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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】足場板用連結具および足場板の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/20 20060101AFI20230704BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
E04G7/20 D
E04G5/08 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018221010
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020084594
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595027099
【氏名又は名称】株式会社ニッケンビルド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩下 篤
(72)【発明者】
【氏名】福田 隆正
(72)【発明者】
【氏名】足立 英明
(72)【発明者】
【氏名】金田 修一
(72)【発明者】
【氏名】秦野 淳
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敦
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】徳永 正弘
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-273972(JP,A)
【文献】実開平02-053415(JP,U)
【文献】特開2019-094634(JP,A)
【文献】意匠登録第1556223(JP,S)
【文献】意匠登録第1556224(JP,S)
【文献】実開平04-023755(JP,U)
【文献】特開平08-021025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/20
E04G 5/08
E04F 15/06
E04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の足場板を連結するための足場板用連結具であって、
前記両足場板の連結方向にスライド可能な状態で、前記両足場板の下面側に組み付けられる接続部材と、
前記両足場板の上面にそれぞれ配置される二つの取付具と、
前記取付具の貫通穴に挿通される取付ねじと、を備え、
前記接続部材の上面には、前記取付ねじが螺合される二つのねじ穴が形成され、
一方の前記ねじ穴を一方の前記足場板の開口部の直下に配置したときに、他方の前記ねじ穴が他方の前記足場板の開口部の直下に配置されるように、前記両ねじ穴の間隔が設定されており、
前記取付具を前記足場板の上面に配置したときに、前記足場板の上面に形成された突出部が、前記取付具の嵌合穴に嵌め込まれており、
前記足場板には、平板状の踏み板と、前記踏み板の側縁部から垂直に垂れ下がった側板と、前記側板の下縁部から内側に突出した下板と、が形成されるとともに、
前記接続部材の側部には、上方に向けて延びている縦部が形成されており、
前記接続部材の側部は、前記足場板の前記踏み板と前記下板との間に配置され、
前記接続部材の側部の高さは、前記足場板の前記踏み板の下面と前記下板の上面との間隔よりも小さく形成されていることを特徴とする足場板用連結具。
【請求項2】
二枚の足場板を連結するための足場板用連結具であって、
前記両足場板の連結方向にスライド可能な状態で、前記両足場板の下面側に組み付けられる接続部材と、
前記両足場板の上面に配置される取付具と、
前記取付具の貫通穴に挿通される取付ねじと、を備え、
前記接続部材の上面には、ねじ穴が形成されており、
前記取付ねじは、前記足場板の開口部を通じて、前記ねじ穴に螺合され、
前記取付具を前記足場板の上面に配置したときに、前記足場板の上面に形成された突出部が、前記取付具の嵌合穴に嵌め込まれており、
前記足場板には、平板状の踏み板と、前記踏み板の側縁部から垂直に垂れ下がった側板と、前記側板の下縁部から内側に突出した下板と、が形成されるとともに、
前記接続部材の側部には、上方に向けて延びている縦部が形成されており、
