(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】汚物流し
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20230704BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20230704BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/00 Z
E03D9/00 Z
(21)【出願番号】P 2022086624
(22)【出願日】2022-05-27
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513322419
【氏名又は名称】株式会社モレーンコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】草場 恒樹
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121328(JP,A)
【文献】特開2022-011026(JP,A)
【文献】特開2010-088472(JP,A)
【文献】特開2020-079523(JP,A)
【文献】特開平05-269053(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112107244(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00- 9/16
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
A61G 9/00
A61G 12/000
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水によってシンクの内部の汚物を洗い流す汚物流しにおいて、
前記シンクの上部を覆うように配置される開閉蓋と、
該開閉蓋を開閉させる蓋制御機構と、
前記洗浄水の前記シンクへの吐出を制御する吐出水制御機構と、
前記蓋制御機構と該吐出水制御機構とに接続された制御装置と、
を備え、
該制御装置は、前記蓋制御機構により前記開閉蓋で前記シンクを閉状態とした後に、前記吐出水制御機構により前記洗浄水を該シンクに吐出させ、所定時間後に、該蓋制御機構により該開閉蓋を該シンクの上部から移動させ該シンクを開状態とし、更に、
前記シンクに上水を放出可能とする水栓を前記開閉蓋の上方に備え、更に、
前記水栓からの前記上水の放出を制御する電磁弁を備え、
前記制御装置は、前記開閉蓋で前記シンクを閉状態としている間は、前記電磁弁を閉状態とすることで前記水栓からの前記上水の放出を禁止させることを特徴とする汚物流し。
【請求項2】
請求項1において、
前記開閉蓋は、前記蓋制御機構に回動可能に支持される奥側蓋と、該奥側蓋の先端部に回動可能に支持される手前側蓋と、を備えることを特徴とする汚物流し。
【請求項3】
請求項
1において、更に、
平面視において、前記シンクは円形であり、前記水栓の放出口は該シンクのほぼ中心に配置されていることを特徴とする汚物流し。
【請求項4】
請求項
1において、更に、
前記水栓の近傍に設けられた非接触センサを備え、
該非接触センサからの信号により、前記開閉蓋で前記シンクを開状態としている間は、前記電磁弁の開閉が制御されることを特徴とする汚物流し。
【請求項5】
請求項1において、
前記シンクの排水口は、該シンクの手前側に偏って設けられており、
該排水口の中心を通る該シンクの奥行方向の断面において、手前側シンク上端部から該排水口までの手前側傾斜線と奥行側シンク上端部から該排水口までの奥側傾斜線とはほぼ直線であり、かつ該手前側傾斜線が該奥側傾斜線よりも傾斜が急峻であることを特徴とする汚物流し。
【請求項6】
請求項1において、更に、
前記洗浄水を貯留する給水タンクを備え、
前記吐出水制御機構により、該給水タンクから所定の量の該洗浄水を放出させることを特徴とする汚物流し。
【請求項7】
請求項1において、更に、
前記シンクを支持する架台の前面下端にフットスイッチが設けられ、
前記制御装置は、該フットスイッチからの信号により前記蓋制御機構の動作を開始させることを特徴とする汚物流し。
【請求項8】
請求項1において、更に、
前記開閉蓋は取り換え可能とされていることを特徴とする汚物流し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物流しに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚物流しは、主に病院等の施設において、シンクに投入した汚物などをそのまま洗い流したりするとともに、汚れたおむつや、おまるや、しびんの洗浄などをしたりするのにも使用されている。しかしながら、汚物流しのシンクに汚物を投入し洗浄水で洗い流す際に、その汚物の飛散や水跳ねにより汚物流しの利用者に大きな衛生上の負担がかかる状態となっていた。
【0003】
