(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】コンパクトな発電装置
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20230704BHJP
F02B 43/00 20060101ALI20230704BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20230704BHJP
F17C 7/04 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F02M21/02 L
F02B43/00 A
F02B63/04 Z
F02M21/02 U
F17C7/04
(21)【出願番号】P 2020544144
(86)(22)【出願日】2018-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2018080847
(87)【国際公開番号】W WO2019092224
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-29
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】520158230
【氏名又は名称】247 エネルジー ベーフェーベーアー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒムショート、ペテル
(72)【発明者】
【氏名】トロック、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】エルツ、カール
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス、クルト
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-227859(JP,A)
【文献】特開2011-080361(JP,A)
【文献】特開2014-181770(JP,A)
【文献】特開2014-194272(JP,A)
【文献】特開2014-209825(JP,A)
【文献】特開2016-061141(JP,A)
【文献】特開2016-146679(JP,A)
【文献】実開昭58-152549(JP,U)
【文献】登録実用新案第3208499(JP,U)
【文献】国際公開第2014/103060(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/037810(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/183510(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 43/00
F02B 63/04
F02M 21/00
F17C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ガス生成物からのエネルギー生産のためのシステムであって、
前記システムは、前記液体生成物を貯蔵するためのLNGコンテナを有する移動可能な極低温貯蔵タンク(2)と、発電装置(1)とを備え、
前記発電装置は、
標準の輸送車両に積み込むように構成されたISOインターモーダル輸送コンテナを備えるハウジング(4)と、
前記ハウジング内または前記ハウジング上に設けられ、前記極低温貯蔵タンク(2)に接続されたライン(6)を介して前記液体ガス生成物を受け取るガス入口(5)と、
前記ハウジング内または前記ハウジング上に設けられ、前記液体ガス生成物を気相に変換するための蒸発ユニット(7)と、
前記ハウジング内に設けられ、前記気相の燃焼のためのエンジン(11)、および前記エンジンによって駆動されるように前記エンジンに結合された発電機(12)を備える集合体(3)と、
前記ガス入口の前記液体ガス生成物および/または前記気相を前記蒸発ユニットを介して前記エンジンに輸送するライン回路(9)と、
前記発電機によって生成された電流を外部の電力消費者に供給する電流出力(8)と、
動作中、前記エンジンから熱を引き出す冷却回路(10)であって、前記蒸発ユニット(7)は、前記冷却回路内の前記エンジンから前記液体ガス生成物に前記熱を伝達して前記液体ガス生成物を蒸発させる一次熱交換器を備え、前記蒸発ユニットは、前記一次熱交換器と並列に設けられた周囲熱交換器(17)を備え、前記周囲熱交換器(17)は
、周囲空気との熱交換により周囲温度への曝露によって前記液体生成物を蒸発させ、前記周囲熱交換器(17)は、前記ライン回路(9)内の気相の圧力および温度が前記エンジンを始動するのに十分となるまで前記液体ガス生成物を受動的に蒸発させるように構成されている、冷却回路(10)と、
調節ユニット(15)と
を備え、
前記調節ユニットは、前記ライン回路内の少なくとも1つの弁を使用して前記ライン回路内の圧力および/または温度を調節するように適合され、それにより前記エンジンに供給される前記気相の圧力が所定の範囲内で調節され、前記エンジンに供給される前記気相の温度が少なくとも5℃になり、
前記ガス入口(5)、前記ライン回路(9)、前記蒸発ユニット(7)および前記調節ユニット(15)は、前記液体ガス生成物が前記極低温貯蔵タンク内の過圧によって前記ガス入口(5)および前記ライン回路(9)を介して前記蒸発ユニット(7)に押し込まれると、前記液体ガス生成物および前記気相の受動的な液体およびガス輸送によって、前記液体ガス生成物を前記気相で前記エンジンに供給するように適合されている、
システム。
【請求項2】
前記調節ユニットは、前記冷却回路(10)内の冷却流体の温度を調節するように適合され、それにより前記温度は、前記蒸発ユニット(7)内の前記液体ガス生成物への熱伝達の前に40℃~50℃の範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液体ガス生成物は、液化天然ガスを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガス入口(5)は、前記ライン(6)を介して前記移動可能な極低温貯蔵タンク(2)に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガス入口(5)は、少なくとも1.0バールgの過圧で前記液体ガス生成物を受け取るように適合される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記集合体(3)は、250kW~5MWの範囲内の電力を供給するように適合される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
