(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構およびボビンハンガー
(51)【国際特許分類】
D01H 9/04 20060101AFI20230704BHJP
D01H 13/14 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
D01H9/04 C
D01H13/14
(21)【出願番号】P 2020070274
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宏之
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-065875(JP,U)
【文献】特開平08-059088(JP,A)
【文献】特開平11-152631(JP,A)
【文献】特開2000-027041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 9/04
D01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
満ボビンを吊持するための複数の満ボビンハンガーと、
前記複数の満ボビンハンガーと交互に配列され、空ボビンを吊持するための複数の空ボビンハンガーと、前記満ボビンハンガーおよび前記空ボビンハンガーを案内するレール部と、を備え、
前記満ボビンハンガーは、
前記レール部から垂下される満ボビン用軸部と、
前記満ボビン用軸部に挿入されたボビンと当接可能であり、前記満ボビン用軸部に対して最下位置とそれよりも上方の係止位置とに昇降可能な満ボビン用昇降体と、を備え、
前記満ボビン用昇降体の上昇により前記満ボビンを前記満ボビンハンガーに係止する粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構において、
前記満ボビンハンガーと前記空ボビンハンガーとの配列方向に向けてセンサ光を投光する満ボビン用投光部および前記満ボビン用投光部からのセンサ光を受光する満ボビン用受光部を有する満ボビンハンガー用光電センサと、
前記満ボビン用昇降体に設けられ、前記満ボビン用投光部のセンサ光を遮光する満ボビン用遮光部と、を備え、
前記満ボビン用投光部のセンサ光は、前記満ボビン用昇降体が前記係止位置にあるときに前記満ボビン用遮光部により遮光される位置に設定されていることを特徴とする粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構。
【請求項2】
前記空ボビンハンガーは、
前記レール部から垂下される空ボビン用軸部と、
前記空ボビン用軸部に挿入されたボビンと当接可能であり、前記空ボビン用軸部に対して最下位置とそれよりも上方の係止位置とに昇降可能な空ボビン用昇降体と、を備え、
前記配列方向に向けて投光する空ボビン用投光部および前記空ボビン用投光部からの投光を受光する空ボビン用受光部を有する空ボビンハンガー用光電センサと、
前記空ボビン用昇降体に設けられ、前記空ボビン用投光部のセンサ光を遮光する空ボビン用遮光部と、を備え、
前記空ボビン用投光部のセンサ光は、前記空ボビン用昇降体が前記係止位置にあるときに前記
空ボビン用遮光部により遮光される位置に設定されていることを特徴とする請求項1記載の粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構。
【請求項3】
前記満ボビン用遮光部は、前記満ボビン用昇降体とは別部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構。
【請求項4】
ボビンを吊持するボビン用軸部と、
前記ボビン用軸部に対して昇降可能なボビン用昇降体と、を備えた粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構に用いるボビンハンガーであって、
前記ボビン用昇降体にはボビン用遮光部が備えられ、
前記ボビン用遮光部は、前記ボビン用軸部にボビンが吊持されることにより前記ボビン用昇降体が上昇したとき、前記ボビン検出機構が備える透過式光電センサのセンサ光を遮光することを特徴とする粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構に用いるボビンハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構およびボビンハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、粗紡機にて粗糸の巻き取りを終えた満ボビンをボビンレールから取り出す玉揚げ作業および空ボビンをボビンレールに供給する空ボビン供給作業は、機械化によって自動化が進められている。また、満ボビン、空ボビンを検知手段で検知して満ボビン、空ボビンの着脱ミスを検知するボビン受け渡しミス検知装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1では、ボビン搬送装置のボビン保持具は、長手方向に交互に空ボビンと満ボビンとを保持可能としているが、このボビン搬送装置のボビン保持具の高さが交互にずらして設けられている。