(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20230704BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/629
(21)【出願番号】P 2019209329
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 好裕
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-343169(JP,A)
【文献】特開2003-068397(JP,A)
【文献】特開2001-110524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング収容部を有する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングのハウジング収容部に嵌合・離脱される第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに回動自在に支持されると共にスライド自在に支持され、回動動作によって前記第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合・離脱させるレバーと、
前記レバーに移動自在に支持され、前記レバーのスライドの可否によりコネクタ嵌合状態を検知する嵌合検知部材と、
を備え、
前記第2ハウジングは、前記レバーを回動自在に支持する支持軸を有し、
前記レバーは、前記支持軸が摺動する軸摺動溝を形成した軸受部を有し、
前記レバーは、カムボスを有し、
前記第1ハウジングは、前記カムボスが係合するカム溝を有し、
前記第2ハウジングは、ガイド突起を有し、
前記レバーは、前記ガイド突起が係合するガイド溝を有し、
前記レバーの回転動作によって前記第1ハウジングと第2ハウジングが嵌合完了した後で、前記レバーは、前記第2ハウジングに対してスライドし、
前記レバーのスライド完了後に、前記嵌合検知部材は、前記第1ハウジングに設けられた嵌合検知部材収容部に挿入可能となるレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記第1ハウジングは、前記レバーの回転操作中に前記嵌合検知部材が前記第1ハウジングのハウジング収容部側へ誤挿入操作されると干渉する干渉部を有する請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記レバーは、操作部と、前記操作部の両側から延びる一対のアーム部と、を備え、
前記操作部は、前記嵌合検知部材が移動自在に収容されるCPA収容部を有する請求項1または2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項4】
前記嵌合検知部材は、本体と、前記本体の一端側に位置する操作部と、前記本体の他端側に位置する当接片と、前記本体の中央に位置するロックアーム部と、を備え、
前記当接片は、前記レバーの回転操作中に前記嵌合検知部材の操作部が誤操作されると前記第1ハウジングの干渉部に当たることで、前記嵌合検知部材は、前記CPA収容部内の元の位置に戻る請求項3に記載のレバー式コネクタ。
【請求項5】
前記第1ハウジングの嵌合検知部材収容部は、前記干渉部の端部に設けられている請求項4に記載のレバー式コネクタ。
【請求項6】
前記レバーは、前記第1ハウジングと第2ハウジングの嵌合方向と垂直な方向に弾性変形する仮係止部を有し、
前記第2ハウジングは、前記仮係止部が仮係止される被仮係止部を有し、
前記第1ハウジングは、前記仮係止部と前記被仮係止部の仮係止状態を解除する解除部を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの回動による低挿入力でコネクタ嵌合を行うことができるレバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとして、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載のコネクタは、レバー式コネクタ用嵌合部を有する雄コネクタと、このレバー式コネクタ用嵌合部に嵌合されるレバー式コネクタと、を備えている。また、レバー式コネクタは、初期位置から嵌合位置へと回動されるのに伴ってレバー式コネクタ用嵌合部を嵌合状態に相対的に引き込むレバーと、このレバーを収容するレバー収容部を有するハウジングと、を少なくとも備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコネクタは、雄コネクタとレバー式コネクタの正規嵌合を検知して保証する嵌合検知部材を設けていないため、レバーの操作完了が分からず、コネクタ同士の中途嵌合が懸念される。