(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの結晶形
(51)【国際特許分類】
C07D 209/34 20060101AFI20230704BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20230704BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230704BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230704BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230704BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
C07D209/34 CSP
A61K9/107
A61K31/496
A61P27/02
A61P27/06
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2019542699
(86)(22)【出願日】2017-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2017076648
(87)【国際公開番号】W WO2018165865
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2019-09-03
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】517297038
【氏名又は名称】オールジェネシス バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ツイシア
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ライ、チン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】グエン、タン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ハオロン
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】冨永 保
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/016530(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/178064(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105837493(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105461609(CN,A)
【文献】国際公開第2016/037514(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104844499(CN,A)
【文献】特表2011-504919(JP,A)
【文献】国際公開第2016/209555(WO,A1)
【文献】特開2021-176899(JP,A)
【文献】芦澤一英編著、医薬品の多形現象と晶析の科学、丸善プラネット株式会社、2002年9月20日発行、pp.56-102、304-317
【文献】平山令明編著、有機化合物結晶作製ハンドブック ー原理とノウハウ-、平成20年7月25日発行、pp.17-23、37-40、45-51、57-65
【文献】薬剤学、(2004)、Vol.64、No.1、pp.50-52
【文献】生活工学研究、(2002)、Vol.4、No.2、pp.310-317
【文献】PHARM STAGE、(2007)、Vol.6、No.10、pp.20-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線粉末回折パターンが
、
2θ値6.335°、11.485°、12.077°、16.599°、17.329°、17.782°、19.835°、22.538°、22.973°、及び24.394°に特徴的な回折ピークを有するか、
2θ値6.317°、10.559°、11.427°、12.019°、16.559°、17.307°、17.723°、19.874°、23.012°、及び24.354°に特徴的な回折ピークを有するか、
2θ値6.414°、11.603°、12.197°、15.314°、16.717°、17.466°、17.801°、20.051°、23.209°、及び24.551°に特徴的な回折ピークを有するか、
2θ値6.413°、10.599°、11.502°、12.079°、16.677°、17.389°、17.878°、19.954°、23.190°、及び24.453°に特徴的な回折ピークを有するか、
2θ値6.437°、11.641°、12.163°、16.659°、17.391°、17.882°、19.954°、23.091°、24.533°、及び26.660°に特徴的な回折ピークを有するか、
