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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】高周波用途用のプローブカード
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
G01R1/073 E
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019543287
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053615
(87)【国際公開番号】W WO2018149847
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】102017000017037
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリチ、ステファノ
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-36188(JP,A)
【文献】特開平7-335287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0021474(US,A1)
【文献】特開2004-144742(JP,A)
【文献】特開2011-38930(JP,A)
【文献】特開2009-204393(JP,A)
【文献】国際公開第98/58266(WO,A1)
【文献】特開2017-36997(JP,A)
【文献】特許第7104054(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの試験装置のプローブカード(20)であって、第1の端部(24A)と第2の端部(24B)との間を長手軸(H-H)に沿って延在する複数のコンタクト要素(22)を独立して移動可能に収容する試験ヘッド(21)と、前記第1の端部(24A)が当接する支持プレート(23)と、可撓性膜(25)とを備え、
前記可撓性膜(25)は、前記可撓性膜(25)の中心部である第1の部分(25A)と、前記可撓性膜(25)の周辺部である第2の部分(25B)とを備え、
前記プローブカード(20)は、前記可撓性膜(25)の前記第1の部分(25A)において前記可撓性膜(25)の第1の面(F1)上に配置された複数のコンタクト先端(27)をさらに備え、
各コンタクト要素(22)の前記第2の端部(24B)は、前記第1の面(F1)の反対側の、前記可撓性膜(25)の第2の面(F2)に当接し、
記試験ヘッド(21)、前記支持プレート(23)と前記可撓性膜(25)の前記第1の部分(25A)との間に配置され、前記可撓性膜(25)は、前記可撓性膜(25)の前記第2の部分(25B)を介して前記支持プレート(23)に接続され、
前記可撓性膜(25)の前記第1の部分(25A)において前記第2の面(F2)に当接する前記複数のコンタクト要素(22)の数および配置は、前記可撓性膜(25)の前記第1の部分(25A)において前記第2の面(F2)の反対側の前記第1の面(F1)上に配置された前記複数のコンタクト先端(27)の数および配置と異なり、
各コンタクト要素(22)は棒形状を有し、前記複数のコンタクト先端(27)が前記電子デバイスと接触する際に、ばねとして曲がり、前記電子デバイスへの前記コンタクト先端27の接触力を調節することで、前記コンタクト先端の減衰要素としての役割を果たし、
前記試験ヘッド(21)の前記複数のコンタクト要素(22)は、複数のコンタクト要素の群(22’)を備え、前記群(22’)の各コンタクト要素(22)は、対応するコンタクト先端(27)に電気的に接続され、前記群(22’)に含まれていない前記複数のコンタクト要素は、前記複数のコンタクト先端(27)および前記群(22’)の前記複数のコンタクト要素から電気的に絶縁される
ことを特徴とする電子デバイスの試験装置のプローブカード(20)。
【請求項2】
前記複数のコンタクト先端(27)は、200μm未満の高さを有し、前記高さは、前記長手軸(H-H)に沿って測定される、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項3】
前記複数のコンタクト先端(27)はそれぞれ、前記第1の面(F1)に直交する断面がT字状である、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項4】
前記コンタクト先端(27)は、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金から選択された導電性材料から作製される、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項5】
前記可撓性膜(25)は、各コンタクト先端(27)における前記第1の部分(25A)から前記可撓性膜(25)の前記第2の部分(25B)に向けて延在する導電性トラック(31)を含む、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項6】
前記複数のコンタクト先端(27)は、前記導電性トラック(31)に接合される、請求項5に記載のプローブカード(20)。
【請求項7】
前記複数のコンタクト先端(27)は、前記導電性トラック(31)に導電性接着剤フィルムによって接着される、請求項5に記載のプローブカード(20)。
【請求項8】
前記導電性トラック(31)は、前記支持プレート(23)のコンタクトパッド(26)に電気的に接続される、請求項5に記載のプローブカード(20)。
【請求項9】
前記可撓性膜(25)および前記支持プレート(23)は、押圧接触、導電性ゴムにより、または接合により、互いに電気的に接続される、請求項8に記載のプローブカード(20)。
【請求項10】
前記導電性トラック(31)は、無線周波数接続手段により、前記試験装置に直接接続される、請求項5に記載のプローブカード(20)。
【請求項11】
前記導電性トラック(31)は、前記可撓性膜(25)の前記第1の面(F1)および前記可撓性膜(25)の前記第2の面(F2)のうちの1つに沿って延在する、請求項5に記載のプローブカード(20)。