ボビン搬送装置における上側のボビン保持具は満ボビン保持具であり、下側のボビン保持具は空ボビン保持具である。検知手段の検知領域は、ボビン交換後、ボビン交換前に空ボビン保持具に保持されていた空ボビンの上端部分または下端部分が存在していた長手方向領域である。検知手段は検知領域において空ボビン保持具に保持された空ボビンの上端部分または下端部分が存在するかどうかを検知する。そして、ボビン受け渡しミス検知装置によれば、ボビン交換の際にボビン搬送装置に満ボビンが吊下保持された状態で空ボビンが保持されていたとしても、容易に検知できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のボビン受け渡しミス検知装置は、満ボビン保持具の高さと空ボビン保持部の高さとが異なるため、玉揚げ作業および空ボビン供給作業において満ボビンおよび空ボビンを異なる高さで受け渡さなくてはならないという問題がある。満ボビンおよび空ボビンを異なる高さで受け渡たすためには、満ボビンの受け渡しのための機構と空ボビンの受け渡しのための機構がそれぞれ専用の機構となる。また、ボビン搬送装置から満ボビンを別の搬送ラインに移載するとともに空ボビンをこの別の搬送ラインからボビン搬送装置へ移載するボビン交換装置が設けられるが、ボビン交換装置におけるボビン受け渡しのための構造が複雑となる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、満ボビンハンガーと空ボビンハンガーが同じ高さであっても満ボビンハンガーにおける空ボビンの存在を検出可能とする粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構およびボビンハンガーの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、満ボビンを吊持するための複数の満ボビンハンガーと、前記複数の満ボビンハンガーと交互に配列され、空ボビンを吊持するための複数の空ボビンハンガーと、前記満ボビンハンガーおよび前記空ボビンハンガーを案内するレール部と、を備え、前記満ボビンハンガーは、前記レール部から垂下される満ボビン用軸部と、前記満ボビン用軸部に挿入されたボビンと当接可能であり、前記満ボビン用軸部に対して最下位置とそれよりも上方の係止位置とに昇降可能な満ボビン用昇降体と、を備え、前記満ボビン用昇降体の上昇により前記満ボビンを前記満ボビンハンガーに係止する粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構において、前記満ボビンハンガーと前記空ボビンハンガーとの配列方向に向けてセンサ光を投光する満ボビン用投光部および前記満ボビン用投光部からのセンサ光を受光する満ボビン用受光部を有する満ボビンハンガー用光電センサと、前記満ボビン用昇降体に設けられ、前記満ボビン用投光部のセンサ光を遮光する満ボビン用遮光部と、を備え、前記満ボビン用投光部のセンサ光は、前記満ボビン用昇降体が前記係止位置にあるときに前記満ボビン用遮光部により遮光される位置に設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、ボビン搬送装置に満管となった満ボビンを複数の空の満ボビンハンガーにそれぞれ吊持させるが、何らかの理由で満ボビンハンガーに空ボビンが吊持されていると満ボビン用昇降体が最下位置よりも上方の係止位置に上昇するので、満ボビン用遮光部がセンサ光を遮断する。満ボビン用遮光部がセンサ光を遮断することにより、複数の満ボビンハンガーのいずれかに空ボビンが吊持されていることが検出される。したがって、満ボビンハンガーと空ボビンハンガーが同じ高さであっても、満ボビンハンガーにおける空ボビンの存在を検出可能である。
【0009】
また、上記の粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構において、前記空ボビンハンガーは、前記レール部から垂下される空ボビン用軸部と、前記空ボビン用軸部に挿入されたボビンと当接可能であり、前記空ボビン用軸部に対して最下位置とそれよりも上方の係止位置とに昇降可能な空ボビン用昇降体と、を備え、前記配列方向に向けて投光する空ボビン用投光部および前記空ボビン用投光部からの投光を受光する空ボビン用受光部を有する空ボビンハンガー用光電センサと、前記空ボビン用昇降体に設けられ、前記空ボビン用投光部のセンサ光を遮光する空ボビン用遮光部と、を備え、前記空ボビン用投光部のセンサ光は、前記空ボビン用昇降体が前記係止位置にあるときに前記空ボビン用遮光部により遮光される位置に設定されている構成としてもよい。
【0010】
この場合、空ボビンを粗紡機が備えるボビンレールに供給する際、複数の空ボビンハンガーから全ての空ボビンがボビンレールに移載できると、空ボビンハンガーに空ボビンが存在しない。この場合、センサ光は空ボビン用遮光部により遮断されないので、空ボビンハンガーから全ての空ボビンが移載できたことを検出できる。一方、複数の空ボビンハンガーのいずれかに空ボビンが存在する場合には、空ボビン用遮光部がセンサ光を遮断し、空ボビンハンガーのいずれかに空ボビンが吊持されていることが検出される。これにより、ボビンレールに移載されなかった空ボビンが空ボビンハンガーに存在することが検出できる。
