IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社安川電機の特許一覧

<>
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図1
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図2
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図3
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図4
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図5
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図6A
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図6B
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図7A
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図7B
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図8A
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図8B
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図9
  • 特許-搬送ロボットおよびロボットシステム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】搬送ロボットおよびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20230704BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20230704BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B25J9/06 D
B25J17/00 A
H01L21/68 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022082032
(22)【出願日】2022-05-19
(62)【分割の表示】P 2018133294の分割
【原出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2022113696
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 修
(72)【発明者】
【氏名】原田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】四辻 健太郎
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-036762(JP,A)
【文献】特許第4473075(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転軸を1つの鉛直軸まわりにそれぞれ回転可能に先端側で支持する水平リンク式のアーム
を備え、
前記アームは、
前記複数の回転軸をそれぞれ駆動するとともに、前記アームの延伸向きについて、前記鉛直軸に対して遠いほうから順に配置される第1回転式モータおよび第2回転式モータと、
前記第1回転式モータに設けられる第1プーリと、
前記複数の回転軸の一方に設けられる第2プーリと、
前記第1回転式モータの駆動力を前記第1プーリおよび前記第2プーリを経由して前記複数の回転軸の一方へ伝達する第1ベルトと、
前記第2回転式モータに設けられる第3プーリと、
前記複数の回転軸の他方に設けられる第4プーリと、
前記第2回転式モータの駆動力を前記第3プーリおよび前記第4プーリを経由して前記複数の回転軸の他方へ伝達する第2ベルトと、
前記第1ベルトの内側に設けられる複数の第5プーリと
を内部に備え、
前記第1ベルトおよび前記第2ベルトは、
前記鉛直軸に沿う向きについてお互いにずれた位置に配置され、
前記第1ベルトは、
前記鉛直軸に沿う向きについて前記第2回転式モータにおけるケースの存在範囲と重なる位置に配置され、
前記複数の第5プーリは、
前記第1ベルトが前記第2回転式モータに接触することを防止するように前記第1ベルトの通過軌跡を広げて前記第1ベルトに張力を付加すること
を特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
前記複数の第5プーリは、
前記第1ベルトを外側に広げる向きにそれぞれ前記第1ベルトに張力を付加すること
を特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記複数の回転軸は、
被搬送物を保持可能なハンドにそれぞれ接続されること
を特徴とする請求項1または2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記複数の第5プーリは、
前記アームの延伸向きについて、前記第1回転式モータと、前記第2回転式モータとの間に配置されること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記第1回転式モータおよび前記第2回転式モータは、
側面視において出力軸の突出向きがお互いに離れる向きであること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一つに記載の搬送ロボットと、
前記搬送ロボットの動作を制御する制御装置と
を備えることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、搬送ロボットおよびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物を搬送する水平多関節ロボットなどの搬送ロボットが知られている。また、被搬送物として基板を搬送するとともに、完成品のモータをアームに内蔵する基板搬送ロボットも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-039047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術のように、ロボットのアームに完成品のモータを内蔵する技術には、アームの小型化の観点からは改善の余地がある。
