(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】PGM転換プロセスおよびジャケット装着回転式転炉
(51)【国際特許分類】
C22B 11/02 20060101AFI20230704BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20230704BHJP
F27D 1/12 20060101ALI20230704BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20230704BHJP
C22B 9/10 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
C22B11/02
F27D21/00 G
F27D1/12 A
C22B7/00 B
C22B9/10
(21)【出願番号】P 2021563650
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 US2019047304
(87)【国際公開番号】W WO2020222859
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-05-25
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521466596
【氏名又は名称】テケメット,エルピー
【氏名又は名称原語表記】TECHEMET,LP
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト,エドワード ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】マッカロー,スティーブン ディー.
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0002441(US,A1)
【文献】特開2005-113193(JP,A)
【文献】特開平04-317423(JP,A)
【文献】米国特許第04581064(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 7/00
C22B 9/10
C22B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)
溶融した合金の合金プー
ルを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、前記転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケ
ルを含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)添加フラックス材料が、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、20重量部未満の前記添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、前記コレクタ合金からの鉄および1つ以上の他の酸化性元素を
酸化鉄および他の対応する酸化物に転換し、前記合金プール中のPGMを濃縮す
るステップと、
(c)前記酸化鉄を含むスラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(e)前記合金プールをタッピングして、
PGMが濃縮された合金を回収するステップと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記坩堝を耐火材料でライニングすることと、
前記合金プールを保持している前記坩堝に、前記転炉供給物中の100重量部の前記コレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で
、耐火保護剤を供給することと、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記耐火保護剤が、(i)前記合金プールを最初に溶解した後、かつステップ(b)を開始する前、(ii)ステップ(a)および(b)の一方または両方の間、ならびに/または(iii)ステップ(a)および(b)の一方または両方を停止してステップ(d)で前記低密度層をタッピングした後、ステップ(a)および(b)の前記一方または両方を再開する前に、前記坩堝に供給される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記耐火保護剤が、ステップ(a)で導入された前記コレクタ合金とともに前記坩堝に供給される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記耐火保護剤が、ステップ(a)で導入された前記コレクタ合金とは別個に前記坩堝に供給され
る、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記耐火保護剤が、前記耐火材料と共通の成分を
含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記転炉供給物が、シリカ、酸化カルシウム、および/または酸化マグネシウムの含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金当たり、18重量部未満の任意の添加フラックス材料を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ(b)で、前記酸素含有ガスを前記合金プール内に延在するランスを通して前記合金プールに注入することをさらに含み、前記ランスが、消耗性耐火材料を含み、前記ランスの先端が消耗するにつれて前記プール内に前進され、前記消耗性耐火材料が、前記ライニングと共通の成分を
含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ライニングの前記耐火材料が、アルミナを含むラミング耐火物を
含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項10】
前記耐火ライニング内の温度を、前記耐火ライニング内に取り付けられた半径方向に離間したセンサで感知することと、
前記センサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に通信することと、
前記温度感知情報を含む信号を前記1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに
含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項11】
前記坩堝にジャケットを装着することと、ステップ(b)の間、冷却剤
を、前記ジャケットを通して循環させることと、をさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項12】
前記酸素含有ガスが、1800℃以下の温度で
、前記合金プールを溶融状態に維持するのに十分な割合で
前記合金プールに注入される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項13】
ステップ(a)の前に、(I)前記コレクタ合金の一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化する前記ステップをさらに
含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
ステップ(I)での前記予備酸化が、(I.A)前記未加工のコレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを
含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記酸素リッチの火炎が、前記坩堝を加熱するためのバーナによって生成され、(I.B)前記火炎から前記坩堝に少なくとも部分的に溶解および/または予備酸化されたコレクタ合金粒子を堆積させることをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
(I.C)前記粒子を冷却して固化させて、前記予備酸化されたコレクタ合金のコーティングを前記坩堝の耐火ライニングの内面上に形成することをさらに含み、ステップ(II)が、前記コーティングを溶解することを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
ステップ(a)の前に、
(II)前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記坩堝内で溶解して、ステップ(b)での前記酸素含有ガスの前記注入のために十分な体積の前記合金プールを形成するステップと、
(III)次いで、ステップ(a)での前記坩堝への前記転炉供給物導入、およびステップ(b)での前記合金プールへの前記酸素含有ガス注入を開始するステップと、をさらに含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項18】
ステップ(I)での前記予備酸化が、ステップ(II)、(III)、(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)のサイクルを通して前記転炉を運転して、部分的に酸化されたスタータ合金を調製することを含み、前記スタータ合金
の調製サイクルが、
前記部分的に酸化されたスタータ合金の事前に調製された装入物を前記坩堝内で溶解して、前記合金プールを形成することと、
ステップ(b)での前記酸素含有ガスの前記注入と同時に、ステップ(a)で前記合金プールに前記転炉供給物を定期的または継続的に供給することと、
前記酸素含有ガスの前記注入を継続して、前記合金プールを部分的に酸化すること
と、
前記坩堝からの前記スラグを
、タッピングすることと、
次いで、前記部分的に酸化された合金プールを回収して固化させることと
、
を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
ステップ(I)での前記予備酸化が、前記コレクタ合金の粒子を、少なくとも800℃の温度で
、酸素含有ガスと接触させることを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項20】
(A.1)ステップ(d)で回収された前記スラグを複数の部分に分離するステップと、
(A.2)ステップ(a)で前記坩堝に導入された前記転炉供給物に、ステップ(A.1)からの前記回収されたスラグ部分の第1のスラグ部分を再循環させるステップであって、前記転炉供給物が、100重量部の前記コレクタ合金当たり約5~100重量部の量の前記再循環されたスラグを
含む、再循環させるステップと、をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
(A.3)ステップ(a)での前記転炉供給物への同時の導入のために
、前記コレクタ合金および前記再循環スラグを組み合わせることをさらに含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
ステップ(A.2)での前記再循環されたスラグが、ステップ(d)からの前記回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量、および/または前記再循環されたスラグの約2重量パーセントを超えるニッケル含有量を有する、ステップ(d)からの前記回収されたスラグの高品位部分を含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
(B.1)ステップ(d)からの前記回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップと、
(B.2)前記粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離するステップと、
(B.3)ステップ(A.2)で前記磁気感受性画分を前記転炉供給物に再循環させるステップと、
(B.4)任意で、ステップ(A.2)で前記非磁気感受性画分の一部分を前記転炉供給物に再循環させるステップと、をさらに含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項24】
(C.1)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記坩堝内で溶解して前記合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続く、繰り返すステップと、
(C.3)ステップ(C.2)の前記シーケンスの最後のシーケンスで、ステップ(d)で前記低密度層の最終タッピングから回収された前記スラグを、磁気感受性にかかわらずステップ(A.2)で前記転炉供給物に再循環させ、および/またはステップ(d)での前記最終タッピングからのステップ(B.2)で分離された前記非磁気感受性画分の全部もしくは一部を、ステップ(A.2)で前記転炉供給物に再循環させるステップと、
(C.4)ステップ(C.2)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での前記低密度層の前記最終タッピングの後に、ステップ(e)で前記合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、請求項
23に記載のプロセス。
【請求項25】
(D.1)ステップ(C.2)での前記最終タッピングに先行する前記低密度層の前記タッピングのために、前記低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層の前記タッピングの前に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(D.2)ステップ(C.2)での前記最終タッピングのために、前記タッピングを迅速に開始して、前記坩堝内の前記合金プールの固化を回避し、任意で、ステップ(C.2)での前記最終タッピングのために前記低密度層中の合金の同伴をもたらすステップと、をさらに含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
(1)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記坩堝内で溶解して、ステップ(a)のための前記合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続く、繰り返すステップと、
(3)ステップ(2)の最終シーケンスのステップ(d)での前記低密度層の
タッピングに先行する、ステップ(2)の各シーケンスのステップ(d)での前記低密度層の前記タッピングのために、前記低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層の前記タッピングの前に
、前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(4)ステップ(2)の前記最終シーケンスの前記ステップ(d)での前記低密度層の
最終タッピングのために、前記最終タッピングを速やかに行って、前記坩堝内の前記合金プールの固化を回避し
、ステップ(d)での前記低密度層の前記最終タッピングを開始することによって、任意で、ステップ(2)の前記最終シーケンスのステップ(d)での前記最終タッピングの前記低密度層中で合金を同伴するステップと、
(5)ステップ(2)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での前記低密度層の前記最終タッピングの後に、ステップ(e)で前記合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項27】
(6)ステップ(2)の各シーケンスのステップ(d)からの前記回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップと、
(7)ステップ(2)の前記最終シーケンスのステップ(d)での前記低密度層の前記最終タッピングから回収された前記スラグを、ステップ(a)で前記転炉供給物に再循環させるステップと、をさらに含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
(E.1)触媒材料を一次炉内で製錬するステップと、
(E.2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(E.3)前記一次炉スラグを二次炉内で製錬するステップと、
(E.4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(E.5)前記第1および第2のコレクタ合金を、ステップ(a)で転炉供給物に供給するステップと、
(E.6)ステップ(d)で前記転炉から回収された前記スラグの少なくとも一部分を、ステップ(E.3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために前記二次炉に供給するステップと、をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項29】
前記転炉の前記坩堝が、耐火材料でライニングされており、ステップ(E.2)からの前記一次炉スラグの一部分を、ステップ(a)および(b)の耐火保護剤として前記坩堝に
、供給することをさらに含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
ステップ(b)での前記酸素含有ガス注入が、前記合金プールが、前記合金プールの総重量に対して約10重量%以下の
鉄を含むまで継続される、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項31】
前記コレクタ合金が、
0.5~12重量%のPGM、
40重量%以上の鉄
、
0.5重量%以上のニッケル
、
3重量%以下の硫黄
、
を含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項32】
前記
PGMが濃縮された合金が、
25重量%以上のPGM
、
25重量%以上のニッケル
、
を含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項33】
前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガスの前記注入が、少なくとも部分的に同時である、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項34】
溶融した合金の前記合金プールが、ニッケルを含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項35】
前記コレクタ合金が、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項36】
溶融した合金の前記合金プールが、ニッケルを含み、前記コレクタ合金が、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含み、前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガスの前記注入が、少なくとも部分的に同時である、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項37】
白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)ニッケルを含む
溶融した合金の合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、前記転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)18重量部未満の任意の添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、前記コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガスの前記注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(c)前記酸化鉄を含むスラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(e)前記合金プールをタッピングして、
PGMが濃縮された合金を回収するステップと、を含む、プロセス。
【請求項38】
前記坩堝を耐火材料でライニングすることと、
前記合金プールを保持している前記坩堝に、前記転炉供給物中の100重量部の前記コレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で
、耐火保護剤を供給することと、をさらに含む、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記耐火保護剤が、(i)前記合金プールを最初に溶解した後、かつステップ(b)を開始する前、(ii)ステップ(a)および(b)の一方または両方の間、ならびに/または(iii)ステップ(a)および(b)の一方または両方を停止してステップ(d)で前記低密度層をタッピングした後、ステップ(a)および(b)の前記一方または両方を再開する前に、前記坩堝に供給される、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記耐火保護剤が、ステップ(a)で導入された前記コレクタ合金とともに前記坩堝に供給される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記耐火保護剤が、ステップ(a)で導入された前記コレクタ合金とは別個に前記坩堝に供給
される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項42】
前記耐火保護剤が、前記耐火材料と共通の成分を
含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項43】
ステップ(b)で、前記酸素含有ガスを前記合金プール内に延在するランスを通して前記合金プールに注入することをさらに含み、前記ランスが、消耗性耐火材料を含み、前記ランスの先端が消耗するにつれて前記プール内に前進され、前記消耗性耐火材料が、前記ライニングと共通の成分を
含む、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記ライニングの前記耐火材料が、アルミナを含むラミング耐火物を
含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項45】
前記耐火ライニング内の温度を、前記耐火ライニング内に取り付けられた半径方向に離間したセンサで感知することと、
前記センサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に通信することと、
前記温度感知情報を含む信号を前記1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに
含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項46】
前記坩堝にジャケットを装着することと、ステップ(b)の間、冷却剤
を、前記ジャケットを通して循環させることと、をさらに含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項47】
前記酸素含有ガスが、1800℃以下の温度で
、前記合金プールを溶融状態に維持するのに十分な割合で
前記合金プールに注入される、請求項38に記載のプロセス。
【請求項48】
ステップ(b)での前記酸素含有ガス注入が、前記合金プールが、前記合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の
鉄を含むまで継続される、請求項37に記載のプロセス。
【請求項49】
前記コレクタ合金が、
0.5~12重量%のPGM、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
3重量%以下の硫黄
、
3重量%以下の銅
、
を含む、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項50】
前記
PGMが濃縮された合金が、
25重量%以上のPGM
、
25重量%以上のニッケル
、
10重量%以下の鉄
、
を含む、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
前記コレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、前記坩堝への前記転炉供給物中に導入された前記100重量部の前記コレクタ合金のうち、前記転炉供給物が、少なくとも20重量部の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含み、好ましくは、前記部分的な予備酸化が、前記コレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含
む、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項52】
前記転炉供給物が、100重量部の前記コレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグをさらに含む、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項53】
前記転炉が、
(I)前記コレクタ合金の少なくとも一部分を部分的に予備酸化するステップと、
(II)ステップ(I)からの前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を前記転炉の前記坩堝内で溶解して、合金プールを形成して、前記転炉運転サイクルを開始するステップと、
(III)前記転炉供給物を前記合金プールとともに前記坩堝に導入するステップであって、前記転炉供給物が、(i)ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、(ii)予備酸化されていない前記コレクタ合金、または(iii)それらの組み合わせであって、前記転炉供給物が、任意で、以前の転炉サイクルからの再循環スラグをさらに含み得る、(i)、(ii)、または(iii)を含む、導入するステップと、
(IV)前記鉄の酸化鉄への前記転換、および前記合金プール中の前記PGMの前記濃縮のために、前記酸素含有ガスを前記合金プールに注入するステップと、
(V)前記酸化鉄を含む前記スラグが、前記合金プールの上方の前記低密度層に集まることを可能にするステップと、
(VI)ステップ(III)および(IV)を終了し、前記低密度層をタッピングして前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(VII)ステップ(III)、(IV)、(V)、および(VI)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(VI)が、ステップ(IV)および(V)の後に続く、繰り返すステップと、
(VIII)各非最終シーケンスのステップ(VI)での前記低密度層の前記タッピングの前に、前記低密度層中で同伴される合金が、前記酸素含有ガス注入の終了後に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(IX)前記最終シーケンスのステップ(VI)での前記酸素含有ガス注入の終了後に前記低密度層の前記タッピングを速やかに開始するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避される、速やかに開始するステップと、
(X)前記転炉サイクルの終了時に、前記合金プールをタッピングして、前記
PGMが濃縮された合金を回収するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む運転サイクルを有する、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項54】
(1)触媒材料
を一次炉内で製錬するステップと、
(2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)
前記一次炉スラグ
を二次炉内で製錬するステップと、
(4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)前記転炉供給物が、前記第1および第2のコレクタ合金を含んで、
(6)ステップ(d)で前記転炉から回収された前記スラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために前記二次炉に供給するステップと、をさらに含む、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項55】
(A)前記坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)前記耐火物でライニングされた坩堝内に
溶融した合金の前記合金プールを保持することと、
(C)前記耐火ライニングに隣接して前記坩堝にジャケットを装着することと、
(D)前記ジャケットを通して冷却剤を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項56】
前記転炉が、回転式転炉を含み、前記回転式転炉が、
前記坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融した合金の前記合金プールを保持するための、前記坩堝の耐火ライニングと、
前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入するための、前記坩堝の上部の開口部と、
前記合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記坩堝の熱伝達ジャケットと、
前記ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去するための冷却剤システムと、を含む、請求項37~48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項57】
白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(I)前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む未加工のコレクタ合金を部分的に予備酸化するステップと、
(II)初期装入物を転炉の坩堝に導入するステップであって、前記初期装入物が、前記未加工のコレクタ合金、ステップ(I)の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、またはそれらの組み合わせを含む、導入するステップと、
(III)前記初期装入物を溶解して、前記坩堝内に合金プールを形成するステップと、
(IV)前記合金プールに転炉供給物を導入するステップであって、前記転炉供給物が、前記未加工のコレクタ合金、ステップ(i)の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、またはそれらの組み合わせを含み、前記初期装入物および前記転炉供給物の少なくとも一方または両方が、ステップ(I)の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含む、導入するステップと、
(V)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガスの前記注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(VI)前記酸化鉄を含むスラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(VII)前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(VIII)前記合金プールをタッピングして、
PGMが濃縮された合金を回収するステップと、を
含み、
前記初期装入物および前記転炉供給物が、
(i)合計100重量部の前記未加工のコレクタ合金および前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料と、
を含むことを特徴とする、
プロセス。
【請求項58】
ステップ(I)での前記部分的な予備酸化が、ステップ(I)の前の前記未加工のコレクタ合金部分中の前記鉄に基づいて、10~90パーセントの鉄の転換
を含む、請求項57に記載のプロセス。
【請求項59】
ステップ(I)での前記予備酸化が、(I.A)前記未加工のコレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含み、好ましくは前記火炎が、2000℃以上
の火炎温度を呈する、請求項57に記載のプロセス。
【請求項60】
前記酸素リッチの火炎が、前記坩堝を加熱するためのバーナによって生成され、(I.B)前記火炎から前記坩堝に少なくとも部分的に溶解された予備酸化されたコレクタ合金粒子を堆積させることをさらに含む、請求項59に記載のプロセス。
【請求項61】
(I.C)前記粒子を冷却して固化させて、前記坩堝の耐火ライニングの内面上に前記予備酸化されたコレクタ合金のコーティングを形成するステップをさらに含み、
ステップ(III)が、前記坩堝内で前記コーティングを溶解して、ステップ(V)での前記酸素含有ガスの前記注入のために十分な体積の前記合金プールを形成することを含む、請求項60に記載のプロセス。
【請求項62】
ステップ(III)が、前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記坩堝内で溶解して、ステップ(IV)での前記酸素含有ガスの前記注入のための十分な体積の前記合金プールを形成することを含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項63】
ステップ(I)での前記予備酸化が、ステップ(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII)のサイクルを通して前記転炉を運転して、部分的に酸化されたスタータ合金を調製することを含み、前記スタータ合金調製サイクルが、
前記部分的に酸化されたスタータ合金の事前に調製された装入物を前記坩堝内で溶解して、前記合金プールを形成することと、
ステップ(V)での前記酸素含有ガスの前記注入と同時に、ステップ(IV)で前記転炉供給物を前記合金プールに定期的または継続的に供給することと、
前記酸素含有ガスの前記注入を継続して、前記合金プールを部分的に酸化すること
と、
前記坩堝からの前記スラグを
、タッピングすることと、
次いで、前記部分的に酸化された合金プールを回収して固化させることと
、
を含む、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
ステップ(I)での前記予備酸化が、前記未加工のコレクタ合金の粒子を、800℃よりも高
い温度で
、酸素含有ガスと接触させることを含む、請求項57に記載のプロセス。
【請求項65】
ステップ(V)での前記酸素含有ガス注入が、前記合金プール
が約10重量%以下の
鉄を含むまで継続される、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項66】
前記未加工のコレクタ合金が、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
0.1重量%以上の硫黄、
0.1~3重量%の銅、および
1~20重量%のケイ素を含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項67】
前記
PGMが濃縮された合金が、
25重量%以上のPGM
、
25重量%以上のニッケル
、
10重量%以下の鉄
、
10重量%以下の銅、
2重量%以下の硫黄
、
を含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項68】
