(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】車両走行条件評価方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20230704BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G01M17/02
G08G1/00 J
(21)【出願番号】P 2019179950
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 幸司
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229433(JP,A)
【文献】特開2010-020430(JP,A)
【文献】特開2012-155286(JP,A)
【文献】特開2016-194867(JP,A)
【文献】特開2010-204095(JP,A)
【文献】特開2010-095135(JP,A)
【文献】特開2016-095184(JP,A)
【文献】特開2016-011867(JP,A)
【文献】特開2019-044538(JP,A)
【文献】特開2016-075575(JP,A)
【文献】特表2006-521237(JP,A)
【文献】特開2011-149879(JP,A)
【文献】特開2011-148465(JP,A)
【文献】特開2017-156295(JP,A)
【文献】特開2019-105600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00~17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶されている地図情報を複数の区画領域に分割する第1ステップと、
車両の位置情報と
タイヤ回転数を含む走行情報とを互いに関連付ける第2ステップと、
前記第2ステップで得られた情報を記憶する第3ステップと、
前記第3ステップで蓄積された情報に基づいて、前記区画領域単位で前記走行情報の指標値
である摩擦エネルギーを算出する第4ステップと、
前記第4ステップで算出した指標値を走行シビアリティとして画面上に表示した地図で前記区画領域毎に識別可能に表示する第5ステップと、
を実行する、車両走行条件評価方法。
【請求項2】
前記第1ステップでは、前記区画領域は任意に設定可能であり、
前記第4ステップでは、設定された区画領域単位で前記走行情報の指標値を算出可能である、請求項1に記載の車両走行条件評価方法。
【請求項3】
前記第5ステップでは、画面上に表示した地図中の道路に、前記第4ステップで、区画領域単位で算出した走行情報の指標値を前記走行シビアリティとして識別可能な表示を行う、請求項1又は2に記載の車両走行条件評価方法。
【請求項4】
前記第1ステップでは、分割した区画領域を国単位で管理する、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両走行条件評価方法。
【請求項5】
前記第1ステップでは、前記区画領域よりも広い設定範囲の指標値を、前記設定範囲に含まれる全ての区画領域の指標値に基づいて算出する、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両走行条件評価方法。
【請求項6】
前記第4ステップでは、前記車両の走行によりタイヤの摩耗に影響を与える走行関連情報に基づいて前記指標値を補正する、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両走行条件評価方法。
【請求項7】
車両の位置情報を検出する受信部と、
車両の走行情報
としてタイヤ回転数を計測する
速度センサーと、
地図情報と、前記地図情報に基づいて画面上に表示する地図を分割してなる複数の区画領域と、互いに関連付けた前記位置情報及び前記
タイヤ回転数とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した地図情報に基づいて地図を表示する表示部と、
前記記憶部に記憶された前記位置情報及び前記
タイヤ回転数に基づいて前記各区画領域の指標値
である摩擦エネルギーを算出し、前記受信部で検出された位置情報に基づいて、算出した前記指標値を走行シビアリティとして前記表示部に表示した地図中に識別可能に表示させる処理部と、
