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特許7306875増幅装置、増幅装置の調整方法、増幅装置の調整プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】増幅装置、増幅装置の調整方法、増幅装置の調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/68 20060101AFI20230704BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H03F3/68 220
H03F3/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019095405
(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公開番号】P2020191533
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 博之
(72)【発明者】
【氏名】小川 聡
(72)【発明者】
【氏名】泉倉 健司
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501661(JP,A)
【文献】特開2017-175424(JP,A)
【文献】特開2008-259050(JP,A)
【文献】特開2001-168789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00- 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相調整部、振幅調整部、電力増幅部を備えた複数の増幅部と、前記複数の増幅部からの出力信号を合成して合成信号を出力する初段合成部を備えた複数の初段ユニット、
前記複数の初段ユニットを備え、前記複数の初段ユニットからの出力信号を合成する二段合成部を備えた二段ユニット、
前記複数の初段ユニットに含まれる前記増幅部からの出力信号の振幅及び位相を揃える調整部、
を備えた増幅装置であって、
前記調整部は、前記複数の初段ユニットの各々の前記複数の増幅部のうち、最も振幅の小さい増幅部を選択して基準増幅部とし、前記基準増幅部以外の前記増幅部の前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準増幅部の振幅及び位相に揃える第一の調整を行い、
次いで、前記調整部は、前記複数の二段ユニットの各々が備える複数の前記初段ユニットのうち、一つの初段ユニットを選択して基準初段ユニットとし、前記基準初段ユニット以外の初段ユニットの前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準初段ユニットの振幅及び位相に揃える第二の調整を行う、
増幅装置。
【請求項2】
前記二段ユニットを複数備え、前記複数の二段ユニットからの出力信号を合成する三段合成部を備えた三段ユニットを更に備え、
前記調整部は、前記第二の調整に次いで、前記三段ユニットが備える複数の前記二段ユニットのうち一つの二段ユニットを選択して基準二段ユニットとし、前記基準二段ユニット以外の二段ユニットの前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準二段ユニットの振幅及び位相に揃える第三の調整を行う、
請求項1に記載された増幅装置。
【請求項3】
前記振幅調整部は、前記電力増幅部の前段に設置される、請求項1または2に記載された増幅装置。
【請求項4】
前記位相調整部は、前記振幅調整部の前段に設置される、請求項1から3のいずれか一に記載された増幅装置。
【請求項5】
前記調整部は、選択した前記増幅部には前記出力信号の出力を行わせ前記選択を行わない前記増幅部には前記出力信号の出力を停止させた場合の前記合成信号の振幅である合成信号振幅を、前記選択した前記増幅部の前記合成信号の前記合成信号振幅とする、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
【請求項6】
複数の増幅部と、前記複数の増幅部からの出力信号を合成して合成信号を出力する初段合成部を備えた複数の初段ユニット、
前記複数の初段ユニットを備え、前記複数の初段ユニットからの出力信号を合成する二段合成部を備えた二段ユニット、
前記複数の初段ユニットに含まれる前記増幅部からの出力信号の振幅及び位相を揃える調整部、
を備えた増幅装置の調整方法であって、
前記調整部は、前記複数の初段ユニットの各々の前記複数の増幅部のうち、最も振幅の小さい増幅部を選択して基準増幅部とし、前記基準増幅部以外の前記増幅部の前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準増幅部の振幅及び位相に揃える第一の調整を行い、
次いで、前記調整部は、前記複数の二段ユニットの各々が備える複数の前記初段ユニットのうち一つの初段ユニットを選択して基準初段ユニットとし、前記基準初段ユニット以外の初段ユニットの前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準初段ユニットの振幅及び位相に揃える第二の調整を行う、
増幅装置の調整方法。
【請求項7】
前記二段ユニットを複数備え、前記複数の二段ユニットからの出力信号を合成する三段合成部を備えた三段ユニットを更に備え、
