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特許7306861ケーブルを結束するための多層ラップ及び結束されたケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】ケーブルを結束するための多層ラップ及び結束されたケーブル
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/10 20060101AFI20230704BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20230704BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20230704BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20230704BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20230704BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20230704BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B65D63/10 M
B32B5/26
B32B7/12
B32B27/02
B32B27/12
H01B7/18 C
H01B7/18 H
H02G3/04
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019076036
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2019206391
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2019-08-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】15/952,370
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ブレット・ディブル
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】藤井 眞吾
【審判官】山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-528432(JP,A)
【文献】特開2009-137296(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1911824(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 61/00 - 63/18
B32B 1/00 - 43/00
H01B 7/18
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを結束するためのラップであって:
(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;
(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び
(c)前記最外層と前記最内層との間の接着剤層
を備えた多層ラップを含み、
前記最外層の前記第1のポリマーテキスタイルが、ベロア、又は、ポリアミドを含む布であり、
前記最内層の前記第2のポリマーテキスタイルが、フリース、又はベロアであり、
これらの第1及び第2のポリマーテキスタイルが互いに異なっており、
前記多層ラップが、直径5mmのマンドレルを使用してISO6722規格に従って測定した場合、前記最内層及び前記最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有し、
さらに、前記多層ラップが、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有し
記最外層が100g/m~400g/mの目付、及び150μm~350μmの厚さを有し、
前記最内層が150μm~600μmの厚さ、及び50g/m~250g/mの目付を有するラップ。
【請求項2】
前記最外層の前記第1のポリマーテキスタイルが、ベロアである、請求項1に記載のラップ。
【請求項3】
前記最内層の前記第2のポリマーテキスタイルが、フリースである、請求項1または2に記載のラップ。
【請求項4】
前記多層ラップが、ISO6722及びLV312規格に従って測定した場合、少なくとも1000ストロークの耐摩耗性及び少なくとも減衰量2dBの消音性を有する、請求項1~3のいずれか一つに記載のラップ。
【請求項5】
複数のケーブル、及び
前記複数のケーブルを結束するように配置された多層ラップ
を備える、結束されたケーブルであって、前記ラップは:
(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;
(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び
(c)前記最外層と前記最内層との間の接着剤層
を備え、
前記最外層の前記第1のポリマーテキスタイルが、ベロア、又は、ポリアミドを含む布であり、
前記最内層の前記第2のポリマーテキスタイルが、フリース、又はベロアであり、
これらの第1及び第2のポリマーテキスタイルが互いに異なっており、
前記多層ラップが、直径5mmのマンドレルを使用してISO6722規格に従って測定した場合、前記最内層及び前記最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有し、
前記多層ラップが、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有し、
