(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20230704BHJP
F24F 13/24 20060101ALN20230704BHJP
F24F 110/40 20180101ALN20230704BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F13/24
F24F110:40
(21)【出願番号】P 2020022063
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】島村 豊
(72)【発明者】
【氏名】松崎 貴
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊彦
【審査官】大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-173996(JP,A)
【文献】特開2011-202902(JP,A)
【文献】特開平05-180495(JP,A)
【文献】特開2007-113866(JP,A)
【文献】特開2016-166698(JP,A)
【文献】特開2004-048981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 13/09-13/32
F04D 27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器と、ファンモータを備えた室内機ファンと、同室内機ファンから吹き出される空気の静圧を検出する静圧センサとを有する室内機と、
前記ファンモータを制御する制御手段と、
を有する空気調和装置であって、
前記制御手段は、
使用者から風量の変更指示があったとき、変更指示前の風量と変更指示後の風量との差である風量差を所定のステップ数で割った風量である単位変化量を算出し、
前記単位変化量で風量を変化させるとき、前記静圧センサで検出した静圧値に基づいて、各ステップにおける当該単位変化量を実現するための前記室内機ファンの回転数の変化分を決定し、
決定した前記室内機ファンの回転数の変化分が第1所定値より大きいか否かを判定し、前記室内機ファンの回転数の変化分が前記第1所定値より大きい場合は、前記室内機ファンの回転数の変化分を前記第1所定値とする、
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記室内機ファンの回転数の変化分が前記第1所定値より大きい場合は、前記室内機ファンの回転数の変化分と前記第1所定値との差分を算出し、前記室内機ファンの回転数を当該差分に対応する回転数分変化させるために前記所定のステップ数に新たなステップ数を追加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記風量差を第2所定値で割ってステップ数を決定し、
前記第2所定値は、前記静圧が最大値の場合に、前記単位変化量で風量を変化させるのに必要となる前記室内機ファンの回転数の変化分が前記第1所定値を超えない値である
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和装置に関し、特に、室内に搬送される空調空気が流通するダクトに接続されるダクト型の室内機を有する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室内機として、送風ファンの風下側に熱交換器を配置するダクト型の室内機がある。ダクト型の室内機は、建屋の天井裏の空間に設置され、屋外に設置される室外機と冷媒配管で接続される。また、ダクト型の室内機の吸込口と部屋の天井面に設けられた吸込口とが吸込ダクトで接続されるとともに、ダクト型の室内機の吹出口と部屋の天井面に設けられた吹出口とが吹出ダクトで接続される。このような、ダクト型の室内機を有する空気調和装置では、送風ファンを駆動することで吸込口を介してダクト型の室内機の筐体内部に室内空気を取り込み、取り込んだ室内空気と、室外機とダクト型の室内機の間で循環させる冷媒とを室内機の熱交換器で熱交換させて加熱もしくは冷却し、送風ファンの駆動により吹出口を介して室内に吹き出すことで、室内の冷房もしくは暖房を行う。
【0003】
上記のようなダクト型の室内機を有する空気調和装置では、ダクト型の室内機が設置される環境、より具体的には、ダクト型の室内機の吹出口に接続される吹出ダクトの長さや外径寸法の違いに応じて静圧値が異なり、静圧値が異なれば送風ファンのモータ(以降、ファンモータと記載する)が同じ回転数で駆動していても室内に吹き出される風量が異なる。そこで、室内に吹き出される風量を使用者が要求する風量、例えば、風量を弱風、あるいは、中風、あるいは、強風とするために、静圧値と風量とファンモータの回転数(以降、ファン回転数と記載する)との関係を示す関係情報を予め求めて記憶しておき、この関係情報を用いてファン回転数を決定する時点の静圧値で使用者が要求する風量を実現するファンモータの回転数を求めて、求めたファン回転数で送風ファンを駆動する空気調和装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用者の要求する風量を実現する場合に、風量を一気に変化させるのではなく段階的に、かつ、1ステップ当たりの風量変化を同じ量として風量を変化させることが考えられる。この場合、各ステップでの静圧値の大きさが異なることがあり、各ステップでの静圧値の大きさが異なれば各ステップで同じ風量を増減させる場合であってもファン回転数の変化分は異なる。例えば、静圧値が25Paの時と比べて、静圧値が大きい場合(例えば、50Pa)には、同じ風量の増減値を実現するための1ステップ当たりのファン回転数の変化分が大きくなる。送風ファンが駆動するとファン回転数に応じた振動数の駆動音が発生するが、各ステップでファン回転数が大きく異なれば、ファンから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなって使用者が耳障りに感じる場合があった。
【0006】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、使用者が要求する風量を実現しつつ、ファン回転数の変化に伴ってファンから発生する駆動音の変化を緩やかにすることにより使用者の不快感を低減できる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、室内熱交換器と、ファンモータを備えた室内機ファンと、同室内機ファンから吹き出される空気の静圧を検出する静圧センサとを有する室内機と、ファンモータを制御する制御手段と、を有する空気調和装置であって、制御手段は、使用者から風量の変更指示があったとき、変更指示前の風量と変更指示後の風量との差である風量差を所定のステップ数で割った風量である単位変化量を算出し、単位変化量で風量を変化させるとき、静圧センサで検出した静圧値に基づいて、各ステップにおける当該単位変化量を実現するための室内機ファンの回転数の変化分を決定する。そして、制御手段は、決定した室内機ファンの回転数の変化分が第1所定値より大きいか否かを判定し、室内機ファンの回転数の変化分が第1所定値より大きい場合は、室内機ファンの回転数の変化分を第1所定値とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のような本発明の空気調和装置では、使用者が要求する風量を実現しつつ、ファン回転数の変化に伴ってファンから発生する駆動音の変化を緩やかにすることにより使用者の不快感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態における空気調和装置の説明図であり、(A)は冷媒回路図、(B)は室内機制御手段およびモータ制御手段の各ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における、室内機の説明図である。
【
図3】本発明の実施形態における、風量とファンのモータ回転数との関係を表す図面である。
【
図4】本発明の実施形態における、静圧とファンモータの電流との関係を表す図面である。
【
