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特許7306656テーパー状ローブを有するドライバー及び締結具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】テーパー状ローブを有するドライバー及び締結具
(51)【国際特許分類】
   B25B 15/00 20060101AFI20230704BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B25B15/00 610A
F16B23/00 F
【請求項の数】 48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020200623
(22)【出願日】2020-12-02
(62)【分割の表示】P 2017513427の分割
【原出願日】2015-09-11
(65)【公開番号】P2021049639
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】14/483,498
(32)【優先日】2014-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313011065
【氏名又は名称】インファステック インテレクチュアル プロパティーズ ピーティーイー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルークス、リチャード ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ブラエス、ドナルド ケー
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03122963(US,A)
【文献】米国特許第03575080(US,A)
【文献】国際公開第2013/028875(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02390408(GB,A)
【文献】特許第7077510(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 15/00
F16B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク伝達ドライバーであって、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備え、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、複数の少なくとも2つのサイズの締結具における類似の形状及びテーパーの駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から50度以上、65度以下であるテーパー角度を有するテーパー状駆動面を有する、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブ及びトラフを回転軸の周囲に備える駆動面を有する成形テーパー状ビットを備え、
前記成形テーパー状ビットの前記テーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分とを備え、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記トルク伝達ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する、トルク伝達ドライバー。
【請求項2】
前記駆動面が対応する締結具面と係合するようになっている駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間に備え、前記駆動角度が0度~5度である、請求項1に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項3】
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、請求項2に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項4】
前記駆動面が対応する締結具面と係合するようになっている負の駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間に備え、前記駆動角度が0度~-10度である、請求項1に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項5】
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、請求項4に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項6】
前記締結具の駆動面が凹部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項7】
前記締結具の駆動面が凸部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項8】
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から55度と65度以下との間のテーパー角度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項9】
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から50度と55度との間のテーパー角度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項10】
前記第1のサイズの締結具及び第2のサイズの締結具のうちの少なくとも一方が、0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項11】
前記第1のサイズの締結具及び第2のサイズの締結具のうちの少なくとも一方が、0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項12】
締結具システムであって、
少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面の組合せを有する複数の締結具で、
各締結具は、前記テーパー状駆動面を有する駆動端部分と、リード端部分とを有し、
各締結具の前記駆動端部分はトルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、前記リード端部分は前記各締結具を締結するよう動作可能であり、
前記締結具の駆動面は、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つの締結具ローブ及び締結具トラフを回転軸の周囲に備えるとともに、前記トルク伝達ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、前記回転軸から50度以上、65度以下であるテーパー角度を有して、前記駆動面の各締結具ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記トルク伝達ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する複数の締結具と、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備えるトルク伝達ドライバーで、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、前記複数の締結具の前記少なくとも2つのサイズの駆動面と係合するよう動作可能である、回転軸から50度以上、65度以下であるテーパー角度を有し、テーパー状ビット駆動面を形成する、交互になっている一連の5つ又は6つのドライバーローブ及びドライバートラフを前記回転軸の周囲に備える成形テーパー状ビットを備え、
前記成形テーパー状ビットの前記テーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するようになっている第2のテーパー部分とを有し、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ドライバーローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記トルク伝達ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有するトルク伝達ドライバーとを備える締結具システムで、
前記トルク伝達ドライバーの前記ドライバーローブ及びトラフは、前記締結具の前記締結具トラフ及びローブと相補的に係合する、締結具システム。
【請求項13】
締結具の駆動面の前記少なくとも2つのサイズのそれぞれが、実質的に同一の少なくとも1つの断面を有する
請求項12に記載の締結具システム。
【請求項14】
前記成形テーパー状ビットにおける前記テーパー状駆動面が対応する締結具面と係合する駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側におけるトラフとの間に含み、前記駆動角度が0度~5度である、請求項12に記載の締結具システム。
【請求項15】
前記成形テーパー状ビットにおける前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、請求項14に記載の締結具システム。
【請求項16】
前記成形テーパー状ビットにおける前記テーパー状駆動面が対応する締結具面と係合するようになっている負の駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間に備え、前記駆動角度が0度~-10度である、請求項12に記載の締結具システム。
【請求項17】
前記成形テーパー状ビットにおける前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%の間である、請求項16に記載の締結具システム。
【請求項18】