【0005】
実施形態の一態様は、アームの小型化を図ることができる搬送ロボットおよびロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る搬送ロボットは、複数の回転軸を1つの鉛直軸まわりにそれぞれ回転可能に先端側で支持する水平リンク式のアームを備える。前記アームは、第1回転式モータおよび第2回転式モータと、第1プーリと、第2プーリと、第1ベルトと、第3プーリと、第4プーリと、第2ベルトと、複数の第5プーリとを内部に備える。第1回転式モータおよび第2回転式モータは、前記複数の回転軸をそれぞれ駆動するとともに、前記アームの延伸向きについて、前記鉛直軸に対して遠いほうから順に配置される。第1プーリは、前記第1回転式モータに設けられる。第2プーリは、前記複数の回転軸の一方に設けられる。第1ベルトは、前記第1回転式モータの駆動力を前記第1プーリおよび前記第2プーリを経由して前記複数の回転軸の一方へ伝達する。第3プーリは、前記第2回転式モータに設けられる。第4プーリは、前記複数の回転軸の他方に設けられる。第2ベルトは、前記第2回転式モータの駆動力を前記第3プーリおよび前記第4プーリを経由して前記複数の回転軸の他方へ伝達する。複数の第5プーリは、前記第1ベルトの内側に設けられる。前記第1ベルトおよび前記第2ベルトは、前記鉛直軸に沿う向きについてお互いにずれた位置に配置される。前記第1ベルトは、前記鉛直軸に沿う向きについて前記第2回転式モータにおけるケースの存在範囲と重なる位置に配置される。前記複数の第5プーリは、前記第1ベルトが前記第2回転式モータに接触することを防止するように前記第1ベルトの通過軌跡を広げて前記第1ベルトに張力を付加する。
【0007】
実施形態の一態様に係るロボットシステムは、上記した搬送ロボットと、搬送ロボットの動作を制御する制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、アームの小型化を図ることが可能な搬送ロボットおよびロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、搬送ロボットの概要を示す模式図である。
図2図2は、ビルトインモータの断面図である。
図3図3は、搬送ロボットの斜視図である。
図4図4は、第1アーム、第2アームおよびハンドの側面図である。
図5図5は、ハンドの斜視図である。
図6A図6Aは、第1アームの斜視図その1である。
図6B図6Bは、第1アームの斜視図その2である。
図7A図7Aは、第2アームの模式図その1である。
図7B図7Bは、第2アームの模式図その2である。
図8A図8Aは、昇降部の斜視図である。
図8B図8Bは、昇降部の模式図である。
図9図9は、変形例に係る第2アームを示す斜視図である。
図10図10は、ロボットシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する搬送ロボットおよびロボットシステムを詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「平行」や、「中心」、「対称」、「逆向き」、「円筒」といった表現を用いる場合があるが、厳密にこれらの状態を満たすことを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度、処理精度、検出精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
まず、実施形態に係る搬送ロボット10の概要について図1を用いて説明する。図1は搬送ロボット10の概要を示す模式図である。なお、図1には、搬送ロボット10を斜め上方からみた斜視図を示しており、第1アーム11の分解斜視図をあわせて示している(図1のS1参照)。
【0013】
図1に示すように、搬送ロボット10は、床面などに設置される本体部15と、本体部15に対して昇降する昇降部16とを備える。昇降部16は、水平リンク式のアームである第1アーム11および第2アーム12を昇降させる。また第2アーム12の先端側にはハンド13が設けられる。ハンド13は、半導体用の基板などの被搬送物を保持可能である。
【0014】
なお、図1には、2つのハンド13を示したが、ハンド13の個数は1つでもよく、3つ以上であってもよい。また、図1には水平リンク式のアームとして2つのアーム(第1アーム11および第2アーム12)を示したが、水平リンク式のアームを3つ以上としてもよい。
【0015】
ここで、搬送ロボット10は、図1のS1に示したように、アーム一体型のビルトインモータ150を備える。なお、図1には、第1アーム11が、第2アーム12を旋回させるビルトインモータ150を備える場合を例示している。
【0016】
具体的には、ビルトインモータ150は、アームに形成されたステータ保持部11hと、ステータ保持部11hによって保持されるステータ部100とを備える。また、ビルトインモータ150は、ベース部120と、ベース部120によって支持されベース部120に対して回転するロータ部110とを備える。
【0017】
ここで、ステータ保持部11hに対して回転しない構成要素であるステータ部100およびベース部120をまとめてステータ部100と呼ぶこととしてもよい。つまり、ビルトインモータ150の構成要素のうち、ステータ保持部11hに対して回転しない構成要素をまとめて「ステータ部100」と、回転する構成要素をまとめて「ロータ部110」と呼ぶこととしてもよい。
【0018】
このように、回転しない構成要素をステータ部100と、回転する構成要素をロータ部110と呼んだ場合、ビルトインモータ150は、ステータ部100における無回転軸(軸部122)と磁界発生部(モータコア100aおよびモータ巻線100b)との間の凹部にロータ部110を埋め込んだ形状であるということができる。つまり、ステータ部100の厚み内の中空領域にロータ部110を埋め込んだことで、ビルトインモータ150は、モータの低背化を図っている。
【0019】
ところで、ロータ部110とともに回転する取付部113は、ステータ保持部11hにおける第2アーム12側の開口を覆う蓋の機能を兼ねる。また、ベース部120は、ステータ保持部11hにおける第2アーム12とは反対側の開口を覆う蓋の機能を兼ねる。なお、取付部113には、第2アーム12が取り付けられる。
【0020】
