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特許7306598総量算出システム及び調整力量予測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】総量算出システム及び調整力量予測システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230704BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/32
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023513139
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2022041733
【審査請求日】2023-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】小川 明宏
(72)【発明者】
【氏名】細井 隆久
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-157581(JP,A)
【文献】特開2015-115983(JP,A)
【文献】特開2015-177686(JP,A)
【文献】特開2018-007391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の地域の複数の電子機器にそれぞれ搭載された複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出システムであって、
前記複数の蓄電池の各々の充電量と、前記複数の蓄電池の各々の容量と、前記複数の蓄電池の各々の放電時の電気出力と、前記複数の蓄電池の各々の充電時の電気出力と、を含む蓄電池情報を取得する蓄電池情報取得部と、
前記複数の電子機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記蓄電池情報が属する地域を特定する地域特定部と、
前記地域特定部により特定された特定の地域の前記蓄電池情報に基づいて、前記複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出部と、
を備える、総量算出システム。
【請求項2】
前記蓄電池情報と、前記位置情報と、を取得した日時情報を取得する日時情報取得部と、前記日時情報と同日時の前記特定の地域の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量と、前記気象情報と、を前記日時情報を基準に関連付ける蓄電池情報関連部と、
を備える、請求項1に記載の総量算出システム。
【請求項3】
前記蓄電池情報関連部によって関連付けた前記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量と、前記気象情報と、前記日時情報とを基に、前記特定の地域の前記複数の蓄電池の充電量の所定期間の総量パターン及び前記複数の蓄電池の容量の所定期間の総量パターンを作成する総量パターン作成部を備える、請求項2に記載の総量算出システム。
【請求項4】
総量算出システムを備える調整力量予測システムであって、
特定の地域の複数の電子機器にそれぞれ搭載された複数の蓄電池の各々の充電量と、特定の地域の複数の電子機器にそれぞれ搭載された複数の蓄電池の各々の容量と、前記複数の蓄電池の各々の放電時の電気出力と、前記複数の蓄電池の各々の充電時の電気出力と、を含む蓄電池情報を取得する蓄電池情報取得部と、
前記複数の電子機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記蓄電池情報が属する地域を特定する地域特定部と、
前記地域特定部により特定された特定の地域の前記蓄電池情報に基づいて、前記複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出部と、
前記蓄電池情報と、前記位置情報と、を取得した日時情報を取得する日時情報取得部と、
前記日時情報と同日時の前記特定の地域の気象情報を取得する気象情報取得部と、
記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量と、前記気象情報と、前記日時情報とを基に、前記特定の地域の前記複数の蓄電池の充電量の所定期間の総量パターン、前記複数の蓄電池の容量の所定期間の総量パターン、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の所定期間の総量パターン及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の所定期間の総量パターンを作成する総量パターン作成部と、
を備える総量算出システムと、
前記特定の地域への調整力提供日時を調整力公募情報として取得する調整力公募情報取得部と、
前記特定の地域への調整力提供日時の前記特定の地域の気象予報を取得する気象予測取得部と、
