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特許7306842バルク成形コンパウンドを強化する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】バルク成形コンパウンドを強化する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/695 20190101AFI20230704BHJP
   B29B 11/10 20060101ALI20230704BHJP
   B29C 31/04 20060101ALI20230704BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20230704BHJP
   B29K 105/12 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
B29C48/695
B29B11/10
B29C31/04
B29C70/06
B29K105:12
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019047034
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2019199077
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】15/982,931
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ウェイドン・ソン
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-134219(JP,A)
【文献】実開昭57-123219(JP,U)
【文献】特開平08-001664(JP,A)
【文献】特開2015-101097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96,31/04,70/00-70/88,
B29B 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク成形コンパウンド(104)を、強化システム(102)のダイブレーカー(120)、及び押出ダイ(122)を通して送ることによって、前記バルク成形コンパウンド(104)を強化するステップ(702)
を含む、方法(700)であって、
前記バルク成形コンパウンド(104)を強化するステップが、
前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記強化システム(102)内部の前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップ(708)と、
前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップの後に、前記バルク成形コンパウンド(104)を緩和させるステップ(720)と、
前記バルク成形コンパウンド(104)を緩和させるステップ(720)の後に、前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記強化システム(102)の前記押出ダイ(122)を通して押し出すステップ(710)と
を含み、
前記強化システム(102)が、
円筒形のハウジング(126)であって、前記ダイブレーカー(120)が前記円筒形のハウジング(126)内部に収容されて圧縮チャンバと緩和チャンバとを分離しており、前記押出ダイ(122)が前記円筒形のハウジング(126)の端部(128)に結合された、円筒形のハウジング(126)
を備える、
方法(700)。
【請求項2】
前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップ(718)によって、前記バルク成形コンパウンド(104)内の少なくとも一部の繊維(112)が軸線方向に整列する、請求項に記載の方法(700)。
【請求項3】
前記バルク成形コンパウンド(104)を前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップ(712)が、前記バルク成形コンパウンド(104)を、ピストン(124)を用いて前記強化システム(102)の円筒形のハウジング(126)内部で圧縮することを含む、請求項1または2に記載の方法(700)。
【請求項4】
前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記強化システム(102)内部の前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップが、前記バルク成形コンパウンド(104)を複数の穴(144)、又は複数のスロット(146)のうちの少なくとも1つを通して送ることを含む(714)、請求項からの何れか一項に記載の方法(700)。
【請求項5】
前記バルク成形コンパウンド(104)を前記強化システム(102)の中に装填する前に、前記バルク成形コンパウンド(104)を加熱するステップ(704)
を更に含む、請求項1からの何れか一項に記載の方法(700)。
【請求項6】
加熱された前記バルク成形コンパウンドを前記強化システムの中に装填した後、加熱された前記バルク成形コンパウンドを脱気するステップ
を更に含む、請求項5に記載の方法(700)。
【請求項7】
前記バルク成形コンパウンド(104)が、樹脂(108)及び充填材(110)で形成された複合材料(106)である、請求項1からの何れか一項に記載の方法(700)。
【請求項8】
前記バルク成形コンパウンド(104)を強化するステップが、強化材料(116)を形成し、
前記強化材料(116)から複合構造(158)を形成するステップであって、前記複合構造(158)は航空機の部品である、ステップ
を更に含む、請求項1からの何れか一項に記載の方法(700)。
【請求項9】
バルク成形コンパウンド(104)を強化する強化システム(102)であって、前記強化システム(102)が、
ダイブレーカー(120)と、
押出ダイ(122)と
円筒形のハウジング(126)であって、前記ダイブレーカー(120)が前記円筒形のハウジング(126)内部に収容されて圧縮チャンバと緩和チャンバとを分離しており、前記押出ダイ(122)が前記円筒形のハウジング(126)の端部(128)に結合された、円筒形のハウジング(126)と
を備える、強化システム(102)。
【請求項10】
ピストン(124
を更に備える、請求項に記載の強化システム(102)。
【請求項11】
前記円筒形のハウジング内で前記バルク成形コンパウンドに真空を印加するように構成された前記円筒形のハウジング内の真空ポート
を更に備える、請求項9または10に記載の強化システム(102)。
【請求項12】
前記ダイブレーカー(120)が、複数の穴(144)、又は複数のスロット(146)のうちの少なくとも1つを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の強化システム(102)。
【請求項13】
前記押出ダイ(122)が、断面形状(157)が円形、正方形、長方形、又は三角形のうちの1つである開口部(152)を有する、請求項から12の何れか一項に記載の強化システム(102)。
【請求項14】
前記押出ダイ(122)が、三角形の断面形状(157)を伴った開口部(152)を有する、請求項から13の何れか一項に記載の強化システム(102)。
【請求項15】
前記強化システム(102)が、エンドエフェクターの一部である、請求項から14の何れか一項に記載の強化システム(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に複合構造の製造に関し、より詳細には、成形プロセスに用いられる複合材料に関する。更に詳細には、本開示は、バルク成形コンパウンドを強化する方法及び装置を提示する。
【背景技術】
【0002】
バルク成形コンパウンドは、成形プロセスにおいて複合構造を形成するのに用いられる。バルク成形コンパウンドは、チョップドファイバーと、少なくとも1つの樹脂材料とから形成されたコンパウンドである。チョップドファイバーは、バルク成形コンパウンドで形成された複合構造の強度に寄与する。バルク成形コンパウンドで形成された複合構造は、所望通りの強度にならない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上述の問題のうちの少なくとも一部及び考えられる他の問題を考慮に入れた方法及び装置を有することが、望ましいと考えられる。例えば、成形プロセスを通じて多孔性の低い複合構造を形成することが望ましい。別の例として、成形プロセスを通じて不整合の少ない複合構造を形成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の例示的な実施形態は、方法を提供する。バルク成形コンパウンドは、強化システムのダイブレーカー、及び押出ダイを通してバルク成形コンパウンドを送ることによって強化される。
【0005】
本開示の別の例示的な実施形態は、方法を提供する。バルク成形コンパウンドは、加熱されたバルク成形コンパウンドを形成するために加熱される。加熱されたバルク成形コンパウンドは、強化システムの中に装填される。加熱されたバルク成形コンパウンドは、加圧された材料を形成するために加圧される。加圧された材料は、強化システムの押出ダイを通して押し出される。
【0006】
本開示の更に別の例示的な実施形態は、強化システムを提供する。強化システムは、ダイブレーカーと、押出ダイとを備える。
【0007】
本開示の更に別の例示的な実施形態は、方法を提供する。バルク成形コンパウンドは、加熱されたバルク成形コンパウンドを形成するために加熱される。加熱されたバルク成形コンパウンドは、強化システム内で脱気される。加熱されたバルク成形コンパウンドは、脱気後に強化され、強化するステップは、加圧された材料を形成するために、加熱されたバルク成形コンパウンドを、ダイブレーカーを通して加圧することを含む。加圧された材料は緩和される。加圧された材料を緩和させた後に、加圧された材料は、強化システムの押出ダイを通して押し出される。
【0008】
特徴及び機能を、本発明の種々の実施形態において別個独立に達成することができ、或いは以下の説明及び図面を参照して更なる詳細を見て取ることができる、更に別の実施形態において組み合わせることができる。
【0009】
