(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20230704BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20230704BHJP
F24C 15/06 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/00 J
F24C15/06 B
(21)【出願番号】P 2018206289
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-10-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】佐々 ▲琢▼磨
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-035123(JP,A)
【文献】特開2018-044709(JP,A)
【文献】特開2011-052839(JP,A)
【文献】実開昭60-035121(JP,U)
【文献】特開2013-024494(JP,A)
【文献】特開昭61-280322(JP,A)
【文献】特開2009-250591(JP,A)
【文献】特開平3-13739(JP,A)
【文献】特開昭62-19624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-3/14
9/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガスバーナと、
複数の前記ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部材と、
前記フロント部材の前側に装着され、前記フロント部材の前面を覆う化粧パネルと、
複数の前記ガスバーナの各々の点火操作又は消火操作に用いられる複数の操作ボタンからなるボタン部と、
を備えたコンロであって、
前記ボタン部は、複数の前記操作ボタンが左右に並んだ構成で前記フロント部材に取り付けられるとともに、各々の前記操作ボタンの一部が前記化粧パネルの外側に露出する露出部として構成されており、
前記化粧パネルは、
前記フロント部材の
前面のうちの前記ボタン部の上側に位置する部分を覆う本体部と、
前記本体部の下縁部から下方に延びる第1延出部と、
前記本体部の下縁部から下方に延び、前記第1延出部に対して左右方向に離間して配置される第2延出部と、
左右方向に沿って延び、前記第1延出部及び前記第2延出部にそれぞれ連結される連結部と、
を備え、
前記本体部、前記第1延出部、前記第2延出部、及び前記連結部が一体的に連結された形態で、貫通孔を有する枠部が構成され、
前記ボタン部が前記貫通孔に嵌り込み、前記枠部が前記ボタン部の周囲に隣接する意匠部を構成し、
前記操作ボタンは、左右方向に沿った揺動軸を中心として揺動するように前記フロント部材に取り付けられるとともに、前記揺動軸よりも下方側に外部からの押圧操作を受ける被押圧部が設けられ、
前記被押圧部は、前記枠部に隣接する第1位置と、前記第1位置よりも後方の第2位置とに変位する構成をなしており、
前記連結部は、前記被押圧部が前記第1位置にあるときに自身の上面が当該被押圧部に対向するように配される対向部を有し、
前記対向部の前記上面は、後方となるにつれて下位置となるように傾斜し、
前記ボタン部は、左右方向に沿って延びるとともに前方に突出する形状をなす第1突出部を有し、
前記第1延出部及び前記第2延出部は、前記第1突出部の左側又は右側に連なるとともに前方に突出する形状をなす第2突出部を有し、
前記第1延出部に設けられた前記第2突出部及び前記第2延出部に設けられた前記第2突出部はいずれも、左右方向に延びる突条をなし、前記第1突出部に隣接して連なり、
前記第1延出部に設けられた前記第2突出部及び前記第2延出部に設けられた前記第2突出部は、複数の前記ボタン部の前記第1突出部とともに前記コンロの前面において左右方向に延びる突条のデザインの一部を構成し
、
前記本体部には、前記貫通孔寄りの位置に前記フロント部材に係止される第1の係止部が設けられ、
前記連結部には、前記フロント部材に係止される第2の係止部が設けられ、
前記貫通孔の上方に前記第1の係止部があり、
前記貫通孔の下方且つ前記対向部の下方に前記第2の係止部があり、
前記第1の係止部及び前記第2の係止部は、前記化粧パネルの後面側において後方に延びるとともに、先端側に折れ曲がり部が形成されてなり、全体として係止爪として構成されている
コンロ。
【請求項2】
前記第1延出部と前記第2延出部のうち少なくとも一方は、前記フロント部材の
前面より左右方向に張り出している
請求項1に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロ本体の前面に前方に突出して左右方向に延びる形の意匠を施したコンロが知られている。例えば、特許文献1に開示されるコンロでは、コンロ本体2を側面から見た場合に、意匠パネル7の第1パネル30の膨出部33の面と、点火スイッチ71,72の面と、取っ手5Aの面と、意匠パネル8の第1パネル50の膨出部53の面と、点火スイッチ81,82の面とが互いに同一の位置に揃っているので、ビルトインコンロ1の前面の美観をさらに向上できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されるコンロでは、スイッチ取付部材11の前側部分には、左側に膨出部17が設けられ、右側に膨出部19が設けられ、中央に膨出部18が設けられている。そして、膨出部17と膨出部18との間には点火スイッチ71が押下可能に支持され、膨出部18と膨出部19との間には点火スイッチ72が押下可能に支持されている。スイッチ取付部材11の前側に第1パネル30が装着された状態では、膨出部19の外側面側に第1パネル30の膨出部33が配される構成となっている。
【0005】
