(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】燃料電池セパレータの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0228 20160101AFI20230704BHJP
H01M 8/0206 20160101ALI20230704BHJP
H01M 8/0213 20160101ALI20230704BHJP
C23G 5/04 20060101ALI20230704BHJP
C23G 3/00 20060101ALI20230704BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01M8/0228
H01M8/0206
H01M8/0213
C23G5/04
C23G3/00 Z
C23C26/00 C
(21)【出願番号】P 2019204391
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 博明
(72)【発明者】
【氏名】田村 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】檢見崎 幸大
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-098685(JP,A)
【文献】特開2018-024528(JP,A)
【文献】特開2006-193769(JP,A)
【文献】特開2011-249085(JP,A)
【文献】特開2019-133863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
C23G 5/04
C23G 3/00
C23C 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池セパレータの製造装置であって、
液体を貯留可能な洗浄槽と、
表面にカーボンブラックが塗布された後に焼成して得られた前記燃料電池セパレータ用の板状の金属材料を、前記表面が鉛直方向を向いた状態で前記液体が貯留された前記洗浄槽内を搬送する搬送部と、
前記洗浄槽内を搬送される前記金属材料に対して、下方から超音波を照射する超音波照射部と、
前記洗浄槽内を搬送される前記金属材料の上方側と下方側とのうちの少なくとも下方側に対して、前記搬送方向と交差する方向の前記液体の流れを生じさせる液体噴射ノズルと、
を備える、燃料電池セパレータの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池セパレータの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池は、複数の単セルが積層された燃料電池スタックを有している。各単セルは、膜電極接合体と、膜電極接合体を挟む2枚の燃料電池セパレータとを有する。燃料電池セパレータには、高い導電性と耐腐食性が求められる。このため、燃料電池セパレータ用の金属材料に対して、表面にカーボンブラックを塗布した後、熱処理による焼成処理が行われることがある。焼成処理により、金属材料の表面に金属材料とカーボンブラックとを含有する混合層が形成される。この混合層の表面には一部のカーボンブラックが余剰カーボンとして残存し得るため、この余剰カーボンを除去する処理が行われることがある。特許文献1には、この余剰カーボンの除去を、焼成処理後の金属材料の表面に水を噴射する、いわゆるウォータジェット法で行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、燃料電池セパレータの製造において、特許文献1に記載されるようなウォータジェット法による余剰カーボンの除去処理を多く行ってきているが、その過程において、高い注意を払ってウォータジェット処理を行わないと、余剰カーボンの取り残しが生じることを経験した。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、金属材料の表面に残存する余剰カーボンの取り残しを抑制して余剰カーボンを除去可能な燃料電池セパレータの製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本開示の一形態によれば、燃料電池セパレータの製造装置が提供される。この燃料電池セパレータの製造装置は、液体を貯留可能な洗浄槽と、表面にカーボンブラックが塗布された後に焼成して得られた前記燃料電池セパレータ用の板状の金属材料を、前記表面が鉛直方向を向いた状態で前記液体が貯留された前記洗浄槽内を搬送する搬送部と、前記洗浄槽内を搬送される前記金属材料に対して、下方から超音波を照射する超音波照射部と、前記洗浄槽内を搬送される前記金属材料の上方側と下方側とのうちの少なくとも下方側に対して、前記搬送方向と交差する方向の前記液体の流れを生じさせる液体噴射ノズルとを備える。