図1のS1に示したように、ステータ部100と、ロータ部110と、ベース部120とは、ステータ保持部11hに収容される。つまり、ビルトインモータ150は、ステータ部100、ロータ部110およびベース部120を収容するケースの代わりに、第1アーム11に形成されたステータ保持部11hを用いている。
【0021】
このように、搬送ロボット10は、アーム一体型のビルトインモータ150を備えることとしたので、ケースを有するいわゆる完成品のモータを用いる場合に比べてアームの小型化を図ることができる。これにより、アームの薄型化や、アームの幅狭化に寄与することが可能となる。
【0022】
また、ビルトインモータ150は、減速機を内蔵しておらず、外付けの減速機も有しない。したがって、ビルトインモータ150は、直接的にアーム(図1では、第2アーム12)を旋回させることができる。このため、減速機を用いる場合よりも、振動や動作誤差、メカニカルロスを抑制することができる。
【0023】
以下、ビルトインモータ150の構成について図2を用いてさらに詳細に説明する。図2は、ビルトインモータ150の断面図である。なお、図2には、第2アームの回転軸(ビルトインモータ150の回転軸)を含み、かつ、第1アーム11の延伸向きに沿う平面で切断した断面図を示している。
【0024】
図2に示すように、第1アーム11の端部に形成されるステータ保持部11hは、第1アームの上面側に突出した略円筒状の形状を有しており、内周には、ステータ部100がいわゆる焼き嵌め等で嵌合される。たとえば、加熱した状態のステータ保持部11hに常温のステータ部100を挿入すれば、ステータ保持部11hが冷却過程で収縮することによりステータ部100を保持する。なお、ステータ部100を接着剤でステータ保持部11hに固定することとしてもよい。また、ステータ保持部11hの外周側からステータ部100のモータコア100aに向けて径方向にピン等を打ち込むことによってステータ部100をステータ保持部11hに固定することとしてもよい。
【0025】
まず、ステータ部100について説明する。ステータ部100は、たとえば珪素鋼版が積層されるモータコア100aと、モータコア100aのティースに巻回されるモータ巻線100bとを、樹脂等によってモールドすることで、一体的に固められ、円筒状に成形されている。なお、モータ巻線100bは、通電によって磁界を発生させる。また、モータ巻線100bを樹脂等の複数のボビンにそれぞれ巻回し、かかるボビンを各ティースに装着することしてもよい。また、モータコア100aをティース(内コア)がないコアレス形状とし、外コアの内周にモータ巻線100bがモールドされたステータ100とすることとしてもよい。
【0026】
ステータ部100は、円筒状であり、外周側はステータ保持部11hに接するとともに、内周側はロータ部1100の外周側と間隔を空けて対向する。つまり、ビルトインモータ150では、通常はケースに収容されるステータ部110を、第1アーム11のステータ保持部11hに収容する。
【0027】
モータ巻線100bへ通電する巻線ケーブル100cは、ステータ部100の内周側におけるロータ部110と干渉しない内部空間(図2におけるステータ保持部11の下方の内部空間)を経由し、第1アーム11の基端部へ導かれる。なお、巻線ケーブル100cは、第1アーム11の下方からアクセス可能であるが、この点については、図6を用いて後述する。
【0028】
次に、ロータ部110について説明する。ロータ部110は、円筒状であり、ヨークに相当する円筒状の軸部111と、軸部111の外周側に接着剤等で固定されるマグネット112とを備える。なお、それぞれのマグネット112は、たとえば、ロータ部110の回転軸に沿う向きが長手で、外周に沿う向きが短手の矩形状であり、軸部111の外周全体にわたって所定の間隔を空けて敷き詰められる。
【0029】
一方、軸部111の内周側は、ベース部120における回転部123の外周側に固定される。つまり、ロータ部110は、回転部123の回転中心線まわりに回転する。ここで、回転部123の回転中心線は、上記した第2アーム12の回転軸に相当する。
【0030】
また、軸部111における第2アーム12側の端面(図2における上側の端面)には、貫通孔113hを有する取付部113が固定される。ここで、取付部113は、第2アーム12を固定するために用いられる。なお、取付部113は、ステータ保持部11hにおける第2アーム12側の開口を塞ぐ蓋としての役割も兼ねる。
【0031】
次に、ベース部120について説明する。図2に示すように、第1アーム11の先端部に固定されるベース部120は、中央部分に貫通孔を有する円板から、中空の円筒が立ち上がった形状を有している。ベース部120は、エンコーダ部121と、軸部122と、回転部123とを備える。
【0032】
エンコーダ部121は、ステータ保持部11hにおける第2アーム12とは反対側の開口(図2における下側の開口)を塞ぐ。また、エンコーダ部121の上面側には、エンコーダの処理基板121eを備える。
【0033】
ロータ部110とともに回転する回転部123の下面側には、周方向に沿ってスリットや凹凸などの繰り返しパターンを有する円板が設けられており、処理基板121eの上面側には、たとえば、発光部や受光部が設けられている。処理基板121eは、発光部から回転部123へ向けて照射された光が、上記したパターンで反射される反射光を検出することで、ロータ部110の回転状況を検出する。
【0034】
なお、図2に示すように、処理基板121eには、エンコーダケーブル121cが接続されており、処理基板121eへの給電、検出結果などの信号の出力がなされる。エンコーダケーブル121cは、ロータ部110の下方におけるステータ保持部11hの内部空間を経由し、第1アーム11の基端部へ導かれる。なお、エンコーダケーブル121cは、第1アーム11の下方からアクセス可能であるが、この点については、図6を用いて後述する。
【0035】
ここで、ビルトインモータ150は、減速機を有しておらず、第2アーム12を直接的に旋回させる。また、第2アーム12は、メカニカルストッパなどによって旋回角度が360度未満に制限される。したがって、ビルトインモータ150は1回転しないことになる。
【0036】
一般的に、1回転以上回転するモータの場合、エンコーダは、モータが基準位置から何回転目であるかを検知し、検知結果を記憶する。このため、回転部123には、1回転したことがわかる目印が着磁された円板を設け、処理基板121eには、磁力を検出する回路と、回転数を記録する揮発性メモリとを設けることが通常である。そして、エンコーダケーブル121c経由で揮発性メモリに通電するバッテリが設けられる。なお、バッテリは、メンテナンス性を考慮し、たとえば、本体部15(図1参照)の内側面等に設けられる。
