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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】登録システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20230704BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20230704BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20230704BHJP
【FI】
B66B1/18 K
B66B1/18 L
B66B3/00 K
G06Q10/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021172680
(22)【出願日】2021-10-21
(62)【分割の表示】P 2020058421の分割
【原出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2022009379
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-292259(JP,A)
【文献】特開2002-234674(JP,A)
【文献】特開2017-119555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
B66B 3/00
G06Q 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取と、
前記情報読取が読み取った情報に基づき、前記利用者が利用する施設が設置されている行先階を、エレベータに登録する行先階登録部と、
前記情報読取部が前記情報を読み取ったことに応じて、前記利用者が利用する前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部と
(1)前記施設による受付が完了したことを示す情報、および前記利用者が搭乗すべき前記エレベータの号機を示す情報を含む画面、または(2)前記施設の利用が拒否されたことを示す情報を含む画面を表示部に表示させる制御部と、を備える登録システム。
【請求項2】
前記施設による受付が完了したことを示す情報は、前記利用者に対して採番した受付番号、および現在前記施設にて処理されている受付番号を含む、請求項1に記載の登録システム。
【請求項3】
前記施設の利用が拒否されたことを示す情報は、前記施設が利用できない理由を説明する情報を含む、請求項1または2に記載の登録システム。
【請求項4】
前記施設における受付可否を判断する受付可否判断部をさらに備え、
前記行先階登録部は、前記受付可否判断部が否と判断したときには、前記行先階の登録を行わない、請求項1から3のいずれか1項に記載の登録システム。
【請求項5】
前記受付登録部は、複数の利用者の前記受付登録を、前記情報読取部が前記情報を読み取った順序を維持して行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の登録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータを管理するエレベータシステムに適用する登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や飲食店などの施設の受付に設置され、利用者の順番待ちを受け付ける受付端末が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された受付端末は、施設の順番待ちを受け付けるための受付画面を表示し、この受付画面に対して利用者が操作を行い必要事項が入力されると、予約管理装置に対して受付要求を送信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-82993号公報(2019年5月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受付端末の設置されている施設がビルに入居しており、利用者はエレベータを利用してその施設へ赴く環境において、複数の利用者が同じエレベータに乗り合わせる状況を想定する。この状況では、エレベータ乗り場に先に来た利用者は、後から来た利用者よりもエレベータから降りるのが後になってしまい、その順で受付端末による受付も行われることがある。つまり、エレベータ乗り場への到着順と、施設での受付順が逆転してしまうという不合理が発生し得る。
【0006】
本発明は、上記不合理の発生を抑制し得る登録システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る登録システムは、エレベータの利用者が行った入力操作に応じて生成される入力情報を受け付ける入力受付部と、前記入力情報に基づき、前記エレベータに登録するための行先階を特定する行先階特定部と、複数の行先階の何れかに設置された施設のうち、前記入力情報に基づき特定された施設に対して、該入力情報が受け付けられたことを登録するための受付情報を生成する受付情報生成部とを備える。
【0008】
上述の構成によれば、エレベータの利用者が行った入力操作に伴って、エレベータへの行先階の登録に加えて、施設への受付登録を行うことが可能になる。これにより、複数の利用者間における、エレベータ乗り場への到着順と、施設での受付順が逆転してしまうという不合理の発生を低減し得る。
【0009】
また、本発明の態様2に係る登録システムは、前記態様1において、前記行先階特定部による特定結果に基づき、前記エレベータに対して行先階を登録する行先階登録部をさらに備えてもよい。
【0010】
上述の構成によれば、エレベータの利用者が行った入力操作に伴って、エレベータへの行先階の登録まで完結させることが可能な登録システムを構築することができる。
【0011】
また、本発明の態様3に係る登録システムは、前記態様2において、前記施設における受付可否を判断する受付可否判断部をさらに備え、前記行先階登録部は、前記受付可否判断部が否と判断したときには、前記行先階の登録を行わなくてもよい。
【0012】
上述の構成によれば、利用者はエレベータを呼ぶための入力操作を行った時点で、実際に施設に到着するよりも前に、目的の施設を利用できないことを知ることができる。そして、利用できない施設の階床まで利用者を無駄に搬送することを避けることができる。利用者にとっては無駄足が回避できるというメリットがある一方、エレベータシステムにとっては、無駄な呼びおよび走行を発生させずに済むというメリットがある。
【0013】
また、本発明の態様4に係る登録システムは、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記受付情報生成部により生成された受付情報に基づき、前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部をさらに備えてもよい。
【0014】
上述の構成によれば、エレベータの利用者が行った入力操作に伴って、受付の登録まで完結させることが可能な登録システムを構築することができる。通常、利用者は、エレベータの呼び操作とは別に、施設の受付にて利用申請操作を別途行わなければならないところ、本開示の登録システムによれば、1度の入力操作で、呼びの登録と受付の登録とが完結するので、利用者にとって利便性が高い。
【0015】
また、本発明の態様5に係る登録システムでは、前記態様4において、前記受付登録部は、複数の利用者の前記受付登録を、前記入力受付部において前記入力情報が受け付けられた順序を維持して行ってもよい。
【0016】
上述の構成によれば、エレベータに到着した者から順に、利用申請が受け付けられるという状況が保証され、エレベータ乗り場への到着順と、施設での受付順が逆転してしまうという不合理の発生を回避することができる。
【0017】
また、本発明の態様6に係る登録システムは、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記エレベータの乗り場に設置され、前記利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取ることにより前記入力情報を生成する情報読取装置をさらに備えてもよい。
