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特許7306798調理容器、及び調理容器を備えた加熱調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】調理容器、及び調理容器を備えた加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230704BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A47J37/06 341
F24C3/00 L
A47J37/06 361
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018105350
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019208665
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 光輔
(72)【発明者】
【氏名】富永 明浩
(72)【発明者】
【氏名】石川 善克
(72)【発明者】
【氏名】竹野 沙方里
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204770(JP,A)
【文献】特開2018-018766(JP,A)
【文献】特開2016-013265(JP,A)
【文献】特開2014-200628(JP,A)
【文献】特開2014-200576(JP,A)
【文献】特開2014-204769(JP,A)
【文献】特開2003-190006(JP,A)
【文献】特開2007-153352(JP,A)
【文献】意匠登録第1416200(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口を有する容器本体と、
前記開口を覆う蓋と、を備え、
前記容器本体は、
底壁と、
前記底壁の周縁部から立ち上がった周壁と、を有し、
前記周壁は、
前記底壁の前記周縁部から立ち上がった下周壁部と、
前記下周壁部の上縁から外側に突出した平面視矩形枠状の突出部と、
前記突出部の外縁から立ち上がった上周壁部と、を含み、
前記突出部は、平面視矩形枠状の前記突出部の一対の長辺部分を構成する一対の長側突出部と、平面視矩形枠状の前記突出部の一対の短辺部分を構成する一対の短側突出部とを含み、
前記一対の長辺側突出部と前記一対の短辺側突出部のそれぞれは、板状であり、
前記一対の長側突出部と前記一対の短側突出部のそれぞれの上面が、前記蓋の外周縁部を置くための載置面であり、
前記一対の長側突出部と前記一対の短側突出部のそれぞれの下面が、指を引っ掛けるための持ち手面であり、かつ突出方向の寸法が10mm以上であり、
前記一対の長側突出部と前記一対の短側突出部のそれぞれの外縁から、前記上周壁部が立ち上がっており、
平面視において、前記載置面の外側に位置する前記上周壁部よりも内側に、前記持ち手面が位置する、
調理容器。
【請求項2】
前記持ち手面は、前記一対の長側突出部の下面である一対の長辺側持ち手面と、前記一対の短側突出部の下面である一対の短辺側持ち手面を含み、
前記一対の長辺側持ち手面は、前記一対の短辺側持ち手面よりも幅広である、
請求項1の調理容器。
【請求項3】
前記持ち手面には、滑り止めが設けられている、
請求項1又は2の調理容器。
【請求項4】
前記蓋は、下側に突出した環状のリブを有し、
前記リブは、前記蓋が前記開口を覆う位置にあるとき、前記下周壁部の内側に沿って位置する、
請求項1~3のいずれか1つの調理容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの調理容器と、
前記調理容器を加熱する加熱部と、を備える、
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調理容器、及び調理容器を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスコンロのグリル庫などの加熱調理器内で、被加熱物を加熱調理するときに、使用される加熱容器が記載されている。
【0003】
この加熱容器は、被加熱物を収容するための容器本体と、容器本体に着脱可能に取り付けられる蓋とを備える。
【0004】