図5】静圧を考慮したファン回転数変化分に対応するステップ数を説明する図面であり、(A)は風量変化を所定のステップ数で分割した図面、(B)は各ステップにおける静圧を考慮したファンモータの回転数変化を示す図面である。
【
図6】ファン回転数変化分のステップ数制御に関わる各制御手段で行う処理の説明の図面であり、(A)は室内機制御手段が実行する処理のメインルーチンに関わるフローチャート、(B)は室内機制御手段が実行する処理のサブルーチンに関わるフローチャート、(C)はモータ制御部が実行する処理に関わるフローチャートである。
【
図7】各静圧におけるファンモータの回転数の変化に伴ってファンから発生する駆動音の変化を考慮して決定した風量差に対応するステップ数を説明する図面である。
【
図8】風量差のステップ数制御に関わる各制御手段で行う処理の説明の図面であり、(A)は室内機制御手段が実行する処理に関わるフローチャート、(B)はモータ制御部が実行する処理に関わるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、10台のダクト型の室内機が室外機に並列に接続され、全てのダクト型の室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。また、以下の説明では、特に言及する必要がある場合を除き、ダクト型の室内機を単に「室内機」と記載する。
【実施例1】
【0011】
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、1台の室外機2と、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された10台のダクト型の室内機5(
図1(A)では、これらのうちの2台のみを描画している)とを備えている。より詳細には、室外機2の閉鎖弁25と各室内機5の液管接続部53とが液管8で接続されている。また、室外機2の閉鎖弁26と各室内機5のガス管接続部54とがガス管9で接続されている。このように、室外機2と10台の室内機5とが液管8およびガス管9で接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が形成されている。
【0012】
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外機膨張弁24と、液管8が接続された閉鎖弁25と、ガス管9が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、室外機ファン28とを備えている。そして、室外機ファン28を除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を形成している。
【0013】
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaと吐出管41で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、アキュムレータ27の冷媒流出側と吸入管42で接続されている。
【0014】
四方弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ27の冷媒流入側と冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
【0015】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外機ファン28の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口と閉鎖弁25が室外機液管44で接続されている。室外熱交換器23は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は凝縮器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は蒸発器として機能する。
【0016】
室外機膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外機膨張弁24は、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量が調整される。室外機膨張弁24の開度は、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、室外熱交換器の冷媒出口側における冷媒過熱度が後述する目標冷媒過熱度となるようにその開度が調整される。また、室外機膨張弁24の開度は、冷房運転を行っている場合は全開とされる。
【0017】
アキュムレータ27は、前述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcと冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出側が圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管42で接続されている。アキュムレータ27は、冷媒配管46からアキュムレータ28の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
【0018】
室外機ファン28は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外機ファン28は、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2の筐体に設けられた図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を、室外機2の筐体に設けられた図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
【0019】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。
図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸込温度センサ34とが設けられている。
【0020】
室外機液管44における室外熱交換器23と室外機膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が備えられている。
【0021】
また、室外機2には図示しない室外機制御手段が備えられている。室外機制御手段は、各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込む。また、室外機制御手段には、各室内機5から送信される運転情報を含む信号が入力される。室外機制御手段は、これら入手した各種情報に基づいて、室外機膨張弁24の開度調整、圧縮機21や室外機ファン28の駆動制御を行う。
【0022】
<室内機の構成>
次に、
図1および
図2を用いて、10台の室内機5について説明する。本実施形態の室内機5はダクト型の室内機である。10台の室内機5は全て同じ構成を有しており、後述する筐体50の内部に室内熱交換器51と、室内機膨張弁52と、液管接続部53と、ガス管接続部54と、室内機ファン55と、室内機制御手段500と、モータ制御手段600とを備えている。そして、室内機ファン55、室内機制御手段500、および、モータ制御手段600を除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50を構成している。
【0023】
図2に示すように、室内機5は、建屋天井面110と室内天井面140の間の空間に設置される。具体的には、一端が建屋天井面110に固定された吊下ボルト120の他端に室内機5の後述する天板11に取り付けた取付金具130を固定して吊り下げて設置される。
【0024】
室内機5は、各々が鋼板で形成された天板50a、底板50b、前面板50c、背面板50d、および、図示しない右側板と左側板とで横長の直方体状に形成された筐体50を有している。尚、以降の説明では、筐体50における前面板13が配置されている方向を前方、背面板14が配置されている方向を後方、天板11が配置されている方向を上方、底板12が配置されている方向を下方、右側板15が配置されている方向を右方、左側板16が配置されている方向を左方とし、室内機5を構成する各部品においても同様の方向で説明する。