外部の加熱回路および/または外部の冷却回路を前記発電装置に接続する継手をさらに備え、
前記冷却回路(10)は、熱を前記外部の加熱回路に伝達するように適合され、および/または前記蒸発ユニット(7)は、冷却媒体から前記液体ガス生成物への熱伝達によって前記外部の冷却回路内の前記冷却媒体を冷却する熱交換器を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
代替のガス供給源(9)としてガス分配ネットワークを前記ライン回路に結合する接続を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記発電装置は、太陽光発電システムおよび/または風力発電装置と組み合わせて、ハイブリッドエネルギーネットワークにおいて切り替えられるように適合される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記調節ユニット(15)は、前記エンジンに供給されたときに少なくとも10℃になるように前記気相の温度を調節し、前記調節ユニットは、最大で50℃になるように前記気相の前記温度を調節する、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ライン回路(9)に結合されたバッファタンク(19)をさらに備え、前記バッファタンク(19)は、送達される電力の変動に対応するため、および/または
、前記周囲熱交換器(17)を使用する蒸発によって気相の予備力を構築するために、前記気相の予備力を貯蔵することができ
、それにより前記予備力は、エンジンを始動し、その運転温度に達するのに十分である、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
センサの信号を処理するため、アクチュエータを駆動するため、および/もしくは前記集合体を駆動するための電子制御デバイス、ならびに/または前記集合体が電力を供給しないとき、電力供給を前記発電装置(1)の前記制御デバイスに行うバッテリー(21)をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のシステムからのエネルギー生産のための方法であって、
前記ISOインターモーダル輸送コンテナを現場に輸送することによって前記発電装置(1)を前記現場に設けることと、
前記液体ガス生成物で充填された前記LNGコンテナを前記現場に輸送することによって前記極低温貯蔵タンク(2)を前記現場に設けることと、
前記極低温貯蔵タンク(2)を前記ライン(6)を用いて前記発電装置の前記ガス入口(5)に接続することと、
前記蒸発ユニット(7)内で、前記ガス入口(5)および前記ライン回路(9)を介して前記極低温貯蔵タンク内の過圧によって前記蒸発ユニット(7)に押し込まれる前記液体ガス生成物を蒸発させ、前記液体ガス生成物の前記気相が形成されるようにすることと、
前記気相を燃焼させて前記エンジン(11)を駆動することと、
前記エンジンに結合された前記発電機(12)によって電流を生成することと、
前記電流を前記電流出力(8)を介して外部の電力消費者に供給することとを含み、前記ライン回路(9)内の圧力および/または温度は、前記気相の温度が少なくとも5℃になるように前記所定の範囲内で調節され、
前記気相の前記液体ガス生成物は、前記液体ガス生成物および前記気相の受動的な液体およびガス輸送によって前記エンジンに供給される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン含有ガス、例えば天然ガスまたはバイオガスなどのガスの燃焼によるエネルギー生産の分野に関する。より詳細には、本発明は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵されたガス生成物からのエネルギー生産のためのコンパクトな発電装置、およびエネルギー生産のための対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
他の化石燃料と比較して、CO2の排出量を制限することができることは、天然ガスなどのメタン含有ガス生成物からのエネルギー生産の利点である。例えば、1m3の天然ガスを1バール、0℃で燃焼させると、放出されるCO2はおよそ1.8kgだけである。
【0003】
天然ガスは、圧縮天然ガス(CNG)または液化天然ガス(LNG)として輸送および/または貯蔵することができる。CNGは典型的には、例えば200バール以上の高圧下で貯蔵され、LNGは常圧、すなわちおよそ1バール、またはほぼ大気圧で貯蔵することができるが、極低温、例えばおよそ-162℃でも貯蔵可能である。そうすることにより、LNG質量の単位の体積は、圧力下のガス、例えばCNGよりも約600倍小さくなる。液体ガスは常圧下で貯蔵されるため、高圧下での貯蔵に伴う安全上のリスクが回避される。液化天然ガス、LNGは、必ずしも液体形態の天然ガスだけを指すのではなく、バイオガスなどの持続可能な供給源から得られる液体ガスを含むこともできる。LNGは、例えば、液体形態の天然ガスとバイオガスの混合物を含み得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明による実施形態は、エネルギーを提供するための良好かつ効率的な手段および方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の実施形態の利点は、カーボンフットプリントが制限された、ならびに/または二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)および/もしくはダスト粒子の排出量が少ないエネルギーを提供することができることである。
【0006】
さらなる利点は、メタン含有ガス生成物は、例えば生産時に大きなカーボンフットプリントの負担を伴うことなく、単純なプロセスによって発生させることができることである。さらなる利点は、メタン含有ガス生成物は、輸送および/または貯蔵のためにさらなる化学処理を必要としないことである。さらなる利点は、エネルギーは、メタン含有ガス生成物から効率的な方法で発生させることができることである。さらなる利点は、メタン含有ガス生成物からエネルギーを発生させる燃焼エンジンは、ディーゼルなどの従来の燃料で動作する同等の燃焼エンジンよりも静かに動作することである。
