(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】液体封入式マウント
(51)【国際特許分類】
F16F 13/10 20060101AFI20230704BHJP
F16F 13/26 20060101ALI20230704BHJP
B60K 5/12 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F16F13/10 G
F16F13/10 K
F16F13/26 D
B60K5/12 H
(21)【出願番号】P 2020003709
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】星川 祐輔
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-020929(JP,A)
【文献】特開平06-193673(JP,A)
【文献】特開2007-270910(JP,A)
【文献】特開2005-331087(JP,A)
【文献】特開平08-159204(JP,A)
【文献】実開昭58-129354(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 13/10
F16F 13/26
B60K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部、及び当該蓋部から突出する筒状の周壁部を有する筒状の弾性部材と、
前記弾性部材における前記周壁部を閉塞するダイヤフラムと、
前記弾性部材と前記ダイヤフラムによって画成され、非圧縮性の液体が内部に封入される液室と、
前記周壁部の軸線方向に沿って前記液室を前記蓋部寄りの主液室と前記ダイヤフラム寄りの副液室とに仕切る隔壁と、
前記隔壁内に設けられ前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有する液体封入式マウントであって、
前記隔壁は、
前記軸線方向において前記蓋部と対向するとともに、前記軸線方向において前記副液室寄りの第1隔壁形成部材と、前記軸線方向において前記主液室寄りの第2隔壁形成部材と、を前記軸線方向に組み付けて構成され、
前記第1隔壁形成部材は、第1通路形成部を備え、
前記第2隔壁形成部材は、第2通路形成部を備え、
前記オリフィス通路は、前記第1通路形成部と前記第2通路形成部によって前記軸線方向両側から挟まれた空間によって画成され、
前記第2通路形成部の少なくとも一部は、前記第1通路形成部に対して前記軸線方向に沿って移動可能であり、
前記蓋部と前記第2通路形成部とは接続部材によって接続されることを特徴とする液体封入式マウント。
【請求項2】
前記第2通路形成部の全体は、前記第1通路形成部に対して前記軸線方向に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体封入式マウント。
【請求項3】
蓋部、及び当該蓋部から突出する筒状の周壁部を有する筒状の弾性部材と、
前記弾性部材における前記周壁部を閉塞するダイヤフラムと、
前記弾性部材と前記ダイヤフラムによって画成され、非圧縮性の液体が内部に封入される液室と、
前記周壁部の軸線方向に沿って前記液室を前記蓋部寄りの主液室と前記ダイヤフラム寄りの副液室とに仕切る隔壁と、
前記隔壁内に設けられ前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有する液体封入式マウントであって、
前記隔壁は、
前記軸線方向において前記蓋部と対向するとともに、前記主液室に面し、かつ前記オリフィス通路を画成する部分の少なくとも一部に、前記弾性部材の材料よりも軟らかい弾性材料からなる変形可能部を有し、
前記蓋部と前記変形可能部とは接続部材によって接続されることを特徴とする液体封入式マウント。
【請求項4】
蓋部、及び当該蓋部から突出する筒状の周壁部を有する筒状の弾性部材と、
前記弾性部材における前記周壁部を閉塞するダイヤフラムと、
前記弾性部材と前記ダイヤフラムによって画成され、非圧縮性の液体が内部に封入される液室と、
前記周壁部の軸線方向に沿って前記液室を前記蓋部寄りの主液室と前記ダイヤフラム寄りの副液室とに仕切る隔壁と、
前記隔壁に設けられ前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有する液体封入式マウントであって、
前記隔壁は、
前記軸線方向において前記蓋部と対向するとともに、前記軸線方向に沿って前記主液室と前記副液室とを連通させる連通孔を有し、
前記連通孔には、前記軸線方向に沿って延び前記主液室と前記副液室とを連通する通路形成部材が挿入され、
前記通路形成部材は、当該通路形成部材の前記軸線方向における前記弾性部材寄りの端面が、前記隔壁における前記主液室に面する第1面から前記副液室に面する第2面までの範囲で移動可能であり、
