IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TTNコーポレーションの特許一覧 ▶ 株式会社エス・ケー・ジーの特許一覧

<>
  • 特許-発光畳装置 図1
  • 特許-発光畳装置 図2
  • 特許-発光畳装置 図3
  • 特許-発光畳装置 図4
  • 特許-発光畳装置 図5
  • 特許-発光畳装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】発光畳装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20230704BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230704BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20230704BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230704BHJP
   B32B 5/00 20060101ALI20230704BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
E04F15/02 102M
E04F15/02 104A
F21S2/00 431
F21V33/00 200
B32B7/023
B32B5/00 C
B32B5/02 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019120055
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004531
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505213253
【氏名又は名称】株式会社ティティエヌコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000127857
【氏名又は名称】株式会社エレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】辻野 佳秀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 光秀
(72)【発明者】
【氏名】船橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲矢
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-150132(JP,A)
【文献】特開平08-239988(JP,A)
【文献】特開平06-026183(JP,A)
【文献】実公昭47-042649(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
F21S 2/00
F21V 33/00
B32B 7/023
B32B 5/00
B32B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電力により発光する光源を備えた発光畳装置であって、
経糸と、非透光性の第1の緯及び透光性の第2の緯とにより織られ畳表と、
前記光源からの光を前記畳表のほぼ全面に光を届かせ、人の荷重を間接的に受ける板状の導光板と、
人の荷重を間接的に受ける床面に密接する床板と、
前記畳表は、前記第1の緯及び前記第2の緯を各々複数本毎に密接させ、その複数本を交互に配置して織られていることを特徴とする発光畳装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な光源を使用し、その光源からの光により畳の表面を発光させる発光畳装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、畳を床材としてだけでなく、鑑賞を兼ねた発光式の畳装置が提案されてきている。
例えば、特許文献1には、畳床の上面全体を覆うように透光性の畳表を取り付け、かつ畳床の内部に光源を内蔵した発光機能付き畳において、畳床は、踏み板としての強度を有する頂板と頂板とほぼ同形の底板との各外周部を枠体で連結し、かつ、頂板下面と底板上面と枠体の内周面とで形成する空間内に光源を設置してなり、畳表は、表面を光学的粗面とする非透過性の第1の緯と透光性の第2の緯とを緯材として、緯同士が相互に密接するように経糸で製織してなり、更に上記光源の上方に遮光部を設け、光源から斜めに当たった光の少なくとも一部が第2の緯を透過して第1の緯の表面に当たって散乱するよう にした発光畳装置の発明が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-150132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の発光畳装置では、LEDからの光を拡散するために、内部に空洞の部分が設けられている。そのため、発光畳装置は、畳全体に人の体重がかかっても耐えるだけの構造としなければならず、光が進行する内部に、補強板として縦板と横板が設けられている。その横板、縦板等はLEDの光が拡散するのに障害となり、畳中央まで光が届かないという欠点があった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するために、人の荷重がかかっても畳全体の強度を保持しつつ、光源からの光を発光畳装置全体に均一に拡散させ、発光畳装置全体を発光させる発光畳装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
供給される電力により発光しケースに収納する発光ダイオードを配置した基板部と、少なくとも前記発光ダイオードを密封状態に封止する封止部材と、前記封止部材と前記発光ダイオードとの間に空間を設けた空間部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、封止部材が密着し防水性能を高めるだけでなく、発光ダイオードの色温度を損なうことなく密封することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の発光畳装置の全体の斜視図である。
