(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】収容ボックス
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/225 20170101AFI20230704BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20230704BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20230704BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B60Q3/225
B60R7/04 C
B60Q3/64
B60N3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020163510
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 好秀
(72)【発明者】
【氏名】木野 徳人
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-132031(JP,A)
【文献】特開2014-84041(JP,A)
【文献】特開2007-203959(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1302831(KR,B1)
【文献】米国特許第10207636(US,B1)
【文献】特開2016-150650(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104197263(CN,A)
【文献】国際公開第2015/119185(WO,A1)
【文献】特開2008-7002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00-3/88
B60R 7/04
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する箱状の収容部と、
表面の導光体層と、前記導光体層の前記収容部側に設けられた不透明層とを有し、前記導光体層と前記不透明層の界面に所定のパターンを有する凹凸が設けられた、前記開口部に開閉可能に設けられた蓋と、
可視光を発する光源と、
前記光源から発せられた可視光を伝播させて、前記収容部の内部に照射する導光棒と、
を備え、
前記蓋が閉められた状態において、前記導光棒内を伝播する可視光の一部が前記導光体層に導光され、前記界面の前記凹凸により反射されて前記蓋の表面から外部に放出される、
収容ボックス。
【請求項2】
前記導光体層に導光された可視光の一部が、前記導光体層の前記導光棒側の端面の反対側の端面から外部に放出される、
請求項1に記載の収容ボックス。
【請求項3】
前記不透明層の色と、前記光源から発せられる可視光の色とが異なり、かつ、いずれも有彩色である、
請求項1又は2に記載の収容ボックス。
【請求項4】
前記導光棒が、前記収容部の外側に設置された棒状の本体と、前記本体の第1の側面の一部から突出した突出部とを有し、前記突出部が前記収容部の側壁を貫通して、先端が前記収容部の内部に露出し、
前記蓋が閉められた状態において、前記蓋の前記導光体層の前記導光棒側の端面が、前記本体の第2の側面に対向し、
前記本体の前記第1の側面の反対側の側面の前記突出部と対向する位置に、前記導光棒内を伝播する可視光を前記突出部側に反射させるための第1の線状溝群が設けられ、
前記本体の前記第2の側面の反対側の側面に、前記導光棒内を伝播する可視光を前記導光体層側に反射させるための第2の線状溝群が設けられた、
請求項1~3のいずれか1項に記載の収容ボックス。
【請求項5】
前記突出部の前記本体側の端部の、前記本体の長さ方向の幅が、5mm以上、10mm以下の範囲内にある、
請求項4に記載の収容ボックス。
【請求項6】
前記突出部が、前記本体側から離れるに従って前記本体の長さ方向の幅が大きくなる、平面形状が台形の板状の形状を有し、
前記本体の前記第1の側面と、前記突出部の前記第1の側面と連続する面との成す角が45°以上、60°以下の範囲内にある、
請求項4又は5に記載の収容ボックス。
【請求項7】
前記第1の線状溝群が設けられた領域の、前記本体の長さ方向の幅が、前記突出部の前記本体側の端部の、前記本体の長さ方向の幅の1.1倍以下である、
請求項4~6のいずれか1項に記載の収容ボックス。
【請求項8】
前記第2の線状溝群が設けられた領域に、前記第2の線状溝群のピッチが他の領域よりも狭い狭ピッチ領域が含まれ、
前記狭ピッチ領域の、前記本体の長さ方向の幅が、前記突出部の前記本体側の端部の、前記本体の長さ方向の幅の1.1倍以下である、
請求項4~7のいずれか1項に記載の収容ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のコンソールボックスなどの収納具であって、蓋部が開いた状態のときは、収納具本体の内部に光源からの光が照射され、蓋部が閉じた状態のときは、蓋部に含まれる導光板に光源からの光が導光されて外部に放出されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の収納具によれば、共通した光源で収納具本体の内部と外部を照明することができる。
