(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】切断機
(51)【国際特許分類】
B23D 55/00 20060101AFI20230704BHJP
B23D 55/08 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B23D55/00 D
B23D55/08 F
(21)【出願番号】P 2021525995
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2020021326
(87)【国際公開番号】W WO2020250714
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019109644
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 五史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正寛
(72)【発明者】
【氏名】江尻 智洋
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実公昭37-008388(JP,Y1)
【文献】実開昭54-170488(JP,U)
【文献】実開昭63-186597(JP,U)
【文献】特表2011-516285(JP,A)
【文献】特開2015-208830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0296696(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 55/00
B23D 55/08
B23D 59/00
B26D 7/18
B27B 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工材を切断するように作動可能な帯鋸と、
前記帯鋸を作動させる駆動機構と、
前記駆動機構が内部に収容されたハウジングと、
前記ハウジングに設けられたボス部と、
前記ボス部に設けられるとともに、前記帯鋸に接触して前記帯鋸の姿勢をガイドするガイド機構と、
を有する、切断機であって、
前記ボス部に取り付けられるとともに、前記帯鋸に付着している異物を除去する除去機構を有
し、
前記除去機構は、前記帯鋸の作動方向で前記ガイド機構よりも上流に位置する、切断機。
【請求項2】
前記除去機構は、前記帯鋸に押し付けられる接触部を有する、請求項1記載の切断機。
【請求項3】
前記除去機構を付勢することにより、前記接触部を前記帯鋸に押し付ける付勢機構を有する、請求項2記載の切断機。
【請求項4】
前記駆動機構は、回転可能な第1鋸車及び第2鋸車を有し、
前記帯鋸は、環状であり、かつ、前記第1鋸車及び前記第2鋸車に掛けられた状態で作動し、
前記帯鋸は、互いに平行な第1側面及び第2側面を有し、
前記接触部は、前記第1側面及び前記第2側面に接触する、請求項2または3記載の切断機。
【請求項5】
前記ハウジングの外部で前記加工材に接触することにより、前記加工材を前記帯鋸に対して位置決めする位置決め機構を有し、
前記除去機構は、前記帯鋸の作動方向で前記位置決め機構と前記ガイド機構との間に配置されている、請求項
4記載の切断機。
【請求項6】
前記除去機構は、
前記第1側面に接触する第1構成片と、
前記第2側面に接触する第2構成片と、
を有し、
前記接触部は、
前記第1構成片に設けられた第1接触部と、
前記第2構成片に設けられた第2接触部と、
を含む、請求項4記載の切断機。
【請求項7】
加工材を切断するように作動可能な帯鋸と、
前記帯鋸を作動させる駆動機構と、
前記駆動機構が内部に収容されたハウジングと、
前記ハウジングに設けられたボス部と、
前記ボス部に設けられるとともに、前記帯鋸に接触して前記帯鋸の姿勢をガイドするガイド機構と、
を有する、切断機であって、
前記ボス部に取り付けられるとともに、前記帯鋸に付着している異物を除去する除去機構を有し、
前記除去機構は、前記帯鋸に押し付けられる接触部を有し、
前記駆動機構は、回転可能な第1鋸車及び第2鋸車を有し、