そこで、特許文献1に示すような汚物流しが提案されている。この汚物流しは、シンクの上面に蓋を配置し、その蓋の上面に設けた把手で蓋を開閉する仕組みとなっている。このため、この把手で蓋を移動させてシンクを閉状態にして洗浄水を流すことで、シンクの外側への汚物の飛散や水跳ねを防止することができ、汚物流しの利用者への衛生上の負荷を低減できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、COVID-19の大流行により、汚物の洗浄中に、COVID-19のようなウイルスの含まれたエアロゾルが発生し、ある程度の時間、空気中に漂うことが報告されている。つまり、特許文献1に示すような汚物流しでは、COVID-19のようなウイルスの含まれたエアロゾルが大量に発生・存在する段階に、蓋を開状態としてしまうおそれがあり、結果的に利用者に対してエアロゾル感染を促進してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、扱いが容易でありながら、シンクの外側への汚物の飛散や水跳ねを防止し、安定してエアロゾル感染の可能性を低減可能な汚物流しを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、洗浄水によってシンクの内部の汚物を洗い流す汚物流しにおいて、前記シンクの上部を覆うように配置される開閉蓋と、該開閉蓋を開閉させる蓋制御機構と、前記洗浄水の前記シンクへの吐出を制御する吐出水制御機構と、前記蓋制御機構と該吐出水制御機構とに接続された制御装置と、を備え、該制御装置が、前記蓋制御機構により前記開閉蓋で前記シンクを閉状態とした後に、前記吐出水制御機構により前記洗浄水を該シンクに吐出させ、所定時間後に、該蓋制御機構により該開閉蓋を該シンクの上部から移動させ該シンクを開状態とし、更に、前記シンクに上水を放出可能とする水栓を前記開閉蓋の上方に備え、更に、前記水栓からの前記上水の放出を制御する電磁弁を備え、 前記制御装置が、前記開閉蓋で前記シンクを閉状態としている間は、前記電磁弁を閉状態とすることで前記水栓からの前記上水の放出を禁止させたことにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
本発明では、制御装置が、開閉蓋でシンクを閉状態とした後に、洗浄水をシンクに吐出させ、所定時間後に、開閉蓋をシンクの上部から移動させシンクを開状態とする。このため、汚物を洗い流すための洗浄水が吐出された際には、開閉蓋が閉じているので、シンクの外側へ汚物の飛散や水跳ねが生じるおそれがない。また、洗浄水をシンクに吐出させた所定時間後に、開閉蓋をシンクの上部から移動させるので、その所定時間の間は開閉蓋でシンクの内部で発生したエアロゾルの拡散が防止され、かつエアロゾルの量を低減できる。さらに、制御装置が開閉蓋の開閉状態と汚物の洗い流しを制御するので、いちいち手作業で蓋の開け閉め及び洗い流しを行うよりも手間を省くことが可能となる。加えて、制御装置はシンクを開状態とするので、汚物流しの利用者は、汚物流しを操作するまで近づかなくても汚物流しが利用可能かどうかを判断できるので、効率的に汚物流しを利用できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、扱いが容易でありながら、シンクの外側への汚物の飛散や水跳ねを防止し、安定してエアロゾル感染の可能性を低減可能な汚物流しを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る汚物流しを示す模式図(正面図(A)、側面図(B))
【
図2】
図1の汚物流しの上面図(外観図(A)、収納凹部の位置から見た外観図(B))
【
図3】
図1の汚物流しの給水タンクおよび吐出水制御機構の概略図(正面の断面図(A)、側面図(B))
【
図6】
図1の開閉扉の開閉する様子を示す断面図(開閉扉が収納凹部に収納された図(A)、開閉扉が途中まで開いた図(B)、開閉扉が完全に開き、シンクが閉状態となった図(C))
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態について、
図1から
図6を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0012】
汚物流し100は、上水道に取り付けられる取水口Twを流れる上水を2つに分岐して、一方の上水を水栓116からシンク106に放出可能とし、もう一方の上水を給水タンク112に洗浄水Wtとして貯留して、洗浄水Wtによってシンク106の内部の汚物を洗い流すことを可能としている。汚物流し100は、
図1(A)、(B)に示す如く、本体部102と、本体部102の上部に一体的に設けられたバックパネル部104と、を備える。
【0013】
本体部102は、シンク106と、シンク106を支持する架台108と、フットスイッチ110と、シンク106の上部を覆うように配置される開閉蓋120と、開閉蓋120を開閉させる蓋制御機構122と、制御装置124と、を備える。なお、符号108Eは、本体部102の側面に設けられたビス止めされた点検用パネルである(本実施形態では、左側面だけでなく、右側面にも設けられている)。
【0014】
バックパネル部104は、給水タンク112と、洗浄水Wtのシンク106への吐出を制御する吐出水制御機構114と、水栓116と、を備える。バックパネル部104の上部は傾斜面となっている。このため、バックパネル部104は、ほこりやごみが積もりにくい形態となっており、仮にほこりが積もれば容易に分かり、かつ取り外しもでき拭き取りやすくなっている。なお、符号104A、104Bはそれぞれ、バックパネル部104の側面に設けられたビス止めされた点検用パネルである。
【0015】
ここで、制御装置124は、蓋制御機構122と吐出水制御機構114とに接続されている。そして、制御装置124は、蓋制御機構122により開閉蓋120でシンク106を閉状態とした後に、吐出水制御機構114により洗浄水Wtをシンク106に吐出させる。更に、制御装置124は、所定時間後に、蓋制御機構122により開閉蓋120をシンク106の上部から移動させシンク106を開状態とする。
