(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】防犯装置
(51)【国際特許分類】
E05B 17/20 20060101AFI20230704BHJP
A47B 57/10 20060101ALI20230704BHJP
A47B 57/22 20060101ALI20230704BHJP
A47B 57/48 20060101ALI20230704BHJP
A47B 81/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
E05B17/20 D
A47B57/10
A47B57/22
A47B57/48 B
A47B81/00 F
(21)【出願番号】P 2022021690
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507122537
【氏名又は名称】株式会社日本リフレッシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】坪 則雄
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-16280(JP,A)
【文献】特開2005-155295(JP,A)
【文献】特開2014-55416(JP,A)
【文献】特開平6-58026(JP,A)
【文献】登録実用新案第3097961(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
A47B 1/00-97/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内と屋外を連通する開口を形成する周囲枠の内部に装着された屋内側扉および屋外側扉の2枚の扉からなる引き扉の扉錠のための防犯装置であって、
前記防犯装置は、前記周囲枠の、閉状態の前記屋外側扉の位置に相当する位置に嵌め込まれる枠体を備え、この枠体は、前記屋外側扉の一対の垂直枠の間の間隔に対応した間隔か、それより狭い所定の間隔もって配置された一対の垂直枠材、これらの一対の垂直枠材の下端近傍に両側部が取り付けられた下方水平枠材、それらの上方部分に両側部が取り付けられた上方水平枠材から構成され、
前記枠体の前記上方水平枠材、下方水平枠材、および一対の垂直枠材は、それぞれプレート状部材により形成されており、
前記枠体には、前記枠体を前記周囲枠に嵌め込んだときの、前記扉錠位置より所定距離下方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びる水平底板部材を設けるとともに、この水平底板部材の所定距離上方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びる水平天板部材が設けられており、
これら水平底板部材および水平天板部材は、それぞれプレート状部材で形成されており、
前記防犯装置は、さらに、施錠したときの前記扉錠を屋外から見えなくするための遮蔽部材を持つ直方体のボックス状飾り棚を備え、
前記飾り棚は、前記扉錠の最上部分より上方に位置して、前記遮蔽部材を前記扉錠より上方に位置させる不作用位置と、前記扉錠の屋外側に位置に位置して、前記遮蔽部材を前記扉錠の屋外側に位置させる作用位置の間で移動可能となっている
ことを特徴とする防犯装置。
【請求項2】
前記飾り棚を前記不作用位置に支持する不作用位置支持手段を備えた請求項1の防犯装置。
【請求項3】
前記不作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に突出して設けられ、前記飾り棚を載置する載置面を備えた不作用位置載置部材である請求項2の防犯装置。
【請求項4】
前記不作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に形成された不作用位置用凹部と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記不作用位置用凹部の各々に嵌合する不作用位置用突出部で構成されている請求項2の防犯装置。
【請求項5】
前記飾り棚を前記作用位置に支持する作用位置支持手段を備えた請求項2~4のいずれかの防犯装置。
【請求項6】
前記作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に突出して設けられ、前記飾り棚を載置する載置面を備えた作用位置載置部材である請求項5の防犯装置。
