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特許7307064スイッチング素子に使用するための液晶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】スイッチング素子に使用するための液晶媒体
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/12 20060101AFI20230704BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20230704BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20230704BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230704BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20230704BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
C09K19/12
C09K19/34
C09K19/54 B
G02F1/13 500
C09K19/30
C09K19/54 Z
C09K19/38
G02F1/13 505
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020530994
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083254
(87)【国際公開番号】W WO2019110458
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】17205696.2
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250, 64293 Darmstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ユンゲ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス バイアー
(72)【発明者】
【氏名】ミラ フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ プタク
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513975(JP,A)
【文献】国際公開第2017/041872(WO,A1)
【文献】特表2013-545129(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161576(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/022891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓要素であって、
光学的に透明な状態と散乱状態とに電気的にスイッチング可能かつ動作可能であるスイッチング素子を含み、
前記スイッチング素子はスイッチング層を含み、
前記スイッチング層は2つの基板間に配置されており、
前記スイッチング層は、液晶媒体であって、
- 式I
【化1】
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、F、Cl、CF、OCFおよび置換されていないか、CNもしくはCFにより一置換されているかまたはハロゲンにより一置換もしくは多置換されている、1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルケニルを指し、1つ以上のCH基は、各場合において、それぞれ独立して、酸素原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-または-C≡C-により置き換えられていてもよく、
【化2】
は、
【化3】
を指し、
nは、0または1を指し、
【化4】
は、それぞれ独立して、
【化5】
[式中、Lは、各出現において、同一または異なって、F、ClおよびBrから選択されるハロゲンである]
を指す]
で示される1種以上のメソゲン化合物と、
- 1種以上のキラル化合物と
- 1種以上の重合性化合物と、を含み、
前記式Iで示される1種以上の化合物は、前記液晶媒体の全含量に対して少なくとも15重量%の量で前記液晶媒体中に含有され
前記1種以上の重合性化合物が、前記液晶媒体の全含量に対して10重量%以下の量で前記液晶媒体中に含有される、
液晶媒体を含む、窓要素
【請求項2】
液晶媒体が、0.55μm以上のピッチを示す、請求項1記載の窓要素
【請求項3】
前記液晶媒体が、
(i) 20℃、589nmで測定された、0.13以上の光学異方性Δnおよび/または
(ii) 98℃以上の透明点
を示す、請求項1または2記載の窓要素
【請求項4】
前記液晶媒体が、さらに、式IIおよびIII
【化6】
[式中、
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、F、CF、OCF、CNおよび置換されていないか、CNもしくはCFにより一置換されているかまたはハロゲンにより一置換もしくは多置換されている、1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルケニルを指し、1つ以上のCH基が、各場合において、それぞれ独立して、酸素原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-または-C≡C-により置き換えられていてもよく、
、L、L、LおよびLが、それぞれ独立して、HまたはFを指す]
で示される化合物の群から選択される1種以上のメソゲン化合物を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の窓要素
【請求項5】
請求項1に記載のLが、Fであり、請求項1に記載のRおよびRが双方とも、Clではない、請求項1から4までのいずれか1項記載の窓要素
【請求項6】
前記1種以上のキラル化合物が、5μm-1以上の螺旋誘起力の絶対値を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の窓要素
【請求項7】
前記1種以上の重合性化合物のうちの1種以上が、1つ、2つまたはそれ以上のアクリレート基および/またはメタクリレート基を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の窓要素
【請求項8】
前記1種以上の重合性化合物のうちの1種以上が、重合性メソゲン化合物である、請求項1から7までのいずれか1項記載の窓要素
【請求項9】
前記液晶媒体が、さらに、前記液晶媒体中で形成したポリマー成分を含み、
前記ポリマー成分が、前記液晶媒体の全含量に対して10重量%以下の量で前記液晶媒体中に含有される、請求項1からまでのいずれか1項記載の窓要素
【請求項10】
前記ポリマー成分が、請求項1、7または8記載の前記1種以上の重合性化合物を重合させてなるものである、請求項記載の窓要素
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に記載された式Iで示される1種以上のメソゲン化合物を含み、式Iで示される1種以上の化合物が媒体の全含量に対して少なくとも15重量%の量で媒体中に含有される、液晶媒体に関する。さらに、本発明は、該液晶媒体を含有するスイッチング層、スイッチング素子および窓要素に関する。
【0002】
光強度変調器、例えば、光シャッターは、液晶(LC)に基づくことができる。原則として、このような光シャッターは、光の散乱または光の吸収による場合がある。光散乱を使用するLC系光シャッターは、いわゆるポリマー分散液晶(PDLC)、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)およびコレステリック液晶(CLC)デバイスを含む。これらの散乱型デバイスは、透明状態と半透明状態との間を切り替えることができる。
【0003】
LC系光シャッターは、自動車および建築用途のためのスイッチング可能な窓として使用することができる。ここで、散乱モードで動作する光シャッターは、特に、プライバシー窓として使用することができる。また、光の散乱は、直射日光照射によるぎらつきまたはまぶしさを低減させるのに有用である場合がある。
【0004】
状態間のスイッチングは、例えば、熱的に制御することができる。しかしながら、多くの場合、電気的スイッチングを使用するのが適切であり、有利でさえある場合がある。デバイスが非散乱状態から散乱状態に切り替えられる時、光の透過率は、曇った、濁った、かすんだ、または不透明なものとしても知覚され得る半透明な外観が生じるように変化する。
【0005】
国際公開第2016/173693号には、スイッチング状態のうちの少なくとも一方において前方散乱特性を有し、透明状態から半透明または不透明状態へのスイッチングを容易にする、スイッチング素子に使用するための液晶媒体を含むスイッチング層が記載されている。
【0006】
当技術分野において、改善された化学的、物理的および電気光学的特性を有し、特に、スイッチング素子および窓要素に使用するための液晶媒体が必要とされている。さらに、当技術分野において、プライバシー用途のための均一な外観を伴って適切な散乱を提供することができ、適切な低電圧および低エネルギー消費で動作させることができ、例えば、電気的破壊および光安定性に関して、適切な信頼性および安定性を有することができる、スイッチング可能なデバイスが必要とされている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、特に、十分に高い光学異方性を、有利に高い電圧保持率(VHR)と共に示し、スイッチング素子および窓要素、特に、散乱モードを有するスイッチング可能な素子に特に有用な、改善された液晶媒体を提供することである。加えて、該液晶媒体は、良好な信頼性および安定性、特に、光安定性を有し、適切に高い透明点を有する広い液晶相を有することを目的とする。さらに、該液晶媒体は、良好な低温安定性および保存に適した安定性を有するのが望ましい。
【0008】
本発明のさらなる目的は、例えば、電気的破壊に対して良好な安定性を有し、好ましく低い動作電圧または低いエネルギー消費を有し、適切に効率的で十分に均一な散乱を示すことができる、スイッチング可能なデバイスを提供することである。別の目的は、このようなデバイスを製造するための効率的かつ容易な方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、下記詳細な説明から当業者には直ちに明らかである。
【0009】
これらの目的は、独立請求項に定義された主題により解決される。一方、好ましい実施形態は、各従属請求項で説明され、以下でさらに記載される。
【0010】
本発明は、特に、主な態様、好ましい実施形態および特定の特徴を含む下記項を提供し、これらはそれぞれ、単独でおよび組み合わせて、上記目的の解決に寄与し、最終的に、さらなる利点を提供する。
【0011】
本発明の第1の態様は、液晶媒体であって、
- 式I
【化1】
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、F、Cl、CF、OCFおよび置換されていないか、CNもしくはCFにより一置換されているかまたはハロゲンにより一置換もしくは多置換されている、1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルケニルを指し、1つ以上のCH基は、各場合において、それぞれ独立して、酸素原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-または-C≡C-により置き換えられていてもよく、
【化2】
は、
【化3】
を指し、
nは、0または1を指し、
【化4】
は、それぞれ独立して、
【化5】
[式中、Lは、各出現において、同一または異なって、F、ClおよびBrから選択されるハロゲンであり、好ましくは、Fである]
を指す]
で示される1種以上のメソゲン化合物と、
- 場合により、1種以上のキラル化合物とを含み、
式Iで示される1種以上の化合物は、該媒体の全含量に対して少なくとも15重量%の量で該媒体中に含有される、液晶媒体を提供する。
【0012】
驚くべきことに、本発明に係る液晶媒体を提供することにより、スイッチング素子に特に有用である改善された特性を有する媒体を得ることができることが見出された。式Iで示される1種以上のメソゲン化合物を特定された量で含むことにより、媒体は、幾つかの有利で有用な特性、特に、適切に高い光学異方性、有利に高い電圧保持率(VHR)、良好な光安定性および適切に高い透明点を組み合わせて示すことができる。
【0013】
本発明に係る媒体は、スイッチング素子、特に、光の散乱に基づくスイッチング素子、好ましくは、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)およびコレステリック液晶(CLC)デバイスに有益に使用することができる。
【0014】
本発明に係る媒体は、好ましくは、電磁放射、好ましくは、光、特に日光の通過を調節するためのデバイスに使用される。
【0015】
本発明に係る媒体は、CLC散乱型デバイスに使用されることが特に好ましい。したがって、該媒体は、1種以上のキラル化合物、特に、少なくとも1種のキラルドーパントを含有するのが好ましい。キラルネマチックまたはコレステリック液晶媒体の場合、該媒体は、好ましくは、比較的長いピッチを有する。該媒体は、好ましくは、0.55μm以上のピッチを示す。
【0016】
媒体は、少なくとも0.13の光学異方性Δnおよび/または少なくとも98℃の透明点を示すことがさらに好ましい。
【0017】
例えば、散乱効率または散乱効果の均一性および外観に関して、該媒体が、該媒体中に提供される1種以上の重合性化合物を重合させることにより好ましく得られるポリマー成分をさらに含む場合、特に、いわゆるポリマー安定化コレステリックテクスチャ(PSCT)が提供される場合に、さらなる利点を提供することができることが、現在認識されている。
【0018】
本発明の別の態様は、本発明に係る媒体を含む、スイッチング層に関する。
【0019】
さらなる態様では、該スイッチング層を含み、該スイッチング層が2つの基板間に配置されており、スイッチング素子が光学的に透明状態と散乱状態とに電気的にスイッチング可能かつ動作可能である、スイッチング素子が提供される。
【0020】
本発明に係る液晶媒体をスイッチング層に含ませることにより、改善されたスイッチング素子を得ることができることが有利に認識されている。特に、本発明によれば、プライバシー用途および/またはぎらつき低減のためのスイッチング素子が提供され、同スイッチング素子は、例えば、電気的破壊および光安定性に関して良好な信頼性および安定性を有利に示すことができかつ好ましく低い動作電圧または低いエネルギー消費を有利に示すことができ、適切かつ十分に均一な散乱を示すことができる。
【0021】
本発明の別の態様は、スイッチング層またはスイッチング素子を製造するための方法であって、本明細書に記載された1種以上の重合性化合物を含有する本発明に係る媒体を層として提供することと、1種以上の重合性化合物を重合させることと含む、方法に関する。
【0022】
驚くべきことに、該方法により、スイッチング層およびスイッチング素子を製造するのに容易かつ効率的な方法が提供される。
【0023】
本発明の別の態様では、本発明に係るスイッチング層またはスイッチング素子を含む、窓要素が提供される。
【0024】
本発明によれば、自動車および建築用途のためのスイッチング可能な窓に使用することができ、必要に応じてプライバシーモードを提供するのに特に有用かつ効率的である、すなわち、視界接触を有する状態から視覚バリアおよび/またはぎらつき抑制を与えるプライベート状態への切り替え可能性を提供する、有利な窓要素が提供される。さらに、スイッチングは高速であることができ、スイッチング素子は、例えば、伝統的な日よけまたはブラインドと比較して、顕著な利点を提供することができる最小限のスペース要求で設置することができる。
【0025】
本発明に係る窓要素は、光の通過、特に、日光の通過を調節するのに有用である。
【0026】
ただし、本発明に係るスイッチング素子は、外部ファサードの窓だけでなく、部屋の内部、例えば、部屋間の隔壁および部屋の個々の区画を隔てるための素子にも利用することができる。この場合、スイッチング素子を透明から散乱にスイッチングすることにより達成されるプライバシーにより、部屋の異なる部分間の視覚バリアを生成することができる。
【0027】
本発明を限定するものではないが、以下に、本発明を、態様、実施形態および特定の特徴の詳細な説明により例証し、特定の実施形態を、より詳細に説明する。