【0003】
また、従来、自動車のセンターコンソールなどに取り付けられるボックス状収納部照明装置であって、光学処理が施された光透過性の蓋がボックス状の筐体に閉められた状態で、筐体内に配置された光源からの光を蓋に照射すると、光学処理によって光が屈折、反射されて装飾的効果が奏されるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のボックス状収納部照明装置によれば、光源の点灯時と消灯時で蓋の見え方を変え、意匠性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-132031号公報
【文献】特開2002-298615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
共通した光源で収納具本体の内部と外部を照明することのできる特許文献1に記載の収納具に、光源の点灯時と消灯時で蓋の見え方を変える機能を追加できれば、意匠性を向上させることができる。しかしながら、特許文献2に記載のボックス状収納部照明装置は、蓋の構造が特許文献1に記載の収納具と全く異なるため、これらを単純に組み合わせて両者の効果を得ることはできない。
【0006】
本発明の目的は、共通した光源で内部と外部を照明することができ、かつ光源の点灯時と消灯時で蓋の見え方を変えることができる収容ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[8]の収容ボックスを提供する。
【0008】
[1]開口部を有する箱状の収容部と、表面の導光体層と、前記導光体層の前記収容部側に設けられた不透明層とを有し、前記導光体層と前記不透明層の界面に所定のパターンを有する凹凸が設けられた、前記開口部に開閉可能に設けられた蓋と、可視光を発する光源と、前記光源から発せられた可視光を伝播させて、前記収容部の内部に照射する導光棒と、を備え、前記蓋が閉められた状態において、前記導光棒内を伝播する可視光の一部が前記導光体層に導光され、前記界面の前記凹凸により反射されて前記蓋の表面から外部に放出される、収容ボックス。
[2]前記導光体層に導光された可視光の一部が、前記導光体層の前記導光棒側の端面の反対側の端面から外部に放出される、上記[1]に記載の収容ボックス。
[3]前記不透明層の色と、前記光源から発せられる可視光の色とが異なり、かつ、いずれも有彩色である、上記[1]又は[2]に記載の収容ボックス。
[4]前記導光棒が、前記収容部の外側に設置された棒状の本体と、前記本体の第1の側面の一部から突出した突出部とを有し、前記突出部が前記収容部の側壁を貫通して、先端が前記収容部の内部に露出し、前記蓋が閉められた状態において、前記蓋の前記導光体層の前記導光棒側の端面が、前記本体の第2の側面に対向し、前記本体の前記第1の側面の反対側の側面の前記突出部と対向する位置に、前記導光棒内を伝播する可視光を前記突出部側に反射させるための第1の線状溝群が設けられ、前記本体の前記第2の側面の反対側の側面に、前記導光棒内を伝播する可視光を前記導光体層側に反射させるための第2の線状溝群が設けられた、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の収容ボックス。
[5]前記突出部の前記本体側の端部の、前記本体の長さ方向の幅が、5mm以上、10mm以下の範囲内にある、上記[4]に記載の収容ボックス。
[6]前記突出部が、前記本体側から離れるに従って前記本体の長さ方向の幅が大きくなる、平面形状が台形の板状の形状を有し、前記本体の前記第1の側面と、前記突出部の前記第1の側面と連続する面との成す角が45°以上、60°以下の範囲内にある、上記[4]又は[5]に記載の収容ボックス。
[7]前記第1の線状溝群が設けられた領域の、前記本体の長さ方向の幅が、前記突出部の前記本体側の端部の、前記本体の長さ方向の幅の1.1倍以下である、上記[4]~[6]のいずれか1項に記載の収容ボックス。
[8]前記第2の線状溝群が設けられた領域に、前記第2の線状溝群のピッチが他の領域よりも狭い狭ピッチ領域が含まれ、前記狭ピッチ領域の、前記本体の長さ方向の幅が、前記突出部の前記本体側の端部の、前記本体の長さ方向の幅の1.1倍以下である、上記[4]~[7]のいずれか1項に記載の収容ボックス。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、共通した光源で内部と外部を照明することができ、かつ光源の点灯時と消灯時で蓋の見え方を変えることができる収容ボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る収容ボックスの垂直断面図である。
【
図2】
図2(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施の形態に係る収容ボックスの上面図と下面図である。
【
図3】
図3(a)は、蓋が閉められた状態の収容ボックスの光源と導光棒と蓋のみを示した斜視図であり、
図3(b)は、収容ボックスの光源と導光棒のみを示した斜視図である。
【
図4】
図4は、下側から見た導光棒の中心近傍を拡大した斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、測定により得られた突出部の幅W
