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特許7307070フェーズドアレイアンテナ、表示パネル及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】フェーズドアレイアンテナ、表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/34 20060101AFI20230704BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20230704BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01Q3/34
G02F1/1333
H01Q1/22 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020533626
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2018120833
(87)【国際公開番号】W WO2019134488
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】201810009872.2
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】曹 雪
(72)【発明者】
【氏名】丁 天▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】武 杰
(72)【発明者】
【氏名】王 瑛
(72)【発明者】
【氏名】▲車▼ 春城
(72)【発明者】
【氏名】薛 ▲海▼林
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-538565(JP,A)
【文献】特開2001-119204(JP,A)
【文献】特表2014-531843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/18
H01Q 1/22
H01Q 3/34
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズドアレイアンテナであって、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された複数のフェーズドアレイユニットと、を含み、
少なくとも1つのフェーズドアレイユニットは、
第1の電極と、
前記第1の電極と対向して設置された第2の電極と、
電圧制御位相シフト材を制御するためのバイアス信号を受信するように配置される前記第1の電極と、グランド電極とされる前記第2の電極との間に位置する前記電圧制御位相シフト材と、
前記第1の電極の前記電圧制御位相シフト材から遠い側に位置しており、前記第1の電極と絶縁的に離間され、伝送信号を送受信するように配置されるマイクロストリップラインと、を含むことを特徴とするフェーズドアレイアンテナ。
【請求項2】
前記第1の電極の厚さは、約0.01μmより大きく0.5μmより小さい値であることを特徴とする請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項3】
前記第1の基板における前記マイクロストリップラインと前記第1の電極の正投写とが重なり合うことを特徴とする請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項4】
異なるフェーズドアレイユニット間の前記第1の電極は電気的に離間されていることを特徴とする請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項5】
各前記フェーズドアレイユニットは、前記マイクロストリップラインと前記第1の電極との間に位置する絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項6】
異なるフェーズドアレイユニットに対応する絶縁層が一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項7】
前記第1の電極および前記マイクロストリップラインは、スパイラル状またはメアンダ状を有していることを特徴とする請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項8】
前記第2の電極は、バルク電極であることを特徴とする請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項9】
異なるフェーズドアレイユニットの第2の電極が一体に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項10】
