(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】検出システム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20230704BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20230704BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20230704BHJP
G06F 21/34 20130101ALI20230704BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230704BHJP
【FI】
G06F21/32
A61B5/1171 100
A61B5/1172
G06F21/34
G06T7/00 510
(21)【出願番号】P 2019027836
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-02-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 昭雄
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-020650(JP,A)
【文献】特開2007-293396(JP,A)
【文献】特開2008-153361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
A61B 5/1171
A61B 5/1172
G06F 21/34
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を検出するセンサ部を備え、ユーザが携帯可能な携帯物と、機能実行装置とを有し、
前記機能実行装置は、
前記センサ部が検出したユーザの生体情報を通信により取得する生体情報取得部と、
前記ユーザの生体情報に基づいて前記ユーザの認証を行って、前記機能実行装置自身、又は、前記機能実行装置とは別の装置である被操作装置を操作する処理である所定機能を実行するかを判断する認証部と、
前記所定機能を実行すると判断された場合に、前記機能実行装置自身、又は、前記機能実行装置とは別の装置である被操作装置を操作する機能制御部と、を有
し、
前記センサ部は、
前記ユーザの血管パターンと前記ユーザの指紋との少なくとも一方を検出し、
アモルファスシリコンを含む半導体を有する第1フォトダイオードと、ポリシリコンを含む半導体を有する第2フォトダイオードとを備えて、前記ユーザの血管パターンと前記ユーザの指紋とを検出するものであり、前記第1フォトダイオードと前記第2フォトダイオードとは、前記第1フォトダイオードが外部に露出する側に位置するように、積層されている、
検出システム。
【請求項2】
前記機能実行装置は、前記携帯物が所定の状態となったことをトリガとして、前記センサ部が検出した前記ユーザの生体情報を取得する、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記機能実行装置は、前記携帯物と前記機能実行装置とが所定の距離範囲内にあることをトリガとして、前記センサ部が検出した前記ユーザの生体情報を取得する、請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記機能実行装置は、前記ユーザが前記所定機能を実行するための操作を前記携帯物又は機能実行装置に対して行ったことをトリガとして、前記センサ部が検出した前記ユーザの生体情報を取得する、請求項2又は請求項3に記載の検出システム。
【請求項5】
前記機能実行装置は、前記携帯物の情報を読み取ったことをトリガとして、前記センサ部が検出した前記ユーザの生体情報を取得する、請求項2に記載の検出システム。
【請求項6】
前記携帯物は、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、又は、情報を記憶する記憶部を有するカードである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システム及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ認証を行うために、生体情報が利用されるケースがある。例えば特許文献1には、生体情報を検出して入室管理を行う入室管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、ユーザは、入室するためには、認証を受けるための操作を入室管理装置に対して行う必要があり、認証に手間を要する場合がある。また、入室管理に限られず、認証の手間を抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、認証の手間を抑制することが可能な検出システム及び認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による検出システムは、ユーザの生体情報を検出するセンサ部を備え、ユーザが携帯可能な携帯物と、前記センサ部が検出したユーザの生体情報を通信により取得し、前記ユーザの生体情報に基づいた前記ユーザの認証結果に基づき、所定機能を実行する機能実行装置と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による認証方法は、ユーザが携帯可能な携帯物に設けられて前記ユーザの生体情報を検出するセンサ部から、通信により前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得ステップと、前記ユーザの生体情報に基づいた前記ユーザの認証結果に基づき、所定機能を実行する機能実行ステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検出システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の携帯端末の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る携帯端末の概略断面構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る携帯端末の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、部分検出領域を示す等価回路図である。
【
図7】
図7は、生体情報検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るセンサ部の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。
【
図11】
図11は、他の例に係る部分検出領域を示す等価回路図である。
【
図12】
図12は、他の例に係る部分検出領域の模式的な断面図である。
【
図13】
図13は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る機能実行装置と携帯端末との機能構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る検出システムの模式図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る検出システムの模式図である。
【
図20】
図20は、カードが機能実行装置に挿入された状態の例を示す模式図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
(検出システムの全体構成)
図1は、第1実施形態に係る検出システムを示す模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る検出システム1は、携帯端末100と、機能実行装置110と、被操作装置200とを有する。検出システム1は、機能実行装置110が、携帯端末100からユーザUの生体情報を取得して、取得した生体情報に基づき所定機能を実行するシステムである。
【0011】
図2は、第1実施形態の携帯端末の一例を示す図である。携帯物としての携帯端末100は、ユーザUが携帯可能であり、ユーザUの生体情報を検出するセンサ部10を備える。第1実施形態に係る携帯端末100は、ユーザが携帯して操作可能な端末であり、ここではスマートフォンやタブレット端末などである。
図2の例では、携帯端末100は、表面100A1に、画像を表示したりユーザの操作を受け付けたりする表示領域100Bを有する。また、携帯端末100は、表面100A1と反対側の面である背面100A2に、センサ部10が備えられている。ただし、携帯端末100は、スマートフォンやタブレットに限られず、ユーザUが携帯可能な物であればよい。また、センサ部10が設けられる位置も、背面100A2に限られず任意である。
【0012】
図1に示す機能実行装置110は、通信により、センサ部10からユーザUの生体情報を取得する。そして、機能実行装置110は、ユーザUの生体情報に基づいたユーザUの認証結果において認証可である場合に、所定機能を実行する。
図1の例では、機能実行装置110は、ユーザUの入室を管理する入室管理装置である。また、
図1の例では、被操作装置200は、電子鍵を備えた扉である。
図1の例では、機能実行装置110は、ユーザUの生体情報に基づいてユーザUが入室可能かを認証し、認証可、すなわち入室を許可する場合に、被操作装置200を操作して被操作装置200の電子鍵を開き、ユーザUが入室可能な状態にする。一方、機能実行装置110は、認証不可、すなわち入室を許可しない場合に、被操作装置200の電子鍵を閉じたままとし、ユーザUが入室不可な状態にする。すなわち、
図1の例では、所定機能は、被操作装置200を操作する機能となっている。ただし、所定機能は、被操作装置200を操作する機能に限られず、機能実行装置110が実行するように予め設定されている機能であれば、任意の機能であってよい。機能実行装置110の詳細な構成などについては後述する。
【0013】
(携帯端末の構成)
センサ部10を備えた携帯端末100の構成について説明する。
図3は、第1実施形態に係る携帯端末の概略断面構成を示す断面図である。
図3は、カバーガラス102と、センサ部10と、光源部104との積層構成を示している。カバーガラス102と、センサ部10と、光源部104とは、この順で並んで設けられる。
【0014】
光源部104は、光を照射する光照射面104aを有し、光照射面104aから、センサ部10に向けて光L1を照射する。光源部104は、バックライトである。光源部104は、光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode))を有していてもよい。また、光源部104は、センサ部10に対応する位置に設けられた導光板と、導光板の一方端又は両端に並ぶ複数の光源とを有する、いわゆるサイドライト型のバックライトであってもよい。また、光源部104は、センサ部10の直下に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであっても良い。また、光源部104は、バックライトに限定されず、携帯端末100の側方や上方に設けられていてもよく、ユーザの指Fgの側方や上方から光L1を照射してもよい。