2θ値6.316°、10.538°、11.425°、12.001°、16.519°、17.269°、17.722°、19.834°、22.952°、及び24.334°に特徴的な回折ピークを有し、
融点温度が245℃±5℃である、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの遊離塩基
結晶。
【請求項2】
X線粉末回折パターンが
、
2θ値6.412°、10.637°、11.504°、12.095°、16.618°、17.348°、17.665°、19.678°、19.933°、及び23.072°に特徴的な回折ピークを有するか、
2θ値6.355°、10.617°、11.448°、12.059°、15.194°、16.598°、17.270°、17.664°、19.875°、及び23.071°に特徴的な回折ピークを有し、
融点温度が255℃±5℃である、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの遊離塩基
結晶。
【請求項3】
DSCパターンが247.08℃に1つの特徴的な吸熱ピークを有する、請求項
1に記載の遊離塩基
結晶。
【請求項4】
DSCパターンが254.15℃に1つの特徴的な吸熱ピークを有する、請求項
2に記載の遊離塩基
結晶。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の遊離塩基
結晶と、1種又は複数種の薬学的に許容される担体と、を含む眼用製剤。
【請求項6】
加齢黄斑変性(AMD)、眼の前部の血管新
生、網膜色素上皮(RPE)の萎縮変化、脈絡膜新生血管(CNV)、脈絡膜網膜静脈閉塞(choroidal retinal vein occlusion)、増殖性結膜変性(瞼裂斑)、結膜乳頭腫(conjunctival papilloma)、低酸素性網膜剥離による角膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、眼充血(hyperremeia)、翼状片関連の眼充血(hyperemeia associated with pterygium)、甲状腺機能亢進による眼充血(hyperthyroidism-induced hyperremia)、網膜色素上皮(RPE)の肥大変化、免疫
若しくは手術関連の眼乾燥、網膜浮腫、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞による黄斑浮腫、新生血管性緑内障(NVG)、眼癌、翼状片結膜(pterygium conjunctivae)、翼状片再発(pterygium recurrence)、スティーヴンス・ジョンソン症候群(Steven Johnson syndrome)、麦粒腫(stye)及び網膜下浮腫から選ばれる眼部疾患を治療するための薬物の調製における請求項
5に記載の眼用製剤の使用。
【請求項7】
血管新生性眼部疾患を治療するための薬物の調製における、請求項
6に記載の眼用製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの新たな遊離塩基結晶形及びその製造方法、前記結晶形を含む薬物製剤並びにその薬物としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンは、薬剤名がニンテダニブ(Nintedanib)であり、受容体型チロシンキナーゼファミリー(RTK)への有効なインヒビターである。ニンテダニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)や血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)及びFms様チロシンキナーゼ-3(FLT3)を抑制できる。FGFR、PDGFR及びVEGFRは、特発性肺線維症(IPF)の発症機構に関連するものである。これらの繊維化進行に関与しているシグナル伝達経路を遮断することにより、ニンテダニブは、肺機能低下速度を遅くさせることによってIPF疾患の進行を緩和することができる。WO 2016/209555には、眼表面疾患を治療するための、ニンテダニブを含む眼用製剤が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ニンテダニブ(化学名:3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン)の新たな結晶形を提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、前記ニンテダニブの結晶形の製造方法を提供することをほかの目的とする。
【0005】
本発明は、前記ニンテダニブの結晶形を含む薬物製剤を提供することをほかの目的とする。
【0006】
本発明は、前記ニンテダニブの結晶形及び前記製剤の用途を提供することをほかの目的とする。
【0007】
一方、本発明は、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの遊離塩基結晶形、即ちニンテダニブの結晶形を提供する。本発明で提供するニンテダニブの結晶形は、結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、結晶形Fを含む。
