IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レインツ デッチタングス ゲー エム ベー ハーの特許一覧

特許7306610電気化学システム用のセパレータプレート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】電気化学システム用のセパレータプレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0276 20160101AFI20230704BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20230704BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20230704BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230704BHJP
【FI】
H01M8/0276
H01M8/0267
H01M8/0258
H01M8/10 101
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021176390
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2019563266の分割
【原出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2022023937
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】202017103229.9
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505467753
【氏名又は名称】レインツ デッチタングス ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトール、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クンツ、クラウディア
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/055510(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/013710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/0276
H01M 8/0267
H01M 8/0258
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学システムのバイポーラプレート用のセパレータプレートであって、
前記セパレータプレートを介して冷却剤を導くための第1の貫通開口と、
前記電気化学システムにおいて電気化学的に活性となる活性領域であって、前記活性領域は、前記セパレータプレートの第1の平坦面に沿って反応媒体を導くための構造体と、前記セパレータプレートの第2の平坦面上で前記活性領域内の後面に沿って冷却剤を導くための構造体と、を有し、前記活性領域内の後面は、前記セパレータプレートの前記活性領域内の前記第2の平坦面側の一面である、前記活性領域と、
前記セパレータプレートの前記第1の平坦面上で前記活性領域に又は前記活性領域から前記反応媒体を導くとともに、前記セパレータプレートの前記第2の平坦面上で前記第1の貫通開口から前記活性領域へと、または前記セパレータプレートの前記第2の平坦面上で前記活性領域から前記第1の貫通開口へと前記冷却剤を導くように構成された分配領域と、
前記第2の平坦面上の前記第1の貫通開口から前記活性領域内の後面までの前記冷却剤の流路を画定するために前記セパレータプレートに形成される構造体に交差することなく、前記第1の貫通開口と前記活性領域との両方を完全に包含して封止するために、前記セパレータプレートと一体に形成されたビードと、
前記活性領域と前記ビードとの間に配置され且つ前記セパレータプレートと一体に形成されたバリア要素と
を備え、
前記バリア要素のうちの少なくとも1つは、前記活性領域から前記ビードまで延在して、反応媒体が前記セパレータプレートの前記第1の平坦面上で前記ビードに沿って前記活性領域を越えて流れるのを抑制または防止するような方式で形成され、
前記バリア要素のうちの少なくとも1つが少なくとも局所的に凹型になっており、その目的は具体的には、前記活性領域内の前記後面と前記ビードの内部との間のこのバリア要素の領域において、前記セパレータプレートの前記第2の平坦面上に冷却剤が流れることを抑制または防止するためであり、
前記活性領域内の前記後面に沿った前記冷却剤の前記流れ方向切る方向に、前記活性領域から前記ビードまで連続的に延在する少なくとも1つの凹部を備え、
前記バリア要素が、前記ビードの主延在方向に対して平行に連続して配置され、前記活性領域から前記ビードまで連続的に延在する凹部が、前記分配領域と向き合うこの列の端部に配置される、
セパレータプレート。
【請求項2】
前記セパレータプレートに冷却剤を導くための第2の貫通開口を備え、前記ビードが、前記第2の貫通開口も完全に包含する、請求項1に記載のセパレータプレート。
【請求項3】
少なくとも前記バリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部が、前記バリア要素全体にわたって少なくとも1方向に延在する、請求項1又は2に記載のセパレータプレート。
【請求項4】
少なくとも前記バリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部が、前記バリア要素の縁部に対して離れている、請求項1から3のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項5】
少なくとも前記バリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部が、細長い形状を有し、前記ビードの主延在方向に対して平行に整列している、請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項6】
少なくとも前記バリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部が、前記セパレータプレートの前記第2の平坦面上の前記活性領域内の前記後面と前記ビードの前記内部との間の連結部の、前記セパレータプレートの平坦面に対して垂直に画定される断面を、少なくとも50パーセントまで縮小するような方式で設計され、前記連結部が前記バリア要素によって形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項7】
前記バリア要素の最大高さは、前記活性領域の構造体の最大高さよりも高く、前記ビードの最大高さよりも低い、請求項1から6のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項8】
前記バリア要素のうちの少なくとも1つまたは複数が、少なくとも部分的に、前記ビードの主延在方向切る方向に整列している、請求項1から7のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項9】
前記バリア要素のうちの少なくとも1つまたは複数が、前記セパレータプレートの平坦面に対して垂直に画定されるそれぞれの前記バリア要素の断面が前記ビードに向かって、少なくとも50パーセントまで漸減するような方式で形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項10】