前記帯鋸は、環状であり、かつ、前記第1鋸車及び前記第2鋸車に掛けられた状態で作動し、
前記帯鋸は、互いに平行な第1側面及び第2側面を有し、
前記接触部は、前記第1側面及び前記第2側面に接触し、
前記除去機構は、
前記第1側面に接触する第1構成片と、
前記第2側面に接触する第2構成片と、
を有し、
前記接触部は、
前記第1構成片に設けられた第1接触部と、
前記第2構成片に設けられた第2接触部と、
を含む、切断機。
【請求項8】
前記第1構成片及び前記第2構成片は、前記帯鋸の作動方向に対して交差する方向で前記帯鋸を挟むように配置されている、請求項7記載の切断機。
【請求項9】
前記ガイド機構は、
前記帯鋸のうち、前記ハウジングの内部から外部に出る前の箇所に接触する第1ガイド部と、
前記帯鋸のうち、前記ハウジングの外部から前記ハウジングの内部に進入した箇所に接触する第2ガイド部と、
を含み、
前記除去機構は、前記帯鋸の作動方向で前記位置決め機構と前記第2ガイド部との間に配置されている、請求項
5記載の切断機。
【請求項10】
前記ハウジングは、
前記第1鋸車を収容する第1カバーと、
前記第2鋸車を収容する第2カバーと、
を有し、
前記第1カバーと前記第2カバーとが、前記帯鋸の作動方向に間隔をおいて配置され、
前記位置決め機構は、前記第1カバーと前記第2カバーとの間に配置されている、請求項
5記載の切断機。
【請求項11】
前記除去機構は、前記ハウジングの外部に設けられている、請求項1乃至10の何れか1項記載の切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工材を切断する鋸刃と、鋸刃を作動させる駆動機構と、駆動機構が内部に収容されたハウジングと、を有する切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
加工材を切断する鋸刃と、鋸刃を作動させる駆動機構と、駆動機構が内部に収容されたハウジングと、を有する切断機が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された切断機は、ハウジング、駆動機構としてのモータ、鋸刃としての環状の帯鋸、第1帯鋸ガイド、第2帯鋸ガイド及びスイッチを有する。モータは、ハウジング内に設けられている。帯鋸は、ハウジングの内部及び外部に亘って配置されている。スイッチは、ハウジングに取り付けられている。帯鋸は、第1帯鋸ガイド及第2帯鋸ガイドによって支持されている。
【0003】
ユーザがスイッチを操作すると、モータが回転して帯鋸が作動、つまり、回転する。帯鋸の一部がハウジングの外部において作動する場合、帯鋸の一部は、第1帯鋸ガイド及び第2帯鋸ガイドによって姿勢を保持される。帯鋸の一部が、第1帯鋸ガイドと第2帯鋸との間を移動する過程で加工材を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、帯鋸に付着している異物、例えば、加工材を切断して発生した切り屑がハウジングの内部に侵入する可能性や、帯鋸に切り屑が付着したまま駆動を継続したとき、鋸車やガイド機構に傷付きや変形等が生じる恐れがある、という課題を認識した。
【0006】
本発明の目的は、帯鋸に付着している異物を除去可能な切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の切断機は、加工材を切断するように作動可能な帯鋸と、前記帯鋸を作動させる駆動機構と、前記駆動機構が内部に収容されたハウジングと、前記ハウジングに設けられたボス部と、前記ボス部に設けられるとともに、前記帯鋸に接触して前記帯鋸の姿勢をガイドするガイド機構と、を有する、切断機であって、前記ボス部に取り付けられるとともに、前記帯鋸に付着している異物を除去する除去機構を有し、前記除去機構は、前記帯鋸の作動方向で前記ガイド機構よりも上流に位置する。
