IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/07 20060101AFI20230704BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230704BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B65G49/07 L
H01L21/68 A
H01L21/68 T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020187454
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076841
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】田村 健二
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0229003(US,A1)
【文献】特開平11-154700(JP,A)
【文献】特開2009-176854(JP,A)
【文献】特開2006-213216(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0050973(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/07
H01L 21/677
H01L 21/673
B65G 1/00-1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車であって、
移動経路に沿って移動する本体部と、前記物品を保持する保持装置と、前記保持装置を前記本体部に対して昇降させる昇降装置と、を備え、
前記物品は、当該物品の底面と平行に配置される面であって、下方を向く被支持面が形成された被保持部を備え、
前記保持装置は、前記被支持面を下方から支持する支持面をそれぞれ備えた一対の支持部と、一対の前記支持部を第1方向に互いに接近及び離間させる保持駆動部と、を備え、
前記被保持部の前記第1方向の幅を第1幅として、
前記保持駆動部は、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも大きくするように離間させた第1姿勢と、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも小さくするように接近させた第2姿勢と、に一対の前記支持部を駆動し、
一対の前記支持部を前記第1姿勢とすると共に、一対の前記支持部のそれぞれの少なくとも一部が前記被保持部よりも下方に位置し且つ一対の前記支持部の間に前記被保持部が位置するように一対の前記支持部を配置した状態から、一対の前記支持部を前記第2姿勢とする動作を姿勢変更動作として、
少なくとも前記保持装置が前記姿勢変更動作を実行することで、一対の前記支持部のそれぞれの前記支持面が前記被支持面に対して下方から接する保持状態が実現され、
一対の前記支持部は、前記保持状態で前記被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように構成されている、搬送車。
【請求項2】
平面視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側として、
前記支持面は、前記第2方向第1側へ向かうに従って下方へ向かう第1傾斜方向に傾斜する傾斜領域を備えている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
一対の前記支持部のそれぞれは、前記第2方向第1側から前記被保持部に当接する当接部を更に備えている、請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
一対の前記支持部のそれぞれにおいて、前記第1方向における他方の前記支持部に近づく側を第1方向第1側として、
前記傾斜領域における少なくとも一部の領域は、前記第1方向第1側へ向かうに従って下方へ向かう第2傾斜方向にも傾斜している、請求項2又は3に記載の搬送車。
【請求項5】
前記支持面は、前記傾斜領域に対して前記第1方向第1側に、水平面に沿う第1水平領域を備えている、請求項4に記載の搬送車。
【請求項6】
前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側とし、前記第2方向第1側とは反対側を第2方向第2側として、
前記傾斜領域における少なくとも前記第2方向の中央部に対して前記第2方向第2側の領域は、前記第1方向第1側から前記第1方向第2側へ向かうに従って、前記第1傾斜方向及び前記第2傾斜方向の双方に傾斜する第1傾斜領域と、前記第1傾斜方向に傾斜すると共に前記第2傾斜方向に傾斜しない第2傾斜領域とを順に備えている、請求項5に記載の搬送車。
【請求項7】
前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側として、
前記傾斜領域における前記第1傾斜方向及び前記第2傾斜方向の双方に傾斜している領域は、前記第1方向第1側から前記第1方向第2側へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されている、請求項4から6のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項8】
前記支持面は、前記傾斜領域に対して前記第2方向第1側に、水平面に沿う第2水平領域を備えている、請求項2から7のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項9】
一対の前記支持部の一方が備える前記支持面を第1支持面とし、一対の前記支持部の他方が備える前記支持面を第2支持面として、
前記第1支持面は、前記第2支持面よりも上方に配置されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項10】
一対の前記支持部のそれぞれにおいて、前記第1方向における他方の前記支持部に近づく側を第1方向第1側として、
前記第1支持面は、前記第1方向第1側へ向かうに従って下方へ向かう方向に傾斜する対象領域を備えている、請求項9に記載の搬送車。
【請求項11】
前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側として、
前記対象領域は、前記第1方向第1側から前記第1方向第2側へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されている、請求項10に記載の搬送車。
【請求項12】
前記昇降装置は、前記保持装置を昇降させる昇降駆動部を備え、
前記保持装置が前記姿勢変更動作を実行することで、一対の前記支持部のそれぞれの前記支持面が前記被支持面に対して下方から対向する保持可能状態が実現され、その後、前記昇降装置が前記昇降駆動部により前記保持装置を上昇させることで、前記保持状態が実現され、
前記保持装置が昇降される期間に、前記保持可能状態と前記保持状態との間の状態遷移に伴い前記物品の姿勢が変化する第1期間と、前記保持状態において前記保持装置が昇降する第2期間とが含まれ、
前記昇降駆動部は、前記第1期間における前記保持装置の昇降速度を、前記第2期間における前記保持装置の昇降速度よりも低くする、請求項1から11のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項13】
前記物品は、側面に開口部を有する容器であり、
前記保持装置は、前記開口部が斜め上方を向く姿勢で前記物品を保持する、請求項1から12のいずれか一項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送車の一例が、特開2012-64799号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1には、物品を搬送する搬送車として、収納容器(4)を搬送する天井搬送車(A)が開示されている。この天井搬送車(A)は、走行経路(3)に沿って走行する走行部(11)と、収納容器(4)を保持する保持部(10)と、保持部(10)を走行部(11)に対して昇降させる昇降装置と、を備えている。
【0003】