【0015】
センサ部10は、光源部104の光照射面104aと対向して設けられる。言い換えると、光源部104とカバーガラス102との間に、センサ部10が設けられる。光源部104から照射された光L1は、センサ部10及びカバーガラス102を透過する。センサ部10は、例えば、光反射型の生体情報センサであり、カバーガラス102と空気との界面で反射した光L2を検出することで、指Fgや手のひらなどの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出できる。また、センサ部10は、指Fgや手のひらの内部で反射した光L2を検出することで、血管パターンを検出してもよいし、他の生体情報を検出してもよい。また、光源部104からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。例えば、指紋検出の場合には、光源部104は青色又は緑色の光L1を照射し、血管パターン検出の場合には、光源部104は赤外光の光L1を照射することができる。
【0016】
カバーガラス102は、センサ部10及び光源部104を保護するための部材であり、センサ部10及び光源部104を覆っている。カバーガラス102は、例えばガラス基板である。なお、カバーガラス102はガラス基板に限定されず、樹脂基板等であってもよい。また、カバーガラス102が設けられていなくてもよい。この場合、携帯端末100の表面に保護層が設けられ、指Fgは携帯端末100の保護層に接する。
【0017】
携帯端末100は、光源部104に換えて表示パネルが設けられていてもよい。表示パネルは、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED: Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(μ-LED、Mini-LED)であってもよい。或いは、表示パネルは、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。この場合であっても、表示パネルから照射された表示光がセンサ部10を透過し、指Fgで反射された光L2に基づいて、指Fgの指紋や生体に関する情報を検出することができる。
【0018】
図4は、第1実施形態に係る携帯端末の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、携帯端末100は、制御部6と、記憶部8と、センサ部10と、検出制御部11と、電源回路13と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出部40とを有する。制御部6は、携帯端末100に搭載される演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部6は、例えば、記憶部8からプログラムを読み出すことで、各種処理を実行する。記憶部8は、制御部6の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0019】
センサ部10は、光電変換素子である第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を有する光センサである。センサ部10が有する第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGCLに従って検出を行う。
【0020】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号SEL等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。電源回路13は、携帯端末100に設けられる回路であり、電源信号SVS(
図7参照)等の電圧信号をセンサ部10及びゲート線駆動回路15などに供給する。
【0021】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(
図5参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数の第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を選択する。
【0022】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(
図5参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号SELに基づいて、選択された信号線SGLと、検出回路である後述のAFE48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の検出信号Vdetを検出部40に出力する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。
【0023】
検出部40は、AFE(Analog Front End;アナログフロントエンド回路)48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、を備える回路である。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、AFE(Analog Front End;アナログフロントエンド回路)48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、が同期して動作するように制御する。
【0024】
AFE48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、信号線選択回路16を介してセンサ部10から出力された検出信号Vdetを、増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号、すなわち増幅された検出信号Vdetを、デジタル信号に変換する。
【0025】
信号処理部44は、AFE48の出力信号、すなわちデジタル信号に変換された検出信号Vdetに基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指Fgや手のひらがセンサ部10に重畳するカバーガラス102に接触又は近づいた場合に、AFE48からの検出信号Vdetに基づいて、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)や、指Fgや手のひらの血管パターンを検出できる。なお、以下、特に断りがない場合は、指Fgや手のひらがセンサ部10に重畳するカバーガラス102に接触した場合、又は、指Fgや手のひらが生体情報を検出可能な程度に近い位置にある場合を、「近接」と記載する。
【0026】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0027】
座標抽出部45は、信号処理部44において指Fgや手のひらの近接が検出されたときに、指Fg等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、センサ部10の各第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)の形状や、指Fgや手のひらの血管パターンの形状を示す、二次元情報を生成する。この二元情報が、ユーザの生体情報であるといえる。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。この場合は、検出信号Vdetを、ユーザの生体情報と呼んでもよい。
【0028】
制御部6は、座標抽出部45が作成した二次元情報、すなわちセンサ部10が検出したユーザの生体情報を取得する。
【0029】
次に、携帯端末100の回路構成例及び動作例について説明する。
図5は、携帯端末の回路図である。
図6は、部分検出領域を示す等価回路図である。
図7は、生体情報検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【0030】
図5に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。
図6に示すように、部分検出領域PAAは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネル型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0031】
第1スイッチング素子Trのゲートはゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第1フォトダイオードPD1のアノード電極35、第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。このように、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trに、同方向に並列接続される。
【0032】
信号線SGLには、第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRが接続される。第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRは、第1スイッチング素子Trを駆動する駆動回路を構成する素子である。本実施形態において、駆動回路は、周辺領域GAに設けられたゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及びリセット回路17等を含む。第3スイッチング素子TrSは、例えば、pチャネルトランジスタp-TrSとnチャネルトランジスタn-TrSとを組み合わせたCMOS(相補型MOS)トランジスタで構成される。第4スイッチング素子TrRも同様にCMOSトランジスタで構成される。
【0033】
リセット回路17の第4スイッチング素子TrRがオンになると、容量素子Caには、電源回路13から、容量素子Caの初期電位となる基準信号VR1が供給される。これにより、容量素子Caがリセットされる。部分検出領域PAAに光が照射されると、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2にはそれぞれ光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介してAFE48に接続される。これにより、携帯端末100は、部分検出領域PAAごとに、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0034】
図5に示すように、ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。ゲート線GCLの数は8本であるが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、8本以上、例えば256本配列されていてもよい。