前記転炉供給物が、ステップ(I)の少なくとも20重量部の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物を含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項69】
前記初期装入物および前記転炉供給物が
、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム
の含有量にかかわらず、20重量部未満
の任意の添加フラックス材料を含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項70】
前記坩堝を耐火材料でライニングすることと、
前記合金プールを保持している前記坩堝に、前記初期装入物および前記転炉供給物中の100重量部の前記未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で
、耐火保護剤を供給することと、をさらに含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項71】
前記耐火保護剤が、前記耐火材料と共通の成分
を含む、請求項70に記載のプロセス。
【請求項72】
前記初期装入物および前記転炉供給物が、合計100重量部の前記未加工のおよび/または部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグをさらに含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項73】
前記転炉が、
(1)ステップ(III)で、ステップ(I)からの前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を前記転炉の前記坩堝内で溶解して、前記合金プールを形成して、前記転炉運転サイクルを開始するステップと、
(2)ステップ(IV)で、前記合金プールを有する前記坩堝に前記転炉供給物を前記導入するステップであって、前記転炉供給物が、任意で、以前の転炉サイクルからの再循環スラグをさらに含み得る、前記導入するステップと、
(3)ステップ(V)で、前記鉄の酸化鉄への前記転換、および前記合金プール中の前記PGMの前記濃縮のために、前記合金プールに前記酸素含有ガスを前記注入するステップと、
(4)ステップ(VI)で、前記酸化鉄を含む前記スラグが、前記合金プールの上方の前記低密度層に集まることを前記可能にするステップと、
(5)ステップ(2)および(3)を終了し、前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(6)ステップ(2)、(3)、(4)、および(5)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(5)が、ステップ(3)および(4)の後に続く、繰り返すステップと、
(7)各非最終シーケンスのステップ(6)での前記低密度層の前記タッピングの前に、前記低密度層中で同伴される合金が、前記酸素含有ガス注入の終了後に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(8)前記最終シーケンスのステップ(6)での前記酸素含有ガス注入の終了後に前記低密度層の前記タッピングを速やかに開始するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避され、合金が任意で前記低密度層中で同伴される、速やかに開始するステップと、
(9)前記転炉サイクルの終了時に、前記合金プールをタッピングして、前記
PGMが濃縮された合金を回収するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む運転サイクルを有する、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項74】
(1)触媒材料
を一次炉内で製錬するステップと、
(2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)
前記一次炉スラグ
を二次炉内で製錬するステップと、
(4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)ステップ(I)、ステップ(II)、および/またはステップ(IV)で、前記第1および第2のコレクタ合金が、前記未加工のコレクタ合金として供給され、
(6)ステップ(d)で前記転炉から回収された前記スラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために前記二次炉に供給するステップと、をさらに含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項75】
(A)前記坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)前記耐火物でライニングされた坩堝内に
溶融した合金の前記合金プールを保持することと、
(C)前記耐火ライニングに隣接して前記坩堝にジャケットを装着することと、
(D)前記ジャケットを通して冷却剤を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項76】
前記転炉が、回転式転炉を含み、前記回転式転炉が、
前記坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融した合金の前記合金プールを保持するための、前記坩堝の耐火ライニングと、
前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入するための、前記坩堝の上部の開口部と、
前記合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記坩堝の熱伝達ジャケットと、
前記ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去するための冷却剤システム
と、を含む、請求項57~61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項77】
白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)
溶融した合金の合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、前記転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)100重量部の前記コレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグと、
(iii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料と、を含むことを特徴とする、前記転炉供給物を導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガスの前記注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(c)前記酸化鉄を含むスラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(e)ステップ(d)で回収された前記スラグを、ステップ(a)で転炉供給物に再循環させるための第1のスラグ部分と、ステップ(a)に再循環されない第2のスラグ部分と、に分離するステップと、
(f)前記合金プールをタッピングして、
PGMが濃縮された合金を回収するステップと、のサイクルを含む、プロセス。
【請求項78】
1つのサイクルのステップ(e)からの前記再循環スラグ部分が、後続のサイクルのステップ(a)で前記再循環された転炉スラグとして供給される、請求項77に記載のプロセス。
【請求項79】
前記転炉供給物が、100重量部の前記コレクタ合金当たり10~50重量部の量の前記再循環されたスラグを含む、請求項77に記載のプロセス。
【請求項80】
ステップ(a)での前記転炉供給物への同時の導入のために
、前記コレクタ合金および前記再循環された転炉スラグを組み合わせることをさらに含む、請求項77に記載のプロセス。
【請求項81】
ステップ(a)での前記再循環された転炉スラグ、および/またはステップ(e)での前記第1のスラグ部分が、ステップ(d)からの前記回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量、および/または約2重量パーセントを超える酸化ニッケル含有量を有する高品位スラグを含む、請求項77に記載のプロセス。
【請求項82】
ステップ(d)からの前記回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップをさらに含み、
ステップ(e)での前記分離が、前記粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
前記再循環スラグ部分が、前記磁気感受性画分を含み、
前記再循環スラグ部分が、任意で、前記非磁気感受性画分の一部分を含む、請求項81に記載のプロセス。
【請求項83】
(C.1)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記坩堝内で溶解して前記合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続き、
ステップ(e)からの再循環スラグ部分が、磁気感受性にかかわらずステップ(C.2)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での前記低密度層の最終タッピングから回収された前記スラグを含む、繰り返すステップと、
(C.3)ステップ(C.2)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での前記低密度層の前記最終タッピングの後に、ステップ(f)で前記合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、請求項82に記載のプロセス。
【請求項84】
(C.1)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記坩堝内で溶解して前記合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続き、
ステップ(e)からの再循環スラグ部分が、ステップ(C.2)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での前記低密度層の最終タッピングから回収された前記スラグの前記非磁気感受性画分の全部または一部を含む、繰り返すステップと、
(C.3)ステップ(C.2)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での前記低密度層の前記最終タッピングの後に、ステップ(f)で前記合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、請求項82に記載のプロセス。
【請求項85】
(D.1)ステップ(C.2)での前記最終タッピングに先行する前記低密度層の前記タッピングのために、前記低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層の前記タッピングの前に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(D.2)酸素含有ガス注入を停止して5分以内に、ステップ(C.2)での前記最終タッピングを開始するステップと、をさらに含む、請求項84に記載のプロセス。
【請求項86】
ステップ(b)での前記酸素含有ガス注入が、前記合金プール内の温度を、少なくとも1250
℃に維持するのに十分な割合である、請求項77に記載のプロセス。
【請求項87】
ステップ(b)での前記酸素含有ガス注入が、前記合金プールが、前記合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄
を含むまで継続される、請求項77に記載のプロセス。
【請求項88】
前記コレクタ合金が、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
0.1重量%以上の硫黄、
0.1~3重量%の銅、および
20重量%以下のケイ素
を含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項89】
前記
PGMが濃縮された合金が、
25重量%以上のPGM
、
25重量%以上のニッケル
、
を含む、請求項88に記載のプロセス。
【請求項90】
前記転炉供給物が
、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、20重量部未満
の任意の添加フラックス材料
を含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項91】
前記坩堝を耐火材料でライニングすることと、
前記合金プールを保持している前記坩堝に、前記転炉供給物中の100重量部の前記コレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で
、耐火保護剤を供給すること
をさらに含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項92】
前記コレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、前記坩堝への前記転炉供給物中に導入された前記100重量部の前記コレクタ合金のうち、前記転炉供給物が、少なくとも20重量部の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を
含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項93】
前記転炉が、
(1)部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を前記転炉の前記坩堝内で溶解して、前記合金プールを形成して、前記転炉運転サイクルを開始するステップと、
(2)ステップ(a)で、前記合金プールを有する前記坩堝に前記転炉供給物を前記導入するステップであって、前記転炉供給物が、任意で、以前の転炉サイクルからの再循環スラグをさらに含み得る、前記導入するステップと、
(3)ステップ(b)で、前記鉄の酸化鉄への前記転換、および前記合金プール中の前記PGMの前記濃縮のために、前記合金プールに前記酸素含有ガスを前記注入するステップと、
(4)ステップ(c)で、前記酸化鉄を含む前記スラグが、前記合金プールの上方の前記低密度層に集まることを前記可能にするステップと、
(5)ステップ(2)および(3)を終了し、前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(6)ステップ(2)、(3)、(4)、および(5)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(5)が、ステップ(2)および(3)の後に続く、繰り返すステップと、
(7)各非最終シーケンスのステップ(6)での前記低密度層の前記タッピングの前に、前記低密度層中で同伴される合金が、前記酸素含有ガス注入の終了後に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(8)前記最終シーケンスのステップ(6)での前記酸素含有ガス注入の終了後に前記低密度層の前記タッピングを速やかに開始するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避され、合金が任意で前記低密度層中で同伴される、速やかに開始するステップと、
(9)前記転炉サイクルの終了時に、前記合金プールをタッピングして、前記
PGMが濃縮された合金を回収するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む運転サイクルを有する、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項94】
(1)触媒材料
を一次炉内で製錬するステップと、
(2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)
前記一次炉スラグ
を二次炉内で製錬するステップと、
(4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)ステップ(a)での前記転炉供給物が、前記第1および第2のコレクタ合金を含んで、
(6)ステップ(e)からの前記生成物スラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために前記二次炉に供給するステップと、をさらに含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項95】
(A)前記坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)前記耐火物でライニングされた坩堝内に
溶融した合金の前記合金プールを保持することと、
(C)前記耐火ライニングに隣接して前記坩堝にジャケットを装着することと、
(D)前記ジャケットを通して冷却剤を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項96】
前記転炉が、回転式転炉を含み、前記回転式転炉が、
前記坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融した合金の前記合金プールを保持するための、前記坩堝の耐火ライニングと、
前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入するための、前記坩堝の上部の開口部と、
前記合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記坩堝の熱伝達ジャケットと、
前記ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去するための冷却剤システム
と、を含む、請求項77~87のいずれかに記載のプロセス。
【請求項97】
白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(I)転炉の坩堝内でコレクタ合金の初期装入物を溶解して、合金プールを形成して、転炉サイクルを開始するステップと、
(II)前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入するステップと、
(III)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガスの前記注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(IV)前記酸化鉄を含むスラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(V)ステップ(II)および(III)を終了し、前記低密度層をタッピングして前記転炉から前記スラグを回収するステップと、
(VI)ステップ(II)、(III)、(IV)、および(V)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(V)が、ステップ(III)および(IV)の後に続く、繰り返すステップと、
(VII)各非最終シーケンスのステップ(V)での前記低密度層の前記タッピングの前に、前記低密度層中で同伴される合金が、前記酸素含有ガス注入の終了後に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(VIII)前記最終シーケンスのステップ(V)での前記酸素含有ガス注入の終了後に前記低密度層の前記タッピングを速やかに開始するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避される、速やかに開始するステップと、
(IX)前記転炉サイクルの終了時に、前記合金プールをタッピングして、
PGMが濃縮された合金を回収するステップであって、前記坩堝内の前記合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を
含み、
前記転炉供給物が、
(i)合計100重量部の前記コレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料と、を含むことを特徴とする、
プロセス。
【請求項98】
前記酸素含有ガス注入の終了と前記低密度層タッピングの開始との間のステップ(VII)での経過時間が、5分以上である、請求項97に記載のプロセス。
【請求項99】
前記酸素含有ガス注入の終了と前記低密度層タッピングの開始との間のステップ(VIII)での経過時間が、5分以下である、請求項97に記載のプロセス。
【請求項100】
ステップ(VIII)でタッピングされた前記低密度層中の合金を同伴することをさらに含む、請求項97に記載のプロセス。
【請求項101】
(X)ステップ(V)からの前記回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップと、
(XI)ステップ(V)からの前記回収されたスラグを、後続の転炉サイクルのステップ(II)での転炉供給物への再循環のためのスラグ部分と、再循環されないスラグ部分と、に分離するステップと、をさらに含む、請求項97に記載のプロセス。
【請求項102】
ステップ(II)での前記転炉供給物が、100重量部の前記コレクタ合金当たり5~100重量部
の量の前記再循環されたスラグを含む、請求項101に記載のプロセス。
【請求項103】
ステップ(II)への前記再循環スラグが、ステップ(V)からの前記回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量を有する高品位スラグ
を含む、請求項101に記載のプロセス。
【請求項104】
ステップ(XI)での前記分離が、前記粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
前記再循環スラグ部分が、前記磁気感受性画分を含み、
前記再循環スラグ部分が、任意で、前記非磁気感受性画分の一部分をさらに含む、ことをさらに含む、請求項101に記載のプロセス。
【請求項105】
前記再循環スラグ部分が、前記最終シーケンスのステップ(VIII)から回収された前記スラグからの前記非磁気感受性画分をさらに含む、請求項104に記載のプロセス。
【請求項106】
前記再循環スラグ部分が、磁気感受性にかかわらず、前記最終シーケンスのステップ(VIII)から回収された前記スラグを含む、請求項101に記載のプロセス。
【請求項107】
ステップ(III)での前記酸素含有ガス注入が、前記合金プールが、前記合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄
を含むまで継続される、請求項97に記載のプロセス。
【請求項108】
前記コレクタ合金が、前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を
含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項109】
前記
PGMが濃縮された合金が、
25重量%以上のPGM
、
25重量%以上のニッケル
、
10重量%以下の鉄
、
を含む、請求項108に記載のプロセス。
【請求項110】
前記転炉供給物が
、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、20重量部未満
の任意の添加フラックス材料
を含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項111】
前記坩堝を耐火材料でライニングすることと、
前記合金プールを保持している前記坩堝に、前記転炉供給物中の合計100重量部の前記未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で
、耐火保護剤を供給することと、をさらに
含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項112】
前記コレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、前記初期装入物、前記転炉供給物、またはその両方が、前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を
含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項113】
前記初期装入物および/または転炉供給物が、それぞれ、前記初期装入物および/または転炉供給物中の合計100重量部の前記未加工のコレクタ合金および前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり、20~100重量部の量の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金と、0~80重量部の量の前記未加工のコレクタ合金と、を含む、請求項112に記載のプロセス。
【請求項114】
(1)触媒材料
を一次炉内で製錬するステップと、
(2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)
前記一次炉スラグ
を二次炉内で製錬するステップと、
(4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)前記初期装入物および/または転炉供給物が、前記第1および第2のコレクタ合金を含んで、
(6)ステップ(d)で前記転炉から回収された前記スラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために前記二次炉に供給するステップと、をさらに含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項115】
(A)前記坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)前記耐火物でライニングされた坩堝内に
溶融した合金の前記合金プールを保持することと、
(C)前記耐火ライニングに隣接して前記坩堝にジャケットを装着することと、
(D)前記ジャケットを通して冷却剤を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去すること
と、をさらに含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項116】
前記転炉が、回転式転炉を含み、前記回転式転炉が、
前記坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融した合金の前記合金プールを保持するための、前記坩堝の耐火ライニングと、
前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入するための、前記坩堝の上部の開口部と、
前記合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記坩堝の熱伝達ジャケットと、
前記ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去するための冷却剤システム
と、を含む、請求項97~107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項117】
PGMを回収および濃縮するためのプロセスであって、
(1)一次炉内で触媒材料を製錬するステップと、
(2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)前記一次炉スラグを二次炉内で製錬するステップと、
(4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)前記第1および第2のコレクタ合金を転炉内で転換して、
PGMが濃縮された合金および転炉スラグを回収するステップと、
(6)ステップ(5)で前記転炉から回収された前記転炉スラグを、第1および第2の転炉スラグ部分に分離するステップと、
(7)ステップ(3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために、前記第1の転炉スラグ部分を前記二次炉に供給するステップと、を含
み、
前記転炉への供給物が、
(i)合計100重量部の前記第1および第2のコレクタ合金と、
(ii)18重量部未満の任意の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む18重量部未満の任意の添加フラックス材料と、を含むことを特徴とする、
プロセス。
【請求項118】
前記第2の転炉スラグ部分を、合計100重量部の前記第1および第2のコレクタ合金当たり約5~100重量部の前記第2の転炉スラグ部分の量の前記転炉への供給物に供給することをさらに含む、請求項117に記載のプロセス。
【請求項119】
前記第2の転炉スラグ部分が、前記第1の転炉スラグ部分よりも高いPGM含有量を有する高品位スラグ
を含む、請求項118に記載のプロセス。
【請求項120】
ステップ(5)から回収された前記転炉スラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップをさらに含み、
ステップ(6)での前記分離が、前記粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
前記第2の転炉スラグ部分が、前記磁気感受性画分を含み、
前記第2の転炉スラグ部分が、任意で、前記非磁気感受性画分の一部分を含む、請求項119に記載のプロセス。
【請求項121】
ステップ(5)での前記転換が、
(a)任意で部分的に予備酸化されたコレクタ合金を前記転炉の坩堝内で溶解して、前記坩堝内に保持される合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始することと、
(b)前記転炉供給物を前記坩堝に導入することと、
(c)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、前記コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮することであって、前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガス注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮することと、
(d)前記酸化鉄を含む前記スラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(e)前記転炉供給物導入および前記酸素含有ガス注入を停止し、前記低密度層をタッピングして前記転炉から前記スラグを回収することと、
(f)ステップ(b)、(c)、および(e)のシーケンスを複数回繰り返すことであって、各シーケンスのステップ(e)が、ステップ(b)および(c)の後に続き、ステップ(6)からの前記第2の転炉スラグ部分が、磁気感受性にかかわらず、前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での前記低密度層の最終タッピングから回収された前記転炉スラグを含む、繰り返すことと、
(g)ステップ(f)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での前記低密度層の前記最終タッピングの後に、前記合金プールをタッピングすることと、を含む、請求項120に記載のプロセス。
【請求項122】
ステップ(6)からの前記第2の転炉スラグ部分が、ステップ(f)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での前記低密度層の前記最終タッピングから回収された前記スラグの前記非磁気感受性画分の全部または一部を含む、請求項121に記載のプロセス。
【請求項123】
(D.1)ステップ(f)での前記非最終シーケンスで、前記低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層の前記タッピングの前に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(D.2)ステップ(f)での前記最終シーケンスで、前記酸素含有ガス注入を停止して5分以内に、ステップ(e)での前記最終タッピングを開始するステップと、をさらに含む、請求項121に記載のプロセス。
【請求項124】
前記第1の転炉スラグ部分が、1000ppm未満のPGMを含み、前記第2の転炉スラグ部分が、1000ppmを超えるPGMを含む、請求項118に記載のプロセス。
【請求項125】
前記転炉の坩堝が、耐火材料でライニングされており、ステップ(2)からの前記一次炉スラグの一部分を耐火保護剤として前記坩堝に供給することをさらに含む、請求項117に記載のプロセス。
【請求項126】
前記耐火保護剤が、前記転炉に供給される100重量部の合計の前記第1および第2のコレクタ合金当たり20重量部以下の前記一次炉合スラグ
を含む、請求項125に記載のプロセス。
【請求項127】
ステップ(5)での前記転換が、前記転炉の前記坩堝内の合金プールが、前記合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄
を含むまで継続される、請求項117~126のいずれかに記載のプロセス。
【請求項128】
前記転炉に供給される前記第1および第2のコレクタ合金が、
0.5~12重量%のPGM、
40重量%以上の鉄
、
0.5重量%以上のニッケル
、
3重量%以下の硫黄
、
3重量%以下の銅
、
を含む、請求項127に記載のプロセス。
【請求項129】
ステップ(5)から回収された前記
PGMが濃縮された合金が、
25重量%以上のPGM
、
25重量%以上のニッケル
、
を含む、請求項128に記載のプロセス。
【請求項130】
前記転炉への
前記供給物が
、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、15重量部未満の任意の添加フラックス材料
を含む、請求項117~126のいずれかに記載のプロセス。
【請求項131】
前記第1および/または第2のコレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、前記転炉への供給物が、100重量部の総転炉供給量当たり、少なくとも20重量部の前記部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含む、請求項117~126のいずれかに記載のプロセス。
【請求項132】
前記部分的な予備酸化が、前記コレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含む、請求項131に記載のプロセス。
【請求項133】
前記火炎が、2000℃以上
の火炎温度を呈する、請求項132に記載のプロセス。
【請求項134】
(A)前記転炉の坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)前記耐火物でライニングされた坩堝内に
溶融した合金の合金プールを保持することと、
(C)前記耐火ライニングに隣接して前記坩堝にジャケットを装着することと、
(D)前記ジャケットを通して冷却剤を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、請求項117~126のいずれかに記載のプロセス。
【請求項135】
前記転炉が、回転式転炉を含み、前記回転式転炉が、
長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝と、
溶融した合金の前記合金プールを保持するための、前記坩堝の耐火ライニングと、
溶融した合金の前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入するための、前記坩堝の上部の開口部と、
