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特許7306866オーセチック/非オーセチックのコンボオブジェクトの3D印刷
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】オーセチック/非オーセチックのコンボオブジェクトの3D印刷
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/118 20170101AFI20230704BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20230704BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20230704BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230704BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20230704BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230704BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/386
B32B7/022
B33Y10/00
B33Y50/00
B33Y80/00
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019084380
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2019217766
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】16/009,972
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507031918
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】天野 純
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ストパ
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0058985(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104763772(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0265023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B22F 1/00-12/90
B28B 1/30
B33Y 10/00-99/00
B32B 7/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレート上に3D印刷物を製造する方法であって、
第1のレイヤーにおいて、前記ベースプレート上に直接、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロックを堆積させるステップと、
第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積させるステップと、
前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積させるステップと、
複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックを、堆積させるステップを、含み、
前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方であり、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積され、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積され、
少なくとも1つの連続したレイヤー内の複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記連続したレイヤー内の前記第1の材料の前記ブロックと、前記連続したレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、
前記連続したレイヤーの1つ前のレイヤー内の複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記1つ前のレイヤー内の前記第1の材料の前記ブロックと、前記1つ前のレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、
1つの前記連続したレイヤーの1つ以上の前記垂直界面は、前記1つ前のレイヤーの前記垂直界面とオーバーラップしない、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの連続したレイヤーおいて、1つ前のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロックよりも少ない、複数の前記第1の材料のブロックを堆積さるステップと、
少なくとも1つの連続したレイヤーおいて、1つ前のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロックよりも少ない、複数の前記第2の材料のブロックを堆積させるステップと、をさらに、含む請求項に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、1つ前のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれのサイズと、異なるサイズを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックを堆積させるステップを、さらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、1つ前のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれの厚さと、異なる厚さを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックを堆積させるステップを、さらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、同一のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれのサイズと、異なるサイズを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックを堆積させるステップを、さらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記3D印刷物の後処理として、前記3D印刷の構造物を、前記ベースプレートから取り外すステップを、さらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
