる一対の開閉機構53A、53B(一対の開閉機構100とも称する。)を含む。具体的には、一対の開閉機構100(53A、53B)は、開閉弁34としての加圧弁を開閉する開閉機構53Aと、開閉弁33としての減圧弁を開閉する開閉機構53Bである。1台の室内機5に対応する4個の開閉機構53のうち、他の2個の開閉機構53は、開閉弁31である吸入弁と、開閉弁32である吐出弁をそれぞれ開閉する開閉機構53である。
【0029】
図7及び図8に示すように、一対の開閉機構100(53A、53B)は、電磁コイル53bが発生する熱を放熱する放熱部材80を有する。一対の開閉機構100(53A、53B)と同様に、開閉弁32である吐出弁を開閉する開閉機構53にも、放熱部材80が設けられている。1つの室内機5に接続された複数の冷媒配管30における複数の開閉機構53において、一対の開閉機構53A、53Bは、筐体55内において隣り合って配置されている。
【0030】
放熱部材80は、例えば、アルミニウム、銅、真鍮等の高い熱伝導性を有する金属材料によって円筒状に形成されており、開閉機構53の電磁コイル53bの外周側に取り付けられている。放熱部材80は、複数の放熱フィン80aと、後述する伝熱部材84が連結される連結部80bと、を有する。放熱フィン80aは、円筒状の放熱部材80の一端部における周方向に沿って複数の溝が設けられることによって形成されている。放熱部材80の他端部には、放熱フィン80aが形成されていない連結部80bが設けられている。放熱部材80は、上述の放熱フィン80aを有する構造に限定されず、任意の形状に形成されてよい。
【0031】
一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80は、放熱部材80同士を熱的に接続する伝熱部材84によって連結されている。伝熱部材84は、例えば、アルミニウム、銅、真鍮等の高い熱伝導性を有する金属材料によって板状に形成されている。伝熱部材84は、一端部が開閉機構53Aの放熱部材80の連結部80bに接続されており、他端部が開閉機構53Bの放熱部材80の連結部80bに接続されている。伝熱部材84の両端部は、溶接やネジ等の締結部材によって放熱部材80に接続されている。伝熱部材84の両端部は、円筒状の放熱部材80の連結部80bの外周面に合わせて湾曲されてもよく、伝熱部材84と放熱部材80との接触状態を適正に確保できる。あるいは、円筒状の放熱部材80における連結部80bの外周面の一部が平坦面に形成されてもよく、平板状の伝熱部材84と連結部80bとの接触状態を適正に確保できる。
【0032】
このように伝熱部材84が放熱部材80の連結部80bに接続されることで、伝熱部材84によって各放熱部材80間で熱を伝達することが可能になる。また、一対の開閉機構100(53A、53B)は、隣り合って配置されているので、伝熱部材84によって一対の開閉機構100(53A、53B)を容易に連結することが可能になり、伝熱部材84の形状が簡素化される。
【0033】
伝熱部材84は、放熱フィン80aの位置以外の連結部80bに連結されることで、放熱フィン80aによる放熱性を損なうことなく、一方の開閉機構53A(53B)の放熱部材80から、他方の開閉機構53B(53A)の放熱部材80に熱が伝達される。言い換えると、一方の開閉機構53A(53B)の電磁コイル53bが発生する熱が、伝熱部材84を介して一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80の放熱フィン80aによって放熱することが可能となる。また、伝熱部材84は、冷暖切換装置1に接続された全ての室内機5における一対の開閉機構100(53A、53B)にそれぞれ設けられている。
【0034】
また、駆動部52における後述する機構収容空間56Bは、例えば、筐体55の通気口(図示せず)を介して筐体55の外部と連通されて、外部の空気が機構収容空間56Bに流れるように形成されてもよい。これにより、機構収容空間56B内に配置された放熱部材80による放熱性が適正に確保される。なお、放熱部材80の適正な放熱性が確保される場合には、筐体55が通気口を有する構造に限定されない。
【0035】
また、結露による液滴が開閉機構53に付着した場合には、開閉機構53を損傷するおそれがあるので好ましくない。このため、図示しないが、冷暖切換装置1が使用環境に設置された姿勢において、各開閉機構53の位置は、開閉弁31~34よりも上方に位置するように配置されており、開閉弁31~34に結露して付着した液滴が開閉機構53に伝わって付着することを防いでいる。
【0036】
(伝熱部材による放熱作用)
以上のように構成された駆動部52の一対の開閉機構100(53A、53B)において、各放熱部材80の熱が、伝熱部材84を介して放熱される作用を説明する。例えば、室内機5を冷房で稼働させるときに作動する一方の開閉機構53Aの放熱部材80の熱が、作動停止する他方の開閉機構53Bの放熱部材80に、伝熱部材84を介して伝熱される。このため、作動する一方の開閉機構53Aの電磁コイル53bが発生する熱が、一方の開閉機構53Aの放熱部材80の放熱フィン80aと、他方の開閉機構53Bの放熱部材80の放熱フィン80aの両方によって放熱されるので、放熱面積が増えて放熱効率が高められる。その結果、室内機5を冷房で稼働させるときに作動する一方の開閉機構53Aの放熱部材80の温度を低下させることができる。
【0037】
これと同様に、室内機5を暖房で稼働させるときに作動する他方の開閉機構53Bの放熱部材80の熱が、作動停止する一方の開閉機構53Aの放熱部材80に、伝熱部材84を介して伝熱される。これにより、室内機5を暖房で稼働させるときに作動する他方の開閉機構53Bの放熱部材80の温度を低下させることができる。
【0038】