前記特定の地域への調整力提供時の、前記特定の地域の、前記複数の蓄電池の充電量の総量、前記複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量による調整力量を予測する調整力量予測部と、
を更に備える、調整力量予測システム。
【請求項5】
予測された前記調整力量と、前記調整力公募情報取得部により取得した調整力として必要な電力供給量、電力需要量又は電気出力と、に基づき、
電力市場へ入札する調整力量を決定する入札調整力量決定部を更に備える、
請求項4に記載の調整力量予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の蓄電池に充電された電力又は電子機器の蓄電池の空き容量をVPPに活用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネガワット事業者が複数の世帯(需要家ともいう)に設置された蓄電池を制御してVPP(Virtual Power Plant)と呼ばれる蓄電池の充放電を行う電力取引がある(特許文献1)。
また、電力取引に携帯可能な電子機器の蓄電池に充電された電力を用いる発明がなされている(特許文献2)。
電力の供給において、電力の品質(周波数)を維持するために、電力の供給量と需要量を同量にする必要がある。この品質を維持するための電力市場として、「需給調整市場」が開設された。「需給調整市場」の取引は、実需給を行う前に市場運営者が必要量を提示する。そして、それに対して調整力提供事業者が入札を行う。また、実需給時に入札した調整力(電力供給量又は電力需要量)を提供できなかった場合、調整力提供事業者は、ペナルティ料金を支払わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-184206号公報
【文献】特開2015-115983号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】需給調整市場の概要・商品要件(第3版)[2022年6月1日検索]、インターネット<URL:https://www.tdgc.jp/jukyuchoseishijo/outline/docs/gaiyoushouhin_ver.3_20220401.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
「需給調整市場」に入札を行うためには、入札を行うための調整力を予め確保しなければならない。この調整力を調達するためには、需要家の持つ蓄電池を利用することは有効である。しかし、世帯に設置する蓄電池は高額であるため、蓄電池を設置できる世帯は限られる。このため、需要家の持つ蓄電池から調達可能な調整力には限界がある。
スマートフォン等の携帯可能な電子機器では、蓄電池の容量は小さいが普及台数が多い。そのため、電子機器の蓄電池が調整力の調達先として利用可能になることは、調達可能な調整力量の増加につながる。
【0006】
しかし、電子機器の蓄電池は世帯に設置された蓄電池と異なり移動する。そのため、特定の地域で調達できる調整力の把握が、世帯に設置された蓄電池に比べ困難である。
【0007】
そこで、本発明は、特定の地域の複数の電子機器にそれぞれ搭載された複数の電子機器の蓄電池の充電量の総量、複数の電子機器の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出するシステム及びこれを用いた調整力量予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る総量算出システムは、特定の地域の複数の電子機器にそれぞれ搭載された複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出システムであって、複数の蓄電池の各々の充電量と、複数の蓄電池の各々の容量と、複数の蓄電池の各々の放電時の電気出力と、複数の蓄電池の各々の充電時の電気出力と、を含む蓄電池情報を取得する蓄電池情報取得部と、複数の電子機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づいて、蓄電池情報が属する地域を特定する地域特定部と、特定された特定の地域の前記蓄電池情報に基づいて、複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出部と、を備える。
【0009】
また、本発明に係る調整力量予測システムは、総量算出システムを備え、当該総量算出システムは、複数の蓄電池の各々の充電量と、複数の蓄電池の各々の容量と、複数の蓄電池の各々の放電時の電気出力と、複数の蓄電池の各々の充電時の電気出力と、を含む蓄電池情報を取得する蓄電池情報取得部と、複数の電子機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づいて、蓄電池情報が属する地域を特定する地域特定部と、特定された特定の地域の蓄電池情報に基づいて、複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出部と、蓄電池情報と、位置情報と、を取得した日時情報を取得する日時情報取得部と、日時情報と同日時の前記特定の地域の気象情報を取得する気象情報取得部と、複数