(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】真空によって補助する濾過に適した装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/01 20060101AFI20230704BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20230704BHJP
B01D 61/18 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B01D29/04 510A
B01D29/04 530A
B01D61/08
B01D61/18
(21)【出願番号】P 2019520370
(86)(22)【出願日】2017-10-05
(86)【国際出願番号】 US2017055219
(87)【国際公開番号】W WO2018075250
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2019-04-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-29
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット,クリストファー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】グリーニゼン,クルト
(72)【発明者】
【氏名】シドロフスキー,ポール
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】粟野 正明
【審判官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540239(JP,A)
【文献】米国特許第5792425(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0188344(US,A1)
【文献】実公平6-41634(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/01
B01D35/30
B01D61/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空フィルタ
装置であって、
下方部分と頂部とを有するフィルタカラーであって、頂部の中央が、使用時に供給容器に直接に取り付けるための結合
装置を伴う流入部を有し、この流入部が、フィルタカラー内に液密にシールされた1つまたは複数の膜の上に位置している、フィルタカラーと、
流入部と膜(複数の場合もある)との間に形成されたギャップと、
真空フィルタ
装置を囲む周囲の空気の気体を、膜(複数の場合もある)の上流側のギャップおよび流入部と直接流体連通させるように構成された、フィルタカラーの頂部のドーム状の部分における通路を含む上向きのベントであって、頂部の中央から逸れている当該上向きのベントと、
膜(複数の場合もある)の下に位置する流出部と、
膜(複数の場合もある)および流出部を通った濾過液を受領するための、流出部の下に隣接して位置する貯蔵部と、
流出部に隣接する
フィルタカラーの内部から
フィルタカラーの外部に貫通する
孔を有するラインであって、このラインが、膜(複数の場合もある)を通って貯蔵部内に液体を吸引するための
駆動圧力の発生源に接続されるように適合されている、ラインと、
を備えた、真空フィルタ
装置。
【請求項2】
真空フィルタ
装置を使用する方法であって、
a.真空フィルタ
装置を提供することであって、真空フィルタ
装置が、下方部分と頂部とを有するフィルタカラーであって、頂部の中央が、使用時に供給容器に直接に取り付けるための結合
装置を伴う流入部を有し、この流入部が、フィルタカラー内に液密にシールされた1つまたは複数の膜の上に位置している、フィルタカラーと、流入部と膜(複数の場合もある)との間に形成されたギャップと、真空フィルタ
装置を囲む周囲の空気の気体を、膜(複数の場合もある)の上流側のギャップおよび流入部と直接流体連通させるように構成された、フィルタカラーの頂部のドーム状の部分における通路を含む上向きのベントであって、頂部の中央から逸れている当該上向きのベントと、膜(複数の場合もある)の下に位置する流出部と、膜(複数の場合もある)および流出部を通った濾過液を受領するための、流出部の下に隣接して位置する貯蔵部と、流出部に隣接する
フィルタカラーの内部から
フィルタカラーの外部に貫通する
孔を有するラインであって、このラインが、膜(複数の場合もある)を通って貯蔵部内に液体を吸引するための
駆動圧力の発生源に接続されるように適合されている、ラインと、を有する、真空フィルタ
装置を提供することと、
b.濾過される液体を包含する供給容器を提供することであって、この
供給容器が、開口または流出部を有する、供給容器を提供することと、
c.
供給容器を垂直に上向きに配置し、
真空フィルタ
装置を供給容器の開口の上に逆さにすることと、
d.アセンブリを形成するために、
供給容器の開口を
真空フィルタ
装置の流入部に液密な方式で接続することと、
e.
供給容器がここで、
真空フィルタ
装置の上に逆さになるように、アセンブリを逆さにすることと、
f.