前記締結具の駆動面が凹部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、請求項12から17のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項19】
前記締結具の駆動面が凸部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、請求項12から17のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項20】
前記トルク伝達ドライバーの前記テーパー状駆動面及び前記対応する締結具の駆動面が前記回転軸から55度と65度との間のテーパー角度を有する、請求項12から19のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項21】
前記トルク伝達ドライバーの前記テーパー状駆動面及び前記対応する締結具の駆動面が前記回転軸から50度と55度との間のテーパー角度を有する、請求項12から19のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項22】
前記複数の締結具が0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、請求項12から21のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項23】
前記複数の締結具が0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、請求項12から21のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項24】
選択された複数の締結具であって、少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面の組合せを有する複数の締結具で、
前記少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面のそれぞれは、類似の断面形状を有し、各締結具は、駆動端部分及びリード端部分を有する複数の締結具を備え、
各締結具の前記駆動端部分は、トルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、前記リード端部分は、締結具を締結するよう動作可能であり、
各締結具の前記駆動端部分は、前記トルク伝達ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から50度以上、65度以下であるテーパー角度を有して、前記テーパー状駆動面を形成する、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブ及びトラフを前記回転軸の周囲に備え、前記駆動面の各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記トルク伝達ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する、選択された複数の締結具。
【請求項25】
前記締結具の駆動面の前記少なくとも2つのサイズのそれぞれが、実質的に同一の少なくとも1つの断面を有する
請求項24に記載の選択された複数の締結具。
【請求項26】
各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間の遷移部が、対応するドライバー面と係合するようになっている駆動角度を有する駆動側面遷移部を形成し、前記駆動角度が0度~5度である、請求項24に記載の選択された複数の締結具。
【請求項27】
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、請求項26に記載の選択された複数の締結具。
【請求項28】
各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間の遷移部が、対応するドライバー面と係合するようになっている負の駆動角度を有する駆動側面遷移部を形成し、前記負の駆動角度が0度~-10度である、請求項24に記載の選択された複数の締結具。
【請求項29】
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、請求項28に記載の選択された複数の締結具。
【請求項30】
前記締結具の駆動面が凹部を形成する、請求項24から29のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
【請求項31】
前記締結具の駆動面が凸部を形成する、請求項24から29のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
【請求項32】
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から55度と65度との間のテーパー角度を有する、請求項24から31のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
【請求項33】
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から50度と55度との間のテーパー角度を有する、請求項24から31のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
【請求項34】
前記複数の締結具が0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、請求項24から33のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
【請求項35】
前記複数の締結具が0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、請求項24から33のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
【請求項36】
トルク伝達ドライバーであって、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備えるトルク伝達ドライバーで、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブ及びトラフを回転軸の周囲に備える駆動面を有する成形テーパー状ビットを備え、前記成形テーパー状ビットは、異なるサイズの複数の締結具における類似の形状及びテーパーの凹部に対応し、前記成形テーパー状ビットは、回転軸から50度以上、65度以下であるテーパー角度を有して、
前記成形テーパー状ビットのテーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分とを備え、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記トルク伝達ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有し、
前記成形テーパー状ビットは、第1のトルク方向に対応する駆動面を含み、前記駆動面は、対応するテーパー状締結具面と2度未満のリフト角度で係合するようになっている、トルク伝達ドライバー。
【請求項37】
前記第2の端部分が連続的にテーパー状になっている、請求項36に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項38】
前記駆動面は、前記成形テーパー状ビットの半径方向とおよそ平行である
請求項36に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項39】
前記成形テーパー状ビットが前記駆動面と、第2のトルク方向に対応する従動面とを有する複数のローブを具備する、請求項36から38のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項40】
前記駆動面と前記従動面との間の距離が、前記成形テーパー状ビットの前記テーパーに沿って短くなる、請求項39に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項41】
前記対応する締結具凹部の前記テーパーのテーパー角度が、前記成形テーパー状ビットの前記テーパーのテーパー角度以上である、請求項40に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項42】
前記成形テーパー状ビットが前記回転軸から50度と55度との間のテーパー角度を有する、請求項36から41のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
【請求項43】
トルク伝達ドライバーであって、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備えるトルク伝達ドライバーで、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブ及びトラフを回転軸の周囲に備える駆動面を有する成形テーパー状ビットを備え、前記成形テーパー状ビットは異なるサイズの複数の締結具における類似の形状及びテーパーの凹部に対応し、前記成形テーパー状ビットは、回転軸から公称上52度のテーパー角度を有して、
前記成形テーパー状ビットのテーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分とを備え、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記トルク伝達ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有し、
前記成形テーパー状ビットは、第1のトルク方向に対応する駆動面を具備し、前記駆動面は、対応するテーパー状締結具面と2度未満のリフト角度で係合するようになっている、トルク伝達ドライバー。
【請求項44】
軸の周囲で漸次的にテーパー状になっている直径を有する中心シャフトを備えるとともに、種々のサイズの複数の締結具と係合するようになっており、トルクを前記複数の締結具に加えるドライバーであって、