前記調整部は、前記第二の調整に次いで、前記三段ユニットが備える複数の前記二段ユニットのうち一つを選択して基準二段ユニットとし、前記基準二段ユニット以外の二段ユニットの前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準二段ユニットの振幅及び位相に揃える第三の調整を行う、
請求項6に記載された増幅装置の調整方法。
【請求項8】
複数の増幅部と、前記複数の増幅部からの出力信号を合成して合成信号を出力する初段合成部を備えた複数の初段ユニット、
前記複数の初段ユニットを備え、前記複数の初段ユニットからの出力信号を合成する二段合成部を備えた二段ユニット、
前記複数の初段ユニットに含まれる前記増幅部からの出力信号の振幅及び位相を揃える調整部、
を備えた増幅装置を調整する処理をコンピュータに実行させる増幅装置の調整プログラムであって、
前記調整部は、前記複数の初段ユニットの各々の前記複数の増幅部のうち、最も振幅の小さい増幅部を選択して基準増幅部とし、前記基準増幅部以外の前記増幅部の前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準増幅部の振幅及び位相に揃える第一の調整を行う処理を実行させ、
次いで、前記調整部は、前記二段ユニットが備える複数の前記初段ユニットのうちの一つの初段ユニットを選択して基準初段ユニットとし、前記基準初段ユニット以外の初段ユニットの前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準初段ユニットの振幅及び位相に揃える第二の調整を行う処理を実行させる、
増幅装置の調整プログラム。
【請求項9】
前記二段ユニットを複数備え、前記複数の二段ユニットからの出力信号を合成する三段合成部を備えた三段ユニットを更に備え、
前記調整部は、前記第二の調整に次いで、前記三段ユニットが備える複数の前記二段ユニットの一つを選択して基準二段ユニットとし、前記基準二段ユニット以外の二段ユニットの前記出力信号の振幅及び位相を、前記基準二段ユニットの振幅及び位相に揃える第三の調整を行う処理をコンピュータに実行させる、
請求項8に記載された増幅装置の調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力信号を増幅する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力増幅装置としては、クライストロン等の電子管を使用したものと電力用半導体素子を用いたものとが知られている。電子管を使用した電力増幅装置は、安定性、エージングが必要、寿命が短い等、特にライフ・サイクル・コストの観点で課題がある。そのため、一般的には半導体電力増幅装置が用いられる。
【0003】
しかしながら、電力用半導体素子を用いた電力増幅器は、大電力が得にくいという課題がある。そのため、一般的に、大電力用の電力増幅装置は、電力用半導体素子を備える電力増幅器の出力を並列接続しそれらの出力電流を合成することにより出力電力を増大させる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
電力増幅装置の信号の電力を増大する方法には、各電力増幅器の出力電流を増大させる第一の方法と、合成される電力増幅器の出力信号の数を増やす第二の方法とがある。
【0005】
そして、第一の方法として、電力用半導体素子の出力を並列接続する方法がある。しかしながら、この方法は、出力段に実装するデバイスやコネクタ等の耐電力制約による電力限界がある。
【0006】
一方、第二の方法においては、各出力を合成することによる合成損失が問題となる。合成損失を低減するためには、合成損失の低減と合成数の増大の両立が可能なコニカル線路やラジアル線路を用いた電力合成器が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-175424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、コニカル線路やラジアル線路を用いた電力合成器は大電力化への制限がある。当該制限は、合成数増大に伴う線路の半径(中心からの距離)や線路の高さの制限、周波数と合成数により決定されるインピーダンス不整合、アイソレーション特性の悪化や線路インピーダンスから決定される同軸接栓の寸法限界等によるものである。
【0009】
本発明は、一般的な電力合成器を用いた多段合成において電力損失の低減が可能な電力増幅装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の増幅装置は、複数の増幅部と合成部と調整部とを備え、前記増幅部の各々は、前記調整部からの制御信号により入力信号の電力を増幅した出力信号を出力する電力増幅部と、前記制御信号により前記出力信号の出力信号振幅を調整する振幅調整部と、を備え、前記合成部は前記増幅部からの前記出力信号を合成した合成信号を出力し、前記調整部は、前記増幅部からの前記出力信号の前記出力信号振幅を互いに近づける前記制御信号を前記増幅部の各々に送付する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の増幅装置等は一般的な電力合成器を用いた多段合成において電力損失の低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の増幅装置の構成例を表す概念図である。