【0007】
本発明の実施形態の利点は、液化天然ガスは、有利な高エネルギー/体積密度によって効率的に輸送され得ることである。さらに、液化天然ガスは、例えばボイルオフガス(BOG)の形態で大きな損失を伴うことなく約3000km離れた場所に供給することができる。
【0008】
本発明の実施形態の利点は、液化天然ガスは、パイプラインを備えた分配ネットワークを必要とせずに供給され得ることである。
【0009】
本発明の実施形態の利点は、エネルギーは、低コストで提供することができることである。
【0010】
本発明の実施形態の利点は、発電装置は、限られた時間、例えば数時間で設置することができることである。
【0011】
本発明の実施形態の利点は、発電装置を、例えば必要なスペースを限定することができるようにコンパクトな構成で提供することができることである。
【0012】
さらなる利点は、例えば発電装置をコンパクトで容易に確保可能な構成で提供することによって、権限のない者による意図的および/または偶発的な途絶を回避することができる良好なアクセス制御およびセキュリティを提供することができることである。
【0013】
本発明の実施形態の利点は、エネルギーを、電力分配ネットワークへの接続なしに提供することができることである。
【0014】
本発明の実施形態の利点は、エネルギーを、緊急電源として提供することができることである。さらなる利点は、分配ネットワークの電力が途絶した場合、緊急電源を始動させるための高速応答時間を達成することができることである。
【0015】
本発明の実施形態の利点は、エネルギーを、太陽光発電システムおよび/または風力ステーションなどの再生可能エネルギーの不撓性のおよび/または可変の供給源と組み合わせて、ハイブリッドネットワークで提供することができることである。さらなる利点は、そのような再生可能エネルギーの供給源から供給される電力の低下は、本発明による実施形態によって迅速に対処され得ることである。
【0016】
本発明の実施形態の利点は、エネルギー生産における残留熱を、効率的に使用することができることである。
【0017】
本発明の実施形態の利点は、発電装置のメンテナンスおよび/または修理は、さらなる同一の発電装置による発電装置の交換によって行うことができることである。さらなる利点は、その結果、エネルギー生産の中断の期間を制限することができることである。さらなる利点は、修理またはメンテナンスは、専門のメンテナンスセンターで実施することができることである。
【0018】
本発明の実施形態の利点は、45%を超える、65%を超える、例えば80%などのエネルギー生産の効率を達成することができることである。
【0019】
上述の目的は、本発明によるデバイスによって実現される。
【0020】
第1の態様では、本発明は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵された液体ガス生成物からのエネルギー生産のための発電装置に関する。発電装置は、輸送ユニットとして一体的に発電装置を輸送するのに適したコンテナの形態のハウジングを備える。発電装置は、ハウジング内またはハウジング上に設けられ、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに関連するライン、例えば接続ライン、例えば導管を介して液体ガス生成物を受け取るガス入口を備える。発電装置は、ハウジング内またはハウジング上の、液体ガス生成物を気相に変換するための蒸発ユニットを備える。発電装置は、ハウジング内に設けられた集合体を備える。集合体は、気相の燃焼のためのモータ、例えばエンジン、およびモータによって駆動されることができるようにモータに結合された発電機を備える。発電装置は、ガス入口の液体ガス生成物および/または気相を蒸発ユニットを介してモータに輸送するライン回路、例えば導管回路を備える。発電装置は、発電機によって生成された電流を外部の電力消費者、例えば外部の電力ユーザに供給する電流出力を備える。発電装置はまた、調節ユニット、例えば制御デバイスを備える。調節ユニットは、ライン回路内の少なくとも1つの弁を使用してライン回路内の圧力および/または温度を調節、例えば制御するように適合され、それによりモータに供給される気相の圧力が所定の範囲内で調節、例えば制御され、気相の温度が少なくとも5℃になる。ガス入口、ライン回路、蒸発ユニットおよび調節ユニットは、液体ガス生成物がガス入口およびライン回路を介して極低温貯蔵タンク内の過圧によって蒸発ユニットに押し込まれると、液体ガス生成物および気相の受動的な液体およびガス輸送によって、例えば液体ガス生成物の能動的な液体輸送なしに、および気相の能動的なガス輸送なしに液体ガス生成物を気相でモータに供給するように適合される。
【0021】
発電装置は、動作中、モータから熱を引き出す冷却回路、例えば水回路を備える。蒸発ユニットは、熱を冷却回路から液体ガス生成物に伝達して液体ガス生成物を蒸発させる熱交換器を備える。
【0022】
本明細書では、受動的な液体および/またはガス輸送は、極低温貯蔵タンク内の過圧による、および気相での液体ガス生成物の変換によって構築された圧力による、液体ガス生成物および気相をライン回路内で前方に押し込む受動的な圧力のみの使用を指す。「前方」はここでは、実質的に、ガス入口からモータに向かう輸送を指す。
【0023】
本明細書では、能動的な液体および/またはガス輸送は、駆動される輸送手段、例えばポンプなどの機械的および/または電気的に駆動される輸送手段の使用を指す。
【0024】
本発明の実施形態の利点は、発電装置は、低温においても容易に始動することができることである。本発明の実施形態の利点は、発電装置は、自律的に容易に始動することができることである。例えば、実施形態の利点は、受動的な液体およびガス輸送により、例えばわずかな容量しか持たないバッテリーによって供給される蓄電エネルギーなしに、または非常に限られた蓄電エネルギーの始動により発電装置の開始を可能にすることである。
【0025】
本発明の実施形態による発電装置では、ライン回路内の少なくとも1つの弁は、その出口での圧力を調節するための、例えば出力を集合体に向けて提供し、第1の所定の値よりも上および/または第2の所定の値よりも下にあるように配置される少なくとも1つの第1の弁を備えることができる。したがって、少なくとも第1の弁は、モータに供給される気相の圧力を所定の範囲内に調節する1つまたは複数の弁を備えることができる。例えば、プリセットされた圧力および/またはプリセットされた範囲内で出力圧力を調節する統合された圧力センサまたはパイロットを備える適切な弁が当技術分野で知られている。そのような弁が、例えば従来技術の弁において、完全に機械的な手段によって、例えば電力供給を必要とせずに実装され得ることは、利点である。例えば、少なくとも1つの弁は、能動調節弁、例えば当技術分野で知られているダイヤフラム弁を備えることができる。例えば、少なくとも1つの弁は、当技術分野で知られている安全遮断弁を備えてもよい。例えば、少なくとも1つの弁は、圧力を監視するための統合されたセンサ、または弁の作動を制御するための感圧機械的継手を備えることができる。
