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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】車両用外装部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20230704BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20230704BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230704BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B60R13/04 A
B62D25/20 F
F16B5/10 G
F16B5/06 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019218795
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021088239
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林 良二
(72)【発明者】
【氏名】西山 知宏
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-099589(JP,A)
【文献】実開昭61-186819(JP,U)
【文献】特開2013-112205(JP,A)
【文献】特開平11-091455(JP,A)
【文献】特開2006-160162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
B62D 25/20
F16B 5/10
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラケットを介して外装部材を車体に取り付ける取付構造であって、
前記車体の下面には、差込孔が開口しており、
前記ブラケットは、前記差込孔に差し込まれる差込部を有しており、
前記外装部材及び前記ブラケットには、互いに嵌合する部及び部がそれぞれ設けられており
前記凸部は、前記ブラケットの下面から下側に突出しており、
前記外装部材は、前記ブラケットの下面を覆う下壁を有しており、
前記凹部は、前記下壁に設けられており、
前記凸部は、前記凸部の突出方向に沿って貫通する中心孔を有しており、
前記凹部は、前記外装部材の前記下壁を貫通する貫通孔であり、
前記貫通孔及び前記中心孔には、締結部材が挿通されており、
前記ブラケットには、前記締結部材よりも車内側に位置し、前記ブラケットの下面よりも下側まで延出された邪魔壁が設けられている、
車両用外装部材の取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットに対して前記外装部材を車外側から近接させることにより、前記凹部が前記凸部に嵌合されるものであり、
前記凸部の外周面には、前記凸部の中心に近づくほど下側に位置するとともに前記凹部が前記凸部に嵌合される組付位置に向けて前記外装部材を案内する傾斜部が設けられている、
請求項1に記載の車両用外装部材の取付構造。
【請求項3】
前記外装部材の前記下壁の下面には、前記締結部材よりも車外側に位置し、前記締結部材が当接する当接面よりも下側に向かって突出することで前記締結部材を覆う覆い部が設けられている、
請求項1または請求項2に記載の車両用外装部材の取付構造。
【請求項4】
ブラケットを介して外装部材を車体に取り付ける取付構造であって、
前記車体の下面には、差込孔が開口しており、
前記ブラケットは、前記差込孔に差し込まれる差込部を有しており、
前記外装部材及び前記ブラケットの一方及び他方には、互いに嵌合する凸部及び凹部がそれぞれ設けられており、
前記車体は、車外側に向かって膨出された膨出部と、前記膨出部の下端から下側に向かって突出するフランジ部とを有し、
前記差込孔は、前記膨出部の下面に開口しており、
前記ブラケットは、前記膨出部の下側であり、且つ前記フランジ部の車外側に位置するブラケット本体を有しており、
前記ブラケット本体の外面には、前記フランジ部とは反対側に向かって突出する突片が設けられており、
前記突片は、前記フランジ部に対向する姿勢にて前記車体に近接されたときに前記フランジ部に干渉することで前記ブラケットの誤組み付けを抑制する、
車両用外装部材の取付構造。
【請求項5】
前記凸部は、前記ブラケットの下面から下側に突出しており、
前記外装部材は、前記ブラケットの下面を覆う下壁を有しており、
前記凹部は、前記下壁に設けられている、
請求項4に記載の車両用外装部材の取付構造。
【請求項6】
前記ブラケットに対して前記外装部材を車外側から近接させることにより、前記凹部が前記凸部に嵌合されるものであり、
前記凸部の外周面には、前記凸部の中心に近づくほど下側に位置するとともに前記凹部が前記凸部に嵌合される組付位置に向けて前記外装部材を案内する傾斜部が設けられている、
