(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】高周波応用分野用のプローブカード
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20230704BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20230704BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R31/26 J
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2020572764
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2019067669
(87)【国際公開番号】W WO2020007824
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】102018000006903
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェットーリ、リカルド
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-042008(JP,A)
【文献】特開2008-082912(JP,A)
【文献】特開2013-246153(JP,A)
【文献】特開平05-047864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0061808(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0036493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-31/27、
1/06-1/073、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの支持板(33)、ならびに、可撓性膜(32)、およびその第1の面(F1)と前記可撓性膜(32)の中央部分(32A)において接触している複数のコンタクトプローブ(35)であって、前記複数のコンタクトプローブ(35)が、半導体ウェーハ(34)上に集積された被試験デバイス(34’)の複数の接触パッド(34A)に当接するのに適切であり、および、高周波信号を搬送するのに適切である、複数のコンタクトプローブ(35)を備える、電子デバイスの試験装置用のプローブカード(30)であって、第1の接触パッド(36A)が前記支持板(33)上に形成され、および、第2の接触パッド(36B)が前記可撓性膜(32)上に前記中央部分(32A)の周辺部分(32C)において形成され、前記可撓性膜(32)が接触エリア(36)において前記支持板(33)に押圧接触するのに適切である少なくとも1つの接触エリア(36)をさらに備え、
前記プローブカード(30)が、前記接触エリア(36)において前記可撓性膜(32)の前記周辺部分(32C)に押圧接触して、前記第2の接触パッド(36B)を前記第1の接触パッド(36A)に押圧接触させ、前記可撓性膜(32)と前記支持板(33)との間の電気的および機械的接触をもたらす少なくとも1つの押圧要素(37)をさらに備え、
前記押圧要素(37)が、前記可撓性膜(32)の前記周辺部分(32C)にその第1の面(F1)において当接するのに適切である少なくとも1つの可撓性ヘッド(38)を備え、前記可撓性ヘッド(38)が、前記押圧要素(37)の締結条件下で圧搾されるのに適切であり、および、
前記可撓性ヘッド(38)が、少なくとも1つの前記被試験デバイス(34’)を備える前記半導体ウェーハ(34)の平面である基準平面(π)に直交する方向(Z)における前記可撓性膜(32)上に形成された前記第1の接触パッド(36A)において配置された
、少なくとも1つの接触面(38C)を有し、および、
前記可撓性ヘッド(38)が、前記押圧要素(37)の締結中に第1の方向(S1)に前記可撓性膜(32)を延伸させ、前記接触エリア(36)の前記第1の接触パッド(36A)および前記第2の接触パッド(36B)の互いの上の局所摺動をもたらすように前記基準平面(π)に対して少なくとも1つの傾斜面(38F)をさらに備えるように成形された、電子デバイスの試験装置用のプローブカード(30)。
【請求項2】
前記押圧要素(37)が、前記可撓性ヘッド(38)と関連付けられた支持体(39)をさらに備え、前記支持体(39)が、締結条件下での前記可撓性ヘッド(38)の当接のための少なくとも1つの段差(39H)を装備した、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項3】