特許文献1では、収納容器(4)は、基板(5)を出し入れするための開口(6)が側面に形成されたオープンカセットである。保持部(10)に保持されている収納容器(4)の開口(6)から、基板(5)が飛び出すことを防止するために、特許文献1の天井搬送車(A)には、基板(5)の側面に接触する接触位置と基板(5)の側面から離間する離間位置とに移動可能な接触体(26)を備えた飛び出し防止機構(9)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-64799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送車の走行時には保持装置に保持されている物品に振動が伝わりやすいため、特許文献1の飛び出し防止機構のような機構の有無にかかわらず、搬送車の走行時には、振動に対する許容度を高く確保しやすい姿勢で物品が保持装置に保持されることが望ましい。特許文献1では、物品が、側面に開口が形成された収納容器であるため、例えば、開口が斜め上方を向くように物品の底面を水平面に対して傾斜させることで、基板が開口から収納容器の外部に移動し難くして、振動に対する許容度を高く確保することが考えられる。しかしながら、特許文献1の図5に示されているように、物品は、通常、底面が水平面に沿う水平姿勢で移載対象箇所(保持部との間で物品が移載される箇所)に配置される。そのため、底面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢で物品を保持装置によって保持しようとすると、水平姿勢と傾斜姿勢との間で物品の姿勢を変更する機構を移載対象箇所に設ける必要が生じる等、装置構成の複雑化を招くおそれがある。
【0006】
そこで、装置構成の複雑化を抑制しつつ、底面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢で物品を保持装置によって保持することが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る搬送車は、物品を搬送する搬送車であって、移動経路に沿って移動する本体部と、前記物品を保持する保持装置と、前記保持装置を前記本体部に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記物品は、当該物品の底面と平行に配置される面であって、下方を向く被支持面が形成された被保持部を備え、前記保持装置は、前記被支持面を下方から支持する支持面をそれぞれ備えた一対の支持部と、一対の前記支持部を第1方向に互いに接近及び離間させる保持駆動部と、を備え、前記被保持部の前記第1方向の幅を第1幅として、前記保持駆動部は、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも大きくするように離間させた第1姿勢と、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも小さくするように接近させた第2姿勢と、に一対の前記支持部を駆動し、一対の前記支持部を前記第1姿勢とすると共に、一対の前記支持部のそれぞれの少なくとも一部が前記被保持部よりも下方に位置し且つ一対の前記支持部の間に前記被保持部が位置するように一対の前記支持部を配置した状態から、一対の前記支持部を前記第2姿勢とする動作を姿勢変更動作として、少なくとも前記保持装置が前記姿勢変更動作を実行することで、一対の前記支持部のそれぞれの前記支持面が前記被支持面に対して下方から接する保持状態が実現され、一対の前記支持部は、前記保持状態で前記被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように構成されている。
【0008】
本構成によれば、一対の支持部が、保持状態で、物品の底面と平行に配置される被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように構成されているため、底面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢で、物品を保持装置によって保持することができる。そして、このように傾斜姿勢で物品が保持される保持状態は、底面が水平面に沿う水平姿勢で物品が移載対象箇所に配置されている場合であっても、少なくとも保持装置に姿勢変更動作を実行させて、一対の支持部のそれぞれの支持面を被支持面に接触させることで実現することができる。よって、本構成によれば、保持状態で被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように一対の支持部を構成するという比較的簡素な装置構成で、物品を保持装置によって傾斜姿勢で保持することが可能となっている。
【0009】
搬送車の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】搬送車の斜視図
図2】搬送車の正面図
図3】保持装置と移載対象箇所との間で物品が移載される状況を示す図
図4】第1の実施形態に係る一対の支持部に支持された状態の物品の斜視図
図5】第1の実施形態に係る一対の支持部の斜視図
図6】第1の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図7】第1の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図8】第1の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図9】第2の実施形態に係る一対の支持部に支持された状態の物品の斜視図
図10】第2の実施形態に係る一対の支持部の斜視図
図11】第2の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図12】第2の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図13】第2の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図14】第3の実施形態に係る一対の支持部に支持された状態の物品の斜視図
図15】第3の実施形態に係る一対の支持部の斜視図
図16】第3の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図17】第3の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図18】第3の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図19】第4の実施形態に係る一対の支持部に支持された状態の物品の斜視図
図20】第4の実施形態に係る一対の支持部の斜視図
図21】第4の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図22】第4の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図23】第4の実施形態に係る物品の保持動作の説明図
図24】制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
搬送車の第1の実施形態について、図面(図1図8図24)を参照して説明する。
【0012】
搬送車1は、図3に例示するような物品搬送設備100において、移動経路2に沿って走行して物品90を搬送する。図1図3に示すように、搬送車1は、移動経路2に沿って移動する本体部10と、物品90を保持する保持装置20と、保持装置20を本体部10に対して昇降させる昇降装置50と、を備えている。ここで、移動経路2の長手方向(移動経路2が延びる方向)を経路長手方向Lとし、移動経路2の幅方向を経路幅方向Wとする。経路幅方向Wは、経路長手方向L及び鉛直方向Vの双方に直交する方向である。また、搬送車1を基準として定義される方向(すなわち、搬送車1の姿勢に応じて変化する方向)であって、移動経路2に配置された状態で経路長手方向Lに沿う方向を車体前後方向Xとし、搬送車1を基準として定義される方向であって、移動経路2に配置された状態で経路幅方向Wに沿う方向を車体左右方向Yとする。
【0013】
移動経路2は、物理的に形成されても仮想的に設定されてもよい。本実施形態では、移動経路2は、レール3を用いて物理的に形成されている。具体的には、物品搬送設備100は、移動経路2に沿って配置されたレール3(ここでは、経路幅方向Wに間隔を空けて配置された一対のレール3)を備えており、本体部10は、レール3に沿って移動する。また、本実施形態では、レール3は、天井4から吊り下げ支持されており、移動経路2は、天井4に沿って形成されている。すなわち、本実施形態では、搬送車1は、天井4に沿って形成された移動経路2に沿って走行する天井搬送車である。なお、搬送車1は、天井搬送車以外の搬送車であってもよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、本体部10は、レール3(ここでは、一対のレール3)の走行面を転動する車輪12を備えた走行部11と、走行部11に連結されたカバー部14と、を備えている。レール3の走行面は、鉛直方向Vの上方V1を向く面であり、車輪12は、鉛直方向Vに直交する軸心周りに回転する。走行部11は、車輪12を回転させる走行駆動部70(例えば、サーボモータ等の電動モータ、図24参照)を備えており、車輪12が走行駆動部70により回転駆動されることで、走行部11がレール3に沿って走行する。図2に示すように、本実施形態では、走行部11は、レール3の案内面を転動する案内輪13を備えており、走行部11は、案内輪13がレール3の案内面に接触案内された状態で、レール3に沿って走行する。レール3の案内面は、経路幅方向Wの内側(一対のレール3の間の経路幅方向Wの中心位置に向かう側)を向く面であり、案内輪13は、鉛直方向Vに沿う軸心周りに回転する(本例では、遊転する)。図1に示す例では、本体部10は、走行部11を、車体前後方向Xに並ぶように一対備えている。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、カバー部14は、走行部11に対して鉛直方向Vの下方V2に配置された状態で、走行部11に支持されている。搬送車1の走行時には、保持装置20に保持された状態の物品90は、カバー部14の内部空間に配置される。図1に示すように、本実施形態では、カバー部14の内部空間は、車体前後方向Xの両側が閉じられていると共に、車体左右方向Yの少なくとも一方側が開放されている。よって、カバー部14の内部空間に配置された物品90は、カバー部14の壁部によって少なくとも車体前後方向Xの両側から覆われる。