【0028】
本明細書において、「液晶」(LC)という用語は、好ましくは、幾らかの温度範囲において液晶中間相を有する材料または媒体(サーモトロピックLC)に関する。それらは、メソゲン化合物を含有する。
【0029】
「メソゲン化合物」および「液晶化合物」という用語は、1種以上のカラミチック(ロッドまたはボード/ラス形状)またはディスコチック(ディスク形状)メソゲン基、すなわち、液晶相または中間相挙動を誘引する能力を有する基を含む化合物を意味する。
【0030】
LC化合物または材料およびメソゲン化合物またはメソゲン基を含む材料は、必ずしも液晶相自体を示す必要はない。それらが他の化合物との混合物においてのみ、液晶相挙動を示すことも可能である。これは、低分子量の非反応性液晶化合物、反応性または重合性液晶化合物および液晶ポリマーを含む。
【0031】
カラミチックメソゲン化合物は、通常、互いに直接または連結基を介して連結している1つ以上の芳香族または非芳香族環状基からなるメソゲンコアを含み、場合により、メソゲンコアの末端に結合している末端基を含み、場合により、メソゲンコアの長辺に結合している1種以上の側鎖基を含み、これらの末端基および側鎖基は、通常、例えば、カルビルもしくはヒドロカルビル基、極性基、例えば、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ等または重合性基から選択される。
【0032】
単純化の目的で、「液晶」または「液晶」材料または媒体という用語は、液晶材料または媒体とメソゲン材料または媒体との双方に使用され、逆もまた同様であり、「メソゲン」という用語は、材料のメソゲン基に使用される。
【0033】
「非メソゲン化合物または材料」という用語は、上記定義されたメソゲン基を含有しない化合物または材料を意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」という用語は、1つ以上の異なる種類の繰り返し単位(分子の最小構成単位)の骨格を包含し、一般に公知の「オリゴマー」、「コポリマー」、「ホモポリマー」等の用語を含む分子を意味すると理解されるであろう。さらに、ポリマーという用語は、ポリマー自体に加えて、開始剤、触媒およびこのようなポリマーの合成に付随する他の要素からの残留物を含むと理解されるであろう。この場合、このような残留物は、ポリマーに共有結合的に組み込まれていないと理解される。さらに、このような残留物および他の要素は、通常、重合後精製プロセスの間に除去されるが、典型的には、ポリマーと混合されるかまたは共混合され、その結果、それらは、一般的には、ポリマーが容器間または溶媒もしくは分散媒体の間で移動される場合に、ポリマーに残留する。
【0035】
「重合」という用語は、複数の重合性基またはこのような重合性基を含有するポリマー前駆体(重合性化合物)同士を結合させることによりポリマーを形成する化学的プロセスを意味する。
【0036】
1つの重合性基を有する重合性化合物は、「一反応性」化合物も呼ばれ、2つの重合性基を有する化合物は、「二反応性」化合物とも呼ばれ、2つ以上の重合性基を有する化合物は、「多反応性」化合物とも呼ばれる。重合性基を有さない化合物は、「非反応性」または「非重合性」化合物とも呼ばれる。
【0037】
「薄膜」および「層」という用語は、多少を問わず、顕著な機械的安定性を有する剛性または可撓性の自己支持または自立薄膜または層および支持基板上または2つの基板間の被覆または層を含む。
【0038】
「キラル」という用語は、一般的には、その鏡像に重ね合わせることができない物体を説明するのに使用される。対照的に、「アキラル」(非キラル)物体は、それらの鏡像と同一である物体である。本発明に係る媒体は、場合により、キラリティーを示す。これは、キラルネマチック液晶としても公知のコレステリック液晶を提供することにより達成することができる。キラルネマチックおよびコレステリックという用語は、特に断らない限り、本明細書において同義的に使用される。
【0039】
本明細書において、
【化6】
は、trans-1,4-シクロヘキシレンを指す。
【0040】
本明細書において、特に断らない限り、全ての濃度は、重量%で与えられ、それぞれの完全な混合物に関する。
【0041】
全ての温度は、摂氏(℃)で与えられ、全ての温度差は摂氏で与えられる。全ての物理的特性および物理化学的または電気光学的パラメータは、特に、「Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals」, Status Nov. 1997, Merck KGaA、Germanyに従って、一般公知の方法により決定され、特に断らない限り、20℃の温度について与えられる。
【0042】
光の透過および散乱は、好ましくは、380nm~780nmのスペクトル範囲の電磁放射線の透過および散乱に関する。
【0043】
スイッチングは、好ましくは、バイナリ状態間のスイッチングを指し、ここで、好ましくは、一方の状態は非散乱であり、人間の目に対して実質的に透明または透明に見え、別の状態は散乱であるかまたは拡散透過性を有し、人間の目に対して半透明または不透明に見える。
【0044】
ただし、本発明に係るスイッチング層が、さらなるスイッチング状態、特に、中間状態を有することも可能である。
【0045】
したがって、本発明によれば、好ましくかつ望ましくは、完全にプライベートな状態と外部または隣接する空間への視界接触を有する状態との間のスイッチングを得ることができる。
【0046】
本発明に係るスイッチングは、好ましくは、電気的スイッチングを意味する。電気的スイッチングは、典型的には、基板、例えば、ガラス基板に電極を設けることにより達成することができる。実施形態において、導電層が基板上に提供され、導電層は、透明導電性物質、例えば、透明導電性酸化物、好ましくは、インジウムスズ酸化物(ITO)またはSnO:F、特にITOまたは導電性ポリマーまたは薄い透明金属および/もしくは金属酸化物層、例えば、銀を含むかまたはそれらから形成される。導電層には、好ましくは、電気的接続部が設けられる。電圧は、好ましくは、電池、蓄電池、スーパーキャパシタまたは外部電源により供給される。
【0047】
実施形態では、基板上に、例えば、ポリイミド(PI)製の配向層が設けられる。導電層および配向層は、基板上に共に設けられるのが特に好ましい。この場合、配向層は、配向層がLC媒体に接触するように、導電層の上部に設けられる。配向層、好ましくは、ポリイミド層は、特に界面において、液晶媒体の分子の均質または平面配向あるいはホメオトロピック配向を提供するように配置することができる。
【0048】
代替的には、別の好ましい実施形態によれば、配向層のない基板が使用される。驚くべきことに、追加の層として配向層、例えば、ポリイミド層を設けることを、有益に回避することができ、それでも、有効かつ効率的なスイッチング挙動を依然として実現することができることが見出された。
【0049】
基板上にパッシベーション層を設けることも可能であるが、代替的には、配向層に加えて、例えば、酸化ケイ素または窒化ケイ素を含むパッシベーション層、好ましくは、酸化ケイ素または窒化ケイ素からなるパッシベーション層を設けることも可能である。
【0050】
第1の態様では、本発明は、上記および以下に記載された式Iで示される1種以上のメソゲン化合物と、場合により、1種以上のキラル化合物を含み、式Iで示される1種以上の化合物が、媒体の全含量に対して少なくとも15重量%の量で該媒体中に含有される、液晶媒体に関する。
【0051】
本発明に係る媒体は、良好な光安定性および適切に高い透明点と組み合わせて、適切に高い光学異方性および好ましく高い電圧保持率(VHR)を有利に示すことができる。
【0052】
該媒体は、一般的には、スイッチング素子および窓要素に有用かつ適用可能である。PNLCデバイスを含む散乱型スイッチング素子に特に有用である。
【0053】
好ましい実施形態では、LC媒体は、正の誘電異方性を有する。この場合、誘電異方性Δεが3~45の範囲、より好ましくは、5~30の範囲にある液晶混合物が好ましい。
【0054】
別の実施形態では、LC媒体は、負の誘電異方性を有する。この場合、-6~-3の範囲の誘電異方性Δεを有する液晶混合物が好ましい。
【0055】
ただし、該媒体は、コレステリックまたはキラルネマチック媒体であるのが好ましい。
【0056】
コレステリック液晶(CLC)は、通常、例えば、初期状態において、特定の波長を有する光を反射し、電気交流電圧パルスの印加によりフォーカルコニック光散乱構造にまたはその逆にスイッチングすることができる平面構造を有する媒体を含有する。より強い電圧、特により強い電圧パルスを印加すると、CLC媒体は、ホメオトロピックな透明状態にスイッチングされ、そこから、電圧の急速なスイッチオフ後に平面状態にまたは低速スイッチオフ後にフォーカルコニック状態に緩和される。
【0057】
平面テクスチャでは、ブラッグ反射が生じる。この場合、反射光は、コレステリックヘリックスと同じ旋回を有する。
【0058】
フォーカルコニック状態では、螺旋軸は、ランダムに配置され、テクスチャは、ドメイン境界での屈折率の不連続な空間変動のために光散乱を示す。
【0059】
平面およびフォーカルコニック配位は双方とも、典型的には、外部電界が存在しない場合に安定である。平面状態とフォーカルコニック状態との間の電解駆動テクスチャ遷移の効果により、CLCディスプレイの動作の基礎が形成される。CLCのテクスチャが平面からフォーカルコニックテクスチャにスイッチングされると、ブラッグ反射が消え、CLCは、螺旋軸がランダムに分布しているため、入射光を散乱させる。
【0060】
ただし、状態間のスイッチングは、典型的には、ホメオトロピック状態によってのみ達成される。この場合、コレステリックヘリックスは、正の誘電異方性(Δε>0)を有するLC分子間の誘電体結合および垂直電界により完全に巻き戻される。
【0061】
本発明に係る実施形態では、スイッチング層の散乱状態は、上記されたフォーカルコニック状態であることができる。
【0062】
代替的には、好ましい実施形態によれば、本発明において、散乱状態は、ポリドメイン構造により形成される。好ましくは、このポリドメイン構造は、十分に強い散乱を生じさせることができ、一方同時に、ブラッグ型の反射挙動が、少なくともある程度、依然として観測可能なままである。ポリドメインを含む、好ましくは、ポリドメインからなるこの相において、螺旋軸の配向は、典型的には、ドメインごとに変化し、ドメイン境界が典型的に生じる。ただし、巨視的には、この相は、人間の目には均一に、特に均一に不透明または曇って見え、層領域全体にわたって目に見える欠陥がない。
【0063】
ポリドメイン構造は、例えば、平面またはホメオトロピック様式で配向された従来の配向層を使用して得ることができ、有利には、ポリドメイン状態へのスイッチングは、比較的低い電圧で達成することができる。ただし、ポリドメイン構造は、配向層が存在しない場合にも得ることができる。
【0064】
好ましい実施形態では、非散乱状態または透明状態は、上記されたホメオトロピック状態により形成することができる。この透明状態を使用することは、例えば、大きな面積を有する素子が使用される場合に好ましい場合がある。この点において、現在得られる有利に高いVHRは、自己放電挙動に対してこの状態にある素子を安定化させるため、顕著に低いリフレッシュレートおよび/またはより低い電力消費でさえ状態を持続することを可能にするのに有用であることができる。
【0065】
代替的には、非散乱状態または透明状態は、上記された平面テクスチャにより形成することができる。
【0066】
キラルネマチックまたはコレステリック媒体を使用することは、媒体を含むデバイスがエネルギー消費をより少なくすることができるように、比較的安定な状態、さらには双安定性を提供することができるという点で有益であることができる。特に、それぞれの状態は、電界がオフにされた後、少なくともかなりの時間、保持することができ、電圧の頻繁なアドレス指定またはリフレッシュを少なくすることが可能であり得る。
【0067】
コレステリックまたはキラルネマチック媒体が目下提供されている場合、該媒体は、比較的長いピッチ、特に、780nm超のブラッグ型反射を与えるピッチを有することが好ましい。この場合、平面テクスチャも、可視光スペクトルにわたって好ましい透過を与えることができる。
【0068】
本明細書において、ピッチは、コレステリックヘリックスのピッチpを意味する。ここで、ピッチpは、CLCの配向軸(ディレクタ)が2π回転するための距離である。好ましい実施形態では、該媒体は、0.55μm以上、より好ましくは、0.75μm以上、さらにより好ましくは、1.00μm以上、特に、1.50μm以上のピッチを示す。
【0069】
本発明によれば、ピッチは、選択反射極大波長λmaxの、特に20℃でのNIR分光測定により測定される。ピッチpは、λmaxの測定値から、等式λmax=n(λmaxp(式中、n(λmax)は、λmaxでの屈折率である)を使用して決定される。
【0070】
特に20℃で螺旋ねじれ力HTPを測定し、決定されたピッチを確認するために、当技術分野において公知のウェッジセル法を使用することも可能である。
【0071】
本発明のLC媒体は、場合により、1種以上のキラル化合物を含有し、好ましい実施形態によれば、1種以上のキラル化合物が、該媒体中に含まれることが必要である。
【0072】
上記されたように、該媒体は、好ましくは、780nm超の波長を有する選択的反射を示す。したがって、該媒体は、好ましくは、近赤外(NIR)スペクトル領域で反射する。
【0073】
キラルドーパントおよびそれらの濃度は、該媒体のコレステリックピッチが適切に設定されまたは調整されるように提供することができる。CLC媒体は、例えば、ネマチックLC媒体に高いねじれ力を有するキラルドーパントをドーピングすることにより製造することができる。ついで、誘引されたコレステリックヘリックスのピッチpは、キラルドーパントの濃度cおよび螺旋ねじれ力HTPにより、等式(1):
p=(HTP c)-1 (1)
に従って与えられる。
【0074】
例えば、個々のドーパントのHTPの温度依存性を補償することにより、CLC媒体のヘリックスピッチおよび反射波長の、低い温度依存性を達成するために、2種以上のドーパントを使用することも可能である。総HTP(HTPtotal)については、およそ等式(2)が成立する:
HTPtotal=ΣHTP (2)
(式中、cは、個々のドーパントの濃度であり、HTPは、個々のドーパントの螺旋ねじれ力である)。
【0075】
好ましい実施形態では、該液晶媒体は、1種以上のキラルドーパントを含有する。キラルドーパントは、好ましくは、HTPの絶対値が高く、一般的には、比較的低濃度でメソゲンベース混合物に加えることができ、アキラル成分中で良好な溶解性を有する。2種以上のキラル化合物が利用される場合、それらは、同じまたは反対の回転方向およびねじれの同じまたは反対の温度依存性を有することができる。
【0076】
好ましくは、本発明に係る1種以上のキラル化合物は、好ましくは、Merck KGaAからの市販の液晶混合物MLC-6828中において、5μm-1以上、より好ましくは、10μm-1以上、さらにより好ましくは、15μm-1以上の螺旋ねじれ力の絶対値を有する。好ましくは、Merck KGaAからの市販の液晶混合物MLC-6828中において、20μm-1以上、より好ましくは、40μm-1以上、さらにより好ましくは、60μm-1以上、最も好ましくは、80μm-1以上~260μm-1以下の螺旋ねじれ力(HTP)の絶対値を有するキラル化合物が特に好ましい。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、キラル成分は、全てHTPの同じ符号を有する2種以上のキラル化合物からなる。個々の化合物のHTPの温度依存性は、高くてもまたは低くてもよい。該媒体のピッチの温度依存性は、HTPの異なる温度依存性を有する化合物を対応する比率で混合することにより補償することができる。
【0078】
適切なキラルドーパントは、当技術分野において公知である。その幾つか、例えば、ノナン酸コレステリル、R/S-811、R/S-1011、R/S-2011、R/S-3011、R/S-4011、B(OC)2CH-C-3またはCB15(全てMerck KGaA、Darmstadt、Germany)等は市販されている。
【0079】
特に適切なキラルドーパントは、1つ以上のキラル基および1つ以上のメソゲン基またはキラル基と共にメソゲン基を形成する1つ以上の芳香族基もしくは脂環式基を含有する化合物である。
【0080】
適切なキラル基は、例えば、キラル分岐鎖炭化水素基、キラルエタンジオール、ビナフトールまたはジオキソランであり、さらに、糖誘導体、糖アルコール、糖酸、乳酸、キラル置換グリコール、ステロイド誘導体、テルペン誘導体、アミノ酸または数個、好ましくは1~5個のアミノ酸の配列からなる群から選択される一価または多価キラル基である。