しかしながら、このような構成では、コンロの前面にスイッチ取付部材11の膨出部17,18,19と第1パネル30の膨出部33が並んで配されることとなり、スイッチ取付部材11の3つの膨出部と第1パネル30の膨出部がそれぞれライン状に視認され得る。さらに、スイッチ取付部材11の膨出部19と第1パネル30の膨出部33の境界線が上下方向に沿って延びるライン状に視認され得る。コンロの外観において、このようなライン状に視認され得る部位が広い領域を占めると、やや煩雑な印象を与える場合があり、コンロの美観、特に操作ボタンとしての点火スイッチ周辺の美観という観点において改善の余地があった。
【0006】
さらに、第1パネル30は、長方形状の本体部31から膨出部33が片持ち状に延出する構成上、本体部31から延出した部分が撓み変形しやすく、経年変化やコンロ内で発生する熱の影響等により当該部分に歪み等が生じやすい。ゆえに、第1パネル30が正規形状のまま安定的に保たれない虞がある。
【0007】
本発明は上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、操作ボタン周辺の美観を向上しつつ、化粧パネルを正規形状に安定的に保ちやすいコンロを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のコンロは、
複数のガスバーナと、
複数の前記ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部材と、
前記フロント部材の前側に装着され、前記フロント部材の前面を覆う化粧パネルと、
複数の前記ガスバーナの各々の点火操作又は消火操作に用いられる複数の操作ボタンからなるボタン部と、
を備え、
前記ボタン部は、複数の前記操作ボタンが左右に並んだ構成で前記フロント部材に取り付けられるとともに、各々の前記操作ボタンの一部が前記化粧パネルの外側に露出する露出部として構成されており、
前記化粧パネルは、
前記フロント部材の前記前面のうちの前記ボタン部の上側に位置する部分を覆う本体部と、
前記本体部の下縁部から下方に延びる第1延出部と、
前記本体部の下縁部から下方に延び、前記第1延出部に対して左右方向に離間して配置される第2延出部と、
左右方向に沿って延び、前記第1延出部及び前記第2延出部にそれぞれ連結される連結部と、
を備え、
前記本体部、前記第1延出部、前記第2延出部、及び前記連結部が一体的に連結された形態で、貫通孔を有する枠部が構成され、
前記ボタン部が前記貫通孔に嵌り込み、前記枠部が前記ボタン部の周囲に隣接する意匠部を構成する。
【発明の効果】
【0009】
上記一態様のコンロでは、ボタン部の周囲に隣接する意匠部が化粧パネルによって構成されるから、意匠部をすっきりとしたデザインとすることができ、コンロの美観(特に、操作ボタン周辺の美観)を向上することができる。しかも、操作ボタン周辺の意匠部は、単なる細長の延出部ではなく枠部によって構成されるため、化粧パネルの強度(特に操作ボタンの周辺の強度)が確実に高められる。ゆえに、化粧パネルにおける操作ボタンの周辺の部位が経年変化やコンロ内で発生する熱の影響等によって変形することを、より確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1のガスコンロを概略的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施例1のガスコンロを概略的に示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、化粧パネルを取り外して、ガスコンロの前部に固定された前面パネルを示す正面図である。
【
図4】
図4は、
図3の前面パネルの前側に化粧パネルが装着された状態を示す正面図である。
【
図5】
図5は、前面パネルを斜め前側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、前面パネルを斜め後側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、化粧パネルを斜め前側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、化粧パネルを斜め後側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、
図1のA-A位置で切断して、点火ボタン及び枠部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本発明の望ましい一例を示す。
操作ボタンは、左右方向に沿った揺動軸を中心として揺動するようにフロント部材に取り付けられるとともに、揺動軸よりも下方側に外部からの押圧操作を受ける被押圧部が設けられていてもよい。被押圧部は、枠部に隣接する第1位置と、第1位置よりも後方の第2位置とに変位する構成をなしていてもよい。連結部は、被押圧部が第1位置にあるときに自身の上面が当該被押圧部に対向するように配される対向部を有し、対向部の上面は、後方となるにつれて下位置となるように傾斜していてもよい。この構成によれば、被押圧部の前面側の部位と連結部の前面側の部位との隙間を小さくしても、被押圧部が第1位置と第2位置とに変位する際に対向部の上面と干渉しにくくなる。従って、操作ボタン周辺を前方側から見たときに被押圧部と連結部との間の隙間が大きく見えすぎることに起因する美観の低下を抑制しながらも、被押圧部の操作性を良好に維持しやすくなる。
【0012】
第1延出部と第2延出部のうち少なくとも一方は、フロント部材の前面より左右方向に張り出していてもよい。このようにすれば、フロント部材の側方領域を第1延出部と第2延出部のうち少なくとも一方によって隠すことができ、この側方領域に空隙や視認が望まれない部分等が配置される場合に、目立ちにくくすることができる。このように、第1延出部又は第2延出部においてフロント部材の前面より左右方向に張り出した部分を設けた場合、当該部分はフロント部材によって後方から支持されないため、何らかの力が加わった場合に後方側に撓むことが懸念されるが、上記態様では、操作ボタン周辺の意匠部が枠部によって構成されるため、後方側への撓みを抑制しやすい。しかも、フロント部材の前面より左右方向に張り出すように第1延出部又は第2延出部を構成した場合、左右方向に張り出さない構成と比較して延出部の幅を大きく確保することができる。そして、このように延出部の幅が大きく確保され、この延出部を含んだ形で枠部が構成されるため、化粧パネルの強度が一層高まる。