【請求項7】
前記水平底板部材が、
前記飾り棚を前記作用位置に載置する作用位置載置部材として作用する請求項
1の防犯装置。
【請求項8】
前記飾り棚を前記作用位置に支持する作用位置支持手段と、前記飾り棚を前記不作用位置に支持する不作用位置支持手段を備え、前記不作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に形成された不作用位置用凹部と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記不作用位置用凹部の各々に嵌合する不作用位置用突出部で構成されており、前記作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面であって、前記不作用位置用凹部より斜め屋外側下方に形成された作用位置用凹部と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記作用位置用凹部の各々に嵌合する作用位置用突出部で構成されている請求項1の防犯装置。
【請求項9】
前記作用位置用突出部が前記不作用位置用突出部と共通である請求項8の防犯装置。
【請求項10】
前記飾り棚は、前記枠体が前記周囲枠に嵌め込まれたとき、該周囲枠の中央に位置する中央垂直板、その側部に位置する側部垂直板、上部水平板および下部水平板から構成され、前記中央垂直板から少なくとも前記扉錠分だけ外側に間隔を置いた位置に、前記上部水平板および下部水平板の間に亘って伸びる中間垂直板を設けるとともに、前記中央垂直板の屋外側下部および前記下部水平板の屋外側の前記中央垂直板隣接部分に、それぞれ前記扉錠が干渉しないように干渉回避切り欠きを形成し、そして施錠された扉錠を隠すため、前記遮蔽部材が、前記中央垂直板から前記中間垂直板に亘って延びるように配されている請求項1~9のいずれかの防犯装置。
【請求項11】
前記引き扉は、引き戸、引き違い戸、引き窓または引き違い窓である請求項1~10のいずれかの防犯装置。
【請求項12】
前記引き扉が、窓サッシである請求項1~10のいずれかの防犯装置。
【請求項13】
前記引き扉が、縁側サッシである請求項1~10のいずれかの防犯装置。
【請求項14】
前記引き扉錠が、クレセント錠である請求項1~3のいずれかの防犯装置。
【請求項15】
前記一対の垂直枠材の対向面には、それぞれに、前記飾り棚の前記不作用位置と作用位置の間の移動を助けるため、前記不作用位置用凹部から作用位置用凹部に延びる「(始めカギ括弧)形状の案内溝が形成されており、前記飾り棚の前記不作用位置と作用位置の間の移動の際、前記突出部がこの案内溝に沿って移動するようになっている請求項9の防犯装置。
【請求項16】
前記一対の垂直枠材の対向面には、前記水平底板部材より下側の第1所定位置および前記水平天板部材より上側の第2所定位置の少なくとも一方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びるボックス状の補助飾り棚を配置するための補助飾り棚配置溝が形成されている請求項1~15のいずれかの防犯装置。
【請求項17】
前記枠体から横方向に引き出されて、屋内側扉の少なくとも一部を覆う補助防犯手段を備えている請求項1~16のいずれかの防犯装置。
【請求項18】
前記補助防犯手段は、前記一対の垂直枠材の少なくとも一方の所定位置に形成された開口、この開口に貫通配置され、水平方向に摺動可能なボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材、このボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材の外側端が固定された、前記垂直枠材と並行な補助垂直枠材を備え、この補助垂直枠材は、前記垂直
枠材から離れる方向へ所定距離移動できるようになっており、前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材は、前記補助垂直枠材の移動にともなって、前記垂直枠材から突出して延在できるようになって、この延在した部分にボックス状補助飾り棚を載置できるようになっている請求項17の防犯装置。
【請求項19】
前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材は、前記屋内側扉の全幅に亘って伸びることのできる長さを有している請求項18の防犯装置。
【請求項20】