前記合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記坩堝の熱伝達ジャケットと、
前記ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させるための、かつ前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去するための冷却剤システムと、を含む、請求項117~126のいずれかに記載のプロセス。
【請求項136】
PGMを回収および濃縮するためのプロセスであって、
(1)触媒材料
を一次炉内で製錬するステップと、
(2)前記一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)前記一次炉スラグ
を二次炉内で製錬するステップと、
(4)前記二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)前記第1および第2のコレクタ合金を転炉内で転換して、
PGMが濃縮された合金およびスラグを回収するステップであって、前記転換が、
(a)前記転炉の坩堝内で
前記コレクタ合金を溶融して、前記坩堝内に保持される合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始することと、
(b)前記合金プールを保持している前記坩堝に転炉供給物を導入することと、
(c)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮することであって、前記転炉供給物の前記導入、および前記酸素含有ガス注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮することと、
(d)前記酸化鉄を含む前記スラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(e)前記転炉供給物の導入および前記酸素含有ガス注入を停止し、前記低密度層をタッピングして前記転炉から前記スラグを回収することと、
(f)ステップ(b)、(c)、および(e)のシーケンスを複数回繰り返すことであって、各シーケンスのステップ(e)が、ステップ(b)および(c)の後に続く、繰り返すことと、
(g)ステップ(f)での非最終シーケンスで、前記低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層の前記タッピングの前に前記合金プール内に実質的に沈殿することを可能にすることと、
(h)ステップ(f)での最終シーケンスで、前記酸素含有ガス注入を停止して5分以内に、ステップ(e)での
最終タッピングを開始することと、
(i)ステップ(f)の前記シーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での前記低密度層の前記最終タッピングの後に、前記合金プールをタッピングすることと、を含む、回収するステップと、
(6)ステップ(5)で前記転炉から回収された前記転炉スラグを、第1および第2の転炉スラグ部分に分離するステップであって、前記第2の転炉スラグ部分が、前記第1の転炉スラグ部分よりも高い平均のPGM含有量を含み、前記分離が、
(A)ステップ(5)から回収された前記転炉スラグを冷却し、固化させ、および粉砕すること、
(B)前記粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
(C)前記第2の転炉スラグ部分が、前記磁気感受性画分と、前記最終スラグタッピングから取得された前記非磁気感受性画分の少なくとも一部分と、を含み、
(D)前記第1の転炉スラグ部分が、前記非磁気感受性画分の少なくとも一部分を含む、分離するステップと、
(7)ステップ(3)で前記一次炉スラグとともに製錬するために、前記第1の転炉スラグ部分を前記二次炉に供給するステップと、
(8)前記第2の転炉スラグ部分を、前記第1および第2のコレクタ合金とともに前記転炉に供給するステップと、
(9)ステップ(2)から前記一次炉スラグの一部分を、前記合金プールを保持している前記坩堝に供給するステップと、を含
み、
前記転炉供給物が、
(i)合計100重量部の前記第1および第2のコレクタ合金と、
(ii)18重量部未満の任意の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む18重量部未満の任意の添加フラックス材料と、を含むことを特徴とする、
プロセス。
【請求項137】
転換プロセスであって、
(a)回転式転炉の坩堝を耐火物でライニングすることと、
(b)前記坩堝内に
溶融した合金の前記合金プールを保持することと、
(c)前記合金プールを有する前記坩堝に転炉供給物を導入することであって、前記転炉供給物が、鉄を含むPGMコレクタ合金を含み、前記転炉供給物が、再循環された転炉スラグ、前記耐火ライニングと共通の成分を含む耐火保護剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、導入することと、
(d)酸素含有ガスを前記合金プールに注入して、前記合金プール内の温度を1250℃~1800℃に維持し、かつ前記コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ前記合金プール中のPGMを濃縮することと、
(e)前記耐火ライニングに隣接して前記坩堝にジャケットを装着することと、
(f)前記ジャケットを通して冷却剤を循環させて、前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去することと、
(g)前記酸化鉄を含むスラグが前記合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(h)前記低密度層をタッピングして、前記転炉から前記スラグを回収することと、
(i)前記合金プールをタッピングして、
PGMが濃縮された合金を回収することと、を
含み、
前記転炉供給物が、
(A)合計100重量部の前記コレクタ合金と、
(B)18重量部未満の任意の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む18重量部未満の任意の添加フラックス材料と、を含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項138】
前記耐火ライニングの温度を監視することをさらに含む、請求項
137に記載のプロセス。
【請求項139】
前記耐火ライニングに取り付けられた1つ以上のセンサで前記耐火ライニング内の前記温度を感知することと、前記1つ以上のセンサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に通信することと、前記温度感知情報を含む信号を前記1つ以上の送信機から受信機に送信することとをさらに含む、請求項
138に記載のプロセス。
【請求項140】
前記1つ以上の送信機が、前記坩堝上の外部に取り付けられており、前記信号を前記受信機に無線で送信する、請求項
139に記載のプロセス。
【請求項141】
前記坩堝を回転させることと、回転式カップリングを介して前記冷却剤を、前記ジャケットに供給し、および前記ジャケットから戻すことと、をさらに含む、請求項
137に記載のプロセス。
【請求項142】
ステップ(h)で回収された転炉スラグを、ステップ(c)での前記転炉供給物に再循環させことをさらに含む、請求項
137に記載のプロセス。
【請求項143】
転換プロセスであって、
回転式転炉の
転炉坩堝に溶融
した合金プールを保持することであって、
前記回転式転炉は、
前記転炉坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために、傾斜して、取り付けられており、
溶融したPGMコレクタ合金プールを保持するための、前記転炉坩堝の耐火ライニングと、
前記転炉坩堝に転炉供給物を導入するための、前記転炉坩堝の上部の開口部と、
前記合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記転炉坩堝の熱伝達ジャケットと、
前記ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させる冷却剤システムであって、前記合金プールが前記耐火ライニングと熱連通していることを特徴とする冷却剤システムと、
を備えている、前記回転式転炉の前記転炉坩堝に溶融した合金プールを保持することと、
前記転炉坩堝の前記上部の前記開口部を通して前記合金プールに転炉供給物を導入すること
とであって、
前記転炉供給物は、
(A)100重量部の前記コレクタ合金と、
(B)18重量部未満の任意の添加フラックス材料であって、前記添加フラックス材料の重量に対して、10重量%のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む18重量部未満の任意の添加フラックス材料と、
を含むことを特徴とする、前記転炉坩堝の前記上部の前記開口部を通して前記合金プールに転炉供給物を導入することと、
前記ランスを通して前記合金プールに酸素含有ガスを注入することと、
前記耐火ライニングと熱連通した前記合金プールから熱を除去するために、前記ジャケットを通して前記熱伝達媒体を循環させ
ることと、
前記転炉坩堝からスラグおよび合金を回収することと、を含む、プロセス。
【請求項144】
前記熱伝達媒体循環および酸素含有ガス注入を調整して、前記合金プール内の温度を1250℃~1800℃
に維持することをさらに含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項145】
シャフトおよびモータを使用して、
前記転炉坩堝の前記回転を駆動することと、
前記熱伝達媒体を、回転式カップリングを介して前記シャフトを通して前記ジャケットに供給し、および前記ジャケットから前記シャフトを通して前記熱伝達媒体を戻すことと、を含む、をさらに含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項146】
前記耐火ライニング内に、1つ以上の送信機と通信する半径方向に離間した温度センサを取り付けることと、温度感知情報を含む信号を前記1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項147】
前記温度センサが、
前記転炉坩堝の金属壁に隣接して取り付けられている、請求項
146に記載のプロセス。
【請求項148】
前記1つ以上の送信機が、
前記転炉坩堝上の外部に取り付けられており、前記信号を前記受信機に無線で送信する、請求項
146に記載のプロセス。
【請求項149】
前記転炉坩堝内の前記開口部に隣接してヒュームフードおよび水冷式熱シールドを配設することをさらに含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項150】
前記
転炉坩堝をバーナで加熱することをさらに
含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項151】
前記転炉供給物を、シュートを通して前記バーナの火炎に導入することをさらに含む、請求項
150に記載のプロセス。
【請求項152】
前記耐火ライニングが、アルミナベースのラミング耐火物を含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項153】
前記
転炉坩堝への前記開口部を通して、供給システムから、前記転炉供給物を供給することをさらに含む、請求項
143に記載のプロセス。
【請求項154】
前記供給システム内に前記転炉供給物の装入物を装填することをさらに含む、請求項
153に記載のプロセス。
【請求項155】
前記転炉供給物が、コレクタ合金であって、前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含むコレクタ合金を含む、請求項
154に記載のプロセス。
【請求項156】
再循環された転炉スラグが、1000重量ppm以上のPGMを含む高品位スラグを含む、請求項
155に記載のプロセス。
【請求項157】
請求項137~156のいずれかのプロセスを実施するための回転式転炉であって、
傾斜した転炉坩堝と、
前記
転炉坩堝の耐火ライニングと、
転炉供給物の装入手段を含む転炉供給システムであって、前記供給システムがホッパおよび振動フィーダを含み、前記転炉供給物がコレクタ合金を含み、前記コレクタ合金は、その総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含むコレクタ合金を含み、さらに、前記転炉供給物が、転炉スラグ、前記耐火ライニングと共通の成分を含む耐火保護剤、またはそれらの組み合わせをさらに含むことを特徴とする、転炉供給システムと、
前記
転炉坩堝の上部の開口部
と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
前記耐火ライニングに隣接する、前記
転炉坩堝の熱伝達ジャケットと、
冷却剤システムと、を含む、回転式転炉。
【請求項158】
前記
転炉坩堝からスラグおよび合金を回収するためのタップをさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項159】
前記合金プール内の温度を1250℃~1800℃に維持するために前記冷却剤供給および酸素含有ガス噴射を調整するための制御システムをさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項160】
前記制御システムが、1450℃以上
の温度を維持する、請求項
159に記載の回転式転炉。
【請求項161】
前記冷却剤が、水性
である、請求項
159に記載の回転式転炉。
【請求項162】
前記
転炉坩堝の前記回転を駆動するためのシャフトおよびモータと、
前記熱伝達媒体を、前記シャフトを通して、前記ジャケットに供給し、および前記ジャケットから戻すための回転式カップリングと、をさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項163】
温度感知情報を含む信号を受信機に送信するための1つ以上の送信機と通信する、前記耐火ライニングに半径方向に離間して取り付けられた温度センサをさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項164】
前記温度センサが、前記
転炉坩堝の金属壁に隣接して取り付けられている、請求項
163に記載の回転式転炉。
【請求項165】
前記1つ以上の送信機が、前記
転炉坩堝上の外部に取り付けられており、前記信号を前記受信機に無線で送信する、請求項
163に記載の回転式転炉。
【請求項166】
前記
転炉坩堝内の前記開口部に隣接するヒュームフードをさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項167】
前記
転炉坩堝の前記開口部に隣接する水冷式熱シールドをさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項168】
前記
転炉坩堝を加熱するためのバーナをさらに含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項169】
前記バーナが、水冷式酸素バーナである、請求項
168に記載の回転式転炉。
【請求項170】
前記バーナが、前記バーナの火炎に転炉供給物を導入するためのシュートを含む、請求項
168に記載の回転式転炉。
【請求項171】
前記耐火ライニングが、アルミナベースのラミング耐火物を含む、請求項
157に記載の回転式転炉。
【請求項172】
前記開口部を通して前記
転炉坩堝に前記転炉供給物を供給するための供給システムをさらに含む、請求項
157~
171のいずれかに記載の回転式転炉。
【請求項173】
前記供給システムが、ホッパおよび振動フィーダを含む、請求項
172に記載の回転式転炉。
【請求項174】
前記回転式転炉が、前記供給システム内の前記転炉供給物の装入物をさらに含む、請求項
172に記載の回転式転炉。
【請求項175】
前記転炉供給物が、前記コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含むコレクタ合金を含む、請求項
174に記載の回転式転炉。
【請求項176】
前記転炉供給物が、前記再循環された転炉スラグおよび前記耐火保護剤を含む、請求項
175に記載の回転式転炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月29日に出願された米国第16/397,441号、および2019年7月10日に出願された米国第16/507,158号の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
白金族金属、すなわち、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金(「PGM」)は、多くの場合、例えば自動車触媒コンバータなどの、使用済み触媒材料から回収される。触媒材料は、典型的には、CaOなどのフラックス材料を用いて炉内で製錬され、PGMは、スラグの下方の合金プール内で選択的に収集される。PGMは炉スラグ内で希釈されるが、それにもかかわらず、スラグが大量であること、および希釈された有価物を経済的に回収することが全体としてできないことに起因して、これらの損失は甚大であり得る。PGMコレクタ合金は、最大12重量%のPGMを含有し得、通常、40重量%を超える鉄を含有し得る。より高いPGM含有量が所望される場合、濃縮が必要である。
【0003】
高温冶金転換による鉄リッチ、硫化物リーンのコレクタ合金のPGM濃縮は、S.D. McCullough,“Pyrometallurgical iron removal from a PGM - containing alloy,” Third International Platinum Conference ‘Platinum in Transformation,’The Southern African Institute of Mining and Metallurgy (2008)に開示された。硫黄を含まないまたは低硫黄(<重量%)PGMコレクタ合金のPGM濃縮は、特許文献US10202669(B2)およびUS2018/0142330(Al)で最近提案された。PGM濃縮合金は、一般に、比較的高い割合の鉄(>10重量%)を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第10,202,669号公報
【文献】米国特許出願公開第2018/0,142,330A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
知られている転炉と、触媒材料を製錬することから生成されたPGMコレクタ合金を処理するためにこれらの転炉を実用的に実装することを妨げる転換プロセスと、に関連付けられたいくつかの欠点がある。転換プロセスは、比較的低速であり得る。上述の特許文献では、酸素注入の前に、コレクタ合金およびスラグ形成材料が10時間溶融された。さらに、転換プロセスは、発熱性であり、酸素添加の割合は、過度の温度を回避するために一般に制限される。さらに、転炉内の過酷な条件は、特に高酸素噴射率では、耐火ライニングの腐食および短寿命につながる。
業界は、製錬と同様に、転炉からのPGM濃縮合金生成物の、不純物を適切に除去し、かつPGM含有量を向上させるために、低融点、軽密度スラグの形成には、SiO2およびMgO/CaOなどの比較的高いレベルの添加フラックス材料が必要であることを一般に受け入れてきた。例えば、前述の特許文献は、スラグ形成材料が、70~90重量%のSiChおよび10~30重量%のMgO/CaO、または40~90重量%のMgO/CaOおよび10~60重量%のSiChを含有する、1重量部のコレクタ合金当たり0.2または1重量部の最小比率での、硫黄および銅を含まないスラグ形成材料の添加を開示している。それでも、濃縮合金中の有害元素の含有量が非常に低いレベル、例えば10重量%未満の鉄に低減されるにつれて、スラグ中のPGM損失も急速に増加し始める。
【0006】
業界は、PGMコレクタ合金の従来の転換プロセスの欠点のうちの1つ以上に対処することができる技術を必要とする。このような技術は、望ましくは、次のこと、すなわち、合金溶解速度、酸素添加割合、および/もしくは転炉の処理速度もしくは容量を改善すること、スラグ中の過度のPGM損失なしに、PGM濃縮されたコレクタ合金中のより低いレベルの鉄および/もしくは有害材料を提供すること、合金中の高レベルのPGM濃縮を達成しながら、転炉スラグへのPGM損失を低減すること、転炉構成要素の信頼性および/もしくは耐久性を改善すること、転炉のメンテナンス要件および/もしくは動作中断を低減すること、回転式転炉の耐火ライニングの流体冷却および/もしくは温度監視を提供すること、ならびに/または例えば触媒もしくは他のPGM含有材料から、PGMコレクタ合金を回収および濃縮するための全体的なプロセスの一部として組み込まれた転炉を使用する効率および実用性を改善すること、のうちの1つ以上を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、以下で詳細な説明にさらに記載される概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する補助として使用されることを意図するものでもない。
【0008】
本開示は、知られている転換プロセスの欠点に対処する、白金族金属(「PGM」)を回収するための転換プロセスを対象とする。出願人は、知られているPGMコレクタ合金転換プロセスでの、10重量%以上のCaO/MgOおよび/または10重量%以上のSiChを含む高レベルの添加フラックス材料が、本明細書に開示される転換プロセスで低減または回避され得ること、ならびにこのようにしてそのようなフラックスの量を制限することが、転炉スラグの体積の低減、合金溶解時間の低減、および転換能力および/またはスループットの増加につながることを観察した。出願人はまた、合金プールを溶解した後に比較的少量の耐火保護剤を添加して耐火腐食を抑制し、耐火寿命を延ばすこと、および触媒材料を製錬することからの炉スラグを好都合にも保護剤として使用することができることを観察した。
【0009】
加えて、出願人は、初期溶解および/または転炉供給物のためにコレクタ合金の一部分(または全部)を部分的に予備酸化することで、初期合金プールの溶解およびコレクタ合金の転換に必要な期間をさらに短縮することができることを観察した。さらに、出願人は、転炉スラグの一部分をサイクル間で転炉に再循環させることがまた、PGM損失を低減する方法も提供すること、および高品位スラグを、例えば転炉スラグの磁気分離によって、転炉に再循環させるために選択的に回収することができることを観察した。さらに、このようにスラグを再循環させることは、ニッケルなどの容易に還元可能な予備酸化された金属有価物を転炉に戻すことができ、したがって、効果的に酸素添加割合を増加させることができる。
【0010】
加えて、出願人は、例えば、ニッケルなどのいくつかの酸化された有価物を再循環させることによって、転炉供給物に再循環された転炉スラグを含めることが合金の酸化を促進することを観察した。さらに、再循環された転炉スラグの存在は、コレクタ合金の温度を緩和することができる。また、転炉は、特にそうすることが有利な時に、高品位スラグを再循環することができるため、PGM有価物がスラグ中に比較的多くあり得るように運転され得る。例えば、合金タッピングの前の最終スラグタッピングでは、早すぎる合金固化のリスクを回避するためにスラグおよび合金を迅速にタッピングすることが望ましい場合、最終スラグタッピングは、合金の完全な脱同伴の前に行われ得る。
【0011】
出願人はさらに、一次炉内で触媒材料を製錬してコレクタ合金を製造することによって、および/または二次炉内の転炉スラグを一次炉からのスラグとともに製錬することによって、転炉を全体的なPGM回収プロセスに統合することができることを見出した。炉のいずれかからの、好ましくは一次炉からのスラグは、耐火保護剤として使用され得る。このようにして転炉と炉とを統合することはまた、転炉内の有害な元素の蓄積を阻害する。出願人はまた、水または水性熱伝達流体が循環される熱伝達ジャケットを使用して回転式転炉内の耐火ライニングを冷却する方法を考案した。
【0012】
本発明の一態様では、実施形態は、PGMコレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)ニッケルを含む溶融合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む、20重量部未満の添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、合金プール中のPGMを濃縮するステップと、
(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(e)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む、プロセスを提供する。好ましくは、コレクタ合金は、3重量%以下の硫黄および3重量%以下の銅を含み、供給物は、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満の任意の添加フラックス材料を含み、および/または転炉供給物の導入および酸素含有ガスの注入は、少なくとも部分的に同時である。
【0013】
別の態様では、本発明は、白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)ニッケルを含む溶融合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む、20重量部未満の添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(e)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む、プロセスを提供する。好ましくは、供給物は、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金当たり、20重量部未満の任意の添加フラックス材料を含む。
【0014】
本発明の別の態様では、実施形態は、PGMコレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(I)コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む未加工のコレクタ合金を部分的に予備酸化するステップと、
(II)初期装入物を転炉の坩堝に導入するステップであって、初期装入物が、未加工のコレクタ合金、ステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、またはそれらの組み合わせを含む、導入するステップと、
(III)初期装入物を溶解して、坩堝内に合金プールを形成するステップと、
(IV)合金プールに転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、未加工のコレクタ合金、ステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、またはそれらの組み合わせを含み、初期装入物および転炉供給物の少なくとも一方または両方が、ステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物を含む、導入するステップと、
(V)酸素含有ガスを合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(VI)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(VII)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(VIII)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む、プロセスを提供する。好ましくは、初期装入物は、(i)少なくとも20重量部のステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金製品と、(ii)最大80重量部の未加工のコレクタ合金と、を含み、未加工のコレクタ合金とステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金製品との重量部の合計は、100に等しい。
【0015】
本発明の別の態様では、実施形態は、PGMコレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)溶融合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)100重量部のコレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグと、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(e)ステップ(d)で回収されたスラグを、ステップ(a)で転炉供給物に再循環させるための第1のスラグ部分と、ステップ(a)に再循環されない第2のスラグ部分と、に分離するステップと、
(f)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、のサイクルを含むプロセスを提供する。
【0016】
さらに別の態様では、本発明の実施形態は、PGMコレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(I)転炉の坩堝内でコレクタ合金の初期装入物を溶解して、合金プールを形成して、転炉サイクルを開始するステップと、
(II)合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するステップと、
(III)酸素含有ガスを合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(IV)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(V)ステップ(II)および(III)を終了し、低密度層をタッピングして転炉からスラグを回収するステップと、
(VI)ステップ(II)、(III)、(IV)、および(V)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(V)が、ステップ(III)および(IV)の後に続く、繰り返すステップと、
(VII)各非最終シーケンスのステップ(V)での低密度層のタッピングの前に、低密度層中で同伴される合金が、酸素含有ガス注入の終了後に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(VIII)最終シーケンスのステップ(V)での酸素含有ガス注入の終了後に低密度層のタッピングを速やかに開始するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、速やかに開始するステップと、
(IX)転炉サイクルの終了時に、合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含むプロセスを提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明の実施形態は、PGMを回収および濃縮するためのプロセスであって、
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)第1および第2のコレクタ合金を転炉内で転換して、PGM濃縮合金および転炉スラグを回収することと、
(6)ステップ(5)で転炉から回収された転炉スラグを、第1および第2の転炉スラグ部分に分離するステップと、
(7)ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために、第1の転炉スラグ部分を二次炉に供給するステップと、を含むプロセスを提供する。第1および/または第2の合金は、好ましくは、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む。
【0018】
さらにまた、本発明の一態様は、コレクタ合金のPGM濃縮に好適な回転式転炉であって、
長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した転炉坩堝と、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムと、を含む、回転式転炉の実施形態を提供する。好ましくは、回転式転炉は、坩堝を同時に回転させ、かつ熱伝達媒体を循環させるための回転式カップリングを含む。
【0019】
また別の態様では、本発明の実施形態は、転換プロセスであって、
(a)回転式転炉の坩堝を耐火物でライニングするステップと、
(b)坩堝内にニッケルを含む溶融合金プールを保持するステップと、
(c)合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、鉄を含むPGMコレクタ合金(好ましくは、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む)を含む、導入するステップと、
(d)酸素含有ガスを合金プールに注入して、合金プール内の温度を1250℃~1800℃(好ましくは少なくとも1450℃)に維持し、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、合金プール中のPGMを濃縮する(好ましくは、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である)ステップと、
(e)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着するステップと、
(f)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するステップと、
(g)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(h)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収することと、
(i)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収することと、を含む転換プロセスを提供する。好ましくは、坩堝は、回転され、冷却剤は、同時にジャケットを通して循環される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の実施形態による転炉プロセスの簡略化された概略プロセスフロー図である。
【
図IB】本発明の実施形態による、
図1Aの転炉を統合したPGM回収プロセスの簡略化された概略フロー図である。
【
図1C】本発明の実施形態によるコレクタ合金の部分的な予備酸化を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【
図ID】本発明の実施形態による例示的なスタータ合金調製手順の概略ブロックフロー図である。
【
図2A】本発明の実施形態による上吹回転式転炉(TBRC)坩堝の簡略化された側面図である。
【
図2B】
図2AのTBRC坩堝の簡略化された側断面図である。
【
図2C】本発明の実施形態による転炉サイクルの開始前の火炎予備酸化を示す、
図2BのTBRC坩堝の簡略化された側断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による転炉サイクルでの充填の開始時における溶融合金プールを示すために部分的に切り取られたTBRC坩堝の簡略化された側面図である。
【
図4】転炉サイクルの早期に合金およびスラグを部分的に充填した
図3のTBRC坩堝を示す。
【
図5】転炉サイクルにおける酸素注入サイクルの終了時における
図4の坩堝内の合金およびスラグを概略的に示す。
【
図6】転炉サイクルでの非最終スラグタッピングの前の、スラグ層からの合金の脱同伴後の
図5の坩堝内の合金およびスラグを概略的に示す。
【
図7】転炉サイクルでの最終スラグタッピングの直前の
図4の坩堝内の合金およびスラグを概略的に示す。
【