前記接続部材の側部は、前記足場板の前記踏み板と前記下板との間に配置され、
前記接続部材の側部の高さは、前記足場板の前記踏み板の下面と前記下板の上面との間隔よりも小さく形成されていることを特徴とする足場板用連結具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の足場板用連結具であって、
前記接続部材の上面には差込穴が形成されており、
前記ねじ穴を前記足場板の前記開口部の直下に配置したときに、前記差込穴が前記足場板の前記開口部の直下に配置されるように、前記ねじ穴と前記差込穴との位置関係が設定されていることを特徴とする足場板用連結具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の足場板用連結具であって、
前記足場板は、
前記開口部が形成された前記踏み板と、
前記踏み板の両側縁部から垂れ下がった左右の前記側板と、を備え、
前記接続部材は、前記両側板の間に配置され、
前記接続部材の左右方向の幅は、前記両側板の内面の間隔よりも小さいことを特徴とする足場板用連結具。
【請求項5】
二枚の足場板を足場板用連結具を用いて連結する足場板の連結構造であって、
前記足場板用連結具は、
前記両足場板の連結方向にスライド可能な状態で、前記両足場板の下面側に組み付けられた接続部材と、
前記両足場板の上面にそれぞれ配置された二つの取付具と、
前記取付具の貫通穴に挿通された取付ねじと、を備え、
前記接続部材の上面には、二つのねじ穴が形成され、
一方の前記ねじ穴は、一方の前記足場板の開口部の直下に配置されるとともに、
他方の前記ねじ穴は、他方の前記足場板の開口部の直下に配置されており、
前記取付ねじは、前記足場板の前記開口部を通じて、前記接続部材の前記ねじ穴に螺合され、
前記足場板の上面に形成された突出部が、前記取付具の嵌合穴に嵌め込まれており、
前記足場板には、平板状の踏み板と、前記踏み板の側縁部から垂直に垂れ下がった側板と、前記側板の下縁部から内側に突出した下板と、が形成されるとともに、
前記接続部材の側部には、上方に向けて延びている縦部が形成されており、
前記接続部材の側部は、前記足場板の前記踏み板と前記下板との間に配置され、
前記接続部材の側部の高さは、前記足場板の前記踏み板の下面と前記下板の上面との間隔よりも小さく形成されていることを特徴とする足場板の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場板用連結具および足場板の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネルの施工現場では、複数の足場板を連結することで、作業足場を形成している。シールドトンネルの施工現場において二枚の足場板を連結するときには、枕木やブラケットの上方に設置するため、足場板の上方から作業できることが必要となる。また、二枚の足場板を連結部において確実に固定する必要がある。さらに、測量や作業内容に応じて、連続した複数の足場板から中間の一枚のみを撤去できる必要がある。
【0003】
そして、二枚の足場板の連結構造としては、角筒状の連結具に両足場板の端部を差し込み、連結具の網目に上方から差し込んだピンを足場板の穴部に差し込むことで、連結具を両足場板に固定しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-169012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二枚の足場板を連結したときに、その連結部が平坦であることが好ましいが、前記した従来の連結構造では、連結部の全幅に亘って、足場板と連結具との間に段差が形成されるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、二枚の足場板を上方から容易かつ確実に連結できるとともに、連続した複数の足場板から中間の一枚のみを撤去することができ、さらに、二枚の足場板を略平坦に連結できる足場板用連結具および足場板の連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第一の発明は、二枚の足場板を連結するための足場板用連結具である。前記足場板用連結具は、前記両足場板の連結方向にスライド可能な状態で、前記両足場板の下面側に組み付けられる接続部材と、前記両足場板の上面にそれぞれ配置される二つの取付具と、前記取付具の貫通穴に挿通される取付ねじと、を備えている。