(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】鋳鉄管用切断装置
(51)【国際特許分類】
B23D 21/00 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
B23D21/00 A
B23D21/00 D
(21)【出願番号】P 2019195042
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】509306971
【氏名又は名称】岩井 靖憲
(73)【特許権者】
【識別番号】520072763
【氏名又は名称】岩井 裕一
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【氏名又は名称】永田 貴久
(74)【代理人】
【識別番号】100192692
【氏名又は名称】谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】岩井 靖憲
(72)【発明者】
【氏名】岩井 裕一
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3193130(JP,U)
【文献】特開昭63-040061(JP,A)
【文献】特開2006-255106(JP,A)
【文献】実開平07-020278(JP,U)
【文献】特開2007-032083(JP,A)
【文献】実開昭58-017921(JP,U)
【文献】実開昭61-157584(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 15/00 - 31/04
B26B 15/00
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳鉄管を切断する鋳鉄管用切断装置であって、
前記鋳鉄管の外周の少なくとも一部を挟持するように構成される第1の挟持部材および第2の挟持部材と、
前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とによって挟持される鋳鉄管に対して当該第1の挟持部材と第2の挟持部材とが開閉可能なように接続される支点部と、
前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とにおける前記鋳鉄管を挟持する挟持部分と前記支点部を介して反対側に位置する駆動部分に配置され、当該挟持部分において当該第1の挟持部材と第2の挟持部材とが前記支点部を中心に回動するように駆動する駆動部と、
前記駆動部の両端部にそれぞれ配置され、当該駆動部と前記第1の挟持部材および第2の挟持部材とを連結するクレビスとを備え、
前記クレビスのうち少なくとも一方は、前記駆動部との距離が調整可能であ
り、
前記駆動部との距離が調整可能であるクレビスは、
前記駆動部に構成されたネジ穴部に挿入されることによって当該駆動部と当該クレビスとを連結するネジ部を含み、
前記ネジ部を回転させることによって当該ネジ部の前記ネジ穴部への挿入度合いを調整可能であることを特徴とする、鋳鉄管用切断装置。
【請求項2】
前記クレビスは、前記ネジ部を回転させるためのハンドル部を、さらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の鋳鉄管用切断装置。
【請求項3】
前記駆動部は、油圧ポンプ
を含み、
前記油圧ポンプの動作に応じて、前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とが前記挟持部分において前記支点部を中心に回動して、前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とによって挟持される鋳鉄管に対して開閉することを特徴とする、請求項1
または請求項2に記載の鋳鉄管用切断装置。
【請求項4】
前記支点部は、2つの円形状が重なるような形状に構成され、
前記2つの円形状のうち一方に留め治具が嵌入されることによって前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とが締結されることを特徴とする、請求項1乃至請求項
3のいずれかに記載の鋳鉄管用切断装置。
【請求項5】
前記2つの円形状のうち他方には前記留め治具の位置を固定させるための補助治具が嵌入されることを特徴とする、請求項
4に記載の鋳鉄管用切断装置。
【請求項6】
前記第1の挟持部材および第2の挟持部材の前記挟持部分の先端において、前記鋳鉄管の外周を挟持することを補完するための、着脱可能なソケットが配置されることを特徴とする、請求項1乃至請求項
5のいずれかに記載の鋳鉄管用切断装置。
【請求項7】
前記第1の挟持部材は、前記第2の挟持部材より小型化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の鋳鉄管用切断装置。
【請求項8】
前記第1の挟持部材は、前記第2の挟持部材より強靭に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の鋳鉄管用切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳鉄管用切断装置に関し、より特定的には、異なる径の鋳鉄管に対応可能な鋳鉄管用切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、鋳鉄管は、水道管、下水道における種々の管、ガス管、および灌漑用水管など幅広い分野に使用されている。近年では、強靭性が高く衝撃にも強いことから、ダクタイル鋳鉄管が広く普及している。
【0003】
一方で、このような鋳鉄管は、施工時および廃棄時等において、加工や切断に時間がかかるという問題があり、また、騒音および破片の飛散により作業の困難性が指摘されている。
【0004】
そこで、作用点、力点、および支点の関係を利用したシンプルな構造で、鋳鉄管を切断可能な切断装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、解体作業機に取り付けられている破砕装置においても、上記シンプルな構造が採用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3193130号公報
【文献】特開2005‐290733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の切断装置では、X部材のうち力点側に配置される駆動装置を駆動させることによって、作用点側の把持部が作用して鋳鉄管を切断するものの、概ね同じ径の鋳鉄管の切断にしか用いることができないという問題点がある。
【0007】
換言すれば、異なる径の鋳鉄管を切断する際には、それぞれ鋳鉄管の径に応じた切断装置を準備する必要があり、より利便性の高い切断装置が求められている。
【0008】
