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特許7306872交流電圧源接近検知方法及び同検知検電器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】交流電圧源接近検知方法及び同検知検電器
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/155 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
G01R19/155
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019093144
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020187067
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-05-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 公開日: 2019年4月3日 公開方法: 株式会社電設出版の田村氏に2019年5月5日発行の「電設技術5月号」に広告を掲載するため、出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の内容を開示 公開者: 三和電気計器株式会社 (2) 公開日: 2019年4月5日 公開方法: 株式会社電設出版の田村氏に2019年5月22日~24日に開催される電設工業展で配布される「電設資材 JECAガイドマップ」に広告を掲載するため、また、2019年5月1日発行の「電設資材5月号」に紹介記事を掲載するため、出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の内容を開示 公開者: 三和電気計器株式会社 (3) 公開日: 2019年4月10日 公開方法: 株式会社オーム社の横山氏に、2019年5月22日~24日に開催される電設工業展で配布される「電気と工事 JECA会場配布冊子」に広告を掲載するため、出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の内容を開示 公開者: 三和電気計器株式会社 (4) 公開日: 2019年4月15日 公開方法: 株式会社インサイトの井上氏等に三和電気計器株式会社のホームページ上の「JECAランデイングページ」に広告を掲載するため、出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の内容を開示 公開者: 三和電気計器株式会社 (5) 発行日: 2019年4月22日 公開方法: 電気新聞に出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の商品「近接センサKDSS1」が掲載された「電設技術5月号」の広告を掲載 発行者: 一般社団法人 日本電気協会新聞部 公開者: 三和電気計器株式会社 (6) 発行日: 2019年5月1日 公開方法: 雑誌「電設資材5月号」に出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の商品「近接センサKDSS1」を開示 発行者: 株式会社電設出版 公開者: 三和電気計器株式会社 (7) 発行日: 2019年5月5日 公開方法: 雑誌「電設技術5月号」に出願に係る発明「交流電圧源接近検知検電器」の商品「近接センサKDSS1」を開示 発行者: 一般社団法人 日本電設工業協会 公開者: 三和電気計器株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】500285727
【氏名又は名称】三和電気計器株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597019609
【氏名又は名称】株式会社 シーディエヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】大浦 洋治
(72)【発明者】
【氏名】田中 真秀
(72)【発明者】
【氏名】澤田 真克
(72)【発明者】
【氏名】野田 龍三
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和顕
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-288997(JP,A)
【文献】特開2017-161525(JP,A)
【文献】実開昭50-079477(JP,U)
【文献】特開2010-203961(JP,A)
【文献】特開平08-220151(JP,A)