前記蓋部と前記通路形成部材の前記端面とは接続部材によって接続されることを特徴とする液体封入式マウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体封入式マウントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンの振動が車体へ伝達されるのを抑制するため、エンジンは、液体封入式マウントを介して車体に支持される。例えば、特許文献1に開示される液体封入式マウントは、円筒状の第1取付部材と、当該第1取付部材の一端内周に配置された円錐状の第2取付部材と、第1取付部材の一端内周面と第2取付部材の外周面との間を閉鎖するように第1取付部材及び第2取付部材と一体的に設けられた弾性部材と、を有する。また、液体封入式マウントは、第1取付部材の他端内周に封着されたダイヤフラムと、弾性部材とダイヤフラムとの間に配置される隔壁と、を有する。
【0003】
また、液体封入式マウントは、隔壁よりも弾性部材側に画成される主液室と、隔壁よりもダイヤフラム側に画成される副液室と、を有し、主液室及び副液室には液体が封入されている。さらに、液体封入式マウントは、隔壁内に設けられるオリフィス通路を有し、このオリフィス通路は、主液室と副液室とを連通する。
【0004】
このような液体封入式マウントでは、エンジン等の振動源からの振動が伝わると、弾性部材とダイヤフラムとが弾性変形して主液室及び副液室の容積が変化する。容積の変化に伴い、オリフィス通路を介して液体が主液室と副液室とを行き来する。この液体がオリフィス通路を移動することで液柱共振作用により振動を吸収し、減衰させることができる。
【0005】
液体封入式マウントには、予め設定された狙いの振動周波数域があり、その振動周波数域において効果的に減衰特性を発揮する。しかし、例えば、自動車の加減速時など、主液室及び副液室の容積が変化すると狙いの振動周波数域とのずれが生じ、狙いの振動周波数域に対して減衰特性を発揮できなくなる。そこで、例えば特許文献1に記載の液体封入式マウントは、オリフィス径又はオリフィス長さを変化させることで振動周波数域を可変とし、狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の液体封入式マウントにおいては、オリフィス径又はオリフィス長さを可変とするために、隔壁は4つのプレートを必要とするとともに、プレートを回転させるためのモータを必要としており、構造が複雑化するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、構造を簡略化して狙いの振動周波数域に対して減衰特性を発揮できる液体封入式マウントの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する液体封入式マウントは、蓋部、及び当該蓋部から突出する筒状の周壁部を有する筒状の弾性部材と、前記弾性部材における前記周壁部を閉塞するダイヤフラムと、前記弾性部材と前記ダイヤフラムによって画成され、非圧縮性の液体が内部に封入される液室と、前記周壁部の軸線方向に沿って前記液室を前記蓋部寄りの主液室と前記ダイヤフラム寄りの副液室とに仕切る隔壁と、前記隔壁内に設けられ前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有する液体封入式マウントであって、前記隔壁は、前記軸線方向において前記蓋部と対向するとともに、前記軸線方向において前記副液室寄りの第1隔壁形成部材と、前記軸線方向において前記主液室寄りの第2隔壁形成部材と、を前記軸線方向に組み付けて構成され、前記第1隔壁形成部材は、第1通路形成部を備え、前記第2隔壁形成部材は、第2通路形成部を備え、前記オリフィス通路は、前記第1通路形成部と前記第2通路形成部によって前記軸線方向両側から挟まれた空間によって画成され、前記第2通路形成部の少なくとも一部は、前記第1通路形成部に対して前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記蓋部と前記第2通路形成部とは接続部材によって接続される。
【0010】
これによれば、振動以外の原因により弾性部材が変形して、主液室及び副液室の容積が変化した場合、弾性部材の変形に追従して、接続部材を介して第2通路形成部の少なくとも一部が第1通路形成部に対して移動し、オリフィス通路のオリフィス径が変化する。このため、振動以外の原因に伴う主液室及び副液室の容積変化が生じても、主液室及び副液室の容積変化に伴う振動周波数域の変化を、オリフィス径の変化に伴う振動周波数域の変化によって相殺し、液体封入式マウントに予め設定された狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。その結果、弾性部材に接続部材を介して第2通路形成部を接続するだけの簡略化した構成によって狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。
【0011】
上記液体封入式マウントにおいて、前記第2通路形成部の全体は、前記第1通路形成部に対して前記軸線方向に沿って移動可能であるとよい。