さらに、前記接着剤層の第1の部分は、前記複数のケーブルのうちの少なくとも1つと接触しており、前記接着剤層の第2の部分は、前記最外層と接触しており
記最外層が100g/m~400g/mの目付、及び150μm~350μmの厚さを有し、
前記最内層が150μm~600μmの厚さ、及び50g/m~250g/mの目付を有する、結束されたケーブル。
【請求項6】
前記最外層の前記第1のポリマーテキスタイルが、ベロアである、請求項に記載の結束されたケーブル。
【請求項7】
前記最内層の前記第2のポリマーテキスタイルが、フリースである、請求項またはに記載の結束されたケーブル。
【請求項8】
前記多層ラップが、ISO6722及びLV312規格に従って測定した場合、少なくとも1000ストロークの耐摩耗性及び少なくとも減衰量2dBの消音性を有する、請求項5~7のいずれか一つに記載の結束されたケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル、ワイヤ、コード、及び類似の構造物を結束するためのラップ及びテープ全般に関する。より詳細には、本開示は、車両用途用の、結束されたケーブルと共に、ケーブル、ワイヤ、及びコードを結束するための多層ラップ及びテープに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業を含む多くの産業分野では、1又は複数のワイヤ、電線、コード、及び他の類似の構造物の束は、包装及び空間効率のために、設置前に又はin situ(その場)でラップ(被覆)される。つまり、これらのワイヤのラップにより、ラップなしのワイヤの形状係数と比較して小さい形状係数が得られる結果となる。ケーブルを結束するためのそのようなラップの別の機能は、保護機能、例えば耐摩耗性を付与することである。例えば、多くの用途において、ラップによって結束されたワイヤは、摩耗及び劣化に繋がり得る用途関連の運動及び振動により、相互間の(又はそれらを収容している構造物内の他の特徴部に対して)動きを受ける。ラップの別の機能は、特に、ラップで結束されたワイヤの著しい運動を生じ得る車両及び他の用途に用いられるラップに対して、消音性を付与することである。
【0003】
特定の組成及び構成のラップ及びテープは、比較的高い耐摩耗性のものが入手可能である。これらの種類のラップは、高いレベルの用途関連の運動及び振動が発生するエンジン室内など、車両用途に用い得る。他方、これらの従来のラップ及びテープは、典型的には、低い消音性をこうむる。
【0004】
ある特定の組成及び構成の他のラップ及びテープは、比較的高い消音性及び騒音抑制性のものが入手可能である。これらの種類のラップも、多くの車両用途、典型的には、車両内のコンポーネントの相対的な動きに付随する騒音の影響を受け易い車両の乗車者の近傍の用途に用い得る。しかしながら、これらの従来のラップ及びテープは、一般的に、相対的に低い耐摩耗性という欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの車両用途及び他の産業用途では、ワイヤ、ケーブルなどの結束用のラップ及びテープは、著しい振動及び運動を受けることになり、それによって、摩耗、及び振動に起因する許容されないレベルの騒音が生じ得る。したがって、ケーブルを結束するための、耐摩耗特性及び消騒音特性を合わせもつラップが必要とされている。また、そのようなラップの低コストで効率的な作製方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一部の態様によると、ケーブルを結束するためのラップが示される。ラップは:(a)第1のポリマーテキスタイル(ポリマー生地)を含む最外層;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び(c)最外層と最内層との間の接着剤層を備えた多層ラップを含む。第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。さらに、多層ラップは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。加えて、多層ラップは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。
【0007】
本開示の一部の態様によると、ケーブルを結束するためのラップが示される。ラップは:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び(c)最外層と最内層との間の接着剤層を備えた多層ラップを含む。第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。さらに、多層ラップは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。多層ラップは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。さらに、接着剤層の一部分は、最内層と接触し、最外層に隣接して露出している。加えて、ラップは、ケーブルを長さ方向に結束するように構成されている。
【0008】
本開示の一部の態様によると、結束されたケーブルが示される。ケーブルは、複数のケーブル、及び複数のケーブルを結束するように配置された多層ラップを備える。ラップは:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び(c)最外層と最内層との間の接着剤層を備える。第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。さらに、多層ラップは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。多層ラップは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。さらに、接着剤層の第1の部分は、複数のケーブルのうちの少なくとも1つと接触しており、接着剤層の第2の部分は、最外層と接触している。