【0035】
なお、第1方向Dxは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、例えば、ゲート線GCLと平行な方向である。また、第2方向Dyは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、絶縁基板21に垂直な方向である。
【0036】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAに接続される。また、複数の信号線SGL1、SGL2、…、SGL12は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。信号線SGLの数は12本であるが、あくまで一例であり、信号線SGLは、12本以上、例えば252本配列されていてもよい。また、
図5では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0037】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、レベルシフタ151を介して受け取る。ゲート線駆動回路15は、複数の第2スイッチング素子TrG(図示は省略する)を有している。ゲート線駆動回路15は、第2スイッチング素子TrGの動作により、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0038】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL1、SGL2、…、SGL6は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL7、SGL8、…、SGL12は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれAFE48に接続される。
【0039】
ここで、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6を第1信号線ブロックとし、信号線SGL7、SGL8、…、SGL12を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL1に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL7に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL2に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL8に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0040】
検出制御部11(
図4参照)は、レベルシフタ161を介して、選択信号SELを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックで同時に1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、携帯端末100は、AFE48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0041】
図5に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0042】
検出制御部11(
図4参照)は、リセット信号RST2を、レベルシフタ171を介してリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路13(
図4参照)は、基準信号VR1を基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Caに基準信号VR1が供給される。
【0043】
次に、携帯端末100の動作例について説明する。
図7に示すように、携帯端末100は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路13は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、電源信号SVSを第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に供給する。また、リセット期間Prstが開始する前の時刻に、検出制御部11は、高レベル電圧信号の基準信号VR1及びリセット信号RST2を、リセット回路17に供給する。検出制御部11は、ゲート線駆動回路15にスタート信号STVを供給し、リセット期間Prstが開始する。
【0044】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号VGCLをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号VGCLは、高レベル電圧VGHと低レベル電圧VGLとを有するパルス状の波形を有する。
図6では、256本のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256が順次供給される。
【0045】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号VR1が供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。
【0046】
ゲート駆動信号VGCL256がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex1、…、Pex256は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHから低レベル電圧VGLに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号VGCLが低レベル電圧VGLから高レベル電圧VGHに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex1、…、Pex256の露光時間の長さは等しい。
【0047】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0048】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、検出制御部11は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256を順次供給する。
【0049】
例えば、ゲート駆動信号VGCL1が高レベル電圧VGHの期間に、検出制御部11は、選択信号SEL1、…、SEL6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号VGCL1により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時にAFE48に接続される。この結果、検出信号VdetがAFE48に供給される。同様に、各ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHとなる期間ごとに、信号線選択回路16が順次信号線SGLを選択する。これにより、読み出し期間Pdetで、携帯端末100は、全ての部分検出領域PAAの検出信号VdetをAFE48に出力することができる。
【0050】
携帯端末100は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを、繰り返し実行して検出を行ってもよい。或いは、携帯端末100は、指Fg等が携帯端末100に近接したことを検出したタイミングで、検出動作を開始してもよい。
【0051】
次に、センサ部の詳細な構成について説明する。
図8は、第1実施形態に係るセンサ部の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図9は、
図8のIX-IX断面図である。なお、
図8では、図面を見やすくするために、カソード電極34及びアノード電極35を二点鎖線で示している。
【0052】
なお、以下の説明において、絶縁基板21の表面に垂直な方向において、絶縁基板21から第1フォトダイオードPD1に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。第1フォトダイオードPD1から絶縁基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、絶縁基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0053】
図8に示すように、センサ部10の部分検出領域PAAは、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域である。第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative Diode)型のフォトダイオードである。
【0054】
第1フォトダイオードPD1は、第1半導体層31と、カソード電極34と、アノード電極35とを含む。第1半導体層31は、第1部分半導体層31aと、第2部分半導体層31bとを含む。第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アモルファスシリコン(a-Si)である。第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、第1方向Dxにおいて、間隔SPを有して隣り合って設けられる。カソード電極34及びアノード電極35は、第1部分半導体層31a、第2部分半導体層31b及び間隔SPと重なる領域に亘って連続して設けられる。なお、以下の説明において、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを区別して説明する必要がない場合には、単に第1半導体層31と表す場合がある。
【0055】
第1フォトダイオードPD1は、第2フォトダイオードPD2と重なって設けられる。具体的には、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aは、第2フォトダイオードPD2と重なる。第2フォトダイオードPD2は、第2半導体層51と、カソード電極54と、アノード電極55とを含む。第2半導体層51は、ポリシリコンである。より好ましくは、第2半導体層51は、低温ポリシリコン(以下、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicone)と表す)である。
【0056】