ベースプレート上に3D印刷物を製造する方法であって、
第1のレイヤーにおいて、前記ベースプレート上に直接、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロックを堆積させるステップと、
第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積させるステップと、
前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積させるステップと、
複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックを、堆積させるステップと、
少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、同一のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれのサイズと、異なるサイズを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックを堆積させるステップと、を含み、
前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方であり、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積され、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積され、
同一レイヤー内において、第2の材料のブロックに対する第1の材料のブロックの割合である、ブロックサイズ比が、レイヤー内に渡って変化する、方法。
【請求項8】
3D印刷物であって、
前記3D印刷物の第1のレイヤーにおいて、ベースプレート上に、直接、堆積された、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロック、を備え、
第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積されており、
前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積されており、
複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが堆積されており、 前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方であり、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積されており、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積されており、
連続したレイヤーのうちの1つの連続レイヤー内における、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記連続したレイヤー内の前記第1の材料の前記ブロックと、前記連続したレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、
前記1つの連続したレイヤーの1つ前のレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記1つ前のレイヤー内の複数の前記第1の材料の前記ブロックと、前記1つ前のレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、
前記1つの連続したレイヤーの1つ以上の前記垂直界面は、前記1つ前のレイヤーの前記垂直界面とオーバーラップしない、3D印刷物。
【請求項9】
少なくとも1つの連続したレイヤー内の前記第1の材料のブロックは、1つ前のレイヤー内に堆積された前記第2の材料のそれぞれのブロックの厚さとは、異なる厚さを有する、請求項に記載の3D印刷物。
【請求項10】
前記連続したレイヤー内のある1つの連続したレイヤーにおいて、少なくとも1つの前記第1の材料のブロックの厚さが、該連続したレイヤー内で徐々に変化する、請求項8または9に記載の3D印刷物。
【請求項11】
3D印刷物であって、
前記3D印刷物の第1のレイヤーにおいて、ベースプレート上に、直接、堆積された、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロック、を備え、
第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積されており、
前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積されており、
複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが堆積されており、
少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、同一のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれのサイズと、異なるサイズを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックが堆積されており、
前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方であり、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積されており、
それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積されており、
同一レイヤー内において、第2の材料のブロックに対する第1の材料のブロックの割合である、ブロックサイズ比が、レイヤー内に渡って変化する、3D印刷物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オーセチック構造は、非オーセチック構造よりも高い引っ張り強度を有する。また、オーセチック構造は、従来の3次元印刷(3D印刷)法により印刷できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概して、ある態様では、本発明は、ベースプレート上の3D印刷物の体を製造する方法に関する。この方法は、第1のレイヤーにおいて、ベースプレート上に直接、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロックを堆積させるステップと、前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積させるステップと、前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積させるステップと、複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックを、堆積させるステップと、を含む。この方法において、前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方である。この方法において、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積され、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積され、少なくとも1つの連続したレイヤー内の複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記連続したレイヤー内の前記第1の材料の前記ブロックと、前記連続したレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、前記連続したレイヤーの1つ前のレイヤー内の複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記1つ前のレイヤー内の前記第1の材料の前記ブロックと、前記1つ前のレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、1つの前記連続したレイヤーの1つ以上の前記垂直界面は、前記1つ前のレイヤーの前記垂直界面とオーバーラップしない。
また、ある態様では、本発明は、ベースプレート上に3D印刷物を製造する方法に関する。この方法は、第1のレイヤーにおいて、前記ベースプレート上に直接、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料ブロックを堆積させるステップと、前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積させるステップと、前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックを、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積させるステップと、複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックを、堆積させるステップと、少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、同一のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれのサイズと、異なるサイズを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックを堆積させるステップと、を含む。この方法において、前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方である。この方法において、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積され、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積され、同一レイヤー内において、第2の材料のブロックに対する第1の材料のブロックの割合である、ブロックサイズ比が、レイヤー内に渡って変化する。
【0003】
概して、ある態様では、本発明は、ベースプレート上の3D印刷物に関する。この3D印刷物は、3D印刷物の第1のレイヤーにおいて、ベースプレート上に、直接、堆積された、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロック、を備える。第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積されており、前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積されており、複数の連続したレイヤー内おいて、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが堆積されている。この3D印刷物において、前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方である。この3D印刷物は、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積されており、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積されており、連続したレイヤーのうちの1つの連続したレイヤー内における、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記連続したレイヤー内の前記第1の材料の前記ブロックと、前記連続したレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、前記1つの連続したレイヤーの1つ前のレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが、前記1つ前のレイヤー内の複数の前記第1の材料の前記ブロックと、前記1つ前のレイヤー内のそれぞれに隣接する前記第2の材料の前記ブロックとの間に垂直界面を形成し、前記1つの連続したレイヤーの1つ以上の前記垂直界面は、前記1つ前のレイヤーの前記垂直界面とオーバーラップしない。