例示的な実施形態に特有であると考えられる新規な特徴が、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、例示の実施形態、並びにそれらの好ましい使用の態様、更なる目的及び特徴は、本発明の例示の実施形態の以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて検討することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される製造環境のブロック図を示す。
図2】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される製造環境の図である。
図3】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される強化システムの断面図である。
図4】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される強化システムの断面図である。
図5】例示的な実施形態による、強化システムのダイブレーカーの等角投影図である。
図6】例示的な実施形態による、強化システムのダイブレーカーの前面図である。
図7】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドを強化する方法のフロー図を示す。
図8】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドを強化する方法のフロー図を示す。
図9】例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドを強化する方法のフロー図を示す。
図10】例示的な例による、航空機の製造及び保守点検方法の、ブロック図の形態の図である。
図11】例示的な例の実装の対象となりうる、ブロック図の形態の航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態は、1つ以上の異なる考慮すべき事項を認識し考慮している。例えば、例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンド(BMC)、又はバルク成形複合材が、いくつかの産業、並びに移動基盤、固定基盤、地上構造物、水上構造物、又は宇宙構造物などの、いくつかの異なる基盤で使用されることを認識し考慮している。より詳細には、基盤は水上船舶、タンク、兵員輸送機、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋梁、ダム、住宅、製造設備、ビル、機器、その他何らかの適切な基盤であってもよい。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが、電気的用途、耐食用途、その他特定の技術基準又は性能基準を有する用途に使用されうることを認識し考慮している。
【0012】
例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが市販されており、任意の望ましい種類のチョップドファイバー、又はチョップドファイバーの混合物を含みうることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、チョップドファイバーが、ガラス、炭素、ケブラー、その他任意の望ましい種類の繊維を含みうることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが、熱硬化性樹脂系、又は熱可塑性樹脂系のいずれかを含みうることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが、エポキシ、フェノール、ポリエステル樹脂、ビニルエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)/ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリアミド、その他任意の望ましい種類の樹脂系などの、任意の望ましい種類のポリマー樹脂系を含みうることを認識し考慮している。
【0013】
例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが市販されており、すぐに成形できる状態で提供されることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが、バルク又はログで提供されうることを認識し考慮している。
【0014】
例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが、チョップドファイバーのストランドを混合器で樹脂と混合して製造されることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンド内のチョップドファイバーが、バルク成形コンパウンドで形成された複合構造の強度特性に寄与することを認識し考慮している。例示的な実施形態は、場合によってはバルク成形コンパウンド内のチョップドファイバーが、繊維強化しないエポキシなどのニートレジン系よりも、高い強度を生成しうることを認識し考慮している。
【0015】
例示的な実施形態は、繊維混入率が高いと、バルク成形コンパウンド内でチョップドファイバーを全て完全に濡らすことが、所望よりも困難になりうることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、最終用途用に完全に強化されたバルク成形コンパウンドを作成するのが、所望よりも困難になりうることを認識し考慮している。
【0016】
例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが完全に強化されないと、硬化した複合材料に不整合が生じる場合があることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが完全に強化されないと、硬化した材料の品質が所望よりも低くなる場合があることを認識し考慮している。例示的な実施形態は、バルク成形コンパウンドが完全に強化されないと、硬化した材料において、多孔性レベルが所望よりも高くなる場合があることを認識し考慮している。
【0017】
例示的な例では、複合材料が、複合角部充填材、又は複合「ヌードル(noodle)」の形成に使用されうることを認識し考慮している。例示的な例では、複合角部充填材は、引張り強度を与えるために、軸線方向に整列した繊維を有するのが望ましいことを認識し考慮している。
【0018】
ここで図面を参照し、特に図1を参照すると、例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される、製造環境のブロック図が示されている。製造環境100は、バルク成形コンパウンド104を強化するように構成された、強化システム102を有する。バルク成形コンパウンド104は、樹脂108と充填材110とで形成された、緩い複合材料106である。いくつかの例示的な例では、充填材110は、繊維112の形態をとる。繊維112は、任意の望ましい材料で形成され、任意の望ましい大きさを有してもよい。いくつかの例示的な例では、繊維112の長さは、0.125インチ~1.0インチの範囲である。バルク成形コンパウンド104を強化することによって、強化材料116の多孔性114が、バルク成形コンパウンド104の多孔性118よりも低くなる。
【0019】
強化システム102は、ダイブレーカー120と、押出ダイ122とを備える。いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンド104は、ダイブレーカー120、及び押出ダイ122を通してバルク成形コンパウンド104を送ることによって強化される。
【0020】
強化システム102は、ピストン124と、円筒形のハウジング126とを更に備える。ダイブレーカー120は、円筒形のハウジング126内に収容される。押出ダイ122は、円筒形のハウジング126の端部128に結合される。いくつかの例示的な例では、強化システム102は「ラム押出機」と呼ばれる。
【0021】
緩和チャンバ130は、ダイブレーカー120と、円筒形のハウジング126と、押出ダイ122とによって形成される。バルク成形コンパウンド104は、緩和チャンバ130内で加圧された材料132になるように、ダイブレーカー120を通って加圧される。緩和チャンバ130は、材料フォームを安定させるために使用される。
【0022】
緩和されることによって、加圧された材料132は、押出ダイ122を通って押し出される前に、再混合されて膨張する時間を与えられる。緩和されることによって、押出ダイ122を通って押し出された後の膨張を低減する。いくつかの例示的な例では、緩和されることによって、強化材料116の多孔性が低減される。
【0023】
いくつかの例示的な例において、緩和チャンバ130は「押出ゾーン」と呼ばれてもよい。 緩和チャンバ130において、加圧された材料132は、ダイブレーカー120を通った後に再混合され、押出ダイ122を通って押し出される前に緩和される。加圧された材料132を再混合することにより、充填材110を樹脂108で均等に濡らすのを補助する。緩和されることによって、加圧された材料132は、ダイブレーカー120の複数の穴144、又は複数のスロット146の形状を保持しない。
【0024】
存在する場合、ダイブレーカー120は、押出ダイ122の背圧を増大させる。ダイブレーカー120が存在する場合、強化材料116は押し出された後に、ダイブレーカー120が存在しない場合ほど膨張しない。ダイブレーカー120が存在する場合、ダイブレーカー120は、強化材料116の均質化を増進する。
【0025】
ダイブレーカー120は、任意の望ましい大きさと形状とを有する。例えば、ダイブレーカー120は、厚さ121を有する。厚さ121は、バルク成形コンパウンド104を強化するように選択される。厚さ121は、バルク成形コンパウンド104が、ダイブレーカー120を通って移動する際に十分な時間を費やし、その結果バルク成形コンパウンド104が強化されるように選択される。いくつかの例示的な例では、厚さ121は、0.25インチ~1.0インチの範囲である。いくつかの例示的な例では、厚さ121は、約0.5インチである。
【0026】
ダイブレーカー120を通って加圧される前に、バルク成形コンパウンド104は、圧縮チャンバ134の中に装填される。圧縮チャンバ134は、ダイブレーカー120と、ピストン124と、円筒形のハウジング126とによって形成される。