【請求項12】
前記導電性トラック(31)は、前記可撓性膜(25)内に延在する、請求項5に記載のプローブカード(20)。
【請求項13】
前記可撓性膜(25)は、ポリアミドから作製される、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項14】
前記群(22’)の各コンタクト要素は、前記可撓性膜(25)内に作製された接続導電性トラック(31’)により、対応するコンタクト先端(27)に電気的に接続され、前記接続導電性トラック(31’)は、前記可撓性膜(25)の前記第1の面(F1)と前記第2の面(F2)との間を延在する、請求項に記載のプローブカード(20)。
【請求項15】
前記群(22’)の前記複数のコンタクト要素(22)は、電源信号、グラウンド信号、および低周波信号の中から選択される信号を伝送するように構成される、請求項に記載のプローブカード(20)。
【請求項16】
前記可撓性膜(25)は、前記第2の面(F2)上に複数のコンタクトパッド(30)を備え、前記複数のコンタクト要素(22)の前記第2の端部(24B)は、前記複数のコンタクトパッド(30)に当接するように構成される、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項17】
前記可撓性膜(25)は、前記第2の面(F2)上に複数のコンタクトパッド(30)を備え、前記複数のコンタクト要素(22)の前記第2の端部(24B)は、前記複数のコンタクトパッド(30)に当接するように構成され、
前記可撓性膜(25)の前記複数のコンタクトパッド(30)の少なくとも1つの群(30’)は、導電性材料から作製され、前記群(22’)の前記複数のコンタクト要素(22)の前記第2の端部(24B)は、前記群(30’)の前記複数のコンタクトパッド(30)に当接する、請求項14に記載のプローブカード(20)。
【請求項18】
前記支持プレート(23)は、前記試験装置に接続されるように構成されたプリント回路基板である、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項19】
前記プローブカード(20)は、前記支持プレート(23)に接続されたスペーストランスフォーマをさらに備える、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項20】
前記試験ヘッド(21)は、その中に前記複数のコンタクト要素(22)が摺動自在に収容される、それぞれの複数の案内穴を設けた、少なくとも1つの上方ガイド(21A)および少なくとも1つの下方ガイド(21B)を備え、前記上方ガイド(21A)および前記下方ガイド(21B)は、ギャップ(32)によって分離される、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項21】
前記複数のコンタクト要素(22)の数は、前記複数のコンタクト先端(27)の数よりも小さい、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項22】
前記複数のコンタクト要素(22)が当接する前記複数のコンタクトパッド(30)は、少なくとも2つ以上のコンタクト先端(27)に対応する、前記可撓性膜(25)のエリアを包含するように延在する、請求項16に記載のプローブカード(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスを試験するためのプローブカードに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、第1の端部と第2の端部との間を長手軸に沿って延在する複数のコンタクト要素を収容する試験ヘッドと、第1の端部が当接するように構成された支持プレートとを備えるプローブカードに関する。
【0003】
以下の説明は、その説明を簡素化する目的のみで、その適用分野を参照して行う。
【背景技術】
【0004】
よく知られているように、プローブカードとしても知られている試験カードは、基本的には、マイクロストラクチャ、特に半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスの複数のコンタクトパッドを、機能性試験、特にその電気的な、または一般的に試験を行う試験装置の対応するチャンネルと電気的に接続するように構成された装置である。
【0005】
具体的には、集積デバイスに対して行われる試験は、早ければ製造段階において欠陥回路を検出して分離するのに有用である。したがって、通常、プローブカードは、ウェーハ上に集積された複数のデバイスを、それらを切断し、チップ格納パッケージ内に組み立てる前の電気的試験に採用される。
【0006】
プローブカードは、略プレート形状であり、順次、互いに平行な少なくとも一対の支持体またはガイドによって保持された複数の可動式コンタクトプローブを実質的に含む試験ヘッドを備える。このプレート形状の支持体は、好適な穴を設けており、通常、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金のワイヤから作製されたコンタクトプローブの移動および変形見込みのために自由空間またはエアギャップを残すように、互いに一定の距離をおいて配置されている。
【0007】
具体的には、図1は、その中を複数のコンタクトプローブ6が摺動する各案内穴4および5を有する、通常「上方ダイ」として示される少なくとも1つのプレート形状の支持体または上方ガイド2と、通常「下方ダイ」として示すプレート形状の支持体または下方ガイド3とを順次備える試験ヘッド1を含むプローブカード15を概略的に示している。
【0008】
各コンタクトプローブ6は、被試験デバイスと、プローブカードがその終端要素を形成する試験装置(図示せず)との間で機械的および電気的接触を実現するように、ウェーハ9上に集積された被試験デバイスのコンタクトパッド8に当接することが意図されたコンタクト先端7で1つの端において終端する。
【0009】
図1に示されるように、上方ダイ2および下方ダイ3は、好適には、コンタクトプローブ6の変形を可能にするエアギャップ10により、間隔が空いている。
【0010】
