(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】光半導体素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/042 20060101AFI20230704BHJP
H01S 5/227 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01S5/042 612
H01S5/227
(21)【出願番号】P 2019167674
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】高田 幹
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-283822(JP,A)
【文献】特開平06-291416(JP,A)
【文献】特開2007-165640(JP,A)
【文献】特開2007-110034(JP,A)
【文献】特開2010-271667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0106824(US,A1)
【文献】特開平05-121722(JP,A)
【文献】特開平08-111565(JP,A)
【文献】特開2006-074069(JP,A)
【文献】特開平01-321674(JP,A)
【文献】特開2016-076612(JP,A)
【文献】特開平07-022691(JP,A)
【文献】特開2008-053649(JP,A)
【文献】特開2012-009674(JP,A)
【文献】特開平07-263365(JP,A)
【文献】特開平07-162078(JP,A)
【文献】特開平09-237933(JP,A)
【文献】特開2006-032508(JP,A)
【文献】特開平11-112100(JP,A)
【文献】特開2002-314196(JP,A)
【文献】特開2009-252839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方位(100)かつ第1導電型の半導体基板の上に設けられ、前記第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を含み、<011>方向に設けられたメサと、
前記半導体基板の上に設けられ、前記メサの両側を覆う半絶縁性の埋込層と、
前記埋込層の上に設けられる絶縁膜と、
前記メサ、前記埋込層および前記絶縁膜の上に設けられる電極と、を具備し、
前記埋込層は前記メサに隣接する第1領域、および前記第1領域より前記メサから遠い側に位置する第2領域を
有し、
前記第1領域の上面は前記メサの上面
の高さよりも低く、かつ前記メサから離れるにつれて低くな
り、
前記絶縁膜は前記第1領域に接している光半導体素子。
【請求項2】
前記第2領域の上面の少なくとも一部は前記メサの上面よりも上に位置する請求項1に記載の光半導体素子。
【請求項3】
前記埋込層は前記第1領域と前記第2領域との間に第3領域を有し、
前記第3領域の上面は前記第1領域から前記第2領域に向かうにつれて高くなる請求項1または請求項2に記載の光半導体素子。
【請求項4】
前記電極は前記メサから前記第1領域および前記第2領域にかけて延伸する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光半導体素子。
【請求項5】
前記電極は、前記メサから前記第1領域および前記第2領域にかけて延伸するオーミック電極と、前記オーミック電極の上に設けられた配線層とを含む請求項4に記載の光半導体素子。
【請求項6】
前記絶縁膜は前記メサが露出する開口部を有し、
前記開口部の端部は、前記埋込層の前記第1領域に位置する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光半導体素子。
【請求項7】
前記埋込層はインジウムリンで形成される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上に活性層などの半導体層を積層した光半導体素子が知られている(例えば特許文献1)。活性層などでメサを形成する。メサの上には電流を注入するための電極を設ける。寄生容量を低減して高速動作を行うために、メサの両側に埋込層を設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