前記伝送信号を伝送するように配置される給電インターフェースと、前記給電インターフェースを各フェーズドアレイユニットのマイクロストリップラインにカップリングするように配置される電力分配器とをさらに含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項11】
前記電力分配器は、前記マイクロストリップラインと同層に設置されていることを特徴とする請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項12】
前記フェーズドアレイアンテナの周辺領域に位置するピンと、前記ピンを前記第1の電極にカップリングする配線とをさらに含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項13】
前記ピンおよび前記配線は、前記第1の電極と同層に設置されることを特徴とする請求項12に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項14】
前記電圧制御位相シフト材は、液晶材料からなることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項15】
前記第1の電極の前記電圧制御位相シフト材に近い側に位置する第1の配向層と、前記第2の電極の前記電圧制御位相シフト材に近い側に位置する第2の配向層とをさらに含むことを特徴とする請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項16】
前記第1の電極の材料は、金属及び金属酸化物のいずれか一方又は両方を含むことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項17】
前記マイクロストリップラインの材料は、金属を含むことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナを含むことを特徴とする表示パネル。
【請求項19】
前記フェーズドアレイアンテナは、前記表示パネルの周辺領域に位置していることを特徴とする請求項18に記載の表示パネル。
【請求項20】
前記表示パネルは、カラーフィルム基板とアレイ基板とを有する液晶表示パネルを含み、前記第1の基板は、前記カラーフィルム基板と前記アレイ基板との一方であり、第2の基板は、前記カラーフィルム基板と前記アレイ基板との他方であることを特徴とする請求項18に記載の表示パネル。
【請求項21】
請求項1820のいずれか一項に記載の表示パネルを含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、アンテナ技術分野に関し、より具体的には、フェーズドアレイアンテナ、並びにこのようなフェーズドアレイアンテナを備える表示パネル及び表示装置に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年01月05日に出願された中国特許出願第201810009872.2号の優先権および権益を主張し、上記中国特許出願の全文に開示される内容をここに本願の一部として援用する。
【背景技術】
【0002】
フェーズドアレイアンテナは、アレーアンテナの放射ユニットの給電位相を制御することにより、指向性パターンの形状を変化させるアンテナである。位相を制御することにより、ビームスキャンという目的を達成するように、アンテナパターンの最大値の向きを変更することができる。フェーズドアレイアンテナの適用範囲は極めて広く、例えば、乗り物と衛星間の通信、無人運転用のアレイレーダやセキュリティガードアレイレーダ等に適用可能である。
フェーズドアレイアンテナではマイクロストリップラインが一般的に用いられる。通常、マイクロストリップラインを伝送する信号は、高周波伝送信号および低周波バイアス信号(例えば、バイアス電圧)を含み、高周波伝送信号は、フェーズドアレイユニット毎に入力され、各アンテナユニットのバイアス信号は、個別に制御される必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施例は、フェーズドアレイアンテナ、表示パネル及び表示装置を提供している。
本開示の一態様において、フェーズドアレイアンテナが提供されている。当該フェーズドアレイアンテナは、対向して設置された第1の基板および第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に位置する複数のフェーズドアレイユニットと、を含む。本開示の実施例において、少なくとも1つのフェーズドアレイユニットは、第1の電極と、前記第1の電極と対向して設置された第2の電極と、前記電圧制御位相シフト材を制御するためのバイアス信号を受信するように配置される前記第1の電極とグランド電極とされる前記第2の電極との間に位置する電圧制御位相シフト材と、前記第1の電極の前記電圧制御位相シフト材から遠い側に位置しており、前記第1の電極と絶縁的に離間され、伝送信号を送受信するように配置されるマイクロストリップラインとを含む。