容器本体は、底壁と、底壁の周縁部から上側に突出した周壁とを有する。周壁は、その一部が外側に突出しており、この突出部分の上面が、蓋を置くための載置面となっている。周壁は、その上縁から外側に突出する持ち手を更に有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6309841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の加熱容器では、載置面を形成するための突出部分が外側に突出したうえで更に持ち手が外側に突出しているため、この突出部分と持ち手とを備える容器本体の寸法が大きくなっている。グリル庫内に収まる範囲で加熱容器の収容量を増やすためには、容器本体の寸法を抑える必要がある。
【0007】
上記事情に鑑みて、本開示は、蓋を置く部分と持ち手の部分を備えたうえで、容器本体の寸法を抑えることができる調理容器、及びこの調理容器を備えた加熱調理器を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る調理容器は、上面に開口を有する容器本体と、前記開口を覆う蓋と、を備え、前記容器本体は、底壁と、前記底壁の周縁部から立ち上がった周壁と、を有し、前記周壁は、前記底壁の前記周縁部から立ち上がった下周壁部と、前記下周壁部の上縁から外側に突出した突出部と、を含み、前記突出部の上面が、前記蓋を置くための載置面であり、前記突出部の下面が、指を引っ掛けるための持ち手面である。
【0009】
また、本開示の一態様に係る加熱調理器は、前記調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、蓋を置く部分と持ち手の部分を備えたうえで、容器本体の寸法を抑えることができる調理容器、及びこの調理容器を備えた加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1の調理容器を示す分解斜視図である。
図2図2は、同上の調理容器を示す平面図である。
図3図3は、図2のA-A線における断面図である。
図4図4は、図2のB-B線における断面図である。
図5図5は、同上の調理容器を備えた加熱調理器の一例を示す斜視図である。
図6図6は、同上の加熱調理器が備えるグリル部の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[調理容器]
(実施形態1)
(1)概要
図1に示す実施形態1の調理容器1は、魚や肉などの被調理物を加熱調理するときに、使用される容器である。調理容器1は、被調理物を収容した状態で、被調理物と一緒に加熱される。
【0013】
調理容器1は、上面に開口20を有する箱型の容器本体2と、開口20を覆う蓋3と、を備える。調理容器1は、容器本体2内に被調理物を収容し、容器本体2上に蓋3を置いた状態で加熱される。
【0014】
調理容器1は、図2に示すように、平面視における外形状が、およそ矩形である。以下では、調理容器1の平面視における長手方向を前後方向とし、調理容器1の平面視における短手方向を左右方向として、各構成について説明する。なお、調理容器1の厚み方向が、上下方向である。
【0015】
(2)詳細
(2-1)容器本体
図1に示すように、容器本体2は、底壁21と、底壁21の周縁部から立ち上がった周壁22と、を有する。容器本体2は、鋳物である。
【0016】
周壁22は、底壁21の周縁部から立ち上がった下周壁部23と、下周壁部23の上縁から外側に突出した突出部24を含む。突出部24は、下周壁部23の上縁の周方向の全長に設けられている。本実施形態では、周壁22は、突出部24の外縁から立ち上がった上周壁部25を更に含む。上周壁部25は、突出部24の外縁の周方向の全長に設けられている。
【0017】
図3図4に示すように、突出部24の上面は、蓋3を置くための載置面26である。突出部24の下面は、指を引っ掛けるための持ち手面27である。
【0018】
本実施形態では、底壁21は、平面視矩形状である。周壁22は、前後方向に離れて位置する前後の壁部220,221と、左右方向に離れて位置する左右の壁部222,223と、を含んだ平面視矩形枠状の構造を有する。なお、本開示における矩形とは、厳密な矩形に限らず、4隅が平面視円弧状に湾曲した矩形を含む。
【0019】
壁部220,221,222,223のうち、隣接する2つの壁部が連続する部分は、平面視円弧状をなしている。また、底壁21と周壁22(各壁部220,221,222,223)とが連続する部分も、円弧状をなしている。また、下周壁部23と突出部24とが連続する部分、及び突出部24と上周壁部25とが連続する部分も、円弧状をなしている。そのため、容器本体2の内側を向く面(周壁22の内周面と底壁21の上面)は、角を有さない円滑な面となっている。