を備える車両走行条件評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行条件評価方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の加速度を測定し、測定した加速度から走行シビアリティ(DSN:Driving Severity Number)をタイヤの耐摩耗性能評価指標として算出するようにした耐摩耗性能評価方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、走行シビアリティとして加速度のみを考慮するにとどまる。また、車両の走行場所の違いで走行シビアリティがどのように変化するのかまでは考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、走行シビアリティを走行場所の違いに応じて評価することにより、評価精度を向上し、視覚化することができる車両走行条件評価方法及びシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、記憶されている地図情報を複数の区画領域に分割する第1ステップと、車両の位置情報とタイヤ回転数を含む走行情報とを互いに関連付ける第2ステップと、前記第2ステップで得られた情報を記憶する第3ステップと、前記第3ステップで蓄積された情報に基づいて、前記区画領域単位で前記走行情報の指標値である摩擦エネルギーを算出する第4ステップと、前記第4ステップで算出した指標値を走行シビアリティとして画面上に表示した地図で前記区画領域毎に識別可能に表示する第5ステップと、を実行する、車両走行条件評価方法を提供する。
【0007】
これによれば、区画領域毎に車両の走行情報を記憶し、区画領域毎に、蓄積された走行情報の指標値に基づいて、地図上に走行シビアリティを識別可能に表示させることができる。これにより、一目で走行シビアリティを把握することができる。また、区画領域を細かく設定して、評価精度を高めることができる。そして、タイヤの摩耗状態の推測など、得られた情報を種々の用途に利用することができる。
【0008】
前記第1ステップでは、前記区画領域は任意に設定可能であり、前記第4ステップでは、設定された区画領域単位で前記走行情報の指標値を算出可能であるのが好ましい。
【0009】
これによれば、区画領域を必要に応じて適切な範囲に設定することができる。
【0010】
前記第5ステップでは、画面上に表示した地図中の道路に、前記第4ステップで、区画領域単位で算出した走行情報の指標値を走行シビアリティとして識別可能な表示を行うのが好ましい。
【0011】
これによれば、車両が走行する道路に、走行情報の指標値に基づいて走行シビアリティを識別可能に表示することができ、見やすくて判断容易なものとすることができる。
【0012】
前記第1ステップでは、分割した区画領域を国単位で管理するのが好ましい。
【0013】
これによれば、国毎の道路状況や法律の違い等を加味することができる。
【0014】
前記第1ステップでは、前記区画領域よりも広い設定範囲の指標値を、前記設定範囲に含まれる全ての区画領域の指標値に基づいて算出するのが好ましい。
【0015】
これによれば、区画領域単位で情報を蓄積しておくだけで、どのように設定範囲を決めたとしても、その指標値を算出することができる。
【0016】
前記第4ステップでは、前記車両の走行によりタイヤの摩耗に影響を与える走行関連情報に基づいて前記指標値を補正するのが好ましい。
【0017】
これによれば、気温や天候等の走行関連情報に基づいて指標値を補正することにより、より一層、実情に即した適切な表示を行うことができる。これにより、タイヤの摩耗状態の推定精度などを向上させることが可能となる。
【0018】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、車両の位置情報を検出する受信部と、車両の走行情報としてタイヤ回転数を計測する速度センサーと、地図情報と、前記地図情報に基づいて画面上に表示する地図を分割してなる複数の区画領域と、互いに関連付けた前記位置情報及び前記走行情報とを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した地図情報に基づいて地図を表示する表示部と、前記記憶部に記憶された前記位置情報及び前記タイヤ回転数に基づいて前記各区画領域の指標値である摩擦エネルギーを算出し、前記受信部で検出された位置情報に基づいて、算出した前記指標値を走行シビアリティとして前記表示部に表示した地図中に識別可能に表示させる処理部と、を備える車両走行条件評価システムを提供する。
【0019】