真空フィルタ装置内で濾過をさせて、
供給容器の液体を、膜(複数の場合もある)に通し、収集およびさらなる使用のために貯蔵部内に入れるために、
駆動圧力に接続された配管を
フィルタカラーのラインに取り付け、
駆動圧力を適用することと、
を含む、真空フィルタ
装置を使用する方法。
【請求項3】
駆動圧力が真空である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
駆動圧力によって空気がベントを通して
吸入され、供給容器に供給されて、濾過された液体と置換される、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年10月17日に出願された、米国仮特許出願第62/409,030号の優先権の利益を主張する。この文献は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示の実施形態は、概して、真空フィルタ装置に関し、より詳細には、1つの容器から、膜を通し、別の容器に濾過液を直接入れる、液体を濾過するための、そのような装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの実験装置が、実験サンプルの濃縮、分離、および/または浄化のために、濾過を実施するように開発されてきた。研究者は、決まって、他の調査研究の前に、自分のサンプルを濃縮する必要がある。生物学的な溶液を濾過するための装置は、概して、3つの主要な構成要素、すなわち、2つの容器間に介在する膜フィルタと、濾過されるサンプル溶液を保持するための、膜の上流に位置する供給用漏斗と、濾過されたサンプル溶液を収集するための、膜フィルタの下流に位置する濾過液容器と、を伴っている。通常、真空により、膜の下流で吸引され、フィルタの両側での圧力差を生じることにより、濾過の量を増大させる。
【0004】
いくつかの装置の設計が、供給液を濾過して濾過液容器に入れるために、製造されてきた。これらは、通常、牛胎児血清、組織培養液などの生物学的な溶液を浄化および殺菌するため、ならびに、HPLC緩衝剤の浄化、他の水ベースの緩衝剤および溶液の浄化などの、無菌ではない用途に使用される。
【0005】
図1は、これら従来の装置の通常の設計を示している。ユーザは、供給液を貯蔵容器から装置10の上方の漏斗12に搬送する。漏斗12は、通常は頂部が開いており、取外し可能な蓋11で閉じることができる。フィルタカラー15は、シールされているか、別様に、漏斗12の開いた底部14に永続的に取り付けられている。フィルタカラー15の下方部分は、収集用の貯蔵器または容器13に取り付けられている。通常、このことは、その底部表面(図示せず)のフィルタカラー15の流出部から、収集用の貯蔵器または容器13の内または上に形成された、ネジが形成された流入部(図示せず)に延びるネジ接続によって行われるか、単純に、フィルタカラー15の流出部を収集用の貯蔵器または容器13の流入部または開いた頂部の上に配置することによって行われる。そのような装置の1つが、EMD Millipore Corporation,Billerica Massachusettsから市販されている、STERICUP(R)システムとして知られている。
【0006】
これらのような真空濾過システムは、理想的には、細胞培養液、緩衝剤、および試薬の殺菌濾過に適している。この装置は、供給用漏斗のサイズに基づき、0.15リットルから2リットルの、最大の濾過前容量を扱うことができる。供給および濾過液の貯蔵容器の容量によって定められるように、大容量を、継続的に処理することができる。
【0007】
今日供給される装置は、濾過カラーに取り付けられた漏斗および蓋を含み、貯蔵器が下に取り付けられた、完結した形態である。アセンブリは、包装されたボトルキャップの状態で袋に入れられ、ガンマ線殺菌などによって殺菌されることで、1回のみ使用されるものとし、使い捨て可能とし、さらに、汚染のリスクを低減している。
【0008】