【0020】
図1に示すように、突出部24は、平面視矩形枠状であり、載置面26と持ち手面27のそれぞれは、平面視矩形枠状である。持ち手面27は、下方から視て矩形枠状である。
【0021】
突出部24は、平面視矩形枠状の突出部24の一対の長辺部分を構成する一対の長辺側突出部240,241と、平面視矩形枠状の突出部24の一対の短辺部分を構成する一対の短辺側突出部242,243を含む。
【0022】
一対の長辺側突出部240,241は、前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向(つまり幅方向)とし、上下方向を厚み方向とする板状の部分である。一対の長辺側突出部240,241は、長さ(前後長さ)が互いに同じであり、幅(左右長さ)が互いに同じであり、厚み(上下長さ)が互いに同じである。
【0023】
一対の短辺側突出部242,243は、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向(つまり幅方向)とし、上下方向を厚み方向とする板状の部分である。一対の短辺側突出部242,243は、長さ(左右長さ)が互いに同じであり、幅(前後長さ)が互いに同じであり、厚み(上下長さ)が互いに同じである。一対の長辺側突出部240,241は、一対の短辺側突出部242,243よりも幅広である。
【0024】
一対の長辺側突出部240,241と一対の短辺側突出部242,243のそれぞれの上面が、載置面26であり、一対の長辺側突出部240,241と一対の短辺側突出部242,243のそれぞれの下面が、持ち手面27である。
【0025】
持ち手面27の幅寸法(周方向に直交する方向の寸法)は、鍋つかみ等の耐火断熱性の手袋を装着した状態で、指を引っ掛けやすいように、設定されている。持ち手面27の幅寸法は、例えば10mm以上であることが好ましい。
【0026】
持ち手面27は、一対の長辺側突出部240,241の下面である一対の長辺側持ち手面270,271と、一対の短辺側突出部242,243の下面である一対の短辺側持ち手面272,273を含む。持ち手面270,271,272,273は、隣接する2つの持ち手面が連続する部分が、平面視円弧状をなしている。持ち手面270,271,272,273のそれぞれは、直線状の部分と、円弧状に湾曲した部分とを有する。
【0027】
一対の長辺側持ち手面270,271の直線状の部分の幅寸法L1(図3参照)は、一対の短辺側持ち手面272,273の直線状の部分の幅寸法L2(図4参照)よりも大きい。具体的には、例えば、幅寸法L1は15mmであり、幅寸法L2は13mmある。幅寸法L1,L2はいずれも、10mm以上である。
【0028】
図1図4に示すように、容器本体2は、前後の壁部220,221の上縁から前後方向外側に突出した突片28と、各突片28と対応する壁部220,221に対して一体に設けられた複数のリブ29と、前側の壁部220の上端部から内側(後側)に突出した位置決め突起290と、を更に備える。
【0029】
本実施形態では、前側の突片28と前側の壁部220には、左右方向に間隔をあけて互いに平行に並ぶ3つのリブ29が、一体に設けられている。左のリブ29は、前側の突片28の左端部の下面と、前側の壁部220の上周壁部25を構成する部分の外面(前面)と一体である。右のリブ29は、前側の突片28の右端部の下面と、前側の壁部220の上周壁部25を構成する部分の外面(前面)と一体である。真ん中のリブ29は、前側の突片28の左右方向の中央部の下面と、前側の壁部220の上周壁部25を構成する部分の外面(前面)と、前側の壁部220の突出部24を構成する部分(前側の短辺側突出部242)の下面と、前側の壁部220の下周壁部23を構成する部分の外面(前面)のそれぞれに対して一体である。
【0030】
後側の突片28と後側の壁部220には、左右方向に間隔をあけて互いに平行に並ぶ2つのリブ29が、一体に設けられている。左のリブ29は、後側の突片28の左端部の下面と、後側の壁部221の上周壁部25を構成する部分の外面(後面)と一体である。右のリブ29は、後側の突片28の右端部の下面と、後側の壁部220の上周壁部25を構成する部分の外面(後面)と一体である。
【0031】