他の実施形態の切断機は、加工材を切断するように作動可能な帯鋸と、前記帯鋸を作動させる駆動機構と、前記駆動機構が内部に収容されたハウジングと、前記ハウジングに設けられたボス部と、前記ボス部に設けられるとともに、前記帯鋸に接触して前記帯鋸の姿勢をガイドするガイド機構と、を有する、切断機であって、前記ボス部に取り付けられるとともに、前記帯鋸に付着している異物を除去する除去機構を有し、前記除去機構は、前記帯鋸に押し付けられる接触部を有し、前記駆動機構は、回転可能な第1鋸車及び第2鋸車を有し、前記帯鋸は、環状であり、かつ、前記第1鋸車及び前記第2鋸車に掛けられた状態で作動し、前記帯鋸は、互いに平行な第1側面及び第2側面を有し、前記接触部は、前記第1側面及び前記第2側面に接触し、前記除去機構は、前記第1側面に接触する第1構成片と、前記第2側面に接触する第2構成片と、を有し、前記接触部は、前記第1構成片に設けられた第1接触部と、前記第2構成片に設けられた第2接触部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態における切断機によれば、帯鋸に付着している異物を除去可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の切断機の一実施形態を示す正面図である。
【
図4】切断機に設けた除去機構の具体例1を示す正面図である。
【
図6】除去機構の具体例1であり、ダスタプレートが摩耗した場合を示す側面図である。
【
図7】切断機に設けた除去機構の具体例2を示す正面図である。
【
図9】除去機構の具体例2であり、ダスタプレートが摩耗した場合を示す側面図である。
【
図10】切断機に設けた除去機構の具体例3を示す正面図である。
【
図13】除去機構の具体例3であり、ダスタプレートが摩耗した場合を示す側面図である。
【
図14】除去機構の具体例3であり、ダスタプレートが摩耗した場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の切断機の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態で開示する切断機は、バンドソーと呼ばれる作業機である。
図1に示すバンドソー10は、ハウジング11、電動モータ12、鋸刃13、ガイド機構14及びガイド機構15を有する。ハウジング11は、第1鋸ケース16、第2鋸ケース17及びモータケース18を有する。第1鋸ケース16と第2鋸ケース17とが間隔をおいて配置されている。モータケース18は、第1鋸ケース16と第2鋸ケース17との間に配置され、かつ、第1鋸ケース16及び第2鋸ケース17に接続されている。第1鋸車19が、第1鋸ケース16の内部に回転可能に設けられている。第2鋸車20が、第2鋸ケース17の内部に回転可能に設けられている。
【0012】
電動モータ12は、モータケース18の内部に設けられている。電動モータ12は、例えば、直流のブラシレスモータである。また、減速機が、モータケース18の内部または第1鋸ケース16の内部に設けられている。減速機は、電動モータ12の出力軸のトルクを第1鋸車19に伝達し、かつ、電動モータ12の出力軸の回転速度よりも、第1鋸車19の回転速度を低速にする。第1鋸車19及び第2鋸車20は共にプーリである。
【0013】
鋸刃13は環状であり、鋸刃13は第1鋸車19及び第2鋸車20に巻き掛けられている。鋸刃13は金属製であり、かつ、ベルト形状である。鋸刃13の側縁に全周に亘って切断刃21が形成されている。環状の鋸刃13は、第1鋸ケース16の内部、モータケース18の内部、第2鋸ケース17の内部、第1鋸ケース16と第2鋸ケース17との間の空間A1に、それぞれ位置する。空間A1は、ハウジング11の外部である。
【0014】
ガイド機構14及び第2ガイド機構15は、第1鋸ケース16と第2鋸ケース17との間に配置されている。ガイド機構14は、第1鋸ケース16の内部から外部に亘って配置されている。つまり、ガイド機構14の一部は、空間A1に配置されている。ガイド機構15は、第2鋸ケース17の内部から外部に亘って配置されている。つまり、ガイド機構15の一部は、空間A1に配置されている。
【0015】
ガイド機構14及びガイド機構15は、略同じ構造を有する。本実施形態は、便宜上、ガイド機構14の構造を説明する。ガイド機構14は、
図2、
図4、
図5及び
