(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】配線部材
(51)【国際特許分類】
H01B 7/36 20060101AFI20230704BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01B7/36 Z
H01B7/08
(21)【出願番号】P 2020065876
(22)【出願日】2020-04-01
(62)【分割の表示】P 2020504049の分割
【原出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】安田 傑
(72)【発明者】
【氏名】中野 悠
(72)【発明者】
【氏名】横井 基宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】後藤 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】白川 純一
(72)【発明者】
【氏名】上 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】野村 康
(72)【発明者】
【氏名】バリラロ ソフィア
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-056722(JP,A)
【文献】特開2004-074954(JP,A)
【文献】特開2002-110292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/36
H01B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線体とパターンとを備え、
前記配線体は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、
前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、
前記パターンは前記配線体に設けられて、前記配線体において前記ベース材に係る部分の少なくとも一部の2次元的位置を認識可能にし、
前記ベース材の端部から外方に延びる前記複数の線状伝送部材の端部にコネクタが設けられており、
前記コネクタと前記ベース材とが前記複数の線状伝送部材の長手方向に離れて
おり、
前記ベース材は、前記線状伝送部材を一方から覆うシート材を含み、
前記線状伝送部材のうち前記シート材とは反対側にカバーが設けられずに前記線状伝送部材が前記シートとは反対側に露出する部分を有する、配線部材。
【請求項2】
請求項
1に記載の配線部材であって、
前記ベース材
はカバーを含み、
前記シート材には、前記線状伝送部材が固定され、
前記カバーは前記シート材よりも高剛性に形成され、前記シート材に固定され、
前記シート上の前記線状伝送部材
の一部を覆う、配線部材。
【請求項3】
配線体とパターンとを備え、
前記配線体は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、
前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、
前記パターンは前記配線体に設けられて、前記配線体において前記ベース材に係る部分の少なくとも一部の2次元的位置を認識可能にし、
前記ベース材の端部から外方に延びる前記複数の線状伝送部材の端部にコネクタが設けられており、
前記コネクタと前記ベース材とが前記複数の線状伝送部材の長手方向に離れて
おり、
前記パターンとして互いに異なる複数種類のパターンが設けられている、配線部材。
【請求項4】
請求項
3に記載の配線部材であって、
前記ベース材はシート材とカバーとを含み、
前記シート材には、前記線状伝送部材が固定され、
前記カバーは前記シート材よりも高剛性に形成され、前記シート材に固定され、前記線状伝送部材を覆う、配線部材。
【請求項5】
請求項1
から請求項4のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記パターンは外縁部認識用パターンを含み、
前記外縁部認識用パターンは前記ベース材における外縁部の色が前記ベース材における中間部の色と異なるように形成されている、配線部材。
【請求項6】
請求項1
から請求項5のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記パターンは特徴部を含み、
前記特徴部は前記配線体において他の部分と一致しない外観を示す、配線部材。
【請求項7】
請求項
6に記載の配線部材であって、
前記特徴部は形状特異部を含み、
前記形状特異部は前記ベース材の形状において一部の形状が他の部分の形状と異なるように形成された部分である、配線部材。
【請求項8】
請求項
6又は請求項