1と突出部の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図5(b)は、測定により得られた突出部の幅W
1と本体の第2の側面における光束及び均斉度との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6(a)は、測定により得られた突出部の幅W
2と突出部の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図6(b)は、測定により得られた突出部の幅W
2と本体の第2の側面における光束及び均斉度との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7(a)は、測定により得られた突出部と本体の間の角度θと突出部の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図7(b)は、測定により得られた突出部と本体の間の角度θと本体の第2の側面における光束及び均斉度との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8(a)は、測定により得られた第1の線状溝群が設けられた領域の幅W
3と突出部の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図8(b)は、測定により得られた第1の線状溝群が設けられた領域の幅W
3と本体の第2の側面における光束及び均斉度との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9(a)は、測定により得られた狭ピッチ領域の幅W
4と突出部の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図9(b)は、測定により得られた狭ピッチ領域の幅W
4と本体の第2の側面における光束及び均斉度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施の形態〕
(収容ボックスの構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る収容ボックス1の垂直断面図である。
図2(a)、(b)は、それぞれ収容ボックス1の上面図と下面図である。
図1(a)、(b)に示される収容ボックス1の断面は、
図2(a)の切断線A-Aに沿って切断されたときの断面である。
図2(a)においては、上方の部材に隠れて視認されない一部の部材の位置を点線で示している。
【0012】
収容ボックス1は、開口部101を有する箱状の収容部10と、開口部101に開閉可能に設けられた蓋(リッド)11と、可視光を発する光源13と、光源13から発せられた可視光を伝播させて、収容部10の内部に照射する導光棒12とを備える。
【0013】
図1(a)、
図2(a)、(b)は、蓋11が閉められた状態の収容ボックス1を示し、
図1(b)は、蓋11が開けられた状態の収容ボックス1を示している。蓋11は、表面の導光体層111と、導光体層111の収容部10側に設けられた不透明層112とを有し、導光体層111と不透明層112の界面に所定のパターンを有する凹凸113が設けられている。
【0014】
導光体層111は、蓋11が閉じられたときに収容部10の開口部101を覆う本体111aと、導光棒12からの光を取り込んで本体111aに伝播させるための、本体111aと連続した中継部111bを有する。不透明層112は、導光体層111の本体111aと重なるように設けられる。
【0015】
導光体層111は、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリメチルメタクリレート(PMMA)などの、光源13から発せられる光に対して透明な材料からなる。不透明層112は、例えば、着色されたポリカーボネート(PC)やPC+ABS(ポリカーボネート - アクリロニトリル - ブタジエン- スチレン混合)などの、光源13から発せられる光に対して不透明な材料からなる。不透明層112は、導光体層111の下面(収容部10側の面)に不透明な塗料を塗布することにより形成されるものであってもよい。また、蓋11は、
図1(a)、(b)に示されるように、蓋開閉のためのABSなどからなるスライド層114を有していてもよい。スライド層114は、不透明層112の下面(収容部10側の面)に接するように設けられる。
【0016】
収容ボックス1は、例えば、板状の取り付け対象物の開口部に嵌め込まれるようにして取り付けられる。
図1、2に示される例では、取付パネル50の開口部に嵌め込まれて固定されている。取付パネル50は、蓋11を開く際に指などを挿し入れて開けやすくするための凹部51を有する。取付パネル50は、例えば、自動車に備えられたセンターコンソールのアッパーパネルである。
【0017】
収容ボックス1においては、蓋11が閉められた状態において、光源13から発せられて導光棒12内を伝播する可視光の一部が蓋11の導光体層111に導光され、導光体層111と不透明層112の界面の凹凸13により反射されて蓋11の表面から外部に放出される。導光棒12から導光体層111への導光についての具体的な仕組みは後述する。
【0018】