本開示の実施例において、前記第1の電極の厚さは、約0.01μmより大きく0.5μmより小さい値である。
本開示の実施例において、前記第1の基板における前記マイクロストリップラインと前記第1の電極の正投写とが重なり合う。
本開示の実施例において、異なるフェーズドアレイユニット間の前記第1の電極は電気的に離間されている。
本開示の実施例において、各前記フェーズドアレイユニットは、前記マイクロストリップラインと前記第1の電極との間に位置する絶縁層をさらに含む。異なるフェーズドアレイユニットに対応する絶縁層が一体に形成されている。
本開示の実施例において、前記第1の電極および前記マイクロストリップラインは、スパイラル状またはメアンダ状を有することができる。
本開示の実施例において、前記第2の電極は、バルク電極であってもよい。
本開示の実施例において、異なるフェーズドアレイユニットの第2の電極が一体に形成されていることができる。
本開示の実施例において、前記伝送信号を伝送するように配置される給電インターフェースと、前記給電インターフェースを各フェーズドアレイユニットのマイクロストリップラインにカップリングするように配置される電力分配器とをさらに含むことができる。
本開示の実施例において、前記電力分配器は、前記マイクロストリップラインと同層に設置されていることができる。
本開示の実施例において、前記フェーズドアレイアンテナは前記フェーズドアレイアンテナの周辺領域に位置するピンと、前記ピンを前記第1の電極に結合する配線とをさらに含むことができる。
本開示の実施例において、前記ピンおよび前記配線は、前記第1の電極と同層に設置されることができる。
本開示の実施例において、前記電圧制御位相シフト材は、例えば液晶材料を含むことができる。
本開示の実施例において、前記フェーズドアレイアンテナは、前記第1の電極の前記電圧制御位相シフト材に近い側に位置する第1の配向層と、前記第2の電極の前記電圧制御位相シフト材に近い側に位置する第2の配向層とをさらに含むことができる。
本開示の実施例において、前記第1の電極の材料は、例えば金属または金属酸化物を含むことができる。
本開示の実施例において、前記マイクロストリップラインの材料は、金属を含むことができる。
本開示の別の態様において、表示パネルが提供されている。当該表示パネルは、本開示に係るフェーズドアレイアンテナの1つ又は複数の実施例に記載のフェーズドアレイアンテナを含むことができる。
本開示の実施例において、前記フェーズドアレイアンテナは、前記表示パネルの周辺領域に位置することができる。
本開示の実施例において、前記表示パネルは、カラーフィルム基板とアレイ基板とを有する液晶表示パネルを含むことができる。前記第1の基板は、前記カラーフィルム基板と前記アレイ基板との一方であってもよく、前記第2の基板は、前記カラーフィルム基板と前記アレイ基板との他方であってもよい。
本開示の更に別の態様において、表示装置が提供されている。当該表示装置は、本開示に係る表示パネルの1つまたは複数の実施例における表示パネルを含むことができる。
適応性のさらなる態様および範囲は、本明細書に提供される説明から明らかになる。本開示の様々な態様は、単独で、または1つまたは複数の他の態様と組み合わせて実施され得ることを理解されたい。本明細書における説明及び特定の実施例は、説明を目的としたものであり、本願の範囲を限定することを意図していないことも理解されるべきである。
本明細書に記載された図面は、選択された実施例を説明することを目的としており、全ての可能な実施形態を示すものではなく、本願の範囲を限定することを意図していない。
これらの図面の様々な図にわたって、対応参照番号は、対応構成要素または特徴を示している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A図1Aは、フェーズドアレイアンテナにおけるマイクロストリップラインの配置を模式的に示している。
図1B図1Bは、図1AにおけるフェーズドアレイアンテナのCC’線に沿う断面図を模式的に示している。
図2図2は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナにおけるマイクロストリップラインの配置を模式的に示している。
図3図3は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナにおける第1の電極の配置を模式的に示している。
図4図4は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの図3におけるAA’線に沿う断面図を模式的に示している。
図5図5は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの図3におけるBB’線に沿う断面図を模式的に示している。
図6図6は、本開示の実施例に係る別のフェーズドアレイアンテナの断面図を模式的に示している。