前記支持体(39)が、前記押圧要素(37)の締結条件下で前記支持板(33)に当接するのに適切であり、および前記支持板(33)上に形成された導電トラックにおいて開口(39S1)を装備した少なくとも1つの突起(39S)をさらに備える、請求項2に記載のプローブカード(30)。
【請求項4】
前記可撓性ヘッド(38)の前記傾斜面(38F)が、15°と75°との間に含まれる値を有する角度(α)を前記基準平面(π)との間で形成する、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項5】
前記可撓性ヘッド(38)の前記傾斜面(38F)が、45°の値を有する角度(α)を前記基準平面(π)との間で形成する、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項6】
前記可撓性ヘッド(38)がシリコーンゴムで、またはエラストマでできている、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項7】
前記押圧要素(37)が、前記押圧要素(37)の対向圧部としてふるまう、前記支持板(33)に固定されたガイド(45)と関連付けられた、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項8】
前記プローブカード(30)が、前記ガイド(45)と、前記可撓性ヘッド(38)と関連付けられた支持体(39)との間に配置された締結ピン(45S)をさらに備える、請求項7に記載のプローブカード(30)。
【請求項9】
前記可撓性膜(32)が、前記第1の接触パッド(36A)においてその本体部(32’)から突起して形成され、前記可撓性膜(32)を保持するための位置合わせピン(44)のそれぞれのハウジングスロット(32S)を備える少なくとも一対の翼(32L)をさらに備え、前記ハウジングスロット(32S)が、前記第1の方向(S1)に対して反対の第2の方向(S1’)における、前記位置合わせピン(44)の移動を可能にするように、前記第1の方向(S1)に沿った細長い形状を有する、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項10】
前記可撓性膜(32)が、誘電材料でできている、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項11】
前記可撓性膜(32)が、ポリアミドでできている、請求項10に記載のプローブカード(30)。
【請求項12】
前記可撓性膜(32)が、10と100μmとの間に含まれる厚さを有する、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項13】
前記可撓性膜(32)が、50μmに等しい厚さを有する、請求項12に記載のプローブカード(30)。
【請求項14】
前記コンタクトプローブ(35)が200μm未満の高さを有する、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項15】
前記支持板(33)が、前記試験装置に接続するのに適切であるプリント回路基板である、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項16】
前記可撓性膜(32)が、前記可撓性膜(32)の中間部分(32B)において前記周辺部分(32C)に向けて前記中央部分(32A)から延在している導電トラック(43)を備え、前記導電トラック(43)が、前記コンタクトプローブ(35)を前記接触エリア(36)の前記接触パッド(36A、36B)に接続する、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項17】
前記導電トラック(43)が、前記可撓性膜(32)の前記第1の面(F1)において、および/もしくは、前記可撓性膜(32)の
前記第1の面(F1)と反対側の第2
の面(F2)において形成され、ならびに/または、前記導電トラック(43)が、いくつかのレベルで前記可撓性膜(32)内に埋め込まれた、請求項16に記載のプローブカード(30)。
【請求項18】
前記可撓性膜(32)が、前記可撓性膜(32)上に形成された前記導電トラック(43)の通過に適した、前記第1および前記第2の面(F1、F2)間の接続のための導電ビアを備える、請求項17に記載のプローブカード(30)。
【請求項19】
前記支持板(33)が、前記可撓性膜(32)の通過のための開口(33S)を装備した、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【請求項20】