ここで、上述のように伝熱部材84を用いた本実施例と、伝熱部材84を用いていない比較例(図示せず)とを比較する。伝熱部材84を用いた本実施例は、伝熱部材84を用いていない比較例と比べて、室内機5が冷房または暖房で稼働するときに作動する開閉機構53における放熱部材80の温度が9.8℃低下した。したがって、伝熱部材84によって開閉機構53の放熱部材80の放熱性が高められる。
【0039】
(伝熱部材の変形例)
図9は、実施例における駆動部52の伝熱部材84の変形例を示す正面図である。上述した実施例の構造(図8)において、伝熱部材84は、筐体55と連結されてもよい。この場合、図9に示すように、伝熱部材84は、筐体55と熱的に接続される接続部83を有しており、接続部83が、例えば、機構収容空間56Bにおける筐体55の内壁や、開閉機構53を支持する支持フレーム等に接続されている。図示しないが、接続部83は、伝熱部材84の両端部と同様に、溶接やネジ等によって連結されている。このように一対の開閉機構100(53A、53B)の放熱部材80同士が連結されると共に、接続部83によって筐体55と接続されることで、作動する開閉機構53の放熱部材80の放熱性を更に高めることが可能になる。
【0040】
また、他の変形例としては、図9に示すように、一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80と伝熱部材84は、一体に形成されてもよい。この場合、放熱部材80と伝熱部材84は、熱伝導性を有する金属材料等によって一体成形される。この場合、伝熱部材84を各放熱部材80に溶接やネジ等で接続する工程を省くことが可能になり、駆動部52の組み立て工程が簡素化される。また、例えば、伝熱部材84は、放熱部材80の連結部80bと一体に形成されて、連結部80bと別部品の放熱フィン80aが、連結部80bに接するように取り付けられてもよい。
【0041】
(制御部の構成)
以下、本実施例における要部である制御部54の構成について説明する。図10は、実施例の冷暖切換装置1の制御部54を示す正面図である。図11は、実施例の冷暖切換装置1の制御部54において電源回路基板を回動した状態を示す斜視図である。
【0042】
図10及び図11に示すように、制御部54は、複数の開閉機構53を制御する複数の制御回路基板61と、複数の開閉機構53に電力を供給するための複数の電源回路基板62と、筐体55内に設けられて複数の制御回路基板61及び複数の電源回路基板62が収容される基板収容空間56Cと、を有する。筐体55の一部は、制御回路基板61及び電源回路基板62を収容するための、後述する電装品箱82として形成されており、電装品箱82の内部に、基板収容空間56Cが設けられている。
【0043】
図10に示すように、基板収容空間56Cには、6つの制御回路基板61が一方向Aに沿って並んで配置されており、3つの電源回路基板62が、6つの制御回路基板61に積層されて制御回路基板61の配列方向に沿って並んで配置されている。図10に示すように、基板収容空間56C内には、3つの電源回路基板62が、6つの制御回路基板61に積層されて一方向Aに沿って配列されている。本実施例において、制御回路基板61及び電源回路基板62は矩形状に形成されており、制御回路基板61が短辺方向に沿って配列されている。電源回路基板62は、長辺方向に沿って配列されている。
【0044】
また、上述の一方向Aにおいて、1つの電源回路基板62は、2つの制御回路基板61に跨って積層されて配置されている。言い換えると、制御回路基板61の厚み方向から見たとき、1つの電源回路基板62が2つの制御回路基板61の少なくとも一部分に重なって配置されており、制御部54が、いわゆる2段支持構造を有する。ここで、「積層」とは、制御回路基板61の上方に空間をあけるように支持構造(例えば、後述する支持台65)を介して電源回路基板62が配置される構造を指すが、制御回路基板61上に電源回路基板62が直接的に重ねられる簡素な積層構造も含まれる。なお、一方向Aにおいて、1つの電源回路基板62は、3つ以上の制御回路基板61に跨って積層されてもよい。
【0045】
本実施例において例えば、1つの制御回路基板61は、2台の室内機5に対応する各開閉弁31~34の各開閉機構53を制御する。2台の室内機5に対応する各開閉弁31~34の開閉機構53とは、2台の室内機5の各々に接続された4つの冷媒配管30における合計8つの開閉機構53を指しており、1つの制御回路基板61が8つの開閉機構53を制御可能に構成されている。1つの電源回路基板62は、4台の室内機5に対応する各開閉弁31~34の各開閉機構53に電力を供給する。4台の室内機5に対応する各開閉弁31~34の開閉機構53とは、4台の室内機5の各々に接続された8つの冷媒配管30における合計16の開閉機構53を指しており、1つの電源回路基板62が合計16の開閉機構53に電力を供給可能に構成されている。なお、制御回路基板61が制御する開閉機構53の個数、電源回路基板62が電力を供給する開閉機構53の個数は、上述した個数に限定されず、例えば、室内機5の個数や、制御回路基板61及び電源回路基板62の配置等に応じて任意に変更されてよい。
【0046】
上述のように制御部54は、駆動部52を制御するための回路基板が、制御回路基板61と電源回路基板62とに分けられて、制御回路基板61と電源回路基板62とが2段構造で支持されることにより、基板収容空間56Cを有効利用し、制御部54の小型化が図られている。また、制御部54は、1つの電源回路基板62が2つの制御回路基板61に跨って配置されることにより、電源回路基板62の個数を削減することが可能になる。
【0047】
