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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20230704BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/12 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019093229
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020186879
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 政憲
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛子
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132200(JP,A)
【文献】特開2019-037003(JP,A)
【文献】特開2013-011376(JP,A)
【文献】特開2016-072079(JP,A)
【文献】特開2015-155767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0209028(US,A1)
【文献】国際公開第2009/001513(WO,A1)
【文献】特開2011-029203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理を行うための燃焼装置と、
実行可能な調理メニューを表示することができる表示部と、
加熱調理の開始を指示する点火スイッチと、
前記燃焼装置と前記表示部を制御する制御部と、を具備し、
前記制御部は、前記表示部に前記調理メニューが含まれた画面が表示されている状態で、前記点火スイッチが操作されたときには、前記調理メニューで加熱調理を開始し、前記表示部に前記調理メニューを含まない画面が表示されてい状態で、前記点火スイッチが操作されたときに、加熱調理を開始せずに、前記表示部に前記調理メニューを含む画面を表示するように構成されている
加熱調理器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記点火スイッチの操作によって前記表示部に前記調理メニューが表示された状態で、前記点火スイッチが更に操作されたときに、前記調理メニューに従って加熱調理を開始するように構成されている
請求項1の加熱調理器。
【請求項3】
前記点火スイッチの操作によって前記表示部に表示される前記調理メニューは、予め登録された調理メニューである
請求項1または2の加熱調理器。
【請求項4】
前記点火スイッチの操作によって前記表示部に表示される前記調理メニューは、前回実行された調理メニューである
請求項1または2の加熱調理器。
【請求項5】
前記点火スイッチの操作によって前記表示部に表示される前記調理メニューは、過去の調理メニューの選択回数に基づいて選択された調理メニューである
請求項1または2の加熱調理器。
【請求項6】
前記点火スイッチの操作によって前記表示部に表示される前記調理メニューは、過去の調理メニューの履歴に基づいて決定される
請求項1または2の加熱調理器。
【請求項7】
前記燃焼装置は、グリル庫に設置されたバーナを含み、
前記点火スイッチの操作によって前記表示部に表示される前記調理メニューは、前記グリル庫で実行可能な調理メニューである
請求項1から6のいずれか一項の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置を備えた加熱調理器において、選択された調理メニューを表示することができる表示部を備えることが、従来提案されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-172942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の加熱調理器では、調理メニューが表示されていないときに点火用のスイッチを操作すると、所定の調理メニューでの加熱調理をすぐに開始するように設定されていた。そのため、使用者の操作ミス等で点火用のスイッチを操作すると、予期しない加熱調理が開始されるという問題があった。
【0005】
