(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】粉末化粧料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20230704BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20230704BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230704BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20230704BHJP
A61Q 1/08 20060101ALI20230704BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20230704BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/44
A61K8/55
A61Q1/08
A61Q1/10
A61Q1/12
(21)【出願番号】P 2019189400
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水島 浩平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝行
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213602(JP,A)
【文献】特開2002-293732(JP,A)
【文献】特開2011-111413(JP,A)
【文献】特開2001-302485(JP,A)
【文献】特開2019-172634(JP,A)
【文献】特開2008-013438(JP,A)
【文献】特開2017-210440(JP,A)
【文献】特開2018-076266(JP,A)
【文献】特開2008-214298(JP,A)
【文献】特開2018-199634(JP,A)
【文献】特開2001-262184(JP,A)
【文献】特開2012-201617(JP,A)
【文献】特開昭62-126108(JP,A)
【文献】国際公開第2014/185317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル
(B)N-アシルアミノ酸またはその塩
(C)タルクまたは酸化チタンの少なくとも一方
を含有する、粉末化粧料
であって、
前記化粧料に対して、前記成分(A)の含有量が0.01~10質量%、前記成分(B)の含有量が0.001~10質量%、前記成分(C)の含有量が0.1~70質量%である、粉末化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)が、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、パルミトイルサルコシン、ラウロイルリシン、およびそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の粉末化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が0.01~40の範囲内である請求項1または2に記載の粉末化粧料。
【請求項4】
さらに、成分(D)多価アルコールを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の粉末化粧料。
【請求項5】
前記成分(D)が、炭素数3~6の2価~4価アルコールである、請求項4に記載の粉末化粧料。
【請求項6】
前記成分(C)の含有量が1質量%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粉末化粧料。
【請求項7】
さらに、成分(E)球状粉体を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の粉末化粧料。
【請求項8】
前記成分(E)の含有量が5質量%以上である、請求項7に記載の粉末化粧料。
【請求項9】
(i)成分(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、成分(B)N-アシルアミノ酸またはその塩、および成分(C)タルクまたは酸化チタンの少なくとも一方を混合し、化粧料基材を調製する工程と、
(ii)前記化粧料基材と揮発性溶剤とを混合してスラリーとする工程と、
(iii)前記スラリーを容器に充填した後、前記揮発性溶剤を除去する工程と、
を含む粉末化粧料の製造方法
であって、
前記化粧料基材に対して、前記成分(A)の含有量が0.01~10質量%、前記成分(B)の含有量が0.001~10質量%、前記成分(C)の含有量が0.1~70質量%である、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化粧料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料に粉体が配合された粉末化粧料は、ファンデーションや白粉、チーク、アイシャドウ、アイブロウなどのメイクアップ化粧料やボディパウダー、制汗剤等として広く用いられている。粉末化粧料は、化粧料を肌に塗布した後に、肌に粉体が付着することで、化粧膜が形成され、粉体による化粧効果が発現する。したがって、粉末化粧料において、肌に化粧料が付着すること(優れた付着性)は非常に重要である。このような化粧料の肌への付着性向上を目的として、様々な試みがなされている。例えば、特許文献1では、配合される粉体に対してシリコーンゲルによる表面処理を行うことで、肌への付着性向上が達成されるとある。
【0003】
また、粉末化粧料において、特にメイクアップ化粧料においては、形成された化粧膜が、時間がたってもその状態が維持されること(化粧持ち)が非常に重要な品質となる。化粧持ちの低下は、汗、皮脂、あるいは外部からの水や刺激(例えば、摩擦)などの外的因子により、付着した化粧料が肌への親和性を失い、または付着した化粧料の肌への親和性が弱まり、化粧料が肌から浮いたり、流れ落ちたりすることに起因する。このような化粧持ち向上についても、様々な試みがなされている。例えば、化粧持ちを良好にするために、特許文献2には、粉体固形化粧料において、含フッ素オレフィン樹脂粉体および部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を用いる技術が開示されている。特許文献2には、含フッ素オレフィン樹脂粉体は、撥水、撥油性があり、皮膚上の汗、皮脂と混和せず良好な化粧持ちが得られるとある。
【0004】
一方、粉末化粧料において、タルクや酸化チタンを配合することで、粉末化粧料の肌への付着効果を高めることができるため、タルクや酸化チタンは粉末化粧料において汎用される成分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/102862号
【文献】特開2003-238340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、タルクや酸化チタンは粉体同士の結合力が強いため、特許文献1に記載のシリコーンゲルや、特許文献2に記載の含フッ素オレフィン樹脂粉体のような撥水性の高い成分を粉末化粧料に含有させると、タルクや酸化チタンが凝集し、粉末化粧料中に粉体の凝集体が存在してしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、肌への付着性が高く(化粧膜を形成しやすく)、また、付着した化粧料により形成された化粧膜が長時間にわたり維持することができるとともに、粉末化粧料中の粉体の凝集を低減できる化粧料を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、粉末化粧料において、肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性を向上させることができる、粉末化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次の成分(A)~(C);(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、(B)N-アシルアミノ酸またはその塩、(C)タルクまたは酸化チタンの少なくとも一方を含有する、粉末化粧料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、肌への付着性が高く、化粧持ちが良好な粉末化粧料が可能となる。さらに、本発明によれば、粉末化粧料中の粉体の凝集を低減できる。さらに、本発明によれば、化粧料の肌への付着性は維持したまま、粉末化粧料の肌上での滑り性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。
