(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】換気口端末部材、及び、建物
(51)【国際特許分類】
F24F 7/04 20060101AFI20230704BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20230704BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20230704BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20230704BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F24F7/04 B
F24F7/10 Z
F24F13/24 245
E04B1/70 D
E04B1/82 S
(21)【出願番号】P 2018247488
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】511032534
【氏名又は名称】三菱地所レジデンス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】500398614
【氏名又は名称】株式会社メルコエアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒木 拓
(72)【発明者】
【氏名】大脇 雅直
(72)【発明者】
【氏名】水野 徳人
(72)【発明者】
【氏名】成▲瀬▼ 正輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-058735(JP,A)
【文献】実開昭52-063401(JP,U)
【文献】特開2009-222094(JP,A)
【文献】実開昭49-011311(JP,U)
【文献】特開昭51-097210(JP,A)
【文献】特開2008-150812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
F24F 7/10
F24F 13/24
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に形成された換気孔に取付けられる換気口端末部材であって、
建物の外壁面より建物の外側に突出するフード部と、弾性支持体と、フード部の天板の上に弾性支持体を介して設けられた水滴受板と、質量体とを備え、
弾性支持体は、ボルト及びナットあるいは溶接や接着剤によって、フード部の天板に連結されたとともに、ボルト及びナットあるいは溶接や接着剤によって、水滴受板に連結され、
質量体は、水滴受板に付加された錘又は補強板により形成され
、
水滴受板と弾性支持体と質量体とで構成される防振体の一次固有振動数f
0
が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定されたことを特徴とする換気口端末部材。
【請求項2】
請求項
1に記載された換気口端末部材のフード部及び水滴受板が外壁面よりも外側に突出するように当該換気口端末部材が外壁に設けられた建物であって、
建物の上下階の外壁に設けられた各換気口端末部材の各水滴受板が、垂直線上に位置されたことを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フード部の天板の上に弾性支持体を介して水滴受板が設けられた構造を備えた換気口端末部材等に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅、ホテル、事務所ビル等の建物においては、換気設備の設置が義務付けられている。当該換気設備としては、居室に換気口が設置されて、居室の外壁にベントキャップ等と呼称される換気口端末部材が設置されることが多い。
当該換気口端末部材は、フード部が外壁面よりも外側に突出するように建物の上下階の外壁の換気孔にそれぞれ取付けられ、上下階の各換気口端末部材が、垂直線上に位置されることが多い。
当該建物においては、降雨等の後に、上階の換気口端末部材から水滴が落下して下階の換気口端末部材のフード部の天板の上に衝突した際に、水滴落下衝突音が生じ、当該水滴落下衝突音が固体伝播音として居室内に伝播する。
当該水滴落下衝突音の低下対策を施した換気口端末部材としては、例えば、フード部の天板の上に弾性支持体を介して水滴受板が設けられた構造のものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された換気口端末部材では、弾性支持体と水滴受板とで構成される防振体の一次固有振動数f0が高くなり、上述した水滴落下衝突時における中高周波数帯域の音を低減させる効果が十分ではないため、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルを低減できないという課題があった。