【0013】
ボタン部は、左右方向に沿って延びるとともに前方に突出する形状をなす第1突出部を有していてもよい。第1延出部及び第2延出部は、第1突出部の左側又は右側に連なるとともに前方に突出する形状をなす第2突出部を有していてもよい。この構成によれば、第1突出部と第2突出部とによりコンロの左右方向に延びる突条のデザインを構成することができ、デザイン性の高いコンロとなる。そのうえで、ボタン部の周囲に隣接する意匠部が化粧パネルの枠部によって構成されるから、このような突条のデザインを縦に横切るライン状に視認される部位の本数が低減され、より一層、コンロの美観を向上することができる。
【0014】
本体部には、貫通孔寄りの位置にフロント部材に係止される係止部が設けられていてもよい。この構成によれば、係止部が前面パネルに係止されることにより、経年変化やコンロ内で発生する熱の影響等によって、化粧パネルの中央部付近が前方に膨出するようにして変形することを抑えることができる。
【0015】
連結部には、フロント部材に係止される係止部が設けられていてもよい。この構成によれば、係止部が前面パネルに係止されることにより、経年変化やコンロ内で発生する熱の影響等によって、連結部が変形することを抑えることができる。さらに、連結部が撓みにくくなり、化粧パネルの強度(特に操作ボタンの周辺の強度)が確実に高められる。
【0016】
<実施例1>
以下、実施例1について、図面を参照して説明する。
図1、
図2のように、ガスコンロ1(コンロ)は、ガスバーナ4,5,6、ガスバーナ4,5,6を収容するコンロ本体部1Aなどを有しており、図示しないキャビネットに組み込まれるビルトインコンロとして構成されている。
【0017】
以下の説明では、ガスコンロ1において、板状に構成された天板3の板面方向のうち、短手方向を前後方向とし、前後方向と直交する方向である天板3の長手方向を左右方向とする。更に、前後方向及び左右方向と直交する方向である天板3の板厚方向を上下方向として説明する。
図1では、左右方向がガスコンロ1の左右方向であり、上下方向がガスコンロ1の上下方向である。また、
図2において、左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、それぞれ、ガスコンロ1の前方、後方、右方、左方とする。
【0018】
ガスコンロ1は、システムキッチンのカウンタトップに設けられた開口に落とし込まれて設置されている。
図2のように、ガスコンロ1はコンロ本体部1Aによって外殻(ケース体)が構成されており、このコンロ本体部1Aの内部にガスバーナなどの各種部品が収容された構成をなす。コンロ本体部1Aは、箱状の筐体部2と、筐体部2の上端部に固定される天板3と、筐体部2の前部に固定される前面パネル20(フロント部材)と、前面パネル20の前側に装着される化粧パネル30と、を備える。
【0019】
筐体部2は、公知の金属材料を主体として上方側が開放した箱状に構成されている。左右に一対の側壁部(
図2では、一方の側壁部2Cのみを図示)を備えるとともに、これら側壁部の後端部に連結される形で後壁部(図示略)が設けられる。また、筐体部2の前面部(図示略)はフレーム状又は壁状に構成されており、これら前面部、側壁部、後壁部によって筐体部2の内部空間の前後左右を囲む構成をなし、これら前面部、側壁部、後壁部の下部には底壁部(図示略)が連結されている。筐体部2は、これらの壁部によって上部が開口した箱状形態をなしており、筐体部2の上端部には、天板3(トッププレート)が取り付けられている。
【0020】
図1、
図2のように、天板3は、板状に構成されると共にガスバーナを露出させるための開口部(貫通孔)が複数個形成された構成をなす。天板3は、カウンタトップの上側に配置される。前面パネル20は、コンロ本体部1Aの前面部を構成する板状の壁部であり、例えば、金属材料又は樹脂材料を主体として構成されている。本構成では、前面パネル20は、筐体部2とは別部材として構成され、筐体部2の前端部を覆うように筐体部2に対して固定されているが、前面パネル20と筐体部2とが一体的に構成されていてもよい。
【0021】
図2のように、天板3において右手前(右端寄りかつ前端寄りの位置)にはガスバーナ(右バーナ)4、左手前(左端寄りかつ前端寄りの位置)にはガスバーナ(左バーナ)5、中央奥側にはガスバーナ(奥バーナ)6が夫々設けられている。各ガスバーナ4~6のそれぞれには、点火する為のイグナイタ(図示略)が設けられている。
【0022】
筐体部2の中央付近には、グリル部8が設けられている。グリル部8は、箱状に構成されたグリル庫、グリル庫を開閉するグリル扉8B、ガスバーナとして構成されるとともにグリル庫内に配置されるグリルバーナ(図示略)、グリル扉8Bの後方側においてグリル扉8Bと一体的に設けられる受け皿、受け皿の上に載置される焼き網などを備える。天板3において後端寄りの位置には、グリル庫と連通するグリル排気口9が設けられている。
【0023】
図1のように、筐体部2の前面の右寄りには2つの点火ボタン11、14が、左寄りにはもう2つの点火ボタン12、13が設けられている。点火ボタン11は、ガスバーナ4の点火及び消火を操作するために対応付けられた操作ボタンであり、点火ボタン12は、ガスバーナ5の点火及び消火を操作するために対応付けられた操作ボタンであり、点火ボタン13は、ガスバーナ6の点火及び消火を操作するために対応付けられた操作ボタンである。点火ボタン14は、グリル部8のガスバーナ(グリルバーナ)の点火及び消火を操作するための操作ボタンである。各点火ボタン11~14は、前面パネル20の前面よりも前方へ突出して設けられ、筐体部2の内部に設けられた図示しない制御回路と接続されており、使用者が押し込み操作すると、制御回路による制御により、その操作されたボタンに対応するガスバーナの点火又は消火が行われるようになっている。
【0024】