図8】本発明の実施形態によるPGM回収プロセスの簡略化されたプロセスフロー図を概略的に示す。
【
図9】本発明の実施形態による転炉および仕上げ炉を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【
図10】本発明の実施形態による、耐火物でライニングされた転炉、および耐火物保護剤を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【
図11】本発明の実施形態による、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【
図12】本発明の実施形態による、転炉、転炉に再循環された転炉スラグ、および任意での仕上げ炉を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【
図13】本発明の実施形態による、転炉、転炉スラグの磁気分離、および転炉への転炉スラグ再循環を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【
図14】本発明の実施形態による、転炉、非最終スラグタッピングの前の合金脱同伴、完全な合金脱同伴なしの最終スラグタッピング、および転炉への最終スラグタッピングの任意での再循環を使用したPGM回収プロセスの概略ブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許請求の範囲を含む明細書全体を通じて、本明細書で使用される単語および語句は、関連する技術分野の当業者によって使用される単語および語句と一致する意味を有するものとする。本開示で使用される特定の用語の以下の定義は、用語の意味を、それらの通常の意味と一致する様式で明らかにすることが意図されている。当業者によって理解されるような、通常のかつ慣習的な意味とは異なる用語または語句の特別な定義は、明示的に記載される場合を除き、含意されることを意図されていない。
【0022】
プロセスに関して本明細書で使用される場合の「添加」材料は、プロセスに既に存在するものを補足する追加の含有物質または成分として添加される、持ち込まれる含有物質または成分を指す。例えば、再循環を伴うプロセスでは、再循環された材料は、添加材料ではない。
【0023】
「および/または」という用語は、包含的な「および」の場合と排他的な「または」の場合との両方を指し、そのような用語は、簡潔さのために本明細書で使用される。例えば、「Aおよび/またはB」を含む組成物は、A単独、B単独、またはAおよびBの両方を含み得る。
【0024】
「合金」という用語は、金属性の特性を有し、かつ少なくとも1つが金属である2つ以上の化学元素から構成される物質を指す。
【0025】
「触媒材料」という用語は、それ自体が永続的な化学変化を受けることなく化学反応の速度を増加させるために使用される、例えばシリカ、アルミナ、または別のセラミック上の金属ウォッシュコートなどの、支持材料上または支持材料中の金属を指す。触媒材料は、消費され得るか、部分的に消費され得るか、もしくは新しいものであり得るか、または活性もしくは不活性であり得る。
【0026】
「コレクタ合金」という用語は、希釈された量の1つ以上の貴金属を含有する合金を指し、これは、任意で部分的に酸化され得る。コレクタ合金が部分的に酸化されている場合、「コレクタ合金」はまた、合金とともに存在し得る任意の酸化された材料も指す。「未加工のコレクタ合金」という用語は、未処理であり、かつ10重量%未満の酸化物を含む、炉からのコレクタ合金を指す。
【0027】
「粉砕する」という用語は、例えばクラッシング、グラインディング、ミリング、切断、振動などによる、固体材料の平均粒径の減少を指す。
【0028】
「転炉」という用語は、合金中の元素を酸化するために使用される装置を指し、「転換する」という用語は、合金中の酸化可能な元素を対応する酸化物に転換することを指し、「酸化」という用語と互換的に使用され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合の「供給物」という用語は、プロセス中に反応器または他の容器に供給される任意の反応物、試薬、希釈剤、添加剤、および/または他の成分を指す。
【0030】
「フラックス」という用語は、その冶金学的な意味で、砂、灰、または泥のような望ましくない物質の凝集、分離、および除去を促進するために、溶解可能なまたは溶融した材料に添加される材料を指すために使用される。いくつかの実施形態では、「フラックス」という用語は、フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに/もしくは10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む材料に具体的に限定される。
【0031】
「中の」という用語は、第2の材料または成分内にあるか、第2の材料または成分上にあるか、または第2の材料または成分に隣接する、第1の材料または成分を指す。
【0032】
「ジャケット」は、ジャケットを通って循環する流体と容器の壁との間で熱交換するための容器の外部の空洞を指す。ジャケットは、容器の周囲に環状空間を作成するシェル、ハーフパイプのコイルジャケット、ディンプルジャケット、プレートコイルなどであり得る。
【0033】
「ランス」という用語は、炉、火炎、または別の高温領域もしくは域に酸素を供給するためのパイプを指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、下限の指定がない、特定量「未満」の成分、または「最大」この特定量の成分という用語は、ゼロを含み、すなわち、成分は、任意である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「メッシュサイズ」は、米国標準ふるいシリーズを指し、ここで、「-」は通過を示し、「+」は上に保持されることを示す。
【0036】
「金属」という用語は、熱および電気の良好な導体であり、かつ研磨されると良好な光の反射体である不透明な光沢のある単元素の化学物質を指す。
【0037】
「金属性の」という用語は、金属、または金属の特性を有する別の物質を指す。
【0038】
金属に関する「酸化物」という用語は、金属の任意の酸化物を指し、例えば、「酸化鉄」は、FeOおよびFeO2などのFe(II)酸化物、FesCri、Fe405などの混合Fe(II、III)酸化物、ヘマタイトなどのFe(III)酸化物などを指す。
【0039】
「坩堝」という用語は、溶融材料を保持するための容器を指す。
【0040】
「部分的な予備酸化」という用語は、主転換ステップの前の別個のステップでの、合金中の酸化可能な種の一部であるが全部ではない、例えば最大90重量%の、転換を指す。
【0041】
「保護剤」という用語は、保護を提供する物質を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合の「回収する」という用語は、材料の収集または単離を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合の「再循環する」という用語は、循環プロセスに既に存在する材料をプロセスの前の段階に戻すことを指し、「再循環」は、再循環された材料を指す。
【0044】
「耐火物」という用語は、熱に耐性のある物質を指す。「ラミング耐火物」は、骨材、粉末、バインダ、および/または他の添加剤の混合物として適用され、かつ、例えばエアランマまたはメイソンリハンマで、ラミング方法を使用して締固められたものである。
【0045】
「回転式」という用語は、動作中に多かれ少なかれ継続的に回転されるかまたは転回される機器のアイテムまたは部品を指す。
【0046】
「スラグ」という用語は、製錬または製錬中に金属および/または合金から分離された酸化された材料を指す。「高品位スラグ」は、「低品位スラグ」よりも比較的高いPGM含有量を有するスラグを指す。本明細書での目的のために、「高品位スラグ」は、800ppmを超える、例えば1000ppmを超えるPGMの、PGM濃度を有し、「低品位スラグ」は、約800ppm以下のPGM濃度を有する。例えば、2000~3000ppmのPGM含有量を有するスラグは、800ppmのPGMを有する低品位スラグに対する高品位スラグである。高品位スラグは、好ましくは、2000ppm以上のPGMを含む。
【0047】
「製錬」という用語は、加熱および溶解を伴うプロセスによって、鉱石などの材料から金属を抽出することを指す。
【0048】
「タッピング」という用語は、コンテナからの流体の流れを排出するためのパイプ、スパウト、またはリップを指す。
【0049】
「タッピング」という用語は、流体をパイプまたはコンテナから流れさせる行為を指す。
【0050】
「上吹回転式転炉」または「TBRC」は、回転可能な坩堝内の溶融相内にまたはこの溶融層上に上方から、ガスを吹き込むかまたは注入することができる転炉を指す。
【0051】
本発明の実施形態によれば、白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスは、(a)溶融合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%のPGM、40重量%の鉄、0.5重量%のニッケル、ならびに好ましくは3重量%以下の硫黄および3重量%以下の銅を含む、100重量部のコレクタ合金と、(ii)添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、20重量部未満の添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄および1つ以上の他の酸化可能な元素を対応する酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、好ましくは酸素含有ガス注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、(e)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む。転炉は、好ましくは回分反応器として動作する。好ましくは、転炉供給物は、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料を含む。
【0052】
任意の実施形態では、プロセスは、坩鍋を耐火材料をライニングすることと、合金プールを保持している坩堝に、20重量部以下のコレクタ合金の割合で、好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり18重量部以下、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり5~15重量部の耐火保護剤の割合で、耐火保護剤を供給することと、をさらに含むことができる。任意の実施形態では、耐火保護剤が、(i)合金プールを最初に溶解した後、かつステップ(b)を開始する前、(ii)ステップ(a)および(b)の一方または両方の間、ならびに/または(iii)ステップ(a)および(b)の一方または両方を停止してステップ(d)で低密度層をタッピングした後、ステップ(a)および(b)の上記の一方または両方を再開する前に、坩堝に供給される。耐火保護剤は、ステップ(a)で導入されたコレクタ合金とともに坩堝に供給され得、または好ましくは、ステップ(a)で導入されたコレクタ合金とは別個に坩堝に供給され、より好ましくは、坩堝への耐火保護剤の供給が、定期的である。
【0053】
耐火保護剤は、好ましくは、例えば、アルミナなどの耐火材料と共通の成分を含む。任意の実施形態では、プロセスは、ステップ(b)で合金プール内に延在するランスを通して酸素含有ガスを合金プールに注入することをさらに含み得、ランスが、消耗性耐火材料を含み、ランスの先端が消耗するにつれてプール内に前進される。消耗性耐火材料は、ライニングと共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む。任意の実施形態では、ライニングの耐火材料は、アルミナを含むラミング耐火物を含むことができ、好ましくはラミング耐火物は、少なくとも90重量%のアルミナを含む。
【0054】
任意の実施形態では、プロセスは、耐火ライニングに取り付けられた半径方向に離間したセンサを用いて耐火ライニング内の温度を感知することと、センサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に伝達することと、温度感知情報を含む信号を1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに含むことができる。好ましくは、1つ以上の送信機は、坩堝の外部に取り付けられており、信号を受信機に無線で送信する。
【0055】
任意の実施形態では、プロセスは、好ましくは合金プールに隣接して、坩堝にジャケットを装着することと、ステップ(b)中に、冷却剤、好ましくは水性熱伝達媒体、例えば水/エチレングリコール/プロピレングリコールなどをジャケットを通して循環させて、合金プールから熱を除去することと、をさらに含むことができる。
【0056】
任意の実施形態では、酸素含有ガスは、1800℃以下、好ましくは約1250℃~1700℃、より好ましくは1450℃~1700℃の範囲の温度で、合金プールを溶融状態に維持するのに十分な割合で転炉合金プールに注入され得る。
【0057】
任意の実施形態では、プロセスは、ステップ(a)の前に、(I)コレクタ合金の一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化するステップをさらに含むことができる。好ましくは、ステップ(I)での部分的な予備酸化は、ステップ(I)の前のコレクタ合金部分中の鉄に基づいて、10~90パーセントの鉄の転換、好ましくは25~75パーセントの鉄転換、より好ましくは30~60パーセントの鉄転換を含む。コレクタ合金は、粉砕された粒子を酸素リッチの火炎に通過させることによって、例えばより早期の転換サイクルで、コレクタ合金を部分的に転換し、かつ部分的に酸化された合金をタッピングすることによって、例えば回転式キルン、流動床ロースタなどで、コレクタ合金の粒子を少なくとも800℃、例えば800℃~950℃、の温度で酸素含有ガスと接触させることによって、予備酸化され得る。
【0058】
好ましくは、本プロセスは、(II)ステップ(b)での酸素含有ガスの注入のために十分な体積の合金プールを形成するために、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解するステップと、次いで、(III)ステップ(a)での坩堝への転炉供給物導入、およびステップ(b)での合金プールへの酸素含有ガス注入を開始するステップと、をさらに含むことができる。所望に応じて、ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金中の酸化された成分は、ステップ(II)で溶解する前に、全体的にまたは部分的に分離および除去されてもよいか、または、ステップ(II)で溶解された部分的に予備酸化されたコレクタ合金中に残留できるようにされ得る。
【0059】
任意の実施形態では、予備酸化ステップは、(I.A)粉砕されたコレクタ合金(例えば、約-16、好ましくは-18~+200のメッシュサイズ)を酸素リッチの火炎に通過させることを含み得、好ましくは、火炎は2000℃以上、より好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃の火炎温度を呈する。酸素リッチの火炎は、好ましくは、坩堝を加熱するためのバーナによって生成され、プロセスは、(I.B)火炎からの少なくとも部分的に溶解されたコレクタ合金粒子を坩堝内に堆積させることをさらに含むことができる。好ましくは、プロセスは、粒子を(I.C)冷却して固化させて、予め酸化されたコレクタ合金のコーティングを坩堝の耐火ライニングの内面上に形成することを含み、例えば、ステップ(II)は、コーティングを溶融することを含む。この予備酸化手順では、ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金中の酸化された成分を、好ましくは、ステップ(II)で溶解された部分的に予備酸化されたコレクタ合金中に残存させる。
【0060】
任意の実施形態では、予備酸化ステップは、部分的に酸化されたスタータ合金を調製するために、ステップ(II)、(III)、(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)の予備酸化サイクルを通して転炉を運転することを含むことができ、より早期のサイクルからの部分的に予備酸化されたコレクタ合金は、好ましくは、ステップ(II)で溶解され、ステップ(e)から回収された合金は、部分的に予備酸化されたスタータとして使用される。スタータ合金調製サイクルは、部分的に酸化されたスタータ合金の事前に調製された装入物を坩堝内で溶解して合金プールを形成することと、ステップ(a)で、ステップ(b)での酸素含有ガスの注入と同時に、転炉供給物を定期的または継続的に合金プールに供給することと、酸素含有ガスの注入を継続して合金プールを部分的に酸化することであって、好ましくは、転炉合金プールに供給される転炉供給物中の鉄の重量に基づいて、10~90パーセント、より好ましくは25~75パーセントの転炉供給物中の鉄が酸化される、部分的に酸化することと、転炉坩堝からのスラグを、好ましくは複数回、タッピングすることと、次いで、部分的に酸化された合金プールを回収して固化させることと、をさらに含むことができる。好ましくは、スタータ合金調製サイクルからの固化された部分的に酸化されたコレクタ合金が、同様の複数の転炉運転サイクルおよび/またはスタータ合金調製サイクルのための複数のスタータ合金装入物に分割される。
【0061】
この予備酸化転炉サイクル手順では、ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金中の酸化された成分は、好ましくは、ステップ(c)で分離され、ステップ(d)で除去され、部分的に予備酸化されたコレクタ合金は、予備酸化サイクルのステップ(e)で回収され、ステップ(II)の前に冷却されて固化され得る。所望する場合、予備酸化サイクルのステップ(d)で回収されたスラグは、コレクタ合金の転換または予備酸化サイクルの後続のステップ(I)で、ステップ(e)からの部分的に予備酸化された合金と組み合わされ、および/または溶解され得る。
【0062】
任意の実施形態では、予備酸化ステップは、800℃を超える、例えば800℃~950℃の温度で、好ましくは回転式キルン、流動床ロースタ、または粒子を一緒に溶融して過度に凝集させないように配慮する任意の他の焙焼機構で焙焼することによって、コレクタ合金の粒子(例えば、約-16、好ましくは-18~+200のメッシュサイズ)を酸素含有ガスと接触させることを含むことができる。
【0063】
任意の実施形態では、プロセスは、(A.1)ステップ(d)で回収されたスラグを複数の部分に分離するステップと、(A.2)ステップ(A.l)からの回収されたスラグ部分の第1の部分を、ステップ(a)で坩堝に導入された転炉供給物に再循環させるステップと、を含む。転炉供給物は、好ましくは、100重量部のコレクタ合金当たり約5~100重量部、より好ましくは、転炉供給物中の100重量部のコレクタ合金当たり10~50重量部の量の再循環されたスラグを含む。このプロセスは、好ましくは、(A.2)ステップ(a)での転炉供給物への同時の導入のために、好ましくは単一の供給ユニットから、コレクタ合金および再循環スラグを組み合わせることを含む。ステップ(A.2)での再循環されたスラグは、ステップ(d)からの回収されたスラグの高品位部分、すなわち、ステップ(d)からの回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量を含み、および/または再循環されたスラグは、再循環されたスラグの約2重量パーセントを超えるニッケル酸化物含有量を有する。
【0064】
任意の実施形態では、プロセスは、(B.l)ステップ(d)からの回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕する(例えば、-4.8mm(3/16インチ)のメッシュサイズにクラッシングすることが好適であり得る)ステップと、(B.2)クラッシングされたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離するステップと、(B.3)ステップ(A.2)で磁気感受性画分を転炉供給物に再循環させるステップと、(B.4)任意で、ステップ(A.2)で非磁気感受性画分の一部分を転炉供給物に再循環させるステップと、を含むことができる。
【0065】
任意の実施形態では、プロセスは、(C.l)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して合金プールを形成することによって、転炉動作サイクルを開始するステップと、(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(c)の後に続く、繰り返すステップと、(C.3)ステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングの後に、ステップ(e)で合金プールをタッピングするステップと、を含むことができる。好ましくは、ステップ(C.4)で、ステップ(d)での最終タッピングから回収されたスラグの全部または一部は、磁気感受性にかかわらずステップ(A.2)で転炉供給物に再循環され、および/またはステップ(d)での最終タッピングからの、ステップ(B.2)で分離された非磁気感受性画分の全部または一部は、ステップ(A.2)での転炉供給物に再循環される。本プロセスは、好ましくは、(D.l)ステップ(C.2)での最終タッピングに先行する低密度層のタッピングのために、低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層のタッピングの前に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、(D.2)ステップ(C.2)での最終タッピングのために、5分以内に低密度層をタッピングし、任意で低密度層中に合金を同伴させるステップと、を含む。
【0066】
任意の実施形態では、プロセスは、(E.1)一次炉、好ましくは非転換炉内で、触媒材料を製錬するステップと、(E.2)一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を一次炉から回収するステップと、(E.3)二次炉、好ましくは非転換炉内で、一次炉スラグを製錬するステップと、(E.4)二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を二次炉から回収するステップと、(E.5)ステップ(a)で第一および第二コレクタ合金を転炉供給物に供給することと、(E.6)ステップ(d)で転炉から回収されたスラグの少なくとも一部分を、ステップ(E.3)で一次炉スラグとともに製錬するために二次炉に供給するステップと、を含むことができる。転炉の坩堝は、好ましくは耐火材料でライニングされており、ステップ(E.2)からの一次炉スラグの一部分を、ステップ(a)および(b)の耐火保護剤として坩堝に、好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり20重量部以下の一次炉スラグの割合で、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり18重量部の一次炉スラグ、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり5~15重量部の一次炉スラグの割合で、供給することができる。
【0067】
任意の実施形態では、プロセスは、以下のこと、すなわち、(F.l)ステップ(b)での酸素含有ガス注入は、好ましくは、合金プールが約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで、継続され、および/または(F.2)PGM濃縮合金が、好ましくは、25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGMを含み、(F.3)PGM濃縮合金が、好ましくは、25重量%以上のニッケル、より好ましくは25~70重量%のニッケルを含み、および/または(F.4)PGM濃縮合金が、好ましくは、10重量%以下の鉄を含み、および/または(F.5)PGM濃縮合金が、好ましくは、2重量%以下のケイ素、2重量%以下のリン、10重量%以下の銅、および/または2重量%以下の硫黄を含み、および/または(F.6)コレクタ合金が、好ましくは、0.5~12重量%のPGMを含み、および/または(F.7)コレクタ合金が、好ましくは、40重量%以上の鉄、好ましくは40~80重量%の鉄を含み、および/または(F.8)コレクタ合金が、好ましくは、0.5重量%以上のニッケル、好ましくは1~15重量%のニッケルを含み、および/または(F.9)コレクタ合金が、好ましくは、3重量%以下の硫黄、より好ましくは0.1~3重量%の硫黄を含み、および/または(F.10)コレクタ合金が、好ましくは、3重量%以下の銅、より好ましくは0.1~3重量%の銅、および/または2重量%以下のクロム、好ましくは0.1~2重量%のクロム、および/または20重量%以下のケイ素、より好ましくは1~20重量%のケイ素を含むことのうちのいずれか1つ以上、またはすべてを含むことができる。
【0068】
同様の部分を同様の数字によって示す図面を参照して、
図1Aは、本発明の実施形態によるPGMコレクタ合金を転換するための転換プロセス100Aを概略的に示す。転炉供給物116が、溶融合金プール122を保持している転炉118の坩堝120に導入される。転炉118は、例えば、上部または側部または底部(図示せず)から合金プール内に気泡状になったガス中の酸素を使用して、供給物116内の鉄および他の元素を酸化し、軽密度スラグ相128の形成をもたらすための、任意の好適な転炉であり得る。転炉118は、好ましくは、モータ119によって、例えば、混合および攪拌を容易にするために、例えば毎時1回転~毎分最大20回転、例えば毎時30回、の回転で回転さ得る、示されるような合金プール122を保持している、傾斜した、概して円筒形の坩堝120を有する、上吹回転式転炉(「TBRC」)である。坩堝120は、多くの場合、耐火材料123でライニングされている。TBRCは、例えば、特許文献US 4,581,064から知られており、TBRCは、典型的には、冶金加工を専門とするいくつかのエンジニアリング会社によって、特定の用途のためにカスタム設計され、構築される。
【0069】
任意の実施形態では、転炉供給物116は、未加工のコレクタ合金および/または部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含む、触媒材料を製錬することから取得されるコレクタ合金であり得、好ましくは、転炉供給物116の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、例えば0.5~12重量%、30重量%以上の鉄、例えば40~80重量%の鉄、および0.5重量%以上のニッケル、例えば1~15重量%のニッケルを含む。転炉供給物116はまた、転炉供給物116の総重量に基づいて、少なくとも約0.1重量%の銅、硫黄、およびクロムの各々、例えば、0.1~3重量%の銅、0.1~3重量%の硫黄、および0.1~2重量%のクロムを含んでもよい。転炉供給物116および/または転炉供給物116の成分は、すべて転炉供給物116の重量に基づいて、最大20重量%のケイ素、例えば1~20重量%のケイ素、および最大15重量%のリン、例えば1~15重量%のリンを含むことができる。他の元素もまた、通常、最大5重量%の量で存在し得る。
【0070】
転炉供給物116は、任意で、添加フラックス材料を含み得るが、添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、転炉供給物116は、好ましくは、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満の添加フラックス材料、より好ましくは、100重量部のコレクタ合金あたり、18重量部以下の添加フラックス材料を含む。
【0071】
転炉118は、合金プール122を溶融させるために、好ましくは水冷バーナ組立体117を備えることができる。合金プール122は、好ましくは最初に少なくとも部分的に酸化されるかまたは転換された、転炉供給物116および/またはコレクタ合金であり得、転換プロセスが運転のサイクルを通して進行するにつれてますます酸化されるか、または転換されるようになり得る。
【0072】
酸素124などの酸化剤ガスは、好ましくは、坩堝が長手方向軸を中心に回転する際に、ランス126を介して坩堝120に注入される。酸素は、合金プール122内の鉄および他の酸化性元素を、対応する鉄および他の酸化物に、例えば、鉄から酸化鉄に、ケイ素からシリカに、リンから五酸化リンに、クロムから酸化クロムに、銅から酸化銅に、チタンから酸化チタンになど、転換する。本明細書の説明は、簡潔性、明瞭性、および利便性の目的で、例としてであって限定するものではない、例示的な転換種としての鉄に言及する。鉄および他の不純物が酸化によって合金プール122から枯渇し、かつ浮遊する低密度層128として集まるため、回転およびガス注入は、攪拌および混合を提供し、それによって合金プール122中のPGMを濃縮する。低密度層128は、周期的にまたは連続的にタッピングされ、例えば、タッピングから、および/または坩堝120を傾けることによって、スラグ130として回収される。ニッケルおよびPGMは一般に、容易に酸化されるものではなく、これらは、合金プール122内で濃縮され、タップから、および/または坩堝120を傾けることによって、多くの場合インゴットを形成するためにモールド内で固化されるPGM濃縮ニッケル合金132として、同様に回収される。スラグ130は、多くの場合、取り扱いを容易にするために、冷却され、固化され、例えばクラッシングおよび/またはミリングによって、粉砕される。例えば、-4(-4.8mm、-3/16インチ)のメッシュサイズが、好適であり得る。
【0073】
好ましくは、耐火保護剤138は、有効量で転炉118に供給される。保護剤138は、ライニング123からの耐火材料の損失を遅延させ、したがって、耐火寿命を延長し、耐火ライニング123の交換の頻度を低減することができる。保護剤138は、耐火ライニング123に共通の材料、例えば耐火アルミナ123がアルミナベースである場合にアルミナを、含有することができる。耐火物123がアルミナベースである場合、保護剤138は、好ましくは、耐火物よりも低い温度で溶解するアルミノケイ酸塩、すなわち、アルミノケイ酸塩ガラスであり、これは、好都合にも、炉スラグ106および/または112(
図1Bを参照)から、好ましくは、例えば、一次炉スラグ106から供給され得、この場合にスラグ106および/または112もまた、アルミナを含有する。耐火物123がアルミナベースである場合、保護剤138中のアルミナの量は、好ましくは10重量%未満でないのがよく、保護剤138は、好ましくは、保護剤の総重量に基づいて、25~75重量%の量のアルミナを含む。
【0074】
効果的であるために必要な保護剤138の量は、典型的には、転炉供給物116に比例して小さい。好ましくは、添加保護剤の総量は、転炉供給物116の重量に基づいて、20重量%未満、例えば1~10重量%の、転炉供給物である。保護剤138は、継続的に添加され得るが、好ましくは、例えば、プールの初期溶解後、およびスラグ128の各タッピング後に、例えば合金プール122の上部上にアリコートとして、部分的に定期的に添加される。過剰な量の保護剤138は、限られた追加の保護を提供し、より高い体積のスラグ130につながるのに対して、不十分な保護剤138は、より高い耐火損失につながる。
【0075】
ランス126は、酸素添加および近接しての転換反応の発熱性に起因して、高温の領域に頻繁に存在し、多くの場合、消耗性である。ランス126が、ライニング123と共通の耐火材料のような消耗材料、例えばアルミナ、で作られている場合、ランス126は、同様に耐火保護剤138から利益を得ることができる。ランス126が消耗性であるとき、ランスの先端が消耗するにつれて、酸素注入を合金プール122の上位レベル未満に維持し、かつ合金プール122および/またはスラグ128から逃れる未反応の酸素を最小限に抑えるために、ランス126は、多くの場合、定期的または継続的に前進される。一般に、酸素含有ガス注入の割合は、好ましくは、転換を迅速に完了するために可能な限り高いが、TBRC118の運転温度限界を超えるか、または合金プール122および/または低密度層128の上面を通して未反応の酸素が泡立たせるほど高くはない。
【0076】
図1Bは、本発明の実施形態による、転炉118、好ましくは転炉プロセス100A(
図1Aを参照)を組み込んだPGM回収プロセス100Bを概略的に示す。PGMコレクタ合金は、好ましくは、一次炉104内で触媒材料102を製錬することから取得される。触媒材料102は、多くの場合、シリカ、アルミナ、粘土、ゼオライト、コーディエライトなどの支持体上または支持体中のPGM、例えばセラミック支持体上のPGM含有材料のウォッシュコート、を含む。触媒材料102は、廃棄触媒、例えば、自動車排気用の触媒コンバータ、精錬所または化学プロセス産業からの触媒などの、任意のPGM含有材料であり得る。
【0077】
所望する場合、例えば、粉砕、化学的処理、磁気分離などによる、PGMをほとんどまたは全く含有しない有害な材料および/または不活性材料のサイズ縮小、除去によって、触媒材料を従来通りに処理して、製錬のために触媒材料を調製することができる。特許文献US 5,279,464は、例えば、自動車触媒コンバータからの触媒材料の粉砕および磁気分離を開示している。
【0078】
炉104内などで触媒材料を製錬することは周知であり、従来の炉、例えば、電気アーク炉、誘導炉、プラズマアーク炉、焼成炉などの非転換炉を使用する。例えば、特許文献US 5,030,274は、PGMを回収するための電気アーク炉内で触媒材料を処理することを開示しており、特許文献US 4,295,881およびWO2014/154945(A1)は、PGMを回収するためのクロム酸塩含有鉱石の製錬を開示している。触媒材料は、多くの場合、スラグ、フラックス、またはコレクタ金属を添加して、一般に、継続的に供給され、炉内で加熱されると、スラグ106およびPGM含有コレクタ合金を形成する。コレクタ合金は、より軽量のスラグと比較して比較的密度が高く、スラグ106の上層の下方の合金プール108に集まる。
【0079】
スラグ106およびコレクタ合金108は、定期的または継続的に回収され、多くの場合、さらなる処理のために冷却して固化される。例えば、コレクタ合金108は、多くの場合、モールド内に注ぎ込まれ、スラグ106は、多くの場合、粒状化され、回転式キルン内で乾燥され、バッグまたは適切なコンテナにパッケージされる。一次炉104からのスラグ106は、触媒材料102中に、残留PGM、多くの場合、1~5重量%のPGMを含有することができ、次いで、好ましくは、冶金コークスを添加して、炉104と同様の炉、例えば、電気アーク炉、誘導炉、プラズマアーク炉、焼成炉などの非転換炉であり得る、二次炉110内で製錬される。炉110から回収されたスラグ112は、PGM中でさらに枯渇され、同様に、冷却され、固化され、粒状化され、乾燥され、包装されるなどされ得る。スラグ112は、副生成物または廃棄物として処分され得る。PGMは、濃縮され、二次炉110からコレクタ合金114中に回収され、コレクタ合金108と同様の様式でモールド内に注ぎ込まれて固化される。
【0080】
任意の実施形態では、第1のPGMコレクタ合金108、第2のPGMコレクタ合金114、または好ましくはその両方が、転炉供給物116として転炉118に導入される。
図1Bに示される転炉118は、供給物116中の鉄および他の元素を酸化するための任意の好適な転炉であり得、好ましくは、
図1Aに関連してプロセス100Aで上述したような転炉118を含む。PGMコレクタ合金108、114は、多くの場合、例えば、クラッシングおよび/またはミリングによって粉砕され、
図8に示されるように、振動フィーダ226を介してホッパ225から転炉118に供給される。
【0081】