【0027】
いくつかの例示的な例において、圧縮チャンバ134は「材料供給チャンバ」と呼ばれてもよい。 圧縮チャンバ134内のバルク成形コンパウンド104は、緩和チャンバ130内の加圧された材料132よりも密度が低い。より詳細には、バルク成形コンパウンド104の密度135は、加圧された材料132の密度137よりも低い。
【0028】
ピストン124が押出ダイ122に向かって移動することにより、バルク成形コンパウンド104は混合され強化される。バルク成形コンパウンド104が圧縮チャンバ134内で動くことにより、樹脂108と充填材110とが混合される。バルク成形コンパウンド104は、印加された力、加熱、又は脱気のうちの少なくとも1つによって強化される。
【0029】
いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンド104を強化システム102の中に装填する前に、加熱されたバルク成形コンパウンド138を形成するために、バルク成形コンパウンド104に熱136が印加される。このような例示的な例では、強化システム102の中に、加熱されたバルク成形コンパウンド138が装填される。
【0030】
このような例示的な例では、バルク成形コンパウンド104は、樹脂108のガラス転移温度Tgを超えて加熱され、その結果、バルク成形コンパウンド104は著しく軟化する。また温度は、この動作によって化学反応が生じないように、樹脂108の硬化温度をはるかに下回っていなければならない。いくつかの例示的な例では、加熱136は、樹脂108が流動可能になるまで行われる。
【0031】
加熱されたバルク成形コンパウンド138を強化システム102の中に装填した後、加熱されたバルク成形コンパウンド138は脱気される。加熱されたバルク成形コンパウンド138を脱気するために、加熱されたバルク成形コンパウンド138に真空が印加される。真空は、円筒形のハウジング126内の真空ポート140を介して印加される。真空ポート140を介して印加された真空は、最初は圧縮チャンバ134内で、加熱されたバルク成形コンパウンド138を脱気する。また真空は、圧縮チャンバ134、及び緩和チャンバ130からガスを排出する。
【0032】
加熱されたバルク成形コンパウンド138を脱気することにより、加熱されたバルク成形コンパウンド138からガスが除去される。加熱されたバルク成形コンパウンド138からガスを除去することにより、円筒形のハウジング126内にあるバルク成形コンパウンド104の密度135が増加する。
【0033】
加熱されたバルク成形コンパウンド138を脱気するために、円筒形のハウジング126は封止される。円筒形のハウジング126は、プラグ141などの気密部品を円筒形のハウジング126の端部128と関連付けることによって、かつピストン124などの別の気密部品を円筒形のハウジング126の端部168と関連付けることによって封止される。
【0034】
いくつかの例示的な例では、ピストン124が円筒形のハウジング126を封止して、加熱されたバルク成形コンパウンド138からガスを抜くために真空を印加できるようにする。このような例示的な例では、ピストン124は、円筒形のハウジング126とともに気密封止を形成する。他のいくつかの例示的な例では、ピストン124は、円筒形のハウジング126とともに気密封止を形成しない。このような例示的な例では、円筒形のハウジング126を封止するために、別の封止部品(図示せず)が端部168に関連付けられる。
【0035】
いくつかの例示的な例では、加熱されたバルク成形コンパウンド138を加圧する前に、真空ポート140を介して真空が印加され、ピストン124が延伸して真空ポート140を通過した後は、真空ポート140を介して真空が印加されることはない。このような例示的な例では、ピストン124は、円筒形のハウジング126とともに気密封止を形成する。
【0036】
いくつかの例示的な例では、強化システム102のダイブレーカー120を通して、加熱されたバルク成形コンパウンド138を加圧している間はずっと真空が印加される。このような例示的な例では、別の封止部品(図示せず)が、端部168で円筒形のハウジング126を封止する。
【0037】
プラグ141は、円筒形のハウジング126の端部128に関連付けられる。プラグ141は、真空ポート140を介して真空を印加するために、円筒形のハウジング126の端部128を封止する。プラグ141は、押出ダイ122の開口部152を遮断することによって、円筒形のハウジング126を封止する。プラグ141は、円筒形のハウジング126内の真空を維持する。
【0038】
プラグ141は、加圧された材料132がプラグ141を開口部152から押し出すまで所定の位置に留まる。加圧された材料132がプラグ141を開口部152から押し出すと、開口部152を通過する加圧された材料132が、円筒形のハウジング126内の真空を維持する。
【0039】
真空ポート140を介して真空を印加した後に、アクチュエーター142がピストン124を動かして、強化システム102の円筒形のハウジング126内で、加熱されたバルク成形コンパウンド138を加圧する。強化システム102のダイブレーカー120を通して、加熱されたバルク成形コンパウンド138を加圧するステップは、ピストン124を押出ダイ122に向かって駆動することを含む。
【0040】
図示されているように、加圧された材料132を形成するために、強化システム102の加熱されたバルク成形コンパウンド138を加圧するステップは、強化システム102のダイブレーカー120を通して、加熱されたバルク成形コンパウンド138を加圧することを含む。ダイブレーカー120は、複数の穴144、又は複数のスロット146のうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
本明細書において使用されるように、「のうちの少なくとも1つ」という表現は、項目のリストとともに使用される場合に、リストに挙げられた項目のうちの1つ以上の項目の種々の組み合わせを使用できることを意味し、リストの各項目のうちのただ1つだけが必要であってよい。換言すると、「のうちの少なくとも1つ」は、項目の任意の組み合わせ、及びいくつかの項目をリストから使用することができるが、必ずしもリストの全ての項目が必要とされるわけではないことを意味する。項目は、個々の物体、事物、又は種類であってよい。
【0042】
例えば、「アイテムA、アイテムB、又はアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、限定することなく「アイテムA、アイテムAとアイテムB、又はアイテムB」を含みうる。またこの例は、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、又はアイテムBとアイテムCも含みうる。当然、これらのアイテムの任意の組み合わせが存在してもよい。他の例において、「のうちの少なくとも1つ」は、例えば、これらに限られるわけではないが、2つのアイテムAと1つのアイテムBと10個のアイテムC、4つのアイテムBと7つのアイテムC、又は他の適切な組み合わせであってもよい。
【0043】
図示されているように、強化システム102は、円筒形のハウジング126に関連付けられた、ヒーターシステム148を備える。ヒーターシステム148は、任意の望ましい数のヒーター、及び任意の望ましい種類のヒーターを含む。ヒーターシステム148は、対流加熱システム、又は伝導加熱システムのうちの1つであってもよい。円筒形のハウジング126に関連付けられることによって、ヒーターシステム148は、円筒形のハウジング126を加熱するように構成される。いくつかの例示的な例において、ヒーターシステム148は、円筒形のハウジング126の方に向けられることによって、円筒形のハウジング126に関連付けられる。例えば、ヒーターシステム148は、円筒形のハウジングに加熱された空気を吹き付けるようにされた、加熱された空気の供給源であってもよい。
【0044】
いくつかの例示的な例において、ヒーターシステム148は、円筒形のハウジング126と接触することによって、円筒形のハウジング126に関連付けられる。例えば、円筒形のハウジング126を加熱するために、円筒形のハウジング126に加熱ブランケットを巻き付けて、ヒーターシステム148を形成してもよい。いくつかの例示的な例では、ヒーターシステム148は、円筒形のハウジング126の中に組み込むことによって、円筒形のハウジング126に関連付けられる。例えば、円筒形のハウジング126の中に抵抗加熱部品を組み込んで、ヒーターシステム148を形成してもよい。
【0045】
ヒーターシステム148は、円筒形のハウジング126内のバルク成形コンパウンド104の粘度を下げるために、円筒形のハウジング126に熱150を印加する。円筒形のハウジング126内のバルク成形コンパウンド104の粘度を下げることによって、ダイブレーカー120を通してバルク成形コンパウンド104を加圧するために、アクチュエーター142によって加えられる力が削減される。円筒形のハウジング126内のバルク成形コンパウンド104の粘度を下げることによって、加工性が良好になる。また、粘度を下げることによって、バルク成形コンパウンド104の脱気も良好になる。
【0046】
いくつかの例示的な例では、押出ダイ122は、形成ダイと呼ばれてもよい。押出ダイ122は開口部152を有し、ここを通って強化材料116が強化システム102から出る。押出ダイ122は、強化材料116をスラグ154、又はインゴット156のうちの1つにする。
【0047】
インゴット156は、円形、正方形、長方形、三角形、その他の望ましい輪郭などの、任意の望ましい輪郭を有する。開口部152は、スラグ154又はインゴット156の所望の輪郭を作成するような形状にされる。開口部152は、スラグ154又はインゴット156の所望の形状に基づいて、任意の望ましい大きさ又は形状を有する。開口部152は、断面形状157を有する。断面形状157は、円形、正方形、長方形、三角形、その他任意の望ましい形状などの、任意の望ましい形状になる。いくつかの例示的な例において、押出ダイ122は、複合角部充填材を形成するように構成された断面形状157を伴った、開口部152を有する。
【0048】
1つの例示的な例では、押出ダイ122は、スロット付きの長方形のダイである。この例示的な例では、押出ダイ122の開口部152は、ブラケット、又は薄いシェル型のパネル構造を形成するために、材料を押し出して薄いシートにするために使用される。1つの例示的な例では、押出ダイ122は、三角形の開口部152を有する。この例示的な例では、三角形の開口部152を有する押出ダイ122は、角部充填材の用途用にバルク成形コンパウンド104を押し出すのに使用されてもよい。