レバー16A,16B,16C,16Dはそれぞれ、対応するガスバーナ4~6又はグリル部8のグリルバーナにおける火力を調整するための火力調整レバーである。点火ボタン12,13の下側には、ガスコンロ1に電力を供給するための電池を収容する電池ボックス18が設けられている。点火ボタン11,14の下側には、各コンロによる調理の加熱温度、加熱時間等を設定するための操作パネルを前後方向に出退可能に保持する操作ユニット19が設けられている。
【0025】
次に、ガスコンロ1の右側に配置された前面パネル20、複数の点火ボタン11,14からなるボタン部50、前面パネル20の前面20Aを覆う化粧パネル30に係る構成について説明する。なお、ガスコンロ1の左側に配置された前面パネル、複数の点火ボタン12,13からなるボタン部、当該前面パネルの前面を覆う化粧パネルは、概ね前面パネル20、ボタン部50、化粧パネル30と左右対称の構成とされており、その説明を省略する。
【0026】
図3に示すように、前面パネル20は、前面20Aが正面視矩形状をなし、筐体部2の前部におけるグリル部8の右側の領域を塞ぐようにして配置されている。前面パネル20は、前面側に開口して、外側に点火ボタン11を露出するための開口部21と、外側に点火ボタン14を露出するための開口部22と、を有している。また、前面パネル20は、開口部21と開口部22の間に形成された第3突出部23を有している。この第3突出部23は、後述するボタン部50の第1突出部51,51に連なるとともに前方に突出する形状をなす(
図5参照)。また、前面パネル20には、後面側に点火ボタン11,14を軸支するための軸支孔25が設けられている(
図6参照)。
【0027】
図6に示すように、点火ボタン11,14は、左右方向に沿った揺動軸61を中心として揺動するように前面パネル20に取り付けられるとともに、揺動軸61よりも下方側に外部からの押圧操作を受ける被押圧部53が設けられている。具体的には、点火ボタン11,14は、前面パネル20の後面側に取り付けられる取付部60と、取付部60の下側に設けられ化粧パネル30から外側に露出する被押圧部53と、を具備している。取付部60には、軸支孔25に軸支される一対の揺動軸61が左右に突出する形で設けられている。揺動軸61は、軸心61Aが左右方向となっている。軸心61Aは、揺動軸61の揺動(回動)の中心となる仮想的な中心軸線である。点火ボタン11は、被押圧部53が押し込み操作されることにより、前面パネル20に対して揺動軸61周りに前後に揺動する構成となっており、揺動時には軸心61A(中心軸線)を中心として揺動(回動)する。
【0028】
図10に示すように、点火ボタン11の被押圧部53は、後述する枠部40に隣接する第1位置と、第1位置よりも後方の第2位置とに変位する構成をなしている。
図10においては、第1位置の被押圧部53を実線で描き、第2位置の被押圧部53の外形を2点鎖線で描いている。被押圧部53の第1位置は、ガスバーナ4が消火された状態となる位置である。被押圧部53が後方に向けて押し込まれ第1位置から第2位置に変位すると、燃料供給装置80の点火スイッチ81が後方に後退してガス流路が開放され、ガスバーナ4が点火される。つまり、被押圧部53の第2位置は、ガスバーナ4が点火された状態となる位置である。点火スイッチ81は、前方に付勢され、プッシュプッシュ機構(図示略)により前進及び後退する構成となっている。被押圧部53は、押圧操作により、交互に第1位置と第2位置との間で揺動するように構成されている。なお、点火ボタン14の被押圧部53は、点火ボタン11の被押圧部53と同様に変位する構成とされており、その説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、ボタン部50は、複数の点火ボタン11,14が左右に並んだ構成で前面パネル20に取り付けられるとともに、各々の点火ボタン11,14の一部が化粧パネル30の外側に露出する露出部として構成されている。ボタン部50は、点火ボタン11の下部に設けられた被押圧部53と、点火ボタン14の下部に設けられた被押圧部53からなる群である。ボタン部50は、正面視矩形状の被押圧部53,53が左右に並んで、全体として左右に長い長方形状の外形となっている。ボタン部50は、前面パネル20の開口部21,22に嵌め込まれ、化粧パネル30の後述する貫通孔40Aを介して外側に露出される。ボタン部50は、左右方向に沿って延びるとともに前方に突出する形状をなす第1突出部51,51を有する。第1突出部51,51は、点火ボタン11,14の被押圧部53,53を押圧操作する際に、それぞれ手指を掛ける部分となる。
【0030】
図4に示すように、化粧パネル30は、前面パネル20の前面20Aのうちのボタン部50の上側に位置する部分を覆う本体部31と、本体部31の下縁部31Bから下方に延びる第1延出部41と、本体部31の下縁部31Bから下方に延び、第1延出部41に対して左右方向に離間して配置される第2延出部42と、左右方向に沿って延び、第1延出部41及び第2延出部42にそれぞれ連結される連結部46と、を備える。本実施例1では、化粧パネル30は、大部分が樹脂成形品からなり、樹脂成形品における本体部31を構成する部分の前面が薄板状の第1被覆部材によって被覆されている。
【0031】
図8に示すように、本体部31は、正面視にて略矩形状をなす板状部を主体として構成されている。板状部は、前面パネル20の前面20Aにおいてボタン部50の上側の領域を全域にわたって覆うとともに、さらに前面20Aの右側の空間を覆う構成となっている。以下、本体部31において、前面パネル20の前面20Aより右側に張り出す部分を第1張出部35と称する。本体部31には、板状部の上端から後方に向けて立ち上がる上壁部と、板状部の右端から後方に向けて立ち上がる外壁部が設けられている。また、本体部31には、後面側にリブ32,36、係止部38A,38B、中央側突出部38C等が設けられている。リブ32,36、係止部38A,38B、中央側突出部38Cに係る構成については後に説明する。
【0032】