第2半導体層51は、i領域52a、p領域52b及びn領域52cを有する。平面視で、i領域52aは、p領域52bとn領域52cとの間に配置される。具体的には、第1方向Dxにおいて、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に配置される。n領域52cは、ポリシリコンに不純物がドープされてn+領域を形成する。p領域52bは、ポリシリコンに不純物がドープされてp+領域を形成する。i領域52aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p領域52b及びn領域52cよりも低い導電性を有する。
【0057】
第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aとは、第1中継電極56及び第2中継電極57を介して接続される。本実施形態では、第1中継電極56のうち第2半導体層51と重なる部分が、カソード電極54として機能する。第2中継電極57のうち第2半導体層51と重なる部分が、アノード電極55として機能する。なお、第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1との詳細な接続構成については後述する。
【0058】
第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1の第2部分半導体層31bと重なる領域に設けられる。第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を有する。第3半導体層61は、第2半導体層51と同様にポリシリコンである。より好ましくは、第3半導体層61は、LTPSである。
【0059】
本実施形態では、第1中継電極56のうち第3半導体層61と重なる部分が、ソース電極62として機能する。信号線SGLのうち第3半導体層61と重なる部分が、ドレイン電極63して機能する。また、ゲート電極64は、ゲート線GCLから第2方向Dyに分岐して第3半導体層61と重なる。本実施形態では、2つのゲート電極64は第3半導体層61と重なって設けられた、いわゆるダブルゲート構造である。
【0060】
第1スイッチング素子Trは、第1中継電極56を介して、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54と接続される。また、第1スイッチング素子Trは、信号線SGLとも接続される。
【0061】
より具体的には、
図9に示すように、第1スイッチング素子Trは、絶縁基板21に設けられている。絶縁基板21は、例えば透光性を有するガラス基板である。或いは、絶縁基板21は、透光性を有するポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。携帯端末100は、第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trが絶縁基板21の上に形成される。このため、例えばシリコン基板などの半導体基板を用いた場合に比べ、携帯端末100は、検出領域AAの面積を大きくすることが容易である。
【0062】
絶縁基板21の上に、遮光層67、68が設けられる。アンダーコート膜22は、遮光層67、68を覆って、絶縁基板21の上に設けられる。アンダーコート膜22、ゲート絶縁膜23、第1層間絶縁膜24は、無機絶縁膜であり、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0063】
第2半導体層51及び第3半導体層61は、アンダーコート膜22の上に設けられる。つまり、第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51及び第1スイッチング素子Trの第3半導体層61は、同層に設けられる。また、第3方向Dzにおいて、第2半導体層51と絶縁基板21との間に遮光層67が設けられる。これにより、光L1が直接、第2フォトダイオードPD2に照射されることを抑制することができる。また、第3方向Dzにおいて、第3半導体層61と絶縁基板21との間に遮光層68が設けられる。これにより、第1スイッチング素子Trの光リーク電流を抑制することができる。
【0064】
第3半導体層61は、i領域61a、LDD(Lightly Doped Drain)領域61b及びn領域61cを含む。i領域61aは、それぞれゲート電極64と重なる領域に形成される。また、n領域61cは、高濃度不純物領域であり、ソース電極62及びドレイン電極63と接続される領域に形成される。LDD領域61bは、低濃度不純物領域であり、n領域61cとi領域61aとの間、及び2つのi領域61aの間に形成される。
【0065】
ゲート絶縁膜23は、第2半導体層51及び第3半導体層61を覆ってアンダーコート膜22の上に設けられる。ゲート電極64は、ゲート絶縁膜23の上に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61の上側にゲート電極64が設けられた、いわゆるトップゲート構造である。ただし、第1スイッチング素子Trは、ゲート電極64が第3半導体層61の上側及び下側の両方に設けられた、いわゆるデュアルゲート構造であってもよいし、ゲート電極64が第3半導体層61の下側に設けられたボトムゲート構造でもよい。
【0066】
第1層間絶縁膜24は、ゲート電極64を覆ってゲート絶縁膜23の上に設けられる。第1層間絶縁膜24は、第2半導体層51の上側にも設けられる。第1中継電極56、第2中継電極57及び信号線SGLは、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第1スイッチング素子Trにおいて、ソース電極62(第1中継電極56)は、コンタクトホールH8を介して第3半導体層61と接続される。ドレイン電極63(信号線SGL)は、コンタクトホールH7を介して第3半導体層61と接続される。
【0067】
第2フォトダイオードPD2において、カソード電極54(第1中継電極56)は、コンタクトホールH6を介して第2半導体層51のn領域52cと接続される。これにより、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54は、第1スイッチング素子Trと接続される。また、アノード電極55(第2中継電極57)は、コンタクトホールH5を介して第2半導体層51のp領域52bと接続される。
【0068】
第2層間絶縁膜25は、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trを覆って、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第2層間絶縁膜25は、有機膜であり、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。なお、第2層間絶縁膜25は、上述した無機材料により形成してもよい。
【0069】
第1フォトダイオードPD1のアノード電極35は、バックプレーン19の第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第1フォトダイオードPD1は、アノード電極35、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31b、カソード電極34の順に積層される。バックプレーン19は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板である。バックプレーン19は、絶縁基板21と、絶縁基板21に設けられた第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子TrG及び各種配線等を有する。
【0070】
第1部分半導体層31aは、i型半導体層32a、p型半導体層32b及びn型半導体層32cを含む。第2部分半導体層31bは、i型半導体層33a、p型半導体層33b及びn型半導体層33cを含む。i型半導体層32a、33a、p型半導体層32b、33b及びn型半導体層32c、33cは、光電変換素子の一具体例である。
図9では、絶縁基板21の表面に垂直な方向(第3方向Dz)において、i型半導体層32a、33aは、p型半導体層32b、33bとn型半導体層32c、33cとの間に設けられる。本実施形態では、アノード電極35の上に、p型半導体層32b、33b、i型半導体層32a、33a及びn型半導体層32c、33cの順に積層されている。
【0071】
n型半導体層32c、33cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層32b、33bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層32a、33aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32c、33c及びp型半導体層32b、33bよりも低い導電性を有する。
【0072】
カソード電極34及びアノード電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。カソード電極34は、電源信号SVSを光電変換層に供給するための電極である。アノード電極35は、検出信号Vdetを読み出すための電極である。
【0073】
アノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。アノード電極35は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bに亘って連続して設けられる。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して第2中継電極57と接続される。
【0074】
第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを覆って第3層間絶縁膜26が設けられる。第3層間絶縁膜26は有機膜であり、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bで形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26の上に設けられる。カソード電極34は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bの上に連続して設けられる。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26に設けられたコンタクトホールH2、H1を介して第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bと接続される。これにより、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アノード電極35とカソード電極34との間に並列に接続され、1つの光電変換素子として機能する。
【0075】