【0049】
強化材料116は、複合構造158などの、複合構造の形成に使用される材料である。押出ダイ122から出た強化材料116は、成形品160のような、成形プロセスに使用できる状態になる。図示されているように、強化システム102から出た後に、強化材料116は、成形品160を経て複合構造158を形成する。いくつかの例示的な例では、強化材料116は、成形品160になる前に所望の期間貯蔵されてもよい。
【0050】
複合構造158は、バルク成形コンパウンド104から形成された複合構造よりも、低多孔性、不整合の少なさ、又は高強度のうちの、少なくとも1つを有しうる。複合構造158を形成する前に、バルク成形コンパウンド104を強化して強化材料116を生成することにより、複合構造158の品質が向上する。いくつかの例示的な例において、複合構造158は航空機の一部である。
【0051】
強化システム102を使用したバルク成形コンパウンド104の強化は、一括処理である。強化システム102は、任意の望ましい寸法を有してもよい。圧縮チャンバ134の容積162は、一括で処理されうるバルク成形コンパウンド104の量に影響を及ぼす。
【0052】
円筒形のハウジング126の直径164は、アクチュエーター142によって加えられる力の量に影響を及ぼす。直径164を大きくすると、バルク成形コンパウンド104を強化するためにアクチュエーター142が加える力の量が増加する。
【0053】
円筒形のハウジング126の直径164は、圧縮チャンバ134の容積162にも影響する。円筒形のハウジング126の直径164を大きくすると、圧縮チャンバ134の容積162も大きくなる。圧縮チャンバ134の容積162は、ダイブレーカー120と、円筒形のハウジング126の端部168との間の距離166の影響も受ける。例えば、ダイブレーカー120と、端部168との間の距離166が増加すると、容積162が増加する。円筒形のハウジング126の端部128と端部168とは、円筒形のハウジング126の両端にある。
【0054】
押出ダイ122は、任意の望ましい寸法を有する。いくつかの例示的な例では、開口部152の断面積172は、円筒形のハウジング126の断面積174の少なくとも25%未満である。いくつかの例示的な例では、開口部152が円形のとき、押出ダイ122の開口部152の直径170は、円筒形のハウジング126の直径164の少なくとも25%未満である。
【0055】
図1の製造環境100の説明は、例示的な実施形態を実施できるやり方について、物理的又は構造的な限定を意味するものではない。例示の構成要素に加え、或いは例示の構成要素に代えて、他の構成要素を使用することが可能である。いくつかの構成要素は、不要な場合がある。また、ブロックは、何らかの機能的な構成要素を示すために提示されている。これらのブロックの1つ以上を、例示の実施形態において実施されるときに異なるブロックに組み合わせることができ、分割することができ、或いは組み合わせて分割することができる。
【0056】
例えば、バルク成形コンパウンド104、又は加熱されたバルク成形コンパウンド138のいずれかが強化システム102に装填されて、強化システム102を用いて強化されてもよい。別の例として、ダイブレーカー120が提示されていても、いくつかの例示的な例では強化システム102にダイブレーカー120が存在しなくてもよい。
【0057】
別の例として、押出ダイ122は開口部152のみを有するものとして示されているが、押出ダイは、任意の望ましい数の開口部を有してもよい。いくつかの例示的な例では、押出ダイ122は、1つよりも多い開口部を有する。
【0058】
いくつかの例示的な例において、強化システム102は、ロボットアームなどの自動化された移動システムによって製造環境100内で移動される。このような例示的な例では、強化システム102は、エンドエフェクターの一部であってもよい。いくつかの例示的な例では、強化材料116を受けるために、強化システム102に対してツールが移動される。
【0059】
別の例として、成形品160が示されているが、成形品160は任意であってもよい。いくつかの例示的な例では、強化材料116は、成形品160になることなく複合構造158を形成する。例えば、開口部152の断面形状157によって、強化材料116を、複合角部充填材用の所望の断面形状を有するスラグ154にしてもよい。
【0060】
いくつかのこのような例示的な例では、強化システム102は、複合角部充填材のエンドエフェクターの一部であってもよい。1つの例示的な例において、強化システム102は、複合構造158を形成するために複合角部充填材を押し出すように構成されたエンドエフェクター(図示せず)である。いくつかの例示的な例において、強化システム102は、複合角部充填材を形成するために、別の複合材料の中に直接強化材料116を押し出す。いくつかの例示的な例において、強化システム102は、複合角部充填材を形成するために、ツールの中に強化材料116を押し出す。
【0061】
次に図2を参照すると、例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される製造環境の図が示されている。製造環境200は、図1の製造環境100の物理的実装である。製造環境200は、強化システム202と、バルク成形コンパウンド204とを含む。バルク成形コンパウンド204は、図1のバルク成形コンパウンド104の物理的実装である。
【0062】
図示されているように、強化材料206は、強化システム202から押し出される。強化材料206の多孔性(図示せず)は、バルク成形コンパウンド204の多孔性(図示せず)よりも低い。
【0063】
強化材料206を形成するために、強化システム202の中にバルク成形コンパウンド204が装填される。いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンド204は、バルク成形コンパウンド204を円筒形のハウジング208の中に装填する前に加熱されている。
【0064】
バルク成形コンパウンド204を円筒形のハウジング208の中に装填した後に、円筒形のハウジング208を封止するために、ピストン210が円筒形のハウジング208に関連付けられる。ピストン210を用いて円筒形のハウジング208を封止した後に、円筒形のハウジング208内のバルク成形コンパウンド204は脱気される。円筒形のハウジング208内の材料を脱気するために、円筒形のハウジング208内に真空が印加される。真空は、円筒形のハウジング208内の真空ポート(図示せず)を通して印加される。真空は、真空供給源によって、円筒形のハウジング208内の真空ポート(図示せず)に印加される。
【0065】
強化材料206を形成するために、アクチュエーター212が、押出ダイ214に向かってピストン210を駆動する。押出ダイ214は、円筒形のハウジング208の端部216に結合される。押出ダイ214に向かってピストン210を駆動することによって、バルク成形コンパウンド204などの材料は、円筒形のハウジング208内で加圧され、押出ダイ214を通って押し出される。図示されているように、強化材料206は、スラグ218として押出ダイ214から出る。
【0066】
いくつかの例示的な例では、スラグ218は、複合構造を形成するために別の成形プロセスにかけられる。いくつかの他の例示的な例では、スラグ218は、押し出された断面をもって使用される。例えば、いくつかの例示的な例では、スラグ218は、複合角部充填材として置かれてもよい。
【0067】
いくつかの例示的な例では、強化システム202は、スラグ218を複合材料、又はツールに適用するためのエンドエフェクターの一部であってもよい。いくつかの例示的な例では、強化システム202は、複合角部充填材を押し出すエンドエフェクターの一部であり、スラグ218が複合角部充填材として使用される。
【0068】
次に図3を参照すると、例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される強化システムの断面図が示されている。強化システム300は、図1の強化システム102の物理的実装である。図示されているように、強化システム300は、ダイブレーカー302と、押出ダイ304とを備える。強化システム300は、ピストン306と、円筒形のハウジング308とを更に備える。ダイブレーカー302は、円筒形のハウジング308内に収容される。押出ダイ304は、円筒形のハウジング308の端部310に結合される。
【0069】
圧縮チャンバ312は、ダイブレーカー302と、ピストン306と、円筒形のハウジング308とによって形成される。緩和チャンバ314は、ダイブレーカー302と、円筒形のハウジング308と、押出ダイ304とによって形成される。
【0070】
真空ポート316は、円筒形のハウジング308内にある。ヒーターシステム318は、円筒形のハウジング308に関連付けられる。図示されているように、ヒーターシステム318は、円筒形のハウジング308に組み込まれる。
【0071】
図示されているように、ピストン306は、円筒形のハウジング308を封止する。ピストン306は、円筒形のハウジング308に接触し、円筒形のハウジング308とともに気密封止を形成する。圧縮チャンバ312内のバルク成形コンパウンド320は、真空ポート316を用いて脱気される。プラグ321は、脱気するために円筒形のハウジング308を封止する。プラグ321は、押出ダイ304の開口部(図示せず)を遮断する。
【0072】
図示されているように、押出ダイ304は、テーパー323を有する。テーパー323により、押出ダイ304の開口部(図示せず)の断面は、円筒形のハウジング308の断面よりも小さくなる。押出ダイ304の開口部(図示せず)の断面が小さいことにより、押し出し中の圧力を高く保つのに役立つ。押出ダイ304の開口部(図示せず)の断面が小さいことにより、押し出されたインゴット(図示せず)の多孔性を低く保つのに役立つ。
【0073】
符号322の表示では、ピストン306は初期位置324にある。初期位置324から、ピストン306はアクチュエーター326によって、押出ダイ304に向かって方向328へ駆動される。ピストン306が方向328に移動すると、ピストン306は、図4に示すようにバルク成形コンパウンド320を圧縮する。
【0074】
ピストン306が真空ポート316を通過すると、真空は真空ポート316から解放されてもよい。ピストン306が真空ポート316を通過すると、ピストン306と円筒形のハウジング308との間の気密封止が、バルク成形コンパウンド320内の真空を維持する。