前記コンタクトプローブ(35)がT字状である、請求項1に記載のプローブカード(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスを試験するためのプローブカードに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、試験装置との接続のための少なくとも1つの支持板、ならびに、可撓性膜、およびその第1の面と関連付けられた複数のコンタクトプローブを備えるプローブカードに関し、これらのコンタクトプローブは、半導体ウェーハ上に集積された被試験デバイスの複数の接触パッドに当接するのに適切であり、および高周波信号を搬送するのに適切である。
【0003】
以下の開示はその説明を簡素化する目的のみでこの応用分野を参照して行う。
【発明の概要】
【0004】
よく知られているように、プローブカードは基本的には、マイクロストラクチャ、特に半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスの複数の接触パッドと、それらの機能試験(特に電気的または一般の試験)を行う試験装置の対応するチャンネルとの電気接続に適切な装置である。
【0005】
集積回路に対して行われる試験は、早ければ製造段階において欠陥回路を検出し、および分離するのに特に有用である。よって、通常、プローブカードは、ウェーハ上の複数の集積回路の、それらの切断、および、チップ格納パッケージ内での組み立て前の電気的試験のために使用される。
【0006】
プローブカードは、さらに、プローブヘッドであって、少なくとも1つの支持体(一般に、略板状であり、互いに平行の一対の支持体)またはガイドによって保持された複数の可動コンタクトプローブを実質的に含むプローブヘッドを備えている。これらの板状の支持体は、好適な穴を装備しており、および、通常、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金のワイヤによって形成されたコンタクトプローブの移動および考えられる変形のために自由空間またはエアギャップを残すように互いに一定の距離をおいて配置されている。
【0007】
特に、それらを通って複数のコンタクトプローブ6が摺動するそれらのそれぞれのガイド穴4および5を有している、通常「上方ダイ」としても示される少なくとも1つの板状の上方支持体またはガイド2、および、通常「下方ダイ」としても示される板状の下方支持体またはガイド3をさらに備えるプローブヘッド1を含むプローブカード15を
図1において概略的に示している。
【0008】
各コンタクトプローブ6は、この被試験デバイスと、このプローブカード15がその端要素を形成するその試験装置(図示せず)とに機械的に、および電気的に接触するように、ウェーハ9上に集積された被試験デバイスの接触パッド8に当接することが意図された接触先端7を備えた端で終端する。
【0009】
図1に示すように、上方ガイド2および下方ガイド3は、好適には、コンタクトプローブ6の変形を可能にするエアギャップ10により、間隔をおいて配置される。
【0010】
コンタクトプローブ6と、被試験デバイスの接触パッド8との間の良好な接続は、デバイス自体にプローブヘッド1を押圧することによって確実にされ、ガイド内に形成された複数のガイド穴を通って移動可能なコンタクトプローブ6は、この押圧接触中に、エアギャップ10内で曲げを受け、およびこれらのガイド穴内で摺動する。この種のプローブヘッドは通常、垂直プローブヘッドと呼ばれている。
【0011】
場合によっては、複数のコンタクトプローブは、上方板状の支持体またはガイドにおいてヘッド自体にしっかりと固定されている:この場合、それらは、ブロック化プローブヘッドと呼ばれている。
【0012】
しかし、固定してブロック化されていない一方、いわゆるボードに、場合によっては、マイクロコンタクトボードを介してインターフェースで接続されている、複数のプローブを備えた複数のプローブヘッドがより頻繁に使用されている:それらは、非ブロック化プローブヘッドと呼ばれている。マイクロコンタクトボードは通常、「スペーストランスフォーマ」と呼ばれている。というのは、プローブに接触する他に、それは、特に、パッド自体の中心間の距離制約を緩和して、被試験デバイス上の接触パッドに対して、その上に形成された接触パッドを空間的に再配分することも可能にするからである。
【0013】
この場合には、
図1に示す例をなお参照すれば、各コンタクトプローブ6は、プローブヘッド1を備えるプローブカード15のスペーストランスフォーマ13の複数の接触パッドのうちの接触パッド12に向かういわゆる接触ヘッド11で終端するさらなる端エリアまたは領域を有している。コンタクトプローブ6とスペーストランスフォーマ13との間の良好な電気接続は、接触先端7と、ウェーハ9上に集積された被試験デバイスの接触パッド8との間の接触と同様に、このスペーストランスフォーマ13の接触パッド12への、コンタクトプローブ6の接触ヘッド11の押圧当接によって確実にされる。
【0014】
さらに、プローブカード15は、それにより、プローブカード15が試験装置とインターフェースで接続するそのスペーストランスフォーマ13に接続された支持板14、一般にプリント回路基板(PCB)を備える。