【0025】
筐体50の背面板50dには、筐体50の内部に空気を取り込むための吸込口50d1が設けられている。筐体50の前面板50cには、筐体50の内部から空気を吹き出すための吹出口50c1が設けられている。吸込口50d1は吸込ダクト160を介して室内天井面140に設けられた吸込グリル170に接続される。また、吹出口50c1は吹出ダクト190を介して室内天井面140に設けられた吹出グリル200に接続される。
【0026】
室内熱交換器51は、冷媒と、後述する室内機ファン55の回転により図示しない吸込口から室内機5の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、
図2に示すように略くの字形状に形成されて室内機5の筐体50の内部における吹出口50c1の近傍に配置される。
図1(A)に示すように、室内熱交換器51の一方の冷媒出入口と液管接続部53とが室内機液管71で接続され、他方の冷媒出入口とガス管接続部54aとが室内機ガス管72で接続されている。室内熱交換器51は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53やガス管接続部54は、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0027】
室内機膨張弁52は、室内機液管71に設けられている。室内機膨張弁52は電子膨張弁であり、室内熱交換器51が蒸発器として機能する場合すなわち室内機5が冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(ガス管接続部54側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内機膨張弁52は、室内熱交換器51が凝縮器として機能する場合すなわち室内機5が暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(液管接続部53側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5の各々で十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。
【0028】
室内機ファン55はシロッコファンであり、樹脂材で渦巻状に形成されたケーシングの内部に多数の羽根を備えた筒状の図示しない羽根車を備え、羽根車の中心に連結されるモータシャフトに連結されるファンモータ55aを備える。
図2に示すように、室内機ファン55は、室内機5の筐体50の内部における室内熱交換器51と吸込口50d1の間に配置される。室内機ファン55は、ファンモータ55aによって羽根車が回転することで、吸込グリル170および吸込ダクト160を介して吸込口50d1から室内機5の筐体50の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51において冷媒と熱交換した室内空気を吹出口50c1から吹出ダクト190および吹出グリル200を介して室内へ放出する。
【0029】
以上説明した構成の他に、室内機5には各種のセンサが設けられている。
図1(A)に示すように、室内機液管71における室内熱交換器51と室内機膨張弁52との間には、室内熱交換器51に流入あるいは室内熱交換器51から流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ61が設けられている。室内機ガス管72には、室内熱交換器51から流出あるいは室内熱交換器51に流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62が設けられている。
【0030】
また、
図2に示すように、室内機5の筐体50の内部における吸込口50d1の付近には、室内機5の筐体50の内部に流入する室内空気の温度を検出する室内温度センサ63が備えられている。さらには、室内機5の筐体50の内部における吹出口50c1の付近には、吹出口50c1における静圧を検出する静圧センサ64が備えられている。
【0031】
室内機制御手段500は、室内機5に設けられる図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。
図1(B)に示すように、室内機制御手段500は、CPU510と、記憶部520と、通信部530と、センサ入力部540を備えている。
【0032】
記憶部520は、例えばフラッシュメモリで構成されており、室内機5の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン55の制御状態などを記憶している。通信部530は、室外機2や使用者が操作する図示しないリモコンとの通信を行うためのインターフェイスである。センサ入力部540は、室内機5の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU510に出力する。
【0033】
CPU510は、前述した室内機5の各センサでの検出結果を、センサ入力部540を介して取り込む。また、CPU510は、使用者が操作する図示しないリモコンから送信される、運転モード(冷房運転/除湿運転/再熱除湿運転/暖房運転)や風量等を含む運転情報信号を、通信部530を介して取り込む。CPU510は、取り込んだ検出結果や運転情報信号に基づいて、室内膨張弁53の開度調整などを行う。
【0034】
モータ制御手段600は、室内機ファン55のケーシングに取り付けられる制御基板に搭載されている。
図1(B)に示すように、モータ制御手段600は、CPU610と、記憶部620と、通信部630とを備えている。
【0035】
記憶部620は、例えばフラッシュメモリで構成されており、
図3を用いて後述する風量と室内機ファン55のファンモータの回転数とを関連付けたデータ、
図4を用いて後述する静圧と室内機ファン55のファンモータの電流値とを関連付けたデータ、静圧センサ64で検出し室内機制御手段500を介して取得した静圧値などを記憶している。通信部630は、室内機5との通信を行うためのインターフェイスである。
【0036】
CPU610は、前述した記憶部620に記憶されている各種データや静圧値に基づいて、室内機ファン55の駆動を制御する。また、CPU610は、室内機ファン55の回転数が、室内機制御手段500から受信した室内機ファン55のファンモータの回転数となるように、室内機ファン55の駆動を制御する。
なお、以上に説明した室内機制御手段500とモータ制御手段600とが、本発明の制御手段に相当する。また、この制御手段による室内機ファン55の駆動制御については、後に詳細に説明する。
【0037】
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、
図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明ではまず、空気調和装置1が暖房運転を行う場合について説明し、次に、空気調和装置1が冷房運転を行う場合について説明する。尚、
図1(A)における実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。また、
図1(A)における破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0038】
<暖房運転>
図1に示すように、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するように、また、ポートbとポートcとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が凝縮器として機能するとともに、室外熱交換器23が蒸発器として機能する暖房サイクルとなる。
【0039】
冷媒回路10が暖房サイクルとなった状態で圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管45を流れて、閉鎖弁26を介してガス管9へと流入する。
【0040】