それにもかかわらず、記載のタイプの真空フィルタ装置は、これら装置をラボラトリでの使用に不便であるものとする複数の欠点を被っている。まず、これら装置は、液体サンプルを、その通常の実験用容器から、開いた漏斗に移動する必要がある。このことは、液体サンプルをこぼすこと、サンプルがより多くの表面に接触することに繋がる場合がある。これにより、不適切に洗浄されたか、取り扱われた実験器具からの、望ましくない種の非特異的な結合または付加による表面の欠損に繋がる場合がある。さらに、無菌状態の問題を制限するために、移送は、ラミナーフローフードにおいて行われる。ラミナーフローフードは、そのような作業に関し、高さおよび空間が制限されており、移送を困難にし、しばしば面倒にする。やはり、特に、一度の複数のサンプルをしなければならない人、および、1リットル以上の大容量を濾過する人に関し、人間工学的な懸念が存在する。濾過される流体の扱いにおけるユーザの不便さとは別に、この装置の開いた性質に起因して、特定の生物学的な溶液の無菌状態を脅かすリスクが大きくなっている。さらに、これらフィルタアセンブリのサイズが大きいことが、研究所の限られた貯蔵スペースをこれらアセンブリが占める結果となり、また、組み立てられた漏斗/カラー/貯蔵器によって占められる、その大であるサイズ/容量に起因して、輸送スペースおよびコストが増大する。さらに、濾過プロセスにおいて利用される容器が、使い捨てであり、1回のみの使用が意図されていることから、著しい量の固形廃棄物が、これらフィルタアセンブリおよび、関連する、濾過の前後の容器によって、発生する。具体的には、膜がリサイクル可能ではなく、膜を含むカラーと漏斗とがしっかりと、永続的に互いに取り付けられていることから、頂部全体をリサイクルできない。
【0009】
必要とされているのは、使用が容易であり、操作がより人間工学的であり、貯蔵および輸送の要請が低減され、廃棄可能なハードウェアが最小であり、さらに、生物学的な溶液がこぼれることを防止する、特にラボラトリの環境における、真空濾過のための装置である。特定の他の用途では、濾過された溶液の無菌状態を保つことも重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来技術の問題は、本明細書に開示の実施形態によって克服される。この実施形態は、サンプルを大量に濾過するのに特に有用な装置を提供する。しかし、用途は濾過に限定されない。特定の実施形態では、本装置は、利便性があり、信頼性のある方式で、迅速な高品質のサンプルの分離または精製を提供する。
【0011】
本発明は、細胞培養液ボトルなどの貯蔵容器に直接取り付ける、漏斗のない濾過装置である。
【0012】
特定の実施形態では、本装置は、1つまたは複数の膜を含むフィルタカラーと、フィルタ装置を、濾過される液体の供給源に取り付けるための結合装置を伴う流入部であって、好ましくは、結合装置には、カラーの頂部においてネジが切られている、流入部と、カラーの下方部分に位置する流出部と、膜(複数の場合もある)の下のカラーの真空ポートと、膜(複数の場合もある)の上のカラー内の濾過ベントと、を含んでいる。
【0013】
任意選択的に、本装置は、流出部に、好ましくはネジ接続によって取り付けられた、濾過液貯蔵器を含む場合がある。
【0014】
任意選択的に、フィルタカラーの上方の開口は、使用されるまで、選択的かつ着脱自在に、蓋でシールされる。次いで、蓋が取り除かれ、細胞培養液ボトルなどの貯蔵容器が、フィルタカラーの上方開口に取り付けられる。
【0015】
ボトル内のサンプルに真空などの駆動力を加えると、サンプルが濾過要素を通り、フィルタカラーの流出部の下の濾過液貯蔵器内に流れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】特定の実施形態に係る、本発明の装置の分解斜視図である。
【
図5A】使用中の装置および液体供給部の配置の斜視図である。
【
図5B】使用中の装置および液体供給部の配置の斜視図である。
【
図5C】使用中の装置および液体供給部の配置の斜視図である。
【
図6】本発明のフィルタ装置の流入部とは異なるサイズまたはネジ構成の供給容器のためのアダプタの断面図である。
【
図8A】スタックされた構成の、本発明のカラーを示す斜視図である。
【
図8B】スタックされた構成の、本発明のカラーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に
図2から