【0016】
物品90の種類はこれに限定されないが、図2に示すように、本実施形態では、物品90は、側面90bに開口部92を有する容器である。開口部92は、物品90に対して収容物を出し入れするために設けられており、開口部92を介して物品90に対する収容物の出し入れが行われる。開口部92とは別の開口(例えば、軽量化や洗浄のための開口、或いは物品90の構造上形成される開口)が、物品90の側面90bに形成されていてもよいが、物品90に収容されている収容物は、開口部92を通らなければ物品90の外部に移動できないように、物品90が構成されている。本実施形態では、ガラス基板や半導体ウェハ等の基板93(収容物の一例)が、物品90に収容される。また、本実施形態では、物品90は、複数枚の基板93を上下方向(底面90cが水平に配置された状態で鉛直方向Vに沿う方向)に並べて収容可能に構成されている。
【0017】
本実施形態では、物品90は、開口部92を閉じる蓋を備えていない。例えば、オープンカセットを物品90として用いることができる。物品90が、開口部92を閉じする蓋を備える構成とすることもできる。この場合、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)を物品90として用いることができる。
【0018】
昇降装置50は、保持装置20を昇降させる昇降駆動部71(例えば、サーボモータ等の電動モータ、図24参照)を備えている。昇降装置50は、第1位置P1(図2及び図3参照)と、第1位置P1よりも下方V2の第2位置P2(図3参照)との間で、保持装置20を昇降させる。第1位置P1は、昇降方向(鉛直方向V)の上端の位置である。第1位置P1は、本体部10が移動する場合の保持装置20の鉛直方向Vの位置である。すなわち、第1位置P1は、搬送車1の走行時における保持装置20の位置である。本実施形態では、第1位置P1は、保持装置20に保持された状態の物品90がカバー部14の内部空間に配置されるような保持装置20の位置である。また、第2位置P2は、保持装置20による物品90の保持及び保持解除を行う場合の保持装置20の鉛直方向Vの位置である。すなわち、第2位置P2は、保持装置20による物品90の保持及び保持解除を行う位置であり、言い換えれば、保持装置20と移載対象箇所6との間での物品90の移載時における保持装置20の位置である。第2位置P2は、各移載対象箇所6の高さ(鉛直方向Vの位置)に応じて設定される。
【0019】
図3では、移載対象箇所6の一例として、処理装置5に隣接して配置されるロードポートを示している。処理装置5は、物品90を処理対象とする装置であり、本実施形態では、物品90から取り出された基板93に対して処理を行う。図3に示すように、物品90は、開口部92が処理装置5側を向くように移載対象箇所6に配置される。本実施形態では、物品90は、開口部92が水平方向を向く水平姿勢S2で移載対象箇所6に配置される。これにより、移載対象箇所6において、開口部92を介した基板93の物品90に対する出し入れが行いやすくなっている。
【0020】
図2に簡略化して模式的に示すように、昇降装置50は、回転駆動される回転体51と、回転体51に巻き取り及び繰り出し自在に巻回されていると共に保持装置20に連結された伝動部材52と、を備えている。昇降装置50は、更に、回転体51を回転駆動する上述した昇降駆動部71(図24参照)を備えている。回転体51及び昇降駆動部71は、本体部10に支持されており、本実施形態では、カバー部14の内部空間における上方V1の部分に配置されている。例えば、伝動部材52がベルトであり、回転体51がベルトを巻き取る巻取プーリである構成とし、或いは、伝動部材52がワイヤであり、回転体51がワイヤを巻き取る巻取ドラムである構成とすることができる。図3に示すように、伝動部材52における回転体51から繰り出される先端側に設けられた連結部52aが、保持装置20に連結されている。昇降装置50は、回転体51を昇降駆動部71の駆動により回転させて、伝動部材52を巻き取り又は繰り出すことで、保持装置20を上昇又は下降させる(すなわち、昇降させる)。このように、昇降装置50は、保持装置20を吊り下げ支持した状態で、保持装置20を昇降させる。
【0021】
図2及び図3に示すように、本実施形態では、昇降装置50は、複数の回転体51を備えており、複数の回転体51のそれぞれに伝動部材52が巻回されている。図2及び図3に示す例では、昇降装置50は、3つの回転体51を備えている。そして、複数の伝動部材52(本例では、3つの伝動部材52)のそれぞれの連結部52aが、保持装置20に連結されている。複数の連結部52aは、保持装置20における互いに異なる部分に連結されている。なお、図2及び図3では、昇降装置50が複数の回転体51を備えていることを示すために、複数の回転体51をそれぞれ別軸に配置しているが、複数の回転体51は、同軸に並べて配置されてもよい。また、図3では、伝動部材52の連結部52aが、当該伝動部材52が巻回された回転体51の直下に配置されているが、伝動部材52における回転体51から繰り出された部分が、案内用回転体(案内用プーリ等)に巻き掛けられ、伝動部材52の連結部52aが、当該案内用回転体の直下に配置される構成としてもよい。
【0022】
図4に示すように、物品90は、被支持面91aが形成された被保持部91を備えている。被支持面91aは、物品90の底面90cと平行に配置される面であって、下方V2を向く面である。なお、「底面90cと平行に配置される面」は、底面90cの法線方向において底面90cと異なる位置に配置される面だけでなく、底面90cと同一平面上に配置される面を含む概念として用いている。図4及び図5に示すように、保持装置20は、被支持面91aを下方V2から支持する支持面22をそれぞれ備えた一対の支持部21を備えており、一対の支持部21を用いて物品90を保持する。図2に示す例では、保持装置20は、物品90を上方V1から保持する。後述するように、この搬送車1では、一対の支持部21が、保持状態(後述する)で被支持面91aを水平面に対して傾斜させて支持するように構成されている。以下では、一対の支持部21の一方が備える支持面22と一対の支持部21の他方が備える支持面22とを併せて、一対の支持面22という。本実施形態では、一対の支持部21は、これら一対の支持部21の間の第1方向A(後述する)の中心位置において第1方向Aに直交する面を対称面として、互いに鏡像対称となる形状に形成されている。そして、一対の支持部21は、互いに同じ高さに配置されており、一対の支持面22は、互いに同じ高さに配置されている。
【0023】
図4に示すように、本実施形態では、物品90の上面90aを構成する上面部(例えば、板状の天板部)が、被保持部91として用いられている。この被保持部91は、平面視(鉛直方向Vに沿う方向視)で物品90の側面90bに対して外側に突出する突出部分を有するように形成されており、当該突出部分の下面が被支持面91aを構成している。一方、後に説明する第2~第4の実施形態では、物品90の上面部に被保持部91としてのフランジ部が形成されており、当該フランジ部の下面が被支持面91aを構成している(図9図14図19参照)。なお、被保持部91の構成はこれらに限定されず、例えば、物品90の側面90bを構成する側面部に被保持部91が形成される構成や、物品90の底面90cを構成する底面部(例えば、板状の底板部)が被保持部91として用いられる構成とすることもできる。
【0024】
保持装置20は、一対の支持部21を第1方向Aに互いに接近及び離間させる保持駆動部72(例えば、ソレノイドや電動モータ、図24参照)を備えている。第1方向Aは、一対の支持部21の並び方向(ここでは、水平面に沿う水平方向)であり、一対の支持部21は、第1方向Aに離間して配置されている。一対の支持部21は、保持装置20における伝動部材52(具体的には、連結部52a)が連結された部分(本体部)に、位置及び向きの少なくとも一方を変化させることが可能に支持されている。そして、保持駆動部72は、一対の支持部21のそれぞれの位置及び向きの少なくとも一方を変化させて、一対の支持部21を第1方向Aに互いに接近及び離間させる。本実施形態では、保持駆動部72は、一対の支持部21のそれぞれを第1方向Aに沿って移動させて(すなわち、第1方向Aの位置を変化させて)、一対の支持部21を第1方向Aに互いに接近及び離間させる。図6に示すように被保持部91の第1方向Aの幅を第1幅ΔAとして、保持駆動部72は、一対の支持部21の間隔を第1幅ΔAよりも大きくするように離間させた第1姿勢C1(図6参照)と、一対の支持部21の間隔を第1幅ΔAよりも小さくするように接近させた第2姿勢C2(図4図7図8参照)と、に一対の支持部21を駆動する。