【0026】
本発明の実施形態による発電装置では、調節ユニットは、モータに供給される気相の温度を少なくとも5℃に調節するための少なくとも1つの第2の弁を備えることができる。
【0027】
少なくとも1つの第2の弁は、電気制御機構、例えば温度センサ、コントローラ、および電気的に制御される弁アクチュエータを備えることができる。しかしながら、少なくとも1つの第2の弁は、受動的に制御される機構、例えば当技術分野で知られている毛細管温度制御弁を備えてもよい。
【0028】
例えば、調節ユニットは、例えば熱交換器の(すなわち熱交換器内のガス回路の)出口またはその近くのライン回路内の温度を測定するための温度センサを備えてもよく、少なくとも1つの第2の弁は、例えば熱交換器の(すなわち熱交換器内の冷却回路の)入口またはその近くの冷却回路内に設けられてもよい。少なくとも1つの第2の弁は、動作中、温度センサの出力信号の関数として制御される制御可能な弁であり得る。例えば、少なくとも1つの第2の弁は、熱交換器を通る冷却媒体の流量、例えば水の流量を調節するための三方弁であってもよい。そのような三方弁は、モータによって加熱された温かい冷却媒体の熱交換器への流れを調節することができる。例えば、そのような三方弁は、混合機能を有する3ポート弁であってもよい。三方弁は、ピストン弁を備えることができる。三方弁は、自律的温度制御システムを備えることができる。例えば、熱交換器に向かう流れのための弁の出口ポートは、例えば所定の閾値を超えるとき、温度センサによって測定されたガスの温度上昇に応じて(少なくとも部分的に)閉鎖され得るが、本発明の実施形態はこれに限定されない(例えば、弁の閉鎖は、温度の関数として関数の増加によって定義されてもよい)。
【0029】
本発明の実施形態による発電装置では、液体ガス生成物は、ISO LNGコンテナの形態で取り外し可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵された液化天然ガスを含み得る。
【0030】
本発明の実施形態による発電装置は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクと、ラインとを備えることができ、ガス入口は、ラインを介して取り外し可能な極低温貯蔵タンクに接続される。
【0031】
本発明の実施形態による発電装置では、ハウジングは、標準の輸送車両に積み込むのに適したISOインターモーダル輸送コンテナの形態で設けることができる。
【0032】
本発明の実施形態による発電装置では、ガス入口は、少なくとも1.0バールgの過圧で液体ガス生成物を受け取るように適合させることができる。
【0033】
本発明の実施形態による発電装置では、集合体は、250kW~5MWの範囲内の電力を供給するように適合させることができる。
【0034】
本発明の実施形態による発電装置は、アクセスセキュリティ、例えば機械的ロックなどの機械的セキュリティ、および/または監視システムなどの電子セキュリティを備えることができる。発電装置は、例えば電子警報信号、視覚警報信号および/または聴覚警報信号を使用して、発電装置への不正アクセス、例えば物理および/または仮想アクセスを報告する警報システムを備えることができる。警報システムは、不正アクセスが検出されたときに発電装置をオフにする緊急停止システムを備えてもよい。
【0035】
本発明の実施形態による発電装置は、外部の加熱および/または冷却回路を発電装置に接続する継手を備えることができ、冷却回路または別の冷却(例えば水)回路は、熱を外部の加熱回路に伝達するように適合され、および/または蒸発ユニットは、冷却媒体から液体ガス生成物への熱伝達によって外部の冷却回路内の冷却媒体を冷却する熱交換器を備える。
【0036】
本発明の実施形態による発電装置では、ライン回路は、能動的な、例えば電気的および/または機械的に駆動される、液体および/またはガス輸送手段を備えない開放受動システムを備えることができる。
【0037】
本発明の実施形態による発電装置は、代替のガス供給源としてガス分配ネットワークをライン回路に結合する接続を備えることができる。
【0038】
本発明の実施形態による発電装置は、太陽光発電システムおよび/または風力発電装置と組み合わせて、ハイブリッドエネルギーネットワークにおいて切り替えられるように適合させることができる。
【0039】
本発明の実施形態による発電装置では、調節ユニットは、モータに供給されたときに少なくとも10℃になるように気相の温度を調節、例えば制御するように適合させることができる。調節ユニットは、最大で50℃になるように気相の温度を調節するように適合させることができる。
【0040】
本発明の実施形態による発電装置では、圧力の所定の範囲は、25ミリバール~100ミリバールの範囲とすることができる。
【0041】
本発明の実施形態による発電装置では、調節ユニットは、冷却回路内の冷却媒体、例えば水の温度を調節、例えば制御するように適合され得、それによりこの温度は、蒸発ユニット内の液体ガス生成物への熱伝達の前に40℃~50℃の範囲内にある。
【0042】
本発明の実施形態による発電装置では、蒸発ユニットは、周囲温度への曝露によって液体ガス生成物を蒸発させる周囲熱交換器を備えることができ、周囲熱交換器は、一次熱交換器と並列に設けられ、冷却回路から引き出された熱を使用して液体ガス生成物を蒸発させる。
【0043】
本発明の実施形態による発電装置は、ライン回路に結合されたバッファタンクを備えることができる。
【0044】
本発明の実施形態による発電装置は、センサの信号を処理するため、アクチュエータを駆動するため、および/または集合体を駆動するための電子制御デバイスを備えることができる(例えば調節ユニットが備えてもよい)。
【0045】
本発明の実施形態による発電装置では、電子制御デバイスは、デジタル通信ネットワークおよび/または無線信号などの通信接続を介して発電装置を監視および/または駆動する通信モジュールを備えることができる。
【0046】