【0037】
これに対し、ビルトインモータ150の回転は1回転未満であるので、回転部123に上記した「着磁された円板」を設ける必要はない。また、上記した回路や揮発性メモリ、バッテリも不要となる。したがって、ビルトインモータ150によれば、構造の簡略化を図ることができ、低コスト化、小型化にも寄与することができる。
【0038】
軸部122は、エンコーダ部121から立ち上がる円筒状の形状を有しており、第1アーム11から突出し、第2アーム12の内部に至る軸長を有している。なお、軸部122の内周側には、第2アーム12に固定された円筒状のケーブルガイド12gが挿入される。
【0039】
第2アーム12内のケーブルは、ケーブルガイド12gを経由して第1アーム11の内部に配索される。このように、ケーブルガイド12gを用いることで、第2アーム12の旋回に伴うケーブルと軸部122との擦れを防止することができる。
【0040】
軸部122の外周側には、第1ベアリングb1と、スペーサbsと、第2ベアリングb2とが設けられる。ここで、第1ベアリングb1および第2ベアリングb2の内周側は、軸部122に固定される。なお、スペーサbsは、第1ベアリングb1と第2ベアリングb2との距離を所定距離に保持するために用いられる。
【0041】
また、軸部122の先端側(第2ベアリングb2側)には、ベアリング押さえ部122aが設けられる。ここで、組み立ての際には、回転部123に対して、第1ベアリングb1、スペーサbs、第2ベアリングb2を挿入し、ベアリング等が挿入された回転部123を軸部122に挿入する。そして、ベアリング押さえ部122aを取り付けることで、各部品が組み付けられる。なお、ベアリング押さえ部122aと、軸部122とをまとめて軸部122と呼ぶこととしてもよい。
【0042】
一方、第1ベアリングb1および第2ベアリングb2の外周側には、回転部123が固定される。回転部123は、円筒状であり、内周側は第1ベアリングb1および第2ベアリングb2の外周側に固定され、外周側はロータ部110の内周側に固定される。これにより、ロータ部110は、ベース部120に対して回転する。
【0043】
このように、第1ベアリングb1および第2ベアリングb2は、ロータ部110を回転可能に支持する。各ベアリングをベース部120に設けたことで、ロータ部110の構成を簡略化することができるとともに、ビルトインモータ150の組み立て性を向上させることができる。
【0044】
そして、図2に示したように、第1ベアリングb1および第2ベアリングb2は、筒状であるステータ部100の厚み(ロータ部110の回転軸に沿う向きの厚み)範囲内に収容される。ロータ部110を回転可能とするベアリングをこのように配置することで、ビルトインモータ150の低背化を図ることができる。
【0045】
ここで、ロータ部110をベース部120に対して組み付ける際には、たとえば、軸部111と、回転部123とをボルト等で締結する。これにより、ロータ部110は回転部123に固定される。なお、ロータ部110を接着等によって回転部123に固定することとしてもよい。
【0046】
このように、第1アーム11の上方からステータ部110をステータ保持部11hに対して固定し、第1アーム11の下方からベース部120をステータ保持部11hに対して固定する。そして、第1アーム11の上方からロータ部110をベース部120に対して固定することで、ビルトインモータ150が完成する。
【0047】
なお、図2では、第2アーム12を旋回させるビルトインモータ150を第1アーム11に設ける場合を示したが、第2アーム12を旋回させるビルトインモータ150を第2アーム12に設けることとしてもよい。なお、この点については、図9を用いて後述する。
【0048】
また、図2では、ベース部120側にベアリング(第1ベアリングb1および第2ベアリングb2)を設け、ベース部120に対してロータ部110が回転する場合を示したが、ロータ部110側にベアリングを設けることとしてもよい。この場合、ロータ部110における軸部111の内周側にベアリングの外周側を固定し、ベアリングが固定されたロータ部110を、ベース部120における軸部122の外周側に嵌め込むこととすればよい。
【0049】
また、図2では、2つのベアリング(第1ベアリングb1および第2ベアリングb2)を示したが、ベアリングの個数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。また、ベアリング間に設けられるスペーサbsを省略することとしてもよい。
【0050】
また、図2では、アーム旋回用のビルトインモータ150が1つである場合を示したが、複数であってもよい。たとえば、第1アーム11を旋回させるビルトインモータ150と、第2アーム12を旋回させるビルトインモータ150とを第1アーム11の両端部にそれぞれ設けることとしてもよい。また、第2アーム12を旋回させるビルトインモータ150を第2アーム12の基端部に、第1アームを旋回させるビルトインモータ150を第1アーム11の基端部にそれぞれ設けることとしてもよい。
【0051】
次に、搬送ロボット10の構成について図3を用いてさらに説明する。図3は、搬送ロボット10の斜視図である。同図に示すように、搬送ロボット10は、本体部15と、昇降部16と、第1アーム11と、第2アーム12と、複数のハンド13とを備える。
【0052】
ここで、各々のハンドを区別する場合には、ハンド13A、ハンド13Bのように末尾に大文字のアルファベットを付記し、各々のハンドを区別しない場合にはハンド13のように記載することとする。本実施形態では、他の構成要素についても同様の記載方式をとる場合がある。
【0053】
なお、図3には、2つのハンド13A,13Bを備える搬送ロボット10を例示しているが、ハンド13の個数は任意の個数としてもよい。また、同図に示す昇降軸A0、第1軸A1、第2軸A2および第3軸A3は、それぞれ平行であることが好ましい。
【0054】
本体部15は、昇降部16を昇降させる機構を内蔵する。昇降部16は、同図に示す昇降軸A0に沿って昇降するとともに、第1アーム11の基端部を第1軸A1まわりに回転可能に支持する。なお、昇降部16自体を第1軸A1まわりに回転させることとしてもよい。
【0055】