持ち手面27には、滑り止めを設けることが好ましい。滑り止めは、突起、凹み、突条、凹条等であり、鍋つかみ等の耐火断熱性の手袋を装着した状態でも指が引っ掛かりやすいように、形状及びその配置が決められている。
【0032】
(2-2)蓋
図1図4に示すように、蓋3は、平面視矩形状の蓋本体30と、蓋本体30から下側に突出した環状のリブ31と、蓋本体30の中央部の上に取り付けられた摘み32と、を備える。本実施形態の蓋3は更に、蓋本体30の後端部に取り付けられた操作片33を備える。蓋本体30は、鋳物である。摘み32は、金属製であり、操作片33は、耐火性を有する樹脂製である。
【0033】
蓋本体30は、その外周部分が外側の部分ほど下側に位置するように傾斜した傾斜部となっている。蓋本体30には、上下方向に貫通する複数の排気孔300と、上下方向に貫通し、且つ前側に開口した切欠き301と、摘み32を取り付けるための取付孔302と、操作片33を取り付けるための取付部303とが設けられている。なお、図示していないが、蓋本体30の上面には、蓋本体30の向きを案内する「オク」、「テマエ」等の表示部が設けられる。
【0034】
蓋本体30の下面の外周縁部には、載置面26に置かれる平坦な載せ部34が平面視矩形枠状に設けられている。環状のリブ31は、本実施形態では、平面視矩形枠状であり、下周壁部23よりも一回り小さい。環状のリブ31は、蓋本体30の下面のうち、載せ部34よりも内側の部分から、下側に突出している。蓋本体30の下面の、載せ部34とリブ31との間には、上側に凹んだ凹溝35が平面視矩形枠状に設けられている。
【0035】
摘み32は、上端部が円板状で、それより下方の部分が円柱状である。摘み32は、取付孔302に挿入されたリベット320によって蓋本体30に取り付けられている。
【0036】
操作片33は、後側に延びた横片部330と横片部330の後端部から下側に垂下した縦片部331とを有する。横片部330の前端部が、蓋本体30の取付部303にねじ等で固定されている。
【0037】
凹溝35は、その内底面(溝の奥の面)と、互いに対向する一対の内側面(溝の側面)とが、円弧状または鈍角をなして連続するように(つまり鋭角に交差しないように)、その形状が設定されている。
【0038】
蓋3は、容器本体2上に置いた状態において、環状のリブ31が、容器本体2の下周壁部23の内側に沿って位置し、載せ部34が周方向の全長にわたって、容器本体2の載置面26に接し、凹溝35と載せ部34との間にスペースが形成される。蓋3の切欠き301内に、容器本体2の位置決め突起290が位置する。操作片33の縦片部331は、容器本体2の外側に位置する。
【0039】
(3)調理容器の利用方法
続いて、調理容器1の利用方法の一例について説明する。
【0040】
まず、容器本体2を、キッチンカウンターの天板等の上に置き、容器本体2内に被調理物を入れる。次いで、容器本体2の載置面26に対して、その上方から蓋3を置く。
【0041】
次いで、例えば左右の長辺側突出部240,241の下面(長辺側持ち手面270,271)に指を引っ掛けて調理容器1を持ち上げ、調理容器1を加熱箇所へと移動させる。次いで、調理容器1を加熱し、被調理物を加熱調理する。
【0042】
次いで、加熱箇所から調理容器1を取り出す。このとき、例えば左右の長辺側突出部240,241の下面(長辺側持ち手面270,271)に指を引っ掛けて調理容器1を持ち上げ、調理容器1を移動させる。なおこのとき、鍋つかみ等を装着して、調理容器1を取り出す。次いで、容器本体2から蓋3を取り外す。蓋3は、摘み32を持ち上げることで、容器本体2から取り外すことができる。
【0043】
(4)調理容器の作用効果
以上説明した本実施形態の調理容器1では、周壁22の上下方向の一部の外側に突出した部分(突出部24)の上面が載置面26であり、この突出した部分(突出部24)の下面が持ち手面27である。
【0044】
そのため、本実施形態の調理容器1では、従来例のように載置面26の形成のための外側に突出した部分とは別に、持ち手の形成のための更に外側に突出した部分を有する場合に比べて、容器本体2の寸法(左右方向の寸法)を抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態の調理容器1では、持ち手面27が平面視矩形枠状であるため、任意の方向から持ち手面27に指を引っ掛けることができて、利用しやすい。
【0046】
また、本実施形態の調理容器1では、一対の長辺側持ち手面270,271が一対の短辺側持ち手面272,273よりも長く幅広であるため、一対の長辺側持ち手面270,271に指を引っ掛けて持ち運びやすい。