【0008】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのX線粉末回折(XRPD)パターンが2θ値6.4±0.2に特徴的な回折ピークを有し、且つ、2θ値16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2から選ばれる少なくとも一方に特徴的な回折ピークを有するものである。このような結晶形は、結晶形C、結晶形D、結晶形E、結晶形Fを含む。
【0009】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのXRPDパターンが2θ値6.4±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。このような結晶形は、結晶形C、結晶形E、結晶形Fを含む。
【0010】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのXRPDパターンが2θ値6.4±0.2、12.0±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。このような結晶形は、結晶形E、結晶形Fを含む。
【0011】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのXRPDパターンが2θ値6.4±0.2、12.0±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。また、当該結晶形の融点温度は245℃±5℃である。本発明において、当該結晶形を結晶形Eと称する。
【0012】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのXRPDパターンが2θ値6.4±0.2、12.0±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。また、当該結晶形の融点温度は255℃±5℃である。本発明において、当該結晶形を結晶形Fと称する。
【0013】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのXRPDパターンが2θ値6.4±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2、19.9±0.2及び23.3±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。本発明において、これらの特徴的な回折ピークを有する結晶形を結晶形Cと称する。
【0014】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、そのXRPDパターンが2θ値4.8±0.2、5.6±0.2、6.4±0.2、17.4±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。本発明において、これらの特徴的な回折ピークを有する結晶形を結晶形Dと称する。
【0015】
本発明は、ニンテダニブのほかの結晶形をさらに提供し、当該結晶形は、XRPDパターンが2θ値11.2±0.2、14.8±0.2、16.4±0.2、17.0±0.2及び21.0±0.2に特徴的な回折ピークを有するものである。本発明において、これらの特徴的な回折ピークを有する結晶形を結晶形Bと称する。
【0016】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、結晶形Eであり、そのXRPDパターンが実質的に
図12、
図14、
図19、
図20、
図21又は
図22で示されるようなものである。本発明において、「実質的に
図nで示されるようなもの」は、
図nに標記する具体的な2θ値±0.2に特徴的な回折ピークを有することを意味する。
【0017】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、結晶形Eであり、当該結晶形の示差走査熱量測定(DSC)パターンが実質的に
図13で示されるようなものである。
【0018】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、結晶形Fであり、当該結晶形のXRPDパターンが実質的に
図15又は
図23で示されるようなものである。
【0019】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、結晶形Fであり、当該結晶形のDSCパターンが実質的に
図16で示されるようなものである。
【0020】
【0021】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、結晶形Dであり、当該結晶形のXRPDパターンが実質的に
図11で示されるようなものである。
【0022】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形は、結晶形Bであり、当該結晶形のXRPDパターンが実質的に
図1で示されるようなものである。
【0023】