【0009】
さらなる特徴及び利点は、以下の詳細な記載に示され、当業者には、その記載から容易に明らかとなるか、又は以下の詳細な記載、特許請求の範囲、さらには添付の図面を含む本明細書で記載される実施形態を実践することによって認識される。
【0010】
上記の全般的な記載及び以下の詳細な記載の両方が、様々な実施形態について記載しており、特許請求される主題の性質及び特徴の理解のための概要又は枠組みを提供することを意図するものであることを理解されたい。
【0011】
添付の図面は、様々な実施形態の理解を深めることを意図しており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書で記載される様々な実施形態を示しており、その記載と共に、特許請求される主題の原理及び作用を説明する役割を有する。
【0012】
以下は、添付の図面中の図についての記載である。図は、必ずしも正確な縮尺ではなく、図のある特定の特徴及びある特定の眺めは、明瞭さ及び簡潔さの観点から、縮尺又は概略が誇張されて示されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態に従う、ケーブルを結束するためのラップの模式的断面図である。
図2】本開示の別の実施形態に従う、ケーブルを結束するためのラップの模式的断面図である。
図3】本開示のさらなる実施形態に従う、結束されたケーブルの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の概要、さらにはある特定の本発明の技術の以下の詳細な記載は、図と合わせて読むことによってより良く理解される。特許請求の範囲が、図に示される配置及び手段に限定されないことは理解されたい。さらに、図に示される外観は、装置の記載される機能を実現するために用い得る多くの装飾的外観のうちの1つである。
【0015】
さらなる特徴及び利点は、以下の詳細な記載に示され、当業者には、その記載から明らかとなるか、又は特許請求の範囲及び添付の図面と共に以下の記載で記載される実施形態を実践することによって認識される。
【0016】
本明細書で使用される場合、2つ以上の項目のリストで使用される場合の「及び/又は」の用語は、列挙される項目のいずれか1つが単独で使用されてもよく、又は列挙される項目の2つ以上のいずれかの組合せが使用されてもよいことを意味する。例えば、組成物が、成分A、B、及び/又はCを含有するとして記載される場合、組成物は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの組合せ、A及びCの組合せ、B及びCの組合せ、又はA、B、及びCの組合せを含有してよい。
【0017】
本文書において、第1及び第2、頂部及び底部などの関係用語は、単に1つの構成要素又は行為を別の構成要素又は行為と区別するために使用され、そのような構成要素間又は行為間の実際のそのような関係又は順序を必ずしも要求又は示唆するものではない。
【0018】
当業者及び本開示を作製又は使用する者であれば、本開示の改変を考え付くであろう。したがって、図面で示され、上記で記載される実施形態は、単に例示する目的のものであり、均等論を含む特許法の原則に従って解釈される通りに以下の特許請求の範囲によって定められる本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。
【0019】
本開示の目的のために、「連結された」(そのすべての形態:連結する、連結すること、連結された、など)の用語は、一般的に、2つのコンポーネント(電気的又は機械的)を、互いに直接又は間接的に結合することを意味する。そのような結合は、本質的に静止していても、又は本質的に移動可能であってもよい。そのような結合は、2つのコンポーネント(電気的又は機械的)と、互いに又は2つのコンポーネントと共に1つの単一体として一体的に形成される任意の追加の中間部材とによって実現し得る。そのような結合は、特に断りのない限り、本質的に恒久的でもよく、又は本質的に除去若しくは解除可能でもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「約」の用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、並びに他の数量及び特性が、厳密ではなく、厳密である必要もなく、所望に応じて、許容範囲、変換係数、丸め、測定誤差など、及び当業者に公知の他の因子を反映して、近似的である、及び/又はより大きい若しくはより小さくてよいことを意味する。「約」の用語が値又は範囲の端点を記載するために使用される場合、本開示は、言及される具体的な値又は端点を含むものと理解されたい。本明細書中の数値又は範囲の端点が「約」を言うかどうかに関わらず、数値又は範囲の端点は、「約」で修飾された実施形態及び「約」で修飾されていない実施形態の2つの実施形態を含むことを意図している。各範囲の端点が、他方の端点に関連しても、他方の端点から独立しても意味をもつことはさらに理解されるであろう。
【0021】
「実質的な」、「実質的に」、及びこれらの変化形の用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴が、ある値又は記載に等しいか、又はおよそ等しいことを示すことを意図している。例えば、「実質的に平ら」な面とは、平ら又はおよそ平らである面を示すことを意図している。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいか、又はおよそ等しいことを示すことも意図している。一部の実施形態では、「実質的に」は、互いに約5%の範囲内又は互いに約2%の範囲内など、互いに約10%の範囲内にある値を示し得る。
【0022】