前記扉錠がピン差し込み型扉錠である場合に、この扉錠が施錠状態にあるとき、扉の枠から突出する頭部を囲い込むため、前記垂直枠材と補助垂直枠材の対向面に互いに協働する一対の溝を設け、両者で前記ピン差し込み型扉錠のピンの頭部を抱え込むようにして、前記頭部が屋外から見えなくする請求項18の防犯装置。
【請求項21】
前記枠体の底部には、枠体の上下方向の位置を調節するための調節手段が設けられている請求項1~20のいずれかの防犯装置。
【請求項22】
前記補助垂直枠材の底部には、その移動を助けるため、および水平位置を維持するためキャスターが取り付けられている請求項
18または20の防犯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き扉の扉錠のための防犯装置に関し、更に詳細には、引き扉のガラスが破壊されて扉錠例えばクレセント錠が開錠されるのを抑制する防犯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引き違い窓が破壊されてクレセント錠が開綻される空き巣の手口が知られている。これを防ぐために、引き違い窓の外側に格子を設ける、クレセントより防犯効果が高い鍵を引き違い窓に設ける、または引き違い窓に複数の施錠機構を設けることなどが考えられる。しかしながら、格子、防犯効果が高い鍵、または複数の施錠機構を引き違い窓に設けると、引き違い窓のコストアップを招く。また、クレセントが設けられた既存の引き違い窓を改造して、格子、防犯効果が高い鍵、または複数の施錠機構などを設けるのは容易ではない。クレセントを備える既存の引き違い窓が設置された環境を活かしつつ、空き巣が侵入する意欲を失い、かつ引き違い窓が破壊されること自体を防げるような防犯装置の出現が望まれている。
【0003】
以上のような防犯装置としては、例えば、特開2005-16280号公報に開示された引き戸錠用防犯カバーが知られている。
この引き戸錠用防犯カバーは、屋内引き戸の縦枠に取り付け可能な取付プレートと、その縦枠の枠外側面に取り付けられた引き戸錠を屋外側から見えないように隠すために前記取付プレートの幅方向一端側に設けられたカバープレートとを備えていることを特徴とする。
【0004】
そして、当該公報の記載によれば、かかるカバーによれば、屋外引き戸の縦枠に取付プレートを取り付けることにより、その取付プレートの幅方向一端側に設けられたカバープレートによって引き戸錠が屋外側から見えないように隠され、このカバープレートよりも広い範囲で屋外引き戸のガラスを割らない限り引き戸錠を解錠できなくなる。このため、当該防犯カバーを取り付けていない場合に比べて、引き戸錠を解錠するのに必要なガラスを割る範囲が拡大することになり、泥棒等の部外者が屋外引き戸のガラスの錠対応部分を割るのを諦めて退散する蓋然性が大きくなる、としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記公報に記載の引き戸錠用防犯カバーによっても、引き戸錠を解錠するのに必要なガラスを割る範囲が多少拡大するに留まり、効果が薄いと考えられる。また、この引き戸錠用防犯カバーを含めて従来のこの種防犯設備は、防犯の目的に留まり発展性がない。
そこで、本発明は、本来の防犯機能のほか、フィギュア等の飾り棚としても用いることのできる防犯装置を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、下記(1)~(22)の構成の防犯装置によって解消される。
(1)
屋内と屋外を連通する開口を形成する周囲枠の内部に装着された屋内側扉および屋外側扉の2枚の扉からなる引き扉の扉錠のための防犯装置であって、
前記防犯装置は、前記周囲枠の、閉状態の前記屋外側扉の位置に相当する位置に嵌め込まれる枠体を備え、この枠体は、前記屋外側扉の一対の垂直枠の間の間隔に対応した間隔か、それより狭い所定の間隔もって配置された一対の垂直枠材、これらの一対の垂直枠材の下端近傍に両側部が取り付けられた下方水平枠材、それらの上方部分に両側部が取り付けられた上方水平枠材から構成され、
前記枠体の前記上方水平枠材、下方水平枠材、および一対の垂直枠材は、それぞれプレート状部材により形成されており、
前記枠体には、前記枠体を前記周囲枠に嵌め込んだときの、前記扉錠位置より所定距離下方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びる水平底板部材を設けるとともに、この水平底板部材の所定距離上方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びる水平天板部材が設けられており、