前記断面が、前記セパレータプレートの前記平坦面に対して平行な方向に沿って漸減する、請求項9に記載のセパレータプレート。
【請求項11】
少なくとも前記バリア要素のうちの1つまたはいくつかに関しては、前記漸減が、階段状に実施される、請求項9または10に記載のセパレータプレート。
【請求項12】
互いに隣接する前記バリア要素のうちの少なくともいくつかが、前記ビードの主延在方向に対して平行に整列した連結部によって互いに連結される、請求項1から11のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項13】
前記活性領域内の前記後面にわたって冷却剤を分配するための分配構造体を備え、前記分配構造体が、前記活性領域内の前記後面に沿った前記冷却剤の流れ方向切る方向に、前記ビードと向き合う前記活性領域の端部まで延びている、請求項1から12のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項14】
前記バリア要素のうちの少なくとも1つは凹部を有さない、請求項1から13のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項15】
前記第1の貫通開口を完全に包含する第1のポートビードを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項16】
前記第2の貫通開口を完全に包含する第2のポートビードを備える、請求項2に記載のセパレータプレート。
【請求項17】
金属シートから形成され、以下の要素、すなわち
1つもしくは複数の前記ビード、
前記活性領域の前記構造体、
前記分配領域の分配構造体、
前記バリア要素、および/または
凹部
のうちの少なくとも1つ、複数、またはすべてが、前記セパレータプレートにエンボス加工される、
請求項1から16のいずれか一項に記載のセパレータプレート。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の第1のセパレータプレートと、請求項1から17のいずれか一項に記載の第2のセパレータプレートとを備える、電気化学システム用のバイポーラプレートであって、前記第1のセパレータプレート及び前記第2のセパレータプレートの2つのセパレータプレートが互いに連結され、前記2つのセパレータプレートの前記第1の貫通開口が、位置合わせされて、前記バイポーラプレートの第1の貫通開口を形成するように配置され、前記2つのセパレータプレートが、前記バイポーラプレートに冷却剤を導くための空洞を囲み、前記バイポーラプレートの前記第1の貫通開口が前記空洞と流体連結している、バイポーラプレート。
【請求項19】
前記第1のセパレータプレート及び前記第2のセパレータプレートは、冷却剤を導くための第2の貫通開口をそれぞれ備え、前記ビードが、前記第2の貫通開口も完全に包含し、前記第1のセパレータプレート及び前記第2のセパレータプレートの第2の貫通開口が、位置合わせされて、前記バイポーラプレートの第2の貫通開口を形成するように配置され、前記バイポーラプレートの前記第2の貫通開口が前記空洞と流体連結している、請求項18に記載のバイポーラプレート。
【請求項20】
前記第1のセパレータプレートのバリア要素と前記第2のセパレータプレートのバリア要素とが、少なくとも局所的に重なるように配置され、前記第1のセパレータプレートの前記バリア要素の凹部と前記第2のセパレータプレートの前記バリア要素の凹部とが、前記バイポーラプレートの平坦面に対して平行に、少なくとも部分的にオフセットして配置される、請求項18または19に記載のバイポーラプレート。
【請求項21】
前記第1のセパレータプレートの前記バリア要素と前記第2のセパレータプレートの前記バリア要素とが、少なくとも局所的に重なるように配置され、前記第1のセパレータプレートの前記バリア要素の凹部と前記第2のセパレータプレートの前記バリア要素の凹部とが、少なくとも部分的に重なるように配置される、請求項18から20のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項22】
前記2つのセパレータプレートの間に囲まれた前記空洞が、第1の部分空間および第2の部分空間を有し、前記第1の部分空間が、前記第1のセパレータプレートの前記活性領域と前記第2のセパレータプレートの前記活性領域との間に囲まれ、前記第2の部分空間が、前記第1のセパレータプレートの前記ビードと前記第2のセパレータプレートの前記ビードとの間に囲まれ、前記バイポーラプレートの前記第1の貫通開口と前記バイポーラプレートの第2の貫通開口とが、前記第1の部分空間を含む第1の流体連結部を介して連結され、前記バイポーラプレートの前記第1の貫通開口と前記バイポーラプレートの前記第2の貫通開口とが、前記第2の部分空間を含む第2の流体連結部を介して連結され、前記第1の流体連結部の最小断面A1,minが、前記第2の流体連結部の最小断面A2,minよりも大きい、請求項19から21のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項23】
スタックに配置された、請求項18から22のいずれか一項に記載の複数のバイポーラプレートを備える電気化学システムであって、前記スタックの隣接するバイポーラプレートの間にそれぞれの膜電極接合体(MEA)が配置され、前記隣接するバイポーラプレートの前記活性領域における前記MEAのそれぞれが、アイオノマーと、少なくとも1つのガス拡散層とを含む、電気化学システム。
【請求項24】
前記MEAのそれぞれが、前記バイポーラプレートのバリア要素と少なくとも局所的に重なる補強縁部領域を有し、前記バイポーラプレートが前記MEAに隣接する、請求項23に記載の電気化学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学システム用のセパレータプレート、セパレータプレートを備えるバイポーラプレート、および複数のバイポーラプレートを備える電気化学システムに関する。電気化学システムは、たとえば燃料電池システム、電気化学圧縮機、レドックスフロー電池、または電気分解装置でもよい。
【0002】
知られている電気化学システムは、普通、バイポーラプレートによってそれぞれ互いに隔てられた電気化学セルのスタックを備える。こうしたバイポーラプレートは、たとえば別個の電気化学セル(たとえば燃料電池)の電極の電気的接続、および/または隣接するセルの電気的接続(セルの直列接続)のために機能することができる。通常、バイポーラプレートは、互いに接合された2つの別個のセパレータプレートから形成される。バイポーラプレートのセパレータプレートは、材料接合を用いて、たとえば1つまたは複数の溶接連結部によって、具体的には1つまたは複数のレーザ溶接連結部によって互いに接合することができる。
【0003】
バイポーラプレートまたはセパレータプレートは、たとえば隣接するバイポーラプレートの間に配置された電気化学セルに1つもしくは複数の媒体を供給するように、かつ/または反応生成物を外部に移送するように構成された構造体をそれぞれ備えるか、または形成することができる。媒体は、燃料(たとえば水素もしくはメタノール)である場合もあり、反応ガス(たとえば空気もしくは酸素)である場合もある。さらに、バイポーラプレートまたはセパレータプレートは、バイポーラプレートに、具体的にはバイポーラプレートのセパレータプレートによって囲まれた空洞に冷却剤を導くように機能し得る。普通、燃料または反応ガスは、その構造にもかかわらず第1の平坦面ともしばしば呼ばれるセパレータプレートの第1の面に導かれ、一方、冷却剤は、セパレータプレートの第2の平坦面に導かれる。この場合、空洞は、2つのセパレータプレートの第2の平坦面の間に形成される。さらに、バイポーラプレートは、電気化学セルにおいて電気エネルギーまたは化学エネルギーを変換する際に生じる廃熱を先へと導くように、かつ種々の媒体チャネルまたは冷却チャネルを互いに対して、かつ/または外部に対して封止するように構成され得る。