本願発明は、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルを低減できて、水滴落下衝突音の低減効果に優れた換気口端末部材等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る換気口端末部材は、建物の外壁に形成された換気孔に取付けられる換気口端末部材であって、建物の外壁面より建物の外側に突出するフード部と、弾性支持体と、フード部の天板の上に弾性支持体を介して設けられた水滴受板と、質量体とを備え、弾性支持体は、ボルト及びナットあるいは溶接や接着剤によって、フード部の天板に連結されたとともに、ボルト及びナットあるいは溶接や接着剤によって、水滴受板に連結され、質量体は、水滴受板に付加された錘又は補強板により形成され、水滴受板と弾性支持体と質量体とで構成される防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定されたことを特徴とする。
以上のように構成された換気口端末部材によれば、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルを低減できて、水滴落下衝突音の低減効果に優れた換気口端末部材となる。
また、本発明に係る建物は、上述した換気口端末部材のフード部及び水滴受板が外壁面よりも外側に突出するように当該換気口端末部材が外壁に設けられた建物であって、建物の上下階の外壁に設けられた各換気口端末部材の各水滴受板が、垂直線上に位置されたので、上階の換気口端末部材から水滴が落下して下階の換気口端末部材の水滴受板に衝突した際に生じる水滴落下衝突音の低減効果に優れた建物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】換気口端末部材を前側から見た斜視図(実施形態1)。
【
図2】換気口端末部材を後側から見た斜視図(実施形態1)。
【
図5】建物の上下階の外壁に取付けられた上の換気口端末部材から下の換気口端末部材に水滴が落下する状態を示す図(実施形態1)。
【
図6】換気口端末部材の防振体の構造を示す断面図(実施形態1)。
【
図11】実験結果に基づく各試験体の防振体の一次固有振動数f
0とA特性音圧レベルとの関係を示すグラフ。
【
図12】実験結果に基づく各試験体の防振体の一次固有振動数f
0とA特性音圧レベルとの関係を示すグラフ。
【
図13】換気口端末部材の防振体の構造を示す断面図(実施形態2)。
【
図14】換気口端末部材の防振体の構造を示す断面図(実施形態3)。
【
図15】換気口端末部材の防振体の構造を示す断面図(実施形態4)。
【
図16】換気口端末部材の防振体の構造を示す断面図(実施形態5)。
【
図17】換気口端末部材の防振体の構造を示す断面図(実施形態6)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至
図6に示すように、実施形態1に係る換気口端末部材1は、建物90の外壁91に建物90の内外に連通するように形成された換気孔92に挿入される筒部2と、建物90の外壁面93より外側に突出するフード部3と、フード部3の天板32の上に弾性支持体4を介して設けられた水滴受板5と、水滴受板5に付加された質量体Xとを備え、水滴受板5と弾性支持体4と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f
0が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定されている。
当該換気口端末部材1の筒部2、フード部3、水滴受板5は、例えば金属板により形成される。
尚、本明細書においては、換気口端末部材1の上、下、左、右、前、後は、
図1,
図2に示した方向と定義して説明する。
【0008】
図1,
図2に示すように、フード部3は、四角形状の前板31と、天板(上板)32と、左側板33と、右側板34と、後板35とを備えた直方体函状に形成されており、下部が開口された室外側通風孔36(
図1参照)に形成されて、かつ、後板35を形成する四角形状の板の中央側が開口された室内側通風孔37に形成され、当該室内側通風孔37の孔縁側に筒部2の一端開口縁側が接続されている。即ち、筒部2が、フード部3の後板35に接続されて当該後板35の後方に延長するように設けられた構成となっている。筒部2は、例えば、円筒部に形成される。
即ち、フード部3は、換気口端末部材1が換気孔92に取付けられることによって、下部の室外側通風孔36、及び、室内側通風孔37を介して、建物90の内側から建物90の外側に、又は、建物90の外側から建物90の内側に空気が流通可能となる。
また、室外側通風孔36、及び、室内側通風孔37のうち、少なくとも、一方の通風孔はガラリ38(
図1参照)に形成されている。
【0009】
換言すれば、フード部3は、四角形状の前板31と、前板31の板面と対向する板面を備えた後板35と、前板31の四角形の上辺と後板35の四角形の上辺とを繋ぐ天板32と、前板31の四角形の上辺の一端より下方に延長する四角形の左辺と後板35の四角形の上辺の一端より下方に延長する左辺とを繋ぐ左側板33と、前板31の四角形の上辺の他端より下方に延長する四角形の右辺と後板35の四角形の上辺の他端より下方に延長する右辺とを繋ぐ右側板34とで構成され、換気口端末部材1が換気孔92に取付けられた場合、これら前板31と天板32と左側板33と右側板34と後板35とで囲まれた空間が、下部の室外側通風孔36を介して室外と連通し、かつ、後板35の室内側通風孔37を介して室内と連通するように構成されている。