寄生容量の低減のため、十分な厚さの埋込層を設ける。しかし埋込層が上側に突出することで、電極が薄くなり断裂する恐れがある。そこで、電極の断裂を抑制することが可能な光半導体素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光半導体素子は、面方位(100)かつ第1導電型の半導体基板の上に設けられ、前記第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を含み、<011>方向に設けられたメサと、前記半導体基板の上に設けられ、前記メサの両側を覆う半絶縁性の埋込層と、前記埋込層の上に設けられる絶縁膜と、前記メサ、前記埋込層および前記絶縁膜の上に設けられる電極と、を具備し、前記埋込層は前記メサに隣接する第1領域、および前記第1領域より前記メサから遠い側に位置する第2領域を有し、前記第2領域は前記第1領域よりも厚く、前記第1領域の上面は前記メサの上面以下の高さに位置し、前記メサから離れるにつれて低くなるものである。
【0006】
本発明に係る光半導体素子の製造方法は、面方位(100)かつ第1導電型の半導体基板の上に、前記第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を順に積層する工程と、前記第2クラッド層の上に第1のマスクを設ける工程と、前記第1のマスクを用いて前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2クラッド層をエッチングすることで、<011>方向にメサを形成する工程と、前記メサの両側に半絶縁性の第1埋込層を形成する工程と、前記メサおよび前記第1埋込層の一部に前記第1マスクよりも幅の広い第2マスクを設ける工程と、前記第1埋込層の前記第2マスクから露出する部分の上に第2埋込層を形成する工程と、前記第1埋込層および前記第2埋込層の上に絶縁膜を形成する工程と、前記メサ、前記埋込層および前記絶縁膜の上に電極を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、電極の断裂を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施例1に係る光半導体素子を例示する断面図である。
【
図2】
図2(a)から
図2(c)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
【
図3】
図3(a)から
図3(c)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(c)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(c)は比較例に係る光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の一形態は、(1)面方位(100)かつ第1導電型の半導体基板の上に設けられ、前記第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を含み、<011>方向に設けられたメサと、前記半導体基板の上に設けられ、前記メサの両側を覆う半絶縁性の埋込層と、前記埋込層の上に設けられる絶縁膜と、前記メサ、前記埋込層および前記絶縁膜の上に設けられる電極と、を具備し、前記埋込層は前記メサに隣接する第1領域、および前記第1領域より前記メサから遠い側に位置する第2領域を有し、前記第2領域は前記第1領域よりも厚く、前記第1領域の上面は前記メサの上面以下の高さに位置し、前記メサから離れるにつれて低くなる光半導体素子である。第1領域が上に突出しないため、電極が薄くなりにくく、電極の断裂を抑制することができる。
(2)前記第2領域の上面の少なくとも一部は前記メサの上面よりも上に位置してもよい。埋込層が厚いため、寄生容量を低減することができる。
(3)前記埋込層は前記第1領域と前記第2領域との間に第3領域を有し、前記第3領域の上面は前記第1領域から前記第2領域に向かうにつれて高くなってもよい。埋込層の上面の凹凸が緩やかになるため、電極の断裂を抑制することができる。
(4)前記電極は前記メサから前記第1領域および前記第2領域にかけて延伸してもよい。第1領域の上面がメサよりも低いため、電極の断裂が抑制される。
(5)前記電極は、前記メサから前記第1領域および前記第2領域にかけて延伸するオーミック電極と、前記オーミック電極の上に設けられた配線層とを含んでもよい。第1領域の上面がメサよりも低くなるため、オーミック電極の断裂を抑制することができる。
(6)前記絶縁膜は前記メサが露出する開口部を有し、前記開口部の端部は、前記埋込層の前記第1領域に位置してもよい。開口部の端部における電極の断裂を抑制することができる。