図6のように、2個のローラ22,23を有する。ローラ22は支持軸24によって回転可能に支持され、ローラ23は支持軸25によって回転可能に支持されている。支持軸24,25は金属製であり、例えば、ねじ部材が、支持軸24,25としてそれぞれ用いられている。ボス部26が第1鋸ケース16の内部に設けられ、2つの支持軸24,25は、ボス部26に取り付けられている。2つの支持軸24,25は互いに平行に配置されている。なお、ガイド機構15の2つの支持軸24,25を取り付けるボス部は、第2鋸ケース17の内部に設けられている。ローラ22とローラ23との間隔は、鋸刃13が通過可能な値に設定されている。2個のローラ22,23は、共に鉄製、例えば、冷間圧延鋼板製である。
【0016】
ガイド機構14における2個のローラ22,23は、鋸刃13を厚さ方向の両側に配置されている。ガイド機構15における2個のローラ22,23は、鋸刃13の厚さ方向の両側に配置されている。このため、鋸刃13の周方向における一部、つまり、空間A1に位置する箇所は、第1鋸車19及び第2鋸車20に巻き掛けられている箇所に対して、厚さ方向にねじられている。
【0017】
図1のように、ガイドプレート27が空間A1に配置され、ガイドプレート27は、第1鋸ケース16に固定されている。ガイドプレート27は、例えば、金属製である。ガイドプレート27は、
図3に示すスリット52を有する。
【0018】
グリップ28がモータケース18に設けられている。ハンドル29は、モータケース18と第1鋸ケース16とを接続している。グリップ28及びハンドル29は、ユーザがバンドソー10を持ち上げる場合、または、バンドソー10を加工材B1に対して移動させる場合に、ユーザが手で握る箇所である。トリガ30がハンドル29に設けられている。トリガスイッチが、ハンドル29の内部に設けられている。ユーザが、トリガ30に操作力を付加すると、トリガスイッチがオンされ、ユーザがトリガ30に対する操作力を解除するとトリガスイッチがオフされる。
【0019】
また、電動モータ12に対して電力を供給する電源、スイッチング回路及びコントローラが設けられている。スイッチング回路及びコントローラは、ハウジング11の内部に設けられている。電源は、交流電源または直流電源の何れでもよい。交流電源は、切断機とは別に設けられている。直流電源は、ハウジングに対して取り付け及び取り外しが可能な電池パックを含む。電源とスイッチング回路とが電線によって接続され、コントローラは、トリガスイッチのオン及びオフを検出し、かつ、スイッチング回路のオン及びオフを制御する。
【0020】
ユーザがトリガ30に操作力を付加し、コントローラがスイッチ回路をオンすると、電源から電動モータ12に電力が供給され、電動モータ12の出力軸が回転する。電動モータ12の出力軸が回転すると、第1鋸車19が駆動、つまり、回転し、鋸刃13が作動する。第2鋸車20は、第2鋸車20と鋸刃13との摩擦力で従動回転する。鋸刃13の一部は、第2鋸ケース17から空間A1へ出る前に、ガイド機構15の2個のローラ22,23の間を通過した後、空間A1へ至る。空間A1に至った鋸刃の一部は、スリット52を通過し、かつ、ガイド機構15における2個のローラ22,23の間を通り、第1鋸ケース16の内部に進入する。
【0021】
加工材B1は、テーブルによって支持されている。鋸刃13が、ガイド機構14とガイド機構15との間を移動する過程において、
図1のように鋸刃13が加工材B1に押し付けられ、かつ、加工材B1を切断する。加工材B1は、鋸刃13の作動方向に付勢され、
図4のように、ガイドプレート27に押し付けられる。このため、ガイドプレート27は、反力を受ける。ユーザがトリガ30に対する操作力を解除すると、コントローラがスイッチ回路をオフする。すると、電動モータ12に対する電力の供給が停止され、電動モータの12出力軸が停止する。
【0022】
鋸刃13が加工材B1を切断すると切り屑が発生し、切り屑の一部が鋸刃13に付着する。本実施形態のバンドソー10は、鋸刃13に付着した切り屑を除去する除去機構31を有する。除去機構31の具体例は、次のようなものがある。
【0023】
(具体例1)除去機構31の具体例1は、
図4、
図5及び