前記接続部材の上面には、前記取付ねじが螺合される二つのねじ穴が形成されている。一方の前記ねじ穴を一方の前記足場板の開口部の直下に配置したときに、他方の前記ねじ穴が他方の前記足場板の開口部の直下に配置されるように、前記両ねじ穴の間隔が設定されている。前記取付具を前記足場板の上面に配置したときに、前記足場板の上面に形成された突出部が、前記取付具の嵌合穴に嵌め込まれるように構成されている。前記足場板には、平板状の踏み板と、前記踏み板の側縁部から垂直に垂れ下がった側板と、前記側板の下縁部から内側に突出した下板と、が形成されるとともに、前記接続部材の側部には、上方に向けて延びている縦部が形成されている。前記接続部材の側部は、前記足場板の前記踏み板と前記下板との間に配置されている。前記接続部材の側部の高さは、前記足場板の前記踏み板の下面と前記下板の上面との間隔よりも小さく形成されている。
【0008】
前記課題を解決するため、第二の発明は、二枚の足場板を足場板用連結具を用いて連結する足場板の連結構造である。前記足場板用連結具は、前記両足場板の連結方向にスライド可能な状態で、前記両足場板の下面側に組み付けられた接続部材と、前記両足場板の上面にそれぞれ配置された二つの取付具と、前記取付具の貫通穴に挿通された取付ねじと、を備えている。前記接続部材の上面には、二つのねじ穴が形成されている。一方の前記ねじ穴は、一方の前記足場板の開口部の直下に配置されるとともに、他方の前記ねじ穴は、他方の前記足場板の開口部の直下に配置されている。前記取付ねじは、前記足場板の前記開口部を通じて、前記接続部材の前記ねじ穴に螺合されている。前記足場板の上面に形成された突出部が、前記取付具の嵌合穴に嵌め込まれている。前記足場板には、平板状の踏み板と、前記踏み板の側縁部から垂直に垂れ下がった側板と、前記側板の下縁部から内側に突出した下板と、が形成されるとともに、前記接続部材の側部には、上方に向けて延びている縦部が形成されている。前記接続部材の側部は、前記足場板の前記踏み板と前記下板との間に配置されている。前記接続部材の側部の高さは、前記足場板の前記踏み板の下面と前記下板の上面との間隔よりも小さく形成されている。
【0009】
前記課題を解決するため、第三の発明は、二枚の足場板を連結するための足場板用連結具である。前記足場板用連結具は、前記両足場板の連結方向にスライド可能な状態で、前記両足場板の下面側に組み付けられる接続部材と、前記両足場板の上面に配置される取付具と、前記取付具の貫通穴に挿通される取付ねじと、を備えている。前記接続部材の上面には、ねじ穴が形成されており、前記取付ねじは、前記足場板の開口部を通じて、前記ねじ穴に螺合される。前記取付具を前記足場板の上面に配置したときに、前記足場板の上面に形成された突出部が、前記取付具の嵌合穴に嵌め込まれるように構成されている。前記足場板には、平板状の踏み板と、前記踏み板の側縁部から垂直に垂れ下がった側板と、前記側板の下縁部から内側に突出した下板と、が形成されるとともに、前記接続部材の側部には、上方に向けて延びている縦部が形成されている。前記接続部材の側部は、前記足場板の前記踏み板と前記下板との間に配置されている。前記接続部材の側部の高さは、前記足場板の前記踏み板の下面と前記下板の上面との間隔よりも小さく形成されている。
【0010】
第一の発明、第二の発明および第三の発明では、接続部材を二枚の足場板の下面側に跨って配置し、取付具および取付ねじによって接続部材を両足場板に固定することで、両足場板を上方から容易かつ確実に連結できる。そして、接続部材が二枚の足場板に跨って配置されているため、足場板が連結部において上下方向に動くのを防ぐことができる。
また、第一の発明、第二の発明および第三の発明では、取付具および取付ねじを接続部材から取り外し、接続部材を片方の足場板側にスライドさせることで、両足場板を容易に分離できる。これにより、連続した複数の足場板から中間の一枚のみを撤去できる。
【0011】
第一の発明、第二の発明および第三の発明では、足場板の上面に配置する取付具を小さくできるため、両足場板を略平坦に連結できる。これにより、作業者が作業足場を通行するときの安全性を高めることができる。
【0012】
前記した足場板用連結具において、前記接続部材の上面に差込穴を形成し、前記ねじ穴を前記足場板の前記開口部の直下に配置したときに、前記差込穴が前記足場板の前記開口部の直下に配置されるように、前記ねじ穴と前記差込穴との位置関係を設定することが好ましい。