【0075】
いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンド320は、円筒形のハウジング308の中に配置される前に予熱されている。このような例示的な例では、バルク成形コンパウンド320は、「加熱されたバルク成形コンパウンド」と呼ばれてもよい。
【0076】
次に図4を参照すると、例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドが強化される強化システムの断面図が示されている。符号400の表示では、ピストン306が方向328に移動し、ダイブレーカー302を通してバルク成形コンパウンド320を加圧している。バルク成形コンパウンド320は、加圧された材料402を形成するために、ダイブレーカー302を通って加圧される。
【0077】
バルク成形コンパウンド320がダイブレーカー302を通って加圧されると、ダイブレーカー302の複数の穴403の大きさのために、バルク成形コンパウンド320により高い圧力が印加される。バルク成形コンパウンド320により高い圧力が印加されることにより、バルク成形コンパウンド320が強化される。
【0078】
ダイブレーカー302を通ってバルク成形コンパウンド320が加圧されると、バルク成形コンパウンド320内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する。強化材料404から作成されるいくつかの複合構造にとって、バルク成形コンパウンド320内の繊維が整列することが望ましい場合がある。図示されているように、バルク成形コンパウンド320は、加圧された材料402を形成するために、ダイブレーカー302の複数の穴403を通って加圧される。
【0079】
緩和チャンバ314内の加圧された材料402は、ダイブレーカー302を通って加圧されている。加圧された材料402は、緩和チャンバ314内で再混合され緩和される。
【0080】
緩和チャンバ314は、材料フォームを安定させるために使用される。緩和されることによって、加圧された材料402は、押出ダイ304を通って押し出される前に、再混合されて膨張する時間を与えられる。緩和されることによって、押出ダイ304を通って押し出された後の膨張が低減される。いくつかの例示的な例では、緩和させることによって、強化材料404の多孔性が低減される。
【0081】
いくつかの例示的な例では、緩和チャンバ314は「押出ゾーン」と呼ばれてもよい。緩和チャンバ314において、加圧された材料402は、ダイブレーカー302を通った後に再混合され、押出ダイ304を通って押し出される前に緩和される。加圧された材料402を再混合することにより、加圧された材料402の充填材を、加圧された材料402内の樹脂で均等に濡らすのを補助する。緩和されることによって、加圧された材料402は、ダイブレーカー302の複数の穴403、又は複数のスロットの形状を保持しない。
【0082】
ダイブレーカー302は、押出ダイ304の背圧を増大させる。ダイブレーカー302が存在する場合、強化材料404は押し出された後に、ダイブレーカー302が存在しない場合ほど膨張しない。ダイブレーカー302が存在する場合、ダイブレーカー302は、強化材料404の均質化を増進する。
【0083】
ピストン306が方向328に移動すると、加圧された材料402は、強化システム300の押出ダイ304を通って押し出される。強化材料404は、押出ダイ304から押し出される。強化材料404は、スラグ406の形状をとる。スラグ406は、図3の円筒形のハウジング308の中に装填されたバルク成形コンパウンド320の多孔性(図示せず)よりも、多孔性(図示せず)が低い。スラグ406は、強化システム300によって印加される熱、脱気、及び圧縮のために、バルク成形コンパウンド320よりも多孔性が低い。スラグ406は、ダイブレーカー302を通って強化されたために、バルク成形コンパウンド320よりも多孔性が低い。また、スラグ406は、強化システム300によって印加される圧縮のために、バルク成形コンパウンド320よりも、スラグ406内の樹脂による、スラグ406内での充填材の濡れが良好になる。
【0084】
強化システム300から出た後、強化材料404は、個別の製造プロセスですぐに形成できる状態になる。いくつかの例示的な例では、強化材料404は、成形用途に使用される。強化材料404を成形して部品(図示せず)を形成することによって、バルク成形コンパウンド320を直接成形して形成された部品よりも、高品質な部品が作成される。成形された強化材料404の多孔性が低減されることによって、バルク成形コンパウンド320を直接成形して形成された部品よりも、高品質な部品になる。
【0085】
いくつかの例示的な例では、スラグ406内の強化材料404は、複合構造を形成するために別の成形プロセスにかけられることはない。いくつかの例示的な例では、スラグ406は、押し出された断面で使用される。例えば、いくつかの例示的な例では、スラグ406は、複合角部充填材として置かれてもよい。
【0086】
いくつかの例示的な例では、強化システム300は、スラグ406を複合材料、又はツールに印加するためのエンドエフェクターの一部であってもよい。いくつかの例示的な例では、強化システム300は、複合角部充填材を押し出すエンドエフェクターの一部であり、スラグ406が複合角部充填材として使用される。
【0087】
スラグ406は、任意の望ましい形状を有してもよい。いくつかの例示的な例では、スラグ406の形状は、形成する複合構造に基づいて選択される。いくつかの例示的な例では、スラグ406は、1枚以上の薄いシートであってもよい。薄いシートは、ブラケット、パネル、その他任意の望ましい複合構造に形成されてもよい。
【0088】
次に図5を参照すると、例示的な実施形態による、強化システムのダイブレーカーの等角投影図が示されている。ダイブレーカー500は、図1のダイブレーカー120の物理的実装である。ダイブレーカー500は、図1の強化システム102に使用されてもよい。ダイブレーカー500は、図3及び図4のダイブレーカー302と同じであってもよい。
【0089】
ダイブレーカー500は、複数の穴、又は複数のスロットのうちの少なくとも1つを含む。図示されているように、ダイブレーカー500は、複数の穴502を有する。他の図示されていない例示的な例において、ダイブレーカー500は、複数の穴に加えて、1つ以上のスロットを有する。他の図示されていない例示的な例において、ダイブレーカー500は、複数の穴502はなく、複数のスロットを有する。
【0090】
バルク成形コンパウンドがダイブレーカー500を通して加圧されると、ダイブレーカー500の複数の穴502の大きさのために、バルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加される。図示されているように、複数の穴502のそれぞれの直径は0.25インチである。図示されているように、ダイブレーカー500のそれぞれの厚さは約0.5インチである。ダイブレーカー500の厚さは、バルク成形コンパウンドを強化するのに十分な時間をかけて、バルク成形コンパウンドがダイブレーカー500を通過するように選択される。バルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加されることにより、バルク成形コンパウンドが強化される。
【0091】
ダイブレーカー500を通してバルク成形コンパウンドが加圧されると、バルク成形コンパウンド内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する。ダイブレーカー500を備える強化システムを用いて形成された強化材料から作成されるいくつかの複合構造にとって、バルク成形コンパウンド内の繊維が整列することが望ましい場合がある。
【0092】
次に図6を参照すると、例示的な実施形態による、強化システムのダイブレーカーの前面図が示されている。ダイブレーカー600は、図1のダイブレーカー120の物理的実装である。ダイブレーカー600は、図1の強化システム102に使用されてもよい。ダイブレーカー600は、図3及び図4のダイブレーカー302と同じであってもよい。
【0093】
ダイブレーカー600は、複数の穴、又は複数のスロットのうちの少なくとも1つを含む。図示されているように、ダイブレーカー600は、複数のスロット602を有する。他の図示されていない例示的な例において、ダイブレーカー600は、複数のスロット602に加えて、1つ以上の穴を有する。他の図示されていない例示的な例において、ダイブレーカー600は、複数のスロット602はなく、複数の穴を有する。
【0094】
バルク成形コンパウンドがダイブレーカー600を通して加圧されると、ダイブレーカー600の複数のスロット602の大きさのために、バルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加される。図示されているように、複数のスロット602の長さは同一ではない。いくつかの例示的な例では、複数のスロット602のそれぞれの長さは、0.25~0.5インチの範囲である。バルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加されることにより、バルク成形コンパウンドが強化される。
【0095】
ダイブレーカー600を通してバルク成形コンパウンドが加圧されると、バルク成形コンパウンド内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する。ダイブレーカー600を備える強化システムを用いて形成された強化材料から作成されるいくつかの複合構造にとって、バルク成形コンパウンド内の繊維が整列することが望ましい場合がある。
【0096】
図2図6に示す異なる構成要素は、図1の構成要素と組み合わせてもよく、図1の構成要素とともに使用してもよく、或いはこの2つの組み合わせであってもよい。また、図2図6のいくつかの構成要素は、図1にブロックの形態で示した構成要素をどのように物理的な構造物として実装しうるかについての例示的な例であってもよい。
【0097】
次に図7を参照すると、例示的な実施形態による、バルク成形コンパウンドを強化する方法のフロー図が示されている。方法700は、図1の強化システム102を使用して、バルク成形コンパウンド104を強化するのに用いられてもよい。方法700は、図2の強化システム202を使用して、製造環境200に実装されてもよい。方法700は、図3及び図4の強化システム300を使用して実行されてもよい。図5のダイブレーカー500は、方法700を実行するために使用されてもよい。