図6に示されている。除去機構31は、2個のダスタプレート32,33、金属製のスプリング34を有する。第1鋸ケース16の内部にボス部26が設けられ、2個のダスタプレート32,33は、ボス部26にそれぞれ取り付けられている。2個のダスタプレート32,33は、ねじ35によってボス部26に取り付けられている。2個のダスタプレート32,33の少なくとも一部は、空間A1に配置されている。2個のダスタプレート32,33は、鋸刃13の移動方向において、ガイドプレート27とガイド機構14との間に配置されている。2個のダスタプレート32,33は、鋸刃13の移動方向で同じ位置に配置されている。2個のダスタプレート32,33は、鋸刃13の作動方向に対して交差する方向で、鋸刃13を挟むように配置されている。
【0024】
2個のダスタプレート32,33は、鋸刃13の移動方向に対して交差する方向、具体的には鋸刃13の厚さ方向に移動可能である。スプリング34は、2個のダスタプレート32,33同士を互いに接近する向きで付勢する。2個のダスタプレート32,33は、共に金属製、例えば鉄製である。ダスタプレート32は、縁部36を有し、ダスタプレート33は、縁部37を有する。縁部36と縁部37とは平行である。縁部36,37は、スプリング34の力で鋸刃13の側面13Aに向けてそれぞれ押し付けられる。側面13Aは、鋸刃13の厚さ方向の両側にそれぞれ位置し、2つの側面13Aは互いに平行である。
【0025】
なお、
図5及び
図6は、便宜上、縁部36,37を側面13Aからそれぞれ離間させて示す。鋸刃13の歯先は、鋸刃13の厚さ方向に突出している。このため、鋸刃13が作動すると歯先が縁部36,37を削り、縁部36,37は、側面13Aにそれぞれ押し付けられる。
【0026】
電動モータ12が回転すると、鋸刃13の一部は空間A1を移動する。2個のダスタプレート32,33は、鋸刃13の作動方向で、ガイドプレート27とガイド機構14との間において鋸刃13の側面13Aにそれぞれ接触し、切り屑を鋸刃13から掻き落とす。つまり、切り屑が鋸刃13から除去される。また、縁部36,37は、鋸刃13の作動方向で、ガイド機構14よりも上流で、鋸刃13の側面13Aにそれぞれ接触する。
【0027】
このため、鋸刃13に付着した切り屑が、ハウジング11の内部、特に、第1鋸ケース16の内部に侵入することを抑制できる。したがって、第1鋸車19または第2鋸車20の少なくとも一方と、鋸刃13との間に切り屑が進入することを抑制可能である。また、鋸刃13が、第1鋸車19または第2鋸車20の少なくとも一方に対して滑ることを抑制可能である。
【0028】
2個のダスタプレート32,33は、ガイドプレート27とガイド機構14との間において、切り屑を鋸刃13の側面13Aからそれぞれ掻き落とす。このため、ローラ22,23と鋸刃13との間に切り屑が進入することを抑制できる。したがって、ローラ22及びローラ23と鋸刃13との間の隙間量を適正に維持でき、鋸刃13の作動状態が安定する。また、支持軸24,25が変形することを抑制でき、ガイド機構14が鋸刃13の姿勢を調整する機能を維持できる。より具体的には、鋸刃13の振動を低減し、かつ、鋸刃13の破損を抑制可能である。さらに、第1鋸車19、第2鋸車20及びガイド機構14のうち、少なくとも1つの機構に傷がつくこと、または、少なくとも1つの機構が変形すること、を抑制可能である。
【0029】
さらに、2個のダスタプレート32,33は、スプリング34によって鋸刃13の側面13Aにそれぞれ押し付けられている。したがって、切り屑を鋸刃13から確実に除去できる。
【0030】
さらに、縁部36,37は、鋸刃13の作動によって摩耗する。2個のダスタプレート32,33は、スプリング34によって鋸刃13の側面13Aにそれぞれ押し付けられているため、ダスタプレート32とダスタプレート33との間隔L1は、
図5から
図6のように狭くなる。したがって、2個のダスタプレート32,33が、鋸刃13の側面13Aに向けて押し付けられる力が低下することを抑制可能である。なお、間隔L1は、鋸刃13の厚さ方向におけるダスタプレート32とダスタプレート33との間隔である。
【0031】
(具体例2)
図7、
図8及び
図9は、除去機構31の具体例2を示す。除去機構31は、2個のダスタプレート38,39、及び金属製のスプリング40を有する。2個のダスタプレート38,39は、ボス部26にそれぞれ取り付けられている。2個のダスタプレート38,39は、ねじ41によってボス部26に取り付けられている。2個のダスタプレート38,39は、鋸刃13の厚さ方向における平面内で、ねじ41を中心として所定角度の範囲内で作動可能である。