また、ある態様では、本発明は、ベースプレート上の3D印刷物に関する。この3D印刷物は、3D印刷物の第1のレイヤーにおいて、ベースプレート上に、直接、堆積された、複数の第1の材料のブロック、および複数の第2の材料のブロック、を備える。第2のレイヤーにおいて、複数の前記第1の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第2の材料のブロック上に堆積されており、前記第2のレイヤーにおいて、複数の前記第2の材料のブロックが、それぞれ、直接、前記第1のレイヤーの複数の前記第1の材料のブロック上に堆積されており、複数の連続したレイヤー内において、複数の前記第1の材料のブロック、および複数の前記第2の材料のブロックが堆積されている。少なくとも1つの連続したレイヤーにおいて、同一のレイヤーの前記第2の材料のブロックそれぞれのサイズと、異なるサイズを有する少なくとも1つの前記第1の材料のブロックが堆積されている。この3D印刷物において、前記第1の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方であり、前記第2の材料は、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方である。この3D印刷物において、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、それぞれ前記第2の材料のブロックに隣接し、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第1の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第2の材料のブロック上に直接、堆積されており、それぞれの前記連続したレイヤー内において、前記第2の材料の各ブロックは、1つ前のレイヤーのそれぞれの前記第1の材料のブロック上に直接、堆積されており、同一レイヤー内において、第2の材料のブロックに対する第1の材料のブロックの割合である、ブロックサイズ比が、レイヤー内に渡って変化する。
【0004】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】非オーセチック構造での引張挙動の例を示す図である。
図1B】オーセチック構造での引張挙動の例を示す図である。
図2】無秩序な網状組織でのオーセチック構造の例を示す図である。
図3】コッセラ網状組織(Cosserat network)のオーセチック構造の例を示す図である。
図4】本発明の1つ以上の実施形態に係るシステムを示す図である。
図5】本発明の1つ以上の実施形態に係るフローチャートを示す図である。
図6】本発明の1つ以上の実施形態における実施例を示す図である。
図7】本発明の1つ以上の実施形態における実施例を示す図である。
図8】本発明の1つ以上の実施形態における実施例を示す図である。
図9】本発明の1つ以上の実施形態における実施例を示す図である。
図10】本発明の1つ以上の実施形態におけるコンピューターシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次に、発明の一実施形態を添付の図面を参照し詳細に説明する。種種の図面においては、一貫性のため、同様の要素は、同様の参照番号を付される。
【0007】
以下の本発明の実施形態の詳細な説明においては、本発明のより完全な理解のために、多数の具体的な詳細が記述されている。しかしながら、当業者にとっては、本発明がこれらの具体的な詳細がなくとも、実施できることは明らかであろう。他の例では、説明が必要以上に煩雑になるのを避けるため、周知の構成は、詳細な説明では、記述していない。
【0008】
構造物に引張力(すなわち張力)を作用させた場合、その構造物の長さは、引張力の方向に沿って寸法が増加し、また、引張力に垂直な方向に沿って寸法が変化する。例として、図1A、1Bを参照すると、長さLで幅Wの構造物に対して、引張力(102A、102B)を構造物の長さLに渡って作用させると、長さLおよび幅Wが、それぞれ特定量dおよびdだけ変化する。
【0009】
構造物の寸法に沿った歪み(変形)は、構造物の寸法における初期サイズからの変形量と、初期サイズとの比率として定義できる。例えば、縦方向の歪み(すなわち、引張力の方向に沿った歪み)、および横方向の歪み(すなわち、引張力に垂直な方向に沿った歪み)は、それぞれ、d/L、およびd/Wとして測定できる。
【0010】
上述の例では、張力により構造物の長さLが増加した場合(すなわち正のd)、構造物の幅Wが減少(すなわち負のd)または増加(すなわち正のd)するかは、この構造物が非オーセチックまたはオーセチックであるかに依存する。図1Aは、非オーセチック構造の例を示しており、オリジナルの構造体(106A)の幅Wが、伸ばされた構造体(104A)の幅W+dwよりも大きい(すなわち、オリジナルの幅は減少している)。一方で、図1Bはオーセチック構造の例を示しており、オリジナルの構造体(106B)の幅Wが、伸ばされた構造体(104B)の幅W+dよりも小さい(すなわち、オリジナルの幅は増加している)。図1A図1Bに示すように、その幅が減少および増加する構造体は、それぞれ、非オーセチック構造、およびオーセチック構造として知られている。
【0011】
オーセチック性は、引張力の作用に対して垂直に拡大する特性である。構造物のオーセチック性は、ポアソン比を用いて定量化できる。ポアソン比は、[-e/e]に等しい。ここで、eとeはそれぞれ横方向と縦方向の歪みである。オーセチック構造は、正の横歪み(構造物の横方向の広がりによる正のd)を有するので、オーセチック構造のポアソン比は負である。一方で、非オーセチック構造は、負の横歪み(構造物の横方向の縮みによる負のd)を有するので、非オーセチック構造のポアソン比は正である。
【0012】
オーセチック構造の特性のために、オーセチック構造は、非オーセチック構造よりも高い引張力に耐えることができる。一つの理由として、張力下において、オーセチック構造は横方向に厚くなるが、非オーセチック構造は厚くならない。したがって、オーセチック構造は、非オーセチック構造と比較して、より高い抗張力(すなわち、張力下での引き裂き耐性)を有する。また、オーセチック構造は、構造全体に渡って力をよりよく分散させるので、局所的な力の下で、よい引張耐性を有する。