請求項5に記載の車両用外装部材の取付構造。
【請求項7】
前記凸部は、前記凸部の突出方向に沿って貫通する中心孔を有しており、
前記凹部は、前記外装部材の前記下壁を貫通する貫通孔であり、
前記貫通孔及び前記中心孔には、締結部材が挿通されている、
請求項5または請求項6に記載の車両用外装部材の取付構造。
【請求項8】
前記ブラケットには、前記締結部材よりも車内側に位置し、前記ブラケットの下面よりも下側まで延出された邪魔壁が設けられている、
請求項7に記載の車両用外装部材の取付構造。
【請求項9】
前記外装部材の前記下壁の下面には、前記締結部材よりも車外側に位置し、前記締結部材が当接する当接面よりも下側に向かって突出することで前記締結部材を覆う覆い部が設けられている、
請求項7または請求項8に記載の車両用外装部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体の側面下部に設けられた断面略ロ字状のロッカパネルに対して外装部材としてのロッカモールを取り付ける構造が開示されている。ロッカパネルの側部には、車両の前後方向に互いに間隔をおいて複数の貫通孔が設けられている。また、ロッカパネルの底部には、車両の前後方向に互いに間隔をおいて複数の挿通孔が設けられている。一方、ロッカモールは、底壁と、底壁にほぼ直交する方向に延びる側壁とを有している。側壁における上記複数の貫通孔に対応する位置には、複数の取付座が設けられており、底壁における上記複数の挿通孔に対応する位置には複数の取付孔が設けられている。ロッカモールの各取付座に固定されたクリップをロッカパネルの貫通孔に挿入するとともに、ロッカモールの各取付孔及びロッカパネルの各挿通孔に対してねじをねじ込むことにより、ロッカパネルの側部及び底部に対してロッカモールが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-91455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のロッカモールの場合、ロッカパネルの底部に設けられた各挿通孔に対して、ロッカモールの底壁に設けられた各取付孔を位置合わせする必要がある。このため、ロッカモールの取付作業が煩雑となる。
【0005】
なお、こうした問題は、ロッカーモールに限定されるものではなく、他の車両用外装部材の取付構造においても同様にして生じる。
本発明の目的は、外装部材の取付作業を容易に行うことのできる車両用外装部材の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための車両用外装部材の取付構造は、ブラケットを介して外装部材を車体に取り付ける取付構造であって、前記車体の下面には、差込孔が開口しており、前記ブラケットは、前記差込孔に差し込まれる差込部を有しており、前記外装部材及び前記ブラケットの一方及び他方には、互いに嵌合する凸部及び凹部がそれぞれ設けられている。
【0007】
同構成によれば、外装部材の車体への取り付けに際しては、まず、車体の下面に開口する差込孔にブラケットの差込部を差し込むことで車体にブラケットが組み付けられる。続いて、ブラケット及び外装部材の一方に設けられた凸部が他方に設けられた凹部に嵌合されることで、ブラケットに対して外装部材が組み付けられる。これにより、外装部材をブラケットに容易に組み付けることができる。このように、ブラケットと外装部材とが凹凸の関係で嵌合されるため、ブラケットに対して外装部材を容易に位置決めできる。したがって、外装部材の取付作業を容易に行うことができる。
【0008】
上記車両用外装部材の取付構造において、前記凸部は、前記ブラケットの下面から下側に突出しており、前記外装部材は、前記ブラケットの下面を覆う下壁を有しており、前記凹部は、前記下壁に設けられていることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、外装部材に凸部を設ける場合に比べて外装部材の構造が簡単になる。なお、ブラケットは外装部材に比べて体格が格段に小さいことから、ブラケットに凸部を設けることでブラケットの製造が困難となるといった問題は生じにくい。
【0010】
上記車両用外装部材の取付構造において、前記ブラケットに対して前記外装部材を車外側から近接させることにより、前記凹部が前記凸部に嵌合されるものであり、前記凸部の外周面には、前記凸部の中心に近づくほど下側に位置するとともに前記凹部が前記凸部に嵌合される組付位置に向けて前記外装部材を案内する傾斜部が設けられていることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、車体に組み付けられたブラケットに対して外装部材を車外側から近接させることにより、凹部が凸部に嵌合される。このとき、凸部の外周面に設けられた傾斜部によって組付位置に向けて外装部材が案内される。これにより、ブラケットに対して外装部材を円滑に組み付けることができる。したがって、ブラケットに対する外装部材の組付作業が容易となる。