の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量と、気象情報と、日時情報とを基に、特定の地域の複数の蓄電池の充電量の所定期間の総量パターン、複数の蓄電池の容量の所定期間の総量パターン、複数の蓄電池の放電時の電気出力の所定期間の総量パターン及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の所定期間の総量パターンを作成する総量パターン作成部と、を備え、特定の地域への調整力提供日時を調整力公募情報として取得する調整力公募情報取得部と、特定の地域への調整力提供時の特定の地域の気象予報を取得する気象予測取得部と、特定の地域への調整力提供時の、特定の地域の、複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量による調整力量を予測する調整力量予測部と、を更に備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、特定の地域における複数の電子機器の蓄電池の充電量の総量及び複数の電子機器の蓄電池の容量の総量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る調整力量予測システムの構成を示す図。
図2A】総量算出システムの具体的動作を説明するための図。
図2B】総量算出システムの具体的動作を説明するための図。
図2C】総量算出システムの具体的動作を説明するための図。
図3A】蓄電池110の充電量の総量パターン及び蓄電池110の容量の総量パターンの一例を示すための図。
図3B】蓄電池110の放電時電気出力の総量パターン及び蓄電池110の充電時電気出力の総量パターンの一例を示すための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、電子機器の蓄電池の充電量及び空き容量を需給調整市場の調整力として利用するシステムである。
【0013】
[調整力予測システム]
図1に示すように、調整力予測システム1は、総量算出システム2と調整力算出装置300とを備え、総量算出システム2は、複数の電子機器100と総量算出装置200とを備える。
【0014】
<電子機器100>
電子機器100は、蓄電池110と、制御部120と、記憶部130と、出力部140とを備える。制御部120は、蓄電池情報取得部121と、位置情報取得部122と、日時情報取得部123と、を備える。電子機器100は、記憶部130に保存されたプログラムを制御部120で実行する。このプログラムにより、蓄電池110の充電量、蓄電池110の容量、蓄電池110の充電時の電気出力(ワット数)及び蓄電池110の放電時の電気出力(ワット数)、位置情報及び日時情報を取得する。出力部140は、取得した情報を総量算出装置200に送信する。
【0015】
電子機器100は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の携帯電子機器が挙げられる。
蓄電池110の充電量は、蓄電池110に充電されている電力量を意味する。また、蓄電池110の容量は、蓄電池110が充電できる量の最大値を意味する。
【0016】
電子機器100は、蓄電池110から外部に放電及び外部から蓄電池110に充電、を行う機能を備える。蓄電池110から外部への放電方法及び外部から蓄電池110への充電方法は、無線給電でも有線給電でもよい。無線給電は、電波受信による方法、電磁誘導による方法又は磁界共鳴による方法等が挙げられる。
【0017】
制御部120は、電子機器100の全体を制御する。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部120の各種機能、すなわち蓄電池情報取得部121、位置情報取得部122又は日時情報取得部123は、例えば記憶部130に格納された所定のソフトウェア(プログラム又はアプリケーション)を実行することで実現される。制御部120の各種機能、すなわち蓄電池情報取得部121、位置情報取得部122又は日時情報取得部123は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0018】
記憶部130は、所定のソフトウェア(プログラム又はアプリケーション)を記憶する。記憶部130は、取得した蓄電池情報、位置情報及び日時情報等を記憶する。記憶部130は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
本発明に係る電子機器110は、記憶部130にアプリケーション等をインストールすることで特定する。
【0019】
蓄電池情報取得部121は、蓄電池110の充電量情報、蓄電池110の容量情報、蓄電池110の充電時の電気出力情報及び蓄電池110の放電時の電気出力情報を取得する。
【0020】
以下の説明において、蓄電池110の充電量情報及び蓄電池110の容量情報を合わせて、蓄電池110の蓄電池情報と記載する場合がある。また、蓄電池110の充電時の電気出力情報及び蓄電池110の放電時の電気出力情報を合わせて、蓄電池110の電気出力情報と記載する場合がある。
【0021】