【0013】
この構成では、棒状の工具の先端部を足場板の上方から開口部を通じて接続部材の差込穴に差し込み、工具によって接続部材を押し出すことで、接続部材を足場板に対して容易にスライドさせることができる。
【0014】
前記足場板が、前記開口部が形成された踏み板と、前記踏み板の両側縁部から垂れ下がった左右の側板と、を備え、前記接続部材を前記両側板の間に配置する場合がある。この場合には、前記接続部材の左右方向の幅を前記両側板の内面の間隔よりも小さくして、足場板の側板の内面と接続部材の側面との間に隙間を形成することが好ましい。
【0015】
この構成では、接続部材に対して足場板を横方向に傾けることができるため、二枚の足場板を屈曲させて連結できる。これにより、複数の足場板を湾曲させて連結できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、二枚の足場板を上方から容易かつ確実に連結できるとともに、連続した複数の足場板から中間の一枚のみを撤去することができ、さらに、両足場板を略平坦に連結して、作業足場の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る連結構造を示した斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る連結構造を示した分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る連結構造を示した平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る連結構造を示した図で、図3のIV-IV断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る連結構造を示した図で、図3のV-V断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る連結構造において、二枚の足場板を屈曲させた状態を示した平面図である。
図7】本発明の実施形態に係る足場板用連結具の変形例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、図1に示すように、シールドトンネルの施工現場において、複数の足場板50をトンネルの長手方向に連結して作業足場を形成するときに、二枚の足場板50,50を連結するための足場板用連結具1および連結構造2について説明する。
【0019】
足場板50は、鋼製であり、図2に示すように、平板状の踏み板51と、踏み板51の左右の両縁部から垂直に垂れ下がった左右の側板52,52と、両側板52,52の下縁部から左右方向の内側に突出した左右の下板53,53と、を備えている。
【0020】
踏み板51には、複数の開口部54が貫通している。開口部54は、左右方向に延びている長孔である。各開口部54は、所定の間隔で前後方向に並べられている。隣り合う開口部54,54の間には、左右方向に延びている仕切り部55が形成されている。つまり、開口部54と仕切り部55とが前後方向に交互に並設されている。各開口部54は、足場板50の軽量化、採光および水捌けを目的として設けられている。
なお、踏み板51の前縁部には、開口部54の後半分が形成され、踏み板51の後縁部には、開口部54の前半分が形成されている。
【0021】
仕切り部55の上面には、複数の突出部56が形成されている。突出部56は、円形に突出した部位であり、作業者が足場板50を歩くときの滑り止めとなる。
【0022】
本実施形態では、図3に示すように、二枚の足場板50,50が前後方向に並べて配置されている。前側の足場板50の後端部と、後側の足場板50の前端部とは僅かに間隔を空けて突き合わされている。
前側の足場板50の後縁部に形成された開口部54の前半分と、後側の足場板50の前縁部に形成された開口部54の後半分とが連結されることで、一つの開口部54が形成されている。
【0023】
足場板用連結具1は、図2に示すように、二枚の足場板50,50を連結するための鋼製の部材である。足場板用連結具1は、接続部材10と、二つの取付具20,20と、二本の取付ねじ30,30と、を備えている。
【0024】