【0047】
また、本実施形態の調理容器1では、鍋つかみ等の耐火断熱性の手袋を装着した状態でも指を引っ掛けやすいように、持ち手面27の幅が設定されているため、載置面26の幅も広く確保できる。
【0048】
そのため、本実施形態の調理容器1では、載置面26に対して蓋3を置きやすく、また、煮汁が載置面26の外周縁まで到達しにくい。
【0049】
また、本実施形態の調理容器1では、蓋3から環状のリブ31が下側に突出し、下周壁部23の内側に沿って位置するため、このリブ31によって煮こぼれを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態の調理容器1では、蓋3の下面の外周縁に、載置面26に面接触する載せ部34を有するため、載置面26と載せ部34との間を通じて煮汁があふれ出しにくい。
【0051】
また、本実施形態の調理容器1では、蓋3の下面のリブ31と載せ部34との間に、上側に凹んだ凹溝35を有するため、下周壁部23よりも外側にあふれだした煮汁を、凹溝35内に収めることができ、蓋3の外側へ煮汁があふれ出しにくい。
【0052】
また、本実施形態の調理容器1では、突出部24の外縁の周方向の全長から上周壁部25が立ち上がっているため、蓋3の外側へ煮汁があふれ出しても、上周壁部25によって調理容器1からの吹きこぼれを抑制することができる。
【0053】
[加熱調理器]
続いて、上述した調理容器1を備える加熱調理器100の一例について説明する。
【0054】
加熱調理器100は、調理容器1内に収容された被調理物を加熱調理することの可能な加熱部を備える調理器である。
【0055】
図5に示す加熱調理器100は、加熱部としてグリル部101を備えたガスコンロである。このガスコンロは、システムキッチンのワークトップに設置されるドロップインタイプのガスコンロである。
【0056】
加熱調理器100は、天板102と、筐体103と、複数(3つ)のバーナー104と、複数(3つ)の五徳105と、複数(4つ)の操作スイッチ106と、複数(2つ)の操作パネル107と、制御部とを更に備える。
【0057】
天板102の上面は、加熱調理器100の上面を構成する。天板102は、少なくとも上面が耐熱強化ガラスで形成されたガラス天板等である。天板102には、グリル部101からの熱を排気する排気孔108と、複数のバーナー104を一対一に通すための複数の貫通孔109とが形成されている。天板102には、排気孔108を覆う網状の排気カバー110が取り付けられている。
【0058】
筐体103は、上面が開口した平面視矩形状の箱体である。筐体103の上面の開口は、天板102によって塞がれている。筐体103には、複数のバーナー104、複数の操作スイッチ106、複数の操作パネル107、グリル部101、及び制御部が収容される。
【0059】
筐体103は、前面を構成する左右一対の前パネル111を備えている。左右一対の前パネル111のそれぞれは、複数の操作スイッチ106が貫通した上パネル112と、上パネル112の下側に位置する下パネル113とで構成されている。下パネル113は、その下端部を中心に開閉する扉であり、操作パネル107が取り付けられている。操作パネル107は、下パネル113を前側に開くことで露出して、操作可能となる。下パネル113を閉じた状態では、操作パネル107は筐体103内に収容される。
【0060】
筐体103内の左右方向の中央部には、グリル部101が設けられている。グリル部101は、調理容器1を収容し、加熱するように設けられている。
【0061】
詳しくは、図6に示すように、グリル部101は、前面が開口した箱状のグリル庫114と、グリル庫114の底部と天井部のそれぞれに設けられたグリルバーナー115を備える。グリル部101は更に、グリル庫114に対して前後方向に移動可能に取り付けられた受け部材116と、受け部材116の前端部に設けられたグリル扉117(図5参照)を備える。グリル部101は更に、グリル庫114の後端部に、蓋3の有無を検知するセンサー部120を備える。
【0062】
グリルバーナー115は、被調理物が収容された調理容器1を上側から加熱する上バーナー(図示せず)と、被調理物が収容された調理容器1を下側から加熱する下バーナーとを含む。下バーナーは、バーナー104と同様の構造のガスバーナーであり、上バーナーは、輻射熱によって加熱を行うガスバーナーである。
【0063】