【0010】
即ち、換気口端末部材1は、筒部2が筒部2の他端側から建物90の外壁91に形成された換気孔92に挿入されて、フード部3の後板35の後面35aが建物90の外壁面93に近接し、かつ、天板32が上方、左側板33が左側、右側板34が右側に位置された状態となるように設置される。
尚、筒部2の外周面には、例えば図外の板ばねが設けられており、当該筒部2が換気孔92内に押し込まれて当該板ばねが換気孔92の内面にばね弾性によって押し付けられることによって、換気口端末部材1が換気孔92に固定され、当該固定された状態で、フード部3の後板35の上縁、左縁、右縁と外壁面93との隙間にシーリング材等の隙間充填剤が充填されることにより、換気口端末部材1が換気孔92に取付けられる。
【0011】
また、フード部3の後板35の下端側には、フード部3の板面を伝って流れてくる水を受けて当該受けた水を外壁面93から離れた外壁面93の前側に流す水切部39を備える。
水切部39は、例えば、フード部3の後板35において室外側通風孔36よりも下方に突出した部分により形成された奥板39aと、奥板39aの下端側の左右の側縁より突出する突出片39b,39bと、奥板39aの下端及び左右の突出片39b,39bの下端より前方下方に傾斜して突出する傾斜片39cと、傾斜片39cの左右の側縁より上方に立ち上がるように設けられた左右の規制片39d,39dとを備えた構成である。
当該水切部39を備えたので、フード部3の板面を伝って流れてくる水滴が傾斜片39cを介して外壁面93の前側に流下して、下階の換気孔92に取付けられた換気口端末部材1の水滴受板5上に落下するので、水滴が外壁面93を伝って流れ落ちることを防止でき、外壁面93に水跡が付いてしまうことを防止できる。
【0012】
フード部3の天板32の上に弾性支持体4を介して設けられた水滴受板5は、フード部3の天板32の上方を覆うように配置された屋根形状の板材により構成される。
図1に示すように、例えば、水滴受板5の上面は、寄棟の頂上部がフード部3の天板32の長方形よりも一回り小さい相似な長方形の平面状となった屋根形状に形成される。
換言すれば、水滴受板5は、例えば、フード部3の天板32の長方形よりも一回り小さい長方形状の板により形成されて板面がフード部3の天板32の板面と所定の間隔を隔てて平行に対向すように配置された中央板部51と、当該中央板部51を構成する長方形の各辺縁から対応するフード部3の天板32の長方形の各辺縁に近付くように傾斜する傾斜板により形成された周辺板部52,52…とを備えた構成である。
そして、水滴受板5は、中央板部51を構成する長方形の中心5Cが、フード部3の天板32の板面と直交して当該天板32の長方形の中心を通過する垂直線V上に位置されるように、弾性支持体4を介してフード部3の天板32の上に設けられる。
【0013】
そして、
図5に示すように、上下階の外壁91,91に、換気口端末部材1のフード部3及び水滴受板5が外壁面93より外側に突出するように各換気口端末部材1,1が設けられ、各換気口端末部材1,1の各水滴受板5,5の中心5C,5Cが、垂直線V上に位置された建物90が構成される。
当該建物90においては、上階に取付けられた換気口端末部材1のフード部3の板面を伝って水切部39に流れてくる水が水切部39の傾斜片39cの前端を介して下階に取付けられた換気口端末部材1の水滴受板5の上に落下する。
【0014】
そして、水滴受板5への水滴落下衝突時のA特性音圧レベルを低減するため、実施形態1に係る換気口端末部材1では、フード部3の天板32の上に弾性支持体4を介して水滴受板5を設けるとともに、当該水滴受板5に質量体Xを付加した構成とし、当該水滴受板5と弾性支持体4と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した。
【0015】
弾性支持体4は、板ばね60を使用した。当該板ばね60は、
図6に示すように、天板32の上面の中央側に連結される中央板部62と、中央板部62の左右両方の端部からそれぞれ天板32の上面と直交して水滴受板5の中央板部51に近づく方向に延長する左右の立ち上がり板部63,63と、左右の立ち上がり板部63,63の上端からそれぞれ互いに反対方向に上がって傾斜するように延長する左右の傾斜板部64,64と、各傾斜板部64,64の上端からそれぞれ互いに反対方向に延長して水滴受板5の中央板部51の下面51uと接触して水滴受板5の中央板部51の左右両側に連結される左右両方の端板部61,61とを備えた形状のものを用いた。
【0016】
即ち、実施形態1の換気口端末部材1は、
図6に示すように、弾性支持体4を、ばねとしての板ばね60により構成し、当該板ばね60の中央板部62の中心と天板32の上面の中心とを一致させた状態で当該中央板部62と天板32とが1組以上のボルト41及びナット42により連結されるとともに、天板32に連結された板ばね60の中央板部62よりも上方に位置された板ばね60の左右両方の端板部61,61と中央板部51の左右側とがボルト41及びナット42により連結された構成とした。