前記複数の締結具における凹部と係合するローブ状外形であって、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブおよびトラフを有し、各ローブは駆動側面及び従動側面を有するローブ状外形を備えるドライバーで、
前記ローブ状外形は、前記ドライバーの回転軸から50度以上、65度以下であるテーパー角度を有して、
各ローブの前記駆動側面は、前記漸次的にテーパー状になっている直径に沿ったほぼ一定の径方向位置にあり、
前記ローブ状外形は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分とを備え、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が、前記ドライバーの軸方向の任意の断面について、実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有し、
各ローブの前記駆動側面は、前記複数の締結具と減少リフト角度で係合することによって、カムアウトを低減させる、ドライバー。
【請求項45】
前記駆動側面と前記従動側面との間の距離が、前記漸次的にテーパー状になっている直径に沿って短くなる、請求項44に記載のドライバー。
【請求項46】
前記駆動側面における前記減少リフト角度が0度~2度である、請求項44又は45に記載のドライバー。
【請求項47】
前記駆動側面における前記減少リフト角度が0度~1度である、請求項44から46のいずれか一項に記載のドライバー。
【請求項48】
前記テーパー角度が回転軸から50度と55度との間である、請求項44から47のいずれか一項に記載のドライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、2014年9月11日出願の米国非仮特許出願No.14/483,498に基づく優先権を主張するものであり、参照としてここで援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、動力ドライバー等のトルク発生源から、構造体又は装置を組み付ける締結具にトルクを伝達するのに使用されるトルク伝達ドライバーに関する。
【0003】
トルク伝達システムのトルク伝達ドライバーとそれらのシステムにおいて使用される締結具とが、当該技術においてよく知られている。ドライバーのビットは、締結具における相補形状の凸部又は凹部に嵌まる特定の形状の凹部又は凸部を有している。より一般的に知られているトルク伝達システムのうちの1つは、PHILLIPS(商標)駆動システムとして市販されている十字型駆動システムである。例えば、米国特許第2,046,837号を参照されたい。トルク伝達駆動システムの数多くの形態及び形状が提案されている。例えば、米国特許第2,397,216号を参照されたい。
【0004】
4ローブ、5ローブ及び6ローブのスプライン型トルク伝達システムがよく知られている。これらの4ローブ、5ローブ及び6ローブのトルク伝達システムの例が、それらのシステムの締結具及びドライバーとともに、米国特許第2,969,250号、同第3,187,790号、同第3,584,667号、同第4,970,922号及び同第5,279,190号に記載されている。そのようなスプライン型トルク伝達駆動システムの初期の形態は、正方形コーナーを有しており、この正方形コーナーに対応する締結具凹部は、製造が困難であるとともに製造費が高く、締結具及び/又はドライバーに応力を生じさせ、この応力は、繰返し使用による疲労破壊を引き起こした。5ローブ及び6ローブのスプライン型トルク駆動システムの後期の形態は、交互になっている一連のローブ及びフルートを形成するように締結具頭部又はドライバービットの360度の周に均一に位置決めされた、交わる複数の対向曲面を有した。これらの後期の形態のトルク駆動システムは、最も早期のスプライン型システムに固有の問題のうちの幾つかを解消しているが、一般には、ローブ駆動角度を5度未満に保持することが可能ではなかった。より高いトルクがかけられると、力成分が増大して破壊が生じるか又は締結具若しくはドライバーからローブがすり減る。市販名がTORX(商標)駆動システムとして知られている、これらの後期の形態のスプライン型トルク駆動システムの一形態は、10度~20度の範囲内の駆動角度を達成するように設計されている、嵌合する弧状面をベースに6ローブ構成及び5ローブ構成を有するものであった。米国特許第3,584,667号を参照されたい。
【0005】
このスプライン型トルク伝達駆動システムの後期の形態は、締結具頭部の駆動面とトルクドライバーの駆動面との双方が第1の一連の楕円曲面とこの第1の一連の楕円曲面の間に交互になっている第2の一連の楕円曲面とによって形成されていることによって、駆動角度をゼロに低減させるものであった。これらの一連の楕円曲面の一方は凸状であり、他方で、交互になっている一連の楕円曲面は凹状であった。交互になっている凹状楕円曲面及び凸状楕円曲面は、締結具頭部又はドライバービットの360度の周の回りに延在する、交互になっている一連のフルート及びローブを画定するように、滑らかに接線方向に合流するものであった。締結具頭部及びドライバービットのローブ及びフルートは双方とも、断面が楕円状に曲がっているものであった。また、楕円状に曲がったローブの中心と楕円状に曲がったフルートの対応する中心とは、これらの構成要素の交互特性に起因して、同一の六角形ではないが正六角形の頂点に配置されていた。米国特許第5,279,190号を参照されたい。このローブを有するトルク伝達駆動システムの一実施形態は、TORX PLUS(商標)駆動システムとして市販されている。
【0006】
或る特定の従来のトルク伝達ドライバーは、ドライバーのサイズに対応する、凹部又は凸部を有する駆動面を有する、1つ又は限定数のサイズの締結具に専用であることによって限定されている。例えば、TORX(商標)という商標名で市販されている、ローブを有する締結具には、対応する締結具の各サイズに合う径の別個のドライバーが必要とされている。これは、一組のドライバーを組付け作業者が現場で保持する必要があり、異なるサイズの締結具を取り付けるごとに、異なるサイズビットをその組から探し出してトーションガン(torsion gun)内に取り付けることを意味している。例えば、T-1 TORX(商標)ドライバーは、T-1 TORX(商標)締結具を駆動するようになっており、T-2 TORX(商標)ドライバーは、T-2 TORX(商標)締結具を駆動するようになっているといった具合である。PHILLIPS(商標)という商標名で販売されている十字型システム等の他の締結具システムが、2つ以上のサイズの締結具を駆動することができるが、これらのシステムは、締結具からドライバーがカムアウトしやすいものであった。カムアウトは、締結具及びドライバーが、面と面との間の滑りを可能にする角度付き面を有する場合に引き起こされる、回転により浮き上がる動きであり、この動きによって、ドライバーが締結具凹部から浮き上がる。従来のトルク伝達システムによるカムアウトにより、締結具及びドライバーに損傷が生じ、締結具が適切なトルクに締め付けられることが妨げられ、また、組付けの際に部品を損傷させる削り及びかえりが発生する。
【0007】
種々のサイズの締結具を取り付ける組付け作業者にとって、従来のシステムは非効率をもたらすものであり、組付け作業者は、或るサイズの締結具を取り付けるのに或るドライバーを選び出し、別のサイズの締結具を取り付けるのに別のドライバーを選び出さなければならないか、又は代替的に、サイズが合わないドライバー又はカムアウトするドライバーを用いて締結具を駆動しようと試みなければならず、不可能ではないにしてもこれによって難しさが増した。締結具には大きすぎるか又は小さすぎるドライバーにより締結具を駆動することにより、ドライバーが適切に着座することが妨げられることで、ドライバーが締結具からカムアウトする可能性、締結具凹部又は締結具凸部がすり減る又はせん断する可能性、及び/又は締結具が不適切にトルクを加えられて取り付けられる可能性が増していた。このことは、取付けにおける非効率及び無駄、並びに、組立品に誤って取り付けられる締結具の発生及び組立品の不具合の増加を呈するものであった。従来の十字形タイプにおけるテーパー付き駆動システム、例えば、PHILLIPS(商標)ドライバーは、トルク下で締結具がカムアウトすることで、締結具又はドライバーに対する損傷及び締結具又はドライバーを無駄にしてしまい、効率減少を伴うとともに、誤って取り付けられる締結具の発生の増加、並びに、製品、装置及び機械の誤った組付けの増加を伴うことがよく知られていた。更に、従来のスプライン型システムは、ドライバーが締結具からカムアウトしやすく、また、ドライバーが軸方向の位置合わせを維持せずに締結具内で傾くものであったため、ねじ形成締結具及びねじ切り締結具にはあまり効果的ではなかった。これらの問題の全ては、詳細には、約0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さなねじ大径を有する締結具、より詳細には、約0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さなねじ大径を有する締結具の場合の、極度に小さなサイズの締結具頭部及びトーションドライバーにおいて目立つものであった。上述した問題に加え、そのような小さな締結具は、締結具の小さなサイズ、ローブのサイズ及び伴うクリアランス公差に起因して、使用するときに変形しやすいものであった。
【0008】
トルク伝達ドライバーが開示されており、第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備え、第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、第1の端部分の反対の第2の端部分は、少なくとも2つのサイズの複数の締結具における類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から15度~65度のテーパー角度を有するテーパー状駆動面を有する、交互になっている一連の5つ又は6つのローブ及び5つ又は6つのトラフを回転軸の周囲に備える駆動面を有する、成形テーパー状ビットを備え、成形テーパー状ビットのテーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分とを備え、第2のサイズの締結具の駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面よりも大きく、各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する。