接続部材10は、四角形の平板部11と、平板部11の左右の側縁部に連設された左右の側部12,12と、が形成されている。
平板部11の前半分は、図5に示すように、前側の足場板50の踏み板51の下面側に配置されている。また、平板部11の後半分は、後側の足場板50の踏み板51の下面側に配置されている。
【0025】
接続部材10の側部12は、図4に示すように、平板部11の側縁部に連設された折り曲げ部である。側部12は、平板部11の側縁部から斜め下方に傾斜した傾斜部と、傾斜部の外縁部から外側に向けて延びている下横部と、下横部の外縁部から上方に向けて延びている縦部と、縦部の上縁部から内側に向けて延びている上横部とが形成されている。側部12は、軸断面がC形状となるように折り曲げられている。このように、接続部材10に折り曲げ加工された左右の側部12,12を設けることで、接続部材10の曲げ強度を高めている。
【0026】
左側の側部12は、足場板50の踏み板51と左側の下板53との間に配置されている。また、右側の側部12は、足場板50の踏み板51と右側の下板53との間に配置されている。
【0027】
接続部材10の左右方向の幅は、足場板50の左右の側板52,52の内面の間隔よりも僅かに小さく形成されている。したがって、足場板50の側板52の内面と、接続部材10の側部12の側面との間には隙間が形成されている。
また、接続部材10の側部12の高さは、足場板50の踏み板51の下面と下板53の上面との間隔よりも僅かに小さく形成されている。
【0028】
平板部11の上面には、図2に示すように、前後二つのねじ穴15,15が開口している。ねじ穴15は、平板部11を貫通しており、内周面にねじ溝が形成されている。なお、ねじ穴15は、平板部11に貫通穴を形成し、その貫通穴に連通するように、平板部11の下面にナットなどの雌ねじ部材を接合することで形成してもよい。
ねじ穴15は、平板部11の左右方向の中央部に形成されている。また、図3に示すように、前側のねじ穴15を前側の足場板50の開口部54の直下に配置したときに、後側のねじ穴15が後側の足場板50の開口部54の直下に配置されるように、両ねじ穴15,15の前後方向の間隔が設定されている。
【0029】
平板部11の上面には、図2に示すように、複数の差込穴16が開口している。差込穴16は平板部11を貫通している。本実施形態では、平板部11に五つの差込穴16が形成されている。
平板部11の中央部に形成された差込穴16は、図3に示すように、両足場板50,50の間に形成された開口部54の直下に配置されている。
ねじ穴15と中央の差込穴16との位置関係は、ねじ穴15を足場板50のいずれかの開口部54の直下に配置したときに、中央の差込穴16が足場板50の他の開口部54の直下に配置されるように設定されている。
【0030】
中央の差込穴16の前後には、差込穴16が二つずつ配置されている。前側の二つの差込穴16,16は、平板部11の左右方向の中央部を挟んで左右対象の位置に配置されている。また、前側の二つの差込穴16,16と、後側の二つの差込穴16,16とは、平板部11の前後方向の中央部を挟んで前後対象の位置に配置されている。
【0031】
五つの差込穴16の位置関係は、中央の差込穴16を開口部54の直下に配置したときに、前側の両差込穴16,16および後側の両差込穴16,16が、足場板50の仕切り部55の直下に配置されるように設定されている。
【0032】
取付具20は、図1に示すように、足場板50の踏み板51の上面に重ねられる板状の部材である。取付具20は、隣り合う二本の仕切り部55,55に跨って配置されている。取付具20の前縁部および後縁部は、下方に向けて折り曲げられており、開口部54に入り込んでいる。
取付具20は、踏み板51の左右方向の中央部に配置されている。取付具20の左右方向の幅は、足場板50の左右方向の幅に比べて非常に小さく形成されている。
【0033】
取付具20には、図5に示すように、足場板50の突出部56が嵌め込まれる嵌合穴21が貫通している。本実施形態の取付具20には、図1に示すように、前側の仕切り部55の二つの突出部56,56が嵌め込まれる二つの嵌合穴21,21と、後側の仕切り部55の二つの突出部56,56が嵌め込まれる二つの嵌合穴21,21とが形成されている。
【0034】
取付具20の中央部には、下方に向けて窪んだ窪み部22が形成されている。窪み部22は、図5に示すように、足場板50の開口部54に入り込んでおり、隣り合う二本の仕切り部55,55の間に挟まれている。窪み部22の中央部には、図2に示すように、貫通穴23が形成されている。