この構成によれば、記憶部に区画領域毎に、車両の位置情報と走行情報とを関連付けて記憶しておき、走行情報を指標化しておくことで、表示部に表示する画面上の地図中に容易に走行シビアリティを識別可能に表示させることができる。また区画領域を細かく設定することで、評価精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、位置情報に関連付けて走行情報を記憶し、地図上の各区画領域の指標値を算出することにより、画面上に表示する地図中に走行シビアリティを識別可能に表示することができる。これにより、一目で車両の走行情報を把握できる。また区画領域を細かく設定して、評価精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る車両走行条件評価システムのブロック図である。
【
図2】
図1の第2表示部に地図を表示した平面図である。
【
図5】変形例における車両走行条件評価システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る車両走行条件評価システムを示す。このシステムは、各車両に設けられる各種電子機器で構成されるクライアント装置1と、インターネットなどの通信ネットワーク2を介して接続されるサーバ装置3とを備える。
【0024】
クライアント装置1は、受信部4、計測部5、第1記憶部6、第1表示部7、第1処理部8、第1通信部9などを備える。
【0025】
受信部4は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される信号を受信し、受信した信号のデコードなどの処理を行い、第1処理部8に出力する。受信部4は、車両の位置情報を取得するためのものである。
【0026】
計測部5は、車両の走行情報を検出する、速度センサ10、加速度センサ11、方位センサ12などを備える。
【0027】
速度センサ10には、車輪の回転速度に応じたパルス信号を出力するものを使用できる。
【0028】
加速度センサ11には、静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式など、いずれの方式のものであっても使用できる。また、車両の前後方向の加速度を検出するセンサのみならず、左右方向の加速度を検出するセンサを設けるのが好ましい。必要に応じて、車両の上下方向の加速度を検出するセンサを設けるようにしてもよい。
【0029】
方位センサ12は、車両が走行している方位を検出するセンサであり、機械式ジャイロセンサ、リングレーザジャイロなどの光学ジャイロセンサなどで検出された角速度と、角加速度センサで検出された角加速度から、公知の方法により方位角を算出する。方位センサ12は、速度センサ10と共に受信部4でのGPSからの情報だけでは不十分な位置情報を補正するために利用される。
【0030】
また、計測部5は、車両の走行によりタイヤの摩耗に影響を与える走行関連情報を検出するためのセンサを備える。走行関連情報としては、路面粗さ、路面種(乾燥路面、湿潤路面、雪面、氷路面)、路面温度などの路面条件、気温、湿度、季節、気候などの環境条件の違いによるものなどが挙げられる。
【0031】
例えば、路面種を取得するためのセンサには、レインセンサやワイパーの動作速度を検出する回転角センサなどが含まれる。レインセンサによって雨量を直接検出することができる。回転角センサによって検出されるワイパーの動作速度から雨量を推測することができる。このようにして得られた雨量から路面種を推測すればよい。また、これらセンサによって検出する以外にも、アメダスなどのインターネット上で得られる情報を利用して、車両が走行している場所での雨量を得て路面種を推測することもできる。気温を取得するためのセンサには、例えば、車両に搭載した外気温度を検出するための外気センサが含まれる。その他の走行関連情報についても、他のセンサやインターネット上の情報などに基づいて取得することができる。
【0032】
ここでは、得られた走行関連情報に基づいて、前述の車両の走行情報から予測したタイヤの摩耗量を補正するようにしている。例えば、雨天時には路面が滑りやすくなっているため、タイヤの摩耗は逆に少なくなると推測することができる。天候が雪である場合には、路面がさらに滑りやすく、タイヤの摩耗はさらに少なくなると推測できる。また、温度が変化すれば、タイヤの摩耗性能も変化することが知られている。したがって、得られた走行関連情報に基づいて、走行情報から算出されたタイヤの摩耗量を補正する。例えば、あるタイヤにおいて実験などで得られた走行関連情報とタイヤの摩耗量との関係に基づいて補正係数を決定することで、ある走行条件下でのあるタイヤの摩耗量を精度良く推定することが可能となる。
【0033】
第1記憶部6は、地図情報を格納するもので、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリ(CD-ROMなどのような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0034】