【0004】
活性領域と外部に対して活性領域の境界を画定するビードとの間にバリア要素が配置されてもよく、上記バリア要素は、反応媒体が活性領域を越えて流れることを抑制または防止するような方式で配置および形成される。たとえば、こうしたバリア要素は、セパレータプレートに突出部を提供することによって形成されてもよく、反応媒体の側での上記突出部は、セパレータプレートのうち、突出部に隣接する領域よりも高くなっている。
【0005】
さらに、バイポーラプレートは、普通、少なくとも1つまたは複数の貫通開口をそれぞれ備える。媒体および/または反応生成物は、貫通開口を通って、スタックの隣接するバイポーラプレートの間に配置される電気化学セルへと、またはバイポーラプレートのセパレータプレートによって形成される空洞へと導かれてもよく、セルから離れるように、または空洞から出るように導かれてもよい。通常、電気化学セルは、それぞれ1つまたは複数の膜電極接合体(MEA)をさらに備える。MEAは、普通はバイポーラプレートに向けて配向されて、たとえば不織金属または不織カーボンとして形成される、1つまたは複数のガス拡散層を備えることができる。
【0006】
それぞれの場合において、たとえば冷却剤が、セパレータプレートのうち、電気化学的に活性な面から、たとえばバイポーラプレートの2つのセパレータプレートによって囲まれた空洞から離れた面の望ましくない経路にいくらか導かれることが問題となることが分かってきている。したがって、たとえば、主としてセパレータプレートまたはバイポーラプレートの電気化学的活性領域を冷却するように機能する冷却剤が、少なくとも部分的に活性領域を越えて、またはさらには分配領域の部分を越えて導かれ、したがって活性領域の冷却に寄与しないか、または十分な程度まで寄与しないということが生じ得る。特に、エンボス加工されたセパレータプレートを考慮すれば、前述のバリア要素は、エンボス加工によって形成されて、第1の平坦面の方向に組み込まれる。しかし、これらにより、各セパレータプレートの第2の平坦面上に空洞が生じ、冷却剤の追加の流路が形成される場合がある。これにより、冷却剤が望ましくない経路上で活性領域を越えて流れる(迂回する)危険が増大する。
【0007】
この望ましくない冷却剤の迂回の結果、電気化学セルの領域における望ましくない温度ピーク、および/または冷却剤を導く際の望ましくない圧力損失が生じ得る。さらに、活性領域を越えて導かれた冷却剤を送出するために、圧送力の増大が必要とされる。これらの望ましくないあらゆる影響は、場合によっては電気化学システムの効率に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
この望ましくない冷却剤の迂回を完全に、または少なくとも部分的に防止するために、文書DE202014008157U1では充填材が提案されており、上記充填材は、冷却剤が電気化学的活性領域の後面を越えて流れることを防止するために、たとえばバイポーラプレートの個々のプレートの間で、活性領域の縁部領域に配置される。これにもかかわらず、電気化学システム用のセパレータプレートまたはバイポーラプレートであって、上記プレートが可能な限り高い効率でシステムを動作させることを可能にするセパレータプレートまたはバイポーラプレートが絶えず求められている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、可能な限り高い効率で電気化学システムを動作させることを可能にする電気化学システム用のセパレータプレートおよびバイポーラプレートを提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1に記載のセパレータプレート、こうしたセパレータプレートを備えるバイポーラプレート、および言及したタイプの複数のバイポーラプレートを備える電気化学システムによって達成される。
【0011】
したがって、電気化学システム用の、特に電気化学システムのバイポーラプレート用のセパレータプレートであって、
セパレータプレートに冷却剤を導くための第1の貫通開口と、
活性領域であって、セパレータプレートの第1の平坦面に沿って反応媒体を導くための構造体と、セパレータプレートの第2の平坦面上で活性領域の後面に沿って冷却剤を導くための構造体とを備える活性領域と、
場合によっては、第1の貫通開口と活性領域との間で冷却剤を導くための第1の分配システムと、
少なくとも活性領域を封止するために、セパレータプレートと一体に形成されたビードと、
セパレータプレートと一体に形成され、活性領域とビードとの間、または場合によっては存在する第1の分配領域とビードとの間に配置され、反応媒体がセパレータプレートの第1の平坦面上でビードに沿って、また活性領域を越えて流れるのを抑制または防止するような方式で形成されたバリア要素とを備える、セパレータプレートが提案される。
【0012】
第1の貫通開口から入り、セパレータプレートの第2の平坦面上のビードの内部へと至る冷却剤の流れを完全に、または少なくとも部分的に防止するために、ビードは、活性領域および場合によっては存在する第1の分配領域と同様に、第1の貫通開口も完全に包含するような方式で通る。具体的には、ビードは、好ましくは、第1の貫通開口から活性領域の後面への冷却剤の流路と交差しない。第1の平坦面上の突出部により第2の平坦面上での容積の増大が引き起こされるので、セパレータプレートの第2の平坦面上では、バリア要素により、活性領域の後面とビード内部との間、または場合によっては存在する第1の分配領域の後面とビード内部との間に、望ましくない流体連結部がしばしば形成される。この理由のために、さらに、バリア要素のうちの少なくとも1つ、またはバリア要素のうちの少なくともいくつかは、少なくとも局所的に凹型にされて、セパレータプレートの第2の平坦面上のバリア要素の領域において、活性領域の後面とビードの内部との間、および/または分配領域の後面とビードの内部との間に冷却剤が流れることを抑制または防止する。バリア要素のうちの少なくとも1つ、またはバリア要素のうちの少なくともいくつかの少なくとも局所的なこの凹部により、望ましくない流体連結部の断面を縮小することができ、活性領域の後面からビード内部への、または場合によっては存在する第1の分配領域の後面からビード内部への望ましくない冷却剤の流れを抑制することができる。一方では燃料または反応ガスがセパレータプレートの第1の平坦面上の望ましくない経路に流れるリスクを最小限に抑え、他方では冷却剤がセパレータプレートの第2の平坦面上の望ましくない経路に流れるリスクを最小限に抑えるために、バリア要素がごく局所的に凹型になっていることが特に好ましい。
【0013】
既に簡単に言及したように、セパレータプレートは、活性領域の後面に冷却剤を分配し、または活性領域の後面を通って流れてきた冷却剤を回収するための分配構造体をその後面に備えることができる。この構造体は、少なくとも1つのポートビードから活性領域の後面の縁部まで延びていることが好ましく、上記縁部は、各ポートビードと向き合っている。分配構造体によって形成される分配領域は、たとえば活性領域の後面に沿った冷却剤の流れ方向に対して横方向に、ビードと向き合う端部まで、またはビードと向き合う活性領域の側縁部まで延びることができる。
【0014】