それ故に、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的の1つは、種々の異なる径の鋳鉄管であっても適合し、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断可能な鋳鉄管用切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。なお、以下の説明において、本発明の理解を容易にするために図面に示されている符号等を付記する場合があるが、本発明の各構成要素は、図面に示されているものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0010】
本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、鋳鉄管を切断する鋳鉄管用切断装置であって、前記鋳鉄管の外周の少なくとも一部を挟持するように構成される第1の挟持部材および第2の挟持部材と、前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とによって挟持される鋳鉄管に対して当該第1の挟持部材と第2の挟持部材とが開閉可能なように接続される支点部と、前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とにおける前記鋳鉄管を挟持する挟持部分と前記支点部を介して反対側に位置する駆動部分に配置され、当該挟持部分において当該第1の挟持部材と第2の挟持部材とが前記支点部を中心に回動するように駆動する駆動部と、前記駆動部の両端部にそれぞれ配置され、当該駆動部と前記第1の挟持部材および第2の挟持部材とを連結するクレビスとを備え、前記クレビスのうち少なくとも一方は、前記駆動部との距離が調整可能であることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、前記クレビスのうち少なくとも一方は、前記駆動部との距離が調整可能であるため、種々の異なる径の鋳鉄管であっても適合し、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記駆動部との距離が調整可能であるクレビスは、前記駆動部に構成されたネジ穴部に挿入されることによって当該駆動部と当該クレビスとを連結するネジ部を含み、前記ネジ部を回転させることによって当該ネジ部の前記ネジ穴部への挿入度合いを調整可能であることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、前記ネジ部の前記ネジ穴部への挿入度合いによって、クレビスと駆動部との距離を調整するため、種々の異なる径の鋳鉄管であってもより容易に適合させることができる。
【0012】
また、好ましくは、前記クレビスは、前記ネジ部を回転させるためのハンドル部を、さらに含むことを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、ハンドル部によってクレビスと駆動部との距離を調整することができるため、種々の異なる径の鋳鉄管であってもより容易に適合させることができる。
【0013】
また、好ましくは、前記駆動部は、油圧ポンプによって構成され、前記油圧ポンプの動作に応じて、前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とが前記挟持部分において前記支点部を中心に回動して、前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とによって挟持される鋳鉄管に対して開閉することを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、油圧ポンプを用いるため、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断することができる。
【0014】
また、好ましくは、前記支点部は、2つの円形状が重なるような形状に構成され、前記2つの円形状のうち一方に留め治具が嵌入されることによって前記第1の挟持部材と第2の挟持部材とが締結されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、種々の異なる径の鋳鉄管をより多く適合させることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記2つの円形状のうち他方には前記留め治具の位置を固定させるための補助治具が嵌入されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、種々の異なる径の鋳鉄管を適合させる際に、安定して動作させることができる。
【0016】
また、好ましくは、前記第1の挟持部材および第2の挟持部材の前記挟持部分の先端において、前記鋳鉄管の外周を挟持することを補完するための、着脱可能なソケットが配置されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、前記第1の挟持部材および第2の挟持部材の前記挟持部分の先端にソケットを装着するため、より径の大きい鋳鉄管であっても、当該鋳鉄管の外周を広範囲において挟持することができる。その結果、より確実に、短時間で容易に切断することができる。
【0017】
また、好ましくは、前記第1の挟持部材および第2の挟持部材の前記挟持部分の先端において取り付けられるソケットは、当該第1の挟持部材と第2の挟持部材とによって挟持される鋳鉄管の中心側に配置されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、種々の異なる径の鋳鉄管であっても、それぞれの径に応じて当該鋳鉄管の外周を挟持することができる。その結果、種々の異なる径の鋳鉄管であっても適合し、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、より確実に、短時間で容易に切断することができる。
【0018】
また、好ましくは、前記第1の挟持部材および第2の挟持部材の少なくともいずれかは、前記駆動部の端部に配置されているクレビスよりも当該駆動部側である内側に形成されてることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、小型であるため、狭い作業場であっても、利用することができる。
【0019】
また、好ましくは、前記第1の挟持部材および第2の挟持部材のうち、前記駆動部の端部に配置されているクレビスよりも当該駆動部側である内側に形成された前記第1の挟持部材および第2の挟持部材の一部は、他の部分よりも強靭に構成されていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る鋳鉄管用切断装置は、小型化であるものの、強度を維持している。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、種々の異なる径の鋳鉄管であっても適合し、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断可能な鋳鉄管用切断装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100を径の大きい鋳鉄管に適合させている様子を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100において、油圧ポンプ(駆動部)140との距離が調整可能であるクレビス(第1のクレビス150)の詳細な構造を示す拡大図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100において、支点部130が調整可能な構造を示す拡大図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置のうち、第2の挟持部材120にソケット210を装着している様子を示す拡大図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置300を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。