【0012】
本発明の第一実施形態は、次の成分(A)~(C);(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、(B)N-アシルアミノ酸またはその塩、(C)タルクまたは酸化チタンの少なくとも一方、を含有する、粉末化粧料である。
【0013】
上記形態により、肌への付着性が高く、化粧持ちが良好な粉末化粧料が可能となる。さらに、本発明によれば、粉末化粧料中の粉体の凝集を低減できる。さらに、本発明によれば、化粧料の肌への付着性は維持したまま、粉末化粧料の肌上での滑り性を向上させることができる。
【0014】
本実施形態の化粧料が、上記効果を奏する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。なお、以下のメカニズムは、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【0015】
例えばメーキャップ効果を高めるためには、粉体を系中に多く配合する必要がある。そして、配合された粉体が本来の化粧効果を発揮するためには、粉体が肌に付着すること、そして付着した粉体が時間経過後にも付着性を維持していることが重要である。このような粉体の付着性およびその維持効果を発現させるために、成分(A)が非常に有効であることを本発明者らは知得した。成分(A)は、肌親和性が高いため、粉体と組み合わせることで化粧料の肌への付着性を向上させるものと考えられる。また、成分(A)は、比較的撥水・撥油性に優れ、汗や水などの水性成分、皮脂などの油性成分の双方と相溶性が悪いために、化粧持ち向上の効果も発揮されると考えられる。
【0016】
しかしながら、タルクまたは酸化チタンを配合した粉末化粧料において、成分(A)を配合すると、粉体の凝集体が生成しやすいことを知得した。タルクや酸化チタンは粉体同士の結合性が高いうえに、撥水・撥油・結晶性の高い成分(A)が共存することで、粉体の分散性が低下し、粉体の凝集性が一層高まるためであると考えられる。
【0017】
このような考察に基づいて、鋭意検討した結果、成分(B)のN-アシルアミノ酸またはその塩が粉体の凝集性が低下することを見出した。化粧料中に成分(B)のN-アシルアミノ酸またはその塩を配合することで、成分(B)が粉体表面に付着し、詳細なメカニズムは不明であるが、粉体の分散性が向上し、粉体同士の凝集を抑制することができると考えられる。
【0018】
さらに、成分(B)は粉体表面への親和性が高く、粉体表面へ成分(B)が付着することで、化粧料塗布時の化粧料の滑り性を向上させることができると考えられる。
【0019】
なお、上記推定は何ら本発明の技術的範囲を拘束するものではない。
【0020】
以下、第一実施形態の化粧料に含有される各成分について説明する。
【0021】
(成分(A):ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル)
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、下記構造を有する化合物である。
【0022】
【0023】
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、リン酸エステルに窒素含有アルコールが付加したリン脂質様化合物である。かような構造を有するために、肌への親和性が非常に高い一方、比較的分子量が小さいために、粉体と相互作用して粉体表面に結合しやすくなり、粉体が肌に均一に付着することを助ける役割を担うと考えられる。ゆえに、成分(A)を粉末化粧料に配合することで、粉体が肌に付着しやすく(化粧膜が形成しやすく)、また、粉きしみのなさや、粉感のなさ(化粧膜の均一性)といった効果が得られやすい。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、親油性、親水性のバランスがよく、撥水・撥油性に優れるため、化粧持ちの向上といった効果を付与することができる。
【0024】
成分(A)の含有量は、成分(A)の効果(特に、化粧料の付着性の向上、および化粧持ちの向上)を発現させるために、化粧料に対して0.0001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることがさらに好ましく、0.1質量%以上であることがさらにより好ましい。また、成分(A)の含有量は、化粧料に対して、化粧料塗布時の肌上への滑り性、凝集性の観点から、好ましい順に、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、1.5質量%未満、1.0質量%以下である。
【0025】
なお、成分(A)を(成分(C)を含む)粉体の表面処理剤として用いてもよい。この場合、成分(C)の含有量は、(表面処理剤を含む)粉体の含有量から成分(A)の含有量を除いたものとする。
【0026】
成分(A)の粉体への表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、イソパラフィン(例えば、IPソルベント(出光興産社製))に成分(A)と処理を施される粉体を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、成分(A)と表面処理剤である他の化合物とを同時に表面処理してもよい。
【0027】
(成分(B):N-アシルアミノ酸またはその塩)
N-アシルアミノ酸は、アミノ酸中のアミノ基の少なくとも一つが、アシル基によりアシル化されたものである。
【0028】
本明細書において、N-アシルアミノ酸またはその塩を、N-アシルアミノ酸(塩)と記載する場合もある。
【0029】
アシル基は炭素数6~30の飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状のアシル基であることが好ましく、炭素数8~20の飽和または不飽和の直鎖または分岐のアシル基であることがより好ましく、炭素数12~18の飽和直鎖のアシル基であることがさらにより好ましい。なお、ここでいう炭素数は、複数のアシル基が存在する場合には、一のアシル基中に存在する炭素数を指す。アシル基としては、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オレオイル基などを挙げることができる。
【0030】
塩としてはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどとの塩があげられ、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、トリエタノールアミンであることが好ましく、ナトリウム、マグネシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることがさらにより好ましい。
【0031】
N-アシルアミノ酸としては、具体的には、例えば、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、オレイリルグルタミン酸、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ミリストイルアスパラギン酸、オレイリルアスパラギン酸、ヤシ油脂肪酸アスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリシン、パルミトイルサルコシンなどが挙げられる。
【0032】
本実施形態においては、粉体凝集をより低減可能であることから、N-アシルアミノ酸(塩)は、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、パルミトイルサルコシン、ラウロイルリシン、およびそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩、ステアロイルグルタミン酸塩、ラウロイルアスパラギン酸塩、パルミトイルサルコシン塩、およびラウロイルリシンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、パルミトイルサルコシンナトリウム、およびラウロイルリシンからなる群から選択される少なくとも1種であることがさらにより好ましい。
【0033】
成分(B)は1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0034】