(7)前記埋込層はインジウムリンでもよい。第1領域においてインジウムリンの(111)B面が成長しにくいため、メサより上への突出が抑制される。したがって電極の断裂を抑制することができる。
(8)面方位(100)かつ第1導電型の半導体基板の上に、前記第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を順に積層する工程と、前記第2クラッド層の上に第1のマスクを設ける工程と、前記第1のマスクを用いて前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2クラッド層をエッチングすることで、<011>方向にメサを形成する工程と、前記メサの両側に半絶縁性の第1埋込層を形成する工程と、前記メサおよび前記第1埋込層の一部に前記第1マスクよりも幅の広い第2マスクを設ける工程と、前記第1埋込層の前記第2マスクから露出する部分の上に第2埋込層を形成する工程と、前記第1埋込層および前記第2埋込層の上に絶縁膜を形成する工程と、前記メサ、前記埋込層および前記絶縁膜の上に電極を形成する工程と、を有する光半導体素子の製造方法である。電極が薄くなりにくいため断裂を抑制することができる。
【0010】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光半導体素子およびその製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例1】
【0011】
(光半導体素子)
図1は実施例1に係る光半導体素子100を例示する断面図である。
図1に示すように、基板10の上に、クラッド層12、光ガイド層14、活性層16、光ガイド層18、クラッド層20およびコンタクト層22が順に積層され、これらの半導体層がメサ24を形成する。埋込層30はクラッド層12の上面であってメサ24の両側に設けられ、メサ24を埋め込む。
【0012】
埋込層30の上面に絶縁膜26が設けられている。絶縁膜26は例えば厚さ0.5μmの窒化シリコン(SiN)などの絶縁体で形成されており、開口部26aを有する。開口部26aの幅はメサ24よりも大きく、メサ24の上面が露出する。メサ24および絶縁膜26の上面にオーミック電極40が設けられ、オーミック電極40および絶縁膜26の上に配線層42が設けられている。オーミック電極40と配線層42とは互いに接触し、p型の電極43を形成する。基板10の下面にはn型の電極44が設けられている。p型のオーミック電極40は例えば金(Au)、ZnおよびAuの層を積層したものであり、厚さは例えば70nmである。配線層42は例えばAuなどで形成されたメッキ層であり、厚さは3.0μmである。n型の電極44は例えば厚さ1.0μmの金ゲルマニウム、金、チタン、白金、金の積層体(AuGe/Au/Ti/Pt/Au)で形成される。
【0013】
基板10は例えば厚さ100μm、面方位(100)のn型インジウムリン(InP)で形成された半導体基板である。クラッド層12は例えば厚さ1.0μmのn型InPで形成されている。基板10およびクラッド層12のドーパントは例えばシリコン(Si)であり、ドーパント濃度は例えば1×1018cm-3である。光ガイド層14および18は例えばノンドープのインジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)で形成されている。活性層16は例えば多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造を有し、複数のノンドープのインジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)層を含み、厚さは0.15μmである。クラッド層20は例えば厚さ1.5μmでZnがドープされたp型InPで形成されている。クラッド層12を基準とするメサ24の高さH1は例えば3.0μmである。基板10および半導体層は上記以外の化合物半導体などで形成されてもよい。
【0014】
活性層16は利得を有し、電極43および44を用いて電流を注入することで光を出射する。光半導体素子100の発振波長の帯域は例えば1.3~1.55μmである。メサ24は<011>方向に延伸しており、メサ24の延伸方向に沿って光が伝搬する。
【0015】
電流狭窄、および寄生容量の低減のために埋込層30が設けられる。埋込層30は光の伝搬方向に交差する方向におけるメサ24の両側(