これによれば、例えば、第2通路形成部の一部を第1通路形成部に対して移動させる場合と比べると、オリフィス径の変化量を大きくできる。
【0012】
上記課題を解決する液体封入式マウントは、蓋部、及び当該蓋部から突出する筒状の周壁部を有する筒状の弾性部材と、前記弾性部材における前記周壁部を閉塞するダイヤフラムと、前記弾性部材と前記ダイヤフラムによって画成され、非圧縮性の液体が内部に封入される液室と、前記周壁部の軸線方向に沿って前記液室を前記蓋部寄りの主液室と前記ダイヤフラム寄りの副液室とに仕切る隔壁と、前記隔壁内に設けられ前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有する液体封入式マウントであって、前記隔壁は、前記軸線方向において前記蓋部と対向するとともに、前記主液室に面し、かつ前記オリフィス通路を画成する部分の少なくとも一部に、前記弾性部材の材料よりも軟らかい弾性材料からなる変形可能部を有し、前記蓋部と前記変形可能部とは接続部材によって接続される。
【0013】
これによれば、振動以外の原因により弾性部材が変形して、主液室及び副液室の容積が変化した場合、弾性部材の変形に追従して、接続部材を介して変形可能部が変形し、オリフィス通路のオリフィス径が変化する。このため、振動以外の原因に伴う主液室及び副液室の容積変化が生じても、主液室及び副液室の容積変化に伴う振動周波数の変化を、オリフィス径の変化に伴う振動周波数の変化によって相殺し、液体封入式マウントに予め設定された狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。したがって、隔壁の一部に変形可能部を設けるだけの簡略化した構成によって狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。
【0014】
上記課題を解決する液体封入式マウントは、蓋部、及び当該蓋部から突出する筒状の周壁部を有する筒状の弾性部材と、前記弾性部材における前記周壁部を閉塞するダイヤフラムと、前記弾性部材と前記ダイヤフラムによって画成され、非圧縮性の液体が内部に封入される液室と、前記周壁部の軸線方向に沿って前記液室を前記蓋部寄りの主液室と前記ダイヤフラム寄りの副液室とに仕切る隔壁と、前記隔壁に設けられ前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有する液体封入式マウントであって、前記隔壁は、前記軸線方向において前記蓋部と対向するとともに、前記軸線方向に沿って前記主液室と前記副液室とを連通させる連通孔を有し、前記連通孔には、前記軸線方向に沿って延び前記主液室と前記副液室とを連通する通路形成部材が挿入され、前記通路形成部材は、当該通路形成部材の前記軸線方向における前記弾性部材寄りの端面が、前記隔壁における前記主液室に面する第1面から前記副液室に面する第2面までの範囲で移動可能であり、前記蓋部と前記通路形成部材の前記端面とは接続部材によって接続される。
【0015】
これによれば、振動以外の原因により弾性部材が変形して、主液室及び副液室の容積が変化した場合、弾性部材の変形に追従して、接続部材を介して通路形成部材が連通孔内で移動し、オリフィス通路のオリフィス長さが変化する。このため、振動以外の原因に伴う主液室及び副液室の容積変化が生じても、主液室及び副液室の容積変化に伴う振動周波数の変化を、オリフィス長さの変化に伴う振動周波数の変化によって相殺し、液体封入式マウントに予め設定された狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。その結果、弾性部材に接続部材を介して通路形成部材を接続するだけの簡略化した構成によって狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、構造を簡略化して狙いの振動周波数域に対して減衰特性を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態におけるエンジンマウントを説明するための断面図。
【
図2】
図1のエンジンマウントの一部分を示す2-2線断面図。
【
図3】エンジンマウントの一部分を示す分解斜視図。
【
図4】エンジンマウントの一部分を示す斜視断面図。
【
図5】エンジンマウントの一部分を拡大して示す断面図。
【
図6】エンジンマウントの一部分を拡大して示す断面図。
【
図7】エンジンマウントの一部分を拡大して示す断面図。
【
図8】エンジンマウントの一部分を拡大して示す断面図。
【
図9】第2の実施形態におけるエンジンマウントを説明するための断面図。
【
図10】エンジンマウントの一部分を拡大して示す断面図。
【
図11】エンジンマウントの一部分を拡大して示す断面図。
【
図12】別の実施形態におけるエンジンマウントを説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、液体封入式マウントをエンジンマウントに具体化した第1の実施形態を
図1~
図8にしたがって説明する。
【0019】