7に記載の配線部材であって、
前記特徴部は経路特異部を含み、
前記経路特異部は前記ベース材における前記線状伝送部材の経路において一部の経路の外観が他の部分の経路の外観と異なるように形成された部分である、配線部材。
【請求項9】
請求項
6から請求項
8のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記特徴部はマーキングを含み、
前記マーキングは前記ベース材における表面の一部に施されている、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート状に形成された機能性外装部材と、長手方向に沿った少なくとも一部の領域で前記機能性外装部材に重なるように配設された電線と、を備え、前記電線の絶縁被覆と前記機能性外装部材とが重なる部分の少なくとも一部が溶着されている、ワイヤーハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に記載のワイヤーハーネスなどの配線部材を車両等に組付ける作業の自動化が望まれている。配線部材を車両等に自動で組付けるにあたって、配線部材における所定の位置を認識することが必要となる場合がある。
【0005】
例えば、特許文献1に記載のワイヤーハーネスにおいて所定の位置を認識するにあたって、機能性外装部材の外縁部を認識することが考えられる。しかしながら、機能性外装部材の色が背景の色と同系の色である場合には、機能性外装部材の外縁部を認識することが困難となる。
【0006】
そこで、配線部材における所定の位置を認識しやすくできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線部材は、配線体とパターンとを備え、前記配線体は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、前記パターンは前記配線体に設けられて、前記配線体において前記ベース材に係る部分の少なくとも一部の2次元的位置を認識可能にする、配線部材である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線部材における所定の位置を認識しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態1に係る配線部材を示す平面図である。
【
図2】
図2は
図1のII-II線に沿って切断した断面図である。
【
図3】
図3は実施形態2に係る配線部材を示す平面図である。
【
図4】
図4は実施形態3に係る配線部材を示す平面図である。
【
図5】
図5は実施形態4に係る配線部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の配線部材は、次の通りである。
(1)配線体とパターンとを備え、前記配線体は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、前記パターンは前記配線体に設けられて、前記配線体において前記ベース材に係る部分の少なくとも一部の2次元的位置を認識可能にする、配線部材である。
配線体に設けられたパターンによって、配線部材における所定の位置を認識しやすくなる。
ここで線状伝送部材とは、電気又は光等を伝送する線状の部材である。
(2)前記パターンは外縁部認識用パターンを含み、前記外縁部認識用パターンは前記ベース材における外縁部の色が前記ベース材における中間部の色と異なるように形成されていることが考えられる。この場合、ベース材の外縁部と中間部との間でコントラストが生じやすくなり、ベース材の外縁部を認識しやすくなる。
(3)前記パターンは特徴部を含み、前記特徴部は前記配線体において他の部分と一致しない外観を示すことが考えられる。この場合、特徴部を認識することによって、特徴部が設けられた部分を認識しやすくなる。
(4)前記特徴部は形状特異部を含み、前記形状特異部は前記ベース材の形状において一部の形状が他の部分の形状と異なるように形成された部分であることが考えられる。この場合、ベース材の形状によって特徴部を形成することができる。
(5)前記特徴部は経路特異部を含み、前記経路特異部は前記ベース材における前記線状伝送部材の経路において一部の経路の外観が他の部分の経路の外観と異なるように形成された部分であることが考えられる。この場合、線状伝送部材の経路の外観によって特徴部を形成することができる。
(6)前記特徴部はマーキングを含み、前記マーキングは前記ベース材における表面の一部に施されていることが考えられる。この場合、ベース材へのマーキングによって特徴部を形成することができる。