成分(B)の含有量は、成分(B)の効果(特に、化粧料中の粉体の凝集体の低減や化粧料を皮膚に塗布した際の化粧料の滑り性)を一層発現させるために、化粧料に対して、好ましい順に0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.03質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、肌への化粧料の付着性、化粧持ちの観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
【0035】
なお、成分(B)を(成分(C)を含む)粉体の表面処理剤として用いてもよい。この場合、成分(C)の含有量は、(表面処理剤を含む)粉体の含有量から成分(B)の含有量を除いたものとする。このような表面処理剤としてのN-アシルアミノ酸(塩)は、N-アシルアミノ酸塩であることが好ましく、N-アシル酸性アミノ酸塩であることがより好ましい。
【0036】
成分(B)の粉体への表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。また、成分(A)と成分(B)とを同時に粉体に表面処理してもよい。
【0037】
成分(A)に対する成分(B)の含有質量割合(B)/(A)は、肌への化粧料の付着効果および化粧持ちを考慮すると、0.01以上であることが好ましく、粉体凝集体の低減効果が一層奏されることから、0.02以上であることがより好ましく、化粧料を皮膚に塗布した際の化粧料の滑り性の向上が一層奏されることから、0.05以上であることがさらにより好ましい。また、成分(A)に対する成分(B)の含有質量割合(B)/(A)は、化粧料を皮膚に塗布した際の化粧料の滑り性の向上および粉体凝集体の低減効果を考慮すると、40以下であることが好ましく、肌への化粧料の付着効果および化粧持ちを考慮すると、25以下であることがより好ましく、化粧持ちの向上効果を考慮すると10以下であることがさらにより好ましく、5以下であることが最も好ましい。好適な一実施形態は、成分(A)に対する成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が、0.01~40の範囲内である。
【0038】
(成分(C):タルクおよび/または酸化チタン)
成分(C)としてのタルクは、通常化粧料に使用されるタルクであれば、球状、板状、針状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず用いることができる。また、タルクは、表面処理剤によって表面処理されていてもよい。表面処理としては、フッ素化合物処理、シリカ処理、アルミナ処理、水酸化アルミニウム処理、シリコーン処理(メチコン処理、ジメチコン処理、ハイドロゲンジメチコン処理など)、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理、油剤処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理などが挙げられる。上述したように、成分(C)は、成分(A)および/または成分(B)によって表面処理されてもよい。これらの表面処理は、単独であっても2種以上を併用してもよい。表面処理剤の処理量(合計)は未処理粉体に対して、0.1~30質量%が好ましい。
【0039】
表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒に表面処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0040】
タルクの平均粒子径としては、通常2~30μmである。タルクは市販品を用いてもよく、市販品としては、ハイフィラーK-5(平均粒子径5μm)、クラウンタルクPP(平均粒子径8μm)(いずれも村松産業社製)、タルクJA-46R(平均粒子径5~7μm)、タルクJA-68R(平均粒子径9~12μm)(いずれも浅田製粉社製)、タルクZL-6(平均粒子径15μm)(東色ピグメント社製)等が挙げられる。なお、本明細書において、粉体の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した体積平均粒子径である。
【0041】
成分(C)としての酸化チタンは、通常化粧料に使用される酸化チタンであれば、球状、板状、針状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等は特に限定されない。また、酸化チタンは、表面処理剤によって表面処理されていてもよい(表面処理酸化チタンであってもよい)。表面処理の種類、量、処理方法としては、上記タルクの欄に記載の内容と同様である。酸化チタンの平均粒子径としては、通常10~1,000nmである。酸化チタンは市販品を用いてもよく、市販品としては、TIPAQUE CR-50(平均粒子径250nm)(石原産業社製)、MP-1133(平均粒子径250nm)、TITANIX JR-800(平均粒子径270nm)、MT-500SA(平均粒子径35nm)(いずれもテイカ社製)などが挙げられる。また、酸化チタンは、複合粉体として含有される形態であってもいい。このような複合粉体としては、酸化チタン被覆マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカ、酸化亜鉛・酸化チタン被覆マイカ、酸化亜鉛・酸化鉄・酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ナイロン、酸化鉄被覆チタン・マイカ、酸化亜鉛被覆チタン・マイカ、硫酸バリウム被覆チタン・マイカ、有機顔料被覆チタン・マイカなどが挙げられる。なお、凝集がより引き起こされやすく、本願発明の効果が一層奏されやすいことから、酸化チタンは、未処理酸化チタン、表面処理酸化チタン、酸化チタン被覆複合粉体であることが好ましく、未処理酸化チタンまたは表面処理酸化チタンであることがより好ましい。
【0042】
成分(C)の含有量(タルクと酸化チタンとを組み合わせて用いる場合は合計量)は、成分(C)の化粧効果を考慮すると、0.1質量%以上であることが好ましく、本発明の効果が一層発揮されやすいことから、1質量%以上であることがより好ましい。また、粉体の凝集性を考慮すると、化粧料に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。また、好適な実施形態は、タルクの含有量が3~60質量%であり、より好ましくは5~50質量%である。また、他の好適な実施形態は、酸化チタンの含有量が1~30質量%であり、より好ましくは、2~25質量%である。なお、表面処理されたタルク/酸化チタンの場合、成分(C)の含有量は、表面処理剤を含めた配合量とする。また、酸化チタンの複合粉体の場合は、複合粉体中の酸化チタンを成分(C)とし、成分(C)の含有量は、複合粉体全体の配合量から酸化チタン以外の粉体量を引いた値とする。
【0043】
成分(C)として、タルクと酸化チタンとを組み合わせて用いる形態も好ましい。組み合わせて用いる場合の配合質量比は、所望の化粧効果を考慮して適宜設定されるが、例えば、タルク:酸化チタン=1:0.01~50である。
【0044】
なお、本明細書において、球状のタルク/酸化チタンは、(成分(E)ではなく)成分(C)とする。
【0045】
(成分(D):多価アルコール)
本実施形態においては、さらに成分(D)多価アルコールを含有することが好ましい。多価アルコールが存在することで、粉体の凝集形成が一層軽減される。これは、多価アルコールが親水性が高いために、親水性の高いN-アシルアミノ酸(塩)の粉体への付着を促進することで、N-アシルアミノ酸(塩)の効果が発揮されやすくなるためであると考えられる。
【0046】
多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコ-ル、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、マルチトール、グルコシルトレハロースなどが挙げられる。
【0047】
中でも、効果が一層発揮されることから、成分(D)としては、炭素数3~6の2価~4価のアルコールであることが好ましく、グリセリン、ジプロピレングリコ-ル、1,3-ブチレングリコールであることがより好ましい。
【0048】
成分(D)は1種単独であっても、2種以上併用してもよい。
【0049】
成分(D)の化粧料中の含有量は、成分(D)の配合効果が一層発揮されることから、0.05~20質量%であることが好ましく、0.05~10質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることがさらにより好ましい。