【0011】
また、上記の粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構において、前記満ボビン用遮光部は、前記満ボビン用昇降体とは別部材である構成としてもよい。
【0012】
この場合、満ボビン用遮光部が満ボビン用昇降体とは別部材であるため、満ボビンハンガーにおける満ボビン用昇降体が、満ボビン用遮光部を備えない既存の満ボビン用昇降体であっても、満ボビン用昇降体に満ボビン用遮光部を設けることができる。
【0013】
また、本発明は、ボビンを吊持するボビン用軸部と、前記ボビン用軸部に対して昇降可能なボビン用昇降体と、を備えた粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構に用いるボビンハンガーであって、前記ボビン用昇降体にはボビン用遮光部が備えられ、前記ボビン用遮光部は、前記ボビン用軸部にボビンが吊持されることにより前記ボビン用昇降体が上昇したとき、前記ボビン検出機構が備える透過式光電センサのセンサ光を遮光することを特徴とする。
【0014】
本発明のボビンハンガーによれば、ボビン用遮光部が備えられているボビンハンガーを満ボビンハンガーとし、ボビン用遮光部が備えられていないボビンハンガーを空ボビンハンガーとすることにより、満ボビンハンガーと空ボビンハンガーが同じ高さであっても満ボビンハンガーにおける空ボビンの存在が検出可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、満ボビンハンガーと空ボビンハンガーが同じ高さであっても満ボビンハンガーにおける空ボビンの存在を検出可能とする粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構およびボビンハンガーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構の側面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る粗紡機用ボビン搬送装置の概略平面図である。
【
図3】(a)は第1の実施形態に係るボビン検出機構の概略平面図あり、(b)はボビン検出機構の背面図であり、(c)ボビン検出機構の正面図である。
【
図4】ボビン(空ボビン)の一部を破断して示す要部断面図である。
【
図5】(a)はボビンを吊持しないときの空ボビンハンガーの側面図であり、(b)はボビンを吊持するときの空ボビンハンガーの側面図であり、(c)はボビンの吊持が解除されたときの空ボビンハンガーの側面図である。
【
図6】(a)はボビンを吊持しないときの満ボビンハンガーの側面図であり、(b)はボビンを吊持するときの満ボビンハンガーの側面図であり、(c)はボビンの吊持が解除されたときの満ボビンハンガーの側面図である。
【
図7】第2の実施形態に係るボビン検出機構の概略平面図である。
【
図8】(a)は空ボビンハンガーの正面図であり、(b)は満ボビンハンガーの正面図である。
【
図9】(a)は変形例に係る満ボビンハンガーの要部正面図であり、(b)は満ボビン遮光部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る粗紡機用ボビン搬送装置におけるボビン検出機構およびボビンハンガーについて図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、粗紡機10は、機台11と、機台11に設けられた上部支持式のフライヤ12と、複数のボビン13を支持するボビンレール14と、スライバSを引き伸ばして粗糸Rを送り出すドラフト機構15と、を有している。
図2に示すように、ボビンレール14には、複数のボビン13を支持する複数のボビンホイール16が設けられている。ボビンレール14における複数のボビンホイール16は、複数のボビン13が粗紡機10の長手方向に向けて等ピッチで2列となるように配設されている。1列目のボビンホイール16と2列目のボビンホイール16とは列方向において互いに半ピッチだけずれた位置となっている。なお、本実施形態においてボビン13を空のボビン13と粗糸Rで満管となったボビン13とを区別する場合、空のボビン13は空ボビン13Eとし、粗糸Rの巻き付けにより満管となったボビン13は満ボビン13Fとする。
【0019】
粗紡機10の側方には、
図1に示すように、ボビンレール14を支持するボビンレール支持装置17が設けられている。ボビンレール支持装置17は、粗紡機10のボビンレール14とボビンレール14の前方に設定されているボビン受け渡し位置Pとの間を往復移動可能な本体部18と、粗紡機10が備えるボビンレール14を支持するボビンレール支持部19と、を有している。ボビン受け渡し位置Pは、ボビンレール支持装置17と、次に説明する粗紡機用ボビン搬送装置(以下、「ボビン搬送装置」と表記する)20との間でボビン13を受け渡す位置である。
【0020】