【0013】
オーセチック構造は、負のポアソン比を有する様々な構成を、取り得る。例えば、オーセチック構造は、図2に示すように、無秩序な網状組織(すなわち、無秩序なオーセチック構造)を含み得る。図2では、多くの不均一な空隙(204)を構成する材料(202)のレイヤーの無秩序な網状組織によって構成されたオーセチック構造の断面図を示す。本発明の1つ以上の実施形態においては、無秩序なオーセチック構造は、所望の負のポアソン比を得るために、コンピューターシミュレーションによって設計できる。
【0014】
さらに、オーセチック構造は、均一網状構造(すなわち、均一なオーセチック構造)を含んでもよい。コッセラ(Cosserat)弾性構造は、均一なオーセチック構造の例である。コッセラ弾性構造の網状組織は、ノード(すなわち、網状組織を形成するために、アームと接続する構造内の点)で構成される。このノードは、互いに対して回転可能であり、網状組織内の他のノードと機械的に結合できる。2つの異なる弾性定数だけを有する古典的な弾性材料と異なり、コッセラ弾性構造は、応力が運動(並進および回転)に関連する6つの異なる弾性定数を有する。これらの余分な弾性定数のため、コッセラ弾性構造のノードは、古典的な弾性材料(例えば、非オーセチック構造)に見られるノードよりも局所的に高い自由度で回転する。この局所的な回転のため、コッセラ弾性構造は、それらの網状組織において力をよりよく分散できる。これにより、コッセラ弾性構造では、局所的な応力が低下する。
【0015】
図3は、その網状組織内にノード(302)を有するコッセラ弾性構造(300)の例である。コッセラ弾性構造は、このノード(302)は、並進、回転、およびコッセラ網状組織内の他の領域との結合を可能にする。
【0016】
一般に、本発明の実施形態は、方法、非一時的なコンピューター読取可能な記録媒体(CRM:computer readable medium)、ならびに、オーセチック構造および非オーセチック構造の結合物を含む3次元印刷物の3次元印刷用のシステムを提供する。特に、3次元印刷物の3次元印刷のために、3次元印刷材料が表面に堆積されて、3次元印刷物を形成するように接続された複数のブロックを形成する。各ブロックは、オーセチック構造または非オーセチック構造のいずれかである(すなわち、それぞれオーセチックブロックおよび非オーセチックブロック)。以下においては、オーセチックおよび非オーセチックブロックの結合物を含む3D印刷物を、「結合された(結合)3次元印刷物」と称す。1つ以上の実施形態においては、ブロックは、任意のサイズで任意な形状の一片の材料(オーセチックまたは非オーセチック)であってもよい。1つ以上の実施形態においては、ブロックは、均一な網状組織、無秩序な網状組織、等である3次元印刷構造物であってもよい。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態においては、非オーセチックブロックは、一片の非オーセチック材料を形成するために互いに隣接する材料の糸(すなわち、3Dプリンターの印刷ヘッドの印刷ノズルから押し出され、表面に堆積された材料でのワイヤ状の線材)を堆積することで形成される。
【0018】
1つ以上の実施形態においては、この材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン/ポリアミド、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン、等を含む様々なポリマーから選択できる。
【0019】
1つ以上の実施形態においては、この材料は、タルク、セルロースナノファイバー、粘土、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)等の様々な充填剤を含む様々な高分子複合材料から選択できる。
【0020】
本発明の1つ以上の実施形態においては、結合3次元印刷物の1つ以上のレイヤーを形成するため、オーセチックまたは非オーセチックブロックが堆積されてもよい。結合3D印刷物のレイヤーは、互いに、3D印刷物のある方向(すなわち垂直方向)に積み重なる。1つ以上の実施形態においては、オーセチックまたは非オーセチックブロックが、結合3D印刷物のある1つのレイヤー全体を形成してもよい。1つ以上の実施形態においては、オーセチックまたは非オーセチックブロックのうちの一方が、結合3D印刷物のあるレイヤーの一部のみを形成し、オーセチックまたは非オーセチックブロックのうちの他方との組み合わせでそのレイヤー全体を形成してもよい。
【0021】
1つ以上の実施形態においては、垂直方向は、印刷ヘッドからの材料の押し出し方向に沿った方向であってもよい。この垂直方向は、結合3D印刷物のレイヤーがどのように関係し、堆積されるかの観点から、他の任意の方向であってもよい。
【0022】
本発明の1つ以上の実施形態においては、各レイヤーは、オーセチックブロックまたは非オーセチックブロックのうちの一方のみを含んでもよい。1つ以上の実施形態においては、各レイヤーは、互いに接続する複数のオーセチックまたは非オーセチックブロックで作成されてもよい。
【0023】
本発明の1つ以上の実施形態においては、結合3D印刷物のレイヤー内のオーセチックブロックとこれに隣接する非オーセチックブロックの間に垂直方向の界面(すなわち垂直界面)が形成される。1つ以上の実施形態においては、1つ以上のレイヤーのそれぞれは、複数の垂直界面を有してもよい。結合3D印刷物は、中間層界面(すなわち、直接接する2つの隣接するレイヤー間の界面)を含んでもよい。
【0024】
本発明の1つ以上の実施形態においては、オーセチックブロックの厚さ(すなわち、垂直方向に沿ったブロックの幅)の合計と、非オーセチックブロックの厚さの合計の比率を調整することで、結合3D印刷物の垂直方向の引張強度を調整可能である。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態における結合3D印刷物は、非オーセチックブロックのみで構成される同サイズ、同形状の通常の結合3D印刷物に比べて、結合3D印刷物の垂直方向に沿った引張強度が高く、軽量である。
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態における結合3D印刷物は、オーセチックブロックのみで構成される同サイズ、同形状の通常の結合3D印刷物に比べて、体積が小さい。