図4に移ると、本発明の一実施形態が示されている。図示のように、フィルタ装置18は、フィルタカラー24の流入部22の上に置かれ、着脱自在にシールする、任意選択的に除去可能である保護キャップまたは蓋20を有している。流入部22は、雌ネジ部分などの、もっとも上の部分の結合装置26と、この結合装置26の下のシーリングリム28とを有している。シーリングリム28は、フィルタカラー24の残りの部分の上方部分に対し、シーリングリム28によって流入部22をシールするためのものである。このことは、構成要素28と24とをともに熱シールまたは超音波溶接することによって行われる場合がある。結合装置26は、供給容器25に選択的に固定することができる。この供給容器25の固定は、装置の使用中に容器25内の液体を濾過するためのものである。
【0018】
カラー24は、カラー24の上側表面と、流入部22のシーリングリム28との間がシールされる、1つまたは複数の膜30を有している。膜(複数の場合もある)は、通常、多孔性プレート31の上で支持されている。膜(複数の場合もある)は、プレート31またはカラー24の他の内側表面に接着されるか、溶接されるか、熱接着される場合があり、あるいは、膜(複数の場合もある)は、プレート31とシーリングリム28との間に配置された1つまたは複数のガスケットまたはOリングによって圧縮シールされる場合がある。それにより、流入部22に入るいずれの液体も、流出部34を出る前に、膜(複数の場合もある)を通らなければならないようになっている。
【0019】
濾過液貯蔵器32は、カラー24の流出部34の下に位置している。
図3に示す実施形態では、貯蔵器32(図示せず)は、一連の相互作用するネジ山36によって流出部34に取り付けることができる。代替的には、
図7に示すように、流出部34は、ネジが形成されていない部分35とすることができ、貯蔵器32(図示せず)として作用するボトルまたは他の容器の流入部の上に単に置くことができる。
【0020】
流入部22のシーリングリム28は、
図3に示すように、流入部22と膜(複数の場合もある)30との間に空間またはギャップ40を提供するように、ドーム状の部分38を有している。ベント42は、ギャップ内に位置し、装置の外部からギャップ40内に空気が入るための通路を提供している。ベント42は、疎水性の多孔性フリットまたは疎水性の膜(図示せず)などのフィルタを有している。このフィルタは、塵またはバクテリアによる外部の汚染のあらゆるリスクを低減するように、装置に入る空気を濾過する。ベント42により、空気をギャップ40に入れ、流入部22を通し、媒体ボトル25内に流して、使用中に濾過された液体と置換する。
【0021】
カラー24は、真空などの、システムのための駆動圧力の発生源のためのライン44を有している。このラインは、
図3に示すように、流出部34の下かつ外側の位置から、カラーの外部に延びる孔を有している。チューブ(図示せず)は、装置内で作用するように、かつカラー24を通しての濾過の流れを形成するように、駆動力を通すことを可能にするために、カラー24の外部のラインの端部に取り付けることができる。
【0022】
貯蔵器32は、使用される場合、容量は特に限定されないが、約500ミリリットルまたは1000ミリリットルなど、比較的大量のサンプルを保持することができる、概して円筒状の一片の容器である。通常、貯蔵器32は、カラー24のネジが切られた流出部と選択的に嵌合する、ネジが切られた開口を有している。特定の実施形態では、貯蔵器32のためのキャップ(図示せず)を有することが有利である。ユーザはしばしば、一度に数週間の間、貯蔵器32内に媒体を貯蔵し、濾過された媒体とともに細胞を供給するために、または一連の実験で試薬などの他の液体を使用するために、貯蔵器32に定期的にアクセスする。そのようなキャップには、しばしば、前の装置が提供されており、当業者にはよく知られている。
【0023】
特定の実施形態では、貯蔵器32は、ポリスチレン、ポリカーボネート、PET類の一種(たとえば、PETG、PETE)、およびポリオレフィン、特にポリプロピレンなどのプラスチックで製造されているが、(コストおよび真空の強度を考慮しつつ)動作に害のない任意の他の適切な材料で製造される場合もある。いくつかのケースでは、HPLCおよび他の用途のための濾過液の貯蔵のために、ガラスの貯蔵器を使用することができる。
【0024】
膜(複数の場合もある)30は、微小孔構造の膜、限外濾過用の膜、ナノ濾過用の膜、または逆浸透膜を含むが、これらに限定されない、生物標本の濾過に一般的に使用されている、任意の様々なものである場合がある。好ましくは、微小孔構造の膜、限外濾過用の膜、またはナノ濾過用の膜が使用される。さらにより好ましくは、微小孔構造の膜が使用される。