【文献】実開平05-014932(JP,U)
【文献】特開2009-070335(JP,A)
【文献】米国特許第05570010(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0264427(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧源の接近を検知する方法において、検出回路の第1電極で交流電圧源の接近によって人体に誘起された電圧を測定し、同回路の第2電極で大地に対する静電容量を介した電圧を測定し、これらの第1電極の電位と第2電極の電位差により流れる電流を前記検出回路で捉えて、大地から絶縁された人体が前記交流電圧源に接近した際前記検出回路から信号を出力することを特徴とする、交流電圧源接近検知方法。

【請求項2】
交流電圧源の接近を検知する検電器において、検出回路は交流電圧源の接近によって人体に誘起された電圧を測定対象とした第1電極と、大地に対する静電容量を介した電圧を測定対象とした第2電極とを有し、さらに、前記交流電圧源に人体が接近した際前記検出回路から信号を出力する回路を備えたことを特徴とする、交流電圧源接近検知検電器。
【請求項3】
前記第1電極は人体に密着可能な一定面積を有する導体から成り、前記第2電極は第1電極に対する垂直投影面積を小さくし、かつ大地に対する面積を大きくした導体から成ることを特徴とする、請求項2に記載の交流電圧源接近検知検電器。
【請求項4】
前記第1電極は二つの平板を間隔を空けて設け、これらの平板を細幅帯状の接続部で接続し、前記第2電極は第1電極の前記接続部に起立した円筒形状であることを特徴とする、請求項3に記載の交流電圧源接近検知検電器。
【請求項5】
前記検電器が人体の腕、足、胴、頭、首のいずれかに巻き付ける帯状体に設けられていることを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載の交流電圧源接近検知検電器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビルや工場等の電気設備の点検作業や、改修工事等の電気工事の際に、作業者の感電事故や設備事故を防ぐために、交流電圧源に作業者が接近した際警報を発する交流電圧源の接近検知方法及び同検知検電器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の交流電圧源の検電器は、図8に示すように、大地と静電容量結合した人体を基準とし、被測定物である充電部に検電器の電極を接近させた際、充電部と検電器との間の静電容量C1、検電器と作業者との間の静電容量C2及び作業者と大地との間の静電容量C3を通じて流れる微小電流を検電器の検出回路が検出し、当該電流が一定値以上であれば、前記被測定物に電圧があると判定し、それを表示又は警報している。
【0003】
この方式の検電器は従来広く使用されており、特許文献1は、検電器を手首に装着し、検電器本体から手先方向に電極を突出させたものであり、当該検電器を被測定物に接近させて、検電するものである。また、特許文献2は工具の柄の部分に検電器の検電電極を密着させ、当該工具を握って作業者が工具を被測定物に接近させ、被測定物の電圧を検出、警報するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-220151号公報
【文献】特許第6467447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの検電器は、被測定物に作業者が装着した検電器をかざしたり、手に持った工具を接近させなければならない。即ち、作業者は検電を行うことを失念することなく、検電器を正しく使うことが要求される。これらのどちらかが欠けても前記事故につながる可能性が高くなる。
【0006】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、作業者の体に装着するだけで作業者の意識に関係なく、電圧源が近くにあることを注意喚起できる方法及び検電器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の検電器は、電線等の交流電圧源の電圧を測定対象とし、前記電圧源と静電容量結合した人体への流入電流を測っているが、この発明の検電器は、図2に示す交流電圧源のVと、充電部と人体との間の静電容量C01と、人体と大地の間の静電容量C02によって人体に生じる電圧V02を測定対象とし、当該電圧によって生じる人体からの流出電流を測る点で大きく異なる。
【0008】
具体的には、請求項1の発明は、交流電圧源の接近を検知する方法において、検出回路の第1電極で交流電圧源の接近によって人体に誘起された電圧を測定し、同回路の第2電極で大地に対する静電容量を介した電圧を測定し、これらの第1電極の電位と第2電極の電位差により流れる電流を前記検出回路で捉えて、大地から絶縁された人体が前記交流電圧源に接近した際前記検出回路から信号を出力する、交流電圧源接近検知方法とした。