図12は、実施例における制御部54の支持台65及び第1基板ホルダを示す正面図である。図13は、実施例における制御部54の第1基板ホルダを示す斜視図である。図11図12及び図13に示すように、制御部54は、複数の制御回路基板61の各々を支持する複数の第1基板ホルダ63と、複数の電源回路基板62の各々を支持する複数の第2基板ホルダ64と、複数の第2基板ホルダ64を支持する、すなわち複数の電源回路基板62を支持する支持台65と、を有する。なお、本開示の特徴に含まれる「基板ホルダ」は、制御回路基板61を支持する「第1基板ホルダ63」を指す。
【0048】
図14は、実施例における第1基板ホルダ63の要部を説明するための斜視図である。図13及び図14に示すように、第1基板ホルダ63は、制御回路基板61全体を支持する凹部71と、筐体55の仕切り板82aに係合する第1係合爪72と、筐体55の仕切り板82aにネジ等の締結部材によって固定される固定部73と、を有する。
【0049】
凹部71の内壁には、制御回路基板61の外周部を保持する複数の保持爪71aが形成されている。凹部71の底面には、制御回路基板61の裏面を支持する複数の柱状の支持突起71bが所定間隔をあけて形成されている。
【0050】
図15は、実施例における第1基板ホルダ63の要部を拡大して示す斜視図である。第1係合爪72は、図14及び図15に示すように、第1基板ホルダ63の一端63aに設けられており、一端63aから、凹部71の底面に沿う方向に突出して形成されている。第1基板ホルダ63の一端63aには、2つの第1係合爪72が間隔をあけて設けられている。第1係合爪72は、矩形板状に形成されており、この矩形の短辺方向に沿って一端63aから突出している。
【0051】
固定部73は、第1基板ホルダ63の一端63aに対して、第1基板ホルダ63に支持された制御回路基板61を間に挟んで一端63aと反対側の他端63bに設けられている。固定部73は、第1基板ホルダ63の他端63bから、凹部71の底面に沿う方向に突出して形成されており、ネジ等の締結部材が通される固定孔73aを有する。固定部73は、第1基板ホルダ63の他端63bに沿う方向において、2つの第1係合爪72の間に位置している。これにより、第1基板ホルダ63は、2つの第1係合爪72と固定部73によって、仕切り板82a上に安定的に固定される。
【0052】
したがって、仕切り板82aの第1開口76に第1係合爪72を係合させて、1つのネジ等によって固定部73を仕切り板82aに固定することで、第1基板ホルダ63は仕切り板82aに容易かつ安定して固定される。このように第1基板ホルダ63は、ネジ等で固定する固定部73の個数が削減され、第1基板ホルダ63を固定するための作業が簡素化される。
【0053】
また、固定部73は、制御回路基板61の厚み方向から見たときに、制御回路基板61に積層された電源回路基板62の外側に配置されている。すなわち、固定部73は、電源回路基板62によって隠されておらず、電源回路基板62を支持する支持台65が仕切り板82aに固定された状態で、固定部73を固定するネジ等を操作することが可能になっている。電源回路基板62を支持する支持台65を仕切り板82aから取り外さずに、固定部73からネジ等を取り外すことで、第1基板ホルダ63を仕切り板82aから取り外すことが可能とされている。また、本実施例では、電源回路基板62が、支持台65に支持されることで制御回路基板61に積層されているので、制御回路基板61の厚み方向から見たときに、固定部73が支持台65から突出しており、固定部73が支持台65の外側に配置されている。これにより、支持台65によって固定部73が隠れないので、制御部54を保守する際の固定部73のネジ等の操作性を確保することが可能になり、制御部54を保守する作業性が向上する。
【0054】
第1基板ホルダ63と同様に、第2基板ホルダ64は、図示しないが、電源回路基板62を支持する凹部を有しており、後述する支持台65上に、ネジ等の締結部材によって固定される。凹部の内壁には、電源回路基板62の外周部を保持する複数の保持爪が形成されている。凹部の底面には、電源回路基板62の裏面を支持する複数の柱状の支持突起が所定間隔をあけて形成されている。また、第1基板ホルダ63及び第2基板ホルダ64は、例えば、ABS樹脂等の樹脂材料によって形成されている。
【0055】
筐体55の仕切り板82aは、第1基板ホルダ63の第1係合爪72が係合する第1開口76を有しており、第1基板ホルダ63の2つの第1係合爪72に対応するように2つの第1開口76が形成されている。第1開口76は、第1係合爪72を挿入可能な角穴として形成されている。第1開口76に第1係合爪72が係合された第1基板ホルダ63は、筐体55の仕切り板82aに沿って固定される。
【0056】
第1基板ホルダ63は、第1開口76に係合された第1係合爪72と、第1開口76との接触箇所を回転中心として、いわゆるヒンジ構造のように、筐体55の仕切り板82aに対して第1基板ホルダ63を回動させることが可能となる。ここで、第1基板ホルダ63が回動する方向は、第1基板ホルダ63の他端63bが仕切り板82aに対して接したり離れたりする方向を指す。角穴である第1開口76内に、矩形板状の第1係合爪72が挿入されることで、第1係合爪72を回転中心として第1基板ホルダ63の他端63bが仕切り板82aに対して接したり離れたりする方向に回動し易くされる。その一方で、仕切り板82aに沿う面内方向(仕切り板82a上)での、第1係合爪72を回転中心とした第1基板ホルダ63の両側への揺れが抑えられる。また、第1基板ホルダ63は、2つの第1係合爪72が2つの第1開口76に係合されることで、仕切り板82aに沿う面内方向での、第1係合爪72を回転中心とした第1基板ホルダ63の両側への揺れが規制されている。
【0057】