図7図7は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの第1の電極の異なる厚さHにおけるシミュレーション結果を示している。
図8図8は、本開示の実施例に係る表示パネルの平面図を模式的に示している。
図9図9は、本開示の実施例に係る表示装置の平面図を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、図面を参照し、各実施例を詳細に説明するが、当業者が本開示を実現できるように、それらが本開示の例示的な例示として提供される。
【0006】
以下の図面及び例示は、本開示の範囲を限定することを意図していないことに注意されたい。既知の要素(または方法または過程)を使用して部分又は全部的に本開示の特定な素子を実現できる場合、本開示の理解に必要とされるこのような周知要素(または方法または過程)の部分のみを説明し、本開示を混同しないように、このような既知の要素の他の部分に対する詳細な説明を省略する。さらに、様々な実施例は、説明により、本明細書に含まれる要素と等価な、現在及び将来に知られる等価物を含む。
【0007】
「有する(have)」、「含む(comprise)」、および「含有する(contain)」、ならびにそれらの文法的変形という本明細書に使用される用語は、非排他的な様式で使用される。したがって、「AがBを有する」という記述、「AがBを含む」又は「AがBを含有する」という表現は、AがB以外に1つ以上の他の要素および/または部品を含むこと、および、B以外にAに他の要素、部品または素子が存在しないことを意味することができる。
【0008】
以下の説明の目的のために、図面に方向を示すように、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、及びそれらの派生語は、本開示に関連するものとする。「上に覆う」、「……のトップに」、「……上に位置する」又は「……のトップに位置する」という用語は、例えば第1の構造の第1の要素が例えば第2の構造の第2の要素に存在することを意味し、第1の要素と第2の要素との間に、例えばインターフェース構造の中間要素が存在し得る。用語「直接接触」とは、例えば第1の構造の第1の要素と例えば第2の構造の第2の要素とを接続し、それらの界面に導電性、絶縁性または半導体層が存在しないことを意味する。
【0009】
文脈が明確に指示しない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される用語の単数形は複数を含み、その逆も同様である。したがって、単数形を指すときは、通常、対応する用語の複数形を含む。
【0010】
図1Aは、フェーズドアレイアンテナ100におけるマイクロストリップラインの配置を模式的に示しており、図1Bは、図1Aのフェーズドアレイアンテナ100のCC'線に沿う断面図を模式的に示している。図1A及び1Bに示すように、フェーズドアレイアンテナ100は、第1の基板11と、第2の基板12と、複数のフェーズドアレイユニット13と、給電インターフェース14と、パワーデバイダ15と、ピン16と、配線17とを含む。少なくとも1つのフェーズドアレイユニット13は、マイクロストリップライン130と、マイクロストリップライン130に対向して配置されたグランド電極131と、マイクロストリップライン130とグランド電極131との間に位置する電圧制御型位相シフト材132とを含む。
【0011】
高周波伝送信号は、給電インターフェース14から電力分配器15に供給され、電力分配器15を通って各フェーズドアレイユニット13に供給される。低周波バイアス信号は、ピン16に印加され、配線17を介してマイクロストリップライン130に入力される。マイクロストリップライン130には、高周波伝送信号と低周波バイアス信号とが伝送される。異なるフェーズドアレイユニット13の間におけるバイアス信号の短絡や干渉を回避するために、各フェーズドアレイユニット13には、各フェーズドアレイユニット13間でのバイアス信号の伝搬を遮断し、高周波伝送信号を通過させるフィルタ133が設けられている。しかし、フェーズドアレイユニット13にフィルタ133を設けると、高周波伝送信号の一定の損失を招来させ、アンテナ利得が低下する。また、フィルタ133は、フェーズドアレイユニット13の空間をある程度占有することになり、フェーズドアレイアンテナの集積化に不利である。
【0012】
本開示の一態様によれば、フェーズドアレイアンテナが開示されている。本開示の実施例に提供されるフェーズドアレイアンテナにおいて、バイアス信号、例えば、バイアス電圧を受信するように配置された付加的な第1の電極を各フェーズドアレイユニットに導入し、マイクロストリップラインは、伝送信号を受信または送信するように配置される。このような配置により、フェーズドアレイユニットにフィルタを用いることを回避できるため、フィルタによる損失を低減でき、アンテナの利得を向上させることができる。
【0013】