【0027】
コッセラ弾性網状組織(すなわち、コッセラ弾性構造のコッセラ弾性ブロック)を有するオーセチックブロックは、無秩序なオーセチックブロック(すなわち無秩序オーセチックブロック)よりも高い剛性を与える。本発明の1つ以上の実施形態においては、オーセチックブロックは所望の剛性に応じて、コッセラ弾性ブロック、または無秩序オーセチックブロックのいずれかで設計され得る。
【0028】
以下、本発明の1つ以上の実施形態を、図4から図10を参照して説明する。
【0029】
図4では、本発明の1つ以上の実施形態.に係る結合3D印刷物の3D印刷のためのシステム(400)を示している。図4に示すように、システム(400)は、例えば、バッファー(401)、および3D印刷エンジン(403)を含む複数の構成要素を有する。これらの構成要素(401、403)それぞれは、同一のコンピューターデバイス(例えばパーソナルコンピューター(PC)、ラップトップ、タブレットPC、スマートフォン、多機能プリンター、キオスク、サーバー、等)上に配置、または、有線および/または無線セグメントを有する任意のサイズのネットワークで接続する異なる複数のコンピューターデバイス上に配置してもよい。
【0030】
本発明の1つ以上の実施形態においては、バッファー(401)は、ハードウェア(すなわち電気回路)、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせに実装できる。システム(400)は、結合3D印刷物の3Dモデルファイル(402)を取得し、バッファー(400)は、この3Dモデルファイル(402)を格納するように構成される。3Dモデルファイル(402)は、画像および/またはグラフィック(例えば、ステレオリソグラフィー(STL)フォーマット、仮想現実モデル言語(VRML)フォーマットファイル、AMFファイルフォーマット(Additive Manufacturing File Format)、等)であり得る。この3Dモデルファイル(402)は、任意の供給源から取得できる(例えば、ダウンロードする、ローカルで作成する等)。
【0031】
本発明の1つ以上の実施形態においては、3D印刷エンジン(403)は、ハードウェア(すなわち電気回路)、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせに実装できる。この3D印刷エンジン(403)は、結合3D印刷物を印刷するため、3Dモデルファイル(402)を実行する。以下、図5から図9を参照し、この実例をより詳細に示す。
【0032】
システム(400)は、2つの構成要素(401,403)を有するように示しているが、本発明の他の実施形態では、システム(400)はこれよりも多い、または少ない構成要素を有してもよい。また、上述の各構成要素の機能は、構成要素間に渡って分離されてもよい。さらに、各構成要素(401、403)は、繰り返しの動作を実行するために、複数回利用されてもよい。
【0033】
図5では、本発明の1つ以上の実施形態における、フローチャートを示す。このフローチャートは、上述した結合3D印刷物の製造プロセスを表す。図5の1つ以上のステップは、図4を参照して述べたシステム(400)の構成要素により、実行され得る。具体的には、図5の1つ以上のステップは、図4を参照して述べた3D印刷エンジン(403)により実行され得る。本発明の1つ以上の実施形態においては、図5の1つ以上のステップは、省略され、繰り返され、および/または、図5に示される順序と異なる順序で実行されてもよい。したがって、本発明の範囲は、図5に示される特定のステップの配置に限定されるべきではない。
【0034】
図5を参照すると、最初に、結合3D印刷物の3Dモデルファイルを、取得し、蓄積する(ステップ505)。例えば、システム(400)は、3Dモデルファイルを取得し、それをバッファー(401)内に蓄積する。1つ以上の実施形態においては、3Dモデルファイルには、結合3D印刷物の3D構成図、印刷命令、または3D印刷に必要な他の任意のパラメータが含まれてもよい。
【0035】
ステップ510では、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの一方である第1の材料の少なくとも1つのブロックを、ベースプレート上(基板上)の第1のレイヤー内に蓄積する。例えば、1つ以上の実施形態においては、3D印刷エンジン(403)は、3D印刷材料をベースプレート上に堆積できるプリントヘッドと連結される。
【0036】
1つ以上の実施形態では、第1の材料の(単数または複数の)ブロックは、ベースプレート上に直接堆積されてもよい。1つ以上の実施形態では、第1の材料の(単数または複数の)ブロックは、ベースプレートと第1のレイヤーとの間にある他のレイヤー上に堆積されてもよい。
【0037】
ステップ515では、第1のレイヤーに堆積するか、この第1のレイヤーの直上にある第2のレイヤーに堆積するかが決定される。例えば、1つ以上の実施形態では、3D印刷エンジン(403)に提供される命令に応じて、3D印刷エンジン(403)は、その印刷ジョブを、第1のレイヤーまたは第2のレイヤーで継続できる。これらの命令は、プロセッサーにより3D印刷エンジンに提供されてもよく、3D印刷物の3Dモデルに依存してもよい。
【0038】
第1のレイヤーに堆積すると決定された場合、ステップ520では、第1のレイヤー内に、少なくとも1つの第2の材料のブロックが堆積され、このブロックは、第1の材料の(単数、または複数の)ブロックに隣接する。この第2の材料は、第1の材料との関連で、非オーセチック構造、またはオーセチック構造のうちの他方である。
【0039】
1つ以上の実施形態では、第2のレイヤーに堆積すると決定された場合、ステップ525では、第2のレイヤー内に、少なくとも1つの第2の材料のブロックが堆積され、このブロックは、第1のレイヤーの第1の材料の(単数、または複数の)ブロックに直接堆積される。
【0040】
以下においては簡単にするため、第1の材料はオーセチック構造であり、第2の材料は非オーセチック構造であるとみなす。関連し、以下においては、第1の材料のブロックは、オーセチックブロックであり、第2の材料のブロックは非オーセチックブロックである。しかしながら、当業者にとっては、第1の材料を非オーセチック構造に、第2の材料をオーセチック構造にし得ることは明らかである。関連し、当業者にとっては、第1の材料のブロックを非オーセチックブロックに、第2の材料のブロックをオーセチック構造のブロックにし得ることは明らかである。