【0098】
方法700は、バルク成形コンパウンドを、強化システムのダイブレーカー、及び押出ダイを通して送ることによって、バルク成形コンパウンドを強化する(ステップ702)。その後、方法700は終了する。
【0099】
いくつかの例示的な例において、方法700は、バルク成形コンパウンドを強化システムの中に装填する前に、バルク成形コンパウンドを加熱する(ステップ704)。強化システムの中に装填する前にバルク成形コンパウンドを予熱することによって、円筒形のハウジングに関連付けられた加熱システムによるバルク成形コンパウンド全体の加熱よりも、ピストンによる加圧の方が早く開始されうる。
【0100】
いくつかの例示的な例において、方法700は、円筒形のハウジング内のバルク成形コンパウンドを脱気する(ステップ706)。バルク成形コンパウンドを脱気することによって、バルク成形コンパウンドからガスが除去されて、強化材料の密度が増加する。いくつかの例示的な例において、方法700は、バルク成形コンパウンドに真空を印加することによって、バルク成形コンパウンドを脱気する。いくつかの例示的な例において、ピストンが真空ポートを通過するまで真空が印加される。
【0101】
いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンドを強化するステップは、バルク成形コンパウンドを、強化システム内のダイブレーカーを通して送るステップ(ステップ708)と、バルク成形コンパウンドを、ダイブレーカーを通して送るステップの後に、バルク成形コンパウンドを、強化システムの押出ダイを通して押し出すステップ(ステップ710)とを含む。いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンドを、ダイブレーカーを通して送るステップは、バルク成形コンパウンドを、ピストンを用いて強化システムの円筒形のハウジング内で圧縮することを含む(ステップ712)。ピストンは「圧縮ピストン」と呼ばれてもよい。ピストンは、アクチュエーター、又は任意の他の望ましい駆動機構によって駆動してもよい。
【0102】
いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンドを、強化システム内のダイブレーカーを通して送るステップは、バルク成形コンパウンドを複数の穴、又は複数のスロットのうちの少なくとも1つを通して送ることを含む(ステップ714)。複数の穴、又は複数のスロットの少なくとも1つは、任意の望ましい配置、任意の望ましい大きさ、及び任意の望ましい数を有してもよい。いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンドを複数の穴、又は複数のスロットのうちの少なくとも1つを通して送ることによって、バルク成形コンパウンドを強化する(ステップ716)。
【0103】
いくつかの例示的な例では、バルク成形コンパウンドを、ダイブレーカーを通して送ることによって、バルク成形コンパウンド内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する(ステップ718)。バルク成形コンパウンドがダイブレーカーを通して加圧されると、ダイブレーカーの複数の穴、又は複数のスロットの大きさのために、バルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加される。バルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加されることにより、バルク成形コンパウンドが強化される。いくつかの例示的な例では、方法700において、バルク成形コンパウンドを、ダイブレーカーを通して送るステップと、バルク成形コンパウンドを押し出すステップとの間に、バルク成形コンパウンドを緩和させる(ステップ720)。
【0104】
いくつかの例示的な例では、方法700において、強化システムの円筒形のハウジングを加熱する(ステップ722)。円筒形のハウジングを加熱することによって、円筒形のハウジング内のバルク成形コンパウンドが加熱される。バルク成形コンパウンドを加熱することにより、バルク成形コンパウンドの粘度が低減される。
【0105】
円筒形のハウジングは、任意の望ましい加熱プロセスを用いて加熱される。ヒーターシステムは、円筒形のハウジングの方に向けられることによって、円筒形のハウジングと接触することによって、円筒形のハウジングに結合されることによって、或いは円筒形のハウジング内に形成されることによって、円筒形のハウジングに関連付けられてもよい。
【0106】
次に図8を参照すると、例示的な例による、バルク成形コンパウンドを強化する方法のフロー図が示されている。方法800は、図1の強化システム102を使用して、バルク成形コンパウンド104を強化するのに用いられてもよい。方法800は、図2の強化システム202を使用して、製造環境200に実装されてもよい。方法800は、図3及び図4の強化システム300を使用して実行されてもよい。図5のダイブレーカー500は、方法800を実行するために使用されてもよい。
【0107】
方法800は、加熱されたバルク成形コンパウンドを形成するために、バルク成形コンパウンドを加熱する(ステップ802)。方法800は、加熱されたバルク成形コンパウンドを強化システムの中に装填する(ステップ804)。方法800は、加圧された材料を形成するために、加熱されたバルク成形コンパウンドを加圧する(ステップ806)。方法800は、強化システムの押出ダイを通して、加圧された材料を押し出す(ステップ808)。その後、方法800は終了する。
【0108】
いくつかの例示的な例では、方法800において、強化システムの円筒形のハウジングを加熱する(ステップ810)。円筒形のハウジングは、任意の望ましい方式で、かつ任意の望ましいヒーターシステムで加熱されてもよい。ヒーターシステムは、円筒形のハウジングの方に向けられることによって、円筒形のハウジングと接触することによって、円筒形のハウジングに結合されることによって、或いは円筒形のハウジング内に形成されることによって、円筒形のハウジングに関連付けられてもよい。
【0109】
いくつかの例示的な例において、方法800は、加熱されたバルク成形コンパウンドを強化システムの中に装填した後に、加熱されたバルク成形コンパウンドを脱気する(ステップ812)。加熱されたバルク成形コンパウンドは、強化システム内の加熱されたバルク成形コンパウンドに真空を印加することによって脱気される。加熱されたバルク成形コンパウンドを脱気する前に、強化システムは封止される。
【0110】
いくつかの例示的な例では、加圧された材料を形成するために、強化システムの加熱されたバルク成形コンパウンドを加圧するステップは、加熱されたバルク成形コンパウンドを、強化システムのダイブレーカーを通して加圧することを含む(ステップ814)。いくつかの例示的な例では、加熱されたバルク成形コンパウンドを強化システムのダイブレーカーを通して加圧するステップは、押出ダイに向かってピストンを駆動することを含む(ステップ816)。
【0111】
いくつかの例示的な例では、加熱されたバルク成形コンパウンドを、強化システムのダイブレーカーを通して加圧するステップは、加熱されたバルク成形コンパウンドを複数の穴、又は複数のスロットのうちの少なくとも1つを通して送ることを含む(ステップ818)。ダイブレーカーの複数の穴、又は複数のスロットの少なくとも1つは、任意の望ましい配置、任意の望ましい大きさ、及び任意の望ましい数を有してもよい。
【0112】
ダイブレーカーを通して、加熱されたバルク成形コンパウンドが加圧されると、バルク成形コンパウンド内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する。いくつかの複合構造では、軸線方向に整列した繊維が、望ましくは複合構造を強化する。繊維が軸線方向に整列することによって、複合構造が引張り強くなる。いくつかの例示的な例において、強化システムから押し出された強化材料は、複合角部充填材を形成する。繊維が軸線方向に整列することによって、望ましくは複合角部充填材が引張り強くなる。
【0113】
加熱されたバルク成形コンパウンドがダイブレーカーを通して加圧されると、ダイブレーカーの複数の穴、又は複数のスロットの大きさのために、加熱されたバルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加される。加熱されたバルク成形コンパウンドにより高い圧力が印加されることにより、バルク成形コンパウンドが強化される。
【0114】
次に図9を参照すると、例示的な例による、バルク成形コンパウンドを強化する方法のフロー図が示されている。方法900は、図1の強化システム102を使用して、バルク成形コンパウンド104を強化するのに用いられてもよい。方法900は、図2の強化システム202を使用して、製造環境200に実装されてもよい。方法900は、図3及び図4の強化システム300を使用して実行されてもよい。図5のダイブレーカー500は、方法900を実行するために使用されてもよい。
【0115】
方法900は、加熱されたバルク成形コンパウンドを形成するために、バルク成形コンパウンドを加熱する(ステップ902)。方法900は、強化システム内の加熱されたバルク成形コンパウンドを脱気する(ステップ904)。方法900は、加熱されたバルク成形コンパウンドを脱気後に強化し、この方法において、強化するステップは、加圧された材料を形成するために、加熱されたバルク成形コンパウンドを、強化システムのダイブレーカーを通して加圧することを含む(ステップ906)。方法900は、加圧された材料を緩和させる(ステップ908)。方法900は、加圧された材料を緩和させた後に、強化システムの押出ダイを通して加圧された材料を押し出す(ステップ910)。その後、方法900は終了する。
【0116】
いくつかの例示的な例では、加熱されたバルク成形コンパウンドを、ダイブレーカーを通して加圧することによって、加熱されたバルク成形コンパウンド内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する(ステップ912)。いくつかの例示的な例において、加圧された材料を押し出すことによって、加圧された材料内の少なくとも一部の繊維が軸線方向に整列する(ステップ914)。いくつかの例示的な例において、加圧された材料を押し出すことによって、複合角部充填材が形成される。