位置情報取得部122は、電子機器110の位置情報を取得する。この位置情報取得部123は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機により実現される。
【0022】
日時情報取得部123は、電子機器100の蓄電池情報及び電子機器100の位置情報を取得した日時情報を取得する。日時情報は、日にち、曜日、平日、休日又は時間等が挙げられる。
【0023】
出力部140は、蓄電池110の蓄電池情報、蓄電池110の電気出力情報、電子機器100の位置情報及び当該蓄電池情報及び位置情報を取得した日時情報を後述する総量算出装置200に送信する。当該送信は、一定時間おき(例えば、10分おき)に行われる。
【0024】
<総量算出装置200>
総量算出装置200は、制御部210と、記憶部220と、入力部230とを備える。制御部210は、地域設定情報取得部211と、地域特定部212と、総量算出部213と、気象情報取得部214と、蓄電池情報関連部215と、総量パターン作成部216と、を備える。
【0025】
制御部210は、総量算出装置200の全体を制御する。制御部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部210の各種機能、すなわち地域設定情報取得部211、地域特定部212、総量算出部213、気象情報取得部214、蓄電池情報関連部215及び総量パターン作成部216は、例えば記憶部220に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部210の各種機能、すなわち地域設定情報取得部211、地域特定部212、総量算出部213、気象情報取得部214、蓄電池情報関連部215及び総量パターン作成部216は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0026】
記憶部220は、所定のソフトウェア(プログラム)を記憶する。また、記憶部220は、複数の電子機器100から取得した蓄電池110の蓄電池情報、蓄電池110の電気出力情報、位置情報及び日時情報等を記憶する。更に、記憶部220は、位置情報がどの地域に属するかを予め設定した情報(以下、「地域設定情報」という)を記憶する。
記憶部220は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0027】
地域設定情報取得部211は、記憶部220から地域設定情報を取得する。当該地域設定情報は、変電所の送電可能範囲を基に設定したものでもよいし、本発明に係るシステムの利用者が任意の範囲で設定したものでもよい。
【0028】
地域特定部212は、電子機器100の位置情報と、地域設定情報取得部211で取得した地域設定情報と、により電子機器100がどの地域に属するかを特定する。
【0029】
総量算出部213は、同時間の同地域に属する複数の電子機器100の、蓄電池110の充電量及び蓄電池110の容量を合算する。これによって、特定の日時における特定の地域に存在する、複数の電子機器100の、蓄電池110の充電量の総量及び蓄電池110の容量の総量、の情報が得られる。
また、総量算出部213は、同時間の同地域に属する複数の電子機器100の、蓄電池110の放電時の電気出力及び蓄電池110の充電時の電気出力を合算する。これによって、特定の日時における特定の地域に存在する、複数の電子機器100の、蓄電池110の放電時の電気出力の総量及び蓄電池110の充電時の電気出力の総量、の情報が得られる。
【0030】
気象情報取得部214は、特定の地域の気象情報を取得する。気象情報は、天気、気温、湿度又は日射量等が挙げられる。
【0031】
蓄電池情報関連部215は、総量算出部213で得られた複数の電子機器100の蓄電池110の充電量の総量及び蓄電池110の容量の総量と、総量算出部213で得られた複数の電子機器100の蓄電池110の放電時の電気出力の総量及び充電時の電気出力の総量と、気象情報取得部214により得られた気象情報と、を同時系列で関連付ける。
【0032】
総量パターン作成部216は、機械学習によって複数の電子機器100の蓄電池110の充電量の総量のパターン(以下、「充電量総量パターン」という)、蓄電池110の容量の総量のパターン(以下、「容量総量パターン」という)、蓄電池110の放電時の電気出力の総量(以下、「放電時電気出力総量パターン」という)及び蓄電池110の充電時の電気出力の総量(以下、「充電時電気出力総量パターン」という)を作成する。
当該充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンを作成するためデータは、電池情報関連部215で関連付けられた特定地域の、総量算出部213で得られた複数の電子機器100の、蓄電池110の充電量の総量、蓄電池110の容量の総量、蓄電池110の放電時の電気出力の総量及び蓄電池110の充電時の電気出力の総量、気象情報取得部214により得られた気象情報、曜日、平日、休日、時間帯及び気象条件を用いる。
【0033】
機械学習は、例えば、ニューラルネットワーク、重回帰分析、最小二乗法、ステップワイズ法等によって行う。上記機械学習としては、ニューラルネットワーク及び重回帰分析が特に好適に用いることができる。