第1アーム11は、第2アーム12の基端部を第2軸A2まわりに回転可能に先端部で支持する。第2アーム12は、ハンド13A,13Bの基端部を第3軸A3まわりにそれぞれ回転可能に先端部で支持する。ハンド13A,13Bは、基部13aと、フォーク部13bとを備える。
【0056】
このように、搬送ロボット10は、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の3リンクの水平多関節ロボットである。また、搬送ロボット10は、上記したように、昇降機構を有しているので、違う高さに配置される基板等の被搬送物に対してそれぞれアクセスすることができる。
【0057】
次に、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の外観について図4を用いて説明する。図4は、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の側面図である。なお、図4では、折り畳んだ姿勢をとった場合の第1アーム11、第2アーム12およびハンド13を示している。
【0058】
また、同図には、図3に示した第1軸A1、第2軸A2および第3軸A3を参考のため示している。なお、「折り畳んだ姿勢」とは、第1アーム11の基端部に第2アーム12の先端部を、第2アーム12の基端部にハンド13の先端部をそれぞれ向けた姿勢のことを指す。
【0059】
図4に示すように、第1アーム11の底面側は略平坦である。一方、上面側は、第2軸A2側の端部の上面が、第1軸A1側の端部の上面よりも高い階段状になっている。このように、第2軸A2側の端部の上面が第2アーム12側へ突出しているのは、図1に示したビルトインモータ150を第1アーム11に配置するためである。
【0060】
このように、第1アーム11は、側面視において、ビルトインモータ150が配置される端部の厚みが他の部位の厚みよりも大きく、第2アーム12側へ向けて突出した形状を有している。
【0061】
また、図4に示すように、第2アーム12の上面側は略平坦である。一方、底面側は、第2軸A2側の端部の下面が、他方の端部の底面よりも高い階段状になっている。このように、第2軸A2側の端部の底面が他方の端部の底面よりも凹んだ形状をとっているのは、上記した第1アーム11における突出した形状を回避するためである。
【0062】
このように、第2アーム12は、側面視において、第2軸A2に対応する端部側の厚みよりも、他方の端部側の厚みのほうが大きく、第1アーム11側へ向けて突出した形状を有している。したがって、厚みが大きい部位の容積を大きくとることができ、内部にハンド13を駆動する機構を格納する空間を確保することが容易である。
【0063】
また、第2アーム12における第2軸A2側の端部の反対側の端部の上面には、ハンド13が設けられる。なお、第3軸A3に沿って、第2アーム12からみてハンド13B、ハンド13Aの順で2つのハンド13が設けられる。
【0064】
次に、ハンド13の構成について図5を用いてさらに詳細に説明する。図5は、ハンド13の斜視図である。なお、図5は、ハンド13を斜め上方からみた図に相当する。
【0065】
図5に示すように、ハンド13は、基部13aと、フォーク部13bとを備える。基部13aの基端側は、第3軸A3まわりに回転可能に第2アーム12(図3参照)によって支持される。フォーク部13bは、基部13aの先端側に設けられ、先端側が二股にわかれている。
【0066】
また、図5に示すように、フォーク部13bの上面13baには、摩擦部13bbが設けられている。たとえば、摩擦部13bbは、上面13baに形成された溝に一部が埋まるように固定されるOリングである。
【0067】
なお、Oリングの材料としては、たとえば、シリコン等の樹脂を用いることができる。摩擦部13bbは、基板などの被搬送物との間の摩擦力で被搬送物のずれを防止する。また、フォーク部13bの先端13bcに上方へ突出した爪を設けることとしてもよい。これにより、被搬送物の脱落を防止することができる。
【0068】
なお、図5には、摩擦部13bbを例示したが、被搬送物を吸着する吸着機構や、被搬送物を把持する把持機構などの保持機構を用いることとしてもよい。
【0069】
次に、第1アーム11の構成について図6Aおよび図6Bを用いてさらに詳細に説明する。図6Aは、第1アーム11の斜視図その1であり、図6Bは、第1アーム11の斜視図その2である。なお、図6Aは、第1アーム11を斜め上方からみた斜視図に相当し、図6Bは、第1アーム11を斜め下方からみた斜視図に相当する。
【0070】
図6Aに示すように、第1アーム11における第2軸A2側の端部には、ビルトインモータ150が設けられる。ビルトインモータ150のケースに相当するステータ保持部11hは、第1アーム11の上面から上方へ突出している。ロータ部110(図1参照)における軸部111に固定される取付部113は、第2軸A2まわりに回転する。なお、取付部113には、第2アーム12が固定される。
【0071】
また、ベース部120(図1参照)における軸部122(図2参照)は、取付部113から第2軸A2に沿って突出する。なお、ベース部120は、第1アーム11に固定されることから、軸部122は回転しない。なお、第2軸A2側の端部とは反対側の端部には第1アーム11の旋回中心となる第1軸A1が設定される。
【0072】
図6Bには、第1アーム11および第2アーム12における第2軸A2側の端部を示している。図6Bに示すように、ベース部120におけるエンコーダ部121の底面には、貫通孔120hが設けられる。なお、貫通孔120hは、図6Aに示した軸部122の開口と連通する。
【0073】
また、図6Bに示すように、エンコーダ部121の底面には、径方向に溝が形成されており、かかる溝は、第1アーム11の内部に連通する溝と接続されて下方に開放された開口11g1となっている。したがって、第2アーム12の内部のケーブル13cを、ベース部120における軸部122に連通する貫通孔120hと、開口11g1を経由して第1アーム11の内部に配索することができる。つまり、ケーブル13cを第1アーム11および第2アーム12の外形内に収めることができる。
【0074】
また、エンコーダ部121における底面の外側には第1アーム11の内部に連通する溝が形成されており、かかる溝は下方に開放された開口11g2となっている。開口11g2の内部には、ステータ部100におけるモータ巻線100bから伸びる巻線ケーブル100cと、エンコーダ部121から伸びるエンコーダケーブル121cとが収容される。
【0075】