また、本発明は、ニンテダニブの市販遊離塩基結晶形又は特定の塩類を出発物質として異なる溶剤系に懸濁攪拌し、徐々に揮発するなどの方法によって本発明に記載のニンテダニブのさまざまな結晶形を得る、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法をさらに提供する。本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブのエタンスルホネートを飽和炭酸ナトリウム水溶液に加え、ジクロロメタンを加えて抽出した後、中性になるまで水洗し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発乾固して、ニンテダニブの結晶形Bを調製することを含む。
【0024】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブをアセトンに加え、数分間振れ回り、その後0.22 μm有機濾過膜で濾過して濾液を得、濾液における溶媒を蒸発乾固して、ニンテダニブの結晶形Cである固体を得る、ことを含む。
【0025】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブを溶媒に加え、混合懸濁、磁気撹拌した後、遠心分離で上澄液を廃棄し、揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Cである固体を得る、ことを含む。具体的に、前記溶媒は、アセトニトリル、イソプロパノール、n-プロパノール、2-ブタノン、1,4-ジオキサン/水混合溶媒、ヘプタン、メタノール/水混合溶媒、アセトン/水混合溶媒から選ばれる一つ又は複数のものである。
【0026】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブをジクロロメタンに加え、数分間振れ回り、その後0.22 μm有機濾過膜で濾過して濾液を得、濾液における溶媒を蒸発乾固して、ニンテダニブの結晶形Dである固体を得る、ことを含む。
【0027】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブの結晶形Aを水又はアセトン/水(9/1, v/v)に加え、振れ回り、0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液にニンテダニブの結晶形Bを加え、振れ回り、0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液にニンテダニブの結晶形Cを加え、振れ回り、0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液にニンテダニブの結晶形A、結晶形B及び結晶形Cを加え、磁気攪拌し、遠心分離で上澄液を廃棄し、揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Eである固体を得る、ことを含む。
【0028】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブのエタンスルホネートを水に加え、飽和炭酸ナトリウム溶液で溶液のpHが10程度になるまでに調整し、混合懸濁溶液にジクロロメタンを加え、攪拌し、静置分液し、水層をジクロロメタンで逆抽出し、有機相を合併し、有機相を水で洗浄し、分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を蒸発除去し、乾燥してニンテダニブ遊離塩基を得、当該ニンテダニブ遊離塩基をエチルアルコールに加え、懸濁攪拌、濾過、乾燥して、結晶形Fを得る、ことを含む。
【0029】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブの結晶形Fを水に加え、磁気攪拌して均一になる後、少量の結晶形Eを種結晶として添加し、室温で磁気攪拌し、遠心分離よって固体を取り、乾燥して、ニンテダニブの結晶形Eを得る、ことを含む。
【0030】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明のニンテダニブの結晶形の製造方法は、ニンテダニブの結晶形Fと0.2%チロキサポール溶液を混合分散し、ニンテダニブとチロキサポールとの混合物を200 μm酸化ジルコニウムビーズとともに研磨し、研磨した後、遠心分離し乾燥して、ニンテダニブの結晶形Eである固体を得る、ことを含む。
【0031】
本発明のニンテダニブの結晶形は、価値のある薬理学的性質を具備しており、製薬産業において人間医学のための薬物組成物の生産に用いられる。
【0032】
また、本発明は、本発明のニンテダニブの結晶形の、薬物の調製における用途をさらに提供し、特に眼疾患を治療および/または予防するための薬物の調製における用途をさらに提供する。
【0033】
また、本発明は、本発明のニンテダニブの結晶形を含む薬物組成物をさらに提供する。
【0034】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明は、本発明のニンテダニブの結晶形(結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、結晶形Fから選ばれる1種又は複数種のものを含む)、及び1種又は複数種の薬学的に許容される担体を含む眼用製剤を提供する。
【0035】