【0041】
本発明の1つ以上の実施形態では、第1、第2のレイヤーに、複数のオーセチックブロック、および非オーセチックブロックを堆積するために、ステップ510~525は、連続して生じ得る。
【0042】
1つ以上の実施形態に従った例では、複数のオーセチックブロック、および非オーセチックブロックは、ベースプレート上の第1のレイヤー内に堆積されてもよい。
【0043】
1つ以上の実施形態に従った例では、複数のオーセチックブロックは第2のレイヤー内において、第1のレイヤーの複数の非オーセチックブロックのそれぞれのブロック上に直接堆積する。1つ以上の実施形態では、複数の非オーセチックブロックは、第2のレイヤー内において、第1のレイヤーの複数のオーセチックブロックのそれぞれのブロック上に直接堆積する。
【0044】
本発明の1つ以上の実施形態では、それぞれが垂直界面を有し得る互いの上面に、複数の他のレイヤー(すなわち、連続したレイヤー)を堆積するために、ステップ510~525は、連続して生じ得る。
【0045】
1つ以上の実施形態では、ステップ510~525は、少なくとも1つのレイヤー内で、(単数、または複数の)非オーセチックブロックに隣接する垂直界面から1つ以上のオーセチックブロックを形成してもよい。
【0046】
本発明の1つ以上の実施形態では、レイヤーの1つ以上の垂直界面は、このレイヤーに隣接するレイヤーの垂直界面とは、オーバーラップしなくてもよい。例えば、レイヤーの1つ以上の垂直界面は、そのレイヤーの直下または真上の(接する)レイヤーの垂直界面とはオーバーラップしなくてもよい。1つ以上の実施形態では、設計および/または性能上の制約の結果として、レイヤーのある垂直界面は、隣接するレイヤーの垂直界面とオーバーラップしてもよい。
【0047】
本発明の1つ以上の実施形態では、少なくとも1つのレイヤーの垂直界面はどれも、このレイヤーに隣接するレイヤー内の垂直界面とオーバーラップしない。
【0048】
1つ以上の実施形態では、ステップ510~525は、連続して、そしてこれらのステップでは、1つのレイヤーに、それぞれに隣接する下層のレイヤーの複数のオーセチックブロック、または非オーセチックブロックのよりも、少ない数の複数のオーセチックブロック、または非オーセチックブロックそれぞれを堆積させるようにしてもよい。
【0049】
1つ以上の実施形態では、ステップ505~525では、1つのレイヤー内で、オーセチックブロック、または非オーセチックブロックのサイズが、さまざまになるようにしてもよい。
【0050】
1つ以上の実施形態において、1つのレイヤー内で、複数のオーセチックブロックは、同じサイズであってもよい。1つ以上の実施形態で、1つのレイヤー内で、複数の非オーセチックブロックは、同じサイズであってもよい。1つ以上の実施形態において、1つのレイヤー内で、全てのオーセチックブロック、および非オーセチックブロックが同じサイズであってもよい。
【0051】
1つ以上の実施形態において、ステップ505~525では、レイヤー(1つ以上のオーセチック、および非オーセチックブロックを含む)は、隣接するレイヤーとは異なる厚さ(レイヤーの垂直方向に沿ったサイズ)となるようにしてもよい。
【0052】
1つ以上の実施形態において、ステップ505~525では、1つのレイヤー内で、オーセチックブロックの厚さが徐々に変化するようにしてもよい。1つ以上の実施形態で、1つのレイヤー内で、非オーセチックブロックの厚さが徐々に変化してもよい。
【0053】
本発明の1つ以上の実施形態において、図5のステップ505~525は、システム(400)と接続した3Dプリンターにより実行されてもよい。1つ以上の実施形態において、3D印刷エンジン(403)は、ステップ510~525に記述されている処理を3Dプリンターに実行させることができる。
【0054】
本発明の1つ以上の実施形態において、3D印刷物の3D印刷が完了した後、3D印刷物は、清掃、および表面平滑化等の後処理のために、ベースプレートから取り外される。
【0055】
図6から図9に本発明の1つ以上の実施形態に係る実施例を示す。上述の図4図5を参照して述べられた3Dプリント方法の実例は、図6から図9に示される実施例に適用される。
【0056】
図6では、オーセチックブロック(604)、および非オーセチックブロック(602)が堆積した結合3D印刷物の一部分を示す。この結合3D印刷物では、Y軸(すなわち、3D印刷物の垂直方向)に沿って、オーセチックブロックと、非オーセチックブロックが交互に並んでスタックを形成する。 それぞれのブロック(602、604)は、結合3D印刷物のブロックそれぞれのレイヤーを通じてX軸、またはZ軸のいずれにも延在できる。1つ以上の実施形態では、図6に示されるそれぞれのオーセチックブロック(604)、または非オーセチックブロック(602)は、それぞれオーセチックレイヤー、または非オーセチックレイヤーであり得る。
【0057】
本発明の1つ以上の実施形態において、オーセチックブロックの厚さ(t)、および非オーセチックブロックの厚さ(T)は、所望の引張強度が得られるように、調整できる。1つ以上の実施形態では、t、またはTは、ブロック間で異なる値にしてもよい。本発明の1つ以上の実施形態において、オーセチックブロック(604)、または非オーセチックブロック(602)のいずれかが、結合3D印刷物全体に渡って同じ厚さを有してもよい。
【0058】
図7は、非オーセチックブロック(702)ブロック、およびオーセチックブロック(704)内において、ブロックの厚さが変化する結合3D印刷物の一部分を示す。この厚さの変化は、設計および/または性能上の制約の結果として、滑らか、直線的、等にできる。
【0059】
例えば、図7では、オーセチックブロック(704)の厚さがtからtまで直線的に減少している。オーセチックブロック(704)の厚さは、ある方向(例えば、図7のX軸)における距離に対して、非線形(すなわち、2次以上の関係を有する)で変化してもよい。
【0060】
本発明の1つ以上の実施形態において、厚さの変化は、厚さの変化方向(すなわち、図7のX方向)に渡って様々な引張強度をもたらす(例えば、結合3D印刷物の引張強度は、オーセチックブロック(704)の厚さとともに変化する)。
【0061】