【0081】
好ましいキラル基は、糖誘導体、例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラビノースおよびデキストロース;糖アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールまたはそのアンヒドロ誘導体、特に、ジアンヒドロヘキシトール、例えば、ジアンヒドロソルビド(1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビド、イソソルビド)、ジアンヒドロマンニトール(イソソルビトール)またはジアンヒドロイジトール(イソイジトール)等;糖酸、例えば、グルコン酸、グロン酸およびケトグロン酸等;キラル置換グリコール基、例えば、モノ-またはオリゴエチレンまたはプロピレングリコール(式中、1つ以上のCH基は、アルキルまたはアルコキシにより置換されている)等;アミノ酸、例えば、アラニン、バリン、フェニルグリシンもしくはフェニルアラニンまたはこれらのアミノ酸の2~5個の配列等;ステロイド誘導体、例えば、コレステリルまたはコリン酸基等;テルペン誘導体、例えば、メンチル、ネオメンチル、カンフェイル、ピネイル、テルピネイル、イソロンギホリル、フェンチル、カルレイル、ミルテニル、ノピル、ゲラニル、リナロイル、ネリル、シトロネリルまたはジヒドロシトロネリル等である。
【0082】
適切なキラル基およびメソゲンキラル化合物は、例えば、独国特許発明第3425503号明細書、同第3534777号明細書、同第3534778号明細書、同第3534779号明細書および同第3534780号明細書、同第4342280号明細書、欧州特許第01038941号明細書ならびに独国特許第19541820号明細書に記載されている。
【0083】
本発明に従って使用される好ましいキラル化合物は、下記化合物群から選択される。
【0084】
実施形態において、下記式A-I~A-III:
【化7】
[式中、
a11およびRa12は、それぞれ独立して、2~9個、好ましくは、7個までの炭素原子を有するアルキル、オキサアルキルまたはアルケニルであり、代替的には、Ra11は、メチルまたは1~9個の炭素原子を有するアルコキシであり、好ましくは、双方とも、アルキル、好ましくは、n-アルキルであり、
a21およびRa22は、それぞれ独立して、1~9個、好ましくは、7個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ、2~9個、好ましくは、7個までの炭素原子を有するオキサアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシであり、好ましくは、双方とも、アルキル、好ましくは、n-アルキルであり、
a31およびRa32は、それぞれ独立して、2~9個、好ましくは、7個までの炭素原子を有するアルキル、オキサアルキルまたはアルケニルであり、代替的には、Ra31は、メチルまたは1~9個の炭素原子を有するアルコキシであり、好ましくは、双方とも、アルキル、好ましくは、n-アルキルである]
で示される化合物からなる群から選択されるドーパントが好ましい。
【0085】
下記式:
【化8】
で示される化合物からなる群から選択されるキラルドーパントが特に好ましい。
【0086】
さらに好ましいドーパントは、下記式A-IV
【化9】
[式中、

【化10】
は、
【化11】
である]
で示されるイソソルビド、イソマンニトールまたはイソイジトールの誘導体、好ましくは、ジアンヒドロソルビトールおよびキラルエタンジオール、例えば、ジフェニルエタンジオール(ヒドロベンゾイン)、特に、下記式A-V
【化12】
[式中、
【化13】
は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン(同フェニレンも、Lにより一置換、二置換または三置換されていることができる)または1,4-シクロヘキシレンであり、
Lは、H、F、Cl、CNまたは1~7個の炭素原子を有し、場合によりハロゲン化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルもしくはアルコキシカルボニルオキシであり、
cは、0または1であり、
は、-COO-、-OCO-、-CHCH-または単結合であり、
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシである]
で示されるメソゲンヒドロベンゾイン誘導体((R,S)、(S,R)、(R,R)および(S,S)のエナンチオマーを含むが、これらは示されていない)である。
【0087】
式A-IVで示される化合物は、国際公開第98/00428号に記載されている。式A-Vで示される化合物は、英国特許出願公開第2,328,207号明細書に記載されている。
【0088】
別の実施形態では、特に好ましいキラルドーパントは、国際公開第02/94805号に記載されているようなキラルビナフチル誘導体、同第02/34739号に記載されているようなキラルビナフトールアセタール誘導体、同第02/06265号に記載されているようなキラルTADDOL誘導体ならびに同第02/06196号および同第02/06195号に記載されているような少なくとも1つのフッ化架橋基および末端または中心キラル基を有するキラルドーパントである。
【0089】
式A-VI
【化14】
[式中、
、X、YおよびYは、それぞれ独立して、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF、1~25個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル(同アルキルは、F、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換されていることができ、同アルキルにおいて、さらに、1つ以上の隣接していないCH基は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、NR-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-により、Oおよび/またはS原子同士が直接結合しないように置き換えられていることができる)、重合性基または20個までの炭素原子を有するシクロアルキルもしくはアリール(これらは、場合により、ハロゲン、好ましくは、Fによりまたは重合性基により一置換または多置換されていることができる)であり、
およびxは、それぞれ独立して、0、1または2であり、
およびyは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4であり、
およびBは、それぞれ独立して、芳香族または部分的にもしくは完全に飽和した脂肪族6員環であり、これらは、1つ以上のCH基が、N原子により置き換えられていることができ、1つ以上の隣接していないCH基が、Oおよび/またはSにより置き換えられていることができ、
およびWは、それぞれ独立して、-Z-A-(Z-A-Rであり、2つのうちの一方が、代替的には、RまたはAであるが、双方が同時にHではなく、または
【化15】
は、
【化16】
であり、
およびUは、それぞれ独立して、CH、O、S、COまたはCSであり、
およびVは、それぞれ独立して、(CHであり、(CHにおいて、1~4個の隣接していないCH基は、Oおよび/またはSにより置き換えられていることができ、VおよびVの一方および
【化17】
が、
【化18】
である場合、双方ともが単結合であり、
およびZは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR-、-NR-CO-、-O-CH-、-CH-O-、-S-CH-、-CH-S-、-CF-O-、-O-CF-、-CF-S-、-S-CF-、-CH-CH-、-CF-CH-、-CH-CF-、-CF-CF-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、これらの基のうちの2つの組み合わせ(この場合、2つのOおよび/またはSおよび/またはN原子同士が直接結合していない)、好ましくは、-CH=CH-COO-または-COO-CH=CH-または単結合であり、
、AおよびAは、それぞれ独立して、1,4-フェニレン(同フェニレンにおいて、1つまたは2つの隣接していないCH基は、Nにより置換されていることができる)、1,4-シクロヘキシレン(同シクロへキシレンにおいて、1つまたは2つの隣接していないCH基は、Oおよび/またはSにより置換されていることができる)、1,3-ジオキソラン-4,5-ジイル、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイルまたは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり、この場合、これらの基はそれぞれ、Lにより一置換または多置換されていることができ、さらに、Aは、単結合であり、
Lは、ハロゲン原子、好ましくは、F、CN、NO、1~7個の炭素原子を有し、1つ以上のH原子がFまたはClにより置換されていることができるアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
mは、各場合において、独立して0、1、2または3であり、
RおよびRは、それぞれ独立して、H,F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF、1個または3~25個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル(同アルキルは、場合により、F、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換されていることができ、同アルキルにおいて、1つ以上の隣接していないCH基は、-O-、-S-、-NH-、-NR-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていることができ、この場合、2つのOおよび/またはS原子同士が直接結合していない)または重合性基である]
で示されるキラル化合物が特に好ましい。
【0090】
式A-VI-1
【化19】
で示されるキラルビナフチル誘導体、特に、下記式A-VI-1a~A-VI-1c:
【化20-1】
【化20-2】
[式中、
BおよびZは、式A-IVについて定義されたとおりであり、Zは、より好ましくは、-OCO-または単結合であり、
は、式A-IVについて定義されたとおりであるかまたはHもしくは1~4個の炭素原子を有するアルキルであり、
bは、0、1または2である]
から選択されるものが特に好ましい。
【0091】
式A-VI-2
【化21】
で示されるキラルビナフチル誘導体、特に、下記式A-VI-2a~A-VI-2f:
【化22】
[式中、Rは、式A-VIについて定義されたとおりであり、Xは、H、F、Cl、CNまたはR、好ましくは、Fである]
から選択されるものが特にさらに好ましい。
【0092】
特に好ましい実施形態では、本発明に係るキラル媒体は、以下の表Fに示された式R-5011およびS-5011で示される1種以上の化合物を含む。実施形態において、該媒体は、R-5011を含有する。別の実施形態では、該媒体は、S-5011を含有する。
【0093】
好ましくは、本発明に係る媒体は、適切に高い光学異方性Δn(複屈折としても公知)を有することができる。好ましくは、該媒体は、0.13以上、より好ましくは、0.16以上、さらにより好ましくは、0.20以上の、20℃および589nmで測定された光学異方性Δnを示す。
【0094】
上記および以下において、Δnは、光学異方性を指す。ここで、Δn=n-nである。Δεは、誘電異方性を指す。Δε=ε||-εである。誘電異方性Δεは、20℃および1kHzで決定される。光学異方性Δnは、20℃および波長589.3nmで決定される。
【0095】
加えてまたは代わりに、本発明に係る媒体は、適切に高い透明点、好ましくは、98℃以上の透明点、より好ましくは、105℃以上の透明点、さらにより好ましくは、115℃以上の透明点を有することができる。該媒体は、98℃~160℃、より好ましくは、105℃~150℃の範囲の透明点を有するのが好ましい。
【0096】
本発明に係るLC媒体は、好ましくかつ望ましくは、高い信頼性および高い電気抵抗率を示す。また、本発明に係るLC媒体は、好ましくかつ望ましくは、高い電圧保持率(VHR)も示す。Matsumoto et al., Liquid Crystals 5, 1320 (1989);K. Niwa et al., Proc. SID Conference, San Francisco, June 1984, p. 304 (1984);T. Jacob and U. Finkenzeller in 「Merck Liquid Crystals - Physical Properties of Liquid Crystals」, 1997を参照のこと。本発明に係るLC媒体のVHRは、好ましくは、≧85%、より好ましくは、≧90%、さらにより好ましくは、≧95%、特に好ましくは、≧98%である。特に断らない限り、VHRの測定は、T. Jacob, U. Finkenzeller in 「Merck Liquid Crystals - Physical Properties of Liquid Crystals」, 1997に記載されているように行われる。
【0097】
好ましい実施形態では、本発明に係る媒体は、さらに、1種以上の重合性化合物を含む。
【0098】
好ましくは、1種以上の重合性化合物は、該媒体の全含量に対して10重量%以下の量で、より好ましくは、5重量%以下の量で、さらにより好ましくは、2.5重量%以下の量で、特に好ましくは、1.25重量%以下の量で該媒体中に含有される。
【0099】
好ましくは、1種以上の重合性化合物は、該媒体の全含量に対して0.1重量%~10重量%の範囲の量で該媒体中に含有される。
【0100】
本発明に係る媒体において、好ましくは、1種以上の重合性、硬化性(curable)または硬化性(hardenable)化合物、好ましくは,1種以上の光硬化性モノマーが提供される。同モノマーは、好ましくは、該媒体中のポリマー成分のための前駆体として機能することができる。
【0101】
重合性化合物は、少なくとも1つの重合性基を有する。重合性基は、好ましくは、CH=CW-COO-、
【化23】
CH=CW-(O)k1-、CH-CH=CH-O-、(CH=CH)CH-OCO-、(CH=CH-CHCH-OCO-、(CH=CH)CH-O-、(CH=CH-CHN-、HO-CW-、HS-CW-、HWN-、HO-CW-NH-、CH=CW-CO-NH-、CH=CH-(COO)k1-Phe-(O)k2-、Phe-CH=CH-、HOOC-、OCN-(式中、Wは、H、Cl、CN、フェニルまたは1~5個のC原子を有するアルキル、特に、H、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ独立して、Hまたは1~5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn-プロピルであり、Pheは、1,4-フェニレンであり、kおよびkは、それぞれ独立して、0または1である)から選択される。
【0102】
実施形態において、1種以上の重合性化合物のうちの1つ以上が、1つ、2つまたはそれ以上のアクリレート基および/またはメタクリレート基を含む。
【0103】
重合性基または反応性基は、好ましくは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、フルオロアクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基、特に好ましくは、アクリレート基またはメタクリレート基から選択される。
【0104】
好ましくは、1種以上の重合性化合物は、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、酢酸ビニルから選択される。ここで、その組成物は、より好ましくは、さらに、ジアクリレート、ジメチルアクリレート、トリアクリレートおよびトリメタクリレートから好ましく選択される1種以上の二反応性および/または三反応性重合性化合物を含む。
【0105】
実施形態において、1種以上の重合性化合物は、1つ、2つまたはそれ以上のアクリレート基、メタクリレート基および酢酸ビニル基、より好ましくは、1つ、2つまたはそれ以上のアクリレート基および/またはメタクリレート基から選択される重合性基を含む。実施形態において、該化合物は、好ましくは、非メソゲン化合物である。
【0106】
好ましい実施形態では、本発明に係る媒体は、1種以上のモノアクリレートを含む。特に好ましい一反応性化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートから選択される。