【0008】
この形態の燃料電池セパレータの製造装置によれば、洗浄槽内を搬送される金属材料の上方側と下方側とのうちの少なくとも下方側に対して、搬送方向と交差する方向の液体の流れを生じさせる液体噴射ノズルを備えるので、洗浄槽内を搬送される金属材料が自重により垂れ下がることを抑制し、洗浄槽内における深さ方向の金属材料の位置を、超音波照射部から照射される音波によるカーボンブラックの除去力が高い位置に維持できる。このため、表面に残存する余剰カーボンブラックの取り残しを抑制して余剰カーボンを除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態としての燃料電池セパレータの製造装置の概観模式図である。
【
図2】燃料電池セパレータの製造装置の部分的な平面模式図である。
【
図3】燃料電池セパレータの製造装置の部分的な側面模式図である。
【
図4】超音波振動子と液体噴射ノズルによる洗浄の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の一実施形態としての燃料電池セパレータの製造装置100の概観模式図である。
図1では、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が表されている。本実施形態において、-Z方向は、鉛直下方に相当する。X軸方向およびY軸方向は、水平方向と平行である。「X軸方向」とは、+X方向と-X方向とを合わせた概念を意味する。同様に、「Y軸方向」とは、+Y方向と-Y方向とを合わせた概念を意味し、「Z軸方向」とは、+Z方向と-Z方向とを合わせた概念を意味する。後述する他の図面におけるX軸、Y軸およびZ軸は、
図1のX軸、Y軸およびZ軸に対応する。
【0011】
燃料電池セパレータの製造装置100は、燃料電池セパレータの基材としての金属材料10の表裏面にカーボンブラックを塗布するためのカーボンブラック塗布部20と、金属材料10の搬送方向後流側に位置する焼成部30と、搬送部40と、洗浄槽50と、複数の超音波振動子60と、複数の液体噴射ノズル70とを備える。
【0012】
焼成部30は、内部に加熱処理用に加熱部を備えている。カーボンブラック塗布部20および焼成部30は、従来から知られたものであってよく、詳細な説明は省略する。なお、金属材料10としては、例として、薄いSUS(鉄、クロム、ニッケル)やチタン等の金属により形成された薄板材を挙げることができる。
【0013】
燃料電池セパレータの製造装置100では、金属材料10は、ロール状に巻き込まれた長尺状の薄板の金属材料として用意される。燃料電池セパレータ用の板状の金属材料10の表面が鉛直方向を向くようにロール11から巻き出されたベルト状の金属材料10は、カーボンブラック塗布部20を通過する過程で、その両面にカーボンブラックが塗布される。カーボンブラックが塗布された金属材料10aは、焼成部30内に送られる。カーボンブラックが塗布された金属材料10aは、焼成部30内で熱処理を受け、カーボンブラックの焼成処理が進行する。焼成して得られた金属材料10bは、ベルト状に支持されて搬送部40に送られる。
【0014】
焼成部30内で熱処理を受けることで、金属材料10の表面には、金属材料10を形成する金属素材とカーボンブラックとを含有する混合層が形成される。そして、通常、混合層の表面には一部のカーボンブラックが余剰カーボンとして残存する。この残存する余剰カーボンは、燃料電池用セパレータにとっては不要な材料であり、除去することが好ましい。
【0015】