コンタクトプローブ6と、被試験デバイスのコンタクトパッド8との間の良好な接続は、デバイス自体に対する試験ヘッド1の圧力によって保証にされ、ガイド上に実現された案内穴内で可動であるコンタクトプローブ6は、押圧接触中に、エアギャップ10内で曲がり、案内穴内で摺動する。このタイプの試験ヘッドは通常、垂直プローブを有する試験ヘッドと呼ばれ、英語の用語:「垂直プローブヘッド」によって示される。
【0011】
場合によっては、コンタクトプローブは、プレート形状の上方支持体においてヘッド自体に締結固定される:このような試験ヘッドは、ブロック化試験ヘッドと呼ばれている。
【0012】
しかしながら、より頻繁には、試験ヘッドは、締結固定されたブロック化プローブとともに使用されないが、場合によってはマイクロコンタクトボードを介して、いわゆるボードに連結されて(interfaced)保持される:このような試験ヘッドは、非ブロック化試験ヘッドとして呼ばれている。マイクロ接触ボードは、プローブを接触させる他に、その上に実現されたコンタクトパッドを被試験デバイス上のコンタクトパッドに対して空間的に再配置する、具体的には、パッド自体の中心間の距離上の制約を緩和することをも可能にするため、マイクロ接触ボードは通常、「スペーストランスフォーマ」と呼ばれる。
【0013】
この場合、なおも図1を参照すれば、各コンタクトプローブ6は、試験ヘッド1を備えるプローブカード15のスペーストランスフォーマ13の複数のコンタクトパッドのうちの1つのコンタクトパッド12の方を向く、1つのいわゆる接触ヘッド11で終端するさらなる端エリアまたは領域を有する。コンタクトプローブ6とスペーストランスフォーマ13との間の良好な電気接続は、ウェーハ9上に集積された被試験デバイスのコンタクトパッド8と、コンタクト先端7との間の接触と同様に、スペーストランスフォーマ13のコンタクトパッド12への、コンタクトプローブ6のコンタクトヘッド11の押圧当接によって保証される。
【0014】
さらに、プローブカード15は、それによりプローブカード15が試験装置と連結するスペーストランスフォーマ13に接続された支持プレート14、一般にプリント回路基板(PCB)を備える。
【0015】
プローブカードの正確な動作は、基本的には2つのパラメータ:コンタクトプローブの垂直移動すなわちオーバートラベル、およびコンタクトプローブのコンタクト先端の水平移動すなわちスクラブ、に関連付けられる。知られているように、コンタクトパッドの表面をスクラブし、この方法で、たとえば薄層または酸化膜状の不純物を取り除き、プローブカードによって行われる接触を改善することが可能であるように、コンタクト先端の表面のスクラブを保証することが重要である。
【0016】
プローブと被試験デバイスとの間の良好な電気的接続が常に保証されるべきであるから、これらの特徴は全て、プローブカードの製造工程において評価され、調整されるべきである。
【0017】
デバイスのコンタクトパッドへのプローブのコンタクト先端の押圧接触が、プローブまたはパッド自体の破損をもたらすほど高くないことを保証することも重要である。
【0018】
この課題は、いわゆるショートプローブ、すなわち、限られた本体の高さを有する、具体的には5000μm未満の寸法を有するプローブの場合に強く感じられる。このタイプのプローブはたとえば、高周波用途に使用され、低減されたプローブの長さは、接続された自己インダクタンス現象を制限する。具体的には、「高周波用途用プローブ」との語は、1GHzよりも高い周波数を有する信号を伝送することができるプローブを示す。
【0019】
実際に、最大が無線周波数の一層高い周波数で信号を伝送し、その結果、たとえば、上述した自己インダクタンス現象により、これらの信号を、ノイズを加えることなく伝送することを可能にすることができるプローブカードを製造する最近の必要性がよく知られている。
【0020】
しかしながら、この場合、低減されたプローブの本体の長さは、プローブ自体の剛性を劇的に増加させ、これは被試験デバイスのコンタクトパッドへの個々のコンタクト先端によって加えられる力の増加につながり、これは被試験デバイスに対する修復不能の損傷を伴う、上記パッドの破損につながる場合があり、明らかに回避しなければならない状況である。より危険なことには、その本体の長さの低減によるコンタクトプローブの剛性の増加は、プローブ自体の破損のリスクも増大させる。
Form Factor Inc.の名義による、2004年3月11日付けの米国特許出願公開第2004/0046579号明細書、および2004年2月26日付けの米国特許出願公開第2004/0036493号明細書は、集積回路(IC)テスターと試験される1つまたは複数のICの電源およびグラウンドパッドである入出力(I/O)との間の信号経路を設けるためのプローブボードアセンブリに関し;より具体的には、プローブボードアセンブリは、好ましくは、剛性を有する絶縁基板と、その上方面上に搭載された可撓性ばねコンタクトと、その下方面上に搭載された、対応する1組の可撓性ばねコンタクトとを含むインターポーザを備える。
いくつかの実施形態によれば、フレックスケーブルの下側には、フィンガー内の導体によってアクセスされ得るICパッドの上方に、スペーストランスフォーマの下に延在するフィンガーを有し、フィンガーの下側にある先端は、上記パッドとフィンガー内の導体との間に信号経路を設けている。プローブボードアセンブリは、フィンガーと、信号を搬送しないスペーストランスフォーマの下面上のパッドとの間に接続されたプローブをも含む場合があるが、そのかわりに、可撓性構造部材としての役割だけを果たす場合もあり、各プローブは、フィンガーを支持し、その水平移動の範囲を制限する。
さらに、INNOCONNEX Inc.の名義による、2008年3月13日付けの米国特許出願公開第2008/0061808号明細書は、いくつかの異なる部品間のIC試験に必要なばねコンプライアンスのパーティションを設けるプローブカードアーキテクチャを開示しており;より具体的には、プローブカードは、相互接続(interconnector)基板と、電気的に試験されるデバイスのパッドとの電気接触を行うためのインターフェースを提供し、相互接続基板の第1の面において接続される第1のばねネットワークと、相互接続基板の第2の面上にあり、テスターに対するインターフェースを提供する第2のばねネットワークとを含み得る。