(7)前記ベース材はシート材とカバーとを含み、前記シート材には、前記線状伝送部材が固定され、前記カバーは前記シート材よりも高剛性に形成され、前記シート材に固定され、前記線状伝送部材を覆うことが考えられる。この場合、カバーによって配線部材の剛性が高められているため、配線部材は一定形状を保ちやすくなる。このため、パターンによってベース材における一部の位置を認識することによって、ベース材における任意の位置を把握しやすくなる。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る配線部材について説明する。
図1は、実施形態1に係る配線部材10を示す平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿って切断した断面図である。なお、
図1、
図2では、ベース材30においてパターン40による色の違いを理解容易にするため、一部に砂地のハッチングを施している。
【0013】
配線部材10は、配線体12と、配線体12に設けられたパターン40と、を備える。
【0014】
配線体12は、車両に搭載されて、車両の各機器に電力を供給したり、信号の授受をしたりする部材である。配線体12は、複数の線状伝送部材20と、ベース材30と、を含む。配線体12は扁平に形成されている。
【0015】
線状伝送部材20は、電気又は光等を伝送する線状の部材であればよい。例えば、線状伝送部材20は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、裸電線、光ファイバ等であってもよい。
【0016】
電気を伝送する線状伝送部材20としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材20は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0017】
図2に示す例では、線状伝送部材20は、電気又は光等を伝送する伝送線本体22と、伝送線本体22を覆う被覆24とを含む。線状伝送部材20が一般電線である場合、伝送線本体22は芯線であり、被覆24は絶縁被覆である。また
図2に示す例では、一のベース材30に同じ径、構造の線状伝送部材20が複数本配設されているが、複数本の線状伝送部材20の径、構造等は適宜設定されていればよく、径、構造等の異なる線状伝送部材20が同じベース材30に配設されていてもよい。
【0018】
また線状伝送部材20は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。線状伝送部材20の端部には、線状伝送部材20と相手部材との接続形態に応じて、適宜端子、コネクタC等が設けられる。
【0019】
複数の線状伝送部材20は並んだ状態でベース材30に固定されている。ベース材30は、複数の線状伝送部材20を扁平に保つ。ベース材30は、線状伝送部材20を2次元的に位置決めした状態で保持する部材である。ベース材30は、シート材32と、カバー34とを含む。
【0020】
シート材32の一方主面上に線状伝送部材20が配設されている。シート材32は、複数の線状伝送部材20を並んだ状態に保持する。シート材32は、湾曲しつつ複数の線状伝送部材20を平面的に位置決めした状態で保持できる程度の剛性を有する部材であってもよいし、平らな状態を保った状態で複数の線状伝送部材20を2次元的に位置決めした状態で保持できる程度の剛性を有する部材であってもよい。シート材32は、部分的に壁が立設される等、立体的な形状部分を有していてもよい。ここではシート材32は曲げ可能な部材であるものとして説明する。
【0021】
シート材32を構成する材料は特に限定されるものではないが、シート材32は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂を含む材料によって形成される。シート材32は、不織布、織地、編地など繊維を有する繊維材等であってもよいし、非繊維材であってもよい。非繊維材としては、内部が一様に埋った充実状のシート材、または樹脂が発泡成形された発泡体などであってもよい。シート材32は、金属などの材料を含むこともあり得る。
【0022】
シート材32は、単層であってもよいし、複数層積層されていてもよい。複数層積層されている場合、例えば、樹脂層と樹脂層とが積層されていることが考えられる。また例えば、樹脂層と金属層とが積層されていることが考えられる。また、シート材32は、非繊維材層と非繊維材層とが重ねられたものであってもよいし、非繊維材層と繊維材層が重ねられたものであってもよいし、繊維材層と繊維材層とが重ねられたものであってもよい。
【0023】
線状伝送部材20は、シート材32の主面上において、所定の経路に沿って配設された状態で、シート材32に固定されている。シート材32は、線状伝送部材20の経路に沿って延びる帯状に形成されている。シート材32上における線状伝送部材20の経路は適宜設定されていればよく、線状伝送部材20は、シート材32上で直線状に配設されていてもよいし、曲がって配設されていてもよい。線状伝送部材20がシート材32上で曲がって配設されている場合、シート材32も曲がって形成されていてもよい。複数本の線状伝送部材20は、シート材32上で分岐したり、交差したりするように異なる経路で配設されていてもよい。この場合、シート材32も分岐したり、交差したりするように形成されていてもよい。