ボビン受け渡し位置Pの上方には、昇降可能なボビン搬送装置20が設けられている。ボビン搬送装置20は、ボビン受け渡し位置Pにおけるボビンレール14との間でボビン13の受け渡しを行う装置である。ボビン搬送装置20は、ボビン13を吊持可能な複数のボビンハンガー21と、ボビンハンガー21を案内するレール部22と、レール部22を支持するレール支持部23と、を備えている。
【0021】
ボビンハンガー21は、ボビン13を吊持するためのハンガーである。
図2に示すように、多数のボビンハンガー21は、レール部22において等ピッチで配設されている。ボビンハンガー21は、空ボビン13Eを吊持する複数の空ボビンハンガー21Eと、満ボビン13Fを吊持する複数の満ボビンハンガー21Fであり、空ボビンハンガー21Eおよび満ボビンハンガー21Fはレール部22において交互に配設されている。また、満ボビンハンガー21Fと空ボビンハンガー21Eは同じ高さで配設されている。空ボビンハンガー21Eおよび満ボビンハンガー21Fの構造は後述する。
【0022】
レール部22は、互いに平行に配設される一対の直線レール24と、直線レール24の両端部をそれぞれ接続する円弧レール25と、を備えている。一対の直線レール24の長手方向は、粗紡機10の長手方向と平行である。ボビン搬送装置20がボビン13を受け渡す状態では、ボビン受け渡し位置Pのボビンレール14のボビンホイール16の位置と対応するように、一対の直線レール24に等ピッチで配設されている。円弧レール25は直線レール24の両端部をそれぞれ接続する円弧状のレールであり、直線レール24および円弧レール25はボビンハンガー21の搬送を可能とする。
【0023】
レール支持部23はレール部22を取り付けるためのブラケットである。レール支持部23の下面に、一対の直線レール24および一対の円弧レール25が取り付けられている。
【0024】
図2に示すように、レール部22における一方の端部に接近してボビン搬送ライン26が配設されている。ボビン搬送ライン26は、粗紡機10により満管となった満ボビン13Fを精紡機(図示せず)へ向けて搬送するほか、ボビン搬送装置20へ供給される空ボビン13Eを搬送する。ボビン搬送ライン26は、ボビン13を吊持するボビンハンガー(図示せず)を備え、ボビン搬送ライン26が備えるボビンハンガーは一方へ向けて搬送される。
【0025】
ボビン搬送装置20とボビン搬送ライン26との間には、ボビン交換装置27が備えられている。ボビン交換装置27は、ボビン搬送装置20とボビン搬送ライン26との間で空ボビン13Eと満ボビン13Fとを交換する。ボビン搬送装置20において空ボビン13Eと満ボビン13Fとを交換するボビン交換位置は、円弧レール25の中間である。ボビン交換装置27により空ボビンハンガー21Eがボビン搬送ライン26からの空ボビン13Eを受け取るとともに、満ボビンハンガー21Fから満ボビン13Fをボビン搬送ライン26に受け渡すことで、空ボビン13Eと満ボビン13Fとが交換される。
【0026】
ボビン搬送装置20は、昇降装置30によって昇降可能である。
図1に示すように、昇降装置30は、複数の支柱31と、支柱31に対して昇降可能であって、レール支持部23を支持する支持アーム32と、支持アーム32を昇降させる昇降機構33を有している。
図1では支柱31は1本しか図示されないが、複数の支柱31が粗紡機10の長手方向に沿って配設されている。支持アーム32は支柱31毎に備えられている。支柱31の上端部には粗紡機10側へ向けて水平に延在する横架部材34が設けられている。支持アーム32と昇降機構33とはベルト35により接続されている。昇降機構33はモータ(図示せず)とベルト35を巻き取る巻取り部(図示せず)を備えている。モータの駆動によりベルト35が巻き取られると支持アーム32は上昇し、ベルト35を送り出されると支持アーム32を下降する。
【0027】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが吊持されているか否かを検出するボビン搬送装置20におけるボビン検出機構36が設けられている。ボビン検出機構36は、複数の空ボビンハンガー21Eと、複数の満ボビンハンガー21Fと、一対の直線レール24に対応して一対の満ボビンハンガー用光電センサ37と、を備えている。
【0028】
満ボビンハンガー用光電センサ37は透過式光電センサであり、
図3(a)に示すように、満ボビン用投光部38と、満ボビン用投光部38からのセンサ光Lを受光する満ボビン用受光部39とを有している。満ボビン用投光部38はレール支持部23の一方の端部に設けられ、満ボビン用受光部39はレール支持部23の他方の端部に設けられている。満ボビン用投光部38からの投光の方向は、満ボビンハンガー21Fの側方にて満ボビンハンガー21Fと空ボビンハンガー21Eとの配列方向であって、直線レール24と平行な方向である。
図3(a)に示すように、満ボビンハンガー用光電センサ37は、制御装置28と接続されている。制御装置28はボビン搬送装置20および昇降装置30を制御する。
【0029】
図3(b)、
図3(c)に示すように、満ボビンハンガー用光電センサ37のセンサ光Lの位置は、ボビンハンガー21に近接する位置である。多数の満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが一つでも存在するとセンサ光Lが遮光され、制御装置28は、センサ光Lの遮光を検知することにより、満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが吊持されていることを検出する。満ボビン用投光部38のセンサ光Lは、空ボビン13Eが満ボビンハンガー21Fに吊持されたとき後述する昇降部材49が上昇する位置と同じ高さに設定されている。