【0035】
図5に示すように、取付具20の嵌合穴21に突出部56が嵌め込まれるとともに、窪み部22が開口部54に入り込むことで、取付具20が踏み板51の上面に位置決めされている。
【0036】
取付具20の嵌合穴21に突出部56が入り込むことで、取付具20は突出部56の上端部よりも低い位置に配置されることになる。つまり、取付具20は、踏み板51の上面に形成された滑り止め用の各突出部56よりも低い位置に配置されている。
【0037】
取付ねじ30は、ねじ溝が形成された軸部31と、軸部31よりも拡径された頭部32と、を有する公知の雄ねじ部材である。
取付ねじ30の軸部31は、取付具20の貫通穴23(図2参照)に上方から挿通されている。取付ねじ30の頭部32は、窪み部22の上面に係合されている。頭部32は、取付具20の窪み部22内に収容されており、取付具20の上面よりも低い位置に配置されている。
【0038】
取付ねじ30の軸部31は、図2に示すように、踏み板51の開口部54を通じて、接続部材10のねじ穴15に螺合されている。これにより、図5に示すように、踏み板51の二本の仕切り部55,55が取付具20と接続部材10との間に挟まれており、取付具20および接続部材10が足場板50に固定されている。
【0039】
次に、本実施形態の足場板用連結具1を用いて二枚の足場板50,50を連結する手順について説明する。
まず、図2に示す後側の足場板50の前方に接続部材10を配置し、接続部材10を後方に移動させて、接続部材10を踏み板51の下面側に移動させる。このとき、接続部材10の左右の側部12,12は、踏み板51と下板53との間に挿入する。これにより、接続部材10の両側部12,12が足場板50に支持され、接続部材10は、足場板50の長手方向(前後方向)にスライド可能となる。そして、接続部材10全体を後側の足場板50の踏み板51の下面側に配置する。
【0040】
続いて、図3に示すように、後側の足場板50の前側に足場板50を配置し、前側の足場板50の後端部と後側の足場板50の前端部とを突き合わせる。
その後、接続部材10を前方にスライドさせ、接続部材10の前半分を前側の足場板50の踏み板51の下面側に配置し、接続部材10の後半分を後側の足場板50の踏み板51の下面側に配置する。
【0041】
接続部材10をスライドさせるときには、棒状の工具の先端部を足場板50の上方から開口部54を通じて接続部材10の中央の差込穴16に差し込む。そして、工具によって接続部材10を押し出すことで、接続部材10を足場板50に対してスライドさせることができる。
このとき、開口部54に露出していた差込穴16が移動して仕切り部55の下方に隠れると、他の差込穴16が開口部54に露出するため、順次に異なる差込穴16を利用して接続部材10をスライドさせることができる。
【0042】
接続部材10の前後のねじ穴15,15が前後の足場板50,50の開口部54,54の直下に配置されるように、両足場板50,50に対して接続部材10を配置する。
そして、図5に示すように、前後の足場板50,50の踏み板51,51の上面にそれぞれ取付具20,20を載置する。
【0043】
その後、図2に示すように、取付具20の貫通穴23に上方から取付ねじ30を挿通し、取付ねじ30を接続部材10のねじ穴15に螺合させることで、図1に示すように、接続部材10を二枚の足場板50,50に固定する。これにより、本実施形態の足場板用連結具1を用いて二枚の足場板50,50を連結した連結構造2が形成される。
【0044】
また、二枚の足場板50,50を分離させる場合には、前後の足場板50,50から取付ねじ30および取付具20を取り外す。そして、接続部材10を前方または後方にスライドさせ、接続部材10全体を片方の足場板50の踏み板51の下面側に移動させる。これにより、図2に示すように、二つの足場板50,50が分離した状態となる。
なお、接続部材10をスライドさせるときには、二枚の足場板50,50を連結するときと同様に、棒状の工具を差込穴16に差し込んで接続部材10を押し出す。
【0045】
以上のような本実施形態の足場板用連結具1および連結構造2では、図5に示すように、接続部材10が二枚の足場板50,50の下面側に跨って配置されている。そして、取付具20および取付ねじ30によって両足場板50,50に接続部材10に固定することで、両足場板50,50を上方から容易かつ確実に連結できる。そして、接続部材10が二枚の足場板50,50に跨って配置されているため、足場板50が連結部において上下方向に動くのを防ぐことができる。