【0032】
2個のダスタプレート38,39の少なくとも一部は、空間A1に配置されている。2個のダスタプレート38,39は、鋸刃13の移動方向において、ガイドプレート27とガイド機構14との間に配置されている。2個のダスタプレート38,39は、鋸刃13の移動方向で同じ位置に配置されている。2個のダスタプレート38,39は、鋸刃13の作動方向に対して交差する方向で、鋸刃13を挟むように配置されている。
【0033】
ダスタプレート38はピン42を有し、ダスタプレート39はピン43を有する。スプリング40は、ピン42,42に押し付けられている。スプリング40の力は、ピン42を介してダスタプレート38に加わり、ダスタプレート38は、
図8で反時計回りに付勢される。スプリング40の力は、ピン43を介してダスタプレート39に加わり、ダスタプレート39は、
図8で時計回りに付勢される。
【0034】
2個のダスタプレート38,39は、共に金属製、例えば鉄製である。ダスタプレート38は、縁部44を有し、ダスタプレート39は、縁部45を有する。縁部44と縁部45とは平行である。縁部44,45は、スプリング40の力で鋸刃13の側面13Aに向けてそれぞれ押し付けられる。
【0035】
なお、
図8及び
図9は、便宜上、縁部44,45を側面13Aから離間させて示している。鋸刃13の歯先は、鋸刃13の厚さ方向に突出している。このため、鋸刃13が作動すると歯先が縁部44,45を削り、縁部44,45は、側面13Aにそれぞれ押し付けられる。
【0036】
鋸刃13が作動すると、2個のダスタプレート38,39は、ガイドプレート27とガイド機構14との間において、切り屑を鋸刃13の側面13Aから掻き落とす。したがって、除去機構31の具体例2は、除去機構31の具体例1と同様の効果を得ることが可能である。さらに、2個のダスタプレート38,39は、スプリング40によって鋸刃13の側面13Aに向けて押し付けられている。したがって、除去機構31の具体例1と同様の効果を得ることが可能である。
【0037】
さらに、縁部44,45が、鋸刃13の作動によって摩耗すると、2個のダスタプレート38,39は、
図9のように、ねじ部材41を中心としてそれぞれ作動する。したがって、2個のダスタプレート38,39が、鋸刃13の側面13Aに向けて押し付けられる力が低下することを抑制可能である。
【0038】
(具体例3)
図10、
図11及び
図12は、除去機構31の具体例3を示す。除去機構31は、2個のダスタプレート46,47を有する。2個のダスタプレート46,47は、共に金属製、例えば鉄製である。ダスタプレート46,47は、ボス部26にそれぞれ取り付けられている。
【0039】
ダスタプレート46は、支持部46A及び接触部50を有する。接触部50は、プレート形状である。接触部50は、縁部50Aを有する。縁部50Aは、直線状である。ダスタプレート47は、支持部47A及び接触部51を有する。接触部51は、プレート形状である。接触部51は、縁部51Aを有する。縁部51Aは、直線状である。
【0040】
支持部46A,47Aに軸孔がそれぞれ設けられている。ボス部26に雌ねじ穴が設けられている。ダスタプレート46,47は、ねじ48によってボス部26にそれぞれ取り付けられている。ねじ48の軸部は軸孔及び雌ねじ穴に配置されている。ねじ48の頭部49は、支持部46A,47Aにそれぞれ押し付けられる。
【0041】
2個のダスタプレート46,47は、ボス部26に対して鋸刃13の厚さ方向に移動可能である。ねじ48を締め付けて頭部49をボス部26に近づけると、縁部50A,51Aは、鋸刃13の側面13Aに押し付けられる。縁部50A,51Aが鋸刃13に押し付けられる力は、鋸刃13が作動可能な値に調整される。接触部50と接触部51とは、間隔L1をおいて配置される。
【0042】
なお、
図11及び
図13は、便宜上、縁部50A,51Aを側面13Aから離間させて示している。鋸刃13の歯先は、鋸刃13の厚さ方向に突出している。このため、鋸刃13が作動すると歯先が縁部50A,51Aを削り、縁部50A,51Aは、側面13Aにそれぞれ押し付けられる。
【0043】