【0009】
また、請求項2の発明は、交流電圧源の接近を検知する検電器において、検出回路は交流電圧源の接近によって人体に誘起された電圧を測定対象とした第1電極と、大地に対する静電容量を介した電圧を測定対象とした第2電極とを有し、さらに、前記交流電圧源に人体が接近した際前記検出回路から信号を出力する回路を備えた、交流電圧源接近検知検電器とした。
【0010】
また、請求項3に発明は、前記第1電極は人体に密着可能な一定面積を有する導体から成り、前記第2電極は第1電極に対する垂直投影面積を小さくし、かつ大地に対する面積を大きくした導体から成ることを特徴とする、請求項2に記載の交流電圧源接近検知検電器とした。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記第1電極は二つの平板を間隔を空けて設け、これらの平板を細幅帯状の接続部で接続し、前記第2電極は第1電極の前記接続部に起立した円筒形状である、請求項3に記載の交流電圧源接近検知検電器とした。
【0012】
また、請求項5の発明は、前記検電器が人体の腕、足、胴、頭、首のいずれかに巻き付ける帯状体に設けられている、請求項2~4のいずれかに記載の交流電圧源接近検知検電器とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び2の各発明によれば、人体のどこかに当該検電器を装着しておけば、当該検電器を装着した作業員が電圧源に近づくと信号を出力する。従って、電気工事等において、作業者の失念によって充電部に近づいた場合でも、注意喚起が可能となり、感電等の事故を未然に防ぐことが出来る。
【0014】
また、請求項3又は4の発明によれば、電極1と電極2との間に発生する電圧大きくなり、人体に生じる電圧Vを確実に捉えることができる。
【0015】
また、請求項5の発明によれば、当該検電器を帯状体に設けているため、第1電極を人体により広範囲かつ密着できる構造にでき、人体に生じる電圧V02を確実に捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電圧源に人体が接近した際の人体に流れる電流及び人体から流れる電流が生じることを示す原理説明図である。
図2】この発明の実施の形態例1の人体に誘起される電圧に関する主回路の原理概略図である。
図3】(a)図はこの発明の実施の形態例1の検電器の検出回路の原理を示す概略構成図、(b)図は同等価回路図である。
図4】(a)図はこの発明の実施の形態例1の検電器の外観正面図、(b)図は同検電器の人体への装着状態図、(c)図は同検電器の電極の分解図である。
図5】この発明の実施の形態例1の検電器の第2電極の形状例を示す斜視図である。
図6】この発明の実施の形態例1の検電器の第2電極の形状による感度の比較を示す比較表図である。
図7】この発明の実施の形態例1の検電器の検出回路の構成図である。
図8】従来の検電器の概略原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1の検電方法及び検電器を図に基づいて説明する前に、人体の各部の電位を測定した。なお、実施の形態例1の検電器の主回路では、電圧や静電容量を示す場合にVやCに「」を入れて表示するが、検出回路ではVやCに「」を入れないで表示する。
【0018】
まず、人体の電位分布がどのようになっているかを検討した。これには、図1に示すように、AC電位無線測定器を用いてAC電線に近づいた人体の両手首、両足首、頭部の電位を測った。
【0019】
その測定結果で、AC電線側に伸ばした手に電位が生じるのは当然の結果であるが、反対側の手にも電位が生じていることが確認できた。また、AC電線側に伸ばした手よりも、足側の電位が大きい体位が多くあった。これにより、人体全体で電位が生じていることが分かった。また、人体は大地から浮いた電位になっており、その電位は人体各部で異なっているということが分かった。
【0020】
しかし、人体は数kΩの導体であり、AC電線や大地からは数MΩ以上のインピーダンスで隔離されていることを考えると、人体内で検電器が動作するような数十V以上の電位差が生じることは考えられない。
【0021】
検討の結果、測定したAC電位無線測定器は大地からの電極電位を測っているのではなく、電極を通過する電流レベルを示していることが分かった。また、人体電位は大地から浮いているが、人体自体は同電位状態で、周辺のインピーダンス関係に応じて人体各部を流れる電流値に大小が生じており、その電流値に応じてAC電位無線測定器の測定値が変化していた。
【0022】