本明細書で使用される場合の方向を示す用語、例えば上、下、右、左、前、後ろ、上部、底部は、図を描かれた通りに参照する場合にのみ用いられ、絶対的な配向を暗示することを意図するものではない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「その(the)」、「1つの(a)」、又は「1つの(an)」の用語は、「少なくとも1つの」を意味し、そうでないことが明示的に示されていない限り、「1つだけ」に限定されるべきではない。したがって、例えば、「1つのコンポーネント」の言及は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、そのようなコンポーネントの2つ以上を有する実施形態を含む。
【0024】
図面全般を、及び特に図1を参照すると、図示は、特定の実施形態を記載する目的のためであり、本開示及びそれに添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、図面のある特定の特徴及びある特定の見え方は、明瞭さ及び簡潔さの観点から、縮尺が誇張されて示されているか、又は模式的に示されている場合がある。
【0025】
本開示では、最外層、最内層、及び最内層と最外層との間の接着剤層を備えた、ケーブルを結束するためのラップ、及び結束されたケーブルが記載される。さらに、ラップ及び結束されたケーブルは、耐摩耗性及び消音性の組合せを特徴とし得る。加えて、これらのラップの多層ラップ及び結束されたケーブルの態様は、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有し得る。
【0026】
本開示の結束されたケーブルのためのラップの態様及び結束されたケーブルの態様に伴う様々な利点が存在する。最も重要なことには、これらのラップ及び結束されたケーブルの実施形態は、耐摩耗性及び消音特性の優れた組合せを有し得る。したがって、これらのラップ及び結束されたケーブルは、そのような特性の組合せを必要とする産業用途で用いられ得る。これらの用途としては、限定されないが、エンジン室及び乗客室の近傍における自動車用途、例えば、これらの室を分離している防火壁近傍におけるワイヤ及び電気配線が挙げられ。いくつかの場合では、これらのラップ及び結束されたケーブルは、少なくとも、LV312規格の下でのクラスBの消音性、並びにISO6722及びLV312規格の下でのクラスDの耐摩耗性を必要とする用途で用い得る。
【0027】
これらのラップ及び結束されたケーブルの別の利点は、耐摩耗性及び消音性のその優れた組合せによって、広範囲にわたる用途環境でのその使用が可能となることである。その結果、これらのラップ及び結束されたケーブルは、組み立て者が、所定の用途の特定の耐摩耗性及び/又は消音性の要件に応じて異なる種類のラップ及び結束されたケーブルから選択する必要なしに用いることができる。したがって、本開示のラップ及び結束されたケーブルの使用により、製造関連コストを低減することができる。
【0028】
ここで図1を参照すると、ケーブルを結束するためのラップ100が示される。図1に例示的な形態で描かれるラップ100は:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層10;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層30;及び(c)最外層と最内層、10と30との間の接着剤層20を備えた多層ラップである。図1に描かれるように、最内層10は、厚さ12を有し、最外層30は、厚さ32を有し、接着剤層20は、厚さ22を有する。さらに、第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。加えて、多層ラップ100は、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層、10、30単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。加えて、多層ラップ100は、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。
【0029】
再度図1を参照すると、多層ラップ100の最外層及び最内層10、30のポリマーテキスタイルは、一部の実施形態によると、布、ベロア、フリース、及び不織布のうちの1又は複数を含む。したがって、多層ラップ100に用いられるポリマーテキスタイルは、様々な布地、織布、並びに繊維及び関連材料を織らずに配置したものを含み得る。さらに、ポリマーテキスタイルの各々は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、及びこれらの材料の組合せから製造できる。図1に描かれる多層ラップ100のある特定の実施では、最外層及び最内層、10、30のうちの一方又は両方のポリマーテキスタイルは、ガラス繊維、炭素繊維、又は他の高弾性率ポリマー繊維などのさらなるフィラー、強化材などをさらに含んでいてよい。
【0030】
ラップ100の実施によると、最外層10のポリマーテキスタイルは、布である。さらに、最外層10のポリマーテキスタイルは、PET材料、ポリエステル材料、ポリアミド材料、及びこれらの材料の組合せから製造されてよい。ラップ100の別の実施によると、最内層30のポリマーテキスタイルは、布、ベロア、又はフリースである。さらに、最内層30のポリマーテキスタイルは、一部の実施形態では、ポリアミド材料から製造されてよい。
【0031】
図1に描かれる多層ラップ100を再度参照すると、最外層及び最内層、10、30のために用いられるポリマーテキスタイルは、互いに異なっていることを意図している。理論に束縛されるものではないが、この構成は、ラップ100に付与される高い耐摩耗性及び消音性の組合せに影響を与えるものと考えられる。さらに、ラップ100の耐摩耗性は、個別に測定された場合の最外層及び最内層10、30の各々の耐摩耗性を超える傾向がある。
【0032】