本発明は、予期しない加熱調理が開始されることを抑えることができる加熱調理器を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る加熱調理器は、加熱調理を行うための燃焼装置と、実行可能な調理メニューを表示することができる表示部と、加熱調理の開始を指示する点火スイッチと、前記燃焼装置と前記表示部を制御する制御部と、を具備する。前記制御部は、前記表示部に前記調理メニューが表示されていない状態で、前記点火スイッチが操作されたときに、加熱調理を開始せずに、前記表示部に前記調理メニューを表示させるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、予期しない加熱調理が開始されることを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の加熱調理器を示す斜視図である。
図2図2は、同上の加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図3図3は、同上の加熱調理器が備える燃焼装置を示す概略図である。
図4図4は、同上の加熱調理器が備える操作ブロックを示す図である。
図5図5は、同上の操作ブロックの表示面に表示されるトップ画面を示す図である。
図6図6は、同上の表示面に表示される大メニュー選択画面を示す図である。
図7図7は、同上の表示面に表示されるメニュー選択画面を示す図である。
図8図8は、同上の表示面に表示される火加減選択画面を示す図である。
図9図9は、同上の表示面に表示されるタイマー選択画面を示す図である。
図10図10は、同上の表示面に表示される点火促し画面を示す図である。
図11図11は、同上の表示面に表示される調理中画面を示す図である。
図12図12は、同上の表示面に表示される調理終了画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(一実施形態)
添付図面に基づいて、一実施形態の加熱調理器について説明する。
【0010】
一実施形態の加熱調理器は、グリル付きガスこんろであるが、ガスこんろを備えないグリル庫で構成されてもよいし、グリル庫を備えないガスこんろで構成されてもよい。また、ガスこんろの代わりにIH(誘導加熱)調理器を備えてもよい。
【0011】
また、一実施形態の加熱調理器は、キッチンカウンターに形成された開口部に上方より挿入されて設置されるドロップイン方式の加熱調理器であるが、特にドロップイン方式に限定されない。
【0012】
一実施形態の加熱調理器は、略箱状の本体ケーシング90を備える。本体ケーシング90には、図2図3にも示す燃焼装置1と、調理メニュー等の加熱調理に関する情報が表示される表示部2と、使用者が加熱調理に関する指示を入力することのできる入力操作部6と、入力操作部6に入力された指示に従った条件で燃焼装置1を制御し、所望の加熱調理を実行させる制御部5を備える。
【0013】
更に、一実施形態の加熱調理器は、表示部2が有する表示面20をその背後から照らすように配置されたバックライト3と、乾電池等の電池8が着脱自在に収容される電池収容部4を備える。電池収容部4は制御部5に対して電気的に接続されている。電池8の電力は、加熱調理器が備える燃焼装置1、表示部2、バックライト3等の各構成を駆動する電力として、制御部5に供給される。省電力のために、バックライト3は入力操作部6に入力操作があったときに点灯し、所定時間(例えば10秒)だけ入力操作がないときには自動的に消灯することが好ましい。
【0014】
ここで、一実施形態の加熱調理器における前後左右の各方向を定義する。図1に示すように、設計上、加熱調理器に対して使用者が位置すると想定される方を前方Fと定義し、その反対を後方Bと定義する。左右方向については、使用者が後方Bを向いているときを基準として左方Lと右方Rを定義する。
【0015】
燃焼装置1について、詳しく説明する。
【0016】
燃焼装置1は、こんろ用の複数のバーナ111,112,113と、グリル用の複数のバーナ131,132を備える(図3参照)。こんろ用の複数のバーナ111,112,113は、具体的には左バーナ111、奥バーナ112及び右バーナ113である。グリル用の複数のバーナ131,132は、具体的には下バーナ131と上バーナ132である。
【0017】
本体ケーシング90は、複数のバーナ挿通口925が形成された天板92を備える。
各バーナ111,112,113は、対応するバーナ挿通口925を通じて、その上部を露出させている。天板92の各バーナ挿通口925の周囲には、調理容器(図示略)を支持するための五徳93が設置される。
【0018】
各バーナ111,112,113は、五徳93に載置される調理容器の底部の温度を検知する温度センサ121,122,123を備えている。温度センサ121,122,123により検知された温度に基づいて、マイクロコンピュータを有する制御部5が、設定された調理メニューに従って自動調理等を実行する。
【0019】
本体ケーシング90の前面には、こんろ用の入力操作部96が配置されている。入力操作部96は、バーナ111,112,113の点火/消火の切り替えや火力調節に関する指示を与えるように構成されている。入力操作部96の操作を受けて、制御部5がバーナ111,112,113の燃焼を制御する。