【0034】
入力部230は、出力部140からの情報を受信する。
【0035】
<調整力量算出装置300>
調整力量算出装置300は、制御部310と、記憶部320と、を備える。制御部310は、調整力公募情報取得部311と、気象予報取得部312と、調整力量予測部313と、入札調整量決定部314と、を備える。調整力量は、調整力として提供可能な電力供給量又は調整力として提供可能な電力需要量、及び調整力提供時の電気出力量を意味する。
【0036】
制御部310は、調整力量算出装置300の全体を制御する。制御部310は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部310の各種機能、すなわち調整力公募情報取得部311、気象予報取得部312、調整力量予測部313又は入札調整量決定部314は、例えば記憶部320に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部310の各種機能、すなわち調整力公募情報取得部311、気象予報取得部312、調整力量予測部313又は入札調整量決定部314は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0037】
記憶部320は、所定のソフトウェア(プログラム)を記憶する。また、記憶部320は、総量パターン作成部216で作成された充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターン等を記憶する。
記憶部320は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0038】
調整力公募情報取得部311は、需給調整市場からの調整力公募情報を取得する。当該調整力公募情報から調整力公募の条件を抽出する。調整力公募の条件は、調整力を提供する地域、日時、調整力として必要な電力供給量、電力需要量又は電気出力等が挙げられる。
【0039】
気象予報取得部312は、調整力を提供する日時の気象予報を取得する。
【0040】
調整力量予測部313は、調整力を提供する日時及び当該日時の気象予報と、総量パターン作成部216によって作成された充電量総量パターン又は容量総量パターンと、総量パターン作成部216によって作成された放電時電気出力総量パターン又は充電時電気出力総量パターンと、により調整力を提供する日時に確保できる調整力量の予測値を求める。
【0041】
入札調整量決定部314は、調整力公募情報取得部311より取得した調整力として必要な電力供給量又は電力需要量と、調整力量予測部313により調整力を提供する日時に確保できると予測した調整力量と、に基づき、入札する調整力量を決定する。
【0042】
図2A図2Cにより、電子機器100の移動による地域の蓄電池110の充電量の総量及び蓄電池110の容量の総量の変化を説明する。図2A図2Cは、地域A、B及びCと、電子機器100-a、電子機器100-b及び電子機器100-cを示している。
【0043】
以下の説明において、電子機器100-a、電子機器100-b及び電子機器100-cを区別しないで述べる場合は電子機器100と記載する場合がある。
また、説明の便宜上、図2A図3Cには、3台の電子機器100を示したが、実際には、より多くの電子機器100が用いられる。
【0044】
図2Aに示すような場合、電子機器100-a、電子機器100-b及び電子機器100-cは、電子機器100の蓄電池情報取得部121と、位置情報取得部122と、日時情報取得部123と、によって表1で表される情報を取得する。
【表1】
【0045】
表1で表される情報は、出力部140によって、総量算出装置200に送信される。
【0046】
電子機器100から送信された位置情報と、地域設定情報取得部211で取得した地域設定情報と、によって、電子機器100がどの地域に属するかを地域特定部212で特定する。
図2Aに示すような場合、電子機器100-aは地域A、電子機器100-bは地域B及び電子機器100-cは地域Cに属すると特定される。
【0047】
図2Bに示すような場合、電子機器100-a、電子機器100-b及び電子機器100-cは、電子機器100の蓄電池情報取得部121と、蓄電池充電量情報取得122と、位置情報取得部123と、日時情報取得部124と、によって表2で表される情報を取得する。
【表2】
【0048】
表2で表される情報は、出力部140によって、総量算出装置200に送信される。
【0049】
電子機器100から送信された位置情報と、地域設定情報取得部211で取得した地域設定情報と、によって、電子機器100がどの地域に属するかを地域特定部212で特定する。
図2Bに示すような場合、電子機器100-aは地域A、電子機器100-b及び電子機器100-cは地域Bに属すると特定される。
【0050】
図2Cに示すような場合、電子機器100-a、電子機器100-b及び電子機器100-cは、電子機器100の蓄電池情報取得部121と、蓄電池充電量情報取得122と、位置情報取得部123と、日時情報取得部124と、によって表3で表される情報を取得する。
【表3】
【0051】