搬送部40は、第1の外部案内ローラ42と、第1の下位案内ローラ43と、第2の下位案内ローラ46と、第2の外部案内ローラ47とを備える。搬送部40は、余剰カーボンの除去処理を行うための後述の洗浄槽50内を通過するように金属材料10bを搬送する。具体的には、搬送部40は、金属材料10bの表面が鉛直方向を向いた状態で液体(洗浄液)が貯留された洗浄槽50内を搬送する。
【0016】
焼成部30から搬送される焼成後の金属材料10bは、第1の外部案内ローラ42と、第1の下位案内ローラ43と、第2の下位案内ローラ46と、第2の外部案内ローラ47とに案内されて、洗浄槽50内を通過する。詳細には、焼成部30から出て+X方向に移動する焼成後の金属材料10bは、洗浄槽50の上方である+Z方向で槽外に位置する第1の外部案内ローラ42に案内されて垂直方向下方である-Z方向に向きを変え、洗浄槽50内の洗浄液に入る。洗浄液内に入った焼成後の金属材料10bは、洗浄槽50内にY軸方向の軸心を有する第1の下位案内ローラ43に案内されて、水平方向(X軸方向)に向きを変える。
【0017】
水平方向に向きを変えた焼成後の金属材料10bは、洗浄槽50内を搬送方向である+X方向に移動する。そして、第1の下位案内ローラ43と平行な軸心を有する第2の下位案内ローラ46まで移動し、そこで上方である+Z方向に向きを変えて、垂直方向上方に移動する。その後、焼成後の金属材料10bは洗浄槽50の外まで移動し、第1の外部案内ローラ42と平行な軸心を持つ第2の外部案内ローラ47を通過して、図示しないローラに巻き取られる。あるいは、乾燥処理部や裁断処理部や成形処理部に送られる。
【0018】
洗浄槽50は、上方を開放した箱型の洗浄槽であり液体(洗浄液)を貯留可能である。本実施形態では、洗浄槽50は洗浄液として水を貯留している。なお、水に限らず、アルカリ系の洗浄液、エタノール、炭化水素系の洗浄液、硝酸等を洗浄液として用いてもよい。
【0019】
複数の超音波振動子60は、いずれも洗浄槽50の内側底面に位置している。複数の超音波振動子60は、X軸方向に沿って配置されている。超音波振動子60は、XY平面と平行な平坦な発振面を備えている。超音波振動子60は、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bに対して、下方から+Z方向に向けて超音波を照射する。超音波振動子60は、音波の照射により金属材料10bの表面に残存する余剰カーボンを除去する。複数の超音波振動子60は、いずれも共通の超音波発振器61に接続されている。本実施形態では、超音波発振器61の超音波強度は一定である。また、実施条件として、超音波の周波数は78kHzであり、照射量は1000~1200Wであり、音圧は0.2~0.3MPaである。なお、超音波の周波数と、照射量と、音圧は、他の任意の数値であってもよい。
【0020】
複数の液体噴射ノズル70は、洗浄槽50の内側側面、すなわち洗浄槽50のY軸方向端部に位置している。
図1に示すように、複数の液体噴射ノズル70の配置位置の高さ(Z軸方向の位置)はいずれも、第1の下位案内ローラ43と第2の下位案内ローラ46との間の金属材料10bの高さとほぼ同じである。複数の液体噴射ノズル70は、洗浄槽50の+Y方向の端部と-Y方向の端部に、金属材料10bの搬送方向に沿って交互に配置されている。液体噴射ノズル70は、洗浄槽50内に+Y方向の水流または-Y方向の水流を形成する。具体的には、後述する
図4に示すように、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bの上方側と下方側に対して、搬送方向と交差する方向の液体の流れを生じさせる。本実施形態において、「交差する方向」とは、直交する方向である。液体噴射ノズル70は、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bが自重により垂れ下がることを抑制し、洗浄槽50内における深さ方向の金属材料10bの位置を、超音波振動子60から照射される音波によるカーボンブラックの除去力が高い位置に維持する役割を担う。なお、本実施形態では、液体噴射ノズル70から噴射されるのは水であるが、水に限らず他の液体であってもよい。
【0021】
図2は、燃料電池セパレータの製造装置100の部分的な平面模式図である。
図3は、燃料電池セパレータの製造装置100の部分的な側面模式図である。
図2および