【0009】
一代替形態において、駆動面は、4つのローブ及び4つのトラフを有してもよい。
【0010】
ビット駆動面は、対応する締結具面と係合するよう適合された駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側におけるトラフとの間に含む。駆動側面遷移部の駆動角度は、0度~5度とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動角度は、0度~-10度、又は、-2度~-10度といった、0度より小さくなってもよい。駆動側面遷移部は、ローブ高さの約20%~60%とすることができる。
【0011】
締結具の駆動面は凹部を形成することができ、テーパー状ビットは、少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である。一代替形態では、締結具の駆動面は凸部を形成し、テーパー状ビットは、少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である。
【0012】
トルク伝達ドライバーのテーパー状駆動面は、回転軸から20度~40度、回転軸から30度~40度、回転軸から45度~65度、回転軸から55度~65度、回転軸から45度~55度、又は回転軸から50度~55度のテーパー角度を有することができる。
【0013】
締結具システムも開示され、少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面の組合せを有する複数の締結具を具備し、各締結具は、テーパー状駆動面を有する駆動端部分と、リード端部分とを有し、各締結具の駆動端部分は、トルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、リード端部分は、各締結具を締結するよう動作可能であり、各締結具の駆動面は、交互になっている一連の5つ又は6つの締結具ローブ及び5つ又は6つの締結具トラフを回転軸の周囲に備えるとともに、トルク伝達ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から15度~65度のテーパー角度を有し、駆動面の各締結具ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有し、第1の端部分及び第2の端部分を含む本体を備えるトルク伝達ドライバーを具備し、第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、第1の端部分の反対の第2の端部分は、複数の締結具の少なくとも2つのサイズの駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から15度~65度のテーパー角度を有するテーパー状ビット駆動面を形成する、交互になっている一連の5つ又は6つのドライバーローブ及び5つ又は6つのドライバートラフを回転軸の周囲に備える、成形テーパー状ビットを備え、成形テーパー状ビットのテーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するようになっている第2のテーパー部分とを有し、第2のサイズの締結具の駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面よりも大きく、各ドライバーローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有し、トルク伝達ドライバーのドライバーローブ及びドライバートラフは、締結具トラフ及び締結具ローブと相補的に係合する。
【0014】
一代替形態では、ビット駆動面及び対応する締結具の駆動面は、4つのローブ及び4つのトラフを有してもよい。
【0015】
少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面のそれぞれは、実質的に同一の少なくとも1つの断面を有することができる。ビット駆動面は、対応する締結具面と係合するようになっている駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側におけるトラフとの間に具備する。駆動側面遷移部の駆動角度は、0度~5度とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動角度は、0度~-10%、又は-2度~-10度といった、0度より小さくなってもよい。駆動側面遷移部は、ローブ高さの約20%~60%とすることができる。
【0016】
締結具の駆動面は凹部を形成することができ、成形テーパー状ビットは、少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である。一代替形態では、締結具の駆動面は凸部を形成し、成形テーパー状ビットは、少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である。
【0017】
いくつかの実施形態では、トルク伝達ドライバーのテーパー状駆動面は、回転軸から20度~40度、回転軸から30度~40度、回転軸から45度~55度、回転軸から50度~55度、回転軸から55度~65度、又は回転軸から45度~65度のテーパー角度を有することができる。いくつかの実施形態では、トルク伝達ドライバーのテーパー状駆動面は、公称上45度又は公称上52度であるテーパー角度を有してもよい。
【0018】
さらに、本開示は、締結具群を具備し、締結具群は、少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面の組合せを有する複数の締結具を具備し、少なくとも2つのサイズの駆動面のそれぞれは、類似の断面形状を有し、各締結具は、駆動端部分及びリード端部分を有し、各締結具の駆動端部分は、トルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、リード端部分は締結具を締結するよう動作可能であり、各締結具の駆動端部分は、トルク伝達ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から15度~65度のテーパー角度を有するテーパー状駆動面を形成する、交互になっている一連の5つ又は6つのローブ及び5つ又は6つのトラフを回転軸の周囲に備え、駆動面の各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する。
【0019】
一代替形態では、テーパー状駆動面は、4つのローブ及び4つのトラフを有してもよい。
【0020】
少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面のそれぞれは、実質的に同一の少なくとも1つの断面を有することができる。締結具の駆動面は、対応するドライバー面と係合するようになっている駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側におけるトラフとの間に具備する。駆動側面遷移部の駆動角度は、0度~5度とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動角度は、0度~-10度、又は、-2度~-10度といった、0度より小さくなってもよい。駆動側面遷移部は、ローブ高さの約20%~60%とすることができる。
【0021】
締結具の駆動面は凹部を形成することができる。あるいは、締結具の駆動面は凸部を形成する。いくつかの実施形態では、テーパー状駆動面は、回転軸から20度~40度、回転軸から30度~40度、回転軸から45度~55度、回転軸から50度~55度、回転軸から55度~65度、又は回転軸から45度~65度のテーパー角度を有することができる。いくつかの実施形態では、テーパー状駆動面は、公称上45度又は公称上52度であるテーパー角度を有してもよい。
【0022】
また、トルク伝達ドライバーが開示されており、トルク伝達ドライバーは、第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を有し、第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、第1の端部分の反対の第2の端部分は、異なるサイズの複数の締結具における類似の形状及びテーパーの凹部に対応する成形テーパー状ビットを備え、成形テーパー状ビットが回転軸から15度から65度のテーパー角度を備え、成形テーパー状ビットは、第1のトルク方向に対応する駆動面を具備し、駆動面は、対応するテーパー状締結具面と2度未満のリフト角度で係合するようになっている。
【0023】
トルク伝達ドライバーの第2の端部分は、連続的なテーパー状とすることができる。
【0024】
成形テーパー状ビットは、駆動面と、第2のトルク方向に対応する従動面とを具備する複数のローブを含むことができる。駆動面は、成形テーパー状ビットの半径に対してほぼ平行とすることができる。駆動面と従動面との間の距離は、成形テーパー状ビットのテーパーに沿って短くなる。代替的又は付加的には、成形テーパー状ビットのテーパーは、対応する締結具凹部のテーパーとは異なってもよい。
【0025】
更に別の態様において、軸の周囲で漸次的にテーパー状になっている直径を有する中心シャフトを備えるとともに、種々のサイズの複数の締結具と係合してトルクを複数の締結具に加えるドライバーが開示され、ドライバーは、締結具における凹部と係合するローブ状外形であって、ローブ状外形は複数のローブを有し、各ローブは駆動側面及び従動側面を有し、ローブ状外形はドライバーの回転軸から15度~65度のテーパー角度を有し、各ローブの駆動側面は、漸次的にテーパー状になっている直径に沿ってほぼ一定の径方向位置にあり、各ローブの駆動側面は、締結具と減少リフト角度で係合することによって、カムアウトを低減させる。
【0026】