コレクタ合金108およびコレクタ合金114は、好ましくは、転炉供給物116中で個別におよび/または全体として、転炉供給物116、コレクタ合金108、および/またはコレクタ合金114の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、例えば0.5~12重量%、30重量%以上の鉄、例えば40~80重量%の鉄、ならびに0.5重量%以上のニッケル、例えば1~15重量%のニッケルを含む。第1および/または第2のコレクタ合金108、114はまた、第1および/または第2のコレクタ合金の総重量に基づいて、少なくとも約0.1重量%の銅、硫黄、およびクロムの各々、例えば、0.1~3重量%の銅、0.1~3重量%の硫黄、および0.1~2重量%のクロムを含んでもよい。転炉供給物116および/または転炉供給物116の成分はまた、すべてPGM濃縮ニッケル合金の重量に基づいて、上方への20重量%のケイ素、例えば1~20重量%のケイ素、および最大15重量%のリン、例えば1~15重量%のリンも含むことができる。他の元素もまた、通常、最大5重量%の量で存在し得る。
【0082】
転炉118からのスラグ130は、多くの場合、取り扱いを容易にするために、冷却され、固化され、例えばクラッシングおよび/またはミリングによって、粉砕される。ニッケルおよびPGMは一般に、容易に酸化されるものではなく、これらは、合金プール122内で濃縮され、例えばインゴットを形成するためにモールド内で固化される、PGM濃縮ニッケル合金132として回収される。
【0083】
任意の実施形態では、転炉スラグ130は、炉104および/または110で製錬され得る。スラグ130は、残留PGMを含有し得、これらの有価物は、コレクタ合金108および/または114内に実質的に回収され得る。好ましくは、転炉スラグ130の少なくとも第1の部分134が、一次炉スラグ106とともに二次炉110内で処理され、これは、転炉スラグ130が一次炉104内でのみ処理される場合に生じ得るコレクタ合金108中の有害元素の蓄積を制限することを支援し得るためである。
【0084】
任意の実施形態では、転炉スラグ130の第2の部分136は、転炉供給物116に再循環され得る。
【0085】
図1Cを参照すると、本発明の実施形態は、コレクタ合金を部分的に予備酸化して転換プロセスを高速化する転炉プロセス175を提供する。転炉プロセス175では、未加工のコレクタ合金108および/または114(
図1B)を、ステップ180で、高温で酸化剤182と接触させて、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184を取得する。酸化剤182は、空気、酸素濃縮空気、酸素、酸素リッチ燃焼ガスなどの酸素含有ガスであり得る。この高温は、好ましくは800℃以上、より好ましくは2000℃以上である。
【0086】
ステップ186では、部分的に予備酸化された合金184を、多くの場合、例えばバーナ組立体117(
図1A)を使用して、転炉118(
図1AまたはIB)の坩堝120で溶解して、合金プール122を形成する。転換ステップ187では、転炉供給物116を、坩堝120内の合金プール122に導入し、酸素含有ガス124を注入する。転炉供給物116は、好ましくは、部分的に予備酸化された合金184、未加工のコレクタ合金108、114、またはそれらの組み合わせを含む。次いで、ステップ188では、転炉スラグ130を、必要に応じて、好ましくは複数回、タッピングすることができ、ステップ189では、合金プール122(
図1A)をタッピングし、PGM濃縮合金132を回収する。タッピングは、坩堝120の回転を停止することと、側壁(図示せず)を通して形成されたタップを通して溶融材料を引き出すか、または坩堝120を傾け、かつ、例えばスパウト139を介して(
図2Aを参照)、溶融材料および/もしくは攪拌棒をデカントすることによって溶融材料を引き抜くことと、を伴う。
【0087】
図1Cに示される予備酸化180は、知られている転換技術の問題を解決する。例えば、炉104、110からのPGMコレクタ合金108、114を直接溶解することは、望ましくない溶解特性を有する初期スラグ128B(
図4)を生成し得る。また、PGMコレクタ合金は、不所望に酸素と反応性であり、過度の発熱をもたらし、および/または酸素添加の比較的低い割合、および好適な転換のための長い期間を必要とし得る。好ましくは、ステップ180での部分的な予備酸化は、コレクタ合金中の鉄から酸化鉄への10~90パーセントの転換、より好ましくは25~75パーセントの鉄転換、特に30~60パーセントの鉄転換を達成する。所望する場合、酸化された鉄は、例えばスラグが分離されたより早期の転炉サイクルでスタータ合金として調製される場合に、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184から除去され得、または好ましくは、酸化された鉄は、キルン内での空気酸化のように、または特に火炎酸化によって、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184中に残存することができる。
【0088】
再び
図1Cを参照すると、プロセス175は、転炉起動手順を提供することができる。任意の実施形態では、部分的に予備酸化されたコレクタ合金装入物は、多くの場合、転換プロセス、例えば、初期溶解を高速化するために、および/または低溶解温度で初期スラグを生成するために使用される。任意の実施形態では、転炉供給物116(
図1Aおよび
図IB)に対してより迅速におよび/またはより低い温度で溶解する任意の金属を、部分的に予め酸化されたコレクタ合金184として、またはその代わりに使用することができる。転炉起動手順175では、未加工のコレクタ合金108および/または114(
図1B)を、ステップ180で、高温で酸素含有ガス182と接触させて、部分的に予め酸化されたPGMコレクタ合金184を取得し、次いで、ステップ186で、例えばバーナ組立体117(
図1A)を使用して、溶解して、転炉118(
図1Aまたは
図IB)の坩堝120内に合金プール122を形成する。
【0089】
例えば、予備酸化180は、(1)未加工のコレクタ合金108/114の粒子(例えば、-16のメッシュサイズに粉砕することが好適であり得、例えば、-16または-18/+200)を、少なくとも800℃の温度、例えば800℃~950℃の温度で、例えば回転式キルンまたは流動床ロースタ内で、酸素含有ガスと接触させることによって、(2)転炉118内(
図1A)で未加工のコレクタ合金を、1250℃以上の温度、好ましくは少なくとも1450℃、例えば1450℃~1700℃の温度で、酸素含有ガス124とともに部分的に転換し、かつ、例えばより早期のまたは以前の転炉サイクル(
図IDを参照)で、部分的に酸化された合金をタッピングすることによって、(3)粉砕された粒子157(例えば、-16のメッシュサイズに粉砕することが好適であり得、例えば、-16または-18/+200)を、好ましくは2000℃以上、好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃などの温度の、酸素リッチの火炎156(
図2C)に、通過させることを含む火炎酸化によって、もたらされ得る。火炎予備酸化のいくつかの好ましい実施形態が、以下の
図2Cを参照してより詳細に記載される。
【0090】
図IDを参照すると、複数のバッチに十分な量で部分的に予備酸化されたスタータ合金を調製するためのスタータ合金調製手順190の例が概略的に示されている。ステップ191では、部分的に予備酸化されたコレクタ合金184(
図1C)の装入物、例えば、より早期のスタータ合金バッチからの装入物を、任意に空にした坩堝120に配置する。ステップ192では、例えばバーナ組立体117(
図1A)を使用して、スタータ合金186を溶解して、転炉合金プール122を形成する。ステップ193では、PGMコレクタ合金を含む転炉供給物116が、(定期的または継続的に)供給され、ステップ194では、酸素含有ガス124が、合金プール122に注入される。酸素注入を継続して、転炉供給物を部分的に酸化し、好ましくは10~90パーセントの鉄を酸化鉄に転換し、より好ましくは、合金プール122に供給される総転炉供給物116およびスタータ合金中の鉄の重量に基づいて、鉄転換は、25~75パーセント、特に30~60パーセントの鉄転換である。ステップ195では、坩堝120を過剰に充填することを回避するために、転炉スラグ130を、必要に応じて、好ましくは、複数回タッピングすることができる。
【0091】
次いで、ステップ196では、合金プール122(
図1A)をタッピングし、スタータ合金184’を回収する。回収されたスタータ合金184’は、多くの場合、固化され、分解されて粉々になるか、または、回収されたスタータ合金184’を、例えば、所望に応じて、クラッシング、ミリングなどによって粉砕することができるが、このことは、一般に必要ではない。例えば、スタータ合金調製サイクルからの固化された部分的に酸化されたコレクタ合金を、同様の複数の転炉運転サイクルおよび/またはスタータ合金調製サイクルのための複数の概して等しいサイズのスタータ合金装入物に分割することができる。例えば、スタータ合金184’の1つのバッチは、複数のバッチ、例えば3~10、に対して十分なスタータ合金を提供してもよく、したがって、7つのバッチのために調製されたスタータバッチは、7番目のバッチごとに、すなわち、6番目のバッチのPGM濃縮ニッケル合金生成物の後の、スタータバッチの7番目のスタータバッチを使用して調製されてもよい。
【0092】
図2Aを参照すると、水冷式酸素バーナ組立体117、モータ119、ヒュームフード121、水冷式熱シールド121A、酸素注入ランス126、および回転式カップリング148を備えた好ましいTBRC118の簡略化された側面図が概略的に示されている。TBRC118は、ヒュームフード121と、バーナ117およびランス126の位置決め、供給物116(
図1A)および保護剤138(
図1A)の投入、ならびにタッピングスパウト139を介した合金プール122(
図1A)および低密度層128(
図1A)のタッピングを可能にする開口部を有する水冷式熱シールド121Aと、を有する。モータ119は、例えばチェーン119Aおよびスプロケット119B、119Cを介して、歯車接続され得、坩堝120を好適な速度で回転させて、例えば1分間に1/2回転の、攪拌を提供することができる。外部に取り付けられた送信機144は、導管143を通したワイヤ141を介して、耐火物123(
図2Bを参照)内または耐火物123の近くに取り付けられた温度センサ140(
図2Bを参照)に接続されてもよく、リモート受信機145に温度信号を送信することができる。冷却流体入口および出口は、二重フロー回転式カップリング148を介して冷却流体をジャケット146に供給し、冷却流体を冷却剤システム149から戻すためのフレックスホース147aおよび147bの形態であり得る(
図2Bを参照)。
【0093】
図2Bを参照すると、坩堝120を含むTBRC118の側断面図が示されている。熱電対などの温度センサ140は、好ましくは坩堝120の内壁142に隣接する耐火物123内に位置し、外部に取り付けられた温度送信機144に導管143を通って通じるワイヤ141を介して接続されており、リモート受信機145(
図2A)に温度情報を無線で送信することができる。任意の実施形態では、酸素含有ガスは、合金プールを1800℃以下、例えば1250℃以上、好ましくは約1450℃~1700℃の温度で溶融状態に維持するのに十分な割合で転炉合金プールに注入される。より低い温度では、合金プール122の早すぎる固化のリスクがあるのに対して、過度に高い温度では、TBRC118構成要素の故障のリスクがある。任意の実施形態では、例えば、プロセス制御のために、および/または早すぎる薄化を検出するために、耐火物123の温度が、監視され得る。
【0094】
任意の実施形態では、坩堝120は、水性熱伝達媒体、例えば、水/エチレングリコール/プロピレングリコールなどの冷却液を循環させるために、スラグ層および/または合金プールに隣接するジャケット146を備えることができる。例えば、フレックスホース147aからの流体は、回転式カップリング148の中央通路を通ってジャケット146に入り、壁142に隣接する内側環状チャネル150に流れ込み、外側環状チャネル152を通って(または外側チャネル152内かつ内側チャネル150外で)流れ出て、フレックスホース147bからカップリング148を介して出ることができる。このようにして、合金プールが、反応熱を引き出すために耐火ライニングを通してジャケットと熱連通することができるため、耐火物123の寿命を延ばすことができ、および/または酸素をより高い割合で注入して、より速い処理および/またはより大きな転炉スループットを容易にすることができる。所望する場合、坩堝120およびジャケット146の底部は、組み立て/分解を容易にするための底部フランジ(図示せず)を含むことができる。
【0095】
図2Cを参照すると、本発明の実施形態によるインサイチュ予備酸化のためのバーナ組立体117の実施形態を概略的に示す、
図2Aおよび
図2BのTBRC118の簡略化された側断面図が示されている。バーナ組立体117は、酸素リッチの火炎156を生成するためのバーナノズル155への燃料/酸素供給ライン154を備える。コレクタ合金粒子157は、例えばオーバーヘッド振動供給ユニット(図示せず)から、隣接する供給チューブ158を通して供給される。コレクタ合金粒子157は、供給チューブ158から、これらの合金粒子が部分的に酸化される火炎156を通って落下する。次いで、部分的に酸化された粒子157Aは、落下して坩堝120内に蓄積する。運転中の坩堝120の回転は、粒子157Aを耐火ライニング123の表面上に分布させる。粒子157Aが火炎156内で溶解されるかまたは部分的に溶解される場合には、粒子157Aが冷却して固化すると、粒子157Aは、耐火ライニング123上にコーティングを形成することができる。次いで、自由流動性のおよび/または融解した粒子157Aを、バーナ156の燃焼率を増加させることによって、所望するときに溶解することができる。バーナ156が予備酸化中により高い速度で燃焼する場合、部分的に酸化された粒子157Aは、溶融合金プール122Aに集まることができる(
図3を参照)。
【0096】
コレクタ合金粒子157は、多くの場合、火炎156に露出する表面積を増加させるために、微粒子状の形態にグラインディングされるかまたはミリングされるが、好ましくは、火炎156を通過して坩堝120上に沈殿するのに十分に大きい。合金粒子157はまた、好ましくは、例えばサイクロン(図示せず)または重力による、分離を容易にし、かつ排出される燃焼ガス中での過度の同伴を回避するのに十分に大きい。例えば、-16または-18/+200のメッシュサイズは、重力分離に好適であり得る。過度の細粒、例えば-200メッシュは、好ましくは、最小限に抑えられるか、または回避される。火炎156は、好ましくは、粒子157を部分的に酸化するための酸化環境を提供するように酸素リッチであり、例えば、バーナ155は、天然ガスまたはプロパンなどの燃料ガスと、完全燃焼のための理論上のものに対して10%過剰の酸素、好ましくは15~30%過剰の酸素、より好ましくは20~25%過剰の酸素と、を用いて燃焼することができる。燃焼酸化ガスは、好ましくは、火炎156内の燃焼温度が2000℃以上であるように、酸素濃縮空気であるか、より好ましくは>99体積パーセントの酸素である。部分的な予備酸化は、粒子157中の鉄の10~90パーセントを粒子157A中の酸化鉄に転換するのに、好ましくは鉄の25~75パーセントを転換するのに、より好ましくは鉄の30~60パーセントを転換するのに、十分であるのがよい。
【0097】
コレクタ合金粒子157を、好都合にも、運転に対して比較的低い供給割合および低いバーナ速度を使用して、オフシフト中、例えば一晩中、予備酸化することができる。運転サイクルの開始時に所望の合金プール122A(
図3)を形成するのに十分なコレクタ合金粒子157の装入物を、供給ユニット(図示せず)に装填することができる。粒子157は、火炎156によって高温に保たれる坩堝120の内側の、コーティングまたは溶融プールとして、床に蓄積することができる。装入物の予備酸化が終了した後、バーナ155の継続的な燃焼は、転換運転サイクルを迅速に開始することができるように、坩堝120および部分的に予備酸化されたコレクタ合金粒子157を、例えば、500℃~1200℃、好ましくは800℃~1200℃に、保温することを容易にする。デイシフトの開始時に、バーナ155の燃焼量を増加させて転換サイクルを迅速に開始することによって、蓄積された粒子157を溶融するか、または迅速に溶解して、合金プール122Aを形成することができる(
図3を参照)。
【0098】
転炉118の好ましい運転サイクルまたはバッチが、
図3~
図7に示されている。運転サイクルは、多くの場合、
図3に示されるように、部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を転炉坩堝120内で溶解して転炉合金プール122Aを形成することによって、開始する。プール122Aは、好ましくは、例えば坩堝120の利用可能な体積のおよそ10~15体積%の、表面下の酸素を注入するのにちょうど十分であり、利用可能な体積は、坩堝120が運転のために傾斜する角度で、上部から材料を溢れさせることなく充填され得る坩堝120の体積である。しかしながら、炉104、110からのPGMコレクタ合金108、114は、溶解するときに望ましくない溶解特性を有するスラグ(128B)を生成し得るため、好ましくは、部分的に予備酸化されたコレクタ合金装入物を使用して、初期溶解を高速化し、低融点を有する初期スラグを生成する。任意の実施形態では、転炉供給物116に対してより迅速におよび/またはより低い温度で溶解する任意の金属を、部分的に予め酸化されたコレクタ合金として、またはその代わりに使用することができる。
【0099】
図3における初期の予備酸化合金チャージ122Aを溶解した後、転炉供給物116が導入され、同時に酸素が注入される。供給材料116は、溶解され、合金プール122Bの体積は、
図4に示されるように拡大する。酸素の反応により、鉄および他の材料がスラグ相128Bに転換され、これにより、合金プール体積が縮小する。スラグ相128Bは、合金プール122Bよりも密度が低く、上部に浮遊する。酸素含有ガス注入からの攪拌、および/または坩堝120の回転により、合金の粒子または液滴160が、スラグ相128B内に同伴される。
【0100】
鉄含有合金と酸素との反応は、発熱性であり、過度の温度を引き起こす割合で酸素含有ガスを導入することを回避するように配慮され、例えば、酸素は、一般に、例えば、1250℃を超え、かつ1800℃以下の合金プール内の最大温度未満で、例えば1450℃~1700℃の温度で、合金プールを溶融状態に維持するのに十分な割合で注入される。酸素注入と同時に、任意のフラックス、耐火保護剤、再循環スラグなどを含む、固体としての転炉供給物の導入は、固体を溶解するために必要なエンタルピーによって発熱を緩和するのに役立つ。また、ジャケット146を通して冷却剤を循環させることはまた、反応のいくらかの熱を除去する役割も果たし、より高い酸素注入割合を可能にする。
【0101】
図5に示すように、供給物116の導入および酸素含有ガス注入は、拡大された合金プール122Cおよびスラグ相128Cで坩堝120が所望の容量に充填されるまで、継続される。坩堝充填段階中のスラグ相128Bおよび128Cは、一般に、坩堝120の酸素注入および回転による攪拌および混合に起因してスラグ相128B、128Cに分散された、いくらかの同伴合金160を含有する。供給物導入および酸素注入は、スラグタッピングのためにしばしば停止される。酸素注入および回転が停止されると、同伴された合金液滴または粒子160は、
図6に見られるように、スラグ相128Dから沈殿して合金プール122Dに戻ることができるようになる。スラグ128C(
図5)からの分散された金属160の重力沈殿および脱同伴、ならびに合金プール122D(
図6)への合体を促進するのに有効な静止期間の後、好ましくは少なくとも5分後、スラグ128Dは、実質的に少なくなった同伴合金とともに除去され得る。スラグ128Dは、多くの場合、合金プール122Dの最小限の同伴またはタッピングで、すなわち、スラグ相128Dの清澄なマージンとともに、坩堝120を傾けてスラグ相128Dをモールド(図示せず)内に注ぎ出すことによって、タッピングされる。
【0102】
スラグ128Dが除去されると、坩堝120は、
図3および
図4のように、供給物供給および/または酸素注入を再開するための追加の容積を有する。
図4および
図5のような坩堝を充填し、スラグ128Dをタッピングするサイクルは、
図6に示されるような短時間の合金脱同伴の後、好ましくは複数回繰り返される。転炉供給物116の所望の装入物が添加された後、酸素含有ガス注入は、所望の転換レベル、例えば、転炉供給物116からの鉄の少なくとも90%の転換、または好ましくは少なくとも95%の鉄転換、またはより好ましくは98%の鉄転換、が達成されるまで、継続してもよい。充填および/または酸素注入の最終サイクルの後、合金プール122Eは、
図7のように所望の最終体積および転換レベルにあり、最終スラグ層128Eおよび合金プール122Eは、連続してタッピングされ、それぞれのモールドに注ぎ込まれる。
【0103】
しかしながら、
図7のように合金122Eおよび最終スラグ128Eをタッピングすることが所望される場合、合金相160がスラグ128Eから実質的に分離するのを待たずに、直ちにスラグ128Eをタッピングすることが好ましい。酸素注入の終了時に、転換反応は、より完全であり、発熱は、緩和し得、合金プール122Eの温度を低下させる傾向がある。同時に、PGM濃縮合金の溶解温度が上昇している。したがって、例えば酸素注入の終了後5分未満でスラグ128Eの最終タッピングを開始することによって、合金122Eを速やかにタッピングして、早すぎる固化を回避することが好ましい。合金プール122Eをスラグ128Eで汚染することを回避するために、多くの場合、最終スラグ128Eをタッピングして、すなわちスラグ128Eとともに合金プール122Eの上部マージンの上部部分または表層をタッピングすることによって、合金プール122Eに清澄なマージンを提供することが好ましい。しかしながら、上述したように、この最終スラグタッピング128Eは、PGM有価物を回収することができるように、好ましくは、後続の転炉サイクルで転炉供給物116に再循環される、高品位スラグを表す。
【0104】
図8に概略的に示されるような好ましい実施形態では、プロセス200は、一次電気アーク炉204内で触媒材料202を製錬することを含む。主にアルミノケイ酸塩からなるスラグ205は、炉204から回収され、グラニューレータ206内の水中で粒状化され、回転式キルン208内で乾燥され、バッグ充填ステーション210内で再パッケージされる。PGMコレクタ合金211は、モールド212内に流し込まれ、固化され、クラッシャ214内でクラッシングされる。
【0105】
一次炉204からの乾燥したスラグ210は、第2の仕上げ電気アーク炉218で製錬される。炉218から回収されたスラグ219は、グラニューレータ220内で粒状化され、適切な使用のための副生成物222として、例えば骨材として、再生される。二次炉218からのPGMコレクタ合金223は、モールド224内に流し込まれ、固化され、クラッシャ214内でクラッシングされる。
【0106】
クラッシャ214からのミリングされたコレクタ合金211および223は、TBRC227への振動フィーダ226に供給物材料を供給するホッパ225内に配置される。TBRC227は、バーナ組立体228、酸素注入ランス229、ヒュームフード230、およびTBRC227の坩堝232を回転させるためのモータ(
図2Aを参照)を装備している。所望する場合、坩堝232は、水冷ジャケットを備え、アルミナベースのラミング耐火物でライニングされ、
図2A、
図2B、
図2Cに関連して上述したような、TBRC118の他の特徴のいずれかを備えることができる。
【0107】
転換サイクルを開始するために、TBRC227が回転するにつれて、ホッパ225からの転炉供給物の一部分が、フィーダ226を通して供給されて、バーナ組立体228の酸素リッチの火炎(
図2Cの火炎156を参照)を通って落下し、部分的に予備酸化される。予備酸化は、部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を蓄積するまで継続され、この装入物は、溶解されると、概して坩堝の利用可能な体積の約10~20%を充填する十分なサイズの合金プールを作成して、酸化が開始できるようにする。
図3の合金プール122Aを参照されたい。代替的には、事前に調製されたスタータ合金、キルンによって酸化されたコレクタ合金、流動床によって酸化されたコレクタ合金などを、部分的に予備酸化されたコレクタ合金として使用することができる。必要に応じて、バーナ228を使用して部分的に予備酸化されたコレクタ合金装入物を、少なくとも1250℃、好ましくは少なくとも1450℃の温度まで溶解する。好ましくは、一次炉204からの乾燥したアルミノケイ酸塩スラグ210を含む合計の保護剤の一部分が、スラグ保護剤233として合金プールの上に配置される。
【0108】
TBRC227の坩堝が回転されている間、バーナは、典型的には、遮断され、合金プールの固化を回避するのに十分な温度を維持する割合であるが、合金プール内の温度を1800℃以下、例えば1450℃~1700℃、に維持するのに十分な割合で、ランス229を使用して酸素234が合金プールに注入される。炉204、218からのPGMコレクタ合金211、223が、ホッパ225内に配置され、振動フィーダ226を介して概して定常的な割合でTBRC227に供給される。TBRC227は、スラグが形成されるにつれて材料で充填され、合金プールは、TBRCへの供給によって成長する。
図4の合金プール122Bおよびスラグ128Bを参照されたい。坩堝の体積が十分に充填されると(
図5の合金プール122Cおよびスラグ128Cを参照)、坩堝回転、酸素注入、および合金供給を停止することができる。相分離(
図4の合金プール122Dおよびスラグ128Dを参照)を可能にするために数分間、典型的には少なくとも5分間、待った後、スラグ242は、TBRC227を傾けることによってモールド244内にタッピングされ、スラグ242中の清澄なマージンを維持するように配慮し、過剰な量の合金をタッピングすることを回避する。
【0109】
次いで、残りの合金プールへの酸素注入および転炉供給物を、TBRC227が再び充填されるまで再開し、スラグ242を、上述したようにタッピングする。合金プールがタッピングのために所望の体積に成長するまで、サイクルを数回繰り返す。合金をタッピングする直前にタッピングされた最後のスラグ242を、好ましくは、酸素注入およびコレクタ合金供給を停止して坩堝内の早すぎる固化を回避した後に速やかに実行し、スラグ242の実質的に全部がタッピングされるように配慮し、例えば合金プールに清澄なマージンを提供する。少量の合金が、任意でスラグ中に同伴されてもよい。
図7の合金プール122E、スラグ128E、および合金160を参照されたい。しかしながら、最終スラグタッピングを、好ましくは、PGM損失を最小限に抑えるために、後続のサイクルまたはバッチで転炉供給物116に再循環する。次いで、PGM濃縮合金245を、インゴットモールド246内にタッピングし、冷却し、および固化させる。
【0110】
スラグモールド244が冷却された後、固化されたスラグ248は、多くの場合、スラグクラッシャ250および磁気セパレータ252を通して供給される。最終スラグタッピングおよびより早期のタッピングからの非磁気画分は、それぞれ、コンテナ254および256内に選別され得る。非磁気画分256は、一次炉からのスラグ210とともに二次炉218内で製錬され得る。
【0111】
転炉スラグの全部からの磁気画分258、および最終スラグタッピングからの非磁気画分254は、好ましくは、後続のTBRCバッチのために供給ホッパ225内に配置される。代替的には、最終スラグタッピングの全体を、磁気セパレータ252をバイパスさせて、コレクタ合金211、223とともにホッパ225内に直接配置することができる。
【0112】
別の態様では、
図9を参照して、本発明の実施形態は、PGMコレクタ合金転換プロセス300であって、ステップ302で、合金プール122(
図1A)を保持している転炉118(
図1A)の坩堝120に、PGMコレクタ合金108および/または114(
図IB)を含む転炉供給物116(
図1A)を導入することと、ステップ304で、酸素含有ガス124(
図1A)を合金プールに注入することと、ステップ306で、スラグ130(
図1A)を坩堝120から回収することと、ステップ308で、回収されたスラグ130を炉104および/または110(
図IB)、好ましくは二次炉110内で製錬することと、ステップ310で、炉104および/または110からコレクタ合金108および/または114(
図IB)を回収することと、任意でステップ312で、ステップ308で炉104および/または110から回収されたコレクタ合金108および/または114を、合金プール122を有する坩堝120への転炉供給物116に導入することと、ステップ314で、坩堝120からPGM濃縮合金132(
図1A)を回収することと、を含むPGMコレクタ合金転換プロセス300を提供する。転炉供給物116は、好ましくは、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含むコレクタ合金108および/または114を含む。転炉供給物116は、任意で、添加フラックス材料を含み得るが、添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、転炉供給物は、好ましくは、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満の添加フラックス材料を含む。好ましくは、PGM濃縮合金は、25重量%以上のPGM、25重量%以上のニッケル、および10重量%以下の鉄、より好ましくは25~60重量%のPGM、および25~70重量%のニッケルを含む。
【0113】
別の態様では、
図10を参照して、本発明の実施形態は、PGMコレクタ合金転換プロセス350であって、ステップ352で、転炉坩堝120を耐火材料123(
図1A)でライニングすることと、ステップ354で、合金プール122(
図1A)を坩堝120内に保持することと、ステップ356で、転炉合金プール122を有する坩堝120に耐火保護剤138(
図1A)を供給することと、ステップ358で、合金プール122を有する坩堝120に、PGMコレクタ合金108および/または114(
図IB)を含む転炉供給物116(
図1A)を導入することと、ステップ360で、酸素含有ガス124(
図1A)を合金プール122に注入することと、ステップ362で、坩堝120からスラグ130(
図1A)を回収することと、ステップ364で、坩堝120からPGM濃縮合金132を回収することと、を含むPGMコレクタ合金転換プロセス350を提供する。耐火保護剤138は、好ましくは、耐火材料123と共通の耐火成分を含む。共通の成分は、例えば、アルミナを含むことができる。転炉供給物116は、好ましくは、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含むコレクタ合金108および/または114を含む。
【0114】
転炉供給物116は、任意で、添加フラックス材料を含み得るが、添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、転炉供給物は、好ましくは、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部以下の添加フラックス材料を含む。好ましくは、転炉供給物116は、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金108、114あたり、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料を含む。好ましくは、PGM濃縮合金は、25重量%以上のPGM、25重量%以上のニッケル、および10重量%以下の鉄、より好ましくは25~60重量%のPGM、および25~70重量%のニッケルを含む。
【0115】
別の態様では、
図11を参照して、本発明の実施形態は、PGMコレクタ合金転換プロセス400であって、ステップ401で、未加工のコレクタ合金108/114(
図IB)を酸化剤182と接触させて、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184を形成する(
図1Cも参照)ことと、ステップ402で、部分的に予備酸化されたコレクタ合金184を含み、かつ任意で未加工のコレクタ合金108/114を含む、転炉供給物116Aの装入物を、転炉118の坩堝120内に配置する(
図1A)ことと、ステップ404で、例えばバーナ組立体117を使用して、転炉供給物116Aの装入物を溶解して、初期合金プール122A(
図3)を形成することと、ステップ406で、未加工のコレクタ合金108/114(
図IB)および/または部分的に予備酸化されたコレクタ合金184を含む転炉供給物116B(
図1A)を、合金プール122Aを有する坩堝120に導入することと、ステップ408で、酸素含有ガス124(
図1A)を合金プールに注入することと、ステップ410で、坩堝120からスラグ130(
図1A)を回収することと、ステップ412で、坩堝120からPGM濃縮合金132を回収することと、を含むPGMコレクタ合金転換プロセス400を提供する。コレクタ合金108および/または114は、好ましくは、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含む。
【0116】
転炉供給物116A、116Bは、任意で、添加フラックス材料を含み得るが、添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、転炉供給物116A、116Bは、好ましくは、100重量部の(未加工のおよび/または部分的に予備酸化された)コレクタ合金あたり、20重量部以下の添加フラックス材料を含む。好ましくは、転炉供給物116A、116Bは、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部の(未加工のおよび/または部分的に予備酸化された)コレクタ合金あたり、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料を含む。好ましくは、スタータ装入物は、利用可能な坩堝体積の5~20体積%の体積を含む合金プールを形成するか、または深さが、それ以外で、酸素含有ガス注入用のランスを受容するのに十分である。好ましくは、PGM濃縮合金は、25重量%以上のPGM、25重量%以上のニッケル、および10重量%以下の鉄、より好ましくは25~60重量%のPGM、および25~70重量%のニッケルを含む。
【0117】
さらに別の態様では、
図12を参照して、本発明の実施形態は、PGMコレクタ合金転換プロセス450であって、ステップ452で、合金プール122を坩堝120(
図1A)内に保持することと、ステップ454で、合金プール122を有する坩堝120に、PGMコレクタ合金を含む転炉供給物116(
図1A)を導入することと、ステップ456において、合金プール122に酸素含有ガス124(
図1A)を注入することと、ステップ458で、坩堝120からスラグ130を回収することと、ステップ460で、スラグ130を第1および第2の部分134、136に分離することと、任意で、ステップ462で、第1の部分134を炉104および/または110(
図IB)内で製錬することと、第2の部分136を坩堝120への転炉供給物116に導入することと、ステップ464で、坩堝120からPGM濃縮合金132を回収することと、を含むPGMコレクタ合金転換プロセス450を提供する。
【0118】
プロセス450の任意の実施形態では、転炉供給物116は、1:20~1:2、好ましくは1:10~3:10の、再循環されたスラグ136とコレクタ合金108および/または114(
図IBを参照)との重量比を含むことができる。好ましくは、回収されたスラグの第2の部分136の全部または一部は、第1の部分134のPGMおよび/またはニッケル含有量に対してより高いPGMおよび/またはニッケル含有量を有し、および/または回収されたスラグの第2の部分136は、約2重量%を超えるニッケル含有量を有する。例えば、ステップ460での分離は、第1の部分134が非磁気感受性画分を含み、かつ第2の部分136が磁気感受性画分を含む磁気感受性に従い得る。別の例として、第2の部分136は、