セパレータプレートは、セパレータプレートに冷却剤を導くための第2の貫通開口を備えることができる。活性領域の後面に、または活性領域の後面から冷却剤を導くための、これ以降第2の分配領域と呼ばれる分配領域または回収領域が、第2の貫通開口と活性領域との間に配置されてもよい。この場合、ビードは普通、第2の貫通開口も完全に包含することができ、したがって、活性領域、場合によっては存在する第1の分配領域および/または第2の分配領域と同様に、第1の貫通開口および第2の貫通開口も取り囲むことができる。この場合、第1の貫通開口および第2の貫通開口は、活性領域の後面の、対向する両側に配置されることが好ましい。
【0015】
少なくともバリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部は、バリア要素全体にわたって少なくとも1方向に延在することができる。これには、普通は移行領域が必要とされ、移行領域では、曲げの角度があまりに小さくなるのを避けることができるように、セパレータプレートの材料が、バリア要素の平面から凹部の平面へと再形成される。
【0016】
少なくともバリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部は、バリア要素の縁部に対して離れていてもよい。
【0017】
少なくともバリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部は、細長い形状を有することができる。さらに、凹部は、ビード、またはビードの主延在方向に対して平行に、または本質的に平行に整列することができる。本明細書では、ビードの主延在方向とは、そのバリア要素の最も近くに位置するビードまたはビード部分の主延在方向を意味すると理解されたい。
【0018】
少なくともバリア要素のうちの1つまたは複数に関しては、凹部は、少なくとも一部分では、セパレータプレートの後面上の活性領域の後面とビードの内部との間の連結部の、セパレータプレートの平坦面に対して垂直に画定される断面を、少なくとも50パーセントまで、好ましくは少なくとも70パーセントまで、特に好ましくは少なくとも90パーセントまで縮小するような方式で形成されてもよく、上記連結部はバリア要素によって形成される。
【0019】
バリア要素のうちの少なくとも1つまたは複数は、活性領域または分配領域まで、またビードまで延びていてもよい。バリア要素がビードまで延びている場合、バリア要素は、ビードの直接的な連続部として形成することができ、したがって、活性領域と向き合うかまたは分配領域と向き合うビード下部、すなわちバリア要素は、バリア要素の領域において、ビードの主延在方向に対して横切る方向に、互いの上にとどまらない。他方では、活性領域、または分配領域のうちの1つと向き合うビード下部が互いの上にとどまる領域が、ビードの主延在方向に沿って2つのバリア要素の間に配置されることが好ましい。
【0020】
バリア要素のうちの少なくとも1つまたはいくつかは、少なくとも部分的に、ビードの主延在方向に対して横方向に整列していてもよい。
【0021】
バリア要素のうちの少なくとも1つまたは複数は、セパレータプレートの平坦面に対して垂直に画定される各バリア要素の断面がビードに向かって、とりわけ好ましくは少なくとも50パーセントまで、特に好ましくは少なくとも70パーセントまで漸減するような方式で形成されてもよい。たとえば、断面は、セパレータプレートの平坦面に対して平行な方向に沿って、好ましくはビードまたは主延在方向に対して平行な方向に沿って漸減することができる。たとえば、少なくともバリア要素のうちの1つまたはいくつかに関しては、漸減は、階段状に実施されてもよい。
【0022】
互いに隣接するバリア要素のうちの少なくともいくつかは、好ましくはビード、またはビードの主延在方向に対して平行に整列している連結部により、互いに連結されてもよい。
【0023】
セパレータプレートは、第1の貫通開口を完全に包含するポートビードをさらに備えることができる。
【0024】
セパレータプレートは前述の第2の貫通開口を備えるので、第2の貫通開口を完全に包含する第2のポートビードをさらに備えてもよい。
【0025】
本明細書では、少なくとも1つのポートビードは、冷却剤がポートビードに対して横方向に狙い通りに通過することを可能にする貫通構造体を備えてもよい。こうした構造体は、たとえば本出願人のDE10248531B4、DE202015104972U1、およびDE202015104973U1から知られている。
【0026】
セパレータプレートは、活性領域、または場合によっては存在する分配領域からビードまで連続的に、活性領域の後面に沿った冷却剤の流れ方向に対して横方向に延在する、前述のタイプの少なくとも1つの凹部を備えることができる。
【0027】
セパレータプレートのバリア要素は、ビードまたはビードの主延在方向に対して平行に、連続して配置することができる。この場合、活性領域、または場合によっては存在する分配領域からビードまで連続的に延在する前述の凹部は、具体的には、分配構造体と向き合うこの列の端部に配置することができる。
【0028】
セパレータプレートは、凹部がない、前述のタイプの少なくとも1つのバリア要素を備えることができる。
【0029】
セパレータプレートは、たとえば金属シートから、好ましくはステンレス鋼シートから形成することができる。ビードおよび/またはポートビード、活性領域の構造体、場合によっては存在する1つまたは複数の分配領域の構造体、バリア要素、ならびに凹部は、たとえば、セパレータプレートにエンボス加工されてもよい。
【0030】
前述のタイプの第1のセパレータプレートと第2のセパレータプレートとを備える電気化学システム用のバイポーラプレートがさらに提案され、両方のセパレータプレートは互いに連結され、2つのセパレータプレートの第1の貫通開口は、位置合わせされて、バイポーラプレートの第1の貫通開口を形成するように配置され、2つのセパレータプレートは、バイポーラプレートに冷却剤を導くための空洞を囲み、バイポーラプレートの第1の貫通開口は空洞と流体連結している。
【0031】
バイポーラプレートの2つのセパレータプレートは、さらに、前述の第2の貫通開口をそれぞれ備えることができる。この場合、2つのセパレータプレートの第2の貫通開口は、位置合わせされて、バイポーラプレートの第2の貫通開口を形成するように配置され得る。この場合、バイポーラプレートの第2の貫通開口も、通常は、2つのセパレータプレートによって囲まれる空洞と流体連結している。具体的には、第1の貫通開口および第2の貫通開口のうちの一方は入口として使用され、他方は同じ媒体用の出口として使用される。
【0032】
第1のセパレータプレートのバリア要素と、第2のセパレータプレートのバリア要素とは、少なくとも局所的に重なるように配置され得る。この場合、第1のセパレータプレートのバリア要素の凹部と第2のセパレータプレートのバリア要素の凹部とは、バイポーラプレートの平坦面に対して平行に、少なくとも部分的にオフセットして配置されてもよく、したがって、バイポーラプレートの平坦面への平行な突起部を考慮すれば、一致することはない。別法として、または追加的に、第1のセパレータプレートのバリア要素の凹部と第2のセパレータプレートのバリア要素の凹部とは、少なくとも部分的に重なるようにも配置され、したがって、バイポーラプレートの平坦面への平行な突起部を考慮すれば、少なくとも部分的に一致する。
【0033】