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、第1ハウジングと第2ハウジングの中途嵌合を嵌合検知部材の移動により簡単かつ確実に検知することができるレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るレバー式コネクタは、ハウジング収容部を有する第1ハウジングと、前記第1ハウジングのハウジング収容部に嵌合・離脱される第2ハウジングと、前記第2ハウジングに回動自在に支持されると共にスライド自在に支持され、回動動作によって前記第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合・離脱させるレバーと、前記レバーに移動自在に支持され、前記レバーのスライドの可否によりコネクタ嵌合状態を検知する嵌合検知部材と、を備え、前記第2ハウジングは、前記レバーを回動自在に支持する支持軸を有し、前記レバーは、前記支持軸が摺動する軸摺動溝を形成した軸受部を有し、前記レバーは、カムボスを有し、前記第1ハウジングは、前記カムボスが係合するカム溝を有し、前記第2ハウジングは、ガイド突起を有し、前記レバーは、前記ガイド突起が係合するガイド溝を有し、前記レバーの回転動作によって前記第1ハウジングと第2ハウジングが嵌合完了した後で、前記レバーは、前記第2ハウジングに対してスライドし、前記レバーのスライド完了後に、前記嵌合検知部材は、前記第1ハウジングに設けられた嵌合検知部材収容部に挿入可能となるものである。
【0007】
前記第1ハウジングは、前記レバーの回転操作中に前記嵌合検知部材が前記第1ハウジングのハウジング収容部側へ誤挿入操作されると干渉する干渉部を有することが好ましい。
【0008】
前記レバーは、操作部と、前記操作部の両側から延びる一対のアーム部と、を備え、前記操作部は、前記嵌合検知部材が移動自在に収容されるCPA収容部を有することが好ましい。
【0009】
前記嵌合検知部材は、本体と、前記本体の一端側に位置する操作部と、前記本体の他端側に位置する当接片と、前記本体の中央に位置するロックアーム部と、を備え、前記当接片は、前記レバーの回転操作中に前記嵌合検知部材の操作部が誤操作されると前記第1ハウジングの干渉部に当たることで、前記嵌合検知部材は、前記CPA収容部内の元の位置に戻ることが好ましい。
【0010】
前記第1ハウジングの嵌合検知部材収容部は、前記干渉部の端部に設けられていることが好ましい。
【0011】
前記レバーは、前記第1ハウジングと第2ハウジングの嵌合方向と垂直な方向に弾性変形する仮係止部を有し、前記第2ハウジングは、前記仮係止部が仮係止される被仮係止部を有し、前記第1ハウジングは、前記仮係止部と前記被仮係止部の仮係止状態を解除する解除部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1ハウジングと第2ハウジングの中途嵌合を嵌合検知部材の移動により簡単かつ確実に検知することができるレバー式コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るレバー式コネクタの一例を示す分解斜視図である。
【
図2】上記レバー式コネクタの雌コネクタの分解斜視図である。
【
図3】上記レバー式コネクタの雄コネクタの正面図である。
【
図5】上記レバー式コネクタの嵌合検知部材を底面側から見た斜視図である。
【
図6】レバーが仮係止状態の雌コネクタを示す平面図である。
【
図7】レバーの仮係止解除時のレバー式コネクタを示す正面図である。
【
図8】
図7中VIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図9】レバーの操作途中のレバー式コネクタを示す正面図である。
【
図11】レバーの操作途中でCPA誤操作時のレバー式コネクタの
図9中X-X線に沿う断面図である。
【
図12】レバーの回転操作完了時のレバー式コネクタを示す正面図である。
【
図14】レバーのスライド操作完了時のレバー式コネクタの
図12中XIII-XIII線に沿う断面図である。
【
図15】CPAが本係止完了時のレバー式コネクタを示す正面図である。
【