【0018】
上述の構成によれば、利用者からの利用申請を受け付けるに際して、登録システムが管理しておかなければならない利用者に係る諸々の固有情報を、利用者は、簡単に登録システムに入力することができる。具体的には、利用者は、保持している情報記録媒体を情報読取装置が読み取り可能なように提示するだけでよく、複雑な操作によって種々の固有情報を登録システムに入力する手間を省くことができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明の態様7に係る登録システムは、利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取装置と、前記情報読取装置が読み取った情報に基づき、前記利用者が利用する施設が設置されている行先階を、エレベータに登録する行先階登録部と、前記情報読取装置が前記情報を読み取ったことに応じて、前記利用者が利用する前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部と、を備える。上述の構成によれば、態様1に係る登録システムと同様の効果を奏する。
【0020】
本発明の各態様に係る登録システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記登録システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記登録システムをコンピュータにて実現させる登録システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、複数の利用者間における、エレベータ乗り場への到着順と、施設での受付順が逆転してしまうという不合理の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る登録システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】情報読取装置が備えている操作盤の外観を示す図である。
図3】IDカードに記憶されている固有情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4】操作盤に表示される入力案内画面の一例を示す図である。
図5】操作盤に表示される施設選択画面の一例を示す図である。
図6】情報読取装置が生成する入力情報のデータ構造の一例を示す図である。
図7】セキュリティシステムの記憶部に記憶されている利用者DBのデータ構造の一例を示す図である。
図8】受付情報生成部が生成する受付情報のデータ構造の一例を示す図である。
図9】受付システムの記憶部に記憶されている受付登録DBのデータ構造の一例を示す図である。
図10】操作盤に表示される許可通知画面の一例を示す図である。
図11】操作盤に表示される拒否通知画面の一例を示す図である。
図12】操作盤に表示される行先階選択画面の一例を示す図である。
図13】登録の処理の流れを示すシーケンス図である。
図14】セキュリティシステムの記憶部に記憶されている利用者DBのデータ構造の他の例を示す図である。
図15】操作盤に表示される許可通知画面の他の例を示す図である。
図16】IDカードの他の例を示す図である。
図17】IDカードの他の例を示す図である。
図18】IDカードの他の例を示す図である。
図19】登録の処理の流れについて他の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、エレベータシステムの一例を示す概要図である。図1に示す概略図は、エレベータシステムに搭載された、本実施形態に係る登録システムの要部構成の一例を示すブロック図を含む。
【0024】
<エレベータシステムの概要>
エレベータシステムは、複数の階床を持つ建物に敷設される。例えば、建物には、1以上の施設が設置されている。施設とは、利用者に対してサービスを提供するための設備であり、例えば、病院、飲食店、美容院、カラオケ店、銀行、郵便局、役所などが該当する。該建物において、1つの施設が複数の階床に分かれて設置されていてもよいし、1つの階床に複数の施設が設置されていてもよい。本実施形態では、上述のエレベータシステムが敷設されている建物として、様々な医療サービスを提供する各テナントによって運営されている医療関係の施設が、2階からn階(例えば、7階)までの各階床に1以上設置されている建物が想定されている。なお、1階は、施設が設置されていてもよいし、エントランスのみが設けられていて施設が設置されていなくてもよい。
【0025】
図1に示すように、エレベータシステムは、登録システム100、および、複数の受付システム101(101b、101c・・・)を含んで構成される。受付システム101は、各施設が個別に運用するシステムであり、例えば、1つの施設につき1つの受付システム101が設けられている。受付システム101は、利用者からの利用申請を受け付けて該利用者の情報を登録し、施設が提供するサービス(例えば、診療)を所望する利用者を管理するためのシステムである。受付システム101では、利用申請が受け付けられた順に、申請主である利用者の情報が登録されている。そして、一般的には、施設において、登録が完了した順に、利用者に対してサービスが提供される。
登録システム100は、建物内を昇降するエレベータの呼びの登録を行うとともに、受付システム101における、上述の利用者の情報の登録(以下、「受付登録」と称する)を支援するためのシステムである。
【0026】
「受付登録」とは、受付システム101が、該当施設のサービスを所望する利用者を管理するために、該利用者からの利用申請を受け付けて該利用者の情報を自システムに登録することを指す。具体的には、本実施形態では、利用者が情報読取装置3を操作することにより生成された入力情報は、セキュリティシステム1にて一旦受け付けられる。この入力情報がセキュリティシステム1によって受け付けられたことに基づいて生成される受付情報(詳細は後述)を、実際にサービスを提供する施設の受付システム101に登録することを「受付登録」と称する。したがって、受付システム101が実施する「受付登録」は、セキュリティシステム1が入力情報を受け付けることとは区別される。施設の受付システム101において、利用者の「受付登録」が完了することにより、申請主である利用者は、正式に、施設においてサービスを提供する対象として認識されることになる。
【0027】
「受付登録の支援」とは、登録システム100が、情報読取装置3から利用者の入力情報を取得したことに応答して、該利用者の利用申請の受付に必要な受付情報を受付システム101に提供することを指す。受付システム101は、登録システム100から利用者の受付情報を受信することにより、該利用者の受付登録を実行することができる。
【0028】
登録システム100は、エレベータの呼びの登録と、受付システム101による受付登録の支援とを行うために、セキュリティシステム1、エレベータ制御システム2、および、情報読取装置3を含んで構成される。
【0029】
情報読取装置3は、利用者が保持する情報記録媒体に記録された、該利用者に固有の固有情報を読み取る装置である。本実施形態では、情報読取装置3は、固有情報を読み取ったことに応答して、エレベータの呼びを発生させる呼び発生装置としても機能する。情報読取装置3は、利用者がエレベータを呼び出すため操作を行うための操作盤を備えている。
【0030】
情報記録媒体は、一例として、固有情報を記録したIDカード4である。IDカード4は、例えば、建物の出入りを許可された利用者に対して、該建物の管理会社などから貸与されたものであってもよい。あるいは、IDカード4は、建物内の施設の利用を許可された利用者に対して、各施設の運営団体より発行されたものであってもよく、より具体的には、診療所の診察券などであってもよい。
【0031】
利用者は、利用したい施設に向かうために、情報読取装置3に対して、エレベータを呼び出すための入力操作を行う。この「入力操作」には、利用者が、保持するIDカード4を、情報読取装置3が読み取り可能なように提示して、IDカード4内の固有情報を情報読取装置3に読み取らせることが含まれる。また、この「入力操作」には、利用者が、情報読取装置3の操作盤を操作して指示を入力することが含まれてもよい。
【0032】
情報読取装置3は、入力操作に応じて、すなわち、IDカード4から読み取った固有情報に基づいて、入力情報を生成し、該入力情報を、セキュリティシステム1およびエレベータ制御システム2に送信する。