図1に示すように、液体封入式マウントとしてのエンジンマウント10は、弾性体からなる円筒状の弾性部材11と、弾性部材11とともに液室13を形成する円板状のダイヤフラム12と、液室13を主液室14と副液室15に区画する円盤状の隔壁20と、を有する。また、エンジンマウント10は、隔壁20と弾性部材11とを接続する接続部材40を有する。なお、以下の説明において、弾性部材11の中心軸線の延びる方向をエンジンマウント10の軸線方向Yとする。
【0020】
エンジンマウント10は、円筒状の筐体1に収容されている。
筐体1は、軸線方向Yの第1端部1aにおいて開口するとともに、軸線方向Yの第2端部1bにおいても開口する円筒状である。筐体1は、軸線方向Yの第1端部1a寄りを構成する円筒状の第1部材2と、軸線方向Yの第2端部1b寄りを構成する円筒状の第2部材3とを一体化して構成されている。第1部材2は、円筒状の本体部2aを有するとともに、本体部2aの軸線方向の第1端を部分的に閉じる環状の閉塞部2bとを有する。第1部材2の本体部2aの軸線方向における第2端に、第2部材3の軸線方向の第1端が嵌入され、第1部材2と第2部材3とが一体化されている。筐体1の第1端部1aは、第1部材2の軸線方向の第1端によって構成され、筐体1の第2端部1bは、第2部材3の軸線方向の第2端によって構成されている。
【0021】
エンジンマウント10について説明する。エンジンマウント10の外郭は、上記の弾性部材11と、ダイヤフラム12と、から構成されている。弾性部材11は、円板状の蓋部11aと、蓋部11aの周縁からダイヤフラム12に向けて突出する円筒状の周壁部11bと、を有する。弾性部材11は、蓋部11aと周壁部11bとで囲まれる内部空間を形成する。
【0022】
蓋部11aには、エンジンマウント10を図示しないエンジンに取り付けるための取付部材16が一体化されている。取付部材16は、金属製である。取付部材16は、軸線方向Yに沿ってダイヤフラム12に向かうに従い縮径する円錐に近い形状である。取付部材16は、軸線方向Yに延びる雌ネジ17を備える。雌ネジ17には、エンジンから延びるボルトが螺合される。
【0023】
弾性部材11の蓋部11a及び周壁部11bは、保持部材18によって外周側から保持されている。保持部材18は円筒状である。
ダイヤフラム12の周縁部は、弾性部材11における周壁部11bの内周面に固定されている。ダイヤフラム12は、弾性部材11における周壁部11bを閉塞する。そして、液室13は、弾性部材11の内部空間をダイヤフラム12によって閉じることで画成されている。
【0024】
図2、
図5又は
図6に示すように、液室13は、隔壁20により、軸線方向Yにおける弾性部材11の蓋部11a寄りの主液室14と、ダイヤフラム12寄りの副液室15と、に仕切られている。液室13における主液室14及び副液室15の内部には、非圧縮性の液体が封入されている。また、主液室14及び副液室15は、弾性部材11及びダイヤフラム12の弾性変形に伴い容積が変化する。主液室14と副液室15とは、隔壁20内に設けられたオリフィス通路30によって連通されている。
【0025】
図2又は
図4に示すように、オリフィス通路30は、隔壁20の外周縁に沿って設けられる。オリフィス通路30は、隔壁20を構成する第1隔壁形成部材21が備える第1通路形成部26及び第2隔壁形成部材22が備える第2通路形成部27により軸線方向Y両側から挟まれた空間によって画成されている。
【0026】
図3、
図7又は
図8に示すように、隔壁20は、軸線方向Yにおける副液室15寄りの第1隔壁形成部材21と、第1隔壁形成部材21よりも軸線方向Yにおける主液室14寄りの第2隔壁形成部材22とを有する。つまり、隔壁20は、軸線方向Yにおいて副液室15寄りの第1隔壁形成部材21と、軸線方向Yにおいて主液室14寄りの第2隔壁形成部材22を軸線方向Yに組み付けて構成されている。第1隔壁形成部材21は、円盤状の第1底壁21aを有する。なお、以下の説明において、第1底壁21aの直径が延びる方向を隔壁20の径方向Xと記載する。
【0027】
第1隔壁形成部材21は、第1底壁21aから軸線方向Yに沿って第2隔壁形成部材22に向けて突出する第1周壁21bを有する。また、第1隔壁形成部材21は、第1底壁21aから軸線方向Yに沿って第2隔壁形成部材22に向けて突出するとともに第1周壁21bよりも径方向Xの内側に位置する第2周壁21cを有する。第1周壁21bの内周面211bと、第2周壁21cの外周面210cとは径方向Xに離間している。第1隔壁形成部材21は、第1底壁21aの内面211aと、第1周壁21bの内周面211bと、第2周壁21cの外周面210cと、から画成される第1通路空間S1を有する。そして、第1底壁21aと、第1周壁21bと、第2周壁21cと、から第1通路形成部26が構成されている。
【0028】
図3、
図4又は
図5に示すように、第1隔壁形成部材21は、第1周壁21bの内周面211bと第2周壁21cの外周面210cに架け渡された第1仕切板21eを有する。第1仕切板21eは、第1底壁21aの内面211aから突出している。第1仕切板21eは、第1通路空間S1を第1隔壁形成部材21の周方向に分断する。第1隔壁形成部材21は、第1仕切板21eの近傍に副連通路32を有する。副連通路32は、第1底壁21aを板厚方向に貫通する。