尚、天板32の下面とナット42との間、端板部61の下面とナット42との間には、例えば、平座金43及びばね座金44が設置される。
【0017】
質量体Xは、例えば、錘、補強板等により形成され、図外のねじ、リベット、溶接、接着剤、接着テープ等の結合手段により、水滴受板5から容易に外れないように水滴受板5に結合され、例えば、水滴受板5における中央板部51の下面51uの中央側に結合される。
例えば、水滴受板5における中央板部51の中央に貫通孔を設けるとともに、質量体Xの上下面に亘って貫通する貫通孔を設け、これら貫通孔にボルトを貫通させた後、当該ボルトの先端側からナットを螺着して締結することにより、水滴受板5と質量体Xとを結合させるようにすればよい。
【0018】
尚、実施形態1及び後述する各実施形態の換気口端末部材1において、水滴受板5と弾性支持体4と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f
0は、次式(1)で求めることができる。
【数1】
ここで、
f
0:防振体の一次固有振動数(Hz)
m:水滴受板側(=水滴受板5+質量体X)の質量(kg)
k:弾性支持体のばね定数(N/m)
【0019】
一般に、上述した防振体の一次固有振動数f0を低くするためには、弾性支持体4のばね定数を小さくすればよいが、弾性支持体4のばね定数を小さくしすぎると、弾性支持体4が柔らかくなりすぎて、防振体を構造体として成立させることが難しくなる。
そこで、本発明では、弾性支持体4のばね定数を変えずに、水滴受板5に質量体Xを付加して水滴受板側の質量を大きくすることによって、防振体の一次固有振動数f0を低くすることに着目した。
【0020】
本発明の換気口端末部材1の水滴落下衝突音低減効果を確認するための実験を以下のように行った。
【0021】
・実験方法
共同住宅の給気孔に取付けた換気口端末部材の各試験体に水滴が落下する状況を模擬した実験を簡易無響室内で行った。
実験設備は以下のとおりである。
足場の下部に内径900mm角の箱(内部をグラスウールで吸音処理した箱)を設置し、箱の正面中央の位置の外側に換気口端末部材の試験体を設置するとともに、内側にレジスター(内側換気口)を設置した。レジスターは樹脂製のプッシュタイプとし、実験時は「開」の状態とした。
共同住宅の一般的な階高を想定し、換気口端末部材の試験体天端に高さ3mの位置からスポイトを使って水滴を落下させた。
水滴落下衝突音の測定は、マイクロホンを箱内部の中心の位置に設置し、水滴落下衝突音のA特性音圧レベルを測定した。水滴の落下回数は、1試験体に対し50回とし、外部からの影響の小さい40回のデータの平均値を測定値とした。
【0022】
・換気口端末部材の各試験体
実験に用いた換気口端末部材の各試験体の設計値は、
図7及び
図9に示すとおりである。
即ち、
図7及び
図9において、
(a)対策なし=天板の上に水滴受板を備えない構成の換気口端末部材。
(b)特許文献1=特許文献1に開示された構成の換気口端末部材(防振体のばね定数k=248.8N/mm、防振体の一次固有振動数f
0=300Hz)。
(c)αg(水滴受板の質量α=52g、136g、112g)+0g=実施形態1の換気口端末部材1から質量体Xを除去した構成の換気口端末部材(以下、「質量体なし」という)。
(d)αg(水滴受板の質量α=52g、136g、112g)+βg(質量体Xの質量β=26g、52g、78g、104g)=実施形態1の換気口端末部材1(以下、「質量体あり」という)。
また、(c)質量体なし、及び、(d)質量体ありの各試験体では、弾性支持体のばね定数kが、k=2.4N/mm、k=4.3N/mm、k=8.3N/mm、k=4.9N/mmのものを使用して測定を行った。
また、筒部の内径(φ)を100mmとした試験体と、筒部の内径(φ)を150mmとした試験体とを用いて測定を行った。
【0023】
尚、各換気口端末部材の試験体の材質、寸法等は、以下のとおりである。
共通部分=筒部、フード部、水滴受板の材質=ステンレス鋼SUS304、水滴受板の短辺43mm、長辺150mm。
筒部の内径(φ)が100mmの試験体は、水滴受板の板厚1.0mm、水滴受板の質量=52g、あるいは、水滴受板の板厚2.5mm、水滴受板の質量=136g。
筒部の内径(φ)が150mmの試験体は、水滴受板の板厚1.0mm、水滴受板の質量=112g。
【0024】
・実験結果
図7乃至
図12に、上述した換気口端末部材の各試験体のA特性音圧レベルの測定結果を示す。
尚、
図7及び
図8は、各試験体の換気口端末部材として筒部の内径(φ)が100mmの試験体を使用した場合のA特性音圧レベルの測定結果を示す。
図9及び
図10は、各試験体の換気口端末部材として筒部の内径(φ)が150mmの試験体を使用した場合のA特性音圧レベルの測定結果を示す。
また、
図11は、各試験体の換気口端末部材として筒部の内径(φ)が100mmの試験体を使用した場合の各試験体の防振体の一次固有振動数f
0とA特性音圧レベルとの関係を示す。
