(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/532 20060101AFI20230704BHJP
A61F 13/505 20060101ALI20230704BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20230704BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/505
A61F13/53 200
A61F13/494 110
(21)【出願番号】P 2019177433
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 彩
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-063126(JP,A)
【文献】特開2017-176449(JP,A)
【文献】特開2017-080104(JP,A)
【文献】特開2009-153735(JP,A)
【文献】特開2016-123585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれた状態から展開して使用する使い捨ておむつであって、
背側部から、股部を介して、腹側部まで延在した吸収シートと、
前記吸収シートの延在方向に延在したギャザーと、を備え、
前記吸収シートは、折り畳まれていたことで形成された前記背側部
の第1の折曲線
の背側に、前記吸収シートを展開した状態で前記延在方向に作用する収縮力によって、第2の折曲線が形成され、
前記吸収シートは、前記第1の折曲線と前記第2の折曲線とで折り返されて三重に重なった三重部が形成され、
前記三重部のうち前記第1の折曲線の背側に、開口部又は薄層領域を形成し、
前記三重部のうち第1の折曲線の腹側
に、サブ開口部又はサブ薄層領域を形成した
ことを特徴とする、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記開口部又は前記薄層領域は、前記吸収シートの幅方向の略中央に形成した
ことを特徴とする、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記吸収シートの幅方向の端部であって、前
記第1の折曲線の背側に、折り畳まれた状態から展開した際の折れ曲がりを誘導する折曲誘導部を形成
し、
前記第2の折曲線は、前記折曲誘導部を起点として形成される
ことを特徴とする、請求
項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、排泄物の横漏れ防止用のギャザーを備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、アウターの両側部に肌側に起立する立体ギャザーを形成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、立体ギャザーの収縮力によって、アウターが縦断面Z字状に折り畳まれて段差を形成する。そのため、特許文献1に記載の構成は、アウターに取り付けられるインナーパッドがその段差に乗り上げて、盛り上がりが形成されてしまう。そして、この盛り上がりが障壁となって、排泄物が背側に拡散し難い、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、横漏れ防止用のギャザーを備えた、排泄物を背側に拡散し易くした使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の使い捨ておむつは、折り畳まれた状態から展開して使用する使い捨ておむつであって、背側部から、股部を介して、腹側部まで延在した吸収シートと、前記吸収シートの延在方向に延在したギャザーと、を備え、前記吸収シートは、折り畳まれていたことで形成された前記背側部の折曲線の近傍に、開口部又は薄層領域を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明の使い捨ておむつは、横漏れ防止用のギャザーを備え、排泄物を背側に拡散し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の使い捨ておむつがパッケージに収容された状態を示す斜視図である。
【
図2】実施例1の三つ折りの状態の使い捨ておむつを示す斜視図である。
【
図3】実施例1の展開された使い捨ておむつとインナーパッドを示す分解斜視図である。