【0020】
本体ケーシング90内には、前方Fに開口したグリル庫98が設けられており、グリル庫98の開口にはグリル扉99が開閉自在に設けられている。グリル庫98の内部に、下バーナ131と上バーナ132が設置されている。
【0021】
下バーナ131は、グリル庫98に収納されたグリル皿、グリル鍋等の調理容器(図示略)をその下方から加熱するように設けられたバーナである。上バーナ132は、調理容器あるいは調理容器に載置された加熱調理対象を、その上方から加熱するように設けられた面状のバーナである。
【0022】
下バーナ131は、こんろ用の各バーナ111,112,113と同様の構造を有し、調理容器の温度を検知する温度センサ124を備えている。温度センサ124は、下バーナ131の上部の中央部分から上方に突出し、調理容器の底壁に対して下方から当接するように構成されている。
【0023】
燃焼装置1は、こんろ用の各バーナ111,112,113とグリル用の各バーナ131,132に燃料ガスを供給する供給路14を、更に備えている。供給路14は、元ガス供給路140と、複数(一実施形態では四つ)のガス供給路141,142,143,144を含む。
【0024】
複数のガス供給路141,142,143,144は、元ガス供給路140の下流端から分岐した流路である。元ガス供給路140には元ガス電磁弁150が設けられている。各ガス供給路141,142,143,144には、電磁弁からなる安全弁151,152,153,154がそれぞれ設けられ、それらの下流側には、ステッピングモータで駆動される流量調節弁161,162,163,164が設けられている。
【0025】
都市ガス等の燃料ガスは、ガス供給路141を介して左バーナ111に供給され、ガス供給路142を介して奥バーナ112に供給され、ガス供給路143を介して右バーナ113に供給され、ガス供給路144を介して下バーナ131と上バーナ132に供給される。
【0026】
グリル用のガス供給路144は、その下流側においてガス供給路1441とガス供給路1442に分岐しており、燃料ガスは、ガス供給路1441を介して下バーナ131に供給され、ガス供給路1442を介して上バーナ132に供給される。ガス供給路1442には電磁弁155が設けられている。
【0027】
制御部5は、上記した燃焼装置1の各機器を制御することで、各種の加熱調理を実行するように構成されている。
【0028】
例えば、制御部5は、元ガス電磁弁150を開弁させ、安全弁151,152,153,154のうち対応するものを開弁させることで、こんろ用のバーナ111,112,113やグリル用のバーナ131,132に燃料ガスを流入させることができ、更に、対応するバーナ111,112,113,131,132の点火プラグ171,172,173,174,175でスパークを生じさせることで、点火を実行することができる。
【0029】
次に、表示部2と入力操作部6が設置された操作ブロック95について、説明する。
【0030】
一実施形態の加熱調理器は、いわゆるカンガルーポケット式の操作ブロック95を備える。操作ブロック95は、図1に示す状態では、表示部2と入力操作部6を本体ケーシング90内に隠すように位置するが、この状態の操作ブロック95を後方Bに押し込むとこれに連動して前方Fに倒れるように所定角度だけ回転し、表示部2と入力操作部6を正面に露出させる姿勢となる。
【0031】
図4に示すように、一実施形態の加熱調理器において表示部2と入力操作部6は、操作ブロック95の一面950上において互いに隣接する位置に設けられているが、表示部2と入力操作部6の形態はこれに限定されない。例えば、表示部2と入力操作部6の両方または一方が、操作ブロック95ではない箇所に設けられてもよい。例えば、表示部2が天板92に設けられてもよいし、本体ケーシング90の前面の適宜箇所に設けられてもよい。入力操作部6が天板92に設けられてもよいし、本体ケーシング90の前面の適宜箇所に設けられてもよい。
【0032】
表示部2は、文字、数字、イラストレーション等の各種の情報を選択的に表示することができる液晶の表示面20を有する。なお、表示面20は液晶に限定されず、有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の他の方式の画面を用いることも可能である。表示面20がタッチパネルである場合は、表示面20の一部が入力操作部6を兼ねることも可能である。
【0033】
図4に示すように、入力操作部6は、トップ画面を表示するためのスイッチ61と、直前の画面に戻るためのスイッチ62と、選択対象を変更するためのスイッチ63,64と、選択対象を決定するためのスイッチ65と、点火及び消火を行うためのスイッチ66を有する。スイッチ66は、点火スイッチ67と消火スイッチ68を兼ねるスイッチであるが、点火スイッチ67と消火スイッチ68を別々に設けることも可能である。