図16は、実施例における支持台65の要部を拡大して示す斜視図である。図10図11及び図12に示すように、支持台65は、複数の電源回路基板62を支持する支持部65aと、支持部65aの両側に設けられて筐体55の仕切り板82aに支持される一対の脚部65bと、を有する。支持部65aは、複数の制御回路基板61に跨って、複数の制御回路基板61に積層されて配置されている。支持台65は、例えば、金属材料によって形成されており、支持部65aが平板状に形成されている。図10図12及び図16に示すように、各脚部65bは、筐体55の仕切り板82aに係合する第2係合爪77を有する。第2係合爪77は、矩形板状に形成されており、矩形の短辺方向に沿って脚部65bから突出している。支持台65は、第2係合爪77が、後述する第2開口78に係合された状態で、各脚部65bがネジ等の締結部材によって仕切り板82aに固定されている。
【0058】
図16に示すように、筐体55の仕切り板82aは、脚部65bの第2係合爪77が係合する第2開口78を有しており、支持台65の2つの第2係合爪77に対応するように2つの第2開口78が形成されている。第2開口78は、第2係合爪77を挿入可能な角穴として形成されている。支持台65は、第2開口78に係合された第2係合爪77と、第2開口78との接触箇所を回転中心として、いわゆるヒンジ構造のように、筐体55の仕切り板82aに対して支持台65を回動させることが可能となる。ここで、支持台65が回動する方向は、各脚部65bが仕切り板82aに対して接したり離れたりする方向を指す。角穴である第2開口78内に、矩形板状の第2係合爪77が挿入されることで、第2係合爪77を回転中心として支持台65の各脚部65bが仕切り板82aに対して接したり離れたりする方向に回動し易くされる。その一方で、仕切り板82aに沿う面内方向(仕切り板82a上)での、第2係合爪77を回転中心とした脚部65bの両側への揺れが抑えられる。また、支持台65は、各脚部65bの2つの第2係合爪77が2つの第2開口78に係合されることで、仕切り板82aに沿う面内方向での、第2係合爪77を回転中心とした支持台65の両側への揺れが規制されている。
【0059】
また、筐体55の仕切り板82aにおいて、第2開口78は、第1基板ホルダ63の一端63aから他端63bに延びる方向における一端63a側に配置される。つまり、支持台65の第2係合爪77は、第1基板ホルダ63の第1係合爪72と、仕切り板82aの同じ側に位置する。これにより、第2係合爪77まわりに回動する電源回路基板62の支持台65と、第1係合爪72まわりに回動する制御回路基板61の第1基板ホルダ63とを、同一方向に回動させることが可能になり、制御部54を保守する作業性が向上する。
【0060】
(制御回路基板及び電源回路基板の保守)
以上のように構成された制御部54について、制御回路基板61及び電源回路基板62を保守する際の分解操作を説明する。まず、筐体55から蓋体57を取り外すことで、基板収容空間56Cを開く。基板収容空間56Cが開かれることで、複数の電源回路基板62を保守する作業が可能になる。例えば、電源回路基板62を交換する場合には、支持台65上に固定された第2基板ホルダ64から電源回路基板62が取り外されて交換される。
【0061】
次に、制御回路基板61を保守するときには、支持台65の各脚部65bを固定するネジ等が取り外されて、各脚部65bが仕切り板82aから引き離し可能にされる。続いて、脚部65bの第2係合爪77が第2開口78に係合させた状態で、図11に示すように、脚部65bを仕切り板82aから離れるように、支持台65全体を仕切り板82aに対して回動させることで、支持台65の下方に隠れていた制御回路基板61が現れる。これにより、複数の電源回路基板62を支持する支持台65を筐体55から取り外すことなく、仕切り板82aに固定された複数の制御回路基板61を保守する作業を行うことが可能になる。
【0062】
また、例えば、制御回路基板61を交換する場合には、仕切り板82aに固定された第1基板ホルダ63から制御回路基板61が取り外されて交換される。あるいは、第1基板ホルダ63の固定部73からネジ等を取り外し、第1開口76に係合された第1係合爪72を回転中心として第1基板ホルダ63が仕切り板82aから離れる方向に回動させると共に、第1開口76から第1係合爪72を引き抜くことで、仕切り板82aから第1基板ホルダ63が容易に取り外される。
【0063】
このように第1基板ホルダ63を取り外すために、仕切り板82aに固定された支持台65の外側から第1基板ホルダ63の固定部73を視認可能になっており、支持台65が仕切り板82aに固定された状態で固定部73に対してネジ等を着脱する操作を容易に行うことができる。そして、支持台65は、第1基板ホルダ63を仕切り板82aから取り外すために第1基板ホルダ63を適正に回動させることが可能になるように、仕切り板82aに固定された第1基板ホルダ63の上方に所定の間隙が確保されて仕切り板82aに固定されている。
【0064】
また、第1基板ホルダ63を仕切り板82aに固定する場合、第1係合爪72を第1開口76に引っ掛ける際に、第1係合爪72が突出する方向が、仕切り板82aに対して鋭角をなすように傾斜させた姿勢で、第1係合爪72を第1開口76に挿入する。これにより、第1基板ホルダ63は、仕切り板82aに一時的に固定された後、固定部73がネジ等で固定されることで、仕切り板82aに容易に固定される。
【0065】
なお、本実施例では、第1基板ホルダ63に第1係合爪72が設けられると共に、筐体55の仕切り板82aに第1開口76が設けられたが、この構造とは逆に、第1基板ホルダ63に第1開口が設けられると共に、筐体55の仕切り板82aに第1係合爪が設けられてもよい。同様に、本実施例では、支持台65の脚部65bに第2係合爪77が設けられると共に、筐体55の仕切り板82aに第2開口78が設けられたが、この構造とは逆に、支持台65の脚部65bに第2開口が設けられると共に、筐体55の仕切り板82aに第2係合爪が設けられてもよい。
【0066】
(冷暖切換装置の特徴的な構成)