【0029】
図3、
図7又は
図8に示すように、第1隔壁形成部材21は、第2周壁21cよりも径方向Xの内側に円柱状の突出体21dを有する。突出体21dの周面210dは、径方向Xに沿って第2周壁21cの内周面211cから離間している。
【0030】
第2隔壁形成部材22は、環状の第2底壁22aと、第2底壁22aの外周縁から軸線方向Yに沿って第1隔壁形成部材21に向けて突出する第3周壁22bと、第2底壁22aの内周縁から軸線方向Yに沿って第1隔壁形成部材21に向けて突出するとともに第3周壁22bよりも径方向Xの内側に位置する第4周壁22cと、を有する。第3周壁22bの内周面221bと、第4周壁22cの外周面220cとは径方向Xに離間している。なお、径方向Xに沿った、第3周壁22bの内周面221bと第4周壁22cの外周面220cとの距離は、径方向Xに沿った、第1周壁21bの外周面210bと第2周壁21cの内周面211cとの距離より若干大きい。
【0031】
第2隔壁形成部材22は、第2底壁22aの内面221aと、第3周壁22bの内周面221bと、第4周壁22cの外周面220cと、から画成される第2通路空間S2を有する。そして、第2底壁22aと、第3周壁22bと、第4周壁22cと、から第2通路形成部27が構成されている。したがって、本実施形態では、第2隔壁形成部材22そのものが第2通路形成部27を構成している。
【0032】
第2隔壁形成部材22は、第2底壁22aから軸線方向Yに沿って主液室14に向けて突出する開口形成部23を有する。
図5又は
図6に示すように、開口形成部23は、第2底壁22aから主液室14に向けて突出する一対の突出壁23aを有する。一対の突出壁23aは、第2底壁22aの周方向に離間している。開口形成部23は、一対の突出壁23aの第2底壁22aからの突出端を繋ぐ天板23bと、一対の突出壁23a同士を、第2底壁22aの周方向に繋ぐ接続壁23cと、を有する。接続壁23cは、第3周壁22bと軸線方向Yに連続している。このため、接続壁23cの外周面は、第3周壁22bの外周面と面一である。
【0033】
開口形成部23は、一対の突出壁23aと、天板23bと、接続壁23cとから構成され、開口形成部23の内側には、主連通路31が画成されている。主連通路31は、第2通路空間S2に連通する。開口形成部23は主連通路31によって第2隔壁形成部材22の外部に開口する。
【0034】
第2隔壁形成部材22は、第2底壁22aの内面221aにおいて、軸線方向Yに沿って一方の突出壁23aの反対側から突出する第2仕切板22eを有する。
図7又は
図8に示すように、隔壁20は、第1隔壁形成部材21と第2隔壁形成部材22とが一体に組み付けられて構成されている。隔壁20において、第1周壁21bよりも径方向Xの外側に第3周壁22bが位置し、第2周壁21cよりも径方向Xの内側に第4周壁22cが位置している。隔壁20において、第1周壁21bの外周面210bと、第3周壁22bの内周面221bと、が接している。
【0035】
隔壁20において、第2周壁21cの内周面211cと、第4周壁22cの外周面220cと、が接している。さらに、第1隔壁形成部材21において、突出体21dの周面210dと、第4周壁22cの内周面221cと、が接している。
【0036】
隔壁20において、第1仕切板21eにおける主連通路31寄りの面210eと、第2仕切板22eの周方向Zにおける副連通路32寄りの面231eと、は接している。
隔壁20において、第1底壁21aと、第1周壁21bと、第2周壁21cと、第1仕切板21eと、第2底壁22aと、第3周壁22bと、第4周壁22cと、第2仕切板22eと、によって画成される空間によってオリフィス通路30が形成されている。オリフィス通路30は主連通路31を含み、主連通路31はオリフィス通路30に連通している。
【0037】
また、隔壁20において、第2隔壁形成部材22は、第1隔壁形成部材21に対して軸線方向Yへ移動可能に組み付けられている。
ここで、オリフィス通路30において、第1底壁21aの内面211aと第2底壁22aの内面221aとの距離をオリフィス径Kと定義する。第1隔壁形成部材21に対して第2隔壁形成部材22が軸線方向Yへ移動することにより、オリフィス径Kが変位する。
【0038】
第1隔壁形成部材21の第1周壁21b及び第2周壁21cに、第2隔壁形成部材22の第2底壁22aの内面221aが接触した位置では、オリフィス径Kが最小となる。オリフィス径Kが最小の状態では、オリフィス通路30は、第1隔壁形成部材21に画成される第1通路空間S1のみで構成される。
【0039】
そして、第1隔壁形成部材21の第1周壁21b及び第2周壁21cに、第2隔壁形成部材22の第2底壁22aの内面221aが接触した位置から、第2隔壁形成部材22が軸線方向Yに沿って第1隔壁形成部材21から離間する方向へ移動することにより、オリフィス径Kが大きくなる。オリフィス径Kが最小より大きくなった状態では、オリフィス通路30は、第1隔壁形成部材21に画成される第1通路空間S1と、第2隔壁形成部材22の第2通路空間S2とから構成される。隔壁20において、第1隔壁形成部材21に対し第2隔壁形成部材22が離間することにより、オリフィス径Kが大きくなると、オリフィス通路30の容積も大きくなる。