図2】実施形態の発光畳装置の構成を示す説明図である。
図3】実施形態の発光畳装置の図1におけるA-A線で切断した際の端面図である。
図4】実施形態の発光畳装置の畳表の構成を示す説明図である。
図5】実施形態の発光畳装置の発光する様子を示す説明図である。
図6】実施形態の複数の発光畳装置を並べた様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明にかかる発光畳装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0010】
<発光畳装置の構造>
発光畳装置1の構成を図1乃至図4を参照し説明する。図1は、実施形態の発光畳装置1の全体の斜視図である。図2は、実施形態の発光畳装置1の構成の概要を示す説明図である。図3は、実施形態の発光畳装置1の図1におけるA-A線で切断した際の端面図である。図4は、実施形態の発光畳装置1の畳表10の構成を示す説明図である。
【0011】
発光畳装置1は、図1に示すように畳表10を表面に敷設し、交流100Vを直流の24V、12V若しくは5Vに変換した電力を供給する電源に接続する配線42を設けている。尚、光源L(図3)に供給する電力は、交流から所望する直流電圧へ光源L(図3)に合わせて適宜変換が可能である。また、直流のLED配線42は、後述する図3に示すLED基板43と接続している。
【0012】
発光畳装置1は、図2に示すように畳表10、第1中敷き20、第2中敷き30、発光ユニット40、第3中敷き50及び床板60から構成されている。また、後述する発光ユニット40は、4辺を発光枠体41により囲まれた導光板44を備えている。
【0013】
図2又は図3に示す第1中敷き20は、厚さ2mmのポリエチレンの乳白色の透光性のある発泡シートである。第1中敷き20は、畳表10の裏面にあるクッション材としての役割を持っており、足に負担のかからないように、人が歩くときの衝撃を和らげるための床の硬さを調整する素材である。第1中敷き30は、導光板44の保護も兼ねている。乳白色等の第1中敷き20は、導光板44からの光を拡散する作用もある。
【0014】
図2又は図3に示す第2中敷き30は、厚さ1mmのポリエチレンの透明又は半透明の透過性のあるフイルム状のシートである。第2中敷き30は、第1中敷き20の裏面にあるクッション材としての役割を持っており、足に負担のかからないように、人が歩くときの衝撃を和らげるための床の硬さを調整する素材である。第2中敷き30は、導光板44の保護も兼ねている。透明又は半透明の第1中敷き20は、導光板44からの光を透過させている。
【0015】
図2又は図3に示す発光ユニット40は、厚さ3mmから8mmのアクリル材等で形成される導光板44の4辺を囲むよう、C型の金属で形成された発光枠体41が設けられている。また、また発光枠体41の内側に、複数の発光ダイオード等の光源Lを搭載したLED基板43が貼り付けられている。
【0016】
導光板44は、側面から光源Lの光を入射して裏面に設けられる拡散ドット45により前面の畳表10の方向に光を拡散させて、発光畳装置1の全面を均一に光らせている。また、板状の導光板44を設けることにより、人の体重を導光板44に受けて荷重を分散させて全面に均一に、下の床板60に伝えるようにしている。
【0017】
尚、拡散ドット45は、導光板44の一面に四角錐状に穴が設けられているが、四角錐だけでなく円錐、直方体等の立方体であっても良く、また導光板44の両面に設けても良い。また、拡散ドット44は、レーザ等で導光板44内部に刻まれるドットだけでなく、溝状の拡散する模様であっても良い。また、拡散ドット45は、アクリル等の板にシルクスクリーン印刷等による拡散する模様を印刷しても良い。
【0018】
尚、導光板44は、ポリメタアクリル酸メチル樹脂で説明したが、ポリカーボネート又はABS等であっても良く、側面から入射した光源Lの光を全面で均一に発光する材料であれば良い。また、発光枠体41は、LED基板43からの熱を放熱できる材質であって、適度な強度を備えた、カーボン等を含んだ放熱用樹脂、鉄、アルミニュウム及びステンレスの材料であれば良い。
【0019】
尚、本発明の実施形態では光源Lを複数の発光ダイオードを使用した例を示したが、発光ダイオードは単体であっても良い。また、発光ダイオードは、単色に限らずフルカラーであっても良い。更に、発光ダイオードに限らず有機EL、冷陰極管等の光を発する光源Lであれば良い。
【0020】
また、発光枠体41の4辺にLED基板43を設けたが、発光畳装置1の長さ又は幅に応じて発光枠体41の1辺から4辺までLED基板43を備える箇所については適宜変更が可能である。
【0021】
第3中敷き50は、導光板44にかかる荷重を分散させ、その荷重を床板60に伝えるために2mmの木材等の植物繊維により形成している。第3中敷きは、床板60に接し、クッション性を兼ねている。
【0022】
床板60は、厚さ7mmから55mmのポリエチレン又はポリスチレンフォーム等の材料により板状に成形されている。床板60は、床面に接しクッション性を兼ねた土台となっている。
【0023】
図3に示すように第1中敷き20、第2中敷き30、発光ユニット40、第3中敷き50及び床板60を、畳表10で包み、その畳表10を裏面で床板60に固定することにより、これら構成部品を一体とし発光畳装置1を構成する。
【0024】
次に、畳表10について図4を参照し説明する。畳表10は、経糸15に対して第1の緯11と第2の緯12で織られている。図4(B)に示すように経糸15に対して第1の緯11又は第2の緯12が交互に絡み合って織られている。
【0025】
経糸15及び第1の緯11は、透光性のない黒色に着色された和紙、ポリプロピレン又はPET等で形成されている。また、第2の緯12は、透過性のあるポリプロピレン又はPET等の内部が中空のストロー状に形成されている。図4(A)に示すように、第1の緯11及び第2の緯12は密接している。
【0026】
第1の緯11及び第2の緯12は密接しながら2本毎に交互に配列されている。この配列により、発光時に明暗の差がはっきりし、デザイン性のある発光畳装置1を構成する。
尚、本実施例では、目セキ織で説明したが、六重織、四重織、三重織、新袋織、中目織、掛川織、大目織、双目織、及び引目織等であっても良い。
【0027】