【0023】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100を示す図である。
図1において、鋳鉄管用切断装置100は、第1の挟持部材110と、第2の挟持部材120と、支点部130と、油圧ポンプ(駆動部)140と、第1のクレビス150と、第2のクレビス160とを備える。
【0024】
第1の挟持部材110および第2の挟持部材120は、鋳鉄管10の外周の少なくとも一部を挟持するように構成される。鋳鉄管10の径の大きさにも依るが、ここでは、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120は、鋳鉄管10の外周のうち概ね4分3程度を覆うように挟持している。なお、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120のうち、鋳鉄管10を挟持する挟持部分には、鋳鉄管10を挟持する側に複数の刃が配置されている。
【0025】
支点部130は、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とを連結している部分であり、当該支点部130を中心に第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが回動するように構成されている。換言すれば、支点部130によって、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが鋳鉄管10に対して開閉可能なように構成されている。
【0026】
油圧ポンプ(駆動部)140は、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とにおける駆動部分に配置されている。油圧ポンプ140の動作に応じて、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが挟持部分において支点部130を中心に回動する。具体的には、油圧ポンプ140
の動作に応じて、シリンダ(ピストン)141が伸長することによって、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが鋳鉄管10に対して閉じられる(
図1(A)状態⇒(B)状態)。その結果、鋳鉄管10が切断される。
【0027】
ここで、駆動部分とは、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120のうち、主に、挟持部分とは支点部130を介して反対側の部分であって、特に、油圧ポンプ140によって直接駆動される部分である。
【0028】
このように、油圧ポンプ140を用いて、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とを鋳鉄管10に対して閉じるように動作させるため、当該鋳鉄管10を鋸等で切断するのではなく、押圧するように切断している。これにより、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、また摩擦による火花も飛散することが少なく、短時間で容易に鋳鉄管10を切断することができる。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100を径の大きい鋳鉄管に適合させている様子を示す図である。ここでは、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120は、
図1で示した鋳鉄管10よりも径の大きい鋳鉄管20を挟持している。
【0030】
その際、鋳鉄管20の径の大きさに応じて、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120との距離を調整する必要がある。ここでは、油圧ポンプ140の両端に配置される第1のクレビス150および第2のクレビス160のうち、第1のクレビス150において油圧ポンプ140と第1の挟持部材110の連結部との距離を調整可能な構成としている。その結果、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120との距離を調整可能となっている。
【0031】
第1のクレビス150は、ハンドル部151およびネジ部152を含む構成であり、さらに、油圧ポンプ140のうち第1のクレビス150と連結する部分において、当該ネジ部152に対応するネジ穴部が備えられている。
【0032】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100において、油圧ポンプ(駆動部)140との距離が調整可能であるクレビス(第1のクレビス150)の詳細な構造を示す拡大図である。第1のクレビス150のネジ部152が油圧ポンプ140側に設けられたネジ穴部142に挿入されている。第1のクレビス150のハンドル部151を回転させることにより、ネジ穴部142に対するネジ部152の挿入度合いを調整する。これにより、第1の挟持部材110と油圧ポンプ140との距離を調整し、その結果、鋳鉄管20に径の大きさに応じて、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120との距離を調整している。
【0033】
図1で示したのと同様に、
図2においても、油圧ポンプ140のシリンダ(ピストン)141が伸長することによって、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが鋳鉄管20に対して閉じられる(
図2(A)状態⇒(B)状態)。その結果、鋳鉄管20が切断される。
【0034】
このように、油圧ポンプ140を用いて、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とを鋳鉄管20に対して閉じるように動作させるため、当該鋳鉄管20を鋸等で切断するのではなく、押圧するように切断している。これにより、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、また摩擦による火花も飛散することが少なく、短時間で容易に鋳鉄管20を切断することができる。
【0035】
つまり、鋳鉄管用切断装置100は、
図1に示した鋳鉄管10であっても、