【0016】
なお、汚物流し100は、ほとんどがステンレス製である。このため、汚物流し100は、さびにくく、汚れにくく清潔性を保ちやすく、かつ陶器のように割れてしまうといったことが防止され、破損しがたく耐久性に優れている(これに限らず、汚物流しがステンレスでなく別の金属で構成されていてもよいし、一部の構成要素のみ陶器やプラスチック材で成形されていてもよい)。
【0017】
以下、各要素を詳細に説明する。
【0018】
前記シンク106は、
図1(A)、(B)に示す如く、漏斗形状であり、
図2(A)に示すように平面視において、円形である。しかし、シンク106の漏斗形状の下端に設けられた排水口106Cは、
図2(A)に示す如く、シンク106の手前側に偏って設けられている。そして、排水口106Cの中心Pを通るシンク106の奥行方向の断面において、
図1(B)に示す如く、手前側シンク上端部から排水口106Cまでの手前側傾斜線106Aと奥行側シンク上端部から排水口106Cまでの奥側傾斜線106Bとはほぼ直線である。更に、手前側傾斜線106Aは、奥側傾斜線106Bよりも傾斜が急峻とされている。このため、シンク106には、従来の陶器製の汚物流しとは異なり、必要最小限の水を貯留する構成となっている。
【0019】
シンク106の漏斗形状の上端内側には、
図1(A)、(B)に示す如く、リング配管(リムとも称される)106Dが設けられ、その上面がシンク上面106Eと一体的に形成されている。リング配管106Dは、後述する配管Tb3に接続されている。リング配管106Dの下面には、等間隔に50個以上(例えば80個)の図示せぬ吐水孔(例えば、直径数mmの孔)が設けられている。このため、配管Tb3を流れる洗浄水Wtは、リング配管106Dの吐水孔を通って、シンク106の内側表面を偏りなく洗い流すようにされている。シンク上面106Eは平面とされており、後述する開閉蓋120に設けられたローラ120Cの転動面ともなっている。シンク上面106Eの最外周には凸状とされたガイド枠106Fが設けられている。ガイド枠106Fは、シンク上面106Eに付く水滴がシンク106の外部に拡がることを防止し、かつローラ120Cの転動する際のガイドとしても機能する。開閉蓋120が完全に展開してシンク106を覆った際には、ガイド枠106Fの上端と開閉蓋120の表面とは、ほぼ同一の高さとなるようにされている。
【0020】
前記架台108は、
図1(A)、(B)に示す如く、シンク106を支持する。また、架台108は、フットスイッチ110と、蓋制御機構122と、制御装置124と、を支持している。架台108の前面中段には、点検扉108Aが設けられている。点検扉108Aの下端の内側には、図示せぬフックが設けてある。また、点検扉108Aの上端には、
図1(A)に示す如く、汚物流し100の利用者の押圧で点検扉108Aの着脱を可能とする留め具108AAが設けられている。これにより、ワンタッチで点検扉108Aを架台108から完全に取り外すことができるので、点検する際に点検扉108Aを邪魔にならない場所に置いておくことが可能である。同時に、点検扉108Aの内側にあるトラップTpと、制御装置124と、上水道に接続される取水口Twに接続される配管Tb2と、電磁弁116Fなどを簡単に点検することが可能である(
図1(A)では、わかりやすいようにバックパネル部104の内部に取水口Twと電磁弁116Fとが存在するように記載されている。しかし、実際には、取水口Twと電磁弁116Fとは、架台108の内部であって点検扉108Aの内側に配置されている)。
【0021】
架台108の前面上段には、
図1(A)に示す如く、開閉スイッチ108Bと、エラーランプ108Cと、電源ランプ108Dと、が設けられている。開閉スイッチ108Bは、制御装置124に接続され、開閉スイッチ108Bに設けられた把持部を回動させることで、アナログ的に開閉蓋120の開閉状態を変えることが可能とされている。通常は、開閉蓋120は、フットスイッチ110の出力をトリガーにして自動的に開閉するようになっているが、開閉スイッチ108Bは、手動で開閉蓋120を開閉するときに使用する。また、開閉スイッチ108Bは、開閉蓋120を着脱する際に開閉蓋120の開閉状態を調整するのにも使用する。エラーランプ108Cは、制御装置124による一連の動作が正常でないときに点灯する仕組みとなっている。例えば、エラーランプ108Cは、開閉蓋120の自動開閉ができなかったり、開閉蓋120が閉じても洗浄水Wtが流れなかったり、逆に洗浄水Wtが流れ続けたりした場合などに点灯するようになっている。つまり、エラーランプ108Cは、開閉蓋120、蓋制御機構122、吐出水制御機構114などにトラブルが生じた際に点灯するようになっている。電源ランプ108Dは、制御装置124に設けられた漏電ブレーカ124Dが落ちていなければ点灯する仕組みとなっている。
【0022】
なお、
図1(B)に示す点検用パネル108Eを外すことでも、トラップTpと、制御装置124と、取水口Twに接続される配管Tb2と、電磁弁116Fなどを簡単に点検等することが可能である。なお、
図1(B)に示すトラップTpの先は、下水道に接続されている。トラップTpは、下水の臭いの逆流を防止するとともにサイフォン現象を引き起こすような形状とされている。
【0023】
前記フットスイッチ110は、