【0107】
加えてまたは代わりに、本発明に係る媒体は、好ましくは、1種以上のモノメタクリレートを含む。特に好ましい一反応性化合物は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシ-エチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよび1-アダマンチルメタクリレートから選択される。
【0108】
代わりにまたは加えて、反応性メソゲン(RM)またはメソゲンモノマーを使用することができる。これらの化合物は、メソゲン基と1つ以上の重合性基、すなわち、重合に適した官能基を含有する。
【0109】
特に好ましい実施形態では、本発明に係る重合性化合物は、反応性メソゲンのみを含む。すなわち、全ての反応性モノマーが、メソゲンである。代替的には、RMは、1種以上の非メソゲン重合性化合物と組み合わせて提供することができる。RMは、一反応性および/または二反応性もしくは多反応性であることができる。
【0110】
少なくとも1種の架橋剤、すなわち、2つ以上の重合性基を含有する重合性化合物を該媒体に添加するのが特に好ましい。この点において、二反応性および多反応性化合物は、それ自体のポリマーネットワークを形成するかつ/または一反応性化合物の重合から実質的に形成されるポリマー鎖を架橋するのに役立つことができる。
【0111】
当技術分野において公知の通常の架橋剤を使用することができる。二反応性または多反応性アクリレートおよび/またはメタクリレートを付加的に提供するのが特に好ましい。特に好ましい化合物は、エチレンジアクリレート、プロピレンジアクリレート、ブチレンジアクリレート、ペンチレンジアクリレート、ヘキシレンジアクリレート、グリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンジメタクリレート(エチレングリコールジメタクリレートとしても公知)、プロピレンジメタクリレート、ブチレンジメタクリレート、ペンチレンジメタクリレート、ヘキシレンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレートおよびペンタエリスリトールトリアクリレートから選択される。
【0112】
代わりにまたは加えて、二反応性または多反応性RMを使用することができる。
【0113】
一反応性モノマーと二反応性または多反応性モノマーとの比は、好ましくは、形成されるポリマー成分の特性に影響を及ぼすように設定し、調整することができる。
【0114】
実施形態において、1種以上の重合性化合物のうちの1つ以上が、重合性メソゲン化合物である。したがって、本発明の好ましい実施形態では、重合性化合物は、式M
Ma-AM1-(ZM1-AM2m1-RMb
[式中、個々の基は、下記のように定義される:
MaおよびRMbは、それぞれ独立して、P、P-Sp-、H、F、Cl、Br、I、-CN、-NO、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、SFまたは1~25個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルであり、同アルキルにおいて、1つ以上の隣接していないCH基は、それぞれ独立して、酸素原子および/または硫黄原子同士が直接結合しないように、-C(R)=C(R00)-、-C≡C-、-N(R00)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-により置き換えられていることもでき、また、同アルキルにおいて、1つ以上の水素原子は、F、Cl、Br、I、CN、PまたはP-Sp-により置き換えられていることもでき、この場合、好ましくは、RMaおよびRMb基のうちの少なくとも一方が、PまたはP-Sp-基であるかまたはこれらを含有し、
好ましくは、
MaおよびRMbは、それぞれ独立して、P、P-Sp-、H、ハロゲン、SF、NO、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基であり、この場合、好ましくは、RMaおよびRMb基のうちの少なくとも一方が、PまたはP-Sp-基であるかまたはこれらを含有し、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサ基または単結合であり、
M1およびAM2は、それぞれ独立して、芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式または複素環式基であり、好ましくは、4~25個の環原子、好ましくは、炭素原子を有するものであり、これらは、縮合環も含むかまたは含有することができ、場合により、Lにより一置換または多置換されていることができ、
Lは、P、P-Sp-、OH、CHOH、F、Cl、Br、I、-CN、-NO、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(R、-C(=O)Y、-C(=O)R、-N(R、場合により置換されているシリル、6~20個の炭素原子を有する場合により置換されているアリール、または1~25個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシまたは2~25個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルキニルであり、これらにおいて、1つ以上の水素原子は、F、Cl、PまたはP-Sp-、好ましくは、P、P-Sp-、H、OH、CHOH、ハロゲン、SF、NO、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基により置き換えられていることもでき、
は、ハロゲン、好ましくは、Fであり、
M1は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-OCO-、-O-CO-O-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-(CHn1-、-CFCH-、-CHCF-、-(CFn1-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-CH=CH-、CR00または単結合であり、
およびR00は、それぞれ独立して、Hまたは1~12個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、P、P-Sp-、H、ハロゲン、1~25個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状アルキルであり、同アルキルにおいて、1つ以上の隣接していないCH基は、酸素原子および/または硫黄原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-により置き換えられていることもでき、また、同アルキルにおいて、1つ以上の水素原子は、F、Cl、PまたはP-Sp-、6~40個の炭素原子を有する場合により置換されているアリールもしくはアリールオキシ基または2~40個の炭素原子を有する場合により置換されているヘテロアリールもしくはヘテロアリールオキシ基により置き換えられていることもでき、
m1は、0、1、2、3または4であり、
n1は、1、2、3または4であり、
この場合、RMa、RMbからの少なくとも1つの置換基、好ましくは、1つ、2つまたは3つの置換基、より好ましくは、1つまたは2つの置換基およびLが存在する場合には、置換基Lは、PまたはP-Sp-基であるかまたは少なくとも1つのPまたはP-Sp-基を含有する]
で示される化合物から選択される。
【0115】
maおよびRmbのうちの一方またはその双方がPまたはP-Sp-である式Mで示される化合物が特に好ましい。
【0116】
本発明に係る液晶媒体に使用するのに適した好ましいRMは、例えば、下記式:
【化24-1】
【化24-2】
【化24-3】
【化24-4】
【化24-5】
[式中、個々の基は、下記のように定義される:
~Pは、それぞれ独立して、好ましくは、Pについて上記および以下で特定された定義のうちの1つを有する重合性基、より好ましくは、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニルオキシまたはエポキシ基であり、
Sp~Spは、それぞれ独立に、単結合または好ましくは、上記および以下で与えられたSpの定義のうちの1つを有するスペーサ基、より好ましくは、-(CHp1-、-(CHp1-O-、-(CHp1-CO-O-または-(CHp1-O-CO-O-(式中、p1は、1~12の整数であり、後者の基における隣接する環への結合は、酸素原子を介している)であり、この場合、P-Sp-、P-Sp-およびP-Sp-基のうちの1つは、Raaであることもでき、
aaは、H、F、Cl、CNまたは1~25個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり、同アルキルにおいて、1つ以上の隣接していないCH基は、それぞれ独立して、酸素原子および/または硫黄原子同士が直接結合しないように、C(R)=C(R00)-、-C≡C-、-N(R)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-により置き換えられていることもでき、また、同アルキルにおいて、1つ以上の水素原子は、F、Cl、CNまたはP-Sp-、より好ましくは、1~12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖で、場合により一フッ化または多フッ素化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ(この場合、アルケニル基およびアルキニル基は、少なくとも2つの炭素原子を有し、分岐基は、少なくとも3つの炭素原子を有する)により置き換えられていることもでき、
およびR00は、各場合において、同じかまたは異なり、それぞれ独立して、Hまたは1~12個の炭素原子を有するアルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、F、CHまたはCFであり、
は、-O-、-CO-、-C(R)-または-CFCF-であり、
およびZは、それぞれ独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-または-(CH-(式中、nは、2、3または4である)であり、
Lは、各場合において、同じかまたは異なり、上記式Mで与えられた意味を有し、好ましくは、F、Cl、CNまたは1~12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖で、場合により一フッ化または多フッ化のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ、好ましくは、Fであり、
L’およびL’’は、それぞれ独立して、H、FまたはClであり、
~Xは、それぞれ独立して、-CO-O-、-O-CO-または単結合であり、
rは、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2または3であり、
tは、0、1または2であり、
xは、0または1である]
から選択される。
【0117】
適切な重合性化合物は、例えば、表Gに列記されている。特に好ましい反応性メソゲンは、実施例15、16および22それぞれに示されているような、式RM-A、RM-B、RM-C、RM-D、RM-EおよびRM-Fで示される化合物である。
【0118】
反応を容易にするために、適切かつ従来から使用されている熱開始剤または光開始剤、例えば、アゾ化合物または有機過酸化物、例えば、Luperox型開始剤を、該媒体に加えることができる。さらに、重合に適した条件ならびに開始剤の適切な種類および量は、当技術分野において公知であり、文献に記載されている。
【0119】
例えば、UV光により重合させる場合、UV照射により分解して、重合反応を開始させるフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を使用することができる。アクリレート基またはメタクリレート基を重合させるために、好ましくは、ラジカル光開始剤が使用される。ビニル、エポキシドまたはオキセタン基を重合させるために、好ましくは、カチオン性光開始剤が使用される。加熱されると分解して重合を開始させるフリーラジカルまたはイオンを生成する熱重合開始剤を使用することも可能である。典型的なラジカル光開始剤は、例えば、市販のIrgacure(登録商標)、例えば、Irgacure 651(BASFから入手可能、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンを含有)またはDarocure(登録商標)(Ciba Geigy AG、Basel、Switzerland)である。典型的なカチオン性光開始剤は、例えば、UVI 6974(Union Carbide)である。さらに有用な光開始剤は、α-アミノケトン、例えば、Irgacure 907、クマリン、ホスフィンオキシド、例えば、Irgacure 2100、アシルホスフィン、例えば、Irgacure 819を含む。
【0120】
特定の実施形態では、加えられる重合開始剤、好ましくは、光開始剤は、好ましくは、1種以上のメソゲン重合開始剤、好ましくは、1種以上のメソゲン光開始剤、すなわち、重合を開始させることができ、それ自体が異方性およびメソゲン特性を有する1種以上の反応性化合物を含む。
【0121】
ただし、特に好ましい実施形態によれば、重合開始剤、特に、光開始剤は使用されない。ある場合には、これにより、VHRを改善し、スイッチング層においてイオンを生成する傾向を低減することができる。
【0122】
良好なVHRを維持し、達成するために、好ましくは、重合の反応生成物中の不純物が最少限に保たれるかまたは実質的に回避される。特に、残留反応種および荷電汚染物質は、適切かつ好ましくは、最少限に保たれる。例えば、UV重合が行われる場合、好ましい実施形態では、可視スペクトルに近い比較的長い波長を有する光が使用され、好ましくは、340nm~380nm、さらにより好ましくは、360nm~380nmの範囲のUV光が有利に使用される。このようにして、LC媒体成分の望ましくない光分解または分解を回避することができまたは少なくとも最低限にできる。光開始剤が使用される場合、照射波長および光開始剤は、適切に一致させまたは調整することができる。一部の実施形態で好ましい光開始剤が使用されない代替例では、波長範囲は、重合性化合物の少なくとも一部が光反応を受けることができ、それ自体により重合反応を開始させることができ、さらに、LC媒体の非反応性成分の分解または崩壊を回避することができまたは少なくとも最低限にすることができるように設定することができる。所望の波長範囲の取得および設定は、当技術分野において公知の従来法により、例えば、光学フィルタ、特に、エッジフィルタを使用することにより達成することができる。
【0123】
驚くべきことに、本発明に係る媒体を、該媒体中に上記および以下で説明された1種以上の重合性化合物を提供することにより、in situでポリマー構造を生成するのに有利に使用することができることが見出された。
【0124】
該媒体中の重合性化合物は、重合後に安定な系が得られるように選択することができる。これは、例えば、さらなる処理工程、例えば、加熱工程において安定であることができる。この場合、良好なVHRを維持することができる。
【0125】
実施形態において、本発明に係る媒体は、さらに、ポリマー成分、特に、ポリマーネットワークを含む。この場合、好ましくは、ポリマー成分は、上記および以下で説明された1種以上の重合性化合物を重合させることにより得られるまたはそれからそれぞれ得ることができる。
【0126】
ポリマー成分の提供は、LC媒体の1つ以上の状態または相を安定化させるのに有用であることができる。
【0127】
好ましくは、ポリマー成分は、該媒体の全含量に対して10重量%以下の量で、より好ましくは、5重量%以下の量で、さらにより好ましくは、2.5重量%以下の量で、特に好ましくは、1.25重量%以下の量で該媒体中に含有される。
【0128】
好ましくは、ポリマー成分は、該媒体の全含量に対して0.1重量%~10重量%の範囲の量で該媒体中に含有される。
【0129】
本発明に係る媒体、特に、CLC媒体において、ポリマー成分は、有利な特性に寄与することができる。例えば、ポリマー成分は、顕著により安定な散乱状態、特に、ポリドメイン状態に寄与することができる。その結果、この散乱状態は、リフレッシュまたは電圧を再印加することなく、より長期間、特に、数日まで維持することができる。さらに、CLC媒体において、好ましくは、本発明に従って提供されたポリマー成分は、好ましくは、例えば、均一性および視野角依存性に関して、散乱効率および外観に影響を及ぼすことができる。これにより、斜めの視野角下で生じる場合がある色の影響を顕著に低減することができる。