図1示すように、人体Hが100VのAC電線Wに近づくと、腕、胴体、頭を通じてAC電線Wからi、i、iの電流が人体Hに流れ込む。この電流によって人体Hは大地GからAC電圧を持った状態になる。ここでは30Vである。そして、その人体電位によって人体Hと大地G間容量を通じてAC電線Wと逆側の腕、両足、頭を通じて電流i、電流i、電流i、電流iが流れ出す。
【0023】
その電流比率は、AC電線Wと人体Hと大地Gの関係によって大きく変動するが、片手をAC電線Wに近づけてAC電線Wの反対側に壁が有る環境では、図1に示したような電流値になった。i=0.1μA、i=0.2μA、i=0.1μA、i=0.02μA、i=0.18μA、i=0.18μA、i=0.02μAである。この結果、AC電線Wと反対側の腕に検電器を持っても検電動作ができ、さらにその腕よりも足の方が感度が良い状態となると考えらえる。
【0024】
従来の一般の検電器では、AC電線に近づいた場合の電線からの電流i、iレベルを検知するように設定されているため、電流i、iの様な低レベルの人体からの流出電流を検知できずにいる。また、人体=大地電位モデルで考えているため、電流レベルが比較的大きい電流i、iの流れを利用せずにいる。なお、図1では代表的な電流分布を示した。実際にはもっと多様な人体部位で電流の入出力が生じているのが現実である。
【0025】
また、人体の絶縁が悪く、人体が大地と同電位となるような条件では電流i、i、iの流入電流しか利用できないので、人体電位を検電することは出来ない。実際に裸足で人体を大地と同電位にしたところ、AC電線と反対側の検電器は反応しなかった。
【0026】
この様に、人体が電圧源に近づくと、腕、胴体、頭を通じて電圧源から電流が人体に流れ込み、この電流によって人体は大地からAC電位を持った状態になり、その人体電位によって人体と大地間容量を通じて電圧源と逆側の腕、両足、頭を通じて電流が流れ出すことが分かった。
【0027】
この原理に基づいてこの発明はなされたものである。図2に示す電圧源Wから人体Hを通って大地Gに流れる閉回路(以下、主回路と言う)の合成容量(C01とC02の直列接続)Cは、次の数1、数2となる。なお、Vは電圧源Wの大地Gに対する電位、V01は電圧源Wと人体Hとの間の静電容量C01による電位、V02は人体Hの大地Gに対する静電容量C02による電位を示す。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
よって数3及び数4となり、人体Hは大地Gに対して電位(V02)を有することが分かる。
【0031】
【数3】
【0032】
【数4】
【0033】
また、数5、数6であるから、人体Hが充電部に近づく程(C01のdが小さくなり、C01が大きくなる)V02が大きくなる。これにより、V02を検出できれば、「人(人体H)が充電部に近づくこと」を検出できる。
【0034】
【数5】
【0035】
【数6】
【0036】
また、図3の(a)図は、図2のA部、即ち本発明の検電器Aの検出原理を示す概略構成図である。この検電器Aは人体Hの腕に巻き付ける腕章型であり、第1電極1と第2電極2により構成されている。ここでCは人体Hと第1電極1間の静電容量、C21は第1電極1と第2電極2間の静電容量、C22は人体Hと第2電極2間の静電容量、C31は第1電極1と大地G間の静電容量、C32は第2電極2と大地G間の静電容量である。
【0037】
また、第1電極1と第2電極2の間に検出回路4が設けられている。そして、図4に示すように、腕章型の帯状体5の表面に前記第1電極1、第2電極2及び検出回路4が取り付けられ、帯状体5の端部の表裏面に夫々設けた雄雌の面ファスナー5a、5bによって、作業者の腕に装着できるようになっている。
【0038】
この検電器Aの全体の合成容量は、次の数7となることが予想される。また、第1電極1と第2電極2の間に発生する電圧VC2は数8となる。このVC2が検出を可能にする電圧である。
【0039】
【数7】
【0040】
【数8】
【0041】
上記数8から、Cを大きくし、かつCを小さくすれば、VC2が大きくなり、検出に有効なVC2を得ることが出来る。また、C32が大きければ、さらに有効なVC2を得られる。また、C22が小さければ、検出回路4に流れる電流を大きくすることができ、検出に有利となる。
【0042】
そこで、C=εS/dの「S」を大きくし、かつ、「d」を小さくすることにより前記Cを大きくする。このため第1電極1を、大きな面積を有し、かつ、人体Hに巻き付くような(密着する)可とう性のある電極とし、第2電極2と接する電極形状を細くすることでC=εS/dの「S」を小さくし、前記C21を小さくした。図4に示す第1電極1は両側の電極板1aを四方形として面積を大きくし、これらの電極板1a、1aを繋ぐ接続部1bを帯状の細い電極板とし、全体を可とう性を有するものとした。
【0043】