【0050】
(成分(E):球状粉体)
本実施形態においては、さらに成分(E)球状粉体を含有することが好ましい。球状粉体が存在することで、肌上での化粧料の滑り性が一層向上し、また、粉体の凝集体の低減効果が一層発揮される。これは、球状粉体が粉体の隙間に入り込むことにより、粉体同士の凝集を抑制できるためであると考えられる。
【0051】
球状粉体における球状とは、真球状のみを意味するものではなく、楕円や略球状、表面に微細な穴や凹凸があるものでもよい。短径と長径の比率が1:1~1:2であれば球状として好ましい。
【0052】
具体的には、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の無機粉体類、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリウレタン、ナイロン-12、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー等の有機粉体類、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
さらに、粉体の凝集体の低減効果がより一層発揮されることから、球状粉体として少なくとも親水性の球状粉体を用いることが好ましい。親水性の球状粉体の場合、親水性の高いN-アシルアミノ酸(塩)が付着した粉体に、球状粉体がより近寄りやすくなり、粉体の凝集体の低減効果がより一層発揮されると考えられる。このような親水性の球状粉体としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、ナイロン-12、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカなどが挙げられる。
【0054】
球状粉体の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、通常1~30μm程度である。
【0055】
球状粉体は市販品を用いてもよい。また、球状粉体として表面処理を施したものを用いても良い。表面処理剤としては、上記に挙げたものと同様である。
【0056】
成分(E)の含有量は、上記効果が一層発揮されることから、化粧料に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、成分(E)の含有量の上限としては、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0057】
(その他の粉体)
本発明においては、タルク、酸化チタン以外の他の粉体を配合してもよい。粉体は、メーキャップ効果などの化粧効果を付与するために配合される。
【0058】
粉体としては、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。粉体としては、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。
【0059】
無機粉体類としては、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/Kケイ素)、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカ、ガラス末などが挙げられる。
【0060】
光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄処理雲母、ガラス末、アルミニウムパウダーなどが挙げられる。
【0061】
有機粉体類としては、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルクロスポリマーなどの架橋型ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレン、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマーなどが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0062】
有色顔料類としては、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
【0063】
複合粉体類としては、酸化鉄被覆マイカ、酸化亜鉛含有二酸化珪素などが挙げられる。
【0064】
粉体は表面処理粉体であってもよい。表面処理の種類、量、処理方法としては、上記タルクの欄に記載の内容と同様である。
【0065】
(油剤)
本実施形態においては、粉体の結合剤として油剤を用いてもよい。
【0066】
油剤としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等の動植物油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット(テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリトリデシル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル等の脂肪酸エステル油;オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸;オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、オレイル変性ジメチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体;パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等の液状の紫外線吸収剤;香料等の液状油;カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン等のペースト状の油剤;パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、(エチレン/プロピレン)コポリマー、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、ワセリン、パーム油等の固形状の油剤が挙げられる。
【0067】
油剤の配合量は特に限定されるものではないが、乾式の固形粉末化粧料の場合、例えば、0.05~10質量%である。
【0068】
(その他の成分)
上記成分の他、通常粉末化粧料に使用される界面活性剤、水、防腐剤、酸化防止剤、美容成分、抗菌剤、キレート剤(EDTAなど)等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0069】
本実施形態の粉末化粧料は、ファンデーション、フェイスパウダー(例えば白粉)、コンシーラー、アイカラー(アイシャドウ)、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、チーク、口紅、日焼け止め化粧料、化粧用下地などのメイクアップ化粧料;ボディパウダー、制汗剤、リップクリーム、美容液や乳液をはじめとしたスキンケア化粧料などに適用可能であり、好ましくは、本願効果の発揮が一層期待される、ファンデーション、フェイスパウダー、アイカラー、化粧用下地、日焼け止め化粧料、チークなどのメイクアップ化粧料である。またその使用法は、手や指で使用する方法、パフやスポンジ等に含浸させて使用する方法などが挙げられる。
【0070】
また、本発明の粉末化粧料の剤型は、特に制限されるものでなく、固形状、ルース状のいずれであってもよい。本実施形態の効果が一層奏され、また、本発明の態様であることで、耐衝撃性が向上するという効果も得られることから、化粧料が固形状の固形粉末化粧料であることが好ましい。ここで、粉末化粧料とは、化粧料中、粉末を50質量%以上含むものを指し、本発明の効果が一層奏されることから、70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、85質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0071】
本実施形態の粉末化粧料は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、固形粉末化粧料の場合、金皿等の容器に粉末状の化粧料を充填した後、加圧する乾式プレス方法や、上記成分を混合した組成物に揮発性化合物等の溶媒を添加してスラリー状にして、金皿等の容器に充填した後、加圧して溶媒の一部を除去し、さらに溶媒を完全に除去する湿式充填方法で製造することができる。
【0072】