図17】コネクタ嵌合完了状態のレバー式コネクタを車体パネルに取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るレバー式コネクタについて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係るレバー式コネクタの一例を示す分解斜視図である。
図2はレバー式コネクタの雌コネクタの分解斜視図である。
図3はレバー式コネクタの雄コネクタの正面図である。
図4は
図3中IV-IV線に沿う断面図である。
図5はレバー式コネクタの嵌合検知部材を底面側から見た斜視図である。
図6はレバーが仮係止状態の雌コネクタを示す平面図である。
図7はレバーの仮係止解除時のレバー式コネクタを示す正面図である。
図8は
図7中VIII-VIII線に沿う断面図である。
図9はレバーの操作途中のレバー式コネクタを示す正面図である。
図10は
図9中X-X線に沿う断面図である。
図11はレバーの操作途中でCPA誤操作時のレバー式コネクタの
図9中X-X線に沿う断面図である。
図12はレバーの回転操作完了時のレバー式コネクタを示す正面図である。
図13は
図12中XIII-XIII線に沿う断面図である。
図14はレバーのスライド操作完了時のレバー式コネクタの
図12中XIII-XIII線に沿う断面図である。
図15はCPAが本係止完了時のレバー式コネクタを示す正面図である。
図16は
図15中XVI-XVI線に沿う断面図である。
図17はコネクタ嵌合完了状態のレバー式コネクタを車体パネルに取り付けた状態を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、レバー式コネクタ10は、雄ハウジング(第1ハウジング)21を有した雄コネクタ20と、この雄ハウジング21にレバー40を介して嵌合・離脱される雌ハウジング(第2ハウジング)31を有した雌コネクタ30と、を備えている。
【0017】
図1に示すように、雄コネクタ20は、合成樹脂製の雄ハウジング21を有している。この雄ハウジング21は、複数のL字状の雄端子(端子)29を貫通させた矩形ブロック状のハウジング本体22と、このハウジング本体22の前側に一体突出形成され、内部に雌ハウジング31が嵌め込まれる箱形のハウジング収容部23と、を有している。さらに、雄ハウジング21は、ハウジング本体22の前側にハウジング収容部23を覆うように仕切壁(干渉部)24を介して区画されて突出したフード部25と、このフード部25の開口縁の周囲に垂直に一体形成された枠板状のフランジ部26と、を有している。
【0018】
雄ハウジング21の仕切壁24は、後述するレバー40の回転操作中に嵌合検知部材50が雄ハウジング21のフード部25側へ誤挿入操作されると干渉する干渉部となっている。また、
図1、
図16に示すように、雄ハウジング21の仕切壁24の端部の側壁には、後述する嵌合検知部材50の当接片53が収容される嵌合検知部材収容部24aが設けられている。
【0019】
図1、
図3に示すように、箱形のハウジング収容部23の上下面23a,23bの外側には、雌ハウジング31の各仮係止凹部37とレバー40のロックアーム49の突起部49aとの仮係止状態を解除する仮係止解除リブ(解除部)27を一体突出形成してある。また、フード部25の上下壁の内側には、レバー40のカムボス46が係合するカム溝28を形成してある。さらに、フランジ部26の対向する2隅には、車体パネル11に組み付けるためのボルト12を挿通させるボルト挿通孔26aが形成されている。
【0020】
図1、
図2に示すように、雌コネクタ30は、雄ハウジング21のハウジング収容部23に嵌め込まれる合成樹脂製の雌ハウジング31を備えている。さらに、雌コネクタ30は、該雌ハウジング31に支持軸35を介して回動自在に支持されると共にスライド自在に支持され、回動動作によって雄雌両ハウジング21,31を嵌合・離脱させる合成樹脂製のレバー40を備えている。また、レバー40は、後述するレバー40のCPA収容部43に移動自在に支持され、レバー40のスライド移動完了の可否によりコネクタ嵌合状態を検知する合成樹脂製の嵌合検知部材50を備えている。
【0021】
図2に示すように、雌コネクタ30の雌ハウジング31は、図示しない雄端子(端子)が収容される複数の端子収容室33を有した矩形ブロック状のハウジング本体32と、このハウジング本体32を覆うフード部34と、を有している。そして、雌ハウジング31のフード部34が雄ハウジング21の箱形のハウジング収容部23とフード部25との間の環状の空間内に挿入されることで、矩形ブロック状のハウジング本体32が箱形のハウジング収容部23内に嵌め込まれるようになっている。