【0024】
図1に示す例では、複数の線状伝送部材20が途中で曲がりつつ、L字状に配設されている。シート材32は、複数の線状伝送部材20の経路に沿うL字状に形成されている。シート材32が複数の線状伝送部材20の経路に沿った形状に形成されることで、シート材32と他部品との干渉抑制、軽量化等が可能となる。もちろんシート材32が複数の線状伝送部材20の経路に沿った形状に形成されていることは必須ではなく、方形状等、他の形状に形成されていてもよい。
【0025】
線状伝送部材20とシート材32とは固定されている。係る固定態様として、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、線状伝送部材20とシート材32とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様である。例えば、縫糸、別のシート材、粘着テープなどが、線状伝送部材20をシート材32に向けて押え込んだり、縫糸、別のシート材、粘着テープなどが、線状伝送部材20とシート材32とを囲む状態などとなって、線状伝送部材20とシート材32とを挟み込んだりして、線状伝送部材20とシート材32とが固定された状態に維持するものである。以下では、線状伝送部材20とシート材32とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。接触部位固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、非接触部位固定にも適用可能である。
【0026】
係る接触部位固定の態様として、間接固定であってもよいし、直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで間接固定とは、線状伝送部材20とシート材32とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープ、面ファスナなどの介在部材を介して間接的にくっついて固定されているものである。また直接固定とは、線状伝送部材20とシート材32とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。直接固定では、例えば線状伝送部材20とシート材32とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。以下では、線状伝送部材20とシート材32とが、直接固定の状態にあるものとして説明する。直接固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、間接固定にも適用可能である。
【0027】
係る直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、直接固定の状態としては、熱による直接固定の状態であってもよいし、溶剤による直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による直接固定の状態であるとよい。
【0028】
このとき直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を含む各種手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材20とシート材32とは、その手段による直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材20とシート材32とは、超音波溶着による直接固定の状態とされる。溶着によって熱による直接固定の状態を形成した部分(線状伝送部材20とシート材32との固定部分)を溶着部、このうち、超音波溶着による固定部分を超音波溶着部、加熱加圧溶着による固定部分を加熱加圧溶着部等と称してもよい。
【0029】
直接固定の場合、線状伝送部材20の被覆24に含まれる樹脂のみが溶けていてもよいし、シート材32に含まれる樹脂のみが溶けていてもよい。これらの場合において、溶けた方の樹脂が他方の外面にくっついた状態となり、比較的はっきりした界面が形成されることがある。また、直接固定の場合、線状伝送部材20の被覆24に含まれる樹脂とシート材32に含まれる樹脂の両方が溶けていてもよい。この場合、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。特に、線状伝送部材20の被覆24とシート材32とが、同じ樹脂材料など相溶しやすい樹脂を含む場合などに、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。