【0040】
上記構成の隔壁20において、第3周壁22bの外周面220bと、弾性部材11の径方向Xにおける内周面110と、が接している。
図1に示すように、上記主液室14は、弾性部材11の内部空間を、第1隔壁形成部材21の突出体21d及び第2隔壁形成部材22の第2底壁22aによって構成される第1閉塞面24によって閉塞することで液室13内に画成されている。また、副液室15は、弾性部材11の内部空間を、第1隔壁形成部材21の第1底壁21aによって構成される第2閉塞面25によって閉塞することで液室13内に画成されている。
【0041】
図1又は
図3に示すように、接続部材40は、第2隔壁形成部材22における第2底壁22aの外面220aと弾性部材11とを接続している。接続部材40は金属棒状である。接続部材40は、第2隔壁形成部材22の第2底壁22aから弾性部材11に向けて軸線方向Yに沿って突出する第1部位40aと、第1部位40aから径方向Xに沿って隔壁20の中心に向けて延びる第2部位40bと、第2部位40bから弾性部材11に向けて軸線方向Yに沿って突出し、弾性部材11に接続された第3部位40cと、を有する。接続部材40の第3部位40cは、弾性部材11の内面のうち、蓋部11aにおける径方向Xの中心に接続されている。なお、第2隔壁形成部材22と弾性部材11とを接続していれば、接続部材40の形状は適宜変更してもよいし、第3部位40cの弾性部材11に対する接続位置、及び第1部位40aの第2底壁22aに対する接続位置も適宜変更してもよい。
【0042】
主液室14内と副液室15内には非圧縮性の液体が封入されている。主液室14内の液体と副液室15内の液体は、オリフィス通路30を通じて主液室14と副液室15とを行き来する。
【0043】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
自動車の加減速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が変形し、主液室14及び副液室15の容積が変化することがある。主液室14及び副液室15の容積が変化すると、エンジンマウント10によって減衰可能な振動周波数域がずれる。主液室14及び副液室15の容積が増大すると、減衰可能な振動周波数域は低周波数側にずれ、主液室14及び副液室15の容積が減少すると、減衰可能な振動周波数域は高周波数側にずれる。一方、エンジンマウント10によって減衰可能な振動周波数域は、オリフィス径Kが大きくなると高周波数側にずれ、オリフィス径Kが小さくなると低周波数側がずれる。
【0044】
第1の実施形態において、自動車の加速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が主液室14及び副液室15の容積を増大させる方向へ変形すると、弾性部材11の変形に伴い接続部材40を介して第2隔壁形成部材22が軸線方向Yに沿って弾性部材11側へ引っ張られ、オリフィス通路30のオリフィス径Kが大きくなる。その結果、主液室14及び副液室15の容積増大に伴って、エンジンマウント10に設定された狙いの振動周波数域が低周波数側に変位することが、オリフィス径Kが大きくなることに伴う高周波数側への変位によって相殺され、狙いの振動周波数域が維持される。
【0045】
第1の実施形態において、自動車の減速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が主液室14及び副液室15の容積を縮小させる方向へ変形すると、弾性部材11の変形に伴い接続部材40を介して第2隔壁形成部材22が軸線方向Yに沿ってダイヤフラム12側へ移動し、オリフィス通路30のオリフィス径Kが小さくなる。その結果、主液室14及び副液室15の容積減少に伴って、エンジンマウント10に設定された狙いの振動周波数域が高周波数側に変位することが、オリフィス径Kが小さくなることに伴う低周波数側への変位によって相殺され、狙いの振動周波数域が維持される。
【0046】
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1-1)振動以外の原因により弾性部材11が変形して、主液室14及び副液室15の容積が変化した場合、弾性部材11の動きに追従して、接続部材40を介して第2隔壁形成部材22が移動し、オリフィス通路30のオリフィス径Kが変化する。このため、振動以外の原因に伴う主液室14及び副液室15の容積変化が生じても、主液室14及び副液室15の容積変化に伴う振動周波数域の変化を、オリフィス径Kの変化に伴う振動周波数域の変化によって相殺し、エンジンマウント10に予め設定された振動周波数域において減衰特性を発揮できる。その結果、弾性部材11に接続部材40を介して第2隔壁形成部材22を接続するだけの簡略化した構成によって狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。