【0022】
また、
図2に示すように、雌ハウジング31の上下面31a,31bの中央の後部には、雄雌両ハウジング21,31の嵌合方向に垂直な方向に延びる支持軸35をそれぞれ一体突出形成してある。さらに、雌ハウジング31の上下面31a,31bの角部側でレバー40の操作部41寄りの位置には、円柱状のガイド突起36をそれぞれ一体突出形成してある。さらに、雌ハウジング31の上下面31a,31bのレバー40のロックアーム(係止部)49の突起部49aの回動軌跡上に対応する位置には、仮係止凹部(被仮係止部)37をそれぞれ形成してある。
【0023】
図1、
図2、
図6に示すように、レバー40は、操作部41と、この操作部41の両側から延びる一対のアーム部42,42と、を備えている。
【0024】
図2に示すように、レバー40の操作部41の裏側には、嵌合検知部材50が移動自在に収容されるCPA収容部43を有している。このCPA収容部43は、一対の係合片部43a,43aと、係止片部43bと、を有している。
【0025】
図1、
図2、
図6に示すように、レバー40のアーム部42の中央には、雌ハウジング31の支持軸35が摺動する軸摺動溝45を有した軸受孔(軸受部)44を形成してある。また、アーム部42には、ピン状のカムボス46を一体突出形成してある。さらに、アーム部42の操作部41と軸受孔44との間には、雌ハウジング31のガイド突起36が係合する円弧状のガイド溝47を形成してある。このガイド溝47は、支持軸35を中心とする細長い円弧状に形成してあり、その終端が開放端になっている。
【0026】
また、
図6、
図16に示すように、レバー40のアーム部42には、レバー40の回動後にガイド突起36がスライド方向に摺動する摺動部48を設けてある。この摺動部48は、内側が凹んだレール状に形成されている。そして、レバー40の回動動作によって雄雌両ハウジング21,31が嵌合した後で、ガイド突起36が摺動部48に沿って所定位置まで摺動することにより、レバー40が雄ハウジング31に対してスライドするようになっている。
【0027】
さらに、レバー40のアーム部42の先端の外側には、嵌合方向と垂直な方向に弾性変形するロックアーム(仮係止部)49を一体形成してあり、このロックアーム49の突起部49aが仮係止凹部37に仮係止・離脱されるようになっている。このロックアーム49の仮係止により、レバー40の回転が規制されるようになっている。
【0028】
図2、
図5に示すように、嵌合検知部材(CPA:Connector Position assurance)50は、本係止位置(
図16に示す当接片53が嵌合検知部材収容部24a内に挿入された状態)で雄雌両ハウジング21,31の正規嵌合を検知して保証するものである。この嵌合検知部材50は、本体51と、この本体51の一端側に位置する操作部52と、本体51の他端側に位置する当接片53と、本体51の中央に位置するロックアーム部54と、を備えている。
【0029】
嵌合検知部材50の本体51の両側部51a,51aがCPA収容部43の一対の係合片部43a,43a間で移動自在に支持されている。また、ロックアーム部54の前後の係合孔54aがCPA収容部43の係止片部43bに係止されている。この係止片部43bがロックアーム部54と係止することで、嵌合検知部材50の移動を仮規制するようになっている。尚、この係止状態は、セミロックであり、操作部52に力をかけるだけで容易に解除可能となる。
【0030】
そして、嵌合検知部材50の当接片53は、レバー40の回転操作中に嵌合検知部材50の操作部52が誤操作されると、雄ハウジング21の干渉部としての仕切壁24に当たるようになっている。この干渉により、嵌合検知部材50は、CPA収容部43内の元の位置に戻るようになっている。また、レバー40のスライド完了後に、嵌合検知部材50の当接片53は、雄ハウジング21の仕切壁24の端部の側壁に設けられた嵌合検知部材収容部24aに挿入可能となる。当接片53が嵌合検知部材収容部24aに挿入された状態が嵌合検知部材50の本係止完了状態となっている。すなわち、レバー40のスライドの可否により雄雌両ハウジング21,31のコネクタ嵌合状態が検知されるようになっている。
【0031】
以上実施形態のレバー式コネクタ10によれば、雄コネクタ20の雄ハウジング21に嵌合される前の雌コネクタ30の雌ハウジング31には、レバー40が仮係止状態で取り付けられている。このレバー40が雌ハウジング31に対して仮係止状態にある場合は、
図6に示すように、レバー40のロックアーム49の突起部49aが雌ハウジング31の仮係止凹部37に仮係止されていて、レバー40を雄雌両ハウジング21,31の嵌合方向へ回転できない。この状態より、