充填方法は、乾式プレス方法でも湿式充填方法でも何れでもよいが、揮発性溶剤を用いた場合であっても、タルクや酸化チタンの凝集抑制を効果的に抑制することができることから、成分(A)~(C)を含有する化粧料基材と揮発性溶剤とを混合してスラリー状とし、容器に充填した後、該揮発性溶剤を除去する湿式充填方法が、前記成分(A)~(C)の均質な分散による落下強度の向上等により優れる点からより好ましい。
【0073】
すなわち、本発明の他の実施形態は、(i)成分(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、成分(B)N-アシルアミノ酸またはその塩、および成分(C)タルクまたは酸化チタンの少なくとも一方を混合し、化粧料基材を調製する工程と、
(ii)前記化粧料基材と揮発性溶剤とを混合してスラリーとする工程と、
(iii)前記スラリーを容器に充填した後、前記揮発性溶剤を除去する工程と、
を含む粉末化粧料の製造方法である。
【0074】
湿式充填方法に用いられる揮発性溶剤としては、水性溶剤として、水;エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低沸点アルコールなどが挙げられ、有機溶剤として、水添ポリイソブテン、イソドデカンなどが挙げられる。タルクや酸化チタンの凝集抑制を効果的に抑制することができることから、揮発性溶剤としては水性溶剤がより好ましい。水性溶剤としては、水単独、あるいは、低沸点アルコールを水に溶解したアルコール水溶液が好ましい。アルコール水溶液中の低沸点アルコール濃度は、50質量%以下であるのが好ましい。アルコール水溶液中のアルコール濃度が高いほど、スラリー調製時に化粧料基材の分散が良好となり、使用感に優れ、十分な落下強度を持った固形粉末化粧料が得られる。
【0075】
揮発性溶剤の混合量は、成型前の混合物を容器又は中皿に充填するために、流動性を付与する程度に任意に選択されるが、化粧料基材100部に対して揮発性溶剤10~200部を用いることが好ましい。この範囲であれば、揮発性溶剤の除去が良好である。
【0076】
また、本発明における流動性とは、粉体を主成分とする化粧料基材を、揮発性溶剤と混合した混合物を、内口径2.47cm、胴径4.05cm、全高7.4cmの容器(第一硝子株式会社製「薬ビンPS-6K」)に30g入れ、付属の蓋で栓をした後、25℃、1気圧の環境下で90°傾け、1分間静置すると混合物の一部が蓋の内側に付着する状態のことを意味する。
【0077】
粉末化粧料の調製方法において、揮発性溶剤を除去する方法は、特に限定されず、通常公知の方法を用いることができ、そのまま乾燥したり、化粧料基材と揮発性溶剤を混合して充填後に加圧し、揮発性溶剤を吸収体あるいは排出孔を通して除去したりする方法を採用することが好ましい。例えば、化粧料基材と揮発性溶剤との混合物を容器または中皿に充填する際、表面を平滑にするために、パッド等を用いて弱くプレスすることが好ましいが、そのプレス時に、多孔質プレスヘッドや吸収体を用いて、揮発性溶剤を吸収させることもできる。また、乾燥により揮発性溶剤を除去することも可能であり、そのための条件は、揮発性溶剤の沸点や比熱に応じて適宜設定されるが、例えば、軽質流動イソパラフィンの場合、50~70℃にて10~20時間程度である。
【実施例】
【0078】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0079】
(実施例1~32、および比較例1~5)
下記表1に示す処方の固形粉末化粧料(フェイスパウダー)を調製した。
【0080】
(製造方法:実施例1~31、比較例1~4)
1.成分(C)、(E)、(その他マイカ)を混合して、混合物を得た。
2.成分(A)、(B)、(D)を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
3.1で得られた混合物に2、(その他香料)を加え、混合物を得た。
4.3で得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
5.4で得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(精製水)と混合し、スラリーを得た。
6.5で得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
(製造方法:実施例32、比較例5)
1.成分(C)、(E)、(その他マイカ)を混合して、混合物を得た。
2.成分(A)、(B)、(D)を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
3.1で得られた混合物に2、(その他香料)を加え、混合物を得た。
4.3で得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
5.4で得られた粉末状の化粧料を充填成型することで固形粉末状化粧料を得た。
【0081】
評価1:肌上での化粧料の滑り性
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて塗布し、化粧料が肌上で1回の塗布(ストローク)により滑るように(さらさらした感触を得ながら)塗布部全体へ均一に伸び広がるかを評価した。
【0082】
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
3 :滑り性を非常に感じながら、均一に伸び広がる。
【0083】
2 :滑り性を感じながら、均一に伸び広がる。
【0084】
1 :滑り性がやや不十分であり、やや伸び広がりに欠ける(1回の塗布では一部がムラになる)。
【0085】
0 :滑り性が不十分であり、伸び広がりが不十分である(1回の塗布ではムラが多い)。
【0086】
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
2点以上 : ◎
1点以上2点未満: ○
1点未満 : ×。
【0087】
評価2:肌への付着力の高さ
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて1回伸び広げた際に、化粧料の肌への付着力の高さ(化粧膜の形成性の高さ)を評価した。
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
3 :非常に感じる
2 :感じる
1 :やや感じる
0 :感じない
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
2点以上 : ◎
1点以上2点未満: ○
1点未満 : ×。
【0088】
評価3:化粧持ち
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料を肌に適量塗布し、塗布後8時間後にその化粧持ち(=化粧効果の持続)が充分であるかどうかを評価した。
【0089】
(絶対基準)
(評点):(評価)
3 :化粧持ちが良く、化粧効果が長く持続して感じられる
2 :化粧持ちが良く化粧効果も十分感じられるが、僅かに不十分である
1 :化粧持ちがやや悪く化粧効果の持続性がやや不十分である
0 :化粧持ちが非常に悪く化粧効果の持続性が不十分である
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
評価4:粉体の凝集体
各試料について、ファンデーション用マットを用いて固形粉末化粧料を10回擦った時、化粧料表面にできる粉体の凝集体を目視にて確認した
[評価結果] : [判定]
凝集体が全くない : ◎
凝集体が試料中、1~2個ある。 : 〇
凝集体が試料中、3~10個ある。: △
凝集体が試料中、10個以上ある。: ×
評価5:耐衝撃性
各試料についてプラスティック製タイルに40cmの高さから2度落下させた後、その状態を判定した(N=5)。評価は落下後、崩壊の程度を確認し以下の評価基準に従って評価し、各5サンプルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
(評点):(評価結果)
3 :変化なし
2 :欠けや隙間が僅かに観察される
1 :欠けや隙間がはっきり観察される
0 :抜け、割れが発生
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
各評価結果を表1に示す。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