図7に関連して示され、議論されるように、同伴合金160を有するスラグ128Dを含むことができる。転炉供給物116は、好ましくは、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含むコレクタ合金108および/または114を含む。
【0119】
転炉供給物116は、任意で、添加フラックス材料を含み得るが、添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、転炉供給物116は、好ましくは、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満の添加フラックス材料を含む。好ましくは、転炉供給物116は、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金108、114あたり、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料を含む。
【0120】
さらなる態様では、
図13を参照して、本発明の実施形態は、PGMコレクタ合金転換プロセス500であって、ステップ502で、合金プール122を坩堝120(
図1A)内に保持することと、ステップ504で、鉄およびニッケルを含むPGMコレクタ合金108および/または114(
図IBを参照)を含む転炉供給物116を、合金プール122を有する坩堝120に導入することと、ステップ506で、酸素含有ガス124(
図1A)を、好ましくはステップ504での供給物導入と少なくとも部分的に同時に、合金プール122に注入することと、ステップ508で、坩堝120からスラグ130を回収することと、ステップ510で、回収されたスラグ130を固化させて粉砕することと、ステップ511で、スラグ130を、再循環するステップ518のための高品位画分と、低品位画分524と、に分離することであって、高品位画分が、低品位画分524よりも高いPGM含有量を有する、分離することと、ステップ518で、磁気感受性画分136を含む回収されたスラグの再循環部分を、坩堝120への導入用の転炉供給物116に導入することと、ステップ520で、坩堝120からPGM濃縮合金132を回収することと、を含むPGMコレクタ合金転換プロセス500を提供する。任意の実施形態では、分離ステップ511は、任意で、粉砕されたスラグを、非磁気感受性画分134と、高品位スラグを含む磁気感受性画分136と、に磁気的に分離するための磁気分離ステップ512を含む。任意の実施形態では、ステップ518での回収されたスラグの再循環部分は、任意で、非磁気感受性画分516の第1の高品位部分522を含むことができる。例えば、高品位部分522は、最終タッピングからのスラグ128E(
図7)を含むことができる。非磁気感受性画分516の第2の低品位部分524は、再循環されず、例えば、二次炉110内での製錬のために、転換プロセスから除去され得る。任意の実施形態では、転炉供給物116は、1:20~1:2、好ましくは1:10~3:10の、スラグ136および522とコレクタ合金との重量比を含むことができる。好ましくは、回収されたスラグ512の合計の再循環部分136および522は、非再循環部分524と比較して、より高いPGM含有量および/またはニッケル含有量を有する。多くの場合、回収されたスラグの再循環部分は、総ニッケル含有量が約2重量%以上である。
【0121】
さらなる態様では、
図14を参照して、本発明の実施形態は、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含むコレクタ合金を含む転炉供給物116を転換するための転換プロセス550を提供する。転炉供給物116は、任意で、添加フラックス材料を含み得るが、添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、転炉供給物は、好ましくは、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満の添加フラックス材料を含む。好ましくは、転炉供給物116は、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金あたり、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料を含む。
【0122】
プロセス550は、(a)ステップ552で、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184(
図1C)の装入物を転炉坩堝120(
図1A)内に配置することと、(b)ステップ554で、例えばバーナ組立体117(
図1A)を使用して、部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184の装入物を坩堝120内で溶解して合金プール122A(
図3)を形成することと、(c)ステップ556で、転炉供給物116の装入物を坩堝120内に定期的または継続的に導入することと、(d)ステップ558で、酸素含有ガス124を合金プール内に注入してスラグ128Bを形成する(
図4)ことと、(e)1回以上の定期的なスラグタッピングの調製において、ステップ560で、例えば5分以上の期間、
図5に見られるように、スラグ128C中で同伴される合金160が合金プール122D内に実質的に沈殿することを可能にすることと、(1)次いで、ステップ562で、坩堝120からスラグ128Dをタッピングすることと、(g)(d)のステップ558を、最終の回まで、ステップ560および562を後に続けて、1回以上繰り返すことと、(h)最終のステップ558に続いて、ステップ564で、
図7に見られるように、スラグ128Eを同伴合金160とともにタッピングすることと、を含む。
【0123】
(c)の転炉供給物導入ステップ556、および(d)の酸素含有ガス注入ステップ558は、好ましくは、(e)の定期的なスラグタッピングステップ562および(h)の564のために停止される。好ましくは、酸素含有ガス注入ステップ558は、合金プール122Eが、合金プールの重量に対して、合金プールの10重量%以下の鉄、より好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される。任意の実施形態では、(h)の最終スラグタッピングから回収された転炉スラグ128Eの全部または一部を、例えば後のバッチで、転炉供給物116に導入することができる。
【0124】
なおさらなる態様では、
図IBを参照して、本発明の実施形態は、触媒材料からPGMを回収するためのプロセス100Bであって、一次炉104内で触媒材料102を製錬してスラグ106および第1のコレクタ合金108を形成することと、一次炉104からスラグ106を回収することと、二次炉110内で一次炉スラグ106を製錬して第2のコレクタ合金114を形成することと、二次炉110からスラグ112を回収することと、第1および第2のコレクタ合金108、114をそれぞれの第1のおよび二次炉104、110から回収することと、第1および第2のコレクタ合金108、114を含む転炉供給物116を、転炉合金プール122を保持している坩堝120に導入することであって、第1および第2のコレクタ合金108、114が、好ましくは、転炉供給116の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%のPGM、少なくとも40重量%の鉄、および少なくとも0.5重量%のニッケルを含む、導入することと、酸素含有ガス124を転炉合金プール122に注入することと、坩堝120から転炉スラグ130を回収することと、二次炉110内の転炉スラグ130の少なくとも第1の部分134を、一次炉スラグ106とともに二次炉110内で製錬することと、坩堝120からPGM濃縮ニッケル合金132を回収することと、を含むプロセス100Bを提供する。任意で、転炉スラグ130の第2の部分136は、坩堝120への第1および第2のPGMコレクタ合金108、114とともに転炉供給物116に導入される。好ましくは、酸素含有ガス注入は、転炉合金プール122が、転炉合金プールの重量に対して、10重量%以下の鉄、より好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される。
【0125】
さらに別の態様では、
図2A、
図2B、および
図2Cを参照して、本発明の実施形態は、TBRC118であって、傾斜させることが可能な坩堝120、坩堝120を加熱するためのバーナ組立体117、ジャケット146を通して冷却流体を循環させるための流体入口および出口接続部147a、147b、合金プール122(
図1A)を保持するための坩堝120内の耐火ライニング123、坩堝120を回転させるためのモータ119、ならびに合金プール122に酸素を注入するためのランス126を含むTBRC118を提供する。好ましくは、TBRC118は、坩堝120の内壁142に隣接する耐火ライニング123に半径方向に離間して位置決めされた複数の温度センサ140に動作可能に接続された複数の温度送信機144をさらに含む。好ましくは、TBRC118は、バーナ組立体117のバーナ155から火炎156に粒子を供給するための供給チャネル158をさらに含む。任意の実施形態では、TBRC118は、ヒュームフード121および/または水冷式熱シールド121Aをさらに含んでもよい。
【0126】
実施形態の列挙
したがって、本発明は、以下の非限定的な実施形態を提供する。
1.白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)溶融合金プール(好ましくはニッケルを含む)を保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケル(ならびに好ましくは3重量%以下の硫黄および3重量%以下の銅)を含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)添加フラックス材料が、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む場合、20重量部未満の添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄および1つ以上の他の酸化性元素を対応する酸化物に転換し、合金プール中のPGMを濃縮する(好ましくは、転炉供給物の導入および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である)ステップと、
(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(e)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む、プロセス。
2.
坩堝を耐火材料でライニングすることと、
合金プールを保持している坩堝に、転炉供給物中の100重量部のコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で、好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり18重量部以下、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり5~15重量部の耐火保護剤の割合で、耐火保護剤を供給することと、をさらに含む、実施形態1に記載のプロセス。
3.耐火保護剤が、(i)合金プールを最初に溶解した後、かつステップ(b)を開始する前、(ii)ステップ(a)および(b)の一方または両方の間、ならびに/または(iii)ステップ(a)および(b)の一方または両方を停止してステップ(d)で低密度層をタッピングした後、ステップ(a)および(b)の一方または両方を再開する前に、坩堝に供給される、実施形態2に記載のプロセス。
4.耐火保護剤が、ステップ(a)で導入されたコレクタ合金とともに坩堝に供給される、実施形態2または実施形態3に記載のプロセス。
5.耐火保護剤が、ステップ(a)で導入されたコレクタ合金とは別個に坩堝に供給され、好ましくは坩堝への耐火保護剤の供給が定期的である、実施形態2または実施形態3に記載のプロセス。
6.耐火保護剤が、耐火材料と共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む、実施形態2~5のいずれかに記載のプロセス。
7.転炉供給物が、シリカ、酸化カルシウム、および/または酸化マグネシウムの含有量にかかわらず、100重量部のコレクタ合金当たり、20重量部未満の任意の添加フラックス材料を含む、実施形態2~6のいずれかに記載のプロセス。
8.ステップ(b)で、酸素含有ガスを合金プール内に延在するランスを通して合金プールに注入することをさらに含み、ランスが、消耗性耐火材料を含み、ランスの先端が消耗するにつれてプール内に前進され、消耗性耐火材料が、ライニングと共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む、実施形態2~7のいずれかに記載のプロセス。
9.ライニングの耐火材料が、アルミナを含むラミング耐火物を含み、好ましくはラミング耐火物が、少なくとも90重量%のアルミナを含む、実施形態2~8のいずれかに記載のプロセス。
10.
耐火ライニング内の温度を、耐火ライニング内に取り付けられた半径方向に離間したセンサで感知することと、
センサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に伝達することと、
温度感知情報を含む信号を1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに含み、
好ましくは、センサが、坩堝の金属壁に隣接して取り付けられており、および/または1つ以上の送信機が、坩堝の外部に取り付けられており、信号を受信機に無線で送信する、実施形態2~9のいずれかに記載のプロセス。
11.坩堝にジャケットを装着することと、ステップ(b)の間、冷却剤、好ましくは水を、ジャケットを通して循環させることと、をさらに含む、実施形態2~10のいずれかに記載のプロセス。
12.酸素含有ガスが、1800℃以下の温度で、好ましくは約1250℃~1700℃、より好ましくは1450℃~1700℃の範囲の温度で、合金プールを溶融状態に維持するのに十分な割合で転炉合金プールに注入される、実施形態2~11のいずれかに記載のプロセス。
13.ステップ(a)の前に、(I)コレクタ合金の一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化するステップをさらに含み、好ましくはステップ(I)での部分的な予備酸化が、ステップ(I)の前の未加工のコレクタ合金部分中の鉄に基づいて、10~90パーセントの鉄の転換、より好ましくは25~75パーセントの鉄転換、さらにより好ましくは30~60パーセントの鉄転換を含む、実施形態1~12のいずれかに記載のプロセス。
14.ステップ(I)での予備酸化が、(I.A)未加工のコレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含み、好ましくは火炎が、2000℃以上、より好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃の火炎温度を呈する、実施形態13に記載のプロセス。
15.酸素リッチの火炎が、坩堝を加熱するためのバーナによって生成され、(I.B)火炎から坩堝に少なくとも部分的に溶解および/または予備酸化されたコレクタ合金粒子を堆積させることをさらに含む、実施形態14に記載のプロセス。
16.(I.C)粒子を冷却して固化させて、予備酸化されたコレクタ合金のコーティングを坩堝の耐火ライニングの内面上に形成することをさらに含み、ステップ(II)が、コーティングを溶解することを含む、実施形態14または実施形態15に記載のプロセス。
17.ステップ(a)の前に、
(II)部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して、ステップ(b)での酸素含有ガスの注入のために十分な体積の合金プールを形成するステップと、
(III)次いで、ステップ(a)での坩堝への転炉供給物導入、およびステップ(b)での合金プールへの酸素含有ガス注入を開始するステップと、をさらに含む、実施形態13~16のいずれかに記載のプロセス。
18.ステップ(I)での予備酸化が、ステップ(II)、(III)、(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)のサイクルを通して転炉を運転して、部分的に酸化されたスタータ合金を調製することを含み、スタータ合金調製サイクルが、
部分的に酸化されたスタータ合金の事前に調製された装入物を坩堝内で溶解して、合金プールを形成することと、
ステップ(b)での酸素含有ガスの注入と同時に、ステップ(a)で合金プールに転炉供給物を定期的または継続的に供給することと、
酸素含有ガスの注入を継続して、合金プールを部分的に酸化することであって、好ましくは、転炉合金プールに供給される転炉供給物中の鉄の重量に基づいて、転炉供給物中の鉄の10~90パーセント、より好ましくは25~75パーセントが酸化される、部分的に酸化することと、
転炉坩堝からのスラグを、好ましくは複数回、タッピングすることと、
次いで、部分的に酸化された合金プールを回収して固化させることと、
好ましくは、スタータ合金調製サイクルからの固化された部分的に酸化されたコレクタ合金を、同様の複数の転炉運転サイクルおよび/またはスタータ合金調製サイクルのための複数のスタータ合金装入物に分割することと、を含む、実施形態17に記載のプロセス。
19.ステップ(I)での予備酸化が、コレクタ合金の粒子を、少なくとも800℃、例えば800℃~950℃の温度で、好ましくは回転式キルンまたは流動床ロースタ内で、酸素含有ガスと接触させることを含む、実施形態13に記載のプロセス。
20.
(A.l)ステップ(d)で回収されたスラグを複数の部分に分離するステップと、
(A.2)ステップ(a)で坩堝に導入された転炉供給物に、ステップ(A.l)からの回収されたスラグ部分の第1のスラグ部分を再循環させるステップであって、転炉供給物が、100重量部のコレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環されたスラグを含み、好ましくは、転炉供給物が、100重量部のコレクタ合金当たり10~50重量部の量の再循環されたスラグを含む、再循環させるステップと、をさらに含む、実施形態1~19のいずれかに記載のプロセス。
21.(A.3)ステップ(a)での転炉供給物への同時の導入のために、好ましくは単一の供給ユニットから、コレクタ合金および再循環スラグを組み合わせることをさらに含む、実施形態20に記載のプロセス。
22.ステップ(A.2)での再循環されたスラグが、ステップ(d)からの回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量、および/または再循環されたスラグの約2重量パーセントを超えるニッケル含有量を有する、ステップ(d)からの回収されたスラグの高品位部分を含む、実施形態20または実施形態21に記載のプロセス。
23.
(B.1)ステップ(d)からの回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップと、
(B.2)粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離するステップと、
(B.3)ステップ(A.2)で磁気感受性画分を転炉供給物に再循環させるステップと、
(B.4)任意で、ステップ(A.2)で非磁気感受性画分の一部分を転炉供給物に再循環させるステップと、をさらに含む、実施形態18~22のいずれかに記載のプロセス。
24.
(C.l)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続く、繰り返すステップと、
(C.3)ステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスで、ステップ(d)で低密度層の最終タッピングから回収されたスラグを、磁気感受性にかかわらずステップ(A.2)で転炉供給物に再循環させ、および/またはステップ(d)での最終タッピングからのステップ(B.2)で分離された非磁気感受性画分の全部もしくは一部を、ステップ(A.2)で転炉供給物に再循環させるステップと、
(C.4)ステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングの後に、ステップ(e)で合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、実施形態20~23のいずれかに記載のプロセス。
25.
(D.1)ステップ(C.2)での最終タッピングに先行する低密度層のタッピングのために、低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層のタッピングの前に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(D.2)ステップ(C.2)での最終タッピングのために、タッピングを迅速に開始して、坩堝内の合金プールの固化を回避し、任意で、ステップ(C.2)での最終タッピングのために低密度層中の合金の同伴をもたらすステップと、をさらに含む、実施形態24に記載のプロセス。
26.
(1)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して、ステップ(a)のための合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続く、繰り返すステップと、
(3)ステップ(2)の最終シーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングに先行する、ステップ(2)の各シーケンスのステップ(d)での低密度層のタッピングのために、低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層のタッピングの前に、好ましくはステップ(2)のそれぞれのシーケンスのそれぞれのステップ(b)での酸素含有ガス注入の終了後5分間以上の期間に、合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(4)ステップ(2)の最終シーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングのために、最終タッピングを速やかに行って、坩堝内の合金プールの固化を回避し、好ましくは、ステップ(2)の最終シーケンスのステップ(b)での酸素含有ガス注入の終了後5分以下の期間内に、ステップ(d)での低密度層の最終タッピングを開始することによって、任意で、ステップ(2)の最終シーケンスのステップ(d)での最終タッピングの低密度層中で合金を同伴するステップと、
(5)ステップ(2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングの後に、ステップ(e)で合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、実施形態1~25のいずれかに記載のプロセス。
27.
(6)ステップ(2)の各シーケンスのステップ(d)からの回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップと、
(7)ステップ(2)の最終シーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングから回収されたスラグを、ステップ(a)で転炉供給物に再循環させるステップと、をさらに含む、実施形態26に記載のプロセス。
28.
(E.l)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(E.2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(E.3)一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(E.4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(E.5)第1および第2のコレクタ合金を、ステップ(a)で転炉供給物に供給するステップと、
(E.6)ステップ(d)で転炉から回収されたスラグの少なくとも一部分を、ステップ(E.3)で一次炉スラグとともに製錬するために二次炉に供給するステップと、をさらに含む、実施形態1~27のいずれかに記載のプロセス。
29.転炉の坩堝が、耐火材料でライニングされており、ステップ(E.2)からの一次炉スラグの一部分を、ステップ(a)および(b)の耐火保護剤として坩堝に、好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり20重量部以下の一次炉スラグの割合で、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり18重量部の一次炉スラグ、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり5~15重量部の一次炉スラグの割合で、供給することをさらに含む、実施形態28に記載のプロセス。
30.ステップ(b)での酸素含有ガス注入が、合金プールが、合金プールの総重量に対して約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される、実施形態1~29のいずれかに記載のプロセス。
31.
0.5~12重量%のPGM、
40重量%以上の鉄、好ましくは40~80重量%の鉄、
0.5重量%以上のニッケル、好ましくは1~15重量%のニッケル、
3重量%以下の硫黄、好ましくは0.1重量%以上の硫黄、
好ましくは3重量%以下の銅、より好ましくは0.1~3重量%の銅、好ましくは2重量%以下のクロム、より好ましくは0.1~2重量%のクロム、および好ましくは20重量%以下のケイ素、より好ましくは1~20重量%のケイ素を含む、実施形態1~30のいずれかに記載のプロセス。
32.PGM濃縮合金が、
25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGM、
25重量%以上のニッケル、好ましくは25~70重量%のニッケル、ならびに
好ましくは、2重量%以下のケイ素、2重量%以下のリン、10重量%以下の銅、および2重量%以下の硫黄を含む、実施形態1~31のいずれかに記載のプロセス。
33.転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、実施形態1~32のいずれかに記載のプロセス。
34.溶融合金プールが、ニッケルを含む、実施形態1~33のいずれかに記載のプロセス。
35.コレクタ合金が、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む、実施形態1~34のいずれかに記載のプロセス。
36.溶融合金プールが、ニッケルを含み、コレクタ合金が、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含み、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、実施形態1~35のいずれかに記載のプロセス。
低フラックス転炉プロセスの実施形態
Al.白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)ニッケルを含む溶融合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、および0.5重量%以上のニッケルを含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカ、ならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む、20重量部未満の添加フラックス材料と、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(e)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む、プロセス。
A2.
坩堝を耐火材料でライニングすることと、
合金プールを保持している坩堝に、転炉供給物中の100重量部のコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で、好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり18重量部以下、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり5~15重量部の耐火保護剤の割合で、耐火保護剤を供給することと、をさらに含む、実施形態Alに記載のプロセス。
A3.耐火保護剤が、(i)合金プールを最初に溶解した後、かつステップ(b)を開始する前、(ii)ステップ(a)および(b)の一方または両方の間、ならびに/または(iii)ステップ(a)および(b)の一方または両方を停止してステップ(d)で低密度層をタッピングした後、ステップ(a)および(b)の一方または両方を再開する前に、坩堝に供給される、実施形態A2に記載のプロセス。
A4.耐火保護剤が、ステップ(a)で導入されたコレクタ合金とともに坩堝に供給される、実施形態A3に記載のプロセス。
A5.耐火保護剤が、ステップ(a)で導入されたコレクタ合金とは別個に坩堝に供給され、好ましくは坩堝への耐火保護剤の供給が定期的である、実施形態A3に記載のプロセス。
A6.耐火保護剤が、耐火材料と共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む、実施形態A2~A5のいずれかに記載のプロセス。
A7.ステップ(b)で、酸素含有ガスを合金プール内に延在するランスを通して合金プールに注入することをさらに含み、ランスが、消耗性耐火材料を含み、ランスの先端が消耗するにつれてプール内に前進され、消耗性耐火材料が、ライニングと共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む、実施形態A6に記載のプロセス。
A8.ライニングの耐火材料が、アルミナを含むラミング耐火物を含み、好ましくはラミング耐火物が、少なくとも90重量%のアルミナを含む、実施形態A2~A7のいずれかに記載のプロセス。
A9.
耐火ライニング内の温度を、耐火ライニング内に取り付けられた半径方向に離間したセンサで感知することと、
センサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に伝達することと、
温度感知情報を含む信号を1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに含み、
好ましくは、センサが、坩堝の金属壁に隣接して取り付けられており、および/または1つ以上の送信機が、坩堝の外部に取り付けられており、信号を受信機に無線で送信する、実施形態A2~A8のいずれかに記載のプロセス。
A10.坩堝にジャケットを装着することと、ステップ(b)の間、冷却剤、好ましくは水および/または水性熱伝達媒体を、ジャケットを通して循環させることと、をさらに含む、実施形態A2~A9のいずれかに記載のプロセス。
All.酸素含有ガスが、1800℃以下の温度で、好ましくは約1250℃~1700℃、より好ましくは1450℃~1700℃の範囲の温度で、合金プールを溶融状態に維持するのに十分な割合で転炉合金プールに注入される、実施形態A2~A10のいずれかに記載のプロセス。
A12.ステップ(b)での酸素含有ガス注入が、合金プールが、合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される、実施形態A1~Allのいずれかに記載のプロセス。
A13.コレクタ合金が、
0.5~12重量%のPGM、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
3重量%以下の硫黄、好ましくは0.1重量%以上の硫黄、
3重量%以下の銅、好ましくは0.1~3重量%の銅、および
好ましくは20重量%以下のケイ素、より好ましくは1~20重量%のケイ素を含む、実施形態A1~A12のいずれかに記載のプロセス。
A14.PGM濃縮合金が、
25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGM、
25重量%以上のニッケル、好ましくは25~70重量%のニッケル、
10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄、ならびに
好ましくは、2重量%以下のケイ素、2重量%以下のリン、10重量%以下の銅、および2重量%以下の硫黄を含む、実施形態A13に記載のプロセス。
A15.コレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、坩堝への転炉供給物中に導入された100重量部のコレクタ合金のうち、転炉供給物が、少なくとも20重量部の部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含み、好ましくは、部分的な予備酸化が、コレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含み、好ましくは、火炎が、2000℃以上、より好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃の火炎温度を呈する、実施形態A1~A14のいずれかに記載のプロセス。
A16.転炉供給物が、100重量部のコレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグをさらに含む、実施形態A1~A15のいずれかに記載のプロセス。
A17.転炉が、
(I)コレクタ合金の少なくとも一部分を部分的に予備酸化するステップと、
(II)ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を転炉の坩堝内で溶解して、合金プールを形成して、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(III)転炉供給物を合金プールとともに坩堝に導入するステップであって、転炉供給物が、(i)ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、(ii)予備酸化されていないコレクタ合金、または(iii)それらの組み合わせであって、転炉供給物が、任意で、以前の転炉サイクルからの再循環スラグをさらに含み得る、(i)、(ii)、または(iii)を含む、導入するステップと、
(IV)鉄の酸化鉄への転換、および合金プール中のPGMの濃縮のために、酸素含有ガスを合金プールに注入するステップと、
(V)酸化鉄を含むスラグが、合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(VI)ステップ(III)および(IV)を終了し、低密度層をタッピングして転炉からスラグを回収するステップと、
(VII)ステップ(III)、(IV)、(V)、および(VI)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(VI)が、ステップ(IV)および(V)の後に続く、繰り返すステップと、
(VIII)各非最終シーケンスのステップ(VI)での低密度層のタッピングの前に、低密度層中で同伴される合金が、酸素含有ガス注入の終了後に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(IX)最終シーケンスのステップ(VI)での酸素含有ガス注入の終了後に低密度層のタッピングを速やかに開始するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、速やかに開始するステップと、
(X)転炉サイクルの終了時に、合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む運転サイクルを有する、実施形態A1~A16のいずれかに記載のプロセス。
A18.