【0012】
上記車両用外装部材の取付構造において、前記凸部は、前記凸部の突出方向に沿って貫通する中心孔を有しており、前記凹部は、前記外装部材の前記下壁を貫通する貫通孔であり、前記貫通孔及び前記中心孔には、締結部材が挿通されていることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、外装部材の下壁を貫通する貫通孔及びブラケットの凸部を貫通する中心孔に締結部材を挿通することにより、ブラケットから外装部材が抜け出すことを抑制できる。
【0014】
ところで、車両振動などによって車体に対して外装部材が変位することで、外装部材及びブラケットの双方に挿通された締結部材に対して剪断力が作用するおそれがある。
この点、上記構成によれば、ブラケットの凸部が外装部材の貫通孔に嵌合されているため、車体に対する外装部材の変位が抑制される。これにより、締結部材に対して上述した剪断力が作用しない。したがって、締結部材の損傷を抑制できる。
【0015】
上記車両用外装部材の取付構造において、前記ブラケットには、前記締結部材よりも車内側に位置し、前記ブラケットの下面よりも下側まで延出された邪魔壁が設けられていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、車両走行時などに車内側から締結部材に向かって飛散する小石などが邪魔壁に当たることで締結部材に衝突しにくくなる。したがって、締結部材の損傷を抑制できる。
【0017】
上記車両用外装部材の取付構造において、前記外装部材の前記下壁の下面には、前記締結部材よりも車外側に位置し、前記締結部材が当接する当接面よりも下側に向かって突出することで前記締結部材を覆う覆い部が設けられていることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、覆い部によって締結部材が車外側から覆われるため、車外側から締結部材が視認されにくくなる。したがって、車両の意匠性が向上する。
上記車両用外装部材の取付構造において、前記車体は、車外側に向かって膨出された膨出部と、前記膨出部の下端から下側に向かって突出するフランジ部とを有し、前記差込孔は、前記膨出部の下面に開口しており、前記ブラケットは、前記膨出部の下側であり、且つ前記フランジ部の外側に位置するブラケット本体を有しており、前記ブラケット本体の外面には、前記フランジ部とは反対側に向かって突出する突片が設けられており、前記突片は、前記フランジ部に対向する姿勢にて前記車体に近接されたときに前記フランジ部に干渉することで前記ブラケットの誤組み付けを抑制することが好ましい。
【0019】
同構成によれば、突片がフランジ部に対向する姿勢にてブラケットが車体の膨出部に近接されると、突片がフランジ部に干渉することでブラケットの誤組み付けが抑制される。これにより、作業者はブラケットの正規の組み付け姿勢を容易に把握することができる。したがって、外装部材の取付作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外装部材の取付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車両用外装部材の取付構造の一実施形態について、ロッカモールが取り付けられている車両の側面図。
図2】同実施形態において、車体のロッカパネル、ブラケット、及びロッカモールを正面側から示す分解斜視図。
図3図2のブラケット及びロッカモールを背面側から示す分解斜視図。
図4】(a)、(b)は、同実施形態のブラケットを示す斜視図。
図5】同実施形態のロッカモールが車体のロッカパネルに取り付けられている状態の断面構造を示す断面図。
図6】変更例のブラケットを示す斜視図。
図7図6のブラケットを介してロッカモールが車体のロッカパネルに取り付けられている状態の断面構造を示す断面図。
図8】他の変更例のブラケットを示す斜視図。
図9図8のブラケットを介してロッカモールが車体のロッカパネルに取り付けられている状態の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図5を参照して、本発明をロッカモールの取付構造として具体化した一実施形態について説明する。
なお、以降においては、車両の前後方向を単に前後方向として説明する。また、車幅方向Wにおいて車両の中央部に近づく側を「車内側」とし、当該中央部から遠ざかる側を「車外側」として説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、車体10には、サイドドア60の下部に、前後方向に沿って延在するロッカパネル11が設けられている。
図2に示すように、ロッカパネル11には、前後方向に互いに間隔をおいて複数の硬質樹脂製のブラケット20が組み付けられている。ロッカパネル11には、これらのブラケット20を介して、前後方向に沿って延在する長尺状のロッカモール40が取り付けられている。ロッカモール40は、硬質樹脂製である。上記ロッカモール40が本発明に係る外装部材に相当する。