【0030】
次に、ボビン13について説明すると、
図4に示すように、ボビン13は、筒状のボビン本体40を備えている。ボビン本体40の開口部には、ボビン13の軸方向に対して傾斜するテーパ面41が備えられている。ボビン本体40は、テーパ面41から連続する第1内周面42と、第1内周面42より大きな内径を有する第2内周面43と、第1内周面42と第2内周面43との間の段差面44とを有している。ボビン本体40の外周面に粗糸Rが巻き付けられることにより、空ボビン13Eの状態から満ボビン13Fの状態となる。
【0031】
ここで、空ボビンハンガー21Eおよび満ボビンハンガー21Fの構成について説明する。
図5(a)~
図5(c)に示すように、空ボビンハンガー21Eは、空ボビン13Eに挿入可能な軸部45と、軸部45の先端部において軸部45の径方向外側へ出没可能な係止片46と、軸部45に対して昇降する昇降部材47と、を備えている。軸部45は、ボビン用軸部および空ボビン用軸部に相当し、レール部22から垂下されている。軸部45の内部には、係止片46を軸部45から突出させようとする係止片制御機構(図示せず)が収容されている。昇降部材47は、下面よりも上面の面積が大きい円錐台形状であって、中心には軸部45が挿通される通孔48を有している。
【0032】
昇降部材47は昇降によって係止片46を出没させる部材である。具体的には、
図5(a)に示すように、昇降部材47が最下位置のとき、係止片46は軸部45から突出されない。最下位置とは、
図5(a)に示すように、昇降部材47が軸部45に対して最も下がった位置である。
図5(b)に示すように、昇降部材47がボビン13と当接し、ボビン13の突き上げによって上昇すると、係止片46は係止片制御機構によって軸部45から突出する。係止片46が突出することで空ボビン13Eが空ボビンハンガー21Eに係止される。
図5(b)に示す昇降部材47の位置は、最下位置よりも上方であって、空ボビン13Eが空ボビンハンガー21Eに係止される係止位置に相当する。また、
図5(c)に示すように、空ボビン13Eが空ボビンハンガー21Eに吊持される状態で、昇降部材47が空ボビン13Eの突き上げによって上昇されると、係止片46は軸部45の内部に退避し、空ボビン13Eは空ボビンハンガー21Eから離脱可能となる。昇降部材47は、ボビン用昇降体および空ボビン用昇降体に相当する。
【0033】
次に、満ボビンハンガー21Fについて説明する。
図6(a)~
図6(c)に示すように、満ボビンハンガー21Fの各構成は昇降部材49を除き空ボビンハンガー21Eと同じ構成であり、同じ構成については空ボビンハンガー21Eと同じ符号を用いる。満ボビンハンガー21Fの昇降部材49は、本体部50と、本体部50と一体形成された満ボビン用遮光部51と、を備えている。本体部50は満ボビン13Fの昇降部材47に相当する。満ボビンハンガー21Fの軸部45は、ボビン用軸部および満ボビン用軸部に相当し、昇降部材49は、ボビン用昇降体および満ボビン用昇降体に相当する。
【0034】
満ボビン用遮光部51は、
図6(b)に示すように、満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが吊持されたときにセンサ光Lを遮光する部位である。昇降部材49は、全体としては円錐台形状であるが、昇降部材49の軸方向の長さは昇降部材47の2倍程度である。満ボビン用遮光部51は、本体部50が軸部45の上端付近まで上昇できるように筒状に形成されている。
【0035】
昇降部材49は昇降によって係止片46を出没させる部材である。また、空ボビン13Eを吊持しているか否かを検出するための被検出体として機能する。具体的には、
図6(a)に示すように、昇降部材49が最下位置のとき、係止片46は軸部45から突出されない。最下位置とは、
図6(a)に示すように、昇降部材49が軸部45に対して最も下がった位置である。
図6(b)に示すように、昇降部材49がボビン13と当接し、ボビン13の突き上げによって上昇すると、係止片46は係止片制御機構により軸部45から突出する。係止片46が突出することでボビン13が満ボビンハンガー21Fに係止される。
図6(b)に示す昇降部材49の位置は、最下位置よりも上方であって、空ボビン13Eが空ボビンハンガー21Eに係止される係止位置に相当する。また、
図6(c)に示すように、ボビン13が満ボビンハンガー21Fに吊持される状態で、昇降部材49が空ボビン13Eの突き上げによって上昇されると、係止片46は軸部45の内部に退避し、ボビン13は満ボビンハンガー21Fから離脱可能となる。
【0036】
次に、本実施形態における管替について説明する。粗紡機10ではボビン13に対する粗糸Rの巻き取りが行われる。一方、ボビン搬送装置20では、空ボビンハンガー21Eに空ボビン13Eが吊持され、空ボビン13Eは次の粗糸Rの巻き付けのためにボビン受け渡し位置Pの上方で待機している。ボビン搬送装置20の満ボビンハンガー21Fは、粗紡機10の満ボビン13Fを吊持することが予定されるため、ボビン13が吊持されず空けられている。