【0015】
プローブカードの正しい動作は基本的には、2つのパラメータ、すなわち、複数のコンタクトプローブの垂直方向の移動(またはオーバートラベル)、および被試験デバイスの接触パッド上のこれらのコンタクトプローブの接触先端の水平方向の移動(またはスクラブ)と関連付けられる。接触先端のスクラブを確実にして、これらの接触パッドの表面をひっかき、たとえば薄い酸化層または膜状の不純物を除去し、それにより、プローブカードによって行われる接触を改善することを可能にすることが周知の通りに重要である。
【0016】
これらの特徴はすべて、プローブカードの製造工程において評価され、および校正されるべきである。というのは、プローブと被試験デバイスとの間の良好な電気接続は常に確実にされるべきであるからである。
【0017】
デバイスの接触パッドへの、プローブの接触先端の押圧接触がプローブの、またはパッド自体の破損をもたらすほど大きくないことを確実にすることが同様に重要である。
【0018】
この課題は、いわゆるショートプローブ、すなわち、限られた長さの本体を有する、特に5000μm未満のサイズを有するプローブの場合に特に感じられる。この種のプローブはたとえば、高周波応用分野に使用され、プローブの縮小された長さは、関連する自己インダクタンス現象を制限する。特に、「高周波応用分野用のプローブ」との語が、1GHzよりも高い周波数を有する信号を搬送することができるプローブを意味することを指摘する。
【0019】
無線周波数までのより高い周波数における複数の信号を搬送することができるプローブカードを、これらの信号を、たとえば上記自己インダクタンス現象によるノイズを加えることなく搬送することを可能にするための、コンタクトプローブの長さのその後の劇的な縮小を伴って製造することの最近の必要性は実際によく知られている。
【0020】
しかし、プローブの本体の縮小された長さはプローブ自体の剛性を劇的に増加させ、これは、被試験デバイスの複数の接触パッドに対してそれぞれの接触先端が作用する力の増加を伴い、これは、被試験デバイスの取り返しのつかない損傷を伴う、これらのパッドの破損につながる場合があり、この状況は明らかに回避すべきである。より危険なことには、コンタクトプローブの、その本体の長さの縮小による、剛性の増加は、プローブ自体の破損のリスクも増加させる。
【0021】
これらの問題を修正するために、複数の、縮小された長さのコンタクトプローブ、またはマイクロプローブがそれと、関連付けられ、被試験デバイスの接触パッドとの機械的および電気的接触をもたらすのに適切なその可撓性膜、およびこれらのコンタクトプローブにおいて膜と関連付けられた少なくとも1つの制動構造をプローブカードが備えるいくつかの解決策が知られている。
【0022】
この種の、知られている解決策は、
図2Aに概略的に示される。
【0023】
特に、この図は、プローブカード20であって、可撓性膜22と、好ましくは、このプローブカード20と試験装置(図示せず)との間の接続を確実にするプリント回路基板(PCB)である支持板23との間に介在させた少なくとも1つの制動構造21を備えるプローブカード20を示す。
【0024】
好適には、可撓性膜22は、第1の部分(または中央部分22A)、第2の部分(または中間部分22B)、および第3の部分(または周辺部分22C)を備える。特に、以下に明確にするように、中央部分22Aが制動構造21に接触することが意図され、および周辺部分22Cが支持板23に接触することが意図される一方、中間部分22Bは、その試験動作中に中央部分22Aと接触する、半導体ウェーハ24上に集積されたその被試験デバイスの移動に続いて、特に伸縮するように変形することが意図された部分である。
【0025】
プローブカード20は、特に、その中央部分22Aにおいて形成された、その可撓性膜22の第1の面F1上に配置された複数のコンタクトマイクロプローブ25をさらに備え、この第1の面F1は、
図2Aの局所参照による、可撓性膜22の下方面である。
【0026】
複数のコンタクトマイクロプローブ25は、半導体ウェーハ24上に集積された被試験デバイスの接触パッド24Aへの接触に適切であり、および、それらは、たとえば、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金の間で選択される導電材料、好ましくは白金合金でできている。
【0027】
好適には、特に、高周波応用分野の場合には、複数のコンタクトマイクロプローブ25は、縮小された高さ、たとえば、少なくとも200μm未満の、一般に10μmと200μmとの間に含まれる高さを有し、高さは、被試験デバイスに直交する、すなわち、図に示す局所参照系の軸Zに沿った方向において測定された、これらのプローブの寸法を意味する。市場で知られている解決策において、これらのマイクロプローブ25は、フォトリソグラフィックプロセスにより、可撓性膜22上に直接成長させた錐体として形成される。