【0117】
種々の図示の実施形態におけるフロー図及びブロック図は、例示の実施形態における装置及び方法のいくつかの考えられる実施例の構造、機能、及び動作を示している。この点に関し、フロー図又はブロック図における各ブロックは、モジュール、部分、機能、及び/或いは動作又はステップの一部分を表すことができる。
【0118】
例示の実施形態のいくつかの代案の実施例において、ブロックにて示された1つ以上の機能は、図に示された順序とは異なる順序で生じてもよい。例えば、いくつかの場合に、続けて示されている2つのブロックを、実質的に同時に実行することができ、或いは関係する機能に応じて、ブロックが場合によっては逆順で実行されてもよい。また、フロー図及びブロック図に示されたブロックに加えて、他のブロックが追加されてもよい。
【0119】
いくつかの例示的な例では、方法700、方法800、又は方法900のブロックの全てが行われる必要はない。例えば、704から716までのいくつかのステップは、任意選択であってもよい。いくつかの例示的な例では、ステップ810から818までのうちのいくつかのステップは、任意選択であってもよい。いくつかの例示的な例では、ステップ912から914までは、任意選択であってもよい。
【0120】
本開示の例示的な例は、図10に示されるとおりの航空機の製造及び保守点検方法1000、並びに図11に示されるとおりの航空機1100との関連で説明することができる。まず図10を参照すると、航空機の製造及び保守点検方法の図が、例示的な例に従い、ブロック図の形態で示されている。製造の前段階において、航空機の製造及び保守点検方法1000は、図11の航空機1100の仕様及び設計1002並びに材料調達1004を含むことができる。
【0121】
生産中、航空機1100の構成要素及び部分組立品の製造1006と、システム統合1008とが行われる。その後、航空機1100は、就航中1012にするために認証及び搬送1010を経由してもよい。顧客による就航中1012に、航空機1100について、改良、構成変更、改修、並びに他の整備又は保守点検を含むことができる整備及び保守点検1014が計画される。
【0122】
航空機の製造及び保守点検方法1000のプロセスの各々を、システムインテグレーター、第三者、及び/又は運用者によって実行又は達成することができる。これらの例において、運用者は、顧客であってよい。本明細書の目的において、システムインテグレーターは、これらに限られるわけではないが、任意の数の航空機メーカー又は主要なシステムの下請け業者を含むことができ、第三者は、これらに限られるわけではないが、任意の数の製造供給元、下請け業者、又はサプライヤーを含むことができ、運用者は、航空会社、リース企業、軍、サービス組織(service organization)、などであってよい。
【0123】
次に図11を参照すると、例示的な例の実装の対象となりうる航空機の図が示されている。この例において、航空機1100は、図10の航空機の製造及び保守点検方法1000によって製造され、複数のシステム1104及び内部1106を有する機体1102を含むことができる。システム1104の例として、推進システム1108、電気システム1110、油圧システム1112、及び環境システム1114のうちの1つ以上が挙げられる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙の例が示されているが、別の例示的な例は、自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0124】
本明細書において具現化された装置及び方法を、航空機の製造及び保守点検方法1000の少なくとも1つの段階において採用することができる。図10の構成要素及び部分組立品の製造1006、システム統合1008、又は整備及び保守点検1014の際に、1つ以上の例示的な例が使用されてもよい。例えば、図1の強化システム102によって強化された図1の強化材料116は、構成要素及び部分組立品の製造1006の際に、航空機1100の部品を形成するのに用いられてもよい。別の例として、強化システム102によって強化された強化材料116は、図10の整備及び保守点検1014の際に、交換部品を形成するのに用いられてもよい。
【0125】
本明細書において具現化された装置及び方法は、航空機1100の少なくとも1つの部品の製造に採用することができる。例えば、図1の強化システム102は、成形されて機体1102又は内部1106のうちの1つの部品になりうる、図1の強化材料116を生成する。
【0126】
例示的な例は、バルク成形コンパウンドを強化する方法及び装置を提供する。バルク成形コンパウンドを強化することによって形成された強化材料は、高品質な複合製品を作るのに使用することができる。強化材料を成形することによって、成形された複合部品で、多孔性の低減、又は不整合の低減のうちの少なくとも1つが生じる。強化材料を成形することによって、バルク成形コンパウンドを成形するよりも、高品質な複合部品が製造される。例示的な例の強化材料を成形することによって、構造性能のよい複合部品が生成される。
【0127】
例示的な例の強化材料を処理するのは、バルク成形コンパウンドを処理するよりも容易である。バルク成形コンパウンドは緩い材料であり、望ましくない量の細塵が生じる場合がある。強化材料は、多孔性が低く、スラグ又はインゴットの形態をとる。例示的な例の強化材料を処理することによって、バルク成形コンパウンドを処理するよりも細塵の発生が少なくなる。
【0128】
強化プロセス中に、バルク成形コンパウンド内の繊維の少なくとも一部が軸線方向に整列する。いくつかの例示的な例では、軸線方向に整列した繊維が、望ましくは複合構造を強化する。例えば、繊維が軸線方向に整列することによって、複合構造が引張り強くなる。いくつかの例示的な例において、強化システムから押し出された強化材料は、複合角部充填材を形成する。繊維が軸線方向に整列することによって、望ましくは複合角部充填材が引張り強くなる。
【0129】
また、本システム及び方法は、特許請求の範囲と混同されるべきでない以下の節でも言及される。
【0130】
A1.バルク成形コンパウンド(104)を、強化システム(102)のダイブレーカー(120)、及び押出ダイ(122)を通して送ることによって、前記バルク成形コンパウンド(104)を強化するステップ(702)
を含む、方法(700)。
【0131】
A2.前記バルク成形コンパウンド(104)を強化するステップが、
前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記強化システム(102)内の前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップ(708)と、
前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップの後に、前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記強化システム(102)の前記押出ダイ(122)を通して押し出すステップ(710)と
を含む、A1に記載の方法(700)も提供される。
【0132】
A3.前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップ(718)によって、前記バルク成形コンパウンド(104)内の繊維(112)の少なくとも一部が軸線方向に整列する、A2に記載の方法(700)も提供される。
【0133】
A4.前記バルク成形コンパウンド(104)を前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップと、前記バルク成形コンパウンド(104)を押し出すステップとの間に、前記バルク成形コンパウンド(104)を緩和させるステップ(720)
を更に含む、A2に記載の方法(700)も提供される。
【0134】
A5.前記バルク成形コンパウンド(104)を前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップ(712)が、前記バルク成形コンパウンド(104)を、ピストン(124)を用いて前記強化システム(102)の円筒形のハウジング(126)内で圧縮することを含む、A2に記載の方法(700)も提供される。
【0135】
A6.前記円筒形のハウジング(126)内で、前記バルク成形コンパウンド(104)を脱気するステップ(706)
を更に含む、A5に記載の方法(700)も提供される。
【0136】
A7.前記強化システム(102)の、前記円筒形のハウジング(126)を加熱するステップ(722)
を更に含む、A5に記載の方法(700)も提供される。
【0137】
A8.前記バルク成形コンパウンド(104)を、前記強化システム(102)内の前記ダイブレーカー(120)を通して送るステップが、前記バルク成形コンパウンド(104)を複数の穴(144)、又は複数のスロット(146)のうちの少なくとも1つを通して送ることを含む(714)、A2に記載の方法(700)も提供される。
【0138】
A9.前記バルク成形コンパウンド(104)を、複数の穴(144)、又は複数のスロット(146)のうちの少なくとも1つを通して送るステップ(716)によって、前記バルク成形コンパウンド(104)が強化される、A8に記載の方法(700)も提供される。
【0139】
A10.前記バルク成形コンパウンド(104)を前記強化システム(102)の中に装填する前に、前記バルク成形コンパウンド(104)を加熱するステップ(704)
を更に含む、A1に記載の方法(700)も提供される。
【0140】
A11.前記バルク成形コンパウンド(104)が、樹脂(108)及び充填材(110)で形成された緩い複合材料(106)である、A1に記載の方法(700)も提供される。
【0141】
A12.前記バルク成形コンパウンド(104)を強化するステップが、強化材料(116)を形成し、
前記強化材料(116)から複合構造(158)を形成するステップであって、前記複合構造(158)は航空機の部品である、ステップ
を更に含む、A1に記載の方法(700)も提供される。
【0142】
A13.前記複合構造(158)が、複合角部充填材である、A12に記載の方法(700)も提供される。
【0143】
本方法の更なる態様によれば、以下が提供される。
【0144】
B1.加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を形成するために、バルク成形コンパウンド(104)を加熱するステップ(802)と、