【
図4】実施例1の使い捨ておむつを着用した状態を示す斜視図である。
【
図5】実施例1の使い捨ておむつを示す平面図である。
【
図6】実施例1のインナーパッドを示す平面図である。
【
図7】実施例1のインナーパッドを装着した使い捨ておむつを示す横断面図である。
【
図9】実施例1の使い捨ておむつの幅方向中央部の縦断面図である。
【
図10】比較例の使い捨ておむつの幅方向中央部の縦断面図である。
【
図11】実施例1の使い捨ておむつの幅方向端部の縦断面図である。
【
図12】実施例2の吸収シートを示す平面図である。
【
図13】別の実施例の吸収シートを示す平面図である。
【
図14】別の実施例の使い捨ておむつの幅方向中央部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による使い捨ておむつを実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1における使い捨ておむつは、インナーパッドを装着して使用する、大人用のテープタイプの使い捨ておむつに適用される。
【0012】
[使い捨ておむつの構成]
図1は、実施例1の使い捨ておむつがパッケージに収容された状態を示す斜視図である。
図2は、実施例1の三つ折りの状態の使い捨ておむつを示す斜視図である。
図3は、実施例1の展開された使い捨ておむつとインナーパッドを示す分解斜視図である。
図4は、実施例1の使い捨ておむつを着用した状態を示す斜視図である。
図5は、実施例1の使い捨ておむつを示す平面図である。
図6は、実施例1のインナーパッドを示す平面図である。
図7は、実施例1のインナーパッドを装着した使い捨ておむつを示す横断面図である。以下、実施例1の使い捨ておむつの構成を説明する。なお、使い捨ておむつ10の幅方向を幅方向Eとし、前後方向を前後方向Dとする。前後方向Dについては、前側が着用者の腹側に対応し、後側が着用者の背側に対応する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、使い捨ておむつ(アウター)10は、三つ折に折り畳まれて、パッケージ1に収容されている。
【0014】
三つ折に折り畳まれた状態の使い捨ておむつ10は、ベース部10Aに対して、第1背側折返し部10Bと、腹側折返し部10Cと、が折り返されている。第1背側折返し部10Bが折り返されることで、第1背側折返し部10Bとベース部10Aとの間に折曲線としての第1背側折曲線M1が形成される。腹側折返し部10Cが折り返されることで、腹側折返し部10Cとベース部10Aとの間に腹側折曲線N1が形成される。
【0015】
図3に示すように、三つ折に折り畳まれた状態の使い捨ておむつ10は、展開され、その内面にインナーパッド30が取り付けられる。
【0016】
(使い捨ておむつ)
図4及び
図5に示すように、使い捨ておむつ10は、腹側部10Xと、股部10Yと、背側部10Zと、で構成され、着用者Pの腹から股を介して背中に亘って覆うように形成される。背側部10Zとは、着用者Pが仰向けの姿勢でベッドGに横たわった状態で、使い捨ておむつ10に着用者Pの体重が加わる範囲をいう。
【0017】
図5に示すように、使い捨ておむつ10は、身体側(内側)に配置されたシートとしてのトップシート11と、トップシート11に対向して衣類側に配置されたシートとしてのバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に積層された吸収シート50と、吸収シート50の幅方向Eの両側に配置されたギャザーシート13と、背側部10Zに配置されたテープ基材16と、を備える。
【0018】
図5及び
図7に示すように、トップシート11は、例えば、有孔又は無孔の不織布等で形成された液透過性のシートを用いることができる。トップシート11は、吸収シート50に向けて、体液を速やかに通過させる。
【0019】
バックシート12は、例えば、樹脂フィルムで形成された液不透過性のシートを用いることができる。バックシート12は、吸収シート50が保持している体液が、バックシート12を透過して衣類等を濡らさないようにする。
【0020】
ギャザーシート13は、例えば、液不透過性の不織布を用いることができる。ギャザーシート13の幅方向Eの一端は、トップシート11に、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定される。ギャザーシート13の他端には、前後方向Dに延在する細長状の2つの弾性伸縮部材14が所定の伸張状態で設けられている。弾性伸縮部材14は、例えば、糸状又は帯状の天然ゴム等を使用することができる。弾性伸縮部材14は、前後方向Dに、腹側部10Xから股部10Yを介して背側部10Zまで延在する。弾性伸縮部材14の収縮力によって、ギャザーシート13にギャザーとしての立体ギャザー21が形成される。