【0037】
粗紡機10においてボビン13が粗糸Rの巻き取りによって満管となると、粗紡機10による粗糸Rの巻き取りは停止される。粗紡機10の巻き取りが停止すると、ボビンレール支持装置17が粗紡機10へ向けて移動する。ボビンレール支持部19がボビンレール14を支持すると、ボビンレール支持装置17は、ボビン受け渡し位置Pまで移動する。ボビン受け渡し位置Pでは、ボビンレール14上の満ボビン13Fの軸心が満ボビンハンガー21Fの軸心が一致する。
【0038】
次に、昇降装置30の支持アーム32が下降するように、昇降機構33が作動される。ボビン搬送装置20は支持アーム32の下降とともに下降する。ボビン搬送装置20の下降により満ボビンハンガー21Fの軸部45がボビンレール14上の満ボビン13Fに挿通されると、満ボビンハンガー21Fの昇降部材49が満ボビン13Fと当接し、満ボビン13Fに突き上げられて上昇し、その結果、係止片46が軸部45から突出される。軸部45から係止片46が突出されることにより、満ボビン13Fは満ボビンハンガー21Fに係止可能となる。次に、支持アーム32を上昇させるように昇降機構33が作動し、ボビン搬送装置20が上昇すると、満ボビン13Fは満ボビンハンガー21Fに吊持され、ボビンレール14からボビン搬送装置20に移載される。
【0039】
次に、ボビン搬送装置20における空ボビンハンガー21Eおよび満ボビンハンガー21Fを1ピッチだけレール部22に対して移動させるように、ボビン搬送装置20を作動させる。空ボビンハンガー21Eおよび満ボビンハンガー21Fを1ピッチだけレール部22に対して移動することにより、空ボビン13Eの軸心がボビンレール14のボビンホイール16の軸心と一致する。
【0040】
次に、昇降装置30の支持アーム32が下降するように、昇降機構33が作動されると、ボビン搬送装置20は満ボビン13Fおよび空ボビン13Eを吊持した状態で下降する。ボビン搬送装置20の下降により、空ボビン13Eがボビンホイール16に載置される。空ボビン13Eがボビンホイール16に載置された後、さらに、ボビン搬送装置20が下降すると、空ボビンハンガー21Eの昇降部材47が空ボビン13Eと当接し、空ボビン13Eに突き上げられて上昇し、その結果、軸部45から突出されている係止片46が軸部45の内部へ退避する。空ボビンハンガー21Eによる空ボビン13Eの係止が解除され、空ボビン13Eはボビンレール14に移載される。次に、ボビン搬送装置20が上昇されるとともに、空ボビン13Eを支持したボビンレール14は、次の粗糸Rの巻き取りのために粗紡機10へ移動される。
【0041】
玉揚げと空ボビン13Eの受け渡しが完了すると、粗紡機10は空ボビン13Eに対する粗糸Rの巻き付けを開始する。一方、ボビン搬送装置20とボビン搬送ライン26との間では、ボビン交換装置27が満ボビン13Fと空ボビン13Eとを交換する。具体的には、ボビン搬送装置20の満ボビン13Fと、ボビン搬送ライン26から搬送される空ボビン13Eと、が交換される。つまり、ボビン搬送装置20の満ボビン13Fはボビン搬送ライン26に送り出され、ボビン搬送ライン26が搬送する空ボビン13Eがボビン搬送装置20の空ボビンハンガー21Eに送り出される。ボビン搬送ライン26は満ボビン13Fを精紡機へ向けて搬送する。ボビン搬送装置20では、空ボビンハンガー21Eにのみ空ボビン13Eが吊持される状態となり、次の管替に備えて待機する。
【0042】
次に、本実施形態に係るボビン検出機構36による満ボビンハンガー21Fにおける空ボビン13Eの検出について説明する。何らかの原因で、ボビン搬送装置20の満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが1本でも係止されていると、ボビンレール14の満ボビン13Fを満ボビンハンガー21Fに受け渡す際に、満ボビンハンガー21Fの空ボビン13Eが満ボビン13Fに衝突してしまう。そこで、本実施形態では、満ボビンハンガー21Fの空ボビン13Eが満ボビン13Fと衝突しないように、満ボビン13Fを満ボビンハンガー21Fへ受け渡す前に、ボビン検出機構36は満ボビンハンガー21Fにおける空ボビン13Eを検出する。
【0043】
図6(a)に示すように、満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが係止されていない状態では、昇降部材49は軸部45に対して最下位置に位置するので、満ボビン用遮光部51はセンサ光Lの位置よりも低い位置にあり、センサ光Lを遮ることがない。このため、満ボビン用投光部38から投光されるセンサ光Lは満ボビン用受光部39により受光される。このため、制御装置28は、センサ光Lの遮光を検知せず、複数の満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが係止されていないことを検出する。
【0044】