ガス管9を流れる冷媒は、各ガス管接続部54を介して各室内機5に分流する。各室内機5に流入した冷媒は、各室内機ガス管72を流れて各室内熱交換器51に流入する。各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内機ファン55の回転により各室内機5の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。
【0041】
このように、各室内熱交換器51が凝縮器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って加熱された室内空気が吹出口50c1から吹出ダクト190、吹出グリル200を介して室内に吹き出されることによって、各室内機5が設置された室内の暖房が行われる。
【0042】
各室内熱交換器51から各室内機液管71に流入した冷媒は、各室内熱交換器51の冷媒出口側での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように開度が調整された各室内機膨張弁52を通過する際に減圧される。ここで、目標冷媒過冷却度は、各室内機5の各々で要求される暖房能力に基づいて定められるものである。また、暖房能力は、各室内機5において、設定された設定温度と検出した室内温度との温度差に基づいて決定されるものである。
【0043】
各室内機膨張弁52で減圧された冷媒は、各室内機液管71から各液管接続部53を介して液管8に流出する。液管8で合流し閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は室外機液管44を流れ、室外熱交換器23の冷媒出口側での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように開度が調整された室外機膨張弁24を通過する際にさらに減圧される。ここで、目標冷媒過熱度は、予め試験などを行って求められて、室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものであり、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器23の冷媒出口側における冷媒過熱度を目標冷媒過熱度とすれば、液バックが発生しないことが確認できている値である。
【0044】
室外機膨張弁24で減圧された冷媒は、室外機液管44を流れて室外熱交換器23に流入し、最大回転数とされている室外機ファン28の回転によって室外機5の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管43へと流入した冷媒は、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0045】
<冷房運転>
空気調和装置1が冷房運転を行う場合は、
図1(A)に示すように、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するように、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が蒸発器として機能するとともに、室外熱交換器23が凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
【0046】
冷媒回路10が冷房サイクルとなった状態で圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管43を介して室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23へと流入した冷媒は、室外機ファン28の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管44へと流出した冷媒は、開度が全開とされている室外機膨張弁24を通過し、閉鎖弁25を介して液管8に流出する。
【0047】
液管8を流れる冷媒は、各液管接続部53を介して各室内機5に流入する。各室内機5に流入した冷媒は各室内機液管71を流れ、各室内熱交換器51の各々の冷媒出口での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように開度が調整された各室内機膨張弁52を通過する際に減圧される。ここで、目標冷媒過熱度は、各室内機5の各々で要求される冷房能力に基づいて定められるものである。また、冷房能力は、各室内機5において、設定された設定温度と検出した室内温度との温度差に基づいて決定されるものである。
【0048】
各室内機液管71から各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内機ファン55の回転により各室内機5の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、各室内熱交換器51が蒸発器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って冷却された室内空気が吹出口50c1から吹出ダクト190、吹出グリル200を介して室内に吹き出されることによって、各室内機5が設置された室内の冷房が行われる。
【0049】
各室内熱交換器51から各室内機ガス管72に流出した冷媒は、各ガス管接続部54を介してガス管9に流出する。ガス管9で合流し閉鎖弁26を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0050】
<室内機ファンの駆動制御>
空気調和装置1が上述した暖房運転や冷房運転を行っているとき、各室内機5から吹き出される風量は使用者が要求する風量とされる。具体的には、使用者が図示しないリモコンを操作して要求する風量(弱/中/強、など)を室内機5に送信し、これを受信した室内機5の室内機制御手段500は、受信した風量をモータ制御手段600に送信する。そして、風量を受信したモータ制御手段600は、まず、ファンモータ回転数を決定する時点の静圧値と受信した風量とを用いてファンモータ55aの回転数を決定し、次に、決定した回転数とファンモータ回転数を決定する時点の静圧値とを用いて、ファンモータ55aに与える電流であるモータ電流を決定する。
【0051】
以下、室内機ファン55の駆動制御について詳細に説明する。まずは、
図3を用いて使用者が指示した風量を実現するファンモータ55aの回転数の決定方法を説明し、次に、
図4を用いてファンモータ55aに与えるモータ電流の決定方法を説明する。
【0052】
なお、以下の説明では、室内機5から吹き出される風量を風量Av(単位:CFM)、ファンモータ55aの回転数をファン回転数Rm(単位:rpm)、静圧値を静圧Pt(単位:Pa)、ファンモータ55aに与えるモータ電流をモータ電流Im(単位:mA)とする。
【0053】
<ファン回転数の決定>
モータ制御手段600が室内機ファン55の駆動制御を行う際、まず、使用者が要求する風量Avを実現するのに必要なファン回転数Rmを決定する。
図3は、風量Avと、ファン回転数Rmと、静圧Ptとの関係を示すものであり、予め試験などを行ってモータ制御手段600の記憶部620に記憶されているものである。
図3では、横軸が風量Avであり、一例として風量Avが300CFM(風量:弱に相当)、600CFM(風量:中に相当)、900CFM(風量:強に相当)としている。また、縦軸がファン回転数Rmであり、一例として静圧Ptが25Paであるときに風量Avを300CFMとするのに必要なファン回転数Rmは150rpm、風量Avを600CFMとするのに必要なファン回転数Rmは300rpm、風量Avを900CFMとするのに必要なファン回転数Rmは450rpmである。
【0054】
そして、静圧Ptは0Pa、10Pa、20Pa、25Pa、30Pa、40Pa、50Paとし、各々の静圧Ptが風量Avとファン回転数Rmとがともに0である点を起点として風量Avの増加に伴ってファン回転数Rmが増加する直線となっている。つまり、同じ風量Avを実現するために必要なファン回転数Rmが静圧Ptによって異なり、例えば、風量Avを600CFMとしたいときに、静圧Ptが25Paであればファン回転数Rmが300rpm必要となり、静圧Ptが25Paより小さければ300rpmより低い回転数が必要となり、静圧Ptが25Paより大きければ300rpmより高い回転数が必要となる。
【0055】