つまり、巻線ケーブル100cおよびエンコーダケーブル121cを、開口11g2を経由して第1アーム11の内部に配索することができる。つまり、巻線ケーブル100cおよびエンコーダケーブル121cを第1アーム11の外形内に収めることができる。
【0076】
なお、図6Bに示したように、貫通孔120h、開口11g1および開口11g2を覆う着脱式のカバー11ucを設けることとしてもよい。カバー11ucを取り外すことで、搬送ロボット10の組立作業を効率化することができるとともに、メンテナンス性を向上させることができる。また、カバー11ucを取り付けることで、搬送ロボット10の内部から外部へ微小なチリなどが漏れ出すことを防止することができる。
【0077】
なお、図6Bに示したように、第1アーム11の底面側は、カバー11ucの厚み分だけ薄く形成されている。したがって、カバー11ucを第1アーム11に取り付けた場合であっても、第1アーム11の底面を平坦にすることができる。
【0078】
次に、第2アーム12の構成について図7Aおよび図7Bを用いてさらに詳細に説明する。図7Aは、第2アーム12の模式図その1であり、図7Bは、第2アーム12の模式図その2である。なお、図7Aは、第2アーム12の内部を側面から透視した図に相当し、図7Bは、第2アーム12の内部を上方から透視した図に相当する。
【0079】
図7Aに示すように、2つのハンド13A,13Bを独立して動作させるために、第2アーム12は、2つの回転式モータM1,M2と、回転式モータM1,M2の駆動力をハンド13A,13Bへそれぞれ伝達する2つのベルトB1,B2とを内部に備える。なお、回転式モータM1,M2は、上述したビルトインモータ150とは異なり、ケースを備えた完成品のモータである。かかる完成品のモータを、「着脱可能なモータ」とも呼ぶこととする。
【0080】
ここで、回転式モータM1,M2およびベルトB1,B2は、図4を用いて既に説明した第2アーム12の厚みが大きい部位に収容される。一方、第2アーム12の厚みが小さい部位には、回転抑制部300が収容される。
【0081】
まず、回転式モータM1,M2およびベルトB1,B2を用いた駆動機構について説明する。図7Aに示すように、2つの回転式モータM1,M2は出力軸S1,S2の突出向きが逆向きとなるように配置される。
【0082】
回転式モータM1の駆動力は、出力軸S1に取り付けられたプーリP1と、ベルトB1とを経由し、ハンド13Aを第3軸A3まわりに旋回させる回転軸201に伝達される。また、回転式モータM2の駆動力は、出力軸S2に取り付けられたプーリP2と、ベルトB2とを経由し、ハンド13Bを第3軸A3まわりに旋回させる回転軸202に伝達される。
【0083】
なお、回転軸201,202にはそれぞれプーリが固定され、プーリ経由で駆動力が伝達される。したがって、プーリの外径を調整することで、回転式モータM1,M2の減速比を任意の値とすることができる。
【0084】
上側のハンドであるハンド13Aは、ベアリングを介して第2アーム12に固定される筒状の回転軸201に接続される。したがって、ハンド13Aは、回転式モータM1の回転に伴って回転軸201が回転することで旋回する。
【0085】
また、円筒状である回転軸201の内側には、ハンド13Aの内部と連通する円筒状のケーブルガイド(図2に示したケーブルガイド12gと同様)が挿入される。かかるケーブルガイドにより、ハンド13Aの内部のケーブルを第2アーム12内へ安全に配索することができる。
【0086】
下側のハンドであるハンド13Bは、ベアリングを介して第2アーム12に固定される中空の回転軸202に接続される。ここで、回転軸202の内径は、ハンド13Aとともに回転する回転軸201の外径よりも大きい。
【0087】
つまり、回転軸202および回転軸201は、回転軸を共有する2重筒状に配置される。また、図2に示したように、回転軸202は、回転軸201における上側に配置され、上側だけが2重筒状となる。したがって、回転軸201における下側では回転軸201が回転軸202に覆われることなく、むき出しとなるので、ベルトB1による駆動力の伝達を容易に行うことができる。
【0088】
図7Bに示すように、ベルトB1の内側には、ベルトB1の通過軌跡を広げるために、シャフトS3,S4と、シャフトS3,S4まわりに回転するプーリP3,P4が設けられる。これにより、ベルトB1に所望の張力を付加することができるとともに、ベルトB1が回転式モータM2に接触することを防止することができる。また、回転式モータM1,M2を上下方向に近接して配置することが可能となるので、第2アーム12を薄型化することができる。
【0089】
なお、第2軸A2と第3軸A3と結ぶ中心線CL上に、回転式モータM1,M2の出力軸S1,S2を配置し、中心線CLについて対称に、プーリP3,P4を配置することが好ましい。これにより、中心線CLに対して第2アーム12の重量バランスの平衡をとりやすくなる。
【0090】
このように、ベルトB1,B2は、上面視において少なくとも一部が入れ子となるように配置される。これにより、第2アーム12の幅(中心線CLの法線方向の幅)を小さくすることができる。
【0091】
次に、回転抑制部300について説明する。図7Aに示したように、回転抑制部300は、第2アーム12の内部に入り込んだビルトインモータ150におけるベース部120の軸部122の外周に巻き掛けられる摩擦バンドB3を備える。摩擦バンドB3は、軸S6まわりに旋回するリンクL1の一端側に接続されており、リンクL1の他端側は、直動式アクチュエータM3の直動軸に旋回可能に接続されている。
【0092】
たとえば、摩擦バンドB3には、少なくとも軸部122側の面に摩擦力を高める加工が施されている。なお、シリコンゴムなどの摩擦力がそもそも大きい材料で摩擦バンドB3を形成することとしてもよい。
【0093】
また、直動式アクチュエータM3としては、進退向きのいずれか向きにバネ等で付勢された直動軸を電磁力で進退させる機構を用いることができる。なお、直動式アクチュエータM3として直動軸の進退量を制御可能な直動式モータを用いることとしてもよい。
【0094】
ここで、ビルトインモータ150におけるロータ部110とともに回転する取付部113は、第2アーム12に固定されている。したがって、軸部122の回転を止めれば第2アーム12の旋回を止めることができる。
【0095】
つまり、摩擦バンドB3は、直動式アクチュエータM3における直動軸の進退に伴って内径が変化する。そして、摩擦バンドB3が軸部122の外周に巻き付いた場合には、軸部122の回転を摩擦力で止める。つまり、軸部122の回転を抑制する。一方、摩擦バンドB3が軸部122の外周から離れた場合には、軸部122の回転を許容する。