図12は、各試験体の換気口端末部材として筒部の内径(φ)が150mmの試験体を使用した場合の各試験体の防振体の一次固有振動数f
0とA特性音圧レベルとの関係を示す。
【0025】
筒部の内径(φ)が100mmの各試験体の測定結果を比較すると、対策なし、及び、特許文献1の試験体と比べて、質量体なし、質量体ありの試験体では、A特性音圧レベルが低く、水滴落下衝突音の低減効果に優れていることがわかる。
さらに、質量体なしの試験体と質量体ありの試験体とを比べると、質量体あり試験体のほうが、A特性音圧レベルが低く、水滴落下衝突音の低減効果に優れていることがわかる。
また、筒部の内径(φ)が150mmの各試験体の測定結果においても、同様に、質量体ありの試験体では、他の試験体と比べて、A特性音圧レベルが低く、水滴落下衝突音の低減効果に優れていることがわかる。
また、
図11,
図12から明らかなように、防振体の一次固有振動数f
0を低くした場合に、A特性音圧レベルを低くできることがわかる。
【0026】
また、水滴受板の板厚を厚くして水滴受板自体の質量を大きくした場合、即ち、水滴受板の質量=136gとした試験体の場合、防振体の一次固有振動数f0が低くなるので、水滴落下衝突時における中高周波数帯域の音を低減させる効果が向上し、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルが低くなっている。しかしながら、この場合、水滴受板の板厚を厚くしなければならず、水滴受板の材料費が嵩むという問題が生じる。
一方、実施形態1のように、水滴受板に質量体Xを付加した構成とすれば、水滴受板の板厚を薄くして水滴受板の材料費を抑えることができるとともに、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルが低く、水滴落下衝突音の低減効果に優れた換気口端末部材を得ることができる。
【0027】
以上から明らかなように、実施形態1に係る換気口端末部材1によれば、筒部2と、フード部3と、フード部3の天板32の上に弾性支持体4を介して設けられた水滴受板5と、水滴受板5に付加された質量体Xとを備えた構成としたので、弾性支持体4のばね定数を小さくしすぎないようにできて、防振体を構造体として成立させることができるとともに、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルを低減できて、水滴落下衝突音の低減効果に優れた換気口端末部材1を提供できる。
また、実施形態1に係る換気口端末部材1によれば、水滴受板5と弾性支持体4と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定したので、水滴落下衝突時における中高周波数帯域の音を低減させる効果が向上し、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルをより低減できて、水滴落下衝突音の低減効果に優れた換気口端末部材1を得ることができる。
【0028】
実施形態2
図13に示すように、実施形態2の換気口端末部材1は、弾性支持体4を、ばねとしての板ばね60により構成し、当該板ばね60は、水滴受板5の中央板部51の下面51uと接触して中央板部51の中央側に連結される中央板部62と、中央板部62の左右両方の端部からそれぞれ中央板部51の下面51uと直交して天板32に近づく方向に延長する左右の立ち下がり板部63,63と、左右の立ち下がり板部63,63の下端からそれぞれ互いに反対方向に下って傾斜して延長する左右の傾斜板部64,64と、各傾斜板部64,64の下端からそれぞれ互いに反対方向に延長して天板32の上面と接触して天板32に連結される左右両方の端板部61,61とを備えた形状のものを用いた。即ち、実施形態1の換気口端末部材1で説明した板ばね60を上下逆向きにして使用した。
【0029】
実施形態2の換気口端末部材1は、例えば
図13に示すように、板ばね60の左右両方の端板部61,61がフード部3の天板32にボルト41及びナット42により連結されるとともに、天板32に連結された板ばね60の左右両方の端板部61,61よりも上方に位置された板ばね60の中央板部62と水滴受板5の中央板部51とが1組以上のボルト41及びナット42により連結された構成とした。
尚、天板32の下面とナット42との間、中央板部62の下面とナット42との間には、例えば、平座金43及びばね座金44が設置される。
【0030】
そして、実施形態2に係る換気口端末部材1では、水滴受板5における中央板部51の下面51uの左右両側にそれぞれ質量体X,Xが付加されて構成され、板ばね60と水滴受板5と質量体X,Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した。
【0031】
実施形態3
図14に示すように、実施形態3の換気口端末部材1は、弾性支持体4を、ばねとしての複数の板ばね60A,60Bにより構成し、当該複数の板ばね60A,60Bと水滴受板5と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f