また、取付具20および取付ねじ30を接続部材10から取り外し、接続部材10を片方の足場板50側にスライドさせることで、両足場板50,50を容易に分離できる。これにより、連続した複数の足場板50から中間の一枚のみを撤去できる。
【0046】
本実施形態の足場板用連結具1および連結構造2では、足場板50の平板部11の上面に配置された取付具20が小さいため、両足場板50,50を略平坦に連結できる。これにより、作業者が作業足場を通行するときの安全性を高めることができる。
【0047】
本実施形態の足場板用連結具1および連結構造2では、図3に示すように、棒状の工具の先端部を足場板50の上方から開口部54を通じて接続部材10の差込穴16に差し込むことができる。そして、図6に示すように、工具によって接続部材10を押し出すことで、接続部材10を足場板50に対して容易にスライドさせることができる。
【0048】
本実施形態の接続部材10には、中央の差込穴16と、中央の差込穴16に対して前後左右に配置された四つの差込穴16とが形成されている。このように、複数の差込穴16を一方向に並べることなく分散させることで、接続部材10の強度低下を抑えている。
【0049】
本実施形態の足場板用連結具1および連結構造2では、図3に示すように、足場板50の側板52の内面と、接続部材10の側部12の側面との間に隙間が形成されている。したがって、図6に示すように、接続部材10に対して両足場板50,50を左右方向に傾けることができるため、両足場板50,50を屈曲させて連結できる。これにより、複数の足場板50を湾曲させて連結できるため、湾曲している作業現場に合わせて、作業足場を湾曲させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の接続部材10では、図4に示すように、平板部11の左右に上向きに折り曲げた側部12,12が形成されているが、本発明の参考例としては、側部12の形状は限定されるものではなく、例えば、下向きに折り曲げてもよい。更には、接続部材10に折り曲げた側部を設けることなく、接続部材10全体を平坦に形成してもよい。
【0051】
本実施形態の接続部材10には、図2に示すように、五つの差込穴16が形成されているが、差込穴16の数は限定されるものではない。なお、接続部材10に差込穴16を設けなくてもよい。
本実施形態の接続部材10には、二つのねじ穴15,15が形成されているが、ねじ穴15の数は限定されるものではなく、例えば、三つ以上のねじ穴15を形成し、三つの取付具20を設けてもよい。
【0052】
本実施形態の取付具20には、足場板50の突出部56が嵌め込まれる四つの嵌合穴21が形成されているが、嵌合穴21の数は限定されるものではない。なお、本発明の参考例としては、取付具20に嵌合穴21を設けなくてもよい。
【0053】
本実施形態の足場板用連結具1では、接続部材10に二つのねじ穴15,15を形成し、二つの取付具20,20を前後の足場板50,50の上面にそれぞれ配置している。しかしながら、図7に示す足場板用連結具1Aのように、接続部材10に一つねじ穴15を形成し、一つの取付具20を前後の足場板50,50の仕切り部55,55の上面に跨って配置してもよい。そして、取付ねじ30を両足場板50,50の間の開口部54を通じて、ねじ穴15に螺合させることで、両足場板50,50を連結できる。
【0054】
本発明の足場板用連結具および連結構造を適用可能な足場板は限定されるものではなく、足場板の下面側に接続部材をスライド可能に取り付けることができるのであれば、各種公知の足場板に本発明の足場板用連結具および連結構造を適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 足場板用連結具
2 連結構造
10 接続部材
11 平板部
12 側部
15 ねじ穴
16 差込穴
20 取付具
21 嵌合穴
22 窪み部
23 貫通穴
30 取付ねじ
31 軸部
32 頭部
50 足場板
51 踏み板
52 側板
53 下板
54 開口部
55 仕切り部
56 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7