2つのセパレータプレートの間に囲まれる空洞は、第1の部分空間および第2の部分空間を備えることができ、第1の部分空間は、第1のセパレータプレートの活性領域の後面と第2のセパレータプレートの活性領域の後面との間に囲まれ、第2の部分空間は、第1のセパレータプレートのビードと第2のセパレータプレートのビードとの間に囲まれる。したがって、セパレータプレートのそれぞれにおける第2の部分空間は、活性領域の、互いに対向して位置する両側を通る、2つのビード部分を含むことができる。この場合、バイポーラプレートの第1の貫通開口とバイポーラプレートの第2の貫通開口とは、第1の部分空間を含む第1の流体連結部を介して連結することができ、バイポーラプレートの第1の貫通開口とバイポーラプレートの第2の貫通開口とは、第2の部分空間を含む第2の流体連結部を介して連結することができる。したがって、第1の流体連結部は、通常、活性領域を所望のように冷却するように機能する主たる冷却剤の流れを案内し、または導くように機能する。第2の流体連結部は、ビード内部への望ましくない実際の流れを導き、冷却剤は、活性領域を冷却するために利用され得ない。この場合、第1の流体連結部の最小断面A1,minは、第2の流体連結部の最小断面A2,minよりも大きいことが好ましい。本明細書では、好ましくは、たとえばA1,min≧5×A2,min、好ましくはA1,min≧10×A2,min、特に好ましくはA1,min≧15×A2,minである。ここで、電気化学システムを効率的に冷却するには、ビード内部は少なくとも部分的に冷却剤で満たすことができるが、ビード内部での著しい冷却剤の流れがなく、したがってビード内部の冷却剤は準静的であり、したがって第1の貫通開口から供給された冷却剤が、場合によっては分配領域を介して活性領域の後面へと独占的に、またはほぼ独占的に導かれ得、活性領域の後面を介して第2の貫通開口へと流れることが有利である。
【0034】
最後に、前述のタイプの複数のバイポーラプレートを備える電気化学システムが提案され、システムのバイポーラプレートは、スタックに配置される。普通、スタックの隣接するバイポーラプレートの間に膜電極接合体(MEA)が配置される。隣接するバイポーラプレートの活性領域におけるMEAは、それぞれアイオノマーと、好ましくは少なくとも1つのガス拡散層とを含むことができる。MEAは、MEAに隣接するバイポーラプレートのバリア要素および凹部と少なくとも局所的に重なる補強縁部領域もそれぞれ備えることができる。したがって、先行技術に関して、MEA設計の変更は必要とされない。バイポーラプレートの封止要素はMEA上に位置し、バリア要素は、バイポーラプレートの表面に対して垂直な方向に、MEAに対してわずかに離れている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の一実施形態例を各図に示し、またこの後の説明によってより詳細に説明する。本明細書では、複数の特徴を互いに組み合わせて示す。しかし、後述の特徴のうちの個々の特徴は、さらに、例の別の特徴とは独立して本発明を形成することもできる。さらに、これ以降、同等かまたは同様の要素には同じかまたは同様の参照符号が与えられており、したがって、好ましくはその説明は繰り返されない。
【0036】
図1】積層された複数のバイポーラプレートを備える、本発明による電気化学システムの概略的な斜視図である。
【0037】
図2】先行技術から知られているバイポーラプレートの概略的な平面図である。
【0038】
図3図1のシステム1の細部の概略的な断面図である。
【0039】
図4A】本発明によるバイポーラプレートの細部の概略的な平面図である。
【0040】
図4B図4Aの詳細Aによる細部を示す図である。
【0041】
図4C】本発明による別のバイポーラプレートの細部の概略的な平面図である。
【0042】
図5A】概略をよりよく示すために、図4Aおよび図4Bに示した細部を描写していない、本発明によるバイポーラプレートの概略的な平面図である。
【0043】
図5B】本発明によるバイポーラプレートの平面図の細部を示す図である。
【0044】
図6A図4Aおよび図4Bのバイポーラプレートの概略的細部の断面図である。
図6B図4Aおよび図4Bのバイポーラプレートの概略的細部の断面図である。
図6C図4Aおよび図4Bのバイポーラプレートの概略的細部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、本発明によるスタック32を備えた電気化学システム1が示してあり、このスタック32は、z方向6に沿って積層されて2つのエンドプレート3、4の間にクランプされた、構造的に同一の複数のバイポーラプレート2を備える。これらのバイポーラプレートは、この文書ではセパレータプレートとも呼ばれる、互いに連結された2つの別個のプレートをそれぞれ備える。この例では、システム1は燃料電池スタックである。したがって、このスタックの2つの隣接するバイポーラプレートは、それらの間に、たとえば化学エネルギーを電気エネルギーに変換するように機能する電気化学セルを封入する。電気化学セルは、普通、膜電極接合体(MEA)およびガス拡散層(GDL)をそれぞれ備える。代替の実施形態に関しては、システム1は、電気分解装置、圧縮機、またはレドックスフロー電池としても同様に構成することができる。これらの電気化学システムにおいても、バイポーラプレートを使用することができる。これらのバイポーラプレートの構造は、バイポーラプレート上に、またはバイポーラプレートを通って導かれる媒体が異なり得る場合でも、ここでより詳細に説明するバイポーラプレートの構造に対応する。
【0046】
z軸70は、x軸80およびy軸90とともに右手デカルト座標系を張る。エンドプレート4は複数の媒体連結部5を備え、媒体連結部5を介してシステム1に媒体を供給し、またシステム1から外に媒体を導くことができる。システム1に供給され、システム1から外に導かれ得るこれらの媒体は、たとえば分子水素またはメタノールなどの燃料でもよく、空気または酸素などの反応ガスでもよく、水蒸気などの還元生成物でもよく、水および/またはグリコールなどの冷却剤でもよい。
【0047】
図2には、先行技術から知られており、たとえば図1の電気化学システムに関連するシステムにおいて使用することができるバイポーラプレート10の詳細が示してある。バイポーラプレート10は、実質的に互いに接合された2つの別個のプレート、すなわちセパレータプレート10a、10bから形成され、図2では、このうち、第2のセパレータプレート10bを覆っている第1のセパレータプレート10aだけが見えている。セパレータプレート10a、10bは、金属シートから、たとえばステンレス鋼シートからそれぞれ製造することができる。セパレータプレート10a、10bは、互いにぴったりと重なって、バイポーラプレート10の貫通開口11a、11b、11cを形成する貫通開口を備える。バイポーラプレート10の方式で複数のバイポーラプレートを積層すると、貫通開口11a~cは、スタック32を通じて積層方向6(図1参照)に延在する導管を形成する。通常、貫通開口11a~cによって形成される導管のそれぞれは、システム1のエンドプレート4の媒体連結部5のうちの1つと流体連結している。たとえば、貫通開口11a、11bによって形成される導管は、燃料電池スタックの電気化学セルに燃料および反応ガスを供給するように機能する。一方、冷却剤は、貫通開口11cによって形成される導管を介して、スタック32に導入することができる、またはスタック32から外に導くことができる。
【0048】
スタックの内部および周囲に対して貫通開口11a~cを封止するために、第1のセパレータプレート10aは、貫通開口11a~cの周りにそれぞれ配置されて貫通開口11a~cをそれぞれ完全に包含するビード12a、12b、12cを備える。図2を見る人から見えないバイポーラプレート10の後面の第2のセパレータプレート10bは、貫通開口11a~cを封止するための対応するビード(図示せず)を備える。
【0049】