【0021】
立体ギャザー21は、幅方向Eにおいて、吸収シート50の両側部に、吸収シート50の延在方向(前後方向D)に設けられる。立体ギャザー21は、着用者Pの体型に合わせて変形可能であり、着用者Pの排泄物の横漏れを防止する。
【0022】
ギャザーシート13と、バックシート12との間に、前後方向Dに延在する細長状の3つの弾性伸縮部材15が所定の伸張状態で設けられている。弾性伸縮部材15は、例えば、糸状又は帯状の合成ゴム等を使用することができる。弾性伸縮部材15は、前後方向Dに、腹側部10Xから股部10Yを介して背側部10Zまで延在する。弾性伸縮部材15の収縮力によって、ギャザーシート13とバックシート12にギャザーとしての平面ギャザー22が形成される。
【0023】
平面ギャザー22は、幅方向Eにおいて、吸収シート50の両側部に、吸収シート50の延在方向(前後方向D)に設けられる。平面ギャザー22は、幅方向Eで、立体ギャザー21より外側に設けられる。平面ギャザー22は、股下周りの部位におけるフィット感を向上させる。
【0024】
トップシート11とバックシート12と間に吸収シート50を積層した状態で、トップシート11とバックシート12とギャザーシート13とを重ね合わせて、周縁部をホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定する。
【0025】
テープ基材16は、ギャザーシート13とバックシート12との間に一部が挟まれて、幅方向Eの外側に突出するように設けられる。テープ基材16には、ファスニングテープ17が設けられる。
図4に示すように、ファスニングテープ17は、バックシート12の衣類側の表面に取り付けられたターゲットテープ18に繰り返し接合したり剥離したりすることができる。
【0026】
(インナーパッド)
図6及び
図7に示すように、インナーパッド30は、使い捨ておむつ10と略同様の構成であり、身体側に配置されたトップシート31と、トップシート31に対向して衣類側に配置されたバックシート32と、トップシート31とバックシート32との間に配置された吸収シート36と、吸収シート36の幅方向Eの両側に配置されたギャザーシート33と、を備える。
【0027】
トップシート31は、例えば、有孔又は無孔の不織布等で形成された液透過性のシートを用いることができる。トップシート31は、吸収シート36に向けて、体液を速やかに通過させる。
【0028】
バックシート32は、例えば、樹脂フィルムで形成された液不透過性のシートを用いることができる。バックシート32は、吸収シート36が保持している体液が、バックシート12を透過しないようにする。
【0029】
ギャザーシート33は、例えば、液不透過性の不織布を用いることができる。ギャザーシート33の幅方向Eの一端は、トップシート31に、例えば溶着によって固定される。ギャザーシート33の他端には、前後方向Dに延在する細長状の2つの弾性伸縮部材34が所定の伸張状態で設けられている。弾性伸縮部材34は、例えば、糸状又は帯状の合成ゴム等を使用することができる。弾性伸縮部材34は、前後方向Dに延在する。弾性伸縮部材34の収縮力によって、立体ギャザー35が形成される。立体ギャザー35は、着用者Pの体型に合わせて変形可能であり、着用者Pの排泄物の横漏れを防止する。
【0030】
吸収シート36は、吸収性ポリマーとパルプを含んで構成される。吸収シート36は、腹側から背側までシート状に形成される。吸収シート36は、バックシート32より、小さい外形を有する。吸収シート36は、単層であっても複層であってもよい。
【0031】
トップシート31とバックシート32と間に吸収シート36を積層した状態で、トップシート31とバックシート32とギャザーシート33とを重ね合わせて、周縁部をホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定する。
【0032】
このように構成されたインナーパッド30は、使い捨ておむつ10の着用時に、
図3及び
図7に示すように、展開された使い捨ておむつ10の立体ギャザー21の間に配置される。
【0033】
[吸収シート50の構成]
図8は、実施例1の吸収シート50を示す平面図である。以下、実施例1の吸収シートの構成を説明する。