0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した。
【0032】
板ばね60Aは、天板32の上面と接触して天板32に連結される左右両方の端板部61A,61Aと、左右両方の端板部61A,61A間を繋ぐ湾曲板部62Aとを備えた形状のものを用いた。
また、板ばね60Bは、水滴受板5の中央板部51の下面51uと接触して中央板部51に連結される左右両方の端板部61B,61Bと、左右両方の端板部61B,61B間を繋ぐ湾曲板部62Bとを備えた形状のものを用いた。
【0033】
実施形態3の換気口端末部材1は、例えば
図14に示すように、一方の板ばね60Aの左右両方の端板部61A,61Aが天板32の左右側にボルト41及びナット42により連結されるとともに、他方の板ばね60Bの左右両方の端板部61B,61Bが水滴受板5の中央板部51の左右側にボルト41及びナット42により連結され、かつ、一方の板ばね60Aの左右両方の端板部61A,61Aよりも上方に位置された一方の板ばね60Aの湾曲板部62Aの中央部と他方の板ばね60Bの左右両方の端板部61B,61Bよりも下方に位置された他方の板ばね60Bの湾曲板部62Bの中央部とがボルト41及びナット42により連結された構成とした。
そして、質量体Xは、例えば、水滴受板5における中央板部51の下面51uの中央側に付加した。
尚、天板32の下面とナット42との間、他方の板ばね60Bの端板部61Bの下面とナット42との間、一方の板ばね60Aの湾曲板部62Aの中央部の下面とナット42との間には、例えば、平座金43及びばね座金44が設置される。
【0034】
実施形態4
図15に示すように、実施形態4の換気口端末部材1は、弾性支持体4を、ばねとしてのコイルばね(圧縮コイルばね)60Cと支軸46とにより構成し、当該コイルばね60Cと支軸46と水滴受板5と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f
0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した。
質量体Xは、例えば、水滴受板5における中央板部51の下面51uの中央側に付加した。
【0035】
コイルばね60Cは、水滴受板5の中央板部51の左端部側に配置された左のコイルばね60Cと、水滴受板5の中央板部51の右端部側に配置された右のコイルばね60Cとを用いた。
【0036】
実施形態4の換気口端末部材1は、例えば
図15に示すように、コイルばね60Cの一端61C側が、天板32の上面と接触するか、又は、天板32と連結されるとともに、コイルばね60Cの他端62C側が、水滴受板5の下面と接触するか、又は、水滴受板5と連結された構成とした。
【0037】
具体的には、
図15に示すように、水滴受板5の中央板部51の下面51uの左右側には、当該下面51uから突出するように支軸46,46が設けられている。即ち、当該支軸46の他端46aが溶接等の固定手段によって水滴受板5の中央板部51に下面51uに取付けられている。
また、フード部3の天板32において、コイルばね60Cの一端61Cが配置される位置には、それぞれ、支軸46を貫通させるための軸貫通孔47が形成されている。
【0038】
そして、実施形態4の換気口端末部材1は、水滴受板5の中央板部51の下面51uに固定されている支軸46を、コイルばね60Cの他端62C側からコイルばね60Cの中空部及び天板32の軸貫通孔47に通して、支軸46の一端46b側を天板32の下面より下方に突出させ、当該支軸46の一端46b側に軸止部材48を取付けることによって、コイルばね60Cの他端62Cが水滴受板5の中央板部51の下面51uに接触し、かつ、コイルばね60Cの一端61Cが天板32の上面に接触した状態が維持されるように構成される。
【0039】
また、実施形態4では、弾性支持体4は、コイルばね60Cの他端62Cと水滴受板5の中央板部51の下面とを溶接、接着等の固定手段によって連結するとともに、コイルばね60Cの一端61Cと天板32の上面とを溶接、接着等の固定手段によって連結した構成としてもよい。
【0040】
また、図示しないが、実施形態4では、弾性支持体4は、支軸46を備えずに、例えば、コイルばね60Cの他端62Cと水滴受板5の中央板部51の下面とが溶接、接着等の固定手段によって連結され、かつ、コイルばね60Cの一端61Cと天板32の上面とが溶接、接着等の固定手段によって連結された構成としてもよい。
【0041】
即ち、実施形態4の換気口端末部材1は、弾性支持体4を、ばねとしてコイルばね(圧縮コイルばね)60Cにより構成し、当該コイルばね60Cと水滴受板5と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した構成としてもよい。
【0042】
実施形態5
図16に示すように、実施形態5の換気口端末部材1は、弾性支持体4を、ゴム70と実施形態1(
図6参照)の板ばね60とにより構成し、当該板ばね60とゴム70と水滴受板5と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f