一部の実施形態によると、ラップ100(図1参照)の最外層及び最内層10、30に用いられるポリマーテキスタイルは、ある特定の密度(本明細書において「目付」とも称される)を有するように構成される。例えば、最外層及び最内層10、30の態様は、約50g/m~約1000g/mの目付を有する。したがって、一部の実施形態では、最外層及び最内層10、30のうちの一方又は両方は、約50g/m~約1000g/m、約50g/m~約900g/m、約50g/m~約800g/m、約50g/m~約700g/m、約50g/m~約600g/m、約50g/m~約500g/m、約100g/m~約1000g/m、約100g/m~約900g/m、約100g/m~約800g/m、約100g/m~約700g/m、約100g/m~約600g/m、約100g/m~約500g/mの目付、及びこれらの目付レベル端点の間のすべての目付値を有する。ラップ100の実施によると、最外層10は、約100g/m~約400g/mの目付を有する。ラップ100の別の実施によると、最内層30は、約50g/m~約250g/mの目付を有する。
【0033】
図1を再度参照すると、多層ラップ100の最外層及び最内層10、30は、約50μm~約2000μmの厚さ12、32をそれぞれ有する。例えば、最外層及び最内層10、30の態様は、約50μm~約2000μm、約50μm~約1500μm、約50μm~約1000μm、約50μm~約900μm、約50μm~約800μm、約50μm~約700μm、約50μm~約600μm、約50μm~約500μm、約100μm~約2000μm、約100μm~約1500μm、約100μm~約1000μm、約100μm~約900μm、約100μm~約800μm、約100μm~約700μm、約100μm~約600μm、約100μm~約500μm、約150μm~約2000μm、約150μm~約1500μm、約150μm~約1000μm、約150μm~約900μm、約150μm~約800μm、約150μm~約700μm、約150μm~約600μm、約150μm~約500μm、約150μm~約450μm、約150μm~約400μm、約150μm~約350μm、約150μm~約300μm、及びこれらの厚さ範囲端点の間のすべての厚さ値の厚さ12、32を有する。ラップ100(図1参照)の実施によると、最外層10の厚さ12は、約150μm~約350μmの範囲内である。ラップ100の別の実施によると、最内層30の厚さ32は、約150μm~約600μmの範囲内である。
【0034】
図1を参照すると、多層ラップ100の接着剤層20は、本開示の分野の当業者によって理解される通りの様々な粘弾性接着剤組成物のいずれを含んでいてもよい。一部の実施形態によると、接着剤層20は、アクリレート系接着剤、ポリアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、合成ゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤、又はこれらの接着剤の組合せを含む。さらに、接着剤層20の実施形態は、接着剤の片側又は両側上に、1又は複数の支持層が組み込まれていてもよい。これらの支持層は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエステルを含む1又は複数のポリマー材料から製造されてよい。好ましい実施形態では、接着剤層20は、アクリレート系接着剤を含む。
【0035】
図1に描かれる多層ラップ100を再度参照すると、接着剤層の厚さ22は、約50μm~約1000μm、約50μm~約900μm、約50μm~約800μm、約50μm~約700μm、約50μm~約600μm、約50μm~約500μm、約100μm~約1000μm、約100μm~約900μm、約100μm~約800μm、約100μm~約700μm、約100μm~約600μm、約100μm~約500μm、約150μm~約1000μm、約150μm~約900μm、約150μm~約800μm、約150μm~約700μm、約150μm~約600μm、約150μm~約500μm、約150μm~約450μm、約150μm~約400μm、約150μm~約350μm、約150μm~約300μm、及びこれらの厚さ範囲端点の間のすべての厚さ値の範囲内であり得る。
【0036】
一部の実施形態によると、多層ラップ100は、様々な自動車メーカー(例えば、Audi、BMW、Volkswagenなど)によって用いられているLV312規格、「自動車におけるケーブルセットのための接着テープ」(2005年1月)(「LV312規格」)に従い、ISO6722規格によって測定された場合、少なくとも1000摩耗ストロークの耐摩耗性を特徴とし得る。実施形態によると、多層ラップ100は、LV312規格に従い、ISO6722規格によって測定された場合、クラスD(1000~4999摩耗ストローク)、クラスE(5000~14999摩耗ストローク)、クラスF(15000~29999摩耗ストローク)、又はさらにはクラスG(≧30000摩耗ストローク)の耐摩耗性を特徴とし得る。一部の実施では、多層ラップ100は、LV312規格に従い、ISO6722規格によって測定された場合、少なくとも1000摩耗ストローク、少なくとも2000摩耗ストローク、少なくとも3000摩耗ストローク、少なくとも4000摩耗ストローク、少なくとも5000摩耗ストローク、少なくとも7500摩耗ストローク、少なくとも10000摩耗ストローク、少なくとも20000摩耗ストローク、少なくとも30000摩耗ストローク、少なくとも40000摩耗ストローク、少なくとも50000摩耗ストロークの耐摩耗性、及びさらにより高いレベルの耐摩耗性を呈し得る。
【0037】
図1に描かれる多層ラップ100の一部の実施では、ラップは、LV312規格に従う少なくとも2dBの消音性を特徴とする。さらに、一部の態様では、多層ラップ100の消音性は、LV312規格に従うクラスB、クラスC、クラスD、及びさらにはクラスEであることを特徴とし得る。本開示の実施形態によると、多層ラップ100は、LV312規格に従って測定された場合、少なくとも2dB、少なくとも3dB、少なくとも4dB、少なくとも5dB、少なくとも10dB、少なくとも15dB、少なくとも20dB、少なくとも25dB、少なくとも30dB、少なくとも35dB、少なくとも40dB、少なくとも45dB、少なくとも50dBの消音性、及びこれらの下限閾値間のすべての消音性レベルを特徴とし得る。