【0025】
ここで、一対の支持部21を第1姿勢C1とすると共に、一対の支持部21のそれぞれの少なくとも一部が被保持部91よりも下方V2に位置し且つ一対の支持部21の間に被保持部91が位置するように一対の支持部21を配置した状態を、保持準備状態という。保持準備状態では、一対の支持面22のそれぞれの少なくとも一部が、被支持面91aよりも下方V2に配置される。本実施形態では、保持準備状態では、一対の支持面22のそれぞれの全体が、被支持面91aよりも下方V2に配置される。本実施形態では、図6に示す状態が保持準備状態である。また、保持準備状態から一対の支持部21を第2姿勢C2とする動作を、姿勢変更動作という。本実施形態では、図6に示す状態から図7に示す状態へ遷移させる動作が、姿勢変更動作である。上述した第2位置P2(図3参照)は、一対の支持面22のそれぞれの少なくとも一部が被支持面91aよりも下方V2に配置されるような、保持装置20の位置である。すなわち、保持装置20が第2位置P2に配置されている状態で保持準備状態が実現され、保持装置20が第2位置P2に配置されている状態で姿勢変更動作が行われる。
【0026】
少なくとも保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、一対の支持部21のそれぞれの支持面22が被支持面91aに対して下方V2から接する保持状態が実現される。なお、2つの面が「接する」とは、これら2つの面が面接触する場合に限らず、一方の面の縁部が他方の面(縁部又は縁部に囲まれた部分)に接する場合を含む概念である。本実施形態では、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、一対の支持部21のそれぞれの支持面22が被支持面91aに対して下方V2から対向する保持可能状態が実現され、その後、昇降装置50が昇降駆動部71により保持装置20を上昇させることで、保持状態が実現される。保持可能状態では、一対の支持面22のそれぞれは、被支持面91aに対して下方V2に離間して配置される。本実施形態では、図7に示す状態が保持可能状態であり、図8に示す状態が保持状態である。
【0027】
図4及び図5に示すように、平面視で第1方向Aに直交する方向(ここでは、水平方向)を第2方向Bとし、第2方向Bの一方側を第2方向第1側B1として、第2方向Bの他方側(第2方向第1側B1とは反対側)を第2方向第2側B2とする。図5及び図6に示すように、本実施形態では、一対の支持面22のそれぞれは、第2方向第1側B1へ向かうに従って下方V2へ向かう第1傾斜方向D1に傾斜する傾斜領域30を備えている。本実施形態では、傾斜領域30は、第1方向Aには傾斜していない。ここでは、傾斜領域30の全体が平面状に形成されている。また、ここでは、支持面22の全体が傾斜領域30とされている。言い換えれば、一対の支持部21のそれぞれは、支持面22が第1傾斜方向D1に傾斜する向きで、保持装置20の上述した本体部に支持されている。第1傾斜方向D1は、例えば、水平面に対して5度下方に傾斜した方向とされる。
【0028】
一対の支持面22のそれぞれが傾斜領域30を備えており、保持状態では、一対の支持面22のそれぞれの傾斜領域30が、被支持面91aに対して下方V2から接するように配置される。そのため、保持状態では、図8に示すように、底面90cが第1傾斜方向D1に応じた方向に傾斜した傾斜姿勢S1で、物品90が保持装置20によって保持される。図4に示すように、本実施形態では、物品90は、開口部92が平面視で第2方向第2側B2を向く向きで、保持装置20によって保持される。そのため、図2及び図3に示すように、本実施形態では、傾斜姿勢S1は、開口部92が斜め上方を向く姿勢(すなわち、物品90に収容された基板93が開口部92から物品90の外部に移動し難い姿勢)とされ、保持装置20は、開口部92が斜め上方を向く傾斜姿勢S1で物品90を保持する。なお、開口部92を介した収容物(本実施形態では、基板93)の出し入れが行われる際の収容物の移動方向に沿って、物品90の外部に向かう方向を、開口部92の向きとする。保持装置20がこのように物品90を保持するため、図2に示すように、保持装置20が第1位置P1に位置する状態や、保持装置20が第1位置P1と第2位置P2との間の第3位置P3に位置する状態で、物品90は傾斜姿勢S1で保持装置20に保持される。
【0029】
図4及び図5に示すように、本実施形態では、一対の支持部21のそれぞれは、第2方向第1側B1から被保持部91に当接する当接部23を更に備えている。ここで、「当接する」とは、常時当接する場合だけでなく、被保持部91と当接部23との間に隙間が存在し、被保持部91が当接部23の側に移動した場合に当接する場合を含む概念である。被支持面91aと支持面22との間の摩擦力が、保持状態において被保持部91が支持面22上を第2方向第1側B1に移動することを規制できる程度の大きさでない場合には、被保持部91が当接部23に対して第2方向第2側B2から当接する状態で、物品90が保持装置20によって保持される。一方、例えば支持面22がゴム部材で構成される場合のように、被支持面91aと支持面22との間の摩擦力が、保持状態において被保持部91が支持面22上を第2方向第1側B1に移動することを規制できる程度の大きさである場合には、被保持部91が当接部23に対して第2方向第2側B2から当接する状態ではなく、被保持部91と当接部23との間に隙間が存在する状態で、物品90が保持装置20によって保持される構成としてもよい。
【0030】
当接部23の構成はこれに限定されないが、本実施形態では、当接部23は、板状部材により構成されている。一方、後に説明する第2の実施形態では、当接部23は、柱状部材により構成されている(図10参照)。一対の支持部21のそれぞれが、第2方向第2側B2から被保持部91に当接する当接部23を更に備えていてもよい。
【0031】
図2では、一対の支持部21が車体前後方向X(図1参照)に互いに接近及び離間する向きで(すなわち、第1方向Aが車体前後方向Xに沿う向きで)、保持装置20が配置される場合を例示しているが、一対の支持部21が車体左右方向Yに互いに接近及び離間する向きで(すなわち、第1方向Aが車体左右方向Yに沿う向きで)、保持装置20が配置されてもよい。また、図1図3では、開口部92が車体左右方向Yの一方側を向く向きで、物品90が保持装置20に保持される場合を例示しているが、開口部92が車体前後方向Xの一方側を向く向きで、物品90が保持装置20に保持されてもよい。なお、搬送車1が、保持装置20を本体部10に対して鉛直方向Vに沿う軸心周りに回転させる機構を備える構成とすることもできる。物品90に収容されている基板93が、搬送車1の走行時に開口部92から物品90の外部に移動することをより確実に防止するという観点から、開口部92がカバー部14の壁部を向く向きで、物品90が保持装置20に保持される構成とすると好適である。
【0032】
図24に示すように、物品搬送設備100は、搬送車1の動作を制御する制御部80を備えている。制御部80は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御部80の各機能が実現される。制御部80は、搬送車1に設けられても、搬送車1とは独立に設けられてもよい。また、制御部80が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが搬送車1に設けられ、残りのハードウェアが搬送車1とは独立に設けられてもよい。
【0033】
制御部80は、走行駆動部70の駆動を制御することで、移動経路2に沿って移動する移動動作を本体部10に行わせる。具体的には、制御部80は、走行駆動部70の駆動を制御することで、レール3に沿って走行する走行動作を走行部11に行わせる。本実施形態では、走行部11の走行動作によって本体部10の移動動作が実現される。制御部80は、保持装置20が保持している物品90を移載対象箇所6に搬送する場合に、保持装置20が物品90を保持した状態で走行部11に走行動作を行わせる。また、制御部80は、昇降駆動部71の駆動を制御することで、保持装置20を昇降させる昇降動作を昇降装置50に行わせる。上述したように、保持装置20は傾斜姿勢S1で物品90を保持するため、図3に示すように、保持装置20に保持された状態の物品90は、傾斜姿勢S1で昇降される。また、制御部80は、保持駆動部72の駆動を制御することで、一対の支持部21の姿勢を第1姿勢C1と第2姿勢C2とに切り替える姿勢切替動作を保持装置20に行わせる。上述した姿勢変更動作は、第1姿勢C1から第2姿勢C2への姿勢切替動作である。
【0034】