【0034】
吸収シート50は、吸収性ポリマーとパルプを含んで構成される。吸収シート50は、腹側から背側までシート状に形成される。吸収シート50は、バックシート12より、小さい外形を有する。吸収シート50は、単層であっても複層であってもよい。
【0035】
図8に示すように、吸収シート50は、開口部51と、折曲誘導部52と、を備える。なお、吸収シート50の開口部51でない部分を一般部とする。
【0036】
開口部51は、第1背側折曲線M1の背側に形成される。開口部51は、幅方向Eにおいて、吸収シート50の略中央に形成される。すなわち、幅方向Eの端部には、吸収シート50が存在するように、開口部51が形成される。開口部51は、半円状又は半楕円状に形成され、円弧が背側を向き、円弧の弦が腹側を向いて第1背側折曲線M1と略一致するように配置される。
【0037】
開口部51の幅W2は、
図7に示すように、使い捨ておむつ10に取り付けられたインナーパッド30の、第1背側折曲線M1における幅W1と、略同じ幅にすることができる。開口部51の幅W2は、例えば、80~200mmとすることが好ましく、100~150mmにすることがより好ましい。
図8に示すように、開口部51の前後方向Dの長さH1は、例えば、20~40mmとすることが好ましく、20~60mmとすることがより好ましい。
【0038】
折曲誘導部52は、吸収シート50の幅方向Eの両端部であって、第1背側折曲線M1の背側に形成される。折曲誘導部52は、矩形に切り欠かれた切欠きとすることができる。折曲誘導部52の幅方向Eの長さは、例えば、端部(縁部)から10~80mmとすることが好ましく、30~50mmとすることがより好ましい。前後方向Dにおいて、第1背側折曲線M1から折曲誘導部52が形成される位置までの距離H2は、開口部51の前後方向Dの長さH1の約半分の距離とすることができ、例えば、10~60mmとすることが好ましく、10~30mmとすることがより好ましい。折曲誘導部52は、使い捨ておむつ10が折り畳まれた状態から展開された際に、折れ曲がりを誘導する。
【0039】
[使い捨ておむつ及びインナーパッドの装着方法]
図9は、実施例1の使い捨ておむつの幅方向中央部の縦断面図である。以下、実施例1の使い捨ておむつ及びインナーパッドの装着方法を説明する。
【0040】
まず、介護者が、
図1に示すように、パッケージ1に三つ折の状態で収容されている使い捨ておむつ10を取り出す。三つ折で収容されている使い捨ておむつ10には、
図2に示すように、折り癖により、内側に折れた第1背側折曲線M1と腹側折曲線N1が形成されている。
【0041】
次に、介護者は、
図3に示すように、第1背側折返し部10Bと腹側折返し部10Cとを展開する。この際、第1背側折返し部10Bは、弾性伸縮部材14,15の収縮力によって、腹側に引っ張られた状態である。そのため、第1背側折返し部10Bは、
図9に示すように、第1背側折曲線M1の背側の部分に、第1背側折返し部10Bをさらに折り返した第2背側折返し部10Dが形成されることになる。
【0042】
第2背側折返し部10Dが折り返されることで、第1背側折返し部10Bと第2背側折返し部10Dとの間に第2背側折曲線M2が形成される。そして、ベース部10Aと、第1背側折返し部10Bと、第2背側折返し部10Dと、が三重に重なった三重部60が形成される。
【0043】
次に、
図3に示すように、インナーパッド30を使い捨ておむつ10に取り付ける。次に、仰向けの状態の着用者Pを、横向きにし、空いたスペースにインナーパッド30が取り付けられた使い捨ておむつ10を配置する。次に、横向きの着用者Pを仰向けの状態にすることで、着用者Pの背面に、使い捨ておむつ10が配置されることになる。この際、着用者Pは、三重部60が形成された状態の使い捨ておむつ10の上に載ることになる。
【0044】
次に、インナーパッド30と使い捨ておむつ10を腹側に引っ張って、ファスニングテープ17をターゲットテープ18に接合する。この際、三重部60は、着用者Pの体重が加わっているため、展開されないままとなる。
【0045】
[使い捨ておむつの作用]
図10は、比較例の使い捨ておむつの幅方向中央部の縦断面図である。
図11は、実施例1の使い捨ておむつの幅方向端部の縦断面図である。実施例1の使い捨ておむつの作用を説明する。
【0046】