バイポーラプレート10の電気化学的活性領域8では、第1のセパレータプレート10aは、図2を見る人と向き合うその前面に、セパレータプレート10aの前面に沿って媒体を導くための構造体を備えた流れ場17を備える。これらの構造体は、たとえば複数のウェブと、ウェブの間に配置されたチャネルとを備える。図2には、バイポーラプレート10の前面の活性領域8の詳細のみが示してある。第1のセパレータプレート10aは、図2を見る人と向き合うバイポーラプレート10の前面に、セパレータプレート10aの前面に沿って媒体を導くための構造体を備えた分配または回収領域20をさらに備え、通常はこれらの構造体も同様に、ウェブと、ウェブの間に配置されたチャネルとを備える。
【0050】
分配または回収領域20は、貫通開口11bと活性領域8との間に流体連結部を作り出す。したがって、分配または回収領域20のチャネルは、ビード12bを通る貫通部13bを介して、貫通開口11bと流体連結している、または貫通開口11bによって形成される、スタックを通る導管と流体連結している。したがって、貫通開口11bに導かれた媒体は、ビード12bの貫通部13b、および分配または回収領域20のチャネルを介して、バイポーラプレート10の活性領域8の流れ場17のチャネルへと導かれ得る。
【0051】
貫通開口11a、または対応する方式で貫通開口11aによって形成される、プレートスタックを通る導管は、分配および回収領域に流体連結しており、また分配および回収領域を介して、図2を見る人から見えないバイポーラプレート10の後面の流れ場に流体連結している。一方、貫通開口11c、または貫通開口11cによって形成されるスタックを通る導管は、セパレータプレート10a、10bによって囲まれるかまたは包含されてバイポーラプレート10に冷却剤を導くように構成された空洞22と流体連結している。
【0052】
最後に、第1のセパレータプレート10aは、流れ場17、分配または回収領域20、および貫通開口11a、11bの周辺に存在して、これらを、貫通開口11c、すなわち冷却剤回路に対して、かつシステム1の周囲に対して封止する別のビード12dをさらに備える。図2に示され、先行技術から知られているバイポーラプレート10に関しては、ビード12dは、バイポーラプレート10に冷却剤を導くように構成された貫通開口11cを包含しない。むしろ、ビード12dは、貫通開口11cと、活性領域8または流れ場17との間の部分を通る。これにより、場合によっては、貫通開口11cから入ってきた冷却剤がセパレータプレート10a、10bの間の空洞22へと導かれて、具体的には活性領域8を冷却するための活性領域8の後面へと導かれて、ビード12dによってセパレータプレート10aの後面に形成されたビード内部21に入ることになり得る。このことは、ビード内部21に入った冷却剤がビード12dの進路を部分的にたどりながら、活性領域8の流れ場17の周りに導かれ、活性領域8を冷却するために利用できなくなるという、望ましくない影響を及ぼす場合がある。本発明の主題は、この望ましくない影響およびその不利な結果を完全にまたは少なくとも部分的に防止する、改善されたセパレータプレートまたはバイポーラプレートである。
【0053】
貫通開口11bから活性領域8の流れ場17へと導かれるべき媒体が、流れ場17を越えてビード12dに沿い、ビード12dと流れ場17との間を流れるのを防止するために、セパレータプレート10は、ビード12dの進路をたどりながら、ビード12dと活性領域8の流れ場17との間に一定の間隔をあけて配置された複数のバリア要素18をさらに備える。単に概略をよりよく示す目的で、図2では、バリア要素18のうちのいくつかだけに参照符号を与えている。セパレータプレート10の後面では、バリア要素18により、活性領域8の後面と前述のビード12dの内部21との間に、望ましくない流体連結部が部分的に形成される場合がある。場合によっては、冷却剤が活性領域8の後面からこれらの流体連結部を介してビード内部21へと入ることがあり、この場合、冷却剤は活性領域8の冷却に寄与することができない。この望ましくない影響も、ここに提案されるセパレータプレートまたはバイポーラプレートの改善によって、完全にまたは少なくとも部分的に排除することができる。
【0054】
図3は、図1の本発明のシステム1の内部構造の概略的な細部、具体的にはx-z平面に沿って燃料電池スタックを通る断面図を示す。ここでは、少なくとも1つのセル(燃料電池)14が提供され、上記燃料電池はイオン伝導性高分子膜140を備え、少なくとも電気化学的活性領域8においては、このイオン伝導性高分子膜140の両面に触媒層141、142が設けられる。さらに、燃料電池14が間に配置された、いくつかのバイポーラプレート2が示されている。2つの金属層、より具体的には2つのセパレータプレート2a、2bを連結してバイポーラプレート2にするための溶接部19が、これに隣接して示されている。溶接部19は、たとえばレーザ溶接によって作成することができる。さらに、ガス拡散層15が、各バイポーラプレート2と、最も近い燃料電池14との間の領域に配置される。ここでは、ポートビード12aが、バイポーラプレート2の貫通開口11aの周辺に存在している。ポートビード12aは、貫通開口11aを封止するように機能する。貫通開口11aは、たとえば、システム1に水素を導くように機能することができる。バイポーラプレート2の縁部領域の周辺に存在するビード7は、媒体が活性領域8から外部に、またはその逆に出て行くことができないように、システム1の環境に対して電気化学的活性領域8を封止するように機能する。
【0055】
図2に示したバイポーラプレート10に対応して、本発明によるバイポーラプレート2、およびバイポーラプレート2を形成するセパレータプレート2a、2bは、たいてい6つ、場合によってはそれ以上の、整列した貫通開口を備える(図2には、こうした貫通開口が3つだけ示してある)。一方では、これらは普通、バイポーラプレート2に冷却流体を導くための少なくとも2つの貫通開口になっており、図2によるバイポーラプレート10の貫通開口11cに対応する。対応するこれらの貫通開口もそれぞれ、ポートビード12cによって囲まれる(図5Aおよび図5B参照)。さらに、図3に代表的に示されている貫通開口11aおよび11bのように、いずれの場合にも、電気化学的活性領域8に媒体を供給し、また電気化学的活性領域8から媒体を排出するための少なくとも2つの貫通開口11aおよび11bが提供され、上記貫通開口はそれぞれ、別のポートビード11a、11bによって封止される(図5Aおよび図5B参照)。さらに、図3では、ビード7によって形成されたビード内部21、およびバイポーラプレート2のセパレータプレート2a、2bによって囲まれた空洞22が強調表示されている。
【0056】
図4Aには、本発明によるバイポーラプレート2のうちの1つが示してあり、このバイポーラプレート2は、たとえば図3による連結部19の方式のレーザ溶接連結部により、2つのセパレータプレート2a、2bで互いに接合されている。2つのセパレータプレート2a、2bは、同じ特徴を有することができる。具体的には、図4Aには、バイポーラプレート2の第1のセパレータプレート2aの第1の平坦面または前面が示してある。バイポーラプレート2の第2のセパレータプレート2bは、図4Aでは、第1のセパレータプレート2aによって覆われている。セパレータプレート2a、2bはそれぞれ、ステンレス鋼シートから形成され、シートの厚みはせいぜい100μmであることが好ましい。セパレータプレート2a、2bは、バイポーラプレート2に冷却剤を導くための、すなわちバイポーラプレート2に冷却流体を導くための空洞22を囲む。空洞は、セパレータプレート2a、2bの整列した貫通開口(図4Aには図示せず)によってそれぞれ形成される、バイポーラプレート2の貫通開口と流体連結している。これらの貫通開口は、たとえば図1の媒体連結部5のうちの1つまたは複数と流体連結している。