よって、第1および第2のばねネットワークは、プローブカードが、試験されるデバイスと接触する間に、相互接続基板が(強固に保持される代わりに)浮動することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の技術的課題は、先行技術によって作製されたプローブカードに現在もなお影響を及ぼしている制約および欠点を解消する、具体的には、高周波信号を当該信号に対してノイズを加えることなく伝送することができ、同時に、対応するコンタクトプローブが被試験デバイスのパッドと接触する際のその正確な動作を保証し、よって、コンタクトプローブの、および上記パッド自体の破損のリスクをなくすことを可能にする構造的および機能的特徴を有するプローブカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の根底にある解決策の思想は、プローブカードであって、そのコンタクトプローブが可撓性膜の面に接続された非常に短いコンタクト先端として成形され、プローブカードに含まれる試験ヘッドのコンタクト要素がコンタクト先端において可撓性膜の反対面上に配置され、コンタクト要素が、被試験デバイスの対応するパッドとコンタクト先端との接触を減衰させる(damp)ように可撓性膜の反対面に当接するプローブカードを作製することである。
【0023】
この解決策の思想に基づけば、上記技術的課題は主に、電子デバイスの試験装置のプローブカードであって、第1の端部と第2の端部との間を長手軸に沿って延在する複数のコンタクト要素を収容する試験ヘッドと、上記第1の端部が当接するように構成された支持プレートと、可撓性膜とを備え、上記プローブカードは、上記試験ヘッドが、上記支持プレートと上記可撓性膜の第1の部分との間に配置され、上記可撓性膜が、上記可撓性膜の第2の部分を通して上記支持プレートに接続されることを特徴とし、上記プローブカードは、上記可撓性膜の第1の部分において上記可撓性膜の第1の面上に配置された複数のコンタクト先端をさらに備え、各コンタクト要素の上記第2の端部は、上記第1の面の反対側の、上記可撓性膜の第2の面に当接するように構成され、上記複数のコンタクト要素の数および配置は、上記複数のコンタクト先端の数および配置と異なる、電子デバイスの試験装置のプローブカードによって解決される。
【0024】
より具体的には、本発明は、必要に応じて、個々に、または組み合わせで採用される、以下の付加的かつ任意的な特徴を備える。
【0025】
本発明の一態様によれば、上記コンタクト先端は、200μm未満の高さを有し得て、上記高さは、上記長手軸に平行な方向において測定される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、上記コンタクト先端は、T字状であり得て、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金、好ましくは白金合金から選択された導電性材料から作製され得る。
【0027】
さらに、上記可撓性膜は、各コンタクト先端における上記第1の部分から上記可撓性膜の上記第2の部分に向けて延在する導電性トラックを含み得る。
【0028】
付加的に、上記複数のコンタクト先端は、上記導電性トラックに接合(weld)されるか、または上記導電性トラックに導電性接着剤フィルムによって接着され得る。
【0029】
本発明の一態様によれば、上記導電性トラックは、上記支持プレートのコンタクトパッドに電気的に接続され得る。
【0030】
具体的には、上記可撓性膜および上記支持プレートは、押圧接触、導電性ゴムにより、または接合(weld)により、互いに電気的に接続され得る。
【0031】
代替的に、上記導電性トラックは、無線周波数接続手段により、上記試験装置に直接接続され得る。
【0032】
さらに、上記導電性トラックは、上記可撓性膜の上記第1および/または上記第2の面に沿って延在し、および/または上記可撓性膜内に延在し得ることも指摘しておきたい。
【0033】
さらに、上記可撓性膜は、ポリアミドから作製され得る。
【0034】
本発明の一態様によれば、上記試験ヘッドの上記複数のコンタクト要素は、複数のコンタクト要素の群を備え得て、上記群の各コンタクト要素は、対応するコンタクト先端に電気的に接続され、上記群に含まれていない上記複数のコンタクト要素は、上記複数のコンタクト先端および上記群の上記複数のコンタクト要素から電気的に絶縁され得る。この場合、上記群の各コンタクト要素は、上記可撓性膜内に作製された接続導電性トラックにより、対応するコンタクト先端に電気的に接続され、上記接続導電性トラックは、上記可撓性膜の上記第1の面と上記第2の面との間を延在し得る。さらに、上記群の上記複数のコンタクト要素は、電源信号および/またはグラウンド信号および/または低周波信号を伝送するように構成され得る。
【0035】
本発明の一態様によれば、上記可撓性膜は、上記可撓性膜の上記第2の面上に複数のコンタクトパッドを備え、上記複数のコンタクト要素の上記第2の端部は、上記複数のコンタクトパッドに当接するように構成され得る。
【0036】
本発明の別の態様によれば、上記可撓性膜の上記複数のコンタクトパッドの少なくとも1つの群は、導電性材料から作製され、上記複数のコンタクト要素の上記群の上記複数のコンタクト要素の上記第2の端部は、上記群の上記複数のコンタクトパッドに当接する。
【0037】
さらに、上記支持プレートは、上記試験装置に接続されるように構成されたプリント回路基板であり得ることに留意すべきである。
【0038】
本発明の別の態様によれば、上記プローブカードは、上記支持プレートに接続されたスペーストランスフォーマをさらに備え得る。
【0039】
本発明のさらに別の態様によれば、上記試験ヘッドは、その中に上記複数のコンタクト要素が摺動自在に収容される、それぞれの複数の案内穴を設けた、少なくとも1つの上方ガイドおよび少なくとも1つの下方ガイドを備え得て、上記上方ガイドおよび上記下方ガイドは、ギャップによって分離される。
【0040】
上記複数のコンタクト要素の数は、上記複数のコンタクト先端の数よりも小さくなり得る。
【0041】
さらに、上記複数のコンタクト要素が当接する上記複数のコンタクトパッドは、2つ以上のコンタクト先端に対応する、上記可撓性膜のエリアを包含するように延在し得て、上記2つ以上のコンタクト先端は、上記複数のコンタクトパッドに当接する上記複数のコンタクト要素の各々に対応する。