本発明の実施形態による発電装置は、集合体が電力を供給しないとき、電力供給を発電装置の制御デバイスに行うバッテリーを備えることができる。
【0047】
本発明の実施形態による発電装置では、ハウジングは、ハウジングを輸送車両からおよび/または輸送車両に自律的に吊り上げるための自己昇降式デバイスを備えることができる。本発明の実施形態の利点は、発電装置は、昇降クレーン、適応型フォークリフトホイスト、移動式ホイスト、および/またはハウジングを自律的に積み込みおよび/または積み降ろしするための専用の変更を加えた輸送車両など、外部の吊り上げ装置を伴わず遠隔地に設置することができることである。自己昇降式デバイスは、ハウジングの一体部分を形成することができる。
【0048】
自己昇降式デバイスは、例えば、地上の支持ハウジングへの複数の折り畳み式および/または伸長可能な支持要素を備えることができる。支持要素は、ハウジングを上下にジャッキングする昇降ジャッキ要素を備えてもよい。支持要素は、手動で駆動することができ、および/または発電装置によって、例えば発電装置のモータ、発電機および/またはバッテリーによって駆動することができる。
【0049】
本発明の実施形態による発電装置は、極端な低温を特徴とする環境ならびに極端な熱を特徴とする環境の両方など、様々な極端な気象条件下で動作するように適合させることができる。
【0050】
第2の態様では、本発明は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵された液体ガス生成物からのエネルギー生産のための方法を提供する。方法は、本発明の第1の態様の実施形態による発電装置を輸送ユニットとして現場に一体的に輸送することによって発電装置を現場に供給することを含む。方法は、液体ガス生成物で充填された取り外し可能な極低温貯蔵タンクを現場に供給することを含む。方法は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクをラインを介して発電装置のガス入口に接続することを含む。方法は、蒸発ユニット内で、ガス入口およびライン回路を介して極低温貯蔵タンク内の過圧によって蒸発ユニットに押し込まれる液体ガス生成物を蒸発させ、液体ガス生成物の気相が形成されるようにすることを含む。
【0051】
方法は、モータを駆動する気相の燃焼、およびモータに結合された発電機による電流の生成を含む。方法は、電流を電流出力を介して外部の電力消費者に供給することを含む。
【0052】
ライン回路内の圧力および/または温度は、気相の温度が少なくとも5℃になるように所定の範囲内で調節、例えば制御される。気相の液体ガス生成物はここでは、液体ガス生成物および気相の受動的な液体およびガス輸送によってモータに供給される。
【0053】
方法は、冷却回路、例えば水回路によるモータからの熱の引き出しを含んでもよく、蒸発ユニット内の液体ガス生成物を蒸発させるために冷却回路から液体ガス生成物への熱の伝達を含んでもよい。
【0054】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と適宜組み合わせられてもよく、単に請求項に明示的に記載されているものだけではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の実施形態による例示的な発電装置の概略図である。
【
図2】2つの個別に輸送可能なユニットにおける本発明の実施形態による発電装置および取り外し可能な極低温ガス貯蔵タンクの構築を表す図である。
【
図3】本発明の実施形態による発電装置の例示的な図である。
【
図4】本発明の実施形態による方法の本質的なおよび/または任意の特性を示す図である。
【0056】
図面は概略的なものに過ぎず、限定的ではない。図面において、要素のいくつかのサイズは、説明のために誇張されており、縮尺通りに描かれていない場合がある。特許請求の範囲のいずれの参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。異なる図面において、同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、特定の実施形態に関し、かつ、特定の図面を参照して記載されるが、本発明はそれに限定されず、請求項によってのみ限定される。
【0058】
本明細書を通した「一実施形態」または「実施形態」への参照は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における「一実施形態において」または「実施形態において」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照している訳ではないが、そうであってもよい。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0059】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、様々な本発明の態様の1つまたは複数の理解を助けるために、単一の実施形態、図、またはその説明において一緒にグループ化されることがあることを理解されたい。しかしながら、開示のこの方法は、請求された発明が各請求項に明示的に記載されたより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の先に開示された実施形態の全ての特徴よりも少ないものである。したがって、詳細な説明に続く請求項は、この詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として独立して成り立っている。
【0060】
さらに、本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まず、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、当業者に理解されるように異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求された実施形態のいずれかは、任意の組み合わせで使用することができる。
【0061】
さらに、明細書および特許請求の範囲における第1の、第2のなどの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的に、空間的に、ランク付けで、または任意の他の方法で順序を記載するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載されている本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されている以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0062】