図2】増幅部の構成例を表す概念図である。
図3】調整部の構成例を表す概念図である。
図4】処理部が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
図5】実施形態の増幅装置の最小限の構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の増幅装置への入力信号は所定の数の信号に分岐された後、各々個別に増幅される。増幅後の信号は所定のグループごとに合成され、いくつかの合成信号に集約される。これらの合成信号は再度所定のグループごとに合成され、集約される。このような合成過程を所定の回数経て、最終的に一つの信号に集約されて、当該増幅装置から出力される。
【0014】
前記増幅装置は、前記合成及び出力動作に先立ち、各合成部に入力される各々の信号の振幅(電力)と位相とをモニターし各増幅部に揃えさせる。前記増幅装置は、各信号の振幅を合成過程に先だって一致させることにより、合成部における振幅の大きい入力端子から小さい入力端子への電力の回り込みを防ぎ、電力損失を低減する。前記増幅装置は、また、各信号の位相を合成過程に先だって一致させることにより、合成後の信号の劣化を抑える。
[構成と動作]
図1は、本実施形態の増幅装置の例である増幅装置100の構成を表す概念図である。
【0015】
増幅装置100は、入力される電力信号である入力信号Pinの電力を増幅した信号である出力信号Poutを出力する装置である。入力信号Pin及び出力信号Poutは典型的には高周波信号である。その場合の、当該高周波信号の周波数は、例えば、マイクロ波(Sバンド:2GHz乃至Xバンド:12GHz)である。当該高周波信号は、例えば、典型的にはパルス変調信号である。当該高周波信号には、その他、連続波信号、位相変調信号、周波数変調信号、スペクトラム拡散信号等の様々な信号が想定され得る。
【0016】
増幅装置100は、三段ユニット301と調整部42とを備える。ここで、「三段ユニット」は、三段の合成部を増幅部と含むユニットである。また、以下における「二段ユニット」は、二段の合成部と増幅部を含むユニットである。また、「初段ユニット」は、初段の合成部と増幅部を含むユニットである。
【0017】
三段ユニット301は、i台の二段ユニット201乃至20iと、三段合成部31とを備える。ここで、iは1以上の整数である。図1では、二段ユニット202乃至20(i-1)については図示が省略されている。また、i=1の場合は、分配部26、二段ユニット20i及び三段合成部31は存在しない場合も想定される。
【0018】
二段ユニット201は、m台の初段ユニット101乃至10mと二段合成部21とを備える。なお、図示はされないが、二段ユニット201以外の二段ユニットも、二段ユニット201と同様の構成を備える。ここで、mの値は、二段ユニットにより異なる値であっても構わない。また、m=1の場合は、初段ユニット10m及び二段合成部21は存在しない場合も想定され得る。
【0019】
初段ユニット101は、n個の増幅部51乃至1nと、初段合成部11とを備える。なお、他の初段ユニットも初段ユニット101と同様の構成を備える。ここで、nの値は、二段ユニットにより異なっても構わない。また、n=1の場合は、増幅部5n及び初段合成部11は存在しない場合も想定され得る。
【0020】
分配部26は、入力信号Pinを各増幅部に分配する。分配部26は、複数段に分かれていても構わない。
【0021】
各増幅部は、分配された信号の電力を増幅した増幅信号を初段合成部11に入力する。
【0022】
初段合成部11は、入力された増幅信号を合成した初段合成信号を、初段端子T11を介して、二段合成部21及び調整部42に出力する。ここで、初段端子は初段合成信号が出力される端子である。
【0023】
二段合成部21は、入力された各初段合成信号を合成した二段合成信号を、二段端子T21を介して、三段合成部31及び調整部42に出力する。ここで、二段端子は二段合成信号が出力される端子である。
【0024】
三段合成部31は、各二段ユニットから入力された二段合成信号を合成した三段合成信号を、三段端子T3を介して、調整部42に入力するとともに、出力信号Poutとして増幅装置100の外部に出力する。ここで、三段端子は、三段合成信号が出力される端子である。
【0025】
調整部42は、増幅装置100の運用に先だって或いは運用を中断して、合成部ごとに各合成部に入力される信号の振幅及び位相を揃える調整を行う。調整部42は、当該調整を行う場合は、まず、各増幅部から初段合成部に入力される信号間の調整を行う。次に、調整部42は、各初段合成部から二段合成部に入力される信号間の調整を行う。次に、調整部42は、各二段合成部から三段合成部31に入力される信号間の調整を行う。こうして、調整部42は、すべての合成部に入力される信号の振幅及び位相を揃えさせる。以下、上記調整の詳細例を説明する。
【0026】
調整部42は、以下の方法で、各初段合成部に入力される信号間の調整を行う。
【0027】
その場合、調整部42は、初段ユニット101が備える各増幅部に送付する制御信号により、各増幅部の一台ずつに増幅信号を出力させる。調整部42は、選択したある一台の増幅部が増幅信号を出力している間は、初段ユニット101の他の増幅部には増幅信号を出力させない。これにより、初段合成部11から初段端子T11を経て調整部に入力される初段合成信号は、選択された一台の増幅部からの増幅信号のみになる。そして、調整部42は、各増幅部を順次選択し、その増幅部のみに出力を行わせることにより、各増幅部からの増幅信号の振幅及び位相を取得する。調整部42は、例えば、市販のネットワークアナライザが備える機能を備えることにより、当該取得を行い得る。