ドライバーの駆動側面と従動側面との間の距離は、漸次的にテーパー状になる直径に沿って短くなってもよい。代替的又は付加的には、リフト角度は0度~2度であってもよい。一代替形態では、リフト角度は0度~1度であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A図1Aは、複数の締結具における類似の形状及びテーパーの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバーの図である。
図1B図1Bは、複数の締結具における類似の形状及びテーパーの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバーの図である。
図1C図1Cは、複数の締結具における類似の形状及びテーパーの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバーの図である。
図1D図1Dは、複数の締結具における類似の形状及びテーパーの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバーの図である。
【0028】
図2図2は、トルク伝達ドライバーの側面図である。
【0029】
図3図3は、図2のトルク伝達ドライバーの端部図である。
【0030】
図4図4は、図2の4-4の断面線に沿ったトルク伝達ドライバーの横断面図である。
【0031】
図5図5は、図4の横断面図による詳細図である。
【0032】
図6図6は、図2の4-4の断面線に沿ったトルク伝達ドライバーの代替的な横断面図である。
【0033】
図7図7は、図6の横断面図による詳細図である。
【0034】
図8図8は、締結具の頭部の上面図である。
【0035】
図9図9は、図8の締結具の部分横断面図である。
【0036】
図10図10は、図9の10-10の断面線に沿った締結具の横断面図である。
【0037】
図11図11は、図2の4-4の断面線に沿った代替的な横断面図である。
【0038】
図12図12は、図2の4-4の断面線に沿った代替的な別の横断面図である。
【0039】
図13図13は、本開示の代替的な締結具の斜視図である。
【0040】
図14A図14Aは、図2のトルク伝達ドライバーの詳細図である。
【0041】
図14B図14Bは、本開示の代替的なトルク伝達ドライバーの詳細図である。
【0042】
図15図15は、テーパー状ローブを有するドライバー及び締結具システムの選択された実施形態のテストデータ表である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで図1A図1Dを参照すると、異なる凹部サイズ42、44、46を有する複数の締結具32、34、36における類似の形状及びテーパーの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバー20の図が示されている。図1A図1Dに示すような、ビットのテーパー状駆動面は、第1の締結具32における第1のサイズの凹部42と係合するように動作可能な第1のテーパー部分52、第2の締結具34における第2のサイズの凹部44と係合するように動作可能な第2テーパー部分54と、第3の締結具36における第3のサイズの凹部46と係合するように動作可能な第3のテーパー部分56とを有することができる。図1Dに示すように、本出願では、第3の締結具36の第3のサイズの凹部46は、第2の締結具34の第2のサイズの凹部44よりも大きく、第2の締結具34の第2サイズの凹部44は、第1の締結具32の第1のサイズの凹部42よりも大きい。従って、トルク伝達ドライバー20は、2つ以上のサイズの締結具を有効に駆動させるようになっている。図1A~1Dに示されているトルク伝達ドライバー20は、3つの異なるサイズの締結具凹部と有効に係合し駆動させるよう動作可能であるが、トルク伝達ドライバー20は、所望の複数の締結具凹部サイズ及び締結具サイズに適合させることができる。通常、トルク伝達ドライバーは、以下で論じるように、凹部又は凸部等の2つ~4つの異なる締結具の駆動面と有効に係合し、駆動することができる。
【0044】
図2に示されているようなトルク伝達ドライバー20は、第1の端部分62及び第2の端部分64を有する本体60を具備する。第1の端部分62は、所望に応じて、動力ドライバー、手動式ドライバーハンドル、ドリルモーター又は他のトルク発生源等のトルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっている。図2及び図3に示すように、第2の端部分64は、第1の端部分62に対向しており、図2においてAとして示されている回転軸の周囲に一連の6つのローブ70及びトラフ72を有する成形テーパー状ビット66を具備する。6つのローブ70及びトラフ72は、図2に示されているように、回転軸から15度~65度のテーパー角度θを有して回転軸の周囲に対照的に配置されている。一適用形態において、テーパー角度θは約35度である。あるいは、テーパー角度は約40度である。更に別の適用形態において、テーパー角度は25度~40度で選択された角度である。更に別の適用形態において、テーパー角度は45度~65度で選択された角度である。更に別の適用形態において、テーパー角度は45度~55度、50度~55度、又は55度~65度で選択された角度である。更に別の適用形態において、テーパー角度はおよそ45度又はおよそ52度である。テーパー角度が大きいと、より大きな強度を凹部に与えることができ、締結具及びドライバーの摩耗や故障を減らすことができる。
【0045】
図3及び図4に示されているようなトルク伝達ドライバー20は、6ローブドライバーである。一代替形態では、トルク伝達ドライバー20及び対応する締結具は、図11における断面の例によって示されている5ローブトルク伝達システムを含んでもよく、又は、図12における断面の例によって示されている4ローブトルク伝達システムであってもよい。一適用形態において、約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が4ローブトルク伝達システムを用いることができる。あるいは、約0.063インチ(1.6ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が4ローブトルク伝達システムを用いることができる。別の適用形態において、約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が5ローブトルク伝達システムを用いることができる。更に別の代替形態では、約0.063インチ(1.6ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が5ローブトルク伝達システムを用いることができる。
【0046】
図4に示す断面等の、テーパー状ビット66の任意の断面において、各ローブ70の最外の先端がローブ外径74を形成し、各トラフ72の底が内径76を形成する。ローブ外径74の半径と内径76の半径との差は、ローブ高さ78である。更に、各ローブは幅80を有する。ビット66が第2の端部に向かってテーパー状になっているため、各ローブはテーパー高さ及びテーパー幅を有する。各テーパー状ローブについて、ローブの幅対高さの比は、各ローブが軸に沿ってテーパー状になっているため、ローブ毎に実質的に同一である。
【0047】
本体60は、動力ドライバー等のトルク発生源内に取り付けられるように又は別様にトルク発生源と係合するよう動作可能な長さ及び断面サイズを有する六角形シャンクとすることができる。例えば、共通の用途において、本体は5/16インチの六角形断面を有することができる。あるいは、本体は1/4インチの六角形断面を有してもよい。本体60は、用途に必要とされるトルク発生源に対応して所望に応じて任意の断面形状及び断面サイズを有することができる。あるいは、本体は、トルク発生源における対応する係合部を収納するソケット(図示せず)を含んでもよい。
【0048】
図3図5の例では、各ローブ70と各ローブ70の少なくとも片側のトラフ72との間の遷移部は、遷移外径94と遷移内径96との間に延在する駆動側面遷移部82を形成する。駆動角度αは、図5に示されているように、駆動側面遷移部82と、回転軸Aから延在するとともに遷移内径96に対して接線方向にある半径ライン98との間で測定されたものである。駆動側面遷移部82は、対応する締結具面と係合するようになっており、ドライバーから締結具にトルクを伝達する。駆動側面遷移部は通常、ローブ高さの約20%~60%である。あるいは、駆動側面遷移部は、ローブ高さの約10%~80%である。更に別の代替形態では、駆動側面遷移部は、ローブ高さの約20%~40%である。図5に示されているように、駆動側面遷移部82は、0度~5度の駆動角度αを形成する。あるいは、図6及び図7に示すように、各ローブ70と各ローブ70の少なくとも片側のトラフとの遷移部は、駆動角度αが0度~-10度である、負の駆動角度を有する駆動側面遷移部82を形成する。一用途において、駆動角度αは、-2度~-10度である。あるいは、駆動角度αは、-3度~-10度である。更に別の代替形態において、駆動側面遷移部は、0度~-3度の駆動角度を形成してもよい。本明細書において用いるように、正の駆動角度は、外側に傾斜した駆動側面遷移面として規定され、そのため、この面から垂直に延在する線は、内径76の外側に向かって方向付けられる、すなわち内径76から離れる。逆に、負の駆動角度は、内側に傾斜した駆動側面遷移面として規定され、そのため、内径76の内側に向かって方向付けられる、すなわち内径76に向かう。ゼロ度の駆動角度は、ローブ内径及び/又はローブ外径の接線に対して平行な駆動側面遷移面に対して垂直な線を提供する。通常、締結具駆動角度は、面対面の接触を提供するよう、ビット駆動角度とほぼ同一である。あるいは、締結具駆動角度は、所望に応じて締結具とドライバーとの間のクリアランスに対処するようにビット駆動角度よりも大きくても小さくてもよい。
【0049】