実施例1の使い捨ておむつ10は、折り畳まれた状態から展開して使用する使い捨ておむつ10であって、背側部10Zから、股部10Yを介して、腹側部10Xまで延在した吸収シート50と、前記吸収シート50の延在方向(前後方向D)に延在したギャザー(立体ギャザー21,平面ギャザー22)と、を備え、前記吸収シート50は、折り畳まれていたことで形成された前記背側部10Zの折曲線(第1背側折曲線M1)の近傍に、開口部51を形成した(
図5)。
【0047】
これにより、
図11に示すように、折曲線(第1背側折曲線M1)を起点として折り曲げられて形成される三重部60に、開口部51を形成することができる。そのため、吸収シート50が存在するベース部10Aと、吸収シート50が存在しない第1背側折返し部10B及び第2背側折返し部10Dとによって、三重部60を形成することができる。その結果、三重部60の厚さK1を薄くして、使い捨ておむつ10を略平坦にすることができる。そのため、三重部60が形成された状態の使い捨ておむつ10にインナーパッド30を取り付けたとしても、インナーパッド30を盛り上がりのない略平坦な姿勢にすることができる。
【0048】
その結果、排泄物を、インナーパッド30を通じて背側に拡散し易くして、横方向(幅方向E)に流れてしまうことを抑制する。そして、着用者Pの鼠径部から排泄物が漏れてしまうことを防止することができる。
【0049】
また、インナーパッド30に盛り上がりがなくなるため、着用時の違和感をなくすことができる。
【0050】
一方、開口部51を設けない場合、
図10に示すように、吸収シート50が存在するベース部10Aと、第1背側折返し部10Bと、第2背側折返し部10Dとによって、三重部60が形成される。そのため、使い捨ておむつ510は、三重部60の厚さK2が厚くなり、幅方向Eに延在する段差が形成されてしまう。段差が形成された状態の使い捨ておむつ510にインナーパッド30を取り付けると、インナーパッド30にも盛り上がりが形成されてしまう。そのため、インナーパッド30の盛り上がりが障壁となって、排泄物は、背面側に拡散せず、横方向(幅方向E)に流れてしまう。そして、着用者Pの鼠径部から排泄物が漏れてしまうことになる。
【0051】
実施例1の使い捨ておむつ10において、開口部51は、吸収シート50の幅方向の略中央に形成した(
図8)。
【0052】
これにより、
図11に示すように、吸収シート50が存在するベース部10Aと、第1背側折返し部10Bと、第2背側折返し部10Dとによって、幅方向Eの端部の三重部60を形成することができる。そのため、幅方向Eの端部の三重部60の厚さK3を厚くすることができる。その結果、使い捨ておむつ10の着用時に、厚くなった三重部60の端部を着用者Pの鼠径部に密着させることができる。そして、使い捨ておむつ10と鼠径部との隙間を埋めて、鼠径部から排泄物が漏れることを防止することができる。
【0053】
実施例1の使い捨ておむつ10において、吸収シート50の幅方向Eの端部であって、折曲線(第1背側折曲線M1)の背側に、折り畳まれた状態から展開した際の折れ曲がりを誘導する折曲誘導部52を形成した(
図8)。
【0054】
これにより、使い捨ておむつ10を展開した際に、折曲誘導部52を起点として、使い捨ておむつ10を折り返して三重部60を形成することができる。そのため、開口部51において、三重部60を形成することができる。
【0055】
実施例1の使い捨ておむつ10において、開口部51は、折曲線(第1背側折曲線M1)の背側に形成した(
図5)。
【0056】
これにより、ベース部10Aに折り返されて乗っかってくる第1背側折返し部10Bと第2背側折返し部10Dに、開口部51を形成することができる。そのため、三重部60の厚さを薄くして、平坦に近づけることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例2の使い捨ておむつは、吸収シートの構成が異なる点で、実施例1の使い捨ておむつと相違する。
【0058】
[吸収シートの構成]
図12は、実施例2の吸収シートを示す平面図である。以下、実施例2の吸収シートの構成を説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0059】
図12に示すように、実施例2の吸収シート50は、サブ開口部53を備える。サブ開口部53は、第1背側折曲線M1の腹側で、吸収シート50の幅方向Eの略中央に形成される。サブ開口部53は、矩形に形成することができる。サブ開口部53の幅W3は、開口部51の幅W2より小さく形成されることが好ましい。サブ開口部53の幅W3は、例えば、50~180mmとすることが好ましく、80~130mmとすることがより好ましい。サブ開口部53の前後方向Dの長さH3は、例えば、10~60mmとすることが好ましく、10~30mmとすることがより好ましい。