【0034】
使用者が入力操作部6を用いて加熱調理を行う手順は、例えば以下に述べるとおりである。
【0035】
図5には、表示面20に表示されるトップ画面を示している。使用者は、「TOP画面」と記されたスイッチ61を操作することで、表示面20にトップ画面を表示させることが可能である。トップ画面には、複数の選択肢が示されている。一例として、複数の選択肢には、過去の履歴から調理メニューを選択する選択肢と、調理容器を選択するための複数の選択肢と、設定変更を行う選択肢が含まれている。
【0036】
トップ画面において、スイッチ63,64を操作する等して、複数の選択肢のうち一つ(この例では、調理容器のうちグリル皿を意味する「プレートパン」)を選択し、更に「決定」と記されたスイッチ65を操作すると、図6に示す大メニュー選択画面が表示面20に表示される。
【0037】
大メニュー選択画面には、大メニューに関する複数の選択肢が示され、このうち一つの選択肢(この例では「調理モード」)を選択して「決定」のスイッチ65を操作すると、図7に示すメニュー選択画面が表示面20に表示される。
【0038】
メニュー選択画面には、メニューに関する複数の選択肢が示され、このうち一つの選択肢(この例では「焼く」)を選択して「決定」のスイッチ65を操作すると、図8に示す火加減選択画面が表示面20に表示される。
【0039】
火加減選択画面には、火加減に関する選択肢が変更可能に示され、このうち一つの選択肢(この例では「中」)を選択して「決定」のスイッチ65を操作すると、図9に示すタイマー選択画面が表示面20に表示される。
【0040】
タイマー選択画面には、調理時間に関する選択肢が変更可能に示され、このうち一つの選択肢(この例では「10分」)を選択して「決定」のスイッチ65を操作すると、図10に示す点火促し画面が表示面20に表示される。
【0041】
点火促し画面には、これより以前の各画面を経て選択された調理メニュー(この例では「プレートパン」「焼く」「中」「10分」の調理メニュー)の文字情報が表示され、加えて、使用者に対して点火を促す情報として「右端の点火キーを押してください」の文字情報が表示される。
【0042】
使用者は、現時点で選択されている調理メニューを、表示面20を見て確認したうえで、点火スイッチ67(スイッチ66)を押して加熱調理の開始の指示を入力する。点火スイッチ67が操作されると、操作信号を受けた制御部5は、選択された調理メニューに対応する燃焼条件にしたがって燃焼装置1を駆動し、グリル庫98での加熱調理を実行していく。
【0043】
加熱調理中において、表示面20には、図11に示す調理中画面が表示される。調理中画面には、選択された調理メニューの情報に加えて、現在調理中であることを示す情報として「調理中」の文字情報が表示される。ここでの加熱調理中には、バーナ131,132で火炎を生じている最中に加えて、余熱や蒸らしの最中も含まれる。
【0044】
選択された調理メニューでの一連の加熱調理が終了すると、図12に示す調理終了画面が表示される。調理終了画面には、調理終了を示す情報として「調理が終了しました」の文字情報が表示される。
【0045】
上記したように、一実施形態の加熱調理器においては、図10に示す点火促し画面が表示されている場合に点火スイッチ67が操作されると、その画面中に含まれている調理メニューで加熱調理を開始するのであるが、点火促し画面に限らず、調理メニューが含まれた画面(つまり図8に示す火加減選択画面と、図9に示すタイマー選択画面)を表示しているときであれば、点火スイッチ67が操作された場合には該調理メニューで加熱調理が開始される。
【0046】
これに対して、調理メニューを含まないトップ画面が表示されている場合には、点火スイッチ67が操作されても、加熱調理を開始するのではなく、調理メニューが含まれた点火促し画面を表示するように設けている。
【0047】
トップ画面から点火促し画面に移行した状態で、点火スイッチ67が更に操作された場合に、点火促し画面に含まれる調理メニューに従って、加熱調理が開始される。このとき、点火促し画面に含まれる調理メニューは、予め登録された所定の調理メニューであり、一例として「プレートパン」「焼く」「中」「10分」の調理メニューである。登録された所定の調理メニューは、使用者が変更することも可能である。
【0048】
つまり、一実施形態の加熱調理器では、表示部2に調理メニューが表示されていないときに点火スイッチ67が操作されても、加熱調理を開始するのではなく、調理メニューが含まれた画面を表示部2に表示するに留める。次いで、その画面が表示されている状態で点火スイッチ67が再び操作されると、その画面に含まれる調理メニューでの加熱調理を開始する。
【0049】