さらに、説明および特許請求の範囲における頂部、底部、上、前などの用語は、説明目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載されている本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されている以外の配向で動作可能であることを理解されたい。
【0063】
特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、したがって他の要素またはステップを排除するものではないことに留意されたい。したがって、指された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するものとして解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップもしくは構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。したがって、「手段AおよびBを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。これは、本発明に関して、デバイスの関連する構成要素がAおよびBのみであることを意味する。
【0064】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が述べられている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造および技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0065】
第1の態様では、本発明は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵された液体ガス生成物からのエネルギー生産のための発電装置を提供する。発電装置は、輸送ユニットとして一体的に発電装置を輸送するのに適したコンテナの形態のハウジングを備える。発電装置は、ハウジング内またはハウジング上に設けられ、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに接続されたラインを介して液体ガス生成物を受け取るガス入口を備える。発電装置は、ハウジング内またはハウジング上の、液体ガス生成物を気相に変換するための蒸発ユニットを備える。発電装置は、ハウジング内に設けられた集合体を備える。集合体は、気相の燃焼のためのモータ、およびモータによって駆動されることができるようにモータに結合された発電機を備える。発電装置は、ガス入口の液体ガス生成物および/または気相を蒸発ユニットを介してモータに輸送するライン回路を備える。発電装置は、発電機によって生成された電流を外部の電力消費者に供給する電流出力を備える。発電装置はまた、調節ユニットを備える。調節ユニットは、ライン回路内の少なくとも1つの弁を使用してライン回路内の圧力および/または温度を調節、例えば制御するように適合され、それによりモータに供給される気相の圧力が所定の範囲内で調節、例えば制御され、気相の温度が少なくとも5℃になる。ガス入口、ライン回路、蒸発ユニットおよび調節ユニットは、液体ガス生成物が極低温貯蔵タンク内の過圧によってガス入口およびライン回路を介して蒸発ユニットに押し込まれると、液体ガス生成物および気相の受動的な液体およびガス輸送によって、例えば液体ガス生成物の能動的な液体輸送なしに、および気相の能動的なガス輸送なしに液体ガス生成物を気相でモータに供給するように適合される。
【0066】
図1は、取り外し可能な極低温貯蔵タンク2に貯蔵された液体ガス生成物からのエネルギー生産のための、本発明の実施形態による発電装置1の概略図を示す。
【0067】
液体ガス生成物は、取り外し可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵された液化天然ガスを含み得る。極低温貯蔵タンク2は、例えば
図2に概略的に示されるような、例えばISO LNGコンテナを備えることができる。取り外し可能な極低温貯蔵タンクは、当技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,047,747号明細書は、輸送車両を使用して、陸上に圧力下で液化天然ガスを分配するためのコンテナを開示している。本発明による実施形態は、これに限定されることなく、移動可能な極低温貯蔵タンクを備えてもよい。
【0068】
該発電装置1は、輸送ユニットとして一体的に発電装置を輸送するのに適したコンテナの形態のハウジング4を備える。コンテナは、ISOコンテナ、例えば標準の20ftのコンテナ、30ftのコンテナ、または40ftのコンテナなど、標準サイズのインターモーダル輸送コンテナであり得る。より詳細には、該ハウジング4は、標準の輸送車両に積み込むように適合させることができる。
【0069】
図2は、本発明の実施形態による発電装置1の例示的な実装を示す。集合体3および蒸発ユニット7は、ハウジング内に設置され得る。例えば、発電装置1の実質的に全ての構成要素は、ハウジング内に設置されてもよい。ハウジングは、ビーム形状のハウジングを形成するために金属フレームを備えることができる。該ビーム形状のハウジングの側部は、例えばプレートおよび/またはグリッドによって部分的に閉鎖されてもよい。好ましくは、環境から空気を吸い込むために、底部および/または側面は部分的に開いている。好ましくは、高温空気の形で残留熱を排出すること、および/または燃焼ガスを排出することができるように、頂部および/または側面は部分的に開いている。
【0070】
本発明による実施形態の利点は、発電装置は、例えば発電装置への単純な接続のみを行うことによって、組み立てを必要とせずに現場に設置することができ、すぐに使用可能な状態で輸送車両を使用して供給を行うことができることである。例えば、1つまたは複数のガス分配回路は、すぐに始動可能な発電装置を移動可能な極低温貯蔵タンクに接続することができ、1つまたは複数の電流接続は、すぐに始動可能な発電装置を1つまたは複数の電力消費者に接続することができる。任意で、1つまたは複数の加熱回路および/または冷却回路を、すぐに始動可能な発電装置に接続することができる。例えば、例えば1MWの定格電力を有する発電装置は、例えば3時間以下の限られた時間で設置することができる。