【0057】
セパレータプレート2aは、その前面に、反応媒体を導くための構造体を備える流れ場17を有する電気化学的活性領域8を備える。ここでの流れ場17の構造体は、複数のウェブと、ウェブの間に配置されたチャネルとを備える。流れ場17の構造体は、セパレータプレート2aにエンボス加工され、セパレータプレート2aと一体に形成される。活性領域8は、ビード7によって完全に包含されている。ビード7は、少なくとも部分的に蛇行した進路を有し、ビード7のうち、図4Aに示されている部分では、ビードの主延在方向77は、セパレータプレート2aの外縁部、またはバイポーラプレート2の外縁部の直線進路をたどる。しかし、先行技術から知られており、図2に示されているバイポーラプレート10とは異なり、ビード7は、流れ場17を備えた活性領域だけではなく、セパレータプレート2a、2bによって囲まれた空洞22と流体連結している、バイポーラプレート2の1つまたは複数の貫通開口もさらに包含する(図5A参照)。したがって、有利には、ビード7の内部21への、冷却剤の望ましくない流れを防止または抑制することができる。ビード7は、セパレータプレート2aにエンボス加工され、セパレータプレート2aと一体に形成される。
【0058】
活性領域8の流れ場17は、分配または回収領域20を介して、セパレータプレート2a、2bの整列した2つの貫通開口(図4Aには図示せず)によって形成される、バイポーラプレート2の別の貫通開口と流体連結している。この貫通開口は、図1の媒体連結部5のうちの1つまたは複数と流体連結している。分配または回収領域20も、たとえばウェブおよびウェブの間に形成されるチャネルの形で、反応媒体を導くための構造体を備える。分配または回収領域20の構造体は、セパレータプレート2aにエンボス加工され、セパレータプレート2aと一体に形成される。空洞22と向き合うセパレータプレート2aの後面では、分配または回収領域20の構造体は、空洞22と向き合う活性領域8の後面にわたって冷却剤を分配するための分配構造体を形成する。この分配構造体は、ビード7と向き合う活性領域8の端部まで延びている。
【0059】
複数のバリア要素18が、ビード7と活性領域8の流れ場17との間に配置される。バリア要素18はそれぞれ、セパレータプレート2aにエンボス加工され、セパレータプレート2aと一体に形成される。バリア要素18は、反応媒体がビード7に沿ってビード7と活性領域8の流れ場17との間を、活性領域8を越えて流れることを完全にまたは部分的に防止するように機能する。バリア要素18は、活性領域18からビード7まで延在する。具体的には、バリア要素18、またはバリア要素18のうちの少なくともいくつかは、それぞれ活性領域8の構造体まで、かつビード7まで延びている。たとえば、バリア要素18は、ビード7、および活性領域8の構造体と一体化することができる。
【0060】
バリア要素18は、ビード7またはビード7の主延在方向77に対して横方向に延在し、活性領域8を通る反応媒体の流れ方向に対して横方向に、または活性領域8のウェブおよびチャネルの進行方向に対して横方向に延在する。バリア要素18、またはバリア要素18のうちの少なくともいくつかは、ビード7の進路たどりながら、一定の間隔をあけて連続して配置される。バリア要素18の最大高さは、通常は活性領域8の構造体の最大高さよりも高く、ビード7の最大高さよりも低く、バリア要素18の高さ、活性領域8の構造体の高さ、およびビード7の高さは、セパレータプレート2またはバイポーラプレート2の平坦面に対して垂直な方向に沿ってそれぞれ規定される。
【0061】
じかに隣接するバリア要素18、またはじかに隣接するバリア要素18のうちの少なくともいくつかは、活性領域8と向き合う端部において、互いに連結されるか、または互いに一体化する。このように、活性領域8と向き合うバリア要素18の端部は、ビード7に対して平行に、かつ活性領域8のチャネルに対して平行に通る、一定の高さの平らなウェブを形成する。このことは、たとえばMEAの好ましくは補強縁部領域が、バリア要素18の領域において図1のスタックの隣接するバイポーラプレート2の間に受けられ、押圧される場合に有利になり得る。
【0062】
バリア要素18の前述の設計の望ましくない副次的影響は、空洞22と向き合うセパレータプレート2aの後面において、バリア要素18、またはそのうちのいくつかにより、活性領域8の後面とビード7の内部21との間に流体連結部が形成されることにある場合がある。場合によっては、冷却剤がこの流体連結部を介して活性領域8の後面からビード内部21へと進む場合があり、この場合、冷却剤は活性領域8を冷却するのに役立つことができないか、または不十分な程度までしか役立つことができない。
【0063】
活性領域8の後面から離れてビード内部21へと至る冷却剤のこの望ましくない流れを防止し、または少なくとも部分的に抑制するために、バリア要素18、またはそのうちの少なくともいくつかは、凹部23を備える。バリア要素18と同様に、凹部23は、セパレータプレート2aにエンボス加工され、セパレータプレート2aと一体に形成される。空洞22と向き合うセパレータプレート2aの後面にバリア要素18によって形成される後面流体連結部の断面は、バリア要素18の少なくとも局所的な凹部によって縮小することができ、したがって、活性領域8の後面から離れてビード7の内部21へと至る冷却剤の流れは、凹部23によって完全にまたは少なくとも部分的に防止される。このために、凹部23、またはそのうちの少なくともいくつかは、セパレータプレート2aの後面において活性領域8の後面とビード7の内部21との間に各バリア要素18によって形成される流体連結部の、セパレータプレート2aの平坦面に対して垂直に画定される断面を、少なくとも50パーセントまで、好ましくは少なくとも70パーセントまで、特に好ましくは少なくとも90パーセントまで縮小するような方式で形成されることが好ましい。本明細書では、縮小は、ビードの主延在方向77に対して平行な方向に変化してもよく、またこれに対して垂直にも変化してよい。
【0064】
図4Aの描写から理解され得るように、バリア要素18の凹部23は様々に設計することができる。たとえば、凹部23は、細長い形状、長方形の形状、楕円形状、十字形状、V字形状、または三角形の形状を有することができる。当然、ここに表されているもの以外の形状も考えられる。凹部23、またはそのうちのいくつかは、ビード7もしくはビード7の主延在方向に対して平行に、または活性領域8のチャネルの進路に対して平行に整列していてもよく、すなわち、その最も長い延在部がこれらに対して平行になっていてもよい。
【0065】
図4Aでは、凹部23のうちの大半は、バリア要素18の縁部に対して離れており、具体的にはビード7および活性領域8に対して離れている。この場合、バリア要素18は、少なくとも縁部領域においてその最大の高さ、またはほぼ最大の高さを有し、それにより、バリア要素18は、凹部23にかかわらず、反応媒体が活性領域8を迂回することを防止する。しかし、凹部23またはそのうちのいくつかが、各バリア要素23の幅または長さ全体にわたって延在することも考えられる。したがって、ビード内部21への冷却剤の流れを、特に効率的な方式で防止または抑制することができる。
【0066】