テーパー状ドライバー20は、雄雌係合した、締結具における対応する駆動面を駆動させるよう動作可能である。上記で説明され、図8図10に示されているような一適用形態において、締結具36は、駆動端部分86及びリード端部分88を有する。駆動端部分86は、トルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、リード部分88は、例えばねじ山によって、締結具を締結させるように動作可能である。駆動端部分86は、回転軸から15度~65度のテーパー状駆動面γを有する一連の5つ又は6つの締結具ローブ90及び5つ又は6つの締結具トラフ92を回転軸の周囲に具備する駆動面40を有する。締結具ローブ90及び締結具トラフ92は、ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能である。各締結具ローブ90は、ローブの幅対高さの比が一定である、テーパー高さ及びテーパー幅を有する。締結具凹部において、ローブ90は、ドライバーにおけるドライバートラフ72と係合するように凹部内に突出している。同様に、ドライバーにおけるドライバーローブ70は、締結具凹部における締結具トラフ92と係合する。
【0050】
図13に示されているような別の代替形態において、締結具の駆動面40は、ドライバー(図示せず)における対応する凹部と係合する4つ、5つ又は6つのローブの凸部及び4つ、5つ又は6つのトラフを備える。図9に示されているような締結具における凹部に対応する、ドライバービットの駆動面を記載する本適用形態における説明及び参照が、図13に示されているような締結具における凸部としての駆動面にも当てはまることが意図される。同様に、図9に示されているような締結具における凹部の駆動面を記載する本適用形態における説明及び参照が、図13に示されているような締結具における駆動凸部に用いる、ドライバーにおける凹部の駆動面にも当てはまる。
【0051】
ローブ及びトラフは、少なくとも、図9において「P」として特定されている底部平面へと、凹部内へテーパー状になっている。本明細書で用いられる場合の底部平面Pは、対応するドライバーが凹部に挿入可能であるおよその深さである。底部平面Pの下では、凹部の底部は円錐形、半球形、半球状、平坦、又は、凹部を形成する、所望に応じて任意の他の弧状若しくは傾斜形状とすることができる。底部平面Pから、凹部の断面ローブ状形状は、テーパー角度γを有する締結具凹部の頂部に向かって外側にテーパー状になっている。凹部のテーパー角度γは、ドライバーのテーパー角度θとほぼ同一とすることができる。あるいは、凹部のテーパー角度γは、製造公差のためにドライバーのテーパー角度θよりも僅かに大きくてもよい。別の代替形態において、凹部のテーパー角度γは、ドライバーのテーパー角度θよりも0.5度~5度大きくてもよい。一例として、公称上、凹部のテーパー角度γ及びドライバーのテーパー角度θが35度である場合、凹部のテーパー角度γは35度~36度に規定されてもよく、ドライバーのテーパー角度θは34度~35度に規定されてもよい。別の例では、公称上、凹部のテーパー角度γ及びドライバーのテーパー角度θが52度である場合、凹部のテーパー角度γは52度~53度に規定されてもよく、ドライバーのテーパー角度θは51度~52度に規定されてもよい。別の例では、公称上、凹部のテーパー角度γ及びドライバーのテーパー角度θが45度である場合、凹部のテーパー角度γは45度~46度に規定されてもよく、ドライバーのテーパー角度θは44度~45度に規定されてもよい。しかしながら、凹部のテーパー角度γ及びドライバーのテーパー角度θは、所望に応じて回転軸から15度~65度の任意の角度であってもよい。
【0052】
1つのトルク伝達ドライバー20が複数の異なるサイズの締結具32、34、36を駆動するよう動作可能である、締結システムを提供することができる。テーパー付きドライバー20は、同一のサイズのビット66を有する、2つ以上の異なるサイズの締結具を駆動するよう構成されることができる。図1A図1Dの例では、テーパー状ビットの先端部分は、第1のテーパー部分のサイズに対応する締結具と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分52を形成する断面サイズを有する。第2のテーパー部分54は、第1のテーパー部分よりも大きい断面サイズを有するテーパー状ビットの或る位置において第1のテーパー部分52に隣接することができる。第2のテーパー部分54は、第2のテーパー部分のサイズに対応する締結具と係合するよう動作可能である。同様に、第3のテーパー部分56は、第3のテーパー部分のサイズに対応する締結具と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分54に隣接する。例えば、1つのドライバーは、対応サイズの6ねじ、8ねじ及び10ねじを駆動するよう適合させることができ、その場合、ビットの第1のテーパー部分52を♯6ねじに適合させ、第2のテーパー部分54を♯8ねじに適合させ、第3のテーパー部分56を♯10ねじに適合させる。他の代替形態において、1つのドライバーを、対応サイズの8ねじ、10ねじ及び12ねじを駆動するように適合させることができ、別のドライバーを、対応の1/4インチねじ、5/16インチねじ及び3/8インチねじを駆動するように適合させることができる。あるいは、ドライバーを、ドライバーに対応する、サイズが♯0の締結具及び♯1の締結具又はサイズがより小さい締結具等、複数の小さな締結具を駆動するように適合させることができる。ドライバーを、所望に応じて2つ以上の連続サイズの対応締結具を駆動するように適合させることができる。
【0053】
1つのドライバー20が、異なるサイズの複数の締結具32、34、36を駆動する場合、各締結具はドライバーに対応する駆動面40を有しており、そのため、異なるサイズの駆動面は、サイズ及び形状が実質的に同一である少なくとも1つの断面を有する。具体的には、図1A図1Dを参照すると、底部平面Pにおける凹部42、44、46の断面のサイズ及び形状は、所望の駆動ビット20と対応する各締結具に関してほぼ同一である。更に、第2の端64における、ドライバー20の対応する断面サイズ及び断面形状は、底部平面Pにおける締結具サイズ及び締結具形状とほぼ同一である。或る用途の場合、凹部に対するドライバーの挿脱を容易にするために、第2の端64における、ドライバー20の断面サイズ及び断面形状は、底部平面Pにおける締結具サイズ及び締結具形状よりも小さい。あるいは、第2の端64における、ドライバー20の断面サイズ及び断面形状は、底部平面Pにおける締結具サイズ及び締結具形状よりも僅かに大きく、そのため、ドライバーと締結具との間の干渉により、締結具がドライバーに解放可能に固定され、それによって、組付け作業者が締結具をドライバーに対して保持する必要がない。
【0054】
締結具の駆動面及び対応して構成されたビット駆動面は、締結具の駆動面が、対応するビット駆動面と、ドライバービットから締結具にトルクを良好に適用させるのに十分な係合深さだけ係合するよう構成されている。例えば、約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具は、0.010インチ(0.25ミリメートル)未満の、駆動面の有効な係合深さを有することができる。約0.236インチ(6.0ミリメートル)を超える大きなねじ大径を有するような、より大きな締結具の場合、有効な係合深さは、0.06インチ(1.5ミリメートル)以上とすることができる。
【0055】
或る特定のより大きな締結具の用途の場合、テーパー状締結具の駆動面及び対応するドライバーは、従来の冷間及び/又は加工技法を用いて製造することができる。しかしながら、より小さな締結具は、高い精度を必要とする傾向がある。一適用形態では、締結具の駆動面は、型押しによって締結具に印象加工又はエンボス加工される。約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有するか、又は代替的に、約0.063インチ(1.6ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具の場合のような、或る特定の用途の場合ドライバーは、放電加工(EDM:electrical discharge machining)又は電解加工(ECM:electrochemical machining)によって作製することができる。或る特定の適した幾何学形状のためにホッビングを用いることもできることが意図される。
【0056】
本トルク伝達ドライバーは、用途の所望に応じて鋼製又はアルミニウム製とすることができる。一代替形態において、鋼は、焼入性及び強度の所望に応じて、AISIのS2、6150、8650、8660、若しくは他の工具鋼組成又は合金鋼組成等の中炭素鋼である。中炭素鋼は、ドライバーが作製された後で硬化することができる。トルク伝達ドライバーが形成された後、鋼ドライバーは、58-62HRCの硬度まで硬化することができる。あるいは、鋼ドライバーは、52HRCを超える硬度まで硬化してもよい。
【0057】
上述のように、例えば、図3に示すドライバーのローブ70は、ビット66がテーパー状になっているため、テーパー状になっている。これらの実施形態では、断面ビット(図2図4を参照)のサイズが縮小しても、トラフ72に対するローブ70の比率は、実質的に同一のままである。ローブがテーパー状になっているため、図14Aに「F」として概略的に表されている、締結具からドライバーローブに対してかけられる反力は、リフト角度βを含む。反力Fは、締結具の駆動時にドライバー20を浮き上がらせるとともに締結具凹部へのドライバーの係合を浅くさせる方向に、図14Aに「F」として概略的に表されている、ドライバー軸に沿った成分を含む。この作用は、成分力Fに対向する力が加えられない場合、駆動トルクが増加するとともに成分力Fが増加するため、ドライバーは、締結具凹部から離れる方向に浮き上がる可能性があり、また、幾つかの例において、ドライバーは、締結具凹部から離脱するほど浮き上がる可能性があることから、「カムアウト」として知られている。
【0058】