【0130】
特に好ましい実施形態では、液晶媒体は、ポリマー成分を含む。この場合、ポリマー成分は、反応性メソゲンの重合により得られるポリマーネットワークを含み、反応性メソゲンは、好ましくは、アクリレート基、特に好ましくは、モノアクリレート基、ジアクリレート基またはトリアクリレート基、ビニルエーテル基およびエポキシド基から選択される少なくとも1つの基を含む。本明細書で使用する場合、アクリレート基を含有する化合物は、アクリルモノマー、メタクリルモノマーおよびこのようなモノマーの混合物を含む。
【0131】
重合は、従来法を使用して行うことができる。重合は、1つ以上の工程で行うことができる。特に、重合性化合物の重合は、好ましくは、熱または化学線への暴露により達成される。ここで、化学線への暴露は、UV光、可視光もしくはIR光等の光による照射、X線もしくはガンマ線による照射または高エネルギー粒子、例えば、イオンもしくは電子による照射を意味する。好ましい実施形態では、フリーラジカル重合が行われる。
【0132】
重合は、適切な温度で行うことができる。実施形態において、重合は、メソゲン混合物の透明点未満の温度で行われる。ただし、代替的な実施形態では、重合を透明点以上で行うことも可能である。
【0133】
実施形態において、重合は、光照射により、すなわち、光、好ましくは、UV光で行われる。化学線源として、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを使用することができる。高いランプ出力を使用すると、硬化時間を短縮することができる。別の可能性のある光照射源は、例えば、UVレーザ、可視レーザまたはIRレーザ等のレーザである。
【0134】
好ましい実施形態では、重合は、キラル液晶ホスト混合物に、1種以上の重合性化合物、好ましくは、一反応性化合物および二反応性化合物と適切な光開始剤とを含む混合物を加え、重合性化合物を、例えば、UV照射への暴露により重合させることにより行われる。
【0135】
好ましくは、重合は、キラル液晶ホスト混合物の所定の状態に維持された電気光学セル中で行われる。好ましい実施形態では、重合、好ましくは、UV光を使用する重合は、媒体がホメオトロピック状態にあるときに行われ、典型的かつ好ましくは、電界が印加される。
【0136】
該媒体は、好ましくは、0.01重量%~25重量%、より好ましくは、0.1重量%~5重量%の量で、さらなる化合物、例えば、1種以上の多色性染料、特に、1種以上の二色性染料および/または他の慣用の適切な添加剤を含有することができる。
【0137】
多色性染料は、好ましくは、二色性染料であり、例えば、アゾ染料、アントラキノン、メチン化合物、アゾメチン化合物、メロシアニン化合物、ナフトキノン、テトラジン、ピロメテン染料、マロノニトリル染料、ライレン、特に、ペリレンおよびテリレン、チアジアゾール染料、チエノチアジアゾール染料、ベンゾチアジアゾール、ピロメテンおよびジケトピロロピロールから選択することができる。特に国際公開第2014/187529号に記載されているアゾ化合物、アントラキノン、ベンゾチアジアゾール、特に国際公開第2015/090497号に記載されているジケトピロロピロールおよび特に国際公開第2014/090373号に記載されているリレンが特に好ましい。
【0138】
ただし、好ましくは、透明状態でより高い透過率を提供し、着色されていない外観またはそれぞれ白色の外観を与えることができるスイッチング層は、染料を何ら含まない。
【0139】
さらに、特定の実施形態では、本発明に係るスイッチング層は、光の通過を制御し、調整するために、窓要素内にゲスト-ホストLC媒体を含む別のスイッチング層と組み合わされる。各スイッチング層は、例えば、1つ以上の隣接する基板またはシート、ペインまたはパネルを使用することにより、適切に分離することができる。
【0140】
本発明によれば、本液晶媒体は、該媒体の全含量に対して少なくとも15重量%、好ましくは、少なくとも20重量%、より好ましくは、少なくとも25重量%、さらにより好ましくは、少なくとも30重量%、特に、少なくとも35重量%の量で、上記および以下で説明された式Iで示される1種以上の化合物を含有する。
【0141】
実施形態において、式Iで示される1種以上の化合物は、該媒体の全含量に対して15重量%~75重量%、より好ましくは、20重量%~65重量%、さらにより好ましくは、20重量%~55重量%、特に、25重量%~50重量%の範囲の量で該媒体中に含有される。
【0142】
このため、本発明に係る媒体は、式Iで示される少なくとも1種の化合物を含む。ただし、多くの場合、式Iで示される2種、3種またはそれ以上の化合物が該媒体中に含有されるのが有益であり、好ましくあることができる。
【0143】
好ましくは、式Iで定義された基
【化25】
は、
【化26】
を指す。
【0144】
別の実施形態では、式Iで定義されたnは、0を指す。
【0145】
好ましい実施形態では、式Iで示される1種以上の化合物は、式Ia、IbおよびIcで示される化合物、より好ましくは、式IaおよびIb
【化27】
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、F、Cl、CF、OCFおよび置換されていないか、CNもしくはCFにより一置換されているかまたはハロゲンにより一置換もしくは多置換されている、1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルケニル(ここで、1つ以上のCH基は、各場合において、それぞれ独立して、酸素原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-または-C≡C-により置き換えられていてもよい)、好ましくは、F、CF、OCF、1~9個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~9個の炭素原子を有するアルケニルを指し、
Lは、各出現において、同一または異なって、HまたはF、ClおよびBr、好ましくは、FおよびClから選択されるハロゲンであり、より好ましくは、各出現において、同一または異なって、HまたはFである]
で示される化合物から選択される。
【0146】
式Iで示される化合物のフェニレン環が置換されている場合、置換基は、Fであり、さらに、末端基RおよびRは、Clを含有しないのが特に好ましい。
【0147】
好ましい実施形態では、該媒体中に含まれるCl含有化合物の量は制限され、好ましくは、該媒体の全含量に対して55重量%以下、より好ましくは、40重量%以下、さらにより好ましくは、25重量%以下に制限される。特に好ましい実施形態では、液晶媒体は、Cl含有化合物を含有しない。
【0148】
したがって、上記および以下で説明された式Iで示される化合物からなるLC媒体の成分中のCl含有化合物の量を、該媒体中に含まれる式Iで示される化合物の全含量に対して好ましくは、55重量%以下、より好ましくは、40重量%以下、さらにより好ましくは、25重量%以下に制限するのも好ましい。特に好ましい実施形態では、式Iで示される1種以上の化合物は、Clを含有しない化合物から選択される。
【0149】
さらに、好ましい実施形態では、該媒体に含まれる-C≡C-含有化合物、特に、トラン化合物の量は制限され、好ましくは、該媒体の全含量に対して50重量%以下、より好ましくは、25重量%以下、さらにより好ましくは、10重量%以下に制限される。
【0150】
式Iに係る環A21、A31およびA41のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのF置換基を有するのがさらに特に好ましい。式Iに係る環A21、A31およびA41が共に、少なくとも2つのF置換基を有するのがさらに特に好ましい。
【0151】
本発明に係る媒体において、CNを含有する化合物の使用は、好ましくかつ望ましくは、好ましくは、75重量%以下、より好ましくは、50重量%以下、さらにより好ましくは、25重量%以下、特に、5重量%以下に制限され、特に好ましい実施形態では、完全に回避される。
【0152】
式Iで示される1種以上の化合物に加えて、本発明に係る液晶媒体は、好ましくは、1種以上のさらなるメソゲン化合物を含有する。また、これらのさらなる化合物は、該媒体の好ましい特性、例えば、良好なVHRおよび好ましい安定性に寄与するまたはこれらを維持する観点からも加えられるのが好ましい。
【0153】
実施形態において、本発明に係る液晶媒体は、さらに、式II
【化28】
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、F、CF、OCF、CNおよび置換されていないか、CNもしくはCFにより一置換されているかまたはハロゲンにより一置換もしくは多置換されている、1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルケニル(ここで、1つ以上のCH基は、各場合において、それぞれ独立して、酸素原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-または-C≡C-により置き換えられていてもよい)、好ましくは、F、CF、OCF、CN、1~9個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシまたは2~9個の炭素原子を有するアルケニルを指し、
、LおよびLは、それぞれ独立して、HまたはFを指す]
で示される1種以上の化合物を含む。
【0154】
さらなる実施形態では、本発明に係る液晶媒体は、さらに、式III
【化29】
[式中、RおよびRは、Rと同様に定義され、LおよびLは、上記式IIについてのLと同様に定義される]
で示される1種以上の化合物を含む。
【0155】
該媒体は、さらに、上記説明された式IIで示される1種以上の化合物および式IIIで示された1種以上の化合物を含むのが特に好ましい。
【0156】
好ましくは、本発明に係る液晶媒体は、さらに、式IV
【化30】
[式中、
は、置換されていないか、CNもしくはCFにより一置換されているかまたはハロゲンにより一置換もしくは多置換されている、1~15個の炭素原子、好ましくは、1~7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルコキシ、2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルを指し、1つ以上のCH基は、各場合において、それぞれ独立して、酸素原子同士が直接結合しないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-または-C≡C-により置き換えられていてもよく、
iは、0、1または2であり、
およびLは、それぞれ独立して、HまたはFであり、
は、F、CF、OCFまたはCNを指す]
で示される1種以上の化合物を含む。
【0157】
式IIで示される化合物は、好ましくは、1重量%~45重量%、より好ましくは、5重量%~25重量%の総濃度で該媒体中に使用される。
【0158】
式IIIで示される化合物は、好ましくは、1重量%~45重量%、より好ましくは、5重量%~25重量%の総濃度で該媒体中に使用される。
【0159】
式IVで示される化合物は、好ましくは、1重量%~45重量%、より好ましくは、5重量%~25重量%の総濃度で該媒体中に使用される。
【0160】
該媒体は、上記および以下で説明された式Iで示される1種以上の化合物、式IIで示される1種以上の化合物、式IIIで示される1種以上の化合物ならびに式IVで示される1種以上の化合物を含むのが特に好ましい。
【0161】
特に好ましい実施形態では、式Iで示される1種以上の化合物のうちの1つ以上は、式I-1およびI-2
【化31】
[式中、
およびRは、上記式Iaについて定義されたとおりであり、
Lは、各出現において、同一または異なって、HまたはFである]
で示される化合物から選択される。
【0162】
場合により、本発明に係る媒体は、物理的特性を調整するために、さらなる液晶化合物を含むことができる。このような化合物は、当分野において公知である。本発明に係る媒体中のこれらの場合によりさらに含まれる液晶化合物の濃度は、好ましくは、0重量%~30重量%、より好ましくは、0.1重量%~20重量%、最も好ましくは、1重量%~15重量%である。
【0163】
好ましくは、本発明に係る媒体は、以下の1種以上の化合物
- PGP-n-m、PGP-n-mV、PGU-n-F、PGIGI-n-F、GGP-n-F、GGP-n-Cl、特に、GGP-5-Cl、CPGP-n-m、CPGP-n-OT、CPGU-n-OT、DPGU-n-Fおよび/または
- CPP-n-m、CPG-n-F、CGU-n-F、BCH.n.F.F.F.、特に、BCH.7.F.F.Fおよび/または
- CP-n-m、CP-n-Nおよび/または
- 式R-5011もしくはS-5011で示される化合物および/または
- 1種以上の反応性重合性化合物および/または
- 1つ以上の重合開始剤
を含む。ここで、各略語または頭字語の意味および構造は、以下の表に説明され、例示されている。
【0164】
本発明に係る液晶媒体は、さらなる添加剤を通常の濃度で含有することができる。これらのさらなる成分の総濃度は、全混合物に対して0%~10%、好ましくは、0.1%~6%の範囲にある。使用される個々の化合物の濃度はそれぞれ、好ましくは、0.1%~3%の範囲にある。これらおよび類似の添加剤の濃度は、本明細書において、液晶成分および液晶媒体の化合物の濃度の値および範囲については考慮されない。このことは、混合物中に場合により使用される二色性染料の濃度にも当てはまり、各化合物、ホスト混合物の成分の濃度が特定される場合には考慮されない。各添加剤の濃度は、常に、最終的にドーピングされた混合物に対して与えられる。
【0165】
本発明に係る液晶媒体は、幾つかの化合物、好ましくは、3~30、より好ましくは、4~20、最も好ましくは、4~16の化合物からなる。これらの化合物は、従来の方法で混合される。原則として、より少量で使用される化合物の必要量は、より多量で使用される化合物に溶解される。温度が、より高い濃度で使用される化合物の透明点を超える場合、溶解プロセスの完了を観察するのは特に容易である。ただし、他の従来の方法により、例えば、いわゆる予備混合物(例えば、化合物の相同または共晶混合物であることができる)を使用してまたはいわゆるマルチボトルシステム(その構成要素は、混合物自体をただちに使用できる)を使用して、該媒体を製造することも可能である。
【0166】
上記され、以下に記載されたメソゲン化合物またはその混合物の多くは市販されている。これらの化合物は公知であるかまたは文献(例えば、標準研究、例えば、Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart)に記載されているように、それ自体公知の方法により、前記反応について公知でありかつ適切な反応条件下で正確になるように製造することができる。本明細書において、それ自体公知の変形例も使用することができる。ただし、本明細書において、より詳細には言及されていない。本発明に係る媒体は、それ自体従来からある方法で製造される。一般的には、成分同士を、好ましくは、高温で溶解させる。適切な添加剤または物質を加えて、液晶相の誘電異方性、粘度および/または配向を変更することができる。
【0167】
該媒体は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー、連鎖移動剤、例えば、チオエーテルおよび/または可塑剤を含むことができる。
【0168】
得られた生成物またはデバイスの均質な外観を、特に、重合またはポリマー安定化後の材料の状態で、特に、比較的大きなサイズを有するデバイス、例えば、大きな窓での使用についてさらに高めるために、巨視的スケール、すなわち、目に見えるスケールで均質な重合に寄与する添加剤を、液晶媒体に加えることが有益である場合がある。したがって、好ましい実施形態では、以下の表Eに示された1種以上の安定剤および/または1種以上の界面活性剤、特に、以下の表Hに示された1種以上の界面活性化合物を、好ましくは、5ppm~10000ppmの範囲の濃度で液晶媒体に加える。
【0169】