モータ制御手段600のCPU610は、使用者が指示した風量Avと静圧センサ64が検出した静圧Ptとを通信部630を介して室内機制御手段500から取り込み、取り込んだ静圧Ptを例えば四捨五入して上記0Pa~50Paのいずれかの値とする。そして、
図3に示す風量Avとファン回転数Rmと静圧Ptとの関係を用いて、風量Avを実現するファン回転数Rmを決定する。なお、CPU610は、室内機制御手段500から取り込んだ風量Avおよび静圧Ptと、決定したファン回転数Rmをそれぞれ記憶部620に記憶する。
【0056】
<モータ電流の決定>
次に、モータ制御手段600のCPU610は、モータ電流Imを決定する。
図4は、モータ電流Imと、ファン回転数Rmと、静圧Ptとの関係を示すものであり、予め試験などを行ってモータ制御手段600の記憶部620に記憶されているものである。
図4では、横軸がモータ電流Imであり、縦軸が静圧Ptである。
図4では、一例としてファン回転数Rmを300rpmとする際の、モータ電流Imと静圧Ptとの関係を示しており、静圧Ptが0Paであるときのモータ電流ImをI1、静圧Ptが25Paであるときのモータ電流ImをI2、静圧Ptが50Paであるときのモータ電流ImをI3としている。つまり、同じファン回転数Rmを実現するために必要なモータ電流Imが静圧Ptによって異なる。なお、
図4に示すモータ電流Imと静圧Ptとの関係は、複数のファン回転数Rmごとに記憶部620に記憶されており、例えば、ファン回転数Rmの最小回転数(一例として200rpm)から最大回転数(一例として1300rpm)までの間を10rpmずつに分割し、ファン回転数Rmごとにモータ電流Imと静圧Ptとの関係を記憶している。
【0057】
モータ制御手段600のCPU610は、
図3を用いてファンモータ回転数を決定する時点の静圧値における実現したい風量Avに対応するファン回転数Rmを決定し、
図4を用いてファンモータ回転数を決定する時点の静圧値における決定したファン回転数Rmに対応するモータ電流Imを決定する。なお、CPU610は、決定したモータ電流Imを記憶部620に記憶する。
【0058】
<室内機ファンの駆動制御の流れ>
次に、
図5、および、
図6を用いて、風量Avを変化させるときのファン回転数Rmの決定方法、および、室内機ファン55の駆動制御に関わる処理について説明する。
【0059】
一例として、使用者の変更指示により風量Avを中風(例えば、300CFM)から強風(例えば、600CFM)へと増加させる場合に、
図5(A)に示すように、変更指示前の風量Avと変更指示後の風量Avの差である風量差(600-300=300CFM)を所定のステップ数、例えば、10回のステップ数で均等に分割した風量で段階的に増加させる場合を説明する。この場合、本実施例においては、風量差は、300CFMであり、各ステップにおける風量Avの増加量は、300÷10=30CFMとなる。ここで、所定のステップ数は、予め定められたステップ数であり、10ステップ以外のステップ数でもよい。
【0060】
次に、
図3に示す風量Avとファン回転数Rmと静圧Ptとの関係に基づいて、各ステップで風量Avを30CFM増加させるのに必要なファン回転数Rmの増加分が決定される。例えば、
図3より、静圧Ptが25Paである時は、風量Avを30CFM増加させるのに必要なファン回転数Rmの増加分は15rpmとなる。また、静圧Ptが50Paである時は、風量Avを30CFM増加させるのに必要なファン回転数Rmは30rpmである。
【0061】
このように、同じ風量Avの増加量でも、静圧Ptが異なると1ステップ当たりのファン回転数Rmの増加分が異なる。このとき、静圧Ptが高くてファン回転数Rmの増加分が大きくなる場合は、ファン回転数Rmの増加に伴って、各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなって使用者が耳障りに感じる場合がある。
【0062】
そこで、あるステップでファン回転数Rmの増加分が第1所定値(以下、第1所定値Rm1と記載する)以上となる場合は、このステップでのファン回転数Rmの増加分は第1所定値Rm1とされる。このとき、このステップにおいて第1所定値Rm1を超えるファン回転数Rmの増加分については、このステップにおける回転数Rmの増加分と第1所定値Rm1の差(以下、ファン回転数差ΔRm0と記載する場合がある)を算出し、予め定められたステップ数でファン回転数Rmの増加を全て行った後に、新たにステップ数を増やし当該ステップにてファン回転数差ΔRm0を増加させる。ここで、第1所定値Rm1は、予め試験などを行って求められて、室内機制御手段500の記憶部520に記憶されている回転数であり、例えば、1ステップ当たりのファン回転数Rmの増加分が第1所定値Rm1以下の値であれば、ファン回転数Rmの変化に伴ってステップ間でファンモータ55aから発生する駆動音の変化が目立たずに使用者の耳障りとならないことが確認できている回転数である。本実施例では、第1所定値Rm1を25rpmとしている。例えば、
図5(B)に示すように、10ステップ目で静圧Ptが50Paであってこのステップにおけるファン回転数Rmの増加分が30rpmとなる場合、ファン回転数Rmの増加分が第1所定値Rm1:25rpm以上であるため、このステップでのファン回転数Rmの増加分を25rpmとし、ファン回転数差ΔRm0:30-25=5rpmは、ステップ数を1回増やしこのステップで5rpm増加させる。
【0063】
なお、ファン回転数Rmの増加分が第1所定値Rm1以上となるステップが複数存在する場合は、各ステップにおけるファン回転数差ΔRm0を全て足し合わせ、ファン回転数Rmの増加を所定のステップ数行った後に、各ステップにおけるファン回転数差ΔRm0を全て足し合わせた回転数をステップ数を増やして増加させる。例えば、3つのステップでファン回転数差ΔRm0がすべて5rpmである場合、これらを全て足し合わせた回転数である15rpmを、予め定められたステップ数でファン回転数Rmの増加を全て行った後にステップ数を1回増やして増加させる。
【0064】
このように、各ステップにおけるファン回転数Rmの増加分を第1所定値Rm1以下とし、ファン回転数差ΔRm0は、ファン回転数Rmの増加を予め定められたステップ数でファン回転数Rmの増加を全て行った後にステップ数を増やして対応する。これにより、使用者が要求する風量Avを実現しつつ、各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者に与える不快感を抑制できる。
【0065】
なお、あるステップでファン回転数Rmの増加分が第1所定値Rm1の2倍以上の値である場合(本実施形態では、ファン回転数Rmの増加分が例えば55rpmで、第1所定値Rm1の2倍の値より5rpm大きい場合)や、ファン回転数Rmの増加分が第1所定値Rm1以上となるステップが複数存在し、かつ、ファン回転数差ΔRm0を足し合わせた回転数が第1所定値Rm1より大きい値となる場合は、追加するステップ数が複数となる。この場合も、1ステップ当たりのファン回転数Rmの増加分を第1所定値Rm1以下に抑えるため、追加するステップ数は、ファン回転数差ΔRm0で決まる。例えば、ファン回転数Rmの増加を予め定められたステップ数でファン回転数Rmの増加を全て行った後のファン回転数差ΔRm0が60rpmである場合は、1ステップ当たりのファン回転数Rmの増加分が第1所定値Rm1である25rpmを超えないようにするためには、25rpm増加させるステップを2つ、残りの10rpmを増加させるステップを1つ、の合計3ステップを追加して、ファン回転数差ΔRm0=60rpmを増加させる。これにより、ファン回転数差ΔRm0が多い場合でも、各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者に与える不快感を抑制できる。
【0066】
<各制御手段で実行される処理>
次に、
図6を用いて、風量Avを変化させるときの室内機ファン55の駆動制御に関わる、室内機制御手段500およびモータ制御手段600の各々で実行される処理について個別に説明する。
図6(A)に示すのは、各室内機5において室内機ファン55の駆動制御を行う際の、室内機制御手段500のCPU510が行う処理のメインルーチンを示すフローチャートである。また、