移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合(すなわち、移載対象箇所6から物品90を搬出する場合)、制御部80は、移載対象箇所6に対応する位置(ここでは、移載対象箇所6より上方V1であって、平面視で移載対象箇所6と重複する位置)まで搬送車1を走行させる走行動作を走行部11に行わせた後、一対の支持部21が第1姿勢C1に切り替えられた状態の保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作を、昇降装置50に行わせる。保持装置20が第2位置P2に到達すると、保持準備状態が実現される(図6参照)。次に、制御部80は、一対の支持部21の姿勢を第1姿勢C1から第2姿勢C2に切り替える姿勢切替動作(すなわち、姿勢変更動作)を保持装置20に行わせ、これに伴い保持準備状態から保持可能状態に状態が遷移する(図7参照)。
【0035】
保持可能状態が実現されている状態で、制御部80は、保持装置20を第2位置P2から第1位置P1まで上昇させる昇降動作を昇降装置50に行わせることで、保持可能状態から保持状態に状態が遷移した後、物品90を傾斜姿勢S1で保持する状態の保持装置20が第1位置P1まで上昇する。この際、保持装置20が第2位置P2から上昇するのに伴い、第2方向第2側B2の部分が持ち上げられるように物品90の姿勢が水平姿勢S2から傾斜姿勢S1に変化し、保持装置20が第2位置P2より上方V1の規定位置に到達すると、図8に示すように、物品90の姿勢は、底面90cが第1傾斜方向D1に応じた方向に傾斜した傾斜姿勢S1となる。その後、物品90を傾斜姿勢S1で保持する状態の保持装置20が、当該規定位置から第1位置P1まで上昇する。
【0036】
一方、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合(すなわち、移載対象箇所6に物品90を搬入する場合)、制御部80は、移載対象箇所6に対応する位置まで搬送車1を走行させる走行動作を走行部11に行わせた後、物品90を保持した状態の保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作を、昇降装置50に行わせる。この際、上記の規定位置まで保持装置20が下降すると、図8に示すように、物品90の底面90cにおける第2方向第1側B1の端部が移載対象箇所6に接触し、その後、保持装置20が第2位置P2まで下降するのに伴い、物品90の姿勢が、傾斜姿勢S1から水平姿勢S2に変化する(図7参照)。すなわち、保持装置20が当該規定位置から第2位置P2まで下降するのに伴い、保持状態から保持可能状態へ状態が遷移し、一対の支持面22のそれぞれが、被支持面91aに対して下方V2に離間して配置される。
【0037】
保持可能状態が実現されている状態で、制御部80は、一対の支持部21の姿勢を第2姿勢C2から第1姿勢C1に切り替える姿勢切替動作を保持装置20に行わせ(図6参照)、その後、保持装置20を第2位置P2から第1位置P1まで上昇させる昇降動作を昇降装置50に行わせる。これにより、水平姿勢S2の物品90を移載対象箇所6に残した状態で、保持装置20のみが第1位置P1まで上昇する。
【0038】
本実施形態では、保持装置20が昇降される期間に、保持可能状態と保持状態との間の状態遷移に伴い物品90の姿勢が変化する第1期間と、保持状態において保持装置20が昇降する第2期間とが含まれる。第2期間では、保持装置20に保持された状態の物品90の姿勢は変化しない(言い換えれば、姿勢が維持或いは実質的に維持される)。移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合における、保持装置20が第2位置P2から上述した規定位置まで上昇する期間や、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合における、保持装置20が当該規定位置から第2位置P2まで下降する期間が、第1期間である。また、物品90を保持した状態の保持装置20が当該規定位置と第1位置P1との間を昇降する期間が、第2期間である。本実施形態では、昇降駆動部71は、第1期間における保持装置20の昇降速度を、第2期間における保持装置20の昇降速度よりも低くするように構成されている。昇降駆動部71は、制御部80による制御を受けて、保持装置20の昇降速度をこのように変化させる。
【0039】
〔第2の実施形態〕
搬送車の第2の実施形態について、図面(図9図13)を参照して説明する。以下では、本実施形態の搬送車について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
図10及び図11に示すように、本実施形態では、一対の支持面22のそれぞれは、第1傾斜方向D1に傾斜する傾斜領域30を備えている。この点は第1の実施形態と共通であるが、一対の支持部21のそれぞれにおいて、第1方向Aにおける他方の支持部21に近づく側を第1方向第1側A1として、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、傾斜領域30における少なくとも一部の領域が、第1方向第1側A1へ向かうに従って下方V2へ向かう第2傾斜方向D2にも傾斜している。図10に示すように、本実施形態では、傾斜領域30の全体が、第1傾斜方向D1及び第2傾斜方向D2の双方に傾斜している。ここで、第1傾斜方向D1及び第2傾斜方向D2の双方に傾斜する領域を第1傾斜領域31とし、第1傾斜方向D1に傾斜すると共に第2傾斜方向D2に傾斜しない領域を第2傾斜領域32とすると、本実施形態では、傾斜領域30の全体が第1傾斜領域31とされている。また、本実施形態では、第1傾斜領域31が平面状に形成されている。
【0041】
図10に示すように、本実施形態では、一対の支持面22のそれぞれは、傾斜領域30とは別に、水平面に沿う水平領域を備えている。この水平領域は、傾斜領域30の最下部から水平方向に延びるように形成されている。具体的には、支持面22は、傾斜領域30に対して第1方向第1側A1に、水平面に沿う第1水平領域41を備えていると共に、傾斜領域30に対して第2方向第1側B1に、水平面に沿う第2水平領域42を備えている。第1水平領域41は、第2方向Bの各位置において傾斜領域30に対して第1方向第1側A1に配置される水平領域であり、第2水平領域42は、第1方向Aの各位置において傾斜領域30に対して第2方向第1側B1に配置される水平領域である。傾斜領域30は、第1傾斜方向D1及び第2傾斜方向D2の双方に傾斜しているため、図10に示すように、傾斜領域30と水平領域との境界は、第2方向第1側B1へ向かうに従って第1方向第2側A2へ向かう方向に傾斜している。そのため、支持面22が備える水平領域の大部分は、傾斜領域30に対して第1方向第1側A1に配置されていると共に傾斜領域30(具体的には、傾斜領域30における別の部分)に対して第2方向第1側B1に配置されており、第1水平領域41と第2水平領域42とは大部分が共通の領域とされている。
【0042】
本実施形態では、保持準備状態では、一対の支持面22のそれぞれの一部のみが、被支持面91aよりも下方V2に配置される。具体的には、保持準備状態では、傾斜領域30(具体的には、第1傾斜領域31)における下方V2の部分が被支持面91aよりも下方V2に配置され(本実施形態では、更に第1水平領域41及び第2水平領域42も被支持面91aよりも下方V2に配置され)、傾斜領域30(具体的には、第1傾斜領域31)における上方V1の部分が被支持面91aよりも上方V1に配置される。本実施形態では、図11に示す状態が保持準備状態である。また、本実施形態では、図12に示す状態が、保持準備状態と保持状態との間での状態遷移中の状態であり、図13に示す状態が保持状態である。
【0043】
第1の実施形態では、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、保持可能状態が実現され、その後、昇降装置50が保持装置20を上昇させることで、保持状態が実現されるのに対して、本実施形態では、以下に説明するように、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、保持状態が実現される。
【0044】
移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合、制御部80は、移載対象箇所6に対応する位置まで搬送車1を走行させる走行動作を走行部11に行わせた後、一対の支持部21が第1姿勢C1に切り替えられた状態の保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作を、昇降装置50に行わせる。保持装置20が第2位置P2に到達すると、保持準備状態が実現される(図11参照)。
【0045】