この点に関して、当技術分野において公知の界面活性剤を使用することができる。同界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えば、硫酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホン酸塩、リン酸塩およびカルボン酸塩の界面活性剤、カチオン性界面活性剤、例えば、第二級または第三級アミンおよび第四級アンモニウム塩の界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、例えば、例えば、ベタイン、スルタインおよびリン脂質界面活性剤、非イオン性界面活性剤、例えば、長鎖アルコールおよびフェノール、エーテル、エステルまたはアミドの非イオン性界面活性剤、特に、アルキルポリエーテルおよびポリエトキシアルコールを含む。非イオン性界面活性剤を使用するのが好ましい。特に好ましい界面活性剤は、ポリエトキシル化非イオン界面活性剤、オルガノシリコーン、例えば、ポリエーテルシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマー、変性ポリジメチルシロキサン、例えば、BYK-310(BYK)、シリコーンアクリレート、例えば、TEGO Rad 2500(Evonik)、ポロキサマーコポリマー、好ましくは、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単位を含むコポリマーならびにフルオロ界面活性剤から選択される。
【0170】
本発明に係る「アルキル」という用語は、好ましくは、1~7個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基、特に、直鎖基であるメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。2~5個の炭素原子を有する基が概して好ましい。
【0171】
アルコキシは、直鎖または分枝鎖であることができ、好ましくは、直鎖であり、1、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有するため、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはヘプトキシである。
【0172】
本発明に係る「アルケニル」という用語は、好ましくは、2~7個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖アルケニル基、特に、直鎖基を包含する。特に好ましいアルケニル基は、C~C-1E-アルケニル、C~C-3E-アルケニル、C~C-4E-アルケニル、C~C-5E-アルケニルおよびC-6E-アルケニル、特に、C~C-1E-アルケニル、C~C-3E-アルケニルおよびC~C-4E-アルケニルである。好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E-プロペニル、1E-ブテニル、1E-ペンテニル、1E-ヘキセニル、1E-ヘプテニル、3-ブテニル、3E-ペンテニル、3E-ヘキセニル、3E-ヘプテニル、4E-ペンテニル、4Z-ヘキセニル、4E-ヘキセニル、4Z-ヘプテニル、5-ヘキセニルおよび6-ヘプテニルである。5個以下の炭素原子を有する基が概して好ましい。
【0173】
フッ化アルキルまたはアルコキシは、好ましくは、CF、OCF、CFH、OCFH、CFH、OCFH、C、OC、CFHCF、CFHCFH、CFHCFH、CHCF、CHCFH、CHCFH、CFCFH、CFCFH、OCFHCF、OCFHCFH、OCFHCFH、OCHCF、OCHCFH、OCHCFH、OCFCFH、OCFCFH、CまたはOC、特に、CF、OCF、CFH、OCFH、C、OC、CFHCF、CFHCFH、CFHCFH、CFCFH、CFCFH、OCFHCF、OCFHCFH、OCFHCFH、OCFCFH、OCFCFH、CまたはOC、特に好ましくは、OCFまたはOCFHを含む。好ましい実施形態では、フルオロアルキルは、末端フッ素を有する直鎖基、すなわち、フルオロメチル、2-フルオロエチル、3-フルオロプロピル、4-フルオロブチル、5-フルオロペンチル、6-フルオロヘキシルおよび7-フルオロヘプチルを包含する。ただし、フッ素の他の位置も除外されない。
【0174】
オキサアルキルは、好ましくは、式C2n+1-O-(CH(式中、nおよびmは、それぞれ独立して、1~6である)で示される直鎖基を包含する。好ましくは、n=1であり、mは、1~6である。
【0175】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖である2-オキサプロピル(=メトキシメチル)、2-(=エトキシメチル)もしくは3-オキサブチル(=2-メトキシエチル)、2-、3-もしくは4-オキサペンチル、2-、3-、4-もしくは5-オキサヘキシル、2-、3-、4-、5-もしくは6-オキサヘプチル、2-、3-、4-、5-、6-もしくは7-オキサオクチル、2-、3-、4-、5-、6-、7-もしくは8-オキサノニルまたは2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-もしくは9-オキサデシルである。
【0176】
ハロゲンは、好ましくは、FまたはCl、特に、Fである。
【0177】
上記言及された基のうちの1つが、1つのCH基が-CH=CH-により置き換えられているアルキル基である場合、これは、直鎖または分岐鎖であることができる。これは、好ましくは、直鎖であり、2~10個の炭素原子を有する。したがって、これは、特に、ビニル、プロパ-1-もしくはプロパ-2-エニル、ブタ-1-、-2-もしくはブタ-3-エニル、ペンタ-1-、-2-、-3-もしくはペンタ-4-エニル、ヘキサ-1-、-2-、-3-、-4-もしくはヘキサ-5-エニル、ヘプタ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-もしくはヘプタ-6-エニル、オクタ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-もしくはオクタ-7-エニル、ノナ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-もしくはノナ-8-エニル、デカ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-、-8-もしくはデカ-9-エニルである。
【0178】
上記言及された基のうちの1つが、1つのCH基が-O-により置き換えられている場合、かつ1つが-CO-により置き換えられているアルキル基である場合、これらは、好ましくは、隣接している。このため、これらは、アシルオキシ基-CO-O-またはオキシカルボニル基-O-CO-を含有する。これらは、好ましくは、直鎖であり、2~6個の炭素原子を有する。
【0179】
したがって、それらは、特に、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2-アセチルオキシエチル、2-プロピオニルオキシエチル、2-ブチリルオキシエチル、3-アセチルオキシプロピル、3-プロピオニルオキシプロピル、4-アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(プロポキシカルボニル)エチル、3-(メトキシカルボニル)プロピル、3-(エトキシカルボニル)プロピルまたは4-(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0180】
上記言及された基のうちの1つが、1つのCH基が非置換または置換-CH=CH-により置き換えられており、隣接しているCH基がCO、CO-OまたはO-COにより置き換えられているアルキル基である場合、これは、直鎖または分岐鎖であることができる。これは、好ましくは、直鎖であり、4~13個の炭素原子を有する。したがって、これは、特に、アクリロイルオキシメチル、2-アクリロイルオキシエチル、3-アクリロイルオキシプロピル、4-アクリロイルオキシブチル、5-アクリロイルオキシペンチル、6-アクリロイルオキシヘキシル、7-アクリロイルオキシヘプチル、8-アクリロイルオキシオクチル、9-アクリロイルオキシノニル、10-アクリロイルオキシデシル、メタクリロイルオキシメチル、2-メタクリロイルオキシエチル、3-メタクリロイルオキシプロピル、4-メタクリロイルオキシブチル、5-メタクリロイルオキシペンチル、6-メタクリロイルオキシヘキシル、7-メタクリロイルオキシヘプチル、8-メタクリロイルオキシオクチルまたは9-メタクリロイルオキシノニルである。
【0181】
上記言及された基のうちの1つが、CNまたはCFにより一置換されているアルキル基またはアルケニル基である場合、この基は、好ましくは、直鎖である。CNまたはCFによる置換は、任意の位置にある。
【0182】
上記言及された基のうちの1つが、ハロゲンにより少なくとも一置換されているアルキル基またはアルケニル基である場合、この基は、好ましくは、直鎖であり、ハロゲンは、好ましくは、FまたはCl、より好ましくは、Fである。多置換の場合、ハロゲンは、好ましくは、Fである。また、得られる基は、パーフルオロ化基も含む。一置換の場合、フルオロまたはクロロ置換基は、任意の所望の位置にあることができるが、好ましくは、ω位にある。
【0183】
分岐基を含有する化合物は、幾つかの従来の液晶ベース材料におけるより良好な溶解性のために重要である場合がある。ただし、それらが光学的に活性である場合、それらは、キラルドーパントとして特に適している。
【0184】
この種の分岐基は、一般的には、1つ以下の鎖分岐を含有する。好ましい分岐基は、イソプロピル、2-ブチル(=1-メチルプロピル)、イソブチル(=2-メチルプロピル)、2-メチルブチル、イソペンチル(=3-メチルブチル)、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、イソプロポキシ、2-メチルプロポキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-エチルヘキソキシ、1-メチルヘキソキシまたは1-メチルヘプトキシである。
【0185】
上記言及された基のうちの1つが、2つ以上のCH基が-O-および/または-CO-O-により置き換えられているアルキル基である場合、これは、直鎖または分岐鎖であることができる。これは、好ましくは、分岐鎖であり、3~12個の炭素原子を有する。したがって、これは、特に、ビスカルボキシメチル、2,2-ビスカルボキシエチル、3,3-ビスカルボキシプロピル、4,4-ビスカルボキシブチル、5,5-ビスカルボキシペンチル、6,6-ビスカルボキシヘキシル、7,7-ビスカルボキシヘプチル、8,8-ビスカルボキシオクチル、9,9-ビスカルボキシノニル、10,10-ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2-ビス-(メトキシカルボニル)エチル、3,3-ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4-ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5-ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6-ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7-ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8-ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2-ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3-ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4-ビス(エトキシカルボニル)ブチルまたは5,5-ビス(エトキシカルボニル)ペンチルである。
【0186】
本発明の別の態様では、本発明に係る媒体を含む、スイッチング層が提供される。
【0187】
本発明に係るスイッチング層は、好ましくは、0.5μm~100μm、より好ましくは、1μm~50μm、さらにより好ましくは、2μm~25μm、特に、4μm~15μmの範囲の厚みを有する。
【0188】
2つ以上の層を組み合わせて、例えば、窓要素に提供することも可能である。この場合、該層は、基板または適切なシート、ペインまたはパネルにより分離される。
【0189】
本発明によれば、さらに、本発明に係るスイッチング層を含む、スイッチング素子が提供される。特に、スイッチング層は、2つの基板間に配置される。
【0190】
基板は、好ましくは、ガラスまたはポリマー、特に、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、COP(環状オレフィンポリマー)またはTAC(トリアセチルセルロース)を含むことができる。
【0191】
スイッチング素子は、特に、光学的に透明な状態または透明状態と散乱状態との間でスイッチング層を電気的にスイッチングすることにより、光の通過に影響を及ぼすことができる。
【0192】
本発明に係る光学的に透明な状態において、スイッチング素子は、好ましくは、ASTM D 1003に従って測定された、20%未満、より好ましくは、15%未満、さらにより好ましくは、10%未満、特に、5%未満のヘイズを有する。
【0193】
本発明に係る散乱状態において、スイッチング素子は、好ましくは、ASTM D 1003に従って測定された、75%超、より好ましくは、85%超、さらにより好ましくは、90%超のヘイズを有する。散乱状態において、本発明に係るスイッチング素子は、ASTM D 1003に従って測定された95%以上のヘイズを有するのが特に好ましい。
【0194】
ヘイズの測定のために、BYK-Gardner製のヘイズメーターを使用することができる。分光光度計を使用することも可能である。
【0195】
本発明に係るスイッチング素子は、好ましくは、UV光を遮断する1つ以上の層を含む。特に、これは、好ましくは、350nm未満、好ましくは、360nm未満、特に好ましくは、380nm未満に及ぶ波長を有する光の通過を許容しないかまたは非常に小さい割合でしか許容しない1つ以上の層を含む。
【0196】
さらに、本発明は、本発明に係るスイッチング層またはスイッチング素子を含む、窓要素に関する。
【0197】
窓要素は、幾つかの窓用途において、例えば、プライバシーまたはアンチグレアを提供するのに有用であることができる。窓要素は、例えば、スイッチング可能なガラスユニットとして配置することができる。隔離ガラスユニットに組み込むことができる。
【0198】
本発明において、特に、下記実施例において、メソゲン化合物の構造を、頭字語とも呼ばれる略語により示す。これらの頭字語において、化学式を、以下の表A~Cを使用して、下記のように省略する。全ての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1またはC2n-1、C2m-1およびC2l-1はそれぞれ、n、mおよびl個のC原子を有する直鎖アルキルまたはアルケニル、好ましくは、1-E-アルケニルを指す。表Aに、化合物のコア構造の環要素に使用されるコードを列記する。一方、表Bに、連結基を示す。表Cに、左側末端基または右側末端基についてのコードの意味を示す。頭字語は、任意の連結基を有する環要素のためのコードと、続けて、第1のハイフンと、左側末端基のためのコードと、第2のハイフンと、右側末端基のためのコードとから構成される。表Dに、化合物の例示的な構造を、それらの各略語と共に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表2】
【表3】
【0199】
ここで、nおよびmはそれぞれ、整数を指し、3つのドット「...」は、この表からの他の略語のためのプレースホルダである。
【0200】
下記表に、例示的な構造を、それらの各略語と共に示す。これらは、略語に対する規則の意味を説明するために示されている。それらは、さらに、好ましく使用することができる化合物を表す。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】
【表4-12】
【表4-13】
【表4-14】
【表4-15】
【表4-16】
【表4-17】
【表4-18】
【表4-19】
【0201】
ここで、n、mおよびlは、好ましくは、それぞれ独立して、1~7を指す。
【0202】
下記表に、本発明に係る媒体に安定剤として使用することができる例示的な化合物を示す。
【0203】
表E
表Eに、本発明に係るLC媒体に加えることができる可能性のある安定剤を示す。ここで、nは、1~12の整数、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7または8を指す。末端メチル基は示していない。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【0204】
LC媒体は、好ましくは、0~10重量%、特に、1ppm~5重量%、特に好ましくは、1ppm~1重量%の安定剤を含む。
【0205】
以下の表Fに、本発明に係るメソゲン媒体中にキラルドーパントとして好ましく使用することができる例示的な化合物を示す。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【0206】