図8は、複数のオーセチックブロック(804)ブロック、および非オーセチックブロック(802)が交互に並んで堆積されることで各レイヤー(810)が形成された結合3D印刷物の一部分を示す。これにより、オーセチックブロック(804)、および非オーセチックブロック(802)により、チェッカーボード形状のデザインを有する結合3D印刷材料が得られる。図8に示すように、各レイヤー(810)の垂直界面は、隣接する(複数の)レイヤー(810)の垂直界面とオーバーラップしない。本発明の1つ以上の実施形態において、1つ以上のレイヤー(810)の垂直界面は、各レイヤー(810)内で、周期的であり得る。1つ以上の実施形態において、1つ以上のレイヤー(810)は、非周期的な垂直界面を有してもよい。
【0062】
本発明の1つ以上の実施形態において、各レイヤー(810)内のオーセチックブロック(804)、および非オーセチックブロック(802)が、垂直方向(鉛直方向)に垂直(直角)な方向において、レイヤー(810)全体に渡って延在してもよい。1つ以上の実施形態において、各レイヤー(810)内のオーセチックブロック(804)、および非オーセチックブロック(802)は、この垂直な方向において、レイヤー(810)の一部に渡って延在してもよい。例えば、図8では、各レイヤー(810)内のオーセチックブロック(804)、および非オーセチックブロック(802)は、Z軸に沿って、レイヤー(810)の全体、または一部に渡って延在してもよい。この例では、この垂直な方向はY軸に沿う。
【0063】
図9を参照すると、オーセチックブロック(904)の非オーセチックブロック(902)に対する比(すなわち、ブロックサイズ比)が増加すると、結合3D印刷物の引張強度が増加する。
【0064】
結合3D印刷物に渡って引張強度を変化させるために、ブロックサイズ比を、結合3D印刷物に渡って変更してもよい。例えば、図9に示すように、各レイヤー(910)内で、ブロックサイズ比は、X軸に沿って左から右に向けて増加する。したがって、図9で、結合3D印刷物の引張強度は、同方向で増加する(すなわち、図9の結合3D印刷物の断片(左側)は、図8の結合3D印刷物の断片に比較してより高い引張強度を有する)。
【0065】
本発明の実施形態は、使用するプラットホームに関わらす、実質的にあらゆるタイプのコンピューターシステム上で実施できる。例えば、コンピューターシステムは、1つ以上のモバイルデバイス(例えば、ラップトップコンピューター、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットコンピューター、その他モバイルデバイス)、デスクトップコンピューター、サーバー、サーバーシャーシ内のブレード、または他のタイプの任意のコンピューターデバイス、すなわち、本発明の1つ以上の実施形態を実行可能な最小限の処理能力、メモリ、入出力デバイスを少なくとも含むデバイスとすることができる。
【0066】
一例として図10に示されるように、コンピューターシステム(1000)は、1つ以上のコンピュータープロセッサ(1002)、関連メモリ(1004)(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリ等)、1つ以上の記憶デバイス(1006)(例えばハードシスク、CDドライブ、またはDVDドライブ等の光学ドライブ、フラッシュメモリスティック、等)、および多数の他の要素、および機能を含んでもよい。コンピュータープロセッサー(1002)は、命令を処理するための集積回路であり得る。例えば、コンピュータープロセッサー(1002)は、1つ以上のコア、またはプロセッサーのマイクロコアであり得る。コンピューターシステム(1000)は、また、1つまたは複数の入力装置(1010)を含み得る。入力装置(1010)は、タッチスクリーン、キーボード、マウス、マイクロフォン、タッチパッド、電子ペン、または、他の任意の種類の入力装置である、さらに、コンピューターシステム(1000)は、1つ以上の出力装置(1008)を含み得る。出力装置(1008)は、スクリーン(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、陰極線管(CRT)モニタ、または他の表示デバイス)、プリンター、外部記憶装置、または、他の任意の種類の出力装置である。1つ以上の出力装置は、入力装置と同じでも、異なっていてもよい。
【0067】
コンピューターシステム(1000)は、ネットワークインタフェース接続(図示せず)を介して、ネットワーク(1012)(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)、モバイルネットワーク、または任意の他の種類のネットワーク)と接続できる。入力および出力装置は、ローカルまたはリモートで(例えばネットワーク(1012)を介して)、コンピュータープロセッサ(1002)、メモリ(1004)、および記憶装置(1006)に接続されてもよい。多くの異なる種類のコンピューターシステムが存在し、上述の入力および出力装置は他の形態を取り得る。
【0068】
本発明の実施形態を実行するためのコンピューター可読プログラムコードの形態のソフトウェア命令は、その全部または一部、一時的または恒久的に、非一時的コンピューター可読媒体に格納できる。この非一時的コンピューター可読媒体には、CD、DVD、記憶装置、ディスケット、テープ、フラッシュメモリ、物理メモリ、または他の任意のコンピューター可読記憶媒体、等である。具体的には、ソフトウェア命令は、プロセッサーによって実行されたときに本発明の実施形態を実行するように構成されたコンピューター可読プログラムコードに対応する。
【0069】
さらに、上述のコンピューターシステム(1000)の1つ以上の要素を遠隔地に配置し、他の要素とネットワーク(1012)を介して接続できる。さらに、本発明の1つ以上の実施形態は、複数のノードを有する分散システム上で実施することができ、ここでは、本発明の各部分は分散システム内の異なるノード上に配置される。本発明の一実施形態では、ノードは別個のコンピューター装置に対応する。1つ以上の実施形態では、ノードは関連物理メモリを有するコンピュータープロセッサに対応する。 1つ以上の実施形態では、ノードは、共有メモリおよび/またはリソースを有するコンピュータープロセッサまたはコンピュータープロセッサのマイクロコアに対応し得る。
【0070】
本発明を、限られた数の実施形態で説明したが、本開示により恩恵を受ける当業者にとって、本明細書で開示された本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態とすることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10