【0071】
本発明の実施形態の利点は、発電装置は、例えば発電装置を実質的に同一の発電装置と交換することによって、エネルギー供給の中断の期間を制限して容易に保守および修理することができる一方、修理またはサービスを受ける発電装置はメンテナンスセンターに移動されることである。さらなる利点は、例えば進化するエネルギー要件に応じて直接的な方法で供給される電力を増やしたり、かつ/またはエネルギー供給の冗長性を提供したりするために、いくつかの同一の発電装置を並列に簡単に設置することができることである。
【0072】
本発明の実施形態による発電装置は、アクセスセキュリティ、例えば機械的ロックなどの機械的セキュリティ、および/または監視システムなどの電子セキュリティを備えることができる。発電装置は、例えば電子警報信号、視覚警報信号および/または聴覚警報信号を使用して、発電装置への不正アクセス、例えば物理および/または仮想アクセスを報告する警報システムを備えることができる。警報システムは、不正アクセスが検出されたときに発電装置をオフにする緊急停止システムを備えてもよい。
【0073】
本発明の実施形態による発電装置では、ハウジングは、ハウジングを輸送車両からおよび/または輸送車両に自律的に吊り上げるための自己昇降式デバイスを備えることができる。自己昇降式デバイスは、ハウジングの一体部分を形成することができる。
【0074】
自己昇降式デバイスは、例えば、地上の支持ハウジングへの複数の折り畳み式および/または伸長可能な支持要素を備えることができる。支持要素は、ハウジングを上下にジャッキングする昇降ジャッキ要素を備えてもよい。支持要素は、手動で駆動することができ、および/または発電装置によって、例えば発電装置のモータ、発電機および/またはバッテリーによって駆動することができる。
【0075】
発電装置1は、ハウジング内またはハウジング上に設置され、取り外し可能な極低温貯蔵タンク2に接続されたライン6を介して液体ガス生成物を受け取るガス入口5を備える。好ましくは、ガス入口5は、過圧、例えば1.0バールg~3バールgの範囲内の過圧で液体ガス生成物を受け取るように適合され得る。ガス入口は、入ってくる液体ガス生成物の圧力を調節する調節弁を備えてもよい。極低温貯蔵タンクは、わずかに増加した圧力下で液体ガス生成物を貯蔵するように適合され得るか、または適切な圧力範囲内の出力継手での液体ガス生成物の圧力を調節する少なくとも1つの調節弁を備え得る。わずかな過圧を提供することによって、発電装置にガス生成物を受動的に供給することができ、したがってポンプなどの能動的な輸送手段を備える必要がないことが利点である。そのような受動的なガス供給の利点は、発電装置の始動時、エネルギー生産を開始するのに必要な電力が制限されることである。
【0076】
発電装置は、液体ガス生成物を気相に変換するための蒸発ユニット7を備える。
【0077】
発電装置は、ハウジング内に設けられ、気相の燃焼のためのモータ11、およびモータによって駆動されることができるようにモータに結合された発電機12を備える集合体3を備える。
【0078】
本発明による実施形態では、集合体3は、250kW~5MWの範囲、好ましくは、500kW~2MWの範囲内などの電力を供給するように適合させることができる。
【0079】
発電装置は、動作中、モータから熱を引き出す冷却回路10を備えることができる。冷却回路は、水などの適切な冷却流体を含むことができる。
【0080】
本発明による実施形態では、発電装置はまた、温水回路または蒸気回路などの加熱回路を介して熱を提供するように適合させることができる。本発明による実施形態では、発電装置はまた、冷却回路を介して冷却を提供するように適合させることができる。例えば、発電装置は、外部の加熱および/または冷却回路を発電装置に接続する継手を備えてもよい。例えば、該冷却回路10、または同様にモータおよび/またはモータの出口から熱を引き出す別の冷却回路は、熱を外部の加熱回路に伝達するように適合されてもよい。例えば、該蒸発ユニット7は、この冷却媒体から液体ガス生成物への熱伝達によって外部の冷却回路内の冷却媒体を冷却する熱交換器を備えることができる。
【0081】
該蒸発ユニット7は、熱を該冷却回路10から液体ガス生成物に伝達して液体ガス生成物を蒸発させる熱交換器を備えることができる。
【0082】
発電装置は、ガス入口の液体ガス生成物および/または気相を蒸発ユニットを介してモータに輸送するライン回路9を備える。例えば、動作中、ライン回路は、液体ガス生成物を実質的に液相でガス入口から蒸発ユニットに輸送し、液体ガス生成物を実質的に気相で蒸発ユニットからモータに輸送することができる。好ましくは、ライン回路9は、ポンプなどの能動的な輸送手段を備えない。
【0083】
本発明による実施形態では、発電装置はまた、移動可能な極低温貯蔵タンク内の液体ガス生成物の代替のガス供給源として機能するガス分配ネットワーク用の接続を備えることができる。例えば、発電装置は、ガス生成物を気相で直接受け取るガス分配ネットワーク継手を備えることができる。例えば、このガス分配ネットワーク継手は、蒸発ユニット7とモータ11との間の該ライン回路9に接続されてもよい。
【0084】
発電装置は、発電機12によって生成された電流を外部の電力消費者に供給する電流出力8を備える。
【0085】
本発明による実施形態では、発電装置は、例えば電力分配ネットワークを介した電力供給の途絶時に継続的な電源供給を確保するために、緊急電源として機能するように適合させることができる。
【0086】
本発明による実施形態では、発電装置は、例えば電力分配ネットワークへの接続を必要とせずに電力供給を確保するために、ネットワーク外で電流を供給するように適合させることができる(「オフグリッド」)。
【0087】
本発明による実施形態では、発電装置は、例えば太陽光発電システムおよび/または風力発電装置と組み合わせて、ハイブリッドエネルギーネットワークにおいて切り替えられるように適合させることができる。
【0088】
発電装置は、調節ユニット15をさらに備える。該調節ユニットは、該ライン回路9内の少なくとも1つの弁を使用してライン回路内の圧力および/または温度を調節するように適合され、それによりモータに供給される気相の圧力が所定の範囲内で調節され、気相の温度が少なくとも5℃になる。好ましくは、該調節ユニットは、モータに供給されたときに少なくとも10℃になるように気相の温度を調節することができる。該調節ユニットは、例えば、最大で50℃になるように気相の温度を調節することができる。所定の範囲は、例えば、10~1000ミリバールの範囲、好ましくは20ミリバール~200ミリバールの範囲、好ましくは25ミリバール~100ミリバールの範囲を含むことができる。