【0096】
図7Bに示したように、摩擦バンドB3の一端は、軸S7に固定されており、他端はリンクL1の一端に接続されている。つまり、摩擦バンドB3は、上面視で軸部122の外周に沿う円弧状の形状を有しており、外力が付与された場合には弾性変形する。
【0097】
また、リンクL1の旋回軸である軸S6には、反時計回りの付勢力がバネ等によって付与されている(回転向きR1参照)。直動式アクチュエータM3に電力が供給されていない場合、かかる付勢力によって直動式アクチュエータM3の直動軸S5は伸びた状態である。また、摩擦バンドB3は、軸部122の外周に巻き付いて軸部122の回転を抑制した状態である。
【0098】
このように、電源が遮断されるなどの事態が発生した場合には、第1アーム11と第2アーム12との相対的な旋回が抑制され、アームが意図しない動きをし続けることを抑制することができる。また、ビルトインモータ150に電力を供給していない場合に、各アームが外力や重力などによって旋回してしまうことを防止することができる。
【0099】
たとえば、搬送ロボット10の設置時などにアームが勝手に旋回して周囲の障害物に接触することを防止することができる。また、停電などが発生した場合に、旋回中のアームがそのまま旋回してしまうことを防止することができる。
【0100】
一方、直動式アクチュエータM3に電力が供給された場合、直動軸S5は軸S6まわりの付勢力に逆らって縮む(向きD1参照)。これにより、摩擦バンドB3の内径は広がり、軸部122の外周から離れる。これにより、摩擦バンドB3は、軸部122の回転を許容する。
【0101】
なお、軸S6まわりの付勢力を逆向き(時計周り)とし、電力供給の有無に伴う直動軸S5の動きを逆向きとしてもよい。また、回転抑制部300の機構を、図7A図7Bに示した機構とは異なる機構としてもよい。たとえば、軸部122の外周に凹凸を設け、凹凸と噛み合う歯車の回転を止めることで軸部122の回転を抑制することとしてもよい。
【0102】
このように、回転抑制部300を、ビルトインモータ150を有するアームとは別のアーム(図7Aおよび図7Bでは第2アーム12)に設けることで、ビルトインモータ150が設けられるアーム(図7Aおよび図7Bでは第1アーム11)の小型化を図ることができる。なお、回転抑制部300を、ビルトインモータ150を有するアーム(図7Aおよび図7Bでは第1アーム11)に設けることとしてもよい。
【0103】
次に、図1等に示した昇降部16について図8Aおよび図8Bを用いてさらに詳細に説明する。図8Aは、昇降部16の斜視図であり、図8Bは、昇降部16の模式図である。なお、図8Aには、本体部15に対して昇降する昇降部16を斜め上方からみた斜視図を示している。また、図8Bは、本体部15を上方から透視した図に相当する。
【0104】
図8Aに示すように、昇降部16は、昇降軸A0に沿う向きに本体部15に対して昇降する。また、昇降部16は、本体部15から突出する部分が、たとえば、円柱状であり、上端側には、第1アーム11を第1軸A1まわりに旋回させる昇降部一体型のビルトインモータ550を備える。昇降部一体型のビルトインモータ550は、図1等に示したビルトインモータ150と同様に、ケースを有さず、取付対象にステータ部500を保持させるタイプのモータである。
【0105】
具体的には、昇降部16は、上端側に略円筒状のステータ保持部16hを備えており、かかるステータ保持部16hが、ビルトインモータ550のケースの代わりとなる。具体的には、ステータ保持部16hは、挿入されたステータ部500を保持し、ステータ部5500に対して回転するロータ部510も同様に、ステータ保持部16hに挿入される。
【0106】
このように、ビルトインモータ550は、ステータ部500と、ステータ部500に対して回転するロータ部510と、昇降部16に形成され、ステータ部500を保持するステータ保持部16hとを備える。ここで、図8Aに示したビルトインモータ550は、図1等に示したビルトインモータ150よりも厚み(図8Aに示した昇降軸A0に沿う厚み)が大きい。
【0107】
これは、第1アーム11を駆動するビルトインモータ550は、第2アーム12を駆動するビルトインモータ150よりも大きなモータ容量(トルク)を要するためである。つまり、厚みを大きくすることで、巻線量を増やしたり、永久磁石量を増やしたりすることが容易となるため、モータ容量を増やすことができる。
【0108】
なお、昇降部16は、上記した円柱状であることを要しない。たとえば、直方体状などの任意の形状であってもよい。つまり、ステータ部500やロータ部510のケースとして機能する形状のステータ保持部16hを形成可能であれば、昇降部16の形状は任意の形状とすることができる。
【0109】
図8Bに示すように、昇降部16の昇降機構は、本体部15に格納される。昇降部16は、可動部BD5の上面側に支持される。本体部15の内壁側には、図8Aに示した昇降軸A0に沿って延伸する一対のリニアガイドLG5が設けられる。また、可動部BD5には、一対のリニアガイドLG5に沿ってそれぞれスライドする一対のスライダSD5が設けられる。なお、ロータ部510には貫通孔510hが設けられる。これにより、第1アーム11(図1参照)からのケーブル等を本体部15の内部へ案内することができる。
【0110】
また、本体部15には、図8Aに示した昇降軸A0に沿って延伸するボールネジBS5が設けられており、ボールネジBS5の回転に伴って可動部BD5は昇降する。また、ボールネジBS5は、プーリP5を備えており、回転式モータM5の駆動力がベルトB5を介してプーリP5に伝達されることで、ボールネジBS5は回転する。
【0111】
このように、回転式モータM5の回転向きを変えることで、可動部BD5を昇降させることができる。つまり、昇降部16を昇降させることができる。また、昇降部16は、一対のリニアガイドLG5でガイドされるので、精度良く昇降することができる。
【0112】
次に、変形例に係る第2アーム12Aについて図9を用いて説明する。図9は、変形例に係る第2アーム12Aを示す斜視図である。なお、図9は、第2アーム12Aを斜め下方からみた斜視図に相当する。また、図9には、図1において第1アーム11に設けられていたビルトインモータ150を、第2アーム12Aに設ける場合を示している。なお、ビルトインモータ150の詳細については既に説明したので適宜、説明を省略する。
【0113】