【0028】
次に、調整部42は、増幅部51を選択した場合の出力信号の振幅及び位相に対する、増幅部52乃至1nの各々の出力信号の振幅及び位相の差である増幅信号振幅差及び増幅信号位相差を導出する。ここで、増幅部51の増幅信号の振幅及び位相を基準とすることが想定されていることを前提とする。調整部42は、当該増幅信号振幅差を及び増幅信号位相差を保持する。
【0029】
次に、調整部42は、当該増幅信号振幅差及び増幅信号位相差がなくなるように、各増幅部に、その増幅信号の振幅及び位相を調整させる。調整部42は、当該調整を行う場合は、例えば、まず各増幅部から出力される増幅信号のうち最も振幅の小さいものを特定する。そして、調整部42は、各増幅部が備える可変アッテネータに、特定した増幅信号の振幅に等しくなるように増幅信号の振幅を減少させる。調整部42は、次に、その特定した増幅信号の位相に等しくなるように、各増幅部が備える移相部に増幅信号の位相を調整させる。各増幅部が調整部42からの制御信号によりその増幅信号の振幅及び位相を調整するための構成は、図2に表される。
【0030】
調整部42は、二段ユニット201が備える初段ユニット101以外の他の初段ユニットについても、増幅信号の同様の調整を行わせる。
【0031】
調整部42は、さらに、二段ユニット202乃至20iの各々が備える各初段ユニットの各増幅信号についても、同様の調整を行わせる。
【0032】
次に、調整部42は、以下の方法で、各二段合成部に入力される信号間の調整を行う。
【0033】
その際に、調整部42は、まず、二段ユニット201が備える、ある初段ユニットを選択する。そして、調整部42は、選択した初段ユニットの備えるすべての増幅部に増幅信号を出力させ、二段ユニット201が備える他の増幅部には増幅信号を停止させる。そして、二段端子T21からの二段合成信号の振幅及び位相を取得、保持する。その際の二段合成信号は、選択されたユニットからの初段合成信号と等しくなっている。すなわち、この場合の二段合成信号の振幅及び位相は、選択されたユニットからの初段合成信号の振幅及び位相である。
【0034】
調整部42は、二段ユニット201が備える他の初段ユニットについても同様の制御を行い、二段端子T21からの出力信号の振幅及び位相を取得、保持する。これにより、調整部42は、各初段ユニットについて、その増幅部のすべてに増幅信号を出力させた場合の初段合成信号の振幅及び位相を取得する。
【0035】
次に、調整部42は、二段ユニット201の各初段ユニットについて、初段合成信号の振幅及び位相の初段ユニット101との差である初段合成振幅差及び初段合成位相差を求め、保持する。ここで、初段ユニット101の初段合成信号の振幅及び位相を基準とすることが予め定められていることを前提とする。
【0036】
次に、調整部42は、各二段ユニットの各増幅部に、当該初段合成振幅差及び初段合成位相差を調整させる。その際に、調整部42は、初段ユニットごとに等しい初段合成振幅差及び位相差に相当する分だけ、その初段ユニットが備えるすべての増幅部に、増幅信号の振幅及び位相を調整させる。
【0037】
調整部42は、同様の初段合成振幅差及び初段合成位相差の調整を二段ユニット202乃至20iの各々についても行わせる。
【0038】
次に、調整部42は、三段合成部31に入力される信号間の調整を行う。
【0039】
その場合、調整部42は、ある選択した二段ユニットが備えるすべての増幅部に増幅信号を出力させる。その際に、他の二段ユニットが備えるすべての増幅部には出力を停止させる。これにより、三段端子T3から入力される出力信号はその選択された二段ユニットのすべての増幅部に増幅信号を出力させた場合のそのユニットからの二段合成信号になる。調整部42は、三段端子T3から入力されたその選択された二段ユニットからの二段合成信号の振幅と位相とを取得し、保持する。
【0040】
調整部42は、同様にして、三段ユニット301が備えるすべての二段ユニットについて、三段端子T3からの二段合成信号の振幅及び位相を取得し、保持する。
【0041】
次に、調整部42は、三段ユニット301が備える各二段ユニットと二段ユニット201との、二段合成信号の振幅と位相の差である二段合成振幅差及び二段合成位相差を取得し、保持する。
【0042】
次に、調整部42は、三段ユニット301の各二段ユニットについて、二段合成信号の振幅及び位相の二段ユニット201からの二段合成信号との差である二段合成振幅差及び二段合成位相差を求め、保持する。ここで、二段ユニット201の二段合成信号の振幅及び位相を基準とすることが予め定められていることを前提とする。
【0043】
次に、調整部42は、各二段ユニットの各増幅部に当該二段合成振幅差及び二段合成位相差を調整させる制御情報を送付する。その際に、調整部42は、二段ユニットごとに等しい二段合成振幅差及び二段合成位相差だけ、その二段ユニットが備えるすべての増幅部に調整させる。
【0044】
図2は、図1に表す各増幅部の例である増幅部50の構成を表す概念図である。増幅部50は、移相部501と振幅調整部502と電力増幅部503とを備える。
【0045】