また、導光棒12から導光体層111に導光された可視光の一部が、導光体層111の導光棒12側(中継部111b側)の端面111cの反対側(本体111側)の端面111dから外部に放出される。この端面111dから放出された可視光は、取付パネル50の凹部51の表面を照らすため、暗い環境下でも凹部51の位置を視認しやすく、蓋11を開けやすい。なお、端面111dから放出される可視光を凹部51に照射するためには、導光体層111の端面111dの少なくとも凹部51に隣接する領域が外部に露出していればよい。
【0019】
すなわち、収容ボックス1においては、光源13から発せられる可視光により、収容ボックス1の内部である収容部10内の空間、並びに収容ボックス1の外部である蓋11の上方及び取付パネル50の凹部51の3箇所を照明することができる。
【0020】
また、光源13の点灯時と消灯時で蓋11の外部からの見え方を変えることができる。まず、光源13が点灯しているときには、導光棒12を介して導光体層111に導光された可視光が、導光体層111と不透明層112の界面で反射され、蓋11の上方に放出される。このため、不透明層112の色(白色光を照射したときの反射光の色)と光源13から発せられる可視光の色の混色を有する界面の凹凸113による模様が視認される。
【0021】
一方、光源13が消灯しているときには、太陽光や車室内照明の光などの外光により、蓋11が視認される。外光は、主に蓋11の上方から導光体層111に進入し、導光体層111と不透明層112の界面で上方に反射される。このため、不透明層112の色と外光の色の混色を有する界面の凹凸113による模様が視認される。ただし、一部の外光は導光体層111の表面で反射されるため、視認される凹凸113による模様の濃さは光源13の点灯時よりも薄くなる。特に、不透明層112が黒などの暗い色を有する場合は、視認される凹凸113による模様はより薄くなる。
【0022】
以下の表1に、光源13から発せられる可視光の色(光源色)と不透明層112の色、及びそれぞれの場合の光源13の点灯時と消灯時に視認される蓋11の色の例を示す。なお、光源13の消灯時には太陽光(白色光)が外光として蓋11に照射されているものとする。
【0023】
【0024】
また、取付パネル50の凹部51の見え方については、光源13が点灯しているときには、凹部51の色と光源13から発せられる可視光の色の混色が視認され、光源13が消灯しているときには、凹部51の色と外光の色の混色が視認される。
【0025】
表1の例に示されるように、不透明層112の色と、光源13から発せられる可視光の色とが異なり、かつ、いずれも有彩色である場合には、光源13の点灯時と消灯時の蓋11の見え方をより大きく変えることができる。
【0026】
図3(a)は、蓋11が閉められた状態の収容ボックス1の光源13と導光棒12と蓋11のみを示した斜視図であり、
図3(b)は、収容ボックス1の光源13と導光棒12のみを示した斜視図である。
【0027】
導光棒12は、収容部10の外側に設置された棒状の本体121と、本体121の収容部10側の側面(第1の側面とする)121cの一部から突出した突出部122とを有する。ここで、本体121の側面とは、本体121の長さ方向に沿った面をいう。
【0028】
導光棒12は、本体121が水平になり、かつ本体121の長さ方向が収容部の幅方向(
図2の上下方向)に平行になるように設置される。また、本体121は、
図1(a)、(b)、
図3(a)、(b)に示されるように、長さ方向に垂直な断面の形状が四角形となる形状を有する。導光棒12は、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリメチルメタクリレート(PMMA)などの、光源13から発せられる光に対して透明な材料からなる。
【0029】
図1(a)、(b)に示されるように、突出部122は、収容部10の側壁102を貫通して、先端が収容部10の内部に露出する。このため、突出部122の先端の面から放出された可視光は、収容部10の内部を照らす。突出部122は、収容部10の内部を満遍なく照らすため、
図2(a)、(b)に示されるように、収容部10の幅方向(
図2(a)、(b)の上下方向)の中心に位置することが好ましい。また、光取り出し面となる突出部122の先端の面には、放出する光を拡散するためのダイヤカットやシボなどの加工が施されていることが好ましい。
【0030】
本体121の第1の側面121cの反対側の側面121eの突出部122と対向する位置には、導光棒12内を伝播する可視光を突出部122側に反射させるための第1の線状溝群121aが設けられている。第1の線状溝群121aを構成する線状溝は、本体121の長さ方向に直交する方向に沿って設けられる。
【0031】
図1(a)、
図3(a)に示されるように、蓋11が閉められた状態において、導光体層111の導光棒12側の端面111cが、本体の一側面(第2の側面とする)121dに対向する。本体121の第2の側面121dの反対側の側面121fには、導光棒12内を伝播する可視光を導光体層111側に反射させるための第2の線状溝群121bが設けられている。第2の線状溝群121bを構成する線状溝は、本体121の長さ方向に直交する方向に沿って設けられる。
【0032】
光源13から発せられて本体121内を伝播する可視光は、第2の線状溝群121bに反射されて、第2の側面121dから放出され、導光体層111の(中継部111bの)端面111cから取り込まれ、本体111aまで伝播する。