【0024】
以下、各構成について詳細に説明する。
<ロッカパネル11>
図5に示すように、ロッカパネル11は、共に車幅方向Wに向かって開口したハット形状の内側ロッカパネル12と外側ロッカパネル13とにより構成されている。
【0025】
内側ロッカパネル12は、車内側に向かって膨出する膨出部12aと、膨出部12aの上下方向の両端部に形成されたフランジ部12bとを有している。
外側ロッカパネル13は、車外側に向かって膨出する膨出部13aと、膨出部13aの上下方向の両端部に形成されたフランジ部13bとを有している。
【0026】
ロッカパネル11は、内側ロッカパネル12のフランジ部12bと、外側ロッカパネル13のフランジ部13bとが溶接などにより互いに接合されることで閉じ断面を形成している。
【0027】
図2及び図5に示すように、外側ロッカパネル13の膨出部13aの側壁14には、前後方向に互いに間隔をおいて複数の係止孔16が開口している。また、外側ロッカパネル13の膨出部13aの底壁15は、車内側ほど下側に位置するように車幅方向Wに対して緩やかに傾斜している。膨出部13aには、前後方向に互いに間隔をおいて複数の差込孔17が形成されている。本実施形態において、係止孔16及び差込孔17は、ロッカパネル11の前後方向における同一位置に設けられている。
【0028】
<ブラケット20>
図3図5に示すように、ブラケット20は、膨出部13aの下側であり、且つフランジ部13bの車外側に位置するブラケット本体20aを有している。
【0029】
ブラケット本体20aは、膨出部13aの底壁15に対向する上壁21と、上壁21の車外側端から屈曲され、下側に向けて延びる外壁22と、上壁21の車内側端から屈曲され、下側に向けて延びる内壁23と、上壁21に対向する対向壁24とを有している。
【0030】
上壁21には、外側ロッカパネル13の差込孔17に対して差し込まれる円筒状の差込部27が設けられている。差込部27は、外側へ突出する爪部27aを有している。上壁21の上面には、車幅方向Wにおいて差込部27を挟む一対のリブ28が設けられている。各リブ28は、前後方向に沿って延在している。
【0031】
内壁23の下端には、車内側に折り返された折返部25が設けられている。内壁23の下端には、車内側に折り返された折返部25が設けられている。折返部25は、ブラケット20の下面よりも下側まで延出されている。折返部25が、本発明に係る邪魔壁に相当する。
【0032】
内壁23と折返部25とによって、ロッカパネル11のフランジ部12b,13bの下端部が車幅方向Wにおいて挟まれている。内壁23の車内側の面には、前後方向に沿って延在するリブ26が設けられている。リブ26,28が車体10に当接することにより、差込部27を支点としたブラケット20の揺動が抑制される。
【0033】
上壁21の車外側端には、車外側に向かって突出する突片29が設けられている。このため、ロッカパネル11に対するブラケット20の組み付けに際して、突片29がフランジ部13bに対向する姿勢にてロッカパネル11の膨出部13aに近接されたとき、突片29はフランジ部13bに干渉する。
【0034】
図4(a)及び図5に示すように、対向壁24の下面の中央部には、下側に向けて突出する凸部31が設けられている。凸部31は、凸部31の突出方向に貫通する中心孔32を有している。
【0035】
図4(b)及び図5に示すように、凸部31の外周面には、凸部31の中心に近づくほど下側に位置する傾斜部33が設けられている。
<ロッカモール40>
図2図3、及び図5に示すように、ロッカモール40は、外側ロッカパネル13の側壁14を覆うカバー壁41と、カバー壁41の下側から車外側に向けて膨出され、下側ほど車内側に位置する形状の意匠壁42と、意匠壁42の下側から車内側に延出され、底壁15を覆う下壁43とを有している。
【0036】
カバー壁41の車内側には、孔45を有する複数の台座44が、外側ロッカパネル13の複数の係止孔16に対応して設けられている(図3参照)。
孔45には、クリップ46の基端部が嵌合されている。クリップ46の先端部は、車内側を指向している。クリップ46が、本発明に係る締結部材に相当する。
【0037】
下壁43には、下壁43のうちその他の部分よりも上側に突出する段差を介して連なるとともに、ブラケット20の対向壁24を下側から覆う取付部51が設けられている。取付部51は、前後方向に互いに間隔をおいて複数設けられている。
【0038】
図3及び図5に示すように、取付部51の前後方向の長さは、ブラケット20の前後方向の長さよりも僅かに大きい。
取付部51には、取付部51、すなわち下壁43を貫通する貫通孔52が設けられている。貫通孔52の内径は、凸部31の外径よりも僅かに大きい(図5参照)。
【0039】
図5に示すように、取付部51の貫通孔52には、ブラケット20の凸部31が嵌入されている。また、貫通孔52及び中心孔32には、クリップ34が下側から挿通されている。
【0040】