【0030】
カバー34は、シート材32に固定されている。カバー34は、シート材32とは反対側から線状伝送部材20を覆う。カバー34は、線状伝送部材20と固定されていないが、固定されていてもよい。
【0031】
シート材32及びカバー34は、線状伝送部材20の側方に延出する部分で固定されている。シート材32とカバー34との固定態様として、
図2に示す例では、接着剤などの介在物を用いない直接固定が示されている。もちろんシート材32とカバー34との固定態様は、直接固定に限定されるものではなく、シート材32と線状伝送部材20との固定態様で説明した各種固定態様を用いることができる。
【0032】
シート材32とカバー34とに同じシート状部材が用いられていてもよいし、異なるシート状部材が用いられていてもよい。ここでは、シート材32とカバー34とに異なるシート状部材が用いられている。ここではシート材32に用いられるシート状部材は、カバー34に用いられるシート状部材よりも、線状伝送部材20との固定に適している。カバー34に用いられるシート状部材は、シート材32に用いられるシート状部材よりも、高剛性であり、形状維持性に優れている。例えばシート材32は、線状伝送部材20の被覆24と同材料によって充実シート状に形成されて線状伝送部材20が固定される第1層と、不織布によって形成されて第1層に重なる第2層とを有する部材であり、カバー34はナイロンなどによって充実シート状に形成された部材である。
【0033】
カバー34はシート材32と同様の形状に形成されて、シート材32全体を覆っている。従って、ベース材30は、2つの帯状部分36a、36bが直交するL字状に形成されている。もちろん、カバー34は、シート材32と異なる形状に形成されていてもよく、シート材32の一部を覆うものであってもよい。
【0034】
パターン40は、配線体12においてベース材30に係る部分の少なくとも一部の2次元的位置を認識可能にする。ここでいう2次元的位置とは、配線体12(ベース材30)の平面視における2次元的位置、つまり配線体12(ベース材30)を厚み方向に直交する方向から見たときの2次元的位置を言う。従って、パターン40は、配線体12において平面視でベース材30に係る部分の少なくとも一部の2次元的位置を認識可能にする。またベース材30に係る部分とは必ずしもベース材30である必要はなく、例えば線状伝送部材20のうちベース材30に固定された部分などであってもよい。ここではパターン40は、カバー34側からの平面視において認識可能に設けられている。もちろん、パターン40はシート材32側からの平面視において認識可能とされていてもよい。パターン40は、ベース材30に係る部分に設けられている。本例では、パターン40として、外縁部認識用パターン40が形成されている。
【0035】
外縁部認識用パターン40は、ベース材30における外縁部の色がベース材30における中間部の色と異なる部分である。
図2に示す例では、外縁部認識用パターン40は、ベース材30の表面にベース材30の色とは異なる色のマーキングが施されることによって設けられている。係るマーキングの材料は、特に限定されるものではない。例えば、マーキングとして、ベース材30に対して、塗料が塗布されてもよいし、ベース材30よりも細幅の細帯状部材が張り付けられていてもよい。
【0036】
もちろん、外縁部認識用パターン40は、マーキングに限られるものではない。例えば、カバー34の表面とシート材32の表面とが異なる色である場合に、シート材32とカバー34とのうち一方の外縁部が他方の外縁部からはみ出したはみ出し部を、外縁部認識用パターン40とすることもできる。
【0037】
外縁部認識用パターン40の幅寸法は、認識可能な寸法であれば特に限定されるものではない。例えば、画像処理を用いて外縁部認識用パターン40を認識する場合、撮像部の解像度などに鑑みて外縁部認識用パターン40の幅寸法が設定されるとよい。具体的には、ベース材30全体を撮像した撮像画像において、外縁部認識用パターン40の幅方向のピクセル数が数ピクセルあるとよい。
【0038】
ベース材30は、平面視において回転対称な形状でないことが好ましい。つまりベース材30は、平面視において回転非対称な形状に形成されているとよい。ベース材30が平面視において回転非対称な形状に形成されていると、ベース材30において回転対称となる位置の組み合わせが存在しなくなる。つまり、ベース材30において所定の位置に対応する回転対称な位置がなくなる。これにより、ベース材30の外縁部を認識することによってベース材30の所定の位置を認識しやすくなる。もちろん、ベース材30は、平面視において回転対称な形状であってもよい。例えば、ベース材30において回転対称となる複数の位置を区別せずに認識する場合などには、ベース材30が平面視において回転対称な形状であってもよい。
【0039】
<動作>