これら水平底板部材および水平天板部材は、それぞれプレート状部材で形成されており、
前記防犯装置は、さらに、施錠したときの前記扉錠を屋外から見えなくするための遮蔽部材を持つ直方体のボックス状飾り棚を備え、
前記飾り棚は、前記扉錠の最上部分より上方に位置して、前記遮蔽部材を前記扉錠より上方に位置させる不作用位置と、前記扉錠の屋外側に位置に位置して、前記遮蔽部材を前記扉錠の屋外側に位置させる作用位置の間で移動可能となっている
ことを特徴とする防犯装置。
(2)
前記飾り棚を前記不作用位置に支持する不作用位置支持手段を備えた前記(1)の防犯装置。
(3)
前記不作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に突出して設けられ、前記飾り棚を載置する載置面を備えた不作用位置載置部材である前記(2)の防犯装置。
(4)
前記不作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に形成された不作用位置用凹部と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記不作用位置用凹部の各々に嵌合する不作用位置用突出部で構成されている前記(2)の防犯装置。
(5)
前記飾り棚を前記作用位置に支持する作用位置支持手段を備えた前記(2)~(4)のいずれかの防犯装置。
(6)
前記作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面に突出して設けられ、前記飾り棚を載置する載置面を備えた作用位置載置部材である前記(5)の防犯装置。
(7)
前記水平底板部材が前記作用位置載置部材として作用する前記(5)の防犯装置。
(8)
前記作用位置支持手段が、前記一対の垂直枠材の対向面であって、前記不作用位置用凹部より斜め屋外側下方に形成された作用位置用凹部と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記作用位置用凹部の各々に嵌合する作用位置用突出部で構成されている前記(5)の防犯装置。
(9)
前記作用位置用突出部が前記不作用位置用突出部と共通である前記(8)の防犯装置。
(10)
前記飾り棚は、前記枠体が前記周囲枠に嵌め込まれたとき、該周囲枠の中央に位置する中央垂直板、その側部に位置する側部垂直板、上部水平板および下部水平板から構成され、前記中央垂直板から少なくとも前記扉錠分だけ外側に間隔を置いた位置に、前記上部水平板および下部水平板の間に亘って伸びる中間垂直板を設けるとともに、前記中央垂直板の屋外側下部および前記下部水平板の屋外側の前記中央垂直板隣接部分に、それぞれ前記扉錠が干渉しないように干渉回避切り欠きを形成し、そして施錠された扉錠を隠すため、前記遮蔽部材が、前記中央垂直板から前記中間垂直板に亘って延びるように配されている前記(1)~(9)のいずれかの防犯装置。
(11)
前記引き扉は、引き戸、引き違い戸、引き窓または引き違い窓である前記(1)~(10)のいずれかの防犯装置。
(12)
前記引き扉が、窓サッシである前記(1)~(10)のいずれかの防犯装置。
(13)
前記引き扉が、縁側サッシである前記(1)~(10)のいずれかの防犯装置。
(14)
前記引き扉錠が、クレセント錠である前記(1)~(3)のいずれかの防犯装置。
(15)
前記一対の垂直枠材の対向面には、それぞれに、前記飾り棚の前記不作用位置と作用位置の間の移動を助けるため、前記不作用位置用凹部から作用位置用凹部に延びる「(始めカギ括弧)形状の案内溝が形成されており、前記飾り棚の前記不作用位置と作用位置の間の移動の際、前記突出部がこの案内溝に沿って移動するようになっている前記(9)の防犯装置。
(16)
前記前記一対の垂直枠材の対向面には、前記水平底板部材より下側の第1所定位置および前記水平天板部材より上側の第2所定位置の少なくとも一方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びるボックス状の補助飾り棚を配置するための補助飾り棚配置溝が形成されている前記(1)~(15)のいずれかの防犯装置。
(17)
前記枠体から横方向に引き出されて、屋内側扉の少なくとも一部を覆う補助防犯手段を備えている前記(1)~(16)のいずれかの防犯装置。
(18)