【0042】
最後に、上記可撓性膜の上記第1の部分は、上記可撓性膜の中心部であり、上記可撓性膜の上記第2の部分は、上記可撓性膜の周辺部であり得る。
【0043】
本発明によるプローブカードの特徴および利点は、添付図面を参照して、直説的かつ非限定的な例によって与えられる、以下でなされる、その実施形態の記載する説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】先行技術によって作製されたプローブカードを概略的に示す。
図2A】本発明によって作製されたプローブカードを概略的に示す。
図2B】本発明によって作製されたプローブカードを概略的に示す。
図3A】本発明によるプローブカードの細部を示す。
図3B】本発明の代替的な実施形態によるプローブカードの細部を示す。
図4図3Aまたは3Bのプローブカードの可撓膜の概略図、具体的には、試験ヘッドに面するその面の概略図を上方から示す。
図5図3Aのプローブカードの可撓膜の概略図、具体的には、図4に表す面の反対側のその面の概略図を上方から示す。
図6A】本発明の代替的な実施形態によるプローブカードの細部を示す。
図6B】本発明の代替的な実施形態によるプローブカードの細部を示す。
図7】本発明のさらなる代替的な実施形態によるプローブカードの細部を示す。
図8】本発明のなおさらなる代替的な実施形態によって作製されたプローブカードを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図、具体的には、図2Aおよび2Bを参照すると、参照番号20は、本発明によって作製されたプローブカードを大局的かつ概略的に示す。
【0046】
なお、図は、概略図を表し、縮尺通りに描かれていないが、その代わりに本発明の重要な特徴を強調するように描かれている。
【0047】
さらに、図では、異なる要素は概略的に示されており、それらの形状は所望の用途に応じて変わり得る。図では、同じ参照番号は、形状または機能において、同一の要素を示すことに留意すべきである。最後に、ある図で示される実施形態に関して説明された具体的な特徴は、他の図に示されるその他の実施形態でも使用され得る。
【0048】
そのさらに一般的な形態では、プローブカード20は、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスを試験するための装置(図示せず)に接続するように構成される。
【0049】
プローブカード20は、複数のコンタクト要素22を収容する試験ヘッド21を備え、単に例として、6つのコンタクト要素22を図2Aに示し、8つのコンタクト要素22を図2Bに示す。
【0050】
一般に、試験ヘッド21は、コンタクト要素22を収容することが意図された本体21’を備え、よって、本体21’はコンタクト要素22の支持構造を実現する。
【0051】
プローブカード20は、好ましくは、プローブカード20と試験装置との間の接続を保証するプリント回路基板(PCB)である支持プレート23をさらに備える。
【0052】
コンタクト要素22は、第1の端部24Aと第2の端部24Bとの間を長手軸H-Hに沿って延在する本体22bを備え、第1の端部24Aは支持プレート23に当接するように構成される。
【0053】
プローブカード20は、可撓性膜25をさらに備え、試験ヘッド21は好適には、可撓性膜25と支持プレート23との間に置かれている。
【0054】
特に、可撓性膜25は、試験ヘッド21および支持プレート23それぞれを接触させることが意図された、第1の部分すなわち中心部25Aおよび第2の部分すなわち周辺部25Bを備える。
【0055】
具体的には、可撓性膜25は、その周辺部25Bにより、支持プレート23に電気的に接続され、電気接続は、たとえば、支持プレート23の好適な導電性コンタクトパッド26、およびその周辺部25Bにおいて可撓性膜25上に作製された好適なコンタクトパッドまたは導電部(図示せず)によって生じる。
【0056】
図2Aおよび2Bに示すように、支持プレート23のコンタクトパッド26は、試験ヘッド21に面するその面F上に作製され、面Fは、図2の局所参照による下方面である。
【0057】
図示していない実施形態では、支持プレート23は、それを通して可撓性膜25を通すことを可能にする好適な開口を備えている場合があり、可撓性膜25は、この場合、支持プレート23の面Fの反対側の面上に、すなわち、図2の局所参照によるその上方面上に作製されたコンタクトパッド(図示せず)に接続される。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、可撓性膜25の導電部は、押圧接触により、支持プレート23のコンタクトパッド26に接続される。代替的には、可撓性膜25および支持プレート23は、導電性ゴムによってか、または、接合(welding)によって、結合させ得る。
【0059】
支持プレート23が可撓性膜25を通すための開口を有する場合、たとえば試験装置から来る同軸ケーブルまたはSMAコネクターなどの無線周波数接続手段により、可撓性膜25を試験装置と直接接続することも可能である。すなわち、上記膜内の導電性トラックは、無線周波数接続手段により、試験装置に直接、接続することが可能である。
【0060】
有利には、本発明によれば、プローブカード20は、具体的には、その中心部25Aにおいて作製され、可撓性膜25の第1の面F1上に配置された複数のコンタクト先端27をさらに備え、第1の面F1は、図2の局所参照による、可撓性膜25の下方面である。
【0061】
コンタクト先端27は、半導体ウェーハ29上に集積された被試験デバイスのコンタクトパッド28に当接するように構成され、たとえば、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金、好ましくは白金合金から選択された導電性材料から作製される。
【0062】
先端コンタクト27は、好ましくはT字状であり(または、逆マッシュルーム状として成形され)、T字の柄部は、可撓性膜25に接続され、T字の頭部は、被試験デバイスのコンタクトパッド28と接触するように構成される。代替的には、コンタクト先端27は、順次、被試験デバイスのコンタクトパッド28を接触させるための、ロジウムから作製された突出コンタクト部を含み得る導電性バンプとして成形され得る。コンタクト先端27は、被試験デバイスのコンタクトパッド28を接触させるために好適な任意の形状のものであり得るので、明らかに、上述した例は、本発明を限定するものとみなされるべきでない。