【0033】
エレベータ制御システム2は、建物に敷設された1以上のエレベータを統括的に制御する。具体的には、エレベータ制御システム2は、各階床に設置された情報読取装置3に対して利用者がエレベータを呼ぶための入力操作を行ったことに応答して、利用者を搬送するカゴを選択する。そして、エレベータ制御システム2は、選択したカゴの昇降を制御するエレベータ制御装置(不図示)に対して、乗場階呼びおよび行先階呼びを登録する。
【0034】
セキュリティシステム1は、利用者と受付システム101との間、および、利用者とエレベータ制御システム2との間を仲介する各種の処理を実行して、受付システム101およびエレベータ制御システム2のそれぞれが実行する登録の動作を支援する。
【0035】
具体的には、セキュリティシステム1は、情報読取装置3から送信された入力情報を受け付けて、該入力情報を入力した利用者を搬送すべき行先階を特定し、エレベータ制御システム2に対して指示する。これにより、エレベータ制御システム2は、行先階呼びをエレベータに登録することができる。
【0036】
また、具体的には、セキュリティシステム1は、情報読取装置3から送信された入力情報を受け付けて、受付システム101が上述の受付登録を実行するために必要な、利用者に関する情報を含む受付情報を生成し、受付システム101に提供する。これにより、受付システム101は、受付情報を自システムに登録することで受付登録を実行することができる。その結果、施設において利用者の利用申請が正式に受け付けられ、管理される。
【0037】
以上のとおり、本実施形態に係る登録システム100には、利用者が保持するIDカード4(情報記録媒体)に記録された情報を読み取る情報読取装置3と、情報読取装置3が読み取った固有情報(情報)に基づき、該利用者が利用する施設が設置されている行先階を、エレベータに登録するセキュリティシステム1とが備えられている。この結果、情報読取装置3が固有情報を読み取ったことに応じて、利用者が利用する施設に対して該利用者の受付登録が行われる。なお、この受付登録を行う受付登録部32は、セキュリティシステム1に備えられていてもよい。
【0038】
上述の構成によれば、エレベータの利用者が情報読取装置3に対して行った入力操作に応答して、エレベータの呼び登録と、施設への受付登録とを行うことが可能となる。これにより、複数の利用者間における、エレベータ乗り場への到着順と、施設での受付順が逆転してしまうという不合理の発生を低減し得る。
【0039】
以下では、上述の不合理の発生を低減することを実現するための登録システム100の要部構成について、より詳細に説明する。
【0040】
<情報読取装置3>
図2は、情報読取装置3が備えている操作盤の外観を示す図である。操作盤301は、利用者に情報を提示するための表示部と、利用者からの入力操作を受け付けるための操作部と、利用者が提示した情報記録媒体から、該利用者の固有情報を読み取るための情報読取部303とを含んで構成される。図示のとおり、表示部と操作部とはタッチパネル302として一体に形成されていてもよい。
【0041】
なお、情報読取装置3は、操作盤の他に、いずれも不図示の、制御部および通信部を備えている。制御部は、情報読取装置3の各部を統括的に制御する。通信部は、セキュリティシステム1およびエレベータ制御システム2と通信して、情報を送受信する。
【0042】
情報読取装置3は、例えば、各階床のエレベータの扉付近に設置されていてもよい。あるいは、情報読取装置3の本体は、建物のどこかに埋設されており、操作盤301のみが、例えば、エレベータの扉付近の壁面に設けられていてもよい。
【0043】
情報読取部303が情報を読み取る手段については、任意の技術が採用され得る。これには限定されないが、例えば、情報読取部303は、IDカード4に埋め込まれた、RFID(Radio Frequency-Identification)回路を内蔵したIC(Integrated Circuits)タグから、情報を読み取るRFIDタグリーダとして構成されてもよい。あるいは、情報
読取部303は、IDカード4に印刷されたバーコードまたは2次元コードを読み取るコードリーダとして構成されてもよい。あるいは、情報読取部303は、磁気記録媒体として構成されたIDカード4から磁気情報を読み出す磁気リーダとして構成されていてもよい。あるいは、スマートフォンのアプリによって表示されたバーコードまたは2次元コードを読み取るコードリーダとして構成されてもよいし、NFC(Near Field Communication)機能を搭載していてもよい。
【0044】
情報読取装置3の制御部は、情報読取部303から読み出された利用者の固有情報と、タッチパネル302を介して受け付けられた入力操作とに基づいて、入力情報を生成する。情報読取装置3の通信部は、生成された入力情報を、建物内のLAN(Local Area Network)などの通信網を介してセキュリティシステム1およびエレベータ制御システム2に
送信する。情報読取装置3の動作について、具体例を挙げて説明すると以下のとおりである。まず、情報読取装置3が読み取る固有情報のデータ構造について説明する。
【0045】
(IDカード4内の固有情報)
図3は、IDカード4に記憶されている固有情報のデータ構造の一例を示す図である。利用者の固有情報は、一例として、利用者ID、および、施設IDを少なくとも含む。固有情報は、必要に応じてさらに、施設名、所在階床、氏名、最終来館日などを含んでいてもよい。
【0046】
本実施形態では、一例として、建物の管理会社は、該建物の出入りを許可した利用者に対して、IDカード4を発行する。例えば、管理会社のオペレータは、情報書込端末を操作して、事前に、IDカード4の記憶領域に、利用者の固有情報を書き込む操作を行っておく。利用者IDは、建物の利用者を一意に識別するための識別情報である。識別情報は、上述の情報書込端末またはセキュリティシステム1によって、利用者に対して一意になるように自動で採番されてもよい。施設IDは、建物に設置されている施設を一意に識別するための識別情報である。この施設IDの項目には、利用者が利用している施設の施設IDが格納される。どの施設にどの施設IDが割り当てられているのかについては、登録システム100および受付システム101において共有されているものとする。
【0047】
施設名は、施設の名称を表している。施設名は、例えば、利用者が施設を識別するための情報として、情報読取装置3のタッチパネル302に表示するのに使用される。所在階床は、施設が設置されている階床を示す。本実施形態では、1つの施設には、1つの所在階床が割り当てられている。1つの施設が複数階床に亘って設置されている場合でも、その施設の受付が設置されている代表の階床が1つ割り当てられるものとする。
【0048】
例えば、管理会社のオペレータは、情報書込端末において、利用者または該利用者にサービスを提供する施設からの申し出に応じて、利用者と施設とを紐付ける操作を行い、利用者IDに紐付けて施設IDをIDカード4に格納する。施設名および所在階床は、施設IDの記録に伴って自動でIDカード4に格納されてもよい。図示された固有情報は、利用者ID「U123456」の利用者の固有情報である。該固有情報は、利用者ID「U123456」の利用者が、「診療所A」という施設、および、「診療所B」という施設の利用者であることを示している。
【0049】
さらに、IDカード4には、利用者の氏名を格納するための記憶領域が含まれていてもよい。また、IDカード4には、最終来館日を格納するための記憶領域が含まれていてもよい。例えば、利用者がIDカード4を情報読取装置3の情報読取部303にかざした時、情報読取装置3の不図示の情報書換部は、その時の日時を、最終来館日として、上述の記憶領域に格納してもよい。
【0050】
(入力操作の受け入れ)
図2に、情報読取装置3のタッチパネル302において、平常時に表示されるホーム画面の一例を示す。図4は、利用者に対して固有情報の提示を促すための入力案内画面の一例を示す図である。図5は、利用者から目的地である施設の選択を受け付けるための施設選択画面の一例を示す図である。
【0051】