図9に示すように、ビルトインモータ150は、第2軸A2側の端部に設けられる。第2アーム12Aは、ステータ保持部12hを備え、ステータ部100を保持する。また、ビルトインモータ150の取付向きは、図1に示した場合とは上下逆向きである。ロータ部110の回転とともに回転する取付部113は、第1アーム11(図1参照)の上面側に固定される。これにより、ビルトインモータ150が回転すると、第2アーム12Aは、第2軸A2まわりに第1アーム11に対して旋回する。
【0114】
なお、ビルトインモータ150を設けた第2アーム12Aの下面側は、図4に示した最大厚みにあわせて平坦とすることができる。これに伴い、ビルトインモータ150を省略した第1アーム11の上面側は、最小厚みにあわせて平坦とすることができる。なお、図7Aに示した回転抑制部300は、第1アーム11に設けることができる。
【0115】
なお、図9には、図1に示したビルトインモータ150の代わりに、ビルトインモータ150を第2アーム12Aに設けた場合を例示したが、たとえば、図8Aに示したビルトインモータ550の代わりに、第1アーム11の基端部に図9と同様の向きでビルトインモータ150を設けることとしてもよい。
【0116】
次に、搬送ロボット10と、搬送ロボット10の動作制御を行う制御装置20とを含んだロボットシステム1について図10を用いて説明する。図10は、ロボットシステム1のブロック図である。なお、搬送ロボット10の構成等については既に説明したので、以下では、制御装置20の構成について主に説明することとする。なお、図10では、制御装置20に接続されるいわゆるペンダント等の入力用端末装置を省略している。
【0117】
図10に示すように、制御装置20は、制御部21と、記憶部22とを備える。制御部21は、動作制御部21aと、動作抑制部21bとを備える。また、記憶部22は、教示データ22aを記憶する。なお、制御装置20は、搬送ロボット10に接続される。
【0118】
ここで、制御装置20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0119】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部21の動作制御部21aおよび動作抑制部21bとして機能する。
【0120】
また、制御部21の動作制御部21aおよび動作抑制部21bの少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0121】
また、記憶部22は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、教示データ22aを記憶することができる。なお、制御装置20は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0122】
制御装置20の制御部21は、教示データ22aに基づいて搬送ロボット10の動作制御を行う。また、搬送ロボット10の動作にエラーが発生した場合などに搬送ロボット10の動作を抑制する処理を行う。
【0123】
動作制御部21aは、教示データ22aに基づいて搬送ロボット10の動作制御を行う。具体的には、動作制御部21aは、記憶部22に記憶された教示データ22aに基づいて搬送ロボット10における各軸に対応するモータに指示することで、搬送ロボット10に基板等の被搬送物の搬送を行わせる。また、動作制御部21aは、モータにおけるエンコーダ値を用いてフィードバック制御を行うなどして搬送ロボット10の動作精度を向上させる。
【0124】
動作抑制部21bは、動作制御部21aから搬送ロボット10の動作状況を取得し、搬送ロボット10の動作にエラーが生じた場合などに、搬送ロボット10の動作を停止するなどの動作抑制処理を実行する。たとえば、動作抑制部21bは、図7A等に示した回転抑制部300への通電を停止することで、搬送ロボット10における関節の動きにブレーキをかける。
【0125】
これにより、外力などによって搬送ロボット10のアーム等がずれる事態を防止することができる。なお、回転抑制部300は、制御装置20からの指示がない場合であっても、搬送ロボット10への通電が停止されれば、回転抑制動作を実行する。
【0126】
教示データ22aは、搬送ロボット10へ動作を教示するティーチング段階で生成され、ハンド13(図1参照)の移動軌跡をはじめとする搬送ロボット10の動作を規定するプログラムである「ジョブ」を含んだ情報である。なお、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータで生成された教示データ22aを記憶部22に記憶させることとしてもよい。
【0127】
上述してきたように、本実施形態に係る搬送ロボット10は、被搬送物を保持可能なハンド13を移動させる水平リンク式の複数のアーム11,12を備える。複数のアーム11,12の少なくとも1つは、自アームまたは他のアームを直接的に旋回させるアーム一体型のビルトインモータ150を備える。このように、アーム一体型のビルトインモータ150を用いることで、アーム11,12の小型化を図ることができる。
【0128】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 ロボットシステム
10 搬送ロボット
11 第1アーム
11g 開口
11h ステータ保持部
11uc カバー
12 第2アーム
12h ステータ保持部
13 ハンド
13a 基部
13b フォーク部
13ba 上面
13bb 摩擦部
13bc 先端部
15 本体部
15h ステータ保持部
16 昇降部
20 制御装置
21 制御部
21a 動作制御部
21b 動作抑制部
22 記憶部
22a 教示データ
100 ステータ部
100a モータコア
100b モータ巻線
100c 巻線ケーブル
110 ロータ部
111 軸部
112 マグネット
113 取付部
120 ベース部
120h 貫通孔
121 エンコーダ部
121c エンコーダケーブル
121e 処理基板
122 軸部
122a ベアリング押さえ部
123 回転部
150 ビルトインモータ
300 回転抑制部
550 ビルトインモータ
A0 昇降軸
A1 第1軸
A2 第2軸
A3 第3軸
B1 ベルト
B2 ベルト
B3 摩擦バンド
b1 第1ベアリング
b2 第2ベアリング
bs スペーサ
M1 回転式モータ
M2 回転式モータ
M3 直動式アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10