次に、制御部80は、一対の支持部21の姿勢を第1姿勢C1から第2姿勢C2に切り替える姿勢切替動作(すなわち、姿勢変更動作)を保持装置20に行わせる。この際、一対の支持面22のそれぞれの傾斜領域30(具体的には、第1傾斜領域31)が、被支持面91aの縁部に対して第1方向第2側A2から接触することで、姿勢切替動作の進行に伴い、第2方向第2側B2の部分が持ち上げられるように物品90の姿勢が水平姿勢S2から傾斜姿勢S1に変化し(図12参照)、姿勢切替動作が完了すると、図13に示すように、物品90の姿勢は、底面90cが第1傾斜方向D1に応じた方向に傾斜した傾斜姿勢S1となる。その後、制御部80は、保持装置20を第2位置P2から第1位置P1まで上昇させる昇降動作を昇降装置50に行わせる。これにより、物品90を傾斜姿勢S1で保持する状態の保持装置20が、第2位置P2から第1位置P1まで上昇する。
【0046】
一方、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合、制御部80は、移載対象箇所6に対応する位置まで搬送車1を走行させる走行動作を走行部11に行わせた後、物品90を保持した状態の保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作を、昇降装置50に行わせる。第2位置P2まで保持装置20が下降すると、図13に示すように、物品90の底面90cにおける第2方向第1側B1の端部が移載対象箇所6に接触する。
【0047】
次に、制御部80は、一対の支持部21の姿勢を第2姿勢C2から第1姿勢C1に切り替える姿勢切替動作を保持装置20に行わせる。この際、姿勢切替動作の進行に伴い、第2方向第2側B2の部分が下降するように(言い換えれば、底面90cの水平面に対する傾斜角度が小さくなるように)物品90の姿勢が変化し(図12参照)、姿勢切替動作が完了すると、図11に示すように、物品90の姿勢は水平姿勢S2となる。その後、制御部80は、保持装置20を第2位置P2から第1位置P1まで上昇させる昇降動作を昇降装置50に行わせる。これにより、水平姿勢S2の物品90を移載対象箇所6に残した状態で、保持装置20のみが第1位置P1まで上昇する。
【0048】
〔第3の実施形態〕
搬送車の第3の実施形態について、図面(図14図18)を参照して説明する。以下では、本実施形態の搬送車について、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第2の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図15及び図16に示すように、本実施形態では、一対の支持面22のそれぞれは、第1傾斜方向D1に傾斜する傾斜領域30を備えており、傾斜領域30における少なくとも一部の領域は、第2傾斜方向D2にも傾斜している。これらの点は第2の実施形態と共通であるが、本実施形態では、第2の実施形態とは異なり、傾斜領域30の一部のみが、第1傾斜方向D1及び第2傾斜方向D2の双方に傾斜している。具体的には、傾斜領域30における少なくとも第2方向Bの中央部に対して第2方向第2側B2の領域(ここでは、傾斜領域30の全域)が、第1方向第1側A1から第1方向第2側A2(第1方向第1側A1とは反対側)へ向かうに従って、第1傾斜方向D1及び第2傾斜方向D2の双方に傾斜する第1傾斜領域31と、第1傾斜方向D1に傾斜すると共に第2傾斜方向D2に傾斜しない第2傾斜領域32とを順に備えている。第1傾斜領域31と第2傾斜領域32とは、第1方向Aに連続するように形成されている。
【0050】
また、第2の実施形態とは異なり、本実施形態では、図15及び図17に示すように、第1傾斜領域31は、第1方向第1側A1から第1方向第2側A2へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されている。一方、第2傾斜領域32は、平面状に形成されている。本実施形態では、図16に示す状態が、保持準備状態であり、図17に示す状態が、保持準備状態と保持状態との間での状態遷移中の状態であり、図18に示す状態が、保持状態である。第2の実施形態では、保持状態において、一対の支持面22のそれぞれの第1傾斜領域31が、被支持面91aに対して下方V2から接するように配置されるのに対して、本実施形態では、保持状態において、一対の支持面22のそれぞれの第2傾斜領域32が、被支持面91aに対して下方V2から接するように配置される。
【0051】
移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合や、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合、制御部80は、第2の実施形態と同様に、走行部11の走行動作、保持装置20の姿勢切替動作、及び、昇降装置50の昇降動作を制御する。但し、本実施形態では、保持状態において、一対の支持面22のそれぞれの第1傾斜領域31ではなく、一対の支持面22のそれぞれの第2傾斜領域32が被支持面91aに対して下方V2から接するように配置される。そのため、本実施形態では、姿勢変更動作(一対の支持部21の姿勢を第1姿勢C1から第2姿勢C2に切り替える姿勢切替動作)を保持装置20に行わせる際、一対の支持面22のそれぞれの第1傾斜領域31が、被支持面91aの縁部に対して第1方向第2側A2から接触することで、物品90の姿勢が水平姿勢S2から傾斜姿勢S1に変化した後(図17参照)、被支持面91aの第1方向Aの両側の端部が一対の支持面22のそれぞれの第2傾斜領域32に到達するまで姿勢変更動作が継続され、姿勢変更動作が完了すると、物品90の姿勢は、被支持面91aが第2傾斜領域32に沿う傾斜姿勢S1となる(図18参照)。
【0052】
〔第4の実施形態〕
搬送車の第4の実施形態について、図面(図19図23)を参照して説明する。以下では、本実施形態の搬送車について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
上記の第1、第2、及び第3の各実施形態では、一対の支持面22のそれぞれに第1傾斜方向D1に傾斜する傾斜領域30を設けることで、保持状態で被支持面91aを水平面に対して傾斜させて支持するように一対の支持部21を構成している。これに対して、本実施形態では、図23に示すように、一対の支持部21の一方が備える支持面22を第1支持面22aとし、一対の支持部21の他方が備える支持面22を第2支持面22bとして、第1支持面22aを第2支持面22bよりも上方V1に配置することで、保持状態で被支持面91aを水平面に対して傾斜させて支持するように一対の支持部21を構成している。本実施形態では、図21に示す状態が、保持準備状態であり、図22に示す状態が、保持準備状態と保持状態との間での状態遷移中の状態であり、図23に示す状態が、保持状態である。
【0054】
本実施形態では、保持状態において、第1方向Aの一方側(第1支持面22aから第2支持面22bに向かう側)に向かうに従って下方V2へ向かう方向に底面90cが傾斜した傾斜姿勢S1で、物品90が保持装置20によって保持される。具体的には、保持状態では、第1方向Aの上記一方側へ向かうに従って第1支持面22aと第2支持面22bとの高低差に応じた傾斜角度で下方V2へ向かう方向に底面90cが傾斜した傾斜姿勢S1で、物品90が保持装置20によって保持される。本実施形態では、図19に示すように、物品90は、開口部92が平面視で第1方向Aの一方側(第2支持面22bから第1支持面22aに向かう側)を向く向きで、保持装置20によって保持される。そのため、本実施形態でも、傾斜姿勢S1は、開口部92が斜め上方を向く姿勢とされる。なお、本実施形態では、上記の各実施形態と異なり、第1支持面22a及び第2支持面22bは、第1傾斜方向D1に傾斜する傾斜領域30を備えていない。すなわち、第1支持面22a及び第2支持面22bは、第2方向Bには傾斜していない。
【0055】
図20に示すように、本実施形態では、第1支持面22aは、第1方向第1側A1へ向かうに従って下方V2へ向かう方向に傾斜する対象領域60を備えている。本実施形態では、対象領域60は、第1方向第1側A1から第1方向第2側A2へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されている。一方、本実施形態では、第2支持面22bの全体が、水平面に沿う平面状に形成されている。このように、本実施形態では、上記の各実施形態とは異なり、一対の支持部21は、互いに鏡像対称となる形状には形成されていない。
【0056】
対象領域60における少なくとも上方V1の部分(ここでは、対象領域60の全体)は、第2支持面22bよりも上方V1に配置されており、保持状態では、第1支持面22aにおける第2支持面22bよりも上方V1に配置された部分が、被支持面91aに対して下方V2から接するように配置される。なお、図23に示す例では、保持状態において、対象領域60と、対象領域60に対して第1方向第2側A2に設けられた平面部との境界部分が、被支持面91aに対して下方V2から接しているが、第1支持面22aに含まれる当該平面部を、第1方向第1側A1へ向かうに従って下方V2へ向かう方向に傾斜するように形成し、保持状態において、当該平面部が被支持面91aに対して下方V2から接する構成とすることもできる。
【0057】