移相部501は、調整部42から送付を受けた位相制御信号に従い、分配部26から分配された入力信号の位相を調整し、調整後の信号を振幅調整部502に入力する。当該位相制御信号には、移相量及び位相の向き(正負)を表す情報が含まれている。移相部501は、当該情報により移相を行う。移相部501としては、例えば、Qorvo社のPhase Shifter製品であるTGP2105-SMを用いることができる。
【0046】
振幅調整部502は、調整部42から送付を受けた振幅制御信号に従い、移相部501から入力された信号の振幅を調整する。調整後の振幅は電力増幅部503に入力される。振幅調整部502としては、例えば、United Monolithic Semiconductors社の可変アッテネータ製品であるCHT3660-QAG-full-0211を用いることができる。
【0047】
電力増幅部503は、振幅調整部502から入力された信号の電力を増幅した増幅信号を初段合成部11に出力する。電力増幅部503は、当該出力及び出力の停止を、調整部42から送付された出力制御信号により行う。電力増幅部503は、出力段に、例えば、電界効果トランジスタを備えている。その場合、当該電界効果トランジスタのゲートは調整部42に接続されている。そして、電力増幅部503は、ゲート電圧のレベルが調整部42により切り替えられることにより、出力をオンオフする。この場合、当該ゲート電圧が前述の出力制御信号である。
【0048】
なお、移相部501及び振幅調整部502は、電力増幅部503の後段である、電力増幅部503と初段合成部11との間に設置されることも可能である。しかしながら、図2に表すように、電力増幅部503の前段である、分配部26と電力増幅部503との間に設置する方がより好ましい。
【0049】
その理由は、一つには、移相部501及び振幅調整部502を電力増幅部503の前段に設置することにより、移相部501及び振幅調整部502により生じる発熱を減少させることができるためである。前段の方が後段より信号の電力が小さいからである。
【0050】
前記理由は、二つには、電力増幅部503の後段に設置された場合、移相部501及び振幅調整部502はより大きな電力を扱えるものである必要があるためである。大電力を扱える移相部501及び振幅調整部502は、一般的に製造が困難なため、価格も高く、入手が困難な場合がある。移相部501及び振幅調整部502を電力増幅部503の前段に設けることにより、これらの価格を抑え、入手を容易にすることができる。
【0051】
また、移相部501を振幅調整部502の後段に設置することも可能である。しかしながら、図2に表すように、移相部501を振幅調整部502の前段に設置する方がより好ましい。その理由は、電力増幅部503の直前に振幅調整部502を設置することにより、電力増幅部503からの信号の反射を抑えることができるためである。
【0052】
図3は、図1に表す調整部42の構成例を表す概念図である。調整部42は、計測部421と、処理部422と、制御部423と、記憶部424とを備える。
【0053】
計測部421は、処理部422からの指示に従い、図1に表す各端子からの信号の振幅及び位相を測定し、端子名等と関連付けて、記憶部424に保持させる。ここで、各端子からの信号は、入力端子T0からの入力信号Pin、初段端子T11乃至T1mの各々からの初段合成信号、二段端子T21乃至T2iの各々からの二段合成信号及び三段端子T3からの三段合成信号である。計測部421は、例えば、市販のネットワークアナライザが備える、入力信号の振幅及び位相を測定する機能を備えることにより、当該測定を行う。
【0054】
制御部423は、処理部422からの指示に従い、各増幅部へ制御信号を送付する。
【0055】
記憶部424は、予め、計測部421、処理部422及び制御部423が行う処理に必要なプログラムや情報を保持する。記憶部424は、また、計測部421、処理部422及び制御部423が指示する情報を保持する。記憶部424は、また、計測部421、処理部422及び制御部423が指示する格納情報を、これらのうちの指示された送付先に送付する。
【0056】
処理部422は例えば図4に表す処理を行う。
【0057】
図4は、図3に表す処理部422が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
【0058】
処理部422は、例えば、外部からの開始情報の入力により、図4に表す処理を行う。
【0059】
そして、処理部422は、まず、S101の処理として各増幅信号振幅差及び各増幅信号位相差を導出し、格納する。増幅信号振幅差及び増幅信号位相差は、増幅信号の振幅及び位相の、初段ユニットごとに予め定められた基準とする増幅部からの基準増幅信号の振幅及び移相との差である。処理部422は、S101の処理を、例えば、次のように行う。
【0060】
処理部422は、S101の処理を行う場合は、S101の前半の処理として、まず、図1に表す三段ユニット301が備える初段ユニットの一つを選択する。そして、処理部422は、さらに、選択した初段ユニットの備える増幅部を一つ選択する。そして、処理部422は、選択した増幅部には出力を行わせ、選択した初段ユニットの他の増幅部には出力を停止させる。これにより、選択した初段ユニットの初段端子からの初段合成信号は、選択した増幅部からの増幅信号に等しくなる。この状態で、処理部422は、計測部421に、振幅及び位相を計測する対象の信号として、その初段端子からの初段合成信号を選択させる。そして、処理部422は、計測部421に、その初段合成信号の振幅及び位相を測定させ、測定結果を、選択した増幅部のID(Identifier)と関連付けて、記憶部424に格納させる。処理部422は、以上と同様の処理を、選択した初段ユニットが備える他の増幅部についても行う。さらには、処理部422は、以上と同様の処理を、三段ユニット301が備える他の初段ユニットについても行う。