【0025】
代表的な、適切な微小孔構造の膜には、セルロース、再生セルロース複合材料、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホンおよびポリアリールスルホンを含むポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、超高分子量ポリエチレンなどのポリオレフィン、低密度ポリエチレンおよびポリプロピレン、ナイロンおよび他のポリアミド、PTFE、ポリ(TFE-co-PFAVE)などの熱可塑性フッ化ポリマ、ポリカーボネート、または、Minnesota州、Minneapolisの3M社から入手可能なEMPORE(R)膜などの粒子で充填された膜が含まれる。そのような膜は、当該技術分野でよく知られており、Massachusetts州、BillericaのEMD Millipore Corporationを含む、様々な供給元から市販されている。所望であれば、それら膜は、親水性とするように処理される場合がある。そのような技術は、よく知られており、限定ではないが、親水性材料またはコーティングを膜の表面に、グラフティング(grafting)、架橋結合、または単純に重合させることが含まれる。
【0026】
代表的な限外濾過膜またはナノ濾過膜には、ポリエーテルスルホンおよびポリアリールスルホンを含むポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ならびにセルロースが含まれる。これら膜は通常、高度に多孔性の構造で概して形成された支持層を含んでいる。これら支持層のための通常の材料には、スパンボンドした(spun bounded)ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどの不織材料、または、膜自体と同じか異なるポリマで形成されたガラスもしくは微小孔構造材料が含まれる。そのような膜は、当該技術分野でよく知られており、Massachusetts州、BillericaのEMD Millipore Corporationなどの、様々な供給元から市販されている。
【0027】
微小孔構造ではない(たとえば、デプスフィルタ)、不織フィルタなどである、膜構造とともに、グラスファイバまたはマット、セラミックフィルタなどの無機材料の使用も可能である。いくつかの用途では、膜の組合せにより、性能が向上される場合がある。たとえば、特に汚いサンプルに関し、プレフィルタマトリクスとして機能するデプスフィルタを、その下に位置する微小孔構造膜と組み合わせて使用することができる。DNAおよびRNAなどの核酸を回収するために使用される実施形態では、グラスファイバまたはマットが、単独で、または、その上の1つもしくは複数のプレフィルタ層、および/または、その下の1つもしくは複数の微小孔構造層と組み合わせて使用される場合がある。
【0028】
カラーおよび流入部を形成するために使用することができる適切なポリマは、限定ではないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、PTFE樹脂および他のフッ素樹脂、アクリル性およびメタクリル性の樹脂およびコポリマ、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩素処理したポリ塩化ビニル、ABSならびにその合金および混合物、ポリオレフィン、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレンとそのコポリマ、ポリプロピレンとそのコポリマ、ならびに、メタロセンが生成されたポリオレフィンが含まれる。
【0029】
好ましいポリマは、ポリオレフィン、特に、ポリエチレン、ポリプロピレンとそれらのコポリマ、ポリスチレン、アクリル、およびポリカーボネートである。
【0030】
ベントフィルタは概して、上述の微小孔構造フィルタなどの膜か、好ましくは、Filtrona R#212831およびPorex#6950のフリットなどの疎水性の、多孔性フリットである。選ばれた任意の膜またはフリットは、空気流を、所望の液体の流れに適合させるように選択されるものとする。通常、これらの装置は、約500ミリリットル/分の流量である。
【0031】