例えば、情報読取装置3は、図2に示すとおり、利用者の入力操作を受け付けるためのホーム画面をタッチパネル302に表示してもよい。本実施形態では、建物のIDカード4を保持している利用者と、非保持の利用者とで、エレベータを呼ぶための入力操作が異なる。そのため、情報読取装置3の制御部は、ホーム画面において、IDカード4を保持している利用者であるか、非保持の利用者であるのかを、利用者に入力させるためのGUI(graphical user interface)部品を配置してもよい。このようなGUI部品の一例として、制御部は、IDカード4を保持している利用者に選択させるカード有ボタン311と、非保持の利用者に選択させるカード無ボタン312とをホーム画面に配置してもよい。
【0052】
制御部は、カード有ボタン311が選択されたことに応答して、図4に示す入力案内画面をタッチパネル302に表示させてもよい。制御部は、入力案内画面が表示されている間、情報読取部303に電源を供給し、IDカード4が読み取り可能な距離にかざされるのを待ち受けてもよい。
【0053】
制御部は、情報読取部303が読み取った固有情報から施設IDを取得する。複数の施設IDが取得された場合、制御部は、利用者の今回の行先を1つに絞るために、図5に示す施設選択画面をタッチパネル302に表示させてもよい。制御部は、読み取られた固有情報に含まれている複数の施設IDの各々が選択肢となるように、施設選択画面に、GUI部品を配置する。例えば、図3に示す固有情報が読み取られた場合、制御部は、「診療所A」を選択させる第1ボタン321と、「診療所B」を選択させる第2ボタン322とを施設選択画面に配置してもよい。
【0054】
制御部は、利用者の入力操作に基づいて、入力情報を生成する。具体的には、制御部は、読み取られた固有情報に施設IDが1つ含まれていること、または、施設選択画面を介して1つの施設が選択されたことに応じて、入力情報を生成する。入力情報は、利用者から登録システム100に対して要求が起こったこと、および、その要求の内容を示す情報であり、登録システム100が動作を開始するトリガとなる。
【0055】
(入力情報の生成)
図6は、利用者の入力操作に応じて情報読取装置3が生成する入力情報のデータ構造の一例を示す図である。入力情報は、エレベータの呼びを登録するために必要な情報と、受付登録を行うために必要な情報とを含む。換言すれば、入力情報には、(1)だれが、(2)どこから、(3)どこへ、向かおうとしているのかを示す情報が含まれている。具体的には、図示のとおり、入力情報は、(1)利用者IDと、(2)乗場階床と、(3)施設IDとを含んで構成される。利用者と施設とが1対1で対応しており、利用者が特定されることで行先の施設が一意に特定されるケースでは、入力情報において、(3)の項目は省略されてもよい。
【0056】
制御部は、IDカード4から読み取られた利用者IDと、自装置(情報読取装置3)が設置されている階床、すなわち、乗場階床と、IDカード4から読み取られた施設IDとを含む入力情報を生成する。制御部は、IDカード4から読み取られた施設IDが複数ある場合には、施設選択画面を介して利用者が選択した施設の施設IDを入力情報に含める。IDカード4から読み取られた施設IDが1つである場合には、制御部は、施設IDを入力情報から省いてもよい。制御部は、生成した入力情報を、通信部を介して、セキュリティシステム1と、エレベータ制御システム2とに送信する。
【0057】
<セキュリティシステム1>
セキュリティシステム1は、図1に示すとおり、入力受付部11と、行先階特定部12と、受付情報生成部13と、記憶部14とを含んで構成される。セキュリティシステム1は、不図示の通信部を含んでいてもよい。入力受付部11、行先階特定部12、および、受付情報生成部13の各部は、例えば、CPU(central processing unit)等として構成される不図示の制御部がROM(read only memory)等として構成される記憶部14に
記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現される。
【0058】
入力受付部11は、情報読取装置3から送信された入力情報を受け付ける。具体的には、入力受付部11は、通信部が入力情報を受信した日時を取得し、該日時の情報を、受付日時として、受信された入力情報に関連付ける。受付日時が関連付けられた入力情報は、一旦、記憶部14に格納されてもよい。
【0059】
行先階特定部12は、受信された入力情報に基づいて、該入力情報を入力した利用者を、建物のどの階床へ搬送すればよいのかを特定する。すなわち、行先階特定部12は、入力情報に基づいて、エレベータに登録するための行先階を特定する。
【0060】
記憶部14には、後述するように、利用者と該利用者が利用している施設との対応関係を記憶する利用者データベース(以下、DB)が格納されている。行先階特定部12は、利用者DBにおいて、入力情報に含まれている利用者IDまたは施設IDに対応付けられている施設の所在階床を特定し、特定した所在階床を行先階として特定する。なお、1人の利用者に1つの施設しか対応付けられていない場合は、行先階特定部12は、利用者IDに基づいて1つの行先階を特定することできる。1人の利用者に複数の施設が対応付けられている場合は、行先階特定部12は、入力情報の中の1つの施設IDに基づいて1つの行先階を特定することできる。行先階特定部12は、特定した行先階(特定結果)を、エレベータ制御システム2に送信する。
【0061】
受付情報生成部13は、入力情報が入力受付部11によって受け付けられたことに基づいて、受付情報を生成する。受付情報は、入力情報が入力受付部11によって受け付けられたことを受付システム101において登録するために必要な、利用者に関する各種の情報を含む。受付情報は、利用者から施設に対して利用申請が行われたこと、および、その利用申請が登録システム100においていつ受け付けられたのかを示す情報である。受付情報は、受付システム101が受付登録を開始するトリガになるとともに、利用申請が受け付けられた順序を受付システム101が正しく把握するための手助けとなる。
【0062】
(行先階の特定)
図7は、記憶部14に記憶されている利用者DBのデータ構造の一例を示す図である。利用者DBは、一例として、利用者ID、施設ID、施設名、および、所在階床の各項目を含んで構成される。利用者DBにおいて、利用者IDには、1以上の施設IDが関連付けられている。これにより、セキュリティシステム1は、どの利用者が、どの施設を利用しているのかを把握することができる。具体的には、受付情報生成部13は、入力情報に基づいて、どの利用者がどの施設に行こうとしているのかを把握することができる。また、施設には、所在階床が関連付けられている。これにより、行先階特定部12は、入力情報に基づいて、利用者をどの階床に搬送すればよいのかを特定することができる。
【0063】
(受付情報の生成)
図8は、受付情報生成部13が生成する受付情報のデータ構造の一例を示す図である。受付情報は、受付システム101が受付登録を行うために必要な情報を含む。換言すれば、受付情報には、(1)だれの利用申請が、(2)いつ受け付けられたか、を示す情報が含まれている。具体的には、図示のとおり、受付情報は、(1)利用者IDと、(2)受付日時とを含んで構成される。受付情報には、施設IDが関連付けられていてもよい。これにより、受付情報生成部13は、生成した受付情報をどの施設の受付システム101に送信すればよいのかを把握することができる。
【0064】
受付情報生成部13は、入力受付部11によって受け付けられた入力情報に含まれている利用者IDと、入力受付部11が該入力情報を受け付けた日時を示す受付日時とを含む受付情報を生成する。受付情報生成部13は、生成した受付情報に、どの施設宛ての利用申請であるのかを示す施設IDを関連付けておいてもよい。施設IDも、利用者IDと同様に、入力受付部11によって受け付けられた入力情報に含まれている。
【0065】
受付情報生成部13は、受付情報に関連付けておいた施設IDが示す施設の受付システム101に宛てて、生成した受付情報を送信する。これにより、受付システム101は、該当施設に関して、(1)だれの利用申請が、(2)いつ受け付けられたかを把握することができ、利用申請が受け付けられた順序を維持して、該利用申請を自システムに登録することができる。
【0066】
<エレベータ制御システム2>
エレベータ制御システム2は、図1に示すとおり、呼び登録部21を含んで構成される。エレベータ制御システム2は、不図示の通信部を含んでいてもよい。
【0067】