表3で表される情報は、出力部140によって、総量算出装置200に送信される。
【0052】
電子機器100から送信された位置情報と、地域設定情報取得部211で取得した地域設定情報と、によって、電子機器100がどの地域に属するかを地域特定部212で特定する。
図2Cに示すような場合、電子機器100-aは地域A、電子機器100-bは地域B及び電子機器100-cは地域Cに属すると特定される。
【0053】
図2A図2Cで電子機器100がそれぞれ属する地域を特定後、電子機器100から送信された蓄電池の充電量情報と、蓄電池の容量情報と、蓄電池の放電時電気出力情報と、蓄電池の充電時電気出力情報とによって、特定の地域の電子機器の蓄電池の充電量の総量、電子機器の蓄電池の容量の総量、電子機器の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び電子機器の蓄電池の充電時の電気出力の総量を総量算出部213が算出する。算出された特定の地域の電子機器の蓄電池の充電量の総量、蓄電池の容量の総量、蓄電池の放電時の電気出力及び蓄電池の充電時の電気出力と、日時情報と、気象情報取得部214が取得した気象情報とを、蓄電池情報関連部215が表4のように関連付ける。
【表4】
【0054】
総量パターン作成部216は、ニューラルネットワークによって充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンを作成する場合、表4のデータ及び表4のように関連付けられた過去のデータから日時(例えば、6月上旬 12:00)、曜日(例えば、平日水曜日)、天気(例えば、晴れ)、気温(例えば、20℃以上30℃以下)を入力データとして用いる。また、蓄電池の、充電量総量、容量総量、放電時電気出力総量及び充電時電気出力総量を出力データとする。これによって、充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンを作成する。
【0055】
総量パターン作成部216は、重回帰分析によって充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンを作成する場合、表4のデータ及び表4のように関連付けられた過去のデータから日時、曜日、天気、気温を説明変数として用いる。また、蓄電池の、充電量総量、容量総量、放電時電気出力総量及び充電時電気出力総量を目的変数とする。これによって、充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンを作成する。
【0056】
当該ニューラルネットワークによる機械学習を地域ごとに行うことで、特定の地域の、特定の気象条件及び特定の日時における、充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンが作成できる。
【0057】
図2A図2Cにより説明した例では、蓄電池情報は3時間ごとに取得している。しかし、蓄電池情報の取得は短い間隔(例えば、10分ごと)で取得するのがよい。蓄電池情報の取得間隔が短いことで、より正確な総量パターンを作成することができる。
【0058】
図3A及び図3Bにより、調整力量の予測を説明する。図3A及び図3Bは、以下で説明する調整力予測時に利用する充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンである。
【0059】
調整力公募情報取得部311によって、調整力の公募情報(例えば、調整力提供日時:6月6日(月)12時~15時、調整力量(電力供給量):50MW)が取得される。
【0060】
当該調整力提供日時(6月6日(月)12時~15時)を基に、気象予報取得部312が気象予報(例えば、天気:晴れ、気温:25℃)を取得する。
【0061】
調整力量予測部313は、当該調整力提供日時及び当該気象予報のデータからニューラルネットワークによって、総量パターン作成部216で作成された充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンのうち、当該調整力提供日時に類似する条件の充電量総量パターン、容量総量パターン、放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンを呼び出す。
【0062】
図3Aが、呼び出した充電量総量パターン及び容量総量パターンの例であり、図3Bが、呼び出した放電時電気出力総量パターン及び充電時電気出力総量パターンの例である。本例では、必要な調整力は電力供給である。このことから、調整力を提供する時間帯の充電量総量が図3Aの充電量総量パターンによって求められる。また、調整力を提供する時間帯の放電時電気出力総量が図3Bの放電時電気出力総量パターンによって求められる。
【0063】
実需給時に調整力が提供できなかった場合、ペナルティ料金が発生する。このため、調整力量の予測値は、調整力提供時間帯の予測値の最小値とするのがよい。
【0064】
12時~15時の時間帯における充電量総量の予測値の最小値は18MWhとなる。また、12時~15時の時間帯における放電時電気出力総量の予測値の最小値は6MWとなる。