【0060】
[使い捨ておむつの作用]
実施例2の使い捨ておむつ10の作用を説明する。
【0061】
実施例2の使い捨ておむつ10は、折曲線の腹側には、サブ開口部53を形成した(
図12)。
【0062】
これにより、三重部60の厚さを、一般部より薄くすることができる。そのため、インナーパッド30を使い捨ておむつ10に取り付けた際に、三重部60のインナーパッド30を、その周囲より沈み込ませることができる。その結果、排泄物を背側に拡散することができる。
【0063】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0064】
以上、本発明の使い捨ておむつを実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、各実施例の組み合わせや、追加等は許容される。
【0065】
実施例1及び実施例2では、開口部51を第1背側折曲線M1の背側に形成する例を示した。しかし、
図13に示すように、開口部54は、第1背側折曲線M1の腹側と背側とを跨るように設けてもよい。この場合、開口部54の前後方向Dの長さH4は、例えば、30~200mmとすることが好ましく、30~90mmとすることがより好ましい。
【0066】
実施例1及び実施例2では、吸収シート50に開口部51を設ける例を示した。しかし、開口部51を設ける替わりに、
図14に示すように、吸収シート50の一般部より厚さが薄い薄層領域151を設けてもよい。薄層領域としては、吸収シートの量を減らして薄層にしてもよいし、圧縮(エンボス)して薄層にしてもよいし、目付を減らしてもよい。
【0067】
実施例1及び実施例2では、開口部51を半円状又は半楕円状にする例を示した。しかし、開口部は、矩形状であっても、多角形状であってもよい。
【0068】
実施例1及び実施例2では、インナーパッド30を取り付けて、使い捨ておむつ10を使用する例を示した。しかし、使い捨ておむつ10は、インナーパッド30を取り付けなくても使用することができる。
【0069】
実施例1及び実施例2では、折曲誘導部52を矩形の切欠きとする例を示した。しかし、折曲誘導部は、三角形の切欠きであってもよいし、開口部であってもよいし、吸収シート50の一般部より厚さが薄い薄層領域であってもよい。
【0070】
実施例1及び実施例2では、吸収シート50が折曲誘導部52を備える例を示した。しかし、吸収シートは、折曲誘導部を備えなくてもよい。
【0071】
本発明は、実施例1及び実施例2で例示した開口部51の幅W2の寸法や、開口部51の前後方向Dの長さH1の寸法や、距離H2の寸法に限定されるものではない。
【0072】
実施例2では、第1背側折曲線M1から折曲誘導部52が形成される位置までの距離H2は、開口部51の前後方向Dの長さH1の約半分の距離とする例を示した。しかし、距離H2は、開口部51の前後方向Dの長さH1の約半分以下の距離であってもよい。
【0073】
実施例2では、サブ開口部53を矩形に形成する例を示した。しかし、サブ開口は、円形や多角形に形成されてもよい。
【0074】
実施例2では、吸収シート50にサブ開口部53を設ける例を示した。しかし、サブ開口部53を設ける替わりに、吸収シート50の一般部より厚さが薄いサブ薄層領域を設けてもよい。薄層領域としては、吸収シートの量を減らして薄層にしてもよいし、圧縮(エンボス)して薄層にしてもよいし、目付を減らしてもよい。
【0075】
実施例1及び実施例2では、本発明を、パッケージ1に三つ折に折り畳まれて収容されている使い捨ておむつに適用する例を示した。しかし、本発明の使い捨ておむつは、四つ折に折り畳まれて収容されている使い捨ておむつに適用することができる。この場合、背側の折曲線の近傍に、複数の開口部を設けてもよい。
【0076】
実施例1及び実施例2では、本発明を、大人用のテープタイプの使い捨ておむつに適用する例を示した。しかし、本発明は、子供用のテープタイプの使い捨ておむつ等、他のテープタイプの使い捨ておむつに適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 使い捨ておむつ
10X 腹側部
10Y 股部
10Z 背側部
21 立体ギャザー(ギャザーの一例)
22 平面ギャザー(ギャザーの一例)
30 インナーパッド
51 開口部
52 折曲誘導部
53 サブ開口部
M1 第1背側折曲線(折曲線)