次に、実施例の冷暖切換装置1の特徴的な構造について説明する。実施例における特徴的な構造には、駆動部52の開閉機構53、制御部54の制御回路基板61及び電源回路基板62の相互の配置、筐体55の構造が含まれる。
【0067】
図17は、実施例における開閉機構53(図7図8参照)、制御回路基板61、電源回路基板62の各位置を説明するための分解斜視図である。また、図17では、1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53毎に破線で囲んで示し、2つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61毎に破線で囲んで示し、4つの室内機5に対応する1つの電源回路基板62を破線で囲んで示す。
【0068】
図17に示すように、本実施例では、複数の室内機5のうちの任意の1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53と、この1つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61及び1つの電源回路基板62は、制御回路基板61及び電源回路基板62の厚み方向から見たときに、筐体55内の一方向Aにおいて互いに重なるように配置される。このため、筐体55内の駆動部52及び制御部54を保守するときに、保守対象となる任意の1つの室内機5にそれぞれ対応する4つの開閉機構53、1つの制御回路基板61、1つの電源回路基板62をそれぞれ見付け出し易くなり、保守の作業性が向上する。
【0069】
図18は、実施例における駆動部52に設けられた取付け金具を示す斜視図である。図19は、実施例における取付け金具を拡大して示す斜視図である。図20は、実施例における筐体55の要部を示す縦断面図である。
【0070】
また、筐体55は、図17に示すように、第1筐体としての開閉機構箱81と、第2筐体としての電装品箱82と、を含む。図18図19及び図20に示すように、開閉機構箱81は、各開閉機構53を支持すると共に配管収容空間56Aと機構収容空間56Bとを仕切る仕切り板81aと、開閉機構箱81から取り外された電装品箱82を開閉機構箱81に係合させる係合部材としての取付け金具85と、を有する。電装品箱82は、図17及び図20に示すように、基板収容空間56Cと機構収容空間56Bとを仕切る仕切り板82aを有する。
【0071】
取付け金具85は、開閉機構箱81内の下部に設けられている。取付け金具85は、一端部85aが、開閉機構箱81の仕切り板81aに固定されており、他端部85bが開閉機構箱81内の下部に固定されている。取付け金具85の他端部85bには、上方に向かって一端部86aが曲げられたL字状の吊り下げ片86が固定されている。取付け金具85には、吊り下げ片86が含まれる。吊り下げ片86は、例えば、溶接やビス止め等によって他端部85bに固定されており、一端部86aが、電装品箱82の仕切り板82aにネジ等によって着脱可能に固定されている。取付け金具85によって開閉機構箱81に電装品箱82が固定されることで、1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53と、この1つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61及び1つの電源回路基板62とが、筐体55内の一方向Aにおいて互いに重なるように配置される。
【0072】
また、取付け金具85は、他端部85aが、開閉機構箱81における下部よりも電装品箱82の仕切り板82a側に突出して設けられている。このため、取付け金具85に固定するために電装品箱82の仕切り板82aの形状が複雑化すことが避けられ、仕切り板82aを平板のままで用いることが可能になるので、電装品箱82の加工コストが抑えられる。なお、図示しないが、取付け金具85の一部が、電装品箱82側に突出するような形状であればよく、本実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0073】
また、開閉機構箱81内の上部には、電装品箱82を支持する吊り下げ金具87が設けられている。吊り下げ金具87は、一端部87aが開閉機構箱81の仕切り板81aに固定されており、他端部87bが、上方に向かって曲げられている。電装品箱82の上部には、吊り下げ金具87の他端部87bに引っ掛けられる引っ掛け片88が設けられている。また、引っ掛け片88は、電装品箱82を開閉機構箱81から取り外したときに、取付け金具85の吊り下げ片86の一端部86aに引っ掛けることが可能に構成されている。つまり、引っ掛け片88を有する取付け金具85は、電装品箱82が開閉機構箱81の内部を塞ぐように固定するための金具と、電装品箱82の内部と開閉機構箱81の内部を開いた状態で電装品箱82を開閉機構箱81に吊り下げるための金具とを兼ねている。
【0074】
なお、開閉機構箱81と電装品箱82との固定構造及び一時的な吊り下げ構造が取付け金具85に限定されるものではない。取付け金具85は、開閉機構箱81側に設けられたが、電装品箱82側に設けられた構造や、開閉機構箱81と電装品箱82の両方に互いに係合するように設けられた構造であってもよい。
【0075】
(冷暖切換装置を保守する状態)
図21は、実施例において駆動部52及び制御部54を保守する状態を示す正面図である。以上のように構成された冷暖切換装置1を保守する際には、図21に示すように、電装品箱82から蓋体57を取り外し、電装品箱82の内部の各制御回路基板61及び各電源回路基板62の一群と、開閉機構箱81の内部の各開閉機構53の一群とが上下に並ぶように、上述した取付け金具85の吊り下げ片86に電装品箱82の引っ掛け片88を引っ掛けて吊り下げる。このとき、開閉機構箱81内の各開閉機構53と、電装品箱82内の各制御回路基板61及び各電源回路基板62は、複数の接続配線(図示せず)を介して電気的に接続された状態が保たれている。