言い換えれば、表示部2に調理メニューが表示されているときには、1回の点火スイッチ67の操作で速やかに加熱調理を開始し、表示部2に調理メニューが表示されていないときには、加熱調理を開始するために2回の点火スイッチ67の操作を要する設定であり、1回目と2回目の点火スイッチ67の操作の間に、表示部2に所定の調理メニューを表示する。
【0050】
使用者は、表示部2を見て調理メニューの内容を確認したうえで、加熱調理を開始することができる。仮に、トップ画面での点火スイッチ67の操作が使用者の操作ミスであった場合には、表示された調理メニューを見て操作を取りやめればよく、不意に加熱調理が開始されるという事態が抑えられる。
【0051】
一実施形態の加熱調理器において、図6に示す大メニュー選択画面と図7に示すメニュー選択画面が表示部2に表示されているときには、点消火用のスイッチ66(点火スイッチ67及び消火スイッチ68)の操作は受付不可であり、スイッチ操作によって点火促し画面に移行することはないが、大メニュー選択画面とメニュー選択画面少なくとも一方が表示されているときのスイッチ66の操作で点火促し画面に移行するように設定することも可能である。
【0052】
上記した一実施形態の加熱調理器では、表示部2と入力操作部6はグリルでの加熱調理用に構成されており、点消火用のスイッチ66(点火スイッチ67)の操作によって表示部2に表示される調理メニューは、グリル庫98で実行可能な調理メニューであるが、これに限定されず、表示部2と入力操作部6がこんろでの加熱調理用に構成されてもよいし、グリルとこんろの両方の加熱調理用に構成されてもよい。また、一実施形態の加熱調理器は、電池8の電力で各機器を駆動するように構成されているが、商用電源の電力で各機器を駆動するように構成されてもよい。
【0053】
(変形例)
一実施形態の加熱調理器の変形例1-3について、以下に説明する。なお、上記した構成と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0054】
まず、一実施形態の加熱調理器の変形例1について説明する。
【0055】
変形例1において、表示部2にトップ画面が表示されているときに点消火用のスイッチ66(点火スイッチ67)が操作されることで表示部2に表示される調理メニューは、登録された調理メニューではなく、その加熱調理器においてグリル庫98で前回実行された調理メニューである。制御部5が有するメモリ(図示略)には、過去において実行された調理メニューが記憶されており、この中から最新の調理メニューが、スイッチ66を操作した後の点火促し画面において表示される。
【0056】
これにより、その使用者が直前に使用した用途での調理メニューが自動的に選択され、前回と同じ調理メニューでの加熱調理が可能となる。
【0057】
次に、一実施形態の加熱調理器の変形例2について説明する。
【0058】
変形例2において、表示部2にトップ画面が表示されているときに点消火用のスイッチ66(点火スイッチ67)が操作されることで表示部2に表示される調理メニューは、登録された調理メニューではなく、その加熱調理器においてグリル庫98で最も多く選択された調理メニューである。制御部5が有するメモリには、過去において実行された調理メニューが記憶されており、この中から最も選択回数が多い調理メニューが、スイッチ66を操作した後の点火促し画面において表示される。なお、ここで表示される調理メニューは、単純に過去の選択回数が最も多いものに限定されず、多様な基準を採用することが可能である。
【0059】
これにより、その使用者が頻繁に使用した用途での調理メニューが自動的に選択され、使用者の嗜好にあった調理メニューでの加熱調理が可能となる。
【0060】
次に、一実施形態の加熱調理器の変形例3について説明する。
【0061】
変形例3において、表示部2にトップ画面が表示されているときに点消火用のスイッチ66(点火スイッチ67)が操作されることで表示部2に表示されるものは、登録された調理メニューではなく、その加熱調理器において過去に選択されたグリル用の加熱調理の履歴である。制御部5が有するメモリには、過去において実行された調理メニューが記憶されており、このうち直近の複数回の履歴が、スイッチ66を操作した後の点火促し画面において表示される。使用者は、表示される複数回の履歴のうち所望のものを選択したうえで、スイッチ66を操作すればよい。これにより、その使用者が過去に使用した調理メニューでの加熱調理が可能となる。変形例3において、表示部2にトップ画面が表示されているときのスイッチ66の操作で表示部2に表示されるものは、調理メニューの直近の履歴に限定されず、過去の調理メニューの履歴に基づいて決定される一つまたは複数の調理メニューであればよい。
【0062】
(作用効果)