図3に示すように、水が貯留された洗浄槽50の底面に複数の超音波振動子60がX軸方向に等間隔に配置されている。超音波振動子60の上方である+Z方向に、ベルト状の金属材料10bが位置する。金属材料10bが通過する速度は、本実施形態では、3m/minである。なお、3m/minに限らず任意の速度であってもよい。本実施形態では、液面50aから超音波振動子60までのZ軸方向の距離は、75mmである。なお、75mmに限らず任意の距離であってもよい。また、本実施形態では、洗浄槽50の底面に複数の超音波振動子60がX軸方向に等間隔に配置されているが、当該配置は等間隔でなくてもよい。なお、超音波振動子60は、特許請求の範囲における超音波照射部に該当する。
【0022】
図2に示すように、複数の液体噴射ノズル70は、X軸方向に沿って順に、洗浄槽50の-Y方向の内側側面に位置し、次に洗浄槽50の+Y方向の内側側面に位置するように、洗浄槽50の側面に互い違いに配置されている。当該交互配置された液体噴射ノズル70からの噴射は、金属材料10bのY軸方向への蛇行を抑制する。液体噴射ノズル70の噴射強度は一定である。本実施形態では、液体噴射ノズル70は、霧のいけうち製の1/4M EJX S70×2-4 S303である。なお、他の種類のノズルを用いてもよい。
【0023】
図4は、超音波振動子60と液体噴射ノズル70による洗浄の様子を示す模式図である。洗浄槽50の-Y方向の内側側面に液体噴射ノズル70が位置し、洗浄槽50の内側底面に超音波振動子60が位置する。超音波振動子60は、+Z方向の端面から、+Z方向に向かって超音波を照射する。なお、
図4では、洗浄槽50の-Y方向の内側側面に配置された液体噴射ノズル70のみを表し、+Y方向の内側側面に配置された液体噴射ノズル70は、省略されている。液体噴射ノズル70は、Z軸方向の位置が、搬送される金属材料10bのZ軸方向の位置とほぼ等しい位置となるように配置され、+Y方向を中心として、-Z方向から+Z方向に亘って広角に水を噴射する。なお、図示は省略されているが、液体噴射ノズル70は、X軸方向にも若干の広がりを生じるように、水を噴射する。このため、液体噴射ノズル70は、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bの上方側(+Z方向側)と下方側(-Z方向側)との両側に対して、略+Y方向の水の流れを生じさせる。
【0024】
超音波振動子60から超音波が照射されると、洗浄槽50の水中に音圧の定在波w1が生じる。この定在波w1は、液面50aが節となり、且つ、液面50aから-Z方向にλ/4+(λ/2)×n(λは一波長。nは、0以上の整数。)の距離毎に腹50b、50c、50dとなる波である。定在波w1の腹50b、50c、50dでは、他の部分に比べて音圧が大きく、余剰カーボンの除去力が大きい。
【0025】
図4に示すように、本実施形態では、金属材料10bは、Z軸方向の位置が、定在波w1の腹50cのZ軸方向の位置と一致するように配置され、その位置を維持するようにして搬送される。かかる位置の維持は、第1の下位案内ローラ43および第2の下位案内ローラ46に加えて、複数の液体噴射ノズル70から噴射される水流によって実現されている。以下、詳しく説明する。
【0026】
2つの下位案内ローラ43、46の外周面の-Z方向の端部の位置は、腹50cのZ軸方向の位置とほぼ等しく設定されている。したがって、2つの下位案内ローラ43、46によって繰り出されることにより、これらの下位案内ローラ43、46の近傍において、金属材料10bのZ軸方向の位置は、腹50cのZ軸方向の位置とほぼ等しくなる。ここで、第1の下位案内ローラ43および第2の下位案内ローラ46の回転によって金属材料10bが洗浄槽50内を搬送される際に、いずれの液体噴射ノズル70からも水の噴射が行われない場合、金属材料10bは、自重により2つの下位案内ローラ43、46の間のX軸方向の中央位置を中心として、カテナリー状(懸垂線状)に-Z方向に垂れ下がることとなる。しかし、2つの下位案内ローラ43、46の間において、各液体噴射ノズル70から水が噴射されることにより、搬送される金属材料10bの上方側と下方側との両側に対して、略Y軸方向の水の流れが形成されている。このため、これらの水の流れにより、搬送される金属材料10bの位置がZ軸方向にずれることが抑制され、金属材料10bの垂れ下がりは抑制されることとなる。この結果、金属材料10bは、Z軸方向の位置が腹50cのZ軸方向の位置に維持されつつ搬送されることとなる。