上記パターン40を用いて、配線部材10の所定の位置を認識する動作例について説明する。ここでは、一般的な画像認識技術を用いて配線部材10の所定の位置を認識する動作例について説明する。
【0040】
まず、厚み方向からの配線部材10を撮像する。このときの撮像範囲は、配線部材10全体でもよいし、ベース材30の全体でもよいし、ベース材30に係る部分のうちパターン40が含まれる一部でもよい。例えば、パターン40が外縁部認識用パターン40の場合は、少なくともベース材30の全体が撮像範囲とされるとよい。
【0041】
次に撮像画像においてパターン40を認識する。パターン40は例えば、撮像画像においてエッジ抽出処理をすることなどで認識することができる。具体的には、例えば、パターン40が外縁部認識用パターン40の場合、撮像画像において外縁部認識用パターン40とそれよりも中間部との間でコントラストが大きくなる。従って撮像画像において、このコントラストの差の大きい部分を抽出するなどすることによって外縁部認識用パターン40を認識することができる。
【0042】
次に認識したパターン40を用いて配線部材10におけるベース材30に係る所定の位置の2次元的位置を認識する。例えば、認識したパターンを用いて形状マッチングを行うことによって配線部材10におけるベース材30に係る所定の位置の2次元的位置を認識することができる。具体的には、パターン40が外縁部認識用パターン40の場合、得られた外縁部認識用パターン40と予め記憶されたデータとを比較することによって、配線部材10のうち外縁部認識用パターン40の部分の2次元的位置、つまり、配線部材10においてベース材30の外縁部の2次元的位置を認識することができる。従って、パターン40は、厚み方向からの配線部材10の撮像画像に基づいて形状マッチングが行われたときに、配線部材10のうちベース材30に係る部分の少なくとも一部の位置の検出を容易にするためのものであるととらえることもできる。
【0043】
このように配線部材10におけるベース材30に係る所定の位置の2次元的位置を認識することによって、得られた2次元的位置情報から、組付作業時にロボットハンドなどが把持する部分の位置(例えば、コネクタの位置、クランプの位置)などを特定することができ、もって自動組付作業を円滑に進めることができる。
【0044】
以上のように構成された配線部材10によると、配線体12に形成されたパターン40によって、配線部材10における所定の位置を認識しやすくなる。またパターン40として外縁部認識用パターン40が形成されているため、ベース材30の外縁部においてコントラストが生じやすくなり、ベース材30の外縁部を認識しやすくなる。
【0045】
またカバー34によって配線部材10の剛性が高められているため、ベース材30に係る部分の形状が維持されやすい。このため、パターン40によってベース材30における一部の位置を認識することによって、ベース材30における任意の位置を把握しやすくなる。
【0046】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線部材について説明する。
図3は、実施形態2に係る配線部材110を示す平面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。以下の各実施形態の説明においても同様である。
【0047】
実施形態2に係る配線部材110においてパターン140が、実施形態1に係る配線部材10におけるパターン40とは異なる。具体的には、パターン140として特徴部140が設けられている。特徴部140は、配線体12において他の部分と一致しない外観を示す部分である。外縁部認識用パターン40が、ベース材30に係る部分の全体を認識するのに対して、特徴部140は、ベース材130に係る部分の一部を認識する。
【0048】
本例では、特徴部140として形状特異部140が形成されている。形状特異部140は、ベース材130の形状において、一部の形状が他の部分の形状と異なるように形成された部分である。なお、
図3に示す例では、シート材132の形状において、一部の形状が他の部分の形状と異なるように形成されて形状特異部140とされている。もちろん、カバー34の形状において、一部の形状が他の部分の形状と異なるように形成されて形状特異部140とされていてもよい。
【0049】
形状特異部140が形成される位置は、特に限定されるものではなく、ベース材130の任意の位置に形成可能である。ここでは、形状特異部140は、ベース材130の外縁部に形成されている。従って、ベース材130の外縁部において、形状特異部140の形状が他の部分の形状と異なるように形成されている。特にここでは、形状特異部140は、ベース材130の角部に形成されている。
【0050】
形状特異部140は、ベース材130の角部を構成する2つの縁部からそれぞれ延出する部分が繋がるように形成されている。これにより、形状特異部140が折れ曲がって隠れてしまうことを抑制できる。より具体的には、