図2に示した鋳鉄管10よりも径の大きい鋳鉄管20であっても、第1のクレビス150を調整することによって、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とを調整し、適合できるように構成されている。
【0036】
さらに、鋳鉄管の径がより大きい場合も想定される。当該鋳鉄管の径に応じて第1の挟持部材110と第2の挟持部材120との距離が拡がれば、支点部130近郊における第1の挟持部材110と第2の挟持部材120との距離も調整する必要がある。支点部130は、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが回動するための軸としての機能を担うため、安定した構成とする必要がある。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100において、支点部130が調整可能な構造を示す拡大図である。
図4において、支点部130は、2つの円形状が重なるような形状131に構成され、2つの円形状のうち一方に留め治具132が嵌入されている。これにより、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが締結され、当該留め治具132を軸として第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とが回動するように構成されている。
【0038】
また、2つの円形状のうち他方には留め治具132の位置を固定させるための補助治具133が嵌入されており、留め治具132がズレないように固定させている。これにより、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とを、より安定して、当該留め治具132を軸として回動させることができる。
【0039】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置100によれば、第1のクレビス150が、油圧ポンプ140との距離が調整可能であるため、種々の異なる径の鋳鉄管であっても適合し、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、異なる径の鋳鉄管に対応するために、第1のクレビス150を調整可能なクレビスとしたが、第2のクレビス160を調整可能なクレビスとしても構わないし、両方とも調整可能なクレビスとしても構わない。
【0041】
また、第1のクレビス150のネジ部152と油圧ポンプ140側のネジ穴部142とに関して、雄雌を逆にしても構わない。具体的には、第1のクレビス150にネジ穴部を設け、油圧ポンプ140に第1のクレビス150側に突出するようにネジ部を配置する構成とする。
【0042】
また、本実施形態では、駆動部は油圧ポンプ140としたが、これに限定されるものではなく、例えば、モータ等を用いたものであっても構わない。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した鋳鉄管用切断装置100に加えてソケットを装着する構成について説明する。本実施形態では、本発明の第1の実施形態に追加される点を中心に説明する。
【0044】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置のうち、第2の挟持部材120にソケット210を装着している様子を示す拡大図である。
図5において、第2の挟持部材120の先端部にソケット210を装着している様子を示しているが、第1の挟持部材110にも同じようなソケット210を装着することになる。
【0045】
このように、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120の挟持部分の先端において、鋳鉄管の外周を挟持することを補完するための、ソケット210を装着すれば、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120によって、より広い範囲において鋳鉄管の外周を覆うことになる。
【0046】
例えば、
図1に示した鋳鉄管用切断装置100では、第1の挟持部材110および第2の挟持部材120は、鋳鉄管10の外周のうち概ね4分3程度を覆うように挟持しているが、ソケット210を装着すれば、概ね鋳鉄管10の外周のほとんど全部を挟持できる。
【0047】
また、径が大きい鋳鉄管を挟持する場合において、当該径の大きさに応じたソケット210を装着すれば、当該径が大きい鋳鉄管であっても、より広範囲にその外周を覆うことができる。
【0048】
その結果、ソケット210が装着された第1の挟持部材110および第2の挟持部材120によって、より確実に、短時間で容易に切断することができる。
【0049】
また、ソケット210は、挟持される鋳鉄管の形状に適合するように、
図5に示すように、第1の挟持部材110と第2の挟持部材120とによって挟持される鋳鉄管の中心側に配置される。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した鋳鉄管用切断装置100のうち、第1の挟持部材110に代えて第1の挟持部材310を備える構成について説明する。本実施形態では、本発明の第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0050】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る鋳鉄管用切断装置300を示す図である。
図6において、鋳鉄管用切断装置300は、第1の実施形態で説明した鋳鉄管用切断装置100に比して、第1の挟持部材310を備える点で異なっている。第1の挟持部材310は、油圧ポンプ(駆動部)140の端部に配置されている第1のクレビス150よりも当該油圧ポンプ側である内側に形成されてる。これにより、鋳鉄管用切断装置300を小型化(スリム化)させることができ、狭い作業場であっても利用することができる。
【0051】
また、第1の挟持部材310の形状を小型化(スリム化)させたことにより、強度が低下する可能性があるが、当該小型化(スリム化)させた部分においては、他の部分よりも強靭に構成すると良い。さらに、強靭に構成する際は、縦補強よりも横補強とすることが効果的である。
【0052】
なお、本実施形態では、第1の挟持部材310の形状を小型化(スリム化)させたが、第2の挟持部材120の形状を小型化(スリム化)させても構わないし、両方とも小型化(スリム化)させても構わない。
【0053】
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、水道管、下水道における種々の管、ガス管、および灌漑用水管の切断等に利用可能であって、特に、径の異なる種々の管に対応する必要がある場合に有用である。
【符号の説明】
【0055】
10,20 鋳鉄管
100,300 鋳鉄用切断装置
110,310 第1の挟持部材
120 第2の挟持部材
130 支点部
131 支点部の形状
132 留め治具
133 補助治具
140 油圧ポンプ(駆動部)
141 シリンダ(ピストン)
142 ネジ穴部
150 第1のクレビス
151 ハンドル部
152 ネジ部
160 第2のクレビス
210 ソケット