【0033】
図1(a)、(b)、
図3(a)に示されるように、導光体層111の中継部111bは、本体111aに対して垂直な板状部材であり、端面111cは下方を向いている。そして、端面111cと対向する第2の側面121dは、上方を向いた本体111aの側面である。
【0034】
図4は、側面121f側(下側)から見た導光棒12の中心近傍を拡大した斜視図である。光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、突出部122の本体121側の端部の、本体121の長さ方向の幅W
1が、5mm以上、10mm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0035】
突出部122は、
図3(b)、
図4に示されるように、本体122側から離れるに従って本体121の長さ方向の幅が大きくなる、平面形状が台形の板状の形状を有していることが好ましい。特に、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、本体121の第1の側面121cと、突出部122の第1の側面121cと連続する面122aとの成す角θが45°以上、60°以下の範囲内にあることが好ましい。
【0036】
また、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、側面121eの第1の線状溝群121aが設けられた領域の、本体121の長さ方向の幅W3が、突出部122の本体121側の端部の、本体121の長さ方向の幅W1の1.1倍以下であることが好ましい。
【0037】
側面121fの第2の線状溝群121bが設けられた領域には、
図4に示されるように、第2の線状溝群121bのピッチが他の領域よりも狭い狭ピッチ領域121gが含まれていてもよい。特に、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、狭ピッチ領域121gの、本体122の長さ方向の幅W
4が、突出部122の本体121側の端部の、本体の長さ方向の幅W
1の1.1倍以下であることが好ましい。狭ピッチ領域121gは、蓋11の導光体層111の幅方向(
図2(a)、(b)の上下方向)の中心と重なる位置に設けられ、突出部122と本体121の長さ方向の位置が重なる。
【0038】
光源13は、可視光を発するLEDなどの発光素子と、光源13を導光棒12の本体121の長さ方向の端部に固定するための固定部131を有するユニットである。
図2(b)、
図3(a)、(b)に示される例では、本体121の長さ方向の端部は光源13の固定部131に挿し込まれて固定され、光源13に含まれる発光素子から発せられた可視光は、本体121の長さ方向の端面に入射し、本体121内に進入する。光源13は、照明される領域の明るさを大きくし、また、明るさのムラを少なくするため、
図2(b)、
図3(a)、(b)に示されるように、本体121の長さ方向の端部の両端に設けられることが好ましい。また、目的とする明るさに応じて光源13の数を増やしてもよい。
【0039】
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、共通した光源で内部と外部を照明することができ、かつ光源の点灯時と消灯時で蓋の見え方を変えることができる収容ボックスを提供することができる。
【実施例1】
【0040】
突出部122の幅W1を変化させたときの、光源13が点灯したときの収容部10内の明るさを決定する、突出部122の先端の面における光束、及び光源13が点灯したときの蓋11の明るさを決定する、本体121の第2の側面121dにおける光束と均斉度(最大照度の最小照度に対する比の値)の変化を測定した。
【0041】
本測定では、突出部122の幅W2を15mm、突出部122の長さLを15mm、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W3を16mm、狭ピッチ領域121gの幅W4を0mmにそれぞれ固定し、突出部122の幅W1を2.5~15mmの間で変化させた。なお、突出部122の幅W1の変化に伴い、突出部122と本体121の間の角度θが67.4~90°の間で変化している。
【0042】
図5(a)は、測定により得られた突出部122の幅W
1と突出部122の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図5(b)は、測定により得られた突出部122の幅W
1と本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度との関係を示すグラフである。また、次の表2は、
図5(a)、(b)のグラフのプロット点の数値を示す。なお、
図5(a)、(b)、表2における「収容部側光束」は突出部122の先端の面における光束、「蓋側光束」は本体121の第2の側面121dにおける光束、「蓋側均斉度」は本体121の第2の側面121dにおける均斉度を意味する。以降の
図6~9、表3~6においても同様とする。
【0043】
【0044】
図5(a)は、突出部122の幅W
1が5mm以上、10mm以下の範囲内にあるときに、突出部122の先端の面における光束が大きくなることを示している。また、