【0089】
調節ユニットは、該冷却回路10内の冷却流体、例えば水回路内の水の温度を調節するようにさらに適合されることができ、それによりこの温度は、蒸発ユニット内の液体ガス生成物への熱伝達の前に35℃~60℃の範囲内、例えば、好ましくは40℃~50℃の範囲内にあり、例えばこの温度は、およそ45℃である。冷却流体(例えば水)の温度を低温、例えばおよそ45℃に制御することによって、気相の温度は、モータによる使用に適した範囲内で容易に制御することができる。したがって、ライン回路9は、ガスの圧力および温度を調節する複雑な手段を必要としない。
【0090】
調節ユニットは、機械式制御弁などの受動制御機構を備えることができる。該制御デバイスはまた、処理ユニットなどの能動制御機構、圧力および/もしくは温度センサなどのセンサ、ならびに/または電気的に駆動される弁を備えてもよい。
【0091】
例えば、調節ユニットは、圧力調節器DRを備え得る。ガスがモータによって排出されないとき、閉鎖圧力調節器DRまでのライン回路内の圧力は、該ガス入口5のエントランスに供給されるタンク圧力に実質的に等しくなるまで増加し得る。したがって、過剰なガスまたは圧力をタンクに強制的に戻すことができる。モータがガスを排出すると、圧力が低下し、圧力差に応じて、したがって消費量にも直接依存して、液体ガス生成物が再びシステムに強制的に戻され得る。消費量が多いと、圧力差が大きくなり、したがって供給が速くなる。そのような受動開放システムは、液体ガス生成物からの気相中のガスの過剰生産の換気を回避することができるという利点を有する。
【0092】
図3は、本発明の実施形態に対応する発電装置1の概略フローチャートを示す。該蒸発ユニット7は、冷却回路10から熱を引き出し、該ライン回路9内の液体ガス生成物を蒸発させる。加えて、蒸発ユニット7はまた、例えば周囲空気との熱交換によって、周囲温度への曝露によって液体ガス生成物を蒸発させる周囲熱交換器17を備えることができる。この周囲熱交換器17は、一次熱交換器と並列に設置され、該冷却回路10から引き出された熱を使用して液体ガス生成物を蒸発させることができる。発電装置の始動段階において、例えば該ライン回路9内の気相の圧力が不十分であるとき、モータがその動作温度にまだ達していない、および/またはまだ始動していない場合、該ライン回路9内の気相の十分な圧力および温度がモータを始動させるために構築されるまで、周囲熱交換器17が受動的に液体ガス生成物を蒸発させることができることは、利点である。モータがウォームアップした後、一次熱交換器が蒸発プロセスを実質的に引き継ぐことができるので、十分な供給速度を達成することが可能である。
【0093】
該発電装置1は、該ライン回路9に結合されたバッファタンク19を備えることができる。そのようなバッファタンク19の利点は、送達された電力の変動に対応するため、および/または例えば周囲熱交換器17を使用する蒸発によって気相の予備力を構築するために、気相の予備力を貯蔵することができ、例えばそれによりこの予備力は、モータを始動し、モータがその動作温度に達するのを可能にするのに十分であることである。
【0094】
発電装置1は、例えば発電装置の始動時、例えば連続的な電力供給を発電装置の制御デバイスに提供するためにバッテリー21を備えることができる。制御デバイスは、例えば、センサの信号を処理するため、制御弁などのアクチュエータを駆動するため、および/または集合体を駆動するための処理ユニットを備えることができる。制御デバイスは、例えば貯蔵された液体ガス生成物の温度および圧力を制御するために、該極低温貯蔵タンク2に接続することもできる。
【0095】
本発明の実施形態による発電装置では、電子制御デバイスは、デジタル通信ネットワークおよび/または無線信号などの通信接続を介して発電装置を監視および/または制御する通信モジュールを備えることができる。
【0096】
第2の態様では、本発明は、移動可能な極低温貯蔵タンクに貯蔵された液体ガス生成物からのエネルギー生産のための方法に関する。方法は、本発明の第1の態様の実施形態による発電装置を輸送ユニットとして現場に一体的に輸送することによって発電装置を現場に供給することを含む。方法は、液体ガス生成物で充填された移動可能な極低温貯蔵タンクを現場に供給することを含む。方法は、移動可能な極低温貯蔵タンクをラインを使用して発電装置のガス入口に接続することを含む。方法は、蒸発ユニット内で、ガス入口およびライン回路を介して極低温貯蔵タンク内の過圧によって蒸発ユニットに押し込まれる液体ガス生成物を蒸発させ、液体ガス生成物の気相が蒸発によって形成されるようにすることを含む。方法は、発電装置のモータを駆動する気相の燃焼、およびモータに結合された発電機による電流の生成を含む。方法は、電流を発電装置の電流出力を介して外部の電力消費者に供給することを含む。
【0097】
ライン回路内の圧力および/または温度は、気相の温度が少なくとも5℃になるように所定の範囲内で調節することができる。気相の液体ガス生成物はここでは、液体ガス生成物および気相の受動的な液体およびガス輸送によってモータに供給される。
【0098】
方法はまた、冷却回路によるモータからの熱の引き出しを含んでもよく、蒸発ユニット内の液体ガス生成物を蒸発させるために冷却回路から液体ガス生成物への熱の伝達を含んでもよい。
【0099】
図4は、本発明の実施形態による方法の概念図を示す。
【0100】
方法は、液体ガス生成物で充填された移動可能な極低温貯蔵タンク2の現場への供給101に加えて、ガス分配ネットワークを介して圧力下での気相ガス生成物の供給102を含むことができる。
【0101】
方法はまた、発電装置の太陽光発電システムおよび/または風力ステーションへの接続103を含むことができる。
【0102】
方法は、電流の発電装置の電流出力を介した外部の電力消費者への供給104を含む。
【0103】
加えて、方法は、熱および/または冷却の供給105を含み得る。
【0104】
前述の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述するものである。しかしながら、前述の内容がどれほど詳細に記載されているとしても、本発明は多くの方法で実施され得ることが理解されるであろう。本発明の特定の特徴または態様を記載するときの特定の専門用語の使用は、専門用語が関連する本発明の特徴または態様の任意の特定の特性を含むことを制限されるように専門用語が本出願で再定義されていることを暗示するように取られるべきでないことが留意されるべきである。