前記補助防犯手段は、前記一対の垂直枠材の少なくとも一方の所定位置に形成された開口、この開口に貫通配置され、水平方向に摺動可能なボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材、このボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材の外側端が固定された、前記垂直枠材と並行な補助垂直枠材を備え、この補助垂直枠材は、前記垂直部材から離れる方向へ所定距離移動できるようになっており、前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材は、前記補助垂直枠材の移動にともなって、前記垂直枠材から突出して延在できるようになって、この延在した部分にボックス状補助飾り棚を載置できるようになっている前記(17)の防犯装置。
(19)
前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材は、前記屋内側扉の全幅に亘って伸びることのできる長さを有している前記(18)の防犯装置。
(20)
前記扉錠がピン差し込み型扉錠である場合に、この扉錠が施錠状態にあるとき、扉の枠から突出する頭部を囲い込むため、前記垂直枠材と補助垂直枠材の対向面に互いに協働する一対の溝を設け、両者で前記ピン差し込み型扉錠のピンの頭部を抱え込むようにして、前記頭部が屋外から見えなくする前記(18)の防犯装置。
(21)
前記枠体の底部には、枠体の上下方向の位置を調節するための調節手段が設けられている前記(1)~(20)のいずれかの防犯装置。
(22)
前記補助垂直枠材の底部には、その移動を助けるため、および水平位置を維持するためキャスターが取り付けられている前記(17)~(21)のいずれかの防犯装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の防犯装置は、以上説明したように、防犯機能を果たす主手段としての遮蔽部材を飾り棚の一部として構成したものであるので、従来のような単なる防犯手段ではなく、家屋の装飾品としての機能をはたすことができる。
また、この防犯装置を破るためには、遮蔽部材の周りの極めて広範囲のガラスを破壊しなければならない。更には、防犯装置を構成する枠体等を形成する家屋内外に延びる板材の幅によって、侵入者はかなり腕を回さなければ扉錠にたどり付くことができず、侵入者に破綻を断念させる度合いが高い。
また、本発明の防犯装置においては、それを窓等に設置することにより、それ自体が防犯用の面格子のような働きをなし、例え、扉の閉め忘れ、錠の掛け忘れがあったとしても、本装置を破壊しないかぎり、不審者の屋内への侵入は困難となる。
本発明の防犯装置はまた、防犯装置の主部分である前記枠体から横方向に引き出されて、屋内側扉の少なくとも一部を覆う補助防犯手段を備えている。この前記補助防犯手段は、前記一対の垂直枠材の少なくとも一方の所定位置に形成された開口、この開口に貫通配置され、水平方向に摺動可能なボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材、このボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材の外側端が固定された、前記垂直枠材と並行な補助垂直枠材を備え、この補助垂直枠材は、前記垂直部材から離れる方向へ所定距離移動できるようになっており、前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材は、前記補助垂直枠材の移動にともなって、前記垂直枠材から突出して延在できるようになって、この延在した部分にボックス状補助飾り棚を載置できるようになっている。この補助防犯手段は、前記主部分の枠体と相まって、窓等の全体を覆い、屋外からの不審者の侵入を防止するとともに、災害時等は、補助飾り棚を外すことにより、この補助防犯部材を前記主部分と重なる引き込み位置に移動させることができるようになるので、屋内の者は、窓等を開けて、屋外に脱出することができるようになる。したがって、固定型の防犯格子とは異なり、非常時に、屋内に取り残されてしまうようなことがなく、安心である。
以上、本発明の防犯装置は、安心して使用ができて、かつ極めて防犯性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1(a)】
図1(a)は、本発明の実施の形態による防犯装置を扉のための囲い枠に設置した状態の全体を示す斜視図であり、補助防犯手段である補助飾り棚を引き込み状態で示した図である。