0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した。
質量体Xは、例えば、水滴受板5における中央板部51の下面51uの中央側に付加した。
【0043】
実施形態5の換気口端末部材1は、例えば
図16に示すように、板ばね60の中央板部62が天板32の中央部にゴム70を介してボルト41及びナット42により連結されるとともに、天板32に連結された板ばね60の中央板部62よりも上方に位置された板ばね60の左右両方の端板部61,61と水滴受板5の中央板部51の左右側とがボルト41及びナット42により連結された構成とした。
尚、端板部61の下面とナット42との間には、例えば、平座金43及びばね座金44が設置される。
【0044】
板ばね60の中央板部62とフード部3の天板32とのゴム連結部7は、具体的には、次のように構成される。
板ばね60の中央板部62には、ボルト41を貫通させるボルト貫通孔が形成されている。
また、ゴム70は、中心に、金属筒45を装着するための装着孔73が形成された円筒状でかつ外周面には外周面を一周するリング状の溝71が形成された円筒状のゴムである。
また、フード部3の天板32において、板ばね60の中央板部62が連結される位置には、円筒状のゴム70が嵌め込まれる嵌合用貫通孔72が形成されている。
【0045】
予めゴム70の装着孔73内に金属筒45を装着しておき、そして、フード部3の天板32に形成された嵌合用貫通孔72の孔縁が円筒状のゴム70のリング状の溝71に嵌まり込むように、ゴム70を嵌合用貫通孔72に取付ける。
その後、板ばね60の中央板部62に形成されたボルト貫通孔とゴム70の内側に装着された金属筒45の筒孔とが一致するように、板ばね60の中央板部62を天板32の上面より上方に突出するゴム70の一端面に設置し、ボルト41を板ばね60の中央板部62のボルト貫通孔と金属筒45の筒孔とに通してボルト41の先端側を天板32の下面より下方に突出するゴム70の他端面より下方に突出させる。
そして、このゴム70の他端面より下方に突出させたボルト41の先端側に例えば平座金43及びばね座金44を介してナット42を締結することにより、板ばね60の中央板部62と天板32とがゴム70を介してボルト41及びナット42により連結された構造のゴム連結部7が構成される。
尚、板ばね60の中央板部62と天板32と連結するゴム連結部7は、
図14に示すように、1組以上設けられる。
【0046】
また、図示しないが、実施形態5においては、弾性支持体4は、板ばね60の端板部61側及び中央板部62のうちの少なくとも一方が、ゴム連結部7によって連結された構成とすればよい。例えば、実施形態5の弾性支持体4は、板ばね60の左右両方の端板部61,61がゴム連結部7を介して水滴受板5に連結されるとともに、板ばね60の中央板部62がゴム連結部7を介して天板32に連結された構成としてもよい。
【0047】
即ち、実施形態5の換気口端末部材1は、
図16に示すように、実施形態1の板ばね60と同じものを使用して、当該板ばね60の中央板部62と天板32の中央側との連結部を1組以上のゴム連結部7により構成した。
尚、
図16において特に説明しなかった部分の構成は、実施形態1(
図6)の構成と同じである。
【0048】
実施形態6
図17に示すように、実施形態6の換気口端末部材1は、弾性支持体4を、例えば実施形態1(
図6参照)や実施形態5(
図16参照)で示した板ばね60と同様な形状に形成されてばね機能を持つゴムとしてのゴム板600により構成し、当該ゴム板600と水滴受板5と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f
0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定した。
質量体Xは、例えば、水滴受板5における中央板部51の下面51uの中央側に付加した。
【0049】
ゴム板600は、フード部3の天板32に連結される中央板部602と、中央板部602の左右の端部からそれぞれ天板32と直交して水滴受板5に近づく方向に延長する左右の立ち上がり板部603,603と、左右の立ち上がり板部603,603の上端からそれぞれ互いに反対方向に上がって延長する左右の傾斜板部604,604と、各傾斜板部604,604の上端からそれぞれ互いに反対方向に延長して水滴受板5に連結される左右両方の端板部601,601とを備えた形状のものを用いた。
【0050】
即ち、実施形態6の換気口端末部材1は、
図17に示すように、ゴム板600の左右両方の端板部601,601が水滴受板5の中央板部51の左右側にボルト41及びナット42により連結されるとともに、中央板部51の左右側に連結された左右の端板部601,601よりも下方に位置された中央板部602が天板32の中央側にボルト41及びナット42により連結された構成とした。
尚、天板32の下面とナット42との間、端板部601の下面とナット42との間には、例えば、平座金43及びばね座金44が設置される。
【0051】