図1(A)に示す如く、架台108の前面下端に設けられ、汚物流し100の利用者が手を使わずに足先で押圧することが可能とされている。フットスイッチ110の出力は、制御装置124に接続されており、フットスイッチ110が汚物流し100の動作のトリガーとなっている。即ち、フットスイッチ110を押圧するたびに、開閉蓋120がシンク106を覆う動作を開始する。
【0024】
前記給水タンク112は、
図1(A)、(B)に示す如く、本体部102の上のバックパネル部104の内部に配置されている。給水タンク112は、シンク106にほぼ一度に流す量となる所定の量の洗浄水Wtを貯留する。そして、給水タンク112は、吐出水制御機構114により、給水タンク112から所定の量の洗浄水Wtを一度に放出させる構成となっている。具体的に、給水タンク112は、
図3(A)、(B)に示す如く、タンク本体部112Aと、ボールタップ112Bと、ロッド112Cと、浮き球112Dと、オーバーフロー管112Eと、フロートバルブ112Fと、鎖112Gと、レバーシャフト112Hと、を備える。
【0025】
タンク本体部112Aは、
図3(A)に示す如く、上水を洗浄水Wtとして貯留する。なお、タンク本体部112Aは、基本、シンク106に投入された汚物を残らず洗い流す量を所定の量(例えば、約8L)として貯留する。ボールタップ112Bは、洗浄水Wtを所定の量に調整するための部材である。ボールタップ112Bは、浮き球112Dに取り付けられたロッド112Cの角度により、上水を吐出する図示せぬ吐出口の開閉状況を制御する。オーバーフロー管112Eは、所定の量を超えた洗浄水Wtを配管Tb3に流すための部材である。このため、オーバーフロー管112Eは、ボールタップ112Bの不具合などによって、タンク本体部112Aに貯留する洗浄水Wtの量を超えてしまった際に、タンク本体部112Aから洗浄水Wtがあふれ出ることを防止している。フロートバルブ112Fは、例えば、オーバーフロー管112Eの根元に設けた連絡孔を塞ぐ可動式の半球形状のゴム製カップであり、鎖112Gの下端に繋がれている。鎖112Gが巻上げられることでフロートバルブ112Fが開き、連絡孔を洗浄水Wtが通過して洗浄水Wtが配管Tb3に流れ込むこととなる。鎖112Gの上端は、レバーシャフト112Hに繋がっており、レバーシャフト112Hが回転することで、鎖112Gが巻上げられる構成となっている。
【0026】
前記吐出水制御機構114は、
図1(A)、(B)に示す如く、給水タンク112の左側に取り付けられ、給水タンク112の洗浄水Wtのシンク106への吐出を制御する。具体的には、吐出水制御機構114は、
図3(A)、(B)に示す如く、直動駆動部114Aと、直動シャフト114Bと、レバー114Cと、リミットスイッチ114D、114Eと、を備える。直動駆動部114Aは、電動モータと減速機構とを備え、直動シャフト114Bの先端をZ方向に直線移動可能としている。本実施形態では、直動駆動部114Aと直動シャフト114Bとして、自動車用のドアロックに汎用的に使用される、いわゆるロックモーターを使用している。このため、吐出水制御機構114の低コスト化が促進されている。
【0027】
レバー114Cは、
図3(A)に示す如く、タンク本体部112Aの外側に回動可能に支持されたレバーシャフト112Hに取り付けられている。レバー114Cには、長孔114CAが設けられており、その長孔114CAと直動シャフト114Bの先端とがピンPnによって連結している。ピンPnは、長孔114CAの内側で移動可能な大きさとなっている。このため、レバー114Cは、直動シャフト114BがZ方向に上下する運動でスムーズに回転する構成となっている。リミットスイッチ114D、114Eは、機械式のリミットスイッチであり、実際にレバー114Cの回転する範囲を制限する形で配置される。つまり、
図3(B)に示す如く、リミットスイッチ114D、114Eは、レバー114Cの回転する角度範囲を制限する形で、タンク本体部112Aの側面に配置されている。なお、バックパネル部104の点検用パネル104Aが、吐出水制御機構114の丁度真横にあるため、点検用パネル104Aを取り外すことで、容易に吐出水制御機構114の点検と修理等が可能となっている。
【0028】
前記水栓116は、
図1(A)、(B)に示す如く、バックパネル部104の開閉蓋120の上方に備えられ、シンク106に上水を放出可能としている。水栓116は、配管Tb1に接続される蛇口本体部116Aと、蛇口本体部116Aでの上水の遮断量を制御するためのレバー116Bと、蛇口本体部116Aに回動可能に支持される蛇口スパウト116Cと、蛇口スパウト116Cの先端に取り付けられる蛇口キャップ116Dと、を備えている。蛇口キャップ116Dのほぼ中央下面に放出口が設けられている。つまり、
図2(A)に示す如く、平面視において、水栓116の放出口はシンク106のほぼ中心Oに配置されている。なお、蛇口スパウト116Cの回動は左右70度程度まで可能であり、左右60度程度までは蛇口キャップ116Dからの上水はシンク106で受けるようになっている。
【0029】
水栓116の近傍には、
図1(A)に示す如く、非接触センサ116Eが備えられている(本実施形態では、非接触センサ116Eは、水栓116と同じ高さであって水栓116の左隣に設けられている)。このため、水栓116を操作しようと手を水栓116に近づけることで、非接触センサ116Eが反応する。非接触センサ116Eは、例えば、反射型の光電センサであり、その出力は制御装置124に接続されている。非接触センサ116Eからの信号により、開閉蓋120でシンク106を開状態としている間は、電磁弁116Fの開閉が制御される。電磁弁116Fは、制御装置124に接続され、水栓116の接続された配管Tb1に流れる上水の流れをオン/オフする。つまり、電磁弁116Fは、水栓116からの上水の放出を制御することができる。このため、電磁弁116Fで上水が遮断された場合には、レバー116Bを動かしても上水は放出されない状態となる。逆に、電磁弁116Fで上水が遮断されていない場合には、レバー116Bを動かすことで、上水の放出量を連続的に制御することができる。