第1記憶部6には、予め、地図情報が複数の区画領域に分割された状態で記憶されている(第1ステップ)。区画領域は、正方形に限らず、長方形、三角形、六角形、八角形など均等に分割できる種々の形状を採用できる。区画領域は、例えば、一辺1kmの正方形とし、これを最小単位とすることができる。また区画領域は、これらの形状に限らず、雲形などの自由な形状を採用することもできる。さらに区画領域は、全て同一形状としなくても、種々の形状を組み合わせることもできる。また第1記憶部6は、後述するように、区画領域毎に車両の走行情報を関連付けて記憶する。
【0035】
第1表示部7は、地図などの画像を表示するためのものであり、タッチパネルディスプレイなどで構成されている。画面上に表示する地図は自由に、拡大、縮小及び移動させることができる。
【0036】
第1処理部8は、CPU(Central Processing Unit)を備え、受信部4、速度センサ10、加速度センサ11、方位センサ12、第1表示部7、第1通信部9などと入出力(I/O)ポートまたは通信ネットワークを介して接続されている。
【0037】
第1処理部8は、受信部4から入力された信号に基づいて、第1記憶部6に記憶したプログラムを実行し、車両の現在位置を特定する。また第1処理部8は、車両の現在位置と、その周辺の地図とを第1表示部7に表示させる。さらに第1処理部8は、車両の現在位置と計測部5で得られた車両の走行情報とを互いに関連付け(第2ステップ)、区画領域毎に第1記憶部6に記憶させる。
【0038】
第1通信部9は、受信部4や計測部5で得られ、第1記憶部6に記憶した車両情報を通信ネットワーク2を介してサーバ装置3へと送信する。
【0039】
これら電子機器は、車両に既存の電子機器で構成してもよいし、別途搭載した電子機器で構成してもよい。また、スマートフォンなど、車内に持ち込むことができる携帯機で代用することもできる。
【0040】
サーバ装置3は、第2通信部13、第2記憶部14、第2表示部15、第2処理部16などを備える。
【0041】
第2通信部13は、前記通信ネットワーク2を介して車両側の第1通信部9から送信された情報を受信する。また、後述するようにしてプログラムを実行して得られた結果を、前記通信ネットワーク2を介して車両側の第1通信部9へと送信する。
【0042】
第2記憶部14は、前記車両側のものと同様な構成とすることができる。第2記憶部14には、コンピュータプログラムが格納され、各車両から送信されてきた区画領域毎の車両の走行情報や走行関連情報が随時記憶され、蓄積される。
【0043】
第2表示部15は、前記第1表示部7と同様に、タッチパネルディスプレイなどで構成され、地図などを表示できるようになっている。地図を表示する場合、自由に拡大、縮小及び移動させることができる点も同様である。
【0044】
第2処理部16は、CPUを備え、第2記憶部14とは互いに接続されている。また第2処理部16は、第2記憶部14に記憶したプラグラムに従って以下の処理を実行する。
【0045】
各車両すなわちクライアント装置1から送信された走行情報を区画領域単位で第2記憶部14に記憶させる(第3ステップ)。第2記憶部14に記憶させた走行情報に基づいて、区画領域毎の走行シビアリティを指標値として算出する(第4ステップ)。ここでは、区画領域単位で検出された走行情報を、RMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)により指標化している。
【0046】
速度センサ10で得られる情報の場合、次のようにして指標値を算出する。すなわち、速度センサ10で検出されるタイヤの回転数が大きければ大きいほど走行抵抗RSが増大する。走行抵抗RSが増大すると、それに伴い摩擦エネルギーEも増大する。すなわち、走行距離Dとスリップ率Sとから、E=RS×D×Sによって摩擦エネルギーEが算出される。そこで、算出された摩擦エネルギーEをRMSにより指標化する。このようにして得られた指標値は、タイヤの摩耗量の予測に利用できる。摩擦エネルギーEの大きさに比例してタイヤの摩耗量が大きくなるので、得られた指標値はタイヤの摩耗量として捉えることができる。
【0047】
加速度センサ11で得られる情報の場合、検出された加速度を単位距離当たりの摩擦エネルギーに換算し、得られた摩擦エネルギーをRMSにより指標化すればよい。この場合も、前記同様、得られた指標値はタイヤの摩耗量として捉えることができる。
【0048】
これらの処理は、第2処理部16に限らず、第1処理部8で行うこともできる。この場合、第1処理部8で演算した結果を第2処理部16で利用すればよい。
【0049】
なお、得られた情報の指標化は、RMSに限らず、最小二乗法、標準偏差などによって行うようにしてもよい。
【0050】