【0061】
処理部422は、次に、S101の後半の処理として、各増幅信号の振幅及び位相と、基準増幅信号の振幅及び位相との差である増幅信号振幅差及び増幅信号位相差を導出する.ここで、基準増幅信号は、各初段ユニットに予め定められた増幅部からの増幅信号である。各増幅信号の振幅及び位相は、S102の前半の処理で記憶部424に保持させ各増幅部のIDと関連付けられたものである。処理部422は、導出した増幅信号振幅差及び増幅信号位相差を、対応する増幅部のIDと関連付けて、記憶部424に格納させる。
【0062】
次に、処理部422は、S102の処理として、各増幅部に振幅及び位相を調整させる。処理部422は、当該調整を、制御部423に、各増幅部へ、S102の処理により格納した増幅信号振幅差及び増幅信号位相差を無くす調整を行わせる制御信号を送付させることにより行う。
【0063】
次に、処理部422は、S103の処理として、各初段合成振幅差及び各初段合成位相差を導出し格納する。ここで、初段合成振幅差及び初段合成位相差は、初段合成信号の振幅及び位相の、二段ユニットごとに予め定められた基準とする初段ユニットからの基準初段合成信号の振幅及び移相との差である。処理部422は、S103の処理を、例えば、次のように行う。
【0064】
処理部422は、S103の処理を行う場合は、S103の前半の処理として、まず、図1に表す三段ユニット301が備える二段ユニットの一つを選択する。そして、処理部422は、さらに、選択した二段ユニットの備える初段ユニットを一つ選択する。そして、処理部422は、選択した初段ユニットが備えるすべての増幅部には出力を行わせ、選択した二段ユニットの他の初段ユニットが備えるすべての増幅部には出力を停止させる。これにより、選択した二段ユニットの二段端子からの二段合成信号は、選択した初段ユニットからの初段合成信号に等しくなる。この状態で、処理部422は、計測部421に、振幅及び位相を計測する対象の信号として、その二段端子からの二段合成信号を選択させる。そして、処理部422は、計測部421に、その二段合成信号の振幅及び位相を測定させ、測定結果を、選択した初段ユニット(又は初段端子)のIDと関連付けて、記憶部424に格納させる。処理部422は、以上と同様の処理を、選択した二段ユニットが備える他の初段ユニットについても行う。さらには、処理部422は、以上と同様の処理を、三段ユニット301が備える他の二段ユニットについても行う。
【0065】
処理部422は、次に、S103の後半の処理として、各初段合成信号の振幅及び位相と、基準初段合成信号の振幅及び位相との差である初段合成振幅差及び初段合成位相差を導出する.ここで、基準初段合成信号は、各二段ユニットに一つずつ予め定められた初段ユニットからの初段合成信号である。各初段合成信号の振幅及び位相は、S103の前半の処理で記憶部424に保持させ各初段ユニット(又は初段端子)のIDと関連付けられたものである。処理部422は、導出した初段合成振幅差及び初段合成位相差を、対応する初段ユニット(又は初段端子)のIDと関連付けて、記憶部424に格納させる。
【0066】
次に、処理部422は、S104の処理として、各初段ユニットに振幅及び位相を調整させる。処理部422は、当該調整を、制御部423に、各初段ユニットが備える各増幅部へ、S103の処理により格納した初段合成振幅差及び初段合成位相差をゼロにさせる調整を行わせる制御信号を送付させることにより行う。
【0067】
次に、処理部422は、S105の処理として、各二段合成振幅差及び各二段合成位相差を導出し格納する。二段合成振幅差及び二段合成位相差は、二段合成信号の振幅及び位相の、三段ユニット301に予め定められた基準とする二段ユニットからの基準二段合成信号の振幅及び移相との差である。処理部422は、S105の処理を、例えば、次のように行う。
【0068】
処理部422は、S105の処理を行う場合は、S105の前半の処理として、まず、図1に表す三段ユニット301が備える二段ユニットの一つを選択する。そして、処理部422は、選択した二段ユニットが備えるすべての増幅部には出力を行わせ、他の二段ユニットが備える増幅部には出力を停止させる。これにより、三段端子T3からの三段合成信号は、選択した二段ユニットからの二段合成信号に等しくなる。この状態で、処理部422は、計測部421に、振幅及び位相を計測する対象の信号として、三段端子T3からの三段合成信号を選択させる。そして、処理部422は、計測部421に、その三段合成信号の振幅及び位相を測定させ、測定結果を、選択した二段ユニットのIDと関連付けて、記憶部424に格納させる。処理部422は、以上と同様の処理を、他の二段ユニットについても行う。
【0069】
処理部422は、次に、S105の後半の処理として、各二段合成信号の振幅及び位相と、基準二段合成信号の振幅及び位相との差である二段合成振幅差及び二段合成位相差を導出する.ここで、基準二段合成信号は、予め定められたある二段ユニットからの二段合成信号である。各二段合成信号の振幅及び位相は、S105の前半の処理で記憶部424に保持させ各二段ユニットのIDと関連付けられたものである。処理部422は、導出した二段合成振幅差及び二段合成位相差を、対応する二段ユニットのIDと関連付けて、記憶部424に格納させる。