【0030】
収納凹部118は、
図1(B)に示す如く、バックパネル部104の水栓116が配置された下側に設けられた凹部である。基本的には、折り畳まれた開閉蓋120を全て収納することができる大きさとなっている。
【0031】
前記開閉蓋120は、
図2(B)に示す如く、シンク106を覆うように配置される。具体的に、開閉蓋120は、蓋制御機構122に回動可能に支持される奥側蓋120Bと、奥側蓋120Bの先端部に回動可能に支持される手前側蓋120Aと、を備える。
図6(A)~(C)に示す如く、奥側蓋120Bと手前側蓋120Aとは、ピンで連結されている。また、手前側蓋120Aの下端には、樹脂製のローラ120Cが転動可能に設けられている。このため、
図6(A)~(C)に示す如く、蓋制御機構122によって奥側蓋120Bが回転して傾斜角が小さくなるにつれ、ローラ120Cがシンク上面106Eで転動し、手前側蓋120Aの傾斜角も小さくなり、シンク106を覆うこととなる。奥側蓋120Bの上面には、取付部120Dが取り付けられている。後述する蓋保持部122Fの係合部122FBを取付部120Dで覆うように配置させ、取付部120Dを
図2(B)で示す際のY方向にスライドさせることで、開閉蓋120と蓋制御機構122とが脱着可能となっている。即ち、開閉蓋120は、容易に取り換え可能となっている。
【0032】
前記蓋制御機構122は、
図1(A)、(B)に示す如く、開閉蓋120を開閉させる機構である。具体的に、蓋制御機構122は、
図6(A)~(C)に示す如く、制御モータ122Aと、回転ギヤ122Bと、駆動シャフト122Cと、駆動ギヤ122Dと、シャフト支持部122E(図示せず)と、蓋保持部122Fと、を備える。制御モータ122Aは、制御装置124に接続され、架台108に固定されている。制御モータ122Aは、内蔵する電動モータの回転数を数十分の1(例えば1/75)に減速する減速機構を備えている。回転ギヤ122Bは、樹脂製のピニオンギヤであり、制御モータ122Aの出力軸に取り付けられ、駆動シャフト122Cに一体的に取り付けられた駆動ギヤ122Dと噛合う。駆動ギヤ122Dは、円形の平歯車をほぼ1/4に成形した樹脂製の扇形歯車であり、制御モータ122Aの回転数をさらに1/2に減速する。このため、開閉蓋120の折り畳まれた状態から展開した状態になるまでの時間は数秒程度とされている。
【0033】
駆動シャフト122Cは、
図2(B)に示す如く、収納凹部118で露出しており、2つのシャフト支持部122Eにより回動可能に収納凹部118に支持されている。駆動シャフト122Cには、
図2(B)に示す如く、シャフト支持部122Eに隣接して蓋保持部122Fが取り付けてある。蓋保持部122Fは、駆動シャフト122Cに取り付けられるシャフト固定部122FAと、シャフト固定部122FAに一体的に設けられた係合部122FBと、を備える。上述したように、係合部122FBは、取付部120Dと脱着が可能とされている。リミットスイッチ122G、122Hは、リミットスイッチ114D、114Eと同様に、機械式のリミットスイッチであり、実際に駆動ギヤ122Dの回転する範囲を制限する形で配置される。つまり、
図6(A)~(C)に示す如く、リミットスイッチ122G、122Hは、駆動ギヤ122Dの回転する角度範囲を制限する形で駆動ギヤ122Dの脇に配置される。このため、リミットスイッチ122G、122Hは、
図2(A)で示す本体部102の左側にあるガイド枠106Fの幅Wの内側に、駆動ギヤ122Dと共に収納されている。なお、バックパネル部104の点検用パネル104Bが、蓋制御機構122の部分にあるため、点検用パネル104Bを取り外すことで、容易に蓋制御機構122の点検と修理等が可能となっている。
【0034】
前記制御装置124は、
図1(A)、(B)、
図4に示す如く、架台108の内側に配置され、吐出水制御機構114と、非接触センサ116Eと、電磁弁116Fと、蓋制御機構122と、フットスイッチ110と、に接続されている(なお、
図4において、破線が上水、洗浄水Wt、および下水の流路を示しており、実線が電気および物理的な接続を示している)。制御装置124は、処理部124Aと、時間計測部124Bと、記憶部124Cと、を備える。処理部124Aは、記憶部124Cに記憶されたプログラムを実行したり、記憶部124Cに新たなデータを記憶させたりする。また、処理部124Aは、各種入力信号を処理し、吐出水制御機構114と、電磁弁116Fと、蓋制御機構122と、を制御する。時間計測部124Bは、例えば、吐出水制御機構114により洗浄水Wtをシンク106に吐出させた時点から、蓋制御機構122を駆動させるまでの所定時間を生成している。この所定時間は、開閉蓋120で、シンク106を完全に覆っている時間であり、シンク106を流れる洗浄水Wtで発生するエアロゾルが少なくなるまでの時間(本実施形態では、例えば10秒から30秒であるが、プログラムにより変更することが可能である)としている。記憶部124Cは、各種初期値と、各種更新データと、各種プログラムと、を記憶している。