【0063】
好適には、コンタクト先端27は、公知の解決策において使用されるコンタクトプローブの高さよりもかなり低い高さを有し、具体的には、少なくとも200μm未満、一般に10μm以上200μm以下に含まれる高さを有する。
【0064】
本明細書では、高さとの語は、コンタクト要素22の長手軸H-Hに平行の方向、すなわち、コンタクト要素22の長さに対応する方向において測定されたコンタクト先端27の寸法を意味する。
【0065】
よって、本発明のプローブカード20の複数のコンタクト先端27が高周波デバイスを試験するために好適であることは明らかであり、それらの高さは不利な自己インダクタンス現象を回避するようになっている。
【0066】
さらに、試験ヘッド21のコンタクト要素22は、第1の面F1の反対側の、可撓性膜25の第2の面F2に当接する。具体的には、各コンタクト要素22は、その第2の端部24Bにより、可撓性膜25の第2の面F2に当接し、第2の面F2は、図2の局所参照による上方面、すなわち、試験ヘッド21に面する面である。
【0067】
図2Bに示される本発明の好ましい実施形態では、コンタクト要素22の数は、コンタクト先端27の数に対応しない;具体的には、コンタクト先端27の配置は、被試験デバイスのコンタクト要素28の配置を反映すべきであるが、コンタクト要素22の配置は、具体的には、全体としてのプローブカード20に対する異なる基準に従うか、または、異なる要件を充足するために、他の方法で調整され得る。
【0068】
たとえば、コンタクト要素22は、可撓性膜25の中心部25A内に等間隔で配置されるか、または、可撓性膜25の強固な部分が、そのより繊細な部分よりも数が多い。コンタクト要素22の数および配置は、具体的には、コンタクト先端27によって加えられる力による、可撓性膜25に対する力配分によって調整され得る。
【0069】
コンタクト要素22は、複数のコンタクト先端27と、具体的には、それらの間に置かれる可撓性膜25により電気的に絶縁されることを指摘しておきたい。
【0070】
このようにして、コンタクト要素22は、半導体ウェーハ29上に集積された被試験デバイスのコンタクトパッド28へのその接触力を調節して、全体としてのコンタクト先端27の減衰要素としての役割を果たす。
【0071】
実際に、試験ヘッド21のコンタクト要素22は、1.5mm以上10mm以下に含まれる長さ、すなわち前述したように200μm未満である、対応するコンタクト先端27の高さよりもかなり大きい長さを有し、したがって、かなり大きな曲げ耐力を有することを指摘しておきたい。好適には、さらに、コンタクト要素22は、コンタクト先端27の減衰効果を最大化するために好適な材料から作製される。
【0072】
さらに、各コンタクト要素22は隣接のものと独立して移動するので、各コンタクト先端27は、被試験デバイスのコンタクトパッド28を接触させる際に、隣接するものと独立して移動することをも可能にすることを指摘しておきたい。この態様は、間におかれた可撓性膜25の可撓性とともに、被試験デバイス、具体的にはそのコンタクトパッド28のレベルの起こりうる差を効果的に補償することを可能にする。
【0073】
次に、図3Aを参照すると、可撓性膜25は、コンタクト要素22の第2の端部24Bが当接するように構成され、その第2の面F2上に作製される複数のコンタクトパッド30を順次備える。具体的には、コンタクトパッド30は、実質的に可撓性膜25の保護構造としての役割を果たし、可撓性膜25へのコンタクト要素22の第2の端部24Bの当接を減衰させるように構成される。
【0074】
可撓性膜25は、コンタクト先端27から支持プレート23に向けて、具体的には、そのコンタクトパッド26に向けて信号を伝送するように構成された導電性トラック31をさらに備える。
【0075】
コンタクト先端27は、可撓性膜25の導電性トラック31に、具体的には、その端部において好適に接続され、導電性トラック31は、接続された対応するコンタクト先端27において、可撓性膜25の中心部25Aから可撓性膜25の周辺部25Bに向けて延在するので、支持プレート23のコンタクトパッド26に接合されることが可能である。
【0076】
好ましい実施形態では、コンタクト先端27は導電性トラック31に接合される。代替的に、導電性接着剤フィルムにより、コンタクト先端27を導電性トラック31に接着することが可能である。
【0077】
このようにして、可撓性も有している導電性トラック31は、コンタクト先端27から支持プレート23のパッド26に向けて信号の所望の転送を行う。
【0078】
その結果、可撓性膜25は、試験ヘッド21のコンタクト要素22の支持面を設ける以外に、導電性トラック31により、PCB基板に向けて信号の転送を行い、したがって、一般に、公知のプローブカードのスペーストランスフォーマによって行われる機能も行う。
【0079】
プローブカード20がスペーストランスフォーマの機能を有する付加的なカードをさらに備えることも明らかに可能であるので、信号の転送は、可撓性膜25の導電性トラック31およびスペーストランスフォーマの両方によって行なわれ得る。
【0080】
図3Aに示す実施形態では、導電性トラック31は、対応するコンタクト先端27から始まり、可撓性膜25の第1の面F1に沿って延在する。
【0081】
導電性トラック31は、構成によって必要とされれば、可撓性膜25の第2の面F2上に延在し得る。
【0082】
さらに、図3Bに示される本発明の実施形態では、導電性トラック31は、可撓性膜25内に延在し得て(すなわち、その中に埋め込まれ得る)、よって、その第1の面F1上のみに延在しないことがある。
【0083】
この場合、導電性トラック31が第1の面F1から始まり、異なるレベル上に作製された、可撓性膜25を作製することが可能である。導電性トラック31が作製された可撓性膜25のレベルの数は、必要性および/または状況に応じて、具体的には、伝送される信号の数に応じて、したがって、可撓性膜25上に作製された転送パターンの複雑度に応じて、変わり得る。たとえば、第1のレベルが電源信号を伝送するのに好適なトラックを備え、第2のレベルがグラウンド信号を伝送するのに好適なトラックを備える構成が、設けられ得る。