図4に示すように、第1延出部41及び第2延出部42は、本体部31の下縁部31Bにおける両側端部からそれぞれ下方に延出する構成となっている。本実施例1では、下縁部31Bにおいて相対的にガスコンロ1の左右方向内側(グリル部8側)に位置する内側端部から延出するものを第1延出部41とし、相対的にガスコンロ1の左右方向外側(グリル部8とは反対側)に位置する外側端部から延出するものを第2延出部42としている。第1延出部41は、正面視にて上下方向に長い長方形状をなし、前面パネル20の前面20Aにおいてボタン部50の左側の領域を全域にわたって覆う構成となっている。第2延出部42は、正面視にて上下方向に長い長方形状をなし、前面パネル20の前面20Aにおいてボタン部50の右側の領域を全域にわたって覆うとともに、さらにその右側の空間を覆う構成となっている。
【0033】
図4に示すように、第1延出部41及び第2延出部42は、第1突出部51の左側又は右側に連なるとともに前方に突出する形状をなす第2突出部41A,42Aを有する。第2突出部41A,42Aは、左右方向において、それぞれ第1延出部41及び第2延出部42の全長に亘って延びる突条をなす。この第2突出部41A,42Aは、ボタン部50の第1突出部51、51、第3突出部23、グリル部8の取っ手8C等とともに、ガスコンロ1前面において左右方向に延びる突条のデザインの一部を構成する。
【0034】
図4に示すように、第1延出部41と第2延出部42のうち少なくとも一方は、前面パネル20の前面20Aより左右方向に張り出している。本実施例1では、本体部31の外側端部から延出する第2延出部42が、前面パネル20の前面20Aより右側に張り出す第2張出部43を有している。なお、第1延出部41の左側にはグリル部8が隣接して配されており、第1延出部41は前面パネル20の前面20Aより左側に張り出さない構成となっている。第2張出部43は、本体部31の第1張出部35の下側に連なる。また、第2延出部42には、第2張出部43の下側に連なり、前面パネル20の前面20Aより右側に張り出す第3張出部45がさらに設けられている(
図7参照)。これら張出部35,43,45は、筐体部2の右側の空間を前方から覆い、当該空間が外部から視認されないようにする目隠し部を構成する。なお、第3張出部45と操作ユニット19の前面は、第2被覆部材39(
図2参照)によって一括して被覆される。
【0035】
図7及び
図8に示すように、連結部46は、第1延出部41の下端から右側に向かって延び、第2延出部42に連結する構成となっている。連結部46は、前面パネル20の前面20Aにおいて、ボタン部50の下側の領域のうち操作ユニット19の上側部分を覆う構成となっている。連結部46は、被押圧部53が第1位置にあるときに自身の上面47Aが当該被押圧部53に対向するように配される対向部47を有している。本実施例1では、対向部47は、後方に張り出す庇状をなし、開口部21,22の内周面を上方から覆う構成となっている。このような構成により、被押圧部53が第2位置に変位した状態において、外部からの視線を対向部47によって遮ることができ、開口部21,22の内周面や前面パネル20の後側が外部から見えにくくなっている。
【0036】
図9に示すように、対向部47の上面47Aは、後方となるにつれて下位置となるように傾斜している。上面47Aの前端は、被押圧部53の第1位置において、被押圧部53の下端部53Bにわずかな隙間を有して隣接する。上面47Aの後端は、被押圧部53の第2位置において、被押圧部53の下端部53Bにわずかな隙間を有して隣接する。そして、上面47Aは、軸心61Aを中心とした被押圧部53の下端部53Bの揺動軌跡に沿った形状となっている。
【0037】
化粧パネル30は、本体部31、第1延出部41、第2延出部42、及び連結部46が一体的に連結された形態で、貫通孔40Aを有する枠部40が構成されている。貫通孔40Aは、本体部31の下縁部31Bと、第1延出部41の右縁部と、第2延出部42の左縁部と、連結部46の上縁部によって、ボタン部50の外形と同等の大きさか、ボタン部50の外形より一回り大きい長方形状に形成されている。枠部40は、ボタン部50、つまり、点火ボタン11の被押圧部53及び点火ボタン14の被押圧部53の周囲を一括して囲むようにして設けられている。
【0038】
図4に示すように、化粧パネル30が前面パネル20に装着された状態では、ボタン部50が貫通孔40Aに嵌り込み、枠部40がボタン部50の周囲に隣接する意匠部を構成する。なお、枠部40がボタン部50の周囲に隣接するとは、枠部40がボタン部50の周囲に接触して配置される構成であってもよく、枠部40がボタン部50の周囲にわずかな隙間を有して配置される構成であってもよい。意匠部はガスコンロ1の外観を構成する部分である。ボタン部50が貫通孔40Aに嵌り込んだ状態では、ガスコンロ1の外観には、右から順に、化粧パネル30の第2延出部42、点火ボタン11の被押圧部53、前面パネル20の第3突出部23、点火ボタン14の被押圧部53、化粧パネル30の第1延出部41が表れる。また、ガスコンロ1の外観において、ボタン部50の上側及び下側には、それぞれ化粧パネル30の本体部31と連結部46が表れる。このようにして、ボタン部50の周囲が、本体部31の下縁部31B、第1延出部41の右縁部、連結部46の上縁部、第2延出部42の左縁部によって縁取られた構成が実現される。
【0039】
次に、化粧パネル30を前面パネル20に対して装着するための各部の構成について説明する。
図5及び
図9に示すように、化粧パネル30は係止部38A,38Bと中央側突出部38Cとを有し、前面パネル20は第1被係止部29A,29Bと孔部29Cとを有している。そして、化粧パネル30は、中央側突出部38C及び孔部29Cによって前面パネル20に対する上下左右の位置が定められ、係止部38A,38B及び第1被係止部29A,29Bによって前面パネル20に対して保持される構成となっている。また、化粧パネル30は前面パネル20の左右の面20D,20Cと接触するリブ32,36と凸部33A~C,37A~Cとを有し、前面パネル20は凸部33A~C,37A~Cが嵌り込む切り欠き部27A~C,28A~Cを有している。さらに、化粧パネル30には、前面パネル20に係止されるロック部材90が取り付けられている。そして、各部が組み付けられることにより、化粧パネル30が前面パネル20に装着された装着状態となる。
【0040】