本実施形態では、保持準備状態では、第1支持面22aの一部のみと第2支持面22bの全体とが、被支持面91aよりも下方V2に配置される。具体的には、保持準備状態では、対象領域60における下方V2の部分と第2支持面22bの全体とが、被支持面91aよりも下方V2に配置され、対象領域60における上方V1の部分が被支持面91aよりも上方V1に配置される。そして、本実施形態では、第2及び第3の実施形態と同様に、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、保持状態が実現される。
【0058】
移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合や、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合、制御部80は、第2の実施形態と同様に、走行部11の走行動作、保持装置20の姿勢切替動作、及び、昇降装置50の昇降動作を制御する。但し、本実施形態では、物品90を保持するために一対の支持部21を第1姿勢C1から第2姿勢C2に切り替える姿勢切替動作(すなわち、姿勢変更動作)を保持装置20に行わせる際には、第1支持面22aの対象領域60が被支持面91aの縁部に対して第1方向第2側A2から接触することで、姿勢切替動作の進行に伴い、第1方向Aの一方側(第2支持面22bから第1支持面22aに向かう側)の部分が持ち上げられるように物品90の姿勢が水平姿勢S2から傾斜姿勢S1に変化し(図22参照)、姿勢切替動作が完了すると、図23に示すように、物品90の姿勢は、被支持面91aが第1支持面22aと第2支持面22bとの高低差に応じて傾斜した傾斜姿勢S1となる。
【0059】
一方、物品90の保持を解除するために一対の支持部21を第2姿勢C2から第1姿勢C1に切り替える姿勢切替動作を保持装置20に行わせる際には、姿勢切替動作の進行に伴い、第1方向Aの一方側(第2支持面22bから第1支持面22aに向かう側)の部分が下降するように(言い換えれば、底面90cの水平面に対する傾斜角度が小さくなるように)物品90の姿勢が変化し(図22参照)、姿勢切替動作が完了すると、図21に示すように、物品90の姿勢は水平姿勢S2となる。
【0060】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0061】
(1)上記第2~第4の実施形態では、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、保持状態が実現される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、上記第2~第4の実施形態において、第1の実施形態と同様に、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、保持可能状態が実現され、その後、昇降装置50が保持装置20を上昇させることで、保持状態が実現される構成としてもよい。この場合、第1の実施形態と同様に、保持準備状態では、一対の支持面22のそれぞれの全体が被支持面91aよりも下方V2に配置され、保持可能状態から保持装置20が上昇することによって、物品90の姿勢が水平姿勢S2から傾斜姿勢S1に変化する。
【0062】
(2)上記第2の実施形態では、第1傾斜領域31が平面状に形成され、上記第3の実施形態では、第1傾斜領域31が、第1方向第1側A1から第1方向第2側A2へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第2の実施形態において、第1傾斜領域31が上記のような曲面状に形成される構成とすることや、第3の実施形態において、第1傾斜領域31が平面状に形成される構成とすることもできる。
【0063】
(3)上記第4の実施形態では、対象領域60が、第1方向第1側A1から第1方向第2側A2へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されている構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、対象領域60が平面状に形成される構成とすることもできる。
【0064】
(4)上記第4の実施形態では、第1支持面22aが、第1方向第1側A1へ向かうに従って下方V2へ向かう方向に傾斜する対象領域60を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1支持面22aが対象領域60を備えない構成(例えば、水平面に沿う平面状に形成された第1支持面22aが、水平面に沿う平面状に形成された第2支持面22bよりも上方V1に配置される構成)とすることもできる。この場合、第1の実施形態と同様に、保持準備状態において、第1支持面22a及び第2支持面22bのそれぞれの全体が、被支持面91aよりも下方V2に配置されるようにし、保持装置20が姿勢変更動作を実行することで、保持可能状態が実現され、その後、昇降装置50が保持装置20を上昇させることで、保持状態が実現される構成とすることができる。この場合、被保持部91がフランジ部である構成に代えて、第1の実施形態と同様に、物品90の上面部が被保持部91として用いられる構成としてもよい。また、第2~第4の実施形態において、物品90の底面部が被保持部91として用いられる構成とすることもできる。
【0065】
(5)上記第1の実施形態では、昇降駆動部71が、第1期間における保持装置20の昇降速度を、第2期間における保持装置20の昇降速度よりも低くする構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、昇降駆動部71が、第1期間における保持装置20の昇降速度を、第2期間における保持装置20の昇降速度と同等とする構成としてもよい。
【0066】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0067】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送車の概要について説明する。
【0068】
物品を搬送する搬送車であって、移動経路に沿って移動する本体部と、前記物品を保持する保持装置と、前記保持装置を前記本体部に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記物品は、当該物品の底面と平行に配置される面であって、下方を向く被支持面が形成された被保持部を備え、前記保持装置は、前記被支持面を下方から支持する支持面をそれぞれ備えた一対の支持部と、一対の前記支持部を第1方向に互いに接近及び離間させる保持駆動部と、を備え、前記被保持部の前記第1方向の幅を第1幅として、前記保持駆動部は、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも大きくするように離間させた第1姿勢と、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも小さくするように接近させた第2姿勢と、に一対の前記支持部を駆動し、一対の前記支持部を前記第1姿勢とすると共に、一対の前記支持部のそれぞれの少なくとも一部が前記被保持部よりも下方に位置し且つ一対の前記支持部の間に前記被保持部が位置するように一対の前記支持部を配置した状態から、一対の前記支持部を前記第2姿勢とする動作を姿勢変更動作として、少なくとも前記保持装置が前記姿勢変更動作を実行することで、一対の前記支持部のそれぞれの前記支持面が前記被支持面に対して下方から接する保持状態が実現され、一対の前記支持部は、前記保持状態で前記被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように構成されている。
【0069】
本構成によれば、一対の支持部が、保持状態で、物品の底面と平行に配置される被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように構成されているため、底面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢で、物品を保持装置によって保持することができる。そして、このように傾斜姿勢で物品が保持される保持状態は、底面が水平面に沿う水平姿勢で物品が移載対象箇所に配置されている場合であっても、少なくとも保持装置に姿勢変更動作を実行させて、一対の支持部のそれぞれの支持面を被支持面に接触させることで実現することができる。よって、本構成によれば、保持状態で被支持面を水平面に対して傾斜させて支持するように一対の支持部を構成するという比較的簡素な装置構成で、物品を保持装置によって傾斜姿勢で保持することが可能となっている。
【0070】
ここで、平面視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側として、前記支持面は、前記第2方向第1側へ向かうに従って下方へ向かう第1傾斜方向に傾斜する傾斜領域を備えていると好適である。
【0071】