図3に示す例では、形状特異部140は、ベース材130の外縁部において帯状部分36aと帯状部分36bとが交わって曲がる角部の内周側部分に形成されている。形状特異部140は、帯状部分36aの縁から延出する部分と、帯状部分36bの縁から延出する部分とが繋がるように形成されている。
【0051】
形状特異部140の形状は特に限定されるものではなく、他の部分と一致しない形状であれば任意の形状に形成可能である。形状特異部140の形状は、平面視において回転非対称な形状に形成されているとよい。
図3に示す例では、形状特異部140は、平面視において方形の一の角部が欠けた形状に形成されている。形状特異部140は、同じ向きの角部が連続する段差形状に形成されているととらえることもできる。
【0052】
形状特異部140の大きさは、認識可能な寸法であれば特に限定されるものではない。例えば、画像処理を用いて形状特異部140を認識する場合、撮像部の解像度などに鑑みて形状特異部140が設定されるとよい。例えば形状特異部140は、ベース材130の幅寸法以下の大きさに形成されていてもよい。また形状特異部140は、複数の線状伝送部材20の並列方向の寸法(最も外側の2つの線状伝送部材20の間隔)以下の大きさに形成されていてもよい。
【0053】
パターン140が特徴部140の場合でも、実施形態1で説明した動作例と同様にして、一般的な画像認識技術によって特徴部140を認識し、配線部材110の所定の位置を認識することができる。このとき、パターン140が特徴部140の場合であって、撮像時に特徴部140の位置がある程度類推可能な場合は、ベース材130全体が撮像範囲とされる必要はなく、少なくとも特徴部140の全体を含む範囲が撮像範囲とされていればよい。
【0054】
配線部材110によっても配線体112に設けられたパターン140によって、配線部材110における所定の位置を認識しやすくなる。配線部材110によると、パターン140として特徴部140が設けられているため、特徴部140を認識することで、特徴部140が設けられた部分を認識しやすくなる。また特徴部140として形状特異部140が形成されているため、ベース材130の形状によって特徴部140を形成することができる。
【0055】
[実施形態3]
実施形態3に係る配線部材について説明する。
図4は、実施形態3に係る配線部材210を示す平面図である。
【0056】
実施形態3に係る配線部材210において特徴部240が、実施形態2に係る配線部材110における特徴部140とは異なる。本例では、特徴部240が経路特異部240である。経路特異部240は、ベース材230における線状伝送部材20の経路において、一部の経路の外観が他の部分の経路の外観と異なる。
【0057】
線状伝送部材20の経路において、経路特異部240とされる部分は特に限定されるものではなく、その経路の外観が他の部分の経路の外観と異なっている部分であれば、任意の部分を設定可能である。ここでは線状伝送部材20のうち曲がった部分が経路特異部240とされている。このとき曲がり始めの部分から曲がり終わりの部分までが経路特異部240とされているとよい。
【0058】
また経路特異部240では、経路の外観が異なっていればよく、同じ経路の箇所が存在していてもよい。例えば、線状伝送部材20のうち同様に曲がった部分が複数箇所ある場合でも、一つの箇所のみが見え、他の全部がカバー34に隠れるなどして見えなくなっていれば、その見える箇所の部分を経路特異部240とすることができる。
【0059】
ここでは経路特異部240の経路を他の部分の経路よりも目立たせやすくする経路認識支援部が設けられている。経路特異部240においてカバー234が設けられておらず線状伝送部材20が露出し、経路特異部240以外においてカバー234が設けられて、経路認識支援部とされている。経路特異部240に透明なカバーが設けられ、他の部分で不透明なカバーが設けられて経路認識支援部とされていてもよい。またカバーがない場合には、経路特異部240においてシート材32が線状伝送部材20と異なる色とされ、他の部分でシート材32が線状伝送部材20と同系色とされて経路認識支援部とされていてもよい。
【0060】
特徴部240が経路特異部240である場合、線状伝送部材20の色(被覆24の色)とベース材230の色(
図4に示す例では、シート材32の色)とが異なっているとよい。特に線状伝送部材20の色とベース材230の色とが、例えば白と黒などコントラストが大きくなるように設定されているとよい。これにより、経路特異部240を認識しやすくなる。
【0061】
配線部材210によっても配線体212に形成されたパターン240としての特徴部240によって、配線部材210における所定の位置を認識しやすくなる。配線部材210によると、線状伝送部材20の経路によって特徴部240を形成することができる。なお、実施形態1で説明した動作例と同様にして、一般的な画像認識技術を用いて経路特異部240を認識し、配線部材210の所定の位置を認識することができる。