図6(b)に示すように、空ボビン13Eが満ボビンハンガー21Fに係止される状態では、昇降部材49が係止されている空ボビン13Eと当接し、空ボビン13Eにより突き上げられるので、満ボビン用遮光部51はセンサ光Lを遮光する。このため、満ボビン用受光部39は遮光されたためにセンサ光Lを受光せず、制御装置28は、センサ光Lの遮光を検知し、複数の満ボビンハンガー21Fのいずれかに空ボビン13Eが係止されていることを検出する。制御装置28は、空ボビン13Eの検出により、ボビン搬送装置20の作動を停止するとともに、異常を周囲に報知する。
【0045】
本実施形態のボビン検出機構36によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)ボビン搬送装置20に満管となった満ボビン13Fを空の満ボビンハンガー21Fに係止させるが、何らかの理由で満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが係止されていると昇降部材49が上昇するので、満ボビン用遮光部51がセンサ光Lを遮断する。満ボビンハンガー21Fのいずれかに空ボビン13Eが吊持されていることがセンサ光Lの遮断により検出される。したがって、満ボビンハンガー21Fと空ボビンハンガー21Eが同じ高さであっても、満ボビンハンガー21Fにおける空ボビン13Eの存在を検出可能である。
【0046】
(2)満ボビンハンガー21Fと空ボビンハンガー21Eが同じ高さであっても、満ボビンハンガー21Fにおける空ボビン13Eの存在を検出可能である。このため、満ボビンハンガーの高さと空ボビンハンガーの高さとが異なる場合と比較すると、玉揚げ作業および空ボビン供給作業において満ボビン13Fおよび空ボビン13Eを異なる高さで受け渡さなくてもよい。その結果、満ボビン13Fの受け渡し機構と空ボビン13Eの受け渡しの機構が専用の機構とする必要がなく、ボビン搬送装置20の構成や制御が簡単となる。
【0047】
(3)昇降部材49に満ボビン用遮光部51が備えられているボビンハンガー21を満ボビンハンガー21Fとし、昇降部材47に満ボビン用遮光部51が備えられていないボビンハンガー21を空ボビンハンガー21Eとすることにより、満ボビンハンガー21Fと空ボビンハンガー21Eが同じ高さであっても満ボビンハンガー21Fにおける空ボビン13Eの存在が検出可能となる。
【0048】
(4)一対の満ボビンハンガー用光電センサ37は、透過型光電センサであり、直線状に2列に配置された多数の満ボビンハンガー21Fにおいて空ボビン13Eの存在を同時に検出できる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るボビン検出機構について説明する。本実施形態では、満ボビンハンガーの空ボビンを検出するだけでなく、空ボビンハンガーにボビンが存在するか否かを検出する。第1の実施形態と同じ構成については第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0050】
図7に示すように、ボビン搬送装置60では、空ボビンハンガー61Eと、満ボビンハンガー61Fと、が交互に配設されている。空ボビンハンガー61Eと満ボビンハンガー61Fとの両側には、一対のセンサ光L1、L2が投光されるように満ボビンハンガー用光電センサ37と、空ボビンハンガー用光電センサ62が設けられている。本実施形態では、満ボビンハンガー用光電センサ37の満ボビン用投光部38はセンサ光L1を投光し、満ボビン用受光部39はセンサ光L1を受光する。
【0051】
空ボビンハンガー用光電センサ62は、満ボビンハンガー用光電センサ37と同じ構成であり、センサ光L2を投光する空ボビン用投光部63およびセンサ光L2を受光する空ボビン用受光部64を有している。空ボビンハンガー用光電センサ62は、制御装置28と接続されている。空ボビンハンガー用光電センサ62および満ボビンハンガー用光電センサ37はボビン検出機構65に相当する。空ボビン用投光部63のセンサ光L2は、空ボビン13Eが空ボビンハンガー61Eに吊持されたとき後述する昇降部材66が上昇する位置と同じ高さに設定されている。
【0052】
図8(a)に示すように、空ボビンハンガー61Eは、軸部45、係止片46、昇降部材66を備えている。昇降部材66は、本体部67と空ボビン用遮光部68を備えている。空ボビン用遮光部68は、本体部67の上部に設けられているが、空ボビンハンガー61Eに空ボビン13Eが吊持されている状態で、空ボビンハンガー用光電センサ62のセンサ光L2を遮光する形状となっている。一方、昇降部材66は、空ボビンハンガー61Eに空ボビン13Eが吊持されている状態で、満ボビンハンガー用光電センサ37のセンサ光L1を遮光しない形状である。本実施形態の空ボビン用遮光部68は第1の実施形態の満ボビン用遮光部51を半裁して一方を取り除いた形状となっている。空ボビンハンガー61Eの軸部45は、ボビン用軸部および空ボビン用軸部に相当し、昇降部材66は、ボビン用昇降体および空ボビン用昇降体に相当する。
【0053】