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)好ましくは冶金コークスを添加して、一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)転炉供給物が、第1および第2のコレクタ合金を含んで、
(6)ステップ(d)で転炉から回収されたスラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために二次炉に供給するステップと、をさらに含む、実施形態A1~A17のいずれかに記載のプロセス。
A19.
(A)坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)耐火物でライニングされた坩堝内に溶融合金プールを保持することと、
(C)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着することと、
(D)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、実施形態A1~A18のいずれかに記載のプロセス。
A20.転炉が、回転式転炉を含み、回転式転炉が、
坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムと、を含む、実施形態A1~A19のいずれかに記載のプロセス。
部分的な予備酸化転炉プロセスの実施形態
Bl.白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(I)コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む未加工のコレクタ合金を部分的に予備酸化するステップと、
(II)初期装入物を転炉の坩堝に導入するステップであって、初期装入物が、未加工のコレクタ合金、ステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、またはそれらの組み合わせを含む、導入するステップと、
(III)初期装入物を溶解して、坩堝内に合金プールを形成するステップと、
(IV)合金プールに転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、未加工のコレクタ合金、ステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物、またはそれらの組み合わせを含み、初期装入物および転炉供給物の少なくとも一方または両方が、ステップ(I)の部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含む、導入するステップと、
(V)酸素含有ガスを合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(VI)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(VII)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(VIII)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、を含む、プロセス。
B2.ステップ(I)での部分的な予備酸化が、ステップ(I)の前の未加工のコレクタ合金部分中の鉄に基づいて、10~90パーセントの鉄の転換、好ましくは25~75パーセントの鉄転換、より好ましくは30~60パーセントの鉄転換を含む、実施形態Blに記載のプロセス。
B3.ステップ(I)での予備酸化が、(I.A)未加工のコレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含み、好ましくは火炎が、2000℃以上、より好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃の火炎温度を呈する、実施形態Blまたは実施形態B2に記載のプロセス。
B4.酸素リッチの火炎が、坩堝を加熱するためのバーナによって生成され、(I.B)火炎から坩堝に少なくとも部分的に溶解された予備酸化されたコレクタ合金粒子を堆積させることをさらに含む、実施形態B3に記載のプロセス。
B5.
(I.C)粒子を冷却して固化させて、坩堝の耐火ライニングの内面上に予備酸化されたコレクタ合金のコーティングを形成するステップをさらに含み、
ステップ(III)が、坩堝内でコーティングを溶解して、ステップ(V)での酸素含有ガスの注入のために十分な体積の合金プールを形成することを含む、実施形態B4に記載のプロセス。
B6.ステップ(III)が、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して、ステップ(IV)での酸素含有ガスの注入のための十分な体積の合金プールを形成することを含む、実施形態B1~B5のいずれかに記載のプロセス。
B7.ステップ(I)での予備酸化が、ステップ(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII)のサイクルを通して転炉を運転して、部分的に酸化されたスタータ合金を調製することを含み、スタータ合金調製サイクルが、
部分的に酸化されたスタータ合金の事前に調製された装入物を坩堝内で溶解して、合金プールを形成することと、
ステップ(V)での酸素含有ガスの注入と同時に、ステップ(IV)で転炉供給物を合金プールに定期的または継続的に供給することと、
酸素含有ガスの注入を継続して、合金プールを部分的に酸化することであって、好ましくは、合金プールに供給される初期装入物および転炉供給物中の鉄の重量に基づいて、初期装入物および転炉供給物中の鉄の10~90パーセント、より好ましくは25~75パーセントが酸化される、部分的に酸化することと、
転炉坩堝からのスラグを、好ましくは複数回、タッピングすることと、
次いで、部分的に酸化された合金プールを回収して固化させることと、
好ましくは、スタータ合金調製サイクルからの固化された部分的に酸化されたコレクタ合金を、同様の複数の転炉運転サイクルおよび/またはスタータ合金調製サイクルのための複数のスタータ合金装入物に分割することと、を含む、実施形態B6に記載のプロセス。
B8.ステップ(I)での予備酸化が、未加工のコレクタ合金の粒子を、800℃よりも高い、例えば好ましくは800℃~950℃の温度で、好ましくは回転式キルンまたは流動床ロースタ内で、酸素含有ガスと接触させることを含む、実施形態B1~B7のいずれかに記載のプロセス。
B9.ステップ(V)での酸素含有ガス注入が、合金プールが、合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される、実施形態B1~B8のいずれかに記載のプロセス。
B10.未加工のコレクタ合金が、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
0.1重量%以上の硫黄、
0.1~3重量%の銅、および
1~20重量%のケイ素を含む、実施形態B1~B9のいずれかに記載のプロセス。
B11.PGM濃縮合金が、
25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGM、
25重量%以上のニッケル、好ましくは25~70重量%のニッケル、
10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄、
10重量%以下の銅、
2重量%以下の硫黄、ならびに
好ましくは2重量%以下のケイ素、および2重量%以下のリンを含む、実施形態B1~B10のいずれかに記載のプロセス。
B12.転炉供給物が、ステップ(I)の少なくとも20重量部の部分的に予備酸化されたコレクタ合金生成物を含む、実施形態B1~Bllのいずれかに記載のプロセス。
B13.初期装入物および転炉供給物が、
(i)合計100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料(好ましくは、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料)と、を含む、実施形態B1~B12のいずれかに記載のプロセス。
B14.
坩堝を耐火材料でライニングすることと、
合金プールを保持している坩堝に、初期装入物および転炉供給物中の100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で、好ましくは100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり18重量部以下、より好ましくは100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり5~15重量部の耐火保護剤の割合で、耐火保護剤を供給することと、をさらに含む、実施形態B1~B13のいずれかに記載のプロセス。
B15.耐火保護剤が、耐火材料と共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む、実施形態B14に記載のプロセス。
B16.初期装入物および転炉供給物が、合計100重量部の未加工のおよび/または部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグをさらに含む、実施形態B1~B15のいずれかに記載のプロセス。
B17.転炉が、
(1)ステップ(III)で、ステップ(I)からの部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を転炉の坩堝内で溶解して、合金プールを形成して、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(2)ステップ(IV)で、合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、任意で、以前の転炉サイクルからの再循環スラグをさらに含み得る、導入するステップと、
(3)ステップ(V)で、鉄の酸化鉄への転換、および合金プール中のPGMの濃縮のために、合金プールに酸素含有ガスを注入するステップと、
(4)ステップ(VI)で、酸化鉄を含むスラグが、合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(5)ステップ(2)および(3)を終了し、低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(6)ステップ(2)、(3)、(4)、および(5)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(5)が、ステップ(3)および(4)の後に続く、繰り返すステップと、
(7)各非最終シーケンスのステップ(6)での低密度層のタッピングの前に、低密度層中で同伴される合金が、酸素含有ガス注入の終了後に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(8)最終シーケンスのステップ(6)での酸素含有ガス注入の終了後に低密度層のタッピングを速やかに開始するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避され、合金が任意で低密度層中で同伴される、速やかに開始するステップと、
(9)転炉サイクルの終了時に、合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む運転サイクルを有する、実施形態B1~B15のいずれかに記載のプロセス。
B18.
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)好ましくは冶金コークスを添加して、一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)ステップ(I)、ステップ(II)、および/またはステップ(IV)で、第1および第2のコレクタ合金が、未加工のコレクタ合金として供給され、
(6)ステップ(d)で転炉から回収されたスラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために二次炉に供給するステップと、をさらに含む、実施形態B1~B16のいずれかに記載のプロセス。
B19.
(A)坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)耐火物でライニングされた坩堝内に溶融合金プールを保持することと、
(C)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着することと、
(D)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、実施形態B1~B17のいずれかに記載のプロセス。
B20.転炉が、回転式転炉を含み、回転式転炉が、
坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムであって、好ましくは合金プールが、耐火ライニングと直接接触する、冷却剤システムと、を含む、実施形態B1~B18のいずれかに記載のプロセス。
スラグ再循環を用いる転炉プロセス
Cl.白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(a)溶融合金プールを保持している転炉の坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む、100重量部のコレクタ合金と、
(ii)100重量部のコレクタ合金当たり約5~100重量部の量の再循環された転炉スラグと、を含む、導入するステップと、
(b)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(c)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(d)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(e)ステップ(d)で回収されたスラグを、ステップ(a)で転炉供給物に再循環させるための第1のスラグ部分と、ステップ(a)に再循環されない第2のスラグ部分と、に分離するステップと、
(f)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップと、のサイクルを含む、プロセス。
C2.1つのサイクルのステップ(e)からの再循環スラグ部分が、後続のサイクルのステップ(a)で再循環された転炉スラグとして供給される、実施形態Clに記載のプロセス。
C3.転炉供給物が、100重量部のコレクタ合金当たり10~50重量部の量の再循環されたスラグを含む、実施形態Clまたは実施形態C2に記載のプロセス。
C4.ステップ(a)での転炉供給物への同時の導入のために、好ましくは単一の供給ユニットから、コレクタ合金および再循環された転炉スラグを組み合わせることをさらに含む、実施形態Cl~C3に記載のプロセス。
C5.ステップ(a)での再循環された転炉スラグ、および/またはステップ(e)での第1のスラグ部分が、ステップ(d)からの回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量、および/または約2重量パーセントを超える酸化ニッケル含有量を有する高品位スラグを含む、実施形態Cl~C4に記載のプロセス。
C6.
ステップ(d)からの回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップをさらに含み、
ステップ(e)での分離が、粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
再循環スラグ部分が、磁気感受性画分を含み、
再循環スラグ部分が、任意で、非磁気感受性画分の一部分を含む、実施形態C5に記載のプロセス。
C7.
(C.l)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続き、
ステップ(e)からの再循環スラグ部分が、磁気感受性にかかわらずステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングから回収されたスラグを含む、繰り返すステップと、
(C.3)ステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングの後に、ステップ(f)で合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、実施形態C6に記載のプロセス。
C8.
(C.l)ステップ(a)~(e)の前に、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を坩堝内で溶解して合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(C.2)次いで、ステップ(e)の前に、ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)のシーケンスを複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(d)が、ステップ(b)および(c)の後に続き、
ステップ(e)からの再循環スラグ部分が、ステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングから回収されたスラグの非磁気感受性画分の全部または一部を含む、繰り返すステップと、
(C.3)ステップ(C.2)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(d)での低密度層の最終タッピングの後に、ステップ(f)で合金プールをタッピングするステップと、をさらに含む、実施形態C6に記載のプロセス。
C9.
(D.1)ステップ(C.2)での最終タッピングに先行する低密度層のタッピングのために、低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層のタッピングの前に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(D.2)酸素含有ガス注入を停止して5分以内に、ステップ(C.2)での最終タッピングを開始するステップと、をさらに含む、実施形態C8に記載のプロセス。
CIO.ステップ(b)での酸素含有ガス注入が、少なくとも1250℃、好ましくは少なくとも1450℃、または1250℃~1800℃、好ましくは1450℃~1700℃の合金プール内の温度を維持するのに十分な割合である、実施形態C1~C9のいずれかに記載のプロセス。
Cll.ステップ(b)での酸素含有ガス注入が、合金プールが、合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される、実施形態Cl~CIOのいずれかに記載のプロセス。
C12.コレクタ合金が、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
0.1重量%以上の硫黄、
0.1~3重量%の銅、および
20重量%以下のケイ素、好ましくは1~20重量%のケイ素を含む、実施形態Cl~Cllのいずれかに記載のプロセス。
C13.PGM濃縮合金が、
25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGM、
25重量%以上のニッケル、好ましくは25~70重量%のニッケル、ならびに
好ましくは、2重量%以下のケイ素、2重量%以下のリン、10重量%以下の銅、および2重量%以下の硫黄を含む、実施形態C12に記載のプロセス。
C14.転炉供給物が、
(i)100重量部のコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料(好ましくは、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料)と、を含む、実施形態C1~C13のいずれかに記載のプロセス。
C15.
坩堝を耐火材料でライニングすることと、
合金プールを保持している坩堝に、転炉供給物中の100重量部のコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で、好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり18重量部以下、より好ましくは100重量部のコレクタ合金当たり5~15重量部の耐火保護剤の割合で、耐火保護剤を供給することであって、耐火保護剤が、耐火材料と共通の成分を含み、好ましくは共通の成分がアルミナを含む、供給することと、をさらに含む、実施形態C1~C14のいずれかに記載のプロセス。
C16.コレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、坩堝への転炉供給物中に導入された100重量部のコレクタ合金のうち、転炉供給物が、少なくとも20重量部の部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含み、好ましくは、部分的な予備酸化が、コレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含み、好ましくは、火炎が、2000℃以上、より好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃の火炎温度を呈する、実施形態C1~C15のいずれかに記載のプロセス。
C17.転炉が、
(1)部分的に予備酸化されたコレクタ合金の装入物を転炉の坩堝内で溶解して、合金プールを形成して、転炉運転サイクルを開始するステップと、
(2)ステップ(a)で、合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するステップであって、転炉供給物が、任意で、以前の転炉サイクルからの再循環スラグをさらに含み得る、導入するステップと、
(3)ステップ(b)で、鉄の酸化鉄への転換、および合金プール中のPGMの濃縮のために、合金プールに酸素含有ガスを注入するステップと、
(4)ステップ(c)で、酸化鉄を含むスラグが、合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(5)ステップ(2)および(3)を終了し、低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収するステップと、
(6)ステップ(2)、(3)、(4)、および(5)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(5)が、ステップ(2)および(3)の後に続く、繰り返すステップと、
(7)各非最終シーケンスのステップ(6)での低密度層のタッピングの前に、低密度層中で同伴される合金が、酸素含有ガス注入の終了後に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(8)最終シーケンスのステップ(6)での酸素含有ガス注入の終了後に低密度層のタッピングを速やかに開始するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避され、合金が任意で低密度層中で同伴される、速やかに開始するステップと、
(9)転炉サイクルの終了時に、合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む運転サイクルを有する、実施形態C1~C16のいずれかに記載のプロセス。
C18.
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)好ましくは冶金コークスを添加して、一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)ステップ(a)での転炉供給物が、第1および第2のコレクタ合金を含んで、
(6)ステップ(e)からの生成物スラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために二次炉に供給するステップと、をさらに含む、実施形態C1~C17のいずれかに記載のプロセス。
C19.
(A)坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)耐火物でライニングされた坩堝内に溶融合金プールを保持することと、
(C)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着することと、
(D)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、実施形態C1~C18のいずれかに記載のプロセス。
C20 転炉が、回転式転炉を含み、回転式転炉が、
坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムであって、好ましくは合金プールが、耐火ライニングと直接接触する、冷却剤システムと、を含む、実施形態C1~C19のいずれかに記載のプロセス。
段階的なスラグタッピングを用いる転炉プロセス
Dl.白金族金属(PGM)コレクタ合金を転換するためのプロセスであって、
(I)転炉の坩堝内でコレクタ合金の初期装入物を溶解して、合金プールを形成して、転炉サイクルを開始するステップと、
(II)合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するステップと、
(III)酸素含有ガスを合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮するステップであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮するステップと、
(IV)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にするステップと、
(V)ステップ(II)および(III)を終了し、低密度層をタッピングして転炉からスラグを回収するステップと、
(VI)ステップ(II)、(III)、(IV)、および(V)のシーケンスを、1つ以上の非最終シーケンスおよび最終シーケンスを含めて複数回繰り返すステップであって、各シーケンスのステップ(V)が、ステップ(III)および(IV)の後に続く、繰り返すステップと、
(VII)各非最終シーケンスのステップ(V)での低密度層のタッピングの前に、低密度層中で同伴される合金が、酸素含有ガス注入の終了後に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(VIII)最終シーケンスのステップ(V)での酸素含有ガス注入の終了後に低密度層のタッピングを速やかに開始するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、速やかに開始するステップと、
(IX)転炉サイクルの終了時に、合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収するステップであって、坩堝内の合金プールの固化が回避される、回収するステップと、を含む、プロセス。
D2.酸素含有ガス注入の終了と低密度層タッピングの開始との間のステップ(VII)での経過時間が、5分以上である、実施形態D1に記載のプロセス。
D3.酸素含有ガス注入の終了と低密度層タッピングの開始との間のステップ(VIII)での経過時間が、5分以下である、実施形態D1または実施形態D2に記載のプロセス。
D4.ステップ(VIII)でタッピングされた低密度層中の合金を同伴することをさらに含む、実施形態D1~D3のいずれかに記載のプロセス。
D5.
(X)ステップ(V)からの回収されたスラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップと、
(XI)ステップ(V)からの回収されたスラグを、後続の転炉サイクルのステップ(II)での転炉供給物への再循環のためのスラグ部分と、再循環されないスラグ部分と、に分離するステップと、をさらに含む、実施形態D1~D4のいずれかに記載のプロセス。
D6.ステップ(II)での転炉供給物が、100重量部のコレクタ合金当たり5~100重量部、好ましくは10~50重量部の量の再循環されたスラグを含む、実施形態D5に記載のプロセス。
D7.ステップ(II)への再循環スラグが、ステップ(V)からの回収されたスラグの平均の全PGM含有量よりも高いPGM含有量を有する高品位スラグを含み、好ましくは、高品位スラグが、1000ppmを超えるPGMを含み、再循環されないスラグ部分が、1000ppm未満のPGMを含む、実施形態D5または実施形態D6に記載のプロセス。
D8.
ステップ(XI)での分離が、粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
再循環スラグ部分が、磁気感受性画分を含み、
再循環スラグ部分が、任意で、非磁気感受性画分の一部分をさらに含む、ことをさらに含む、実施形態D5~D7のいずれかに記載のプロセス。
D9.再循環スラグ部分が、最終シーケンスのステップ(VIII)から回収されたスラグからの非磁気感受性画分をさらに含む、実施形態D8に記載のプロセス。
D10.再循環スラグ部分が、磁気感受性にかかわらず、最終シーケンスのステップ(VIII)から回収されたスラグを含む、実施形態D5~D9のいずれかに記載のプロセス。
Dll.ステップ(III)での酸素含有ガス注入が、合金プールが、合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される、実施形態D1~D10のいずれかに記載のプロセス。
D12.コレクタ合金が、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含み、好ましくはコレクタ合金が、
40~80重量%の鉄、
1~15重量%のニッケル、
0.1重量%以上の硫黄、
0.1~3重量%の銅、および/または
20重量%以下のケイ素、好ましくは1~20重量%のケイ素を含む、実施形態Dl~Dllのいずれかに記載のプロセス。
D13.PGM濃縮合金が、
25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGM、
25重量%以上のニッケル、好ましくは25~70重量%のニッケル、
10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄、ならびに
好ましくは、2重量%以下のケイ素、2重量%以下のリン、10重量%以下の銅、および2重量%以下の硫黄を含む、実施形態D12に記載のプロセス。
D14.転炉供給物が、
(i)合計100重量部のコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料(好ましくは、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料)と、を含む、実施形態D1~D13のいずれかに記載のプロセス。
D15.
坩堝を耐火材料でライニングすることと、
合金プールを保持している坩堝に、転炉供給物中の合計100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり最大20重量部の耐火保護剤の割合で、好ましくは合計100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり18重量部以下、より好ましくは合計100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり5~15重量部の耐火保護剤の割合で、耐火保護剤を供給することと、をさらに含み、好ましくは耐火保護剤が、耐火材料と共通の成分を含み、好ましくは共通の成分が、アルミナを含む、実施形態D1~D14のいずれかに記載のプロセス。
D16.コレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、初期装入物、転炉供給物、またはその両方が、部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含み、好ましくは、部分的な予備酸化が、未加工のコレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含み、好ましくは、火炎が、2000℃以上、より好ましくは2000℃~3500℃、特に2000℃~2800℃の火炎温度を呈する、実施形態D1~D15のいずれかに記載のプロセス。
D17.初期装入物および/または転炉供給物が、それぞれ、20~100重量部の量の部分的に予備酸化されたコレクタ合金と、初期装入物および/または転炉供給物中の合計100重量部の未加工のコレクタ合金および部分的に予備酸化されたコレクタ合金当たり0~80重量部の量の未加工のコレクタ合金と、を含む、実施形態D16に記載のプロセス。
D18.
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)好ましくは冶金コークスを添加して、一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)初期装入物および/または転炉供給物が、第1および第2のコレクタ合金を含んで、
(6)ステップ(d)で転炉から回収されたスラグの少なくとも一部分を、ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために二次炉に供給するステップと、をさらに含む、実施形態D1~D17のいずれかに記載のプロセス。
D19.
(A)坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)耐火物でライニングされた坩堝内に溶融合金プールを保持することと、
(C)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着することと、
(D)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することであって、好ましくは合金プールが、耐火ライニングと直接接触する、除去することと、をさらに含む、実施形態D1~D18のいずれかに記載のプロセス。
D20.転炉が、回転式転炉を含み、回転式転炉が、
坩堝が、長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝を含んで、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムであって、好ましくは合金プールが、耐火ライニングと直接接触する、冷却剤システムと、を含む、実施形態D1~D19のいずれかに記載のプロセス。
PGM回収および濃縮のための統合された転炉プロセス
El.PGMを回収および濃縮するためのプロセスであって、
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)第1および第2のコレクタ合金を転炉内で転換して、PGM濃縮合金および転炉スラグを回収することと、
(6)ステップ(5)で転炉から回収された転炉スラグを、第1および第2の転炉スラグ部分に分離するステップと、
(7)ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために、第1の転炉スラグ部分を二次炉に供給するステップと、を含むプロセスを提供する。
E2.第2の転炉スラグ部分を、合計100重量部の第1および第2のコレクタ合金当たり約5~100重量部の第2の転炉スラグ部分の量の転炉への供給物に供給することをさらに含む、実施形態Elに記載のプロセス。
E3.第2の転炉スラグ部分が、第1の転炉スラグ部分よりも高いPGM含有量を有する高品位スラグを含み、好ましくは第2の転炉スラグ部分が、1000ppm以上のPGMを含む、実施形態E2に記載のプロセス。
E4.
ステップ(5)から回収された転炉スラグを冷却し、固化させ、および粉砕するステップをさらに含み、
ステップ(6)での分離が、粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
第2の転炉スラグ部分が、磁気感受性画分を含み、
第2の転炉スラグ部分が、任意で、非磁気感受性画分の一部分を含む、実施形態E3に記載のプロセス。
E5.ステップ(5)での転換が、
(a)任意で部分的に予備酸化されたコレクタ合金を転炉の坩堝内で溶解して、坩堝内に保持される合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始することと、
(b)転炉供給物を坩堝に導入することと、
(c)酸素含有ガスを合金プールに注入して、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮することであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガス注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮することと、
(d)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(e)転炉供給物導入および酸素含有ガス注入を停止し、低密度層をタッピングして転炉からスラグを回収することと、
(f)ステップ(b)、(c)、および(e)のシーケンスを複数回繰り返すことであって、各シーケンスのステップ(e)が、ステップ(b)および(c)の後に続き、ステップ(6)からの第2の転炉スラグ部分が、磁気感受性にかかわらず、シーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での低密度層の最終タッピングから回収された転炉スラグを含む、繰り返すことと、
(g)ステップ(f)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での低密度層の最終タッピングの後に、合金プールをタッピングすることと、を含む、実施形態E4に記載のプロセス。
E6.ステップ(6)からの第2の転炉スラグ部分が、ステップ(f)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での低密度層の最終タッピングから回収されたスラグの非磁気感受性画分の全部または一部を含む、実施形態E5に記載のプロセス。
E7.
(D.l)ステップ(f)での非最終シーケンスで、低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層のタッピングの前に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にするステップと、
(D.2)ステップ(f)での最終シーケンスで、酸素含有ガス注入を停止して5分以内に、ステップ(e)での最終タッピングを開始するステップと、をさらに含む、実施形態E5に記載のプロセス。
E8.第1の転炉スラグ部分が、1000ppm未満のPGMを含み、第2の転炉スラグ部分が、1000ppmを超えるPGMを含む、実施形態E2に記載のプロセス。
E9.転炉の坩堝が、耐火材料でライニングされており、ステップ(2)からの一次炉スラグの一部分を耐火保護剤として坩堝に供給することをさらに含む、実施形態E1~E8のいずれかに記載のプロセス。
E10.耐火保護剤が、転炉に供給される100重量部の合計の第1および第2のコレクタ合金当たり20重量部以下の一次炉合スラグ、好ましくは、転炉に供給される100重量部の合計の第1および第2のコレクタ合金当たり18重量部の一次炉スラグ、より好ましくは、転炉に供給される100重量部の合計の第1および第2のコレクタ合金当たり5~15重量部の一次炉合スラグを含む、実施形態E9に記載のプロセス。
Ell.ステップ(5)での転換が、転炉の坩堝内の合金プールが、合金プールの総重量に基づいて、約10重量%以下の鉄、好ましくは5重量%以下の鉄を含むまで継続される、実施形態E1~E10のいずれかに記載のプロセス。
E12.転炉に供給される第1および第2のコレクタ合金が、
0.5~12重量%のPGM、
40重量%以上の鉄、好ましくは40~80重量%の鉄、
0.5重量%以上のニッケル、好ましくは1~15重量%のニッケル、
3重量%以下の硫黄、好ましくは0.1重量%以上の硫黄、
3重量%以下の銅、好ましくは0.1~3重量%の銅、および
好ましくは20重量%以下のケイ素、より好ましくは1~20重量%のケイ素を含む、実施形態Ellに記載のプロセス。
E13.ステップ(5)から回収されたPGM濃縮合金が、
25重量%以上のPGM、好ましくは25~60重量%のPGM、
25重量%以上のニッケル、好ましくは25~70重量%のニッケル、ならびに
好ましくは、2重量%以下のケイ素、5重量%以下のリン、10重量%以下の銅、および2重量%以下の硫黄を含む、実施形態E12に記載のプロセス。
E14.転炉への供給物が、
(i)合計100重量部の第1および第2のコレクタ合金と、
(ii)20重量部未満の添加フラックス材料であって、添加フラックス材料の重量に対して、10重量%以上のシリカならびに/または10重量%以上の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、もしくは酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの組み合わせを含む20重量部未満の添加フラックス材料(好ましくは、シリカ、酸化カルシウム、または酸化マグネシウム含有量にかかわらず、20重量部未満(より好ましくは18重量部未満、さらにより好ましくは15重量部未満)の任意の添加フラックス材料)と、を含む、実施形態E1~E13のいずれかに記載のプロセス。
E15.第1および/または第2のコレクタ合金の少なくとも一部分を未加工の状態から部分的に予備酸化することをさらに含み、転炉への供給物が、100重量部の総転炉供給量当たり、少なくとも20重量部の部分的に予備酸化されたコレクタ合金を含む、実施形態E1~E14のいずれかに記載のプロセス。
E16.部分的な予備酸化が、コレクタ合金の粒子を酸素リッチの火炎に通過させることを含む、実施形態E15に記載のプロセス。
E17.火炎が、2000℃以上、好ましくは2000℃~3500℃、より好ましくは2000℃~2800℃の火炎温度を呈する、実施形態E16に記載のプロセス。
E18.