また、本発明は、加齢黄斑変性(AMD)、眼の前部の血管新生、例えば角膜炎、角膜移植(corneal transplantation)や角膜移植術(keratoplasty)後の角膜血管新生、網膜色素上皮(RPE)の萎縮変化、脈絡膜新生血管(CNV)、脈絡膜網膜静脈閉塞(choroidal retinal vein occlusion)、増殖性結膜変性(瞼裂斑)、結膜乳頭腫(conjunctival papilloma)、低酸素性網膜剥離による角膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、眼充血(hyperremeia)、翼状片関連の眼充血(hyperemeia associated with pterygium)、甲状腺機能亢進による眼充血(hyperthyroidism-induced hyperremia)、網膜色素上皮(RPE)の肥大変化、免疫や手術関連の眼乾燥、網膜浮腫、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞による黄斑浮腫、新生血管性緑内障(NVG)、眼癌、翼状片結膜(pterygium conjunctivae)、翼状片再発(pterygium recurrence)、スティーヴンス・ジョンソン症候群(Steven Johnson syndrome)、麦粒腫(stye)及び網膜下浮腫から選ばれる眼部疾患を治療するための薬物の調製における前記眼用製剤の用途を提供する。
【0036】
本発明のいくつかの具体的な実施態様において、本発明の前記ニンテダニブの結晶形を含む眼用製剤は、血管新生性眼部疾患を治療するために用いられる。
【0037】
必要な個体に前記ニンテダニブの結晶形を投与し、必要な薬理学的効果を実現できる。本発明の目的から、前記個体は、特定の症例又は疾患を治療する必要な哺乳動物や人であることが好ましい。
【0038】
本発明のニンテダニブの結晶形の有益な効果としては、
本発明のニンテダニブの結晶形は、補強された熱力学的安定性を具備することにある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明のニンテダニブの結晶形BのXRPDパターンである。
【
図2】
図2は、市販ニンテダニブの結晶形AのXRPDパターンである。
【
図3】
図3は、本発明における実験番号0227-05-A01のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図4】
図4は、本発明における実験番号0227-05-A02のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図5】
図5は、本発明における実験番号0227-05-A03のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図6】
図6は、本発明における実験番号0227-05-A04のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図7】
図7は、本発明における実験番号0227-05-A05のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図8】
図8は、本発明における実験番号0227-05-A06のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図9】
図9は、本発明における実験番号0227-05-A07のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図10】
図10は、本発明における実験番号0227-05-A08のニンテダニブの結晶形CのXRPDパターンである。
【
図11】
図11は、本発明のニンテダニブの結晶形DのXRPDパターンである。
【
図12】
図12は、本発明のニンテダニブの結晶形E(実験番号0227-11-A04)のXRPDパターンである。
【
図13】
図13は、本発明のニンテダニブの結晶形E(実験番号0227-11-A04)のDSCパターンである。
【
図14】
図14は、本発明のニンテダニブの結晶形E(実験番号0227-11-A05)のXRPDパターンである。
【
図15】
図15は、本発明のニンテダニブの結晶形FのXRPDパターンである。
【
図16】
図16は、本発明のニンテダニブの結晶形FのDSCパターンである。
【
図17】
図17は、本発明のニンテダニブの結晶形C(実験番号0227-06-A01)のXRPDパターンである。
【
図18】
図18は、本発明のニンテダニブの結晶形C(実験番号0227-06-A02)のXRPDパターンである。
【
図19】
図19は、本発明実施例7のニンテダニブの結晶形EのXRPDパターンである。
【
図20】
図20は、本発明実施例8のニンテダニブの結晶形EのXRPDパターンである。
【
図21】
図21は、本発明実施例8のニンテダニブの結晶形Eが60℃の恒温槽に28日放置された後のXRPDパターンである。
【
図22】
図22は、本発明実施例8のニンテダニブの結晶形Eが4℃の恒温槽に28日放置された後のXRPDパターンである。
【
図23】
図23は、本発明のほかの実施例のニンテダニブの結晶形Fが室温で3ヵ月放置された後のXRPDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、発明を実施するための形態によって本発明をさらに詳細に説明し、しかし、本発明は、下記の実施例に限定するものではない。