図2は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナにおけるマイクロストリップラインの配置を模式的に示しており、図3は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの第1の電極の配置を模式的に示しており、図4及び図5は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの図3におけるAA'線及びBB'線に沿う断面図をそれぞれ模式的に示している。
【0014】
以下、図2図5を参照し、本発明の実施例に提供されるフェーズドアレイアンテナを詳細に説明する。
【0015】
なお、本開示の実施例では、2×2アレイのフェーズドアレイユニットを例に説明する。しかしながら、本開示の実施例に提供されるフェーズドアレイアンテナは、他のフェーズドアレイユニット構成を有するフェーズドアレイアンテナにも同様に適していることが理解されるであろう。当業者は、実際な需要に応じて設置することができる。本開示のいくつかの実施例において、複数のフェーズドアレイユニットは、n行m列に配置され、本開示の他のいくつかの実施例において、複数のフェーズドアレイユニットが非アレイに配置されてもよい。
【0016】
図2図5に示すように、本開示の実施例に提供されるフェーズドアレイアンテナ200は、対向して設置された第1の基板21及び第2の基板22と、第1の基板21と第2の基板22との間に例えばアレイ状に配置された複数のフェーズドアレイユニット23とを含む。本開示の実施例において、少なくとも1つのフェーズドアレイユニット23は、第1の電極235と;第1の電極235と対向して設置された第2の電極231と、第1の電極235と第2の電極231との間に位置する電圧制御位相シフト材232と、第1の電極235の電圧制御位相シフト材232から遠い側に位置し第1の電極235から絶縁的に離間されたマイクロストリップライン230と、を含む。本開示の実施例において、第1の電極235は、電圧制御位相シフト材232を制御するためのバイアス信号を受信するように配置され、第2の電極231は、グランド電極として機能し、マイクロストリップライン230は、例えばマイクロ波信号などの伝送信号を送受信するように配置される。
【0017】
本発明の実施例において、マイクロストリップライン230は、伝送信号を送受信することができる。電圧制御位相シフト材232は、信号を伝送する伝送媒体として機能することができる。第1の電極235にバイアス信号(例えば、バイアス電圧)を提供して、第1の電極235と第2の電極231との間に電界を発生させることにより、電圧制御位相シフト材232の誘電率を変化させ、電圧制御位相シフト材232を伝送する伝送信号の位相を変化させ、即ち、位相シフトさせることができる。
【0018】
本開示の実施例によれば、各フェーズドアレイユニット23に第1の電極235を追加することで、バイアス信号(例えば、バイアス電圧)及び伝送信号をそれぞれ第1の電極235とマイクロストリップライン230に提供し、フェーズドアレイユニット23内にフィルタを設けて異なるフェーズドアレイユニット間のバイアス信号の干渉を防止する必要がなく、フィルタによる損失を低減してアンテナの利得を向上させることができる。また、本開示の実施例に提供されるフェーズドアレイアンテナによれば、フィルタを用いないため、フィルタがフェーズドアレイアンテナの体積空間を占有せず、フェーズドアレイアンテナが他の機器への集積が容易となる。
【0019】
本発明の実施例において、電圧制御位相シフト材232は、液晶物質であってよい。しかし、本開示の実施例がこれに限定されることはなく、例示として、電圧制御位相シフト材232は、強誘電体材料であってもよい。
【0020】
各フェーズドアレイユニットにおいて、マイクロストリップライン230と第1の電極235との間に位置する絶縁層236によって、マイクロストリップライン230と第1の電極235を絶縁的に離間することができる。例えば、異なるフェーズドアレイユニット23の絶縁層236を一体的に形成することができ、これにより、絶縁層236を製造する際に、堆積された絶縁材料をさらにパターニングする必要がなく、絶縁材料を各フェーズドアレイユニット23の第1の電極235の表面に堆積させることができる。しかし、本開示の実施例がこれに限定されず、異なるフェーズドアレイユニット23の絶縁層236が連続していない場合も可能である。
【0021】
例示的な実施例において、図3に示すように、異なるフェーズドアレイユニット23間のバイアス信号の相互干渉を防止するように、異なるフェーズドアレイユニット23間の第1の電極235が電気的に離間される。図2に示すように、伝送信号が各フェーズドアレイユニット23間を伝送できるように、毎列のフェーズドアレイユニット23のマイクロストリップライン230は連続して形成されている。
【0022】