(A)転炉の坩堝を耐火物でライニングすることと、
(B)耐火物でライニングされた坩堝内に溶融合金プールを保持することと、
(C)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着することと、
(D)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することと、をさらに含む、実施形態E1~E17のいずれかに記載のプロセス。
E19.転炉が、回転式転炉を含み、回転式転炉が、
長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した坩堝と、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させるための、かつ耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムと、を含む、実施形態E1~E13のいずれかに記載のプロセス。
E20.PGMを回収および濃縮するためのプロセスであって、
(1)触媒材料を(好ましくは非転換の)一次炉内で製錬するステップと、
(2)一次炉から一次炉スラグおよび第1のコレクタ合金を回収するステップと、
(3)一次炉スラグを(好ましくは非転換の)二次炉内で製錬するステップと、
(4)二次炉から二次炉スラグおよび第2のコレクタ合金を回収するステップと、
(5)第1および第2のコレクタ合金を転炉内で転換して、PGM濃縮合金およびスラグを回収するステップであって、転換が、
(a)転炉の坩堝内で(好ましくは部分的に予備酸化された)コレクタ合金を溶融して、坩堝内に保持される合金プールを形成することによって、転炉運転サイクルを開始することと、
(b)合金プールを保持している坩堝に転炉供給物を導入することと、
(c)酸素含有ガスを合金プールに注入して、鉄を酸化鉄に転換し、かつ合金プール中のPGMを濃縮することであって、転炉供給物の導入、および酸素含有ガス注入が、少なくとも部分的に同時である、転換し、かつ濃縮することと、
(d)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(e)転炉供給物導入および酸素含有ガス注入を停止し、低密度層をタッピングして転炉からスラグを回収することと、
(f)ステップ(b)、(c)、および(e)のシーケンスを複数回繰り返すことであって、各シーケンスのステップ(e)が、ステップ(b)および(c)の後に続く、繰り返すことと、
(g)ステップ(f)での非最終シーケンスで、低密度層中で同伴される合金が、それぞれの低密度層のタッピングの前に合金プール内に実質的に沈殿することを可能にすることと、
(h)ステップ(f)での最終シーケンスで、酸素含有ガス注入を停止して5分以内に、ステップ(e)での最終タッピングを開始することと、
(i)ステップ(f)のシーケンスの最後のシーケンスのステップ(e)での低密度層の最終タッピングの後に、合金プールをタッピングすることと、を含む、回収するステップと、
(6)ステップ(5)で転炉から回収された転炉スラグを、第1および第2の転炉スラグ部分に分離するステップであって、第2の転炉スラグ部分が、第1の転炉スラグ部分よりも高い平均のPGM含有量を含み、分離が、
(A)ステップ(5)から回収された転炉スラグを冷却し、固化させ、および粉砕すること、
(B)粉砕されたスラグを磁気感受性画分および非磁気感受性画分に磁気的に分離することを含み、
(C)第2の転炉スラグ部分が、磁気感受性画分と、最終スラグタッピングから取得された非磁気感受性画分の少なくとも一部分と、を含み、
(D)第1の転炉スラグ部分が、非磁気感受性画分の少なくとも一部分を含む、分離するステップと、
(7)ステップ(3)で一次炉スラグとともに製錬するために、第1の転炉スラグ部分を二次炉に供給するステップと、
(8)第2の転炉スラグ部分を、第1および第2のコレクタ合金とともに転炉に供給するステップと、
(9)ステップ(2)から一次炉スラグの一部分を、合金プールを保持している坩堝に供給するステップと、を含む、プロセス。
ジャケット装着PGM濃縮転炉
FI.回転式転炉であって、
長手方向軸を中心に回転するために取り付けられた傾斜した転炉坩堝と、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入するための、坩堝の上部の開口部と、
合金プールに酸素含有ガスを注入するためのランスと、
耐火ライニングに隣接する、坩堝の熱伝達ジャケットと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去するための冷却剤システムと、を含む、回転式転炉。
F2.坩堝からスラグおよび合金を回収するためのタップをさらに含む、実施形態F1に記載の回転式転炉。
F3.合金プール内の温度を1250℃~1800℃に維持するために冷却剤供給および酸素含有ガス噴射を調整するための制御システムをさらに含む、実施形態F1または実施形態F2に記載の回転式転炉。
F4.制御システムが、1450℃以上、好ましくは1450℃~1700℃の温度を維持する、実施形態F3に記載の回転式転炉。
F5.冷却剤が、水性、例えば水または水およびグリコールである、実施形態F3または実施形態F4に記載の回転式転炉。
F6.
坩堝の回転を駆動するためのシャフトおよびモータと、
熱伝達媒体を、シャフトを通して、ジャケットに供給し、ジャケットから戻すための回転式カップリングと、をさらに含む、実施形態F1~F5のいずれかに記載の回転式転炉。
F7.温度感知情報を含む信号を受信機に送信するための1つ以上の送信機と通信する、耐火ライニングに半径方向に離間して取り付けられた温度センサをさらに含む、実施形態F1~F6のいずれかに記載の回転式転炉。
F8.温度センサが、坩堝の金属壁に隣接して取り付けられている、実施形態F7に記載の回転式転炉。
F9.1つ以上の送信機が、坩堝の外部に取り付けられており、信号を受信機に無線で送信する、実施形態F7または実施形態F8に記載の回転式転炉。
F10.坩堝内の開口部に隣接するヒュームフードをさらに含む、実施形態F1~F9のいずれかに記載の回転式転炉。
F11.坩堝の開口部に隣接する水冷式熱シールドをさらに含む、実施形態F1~F10のいずれかに記載の回転式転炉。
FI2.坩堝を加熱するためのバーナをさらに含む、実施形態F1~Fllのいずれかに記載の回転式転炉。
F13.バーナが、水冷式酸素バーナである、実施形態Fl2に記載の回転式転炉。
FI4.バーナが、バーナの火炎に転炉供給物を導入するためのシュートを含む、実施形態F12または実施形態FI3に記載の回転式転炉。
FI5.耐火ライニングが、アルミナベースのラミング耐火物を含む、実施形態FI~FI4のいずれかに記載の回転式転炉。
FI6.開口部を通して坩堝に転炉供給物を供給するための供給システムをさらに含む、実施形態FI~FI5のいずれかに記載の回転式転炉。
FI7.供給システムが、ホッパおよび振動フィーダを含む、実施形態FI6に記載の回転式転炉。
FI8.回転式転炉が、供給システム内の転炉供給物の装入物をさらに含む、実施形態FI6または実施形態FI7に記載の回転式転炉。
FI9.転炉供給物が、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含むコレクタ合金を含む、実施形態FI8に記載の回転式転炉。
F20.転炉供給物が、再循環された転炉スラグ、耐火ライニングと共通の成分を含む耐火保護剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態FI9に記載の回転式転炉。
F21.転換プロセスであって、
(a)回転式転炉の坩堝を耐火物でライニングすることと、
(b)坩堝内に溶融合金プール(好ましくはニッケルを含む)を保持することと、
(c)合金プールを有する坩堝に転炉供給物を導入することであって、転炉供給物が、鉄を含むPGMコレクタ合金(好ましくは、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含む)を含む、導入することと、
(d)酸素含有ガスを合金プールに注入して、合金プール内の温度を1250℃~1800℃(好ましくは少なくとも1450℃)に維持し、コレクタ合金からの鉄を酸化鉄に転換し、合金プール中のPGMを濃縮する(好ましくは、転炉供給物の導入、および酸素含有ガスの注入が、少なくとも部分的に同時である)ことと、
(e)耐火ライニングに隣接して坩堝にジャケットを装着することと、
(f)ジャケットを通して冷却剤を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することと、
(g)酸化鉄を含むスラグが合金プールの上方の低密度層に集まることを可能にすることと、
(h)低密度層をタッピングして、転炉からスラグを回収することと、
(i)合金プールをタッピングして、PGM濃縮合金を回収することと、を含む、プロセス。
F22.耐火ライニングの温度を監視することをさらに含む、実施形態F21に記載のプロセス。
F23.耐火ライニングに取り付けられた1つ以上のセンサで耐火ライニング内の温度を感知することと、1つ以上のセンサからの温度感知情報を1つ以上の送信機に伝達することと、温度感知情報を含む信号を1つ以上の送信機から受信機に送信することとをさらに含む、実施形態F22に記載のプロセス。
F24.1つ以上の送信機が、坩堝の外部に取り付けられており、信号を受信機に無線で送信する、実施形態F23に記載のプロセス。
F25.坩堝を回転させることと、回転式カップリングを介して冷却剤を、ジャケットに供給し、およびジャケットから戻すことと、をさらに含む、実施形態F21~F24のいずれかに記載のプロセス。
F26.ステップ(h)で回収された転炉スラグを、ステップ(c)での転炉供給物に再循環させことをさらに含む、実施形態F21~F25に記載のプロセス。
F27.転換処理であって、
実施形態FI~F20のいずれかに記載の回転式転炉の坩堝に溶融合金プールを保持することと、
坩堝の上部の開口部を通して合金プールに転炉供給物を導入することと、
溶融合金プールを保持するための、坩堝の耐火ライニングと、
ランスを通して合金プールに酸素含有ガスを注入することと、
ジャケットを通して熱伝達媒体を循環させて、耐火ライニングと熱連通した合金プールから熱を除去することと、
坩堝からスラグおよび合金を回収することと、を含む、プロセス。
F28.熱伝達媒体循環および酸素含有ガス注入を調整して、合金プール内の温度を1250℃~1800℃、好ましくは1450℃~1700℃に維持することをさらに含む、実施形態F27に記載のプロセス。
F29.
シャフトおよびモータを使用して、坩堝の回転を駆動することと、
熱伝達媒体を、回転式カップリングを介してシャフトを通してジャケットに供給し、およびジャケットからシャフトを通して熱伝達媒体を戻すことと、を含む、をさらに含む、実施形態F27または実施形態F28に記載のプロセス。
F30.耐火ライニング内に、1つ以上の送信機と通信する半径方向に離間した温度センサを取り付けることと、温度感知情報を含む信号を1つ以上の送信機から受信機に送信することと、をさらに含む、実施形態F27~F29のいずれかに記載のプロセス。
F31.温度センサが、坩堝の金属壁に隣接して取り付けられている、実施形態F30に記載のプロセス。
F32.1つ以上の送信機が、坩堝の外部に取り付けられており、信号を受信機に無線で送信する、実施形態F30または実施形態F31に記載のプロセス。
F33.坩堝内の開口部に隣接してヒュームフードおよび水冷式熱シールドを配設することをさらに含む、実施形態F27~F32のいずれかに記載のプロセス。
F34.坩堝をバーナで加熱することをさらに含み、好ましくはバーナが、水冷式酸素バーナである、実施形態F27~F33のいずれかに記載のプロセス。
F35.転炉供給物を、シュートを通してバーナの火炎に導入することをさらに含む、実施形態F34に記載のプロセス。
F36.耐火ライニングが、アルミナベースのラミング耐火物を含む、実施形態F27~F35のいずれかに記載のプロセス。
F37.坩堝への開口部を通して、好ましくはホッパおよび振動フィーダを含む、供給システムから、転炉供給物を供給することをさらに含む、実施形態F27~F36のいずれかに記載のプロセス。
F38.供給システム内に転炉供給物の装入物を装填することをさらに含む、実施形態F37に記載のプロセス。
F39.転炉供給物が、コレクタ合金であって、コレクタ合金の総重量に基づいて、0.5重量%以上のPGM、40重量%以上の鉄、0.5重量%以上のニッケル、3重量%以下の硫黄、および3重量%以下の銅を含むコレクタ合金を含む、実施形態F38に記載のプロセス。
F40.転炉供給物が、再循環された転炉スラグ、好ましくは1000重量ppm以上のPGMを含む高品位スラグをさらに含む、実施形態F39に記載のプロセス。
【実施例】
【0127】
以下の実施例では、
図8によるプロセス200を使用した。触媒材料202を、変圧器の定格が180Vの二次電圧および2700Aの二次電流で1.2MVAである、公称容量907kg/h(1tph)を有する電気アーク炉204で製錬した。主にアルミノケイ酸塩を含むスラグ205を、炉204から回収し、グラニューレータ206内の水中で粒状化し、回転式キルン208内で乾燥し、バッグ充填ステーション210内で再パッケージした。PGMコレクタ合金211をモールド212に流し込み、固化させ、クラッシャ214で-4メッシュ(-3/16インチ)にクラッシングした。
【0128】
一次炉204からの乾燥したスラグ210を、変圧器の定格が180Vの二次電圧および2700Aの二次電流で1.2MVAである、公称容量907kg/h(1tph)を有する第2の仕上げ電気アーク炉218で製錬した。炉218から回収されたスラグ219を、グラニューレータ220内で粒状化し、ステップ222で、例えば骨材としての、適切な用途のために再循環した。二次炉218からのPGMコレクタ合金223を、モールド224内に流し込み、固化させ、クラッシャ214内で-1.9cm(3/4インチ)にクラッシングした。
【0129】
部分的に予備酸化されたPGMコレクタ合金184の装入物を、実施例に記載されるように、コレクタ合金211および/または223から調製した。予め酸化された合金184を、アルミナベースのラミング耐火物でライニングされた水冷式TBRC227の坩堝232内に配置し、ガスバーナ228で少なくとも1450℃の温度まで溶解した。予備酸化された合金プールは、合金プールの表面下に酸素を注入するのに十分であり、概して、坩堝232の利用可能な体積の約10~20%を充填たした。一次炉204からのアルミノケイ酸塩スラグ210の一部分を、各酸素注入サイクルの開始時に、耐火保護剤233として合金プールの上に配置した。別段の定めがない限り、各TBRC運転サイクルに使用される保護剤233の総量は、60~80kg(132~176ポンド)であり、酸素注入サイクル間で、例えば、初期合金プール溶解および各非最終スラグタッピング後に割り当てられた。
【0130】
坩堝232を回転させながら、バーナ228を遮断し、冷却水をTBRCジャケットを通して循環させながら、合金プールの固化を回避するのに十分な温度を維持する割合であるが、合金プール内の温度を1700℃以下、例えば1450℃~1700℃に維持するのに十分な割合で、ランス229を使用して酸素234を合金プールに注入した。別段の断りがない限り、酸素注入割合は、58Nm3/h(36SCFM)であった。ホッパ225内に配置されていた、炉204、218(別段の断りがない限り、966kg)からのPGMコレクタ合金211、223、およびスラグ254、258(別段の断りがない限り、359kg)を、別段の断りがない限り、スラグタッピング中に停止した場合を除き、概ね210kg/hの定常割合で、振動フィーダ226を介して坩堝232に供給した。スラグが形成されるにつれて坩堝232が充填され、坩堝232への供給物によって合金プールが成長した。坩堝232の体積が十分に充填されると、坩堝回転、酸素注入、および合金供給を停止した。スラグ層からの相分離および合金の脱同伴を可能にするために数分間待った後、合金相の上部上にいくらかのスラグを残す誤差を持たせて、合金相のいずれかをタッピングしないように配慮しながら、坩堝232を傾けることによってモールド244内にスラグ242をタップした。
【0131】
次いで、残りの合金プールへの酸素注入および合金供給を、坩堝232が再び充填されるまで再開し、スラグ242を上述のようにタッピングした。合金プールがタッピングのために所望の体積に成長するまで、サイクルを数回繰り返した。合金をタッピングする直前の最終スラグタッピングを、酸素注入およびコレクタ合金供給を停止した後に速やかに実行し、スラグ中での合金同伴の誤差を持たせて、スラグ242の実質的にすべてをタッピングするように配慮した。次いで、PGM濃縮合金245をインゴットモールド246内にタッピングし、冷却し、および固化させた。
【0132】
スラグモールド244を冷却した後、固化スラグ248を、スラグクラッシャ250および磁気セパレータ252を通して供給した。最終スラグタッピングおよびより早期のタッピングからの非磁気画分を、それぞれ、コンテナ254および256内に選別した。非磁気画分256を、一次炉からのスラグ210とともに二次炉218内で製錬した。転炉スラグの全部からの磁気画分258、および最終スラグタッピングからの非磁気画分254を、後続のTBRCバッチのためにコレクタ合金211および/または223とともに供給ホッパ225内に配置した。最終スラグタッピングの全体が磁気セパレータ252をバイパスしてホッパ238内に直接配置されたとした場合、同じ結果が得られたであろう。以下に報告されるアッセイを、誘導結合プラズマ分光法(ICP)およびデスクトップX線蛍光(XRF)の組み合わせを使用して決定した。別段の断りがない限り、以下では典型的なアッセイを報告する。
【0133】
実施例1:一次炉内での触媒材料の製錬.この実施例では、自動車触媒コンバータからの触媒材料は、電気アーク炉204内で製錬される。炉204への供給物の総重量に基づいて、供給物中に少なくとも1重量%の最少鉄含有量を提供するために、必要に応じて酸化鉄を添加する。2.5重量%の量の石灰(CaO)を添加する。製錬後、72.5トンのスラグおよび2500kgのコレクタ合金が、典型的に、回収され、冷却され、および固化される。コレクタ合金およびスラグは、表1および2に提示される以下の典型的なアッセイを有する。
【0134】
実施例2:二次炉内でのスラグの製錬.この実施例では、99.79トン(1101)の一次炉204からの実施例1のスラグ、および9979kg(111)の実施例5からの非磁気転炉スラグ256(以下の表13)を、炉218内で製錬する。0.5重量%の量の冶金品位のコークスを添加する。製錬後、104.33トン(115t)のスラグ、および3000kgのコレクタ合金を回収し、冷却し、固化する。コレクタ合金およびスラグは、表3および4に提示される典型的なアッセイを有する。
【0135】
実施例3:コレクタ合金の予備酸化-スタータ合金.この実施例では、以前のスタータ合金調製サイクルからの150kgのスタータ合金をTBRC内に装填し、バーナ228を使用して30分後に溶解した。開始スタータ合金は、表5に示される典型的なアッセイを有する。実施例1(表1)からのコレクタ合金(1250kg)、再循環スラグ(200kg、または100のコレクタ合金当たり[200/(150+1250)]*100=14.2部の再循環スラグ)、および耐火保護剤(100kg、または100のコレクタ合金当たり[100/(150+1250)]*100=7.1部の再循環スラグ)を、TBRCに供給した。耐火保護剤は、実施例1(表2)からの炉スラグであった。再循環スラグは、表6に示されるような典型的なアッセイを有する。
【0136】
転換中の酸素注入割合は、37Nm3/h 23SCFM)であり、数分間待って合金の脱同伴を可能にした後、スラグを数回タッピングした。最終スラグタッピングを同じように行ったが、これは、合金のスラグ汚染が最小限に抑えられたPGM濃縮合金生成物を製造するために、通常の転炉サイクルとは異なることに留意されたい。44%の酸化に対応する6時間の酸素注入の後、後続のTBRC転換サイクルでのスタータ合金として使用するために、合金をタッピングし、固化させ、クラッシングした。生成物のスタータ合金は、表7に示されるような典型的なアッセイを有する。
【0137】
実施例4:スタータ合金を用いた転換.この実施例では、実施例3から製造された158kgのスタータ合金(表7)を、TBRC内に装填し、バーナ228を使用して30分後に溶解した。転炉供給物を、実施例1(表1)からのコレクタ合金(966kg)、および実施例3(表6)で使用された再循環スラグ(358kg、または100のコレクタ合金当たり[358/(158+966)]*100=32部の再循環スラグ)で構成した。TBRCに供給された耐火保護剤(60kg)は、実施例1(表1)からの炉スラグ、または100のコレクタ合金当たり[60/(158+966)]*100=5.3部の保護剤であった。転換中の酸素注入割合は、37Nm3/h(23SCFM)であり、毎回数分間待って合金の脱同伴を可能にした後、必要に応じてスラグを数回タッピングした。最終スラグタッピングを、完全な合金の脱同伴を待たずに酸素注入を停止して5分以内に開始した。99%の鉄転換に対応する10時間の酸素注入後、合金をタッピングし、インゴットに形成した。PGM濃縮合金(247.45kg)は、表8に示されるような典型的なアッセイを有する。
【0138】
スラグタッピングを冷却し、固化させ、クラッシングし、ミリングし、および磁気的に分離した。磁気感受性画分を収集し、後続の転換サイクルで再循環スラグとして使用するために、最終スラグタッピングの非磁気画分と組み合わせた(合計354kg)。非最終スラグタッピングの非磁気画分を、実施例2と同様に、二次炉内での製錬のために収集した(合計1963kg)。再循環スラグおよび製錬スラグは、表9および10に示される典型的なアッセイを有する。
【0139】
この実施例は、以前のサイクルからの再循環転炉スラグおよび一次炉スラグのみを耐火保護剤として使用して、大量の添加フラックス材料なしに高い酸素注入割合でPGMコレクタ合金を濃縮することができることを示している。この実施例は、TBRCサイクル運転時間を低減し、かつPGM濃縮を改善するための、部分的に予備酸化されたスタータ合金の使用を実証している。この実施例はまた、水冷式ジャケット装着TBRCを使用してPGMコレクタ合金を転換することの実現可能性を実証している。
【0140】
実施例5:予備酸化されたコレクタ合金の火炎を用いた転換.この実施例では、バーナ228を使用して590kgのコレクタ合金火炎を予備酸化した。コレクタ合金を、夜間シフト中の予備酸化のためにホッパ内に装填した。2つのバーナ組立体228を、2000℃を超える火炎温度を生成するために、20%過剰の酸素を用いて、各々0.48MMBtu/h(合計0.96MMBtu/h)に設定した。コレクタ合金を、
図2Cに示されるものと同様の装置を使用してTBRCに供給し、これにより、粒子が火炎を通過してTBRC内に落下し、耐火物上にコーティングを形成するようにした。翌朝、バーナの燃焼量を合計1.1MMBtu/hに増加させることによって、予備酸化されたコレクタ合金を30分後に溶解した。
【0141】
次に、転炉供給物を、実施例1(表1)のコレクタ合金(700kg)、および実施例4(表9)から製造された再循環スラグ(416kg、または100のコレクタ合金当たり[416/(590+700)]*100=32部の再循環スラグ)で構成した。耐火保護剤(80kg)は、実施例1(表2)からの炉スラグ、または100のコレクタ合金当たり[80/(590+700)]*100=6.2部の保護剤であった。転換中の酸素注入割合は、46Nm3/h(29SCFM)であり、毎回数分間待って合金の脱同伴を可能にした後、必要に応じてスラグを数回タッピングした。最終スラグタッピングを、完全な合金の脱同伴を待たずに酸素注入を停止して5分以内に開始した。99%の鉄転換に対応する9時間の酸素注入後、合金をタッピングし、インゴットに形成した。PGM濃縮合金(218.71kg)は、表11に示されるような典型的なアッセイを有する。
【0142】
スラグタッピングを冷却し、固化させ、クラッシングし、ミリングし、および磁気的に分離した。磁気感受性画分を収集し、後続の転換サイクルで再循環スラグとして使用するために、最終スラグタッピングの非磁気画分と組み合わせた(合計588kg)。非最終スラグタッピングの非磁気画分を、二次炉での製錬(実施例2を参照)のために収集した(合計1772kg)。再循環スラグおよび製錬スラグは、表12および13に示される典型的なアッセイを有する。
【0143】
この実施例は、実施例4と比較して、コレクタ合金の火炎酸化による部分的な予備酸化が、より高い酸素注入割合およびより短いサイクル時間でより多くの量のコレクタ合金をTBRCで処理して、より高い純度の濃縮PGM合金を取得できるようにすることを示している。
【0144】
いくつかの例示的な実施形態のみを上述してきたが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態では多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのようなすべての修正は、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内に含まれることが意図される。本明細書の特許請求の範囲のうちのいずれの限定についても、特許請求の範囲が、関連する機能とともに、かつ構造のいかなる記述もなく、「のための手段」という語を明示的に使用するものを除き、米国特許法第112条(f)を想起させないことが、出願人の明示的な意図である。優先権文書は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0145】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】