下壁43の下面のうち車外側端部には、覆い部47が設けられている。覆い部47は、クリップ34の頭部34aが当接する当接面51aよりも下側に向かって突出している。これにより、クリップ34の頭部34aが車外側から覆われている。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ロッカモール40のロッカパネル11への取り付けに際しては、まず、外側ロッカパネル13の底壁15の各差込孔17にブラケット20の差込部27を差し込む。これにより、ロッカパネル11に対してブラケット20が組み付けられる。
【0042】
続いて、車外側から車幅方向Wに沿って外側ロッカパネル13の側壁14及びブラケット20にロッカモール40を近接させる。このとき、ロッカモール40の台座44に組み付けられたクリップ46の先端部が、外側ロッカパネル13の係止孔16に挿入されて係止される。また、このとき、ロッカモール40の貫通孔52が、車体10に組み付けられたブラケット20の凸部31に対して近接される。そして、凸部31の外周面に設けられた傾斜部33によって、貫通孔52が、凸部31に嵌合される組付位置に向けて案内される。これにより、ブラケット20の凸部31がロッカモール40の貫通孔52に嵌合されることで、ブラケット20に対してロッカモール40が組み付けられる。
【0043】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)車体10の下面には、差込孔17が開口している。ブラケット20は、差込孔17に差し込まれる差込部27を有している。ロッカモール40には、貫通孔52が設けられている。ブラケット20には、ロッカモール40の貫通孔52に嵌合する凸部31が設けられている。
【0044】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、ロッカモール40をブラケット20に容易に組み付けることができる。このように、ブラケット20とロッカモール40とが凹凸の関係で嵌合されるため、ブラケット20に対してロッカモール40を容易に位置決めできる。したがって、ロッカモール40の取付作業を容易に行うことができる。
【0045】
(2)凸部31は、ブラケット20の下面から下側に突出している。ロッカモール40は、ブラケット20の下面を覆う下壁43を有している。貫通孔52は、下壁43に設けられている。
【0046】
こうした構成によれば、ロッカモール40に凸部31を設ける場合に比べてロッカモール40の構造が簡単になる。なお、ブラケット20はロッカモール40に比べて体格が格段に小さいことから、ブラケット20に凸部31を設けることでブラケット20の製造が困難となるといった問題は生じにくい。
【0047】
(3)ロッカモール40は、ブラケット20に対して車外側から近接させることにより、貫通孔52が凸部31に嵌合されるものである。凸部31の外周面には、凸部31の中心に近づくほど下側に位置するとともに貫通孔52が凸部31に嵌合される組付位置に向けてロッカモール40を案内する傾斜部33が設けられている。
【0048】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、ブラケット20に対してロッカモール40を円滑に組み付けることができる。したがって、ブラケット20に対するロッカモール40の組付作業が容易となる。
【0049】
(4)凸部31は、凸部31の突出方向に沿って貫通する中心孔32を有している。貫通孔52は、ロッカモール40の下壁43を貫通する貫通孔52であり、貫通孔52及び中心孔32には、クリップ34が挿通されている。
【0050】
こうした構成によれば、ロッカモール40の下壁43を貫通する貫通孔52及びブラケット20の凸部31を貫通する中心孔32にクリップ34を挿通することにより、ブラケット20からロッカモール40が抜け出すことを抑制できる。
【0051】
ところで、車両振動などによって車体10に対してロッカモール40が変位することで、ロッカモール40及びブラケット20の双方に挿通されたクリップ34に対して剪断力が作用するおそれがある。
【0052】
この点、上記構成によれば、ブラケット20の凸部31がロッカモール40の貫通孔52に嵌合されているため、車体10に対するロッカモール40の変位が抑制される。これにより、クリップ34に対して上述した剪断力が作用しない。したがって、クリップ34の損傷を抑制できる。
【0053】
(5)ブラケット20には、クリップ34よりも車内側に位置し、前記ブラケット20の下面よりも下側まで延出された折返部25が設けられている。
こうした構成によれば、車両走行時などに車内側からクリップ34に向かって飛散する小石などが折返部25に当たることでクリップ34に衝突しにくくなる。したがって、クリップ34の損傷を抑制できる。
【0054】
(6)ロッカモール40の下壁43の下面には、クリップ34よりも車外側に位置し、クリップ34が当接する当接面51aよりも下側に向かって突出することでクリップ34を覆う覆い部47が設けられている。
【0055】