【0062】
[実施形態4]
実施形態4に係る配線部材について説明する。
図5は、実施形態4に係る配線部材310を示す平面図である。なお、
図5では、ベース材30とマーキング340との色の違いを理解容易にするため、一部に砂地のハッチングを施している。
【0063】
実施形態4に係る配線部材310において特徴部340が、第2、実施形態3に係る配線部材110、210における特徴部140、240とは異なる。本例では、特徴部340がマーキング340である。マーキング340は、ベース材30における表面の一部に施されている。
【0064】
マーキング340が施される位置は、特に限定されるものではなく、ベース材30の任意の位置に施されることが可能である。ここでは、マーキング340は、ベース材30の端部に施されている。より具体的には、
図5に示す例では、マーキング340は、ベース材30において帯状部分36aのうち帯状部分36bと交わる側とは反対側の端部に施されている。例えばマーキング340は、ベース材30において平面視に直交する方向に平面に保たれる部分に施されることが考えられる。これにより、マーキング340が傾きにくくなり、もってマーキング340の認識ミスが生じにくくなる。
図5に示す例では、マーキング340は、カバー34のうち線状伝送部材20を覆う部分に施されている。
【0065】
マーキング340の形状は、特に限定されるものではなく、他の部分と一致しない形状であれば任意の形状に形成可能である。好ましくは、マーキング340は、平面視において回転非対称な形状に形成されているとよい。
図3に示す例では、マーキング340は、平面視において方形の一の角部が欠けた形状に形成されている。
【0066】
マーキング340の大きさは、認識可能な寸法であれば特に限定されるものではない。例えば、画像処理を用いてマーキング340を認識する場合、撮像部の解像度などに鑑みてマーキング340の大きさが設定されるとよい。例えばマーキング340は、ベース材30の幅寸法以下の大きさに形成されていてもよい。またマーキング340は、複数の線状伝送部材20の並列方向の寸法(外側の2つの線状伝送部材20の間隔)以下の大きさに形成されていてもよい。
【0067】
係るマーキング340の材料は、特に限定されるものではない。例えば、マーキング340として、ベース材30に対して、塗料が塗布されてもよいし、ベース材30よりも細幅の細帯状部材が張り付けられていてもよい。
【0068】
配線部材310によっても配線体12に形成されたパターン340としての特徴部340によって、配線部材310における所定の位置を認識しやすくなる。配線部材310によると、ベース材30へのマーキング340によって特徴部340を形成することができる。なお、実施形態1で説明した動作例と同様にして、一般的な画像認識技術によってマーキング340を認識し、配線部材310の所定の位置を認識することができる。
【0069】
[付記]
これまで配線部材においてベース材がカバーを含むものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。ベース材がカバーを含まない場合もあり得る。
【0070】
また配線体において、ベース材としてのシート材上に線状伝送部材20が固定されるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば配線体において、ベース材の内部に線状導体が固定されていてもよい。係る配線体として、2枚のフィルムによって複数の線状導体が挟まれたり、複数の線状導体の周囲に樹脂材料が押出成形されたりして形成された、いわゆるFFC(フレキシブルフラットケーブル)などであってもよい。
【0071】
またこれまで一の配線部材において一のパターンのみが形成されているものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。一の配線部材において複数のパターン40、140、240、340が併用されていてもよい。この場合、複数のパターン40、140、240、340は任意の組み合わせで併用可能である。
【0072】
なお上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0073】
10、110、210、310 配線部材
12、112、212 配線体
20 線状伝送部材
22 伝送線本体
24 被覆
30、130、230 ベース材
32、132 シート材
34、234 カバー
36a、36b 帯状部分
40 外縁部認識用パターン(パターン)
140 形状特異部(パターン、特徴部)
240 経路特異部(パターン、特徴部)
340 マーキング(パターン、特徴部)
C コネクタ