図6(B)に示すのは、各室内機5において室内機ファン55の駆動制御を行う際の、室内機制御手段500のCPU510が行う処理のサブルーチンである端数制御(詳細は後述する)を示すフローチャートである。
図6(C)に示すのは、各室内機5において室内機ファン55の駆動制御を行う際の、モータ制御手段600のCPU610が行う処理を示すフローチャートである。ここで、
図6に示す各フローチャートにおいて、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップの番号を表している。なお、
図6の各フローチャートでは、本発明に関わる制御についてのみ示しており、空気調和装置1に関わるその他の一般的な制御については説明を省略する。
【0067】
<室内機制御手段のメインルーチン:室内機ファンの駆動制御に関わる処理の流れ>
まず、
図6(A)を用いて、本実施例における室内機ファン55の駆動制御を行う際に室内機制御手段500のCPU510が行う処理について説明する。空気調和装置1が空調運転を開始すると、CPU510は、風量Avを1ステップ変化させた回数を示すカウントFを0とする(ST1)。次に、CPU510は、使用者の指示する風量Avが変化したか否かを判断する(ST2)。ここで、使用者からの風量指示は、空気調和装置1の運転開始時に使用者が風量を指示する場合と、空調運転中に使用者が風量の変更を指示する場合を含む。なお、前述したように、使用者は図示しないリモコンを操作して要求する風量Av、例えば、弱風(例えば、150CFM)、中風(例えば、300CFM)、強風(例えば、450CFM)を室内機5に指示する。
【0068】
使用者の指示する風量Avの変化がなければ(ST2-No)、CPU510は、ST2に処理を戻す。使用者の指示する風量Avの変化があれば(ST2-Yes)、CPU510は、ST3に処理を進める。
【0069】
次に、CPU510は、使用者から風量Avの変更指示があった場合の変更指示前の風量Avと変更指示後の風量Avの風量差(以下、風量差Av0と記載する)を算出する(ST3)。ここで、風量差Av0は、使用者が新たに指示した風量Avと現在の風量Av1との差分となる。空調運転開始時であれば、現在の風量Av1が0であるので、使用者の指示する風量Avが風量差Av0となり、空調運転の途中で使用者から風量Avの変更指示があれば、使用者が新たに指示した風量Avと現在の風量Av1との差分が風量差Av0となる。
【0070】
次に、CPU510は、風量差Av0を所定のステップ数St(本実施例では、10回)で割って、1ステップ当たりの風量Avの変化量(以下、単位変化量ΔAvと記載する)を算出する(ST4)。そして、CPU510は、単位変化量ΔAvをモータ制御手段600に送信する(ST5)。具体的には、CPU510は、通信部530を介して単位変化量ΔAvをモータ制御手段600に送信する。そして、モータ制御手段600に単位変化量ΔAvが送信された後、後述するファン回転数変化分ΔRm決定処理により、単位変化量ΔAvに対応するファン回転数変化分ΔRmがモータ制御手段600より決定される。ここで、本実施例では、ST4~ST5の処理を、室内機制御手段500で行っているが、モータ制御手段600で行ってもよい。この場合、CPU510は、ST3で算出した風量差Av0をモータ制御手段600に送信する。
【0071】
次に、CPU510は、モータ制御手段600から単位変化量ΔAvに対応するファン回転数Rmの変化分(以下、ファン回転数変化分ΔRmと記載する)を受信したか否かを判断する(ST6)。ファン回転数Rmの変化分ΔRmをモータ制御手段600から受信していなければ(ST6-No)、CPU510は、ST6に処理を戻してファン回転数変化分ΔRmの受信を待つ。
【0072】
ファン回転数Rmの変化分ΔRmをモータ制御手段600から受信していれば(ST6-Yes)、CPU510は、モータ制御手段600から受信したファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm1以上であるか否かを判断する(ST7)。室内機制御部500がモータ制御手段600から受信したファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm1未満であれば(ST7-No)、CPU510は、受信したファン回転数変化分ΔRmをそのままモータ制御手段600に送信し(ST15)、ST10に処理を進める。そして、室内機制御部500からモータ制御手段600にファン回転数変化分ΔRmが送信された後、後述するモータ電流Im決定処理により、ファン回転数変化分ΔRmに対応するモータ電流Imがモータ制御手段600より決定される。受信したファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm1以上であれば(ST7-Yes)、CPU510は、第1所定値Rm1をモータ制御手段600に送信する(ST8)。そして、モータ制御手段600に第1所定値Rm1が送信された後、後述するモータ電流Im決定処理により、第1所定値Rm1に対応するモータ電流Imがモータ制御手段600より決定される。次に、CPU510は、ST7で受信したファン回転数変化分ΔRmと第1所定値Rm1の差であるファン回転数差ΔRm0を算出して記憶部520に記憶し(ST9)、ST10に処理を進める。なお、CPU510は、カウントFが後述する所定のステップ数StとなるまでST9の処理を繰り返し、ST9の処理を行うごとに記憶したファン回転数差ΔRm0を順次加算して記憶部520に記憶する。このファン回転数差ΔRm0を加算した合計値を、ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0とする。
【0073】
次に、CPU510は、現在のカウントFに1を加算する(ST10)。そして、CPU510は、カウントFが所定のステップ数Stとなったか否かを判断する(ST11)。カウントFが所定のステップ数Stでなければ(ST11-No)、CPU510は、ST5に処理を戻す。カウントFが所定のステップ数Stであれば(ST11-Yes)、CPU510は、ST9で求めて記憶したファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0が0か否かを判断する(ST12)。ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0が0であれば(ST12-Yes)、CPU510は、室内機ファン55の駆動制御に関わる処理を終了する。ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0が0でなければ(ST12-No)、ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0が第1所定値Rm1以上か否かを判断する(ST13)。ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0が第1所定値Rm1以上でなければ(ST13-No)、CPU510は、ST16において、モータ制御手段600にファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0を送信し、ST1に処理を戻す。なお、モータ制御手段600は、第1所定値Rm1以上ではない合計値ΣΔRm0を受信すればステップStを1回増やし、後述するモータ電流Im決定処理により、ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0に対応するモータ電流Imを決定する。
【0074】
ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0が第1所定値Rm1以上であれば(ST13-Yes)、サブルーチンである端数制御を行う(ST14)。端数制御のサブルーチンを行ったCPU510は、端数制御処理を終了してメインルーチンのST1に処理を戻す。
<室内機制御手段のサブルーチン:端数制御に関わる処理の流れ>
【0075】
あるステップStでファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm以上となりその合計値ΣΔRm0が第1所定値Rm1以上であれば、つまり、前述したメインルーチンにおけるST16の処理で「Yes」となれば、