以上の結果より、実施例の固形粉末化粧料(フェイスパウダー)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。一方、成分(A)を配合しない比較例1、成分(A)の代わりにレシチンを配合した比較例3は、化粧料の肌への付着力が著しく悪かった。また、成分(B)を配合しない比較例2、5、成分(B)の代わりにN-アシルアミノ酸ではないアミノ酸を配合した比較例4は、化粧料の肌上での滑り性が著しく低下し、粉末化粧料中の粉体の凝集体が多く観察された。
【0094】
なお、耐衝撃性は、各実施例とも○以上であったのに対し、成分(A)を配合しない比較例1、成分(A)の代わりにレシチンを配合した比較例3は、△であった。
【0095】
・実施例33:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 0.2%
2.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分B)(*2) 0.2%
3.タルク(成分C)(*7) 10.0%
4.ジメチコン処理タルク(成分C)(平均粒子径9μm)(*10)
10.0%
5.水酸化Al処理酸化チタン(成分C)(平均粒子径0.25μm)(*8)
15.0%
6.ジプロピレングリコール(成分D) 4.5%
7.グリセリン(成分D) 0.5%
8.シリカ(成分E)(*11) 5.0%
9.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
(成分E)(*12) 5.0%
10.アモジメチコン処理マイカ(*13) 5.0%
11.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(*14)
5.0%
12.窒化ホウ素 (*15) 5.0%
13.ハイドロゲンジメチコン(0.25%処理)処理酸化亜鉛(平均粒子径1μm)
1.0%
14.セリサイト(平均粒子径12.5μm) 10.0%
15.マイカ(平均粒子径19μm) 残量
16.ベンガラ(*16) 0.3%
17.黄酸化鉄(*17) 2.0%
18.黒酸化鉄(*18) 0.2%
19.ヒアルロン酸Na 0.01%
20.グリシン 0.05%
21.イガイグリコーゲン 0.01%
22.メチルパラベン 0.1%
23.テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 0.01%
24.香料 0.1%
(*10)SA-タルクJA-46R(三好化成社製)
(*11)ゴッドボールD11-796C(鈴木油脂工業社製)
(*12)KSP-100(信越化学工業社製)
(*13)マイカY-2300WA3(ヤマグチマイカ社製)
(*14)SE-MA-23(三好化成社製)
(*15)CCS102-JA Boron Nitride Powder(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン)
(*16)R-516P(チタン工業社製)
(*17)BL-100P(チタン工業社製)
(*18)YP1200P(チタン工業社製)
(製造方法)
A.成分3~5、8~22を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、6、7を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物にB、成分23、24を加え、混合物を得た。
D.Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E.Dで得られた粉末状の化粧料を水性溶剤(精製水)と混合し、スラリーを得た。
F.Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0096】
実施例33では、成分(A)の含有量:0.2%、成分(B)の含有量:0.2%、(B)/(A)=1.0(質量比)、成分(C)の含有量:35%、成分(E)の配合量:10%である。実施例33の固形粉末化粧料(ファンデーション)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。さらに、耐衝撃性も良好であった。
【0097】
・実施例34:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 0.5%
2.水酸化Al・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa・塩化Mg処理酸化チタン(成分(B)、(C))(平均粒子径0.25μm)(*19) 5.0%
(化粧料中、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa含有量0.05%)
3.ラウロイルリシン(成分B)(*6) 1.0%
4.タルク(成分C)(*7) 10.0%
5.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理タルク(成分C)(平均粒子径15μm)(*20) 5.0%
6.水酸化Al・トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理酸化チタン
(成分C)(平均粒子径0.25μm)(*21) 5.0%
7.メチコン・水酸化Al・含水シリカ処理酸化チタン(成分C)(平均粒子径:0.030μm)(*22) 5.0%
8.酸化チタン・酸化スズ被覆ホウケイ酸(Ca/Al)(成分C)(*23)
0.1%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.036%)
9.ジプロピレングリコール(成分D) 4.5%
10.1,3-プロパンジオール(成分D) 0.5%
11.シリカ(成分E)(*11) 5.0%
12.ポリメタクリル酸メチル(成分E)(*24) 5.0%
13.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(*25)10.0%
14.窒化ホウ素(*26) 5.0%
15.硫酸バリウム(平均粒子径32.5μm) 5.0%
16.ハイドロゲンジメチコン(0.25%処理)処理酸化亜鉛(平均粒子径1μm)
5.0%
17.マイカ(平均粒子径11μm) 残量
18.ベンガラ(*16) 0.3%
19.黄酸化鉄(*17) 2.0%
20.黒酸化鉄(*18) 0.2%
21.グリシン 0.1%
22.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 3.0%
23.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.3%
24.スクワラン 0.5%
25.ミネラルオイル 0.5%
26.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、酢酸トコフェロール、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキスの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
27.フェノキシエタノール 0.2%
28.香料 0.1%
(*19)ASL-1 TiO2 MP-1133(大東化成工業社製)
(*20)SE-TA-EX(三好化成社製)
(*21)ITT-2 TiO2 CR-50(大東化成工業社製)
(*22)微粒子酸化チタンMT-500SAS(テイカ社製)
(*23)マイクログラスメタシャインMBE025RR(日本板硝子社製)
(*24)マツモトマイクロスフェアーM101(松本油脂製薬社製)
(*25)ミクロマイカMK-200K(片倉コープアグリ社製)
(*26)SHP-6(水島合金鉄社製)
(製造方法)
A.成分2~8、11~21を混合して、混合物を得た。
B.成分1、9、10を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物にB、成分22~28を加え、混合物を得た。
D.Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E.Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
F.Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0098】
実施例34では、成分(A)の含有量:0.5%、成分(B)の含有量:1.05%、(B)/(A)=2.1(質量比)、成分(C)の含有量:29.986%、成分(E)の配合量:10%である。実施例34の固形粉末化粧料(ファンデーション)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。さらに、耐衝撃性も良好であった。