次に、発光畳装置1の発光する作用について図5を参照し説明する。発光畳装置1は、光源Lからの光(H1・H2)を導光板44の側面から入射し拡散ドット45により、前面の畳表10の方向に光を拡散させている。拡散した光(H1・H2)は、第1中敷き20、第2中敷き30を通過し、第1の緯11及び第2の緯12に入射される。
【0028】
その入射された光(H1・H2)の内、光H1は、第1の緯11により遮蔽され、光H2は、第2の緯11を透過し発光畳装置1全体が均一に発光する。そして、発光畳装置1は、第1の緯11及び第2の緯12の遮蔽及び透過により明暗差を付けながら全体が均一に発光する。
【0029】
また、発光畳装置1は、乳白色の透光性の第1中敷き20により、導光板44の拡散ドット45から発光する光の強さ緩和させ、柔らかな光となって発光させることができる。また、第2の緯12は、内部が中空状になっているために、入射された光(H2)は、透過する光(H2)以外に、図5の拡大した箇所に示すように第2の緯12の内部で拡散又は屈折する光(H3)もあり、更に柔らかな光になっている。
【0030】
(発光畳装置の応用例)
図6は、発光畳装置1aを複数配置して構成した一例の図である。一般的な部屋100には、複数の発光畳装置1aが敷設されるので、それに合わせてLED基板43(図3)を搭載した発光枠体41aを各々設けている。尚、図6は、LED基板43(図3)を搭載した発光枠体41aのみを現しているが、LED基板43(図3)を搭載しない発光枠体41aにより発光ユニット40(図2又は図3)が形成され、発光ユニット40(図2又は図3)の枠を形成している。
【0031】
例えば、中央の発光畳装置1aは、4辺にLED基板43(図3)を搭載した発光枠体41aを設け、その周囲の発光畳装置1aは外周にLED基板43(図3)を搭載した発光枠体41aを各々設けている。このように、LED基板43(図3)を搭載した発光枠体41aを配置することにより、畳表10aの表面から効率よく部屋100内を発光させることが可能である。
【0032】
尚、以上の発光畳装置1・1aに使用される材料は、シックハウス等を考慮しホルムアルデヒドの室内環境基準値(0.08ppm(30分平均))以下の素材が使用されている。
【0033】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0034】
<第1の特徴点>
供給される電力により発光する光源(例えば、主にLED等の光源L)を備えた発光畳装置(例えば、主に発光畳装置1、1a)であって、経糸(例えば、主に経糸15)と、透光性の第1の緯(例えば、主に第1の緯11)及び非透光性の第2の緯(例えば、主に第2の緯12)とにより織られ畳表(例えば、主に畳表10)と、前記光源からの光を前記畳表のほぼ全面に光を届かせ、人の荷重を間接的に受ける板状の導光板(例えば、主に導光板44)と、人の荷重を間接的に受ける床面に密接する床板(例えば、主に床板60)と、を備えたことを特徴とする。
【0035】
以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、導光板により光を全面に均一に届けるだけでなく、人が歩く等の荷重がかかっても、丈夫な補強板の役割も兼ね備えている。そのため、薄くても丈夫な発光畳装置が構成できる。また、導光板からの直進する光により明暗差が付きつつも、全面が発光する発光畳装置を構成することができる。
【0036】
<第2の特徴点>
前記畳表と前記導光板との間に設けられ、透光性を有し人の荷重を前記畳表を通じて受けるクッション材(例えば、主に第1中敷き20又は第2中敷き30)を備えたことを特徴とする。
【0037】
以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、クッション材を人が歩いても足に負担がかからないように衝撃を吸収すると共に導光板に傷が生じにくいように構成されている。また、人や荷物等の荷重をできる限り分散する機能もある。
【0038】
<第3の特徴点>
前記クッション材と、前記導光板と、前記導光板とほぼ同じ大きさに設けられ前記導光板の荷重を受ける板状部材(例えば、主に第3中敷き50)及び床面に接する前記床板とを、前記畳表により一体的に構成したことを特徴とする。
【0039】
以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、多層に構成することにより人や荷物等の荷重を分散させることが可能であり、また畳表により一体的に構成したことによりコンパクトな構成とすることが可能である。
【0040】
<第4の特徴点>
前記クッション材は、前記光源からの光を拡散する素材で形成したことを特徴とする。
以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、導光板からの光を、更に拡散させることにより、発光装置の全面を均一に発光させることが可能である。
【0041】
<第5の特徴点>
前記第1の緯は、内部を中空状に形成したことを特徴とする。以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、導光板からの光を、畳表により更に拡散させることができるため、発光装置の全面を均一に発光させることが可能であると共に明暗差を付けやすくなる。
【0042】
<第6の特徴点>
前記畳表は、前記第1の緯及び前記第2の緯を各々複数本毎に密接させ、その複数本を交互に配置して織られていることを特徴とする。以上の特徴により、本発明の発光畳装置は、導光板からの直進する光により明暗差が付きつつも、全面が発光する発光畳装置を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
屋内や屋外に敷設されるマットの代替えとしての利用も可能であり、建築物の部屋だけでなくキャンピングカー、バス、飛行機、列車等の乗り物内の空間における敷物として使用も可能である。
【符号の説明】
【0044】
1・1a…発光畳装置、10、10a…畳表、11…第1の緯、12…第2の緯、
15…経糸、20…第1中敷き、30…第2中敷き、40…発光ユニット、
41、41a…発光枠体、42…配線、43…LED基板、44…導光板、
45…拡散ドット、50…第3中敷き、60…床板、100…部屋、L…光源。
図1
図2
図3
図4
図5
図6