【
図1(b)】
図1(b)は補助飾り棚を引き出して作用位置とした図である。
【
図1(c)】
図1(c)は
図1(b)に示した防犯装置の水平断面図である。
【
図2】
図1に示した防犯装置に使用される飾り棚の一例を示す斜視図である。
【
図3(a)】
図3(a)は、
図2のA部分の拡大斜視図である。
【
図3(b)】
図3(b)は、
図2のB部分の拡大斜視図である。
【
図4(a)】
図4(a)は飾り棚を作用位置に配置したときの斜視図である。
【
図4(b)】
図4(b)は飾り棚を不作用位置に配置したときの拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、補助飾り棚とそれを配置するための枠体の構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、施錠した状態でのピン差し込み型扉錠の頭部を覆い隠す構成を設けた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、施錠した状態でのピン差し込み型扉錠の外観を示す説明図である。
【
図8(a)】
図8(a)は防犯手段である飾り棚を引き込み状態で示した図である。
【
図8(b)】
図8(b)は飾り棚を作用位置とした図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態による扉に用いる防犯装置について説明する。
本防犯装置10は、屋内と屋外を連通する開口を形成する周囲枠Fの内部に装着された屋内側扉W1および屋外側扉W2の2枚の扉からなる引き扉Wの扉錠Kのための防犯装置である(
図1(a)、(b)、(c)参照)。なお、符号G1、G2は、それぞれ、屋内側扉W1および屋外側扉W2のガラス板である。
前記引き扉は、引き戸、引き違い戸、引き窓または引き違い窓等のいずれであってもよい。2枚の扉のうち、1枚が固定式のものであってもよい。前記引き扉は、具体的には、窓サッシ、縁側サッシ等であってもよい。そして、引き扉は、扉を閉めた状態で、屋内側から見て、屋内側扉が屋外側扉に対して右側に配置されるもの、あるいは左側に配置されるもののいずれであってもよい。換言すれば、扉錠は、屋内側扉で見て、左側に設置されているもの、右側に設置されているもののいずれの形式のものであってもよい。なお、本明細書において、特にことわらない限りは、屋内側扉W1が左側に配置されるタイプのものとして説明する。したがって、扉錠は、屋内側扉の右側に配置される。
前記扉錠としては、代表的には、クレセント錠である。
【0010】
前記防犯装置10は、前記周囲枠の、閉状態の前記屋外側扉の位置に相当する位置に嵌め込まれる枠体12を備え、この枠体は、前記屋外側扉の一対の垂直枠の間の間隔に対応した間隔か、それより狭い所定の間隔もって配置された一対の垂直枠材14、16、これらの一対の垂直枠材の下端近傍に両側部が取り付けられた下方水平枠材18、それらの上方部分に両側部が取り付けられた上方水平枠材(図示せず)から構成されている。枠体12の高さ位置を調節可能とするため、前記下方水平枠材18の下面には、ネジを用いた高さ調節部材13が設けられていることが好ましい。
【0011】
前記枠体の前記上方水平枠材、下方水平枠材、および一対の垂直枠材は、木製または金属製(例えば、サッシに用いられているアルミ合金製)で、それぞれプレート状部材により形成されている。
前記枠体には、前記枠体を前記周囲枠に嵌め込んだときの、前記扉錠位置より所定距離下方に、前記一対の垂直枠材14、16の間に水平に延びる水平底板部材22を設けるとともに、この水平底板部材の所定距離上方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びる水平天板部材24が設けられている。
これら水平底板部材22および水平天板部材24は、前記枠体と同様、木製または金属製(例えば、サッシに用いられているアルミ合金製)で、それぞれプレート状部材で形成されている。
【0012】
前記防犯装置は、さらに、施錠したときの前記扉錠Kを屋外から見えなくするための遮蔽部材30aを持つ直方体のボックス状飾り棚30を備えている。
この飾り棚30は、前記扉錠Kの最上部分より上方に位置して、前記遮蔽部材を前記扉錠より上方に位置させる不作用位置(
図4(b)参照)と、前記扉錠の屋外側に位置に位置して、前記遮蔽部材を前記扉錠の屋外側に位置させる作用位置(
図4(a)参照)の間で移動可能となっている。