カソード電極34は、第1部分半導体層31aと第2部分半導体層31bとの間隔SPにおいて、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。コンタクトホールH3は、第2層間絶縁膜25及び第3層間絶縁膜26を第3方向Dzに貫通する貫通孔である。アノード電極35の、コンタクトホールH3と重なる部分には開口35aが設けられており、コンタクトホールH3は開口35aを通って形成される。このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54が、第1中継電極56を介して第1スイッチング素子Trに接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と第2フォトダイオードPD2のアノード電極55とが、第2中継電極57を介して接続される。
【0076】
なお、
図6に示す容量素子Caの容量は、間隔SPにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。又は、第1フォトダイオードPD1の周縁の間隔SPaにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。容量素子Caには、露光期間Pexでプラスの電荷が保持される。
【0077】
図10は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。
図10の横軸は、波長を示し、縦軸は、光吸収係数を示す。光吸収係数は、物質中を進行する光の、吸収の程度を示す光学定数である。
【0078】
図10に示すように、a-Siを含む第1フォトダイオードPD1は、可視光領域、例えば300nm以上800nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。一方、ポリシリコンを含む第2フォトダイオードPD2は、可視光領域から赤外領域を含む領域、例えば500nm以上1100nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。言い換えると、第1フォトダイオードPD1は、可視光領域で高い感度を有し、第2フォトダイオードPD2は、第1フォトダイオードPD1とは異なる波長領域である赤色の波長領域から赤外領域で高い感度を有する。
【0079】
本実施形態の携帯端末100は、感度波長領域が異なる第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2が積層されている。このため、いずれか一方のフォトダイオードを有する構成に比べて、感度を有する波長領域を広げることができる。
【0080】
光L1(
図3参照)は、間隔SP及び間隔SPaを通って携帯端末100を透過する。指Fgで反射された光L2(
図3参照)は、第1フォトダイオードPD1に入射する。また、光L2のうち、第1フォトダイオードPD1に吸収されない波長領域の光は、第1フォトダイオードPD1を透過して第2フォトダイオードPD2に入射する。例えば、指紋検出において、第1フォトダイオードPD1は青色又は緑色の光L2を良好に検出することができる。また、血管パターン(例えば静脈パターン)検出において、赤外光の光L2は、第1フォトダイオードPD1に吸収されず、第2フォトダイオードPD2に入射する。これにより、第2フォトダイオードPD2は赤外光の光L2を良好に検出することができる。これにより携帯端末100は、同一のデバイス(携帯端末100)で、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0081】
また、第1層間絶縁膜24等の絶縁膜の帯電や不純物の影響で、第2フォトダイオードPD2のi領域52aがn型になった場合でも、i領域52aは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34で中性化される。このため、携帯端末100は、光感度を向上させることができる。
【0082】
また、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。これによれば、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2のそれぞれに第1スイッチング素子Tr、ゲート線GCL及び信号線SGLを設けた場合に比べて、スイッチング素子の数及び配線の数を少なくすることができる。したがって、携帯端末100は、検出の解像度を向上させることができる。
【0083】
以上のように、センサ部10は、アモルファスシリコンを含む第1半導体層31を有する第1フォトダイオードPD1と、ポリシリコンを含む第2半導体層51を有する第2フォトダイオードPD2とを有する。そして、センサ部10は、アモルファスシリコンを含む第1半導体層31とポリシリコンを含む第2半導体層51とが、すなわち第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2とが、第3方向Dzにおいて重なるように積層されている。ただし、センサ部10は、第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2とが、第3方向Dzにおいて積層されていなくてもよく、例えば同層に設けられていてもよい。
【0084】
また、センサ部10は、生体情報として、第1フォトダイオードPD1によりユーザの指紋を検出して、第2フォトダイオードPD2によりユーザの血管パターンを検出することができる。血管パターンとは、血管の像を指し、本実施形態では、静脈パターンである。ただし、センサ部10は、ユーザの生体情報として、指紋及び血管パターンを検出するが、指紋及び血管パターンの少なくとも1つを検出するものであってもよい。また、センサ部10は、指紋及び血管パターン以外の生体情報(例えば脈拍、脈波など)を検出するものであってもよい。
【0085】
センサ部10が、指紋及び血管パターンのうちいずれかのみを検出する場合の例について説明する。以降では、センサ部10が指紋を検出せずに血管パターンを検出する場合の例を説明する。
図11は、他の例に係る部分検出領域を示す等価回路図である。
図11に示すように、この例でのセンサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。
図11に示すように、センサ部10の部分検出領域PAAは、第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。すなわち、センサ部10は、第1フォトダイオードPD1を含まない構成となっている。
【0086】
図12は、他の例に係る部分検出領域の模式的な断面図である。
図12に示すように、この例でのセンサ部10は、
図9と同様に、絶縁基板21上に第1スイッチング素子Trが設けられている。ただし、この例でのセンサ部10は、
図9と異なり、第1フォトダイオードPD1が設けられていない。そして、この例でのセンサ部10は、第2フォトダイオードPD2が設けられる位置が、
図9とは異なる。この例でのセンサ部10において、第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trよりも上側、すなわち第3方向Dz側に設けられている。すなわち、第2フォトダイオードPD2のアノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第2フォトダイオードPD2は、アノード電極35、第2半導体層51、カソード電極34の順に積層される。第2半導体層51は、アノード電極35の上に、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に積層されている。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して、第1スイッチング素子Trのソース電極62に接続される。
【0087】
センサ部10は、以上のように、ポリシリコンを含む第2半導体層51を有する第2フォトダイオードPD2を備え、第1フォトダイオードPD1を備えなくてもよい。この場合、センサ部10は、第2フォトダイオードPD2を備えるため、ユーザの血管パターンを好適に検出できる。
【0088】
センサ部10がユーザの指紋を検出してユーザの血管パターンを検出しないセンサである場合、センサ部10は、第2フォトダイオードPD2を備えず第1フォトダイオードPD1を備えた構成となる。その場合、センサ部10の等価回路は、
図11の第2フォトダイオードPD2を第1フォトダイオードPD1に置き換えたものとなり、センサ部10の積層構成は、
図12において、第2フォトダイオードPD2を第1フォトダイオードPD1に置き換えたものとなることが好ましい。
【0089】
以上、センサ部10の積層構成について説明したが、センサ部10は、ユーザの生体情報を検出可能であれば、以上の説明に限られず任意の構造であってよい。
【0090】
次に、第3スイッチング素子TrSの積層構成について説明する。
図13は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。
図13は、駆動回路スイッチング素子として信号線選択回路16が有する第3スイッチング素子TrSについて説明する。ただし、
図13の説明は、他の駆動回路が有するスイッチング素子にも適用できる。すなわち、ゲート線駆動回路15が有する第2スイッチング素子TrG及びリセット回路17が有する第4スイッチング素子TrRも
図13と同様の構成を適用できる。
【0091】
図13に示すように、第3スイッチング素子TrSのnチャネルトランジスタn-TrSは、第4半導体層71、ソース電極72、ドレイン電極73及びゲート電極74を含む。また、pチャネルトランジスタp-TrSは、第5半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。第4半導体層71と絶縁基板21との間には、遮光層75が設けられ、第5半導体層81と絶縁基板21との間には、遮光層85が設けられる。
【0092】
第4半導体層71及び第5半導体層81は、いずれもポリシリコンである。より好ましくは、第4半導体層71及び第5半導体層81は、LTPSである。第4半導体層71は、i領域71a、LDD領域71b及びn領域61cを含む。また、第5半導体層81は、i領域81a及びp領域81bを含む。
【0093】
nチャネルトランジスタn-TrS及びpチャネルトランジスタp-TrSの層構成は、
図9に示す第1スイッチング素子Trと同様である。すなわち、第4半導体層71及び第5半導体層81は、
図9に示す第2半導体層51及び第3半導体層61と同層に設けられる。ゲート電極74及びゲート電極84は、
図9に示すゲート電極64と同層に設けられる。ソース電極72、ドレイン電極73、ソース電極82及びドレイン電極83は、
図9に示すソース電極62(第1中継電極56)、ドレイン電極63(信号線SGL)と同層に設けられる。
【0094】
このように、検出領域AAに設けられた第1フォトダイオードPD1及び第1スイッチング素子Trと、周辺領域GAに設けられた第3スイッチング素子TrS等のスイッチング素子が、同じ材料が用いられ同層に設けられる。これにより、携帯端末100の製造工程が簡略化され、製造コストを抑制することができる。なお、周辺領域GAに設けられた駆動回路は、CMOSトランジスタに限定されず、nチャネルトランジスタn-TrS又はpチャネルトランジスタp-TrSのいずれか一方で構成されていてもよい。