現時点で開示されている締結具システムは、カムアウトを阻止し、或る特定の用途の場合、カムアウトを引き起こす力を更に低減させることが望まれ得る。図14Bに示されている一例において、ドライバー66'の駆動面102は変更することができ、その一方、従動面104は前述したようにテーパー状とすることができる。製造公差に応じて、駆動面102は、図14Bに示されているように、ドライバーの回転軸に対して実質的に平行にして、リフト角度βをゼロ度又はゼロ度近くに低減させることができる。一代替形態において、駆動面102におけるリフト角度は、0度~2度であり得る。リフト角度は、トルクがドライバーにより締結具に加えられたときにドライバーにかかる垂直力の量を減らすように選択することができる。トルク要件が高まるにつれ、リフト角度がゼロ度に又はゼロ度近くになることが望ましい場合がある。低トルク構成では、リフト角度は、用途によって左右されるほど大きく制約される必要はない場合がある。駆動側面の角度がほぼゼロ度である、図14Bに示されている構成では、ドライバーを用いて対応する凹部を有する締結具を締め付けると、リフト角度βがゼロ近くになることで、締結時のカムアウトの可能性が低減する。図14Bに示されているドライバーを用いて締結具を緩める場合、締結具の取外しを促す、従動面104のリフト角度は、ゼロよりも大きいものとすることができる。締結具は、締結具の取付け及び取外しのための別個のドライバーを受容するように設計することができ、これは不正防止用途向けに望まれ得る。
【0059】
図14Bに示されているドライバー66'により、締結具凹部におけるローブの対応する駆動側面のテーパーを少なくすることが可能になり、これにより、締結具のローブの材料の量が増加することで、締結具がより強度のあるものとなる。締結具ローブの材料が付加されることで、ドライバーと締結具との間のトルクの差の量をより僅差にし、カムアウトを阻止することに更に役立つとともにドライバーの用役を高めることができる。
【0060】
ここで図15を参照すると、開示されたテーパー状ローブを有するドライバーと締結具システムのテストが実施されている。それぞれの例において、選択されたテーパー角度を有するテーパー状ローブを有する駆動ビットの一式が、対応する凹部に係合された。図15に示す通り、3つのテストには、35度のテーパー角度を有する5ローブの駆動ビットと凹部、45度のテーパー角度を有する6ローブの駆動システム、及び52度のテーパー角度を有する6ローブの駆動システムが含まれている。駆動ビットにはそれぞれ、駆動システムがシステムの強度を識別しなくなるまで、トルクが与えられた。さらに、駆動ビットは、標準の締結具凹部、及び、駆動ビットの強度を別途検証できるよう、強度を大幅に高めた高速度鋼において形成された凹部の両方においてテストされた。黒の基準線は、従来技術の市販の、6つのローブを有する直線的な壁で囲まれた駆動ビットの、特定の駆動ビット強度を示している。示されている通り、45度及び52度のテーパー角度を有する6ローブの駆動ビットは両方とも、6つのローブを有し直線的な壁で囲まれた駆動ビットの駆動ビット強度を上回っている。従って、テーパー状ローブを有するドライバー及び締結具は、複数のサイズの締結具で単一ドライバーを使用できる能力と併用して駆動システム強度を向上させつつ、締め付け中にカムアウトが起こる可能性を低減する。
【0061】
本発明を図面及び上記の記載において詳細に図示及び記載してきたが、本発明は、特徴が限定的ではなく例示的であるとみなされるべきであり、専ら好ましい実施形態が示されているとともに記載されていること、また、本発明の趣旨内にある全ての変形及び変更が添付の特許請求の範囲及びその均等物によって保護されることが望まれることが理解される。
[項目1]
トルク伝達ドライバーであって、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備え、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、複数の少なくとも2つのサイズの締結具における類似の形状及びテーパーの駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から45度~65度のテーパー角度を有するテーパー状駆動面を有する、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブ及びトラフを回転軸の周囲に備える駆動面を有する成形テーパー状ビットを備え、
前記成形テーパー状ビットの前記テーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第2のテーパー部分とを備え、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する、トルク伝達ドライバー。
[項目2]
前記駆動面が対応する締結具面と係合するようになっている駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間に備え、前記駆動角度が0度~5度である、項目1に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目3]
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、項目2に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目4]
前記駆動面が対応する締結具面と係合するようになっている負の駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間に備え、前記駆動角度が0度~-10度である、項目1に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目5]
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、項目4に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目6]
前記締結具の駆動面が凹部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、項目1から5のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目7]
前記締結具の駆動面が凸部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、項目1から5のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目8]
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から55度~65度のテーパー角度を有する、項目1から7のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目9]
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から45度~55度の間のテーパー角度を有する、項目1から7のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目10]
前記第1のサイズの締結具及び第2のサイズの締結具のうちの少なくとも一方が、0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する、項目1から9のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目11]
前記第1のサイズの締結具及び第2のサイズの締結具のうちの少なくとも一方が、0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する、項目1から9のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目12]
締結具システムであって、
少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面の組合せを有する複数の締結具で、
各締結具は、前記テーパー状駆動面を有する駆動端部分と、リード端部分とを有し、
各締結具の前記駆動端部分はトルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、前記リード端部分は前記各締結具を締結するよう動作可能であり、
各締結具の前記テーパー状駆動面は、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つの締結具ローブ及び締結具トラフを回転軸の周囲に備えるとともに、前記トルク伝達ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、前記回転軸から45度~65度のテーパー角度を有し、前記駆動面の各締結具ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する複数の締結具と、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備えるトルク伝達ドライバーで、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、前記複数の締結具の前記少なくとも2つのサイズの駆動面と係合するよう動作可能である、回転軸から45度~65度のテーパー角度を有するテーパー状ビット駆動面を形成する、交互になっている一連の5つ又は6つのドライバーローブ及びドライバートラフを前記回転軸の周囲に備える成形テーパー状ビットを備え、
前記成形テーパー状ビットの前記テーパー状駆動面は、第1のサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能な第1のテーパー部分と、第2のサイズの締結具の駆動面と係合するようになっている第2のテーパー部分とを有し、前記第2のサイズの締結具の前記駆動面は、前記第1のサイズの締結具の前記駆動面よりも大きく、各ドライバーローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有するトルク伝達ドライバーとを備える締結具システムで、
前記トルク伝達ドライバーの前記ドライバーローブ及びトラフは、前記締結具の前記締結具トラフ及びローブと相補的に係合する、締結具システム。
[項目13]
前記少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面のそれぞれが実質的に同一である少なくとも1つの断面を有する、項目12に記載の締結具システム。
[項目14]