【0084】
可撓性膜25に埋め込まれた導電性トラック31の場合、導電性トラック31の端部はいずれの場合にも、導電性トラック31と、図3Bに示されるように、具体的には当該端部に接続された、対応するコンタクトピット27との間の電気接続を可能にするように、可撓性膜25の第1の面F1から突出する。
【0085】
可撓性膜25は、所望の可撓性および所望の電気的絶縁を提供することができる誘電材料、好ましくはポリアミドから作製されるが、可撓性膜25の導電性トラック31は、好ましくは銅から作製される。
【0086】
一般に、導電性トラック31を備える可撓性膜25は、公知の種類のリトグラフィ工程によって作製され得る。この手法は、可撓性膜25に埋め込まれた導電性トラック31の場合に、導電性トラック31を備える層が少なくとも2つの誘電体層31間に作製された多層状に可撓性膜25を作製することを可能であるので、有利である。
【0087】
さらに、支持プレート23は、先行技術のPCB基板のものと類似の構成を有し、相違点は、そのコンタクトパッド26が、好ましくはその周辺部上に作製されるので、可撓性膜25の周辺部25Bにおいて、導電性トラック31(または、上記膜の考えられるパッド)を電気的に接触させ得ることであることを指摘しておきたい。
【0088】
図4は、図3Aおよび3Bのプローブカードの可撓性膜25の概略図、具体的には、試験ヘッド21に面するその第2の面F2の概略図を上方から示している。
【0089】
より具体的には、コンタクト要素22が当接する、可撓性膜25のコンタクトパッド30は、その中心部25A上に作製され、それゆえ、可撓性膜25のコンタクトエリアを画定し、コンタクトエリアは、コンタクトパッド28を備えるウェーハ29上に集積された被試験デバイスのエリアに対応する。すなわち、コンタクト要素22および可撓性膜25のそれぞれのコンタクトパッド30は、可撓性膜25のコンタクトエリアのみにあり、可撓性膜25の周辺部25Bはコンタクトエリア外の部分である。
【0090】
代替的に、図5は、図3Aのプローブカードの可撓性膜25の概略図、具体的には、コンタクト先端27が接続されるその第1の面F1の概略図を上方から示している。
【0091】
図で明らかなように、導電性トラック31は、PCB基板との接続を可能にするように、コンタクト先端27から始まり、可撓性膜25の周辺部25Bに向かって、第1の面上に延在する。
【0092】
例示的な図示に過ぎない図4および5により示されていなくとも、コンタクト要素22の数は、コンタクト先端27の数に対応せず、同じく、隣接する2つのコンタクト要素22間の距離は、隣接する2つのコンタクト先端間の距離と異なることが注目される。
【0093】
たとえば、図6Aに示される実施形態では、1つのコンタクト先端27が、複数のコンタクト先端27に隣接し、共通のコンタクト要素22を共有することが可能であり、複数のコンタクト要素によって実現される支持は、上記膜を支持し、隣接する2つのコンタクト先端に対して所望の減衰効果を得るのに十分である。同じ状況が、3つ以上のコンタクト先端および単一のコンタクト要素に関係し得ることは明らかである。
【0094】
さらに、図6Bに示すさらなる実施形態では、コンタクト要素22は、2つ以上のコンタクト先端27において可撓性膜25の第2の面F2のエリアに当接し、コンタクト要素22が当接するコンタクトパッド30は、2つ以上のコンタクト先端27(図6Bでは3つのコンタクト先端)に対応する、可撓性膜25のエリアを包含するように延在するので、2つ以上のコンタクト先端27が、コンタクトパッド30に当接する各コンタクト要素22に対応する。すなわち、可撓性膜25の各コンタクトパッド30に対して、それに当接する対応するコンタクト要素22が対応するが、上記コンタクト要素22に対しては、2つ以上のコンタクト先端27、すなわち、対応するコンタクトパッド30より下方のこれらの複数のコンタクト先端27が対応する。
【0095】
図6Aおよび6Bの実施形態は、具体的には、非常に低減されたピッチを有する被試験電子デバイスの場合に有利である。
【0096】
たとえば図2Bに示されるように、コンタクト先端27に対して数が多い複数のコンタクト要素22を含むプローブカード20により、二元的な状況が想定され得る。
【0097】
図2A~2B、3A~3B、4、5、および6A~6Bに示す実施形態では、コンタクト要素22は、信号を伝送するように構成されていないが、コンタクト先端27の剛性による問題を解消し、これらが被試験デバイスのパッド28と接触する際に、これらを破損することを回避するように、プローブカード20の減衰要素としてのみ含まれている。代替的には、図7に示される本発明の実施形態では、コンタクト要素22の群22’も、被試験デバイスと試験装置との間で信号を伝送するように構成される。そのため、群22’の各コンタクト要素は、可撓性膜25内の接続導電性トラック31’により、対応するコンタクト先端27に電気的に接続され、接続導電性トラック31’は可撓性膜25の第1の面F1と第2の面F2との間を延在している。すなわち、接続導電性トラック31’は可撓性膜25の対向面F1およびF2を接続するように構成され、トラックはたとえば、可撓性膜25内に作製された好適な貫通穴または通路を導電性材料によって充填することによって作製される。
【0098】
このように、群22’のコンタクト要素は、二元的な機能を行い、すなわち、一方でプローブカード20に対して、具体的には、そのコンタクト先端27に対して減衰要素としての役割を果たし、他方で、これらは、支持プレート23に向かって信号を伝送する。この実施形態では、群22’に含まれていないコンタクト要素は、コンタクト先端27と、および他のコンタクト要素とも電気的に絶縁されており、減衰要素の機能を維持するに過ぎない。
【0099】
この実施形態では、支持プレート23は、群22’のコンタクト要素の第1の端部であって、試験装置に向けて信号を実際に伝送するために当該端部が当接する、群22’のコンタクト要素の第1の端部において、さらなる導電性コンタクトパッド(図示せず)を備える。
【0100】
さらに、この実施形態では、可撓性膜25のコンタクトパッド30の少なくとも1つの群30’は導電性材料でできており、群22’のコンタクト要素の第2の端部24Bは、当該群30’のコンタクトパッドに当接し、接続導電性トラック31’に接続される。