【0035】
このため、例えば、制御装置124は、蓋制御機構122により開閉蓋120でシンク106を閉状態とした後に、吐出水制御機構114により洗浄水Wtをシンク106に吐出させ、所定時間後に、蓋制御機構122により開閉蓋120をシンク106の上部から移動させシンク106を開状態とすることができる。また、制御装置124は、開閉蓋120でシンク106を閉状態としている間は、電磁弁116Fを閉状態とすることで水栓116からの上水の放出を禁止させることができる。また、制御装置124は、フットスイッチ110からの信号により蓋制御機構122の動作を開始させることができる。なお、
図1(A)の符号124Dは漏電ブレーカであり、漏電ブレーカ124Dが落ちていなければ電源ランプ108Dが点灯する。また、
図1(A)の符号124Eは洗浄スイッチであり、洗浄スイッチ124Eを操作することで強制的に吐出水制御機構114を駆動させ、給水タンク112の洗浄水Wtがシンク106に流れ込むようになっている。
【0036】
次に、汚物流し100の動作手順を、主に
図5、
図6(A)~(C)を用いて説明する。
【0037】
まず、汚物流し100の電源ランプ108Dが点灯し、エラーランプ108Cが点灯していないことを確認する。そして、開閉蓋120が収納凹部118に格納されシンク106が開状態であることを確認する(
図6(A)の状態)。確認したら、汚物をシンク106に投入する(
図5、ステップS2)。
【0038】
次に、足先でフットスイッチ110を押圧する(
図5、ステップS4)。
【0039】
すると、制御装置124からの信号により、蓋制御機構122が駆動され、
図6(B)、
図6(C)に示すように、開閉蓋120が展開し、シンク106を完全に覆う。同時に、制御装置124からの信号により、電磁弁116Fが閉鎖して上水の流れを遮断する(
図5、ステップS6)。
【0040】
次に、開閉蓋120がシンク106を完全に覆った状態で、制御装置124からの信号により、吐出水制御機構114が駆動され、給水タンク112の洗浄水Wtが配管Tb3介してシンク106の中の汚物を洗い流す(
図5、ステップS8)。
【0041】
次に、所定時間、開閉蓋120を展開させてシンク106を完全に覆った状態を維持する(
図5、ステップS10)。
【0042】
そして、開閉蓋120を収納凹部118に収納し(
図6(C)~(A)の順番で、開閉蓋120が移動する)、シンク106を開状態とする。そして、シンク106が完全に開状態となった段階で、非接触センサ116Eの出力により電磁弁116Fの動作を可能とする(
図5、ステップS12)。
【0043】
このように、本実施形態では、制御装置124が、開閉蓋120でシンク106を閉状態とした後に、洗浄水Wtをシンク106に吐出させ、所定時間後に、開閉蓋120をシンク106の上部から移動させシンク106を開状態とする。このため、汚物を洗い流すための洗浄水Wtが吐出された際には、開閉蓋120が閉じているので、シンク106の外側へ汚物の飛散や水跳ねが生じるおそれがない。また、洗浄水Wtをシンク106に吐出させた所定時間後に、開閉蓋120をシンク106の上部から移動させるので、その所定時間の間は開閉蓋120でシンク106の内部で発生したエアロゾルの拡散が防止され、かつエアロゾルの量を低減することが可能である。さらに、制御装置124が開閉蓋120の開閉状態と汚物の洗い流しを制御するので、いちいち手作業で開閉蓋120の開け閉め及び洗い流しを行うよりも手間を省くことが可能である。加えて、制御装置124は、シンク106を開状態とする。このため、汚物流し100の利用者は、汚物流し100を操作させるまで近づかなくても汚物流し100が利用可能かどうかを判断できるので、効率的に汚物流し100を利用できる。
【0044】
また、本実施形態では、開閉蓋120は、奥側蓋120Bと、手前側蓋120Aと、を備える。即ち、開閉蓋120は、2つに折り畳まれた状態で収納凹部118に収納されるので、開閉蓋120が1枚で構成されるよりも収納凹部118のXZ平面での広がりを少なくでき、シンク106からの水栓116までの距離を短くすることが可能である。つまり、水栓116から上水の放出がなされても水跳ねの高さを低く抑えることができるので、シンク106からの水跳ねなどを低減することができる。同時に、開閉蓋120が折り畳まれるので、シンク106が広くても確実にシンク106を開閉蓋120で覆うことが可能である。更に、洗浄水Wtが流れる際にシンク106に面するのは、開閉蓋120の裏側であり、仮に洗浄水Wtで開閉蓋120の裏側に水が跳ねてしまっても、その水跳ねを汚物流し100の利用者が直接に接触してしまうことを防止することが可能である。加えて、手前側蓋120Aの下端にローラ120Cが設けてあることで、簡易的な構成でありながら、開閉蓋120の安定した開閉動作が確保されている。なお、開閉蓋は、2つ折り畳まれた状態となる必要はなく、1つで構成されていてもよいし、3つ以上の部材で構成されていてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、更に、水栓116を開閉蓋120の上方に備える。このため、汚物を投入しても自動で洗い流しを行う必要がない場合や、汚物の洗い流しが目的ではなく、単に手や腕などを洗うといった場合等の、手軽で汎用的に汚物流し100を利用することが可能である。なお、これに限らず、水栓を備えなくてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、更に、平面視において、シンク106は円形であり、水栓116の放出口はシンク106のほぼ中心Oに配置されている。