図9に示すように、本体部31には、貫通孔40A寄りの位置に係止部38Aが設けられている。また、連結部46には、係止部38Bが設けられいている。本実施例1では、係止部38Aは貫通孔40Aの上方に貫通孔40Aと近接して左右に並んで2つ設けられ、係止部38Bは貫通孔40Aの下方に貫通孔40Aと近接して左右に並んで2つ設けられている。各係止部38A,38Bは、化粧パネル30の後面側において後方に延びるとともに、先端側に折れ曲がり部が形成されてなり、全体として係止爪として構成されている。
【0041】
右側リブ32は、本体部31から後方に向けて突出するとともに、前面パネル20の右側面20Dに沿って上下方向に沿って延びる形で設けられている。右側リブ32は、左側(左右方向内側)の板面が前面パネル20の右側面20Dに接触するような構成となっている。右側リブ32には、左面側から左方に突出する構成をなす第1凸部33A,第2凸部33B,第3凸部33Cが設けられている。第1凸部33A及び第2凸部33Bは、右側リブ32の後端部に設けられた突起状をなす。第3凸部33Cは、右側リブ32の基端部から先端部に向かって延びる突条をなす。
【0042】
左側リブ36は、本体部31から後方に向けて突出するとともに、前面パネル20の後述する左側面20Cに沿って上下方向に沿って延びる形で設けられている。左側リブ36は、右側(左右方向外側)の板面が前面パネル20の左側面20Cに接触するような構成となっている。左側リブ36には、右面側から右方に突出する構成をなす第1凸部37A,第2凸部37B,第3凸部37Cが設けられている。第1凸部37A、第2凸部37B、第3凸部37Cの構成は、右側リブ32の第1凸部33A、第2凸部33B、第3凸部33Cの構成と同様であり、その説明を省略する。
【0043】
図9に示すように、ロック部材90は、上壁部に設けられた貫通孔(図示略)を貫通する形で化粧パネル30に取り付けられている。ロック部材90は、上壁部の上部に露出してスライド操作される操作部91と、操作部91の下面からそれぞれ上壁部の下方に突出するブロック状のロック部92,92と、を備えている。ロック部材90は、化粧パネル30に対して左右にスライドされることにより、前面パネル20にロックされる第1位置と、前面パネル20とのロックが解除される第2位置とに変位する構成となっている。
【0044】
図5に示すように、第1被係止部29A,29Bは、係止部38A,38Bの各々に対応して、ボタン部50の周囲に設けられている。第1被係止部29A,29Bは、前面パネル20の前面20A側において開口した構成をなし、装着状態のときに係止部38A,38BAが挿入される開口部と、装着状態のときに係止部38A,38BAと接触する係止面と、を具備する。
【0045】
右側面20Dには、第1凸部32A,第2凸部32B,第3凸部32Cがそれぞれ係止される第1切り欠き部27A、第2切り欠き部27B、第3切り欠き部27Cが設けられている。第1切り欠き部27A及び第2切り欠き部27Bは、右側面20Dを後側が開いたU字状に切り欠くような形で設けられている。第3切り欠き部27Cは、右側面20Dと前面20Aの右端部を正面視にして右側が開いたU字状に切り欠くような形で設けられている。
【0046】
左側面20Cは、左側を向く面であって、前面パネル20の前面20Aにおける左端部付近が後方に後退した段差構造によって形成されている(
図7参照)。左側面20Cには、第1凸部37A,第2凸部37B,第3凸部37Cがそれぞれ係止される第1切り欠き部28A、第2切り欠き部28B、第3切り欠き部28Cが設けられている。第1切り欠き部28A、第2切り欠き部28B、第3切り欠き部28Cは、右側面20Dの第1切り欠き部27A、第2切り欠き部27B、第3切り欠き部27Cと概ね左右対称に構成されており、その説明を省略する。
【0047】
前面パネル20の上部には、ロック部材90が係止される第2被係止部95が設けられている。第2被係止部95は、第1位置におけるロック部92,92の前面と対向する前壁部96,96と、前壁部96,96の後方においてロック部92,92を収容する収容空間97,97とを有して構成されている。収容空間97,97は、第1位置と第2位置との変位を許容しつつロック部92,92を収容し得る大きさとなっている。前壁部96,96は、第2位置におけるロック部92,92の前面と対向する位置には設けられていない。このため、ロック部材90の第2位置において、ロック部92,92を前方から収容空間97,97に嵌め込み、また、ロック部92,92を収容空間97,97から前方に取り外すことができるようになっている。
【0048】
化粧パネル30を前面パネル20の前側に装着する際には、中央側突出部38Cが孔部29Cに挿入されるに伴い、係止部38A,38Bは第1被係止部29A,29Bに係止される位置に向けて案内される。具体的には、中央側突出部38Cの孔部29Cへの挿入が開始されると、4つの係止部38A,38Bの各々は上下左右方向において4つの第1被係止部29A,29Bの位置と整合する位置まで案内される。中央側突出部38Cがさらに孔部29Cへ挿入される過程で、係止部38A,38Bは弾性変形を伴って第1被係止部29A,29Bの開口部に挿入される。そして、中央側突出部38Cの孔部29Cへの挿入が完了した状態では、係止部38A,38Bは折れ曲がり部が第1被係止部29A,29Bの係止面の後方まで至り、弾性復帰する。そして、係止部38A,38Bの折れ曲がり部が、第1被係止部29A,29Bの係止面に引っ掛かり、化粧パネル30が前面パネル20に係止された状態となる。
【0049】
上述の係止部38A,38Bを撓みやすくして第1被係止部29A,29Bとの掛かり代を十分に確保するために、係止部38A,38Bの突出量を大きくして、第1被係止部29A,29Bの開口部の奥方において係止面に引っ掛かる構成とすることが考えられる。しかし、係止部38A,38Bは、突出量が大きい程折れやすくなり、化粧パネル30を前面パネル20に組み付ける際に前面パネル20の前面20Aに当たると折れることが懸念される。このため、係止部38A,38Bを第1被係止部29A,29Bの位置に精度よく案内することが望まれる。その点、本実施例1では、中央側突出部38Cが孔部29Cに挿入されることに伴い係止部38A,38Bが第1被係止部29A,29Bの位置まで案内されるから、係止部38A,38Bの突出量を十分に確保した場合であっても、係止部38A,38Bが前面パネル20の前面20Aに当たりにくくなっており、化粧パネル30の組み付け性に優れる。