本構成によれば、保持状態を実現することで、底面が第1傾斜方向に応じた方向に傾斜した傾斜姿勢で、物品を保持装置によって保持することができる。なお、このように物品が傾斜姿勢で保持される保持状態は、物品が水平姿勢で移載対象箇所に配置されている場合であっても、被支持面に傾斜領域を接触させて、被支持面が傾斜領域に沿うように物品の姿勢を水平姿勢から傾斜姿勢に変化させることで、実現することができる。
【0072】
上記のように前記支持面が前記傾斜領域を備える構成において、一対の前記支持部のそれぞれは、前記第2方向第1側から前記被保持部に当接する当接部を更に備えていると好適である。
【0073】
本構成によれば、被保持部が支持面上を第2方向第1側に移動することを当接部によって規制することができるため、被支持面と支持面との間の摩擦力が小さい場合であっても、保持状態を適切に維持することができる。
【0074】
また、一対の前記支持部のそれぞれにおいて、前記第1方向における他方の前記支持部に近づく側を第1方向第1側として、前記傾斜領域における少なくとも一部の領域は、前記第1方向第1側へ向かうに従って下方へ向かう第2傾斜方向にも傾斜していると好適である。
【0075】
本構成によれば、傾斜領域における第1傾斜方向及び第2傾斜方向の双方に傾斜している領域が、被支持面に対して第1方向第1側とは反対側から接触するように姿勢変更動作を実行することで、姿勢変更動作の進行に伴い、被支持面が傾斜領域に沿うように物品の姿勢を変化させることができる。
【0076】
上記のように前記傾斜領域における少なくとも一部の領域が前記第2傾斜方向にも傾斜している構成において、前記支持面は、前記傾斜領域に対して前記第1方向第1側に、水平面に沿う第1水平領域を備えていると好適である。
【0077】
本構成によれば、例えば、被支持面が傾斜領域に沿うように物品の姿勢が変化する過程において、被支持面を支持するための領域として第1水平領域を用いることで、物品の姿勢を安定的に変化させることができる。また、例えば、保持状態において、被支持面の一部を第1水平領域により支持することで、被支持面を安定的に支持することができる。
【0078】
上記のように前記支持面が前記傾斜領域に対して前記第1方向第1側に前記第1水平領域を備えている構成において、前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側とし、前記第2方向第1側とは反対側を第2方向第2側として、前記傾斜領域における少なくとも前記第2方向の中央部に対して前記第2方向第2側の領域は、前記第1方向第1側から前記第1方向第2側へ向かうに従って、前記第1傾斜方向及び前記第2傾斜方向の双方に傾斜する第1傾斜領域と、前記第1傾斜方向に傾斜すると共に前記第2傾斜方向に傾斜しない第2傾斜領域とを順に備えていると好適である。
【0079】
本構成によれば、第1傾斜領域が被支持面に対して第1方向第2側から接触するように姿勢変更動作を実行することで、姿勢変更動作の進行に伴い、被支持面が第1傾斜領域に沿うように物品の姿勢を変化させることができる。そして、被支持面が第2傾斜領域に到達すると、被支持面が第2傾斜領域に沿う姿勢で物品が配置された保持状態を実現することができる。第2傾斜領域は、第2傾斜方向には傾斜しない領域であるため、被支持面と第2傾斜領域との接触面積を広く確保しやすく、これにより、保持状態において被支持面を安定的に支持することができる。
【0080】
また、上記のように前記傾斜領域における少なくとも一部の領域が前記第2傾斜方向にも傾斜している構成において、前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側として、前記傾斜領域における前記第1傾斜方向及び前記第2傾斜方向の双方に傾斜している領域は、前記第1方向第1側から前記第1方向第2側へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されていると好適である。
【0081】
本構成によれば、傾斜領域における第1傾斜方向及び第2傾斜方向の双方に傾斜している領域が平面状に形成される場合に比べて、姿勢変更動作の進行に伴う物品の姿勢変化を滑らかにして、物品に振動が発生し難いようにすることができる。
【0082】
また、前記支持面は、前記傾斜領域に対して前記第2方向第1側に、水平面に沿う第2水平領域を備えていると好適である。
【0083】
本構成によれば、例えば、被支持面が傾斜領域に沿うように物品の姿勢が変化する過程において、被支持面を支持するための領域として第2水平領域を用いることで、物品の姿勢を安定的に変化させることができる。また、例えば、保持状態において、被支持面の一部を第2水平領域により支持することで、被支持面を安定的に支持することができる。
【0084】
また、一対の前記支持部の一方が備える前記支持面を第1支持面とし、一対の前記支持部の他方が備える前記支持面を第2支持面として、前記第1支持面は、前記第2支持面よりも上方に配置されていると好適である。
【0085】
本構成によれば、保持状態を実現することで、第1方向の一方側(第1支持面から第2支持面に向かう側)に向かうに従って下方へ向かう方向に傾斜した傾斜姿勢で、物品を保持装置によって保持することができる。なお、このように物品が傾斜姿勢で保持される保持状態は、物品が水平姿勢で移載対象箇所に配置されている場合であっても、被支持面に第1支持面及び第2支持面を接触させて、被支持面が第1支持面と第2支持面との高低差に応じて傾斜するように物品の姿勢を水平姿勢から傾斜姿勢に変化させることで、実現することができる。
【0086】
上記のように前記第1支持面が前記第2支持面よりも上方に配置される構成において、一対の前記支持部のそれぞれにおいて、前記第1方向における他方の前記支持部に近づく側を第1方向第1側として、前記第1支持面は、前記第1方向第1側へ向かうに従って下方へ向かう方向に傾斜する対象領域を備えていると好適である。
【0087】
本構成によれば、第1支持面における対象領域が被支持面に対して第1方向第1側から接触するように姿勢変更動作を実行することで、姿勢変更動作の進行に伴い、被支持面が第1支持面と第2支持面との高低差に応じて傾斜するように物品の姿勢を変化させることができる。
【0088】
上記のように前記第1支持面が前記対象領域を備える構成において、前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側として、前記対象領域は、前記第1方向第1側から前記第1方向第2側へ向かうに従って、水平面に対する傾斜角度が次第に大きくなった後、当該傾斜角度が次第に小さくなるような曲面状に形成されていると好適である。
【0089】
本構成によれば、対象領域が平面状に形成される場合に比べて、姿勢変更動作の進行に伴う物品の姿勢変化を滑らかにして、物品に振動が発生し難いようにすることができる。
【0090】
また、前記昇降装置は、前記保持装置を昇降させる昇降駆動部を備え、前記保持装置が前記姿勢変更動作を実行することで、一対の前記支持部のそれぞれの前記支持面が前記被支持面に対して下方から対向する保持可能状態が実現され、その後、前記昇降装置が前記昇降駆動部により前記保持装置を上昇させることで、前記保持状態が実現され、前記保持装置が昇降される期間に、前記保持可能状態と前記保持状態との間の状態遷移に伴い前記物品の姿勢が変化する第1期間と、前記保持状態において前記保持装置が昇降する第2期間とが含まれ、前記昇降駆動部は、前記第1期間における前記保持装置の昇降速度を、前記第2期間における前記保持装置の昇降速度よりも低くすると好適である。
【0091】
本構成によれば、第1期間における保持装置の昇降速度を、第2期間における保持装置の昇降速度よりも低くすることで、物品の姿勢が変化するために第2期間に比べて物品に振動が発生しやすくなる第1期間において、物品に振動が発生し難いようにすることができる。
【0092】
また、前記物品は、側面に開口部を有する容器であり、前記保持装置は、前記開口部が斜め上方を向く姿勢で前記物品を保持すると好適である。
【0093】
本構成によれば、物品が側面に開口部を有する容器である場合に、物品を、当該物品に収容された収容物が開口部から物品の外部に移動し難い姿勢で、保持装置によって保持することができる。
【0094】
本開示に係る搬送車は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0095】
1:搬送車
2:移動経路
10:本体部
20:保持装置
21:支持部
22:支持面
22a:第1支持面
22b:第2支持面
23:当接部
30:傾斜領域
31:第1傾斜領域
32:第2傾斜領域
41:第1水平領域
42:第2水平領域
50:昇降装置
60:対象領域
71:昇降駆動部
72:保持駆動部
90:物品
90b:側面
90c:底面
91:被保持部
91a:被支持面
92:開口部
A:第1方向
A1:第1方向第1側
A2:第1方向第2側
B:第2方向
B1:第2方向第1側
B2:第2方向第2側
C1:第1姿勢
C2:第2姿勢
D1:第1傾斜方向
D2:第2傾斜方向
V1:上方
V2:下方
ΔA:第1幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24