図6(B)に示す端数制御を実行して合計値ΣΔRm0分のファン回転数RmをステップStを増やして変化させる制御を行う。端数制御では、まずCPU510は、ファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0を第1所定値Rm1で割って端数Zを算出する(ST21)。次に、CPU510は、端数Zを整数部Z1と小数部Z2とに分ける(ST22)。次に、CPU510は、ST23において、第1所定値Rm1をZ1回モータ制御手段600に送信する。次に、CPU510は、ST24において、残りのファン回転数であるRm1×Z2をモータ制御手段600に送信し、端数制御処理を終了してメインルーチンに戻る。なお、モータ制御手段600は、室内機制御手段500から第1所定値Rm1をZ1回受信したこと、および、残りのファン回転数を受信したことを受けて、ステップStをZ1+1回増やす。また、モータ制御手段600は、後述するモータ電流Im決定処理により、決定したファン回転数に対応するモータ電流Imを決定する。
【0076】
<モータ制御手段が実行する処理の流れ:ファン回転数変化分ΔRm決定処理>
次に、
図6(C)を用いて、室内機ファン55の駆動制御を行う際にモータ制御手段600のCPU610が行うファン回転数変化分ΔRm決定処理について説明する。このファン回転数変化分ΔRm決定処理は、前述したように、
図6(A)におけるST5の処理で、室内機制御手段500が単位変化量ΔAvをモータ制御手段600に送信し、これを受信した後にモータ制御手段600が行う処理である。
【0077】
空気調和装置1が空調運転を行っているとき、CPU610は、室内機制御部500から単位変化量ΔAvを受信したか否かを判断する(ST31)。CPU610は、室内機制御手段500から送信された単位変化量ΔAvを通信部630を介して受信する。
【0078】
モータ制御手段600が室内機制御手段500から単位変化量ΔAvを受信していない場合は(ST31-No)、CPU610は、ST31に処理を戻す。モータ制御手段600が室内機制御手段500から単位変化量ΔAvを受信した場合は(ST31-Yes)、CPU610は、静圧Ptを取り込む(ST32)。本実施形態では、静圧センサ64によって検出された静圧Ptは、室内機制御手段500にセンサ入力部540を介して1秒ごとに取り込まれて記憶部520に時系列で記憶される。そして、モータ制御手段600が室内機制御手段500から単位変化量ΔAvを受信した場合に、記憶している静圧Ptのうちの直近の静圧Ptが記憶部520から読み出されて通信部530を介してモータ制御手段600に送信される。そして、室内機制御手段500からモータ制御手段600に送信された静圧Ptは、通信部630を介してCPU610に取り込まれる。
【0079】
次に、CPU610は、静圧Ptに応じた単位変化量ΔAvに対応するファン回転数変化分ΔRmを決定する(ST33)。具体的には、CPU610は、ST31で取り込んだ単位変化量ΔAvと、ST32で取り込んだ静圧Ptとを用い、記憶部620に記憶している風量Avとファン回転数Rmと静圧Ptとの関係(
図3に示すもの)を参照することで、ファン回転数変化分ΔRmを決定する。
【0080】
次に、CPU610は、ST33で決定したファン回転数変化分ΔRmを通信部630を介して室内機制御手段500に送信し(ST34)、ST31に処理を戻す。
【0081】
<モータ制御手段が実行する処理の流れ:モータ電流Im決定処理>
次に、
図6(D)を用いて、室内機ファン55の駆動制御を行う際にモータ制御手段600のCPU610が行うモータ電流Im決定処理について説明する。このモータ電流Im決定処理は、
図6(A)のST8および
図6(B)のST23における第1所定値Rm、
図6(A)のST15におけるファン回転数変化分ΔRm、
図6(A)のST16におけるファン回転数差ΔRm0の合計値ΣΔRm0、および、
図6(B)のST24における残りのファン回転数Rmのそれぞれを室内機制御手段500がモータ制御手段600に送信し、これらを受信した後にモータ制御手段600が行う処理である。
【0082】
まず、CPU610は、室内機制御手段500からファン回転数変化分の決定値を受信したか否かを判断する(ST41-Yes)。ここで、ファン回転数変化分の決定値とは、ステップ毎に
図6(A)のST8で室内機制御手段500から送信される第1所定値RmあるいはST15で室内機制御手段500から送信されるファン回転数変化分ΔRmのいずれか一方と、ステップ数Stの終了後に
図6(A)のST16で室内機制御手段500から送信される合計値ΣΔRm0あるいは
図6(B)のST23で室内機制御手段500からZ1回送信される第1所定値RmおよびST24で室内機制御手段500から送信されるファン回転数Rm1×Z2のいずれか一方を指す。モータ制御手段600が室内機制御手段500からファン回転数変化分の決定値を受信していない場合は(ST41-No)、CPU610は、ST41に処理を戻す。モータ制御手段600が室内機制御手段500からファン回転数変化分の決定値を受信した場合は(ST41-Yes)、CPU610は、ST42に処理を進める。
【0083】
次に、CPU610は、ST41で室内機制御手段500から受信したファン回転数変化分の決定値に応じてモータ電流Imを決定する(ST42)。具体的には、CPU610は、
図6(C)に示すファン回転数変化分ΔRm決定処理において、ST32で取り込んだ静圧Ptと、ST33で決定したファン回転数変化分ΔRmとを用い、記憶部620に記憶しているモータ電流Imとファン回転数Rmと静圧Ptとの関係(
図4に示すもの)を参照することで、ST31で受信した単位変化量ΔAvを実現するモータ電流Imを決定する。そして、CPU610は、ST35で決定したモータ電流Imをファンモータ55aに与えることで、室内機ファン55を駆動させ(ST43)、ST41に処理を戻す。
【0084】
なお、本実施例では、風量Avを増加させる場合のファンモータの駆動制御について説明を行ったが、風量Avを減少させる場合についても同様の制御を行うことで、ファン回転数Rmの大きな減少に伴って各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者に与える不快感を抑制できる。この場合、各ステップにおける回転数Rmの減少分と第1所定値Rm1の差がファン回転数差ΔRm0となる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、モータ制御手段600が室内機ファン55のファンモータ55aの駆動制御を行うときに、ファン回転数Rmを使用者が要求する風量Avを実現するファン回転数Rmで所定のステップ数で段階的に変化させるとき、各ステップで静圧Ptを考慮して1ステップ当たりのファン回転数変化分ΔRmを決定し、決定したファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm1を超えないようにしてファンモータ55aを駆動する。これにより、使用者が要求する風量Avを実現しつつ、ファン回転数Rmの変化に伴って各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者に与える不快感を抑制できる。
【実施例2】
【0086】
<室内機ファンの駆動制御の流れ>
次に、本発明の第2の実施形態(実施例2)について説明する。実施例1では、室内機ファン55の駆動制御を、使用者が要求する風量Avを実現するための風量差Av0を所定のステップ数Stで均等に分割した風量である単位変化量ΔAvで段階的に変化させ、各ステップでの静圧Ptに応じたファン回転数変化分ΔRmを決定し、決定したファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm1を越えないように制御を行う場合について説明した。これに対し、実施例2では、使用者が要求する風量Avを実現するための単位変化量ΔAvが、静圧Ptが想定される最大の値であってもファン回転数変化分ΔRmが第1所定値Rm1を超えないように室内機制御手段500がステップ数Stを決定する場合について、