図8に示すように、雌ハウジング31を雄ハウジング21のハウジング収容部23内に押し込んで行く。これにより、雄ハウジング21の仮係止解除リブ27でレバー40のロックアーム49が外側に弾性変形して、雌ハウジング31の仮係止凹部37とロックアーム49の突起部49aの仮係止状態が解除され、レバー40が回転できるようになる。
【0032】
そして、
図10に示すように、レバー40を回転操作すると、雌ハウジング31の支持軸35にレバー40の軸受孔44が摺接した状態で、雌ハウジング31のガイド突起36がレバー40の円弧状のガイド溝47が沿って移動することによりレバー40が回転する。このレバー40の回転により、レバー40のカムボス46が雄ハウジング21のカム溝28と当接して雄ハウジング21が引き込まれる。
【0033】
また、
図11に示すように、レバー40の操作部41の回転操作中に誤って該操作部41のCPA収容部43に収容されている嵌合検知部材50を本係止方向へ押し込んでしまった場合、嵌合検知部材50の当接片53が雄ハウジング21の仕切壁24に接触する。この接触により、レバー40の回転操作は完了しない。この状態でレバー40を回転操作すると、嵌合検知部材50だけが引き戻り、レバー40の回転操作が継続される。つまり、レバー40の回転操作完了前に嵌合検知部材50が本係止方向に操作されていても、レバー40の回転操作により、嵌合検知部材50は仮係止状態まで戻される。すなわち、レバー40の回転操作からスライド操作完了前までは、嵌合検知部材50を本係止方向に操作することができない。
【0034】
図13に示すように、ガイド溝47の終点までレバー40を回転させると、
図13中矢印E1に示す方向に、レバー40がスライド移動可能となる。この際、
図14に示すように、雌ハウジング31のガイド突起36がレバー40の摺動部48に沿ってスライドする。そして、雌ハウジング31の支持軸35にレバー40の軸摺動溝45の終端が突き当たるまで、レバー40をスライドさせることで、レバー40が操作完了となる。
【0035】
レバー40の操作が完了した状態で、
図16の矢印E2に示すように、操作部41のCPA収容部43に収容されている嵌合検知部材50を本係止方向へ押し込むと、嵌合検知部材50の当接片53が雄ハウジング21の嵌合検知部材収容部24aへ挿入される。この挿入により、嵌合検知部材50の当接片53が嵌合検知部材収容部24aとハウジング収容部23に嵌め込まれた雌ハウジング31との間で本係止される。この嵌合検知部材50の当接片53の本係止により、雄コネクタ20と雌コネクタ30の嵌合が完了する。
【0036】
このように、雄コネクタ20と雌コネクタ30が中途嵌合の際に、嵌合検知部材50を本係止方向へ押し込んだ場合でも、レバー40の回転操作中は嵌合検知部材50が本係止されないため、雄雌両コネクタ20,30の中途嵌合の視認性を確保することができる。すなわち、レバー40のスライド移動完了の可否により、レバー式コネクタ10のコネクタ嵌合状態を簡単かつ確実に検知することができる。
【0037】
また、レバー40のスライド操作が完了していない状態では、嵌合検知部材50の当接片53が雄ハウジング21の仕切壁24に当たって、嵌合検知部材50が本係止されないため、コネクタ中途嵌合状態での嵌合検知部材50の誤操作を防止することができる。
【0038】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0039】
すなわち、前記実施形態によれば、嵌合検知部材をレバーの操作部に取り付けたが、嵌合検知部材をレバーのアーム部に取り付けても良い。
【0040】
また、前記実施形態によれば、嵌合検知部材の当接片を仕切壁に干渉させたが、嵌合検知部材の本体の先端部を仕切壁に干渉させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0041】
10 レバー式コネクタ
21 雄ハウジング(第1ハウジング)
23 ハウジング収容部
24 仕切壁(干渉部)
24a 嵌合検知部材収容部
27 仮係止解除リブ(解除部)
28 カム溝
31 雌ハウジング(第2ハウジング)
35 支持軸
36 ガイド突起
37 仮係止凹部(被仮係止部)
40 レバー
41 操作部
42,42 一対のアーム部
44 軸受孔(軸受部)
45 軸摺動溝
46 カムボス
47 ガイド溝
49 ロックアーム(仮係止部)
50 嵌合検知部材
51 本体
52 操作部
53 当接片
54 ロックアーム部