前記成形テーパー状ビットにおける前記テーパー状駆動面が対応する締結具面と係合する駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側におけるトラフとの間に含み、前記駆動角度が0度~5度である、項目12又は13に記載の締結具システム。
[項目15]
前記成形テーパー状ビットにおける前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、項目14に記載の締結具システム。
[項目16]
前記成形テーパー状ビットにおける前記テーパー状駆動面が対応する締結具面と係合するようになっている負の駆動角度を有する駆動側面遷移部を、各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間に備え、前記駆動角度が0度~-10度である、項目12又は13に記載の締結具システム。
[項目17]
前記成形テーパー状ビットにおける前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%の間である、項目16に記載の締結具システム。
[項目18]
前記締結具の駆動面が凹部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、項目12から17のいずれか一項に記載の締結具システム。
[項目19]
前記締結具の駆動面が凸部を形成し、前記成形テーパー状ビットが少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面と係合するよう動作可能である、項目12から17のいずれか一項に記載の締結具システム。
[項目20]
前記トルク伝達ドライバーの前記テーパー状駆動面及び前記対応する締結具の駆動面が前記回転軸から55度~65度のテーパー角度を有する、項目12から19のいずれか一項に記載の締結具システム。
[項目21]
前記トルク伝達ドライバーの前記テーパー状駆動面及び前記対応する締結具の駆動面が前記回転軸から45度~55度のテーパー角度を有する、項目12から19のいずれか一項に記載の締結具システム。
[項目22]
前記複数の締結具が0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、項目12から21のいずれか一項に記載の締結具システム。
[項目23]
前記複数の締結具が0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、項目12から21のいずれか一項に記載の締結具システム。
[項目24]
選択された複数の締結具であって、少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面の組合せを有する複数の締結具で、
前記少なくとも2つのサイズのテーパー状駆動面のそれぞれは、類似の断面形状を有し、各締結具は、駆動端部分及びリード端部分を有する複数の締結具を備え、
各締結具の前記駆動端部分は、トルク伝達ドライバーと係合するよう動作可能であり、前記リード端部分は、締結具を締結するよう動作可能であり、
各締結具の前記駆動端部分は、前記トルク伝達ドライバーにおける類似の形状及びテーパーの対応する駆動面と係合するよう動作可能な、回転軸から45度~65度のテーパー角度を有する前記テーパー状駆動面を形成する、交互になっている一連の4つ、5つ又は6つのローブ及びトラフを前記回転軸の周囲に備え、前記駆動面の各ローブは、ローブ幅対ローブ高さの比が実質的に一定であるテーパー高さ及びテーパー幅を有する、選択された複数の締結具。
[項目25]
前記少なくとも2つのサイズの締結具の駆動面のそれぞれが実質的に同一の少なくとも1つの断面を有する、項目24に記載の選択された複数の締結具。
[項目26]
各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間の遷移部が、対応するドライバー面と係合するようになっている駆動角度を有する駆動側面遷移部を形成し、前記駆動角度が0度~5度である、項目24又は25に記載の選択された複数の締結具。
[項目27]
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、項目26に記載の選択された複数の締結具。
[項目28]
各ローブと、各ローブの少なくとも片側における前記トラフとの間の遷移部が、対応するドライバー面と係合するようになっている負の駆動角度を有する駆動側面遷移部を形成し、前記負の駆動角度が0度~-10度である、項目24又は25に記載の選択された複数の締結具。
[項目29]
前記駆動側面遷移部がローブ高さの約20%~60%である、項目28に記載の選択された複数の締結具。
[項目30]
前記締結具の駆動面が凹部を形成する、項目24から29のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
[項目31]
前記締結具の駆動面が凸部を形成する、項目24から29のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
[項目32]
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から55度~65度のテーパー角度を有する、項目24から31のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
[項目33]
前記テーパー状駆動面が前記回転軸から45度~55度のテーパー角度を有する、項目24から31のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
[項目34]
前記複数の締結具が0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、項目24から33のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
[項目35]
前記複数の締結具が0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さいねじ大径を有する締結具を具備する、項目24から33のいずれか一項に記載の選択された複数の締結具。
[項目36]
トルク伝達ドライバーであって、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備えるトルク伝達ドライバーで、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、異なるサイズの複数の締結具における類似の形状及びテーパーの凹部に対応する成形テーパー状ビットを備え、前記成形テーパー状ビットは、回転軸から45度~65度のテーパー角度を有し、
前記成形テーパー状ビットは、第1のトルク方向に対応する駆動面を含み、前記駆動面は、対応するテーパー状締結具面と2度未満のリフト角度で係合するようになっている、トルク伝達ドライバー。
[項目37]
前記第2の端部分が連続的にテーパー状になっている、項目36に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目38]
前記駆動面が前記成形テーパー状ビットの半径に対してほぼ平行である、項目36又は37に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目39]
前記成形テーパー状ビットが前記駆動面と、第2のトルク方向に対応する従動面とを有する複数のローブを具備する、項目38に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目40]
前記駆動面と前記従動面との間の距離が、前記成形テーパー状ビットの前記テーパーに沿って短くなる、項目39に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目41]
前記成形テーパー状ビットの前記テーパーが、前記対応する締結具凹部の前記テーパーとは異なる、項目40に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目42]
前記成形テーパー状ビットが前記回転軸から45度~55度のテーパー角度を有する、項目36から41のいずれか一項に記載のトルク伝達ドライバー。
[項目43]
トルク伝達ドライバーであって、
第1の端部分及び第2の端部分を有する本体を備えるトルク伝達ドライバーで、
前記第1の端部分は、トルク発生源からトルクを受けて伝達するようになっており、
前記第1の端部分の反対の前記第2の端部分は、異なるサイズの複数の締結具における類似の形状及びテーパーの凹部に対応する6つのローブの成形テーパー状ビットを備え、前記成形テーパー状ビットは、回転軸から公称上52度のテーパー角度を有し、
前記成形テーパー状ビットは、第1のトルク方向に対応する駆動面を具備し、前記駆動面は、対応するテーパー状締結具面と2度未満のリフト角度で係合するようになっている、トルク伝達ドライバー。
[項目44]
軸の周囲で漸次的にテーパー状になっている直径を有する中心シャフトを備えるとともに、種々のサイズの複数の締結具と係合するようになっており、トルクを前記複数の締結具に加えるドライバーであって、
前記複数の締結具における凹部と係合するローブ状外形であって、複数のローブを有し、各ローブは駆動側面及び従動側面を有するローブ状外形を備えるドライバーで、
前記ローブ状外形は、前記ドライバーの回転軸から45度~65度のテーパー角度を有し、
各ローブの前記駆動側面は、前記漸次的にテーパー状になっている直径に沿ったほぼ一定の径方向位置にあり、
各ローブの前記駆動側面は、前記複数の締結具と減少リフト角度で係合することによって、カムアウトを低減させる、ドライバー。
[項目45]
前記駆動側面と前記従動側面との間の距離が、前記漸次的にテーパー状になっている直径に沿って短くなる、項目44に記載のドライバー。
[項目46]
前記駆動側面における前記減少リフト角度が0度~2度である、項目44又は45に記載のドライバー。
[項目47]
前記駆動側面における前記減少リフト角度が0度~1度である、項目44又は45に記載のドライバー。
[項目48]
前記テーパー角度が回転軸から45度~55度である、項目44から47のいずれか一項に記載のドライバー。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15