図4および図5に示すように、本開示の実施例における第1の基板21における第1の電極235とマイクロストリップライン230の正投写は、基本的に重なり合ってよい。すなわち、本発明の実施例では、第1の電極235は、マイクロストリップライン230の基板に垂直な方向における位置とほぼ対応する位置に設けられる。
【0023】
本明細書で使用する場合、「重なり合う」または「基本的に重なり合う」は、素子/部品A(例えば、第1の基板における第1の電極の正投写)と素子/部品B(例えば、第1の基板におけるマイクロストリップラインの正投写)とが完全に重なる場合を含み得るが、両方の正投写のプロファイルが、完全に重なる場合と比較して、例えば、10%以内のオフセットを有する場合が基本的に重なり合う場合に属する。
【0024】
例示的な実施例において、第1の電極235とマイクロストリップライン230は、互いに同一形状、例えば、スパイラル状またはメアンダ状を有してよい。これにより、第1の電極235を製造する際に、第1の電極235に専用のマスクを設けることなく、マイクロストリップライン230と同一のマスクを用いることができ、工程を簡略化することができる。
【0025】
本発明の実施例において、第2の電極231は、バルク電極に形成されてよい。あるいは、異なるフェーズドアレイユニット23の第2の電極231が一体に形成され、各フェーズドアレイユニット23のグランド電極としてもよい。
【0026】
本開示の実施例に記載される「一体に形成され」とは、1回の成膜プロセスによって連続的な一体構造が形成されることを意味することができ、2つの構造が別々に作られてもよいが、最終的には物理的に連続しており、中間に他のものがない構造となっている。
【0027】
図2を再び参照すると、フェーズドアレイアンテナ200は、伝送信号を供給するように配置された給電インターフェース24と、給電インターフェース24を各フェーズドアレイユニット23のマイクロストリップライン230にカップリングするように配置された電力分配器25とを更に含み得る。この配置において、伝送信号は、給電インターフェース24から電力分配器25に供給され、電力分配器25によって各フェーズドアレイユニット23に分配される。
【0028】
例示的な実施例において、電力分配器25とマイクロストリップライン230とは同層に配置されており、すなわち、同一の膜層により形成されている。
【0029】
本明細書に使用される「同層に配置される」とは、元素/部品Aと元素/部品Bとが同一の膜層から形成されている場合を含んでもよく、厚さ方向に特定の基準物(例えば、基板)から同じ距離である場合を含んでもよい。
【0030】
マイクロストリップライン230は、金属で形成されてもよい。金属は、導電率が高いため、マイクロストリップライン230を金属で形成することにより、信号の損失を低減することができる。
【0031】
図3を再び参照すると、フェーズドアレイアンテナ200は、フェーズドアレイアンテナの周辺領域に位置するピン26と、ピン26を第1の電極235にカップリングする配線27とをさらに含む。この配置により、バイアス信号源(例えば、バイアス電圧源)をピン26にカップリング的に接続し、配線25を介して第1の電極235にバイアス信号を供給することができる。
【0032】
例示的な実施例において、ピン26、配線27及び第1の電極235は、同層に設置されており、すなわち、同一の膜層により形成されている。このような設計により、ピン26、配線27及び第1の電極235を一度のパターニング工程で形成することができる。
【0033】
本開示の実施例において、第1の電極235は、任意の導電性材料で形成されてもよく、例えば、第1の電極235を形成する材料は、金属または金属酸化物を含むが、これらに限定されない。
【0034】
図6は、本開示の実施例に係る別のフェーズドアレイアンテナ300の断面図を模式的に示している。図6に示す実施例では、電圧制御位相シフト材232は、液晶材料である。フェーズドアレイアンテナ200は、図2図5に示した実施例の部品に加えて、第1の電極235の電圧制御位相シフト材232に近い側にある第1の配向層237と、第2の電極231の電圧制御位相シフト材232に近い側にある第2の配向層238とをさらに含む。第1の配向層237及び第2の配向層238は、液晶分子が特定の初期配向を有するようにことができる。第1の配向層237及び第2の配向層238の材質及び形成工程については、本開示の実施例が具体的に限定しなく、当業者が実際な需要に応じて選択することができる。
【0035】
図7は、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの第1の電極の異なる厚さHにおけるシミュレーション結果を示しており、横軸に伝送信号の周波数を示し、縦軸にフェーズドアレイアンテナの損失を示す。
【0036】
動作際に、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナのモデルをシミュレーションソフトウェアに確立され得る。具体的には、以下のパラメータを設定することができる。