たとえば、18'で特徴付けられ、ビード7まで延びていないバリア要素は、バリア要素18'の延在部全体にわたってビード7に対して横方向に、かつ活性領域8のチャネルの進行方向に対して横方向に延在する凹部23'を備える。したがって、セパレータプレート2aは、凹部23'の領域では、活性領域8からビード7まで連続的に凹型になっている。バリア要素18'および凹部23'は、バリア要素18の列の端部に配置され、上記端部は、分配または回収領域20の後面では分配構造体と向き合う。凹部23'により、分配または回収領域20の後面の分配構造体から来る冷却剤が、セパレータプレート2aの後面にバリア要素18によって形成されるチャネルまたは流体連結部へと流れるのを完全にまたは少なくとも部分的に防止することができる。第2のセパレータプレート2bは、対応する凹部23'を同じ場所に備えることができ、したがって、第1のセパレータプレート2aの凹部23'と第2のセパレータプレート2bの対応する凹部23'とは互いに接触して、冷却剤がビード7と活性領域8との間の領域へと流れることを可能な限り防止する。
【0067】
さらに、18''で特徴付けられるバリア要素は、バリア要素18''の幅全体にわたってビード7に対して平行に、かつ活性領域8のチャネルに対して平行に延在する凹部23''を備える。この場合にも、第2のセパレータプレート2bは、対応する凹部23''を同じ場所に備えることができ、したがって、第1のセパレータプレート2aの凹部23''と第2のセパレータプレート2bの対応する凹部23''とは互いに接触して、冷却剤がこの場所でビード内部21へと流れることを可能な限り防止する(図6A参照)。
【0068】
セパレータプレート2aは、両方のタイプの凹部23、すなわち各バリア要素18の幅全体にわたって延在する凹部と、各バリア要素18の縁部から離れている凹部とを有するバリア要素18を備えることが好ましい。
【0069】
図4Bには、詳細Aによる、図4Aに示されたセパレータプレート2aまたはバイポーラプレート2の細部が示してある。特に、図4Bでは、活性領域8の流れ場まで、かつビード7まで延びているバリア要素18、18''は、活性領域8から離れると、領域24では本質的に階段状にビード7に向かって漸減することが理解される。バリア要素18、18''は、漸減領域24では凹型になっていないことが好ましい。図4Aおよび図4Bでは、セパレータプレート2aの後面にバリア要素18、18''によって形成される流体連結部の、セパレータプレート2aの平坦面に対して垂直に、ビード7の進行方向に対して平行に画定される断面は、領域24において約80パーセントまで縮小される。代替の実施形態に関しては、領域24のこの断面は、少なくとも50パーセントまで、または少なくとも90パーセントまで漸減してもよい。領域24での断面の漸減も、セパレータプレート2aの後面でビード内部21へと至る、冷却剤の望ましくない流入を抑制することに寄与し得る。
【0070】
2つのセパレータプレート2a、2bの間に囲まれる空洞22は、第1の部分空間および第2の部分空間を備えることができ、第1の部分空間は、第1のセパレータプレート2aの活性領域8と第2のセパレータプレート2bの活性領域との間に囲まれ、第2の部分空間は、第1のセパレータプレート2aのビード7と第2のセパレータプレート2bの対応するビードとの間に囲まれる。冷却剤供給用の各貫通開口11cは、第1の流体連結部および第2の流体連結部をそれぞれ介して連結され得、第1の流体連結部は第1の部分空間を含み、第2の流体連結部は第2の部分空間を含む。本明細書では、第1の流体連結部の最小断面A1,minは、好ましくは第2の流体連結部の最小断面A2,minよりも大きい。具体的には、たとえばA1,min≧10×A2,min、特に好ましくはA1,min≧25×A2,minでもよい。
【0071】
図4Cには、本発明による別のバイポーラプレート2、または本発明による別のセパレータプレート2aの細部の平面図が示してあり、これらは、図4Aおよび図4Bのものと基本的には同様に構成されている。一方では、セパレータプレート2aは、反応媒体を導くための構造体を備えた流れ場17を有する電気化学的活性領域8をその前面に備える。この左には分配領域20の一部が示してあり、この分配領域では、反応媒体が、セパレータプレート2aの図示されている第1の平坦面上で、図示されていない貫通開口から流れ場17へと、またはその逆に導かれる。一方、分配領域20の後面では、冷却剤が、同様に図示されていない貫通開口から流れ場17の後面へと、またはその逆に導かれる。ここでは、バリア要素18''、18'''がビード7と活性領域8との間に配置され、バリア要素18および18'が分配領域20とビード7との間に配置されている。活性領域8の後面または分配領域20からビード7の内部21へと冷却剤が流れるのを防止し、または少なくとも大幅に制限する凹部23、23'、23''、23'''が、これらすべてのバリア要素18、18'、18''、18'''の領域に設けられている。特に、凹部23'が、その形状に関して、関連付けられたバリア要素18'の形状に適合されていることは、凹部23'によって明らかである。
【0072】
図5Aには、セパレータプレート2a、2bを備えたバイポーラプレート2の全体的な平面図がごく概略的に示してある。活性領域8の構造体と、互いに流体連結されるべき貫通開口が同じ参照符号で示されている貫通開口11a~cと、ビード7とがさらに示されている。図2による知られているバイポーラプレート10のビード12dとは異なり、本発明によるバイポーラプレート2のビード7は、活性領域8、バイポーラプレート2に燃料および反応媒体を導くための貫通開口11a~b、さらにはバイポーラプレート2に冷却剤を導くための貫通開口11cの周辺に存在している。図2によるバイポーラプレート10のように、図5Aでは、本発明によるバイポーラプレート2は追加のポートビード12a~cを備え、これらのポートビードは、貫通開口11a~cのうちのちょうど1つだけをそれぞれ包含し、貫通開口11a~cのうちのちょうど1つを封止するようにそれぞれ形成されていることがさらに理解される。図4Aおよび図4Bに既に示してきた、たとえばバリア要素18や凹部23などの、セパレータプレート2aまたはバイポーラプレート2のさらなる詳細は、概略をよりよく示す目的で図5Aには再び示していない。
【0073】
一方、機能的に等しい構造体が、本発明によるバイポーラプレートの平面図の詳細、具体的には図2に対応する詳細を示す図5Bに示してある。ここでは、長方形の凹部23が各バリア要素18に存在し、上記凹部により、活性領域8の後面からビード7の内部21への冷却剤の流れが防止され、または少なくとも大幅に制限される。図示されている詳細では、凹部23をそれぞれ備えたさらなるバリア要素18が、分配領域20の左側の領域に示されている。これにより、分配領域20の後面からビード7の内部21への冷却剤の流れが防止される。
【0074】
図6A図6Cには、本発明によるバイポーラプレート2の様々な詳細が示してあり、またいずれの場合も、図4Aおよび図4Bに示され、具体的には活性領域の後面からビード7の内部21への冷却剤の流れを防止または抑制するように機能するエンボス加工された凹部23、23''を備えるバリア要素18、18''のうちの1つの領域が特に示されている。図6A図6Cの断面は、バイポーラプレート2またはセパレータプレート2a、2bの平坦面に対してそれぞれ垂直である。図6Aには、バリア要素18''の凹部23''が互いに接触し、バリア要素18''の領域において、ビード内部21への冷却剤の流れを完全に防止することが示してある。さらに、バリア要素18、18''は部分的に重なるように配置されており、2つのセパレータプレート2a、2bの凹部23、23''は、やはり重なるように配置される場合もあり(図6A図6B)、バイポーラプレートの平坦面に対して垂直に、完全にまたは少なくとも部分的にオフセットして配置される場合もある(図6C)ことが、図6A図6Cから理解され得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C