図1の水平方向)において、メサ24の両側に位置する。埋込層30は例えば鉄(Fe)がドープされた半絶縁性のInPで形成される。埋込層30はメサ24の両側において、領域33、34および35を有する。領域33、34および35は、メサ24に近い側から遠い側にかけて順に並ぶ。絶縁膜26は領域33、34および35を覆う。オーミック電極40および配線層42はメサ24、領域33、34および35の上に設けられる。
【0016】
領域33(第1領域)はメサ24に隣接する。領域33の上面は傾斜しており、メサ24から離れるにつれて低くなり、メサ24の上面から領域34までを接続する。領域33の上面はメサ24より上に突出せず、メサ24の上面以下に位置する。領域34(第3領域)の上面は傾斜しており、領域33から領域35に向かうにつれて高くなる。領域35(第2領域)の上面の少なくとも一部はメサ24の上面よりも上に位置する。すなわち、埋込層30はメサ24の両側において凹形状を有する。領域33の幅W1は例えば1.0μmである。領域33のうち最も薄い部分の厚さT1は例えば2.6μmであり、メサ24の厚さ(高さH1)より小さい。領域35のうち最も厚い部分の厚さT2は例えば3.2μmであり、メサ24の高さH1より大きい。
【0017】
(製造方法)
図2(a)から
図4(c)は光半導体素子100の製造方法を例示する断面図である。
図2(a)に示すように、例えば有機金属気相成長法(MOCVD法:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)により、基板10の(100)面上にクラッド層12、光ガイド層14、活性層16、光ガイド層18、クラッド層20およびコンタクト層22を順にエピタキシャル成長する。
【0018】
図2(b)に示すように、例えば二酸化シリコン(SiO
2)のマスク50(第1マスク)をコンタクト層22の上に設ける。マスク50の幅W2は例えば2.0μmであり、メサ24の幅と同じである。
図2(c)に示すようにマスク50を用いてドライエッチングを行い、クラッド層12、光ガイド層14、活性層16、光ガイド層18、クラッド層20およびコンタクト層22からメサ24を形成する。ドライエッチングには例えばヨウ化水素ガスおよび四塩化ケイ素ガスの混合ガスなどを用いる。
【0019】
図3(a)に示すように、例えばMOCVD法により、メサ24の両側であって、クラッド層12の上面に埋込層31(第1埋込層)をエピタキシャル成長する。メサ24はマスク50で保護されているため、メサ24の上面に埋込層31は成長しない。埋込層31の上面がメサ24の上面よりも上に突出しないように成長を行う。例えば成長時間および原料ガスの流量などを調整し、埋込層31の少なくとも一部の厚さがメサ24の高さと同程度になった時点で成長を停止する。成長後の埋込層31の上面はメサ24から離れるにつれて下に傾斜する。
【0020】
図3(b)に示すように、マスク50を除去しマスク52を形成する。マスク52の幅W3は例えば4.0μmでありマスク50の幅W2より大きい。マスク52は例えばSiO
2で形成され、メサ24および埋込層31の一部を覆う。
図3(c)に示すように、例えばMOCVD法により、埋込層32(第2埋込層)をエピタキシャル成長する。埋込層32は埋込層31のうちマスク52から露出する面に積層される。埋込層31と埋込層32とが埋込層30を形成する。
【0021】
埋込層30のうち、マスク52に覆われ埋込層32が積層されなかった部分が領域33になる。埋込層30のうち、埋込層32が積層されメサ24と同程度か、メサ24以上の高さになる部分が領域35である。領域33と領域35との間の部分は領域34である。領域34は(111)B面からなる。
【0022】
図4(a)に示すように、例えばCVD法などで埋込層30およびメサ24の上に絶縁膜26を形成する。絶縁膜26はメサ24の上面、埋込層30の領域33~35を覆う。エッチングなどで絶縁膜26にメサ24が露出する開口部26aを設ける。開口部26aの端部は領域33に位置する。その後、例えば真空蒸着法などでメサ24の上面、埋込層30の領域33~35にかけてオーミック電極40を形成し、熱処理することでメサ24とのオーミック接触をとる。
【0023】
図4(b)に示すように、例えばメッキ処理などを行い、オーミック電極40の表面に配線層42を形成する。配線層42は、オーミック電極40より大きな幅を有し、メサ24、領域33~35にかけて設けられる。
図4(c)に示すように、例えばグラインダーなどで基板10を薄くする。基板10の下面に電極44を形成する。以上で光半導体素子100が製造される。
【0024】
(比較例)
図5(a)から