受け部材116は、左右一対のレール部118と、左右一対のレール部118上に取り付けられた容器受け119と、を有する。左右一対のレール部118のそれぞれは、前後方向に互いに連結された複数のレール部材で構成される。容器受け119は、容器本体2の前後の複数のリブ29を下から支える前後一対の支持部1190を有する。容器受け119は、鋼等の線材を屈曲して形成されている。
【0064】
グリル扉117及び受け部材116は、容器受け119を露出させる開位置(図6参照)と、容器受け119をグリル庫114内に収容する閉位置との間で、前後方向に移動可能である。グリル扉117及び受け部材116が開位置にあるとき、容器受け119の全体がグリル庫114よりも前側に位置する。グリル扉117及び受け部材116が閉位置にあるとき、容器受け119の全体がグリル庫114内に収容され、グリル扉117が左右一対の前パネル111の左右に並んで、グリル庫114の前面開口を閉塞する。
【0065】
続いて、上述した加熱調理器100を用いて、調理容器1内に収容された被調理物を加熱調理する方法の一例について説明する。
【0066】
まず、グリル扉117を前側に引っ張って、受け部材116を開位置へ移動させる。
【0067】
次いで、受け部材116の容器受け119に対して、その上方から調理容器1を置く。このとき、調理容器1の前後の複数のリブ29を、容器受け119の前後の支持部1190上に載せる。
【0068】
次いで、グリル扉117を後側に押して、受け部材116を閉位置へ移動させる。このとき、調理容器1の操作片33が、グリル庫114内のセンサー部120を押圧する。これにより、グリル庫114内に蓋3付きの容器本体2が収容されていることが検知される。
【0069】
次いで、複数の操作スイッチ106のうち、グリルバーナー115に対応した操作スイッチ106(本実施形態では右から2番目の操作スイッチ106)を押し操作して、グリルバーナー115を点火する。グリルバーナー115の火力、加熱時間等の調整、及び自動調理メニューの選択は、右側の操作パネル107を押し操作することによって行う。このとき、例えば、蓋3が必要な自動調理メニューが選択されたにも関わらず、蓋3が検知されていない場合には、制御部が、蓋3の装着を促す案内を音声等で利用者に対して行う。
【0070】
次いで、調理容器1内の被調理物の加熱調理が完了したら、グリル扉117を前側に引っ張って、受け部材116を開位置へ移動させ、容器受け119から調理容器1を取り外す。
【0071】
次いで、調理容器1の容器本体2上の蓋3を、取り外し、容器本体2上の加熱調理された被調理物を取り出して、皿等に載せる。
【0072】
(変形例)
続いて、上述した実施形態1の調理容器1及び加熱調理器100の変形例について説明する。
【0073】
周壁22は、上周壁部25を含まなくてもよい。
【0074】
突出部24は、下周壁部23の上縁の周方向の一部にのみ設けられてもよい。例えば、突出部24は、一対の長辺側突出部240,241と一対の短辺側突出部242,243のうち、一方だけを含んでもよい。
【0075】
一対の長辺側持ち手面270,271は、一対の短辺側持ち手面272,273と幅が同じであってもよいし、一対の短辺側持ち手面272,273よりも幅狭であってもよい。
【0076】
持ち手面27には、滑り止めが設けられなくてもよい。
【0077】
蓋3は、環状のリブ31を有さなくてもよい。
【0078】
調理容器1の平面視における外形は、矩形に限らず、正方形、円、楕円、多角形等のその他の形状であってもよい。
【0079】
蓋3は、操作片33を有さなくてもよい。また、蓋3は、蓋本体30に大きな開口が少なくとも1つ形成された枠状の油跳ねカバーであってもよい。
【0080】
加熱調理器100のグリル部101は、調理容器1が収容可能であり、かつ、調理容器1内に収容された被調理物を加熱調理可能なものであればよく、図6に示す構造に限定されない。
【0081】
加熱調理器100は、調理容器1内に収容された被加熱物を加熱調理することの可能な加熱部を有するものであればよく、グリル部101付きのガスコンロに限定されない。例えば、加熱調理器100は、グリル部101を備えず、バーナー104で調理容器1を加熱するものであってもよい。また、加熱調理器100としては、グリル部101を備える電気コンロ、ガスオーブン、電気オーブン、電子レンジ等であってもよい。
【0082】
(まとめ)
以上説明した実施形態1及びその変形例の調理容器1のように、第一態様の調理容器1は、下記の構成を備える。
【0083】