【0038】
先に触れたように、図1に描かれる多層ラップ100は、良好な耐摩耗性及び消音性の両方の組合せを特徴とし得る。したがって、図1に描かれる多層ラップ100の実施形態は、LV312規格に従って測定された場合、1000摩耗ストロークの耐摩耗性及び少なくとも2dBの消音性を呈し得る。一部の態様では、多層ラップ100の実施形態は、LV312規格に従って測定した場合、少なくとも2dBの消音性を維持した状態で、クラスD、クラスE、クラスF、又はクラスGの耐摩耗性を呈し得る。本開示の別の態様では、多層ラップ100の実施形態は、LV312規格に従って測定した場合、少なくとも10dBの消音性を維持した状態で、クラスD、クラスE、クラスF、又はクラスGの耐摩耗性を呈し得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「耐摩耗性」は、ISO6722規格に従って測定され、LV312規格の下で区分される。詳細には、摩耗試験は、ISO6722規格に従って、多層テープサンプルを横切るように、直径5mmのマンドレルをサンプルが破損するまで擦ることによって行われる。LV312規格によると、各往復の擦る動きはストロークとして定められ、様々なクラス(例えば、クラスA、クラスBなど)に応じて区分できる。さらに、特に断りのない限り、本開示で報告されるすべての耐摩耗性値は、特定のサンプル構成に対する破損までの摩耗ストロークの平均数を意味する。
【0040】
やはり本明細書で使用される場合、「消音性」は、LV312規格に従って測定され、その規格において、「遮音性」又は「騒音減衰性」と言及されている。特に断りのない限り、本開示で報告されるすべての消音性値は、デシベル「dB」の単位で与えられ、覆いなしの試験ロッドとサンプルで覆われた同じ試験ロッドとの間の平均dB差を意味する。
【0041】
ここで図2を参照すると、ケーブルを結束するための例示的な多層ラップ100aが示される。特に断りのない限り、図2に描かれる多層ラップ100aは、図1に描かれるラップ100に類似している。このため、図の各々において同じ番号が付与された要素は、同じ又は実質的に類似する構造及び機能を有し、多層ラップ100aは、多層ラップ100(図1参照)と同じ耐摩耗性及び消音性を呈する。図2に例示的な形態で描かれるラップ100aは:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層10;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層30;及び(c)最外層と最内層、10と30との間の接着剤層20を備えた多層ラップである。図2に描かれるように、最内層10は、厚さ12を有し、最外層30は、厚さ32を有し、接着剤層20は、厚さ22を有する。さらに、第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。加えて、多層ラップ100aは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層、10、30単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。加えて、多層ラップ100aは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。
【0042】
図2を再度参照すると、ケーブルを結束するための多層ラップ100aは、さらに、ケーブルを長さ方向に結束するように構成されている。このため、多層ラップ100aを用いることで、らせん状に巻き付ける方法を必要とすることなく、長さ方向にケーブルを結束又はラップすることができる。より詳細には、接着剤層20の第1の部分24a及び第2の部分24bは、最内層30と接触している。さらに、接着剤層20の第1の部分及び第2の部分、24a、24bは、最外層10に隣接して露出している。このため、接着剤層20の第1の部分及び第2の部分、24a、24bは、最外層10で覆われておらず、それ以外の方法で最外層10と接触してもいない。多層ラップ100aの実施形態では、ラップ100aのケーブル又はワイヤなどの周りへの長さ方向の巻き付けは、最内層10が、ケーブル又はワイヤなどと実質的に接触し、第1の部分及び第2の部分、24a、24bが、ケーブル又はワイヤなどの周りにラップ100aを固定するように行うことができる。ラップ100aの一部の実施によると、第1の部分及び第2の部分、24a、24bの長さは、実質的に同じであるか、又は他の態様では、互いに異なっている。ラップ100aの他の実施形態では、ラップ100aは、接着剤層20の単一の露出部分(例えば、図2に示されるように、24a又は24b)、又は接着剤層20の3つ以上の露出部分(図示せず)を含む。
【0043】