本発明の好ましい実施形態では、メソゲン媒体は、表Fに示された化合物から選択される1種以上の化合物を含む。
【0207】
本発明に係るメソゲン媒体は、好ましくは、上記表D~Fに示された化合物から選択される2種以上、好ましくは、4種以上の化合物を含む。
【0208】
実施形態において、本発明に係るLC媒体は、好ましくは、表Dに示された3種以上、より好ましくは、5種以上の化合物を含む。
【0209】
表G
表Gに、本発明に係るLC媒体に、好ましくは、反応性メソゲン化合物として使用することができる例示的な化合物をまとめる。好ましくは、重合のために、開始剤または2種以上の開始剤の混合物が加えられる。開始剤または開始剤混合物は、好ましくは、混合物に対して0.001重量%~2重量%の量で加えられる。適切な開始剤は、例えば、Irgacure(登録商標)651(BASF製)である。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【表7-10】
【表7-11】
【表7-12】
【表7-13】
【表7-14】
【表7-15】
【表7-16】
【表7-17】
【表7-18】
【0210】
本発明の好ましい実施形態では、メソゲン媒体は、表Gからの化合物の群から選択される1種以上の化合物を含む。
【0211】
本発明に係る液晶媒体は、表Dの化合物の群から選択される、好ましくは、4種以上、より好ましくは、6種以上、さらにより好ましくは、7種以上、特に好ましくは、8種以上の化合物、好ましくは、表Dの式の群から選択される3種以上の異なる式で示される化合物を含む。該媒体は、さらに、表Eの式の群から選択される1種、2種またはそれ以上の化合物を含有するのが特に好ましい。さらにより好ましくは、該媒体は、さらに、表Gの式の群から選択される1種、2種またはそれ以上の化合物を含有する。
【0212】
以下の表Hに、本発明に係るメソゲン媒体中のさらなるまたは代替的な添加剤として好ましく使用することができる例示的な化合物を示す。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【表8-11】
【表8-12】
【表8-13】
【表8-14】
【表8-15】
【表8-16】
【表8-17】
【表8-18】
【表8-19】
【表8-20】
【表8-21】
【表8-22】
【表8-23】
【0213】
ここで、Rは、アンカー基、好ましくは、式
【化32】
[式中、
22は、H、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、CHCH-tert-ブチルまたはn-ペンチル、好ましくは、Hである]
で示される基を指し、
は、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキルまたはアルコキシ基、好ましくは、C、n-C、n-C、n-C11、n-C13またはn-C15、最も好ましくは、n-C11を指す。
【0214】
下記実施例は、本発明の単なる例示であり、それらは、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本開示に照らして、実施例およびその改変または他の等価物は、当業者に明らかになるであろう。
【0215】
ただし、下記に示された物理的特性および組成は、どの特性を達成することができ、どの範囲でそれらを改変することができるかを例証する。特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせは、このように明確に定義される。
【0216】
実施例
液晶混合物および複合系を、下記に与えられた組成および特性で実現する。それらの特性と光学的性能を調査する。
【0217】
比較例1
比較液晶ベース混合物CB-1を製造する。同CB-1は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表9】
【0218】
比較コレステリック混合物CC-1を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を0.9μmのピッチが得られるように、比較ベース混合物CB-1に加えることにより製造する。ここで、CC-1は、99.08%の混合物CB-1および0.92%のR-5011を含有する。
【0219】
比較例2
比較液晶ベース混合物CB-2を製造する。同CB-2は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表10】
【0220】
比較コレステリック混合物CC-2を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、比較ベース混合物CB-2に加えることにより製造する。ここで、CC-2は、99.57%の混合物CB-2および0.43%のR-5011を含有する。
【0221】
比較例3
比較液晶ベース混合物CB-3を製造する。同CB-3は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表11】
【0222】
比較コレステリック混合物CC-3を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、比較ベース混合物CB-3に加えることにより製造する。ここで、CC-3は、99.46%の混合物CB-3および0.54%のR-5011を含有する。
【0223】
比較例4
比較液晶ベース混合物CB-4を製造する。同CB-4は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表12】
【0224】
比較コレステリック混合物CC-4を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、比較ベース混合物CB-4に加えることにより製造する。ここで、CC-4は、99.62%の混合物CB-4および0.38%のR-5011を含有する。
【0225】
各比較コレステリック混合物について、VHRをそれぞれ測定する。さらに、比較コレステリック混合物については、上記されたNIR分光法を使用し、20℃での選択反射極大波長λmaxを測定することにより、ピッチを確認する。
【0226】
該混合物を、配向層(Japan Synthetic Rubber製の反平行ラビングポリイミドAL-1054)を備えた電気光学セルに入れる。LC混合物は、23.2μmの層厚を有する。散乱状態における各セルのヘイズを、分光光度計(Lambda 1050、Perkin Elmer)および150mmのUlbricht球を使用し、ASTM 1003-92に従って測定する。
【0227】
下記表に、得られた結果を示す。
【表13】
【0228】
実施例1
液晶ベース混合物B-1を製造する。同B-1は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表14-1】
【表14-2】
【0229】
コレステリック混合物C-1を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-1に加えることにより製造する。ここで、C-1は、99.65%の混合物B-1および0.35%のR-5011を含有する。
【0230】
VHR、ピッチおよびヘイズを、上記比較例について記載されたように決定し、以下の値を得る。
【0231】
VHR:90%、ピッチ:2μm、曇り状態のための電圧:7V、ヘイズ:62%。
【0232】
該混合物は、低温で長い貯蔵寿命を示す。貯蔵寿命を、各サンプルを各温度で保存し、目に見える結晶化または分解が起こらない期間を決定することにより決定する。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表15】
【0233】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0234】
実施例2
液晶ベース混合物B-2を製造する。同B-2は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表16】
【0235】
コレステリック混合物C-2を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-2に加えることにより製造する。ここで、C-2は、99.54%の混合物B-2および0.46%のR-5011を含有する。
【0236】
ピッチおよびヘイズを、上記比較例について記載されたように決定し、以下の値を得る。
【0237】
ピッチ:2μm、曇り状態のための電圧:21V、ヘイズ:73%。
【0238】
該混合物は、-20℃およびセルに入れられた場合により低温でも長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表17】
【0239】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0240】
実施例3
液晶ベース混合物B-3を製造する。同B-3は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表18】
【0241】
コレステリック混合物C-3を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-3に加えることにより製造する。
【0242】
該混合物は、-20℃および-30℃ならびにセルに入れられた場合より低温でも長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表19】
【0243】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0244】
実施例4
液晶ベース混合物B-4を製造する。同B-4は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表20】
【0245】
コレステリック混合物C-4を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-4に加えることにより製造する。ここで、C-4は、99.65%の混合物B-4および0.35%のR-5011を含有する。
【0246】
該混合物は、低温で長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表21】
【0247】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0248】
実施例5
液晶ベース混合物B-5を製造する。同B-5は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表22-1】
【表22-2】
【0249】
コレステリック混合物C-5を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-5に加えることにより製造する。ここで、C-5は、99.62%の混合物B-5および0.38%のR-5011を含有する。
【0250】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0251】
実施例6
液晶ベース混合物B-6を製造する。同B-6は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表23】
【0252】
コレステリック混合物C-6を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-6に加えることにより製造する。
【0253】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0254】
実施例7
液晶ベース混合物B-7を製造する。同B-6は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表24】
【0255】
コレステリック混合物C-7を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-7に加えることにより製造する。
【0256】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0257】
実施例8
液晶ベース混合物B-8を製造する。同B-8は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表25】
【0258】
コレステリック混合物C-8を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-8に加えることにより製造する。ここで、C-8は、99.51%の混合物B-8および0.49%のR-5011を含有する。
【0259】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0260】
実施例9
液晶ベース混合物B-9を製造する。同B-9は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表26】
【0261】
コレステリック混合物C-9を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-9に加えることにより製造する。
【0262】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0263】
実施例10
液晶ベース混合物B-10を製造する。同B-10は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表27-1】
【表27-2】
【0264】
コレステリック混合物C-10を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-10に加えることにより製造する。ここで、C-10は、99.71%の混合物B-10および0.29%のR-5011を含有する。
【0265】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0266】
実施例11
液晶ベース混合物B-11を製造する。同B-11は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表28】
【0267】
コレステリック混合物C-11を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-11に加えることにより製造する。
【0268】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0269】
実施例12
液晶ベース混合物B-12を製造する。同B-12は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表29】
【0270】
コレステリック混合物C-12を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-12に加えることにより製造する。
【0271】
該混合物は、-20℃およびセルに入れられた場合より低温でも長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表30】
【0272】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0273】
実施例13
液晶ベース混合物B-13を製造する。同B-13は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表31】
【0274】
コレステリック混合物C-13を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-13に加えることにより製造する。
【0275】
該混合物は、-20℃およびセルに入れられた場合より低温でも長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表32】
【0276】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0277】
実施例14
液晶ベース混合物B-14を製造する。同B-14は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成および特性を有する。
【表33】
【0278】
コレステリック混合物C-14を、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能なキラルドーパントR-5011を2μmのピッチが得られるように、ベース混合物B-14に加えることにより製造する。
【0279】
該混合物は、-20℃および-30℃ならびにセルに入れられた場合より低温でも長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表34】