各実施形態2乃至実施形態6の換気口端末部材1によれば、弾性支持体4を、ばね(板ばね60、板ばね60Aと板ばね60Bの組み合わせ、コイルばね60C)、あるいは、ばねとゴム70、あるいは、ゴム板(ゴム)600により構成し、当該弾性支持体4と水滴受板5と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0を、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように、より好ましくは、オクターブバンドの16Hz以上で63Hz以下の周波数となるように設定したので、実施形態1の換気口端末部材1と同様に、弾性支持体4のばね定数を小さくしすぎないようにできて、防振体を構造体として成立させることができるとともに、水滴落下衝突時のA特性音圧レベルを低減できて、水滴落下衝突音の低減効果に優れた換気口端末部材1となる。
【0052】
即ち、各実施形態1乃至実施形態6の換気口端末部材1によれば、一次固有振動数f0の√2倍にあたる周波数より高い周波数帯において振動伝達率が1以下の防振域となるので、水滴受板5からフード部3への振動伝達が抑制されて、水滴の落下衝突で生成された振動エネルギーのフード部3への伝播を抑制することができる。
【0053】
また、当該一次固有振動数f0の周辺の周波数帯は振動増幅域であり、各実施形態1乃至実施形態6で示した防振体の構造を採用することにより、防振体の一次固有振動数f0の共振ポイントの増幅倍率は大きくなるが、一次固有振動数f0の近辺の周波数帯は周波数補正A特性での補正量が大きな領域であるため、人が感じる音圧レベルとしては低い値になる。
【0054】
また、実施形態5(
図16参照)に示した換気口端末部材1のように、弾性支持体4がゴム連結部7を備えた構成の場合、ゴム連結部7のゴム70が有する減衰の効果によって、防振体の共振ポイントの増幅倍率を低下させる効果が付与されるので、共振ポイントの弊害を抑えて水滴落下衝突音の低減効果を向上した換気口端末部材1を得ることができる。
【0055】
また、実施形態6(
図17参照)に係る換気口端末部材1によれば、弾性支持体4を、ばね機能を持つように形成されたゴム板600で構成したため、ゴムが有する減衰の効果を持たせることができるので、防振体の共振ポイントの増幅倍率を低下させる効果が付与され、共振ポイントの弊害を抑えて水滴落下衝突音の低減効果を向上した換気口端末部材1を得ることができる。
【0056】
また、本発明によれば、上述した換気口端末部材1のフード部3及び水滴受板5が外壁面93よりも外側に突出するように当該換気口端末部材1が外壁91に設けられ、上下階の外壁91に設けられた各換気口端末部材1,1…の各水滴受板5,5…が、垂直線V上に位置された建物90を構築することによって、上階の換気口端末部材1から水滴Wが落下して下階の換気口端末部材1の水滴受板5に衝突した際に生じる水滴落下衝突音の低減効果に優れた建物90を提供できる。
【0057】
尚、換気口端末部材1の全体形状は丸形でもよい。
また、換気口端末部材1のフード部3の天板32や水滴受板5の形状は矩形でなくてもよい。
また、換気口端末部材1は、開口部が、フード部3の下部のみでなく、フード部3の側面、正面に設けられた構成であってもよい。また、開口部にネットが張られた構成のものであってもよい。
【0058】
また、換気口端末部材1は、筒部2を備えずに、外壁に直接取り付けられる構成のものであってもよい。
【0059】
また、水滴受板5と弾性支持体4との連結、弾性支持体4と天板32との連結は、ボルト及びナットによる連結でなくともよい。例えば、溶接や接着剤等によって連結された構成としてもよい。
【0060】
尚、弾性支持体4、水滴受板5の形態は、特に限定されない。
【0061】
また、各実施形態では、質量体Xを水滴受板5の下面51uに付加した例を示したが、質量体Xを、水滴受板5の上面や端面に付加するようにしてもよい。即ち、質量体Xが水滴受板5の板面や端面から突出するように設けられていればよい。
【0062】
また、質量体Xを弾性支持体4に付加した構成としてもよい。
【0063】
尚、質量体Xは、どのような材質のものであってもよい。
また、質量体Xの個数は、1つ以上であればよい。
【0064】
また、各実施形態では、水滴受板5と弾性支持体4と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定された例を示したが、水滴受板5と弾性支持体4と質量体Xとで構成される防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの16Hz以上で125Hz以下の周波数となるように設定されていなくてもよい。例えば、当該防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの16Hzよりも多少低い周波数となるように設定されたり、あるいは、当該防振体の一次固有振動数f0が、オクターブバンドの125Hzよりも多少高い周波数となるように設定されていても構わない。
【符号の説明】
【0065】
1 換気口端末部材、3 フード部、4 弾性支持体、5 水滴受板、
32 フード部の天板、90 建物、91 外壁、92 換気孔、93 外壁面、
X 質量体。