2個のダスタプレート46,47は、鋸刃13の移動方向で同じ位置に配置されている。接触部50,51は、空間A1に配置されている。接触部50,51は、鋸刃13の移動方向において、ガイドプレート27とガイド機構14との間に配置されている。2個のダスタプレート46,47は、鋸刃13の作動方向に対して交差する方向で、鋸刃13を挟むように配置されている。
【0044】
接触部50,51は、ガイドプレート27とガイド機構14との間において、切り屑を鋸刃13の側面13Aから掻き落とす。また、接触部50,51は、鋸刃13の作動方向で、ガイド機構14よりも上流で鋸刃13の側面13Aに接触する。したがって、除去機構31の具体例3は、除去機構31の具体例1と同様の効果を得ることが可能である。さらに、縁部50A,51Aが、鋸刃13の作動によって摩耗すると、ユーザは、ねじ48を締め付けて頭部49をボス部26に近づける。すると、
図13及び
図14のように、接触部50と接触部51との間隔L1が減少する。したがって、縁部50A,51Aが、鋸刃13の側面13Aに向けて押し付けられる力が低下することを抑制可能である。
【0045】
実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。金属パイプ等の加工材B1は、加工材の一例である。環状でベルト形状の鋸刃13は、鋸刃の一例である。第1鋸車19、第2鋸車20及び電動モータ12は、駆動機構の一例である。ハウジング11は、ハウジングの一例である。バンドソー10は、切断機の一例である。切り屑、塵埃、油等は、異物の一例である。
【0046】
縁部36,37,44,45,50A,51Aは、接触部の一例である。縁部36は、第1接触部の一例であり、縁部37は、第2接触部の一例である。縁部44は、第1接触部の一例であり、縁部45は、第2接触部の一例である。縁部50Aは、第1接触部の一例であり、縁部51Aは、第2接触部の一例である。
【0047】
スプリング34,40は、付勢機構の一例である。第1鋸車19は、第1鋸車の一例である。第2鋸車20は、第2鋸車の一例である。側面13Aは、第1側面及び第2側面の一例である。ガイド機構14は、ガイド機構の一例である。ガイド機構15は、第1ガイド部の一例である。ガイド機構14は、第2ガイド部の一例である。
【0048】
ガイドプレート27は、位置決め機構の一例である。ダスタプレート32は、第1構成片の一例であり、ダスタプレート33は、第2構成片の一例である。ダスタプレート38は、第1構成片の一例であり、ダスタプレート39は、第2構成片の一例である。ダスタプレート46は、第1構成片の一例であり、ダスタプレート47は、第2構成片の一例である。第1鋸ケース16は、第1カバーの一例であり、第2鋸ケース17は、第2カバーの一例である。
【0049】
実施形態の切断機は、図面によって開示された切断機に限定されるものではなく、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で、切断機の少なくとも一部を種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、除去機構は、鋸刃の2つの側面のうち、少なくとも一方の側面から異物を除去可能なものを含む。切断機は、駆動機構の少なくとも一部が、ハウジングの内部に収容されているものを含む。駆動機構は、モータ、ギヤ、プーリ等を含む。付勢機構として用いる金属製のスプリングは、コイルスプリング、リーフスプリング、ねじりスプリング等の何れでもよい。
【0050】
実施形態の切断機は、除去機構及びガイド機構がハウジングの外部に設けられている切断機と、除去機構及びガイド機構がハウジングの内部に設けられている切断機と、を含む。実施形態における除去機構は、鋸刃の作動方向でガイド機構よりも上流で鋸刃に接触し、かつ、鋸刃に押し付けられて異物を除去することが、好適に異物を除去可能であることの一例である。
【符号の説明】
【0051】
10…バンドソー、11…ハウジング、12…電動モータ、13…鋸刃、13A…側面、14,15…ガイド機構、16…第1鋸ケース、17…第2鋸ケース、19…第1鋸車、20…第2鋸車、27…ガイドプレート、32,33,38,39,46,47…ダスタプレート、34,40…スプリング、36,37,44,45,50A,51A…縁部