【0027】
以上説明した実施形態の燃料電池セパレータの製造装置100によれば、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bの上方側と下方側に対して、搬送方向と交差する方向の液体の流れを生じさせる液体噴射ノズル70を備えるので、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bが自重により垂れ下がることを抑制し、洗浄槽50内における深さ方向の金属材料10bの位置を、超音波振動子60から照射される音波によるカーボンブラックの除去力が高い位置に維持でき、表面に残存する余剰カーボンブラックの取り残しを抑制して余剰カーボンを除去できる。
【0028】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態の燃料電池セパレータの製造装置100では、液体噴射ノズル70は、Z軸方向の位置(高さ)が搬送される金属材料10bのZ軸方向の位置とほぼ同じになるように配置されていたが、本開示は、これに限定されない。例えば、液体噴射ノズル70が、上下2つのノズルを有する構成であり、一方のノズルが、金属材料10bの上方側に向けて+Y方向に洗浄液を噴射し、他方のノズルが、金属材料10bの下方側に向けて+Y方向に洗浄液を噴射する構成とし、これら2つのノズルを有する液体噴射ノズル70全体としての配置位置(重心位置)のZ軸方向の位置が、搬送される金属材料10bのZ軸方向の位置と異なる構成であってもよい。また、本実施形態では、金属材料10bの上方側および下方側における洗浄液の流れの方向は、略Y軸方向であったが、本開示はこれに限定されない。X軸方向およびZ軸方向と交差する任意の方向であってもよい。すなわち、一般には、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bの上方側と下方側との両側に対して、搬送方向と交差する方向の洗浄液の流れを生じさせるノズルを、本開示の液体噴射ノズルとしてもよい。
【0029】
(B2)第1実施形態の燃料電池セパレータの製造装置100は、液体噴射ノズル70が洗浄槽50の-Y方向の内側側面と+Y方向の内側側面において搬送方向に交互配置されていたが、交互配置でなくてもよい。液体噴射ノズル70は、-Y方向の内側側面のみに位置してもよいし、+Y方向の内側側面のみに位置してもよい。
【0030】
(B3)第1実施形態の燃料電池セパレータの製造装置100において、液体噴射ノズル70は、洗浄槽50内を搬送される金属材料10bの上方側と下方側との両側に対して、水の流れを生じさせていたが、本開示はこれに限定されない。液体噴射ノズル70は、金属材料10bの下方側のみに対して、搬送方向と交差する方向の水の流れを生じさせてもよい。かかる構成においても、自重による垂れ下がりを抑制可能である。
【0031】
(B4)第1実施形態の燃料電池セパレータの製造装置100において、金属材料10bのZ軸方向の位置は、定在波w1の腹50cのZ軸方向の位置とほぼ等しくなるように配置されていたが、本開示はこれに限定されない。金属材料10bのZ軸方向の位置は、定在波w1の節のZ軸方向の位置でなければ、腹のZ軸方向の位置とほぼ等しくなくてもよい。
【0032】
(B5)第1実施形態の燃料電池セパレータの製造装置100において、超音波振動子60は洗浄槽50内の内側底面に配置されていたが、本開示はこれに限定されない。超音波振動子60は、洗浄槽50の外側底面に配置されていてもよい。
【0033】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
w1…定在波、10…金属材料、10a…金属材料、10b…金属材料、11…ロール、20…カーボンブラック塗布部、30…焼成部、40…搬送部、42…第1の外部案内ローラ、43…第1の下位案内ローラ、46…第2の下位案内ローラ、47…第2の外部案内ローラ、50…洗浄槽、50a…液面、50b…腹、50c…腹、50d…腹、60…超音波振動子、61…超音波発振器、70…液体噴射ノズル、100…製造装置