こうした構成によれば、覆い部47によってクリップ34の頭部34aが車外側から覆われるため、車外側からクリップ34が視認されにくくなる。したがって、車両の意匠性が向上する。
【0056】
(7)ブラケット20は、外側ロッカパネル13の下側であり、且つフランジ部13bの車外側に位置するブラケット本体20aを有している。ブラケット本体20aの外面には、フランジ部13bとは反対側に向かって突出する突片29が設けられている。突片29は、フランジ部13bに対向する姿勢にて車体10に近接されたときにフランジ部13bに干渉することでブラケット20の誤組み付けを抑制する。
【0057】
こうした構成によれば、突片29がフランジ部13bに対向する姿勢にてブラケット20が車体10の膨出部13aに近接されると、突片29がフランジ部13bに干渉することでブラケット20の誤組み付けが抑制される。これにより、作業者はブラケット20の正規の組み付け姿勢を容易に把握することができる。したがって、ロッカモール40の取付作業を容易に行うことができる。
【0058】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0059】
・ブラケット20の数や配置を適宜変更することができる。
・クリップ34に代えてねじを締結部材として用いることもできる。
・外側ロッカパネル13の係止孔16及びクリップ46に代えて、両面テープなどの他の手段によってロッカモール40の上部を外側ロッカパネル13の側壁14に固定するようにしてもよい。
【0060】
・本発明に係る凸部31の形状は、上記実施形態に例示したものに限られない。例えば、図6に示すように、凸部31は、その下端に外周側に向かって突出するフランジ35を有する形状であってもよい。この場合、図3の二点鎖線にて示すように、ロッカモール40の貫通孔52の外縁部Cを切り欠くことが好ましい。これにより、図7に示すように、ロッカモール40の貫通孔52は、当該切り欠かれた部位を通じて、凸部31に嵌合される。
【0061】
こうした構成によれば、ロッカモール40の取付部51がブラケット20の対向壁24とフランジ35とによって挟持される。このため、ロッカモール40の抜け止めのためのクリップ34を省略することができる。また、この場合、中心孔32及び傾斜部33を省略することができる。
【0062】
図8及び図9に示すように、ブラケット20の折返部25に代えて、内壁23の下端からクリップ34よりも下側まで延出された邪魔壁61を設けてもよい。内壁23及び邪魔壁61には、フランジ部13bの車外側の面及びフランジ部12b,13bの下端に向かって突出する一対のリブ62が設けられている。
【0063】
こうした構成によれば、車両走行時などに車内側からクリップ34に向かって飛散する小石などが邪魔壁61に当たることでクリップ34に衝突しにくくなる。したがって、クリップ34の損傷を抑制できる。
【0064】
・リブ26,28の一方または双方を省略してもよい。
・突片29を省略してもよい。
・ロッカモール40の覆い部47を省略することもできる。
【0065】
・上記実施形態においては、ロッカモール40の貫通孔52を車幅方向Wに沿ってブラケット20に対して近接させ、凸部31に組み付ける態様を例示したが、貫通孔52と凸部31との組付態様はこれに限られるものではない。例えば、貫通孔52を下側からブラケット20に対して近接させ、凸部31に組み付けるものであってもよい。
【0066】
・ロッカモール40に凸部を設け、ブラケット20に凸部に嵌合される貫通孔を設けた構成にすることもできる。
・本発明に係る凹部は貫通孔に限られるものではなく、底部を有する穴形状のものであってもよい。
【0067】
・本発明は、車体の側面下部に取り付けられるロッカモール40の取付構造に限定されない。例えば、車体の前面に取り付けられる他の外装部材に対して本発明を適用することもできる。この場合、車両の前側及び後側が、本発明に係る車外側及び車内側に相当する。また、車体の後面に取り付けられる他の外装部材に対して本発明を適用する場合は、車両の後側及び前側が、本発明に係る車外側及び車内側に相当する。
【符号の説明】
【0068】
10…車体、11…ロッカパネル、12…内側ロッカパネル、13…外側ロッカパネル、12a,13a…膨出部、12b,13b…フランジ部、14…側壁、15…底壁、16…係止孔、17…差込孔、20…ブラケット、20a…ブラケット本体、21…上壁、22…外壁、23…内壁、24…対向壁、25…折返部(邪魔壁)、27…差込部、27a…爪部、26,28…リブ、29…突片、31…凸部、32…中心孔、33…傾斜部、34…クリップ(締結部材)、34a…頭部、35…フランジ、40…ロッカモール、41…カバー壁、42…意匠壁、43…下壁、44…台座、45…孔、46…クリップ(締結部材)、47…覆い部、51…取付部、51a…当接面、52…貫通孔(凹部)60…サイドドア、61…邪魔壁、62…リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9