【0099】
・実施例35:固形粉末化粧料(白粉)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 0.3%
2.水酸化Al・ステアロイルグルタミン酸2Na処理酸化チタン(成分B、C)(平均粒子径0.25μm)(*27) 2.0%
(化粧料中、ステアロイルグルタミン酸2Na含有量0.06%)
3.水酸化Al・トリイソステアリン酸イソプロピルチタン・塩化亜鉛・ラウロイルアスパラギン酸Na処理酸化チタン(成分B、C)(平均粒子径0.25μm)(*28)
1.0%
(化粧料中、ラウロイルアスパラギン酸Na含有量0.0042%)
4.タルク(成分C)(*7) 10.0%
5.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理タルク(成分C)(平均粒子径15μm)(*20) 10.0%
6.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理タルク(成分C)(平均粒子径9μm)(*29) 10.0%
7.アルミナ・ステアリン酸処理酸化チタン(70.0%)/ナイロン-12(30.0%) (成分C、E) 5.0%
8.1,3-ブチレングリコール(成分D) 2.5%
9.1,2-ヘキサンジオール(成分D) 0.5%
10.シリカ(成分E)(*30) 10.0%
11.ナイロン-12(成分E)(*31) 5.0%
12.合成金雲母(平均粒子径12.5μm) 10.0%
13.ヤシ油脂肪酸(0.2%)・水酸化Mg(0.1%)処理硫酸バリウム(平均粒子径:32.5%) 5.0%
14.ハイドロゲンジメチコン(0.75%処理)処理酸化亜鉛(平均粒子径3μm)
5.0%
15.セリサイト(平均粒子径12.5μm) 10.0%
16.マイカ(平均粒子径18μm) 残量
17.赤色226号 0.03%
18.赤色202号 0.02%
19.クロルフェネシン 0.1%
20.イソノナン酸イソトリデシル 1.0%
21.トリエチルヘキサノイン 0.5%
22.水添ポリイソブテン 0.5%
23.ジメチコン 0.5%
24.フェニルトリメチコン 0.5%
25.香料 0.1%
(*27)NAI-チタンMP-1133(三好化成社製)
(*28)ASI-チタンCR-50(大東化成工業社製)
(*29)ITT-2 TALC JA-46R(大東化成工業社製)
(*30)シリカマイクロビードP-1505(日揮触媒化成社製)
(*31)ガンツパールGPA-550(アイカ工業社製)
(製造方法)
A.成分2~7、10~19を混合して、混合物を得た。
B.成分1、8、9を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物にB、成分20~25を加え、混合物を得た。
D.Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E.Dで得られた粉末状の化粧料を水性溶剤(精製水:エタノール=99:1)と混合し、スラリーを得た。
F.Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0100】
実施例35では、成分(A)の含有量:0.3%、成分(B)の含有量:0.0642%、(B)/(A)=0.214(質量比)、成分(C)の含有量:36.4358%、成分(E)の配合量:16.5%である。実施例35の固形粉末化粧料(白粉)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。さらに、耐衝撃性も良好であった。
【0101】
・実施例36:粉末型化粧料(ルース状ボディパウダー)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 0.1%
2.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分B)(*2) 0.05%
3.ラウリン酸亜鉛処理タルク(成分C)(平均粒子径15μm)(*32)
3.0%
4.酸化チタン被覆マイカ(成分C)(*33) 3.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.93%)
5.ジプロピレングリコール(成分D) 0.5%
6.シリカ(成分E)(*11) 5.0%
7.シリカ(成分E)(*34) 10.0%
8.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
(成分E)(*12)10.0%
9.ポリメタクリル酸メチル(成分E)(*24) 5.0%
10.合成金雲母(平均粒子径12.5μm) 15.0%
11.硫酸バリウム(平均粒子径32.5μm) 5.0%
12.セリサイト(平均粒子径12.5μm) 10.0%
13.マイカ(平均粒子径19μm) 残量
14.ベンガラ(*16) 0.1%
15.メチルパラベン 0.2%
16.香料 0.1%
(*32)タルクZL-6(東色ピグメント社製)
(*33)COSMETICA SUPER WHITE N-8000S(CQV社製)
(*34)コスメシリカCQ4(富士シリシア化学社製)
A.成分3、4、6~15を混合して、混合物を得た。
【0102】
B.成分1、2、5を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
【0103】
C.Aで得られた混合物にB、成分16を加え、混合物を得た。
【0104】
D.Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
【0105】
実施例36では、成分(A)の含有量:0.1%、成分(B)の含有量:0.05%、(B)/(A)=0.5(質量比)、成分(C)の含有量:3.93%、成分(E)の配合量:30%である。実施例36の粉末型化粧料(ルース状ボディパウダー)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。
【0106】
・実施例37:固形粉末化粧料(チーク)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 0.2%
2.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分B)(*2) 0.6%
3.タルク(成分C)(*7) 20.0%
4.ラウリン酸亜鉛処理タルク(成分C)(*32) 10.0%
5.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン処理酸化鉄・酸化チタン被覆マイカ(酸化鉄と酸化チタンを被覆したマイカをパーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシランで処理したもの)(成分C) 3.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.48%)
6.酸化チタン・酸化スズ被覆ホウケイ酸(Ca/Al)(成分C)(*36)
(化粧料中、酸化チタン含有量0.055%)
0.5%
7.1、3-ブチレングリコール(成分D) 3.0%
8.シリカ(成分E)(*11) 3.0%
9.(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー・シリカ混合物(成分E)(*37) 2.0%
10.合成金雲母(平均粒子径12.5μm) 10.0%
11.ジメチコン(3%)処理合成金雲母(平均粒子径12.5μm)5.0%
12.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(*19) 5.0%
13.マイカ(平均粒子径23μm) 残量
14.ベンガラ(*16) 3.0%
15.赤色226号 5.0%
16.黄色4号 1.0%
17.グリシン 0.05%
18.セラミド2 0.01%
19.セラミド3 0.01%
20.メチルパラベン 0.2%
21.2-エチルヘキサン酸セチル 2.0%
22.ミネラルオイル 2.0%
23.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 1.0%
24.ポリヒドロキシステアリン酸 0.5%
25.甘草フラボノイド、ローズマリー葉エキス、アンズ核油、カニナバラ果実エキス、アーモンド油、コーン油の混合物(美容成分の混合物) 0.3%
26.香料 0.1%
(*36)マイクログラス メタシャイン MT1080RS(日本板硝子社製)
(*37)CS-400(根上工業社製)
(製造方法)