ここで図3を参照すると、多層ラップ100a(図2も参照)及び複数のケーブル150を含む結束されたケーブル200が示される。特に断りのない限り、図3に描かれる多層ラップ100aは、図2に描かれるラップ100aと同じである。このため、図の各々において同じ番号が付与された要素は、同じ又は実質的に類似する構造及び機能を有し、図3の多層ラップ100aは、図2に示される多層ラップ100aと同じ耐摩耗性及び消音性を呈する。さらに、結束されたケーブル200の実施形態は、ラップ100aの接着剤層20の第1の部分及び第2の部分、24a、24bが、第2の部分24bが第1の部分24aよりも長くなるように構成されるように構成される。結束されたケーブル200を再度参照すると、多層ラップ100aは、複数のケーブル150を結束するように配置される。詳細には、接着剤層20の第1の部分24aが、複数のケーブル150のうちの1又は複数と接触している(例えば、接着剤層20をケーブル150に接着させるため)。さらに、ラップ100aの接着剤層20の第2の部分24bは、複数のケーブル150の周りに巻き付けられ、最外層10の一部分に付着される(例えば、接着剤層20を最外層10に接着させることによってラップ100a内にケーブル150を固定するため)。図3に示されるように、結束されたケーブル200の実施形態は、ラップ100aの接着剤層20の第2の部分24bが、接着剤層の第1の部分24aの上に位置する最外層10の一部分と接着して配置されるように構成される。結束されたケーブル200の他の実施によると(図示せず)、第2の部分24bは、接着剤層20の第1の部分24aの上に位置しない最外層10の別の部分と接着される。本開示の分野の当業者には理解されるように、上記で説明され、図3に例示的形態で示される概念と一致する結束されたケーブル200の他の構成が想定される。
【0044】

以下の例は、本開示によって示される様々な特徴及び利点を記載するものであり、本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではまったくない。
【0045】
例1
この例では、本開示の態様に従い、多層ラップ100(図1参照)と一致するケーブルを結束するためのラップの様々な構成を作製した。表1A及び1Bに列挙するように、「最外層」は、ラップの最外層に対応し(例えば最外層10と一致)、「最内層」は、ラップの最内層に対応する(例えば、最内層30と一致)。さらに、「PET」は、PET布であり、「210μmフリース」は、210μmの厚さ及びポリエステル組成物を有するフリース層であり、「540μmフリース」は、540μmの厚さ及びポリエステル組成物を有するフリース層であり、「ベロア」は、ポリアミド組成物を有するベロアテキスタイルであり、「ポリアミド」は、ポリアミド布である。サンプルIDの「A」から「I」と指定される組合せの各々を、指定される「最外層」上にアクリレート接着剤を配置し、接着剤付きの最外層を「最内層」上に押し付けることによって一緒に積層した。
【0046】
表1A及び1Bに認められるように、多層ラップ構成の「最外層」(例えば、図1に示される最外層10と同等)は、PETテープ、210μm厚フリース、540μm厚フリース、ベロア、又はポリアミドである。表1A及び1Bにやはり認められるように、多層ラップ構成の「最内層」(例えば、図1に示される最内層30と同等)は、PET布、210μm厚フリース、540μm厚フリース、ベロア、又はポリアミドである。加えて、表1A及び1Bに列挙される多層ラップ構成の各々は、アクリレート接着剤を含んでいた(例:図1に示される接着剤層20と同等)。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1A及び表1Bから明らかなように、試験した多層ラップの組合せの各々は、耐摩耗性及び消音性の両方の組合せを呈する。詳細には、表1Aは、この例のサンプルに伴う摩耗性の結果を列挙し、表1Bは、この例のサンプルに伴う消音性の結果を列挙する。表1Aでは、摩耗性試験の測定を、ISO6722及びLV312規格に従って行い、摩耗ストロークの回数を、各サンプルIDの構成からの3つずつのサンプルの試験から報告する。さらに、各サンプルIDの構成からの摩耗ストロークの平均回数を、得られたLV312規格に従う摩耗性クラスと共に報告する。加えて、所定のサンプルIDの構成の各個別の層に伴う報告した摩耗ストロークの合計に基づいて算出した摩耗ストロークの理論回数及び摩耗クラスも、各サンプルIDの構成に対して報告する。表1Bに関しては、消音性試験の測定を、LV312規格に従って行い、デシベル(dB)での消音性を、各サンプルIDの構成からの3つずつのサンプルの試験から報告する。さらに、各サンプルIDの構成からの平均消音性も、LV312規格に従う消音性クラスと共に報告する。
【0050】
表1Aを参照すると、表のデータから、試験した各多層ラップ構成が、ISO6722及びLV312規格に従って測定した場合、その構成に対する理論的耐摩耗性レベルを超える平均耐摩耗性レベルを呈したことが明らかである。つまり、組合せの各々は、そうでない場合にそのそれぞれ個々の層が呈する耐摩耗性レベルを合計することによって予想される耐摩耗性よりも優れた耐摩耗性を示した。さらに、最内層としてフリース又はベロアと共に最外層としてPETテープ、ポリアミド、又はベロアを用いたある特定の多層ラップ構成(すなわち、C、G、H、及びIのサンプルID)は、10000ストロークを超える相対的に高い平均耐摩耗性レベルを示している。
【0051】
表1Bを参照すると、表のデータから、試験した各多層ラップ構成が、LV312規格に従って測定した場合、少なくとも約3dBの平均消音性、及びB又はそれ以上の消音性クラスを呈したことが明らかである。さらに、最内層としてフリース又はベロアと共に最外層としてPETテープ、ポリアミド、又はベロアを用いたある特定の多層ラップ構成(すなわち、C、E、G、H、及びIのサンプルID)は、約13dBを超える相対的に高い消音性レベルを示している。
【0052】
表1A及び1Bからやはり明らかであるように、多層ラップ組合せの各々は、LV312及びISO6722規格に従って測定した場合、1000摩耗ストロークの耐摩耗性及び少なくとも2dBの消音性として測定された。さらに、表1A及び1Bから、PETテープ/ベロア、ベロア/540μmフリース、及びポリアミド/ベロアの組合せ(すなわち、C、G、及びIのサンプルID)が、耐摩耗性及び消音性の特に有利な組合せをもたらすことが明らかである。つまり、これらの組合せは、LV312及びISO6722規格に従って測定した場合、少なくとも10000摩耗ストロークの耐摩耗性及び少なくとも18dBの消音性として測定された。
【0053】