すなわち、第一態様の調理容器1は、上面に開口20を有する容器本体2と、開口20を覆う蓋3と、を備える。容器本体2は、底壁21と、底壁21の周縁部から立ち上がった周壁22と、を有する。周壁22は、底壁21の周縁部から立ち上がった下周壁部23と、下周壁部23の上縁から外側に突出した突出部24と、を含む。突出部24の上面が、蓋3を置くための載置面26であり、突出部24の下面が、指を引っ掛けるための持ち手面27である。
【0084】
上記構成を備えることで、第一態様の調理容器1では、周壁22の一部の外側に突出した部分(突出部24)の上面を載置面26として利用したうえで、この突出した部分(突出部24)の下面を持ち手面27として利用することができる。そのため、第一態様の調理容器1では、従来例のように載置面26の形成のための外側に突出する部分とは別に、持ち手面27の形成のための更に外側に突出する部分を設ける必要がなくて、容器本体2の寸法を抑えることができる。
【0085】
また、第二態様の調理容器1は、第一態様の調理容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0086】
すなわち、第二態様の調理容器1では、周壁22は、突出部24の外縁から立ち上がった上周壁部25を更に含む。
【0087】
上記構成を備えることで、第二態様の調理容器1では、突出部24の持ち手としての強度の向上を図れるうえ、上周壁部25によって煮こぼれを抑制することができる。
【0088】
また、第三態様の調理容器1は、第一又は第二態様の調理容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0089】
すなわち、第三態様の調理容器1では、突出部24は、下周壁部23の上縁の周方向の全長に設けられ、持ち手面27は、平面視矩形枠状である。
【0090】
上記構成を備えることで、第三態様の調理容器1では、長辺側の一対の持ち手面27に指を引っ掛けたり、短辺側の一対の持ち手面27に指を引っ掛けたり、任意の方向から調理容器1を持ち上げることができて、利用しやすい。
【0091】
また、第四態様の調理容器1は、第三態様の調理容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0092】
すなわち、第四態様の調理容器1では、持ち手面27は、一対の長辺側持ち手面270,271と一対の短辺側持ち手面272,273を含む。一対の長辺側持ち手面270,271は、一対の短辺側持ち手面272,273よりも幅広である。
【0093】
上記構成を備えることで、第四態様の調理容器1では、一対の長辺側持ち手面270,271が、長く幅広であるため、より指を引っ掛けやすい。
【0094】
また、第五態様の調理容器1は、第一~第四態様のいずれか1つの調理容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0095】
すなわち、第五態様の調理容器1では、持ち手面27には、滑り止めが設けられている。
【0096】
上記構成を備えることで、第五態様の調理容器1では、持ち手面27に引っ掛けた指が外れにくい。
【0097】
また、第六態様の調理容器1は、第一~第五態様のいずれか1つの調理容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0098】
すなわち、第六態様の調理容器1では、蓋3は、下側に突出した環状のリブ31を有する。リブ31は、蓋3が開口20を覆う位置にあるとき、下周壁部23の内側に沿って位置する。
【0099】
上記構成を備えることで、第六態様の調理容器1では、蓋3の環状のリブ31によって、調理容器1からの煮こぼれを抑制することができる。
【0100】
また、第七態様の加熱調理器100は、第一~第六態様のいずれか1つの調理容器1と、調理容器1を加熱する加熱部と、を備える。
【0101】
上記構成を備えることで、第七態様の加熱調理器100では、調理容器1内の被加熱物を加熱調理することができる。
【0102】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 調理容器
2 容器本体
20 開口
21 底壁
22 周壁
23 下周壁部
24 突出部
25 上周壁部
26 載置面
27 持ち手面
270 長辺側持ち手面
271 長辺側持ち手面
272 短辺側持ち手面
273 短辺側持ち手面
3 蓋
31 リブ
100 加熱調理器
図1
図2
図3
図4
図5
図6