【0076】
このように電装品箱82を開閉機構箱81に一時的に引っ掛けることにより、駆動部52及び制御部54を保守するときに、開閉機構箱81内の各開閉機構53の一群と、電装品箱82内の各制御回路基板61及び各電源回路基板62の一群とが、上下に隣り合うように配置することができる。このため、開閉機構箱81内の複数の開閉機構53及び電装品箱82内の複数の制御回路基板61及び複数の電源回路基板62の中から、保守対象となる任意の1つの室内機5にそれぞれ対応する4つの開閉機構53、1つの制御回路基板61、1つの電源回路基板62をそれぞれ見付け出し易くなると共に、1つの室内機5に対応する各開閉機構53、制御回路基板61及び電源回路基板62を相互に確認し易くなるので、保守の作業性が向上する。
【0077】
(駆動部及び制御部の表示部材)
図22は、実施例における開閉機構53の識別ラベル、配置ラベル及び電源回路基板62のコネクタラベルを示す正面図である。図23は、実施例における制御回路基板61のコネクタラベルを示す正面図である。図23は、電源回路基板62を電装品箱82から取り外した状態を示している。
【0078】
また、開閉機構箱81には、図22に示すように、複数の開閉機構53が、任意の1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53毎に集めて配置されており、この4つの開閉機構53の近傍に、この4つの開閉機構53が任意の1つの室内機5に対応することを示す第1表示部材としての識別ラベル91A及び配置ラベル91Bが設けられている。このため、識別ラベル91A及び配置ラベル91Bを確認することで、所望の開閉機構53を更に見付け易くなる。図22において、1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53を破線と囲んで示す。
【0079】
例えば、識別ラベル91Aは、各室内機5を示す記号等を含んでおり、室内機5毎にそれぞれ設けられている。識別ラベル91Aは、例えば、開閉機構箱81内の上部の枠等の視認し易い位置に貼り付けられている。例えば、配置ラベル91Bは、各室内機5を示す記号等や、1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53の、開閉機構箱81内における位置を示す配置図を含んでいる。配置ラベル91Bは、開閉機構箱81の仕切り板81aの内面の下部等の視認し易い位置に貼り付けられている。
【0080】
また、電装品箱82内には、任意の1つの室内機5に対応する制御回路基板61と電源回路基板62が、積層されて配置されている。電源回路基板62は、複数の室内機5に対応する複数の接続端子62aを有しており、各接続端子62aの近傍に、接続端子62aに対応する室内機5を示す第2表示部材としてのコネクタラベル92が設けられる、同様に、制御回路基板61は、複数の室内機5に対応する複数の接続端子61aを有しており、各接続端子61aの近傍に、接続端子61aに対応する室内機5を示す第3表示部材としてコネクタラベル93が設けられる。このため、コネクタラベル92、93を確認することで、所望の接続端子61a、62aを更に見付け易くなる。
【0081】
コネクタラベル92、93は、各室内機5を示す記号等を含んでおり、室内機5毎にそれぞれ設けられている。なお、第1表示部材、第2表示部材及び第3表示部材としては、上述の識別ラベル91A、配置ラベル91B、コネクタラベル92、93に限定されず、例えば、各種のタグや、開閉機構53や制御回路基板61上に印字した表示や、電装品箱82の仕切り板82a、支持台65に印字や刻印した表示や、このような表示を含む構造部材であってもよい。
【0082】
なお、開閉機構53、制御回路基板61及び電源回路基板62は、室内機5毎に対応する領域が色分けされたり、各領域の境界に区分線(図示せず)が設けられたりしてもよい。また、例えば、1つの電源回路基板62に対応する4つの室内機5毎にそれぞれ対応する16個の開閉機構53、1つの電源回路基板62、2つの制御回路基板61を1つのグループとするように、仕切り板81a等に区分線(図示せず)が引かれてもよく、隣り合うグループの境目に隣り合う開閉機構53同士等の間で保守作業の間違いが生じることを更に防ぐことが可能になる。
【0083】
(空気調和装置の動作)
冷暖切換装置1は、室内機5-1に冷房運転を行わせる場合、室内機5-1に対応する配管群24-1の第1開閉弁31を開き、配管群24-1の第2開閉弁32を閉じることにより、低圧ガス管6を室内機側ガス管12-1に接続する。このとき、液管8を流れる高圧液相冷媒は、室内機液管11-1を介して室内機5-1に供給されて、室内機5-1から室内機側ガス管12-1を介して流出される低圧気相冷媒が、低圧ガス管6に供給される。冷暖切換装置1は、室内機5-1に暖房運転を行わせる場合、配管群24-1の第1開閉弁31を閉じて、配管群24-1の第2開閉弁32を開くことにより、高圧ガス管7を室内機側ガス管12-1に接続する。このとき、高圧ガス管7を流れる高圧気相冷媒は、室内機側ガス管12-1を介して室内機5-1に供給されて、室内機5-1から室内機液管11-1を介して流出される低圧二相冷媒が、液管8に供給される。
【0084】
配管群24-1の第3開閉弁33と第4開閉弁34は、第1開閉弁31と第2開閉弁32が開閉するときに配管群24-1を流れる冷媒の圧力が均圧されるように、すなわち、第1開閉弁31と第2開閉弁32が適切に開閉されるように、開閉される。冷暖切換装置1は、複数の室内機5-1~5-4のうちの室内機5-1と異なる他の室内機15-2~15-4に冷房運転または暖房運転を行わせるときも、配管群24-1と同様に、複数の配管群24-1~24-12を動作させる。