第1の態様によると、ケーブルを結束するためのラップが示される。ラップは:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び(c)最外層と最内層との間の接着剤層を備えた多層ラップを含む。第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。さらに、多層ラップは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。加えて、多層ラップは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。
【0054】
例示的な実施形態及び例を、例示する目的で示してきたが、上記の記述は、本開示及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではまったくない。したがって、本開示の趣旨及び様々な原理から実質的に逸脱することなく、上記の実施形態及び例に対して変更及び改変がなされてもよい。そのような改変及び変更はすべて、本明細書における本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【0055】
第2の態様によると、ポリマーテキスタイルが、布、ベロア、フリース、及び不織布からなる群から選択される第1の態様が示される。
【0056】
第3の態様によると、最外層の第1のポリマーテキスタイルが、PET、ポリエステル、ポリアミド、又はこれらの組合せを含む布である第2の態様が示される。
【0057】
第4の態様によると、最内層の第2のポリマーテキスタイルが、布、フリース、又はベロアである第3の態様が示される。
【0058】
第5の態様によると、最外層が、100g/m~400g/mの目付、及び150μm~350μmの厚さを有する第4の態様が示される。
【0059】
第6の態様によると、最内層が、50g/m~250g/mの目付、及び150μm~600μmの厚さを有する第5の態様が示される。
【0060】
第7の態様によると、多層ラップが、ISO6722及びLV312規格に従って測定した場合、少なくとも1000ストロークの耐摩耗性及び少なくとも減衰量2dBの消音性を有する第6の態様が示される。
【0061】
第8の態様によると、ケーブルを結束するためのラップが示される。ラップは:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び(c)最外層と最内層との間の接着剤層を備えた多層ラップを含む。第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。多層ラップは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。多層ラップは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有する。接着剤層の一部分は、最内層と接触し、最外層に隣接して露出しており、さらに、ラップは、ケーブルを長さ方向に結束するように構成されている。
【0062】
第9の態様によると、ポリマーテキスタイルが、布、ベロア、フリース、及び不織布からなる群から選択される第8の態様が示される。
【0063】
第10の態様によると、最外層の第1のポリマーテキスタイルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、又はこれらの組合せを含む布である第9の態様が示される。
【0064】
第11の態様によると、最内層の第2のポリマーテキスタイルが、布、フリース、又はベロアである第10の態様が示される。
【0065】
第12の態様によると、最外層が、100g/m~400g/mの目付、及び150μm~350μmの厚さを有する第11の態様が示される。
【0066】
第13の態様によると、最内層が、50g/m~250g/mの目付、及び150μm~600μmの厚さを有する第12の態様が示される。
【0067】
第14の態様によると、多層ラップが、ISO6722及びLV312規格に従って測定した場合、少なくとも1000ストロークの耐摩耗性及び少なくとも減衰量2dBの消音性を有する第13の態様が示される。
【0068】
第15の態様によると、結束されたケーブルが示される。結束されたケーブルは、複数のケーブル、及び複数のケーブルを結束するように配置された多層ラップを備え、ラップは:(a)第1のポリマーテキスタイルを含む最外層;(b)第2のポリマーテキスタイルを含む最内層;及び(c)最外層と最内層との間の接着剤層を備える。第1及び第2のテキスタイルは、互いに異なっている。多層ラップは、ISO6722規格に従って測定した場合、最内層及び最外層単独の耐摩耗性を超える耐摩耗性を有する。多層ラップは、LV312規格に従って測定した場合、少なくともクラスBの消音性を有し、さらに、接着剤層の第1の部分は、複数のケーブルのうちの少なくとも1つと接触しており、接着剤層の第2の部分は、最外層と接触している。
【0069】
第16の態様によると、ポリマーテキスタイルが、布、ベロア、フリース、及び不織布からなる群から選択される第15の態様が示される。
【0070】
第17の態様によると、最外層の第1のポリマーテキスタイルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、又はこれらの組合せを含む布である第16の態様が示される。
【0071】
第18の態様によると、最内層の第2のポリマーテキスタイルが、布、フリース、又はベロアである第17の態様が示される。
【0072】
第19の態様によると、最外層が、100g/m~400g/mの目付、及び150μm~350μmの厚さを有し、さらに、最内層が、50g/m~250g/mの目付、及び150μm~600μmの厚さを有する第18の態様が示される。
【0073】
第20の態様によると、多層ラップが、ISO6722及びLV312規格に従って測定した場合、少なくとも1000ストロークの耐摩耗性及び少なくとも減衰量2dBの消音性を有する第19の態様が示される。
図1
図2
図3