【0095】
(機能実行装置)
携帯端末100は、以上のような構成となっている。次に、機能実行装置110の構成について説明する。
【0096】
図14は、本実施形態に係る機能実行装置と携帯端末との機能構成を示すブロック図である。
図14に示すように、携帯端末100は、入力部2、表示部4、及び通信部5と、上述の制御部6、記憶部8、及びセンサ部10と、を有する。入力部2は、ユーザUの操作を受け付ける入力装置であり、表示部4は、画像を表示するディスプレイである。第1実施形態においては、入力部2と表示部4とは、重畳して構成されることで、タッチパネルを構成する。通信部5は、制御部6の制御により、機能実行装置110などの外部機器と通信を行うよう構成される。すなわち、通信部5は、通信を行うための通信インターフェイスである。なお、携帯端末100と機能実行装置110とは、無線通信を行い、無線通信の方式としては、例えば、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)等が用いられる。
【0097】
制御部6は、上述のように、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する。制御部6は、ユーザUの生体情報を、通信部5を介して機能実行装置110に送信する。
【0098】
図14に示すように、機能実行装置110は、通信部112と、制御部114と、記憶部116とを有する。通信部112は、制御部114の制御により、携帯端末100などの外部機器と通信を行うよう構成される。すなわち、通信部112は、通信を行うための通信インターフェイスである。制御部114は、機能実行装置110に搭載される演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部114は、例えば、記憶部116からプログラムを読み出すことで、各種処理を実行する。記憶部116は、制御部114の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0099】
制御部114は、状態検出部120と、生体情報取得部122と、認証部124と、機能制御部126とを有する。状態検出部120と、生体情報取得部122と、認証部124と、機能制御部126とは、制御部114が記憶部116からソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。
【0100】
状態検出部120は、携帯端末100が所定状態になっているかを検出する。所定状態とは、携帯端末100が予め決められた状態にあることを指す。第1実施形態においては、携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にあることを、所定状態とする。例えば、携帯端末100は、所定期間毎に、携帯端末100の位置情報を取得する。携帯端末100の位置情報は、例えば携帯端末100が、GPS(Grobal Positioning System)を介して取得してよい。また、携帯端末100は、センサ部10により、携帯端末100の位置情報を取得したタイミングにおいて、ユーザUの生体情報を検出する。言い換えれば、携帯端末100は、センサ部10がユーザUの生体情報を検出したタイミング、すなわちセンサ部10がある箇所に指Fgや手のひらなどが近接したタイミングにおける、携帯端末100の位置情報を取得する。そして、状態検出部120は、携帯端末100から、通信部112を介して、携帯端末100の位置情報を取得する。状態検出部120は、取得した携帯端末100の位置情報から、機能実行装置110と携帯端末100との間の距離を算出して、機能実行装置110と携帯端末100との間の距離が、予め定めた所定距離範囲内にあるかを判断する。状態検出部120は、機能実行装置110と携帯端末100との間の距離が、予め定めた所定距離範囲内にある場合に、所定状態にあると判断し、予め定めた所定距離範囲内にない場合に、所定状態でないと判断する。なお、状態検出部120は、予め記憶された機能実行装置110の位置情報を、記憶部116から読み出すことで、機能実行装置110の位置情報を取得して、機能実行装置110の位置情報と携帯端末100の位置情報とから、機能実行装置110と携帯端末100との間の距離を算出してよい。ただし、機能実行装置110と携帯端末100との間の距離の算出方法は、携帯端末100が発するWi-Fiやブルートゥースの信号を機能実行装置110が受信することで、携帯端末100の機能実行装置110への近接を検出する等、任意に行ってよい。尚、機能実行装置110へ携帯端末100が近接したことを、携帯端末の画面、或いは、携帯端末のバイブ機能等によってユーザUに知らせる機能を有してもよい。
【0101】
なお、状態検出部120が検出する所定状態は、携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にある状態であることに限られず、予め設定された任意の状態であってよい。例えば、状態検出部120は、所定機能の実行が要求されたことを、所定状態としてもよい。この場合、例えば、ユーザUは、機能実行装置110に所定機能の実行を要求する操作を、携帯端末100に入力する。或いは、上述のように、携帯端末100が機能実行装置110に近接したことを知らせる携帯端末100の画面、或いは、携帯端末100のバイブ機能等によってユーザUに操作を要求するものであってもよい。携帯端末100は、入力部2が所定機能の実行を要求するユーザUの操作を受け付けた場合に、所定機能の実行を要求する信号を生成する。そして、携帯端末100は、所定機能の実行を要求する信号を生成したタイミングにおいて、センサ部10により、ユーザUの生体情報を検出する。状態検出部120は、携帯端末100が生成した、所定機能の実行を要求する信号を取得する。この場合、状態検出部120は、所定機能の実行を要求する信号を取得した場合に、携帯端末100が所定状態になっていると判断する。また、ユーザUは、機能実行装置110に所定機能の実行を要求する操作を、機能実行装置110に入力してもよい。この場合、状態検出部120は、所定機能の実行を要求する操作を受け付けた場合に、所定状態になっていると判断する。なお、ユーザUが機能実行装置110を操作する場合は、ユーザUが携帯する携帯端末100は、機能実行装置110に近い位置にあると言える。従って、ユーザUが機能実行装置110を操作することを、携帯端末100が所定状態にある、と言ってよい。また、状態検出部120は、所定機能の実行が要求され、かつ、携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にある場合に、携帯端末100が所定状態になっていると判断してもよい。また、状態検出部120は、機能実行装置110に設けられているが、携帯端末100に設けられていてもよい。
【0102】
生体情報取得部122は、通信により、携帯端末100から、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する。生体情報取得部122は、状態検出部120が所定状態であると判断したことをトリガとして、ここでは携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にあると判断したことをトリガとして、携帯端末100から、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する。さらに言えば、生体情報取得部122は、所定状態であると判断された際にセンサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得することが好ましい。すなわち、例えば第1実施形態においては、生体情報取得部122は、所定状態であると判断された際に用いられた携帯端末100の位置情報を取得したタイミングで、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を、取得することが好ましい。これにより、生体情報取得部122は、携帯端末100が所定状態にあるタイミングでの、ここでは携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にあるタイミングでの、ユーザUの生体情報を取得できる。
【0103】
認証部124は、生体情報取得部122が取得したユーザUの生体情報に基づき、ユーザUの認証を行い、所定機能を実行するかを判断する。所定機能とは、上述のように、機能実行装置110が実行するように予め設定されている機能(例えば開錠)である。認証部124は、記憶部116から、予め記憶された基準となる生体情報である基準生体情報を読み出す。基準生体情報は、例えば所定機能の利用が許可されるユーザの生体情報(ここでは指紋や血管パターンの二次元情報)として、予め記憶されたものである。なお、基準生体情報は、記憶部116に記憶されていることに限られず、外部装置などから通信によって取得されてもよい。認証部124は、ユーザUの生体情報と基準生体情報とを照合して、ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致するかを判断することで、認証を行う。例えば、認証部124は、ユーザUの生体情報と基準生体情報とをパターン照合して、特徴点の類似度が所定の度合い以上であれば、ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致すると判断し、類似度が所定の度合い未満であれば、ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致しないと判断してよい。なお、ユーザUの生体情報と基準生体情報とは、周知の技術を用いて照合されてよい。
【0104】
認証部124は、ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致していると判断した場合に、認証可として、所定機能を実行すると判断する。一方、認証部124は、ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致していないと判断した場合に、認証不可として、所定機能を実行しないと判断する。
【0105】
機能制御部126は、機能実行装置110を制御して、機能実行装置110に所定機能を実行させる。機能制御部126は、認証部124が所定機能を実行すると判断した場合、すなわち認証可とされた場合に、機能実行装置110に所定機能を実行させる。機能制御部126は、認証部124が所定機能を実行しないと判断した場合、すなわち認証不可とされた場合には、機能実行装置110に所定機能を実行させない。
【0106】
機能実行装置110は、以上のような構成になっている。次に、機能実行装置110による認証処理のフローをフローチャートに基づき説明する。
図15は、第1実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