【0050】
化粧パネル30は、経年変化等により中央部付近が膨出しやすく、そのような膨出を抑えるために中央部付近に係止部を設けることが望ましい。本実施例1では、4つの係止部38A,38Bのうち上方に位置する2つの係止部38Aは、化粧パネル30における中央部(点火ボタン11,14近傍)に設けられている。係止部38Aを化粧パネル30の中央部に設ける構成では、これと係合する第1被係止部29Aを前面パネル20の前面20Aの中央部に設ける必要があるが、前面20Aの中央部は第1被係止部29Aを設けるためのスペースの確保が難しく、第1被係止部29Aの開口部を小さくせざるを得ないという事情がある。このため、第1被係止部29Aを化粧パネル30の中央部に設ける構成では、上述したような係止部38Aの折れを回避するべく、係止部を第1被係止部29Aの位置により一層精度よく案内することが求められる。本実施例1では、中央側突出部38Cが孔部29Cに挿入されることに伴い係止部38Aが第1被係止部29Aの位置まで案内されるから、第1被係止部29Aの開口部が小さい場合であっても、係止部38Aが前面パネル20の前面20Aに当たりにくくなっており、化粧パネル30の組み付け性に優れる。さらに、本実施例1では、係止部38Aより中央側突出部38Cの突出量が大きく、化粧パネル30の中央部に設けられた係止部38Aが第1被係止部29A,29Bの開口部へ挿入される前に、係止部38Aが第1被係止部29Aの位置まで案内されるから、特に好ましい。
【0051】
また、中央側突出部38Cが孔部29Cの挿入されるに伴い、右側リブ32及び左側リブ36が前面パネル20の左右方向外側に嵌り込んで、前面パネル20に対する化粧パネル30の左右方向の位置ずれを抑制する。そのうえで、第1凸部32A,37A及び第2凸部32B,37Bは、化粧パネル30の外縁付近において前面パネル20に対する化粧パネル30の前後方向の移動を規制する。また、第3凸部32C,37Cの外周面が第3切り欠き部27C,28Cの内壁面と対向して、化粧パネル30の上下方向への移動を規制する。
【0052】
以上のようにして、化粧パネル30は、前面パネル20に対して上下左右への位置が規定されるとともに前方への変位が規制され、前面パネル20に対して仮固定された状態となる。
【0053】
続いて、化粧パネル30が前面パネル20に対して仮固定された状態で、ロック部材90を第1位置から第2位置に変位させ、ロック部92,92の前側に前壁部96,96が位置する状態とする。この状態では、化粧パネル30は、前面パネル20に対する前方への変位が確実に規制され、化粧パネル30が前面パネル20に対して本固定された状態となる。以上により、化粧パネル30の前面パネル20に対する装着が完了する。
【0054】
次に、本構成の効果を例示する。
上記構成のガスコンロ1では、ボタン部50の周囲に隣接する意匠部が化粧パネル30によって構成されるから、意匠部をすっきりとしたデザインとすることができ、ガスコンロ1の美観(特に、点火ボタン11,14周辺の美観)を向上することができる。しかも、点火ボタン11,14周辺の意匠は、単なる細長の延出部ではなく枠部40によって構成されるため、化粧パネル30の強度(特に操作ボタンの周辺の強度)が確実に高められる。ゆえに、化粧パネル30における点火ボタン11,14の周辺の部位が経年変化やガスコンロ1内で発生する熱の影響等によって変形することを、より確実に抑えることができる。以下、意匠部の一部を前面パネル20によって構成する場合を比較例として、本実施例1の有利な効果を具体的に説明する。
【0055】
比較例では、ボタン部50の左側又は右側に隣接する意匠部を、前面パネル20の上下方向に沿って延びる長手状の部分によって構成することが考えられる。以下、前面パネル20の当該部分を第1縦ライン部と称する。そして、意匠部における前面パネル20の第1縦ライン部に対してボタン部50とは反対側に位置する部分を、化粧パネル30の上下方向に沿って延びる長手状の部分によって構成することが考えられる。以下、化粧パネル30の当該部分を第2縦ライン部と称する。このような比較例では、ガスコンロの外観において、前面パネル20の第1縦ライン部と、化粧パネル30の第2縦ライン部と、第1縦ライン部と第2縦ライン部の境界線が、それぞれ上下に延びるライン状に視認され得る。ガスコンロの外観において、このようなライン状に視認され得る部位が複数の並んで配されると、やや煩雑な印象を与えガスコンロの外観を損なう一因となる。しかし、本実施例1では、ボタン部50の周囲に隣接する意匠部が化粧パネル30の枠部40によって構成されるから、比較例の構成に比べて、ガスコンロ1の外観に表れてライン状に視認され得る部位の数を低減することができる。この結果、意匠部をすっきりとしたデザインとすることができ、ガスコンロ1の美観を向上することができる。
【0056】
また、ガスコンロ1の外観に表れてライン状に視認され得る部位の数を低減するための構成として、化粧パネルが第1延出部41と第2延出部42に相当する部分を備えて、これらを連結する連結部を有しない構成とすることも考えられる。しかし、そのような構成では、第1延出部41と第2延出部42に相当する部分が本体部から片持ち状に延出することになり、経年変化により化粧パネルに歪み等の変形を生じる虞がある。このような歪み等の変形は、化粧パネルと前面パネルとの位置ずれの一因となる。しかし、本実施例1では、化粧パネル30が第1延出部41及び第2延出部42にそれぞれ連結される連結部46を有することにより、第1延出部41と第2延出部42に相当する部分が片持ち状に延出する化粧パネルに比べて化粧パネル30の強度を高くすることができる。この結果、化粧パネル30の強度を確保することができ、化粧パネル30と前面パネル20との位置ずれを抑制することができる。
【0057】