また、第2電極2は、第1電極1に対する垂直投影面積を小さくして上記「S」を小さくし、前記C21を小さくする。また、人体に対する垂直投影面積を小さくして上記「S」を小さくし、前記C22を小さくする。また、空間(大地)に対する面積(側面積)を確保し、これによってC32を大きくする。図4に示す第2電極2は円筒形状とし、前記第1電極1の接続部1bに起立させたものである。
【0044】
これらの構成によって、第1電極1と第2電極2の間に発生する電圧VC2を大きくし、検出を可能にしている。また、前記第1電極1を人体Hに直に当てて密着させた場合、前記Cは無限大となり、前記数8に示すようにVc2は大きくなり、感度が良くなる。
【0045】
なお、前記第1電極1の形状は図4に示すものに限らない。また、前記第2電極2の形状についても円筒形状に限らない。例えば、図5の(a)図に示すように円板形状のものや、図5の(b)図に示すように、2枚の半円板を十字形状にクロスさせたものでも良い。図5の(c)図は前記円筒形状の第2電極2を示す。これらの各第2電極2は夫々絶縁材から成る基板3を介して前記第1電極1の接続部1bに載置される。
【0046】
図6はこれらの第2電極2が図5の(a)図のもの、(b)図のもの、(c)図のものから成る各検出器Aを装着した人が、人体側(検出器Aを装着していない腕の側)から一定の電圧を有する電圧源に近づいたとき、及びセンサ側(検出器Aを装着した腕の側)から前記電圧源に近づいた際、警報ブザーが鳴った距離を測った。
【0047】
その結果、3種類の第2電極2では、図5の(c)図に示した円筒形状の第2電極2が一番感度が良いことが実証された。
【0048】
また、前記検出回路4の構成は、図7に示すように、前記第1電極1と第2電極2間のC21に流れる電流信号によって生じた電圧VC2を増幅する増幅回路6、基準電圧発生回路7が夫々設けられ、前記増幅回路6の出力信号と前記基準電圧発生回路7の出力信号とを比較する比較回路8により、信号が出力された場合にのみ音声発生回路9及び点灯表示回路10が作動する。また、当該検出回路4には電源11を備えており、当該電源11のスイッチ12をオンにすることにより各回路に電源が供給される。
【0049】
次に、本発明の検電器Aによる交流電圧源の接近警報方法の説明をする。
当該検電器Aを装着した作業者は、作業に際して、まず、検出回路4のスイッチ12をオンにする。そして当該作業者が交流電圧源に接近すると、作業者に微小電流が流入する。この電流により人体はV02の電位となる。第1電極1は電位V02から静電容量Cを経由して分圧されて電位Vとなる。第2電極2の電圧は電位Vにより流出する電流がC21とC32によって分圧された電位となる。この流出電流iによって生じた静電容量C21間の電位差VC2を検出回路4が検知し、流出電流iによる静電容量C21の電位差VC2を増幅した出力信号が基準電圧より大きければ、音声発生回路9から警報音が発せられ、また、点灯表示回路10が点灯する。これにより検電器Aを装着した作業者は交流電圧源に接近したことが分かる。また、作業者は前記スイッチ12をオン状態にしていても、交流電圧源に接近しなければ前記音声発生回路9及び点灯表示回路10は作動しない。
【0050】
なお、上記実施の形態例1では検電器Aを腕章型としたが、これに限らず、人体の頭、首、胴、足、上半身、下半身のいずれかの部位に密着されるものであれば良い。また、上記実施の形態例1では検電器Aを腕章型の帯状体5に取付けているが、これに限らず、第1電極1のみを人体に巻き付け、この第1電極1と第2電極2とを離して、第2電極2を別途人体の他の部位に取付ける構成としてもよい。また、第1電極1は可とう性のある平板としたが、これに限らず、編組導体等、広く導体であればよい。
【0051】
また、上記実施の形態例1では検電器Aに音声発生回路9及び点灯表示回路10を設けたが、これらを設けずに、比較回路8からの出力を送信部(図示省略)で受けて外部に無線で信号を飛ばし、検出器Aとは別に設けた通信機器や端末機器でこれを受信し、当該機器で警報や表示する構成にすることもできる。
【0052】
以上、実施の形態例1を説明したが、これは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この発明はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
A 検電器 G 大地
H 人体 W 電圧源
1 第1電極 1a 電極板
1b 接続部 2 第2電極
3 基板 4 検出回路
5 帯状体 5a 面ファスナー
5b 面ファスナー 6 増幅回路
7 基準電圧発生回路 8 比較回路
8 音声発生回路 9 点灯表示回路
11 電源 12 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8