【0041】
各実施例において、X線粉末回折実験は、Bruker D8 advance回折装置を用い、室温でCu Ka(波長 1.54056 Å)充填管(40 kV, 40 mA)を、広角ゴニオメーターを具備するX線源として用い、0.6 mm発散スリット、2.5°一次ソラスリット、2.5°二次ソラスリット、8 mm散乱防止スリット、0.1 mm検出器スリット及びLynxEye検出器で行った。2θ連続スキャンモードで、2.4°/分のスキャン速度で3°~40°の範囲において0.02°のスキャンステップでデータ収集を完了させた。
【0042】
DSC実験:TA Q200, Mettler DSC 1+及びMettler DSC 3+を用い、流速50 mL/minのN2保護下で、10 C/minで室温から分解温度までに昇温する前に、データ収集を完了させた。
【0043】
ニンテダニブの各結晶形及びその製造方法に関する実施例
実施例1 ニンテダニブの結晶形B及びその製造方法
ニンテダニブのエタンスルホネート(Shanghai Better-In Pharmaceutical Technology株式会社製)22 gを飽和炭酸ナトリウム水溶液に加え、pH値を9までに調整し、ジクロロメタンを20 ml添加し3回抽出し、30 mlの水で3回洗浄して中性になり、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。0.5h乾燥して、その後、減圧で溶媒を蒸発乾固し、溶媒を回転蒸発し、ニンテダニブの結晶形B 20 gを得た。
【0044】
ニンテダニブの結晶形BのXRPDパターンを
図1に示す。
【0045】
実施例2 ニンテダニブの結晶形C及びその製造方法
市販(Shanghai Better-In Pharmaceutical Technology株式会社製)ニンテダニブの結晶形を測定し、当該結晶形を結晶形Aと称する(そのXRPDパターンを
図2に示す)。
【0046】
それぞれ約30 mgの市販(Shanghai Better-In Pharmaceutical Technology株式会社製)ニンテダニブを8つ秤量し、8つ高速液体クロマトグラフ(HPLC)バイアル瓶に入れ、それぞれに1 mLの下記の表における溶媒を各HPLCバイアル瓶に加え、混合懸濁し、72時間磁気攪拌した。72時間後、遠心分離で上澄液を廃棄し、固体をヒュームフードに放置し、室温で揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Cである固体を得た。実験データ及び測定結果を下記の表に示す。各実験番号のXRPDパターンを
図3~
図10に示す。
【0047】
【0048】
実施例3 ニンテダニブの結晶形D及びその製造方法
市販(Shanghai Better-In Pharmaceutical Technology株式会社製)ニンテダニブを約20 mg秤量し、10 mLのバイアル瓶に入れた。ジクロロメタン3 mLを入れ、数分間振れ回り、その後0.22 μm有機濾過膜で濾過し、濾液を10 mLのバイアル瓶に入れた。濾液を収容しているバイアル瓶をパラフィルムで封じ、5~6個の小穴を開き、ヒュームフードに放置して徐々に揮発した。揮発乾固した固体はニンテダニブの結晶形Dである。実験データ及び測定結果を下記の表に示す。
【0049】
【0050】
ニンテダニブの結晶形DのXRPDパターンを
図11に示す。
【0051】
実施例4 ニンテダニブの結晶形E及びその製造方法
下記の実験におけるニンテダニブの結晶形Aは、市販(Shanghai Better-In Pharmaceutical Technology株式会社製)によって得られたものであり、ニンテダニブの結晶形Bは、実施例1の製造方法によって得られたものであり、ニンテダニブの結晶形Cは実施例2の製造方法によって得られたものである。
【0052】
ニンテダニブの結晶形Aを2~3 mg秤量し、1 mLの水を加え、数分間振れ回り、その後0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液を、2~3 mgのニンテダニブの結晶形Bを収容している1.8 mL HPLCバイアル瓶に入れ、数分間振れ回り、その後0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液を、2~3 mgニンテダニブの結晶形Cを収容している1.8 mL HPLCバイアル瓶に入れ、数分間振れ回り、その後0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液を、ニンテダニブの結晶形A、結晶形B及び結晶形Cそれぞれ10 mgを収容している1.8 mL HPLCバイアル瓶に入れ、72時間磁気攪拌した後、遠心分離で上澄液を廃棄し、得られた固体をヒュームフードに放置し、室温で揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Eである固体を得た。実験データ及び測定結果を下記の表に示す。
【0053】