図7、及び、
図8を用いて説明する。
【0087】
一例として、
図7に示すように、使用者により風量Avが中風(例えば、300CFM)から強風(例えば、600CFM)へと変更する指示がなされた場合、風量差Av0は300CFMとなる。この風量差Av0を、所定のステップ数Stで均等に分割した風量、すなわち、単位変化量ΔAvで風量を段階的に増加させる。このとき、単位変化量ΔAvが第2所定値(以下、第2所定値Av2と記載する)(例えば、25CFM)となるようにステップ数Stが決定される。ここで、第2所定値Av2は、単位変化量ΔAvを増加させるのに必要となるファン回転数変化分ΔRmが、静圧Ptが想定される最大の値(本実施例では、50Pa)の場合でも、第1所定値Rm1(例えば、25rpm)を超えないような単位変化量ΔAvであり、予め行った試験などにより求められた値である。例えば、静圧Ptが50Paである時に、風量Avを25CFM上昇させるのに必要なファン回転数変化分ΔRmが20rpmとすると、この回転数の増加分(=20rpm)は第1所定値Rm1以下であるため、各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者が感じる不快感を抑制できる。ここでは、風量差Av0である300CFMを第2所定値Av2である25CFMで割ることにより、ステップ数Stが12となる。
【0088】
<各制御手段で実行される処理>
次に、
図8を用いて、風量Avを変化させるときの室内機ファン55の駆動制御に関わる、室内機制御手段500およびモータ制御手段600の各々で実行される処理について個別に説明する。
図8(A)に示すのは、各室内機5において室内機ファン55の駆動制御を行う際の、室内機制御手段500のCPU510が行う処理を示すフローチャートである。また、
図8(B)に示すのは、各室内機5において室内機ファン55の駆動制御を行う際の、モータ制御手段600のCPU610が行う処理を示すフローチャートである。
図8の各フローチャートでは、本発明に関わる制御についてのみ示しており、空気調和装置1に関わるその他の一般的な制御については説明を省略する。
【0089】
<室内機制御手段が実行する処理の流れ>
まず、
図8(A)を用いて、本実施例における室内機ファン55の駆動制御を行う際に室内機制御手段500のCPU510が行う処理について説明する。空気調和装置1が空調運転を開始すると、CPU510は、風量Avを1ステップ変化させた回数であるカウントFを0とする(ST41)。次に、CPU510は、使用者の指示する風量Avが変化したか否かを判断する(ST42)。ここで、使用者からの風量指示は、空気調和装置1の運転開始時に使用者が風量を指示する場合と、空調運転中に使用者が風量の変更を指示する場合を含む。なお、前述したように、使用者は図示しないリモコンを操作して要求する風量Av、例えば、弱風(例えば、150CFM)、中風(例えば、300CFM)、強風(例えば、450CFM)を室内機5に指示する。
【0090】
使用者の指示する風量Avの変化がなければ(ST42-No)、CPU510は、ST42に処理を戻す。使用者の指示する風量Avの変化があれば(ST42-Yes)、CPU510は、ST43に処理を進める。
【0091】
次に、CPU510は、風量差Av0を算出する(ST43)。次に、CPU510は、風量差Av0を第2所定値Rm2(本実施例では、25rpm)で割って、ステップ数St(本実施例では、12回)を算出する(ST44)。そして、CPU510は、単位変化量ΔAvをモータ制御手段600に送信する(ST45)。具体的には、CPU510は、通信部530を介して単位変化量ΔAvをモータ制御手段600に送信する。なお、本実施例では、ST44~ST45の処理を、室内機制御手段500で行っているが、この処理をモータ制御手段600で行ってもよい。この場合、CPU510は、ST43で算出した風量差Av0をモータ制御手段600に送信する。
【0092】
次に、CPU510は、現在のカウントFに1を加算する(ST46)。そして、CPU510は、カウントFがST44で算出したステップ数St:12回となったか否かを判断する(ST47)。カウントFがST44で算出したステップ数Stでなければ(ST47-No)、CPU510は、ST45に処理を戻す。カウントFがST44で算出したステップ数Stであれば(ST47-Yes)、CPU510は、処理をST41に戻す。
【0093】
<モータ制御手段が実行する処理の流れ>
次に、
図8(B)を用いて、本実施例における室内機ファン55の駆動制御を行う際にモータ制御手段600のCPU610が行う処理について説明する。空気調和装置1が空調運転を行っているとき、CPU610は、室内機制御部500から単位変化量ΔAvを受信したか否かを判断する(ST51)。CPU610は、室内機制御手段500から送信された単位変化量ΔAvを通信部630を介して受信する。
【0094】
モータ制御手段600が室内機制御手段500から単位変化量ΔAvを受信していない場合は(ST51-No)、CPU610は、ST51に処理を戻す。モータ制御手段600が室内機制御手段500から単位変化量ΔAvを受信した場合は(ST51-Yes)、CPU610は、静圧Ptを取り込む(ST52)。具体的には、静圧Ptは静圧センサ64によって1秒ごとに検出されて室内機制御手段500にセンサ入力部540を介して取り込まれ、記憶部520に記憶される。そして、モータ制御手段600が室内機制御手段500から単位変化量ΔAvを受信した場合に、時系列的に直近の静圧Ptが通信部530を介してモータ制御手段600に送信される。そして、室内機制御手段500からモータ制御手段600に送信された静圧Ptは、通信部630を介してCPU610に取り込まれる。
【0095】
次に、CPU610は、静圧Ptに応じた単位変化量ΔAvに対応するファン回転数変化分ΔRmを決定する(ST53)。具体的には、CPU610は、ST51で取り込んだ単位変化量ΔAvと、ST52で取り込んだ静圧Ptとを用い、記憶部620に記憶している風量Avとファン回転数Rmと静圧Ptとの関係(
図3に示すもの)を参照することで、ファン回転数変化分ΔRmを決定する。
【0096】
次に、CPU610は、ST53で決定したファン回転数変化分ΔRmに応じてモータ電流Imを決定する(ST54)。具体的には、CPU610は、ST52で取り込んだ静圧Ptと、ST53で決定したファン回転数変化分ΔRmとを用い、記憶部620に記憶しているモータ電流Imとファン回転数Rmと静圧Ptとの関係(
図4に示すもの)を参照することで、ST51で受信した単位変化量ΔAvを実現するモータ電流Imを決定する。そして、CPU610は、ST35で決定したモータ電流Imをファンモータ55aに与えることで、室内機ファン55を駆動させ(ST55)、ST51に処理を戻す。
【0097】
なお、本実施例では、風量Avを増加させる場合のファンモータの駆動制御について説明を行ったが、風量Avを減少させる場合についても同様の制御を行うことで、ファン回転数Rmの減少に伴って、各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者に与える不快感を抑制できる。
【0098】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、モータ制御手段600が室内機ファン55のファンモータ55aの駆動制御を行うときに、使用者が要求する風量Avを実現するファン回転数Rmが第1所定値Rm1を超えないように、ステップStを決定する。これにより、使用者が要求する風量Avを実現しつつ、ファン回転数Rmの増加に伴って、各ステップでファン回転数Rmが大きく異なることに起因して発生する、ファンモータ55aから発生する駆動音のステップ間での変化度合いが大きくなることによる使用者に与える不快感を抑制できる。
【符号の説明】
【0099】
1 空気調和装置
2 室外機
5 室内機
13a 吹出口
14a 吸込口
55 室内ファン
55a ファンモータ
64 静圧センサ
500 室内機制御手段
510 CPU
530 通信部
600 モータ制御手段
610 CPU
620 記憶部
630 通信部
Av 風量
Im モータ電流
Pt 静圧
Rm ファン回転数