呼び登録部21は、エレベータのカゴの昇降を制御する不図示のエレベータ制御装置に対して、呼びを登録するものである。建物内にエレベータが複数基ある場合には、呼び登録部21は、情報読取装置3における呼びが発生した乗場階床に応じて、どのカゴを乗場に到着させるのかの選択も行う。
【0068】
呼び登録部21は、行先階登録部211と、乗場登録部212とを含んで構成されていてもよい。行先階登録部211は、行先階呼びをエレベータ制御装置に登録するものである。乗場登録部212は、乗場階呼びをエレベータ制御装置に登録するものである。呼び登録部21を構成する各部は、例えば、CPU(central processing unit)等として構成される不図示の制御部がROM(read only memory)等として構成される不図示の記憶
装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現される。
【0069】
乗場登録部212は、情報読取装置3から入力情報を受信したことに応答して、該入力情報に基づいて、乗場階床を特定する。乗場登録部212は、特定した乗場階床に応じて、乗場に向かわせるカゴを選択し、該カゴの昇降を制御するエレベータ制御装置に対して、乗場階呼びを登録する。乗場登録部212は、例えば、乗場階床に最も早くたどり着ける位置にあるカゴを選択してもよい。
【0070】
行先階登録部211は、エレベータ制御システム2の行先階特定部12から行先階を受信し、行先階特定部12によって指定された行先階を示す行先階呼びを、選択されたエレベータ制御装置に登録する。
【0071】
エレベータ制御装置は、登録された乗場階呼びおよび行先階呼びにしたがって、自装置が管轄するカゴを乗場階に向かわせ、その後、利用者を載せて行先階まで向かわせることができる。
【0072】
<受付システム101>
受付システム101(101b、101c・・・)は、施設ごとに設けられており、該施設の利用を希望する利用者からの利用申請を受け付けて、管理するものである。受付システム101は、図1に示すとおり、受付可否判断部31、受付登録部32、および、記憶部33を含んで構成される。受付システム101は、不図示の通信部を含んでいてもよい。受付可否判断部31、および、受付登録部32は、例えば、CPU(central processing unit)等として構成される不図示の制御部がROM(read only memory)等として構成される記憶部33に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等
に読み出して実行することで実現される。なお、受付可否判断部31、および、受付登録部32は、セキュリティシステム1に設けられていてもよい。
【0073】
受付可否判断部31は、施設において、受付可否、具体的には、利用者からの利用申請を受け付けられるか否かを判断する。例えば、受付可否判断部31は、施設が閉鎖中である(例えば、診療所が休診日である、または、診療時間外である、など)という事情により、利用申請を受け付けられないと判断してもよい。受付可否判断部31は、施設が利用申請を受け付けられる状態のとき「受付可」と判断し、施設が利用申請を受け付けられない状態のとき「受付否」と判断する。受付可否判断部31は、受付情報生成部13から受付情報を受信したことに応答して、施設の状態を判断し、「受付可」または「受付否」を示す判断結果を、エレベータ制御システム2の呼び登録部21に送信してもよい。受付可否判断部31は、必要に応じて、上述の判断結果をセキュリティシステム1に返信してもよい。
【0074】
受付登録部32は、受付可否判断部31によって受付可と判断されたことに伴い、受付情報生成部13によって生成された受付情報に基づいて、受付登録を行う。受付登録部32が、受付情報に含まれている利用者に関する情報を、記憶部33に記憶されている受付登録データベース(以下、DB)に登録することにより、受付登録が完了する。
【0075】
(受付登録)
図9は、記憶部33に記憶されている受付登録DBのデータ構造の一例を示す図である。受付登録DBは、一例として、利用者ID、受付日時、および、受付番号の各項目を少なくとも含んで構成される。受付登録DBは、任意で、カルテ番号、患者氏名、および、前回来院日などの各項目を含んでいてもよい。これらの任意の項目は、各施設が提供するサービスに即して、適宜定められるものである。
【0076】
受付登録部32は、例えば、図8に示す受付情報を、セキュリティシステム1の受付情報生成部13から受信すると、該受付情報に含まれている利用者IDおよび受付日時を含むレコードを生成して、受付登録DBに登録する。そして、受付登録部32は、登録したレコードに対して、受付番号を発行し、関連付ける。
【0077】
受付番号は、受付システム101においてその日に受け付けた利用者を管理するための通し番号である。受付登録部32は、セキュリティシステム1の入力受付部11において入力情報が受け付けられた順序を維持して、受付番号を関連付ける。具体的には、受付登録部32は、受付情報に含まれている受付日時の順に、受付番号を関連付ける。施設において、基本的に、サービス提供者(医師または看護師など)は、受付番号の順に利用者を呼び出し、該利用者に対してサービス(診療など)を提供する。
【0078】
例えば、利用者ID「U123456」の利用者(以下、第1利用者)、利用者ID「U123462」の利用者(以下、第2利用者)、および、利用者ID「U123460」の利用者(以下、第3利用者)の順で、診療所Aに用事がある3人の利用者が、情報読取装置3にIDカード
4をかざしたとする。この場合、一例として、受付情報生成部13からは、以下の3つの受付情報(利用者ID,受付日時);
第1の受付情報(U123456,2020/3/16 16:23:15)
第2の受付情報(U123462,2020/3/16 16:23:21)
第3の受付情報(U123460,2020/3/16 16:23:28)
が、受付登録部32に対して供給される。
【0079】
以上の3つの受付情報を受信すると、受付登録部32は、図9に示すとおり、上述の受付日時が早いほど、若い受付番号になるように、各レコードを受付登録DBに登録する。
【0080】
そして、受付登録部32は、利用者IDに関連付けられているその他の項目(カルテ番号、患者氏名、前回来院日など)をさらに格納してもよい。なお、図示はしないが、例えば、登録システム100において管理されている利用者ごとの利用者IDと、受付システム101において管理されている患者ごとのカルテ番号との対応関係を示すテーブルが記憶部33には記憶されている。したがって、受付登録部32は、受付情報に含まれている利用者IDに基づいて患者を特定し、該患者に関連する情報(カルテ番号、患者氏名、前回来院日など)を特定することができる。
【0081】
<利用者へのフィードバック>
受付システム101の受付可否判断部31が、受付可と判断した場合には、受付可の判断結果がエレベータ制御システム2の呼び登録部21に送信される。呼び登録部21は、受付可の判断結果にしたがって、乗場階呼びおよび行先階呼びの登録を完了させる。呼び登録部21は、呼びの登録が完了したことを示す登録完了報告を、呼びの発生元の情報読取装置3に返信する。登録完了報告には、例えば、利用者を載せるエレベータの識別情報(例えば、1号機、2号機、・・・、m号機)と、利用者の利用申請を受け付けた施設を識別する施設IDとが含まれている。
【0082】
情報読取装置3の制御部は、呼び登録部21から受信した登録完了報告に応じて、許可通知画面を生成し、タッチパネル302に表示させる。図10は、利用者に対して提示される許可通知画面の一例を示す図である。許可通知画面は、施設の利用が許可されて、施設による受付が完了したことを通知するとともに、該施設に赴くために利用者が搭乗すべきエレベータ(搭乗機)を案内するためのGUI画面である。
【0083】
図10に示すとおり、許可通知画面には、例えば、施設による受付が完了したことを通知する受付完了通知331と、搭乗機を案内する搭乗機通知332とが含まれていてもよい。これにより、利用者は、自身の利用申請が施設において受け付けられたことを認識するとともに、どのエレベータに搭乗すればよいのかを把握することができる。
【0084】
必要に応じて、許可通知画面には、OKボタン333が配置されてもよい。OKボタン333は、許可通知画面を、図2に示すホーム画面に切り替えるためのGUI部品である。これにより、後続の利用者を待たせることなく、該後続の利用者の入力操作を受け入れる状態に遷移することができる。制御部は、許可通知画面が表示されてから一定時間経過後に、自動でホーム画面に切り替えてもよい。