電気出力6MWで12時~15時の3時間、調整力を提供した場合、提供する電力量は18MWhとなる。当該18MWhは、当該12時~15時の時間帯における充電力量総量の予測値の最小値18MWh以下の電力量である。このことから、12時~15時の3時間において、電気出量6MWで調整力提供が可能である。よって、当該12時~15時の時間帯において提供可能な調整力の予測値は電気出力6MWと算出する。これによって、入札調整力量決定部314は、入札調整力量を6MWと決定する。
【0065】
入札調整力量の決定は、ペナルティ料金の発生をより防止するために、前述の提供可能な調整力の予測値よりも低い値(例えば、5MW)に決定してもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の総量算出システム2によれば、電子機器の複数の蓄電池の各々の充電量と、複数の蓄電池の各々の容量と、複数の蓄電池の各々の放電時の電気出力と、複数の蓄電池の各々の充電時の電気出力と、を含む蓄電池情報を取得する蓄電池情報取得部121と、複数の電子機器の位置情報を取得する位置情報取得部122と、蓄電池情報及び位置情報と、を取得した日時情報を取得する日時情報取得部123と、蓄電池情報が属する地域を特定する地域特定部212と、特定された特定の地域の前記蓄電池情報に基づいて、複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出部213と、気象情報を取得する気象情報取得部214と、特定の地域の蓄電池情報及び気象情報を日時情報を基に関連付ける蓄電池情報関連部215と、当該関連付けた蓄電池情報から、特定の地域の複数の電子機器の、蓄電池の充電量の総量パターン、蓄電池の容量の総量パターン、蓄電池の放電時の電気出力の総量パターン及び蓄電池の充電時の電気出力の総量パターンを作成する総量パターン作成部216を備える。
これによって、特定の地域の複数の電子機器の、蓄電池に充電された電力量の総量、蓄電池の容量の総量、蓄電池の放電時の電気出力の総量及び蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出することができる。以上により、調整力として調達可能な電力供給量又は電力需要量を把握することができる。
【0067】
また、本実施形態の調整力量予測システム1によれば、総量算出システム2と、特定の地域への調整力提供日時を調整力公募情報として取得する調整力公募情報取得部311と、特定の地域への調整力提供時の特定の地域の気象予報を取得する気象予測取得部312と、特定の地域への調整力提供時の、特定の地域の複数の電子機器の、蓄電池の充電量の総量、蓄電池の容量の総量、蓄電池の放電時の電気出力の総量及び蓄電池の充電時の電気出力の総量による調整力量を予測する調整力量予測部313と、を備える。
これにより、インバランス料金の発生を防ぐ調達可能な調整力量を予測することができる。
【0068】
上記例では、電力供給不足時に需要家の電力を提供する例で本発明の説明を行った。しかし、本発明による調整力予測は、電力の過剰発電により生じる電力需要不足の需給調整にも利用できる。容量の総量パターンと充電量の総量パターンの差により、電力需要の提供可能量が算出できる。これと充電時電気出力総量パターンによって、調整力として提供可能な電力需要量が予測できる。
【符号の説明】
【0069】
1 調整力量算出システム
2 総量算出システム
100 電子機器
110 蓄電池
120 制御部
121 蓄電池情報取得部
122 位置情報取得部
123 日時情報取得部
130 記憶部
140 出力部
200 総量算出装置
210 制御部
211 地域設定情報取得部
212 地域特定部
213 総量算出部
214 気象情報取得部
215 蓄電池情報関連部
216 総量パターン作成部
220 記憶部
230 入力部
300 調整力量算出装置
310 制御部
311 調整力公募情報取得部
312 気象予報取得部
313 調整力量予測部
314 入札調整力量決定部
320 記憶部
I 蓄電池110の放電時電気出力の総量パターン
II 蓄電池110の充電時電気出力の総量パターン
【要約】
電子機器の蓄電池に充電された電力又は電子機器の蓄電池の空き容量をVPPに活用する技術を提供すること。
特定の地域の複数の電子機器にそれぞれ搭載された複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出システムであって、複数の蓄電池の各々の充電量と、複数の蓄電池の各々の容量と、複数の蓄電池の各々の放電時の電気出力と、複数の蓄電池の各々の充電時の電気出力と、を含む蓄電池情報を取得する蓄電池情報取得部と、複数の電子機器の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づいて、蓄電池情報が属する地域を特定する地域特定部と、特定された特定の地域の前記蓄電池情報に基づいて、複数の蓄電池の充電量の総量、複数の蓄電池の容量の総量、前記複数の蓄電池の放電時の電気出力の総量及び前記複数の蓄電池の充電時の電気出力の総量を算出する総量算出部と、を備える総量算出システム。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B