【0280】
該混合物は、好ましい電気光学性能および安定性を示す。
【0281】
実施例15
コレステリック混合物C-15を、97.01%の上記実施例1に記載された混合物B-1と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.42%のキラルドーパントR-5011と、1.25%の式RM-A
【化33】
で示される化合物と、0.62%の式RM-B
【化34】
で示される化合物と、0.62%の式RM-C
【化35】
で示される化合物と、Ciba、Switzerlandから入手可能な、0.08%の光開始剤Irgacure(登録商標)651(以下、IRG-651と省略)
【化36】
とを混合することにより製造する。
【0282】
得られた混合物C-15のピッチは、1.84μmである。
【0283】
混合物C-15を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有し、セルギャップが25μmであるガラス基板を有する試験セルに充填する。
【0284】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0285】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、97.9%のヘイズ値を得る。透明状態では、5.4%のヘイズ値を得る。
【0286】
実施例16
コレステリック混合物C-16を、98.28%の実施例1に記載された混合物B-1と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.42%のキラルドーパントR-5011と、0.63%の式RM-D
【化37】
で示される化合物と、0.63%の式RM-E
【化38】
で示される化合物と、0.04%のIRG-651とを混合することにより製造する。
【0287】
得られた混合物C-16のピッチは、1.84μmである。
【0288】
混合物C-16を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが25μmである試験セルに充填する。
【0289】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0290】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、98%のヘイズ値を得る。透明状態では、4%のヘイズ値を得る。
【0291】
実施例17
コレステリック混合物C-17を、98.28%の実施例12に記載された混合物B-12と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.42%のキラルドーパントR-5011と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Dで示される化合物と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Eで示される化合物と、0.04%のIRG-651とを混合することにより製造する。
【0292】
得られた混合物C-17のピッチは、1.84μmである。
【0293】
混合物C-17を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが25μmである試験セルに充填する。
【0294】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0295】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、94.4%のヘイズ値を得る。透明状態では、2.3%のヘイズ値を得る。
【0296】
実施例18
コレステリック混合物C-18を、98.28%の実施例4に記載された混合物B-4と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.42%のキラルドーパントR-5011と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Dで示される化合物と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Eで示される化合物と、0.04%のIRG-651とを混合することにより製造する。
【0297】
得られた混合物C-18のピッチは、1.84μmである。
【0298】
混合物C-18を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが25μmである試験セルに充填する。
【0299】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0300】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、95.7%のヘイズ値を得る。透明状態では、2.6%のヘイズ値を得る。
【0301】
実施例19
コレステリック混合物C-19を、98.28%の実施例14に記載された混合物B-14と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.42%のキラルドーパントR-5011と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Dで示される化合物と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Eで示される化合物と、0.04%のIRG-651とを混合することにより製造する。
【0302】
得られた混合物C-19のピッチは、1.84μmである。
【0303】
混合物C-19を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが25μmである試験セルに充填する。
【0304】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0305】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、96.7%のヘイズ値を得る。透明状態では、3.3%のヘイズ値を得る。
【0306】
実施例20
コレステリック混合物C-20を、98.28%の実施例13に記載された混合物B-13と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.42%のキラルドーパントR-5011と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Dで示される化合物と、0.63%の上記実施例16で示された式RM-Eで示される化合物と、0.04%のIRG-651とを混合することにより製造する。
【0307】
得られた混合物C-20のピッチは、1.84μmである。
【0308】
混合物C-20を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが25μmである試験セルに充填する。
【0309】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0310】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、96.7%のヘイズ値を得る。透明状態では、2.5%のヘイズ値を得る。
【0311】
実施例21
コレステリック混合物C-21を、91.12%の上記実施例1に記載された混合物B-1と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、6.49%のキラルドーパントCB15と、2.37%のエチレングリコールジメタクリレートと、0.02%のIRG-651とを混合することにより製造する。
【0312】
混合物C-21を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが25μmである試験セルに充填する。
【0313】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0314】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、95.1%のヘイズ値を得る。透明状態では、4.3%のヘイズ値を得る。
【0315】
実施例22
コレステリック混合物C-22を、98.61%の上記実施例4に記載された混合物B-4と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.64%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の式RM-F
【化39】
で示される化合物とを混合することにより製造する。
【0316】
光開始剤を加えない。得られた混合物C-22のピッチは、1.1μmである。
【0317】
混合物C-22を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが15μmである試験セルに充填する。
【0318】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0319】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、95%のヘイズ値を得る。透明状態では、2.1%のヘイズ値を得る。
【0320】
実施例23
コレステリック混合物C-23を、98.68%の上記実施例4に記載された混合物B-4と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.57%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0321】
光開始剤を加えない。得られた混合物C-23のピッチは、1.24μmである。
【0322】
混合物C-23を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが18μmである試験セルに充填する。
【0323】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0324】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、97%のヘイズ値を得る。透明状態では、3.5%のヘイズ値を得る。
【0325】
実施例24
液晶ベース混合物B-24を製造する。同B-24は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成を有する。
【表35】
【0326】
コレステリック混合物C-24を、98.61%の混合物B-24と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.64%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0327】
混合物C-24を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが20μmである試験セルに充填する。
【0328】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0329】
重合後、ヘイズを測定する。
【0330】
実施例25
液晶ベース混合物B-25を製造する。同B-25は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成を有する。
【表36】
【0331】
該混合物は、-20℃および-30℃ならびにセルに入れられた場合より低温でも長い貯蔵寿命を示す。下記表に、決定された貯蔵寿命値を示す。
【表37】
【0332】
コレステリック混合物C-25を、98.884%の混合物B-25と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.366%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0333】
混合物C-25を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが22.5μmである試験セルに充填する。
【0334】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0335】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、94.9%のヘイズ値を得る。透明状態では、6.7%のヘイズ値を得る。
【0336】
25mm×30mmの試験セルは、31.5Vで完全にスイッチングされる。
【0337】
実施例26
液晶ベース混合物B-26を製造する。同B-26は、その一般的な物理的特性に関して特性決定され、下記表に示された組成を有する。
【表38】
【0338】
コレステリック混合物C-26を、98.884%の混合物B-26と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.366%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0339】
混合物C-26を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが22.5μmである試験セルに充填する。
【0340】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0341】
重合後、ヘイズを測定する。
【0342】
25mm×30mmの試験セルは、30.0Vで完全にスイッチングされる。
【0343】
実施例27
コレステリック混合物C-27を、98.89%の混合物B-4と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.36%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0344】
混合物C-27を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが22.5μmである試験セルに充填する。
【0345】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0346】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、95.4%のヘイズ値を得る。透明状態では、5.5%のヘイズ値を得る。
【0347】
25mm×30mmの試験セルは、29.0Vで完全にスイッチングされる。
【0348】
実施例28
コレステリック混合物C-28を、98.92%の混合物B-4と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.33%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0349】
混合物C-28を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが22.5μmである試験セルに充填する。
【0350】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0351】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、95.0%のヘイズ値を得る。透明状態では、5.2%のヘイズ値を得る。
【0352】
25mm×30mmの試験セルは、26.0Vで完全にスイッチングされる。
【0353】
実施例29
コレステリック混合物C-29を、98.95%の混合物B-4と、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから入手可能な、0.30%のキラルドーパントR-5011と、0.75%の上記実施例22で示された式RM-Fで示される化合物とを混合することにより製造する。
【0354】
混合物C-29を、ITO電極およびポリイミド配向層(AL-1054、Japan Synthetic Rubber製、平面、TN)を有するガラス基板を有し、セルギャップが22.5μmである試験セルに充填する。
【0355】
その後、重合を、方形波電圧(70V、60Hz)を印加しながら、UV光(UVACUBE 2000、Hoenle、光強度9mW/cm、340nmのカットオフフィルタ)で試験セルを10分間照射することにより行う。
【0356】
重合後、ヘイズを測定する。散乱(曇り)状態では、94.4%のヘイズ値を得る。透明状態では、5.5%のヘイズ値を得る。
【0357】
25mm×30mmの試験セルは、24.2Vで完全にスイッチングされる。