【0101】
可撓性膜25を貫通し、その2つの面F1およびF2上に現れ、次いで、第2の面F2から突出するように、群30’のコンタクトパッドを作製することも可能である。
【0102】
図7の実施形態は、いくつかの信号を伝送することが意図されたプローブカードの場合に、特に有利である。というのは、このようにして、ショートプローブによって伝送しなくてよい信号、すなわち低周波信号を群22’のコンタクト要素によって伝送することができ、一方、高周波信号を可撓性膜25の導電性トラック31に接続されたコンタクト先端27によって伝送することでき、可撓性膜25による信号の経路を大いに簡素化する。その結果、群22’のコンタクト要素は、好ましくは、電源および/またはマス(mass)信号を伝送するように構成され、および低周波入力/出力信号、すなわち、自己インダクタンスの問題を招くことなく、非ショートプローブによっても伝送され得る信号を伝送するように構成することが可能である。
【0103】
図8に示される本発明の実施形態では、試験ヘッド21の本体21’は、その中にコンタクト要素22を摺動自在に収容するそれぞれの複数の案内穴を有する、上方プレートすなわちガイド21Aおよび下方プレートすなわちガイド21Bを備え、上方ガイド21Aおよび下方ガイド21Bは、互いにエアギャップ32により分離されている。試験ヘッド21の本体21’が一対の平行ガイド状である場合、コンタクト要素22が支持プレート23および可撓性膜25と接触する際に、エアギャップ32は、コンタクト要素22を変形させることを可能にする。
【0104】
まとめれば、本発明は、可撓性膜の面に接続された非常に短いコンタクト先端としてコンタクトプローブが成形されたプローブカードを提供し、試験ヘッドのコンタクト要素は、コンタクト先端において可撓性膜の反対面上に配置されたプローブカードに含まれ、コンタクト要素は、コンタクト先端と被試験デバイスの対応するパッドとの接触を減衰させるように、可撓性膜の反対面に当接する。
【0105】
有利には、本発明によれば、提案されたプローブカードは、200μm未満の高さを有する、その中に備えるコンタクト先端の低減された寸法により、具体的には無線周波数用途において、実行する。
【0106】
全体としてコンタクト先端の減衰要素として実質的に動作する、(すなわち、コンタクト先端と被試験デバイスのコンタクトパッドとの間の接触を減衰させるように構成された、)上記膜とPCBとの間に置かれる、試験ヘッドのコンタクト要素の存在は、上記先端が剛性を有しないようにし、上記先端自体の破損の可能性を劇的に削減し、同時に、それらがかける圧力における適切な低減を確実にし、上記先端が当接する、被試験デバイスのコンタクトパッドのいかなる破損も回避することを可能にする。
【0107】
実際に、試験ヘッドのコンタクト要素は、対応するコンタクト先端の高さよりも大きな長さを有し、したがって、かなり大きな曲げ耐力を有する。
【0108】
有利には、コンタクト要素の配置は、他の方法で、具体的には、代替的に、被試験デバイスのコンタクトパッドの配置に結び付いた、コンタクト先端の配置に関して、全体としてのプローブカードに対する異なる基準に従うか、または異なる要件を充足するために調整され得る。具体的には、全体としてのコンタクト要素は、コンタクト要素がいかに一方から他方に独立して移動可能であろうとも、ニードルマットとして、コンタクト先端に対する減衰要素としての役割を果たす。
【0109】
公知の解決策と比較して本発明を特に魅力的にするのは、可撓性膜に当接する複数の個別のコンタクト要素の存在であり、これらの要素は、他のコンタクト要素と独立して、コンタクト先端用の支持体を設け、したがって、レベル、高さ、およびパッドに及ぼされる力の点で、プローブカードにおける均一性のいかなる考えられる欠如も補償することを可能にする。
【0110】
このようにして、少なくとも局所的には、隣接するものに対するコンタクト先端の移動の完全な独立性がまさに、これらの先端の減衰要素としての役割を果たすコンタクト要素の移動の独立性による。
【0111】
その結果、本発明のプローブカードは、一方で、高周波電子デバイスを試験することを可能にし、他方で、そのコンタクト先端および/または被試験デバイスのコンタクトパッドの破損を回避し、よって、本発明の技術的課題を解決することを可能にする。
【0112】
したがって、本発明のプローブカードは、構成される上記要素の、または、ウェーハの、およびにその中に含まれる被試験デバイスの平坦度の問題の場合にも、正確に動作する。
【0113】
すなわち、一方で、試験ヘッドのコンタクト要素が、可撓性膜の中心エリア内のコンタクト先端を支持し、よって上記膜の曲げが回避され、他方で、上記先端が被試験デバイスのパッドと接触する際に、ばねとして曲がって、減衰要素としての役割を果たすことにより、上記プローブの剛性の問題を解決する。
【0114】
さらに、いくつかのコンタクト要素が特定の信号を伝送するように構成されたハイブリッド構成を採用する可能性により、特に、プローブカードによって伝送されるいくつかの信号の場合に、可撓性膜による信号経路が大いに簡素化される。たとえば、コンタクト要素により、電源信号および/またはグラウンド信号、すなわち、特にショートコンタクトプローブを必要としない信号を伝送することが可能であり、一方、自己インダクタンスの問題を回避するためにショートプローブを必要とする高周波信号は、可撓性膜と結合されるコンタクト先端によってのみ、伝送される。
【0115】
本発明のプローブカードのいくつかの利点は、その実現プロセスを過度に複雑にすることなく、垂直プローブ試験ヘッドの技術を利用することによって実現されることが留意されるべきである。
【0116】
最後に、本発明によるプローブカードの構造は、低接触抵抗を保証することが留意されるべきである。
【0117】
明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって画定されるような、全て、本発明の範囲に含まれる、上述した数々の修正および変形をプローブカードに対して、起こり得る、および特定の要件を充足するために行い得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8