シンク106は円形なので、シンク106の特定の個所に、応力がかかり破損しやすくなったり、汚れがたまりやすくなったりすることを防止可能である。同時に、水栓116の放出口はシンク106のほぼ中心Oなので、水栓116から放出される上水がシンク106から跳ねてシンク106の外側に出てしまうことを低減することができる。なお、これに限らず、平面視において、シンクの形は楕円や多角形であってもよいし、水栓の放出口がシンクの中心Oから大きくずれていてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、更に、電磁弁116Fを備え、制御装置124は、開閉蓋120でシンク106を閉状態としている間は、電磁弁116Fを閉状態とすることで水栓116からの上水の放出を禁止させる。このため、シンク106が使用できない状態においては、水栓116から上水が放出されることがないので、汚物流し100の周りを水栓116からの上水で水浸しにしてしまうことと、上水の無駄使いとを防止することが可能である。なお、これに限らず、水栓に電磁弁が備えられていなくてもよい。また、電磁弁が備えられていても必ずしも開閉蓋が閉じている間、水栓からの上水の放出が禁止されなくてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、更に、非接触センサ116Eを備え、非接触センサ116Eからの信号により、開閉蓋120でシンク106を開状態としている間は、電磁弁116Fの開閉が制御される。このため、まず汚物流し100の利用者は、電磁弁116Fの制御をするのに汚物流し100に触れなくてもよいので、手がふさがったままでかつ水栓116を不用意に汚すことなく、水栓116からの上水の放出の制御を行うことが可能である。特に、本実施形態では、非接触センサ116Eが、水栓116との同じ高さに配置されているので、利用者が目視しやすい状態となっている。同時に、電磁弁116Fの制御は、開閉蓋120でシンク106を開状態としている間なので、電磁弁116Fを不用意に操作して、開閉蓋120により閉状態のシンク106に上水を放出させてしまうことを回避することが可能である。なお、これに限らず、水栓の近傍に非接触センサを備えなくてもよいし、非接触センサからの信号により、開閉蓋でシンクを開状態としている間、電磁弁の開閉が制御されなくてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、排水口106Cは、シンク106の手前側に偏って設けられており、手前側傾斜線106Aと奥側傾斜線106Bとはほぼ直線であり、かつ手前側傾斜線106Aが奥側傾斜線106Bよりも傾斜が急峻である。このため、汚物を洗い流した後に留まる留水の量を最小限とすることが可能である。ここで、水栓116の放出口はシンク106のほぼ中心Oである(よって、排水芯が中心Oとずれている状態となる)。つまり、水栓116から放出される上水がシンク106に触れることなく直接留水に放出されることを低減している。このため、留水によって生じる可能性の高い水跳ねを防止することができる。同時に、奥側シンク面で水栓116からの上水が跳ねても、手前側シンク面に当たるが、手前側シンク面の傾斜角が急であることから、シンク106の外側への水跳ねを大幅に低減することが可能である。なお、これに限らず、排水口は、シンクの手前側に偏って設けられていなくてもよいし、手前側傾斜線と奥側傾斜線とがほぼ直線でなくてもよいし、さらに手前側傾斜線が奥側傾斜線よりも傾斜が急峻でなくてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、更に、給水タンク112を備え、吐出水制御機構114により、給水タンク112から所定の量の洗浄水Wtを放出させる。このため、所定の量の洗浄水Wtは、上水の供給が停止した直後でも使用することが可能である。なお、これに限らず、給水タンクを備えなくてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、更に、フットスイッチ110が設けられ、制御装置124は、フットスイッチ110からの信号により蓋制御機構122の動作を開始させる。このため、手がふさがった状態でも、利用者は足を用いることにより、特に苦労することなく蓋制御機構122の動作を開始することが可能である。なお、これに限らず、フットスイッチが設けられず、他に設けられたセンサからの信号で蓋制御機構の動作を開始させてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、開閉蓋120が取り換え可能である。このため、汚れや汚染物質などが付着して開閉蓋120が汚れたら取り外して洗浄することができるので、開閉蓋120の特に裏側と、開閉蓋120が取り付けられる周辺の部材とを清潔に保つことが可能である。また、開閉蓋120が破損したり、変形したりした際には、迅速に交換などを行うことも可能である。なお、これに限らず、開閉蓋が取り換え可能でなくてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、点検用パネル104A、104B、108Eが、汚物流し100の左側側面に設けられている。そして、点検用パネル104Aを外すと吐出水制御機構114を点検・交換・修理でき、点検用パネル104Bを外すと蓋制御機構122を点検・交換・修理でき、点検用パネル108Eを外すと電磁弁116FとトラップTpと制御装置124とを点検・交換・修理できる構成となっている。