【0085】
受付可否判断部31が、受付否と判断した場合には、受付否の判断結果が呼び登録部21に送信される。呼び登録部21の各部は、受付否の判断結果にしたがって、エレベータ制御装置への呼びの登録を取り止めてもよい。呼び登録部21は、呼びの登録が行われなかったことを示す登録未完報告を、呼びの発生元の情報読取装置3に返信する。登録未完報告には、例えば、施設が利用者の利用申請を受け付けなかった旨の通知と、受け付けなかった施設を識別する施設IDとが含まれている。
【0086】
情報読取装置3の制御部は、呼び登録部21から受信した登録未完報告に応じて、拒否通知画面を生成し、タッチパネル302に表示させる。図11は、利用者に対して提示される拒否通知画面の一例を示す図である。拒否通知画面は、施設の利用が拒否されたことを利用者に通知するためのGUI画面である。
【0087】
図11に示すとおり、拒否通知画面には、例えば、施設が利用できない理由を説明する利用不可通知341が含まれていてもよい。これにより、利用者は、自身の利用申請が施設において受け付けられなかったこと、および、その理由を確認することができる。
【0088】
必要に応じて、拒否通知画面には、戻るボタン342が配置されてもよい。戻るボタン342は、拒否通知画面を、図2に示すホーム画面に切り替えるためのGUI部品である。これにより、後続の利用者を待たせることなく、該後続の利用者の入力操作を受け入れる状態に遷移することができる。制御部は、拒否通知画面が表示されてから一定時間経過後に、自動でホーム画面に切り替えてもよい。
【0089】
<IDカード4がない場合の対応>
初めての来館、または、携帯するのを忘れたなどの理由で、利用者がIDカード4を保持していない場合には、利用者は、情報読取装置3を通常の呼び発生装置として操作して、エレベータを呼ぶことができる。
【0090】
情報読取装置3の制御部は、図2に示すホーム画面において、カード無ボタン312に対する選択操作を受け付けた場合には、利用者に行先階を選択させるための行先階選択画面をタッチパネル302に表示させる。図12は、行先階選択画面の一例を示す図である。図12に示すとおり、行先階選択画面には、例えば、行先階を選択するための各階に対応したボタンが配置されてもよい。
【0091】
制御部は、行先階選択画面においてボタンの操作を受け付けると、操作されたボタンに対応する行先階と、自装置(情報読取装置3)が設置されている乗場階床とを示す入力情報を、エレベータ制御システム2に対して送信する。
【0092】
エレベータ制御システム2の呼び登録部21は、このように利用者IDが含まれていない入力情報を受信した場合には、入力情報に含まれている乗場階床と行先階とに基づいて、カゴを選択し、乗場呼びおよび行先呼びをエレベータ制御装置に登録する。呼び登録部21は、選択したカゴに対応するエレベータの識別情報を、情報読取装置3に対して返信する。
【0093】
情報読取装置3の制御部は、エレベータの識別情報を呼び登録部21から受信すると、図10に示す画面のうち、受付完了通知331が省略された画面をタッチパネル302に表示させてもよい。
【0094】
<処理フロー>
図13は、エレベータシステムにおいて実行される登録の処理の流れを示すシーケンス図である。図示された一連の処理は、情報読取装置3が利用者からの入力操作を受け入れることをトリガにして開始される。
【0095】
S101では、情報読取装置3の制御部は、図2に示すカード有ボタン311が選択された後、情報読取部303によってIDカード4から固有情報を読み取ることができたか否かを判定する。固有情報の読み取りに成功した場合、制御部は、S102に進む。固有情報を読み取ることができなかった場合、あるいは、カード無ボタン312が選択された場合、制御部は、S122に進む。
【0096】
S102では、制御部は、読み取られた固有情報に基づいて、入力情報を生成する。入力情報には、利用者ID、乗場階床および(必要に応じて)施設IDが含まれている。
【0097】
S103では、セキュリティシステム1の入力受付部11は、入力情報を受け付ける。入力受付部11は、該入力情報を受け付けた時の受付日時を記録しておく。
【0098】
S104では、受付情報生成部13は、入力情報に基づいて特定された施設に対して供給される受付情報を生成する。受付情報には、利用者IDと受付日時とが含まれている。
【0099】
S105では、受付情報生成部13は、生成した受付情報を、上述の特定された施設の受付システム101に送信する。
【0100】
S106では、行先階特定部12は、S103で受け付けられた入力情報に基づいて、利用者の行先階を特定し、該行先階をエレベータ制御システム2に通知する。
【0101】
S107では、受付システム101は、セキュリティシステム1から受付情報を受信する。
【0102】
S108では、受付可否判断部31は、申請主である利用者を受付可能か否かを判断する。すなわち、受付可否判断部31は、該当施設が、利用者にサービスを提供できる状態であるのか否かを判断する。受付可否判断部31は、受付可能である場合、S109に進み、受付不可である場合、S111に進む。
【0103】
S109では、受付可否判断部31は、受付可を示す判断結果をエレベータ制御システム2に送信する。
【0104】
S110では、受付登録部32は、S107で受信された受付情報に基づいて、受付登録を行う。受付登録部32は、受付情報に含まれている受付日時の順に、申請主の利用者ごとのレコードを、受付登録DBに登録する。
【0105】
S111では、受付可否判断部31は、受付否を示す判断結果をエレベータ制御システム2に送信する。
【0106】
S112では、エレベータ制御システム2の呼び登録部21は、セキュリティシステム1と同様に、情報読取装置3から入力情報を取得する。
【0107】
S113では、呼び登録部21は、取得された入力情報に基づいて、乗場階床を特定する。
【0108】
S114では、呼び登録部21は、行先階特定部12から行先階を受信する。
【0109】
S115では、呼び登録部21は、受付可否判断部31から送信された判断結果に基づいて、受付システム101において利用者が受け付けられたのか否かを判定する。呼び登録部21は、受信した判断結果が受付可を示す場合、S116に進む。呼び登録部21は、判断結果が受付否を示す場合(S115でNO)、登録未完報告を生成し、情報読取装置3に返信する。この場合、処理は、S121に進む。
【0110】
S116では、呼び登録部21は、利用者の乗場階床に向かわせるエレベータを選択する。
【0111】
S117では、呼び登録部21の乗場登録部212は、S113で特定した乗場階を示す乗場階呼びを、選択したエレベータのエレベータ制御装置に登録する。
【0112】
S118では、呼び登録部21の行先階登録部211は、S114で受信した行先階を示す行先階呼びを、上述のエレベータ制御装置に登録する。
【0113】
S119では、呼び登録部21は、登録完了報告を生成し、情報読取装置3に送信する。登録完了報告には、搭乗機の識別情報と、利用者を受け付けた施設の施設IDとが含まれている。
【0114】
S120では、情報読取装置3の制御部は、登録完了報告を受信したことに応答して、図10に示す許可通知画面を表示する。
【0115】
S121では、制御部は、登録未完報告を受信したことに応答して、図11に示す拒否通知画面を表示する。
【0116】
S122では、情報読取装置3の制御部は、図12に示す行先階選択画面をタッチパネル302に表示して、利用者が選択する行先階を受け付けて、通常の呼びの発信処理を行う。
【0117】
<作用効果>
上述の構成および方法によれば、エレベータの利用者が行った入力操作に伴って、エレベータへの行先階の登録に加えて、施設への受付登録が行われる。これにより、複数の利用者間における、エレベータ乗り場への到着順と、施設での受付順が逆転してしまうという不合理の発生を低減し得る。
【0118】
なお、セキュリティシステム1内で行先階の登録と、受付登録とまでが完結してしまう必要はない。行先階の登録はエレベータ制御システム2において、受付登録は受付システム101において行ってもよい。その場合は、セキュリティシステム1は、行先階特定部12において特定された行先階をエレベータ制御システム2に提供すればよい。また、セキュリティシステム1は、受付情報生成部13において生成された受付情報を受付システム101に対して提供すればよい。