図15に示すように、機能実行装置110は、状態検出部120により、携帯端末100が所定状態であるか、ここでは携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にあるか、を判断し(ステップS10)、所定距離範囲内にある場合(ステップS10;Yes)、生体情報取得部122により、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する(ステップS12)。生体情報取得部122は、携帯端末100の位置情報を取得した際にセンサ部10が検出したユーザUの生体情報を、取得する。なお、所定距離範囲内にない場合(ステップS10;No)、すなわち所定状態にない場合、ステップS10に戻る。
【0107】
生体情報を取得したら、機能実行装置110は、認証部124により、取得したユーザUの生体情報と、基準生体情報とを照合して、ユーザUの認証を行う(ステップS14)。ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致する場合(ステップS16;Yes)、機能実行装置110は、認証部124が所定機能を実行すると判断し、機能制御部126が、所定機能(ここでは開錠)を実行する(ステップS18)。一方、ユーザUの生体情報が基準生体情報に一致しない場合(ステップS16;No)、機能実行装置110は、認証部124が所定機能を実行しないと判断し、機能制御部126が、所定機能を実行しない(ステップS20)、すなわちここでは開錠しない。ステップS18、ステップS20により本処理は終了するが、例えば認証不可となってステップS20に進んだ場合でも、ステップS10やステップS12などに戻り、再度認証処理を続けてもよい。
【0108】
なお、第1実施形態においては、機能実行装置110が、認証部124を有して認証を行う。ただし、機能実行装置110は、認証を行わなくてもよい。この場合、機能実行装置110は、取得したユーザUの生体情報を、認証部124を有する別のサーバに送信し、このサーバが認証を行ってよい。そして、機能実行装置110は、このサーバによる認証結果、すなわち所定機能の実行可否の判断結果を取得し、その判断結果に基づき、機能制御部126によって所定機能を実行する。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に係る検出システム1は、携帯物としての携帯端末100と、機能実行装置110とを有する。携帯端末100は、ユーザUの生体情報を検出するセンサ部10を備え、ユーザUが携帯可能な端末である。機能実行装置110は、生体情報取得部122により、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を通信により取得する。そして、機能実行装置110は、ユーザUの生体情報に基づいたユーザUの認証結果に基づき、機能制御部126によって所定機能を実行する。この検出システム1は、ユーザUが携帯している携帯端末100によって、ユーザUの生体情報を検出する。そして、機能実行装置110は、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を、通信で取得する。そして、機能実行装置110は、その生体情報による認証結果において、認証可である場合に、所定機能を実行する。従って、この検出システム1によると、ユーザUが携帯している携帯端末100で生体情報の検出が可能となるため、認証のためにユーザUが機能実行装置110を操作する必要がなくなる。また、ユーザUは、携帯端末100を携帯しているため、その携帯端末100で生体情報を検出する場合には、単に携帯端末100を把持している状態で生体情報が検出可能となり、認証のための慣れない操作などが不要となる。従って、この検出システム1によると、認証の手間を抑制することができる。
【0110】
また、機能実行装置110は、携帯端末100が所定状態となったことをトリガとして、センサ部10からユーザUの生体情報を取得する。ここで、機能実行装置110は、ユーザUにとって適切なタイミングで所定機能を実行することが好ましい。それに対し、本実施形態の機能実行装置110は、携帯端末100が所定状態となったことをトリガとして、ユーザUの生体情報を取得して、認証結果に基づく所定機能の実行を行う。従って、検出システム1によると、携帯端末100が所定状態となったタイミングで、所定機能を実行することが可能となるため、ユーザUにとって適切なタイミングで所定機能を実行することができる。
【0111】
また、機能実行装置110は、携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にあることをトリガとして、センサ部10からユーザUの生体情報を取得して、認証結果に基づく所定機能の実行を行う。従って、検出システム1によると、ユーザが機能実行装置110に近づいたタイミングで、所定機能を実行することが可能となるため、ユーザUにとって適切なタイミングで所定機能を実行することができる。例えば、機能実行装置110が開錠を行う場合、ユーザが遠い位置にいる際に開錠を行っても、ユーザUが到着するまでに閉錠されてしまったり、別人に入室されてしまったりするなどの可能性が生じる。それに対し、検出システム1によると、ユーザが機能実行装置110に近づいたタイミングで、所定機能を実行することが可能となるため、そのような問題が生じることを抑制することができる。尚、本実施形態の検出システム1は、例えば入室時に一人一人が機能実行装置110に設けられたセンサを介して個人認証を行う必要が無くなり、例えば入室がスムーズに行える。しかし、一人一人を通過させるゲートが不要となるため、認証されていない人まで入室される可能性がある。そのため、携帯端末100が取得した生体情報は、例えば一人一人が通過できるゲートをユーザが通過する際に機能実行装置110に転送し、ゲートをユーザが通過している際に基準生体情報と照合し認証を行い、認証が出来なかった場合は当該ユーザがゲートを通過し終わる前にゲートを閉鎖する、といった機構を設けることも可能である。また、前述のゲートにセンサを設け、携帯端末100を所持していないユーザはゲートに設けられたセンサを用いて認証を行う構成であってもよい。
【0112】
また、センサ部10は、ユーザUの血管パターンとユーザUの指紋との少なくとも一方を検出する。検出システム1は、生体情報として、血管パターンや指紋を検出することで、ユーザUの認証を適切に行うことができる。
【0113】
また、センサ部10は、アモルファスシリコンを含む半導体(第1半導体層31)と、ポリシリコンを含む半導体(第2半導体層51)とを備えて、ユーザの血管パターンとユーザの指紋とを検出する。検出システム1は、このようなセンサ部10を備えることで、複数種類の生体情報から認証を行う事が可能となり、認証の精度を高くすることができる。例えば、検出システム1は、ユーザの指紋と血管パターンとの両方が基準生体情報に一致する場合に、認証可として、所定機能を実行してもよい。また、検出システム1は、ユーザの指紋と血管パターンとのうちの、いずれか一方を取得して、その取得した一方が基準生体情報と一致した場合に、認証可として、所定機能を実行してもよい。検出システム1は、その後に、ユーザの指紋と血管パターンとのうちの他方を取得して、その他方が基準生体情報と一致しない場合、所定機能の実行を中断してもよい。
【0114】
なお、本実施形態に係る携帯端末100は、ユーザが把持して操作するスマートフォンやタブレット型端末であったが、それに限られず任意の端末であってよい。
図16は、携帯端末の他の例を示す図である。例えば、
図16に示すように、携帯端末100は、センサ部10を備えた腕時計、いわゆるスマートウォッチであってもよい。この場合、センサ部10は、時刻などを表示する表示領域100Bが設けられた表面100A1とは反対側の面である、背面100A2に設けられることが好ましい。この場合、携帯端末100は、背面100A2側が常にユーザUの腕と接触することになるため、センサ部10により生体情報を容易に検出でき、認証の手間を抑制できる。
【0115】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、機能実行装置110aが、第1実施形態の機能実行装置110と異なる。第1実施形態の機能実行装置110は、所定機能として、他の装置である被操作装置200を操作するものであったが、第2実施形態の機能実行装置110aは、所定機能として、機能実行装置110a自身を操作する。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0116】
図17は、第2実施形態に係る検出システムの模式図である。
図17に示すように、第2実施形態に係る検出システム1aは、携帯端末100と、機能実行装置110aとを有する。
図17の例において、機能実行装置110aは、現金の出入金を行う事が可能な装置であり、例えば、金融機関などに設置される現金自動預払機(ATM;Automated Teller Machine)や、コンビニエンスストア等に設置される現金を取り扱う複合機などである。機能実行装置110aは、表示部130と、カード投入部132と、入力部134と、紙幣処理部136とを有する。
【0117】
表示部130は、操作内容などを表示する画面である。表示部130は、ユーザUの操作を受け付ける入力部が重畳して設けられるタッチパネルであってもよい。カード投入部132は、キャッシュカード等のカードを用いる取引において、カードの挿入と排出とを行うよう構成される。また、カード投入部132は、取引終了時に発行するレシートを排出する。入力部134は、ユーザUの操作を受け付ける装置であり、例えばキーボードである。紙幣処理部136は、入金及び出金取引の際に、紙幣の受け渡しを行う。
【0118】
機能実行装置110aは、第1実施形態の機能実行装置110と同様に、通信部112と、制御部114と、記憶部116とを有する。ただし、機能実行装置110aは、認証処理を行う認証部124を備えていない。また、機能実行装置110aは、ネットワーク210を介して、外部機器であるサーバ220に接続されており、サーバ220と情報の送受信を行う。サーバ220は、CPUである制御部とメモリである記憶部とを有しており、制御部が、認証処理を行う認証部124を備えている。
【0119】
機能実行装置110aは、ユーザUによって機能実行装置110aに所定機能の実行要求が入力されたことをトリガとして、携帯端末100からユーザUの生体情報を取得して、所定機能を実行する。すなわち、ユーザUは、機能実行装置110aの入力部134や、表示部130に重畳する入力部などを操作して、機能実行装置110aに対して所定機能の実行を要求する操作を入力する。ここでの所定機能は、例えば入金や出金などである。機能実行装置110aは、入力部がユーザUからの所定機能の実行要求を受け付けたことをトリガとして、携帯端末100からユーザUの生体情報を取得して、所定機能を実行する。すなわち、機能実行装置110aは、機能実行装置110aに対して所定機能の実行要求があることを、所定状態として検出する。
【0120】