一実施形態及びこれの変形例に基づいて説明したように、本発明の加熱調理器は、第1の特徴として以下の構成を備える。本発明の加熱調理器は、加熱調理を行うための燃焼装置1と、実行可能な調理メニューを表示することができる表示部2と、加熱調理の開始を指示する点火スイッチ67と、燃焼装置1と表示部2を制御する制御部5と、を具備する。制御部5は、表示部2に調理メニューが表示されていない状態で、点火スイッチ67が操作されたときに、加熱調理を開始せずに、表示部2に調理メニューを表示させるように構成されている。
【0063】
第1の特徴を備える本発明の加熱調理器では、表示部2に実行可能な調理メニューが表示されていない状態で、使用者が操作ミス等で点火スイッチ67を操作した場合には、加熱調理が開始されるのではなく、実行可能な調理メニューが表示部2に表示される。そのため、使用者は調理開始の前段階で調理メニューを確認することができ、操作ミス等で予期しない加熱調理が開始されるという事態が抑えられる。
【0064】
本発明の加熱調理器は、第2の特徴として、第1の特徴に加えて以下の構成を備えることが好ましい。本発明の加熱調理器において、制御部5は、点火スイッチ67の操作によって表示部2に調理メニューが表示された状態で、点火スイッチ67が更に操作されたときに、調理メニューに従って加熱調理を開始するように構成されている。
【0065】
第2の特徴を備える本発明の加熱調理器によれば、使用者が調理メニューを確認したうえでの2回目の点火スイッチ67の操作によって、加熱調理を開始することができる。
【0066】
本発明の加熱調理器は、第3の特徴として、第1または第2の特徴に加えて以下の構成を備えることが好ましい。本発明の加熱調理器において、点火スイッチ67の操作によって表示部2に表示される調理メニューは、予め登録された調理メニューである。
【0067】
第3の特徴を備える本発明の加熱調理器によれば、表示部2に調理メニューが表示されていない状態で、使用者が点火スイッチ67を操作した場合には、すぐに実行可能な調理メニューとして、登録された調理メニューを表示し、これを確認したうえでの点火操作を促すことができる。
【0068】
本発明の加熱調理器は、第4の特徴として、第1または第2の特徴に加えて以下の構成を備えることが好ましい。本発明の加熱調理器において、点火スイッチ67の操作によって表示部2に表示される調理メニューは、前回実行された調理メニューである。
【0069】
第4の特徴を備える本発明の加熱調理器によれば、表示部2に調理メニューが表示されていない状態で、使用者が点火スイッチ67を操作した場合には、すぐに実行可能な調理メニューとして、前回実行の調理メニューを表示し、これを確認したうえでの点火操作を促すことができる。
【0070】
本発明の加熱調理器は、第5の特徴として、第1または第2の特徴に加えて以下の構成を備えることが好ましい。本発明の加熱調理器において、点火スイッチ67の操作によって表示部2に表示される調理メニューは、過去の調理メニューの選択回数に基づいて選択された調理メニューである。
【0071】
第5の特徴を備える本発明の加熱調理器によれば、表示部2に調理メニューが表示されていない状態で、使用者が点火スイッチ67を操作した場合には、すぐに実行可能な調理メニューとして、過去の選択に基づいた調理メニューを表示し、これを確認したうえでの点火操作を促すことができる。
【0072】
本発明の加熱調理器は、第6の特徴として、第1または第2の特徴に加えて以下の構成を備えることが好ましい。本発明の加熱調理器において、点火スイッチ67の操作によって表示部2に表示される調理メニューは、過去の調理メニューの履歴に基づいて決定される。
【0073】
第6の特徴を備える本発明の加熱調理器によれば、表示部2に調理メニューが表示されていない状態で、使用者が点火スイッチ67を操作した場合には、すぐに実行可能な調理メニューとして、過去の調理メニューの履歴を表示し、この中から選択して点火操作を行うことを促すことができる。
【0074】
本発明の加熱調理器は、第7の特徴として、第1から第6のいずれか一つの特徴に加えて以下の構成を備えることが好ましい。本発明の加熱調理器において、燃焼装置1は、グリル庫98に設置されたバーナ131,132を含み、点火スイッチ67の操作によって表示部2に表示される調理メニューは、グリル庫98で実行可能な調理メニューである。
【0075】
第7の特徴を備える本発明の加熱調理器によれば、使用者はグリル庫98内での調理開始の前段階でその調理メニューを確認することができ、グリル庫98内において予期しない加熱調理が開始されるという事態が抑えられる。
【符号の説明】
【0076】
1 燃焼装置
131 バーナ
132 バーナ
2 表示部
5 制御部
67 点火スイッチ
98 グリル庫
図1
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