【0037】
-第1の基板および第2の基板は、ガラス基板であり、誘電率が5であり、厚さが700μmである;
-マイクロストリップライン及び第2の電極の電極材料は、銅であり、その導電率が58000000S/mであり、マイクロストリップライン幅が200μmであり、マイクロストリップラインの長さが30mmである;
-絶縁層の誘電率が6.3であり、厚さが0.6μmである;
-第1の電極の導電率は、300000S/mに設定され、第1の電極の厚さは、0~2μmの範囲内で変化する変量に設定される;
電圧制御型位相シフト材は、液晶材料であり、液晶層の誘電率が3であり、厚さが100μmである。
【0038】
図7において、H=0μmであるとは、フェーズドアレイアンテナに第1の電極を設けずに、図1に示すフェーズドアレイアンテナを用いてシミュレーションを行うことを意味している。
【0039】
図7のシミュレーション結果から、第1の電極の厚さがフェーズドアレイアンテナの損失に影響を与えることがわかる。上記シミュレーション条件において、第1の電極の厚さが0.5μm未満である場合、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの損失は、図1に示すフェーズドアレイアンテナの損失よりも小さい;第1の電極の厚さが0.5μmよりも厚い場合、本開示の実施例に係るフェーズドアレイアンテナの損失は、図1に示したフェーズドアレイアンテナの損失よりも大きくなる。選択的には、本開示の実施例に係るフェーズドアレイが上記のようなパラメータを採用する場合、第1の電極の厚さHは、約0.01μmより大きく約0.5μmより小さい値をとり得る。
【0040】
本開示の別の態様によれば、別の表示パネルが開示される。選択的には、表示パネルは、本開示の実施例に係る少なくとも1つのフェーズドアレイアンテナ、例えば、上記に詳細に開示される1つまたは複数の実施例の少なくとも1つのフェーズドアレイアンテナを含み得る。したがって、当該表示パネルの選択的な実施例については、フェーズドアレイアンテナの実施例を参照することができる。
【0041】
図8は、本発明の実施例に係る表示パネルの平面図を模式的に示している。図8に示すように、表示パネル800は、周辺領域81と表示領域82とを有することができる。フェーズドアレイアンテナ200、300は、表示パネルの周辺領域81に位置することができる。
【0042】
例示的な実施例において、表示パネル800は、カラーフィルム基板及びアレイ基板を含む液晶表示パネルであってもよい。フェーズドアレイアンテナに関する上記実施例に記載される第1の基板20を、カラーフィルム基板とアレイ基板との一方とし、第2の基板30を、カラーフィルム基板とアレイ基板との他方としてよい。本開示の実施例において、フェーズドアレイアンテナの電圧制御位相シフト材が液晶材料である場合、液晶表示パネルの液晶層は、フェーズドアレイアンテナの液晶層と一体に形成されてよい。
【0043】
本開示の実施例において、カラーフィルム基板及びアレイ基板に、液晶表示パネルに必要とされる他の常用な元素又は部品をさらに設置することができる。例示として、カラーフィルム基板は、第1の偏光子、アレイ状に配置されたカラーフィルター、及び各カラーフィルターを離隔するブラックマトリックスをさらに含むことができるがこれに限定されない;アレイ基板は、アレイ状に配置された薄膜トランジスタ、画素電極、第2の偏光子を含むことができるがこれに限定されない。
【0044】
本開示のさらに別の態様によれば、表示装置をさらに開示している。図9は、本開示の実施例に係る表示装置900の平面図を模式的に示している。図に示すように、当該表示装置は、本開示の実施例に係る表示パネル800、例えば、上記に詳細に開示される1つまたは複数の実施例の表示パネル800を含みえる。したがって、当該表示装置の選択的な実施例について、表示パネル800の実施例を参照することができ、より具体的には、本開示のフェーズドアレイアンテナの実施例を参照することができる。
【0045】
以上、説明および記述の目的のために、実施例の上記記述が提供されている。本願を網羅的に又は制限的に記載することを意図していない。特定な実施例の各素子又は特徴が、通常、特定な実施例に限らず、適宜な状況には、具体的に例示又は説明されなくても、これらの素子および特徴が交換可能であり、選択される実施例に適用されることができる。同様に、多くの方法で変更することができる。そのような変更は、本願から逸脱するものとみなされるべきではなく、そのような修正が全て本願の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
11 第1の基板
12 第2の基板と、
13 フェーズドアレイユニット
100 フェーズドアレイアンテナ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9