図5(b)は、突出部122の幅W
1が大きくなるほど、本体121の第2の側面121dにおける光束が低下し、また、均斉度が高くなる(悪くなる)ことを示している。
【0045】
これらの結果から、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、突出部122の幅W1が、5mm以上、10mm以下の範囲内にあることが好ましいと言える。
【実施例2】
【0046】
突出部122の幅W2を変化させたときの、光源13が点灯したときの収容部10内の明るさを決定する、突出部122の先端の面における光束、及び光源13が点灯したときの蓋11の明るさを決定する、本体121の第2の側面121dにおける光束と均斉度の変化を測定した。
【0047】
本測定では、突出部122の幅W1を7.5mm、突出部122と本体121の間の角度θを76.0°、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W3を16mm、狭ピッチ領域121gの幅W4を0mmにそれぞれ固定し、突出部122の幅W2を12.5~20mmの間で変化させた。なお、突出部122の幅W2の変化に伴い、突出部122の長さLが10~25mmの間で変化している。
【0048】
図6(a)は、測定により得られた突出部122の幅W
2と突出部122の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図6(b)は、測定により得られた突出部122の幅W
2と本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度との関係を示すグラフである。また、次の表3は、
図6(a)、(b)のグラフのプロット点の数値を示す。
【0049】
【0050】
図6(a)は、突出部122の幅W
2が変化しても、突出部122の先端の面における光束の変化が小さいことを示している。また、
図5(b)は、突出部122の幅W
2が変化しても、本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度の変化が小さいことを示している。
【0051】
これらの結果から、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさに突出部122の幅W2が及ぼす影響は小さいと言える。
【実施例3】
【0052】
突出部122と本体121の間の角度θを変化させたときの、光源13が点灯したときの収容部10内の明るさを決定する、突出部122の先端の面における光束、及び光源13が点灯したときの蓋11の明るさを決定する、本体121の第2の側面121dにおける光束と均斉度の変化を測定した。
【0053】
本測定では、突出部122の幅W1を7.5mm、突出部122の長さLを15mm、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W3を16mm、狭ピッチ領域121gの幅W4を0mmにそれぞれ固定し、突出部122と本体121の間の角度θを30~90°の間で変化させた。なお、突出部122と本体121の間の角度θの変化に伴い、突出部122の幅W2が59.5~7.5mmの間で変化している。
【0054】
図7(a)は、測定により得られた突出部122と本体121の間の角度θと突出部122の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図7(b)は、測定により得られた突出部122と本体121の間の角度θと本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度との関係を示すグラフである。また、次の表4は、
図7(a)、(b)のグラフのプロット点の数値を示す。
【0055】
【0056】
図7(a)は、突出部122と本体121の間の角度θが45°以上、60°以下の範囲内にあるときに、突出部122の先端の面における光束が大きくなることを示している。また、
図7(b)は、突出部122と本体121の間の角度θが変化しても、本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度の変化は小さいことを示している。
【0057】
これらの結果から、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、突出部122と本体121の間の角度θが、45°以上、60°以下の範囲内にあることが好ましいと言える。
【実施例4】
【0058】
第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W3を変化させたときの、光源13が点灯したときの収容部10内の明るさを決定する、突出部122の先端の面における光束、及び光源13が点灯したときの蓋11の明るさを決定する、本体121の第2の側面121dにおける光束と均斉度の変化を測定した。
【0059】
本測定では、突出部122の幅W1を7.5mm、突出部122の幅W2を37.5mm、突出部122の長さLを15mm、突出部122と本体121の間の角度θを45°、狭ピッチ領域121gの幅W4を0mmにそれぞれ固定し、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W3を8~24mmの間で変化させた。