【0013】
防犯装置10は、前記飾り棚30を前記不作用位置に支持する不作用位置支持手段32を備えている。この不作用位置支持手段32は、前記一対の垂直枠材14,16の対向面に突出して設けられ、前記飾り棚を載置する載置面34a、36aを備えた不作用位置載置部材34、36で構成される。
図4では、水平底板部材22から上方に延びる板状部材として表されている。
【0014】
前記不作用位置支持手段は、前記一対の垂直枠材の対向面に形成された不作用位置用凹部(図示せず)と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記不作用位置用凹部の各々に嵌合する突出部38、40で構成することとしてもよい。
【0015】
防犯装置10は、また、前記飾り棚30を前記作用位置に支持する作用位置支持手段を備えている。この作用位置支持手段は、前記水平底板部材22がその作用を行ってもよい。または、前記不作用位置支持手段のように、載置面を備えた載置部材の形や、一対の垂直枠材の対向面に突出して設けられた溝の形で構成してもよい。このように作用位置支持手段を溝の形で構成する場合、前記一対の垂直枠材の対向面であって、前記不作用位置用凹部より斜め屋外側下方に形成された作用位置用凹部と、前記飾り棚の両側面に突出して設けられ、前記作用位置用凹部の各々に嵌合する作用位置用突出部で構成する。作用位置用突出部としては、前記突出部38、40が兼用される(共通である)。
【0016】
前記飾り棚30は、前記枠体12が前記周囲枠に嵌め込まれたとき、該周囲枠の中央に位置する中央垂直板42、該周囲枠の側部に位置する側部垂直板44、下部水平板46および上部水平板48から構成されている。そして、前記中央垂直板から少なくとも前記扉錠分だけ外側(側部垂直板44側)に間隔を置いた位置に、前記上部水平板および下部水平板の間に亘って伸びる中間垂直板50を設けるとともに、前記中央垂直板の屋外側下部および前記下部水平板の屋外側の前記中央垂直板隣接部分に、それぞれ前記扉錠が干渉しないように干渉回避切り欠き52、54が形成されている。そして施錠された扉錠Kを隠すため、前記遮蔽部材30aが、前記中央垂直板から前記中間垂直板に亘って延びるように、すなわち、前記中央垂直板、前記中間垂直板、下部水平板46および上部水平板48で囲まれた空間を覆うように配されている。
前記飾り棚30は、内部にフィギュアf等を飾れるようになっており、この飾られたフィギュアf等を、屋内から、もしくは屋外から鑑賞できるように、屋内側または屋外側の面が、開閉可能な透明板Tで構成されている。このフィギュアf等の装飾も、防犯のために心理上役立つものである。
【0017】
前記一対の垂直枠材14、16の対向面には、それぞれに、前記飾り棚の前記不作用位置と作用位置の間の移動を助けるため、前記不作用位置用凹部から作用位置用凹部に延びる「(始めカギ括弧)形状の案内溝(図示せず)が形成されており、前記飾り棚の前記不作用位置と作用位置の間の移動の際、前記突出部38、40がこの案内溝に沿って移動するようになっている。
【0018】
前記前記一対の垂直枠材14、16の対向面には、前記水平底板部材22より下側の第1所定位置および前記水平天板部材24より上側の第2所定位置の少なくとも一方に、前記一対の垂直枠材の間に水平に延びるボックス状の補助飾り棚60を配置するための補助飾り棚配置溝70、72が形成されている。
補助飾り棚60は、その両側に設けられた突起部材62、64を前記補助飾り棚配置溝70、72に嵌合して配置することにより、
図1(a)に示したように、屋外側扉のほぼ全面が飾り棚で覆われることになる。
【0019】
本防犯装置10は、更に、
図1(b)、(c)に示したように、前記枠体12から横方向に引き出されて、屋内側扉W1の少なくとも一部を覆う補助防犯手段80を備えている。
前記補助防犯手段80は、第2ボックス状補助飾り棚100を配置できるようになっており、前記一対の垂直枠材の少なくとも一方(
図1(b)では左側)の垂直枠材14の所定位置に形成された開口82、この開口82に貫通配置され、水平方向に摺動可能なボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材84、このボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材の外側端が固定された、前記垂直枠材と並行な補助垂直枠材86を備え、この補助垂直枠材86は、前記垂直部材14から離れる方向へ所定距離移動できるようになっている。これにより、前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材は、前記補助垂直枠材86の移動にともなって、前記垂直枠材から突出して延在できるようになって、この延在した部分に前記第2ボックス状補助飾り棚90を載置できるようになっている(