ここで、吐出水制御機構114、蓋制御機構122、電磁弁116F、トラップTp、及び制御装置124は、汚物流し100が正常に動作するための特に重要な機能を備えている。このため、汚物流し100に何らかの不具合が生じたり、定期的な点検・交換・修理を行ったりする際には、汚物流し100の左側側面に(一時的に、あるいは恒常的に)点検用パネル104A、104B、108Eを外せる作業可能なスペースを確保することで迅速な対応が可能である。即ち、点検用パネル104A、104B、108Eを汚物流し100の左側側面に設けたことで、汚物流し100を迅速に点検・交換・修理状態にでき、その状態から正常な動作状態に迅速に復帰させることが可能である。なお、これに限らず、1以上の点検用パネルが、汚物流しの右側側面に設けられていて、そこから、吐出水制御機構、蓋制御機構、電磁弁、トラップTp、及び制御装置が、点検・交換・修理が可能となっていてもよい。勿論、これらの点検用パネルがなくてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、開閉蓋120の開閉状態を開閉スイッチ108Bで調整し、シンク106の洗い流しを洗浄スイッチ124Eで行うことが可能とされている。このため、汚物流し100で不具合が生じて自動で正常動作しない際や、自動で正常動作してもその動作が不十分である際に、利用者がマニュアルで汚物流し100の動作をさせることが可能である。また、開閉蓋120の開閉状態を開閉スイッチ108Bで調整するので、開閉蓋120を脱着する際の開閉蓋120の位置の調整を容易に行うことが可能である。なお、これに限らず、開閉スイッチや洗浄スイッチがなくてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、回転ギヤ122Bがピニオンギヤであり、駆動ギヤ122Dが扇形歯車であり、駆動ギヤ122Dの回動範囲を制限するように、駆動ギヤ122Dの回動面上にリミットスイッチ122G、122Hが配置されている。このため、回転ギヤ122Bと駆動ギヤ122Dとリミットスイッチ122G、122Hで構成される機構を薄く構成することが可能である。つまり、本実施形態では、汚物流し100のX方向の幅をコンパクトにしながら、開閉蓋120を自動開閉可能する大きなシンク106を備える汚物流し100とすることが可能である。なお、これに限らず、回転ギヤがピニオンギヤでなくてもよいし、駆動ギヤが扇形歯車でなくてもよい。例えば、ウォームギヤなどの組み合わせとしてもよい。
【0056】
即ち、本実施形態では、扱いが容易でありながら、シンク106の外側への汚物の飛散や水跳ねを防止し、安定してエアロゾル感染の可能性を低減可能な汚物流し100を提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、洗浄水によってシンクの内部の汚物を洗い流す汚物流しに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100…汚物流し
102…本体部
104…バックパネル部
104A、104B、108E…点検用パネル
106…シンク
106A…手前側傾斜線
106B…奥側傾斜線
106C…排水口
106D…リング配管
106E…シンク上面
106F…ガイド枠
108…架台
108A…点検扉
108AA…留め具
108B…開閉スイッチ
108C…エラーランプ
108D…電源ランプ
110…フットスイッチ
112…給水タンク
112A…タンク本体部
112B…ボールタップ
112C…ロッド
112D…浮き球
112E…オーバーフロー管
112F…フロートバルブ
112G…鎖
112H…レバーシャフト
114…吐出水制御機構
114A…直動駆動部
114B…直動シャフト
114C、116B…レバー
114CA…長孔
114D、114E、122G、122H…リミットスイッチ
116…水栓
116A…蛇口本体部
116C…蛇口スパウト
116D…蛇口キャップ
116E…非接触センサ
116F…電磁弁
118…収納凹部
120…開閉蓋
120A…手前側蓋
120B…奥側蓋
120C…ローラ
120D…取付部
122…蓋制御機構
122A…制御モータ
122B…回転ギヤ
122C…駆動シャフト
122D…駆動ギヤ
122E…シャフト支持部
122F…蓋保持部
122FA…シャフト固定部
122FB…係合部
124…制御装置
124A…処理部
124B…時間計測部
124C…記憶部
124D…漏電ブレーカ
124E…洗浄スイッチ
O、P…中心
Tb1、Tb2、Tb3…配管
Pn…ピン
Tp…トラップ
Tw…取水口
Wt…洗浄水
【要約】
【課題】扱いが容易でありながら、シンクの外側への汚物の飛散や水跳ねを防止し、安定してエアロゾル感染の可能性を低減可能な汚物流しを提供する。
【解決手段】洗浄水Wtによってシンク106の内部の汚物を洗い流す汚物流し100において、シンク106の上部を覆うように配置される開閉蓋120と、開閉蓋120を開閉させる蓋制御機構122と、洗浄水Wtのシンク106への吐出を制御する吐出水制御機構114と、蓋制御機構122と吐出水制御機構114とに接続された制御装置124と、を備え、制御装置124は、蓋制御機構122により開閉蓋120でシンク106を閉状態とした後に、吐出水制御機構114により洗浄水Wtをシンク106に吐出させ、所定時間後に、蓋制御機構122により開閉蓋120をシンク106の上部から移動させシンク106を開状態とする。
【選択図】
図1