【0119】
本実施形態に係る登録システム100は、例えば、車椅子の利用者、脚を怪我した利用者、子連れや荷物を多く所持している利用者など、移動に時間がかかる利用者が不利になる状況が改善される。
【0120】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0121】
(IDカード4が各施設の専用利用カードである場合の対応)
IDカード4は、建物内の施設の利用を許可された利用者に対して、各施設の運営団体より発行されたものであってもよい。本実施形態では、一例として、IDカード4は、診療所としての各施設が、患者である利用者の各々に発行する診察券である。本実施形態では、診察券は、情報読取装置3が情報を読み取ることができる記憶領域を有している。診察券の記憶領域には、少なくとも、受付システム101と登録システム100との間で供給されている利用者IDと、該診察券の発行元である施設の施設IDとが、固有情報として記憶されている。その他にも、診察券には、上述の施設が必要とする患者個人の情報が含まれていてもよい。
【0122】
本実施形態では、情報読取装置3に提示されるIDカード4は、施設ごとに個別の診察券である。そのため、情報読取装置3は、診察券を読み取れば、利用者が訪問しようとしている施設を一意に特定することができる。
【0123】
したがって、本実施形態では、入力情報には、利用者IDと乗場階床とに加えて施設IDが含められる。これにより、セキュリティシステム1は、入力情報に基づいて、利用者の目的地である施設とその所在階床とを1つ特定することができる。そして、行先階特定部12は、所在階床に基づいて行先階を特定する。受付情報生成部13は、目的地である施設に宛てて、受付情報を生成する。
【0124】
登録システム100がこのように構成された場合も、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0125】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0126】
(各施設が利用者ごとに利用者IDを発行する場合)
実施形態1では、建物の管理会社によって利用者ごとに、各施設で共通の利用者IDが発行されるものとしたが、これに限られない。本実施形態では、利用者IDは、施設のそれぞれから利用者ごとに発行される。施設は、発行した利用者IDが情報読取装置3によって読み取られるように、利用者IDを利用者に所持させる。
【0127】
例えば、施設は、IDカード4として、情報読取装置3が利用者IDを読み取り可能な診察券を、利用者に対して発行する。このようなIDカード4としての診察券の具体例は、図16から図18に示されている。例えば、情報読取装置3の情報読取部303がQRコード(登録商標)リーダである場合、施設は、図16に示すように、利用者IDを示すQRコードが印字された診察券を利用者に対して発行してもよい。あるいは、例えば、情報読取部303がICチップから情報を読み取るタグリーダである場合、施設は、図17に示すように、利用者IDを記録領域に保持するICチップが埋め込まれた診察券を利用者に対して発行してもよい。あるいは、例えば、情報読取部303が利用者のスマートフォンなどの携帯通信機器と通信して情報を受信する受信機である場合、施設は、デジタル診察券を利用者に対して発行してもよい。利用者は、自身のスマートフォンを操作して、スマートフォンの表示部に、図18に示すように、デジタル診察券を表示させる。情報読取部303は、利用者のスマートフォンと通信し、該利用者の利用者IDを受信することができる。なお、スマートフォンは、デジタル診察券に含まれている利用者IDを示すQRコードを表示部に表示させてもよい。この場合、QRコードリーダとしての情報読取部303は、表示部に表示されたQRコードを読み取って、利用者IDを取得する。
【0128】
情報読取装置3は、診察券から読み取った利用者IDを含む入力情報を、セキュリティシステム1に送信することができる。
【0129】
本実施形態では、セキュリティシステム1の記憶部14に記憶されている利用者DBは、各施設が利用者に対して発行した利用者IDに基づいて、所在階床が特定できるようなデータ構造にて構成される。
【0130】
図14は、実施形態3に係る利用者DBのデータ構造の一例を示す図である。本実施形態では、利用者DBにおいて、各施設が利用者ごとに発行した利用者IDに関連付けて、施設および所在階床が格納されている。1人の利用者が、同じ建物内の複数の施設を利用している場合には、同一利用者に対して異なる利用者IDが付与され、利用者DBにおいて異なるレコードにて管理される。
【0131】
セキュリティシステム1の行先階特定部12は、図14に示す利用者DBを参照することにより、入力情報に含まれている利用者IDに基づいて、行先階を特定することができる。受付情報生成部13は、図14に示す利用者DBを参照することにより、入力情報に含まれている利用者IDに基づいて、受付情報を登録すべき施設を特定し、受付情報を生成することができる。
【0132】
本実施形態において、利用者IDは、施設のそれぞれの受付システム101が、利用者を一意に識別できるものであれば何でもよく、例えば、図9に示すカルテ番号であってもよい。例えば、図14に示す例において、「診療所A」の利用者IDは、図9に示すカルテ番号と同一としている。また、他の施設から発行される利用者IDも、各施設の受付システム101が発行するカルテ番号と同一であってもよい。これにより、各施設が利用者に対して発行した利用者IDを各施設のカルテ番号と同一番号とすることができる。よって、実施形態3において、各施設の受付システム101の記憶部33において保持される受付登録DBのデータ項目としては、図9に示す受付登録DBのデータ項目と異なり、“カルテ番号”が“利用者ID”として採用される。具体的を挙げると、実施形態3に係る受付登録DBのデータ構造としては、図9に示すテーブルの“利用者ID”のカラムが削除されたものとなり、それに代えて、“カルテ番号”のカラムが、利用者IDを格納するための利用者IDのカラムとして構成される。なお、“カルテ番号”のデータ項目の呼称は、利用者(患者)に対しては、“患者番号”として示されてもよい(例えば、図16図18)。
【0133】
〔変形例〕
(利用者が別の階へ行く場合の対応)
図4に示す入力案内画面においてIDカード4の固有情報を読み取った後、利用者IDに1つの施設IDしか紐付いていない場合が想定される。情報読取装置3の制御部は、このような場合であっても、ただちに入力情報を生成せずに、行先の施設を確認するための確認画面を生成し、表示してもよい。例えば、確認画面には、「ご利用の施設は**ですか?」のメッセージとともに、「はい」か「いいえ」かを選択させるボタンが配置されていてもよい。
【0134】
この場合、制御部は、利用者から「はい」のボタンが選択されたこと応じて、入力情報を生成して、セキュリティシステム1およびエレベータ制御システム2に送信する。そして、エレベータ制御システム2から送信された登録完了報告にしたがって、図10に示す許可通知画面を表示する。なお、制御部は、「いいえ」のボタンが選択された場合には、図12に示す行先階選択画面を表示してもよい。
【0135】
このようにすれば、普段は決まった施設に行くだけの利用者が、別の階に用事があってIDカード4をかざしてエレベータを呼んだ場合に、誤って普段行く施設の受付が登録されてしまうといった誤登録を避けることができる。
【0136】
(受付完了通知の他の例)
情報読取装置3のタッチパネル302に表示される受付完了通知は、受付が完了した施設の施設名だけでなく、該施設において受け付けられた利用者の受付番号、および、現在施設が処理している受付番号の情報を含んでいてもよい。
【0137】
例えば、情報読取装置3の制御部は、タッチパネル302において、図10に示す受付完了通知331に代えて、図15に示す受付完了通知334を表示してもよい。
【0138】
この場合、受付システム101の受付可否判断部31は、S109で、受付可否の判断結果に加えて、受付可の場合に、受付登録部32が利用者に対して採番した受付番号と、現在該当施設にて処理されている受付番号とをエレベータ制御システム2に送信する。
【0139】