前記バルク成形コンパウンド(138)を、強化システム(102)の中に装填するステップ(804)と、
加圧された材料(132)を形成するために、前記バルク成形コンパウンド(138)を加圧するステップ(806)と、
前記強化システム(102)の押出ダイ(122)を通して、前記加圧された材料(132)を押し出すステップ(808)と
を含む、方法(800)。
【0145】
B2.前記強化システム(102)の、前記円筒形のハウジング(126)を加熱するステップ(810)
を更に含む、B1に記載の方法(800)も提供される。
【0146】
B3.前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を前記強化システム(102)の中に装填した後に、前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を脱気するステップ(812)
を更に含む、B1に記載の方法(800)も提供される。
【0147】
B4.前記加圧された材料(132)を形成するために、前記強化システム(102)の前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を加圧するステップが、前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を、前記強化システム(102)のダイブレーカー(120)を通して加圧するステップ(814)を含み、前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を、前記強化システム(102)のダイブレーカー(120)を通して加圧するステップ(816)が、前記押出ダイ(122)に向かってピストン(124)を駆動するステップを含む、B1に記載の方法(800)も提供される。
【0148】
B5.前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を、前記強化システム(102)の前記ダイブレーカー(120)を通して加圧するステップ(818)が、前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を複数の穴、又は複数のスロット(146)のうちの少なくとも1つを通して送ることを含む、B4に記載の方法(800)も提供される。
【0149】
B6.前記バルク成形コンパウンド(104)が、樹脂(108)及び充填材(110)で形成された緩い複合材料(106)である、B1に記載の方法(800)も提供される。
【0150】
B7.前記強化システム(102)の前記押出ダイ(122)を通して、前記加圧された材料(132)を押し出すステップが、強化材料(116)を形成し、
前記強化材料(116)から複合構造(158)を形成するステップであって、前記複合構造(158)は航空機の部品である、ステップ
を更に含む、B1に記載の方法(800)も提供される。
【0151】
本方法の更なる態様によれば、以下が提供される。
【0152】
C1.加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を形成するために、バルク成形コンパウンド(104)を加熱するステップ(902)と、
強化システム(102)内の前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を脱気するステップ(904)と、
前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を脱気後に強化するステップ(906)であって、前記強化するステップが、加圧された材料(132)を形成するために、前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を、ダイブレーカー(120)を通して加圧するステップ(906)と、
前記加圧された材料(132)を緩和させるステップ(908)と、
前記加圧された材料(132)を緩和させた後に、前記強化システム(102)の押出ダイ(122)を通して、前記加圧された材料(132)を押し出すステップ(910)と
を含む、方法(900)。
【0153】
C2.前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)を、前記ダイブレーカー(120)を通して加圧するステップ(912)によって、前記加熱されたバルク成形コンパウンド(138)内の繊維(112)の少なくとも一部が軸線方向に整列する、C1に記載の方法(900)も提供される。
【0154】
C3.前記加圧された材料(132)を押し出すステップ(914)によって、前記加圧された材料(132)内の繊維(112)の少なくとも一部が軸線方向に整列する、C1に記載の方法(900)も提供される。
【0155】
C4.前記加圧された材料(132)を押し出すステップによって、複合角部充填材が形成される、C1に記載の方法(900)も提供される。
【0156】
本システムの更なる態様によれば、以下が提供される。
【0157】
D1.バルク成形コンパウンド(104)を強化する強化システム(102)であって、前記強化システム(102)は、
ダイブレーカー(120)と、
押出ダイ(122)と
を備える、強化システム(102)。
【0158】
D2.ピストン(124)と、
円筒形のハウジング(126)であって、前記ダイブレーカー(120)が前記円筒形のハウジング(126)内に収容され、前記押出ダイ(122)が前記円筒形のハウジング(126)の端部(128)に結合された、円筒形のハウジングと
を更に備える、D1に記載の強化システム(102)も提供される。
【0159】
D3.前記ダイブレーカー(120)と、前記円筒形のハウジング(126)と、前記押出ダイ(122)とによって形成された緩和チャンバ(130)
を更に含む、D2に記載の強化システム(102)も提供される。
【0160】
D4.前記ダイブレーカー(120)と、前記ピストン(124)と、前記円筒形のハウジング(126)とによって形成された圧縮チャンバ(134)
を更に含む、D2に記載の強化システム(102)も提供される。
【0161】
D5.前記円筒形のハウジング(126)内に真空ポート(140)
を更に含む、D2に記載の強化システム(102)も提供される。
【0162】
D6.前記円筒形のハウジング(126)に関連付けられたヒーターシステム(148)
を更に含む、D2に記載の強化システム(102)も提供される。
【0163】
D7.前記押出ダイ(122)の開口部(152)の直径(170)が、前記円筒形のハウジング(126)の直径(164)の少なくとも25%未満である、D2に記載の強化システム(102)も提供される。
【0164】
D8.前記ダイブレーカー(120)が、複数の穴(144)、又は複数のスロット(146)のうちの少なくとも1つを含む、D1に記載の強化システム(102)も提供される。
【0165】
D9.前記押出ダイ(122)が、断面形状(157)が円形、正方形、長方形、又は三角形のうちの1つである開口部(152)を有する、D1に記載の強化システム(102)も提供される。
【0166】
D10.前記押出ダイ(122)が、複合角部充填材を形成するように構成された断面形状(157)を伴った開口部(152)を有する、D1に記載の強化システム(102)も提供される。
【0167】
D11.前記強化システム(102)が、エンドエフェクターの一部である、D1に記載の強化システム(102)も提供される。
【0168】
種々の例示的な実施形態の説明は、例示及び説明の目的で提示されており、全てを述べ尽くそうとするものでも、開示された形式の実施形態への限定を意図するものでもない。多数の変更及び変種が、当業者にとって明らかであろう。更に、種々の例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態と比べて異なる特徴を提供することができる。選択された1つ以上の実施形態は、実施形態の原理及び実際の応用を最も上手く解説するとともに、種々の実施形態の開示を想定される個々の用途に適した種々の変更と併せて当業者にとって理解可能にするために、選択及び説明されている。
【符号の説明】
【0169】
100 製造環境
102 強化システム
104 バルク成形コンパウンド
106 複合材料
108 樹脂
110 充填材
112 繊維
114 多孔性
116 強化材料
118 多孔性
120 ダイブレーカー
122 押出ダイ
124 ピストン
126 円筒形のハウジング
128 端部
130 緩和チャンバ
132 加圧された材料
134 圧縮チャンバ
135 密度
136 加熱、熱
137 密度
138 加熱されたバルク成形コンパウンド
140 真空ポート
141 プラグ
142 アクチュエーター
144 穴
146 スロット
148 ヒーターシステム
150 熱
152 開口部
154 スラグ
156 インゴット
157 断面形状
158 複合構造
160 成形品
162 容積
164 直径
166 距離
168 端部
170 直径
172 断面積
174 断面積
200 製造環境
202 強化システム
204 バルク成形コンパウンド
206 強化材料
208 円筒形のハウジング
210 ピストン
212 アクチュエーター
214 押出ダイ
216 端部
218 スラグ
300 強化システム
302 ダイブレーカー
304 押出ダイ
306 ピストン
308 円筒形のハウジング
310 端部
312 圧縮チャンバ
314 緩和チャンバ
316 真空ポート
318 ヒーターシステム
320 バルク成形コンパウンド
321 プラグ
322 表示
323 テーパー
324 初期位置
326 アクチュエーター
328 方向
400 表示
402 加圧された材料
403 穴
404 強化材料
406 スラグ
500 ダイブレーカー
502 穴
600 ダイブレーカー
602 スロット
700 方法
800 方法
900 方法
1000 航空機の製造及び保守点検方法
1002 仕様及び設計
1004 材料調達
1006 構成要素及び部分組立品の製造
1008 システム統合
1010 認証及び搬送
1012 就航中
1014 保守点検
1100 航空機
1102 機体
1104 システム
1106 内部
1108 推進システム
1110 電気システム
1112 油圧システム
1114 環境システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11