【0085】
室内機5-1は、冷暖切換装置1から室内機液管11-1を介して高圧液相冷媒が供給されることにより、冷房運転が行われる。このとき、室内機5-1の膨張弁は、室内機液管11-1を介して供給される高圧液相冷媒を膨張させて、高圧液相冷媒から液リッチ状態の低圧二相冷媒を生成する。室内機5-1の室内熱交換器は、凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器は、低圧二相冷媒と室内の空気とを熱交換することにより、室内の空気を冷却し、低圧二相冷媒の圧力が一定のまま低圧二相冷媒の乾き度を上げ、低圧二相冷媒から過熱状態の低圧気相冷媒を生成する。
【0086】
室内機5-1は、冷暖切換装置1から室内機側ガス管12-1を介して高圧気相冷媒が供給されることにより、暖房運転が行われる。このとき、室内機5-1の室内熱交換器は、凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器は、高圧気相冷媒と室内の空気とを熱交換することにより、室内の空気を加熱し、高圧気相冷媒の圧力が一定のまま高圧気相冷媒を冷却し、高圧気相冷媒の乾き度を下げ、高圧液相冷媒を生成する。室内機5-1の膨張弁は、高圧液相冷媒を膨張させ、高圧液相冷媒から液リッチ状態の低圧二相冷媒を生成する。
【0087】
複数の室内機5-1~5-4のうちの室内機5-1と異なる他の室内機5-2~5-4も、室内機5-1と同様に、冷房運転が行われたり、暖房運転が行われたりする。
【0088】
また、複数の室外機3-1~3-2のうちの室外機3-1の四方弁は、冷房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量が、暖房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量より多いときに、第1モードに切り換えられる。このとき、低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒は、圧縮機に供給され、室外機3-1の圧縮機で圧縮された高圧気相冷媒は、高圧ガス管7に供給されて、四方弁を介して室外熱交換器に供給される。室外機3-1の室外熱交換器は、凝縮器として動作する。すなわち、室外熱交換器は、室外機3-1の圧縮機から四方弁を介して供給された高圧気相冷媒と外気とを熱交換することにより、高圧気相冷媒の圧力が一定のまま高圧気相冷媒を冷却し、高圧気相冷媒の乾き度を下げ、高圧液相冷媒を生成する。高圧液相冷媒は、液管8に供給される。圧縮機は、低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒を圧縮し、低圧気相冷媒から過熱状態の高圧気相冷媒を生成する。
【0089】
また、2つの室外機3-1~3-2のうちの一方の室外機3-1の四方弁は、暖房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量が、冷房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量よりも多いときに、第2モードに切り換えられる。このとき、低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒と、室外熱交換器により生成された低圧気相冷媒は、圧縮機に供給され、室外機3-1の圧縮機により圧縮された高圧気相冷媒は、四方弁を介して室外熱交換器に供給される。室外機3-1の室外熱交換器は、蒸発器として動作する。すなわち、室外熱交換器は、液管8を流れる低圧二相冷媒と室内の空気を熱交換することにより、低圧二相冷媒の圧力が一定のまま低圧二相冷媒の乾き度を上げ、低圧二相冷媒から過熱状態の低圧気相冷媒を生成する。圧縮機は、四方弁から供給された低圧気相冷媒と低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒とを圧縮し、低圧気相冷媒から過熱状態の高圧気相冷媒を生成し、高圧気相冷媒を高圧ガス管7に供給する。
【0090】
複数の室外機3-1~3-2のうちの他方の室外機3-2においても、室外機3-1と同様に、動作する。
【0091】
(実施例の効果)
上述のように実施例の冷暖切換装置1の制御部54は、複数の開閉機構53を制御する複数の制御回路基板61と、複数の開閉機構53に電力を供給するための複数の電源回路基板62と、筐体55内に設けられて複数の制御回路基板61及び複数の電源回路基板62が収容される基板収容空間56Cと、を有する。基板収容空間56Cには、複数の制御回路基板61が一方向Aに沿って配列されており、複数の電源回路基板62が、複数の制御回路基板61に積層されて一方向Aに沿って配列される。任意の1つの室内機5に対応する複数の開閉機構53と、この1つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61及び1つの電源回路基板62は、筐体55内の一方向Aにおいて互いに重なるように配置される。これにより、駆動部52及び制御部54を保守するときに、保守対象となる任意の1つの室内機5にそれぞれ対応する4つの開閉機構53、制御回路基板61、電源回路基板62をそれぞれ見付け出し易くなる。このため、駆動部52及び制御部54を保守する作業性を向上することが可能になり、誤った保守作業を防ぐことができる。したがって、誤った保守作業によって複数の室内機5全体に障害が発生することを防ぐことができる。
【0092】