図5(c)は比較例に係る光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図5(a)に示すように、マスク50を設け、マスク50と同じ幅のメサ24を形成する。
図5(b)に示すように、メサ24の両側に埋込層36をエピタキシャル成長する。実施例1では埋込層31と埋込層32とで成長を二段階にする。一方、埋込層36の成長は一回の工程で行う。寄生容量を低減するために埋込層36を十分厚くする。埋込層36のうちメサ24から離間する部分の厚さT3はメサ24の高さH1以上であり、メサ24に隣接する部分の厚さはメサ24の高さH1より大きい。つまり埋込層36はメサ24の両側において、メサ24よりも上側に突出する。埋込層36はメサ24から外側にかけて上に向かう斜面を有する。
【0025】
図5(c)に示すように、絶縁膜26を形成し、メサ24の上に開口部26bを設ける。開口部26bの端部は埋込層36の斜面に位置する。その後、真空蒸着法などによりオーミック電極40を形成する。メサ24の両側において埋込層36が盛り上がっているため、埋込層36の斜面においてオーミック電極40が薄くなる。特に、開口部26bの端部付近でオーミック電極40が薄くなり、断裂しやすい。
【0026】
実施例1によれば、メサ24の両側の埋込層30は領域33~35を有し、埋込層30の上に絶縁膜26が設けられ、メサ24、埋込層30および絶縁膜26の上に電極43が設けられる。メサ24に隣接する領域33の上面はメサ24の上面以下の高さに位置し、メサ24から離れるにつれて低くなる。電極43はメサ24から領域33にかけて薄くなりにくく、断裂を抑制することができる。
【0027】
一方、領域35の上面の少なくとも一部はメサ24よりも上に位置する。埋込層30が十分な厚さを有するため、寄生容量を低減することができる。領域35のすべてがメサ24より厚くてもよいし、一部がメサ24より厚く別の一部はメサ24と同程度の厚さでもよい。
【0028】
埋込層30の領域34は領域33と領域35との間に位置し、その上面は領域33から領域35に向けて高くなる。このため埋込層30の上面に急峻な凹凸が形成されにくく、上面の段差が緩やかになる。したがって電極43の断裂を抑制することができる。
【0029】
具体的には
図3(a)から
図3(c)に示すように、マスク50を設け、メサ24を形成し、さらにメサ24の両側に埋込層31を成長する。その後、マスク50よりも幅広のマスク52をメサ24および埋込層31の上に設け、埋込層31の上に埋込層32を成長する。埋込層31および32が埋込層30を形成する。埋込層31のうちマスク52に覆われる部分が領域33になる。マスク52から露出する部分に領域34および35が形成される。
【0030】
電極43はメサ24、領域33~35にかけて延伸する。具体的には、オーミック電極40がメサ24、領域33~35にかけて延伸し、オーミック電極40の上を配線層42が覆う。配線層42よりも薄いオーミック電極40の断裂を抑制することができる。
【0031】
絶縁膜26はメサ24が露出する開口部26aを有する。開口部26aを広くすると、オーミック電極40と埋込層30との接触面積が大きくなる。通電により埋込層30の劣化が進行してしまう。したがって、開口部26aは狭くし、かつメサ24よりも広くする。実施例1において開口部26aの端部は領域33に位置する。つまり開口部26aの幅はメサ24の幅以上であり、メサ24と領域33とを合わせた幅以下である。開口部26aを狭くすることができるため、埋込層30が劣化しにくく、光半導体素子100の信頼性が向上する。また、開口部26aの端部において電極43が薄くなりにくく、電極43の断裂を抑制することができる。領域33における絶縁膜26の上面はメサ24の上面より下に位置することで、電極43の断裂が抑制される。
【0032】
寄生容量の低減のため、埋込層30は半絶縁性のInPで形成されている。埋込層30が厚いとメサ24の両脇に(111)B面が現れ、埋込層30が上に盛り上がってしまう。埋込層30のうち領域33を領域35より薄くし、(111)B面の出現を抑制する。これにより領域33がメサ24より上に突出しにくくなり、電極43の断裂も抑制される。
【0033】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 基板
12、20 クラッド層
14、18 光ガイド層
22 コンタクト層
24 メサ
26 絶縁膜
26a 開口部
30、31、32、36 埋込層
33、34、35 領域
40 オーミック電極
42 配線層
43、44 電極
50、52 マスク
100 光半導体素子