【0060】
図8(a)は、測定により得られた第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3と突出部122の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図8(b)は、測定により得られた第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3と本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度との関係を示すグラフである。また、次の表5は、
図8(a)、(b)のグラフのプロット点の数値を示す。
【0061】
【0062】
図8(a)は、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3が変化しても、突出部122の先端の面における光束の変化は小さいことを示している。また、
図8(b)は、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3が変化しても、本体121の第2の側面121dにおける光束の変化は小さく、一方、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3が大きくなるほど均斉度が高くなる(悪くなる)ことを示している。また、第1の線状溝群121aにより効率的に突出部122側に光を導くためには、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3が突出部122の幅W
1以上であることが必要である。
【0063】
これらの結果から、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W
3が、突出部122の幅W
1に近いほど好ましいと言える。例えば、W
3/W
1比が
図8(a)、(b)のグラフの測定点における幅W
3が幅W
1に最も近いときのW
3/W
1比である約1.1以下であること、すなわち幅W
3が幅W
1の1.1倍以下であることが好ましく、幅W
3が幅W
1と等しいことがより好ましい。
【実施例5】
【0064】
狭ピッチ領域121gの幅W4を変化させたときの、光源13が点灯したときの収容部10内の明るさを決定する、突出部122の先端の面における光束、及び光源13が点灯したときの蓋11の明るさを決定する、本体121の第2の側面121dにおける光束と均斉度の変化を測定した。
【0065】
本測定では、突出部122の幅W1を7.5mm、突出部122の幅W2を37.5mm、突出部122の長さLを15mm、突出部122と本体121の間の角度θを45°、第1の線状溝群121aが設けられた領域の幅W3を8mmにそれぞれ固定し、狭ピッチ領域121gの幅W4を8~24mmの間で変化させた。
【0066】
図9(a)は、測定により得られた狭ピッチ領域121gの幅W
4と突出部122の先端の面における光束の関係を示すグラフである。
図9(b)は、測定により得られた狭ピッチ領域121gの幅W
4と本体121の第2の側面121dにおける光束及び均斉度との関係を示すグラフである。また、次の表6は、
図9(a)、(b)のグラフのプロット点の数値を示す。
【0067】
【0068】
図9(a)は、狭ピッチ領域121gの幅W
4が大きくなるほど、突出部122の先端の面における光束が低下することを示している。また、
図9(b)は、狭ピッチ領域121gの幅W
4が大きくなるほど、本体121の第2の側面121dにおける光束が若干増加するが、一方で、狭ピッチ領域121gの幅W
4が大きくなるほど均斉度が高くなる(悪くなる)ことを示している。なお、狭ピッチ領域121gの幅W
4が大きくなるほど突出部122の先端の面における光束が低下するのは、狭ピッチ領域121gの幅W
4が突出部122の幅W
1よりも大きくなると効率的に突出部122側に光が導かれなくなるためと考えられる。
【0069】
これらの結果から、光源13が点灯したときの収容部10内と蓋11の明るさを大きくするためには、狭ピッチ領域121gの幅W
4が、突出部122の幅W
1に近いほど好ましいと言える。例えば、W
4/W
1比が
図9(a)、(b)のグラフの測定点における幅W
4が幅W
1に最も近いときのW
4/W
1比である約1.1以下であること、すなわち幅W
4が幅W
1の1.1倍以下であることが好ましく、幅W
4が幅W
1と等しいことがより好ましい。
【0070】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態及び実施例の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0071】
また、上記の実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0072】
1 収容ボックス
10 収容部
101 開口部
102 側壁
11 蓋
111 導光体層
111d 端面
112 不透明層
12 導光棒
121 本体
121a 第1の線状溝群
121b 第2の線状溝群
121c 第1の側面
121d 第2の側面
121g 狭ピッチ領域
122 突出部
122a 面
13 光源