加えて、実施例の冷暖切換装置1によれば、複数の室内機5の各冷媒配管30の各開閉弁31~34を切り換えるための制御回路基板61及び電源回路基板62を整列させて、基板収容空間56C内に効率良く配置することが可能になる。その結果、整列された制御回路基板61及び電源回路基板62を基板収容空間56C内に密集してコンパクトに収容することが可能になるので、制御部54を小型化し、冷暖切換装置1全体の小型化を図ることができる。また、制御回路基板61群を制御系としてまとめて配置し、かつ、電源回路基板62群を電源系としてまとめて配置することができるので、保守する箇所を見つけ易くなり、制御部54の保守性を向上することができる。
【0093】
また、実施例の冷暖切換装置1において、1つの制御回路基板61が、少なくとも2つの室内機5に対応する複数の開閉弁31~34を制御し、1つの電源回路基板62が、少なくとも4つの室内機5に対応する複数の開閉弁31~34をそれぞれ開閉する複数の開閉機構53に電力を供給し、一方向Aにおいて1つの電源回路基板62が、少なくとも2つの制御回路基板61に跨って積層される。筐体55内の一方向Aにおいて、1つの電源回路基板62及び2つの制御回路基板61に重なる位置には、4つの室内機5に対応する16個の開閉機構53が配置される。これにより、任意の1つの室内機5にそれぞれ対応する4つの開閉機構53、1つの制御回路基板61、1つの電源回路基板62をそれぞれ見付け出し易くすると共に、制御回路基板61及び電源回路基板62の個数を更に削減することが可能になる。したがって、駆動部52及び制御部54を保守する作業性の向上と、制御部54の小型化とを両立することができる。
【0094】
また、実施例の冷暖切換装置1において、開閉機構箱81と電装品箱82の少なくとも一方には、開閉機構箱81から取り外された電装品箱82を開閉機構箱81に係合させる取付け金具85が設けられ、取付け金具85によって電装品箱82が開閉機構箱81に係合されたとき、任意の1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53と、この1つの室内機5に対応する制御回路基板61及び電源回路基板62とがそれぞれ隣り合うように配置される。これにより、保守対象となる任意の1つの室内機5にそれぞれ対応する4つの開閉機構53、1つの制御回路基板61、1つの電源回路基板62をそれぞれ見付け出し易くなると共に、1つの室内機5に対応する各開閉機構53、制御回路基板61及び電源回路基板62を相互に確認し易くなる。このため、駆動部52及び制御部54を保守する作業性を更に向上し、誤った保守作業を更に防ぐことができる。
【0095】
また、実施例の冷暖切換装置1における取付け金具85は、任意の1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53と、この1つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61及び1つの電源回路基板62とが、筐体55内の一方向Aにおいて互いに重なるように、電装品箱82を開閉機構箱81に固定する。このように取付け金具85は、電装品箱82が開閉機構箱81に固定するための金具と、電装品箱82を開閉機構箱81に吊り下げるための金具とを兼ねるので、冷暖切換装置1の構造を簡素化することができる。
【0096】
また、実施例の冷暖切換装置1の開閉機構箱81には、任意の1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53毎に集めて配置されており、この4つの開閉機構53の近傍に、この4つの開閉機構53がこの1つの室内機5に対応することを示す第1表示部材としての識別ラベル91Aが設けられる。これにより、識別ラベル91Aを確認することで、所望の開閉機構53を更に見付け易くなるので、駆動部52を保守する作業性が更に高められる。
【0097】
また、実施例の冷暖切換装置1における第1表示部材は、任意の1つの室内機5に対応する4つの開閉機構53の配置を示す配置ラベル91Bを含む。これにより、配置ラベル91Bを確認することで、所望の開閉機構53を更に見付け易くなるので、駆動部52を保守する作業性が更に高められる。
【0098】
また、実施例の冷暖切換装置1において、任意の1つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61と1つの電源回路基板62は、積層されて配置されており、この1つの室内機5に対応する電源回路基板62が有する接続端子62aの近傍に、接続端子62aに対応する室内機5を示すコネクタラベル92が設けられる。これにより、コネクタラベル92を確認することで、所望の電源回路基板62を更に見付け易くなるので、駆動部52を保守する作業性が更に高められる。
【0099】
また、実施例の冷暖切換装置1において、任意の1つの室内機5に対応する1つの制御回路基板61と1つの電源回路基板62は、積層されて配置されており、この1つの室内機5に対応する制御回路基板61が有する接続端子61aの近傍に、接続端子61aに対応する室内機5を示すコネクタラベル93が設けられる。これにより、コネクタラベル93を確認することで、所望の制御回路基板61を更に見付け易くなるので、駆動部52を保守する作業性が更に高められる。
【符号の説明】
【0100】
1 冷暖切換装置
3 室外機
5 室内機
30 冷媒配管
31~34 開閉弁
51 配管部
52 駆動部
53 開閉機構
54 制御部
55 筐体
56C 基板収容空間
61 制御回路基板
61a 接続端子
62 電源回路基板
62a 接続端子
81 開閉機構箱(第1筐体)
82 電装品箱(第2筐体)
85 取付け金具(係合部材)
86 吊り下げ片(係合部材)
91A 識別ラベル(第1表示部材
92B 配置ラベル(第1表示部材)
92 コネクタラベル(第2表示部材)
93 コネクタラベル(第3表示部材)
A 一方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23