ニンテダニブの結晶形Aを3~5 mg秤量し、アセトン/水 (9/1, v/v)1 mLを加え、数分間振れ回り、その後0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液を、3~5 mgニンテダニブの結晶形Bを収容している1.8 mL HPLCバイアル瓶に入れ、数分間振れ回り、その後0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液を、3~5 mgニンテダニブの結晶形Cを収容している1.8 mL HPLCバイアル瓶に入れ、数分間振れ回り、その後0.22 μm濾過膜で濾過し、濾液を、ニンテダニブの結晶形A、結晶形B及び結晶形Cそれぞれ10 mgを収容している1.8 mL HPLCバイアル瓶に入れ、72時間磁気攪拌した後、遠心分離で上澄液を廃棄し、得られた固体をヒュームフードに放置し、室温で揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Eである固体を得た。実験データ及び測定結果を下記の表に示す。
【0054】
【0055】
ニンテダニブの結晶形E(0227-11-A04)のXRPDパターンを
図12に示す。DSCパターン(0227-11-A04)を
図13に示す。
【0056】
ニンテダニブの結晶形E(0227-11-A05)のXRPDパターンを
図14に示す。
【0057】
実施例5 ニンテダニブの結晶形F及びその製造方法
30 gのニンテダニブのエタンスルホネートを300 mlの水に加え、室温攪拌下で飽和炭酸ナトリウム溶液で溶液のpHが10程度になるまでに調整し、混合懸濁溶液にジクロロメタンを200 ml加え、15分攪拌し、静置分液し、水層を50 mlのジクロロメタンで逆抽出し、有機相を合併し、有機相を100 ml水で2回洗浄し、分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で溶媒を蒸発除去し、送風し45℃で8時間乾燥し、ニンテダニブ遊離塩基27 gを得た。27 gの上記試料を140 mlのエチルアルコールに加え、3日懸濁攪拌し、濾過し、送風乾燥し、45℃で15~16時間乾燥した。結晶形Fを得た。
【0058】
結晶形FのXRPDパターンを
図15に示す。DSCパターンを
図16に示す。
【0059】
ニンテダニブの結晶形の拡大調製に関する実施例
実施例6 ニンテダニブの結晶形Cの拡大調製
市販(Shanghai Better-In Pharmaceutical Technology株式会社製)ニンテダニブを500 mg秤量し、アセトン/水(9/1, v/v)を15 mL加え、室温で72時間懸濁攪拌した後、遠心分離で上澄液を廃棄し、得られた固体をヒュームフードに放置し、室温で揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Cである固体を得た。実験データ及び測定結果を下記の表に示す。
【0060】
実施例1の製造方法によってニンテダニブの結晶形Bが得られ、ニンテダニブの結晶形Bを500 mg秤量し、アセトン/水(9/1, v/v)を15 mL加え、室温で72時間懸濁攪拌した後、遠心分離で上澄液を廃棄し、得られた固体をヒュームフードに放置し、室温で揮発乾固して、ニンテダニブの結晶形Cである固体を得た。実験データ及び測定結果を下記の表に示す。
【0061】
【0062】
ニンテダニブの結晶形C(0227-06-A01)のXRPDパターンを
図17に示す。ニンテダニブの結晶形C(0227-06-A02)のXRPDパターンを
図18に示す。
【0063】
実施例7 ニンテダニブの結晶形Eの拡大調製
下記の実験におけるニンテダニブの結晶形Fは、実施例5の製造方法によって得られたものである。
【0064】
結晶形Fを約500 mg秤量し、30 mlのバイアル瓶に入れ、水を15 ml加え、磁気攪拌して均一になった後、少量の結晶形Eを種結晶として加え、室温で72時間磁気攪拌した後、遠心分離で固体を取り、40℃で2日乾燥し、ニンテダニブの結晶形Eである固体を得た(そのXRPDパターンを
図19に示す)。
【0065】
ニンテダニブの結晶形の安定性試験
実施例8 ニンテダニブナノ懸濁液の安定性試験
室温で、実施例5の製造方法によって得られたニンテダニブの結晶形Fを約4.0 g秤量し、200 mlの0.2%チロキサポール溶液に攪拌によって分散混合した。次いで、ニンテダニブとチロキサポールとの混合物を、NETZSCH(登録商標) MINICERの160 mlチャンバに200 μm酸化ジルコニウムビーズとともに研磨した。研磨速度及び時間を調整して調合組成物の例えば粒子径分布ような特定特性を変更した。速度及び時間の例として、3000回転/分(rpm)で20分行うことが挙げられる。研磨後、ニンテダニブ粒子の粒子径分布を評価した。分離遠心し、乾燥した後、得られた固体は、XRPD測定によってニンテダニブの結晶形Eであると発見された(そのXRPDパターンを
図20に示す)。
【0066】
上記のボール研磨法によって製造された例示的なニンテダニブナノ懸濁液の粒子径及び組成物を下記の表に示す。
【0067】
【0068】
上記のボール研磨法によって製造されたニンテダニブナノ懸濁液について、安定性試験を行い、当該ニンテダニブナノ懸濁液試料を、それぞれに60℃及び4℃の恒温槽に28日放置した後、取り出し、遠心分離し、残留した補助材料の溶液を水で洗い除去し、固体を取り、30℃で1~2日送風乾燥し、試料表面に明らかに水分が残留していない時に取り出し、XRPDで測定した。結果により、上記のナノ懸濁液は異なる保存環境においてその安定度が維持されており、その結晶形は、依然として結晶形Eである、と示された。60℃の恒温槽に28日放置された後のXRPDパターンの測定結果を