本実施例1において、連結部46は、被押圧部53が第1位置にあるときに自身の上面47Aが当該被押圧部53に対向するように配される対向部47を有し、対向部47の上面47Aは、後方となるにつれて下位置となるように傾斜している。この構成によれば、被押圧部53の前面側の部位と連結部46の前面側の部位との隙間を小さくしても、被押圧部53が第1位置と第2位置とに変位する際に対向部47の上面47Aと干渉しにくくなる。従って、点火ボタン11,14周辺を前方側から見たときに被押圧部53と連結部46との間の隙間が大きく見えすぎることに起因する美観の低下を抑制しながらも、被押圧部53の操作性を良好に維持しやすくなる。
【0058】
第1延出部41及び第2延出部42のうち少なくとも一方は、前面パネル20の前面20Aより左右方向に張り出している。第1延出部41又は第2延出部42において前面パネル20の前面20Aより左右方向に張り出した部分は、前面パネル20によって後方から支持されず、後方に向けて撓み変形しやすい部位となる。しかし、本実施例1では、点火ボタン11,14周辺の意匠部が枠部40によって構成されるため、第1延出部41又は第2延出部42が前面パネル20の前面20Aより左右方向に張り出す構成であっても、化粧パネル30の強度を確保することができる。また、第1延出部41又は第2延出部42が前面パネル20の前面20Aより左右方向に張り出す場合、ボタン部50の左側と右側に隣接する意匠部を前面パネル20によって構成すると、前面パネル20と化粧パネル30における左右方向に張り出した部分との間に上下方向に沿って延びる境界線を生じる。しかし、本実施例1では、ボタン部50の周囲に隣接する意匠部が化粧パネル30の枠部40によって構成されるから、第1延出部41又は第2延出部42が前面パネル20の前面20Aより左右方向に張り出す場合であっても、前面パネル20と化粧パネル30との間に上下方向に沿って延びる境界線を生じないようにすることができる。この結果、意匠部をすっきりとしたデザインとすることができ、ガスコンロ1の美観を向上することができる。
【0059】
ボタン部50は、左右方向に沿って延びるとともに前方に突出する形状をなす第1突出部51を有し、第1延出部41及び第2延出部42は、第1突出部の左側又は右側に連なるとともに前方に突出する形状をなす第2突出部41A,42Aを有する。この構成によれば、第1突出部51と第2突出部41A,42Aとによりガスコンロ1の左右方向に延びる突条のデザインを構成することができ、デザイン性の高いガスコンロ1となる。そのうえで、ボタン部50の周囲に隣接する意匠部が化粧パネル30の枠部40によって構成されるから、このような突条のデザインを縦に横切るライン状に視認される部位の本数が低減され、より一層、ガスコンロ1の美観を向上することができる。
【0060】
本体部31には、貫通孔40A寄りの位置に前面パネル20に係止される係止部38Aが設けられている。このため、係止部38Aが前面パネル20に係止されることにより、経年変化やコンロ内で発生する熱の影響等によって、化粧パネル30の中央部付近が前方に膨出するようにして変形することを抑えることができる。
【0061】
連結部46には、前面パネル20に係止される係止部38Bが設けられている。このため、係止部38Bが前面パネル20に係止されることにより、経年変化やコンロ内で発生する熱の影響等によって、連結部46が変形することを抑えることができる。さらに、連結部46が撓みにくくなり、化粧パネル30の強度(特に操作ボタンの周辺の強度)が確実に高められる。
【0062】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
上述した実施例では、フロント部材が前面パネル20によって構成されるものを例示したが、フロント部材の構成はこれに限られない。また、フロント部材は、筐体部2の前部におけるグリル部8の右側の領域の一部のみを塞ぐようにして配置されていてもよい。
【0064】
上述した実施例以外にも、第1延出部41及び第2延出部42の形状、配置、構成は適宜変更可能である。例えば、第2延出部42は第2張出部43を有していなくてもよい。また、第2延出部42には、第3張出部45が設けられていなくてもよい。また、本体部31の下縁部31Bから第1延出部41及び第2延出部42が延出する位置、第1延出部41と第2延出部42に連結部46が連結する位置は適宜変更可能である。
【0065】
上述した実施例では、対向部47の上面47Aが後方となるにつれて下位置となるように傾斜する構成を例示したが、これに限られない。例えば、対向部の前後方向における幅寸法が十分に小さい場合には、上面が傾斜する構成でなくても構わない。
【0066】
上述した実施例では、第1延出部41と第2延出部42の双方が、第1突出部51の左側及び右側に連なるとともに前方に突出する形状をなす第2突出部41A,42Aをそれぞれ有する構成を例示したが、これに限られない。例えば、第1延出部41と第2延出部42のうち一方のみが、第2突出部を有する構成であってもよく、第1延出部41と第2延出部42の双方が突出形状を有しない平板状に構成されていてもよい。
【0067】
上述した実施例では、ボタン部50が点火ボタン11と点火ボタン14からなる構成を例示したがこれに限られない。例えば、ボタン部は3以上の操作ボタンからなる構成であってもよい。また、上述した実施例以外にも、点火ボタン11,14の形状、配置、被押圧部53の変位に係る構成等は適宜変更可能である。
【0068】
上述した実施例のガスコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロ等であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…ガスコンロ
2…筐体部
4,5,6…ガスバーナ
11,14…点火ボタン(操作ボタン)
20…前面パネル(フロント部材)
20A…前面
30…化粧パネル
31…本体部
31B…下縁部
38A…係止部
38B…係止部
40…枠部
40A…貫通孔
41…第1延出部
41A,42A…第2突出部
42…第2延出部
46…連結部
47…対向部
47A…上面
50…ボタン部
51…第1突出部
53…被押圧部
53B…下端部
61…揺動軸