図1(b)、(c)参照)。
【0020】
前記第2ボックス状補助飾り棚100は、前記枠体12に嵌め込まれるボックス状の補助飾り棚60と同様の構造をもっており、その両側には、前記突出部62、64と同様の突出部(図示せず)を備えている。一方、前記枠体12の垂直枠材14と前記補助垂直枠材86の対向面には、前記補助飾り棚配置溝70、72と同様の第2補助飾り棚配置溝88、90が形成されていて、前記第2ボックス状補助飾り棚100は、この第2補助飾り棚配置溝88、90に前記突出部が嵌合された状態で、補助防犯手段80の枠内に設置される。
【0021】
前記ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材84は、前記屋内側扉の全幅に亘って延びることのできる長さを有していることが好ましい。なお、前記補助垂直枠材86の下面には、この枠材側が下がるのを防止し、全体を水平に保つために、キャスター92が設けられていることが好ましい。この
本防犯装置は、前記枠体12の部分と、前記補助防犯手段80で、窓や縁側サッシのほぼ全体を覆い、極めて防犯性が高い。
【0022】
扉錠としては、
図7に示したように、ピン差し込み型扉錠110が使用される場合がある。このピン差し込み型扉錠110の場合には、施錠した際、操作されるピンの頭部112が特許請求の扉の枠の表面から突出する。垂直枠材14と前記補助垂直枠材86の対向面に、
図6に示したように、溝114、116を設け、両者で前記ピン差し込み型扉錠110のピンの頭部112を抱え込むようにして、前記頭部112が屋外から見えなくするとともに、ガラスが破られたとしても、この頭部が操作できないようにする。
【0023】
本発明の防犯装置は、以上説明したように、防犯機能を果たす主手段としての遮蔽部材を飾り棚の一部として構成したものであるので、従来のような単なる防犯手段ではなく、家屋の装飾品としての機能を果たすことができる。前記飾り棚は、内部にフィギュア等を飾れるようになっており、破錠するには、飾り棚に飾られたフィギュアf等を、散らばして行わなければならないので、防犯のために心理面からも役立つものである。
また、この防犯装置を破るためには、遮蔽部材の周りの極めて広範囲のガラスを破壊しなければならない。更には、防犯装置を構成する枠体等を形成する家屋内外に延びる板材の幅によって、侵入者はかなり腕を回さなければ扉錠にたどり付くことができず、侵入者に破綻を断念させる度合いが高い。
【符号の説明】
【0024】
10 防犯装置
12 枠体
14 垂直枠材
16 垂直枠材
18 下方水平枠材
22 水平底板部材
24 水平天板部材
30 飾り棚
32 不作用位置支持手段
34 不作用位置載置部材
36 不作用位置載置部材
38 突出部
40 突出部
42 中央垂直板
44 側部垂直板
46 側部水平板
48 下部水平板
50 中間垂直板
52 干渉回避切り欠き
54 干渉回避切り欠き
60 補助飾り棚
62 突起部材
64 突起部材
70 補助飾り棚配置溝
72 補助飾り棚配置溝
80 補助防犯手段
82 開口
84 ボックス状補助飾り棚補助載置プレート部材
86 補助垂直枠材
88 棚配置溝
90 ボックス状補助飾り棚
92 キャスター
100 ボックス状補助飾り棚
110 ピン差し込み型扉錠
112 ピンの頭部
114 溝
116 溝
30a 遮蔽部材
34a 載置面
36a 載置面
f フィギュア
F 周囲枠
G1 屋内側扉のガラス
G2 屋外側扉のガラス
K 扉錠
W1 屋内側扉
W2 屋外側扉
【要約】 (修正有)
【課題】本来の防犯機能のほか、フィギュア等の飾り棚としても用いることのできる防犯装置を提供する。
【解決手段】閉状態の屋外側扉に相当する位置に嵌め込まれる枠体12と、枠体12内に配置された、扉錠を屋外から見えなくするための遮蔽部材を持つ直方体のボックス状飾り棚30とを備え、飾り棚30は、扉錠の最上部分より上方に位置して、遮蔽部材を扉錠より上方に位置させる不作用位置と、扉錠の屋外側に位置に位置して、遮蔽部材を扉錠の屋外側に位置させる作用位置の間で移動可能となっていることを特徴とする。
【選択図】
図4(a)