フィルタ装置18の蓋20は、流入部22の頂部にわたってヒートシールされたか接着された、プラスチックまたは金属フォイルとすることができる。代替的には、プラスチック、金属、またはゴムで製造された、ネジが切られたプラグであってもよい。このネジは、流入部22に含まれるネジと同じであり、それにより、輸送または貯蔵の間、流入部22を選択的に封鎖するようになっている。
【0032】
ほとんどの供給容器は、容器の開口の外側表面がネジを有するボトルである。通常、これらはGL38かGL45の基準のボトルのネジの形式になり、流入部22のネジは、それら直径の1つであるようにネジの構成に適合させて設計され、それにより、供給容器25のネジが、流入部22のネジと適合するとともに嵌合する。他のサイズを使用することができ、本装置は、そのサイズに適合するように製造することができる。代替的には、
図6に示すように、流入部22のネジと嵌合する雄端部102と、所望の供給容器25と嵌合する直径およびネジの構成を有する雌端部104とを有するアダプタ100を供給することができる。
【0033】
図5Aから
図5Cは、使用中のその様々な位置にある装置を示している。
【0034】
操作時には、Sigma-Aldrich Co LLCまたはEMD Millipore Corporationなどのサプライヤから購入することができる、媒体ボトル25などの供給容器に濾過されるサンプル溶液が収容されている。容器25のキャップ(図示せず)は、
図5Aから
図5Cに示すように、取り除かれている。同様に、使用される場合は、フィルタ装置18の蓋20(図示せず)も取り除かれている。
【0035】
図5Aに示すように、容器25および装置18は、互いに隣り合っている。フィルタ装置18はこのため、
図5Bに示すように、容器25の上になるように持ち上げられ、逆さにされる。フィルタ装置18は、ネジが形成されているか、別様に、流入部22により、容器25の口に液密に取り付けられる。組み立てられた容器25およびフィルタ装置18は、次いで反転され、これにより、容器25がここで逆にされ、フィルタ装置18上に支持される。容器25は、ここで、垂直に直立している(
図5C)。
【0036】
ある長さの配管(図示せず)は、真空ポンプ(図示せず)に接続され、ポート44に真空が適用され、貯蔵器32から空気が抜かれ、この貯蔵器32の内部の圧力がそれに応じて低減される。次いで、処理されていないサンプル溶液が、より高い圧力の容器25から、流入部22を通ってカラー24に入り、膜(複数の場合もある)30を通される。濾過された溶液は、流出部34を通って流れ、濾過液として貯蔵器32内に収集される。駆動力として作用する圧力差を維持するために、大気圧の空気がベント42を通って入り、膜(複数の場合もある)30を通るサンプル溶液の容量と置換される。
【0037】
濾過が完了すると、空の容器25をフィルタ装置18から取り除き、リサイクルすることができる。カラー24は、貯蔵器32の上に残っている場合があるか、キャップ(図示せず)と置き換えられる場合がある。
【0038】
本装置は、以前よりも使用が容易であり、構成要素をより多くリサイクルする、濾過装置を提供する。
【0039】
本装置は、以前の設計よりも約40%少ないプラスチックを使用する。
【0040】
同様に、本装置は、濾過前の液体を、容器から漏斗中に注入する必要がないことから、面倒がより少ない濾過の手法を提供する。さらに、液体の注入および濾過の間にフードの下で、1リットルの液体のボトルを持ち上げて、保持する必要がないことから、本装置は、人間工学的に向上している。さらにまた、本装置が閉じたシステムであることから、液体をこぼすか装置を倒すか、または、現在の装置で生じ得る汚染を生じる可能性がない。むしろ、きれいで清潔な、液密な方式で、容器からフィルタ装置に直接供給される。
【0041】
さらに、漏斗をなくすことにより、より小さい外形を有し、装置が、ラミナーフローフードでの使用、ならびに、貯蔵および輸送が、より容易になる。
図8Aおよび
図8Bに示す一実施形態では、カラーのみ(24Aから24C)が、輸送および貯蔵のためのスタックされた構成で貯蔵されている。
【0042】
さらに、貯蔵器32が取り付けられた状態で提供される場合、輸送および貯蔵の間、約50%少ない空間を使用し、カラー24のみを提供して互いの上にスタックする場合、70%も少ない空間を使用する。
【0043】
最後に、カラーのみがリサイクル不可能であることから、リサイクル不可能である材料の量が劇的に低減される。