【0047】
(1-2)第2隔壁形成部材22の全体が弾性部材11の変形に追従して移動する。例えば、第2隔壁形成部材22の一部、すなわち第2通路形成部27の一部分だけを弾性部材11の変形に追従して移動させる場合と比べると、オリフィス径Kの変化量を大きくできる。このため、振動周波数域の可変量も大きくでき、主液室14及び副液室15の容積変化に伴う振動周波数の変化に追従しやすい。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、液体封入式マウントをエンジンマウントに具体化した第2の実施形態を
図9~
図11にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態地と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0049】
図9に示すように、隔壁20は、円筒状である。隔壁20の径方向Xにおける中心部分に連通孔33が設けられている。連通孔33は、主液室14と副液室15とを軸線方向Yに沿って連通している。また、連通孔33内には、軸線方向Yに沿って延び主液室14と副液室15とを連通する円筒状の通路形成部材50が挿入されている。
【0050】
図10又は
図11に示すように、通路形成部材50の外周面500は、隔壁20の内周面200と接している。隔壁20の軸線方向Yにおける寸法である板厚は、通路形成部材50の軸線方向Yにおける寸法に等しい。通路形成部材50は、隔壁20に対して軸線方向Yへ移動可能に連通孔33内に挿入されている。通路形成部材50において、軸線方向Yにおける弾性部材11寄りの端面を第1端面501とし、軸線方向Yにおけるダイヤフラム12寄りの端面を第2端面502とする。通路形成部材50は、第1端面501が隔壁20における主液室14に面する第1面としての第1閉塞面24から、副液室15に面する第2面としての第2閉塞面25までの範囲で移動可能である。
【0051】
第2の実施形態において、通路形成部材50の第1端面501が第1閉塞面24と面一になる状態では、主液室14と副液室15を連通するオリフィス通路30は、通路形成部材50の内側に形成される。ここで、オリフィス通路30のオリフィス長さLを、軸線方向Yに沿ったオリフィス通路30の長さと定義すると、通路形成部材50の第1端面501が第1閉塞面24と面一になる状態では、オリフィス通路30のオリフィス長さLは最短となる。
【0052】
一方、通路形成部材50の第1端面501が第2閉塞面25と面一になる状態では、オリフィス通路30は、連通孔33の内側と通路形成部材50の内側とによって形成される。このため、オリフィス通路30のオリフィス長さLは、連通孔33の長さに加え、通路形成部材50の長さが加わり、最長となる。
【0053】
通路形成部材50の第1端面501が第1閉塞面24と第2閉塞面25との間に位置する状態では、通路形成部材50の一部が第2閉塞面25から突出した状態となり、オリフィス通路30のオリフィス長さLは最短と最長の間にある。したがって、通路形成部材50が軸線方向Yに変位することで、オリフィス通路30のオリフィス長さLは変位する。
【0054】
弾性部材11が変形していない状態では、通路形成部材50は、第1端面501が第1閉塞面24と第2閉塞面25との間に位置し、通路形成部材50の一部が第2閉塞面25から突出した状態にある。
【0055】
また、通路形成部材50の第1端面501には、弾性部材11と接続する接続部材40が設けられている。したがって、弾性部材11と通路形成部材50の第1端面501とは接続部材40によって接続されている。なお、第2の実施形態の接続部材40は金属製の線材によって形成されている。
【0056】
次に第2の実施形態の作用について説明する。
自動車の加減速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が変形し、主液室14及び副液室15の容積が変形することがある。主液室14及び副液室15の容積が変化すると、エンジンマウント10によって減衰可能な振動周波数域がずれる。主液室14及び副液室15の容積が増大すると減衰可能な振動周波数域は低周波数側にずれ、主液室14及び副液室15の容積が減少すると、減衰可能な振動周波数域は高周波数側にずれる。一方、エンジンマウント10によって減衰可能な振動周波数域は、オリフィス長さLが長くなると低周波数側にずれ、オリフィス長さLが短くなると高周波数側にずれる。
【0057】
第2の実施形態において、自動車の加速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が主液室14及び副液室15の容積を増大させる方向へ変形すると、弾性部材11の変形に伴い接続部材40を介して通路形成部材50が軸線方向Yに沿って弾性部材11側へ引っ張られ、オリフィス通路30のオリフィス長さLが短くなる。その結果、主液室14及び副液室15の容積増大に伴って、エンジンマウント10に設定された狙いの振動周波数域が低周波数側に変位することが、オリフィス長さLが短くなることに伴う高周波数側への変位によって相殺され、狙いの振動周波数域が維持される。