A.成分3~6、8~20を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、7を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物にB、成分21~26を加え、混合物を得た。
D.Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E.Dで得られた粉末状の化粧料を充填成型することで固形粉末状化粧料を得た。
【0107】
実施例37では、成分(A)の含有量:0.2%、成分(B)の含有量:0.6%、(B)/(A)=3(質量比)、成分(C)の含有量:30.535%、成分(E)の配合量:5%である。実施例37の固形粉末化粧料(チーク)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。さらに、耐衝撃性も良好であった。
【0108】
・実施例38:固形粉末化粧料(アイシャドウ)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 1.0%
2.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分B)(*2) 0.1%
3.ラウロイルリシン(成分B)(*6) 2.0%
4.タルク(成分C)(*7) 15.0%
5.トリエトキシカプリリルシラン処理タルク(成分C)(平均粒子径9μm)(*38) 5.0%
6.酸化チタン・酸化スズ被覆マイカ(成分C)(*39) 5.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量2.375%)
7.酸化チタン被覆マイカ(成分C)(*40) 5.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量1.15%)
8.酸化チタン・シリカ被覆マイカ(成分C)(*41) 5.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量2.4%)
9.ジプロピレングリコール(成分D) 6.0%
10.シリカ(成分E)(*11) 2.0%
11.シリカ(成分E)(*33) 3.0%
12.ジメチコン(3%)処理合成金雲母(平均粒子径12.5μm)
10.0%
13.窒化ホウ素(*25) 5.0%
14.ハイドロゲンジメチコン(0.25%処理)処理酸化亜鉛(平均粒子径1μm)
1.0%
15.ジメチコン処理酸化鉄被覆マイカ(*42) 5.0%
16.マイカ 残量
17.ベンガラ(*16) 3.0%
18.赤色226号 2.0%
19.ヒアルロン酸Na 0.01%
20.メチルパラベン 0.1%
21.ジカプリン酸PG 1.0%
22.リンゴ酸ジイソステアリル 0.5%
23.水溶性コラーゲン、センチフォリアバラ花エキス、ローヤルゼリーエキス、オレンジ花水の混合物(美容成分の混合物) 0.5%
24.フェノキシエタノール 0.1%
25.香料 0.1%
(*38)OTS-2タルクJA-46R(大東化成工業社製)
(*39)COSMETICA SUPER RED N-5401S(CQV社製)
(*40)FLAMENCO SPARKLE GOLD 220J(BASF社製)
(*41)TIMIRON SPLENDID GOLD(メルクパフォーマンスマテリアルズ社製)
(*42)SA-BLONIDEE SUPER BRONZE N-2220S(三好化成社製)
(製造方法)
A.成分3~8、10~20を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、9を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物にB、成分21~25を加え、混合物を得た。
D.Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E.Dで得られた粉末状の化粧料を水性溶剤(精製水:エタノール=95:5)と混合し、スラリーを得た。
F.Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶剤を除去する
実施例38では、成分(A)の含有量:1.0%、成分(B)の含有量:2.1%、(B)/(A)=2.1(質量比)、成分(C)の含有量:25.925%、成分(E)の配合量:5%である。実施例38の固形粉末化粧料(アイシャドウ)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。さらに、耐衝撃性も良好であった。
【0109】
・実施例39:固形粉末化粧料(アイシャドウ)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 0.1%
2.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分B)(*2) 1.0%
3.ジメチコン処理タルク(成分C)(平均粒子径9μm)(*10)
15.0%
4.酸化チタン・酸化スズ被覆マイカ(成分C)(*39) 5.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量2.375%)
5.トリエトキシカプリリルシラン(2%)処理酸化チタン(13%)・酸化スズ(0.2%)被覆合成金雲母(成分C)(平均粒子径95μm) 5.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.65%)
6.酸化チタン(13%)・酸化スズ(0.2%)被覆合成金雲(成分C)(平均粒子径95μm) 3.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.39%)
7.酸化チタン(32%)・酸化スズ(0.9%)被覆合成金雲母(成分C)(平均粒子径13μm) 1.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.32%)
8.酸化チタン(46%)・酸化スズ(0.6%)被覆合成金雲母(成分C)(平均粒子径13.5μm) 1.0%
(化粧料中、酸化チタン含有量0.46%)
9.ジプロピレングリコール(成分D) 1.0%
10.ポリメチルシルセスキオキサン(成分E)(*43) 5.0%
11.合成金雲母(平均粒子径12.5μm) 10.0%
12.ヤシ油脂肪酸(0.2%)・水酸化Mg(0.1%)処理硫酸バリウム(平均粒子径:32.5%) 5.0%
13.酸化亜鉛(平均粒子径1μm) 1.0%
14.トリエトキシカプリリルシラン(2%)処理マイカ(平均粒子径19μm)
5.0%
15.酸化鉄被覆マイカ(*44) 5.0%
16.ベンガラ(*16) 0.5%
17.黄酸化鉄(*17) 0.3%
18.グンジョウ(*45) 0.1%
19.メチルパラベン 0.1%
20.イソノナン酸イソトリデシル 2.0%
21.テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 0.5%
22.ジメチコン 0.5%
23.ミツロウ 0.1%
24.香料 0.1%
(*43)トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(*44)CLOIZONNE CERISE FLAMBE 550Z(BASF社製)
(*45)群青CB-80(第一化成工業)
(製造方法)
A.成分3~8、10~19を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、9を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.成分20~23を80℃で加温し、溶解物を得た。
D.Aで得られた混合物にB、C,成分24を加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
F.Eで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
G.Fで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去する。
【0110】
実施例39では、成分(A)の含有量:0.1%、成分(B)の含有量:1.0%、(B)/(A)=10(質量比)、成分(C)の含有量:19.195%、成分(E)の配合量:5%である。実施例39の固形粉末化粧料(アイシャドウ)は、化粧料の肌への付着性は維持したまま、化粧料の肌上での滑り性が良好であった。また、化粧持ちが良好であり、また、粉末化粧料中の粉体の凝集がほとんどみられなかった。さらに、耐衝撃性も良好であった。