また、機能実行装置110aは、機能実行装置110aへの所定機能の実行要求が、携帯端末100に入力されたことをトリガとして、携帯端末100からユーザUの生体情報を取得して、所定機能を実行してもよい。この場合、ユーザUは、機能実行装置110aに対して所定機能を実行する要求を、携帯端末100に入力する。この場合、携帯端末100は、所定機能の実行を要求する信号を生成し、機能実行装置110aに送信する。機能実行装置110aは、所定機能の実行を要求する信号を取得した場合に、携帯端末100が所定状態になっていると判断して、携帯端末100からユーザUの生体情報を取得して、所定機能を実行する。
【0121】
すなわち、機能実行装置110aは、ユーザUが所定機能を実行するための操作を携帯端末100又は機能実行装置110aに対して行ったことをトリガとして、センサ部10からユーザUの生体情報を取得して、認証結果に基づく所定機能の実行を行ってよい。
【0122】
機能実行装置110aは、取得したユーザUの生体情報を、ネットワーク210を介してサーバ220に送信する。サーバ220は、第1実施形態の認証部124と同様の方法で、ユーザUの生体情報から認証を行う。サーバ220は、認証の結果、すなわち所定機能の実行可否の結果を、機能実行装置110aに送信する。そして、機能実行装置110aは、このサーバ220による認証結果、すなわち所定機能の実行可否の判断結果を取得し、その判断結果に基づき、機能制御部126によって所定機能を実行する。ただし、機能実行装置110aは、サーバ220と通信を行わずに、第1実施形態と同様に、認証部124を備えて、自身で認証処理を行ってもよい。
【0123】
図18は、第2実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
図18に示すように、機能実行装置110aは、状態検出部120により、携帯端末100が所定状態であるか、ここでは機能実行装置110aに対して所定機能の実行を要求する操作があるかを判断し(ステップS30)、所定機能の実行要求がある場合(ステップS30;Yes)、生体情報取得部122により、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する(ステップS32)。生体情報取得部122は、所定状態であると判断された際、言い換えれば機能実行装置110aに対して所定機能の実行を要求する操作があった際にセンサ部10が検出したユーザUの生体情報を、取得する。なお、所定機能の実行要求がない場合(ステップS30;No)、すなわち所定状態にない場合、ステップS30に戻る。ステップS32以降の処理は、第1実施形態の処理、すなわち
図15のステップS12以降の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
以上説明したように、機能実行装置110aは、ユーザUが所定機能を実行するための操作を携帯端末100又は機能実行装置110aに対して行ったことをトリガとして、センサ部10からユーザUの生体情報を取得して、認証結果に基づく所定機能の実行を行う。従って、本実施形態に係る検出システム1によると、ユーザUが所定機能を必要とするタイミングに合わせて、所定機能を実行することが可能となるため、ユーザUにとって適切なタイミングで所定機能を実行することができる。また、機能実行装置110aに対する認証のための操作をユーザが行うことが不要となるため、認証の手間を抑制できる。また、機能実行装置110aは、携帯端末100と機能実行装置110とが所定距離範囲内にあり、かつ、ユーザUが所定機能を実行するための操作を携帯端末100又は機能実行装置110aに対して行った場合に、センサ部10からユーザUの生体情報を取得して、認証結果に基づく所定機能の実行を行ってもよい。この場合、ユーザUにとってさらに適切なタイミングで所定機能を実行することができる。
【0125】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、センサ部10が設けられる携帯物がカード100bである点で、第1実施形態と異なる。第3実施形態において、第1実施形態に構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0126】
図19は、第3実施形態に係る検出システムの模式図である。
図19に示すように、第3実施形態に係る検出システム1bは、携帯物としてのカード100bと、機能実行装置110bとを有する。カード100bは、ユーザUが携帯可能なカードであり、背面100b1に、記憶部100bAと、センサ部10とを備える。記憶部100bAは、カード100bの情報を記憶する端子、ここではIC(Integrated Circuit)チップである。記憶部100bAは、例えば、カード100bのID(Identification)情報を記憶する。なお、センサ部10と記憶部100bAとは、同じ面である背面100b1に設けられるが、異なる面に設けられてもよい。カード100bは、例えば、クレジットカードである。
【0127】
機能実行装置110bは、カード100bからID情報を読み取って、所定機能を実行する装置である。機能実行装置110bは、例えば、所定機能として、カード100bから決済を行う。機能実行装置110bは、カード100bが挿入可能なスロットである挿入部110b1と、カード100bの記憶部100bAからID情報等のカードが記憶している情報を読み出す端子である読取り部110b2とを備える。また、機能実行装置110bは、第1実施形態の機能実行装置110と同様に、通信部112と、制御部114と、記憶部116とを有する。ただし、機能実行装置110aは、認証処理を行う認証部124を備えていない。また、機能実行装置110aは、ネットワーク210を介して、外部機器であるサーバ220に接続されており、サーバ220と情報の送受信を行う。サーバ220は、CPUである制御部とメモリである記憶部とを有しており、制御部が、認証処理を行う認証部124を備えている。
【0128】
図20は、カードが機能実行装置に挿入された状態の例を示す模式図である。
図20に示すように、機能実行装置110bに所定機能を実行させる際、カード100bは、挿入部110b1から、機能実行装置110b内に挿入される。カード100bは、記憶部100bAと、機能実行装置110bの読取り部110b2とが対向するように、機能実行装置110b内に挿入される。そして、ユーザUは、カード100bのセンサ部10を保持した状態(ユーザの指Fgがセンサ部10に近接した状態)でカード100bを機能実行装置110b内に挿入する。
【0129】
機能実行装置110bは、この状態で、読取り部110b2から、記憶部100bAに記憶されているID情報を読み出す。そして、機能実行装置110bは、カード100bが機能実行装置110b内に挿入された状態で、例えばカード100bのセンサ部10に電力を供給して、センサ部10を駆動させる。カード100bは、センサ部10の駆動により、ユーザUの生体情報を検出し、検出した生体情報を機能実行装置110bに送信する。すなわち、機能実行装置110bは、カード100bが機能実行装置110b内に挿入されたことをトリガとして、さらに言えば記憶部100bAからID情報を読み出したことをトリガとして、カード100bからユーザUの生体情報を取得する。
【0130】
機能実行装置110bは、取得したID情報とユーザUの生体情報とを、ネットワーク210を介してサーバ220に送信する。サーバ220は、認証部124により、ID情報に基づき、記憶部から基準生体情報を読み出す。すなわち、サーバ220の記憶部は、ID情報と基準生体情報とを関連付けて記憶している。サーバ220の認証部124は、機能実行装置110bから取得したID情報と一致するID情報を、記憶部が記憶しているID情報から抽出する。サーバ220の認証部124は、抽出したID情報に関連付いた基準生体情報を読み出す。そして、サーバ220の認証部124は、第1実施形態の認証部124と同様の方法で、ユーザUの生体情報と読み出した基準生体情報とを照合して、ユーザUの生体情報から認証を行う。サーバ220は、認証の結果、すなわち所定機能の実行可否の結果を、機能実行装置110bに送信する。そして、機能実行装置110bは、このサーバ220による認証結果、すなわち所定機能の実行可否の判断結果を取得し、その判断結果に基づき、機能制御部126によって所定機能を実行する。例えば、機能実行装置110bは、認証可とされた場合、所定機能として、カード100bによる決済処理を行い、認証不可とされた場合、カード100bによる決済処理を行わない。なお、機能実行装置110aは、サーバ220と通信を行わずに、認証部124を備えて自身で認証処理を行ってもよい。
【0131】
図21は、第3実施形態に係る認証処理を説明するフローチャートである。
図21に示すように、機能実行装置110bは、カード100bが機能実行装置110b内に挿入した状態で、カード100bの記憶部100bAに記憶されているID情報を読み出し(ステップS50)、カード100bのセンサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する(ステップS52)。機能実行装置110bは、取得したID情報と生体情報とを、サーバ220に送信する。サーバ220は、ID情報に基づき基準生体情報を読み出し(ステップS53)、取得したユーザUの生体情報と基準生体情報とを照合する(ステップS54)。ステップS54以降は、
図15のステップS14以降と同様の処理のため、説明を省略する。
【0132】
以上説明したように、機能実行装置110bは、携帯物としてのカード100bの情報(ここではID情報)を読み取ったことをトリガとして、センサ部10が検出したユーザUの生体情報を取得する。従って、本実施形態に係る検出システム1によると、ユーザUが所定機能を必要とするタイミングに合わせて、所定機能を実行することが可能となるため、ユーザUにとって適切なタイミングで所定機能を実行することができる。また、機能実行装置110aに対する認証のための操作をユーザが行うことが不要となるため、認証の手間を抑制できる。尚、カードを機能実行装置110bに挿入する構成に限らず、機能実行装置110bにかざす(近接させる)構成であってもよい。また、センサ部10に生体情報を取得する光源を設け、機能実行装置からの供給される電力により光源を起動させるものであってもよい。また、機能実行装置と一体に、或いは、機能実行装置とは離間した位置で、ユーザの指に対し、センサ部10と反対の位置に光源を設ける構成であってもよい。この場合、取得する生体情報に応じて機能実行装置等が出射する光源の波長を可視光或いは赤外光等に切り替える構成であってもよい。
【0133】
また、携帯物は、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、又は、ユーザUの情報を記憶する記憶部を有するカードであってよい。このような携帯物がセンサ部10を備えることで、ユーザUによる認証の手間を抑制できる。
【0134】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0135】
1 検出システム
6,114 制御部
10 センサ部
100 携帯端末(携帯物)
110 機能実行装置
120 状態検出部
122 生体情報取得部
124 認証部
126 機能制御部