エレベータ制御システム2の呼び登録部21は、S119で、搭乗機および施設IDに加えて、利用者の受付番号と、現在処理中の受付番号とを含む登録完了報告を情報読取装置3に送信する。
【0140】
情報読取装置3の制御部は、S120で、上述の登録完了報告に含まれている、施設IDと、利用者の受付番号と、現在処理中の受付番号とに基づいて、受付完了通知334を生成し、図15に示すようにタッチパネル302に表示させる。
【0141】
(行先階呼びの登録タイミング)
エレベータ制御システム2の行先階登録部211が、行先階呼びをエレベータに登録するタイミングは、図13に示す例に限定されない。つまり、行先階呼びの登録は、乗場階呼びの登録と同じタイミングで行われる必要はない。例えば、行先階登録部211は、乗場登録部212が、S117で乗場階呼びを登録し、選択されたカゴが前記乗場呼びに応答して乗場階に到着した後で、行先階呼びを登録してもよい。
【0142】
一例として、図19に示すとおり、S117で乗場登録部212によって乗場階呼びの登録が行われた時には、S118の行先階呼びの登録は実施されない。乗場階呼びの登録に応じて、選択されたカゴが前記乗場呼びに応答して乗場階に到着した後、S123にて、呼び登録部21は、カゴの挙動に基づいて、利用者が該カゴに搭乗したことを推定してもよい。例えば、呼び登録部21は、乗場階に到達したカゴの扉が開ききったことを検知し、これに基づいて利用者がカゴに搭乗したと推定してもよい。あるいは、呼び登録部21は、カゴの扉に設けられている光電管センサの検出値に基づいて、カゴにおける人の出入りを検知し、これに基づいて利用者がカゴに搭乗したと推定してもよい。
【0143】
呼び登録部21は、乗場階に到着したカゴに利用者が搭乗したと推定した場合には、S123のYESからS124に進む。S124では、行先階登録部211は、行先階特定部12によって特定された行先階を示す行先階呼びを、エレベータに登録する。
【0144】
上述の構成によれば、搭乗機として指定されたカゴに、利用者が何らかの事情で搭乗しなかった場合に、利用者を乗せていないカゴが無駄に行先階まで昇降することを回避できる。すなわち、エレベータ制御システム2にとって、無駄な呼びおよび走行を発生させずに済むというメリットがある。
【0145】
〔付記事項1〕
(付記1)
エレベータの利用者が行った入力操作に応じて生成される入力情報を受け付ける入力受付部と、
前記入力情報に基づき、前記エレベータに登録するための行先階を特定する行先階特定部と、
複数の行先階の何れかに設置された施設のうち、前記入力情報に基づき特定された施設に対して、該入力情報が受け付けられたことを登録するための受付情報を生成する受付情報生成部とを備える、登録システム。
【0146】
(付記2)
前記行先階特定部による特定結果に基づき、前記エレベータに対して行先階を登録する行先階登録部をさらに備える、付記1に記載の登録システム。
【0147】
(付記3)
前記施設における受付可否を判断する受付可否判断部をさらに備え、
前記行先階登録部は、前記受付可否判断部が否と判断したときには、前記行先階の登録を行わない、付記2に記載の登録システム。
【0148】
(付記4)
前記受付情報生成部により生成された受付情報に基づき、前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部をさらに備える、付記1から3の何れか1つに記載の登録システム。
【0149】
(付記5)
前記受付登録部は、複数の利用者の前記受付登録を、前記入力受付部において前記入力情報が受け付けられた順序を維持して行う、付記4に記載の登録システム。
【0150】
(付記6)
前記エレベータの乗り場に設置され、前記利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取ることにより前記入力情報を生成する情報読取装置をさらに備える、付記1から5の何れか1つに記載の登録システム。
【0151】
(付記7)
利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取装置と、
前記情報読取装置が読み取った情報に基づき、前記利用者が利用する施設が設置されている行先階を、エレベータに登録する行先階登録部と、
前記情報読取装置が前記情報を読み取ったことに応じて、前記利用者が利用する前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部と、を備える登録システム。
【0152】
〔付記事項2〕
(付記2-1)
エレベータの利用者が行った入力操作に応じて生成される入力情報を受け付ける入力受付部と、
前記入力情報に基づき、前記エレベータに登録するための行先階を特定する行先階特定部と、
複数の行先階の何れかに設置された施設のうち、前記入力情報に基づき特定された施設に対して、該入力情報が受け付けられたことを登録するための受付情報を生成する受付情報生成部と、
前記受付情報生成部により生成された受付情報に基づき、前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部と、を備える、登録システム。
【0153】
(付記2-2)
前記行先階特定部による特定結果に基づき、前記エレベータに対して行先階を登録する行先階登録部をさらに備える、付記2-1に記載の登録システム。
【0154】
(付記2-3)
前記施設における受付可否を判断する受付可否判断部をさらに備え、
前記行先階登録部は、前記受付可否判断部が否と判断したときには、前記行先階の登録を行わない、付記2-2に記載の登録システム。
【0155】
(付記2-4)
前記受付登録部は、複数の利用者の前記受付登録を、前記入力受付部において前記入力情報が受け付けられた順序を維持して行う、付記2-1から2-3の何れか1つに記載の登録システム。
【0156】
(付記2-5)
前記エレベータの乗り場に設置され、前記利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取ることにより前記入力情報を生成する情報読取装置をさらに備える、付記2-1から2-4の何れか1つに記載の登録システム。
【0157】
(付記2-6)
利用者が保持する情報記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取装置と、
前記情報読取装置が読み取った情報に基づき、前記利用者が利用する施設が設置されている行先階を、エレベータに登録する行先階登録部と、
前記情報読取装置が前記情報を読み取ったことに応じて、前記利用者が利用する前記施設に対して前記利用者の受付登録を行う受付登録部と、を備える登録システム。
【0158】
〔ソフトウェアによる実現例〕
セキュリティシステム1の制御ブロック(特に、入力受付部11、行先階特定部12および受付情報生成部13)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0159】
エレベータ制御システム2の制御ブロック(特に、呼び登録部21および呼び登録部21の各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0160】
受付システム101の制御ブロック(特に、受付可否判断部31および受付登録部32)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0161】
後者の場合、上述の各システム(1、2、101)は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、R
OM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0162】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0163】
1 セキュリティシステム(登録システム)
2 エレベータ制御システム(登録システム)
3 情報読取装置
4 IDカード(情報記録媒体)
11 入力受付部
12 行先階特定部
13 受付情報生成部
14 記憶部
21 登録部
31 受付可否判断部
32 受付登録部
33 記憶部
100 登録システム
101 受付システム
211 行先階登録部
212 乗場登録部
301 操作盤
302 タッチパネル
303 情報読取部
図1
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