【0070】
次に、処理部422は、S106の処理として、各二段ユニットに振幅及び位相を調整させる。処理部422は、当該調整を、制御部423に、各二段ユニットが備える各増幅部へ、S103の処理により格納した二段合成振幅差及び二段合成位相差をゼロにさせる調整を行わせる制御信号を送付させることにより行う。
【0071】
そして、処理部422は、図4に表す処理を終了する。
[効果]
本実施形態の増幅装置の備える各増幅部は、調整部からの制御信号によりその出力信号である増幅信号の振幅及び位相を調整する振幅調整部及び位相調整部を備える。そして、調整部は、増幅装置の備える各合成部に入力される信号の振幅と位相を揃える調整を各増幅部に行わせる。
【0072】
前記増幅装置は、各合成部に入力される信号の振幅を調整することにより、各合成部における、より高い振幅の信号が入力される端子からより低い振幅の信号が入力される端子への電力の回り込みを防ぎ、各合成部で生じる電力損失を低減する。さらに、前記増幅装置は、各合成部に入力される信号の位相の調整を各増幅部に行わせるので、合成後の信号の劣化を抑えることができる。前記増幅装置は、合成される増幅信号の数をさらに増やすことが可能である。そのため、前記増幅器は、合成される増幅信号の数をさらに増やすことによる、出力電力の更なる増大を可能にする。
【0073】
なお、以上の説明では、増幅部が備える増幅器が半導体である場合の例を説明したが、増幅器は電子管を使用したものであっても構わない。その場合は、増幅器が半導体である場合と比較して、出力信号の電力をさらに増大させることが可能である。
【0074】
図5は、実施形態の増幅装置の最小限の構成である増幅装置100xの構成を表す概念図である。増幅装置100xは、複数の増幅部50xと合成部61xと調整部42xとを備える。
【0075】
増幅部50xの各々は、電力増幅器と振幅調整部とを備える。前記電力増幅器は、調整部42xからの制御信号により入力信号の電力を増幅した出力信号を出力する。前記振幅調整部は、前記制御信号により前記出力信号の出力信号振幅を調整する。
【0076】
合成部61xは、増幅部50xからの前記出力信号を合成した合成信号を出力する。
【0077】
調整部42xは、増幅部50xからの前記出力信号を互いに近づける前記制御信号を増幅部50xの各々に送付する。
【0078】
増幅装置100xは、合成部61xに入力される前記出力信号の出力信号振幅を調整し、増幅部50xからの前記出力信号の前記出力信号振幅を互いに近づける。そのため、増幅装置100xは、より高い振幅の前記出力信号が入力される合成部61xの入力端子からより低い振幅の前記出力信号が入力される合成部61xの入力端子への電力の回り込みを減少させる。これにより、増幅装置100xは、合成部61xにおける電力損失を低減する。
【0079】
そのため、増幅装置100xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0080】
なお、図5に表す増幅装置100xは、例えば、図1に表す初段ユニット101乃至2m、二段ユニット201乃至20i、又は、三段ユニット301である。
【0081】
また、増幅装置100xは、例えば、増幅装置100xが図1に表す初段ユニットである場合のその初段ユニットが備える各増幅部である。増幅装置100xは、あるいは、例えば、増幅装置100xが図1に表す二段ユニットである場合のその二段ユニットが備える各初段ユニットである。増幅装置100xは、あるいは、例えば、増幅装置100xが図1に表す三段ユニット301である場合の各二段ユニットである。
【0082】
また、合成部61xは、例えば、増幅装置100xが図1に表す各初段ユニットの場合の、その初段ユニットの初段合成部である。増幅部50xは、あるいは、例えば、増幅装置100xが図1に表す各二段ユニットの場合の、その二段ユニットの二段合成部である。増幅部50xは、あるいは、例えば、増幅装置100xが図1に表す三段ユニット301の場合の、三段合成部31である。
【0083】
また、調整部42xは、例えば、図1に表す調整部42である。
【0084】
また、前記電力増幅部は、例えば、図2に表す電力増幅部503である。
【0085】
また、振幅調整部は、例えば、図2に表す、振幅調整部502である。
【0086】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0087】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
複数の増幅部と合成部と調整部とを備え、
前記増幅部の各々は、前記調整部からの制御信号により入力信号の電力を増幅した出力信号を出力する電力増幅部と、前記制御信号により前記出力信号の出力信号振幅を調整する振幅調整部と、を備え、999
前記合成部は前記増幅部からの前記出力信号を合成した合成信号を出力し、
前記調整部は、前記増幅部からの前記出力信号の前記出力信号振幅を互いに近づける前記制御信号を前記増幅部の各々に送付する、
増幅装置。
(付記2)
前記電力増幅部は、前記制御信号のうちの出力制御信号により前記出力信号の出力を行う、付記1に記載された増幅装置。
(付記3)
前記振幅調整部は、前記電力増幅部の前段に設置される、付記1又は付記2に記載された増幅装置。
(付記4)