図21に示す。4℃の恒温槽に28日放置された後のXRPDパターンの測定結果を
図22に示す。
【0069】
実施例9 ニンテダニブの結晶形Fの安定性試験
実施例5の製造方法によってニンテダニブの結晶形Fを得た。結晶形Fをポリエチレン製プラスチック袋に入れた後、当該プラスチック袋を、調湿なし乾燥器に置き、室温で3ヵ月(4月12日から7月12日まで)放置し、それぞれに4月12日及び7月12日のXRPDパターンを測定した(放置前のXRPDパターンを
図15に示し、3ヵ月放置後のXRPDパターンを
図23に示す)。測定結果は、いずれも結晶形Fであった。
[付記]
<1> X線粉末回折パターンが2θ値6.4±0.2に特徴的な回折ピークを有し、且つ、2θ値16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2から選ばれる少なくとも一方に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの遊離塩基結晶形。
<2> X線粉末回折パターンが2θ値6.4±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有する、<1>に記載の結晶形。
<3> X線粉末回折パターンが2θ値6.4±0.2、12.0±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有する、<1>に記載の結晶形。
<4> 融点温度が245℃±5℃である、<3>に記載の結晶形。
<5> 融点温度が255℃±5℃である、<3>に記載の結晶形。
<6> X線粉末回折パターンが2θ値6.4±0.2、16.6±0.2、17.4±0.2、17.8±0.2、19.9±0.2及び23.3±0.2に特徴的な回折ピークを有する、<2>に記載の結晶形。
<7> X線粉末回折パターンが2θ値4.8±0.2、5.6±0.2、6.4±0.2、17.4±0.2及び19.9±0.2に特徴的な回折ピークを有する、<1>に記載の結晶形。
<8> X線粉末回折パターンが2θ値11.2±0.2、14.8±0.2、16.4±0.2、17.0±0.2及び21.0±0.2に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの遊離塩基結晶形。
<9> X線粉末回折パターンが実質的に図12、図14、図19、図20、図21又は図22で示されるようなものである、<1>に記載の結晶形。
<10> DSCパターンが実質的に図13で示されるようなものである、<1>又は<9>に記載の結晶形。
<11> X線粉末回折パターンが実質的に図15又は図23で示されるようなものである、<1>に記載の結晶形。
<12> DSCパターンが実質的に図16で示されるようなものである、<1>又は<11>に記載の結晶形。
<13> X線粉末回折パターンが実質的に図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、図17又は図18で示されるようなものである、<1>に記載の結晶形。
<14> X線粉末回折パターンが実質的に図11で示されるようなものである、<1>に記載の結晶形。
<15> X線粉末回折パターンが実質的に図1で示されるようなものである、<8>に記載の結晶形。
<16> <1>~<15>のいずれか1つに記載の結晶形と、1種又は複数種の薬学的に許容される担体と、を含む眼用製剤。
<17> 加齢黄斑変性(AMD)、眼の前部の血管新生、例えば角膜炎、角膜移植(corneal transplantation)や角膜移植術(keratoplasty)後の角膜血管新生、網膜色素上皮(RPE)の萎縮変化、脈絡膜新生血管(CNV)、脈絡膜網膜静脈閉塞(choroidal retinal vein occlusion)、増殖性結膜変性(瞼裂斑)、結膜乳頭腫(conjunctival papilloma)、低酸素性網膜剥離による角膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、眼充血(hyperremeia)、翼状片関連の眼充血(hyperemeia associated with pterygium)、甲状腺機能亢進による眼充血(hyperthyroidism-induced hyperremia)、網膜色素上皮(RPE)の肥大変化、免疫や手術関連の眼乾燥、網膜浮腫、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞による黄斑浮腫、新生血管性緑内障(NVG)、眼癌、翼状片結膜(pterygium conjunctivae)、翼状片再発(pterygium recurrence)、スティーヴンス・ジョンソン症候群(Steven Johnson syndrome)、麦粒腫(stye)及び網膜下浮腫から選ばれる眼部疾患を治療するための薬物の調製における<16>に記載の眼用製剤の用途。
<18> 前記眼用製剤は、血管新生性眼部疾患を治療するために用いられるものである、<17>に記載の用途。