走行情報が指標化されれば、走行関連情報に基づいて指標値を補正する。すなわち、得られた指標値に、前述のようにして走行関連情報から決定された補正係数を乗算することにより補正する。これにより、指標値をより一層、タイヤの摩耗量を予測するのに適した値とすることができる。
【0051】
このようにして走行情報及び走行関連情報に基づいて区画領域毎の指標値が算出及び補正されて蓄積されれば、画面に表示した地図上に、設定範囲毎に走行シビアリティとしてその指標値を識別表示する(第5ステップ)。
【0052】
設定範囲は、自由に変更することができる。設定範囲を区画領域よりも大きいサイズとする場合、設定範囲中に含まれる全ての区画領域の指標値に基づいて平均値を算出するなどにより対応すればよい。
【0053】
図2は広域地図、
図3はその一部を拡大した詳細地図である。詳細地図では、設定範囲と区画領域とが合致している。設定範囲毎に、算出されて補正された指標値に基づいて走行シビアリティを識別可能な表示を行う。
【0054】
例えば、指標値が大きい、つまりタイヤの摩耗量が大きいと判断される範囲では地図の背景色を「赤」などとし、指標値が小さくなるに従って背景色を薄くしたり、背景色を他の色としたりすることができる。背景色を徐々に薄くする場合、指標値の違いを濃淡の違いとして表現できる。色彩を変更する場合、指標値の違いによる複数の範囲を設定し(0~100,100~200など)、範囲毎に異なる色彩を設定する。そして、各区画領域の指標値がいずれの範囲に属するのかで、画面上に表示する色彩を変更すればよい。
図3では、ハッチングの間隔の違いにより背景色の濃淡が相違していることを示している。
【0055】
また、地図を縮小して広域を表示させるのであれば、自動的に設定範囲を拡大するようにしてもよい。この場合、設定範囲には複数の区画領域が含まれるので、これら全ての区画領域の指標値を平均すればよい。設定範囲内の全ての走行情報から指標値を算出し直すこともできる。
図2では、各設定範囲に複数(4つ)の区画領域が含まれており、それら区画領域の指標値の平均値に基づいて設定範囲における走行シビアリティが識別可能に表示されている。ハッチングの間隔が狭くなっている設定範囲が背景色の濃淡が濃いところであり、指標値が大きくなっている。ハッチングの間隔が広くなるに従って濃淡が薄くなり、指標値が小さくなっていることを示している。
【0056】
地図上での走行シビアリティの識別可能な表示は、道路単位で行うこともできる。
図4では、道路単位で走行シビアリティを識別表示している。前記同様、図中、ハッチングの間隔が狭くなるに従って濃淡が濃くなっており、走行シビアリティとしての指標値が大きくなっていることを示している。
【0057】
第2記憶部14に蓄積される走行情報は国単位で管理するようにしてもよい。例えば、各国での道路事情(路面粗さや道路交通法の違いなど)を考慮することができる。路面粗さなどは国毎に大きく相違する。このため、車両の速度や加速度は同じでもタイヤの摩耗状態は大きく異なる。そこで、国毎に走行情報に対する補正係数を相違させるようにすればよい。また、画面に表示する地図は、国毎に表示方法を異ならせるようにしてもよい。
【0058】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0059】
前記実施形態では、得られた走行情報に基づいてタイヤの摩耗量を予測する例について説明したが、これに限らず、他の情報を予測するようにしてもよい。例えば、車両がカーブを走行する場合などの情報に基づいてタイヤの偏摩耗量を予測するようにしてもよい。
【0060】
また、
図5を参照して、クライアント装置1は、最低限の計測機能のみを有するように、受信部4、計測部5、および第1通信部9のみを有してもよい。この場合、クライアント装置1から省略された第1記憶部6、第1表示部7、および第1処理部8は、サーバ装置3が有してもよい。
【0061】
図5では、第1記憶部6および第2記憶部14と、第1表示部7および第2表示部15と、第1処理部8および第2処理部16とを、サーバ装置3においてそれぞれ同一のブロックで示しているが、その態様は特に限定されない。例えば、第1記憶部6、第1表示部7、および第1処理部8と、第2記憶部14、第2表示部15、および第2処理部16とをそれぞれ別のサーバ装置が有してもよい。
【0062】
図5に示すように、クライアント装置1に最低限の計測機能のみを持たせるようにすることで、クライアント装置1を小型化することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…クライアント装置
2…通信ネットワーク
3…サーバ装置
4…受信部
5…計測部
6…第1記憶部
7…第1表示部
8…第1処理部
9…第1通信部
10…速度センサ
11…加速度センサ
12…方位センサ
13…第2通信部
14…第2記憶部
15…第2表示部
16…第2処理部