図8(b)に示すように、満ボビンハンガー61Fは、軸部45、係止片46、昇降部材69を備えている。昇降部材69は、本体部70と満ボビン用遮光部71を備えている。満ボビン用遮光部71は、本体部70の上部に設けられているが、満ボビンハンガー61Fに空ボビン13Eが吊持されている状態で、満ボビンハンガー用光電センサ37のセンサ光L1を遮光する形状となっている。一方、昇降部材69は、満ボビンハンガー61Fに空ボビン13Eが吊持されている状態で、空ボビンハンガー用光電センサ62のセンサ光L2を遮光しない形状である。本実施形態の満ボビン用遮光部71は第1の実施形態の満ボビン用遮光部51を半裁して他方を取り除いた形状となっている。満ボビンハンガー61Fの軸部45は、ボビン用軸部および満ボビン用軸部に相当し、昇降部材69は、ボビン用昇降体および満ボビン用昇降体に相当する。
【0054】
本実施形態によれば、満ボビン13Fの受け渡し前に、多数の満ボビンハンガー61Fにおいて1つでも空ボビン13Eが吊持されていると、満ボビンハンガー61Fが備える昇降部材69の満ボビン用遮光部71が、満ボビンハンガー用光電センサ37のセンサ光L1を遮断する。その結果、制御装置28は、センサ光L1の遮光を検知し、満ボビンハンガー61Fに空ボビン13Eが吊持されていることを検出する。
【0055】
また、空ボビン13Eをスライドレールに移載させた後、多数の空ボビンハンガー61Eにおいて1つでも空ボビン13Eが係止されていると、空ボビンハンガー61Eが備える昇降部材66の空ボビン用遮光部68が空ボビンハンガー用光電センサ62のセンサ光L2を遮断する。その結果、制御装置28は、センサ光L2の遮光を検知し、空ボビンハンガー61Eに空ボビン13Eが吊持されていることを検出する。この場合、空ボビン13Eのボビンレール14への受け渡しが不完全だったことを検出できる。遮光されない場合には、制御装置28は、空ボビン13Eのボビンレール14への受け渡しが成功したことを検出できる。また、昇降部材66と昇降部材69は、同一形状であって軸部45への取付位置が異なるだけであり、異なる形状の昇降部材を用意する必要がないので、昇降部材の形状を変更する場合と比較すると、ボビンハンガー61(61E、61F)の製作コストを抑制できる。
【0056】
(変形例)
次に、
図9(a)、
図9(b)に示す変形例に係るボビンハンガー80である満ボビンハンガー80Fについて説明する。本変形例に係る満ボビンハンガー80Fは、第1の実施形態の満ボビンハンガー21Fの変形例である。
図9(a)に示すように、軸部45に対して昇降する昇降部材81が備えられている。昇降部材81は、本体部82および満ボビン用遮光部83を備えている。本体部82は第1の実施形態の本体部50に相当する。満ボビン用遮光部83は本体部82と別部材であり、本体部82に対して着脱可能な中空円錐台状の樹脂部材である。満ボビン用遮光部83の内径面における小径側の端部付近には複数の係止爪84が設けられている。4個の係止爪84が内径面の周方向において等間隔で配設されている。満ボビン用遮光部83は、満ボビン用遮光部83を本体部82の下方から差し込むことで樹脂の弾性変形を利用して係止爪84を本体部82の上縁部に係止させることで本体部82に装着される。
【0057】
本変形によれば、第1の実施形態と同様に満ボビン用遮光部83がセンサ光Lを遮光すると満ボビンハンガー21Fに空ボビン13Eが吊持されていることを検出できる。また、満ボビン用遮光部83が本体部82と別部材であるので、本体部82を異なる材料を用いることができ、昇降部材81の軽量化が可能となる。また、本体部82が空ボビンハンガー21Eの昇降部材47と同一であっても、満ボビン用遮光部83を装着することによりセンサ光Lを遮光することができるので、既存の満ボビンハンガーにおいてセンサ光Lを遮光可能な満ボビンハンガー80Fを実現することができる。
【0058】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0059】
○ 上記の実施形態(変形例を含む)では、ボビンハンガーが備える昇降部材の遮光部は、筒状の円錐台形又は筒状の円錐台形を半裁した形としたが、これに限定されない。昇降部材の遮光部は、センサ光を遮光可能とする構成であれば形状は自由であり、例えば、平板状の遮光部であってもよい。
○ 上記の変形例では、係止爪によって満ボビン遮光部を本体部に取り付けるとしたが、この限りではない。例えば、ボルト等の締結部材を用いて満ボビン遮光部を本体部に取り付けてもよく、満ボビン遮光部の本体部への取付手段は自由である。
【符号の説明】
【0060】
10 粗紡機
13 ボビン
13E 空ボビン
13F 満ボビン
14 ボビンレール
17 ボビンレール支持装置
20、60 粗紡機用ボビン搬送装置
21、61、80 ボビンハンガー
21E、61E 空ボビンハンガー
21F、61F、80F 満ボビンハンガー
30、65 昇降装置
36 ボビン検出機構
37 満ボビンハンガー用光電センサ
38 満ボビン用投光部
39 満ボビン用受光部
45 軸部(空ボビン用軸部/満ボビン用軸部)
47 昇降部材(空ボビン用昇降体/ボビン用昇降体)
49、69、81 昇降部材(満ボビン用昇降体/ボビン用昇降体)
51、71、83 満ボビン用遮光部
62 空ボビンハンガー用光電センサ
63 空ボビン用投光器
64 空ボビン用受光器
66 昇降部材(空ボビン用昇降体/ボビン用昇降体)
68 空ボビン用遮光部
84 係止爪
L、L1、L2 センサ光
R 粗糸
S スライバ