前記振幅調整部は、前記制御信号のうちの振幅制御信号により前記出力信号の振幅である出力信号振幅の調整を行う、付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記5)
前記調整部は、前記制御信号により、前記出力信号の前記出力信号振幅を揃える調整を行う、付記1乃至付記4のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記6)
前記調整部は、前記制御信号により、一つの前記増幅部の前記出力信号の前記出力信号振幅に、他の前記増幅部の各々の前記出力信号の前記出力信号振幅を略一致させる、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記7)
前記増幅部の各々は、前記制御信号により前記出力信号の出力信号位相を調整する位相調整部をさらに備える、付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記8)
前記位相調整部は、前記電力増幅部の前段に設置される、付記7に記載された増幅装置。
(付記9)
前記位相調整部は、前記振幅調整部の前段に設置される、付記7又は付記8に記載された増幅装置。
(付記10)
前記位相調整部は、前記制御信号のうちの位相制御信号により前記出力信号の位相である出力信号位相の調整を行う、付記7乃至付記9のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記11)
前記調整部は、前記制御信号により、前記出力信号の前記出力信号位相を揃える調整を行う、付記7乃至付記10のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記12)
前記調整部は、前記制御信号により、一つの前記増幅部の前記出力信号の前記出力信号位相に、他の前記増幅部の各々の前記出力信号の前記出力信号位相を略一致させる、付記7乃至付記11のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記13)
前記調整部は、選択した前記増幅部には前記出力信号の出力を行わせ前記選択を行わない前記増幅部には前記出力信号の出力を停止させた場合の前記合成信号の振幅である合成信号振幅を、前記選択した前記増幅部の前記合成信号の前記合成信号振幅とする、付記1乃至付記12のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記14)
前記選択を前記増幅部の各々に対して行う、付記13に記載された増幅装置。
(付記15)
前記入力信号が分配器から入力されたものである、付記1乃至付記14のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記16)
前記入力信号が高周波信号である、付記1乃至付記15のうちのいずれか一に記載された増幅装置。
(付記17)
付記1乃至付記16のうちのいずれか一の増幅装置を複数備え、前記増幅装置からの前記合成信号を合成した多段増幅信号を出力する多段ユニットをさらに備える、多段増幅装置。
(付記18)
前記調整部は、前記制御信号により、前記合成信号の振幅である第二合成信号振幅及び前記合成信号の位相である第二合成信号位相を揃える調整を行う、付記17に記載された多段増幅装置。
(付記19)
前記調整部は、前記制御信号により、一つの前記合成信号の前記第二合成信号振幅に、他の前記合成信号の各々の前記第二合成信号振幅を略一致させ、一つの前記合成信号の前記第二合成信号位相に、他の前記合成信号の各々の前記第二合成信号位相を略一致させる、付記18に記載された多段増幅装置。
(付記20)
前記調整部は、前記増幅部に対し、第二の選択を行った前記合成信号の出力を行わせ前記第二の選択を行わない前記合成信号の出力を停止させた場合の前記多段増幅信号の振幅である多段増幅信号振幅及び前記多段増幅信号の位相である多段増幅信号位相を、前記第二の選択を行った前記合成信号の前記第二合成信号振幅及び前記第二合成信号位相とする、付記18又は付記19に記載された多段増幅装置。
(付記21)
前記第二の選択を前記合成信号の各々に対して行う、付記20に記載された増幅装置。
(付記22)
制御信号により分配部から入力信号の電力を増幅した出力信号を出力する電力増幅部と、前記制御信号により前記出力信号の出力信号振幅を調整する振幅調整部と、を備える増幅装置に、前記増幅部からの前記出力信号の前記出力信号振幅を互いに近づける前記制御信号を送付する、前記出力信号の調整方法。
(付記23)
制御信号により分配部から入力信号の電力を増幅した出力信号を出力する電力増幅部と、前記制御信号により前記出力信号の出力信号振幅を調整する振幅調整部と、を備える増幅装置に、前記増幅部からの前記出力信号の前記出力信号振幅を互いに近づける前記制御信号を送付する処理をコンピュータに実行させる、前記出力信号の調整プログラム。
【符号の説明】
【0088】
100、100x 増幅装置
101乃至10m 初段ユニット
26 分配部
11 初段合成部
50、51乃至5n 増幅部
50x 増幅部
501 移相部
502 振幅調整部
503 電力増幅部
61x 合成部
21 二段合成部
31 三段合成部
421 計測部
422 処理部
423 制御部
424 記憶部
201乃至20i 二段ユニット
301 三段ユニット
42、42x 調整部
T0 入力端子
T11乃至T1m 初段端子
T21乃至T2i 二段端子
T3 三段端子
図1
図2
図3
図4
図5