【0058】
第2の実施形態において、自動車の減速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が主液室14及び副液室15の容積を縮小させる方向へ変形すると、弾性部材11の変形に伴い接続部材40を介して通路形成部材50が軸線方向Yに沿ってダイヤフラム12側へ移動し、オリフィス通路30のオリフィス長さLが長くなる。その結果、主液室14及び副液室15の容積縮小に伴って、エンジンマウント10に設定された狙いの振動周波数域が高周波数側に変位することが、オリフィス長さLが長くなることに伴う低周波数側への変位によって相殺され、狙いの振動周波数域が維持される。
【0059】
第2の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(2-1)弾性部材11の動きに追従して、接続部材40を介して通路形成部材50が移動し、オリフィス通路30のオリフィス長さLが変化する。このため、振動以外の原因に伴う主液室14及び副液室15の容積変化が生じても、主液室14及び副液室15の容積変化に伴う振動周波数域の変化を、オリフィス長さLの変化に伴う振動周波数域の変化によって相殺し、エンジンマウント10に予め設定された振動周波数域において減衰特性を発揮できる。その結果、弾性部材11に接続部材40を介して通路形成部材50を接続するだけの簡略化した構成によって狙いの振動周波数域において減衰特性を発揮できる。
【0060】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○
図12に示すように、第1の実施形態において、隔壁20における主液室14に面し、かつオリフィス通路30を画成する第2通路形成部27の一部に、弾性部材11の材料よりも軟らかい弾性材料からなる変形可能部60を設けてもよい。そして、変形可能部60と弾性部材11とを接続部材40で接続する。この場合において、自動車の加速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が主液室14及び副液室15の容積を増大させる方向へ変形すると、弾性部材11の変形に伴い接続部材40を介して変形可能部60が軸線方向Yに沿って弾性部材11側へ引っ張られ、オリフィス通路30のオリフィス径Kが大きくなる。その結果、主液室14の容積増大に伴って、エンジンマウント10に設定された狙いの振動周波数域が低周波数側に変位することが、オリフィス径Kが大きくなることに伴う高周波数側への変位によって相殺され、狙いの振動周波数域が維持される。
【0061】
また、自動車の減速に伴い、エンジンマウント10の弾性部材11が主液室14及び副液室15の容積を縮小させる方向へ変形すると、弾性部材11の変形に伴い接続部材40を介して変形可能部60が軸線方向Yに沿ってダイヤフラム12側へ引っ張られ、オリフィス通路30のオリフィス径Kが小さくなる。その結果、主液室14及び副液室15の容積減少に伴って、エンジンマウント10に設定された狙いの振動周波数域が高周波数側に変位することが、オリフィス径Kが小さくなることに伴う低周波数側への変位によって相殺され、狙いの振動周波数域が維持される。
【0062】
なお、変形可能部60は、第2隔壁形成部材22の全体であってもよい。
○第1の実施形態において、第1隔壁形成部材21を環状の第1底壁21aと、第1底壁21aの外周縁に設けられた第1周壁21bと、第1底壁21aの内周縁に設けられた第2周壁21cとから構成し、第1隔壁形成部材21を第1通路形成部26そのもので構成してもよい。この場合、第2隔壁形成部材22の第2底壁22aを円盤状に形成し、液室13を主液室14と副液室15に仕切る。また、第2隔壁形成部材22は第2通路形成部27そのものであるが、別の部材を含んでもよい。
【0063】
○第1の実施形態において、第2隔壁形成部材22における第2通路形成部27の周方向の一部のみを弾性部材11と接続部材40によって接続し、軸線方向Yへ移動可能に構成してもよい。
【0064】
○第1の実施形態において、オリフィス通路30は、隔壁20の外周縁に沿って延びる形状でなくてもよく、例えば、径方向Xに沿って隔壁20を直線状に横断する形状でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…筐体、10…液体封入式マウントとしてのエンジンマウント、11…弾性部材、11a…蓋部、11b…周壁部、12…ダイヤフラム、13…液室、14…主液室、15…副液室、20…隔壁、21…第1隔壁形成部材、22…第2隔壁形成部材、24…第1面としての第1閉塞面、25…第2面としての第2閉塞面、26…第1通路形成部、27…第2通路形成部、30…オリフィス通路、33…連通孔、40…接続部材、50…通路形成部材、60…変形可能部、501…第1端面、X…径方向、Y…軸線方向。