【0028】
さらに、この可撓性膜22の中央部分22Aにおいて、すなわち、コンタクトマイクロプローブ25を装備し、および、よって、その上に集積された被試験デバイスの接触パッド24Aを備えるそのウェーハ24のエリアに対応する部分において位置付けられた制動構造21は、第1の面F1に対向する、可撓性膜22の第2の面F2に当接する。それにより、制動構造21は、この中央部分22Aにおける、可撓性膜22に対する当接要素を形成し、および、半導体ウェーハ24上に集積された被試験デバイスの接触パッド24Aへの、コンタクトマイクロプローブ25の押圧接触中に軸Zの方向にそれが保持されることを可能にする。
【0029】
この制動構造21は、そのコンタクトマイクロプローブ25の制動要素としてもふるまい、半導体ウェーハ24上に集積された被試験デバイスの接触パッド24A上のその接触力を調節する。好適には、制動構造21は、コンタクトマイクロプローブ25の制動効果を最大にし、および、半導体ウェーハ24上に集積された被試験デバイスとの接触中に膜22の中央部分22Aの平坦性を確実にするのに適切な材料でできている場合もある。
【0030】
可撓性膜22は、支持板23に向けて複数のコンタクトマイクロプローブ25から信号を搬送するのに適切であり、および、好適にはそれらに接続された複数の導電トラックをさらに備える。複数の導電トラックは、膜22の表面、特に、第2の面F2、もしくは図の局所参照によるその上方面上に、または膜自体内部に形成することが可能であり、および、それらは、この可撓性膜22の中間部分22Bに沿って、それらがそれに接続されるその対応するコンタクトマイクロプローブ25においてこの可撓性膜22の中央部分22Aから延在して、膜22の周辺部分22Cにおいて支持板23に接続される。
【0031】
特に、
図2Aの例において示すように、膜22は、その周辺部分22Cにおいて作られた溶接部26により、支持板23に接続される。この溶接部26は好適には、支持板23の接触エリア、たとえば、その上に形成されたパッドまたは接触パッドにおいて作られる。
【0032】
それにより、溶接部26は、膜22(特に、その複数の導電トラック)と、支持板23(特にその接触パッド)との間の機械的および電気的接触をもたらす。それにより、可撓性を有するものでもある複数の導電トラックは、支持板23のパッドに向けて、コンタクトマイクロプローブ25からの信号の所望のリダイレクション(redirection)を行う。特に、知られている解決策では、複数の導電トラックは、可撓性膜22の第1の面F1上に形成されたコンタクトマイクロプローブ25を、これらの導電トラックの通過を可能にするために、その中に形成された好適なビアにより、可撓性膜22自体の第2の面F2に面するその支持板23の接触パッドと接続する。あるいは、支持板23は、可撓性膜22の通過のための適切な開口を装備して、その第1の面F1上に形成された複数の導電トラックが、面Fに対向するその面(特に、支持板23の上方面)において形成された、支持板23の接触パッドと接触することを可能にしている。
【0033】
膜22および支持板23を接続するために導電性接着剤のフィルムもしくはゴム、または物理的なねじを使用することも可能である。
【0034】
しかしながら、溶接部、導電性接着剤またはゴム、ねじによって行われるこれらの接触が実際に、無線周波数信号などの高周波信号を搬送する場合に、重大な障害をもたらし、全体としてあまり機能しないプローブカードを実際にもたらすことがよく知られている。
【0035】
知られているいくつかの解決策は、支持板23との接点において可撓性膜22が、複数の局所導電性マイクロ突起(たとえば、フォトリソグラフィックプロセスにより、膜自体の上に成長させたマイクロ錐体)を装備することも提供し、これらのマイクロ突起は、導電トラックと接触しており、および、可撓性膜22が、たとえば、好適に位置付けられたねじの使用により、支持板23に押圧されると、支持板23の接触パッドに局所的に突き刺さることができ、それらの間の所望の機械的および電気的接触をもたらす。
【0036】
図2Bに概略的に示すように、好適なビア27Aを支持板23内に形成することにより、特に、試験装置から出る、たとえば同軸ケーブルまたはSMAコネクタなどの適切な複数の無線周波数接続手段27により、可撓性膜22を試験装置(図示せず)に直接接続することも可能である。好適には、これらの無線周波数接続手段27を収容するための対応する開口を、膜22内に、特にその周辺部分22Cにおいて形成することが可能である。それにより、膜22内の導電トラックは、これらの無線周波数接続手段27により、試験装置に直接接続することが可能である。
対応するボルト穴にねじ込まれた固定ボルトによって関連付けられた複数のリングを備えるクランプ機構により、可撓性プリント回路(FPC)基板がメイン基板上に取り付けられたプローブカードが米国特許出願公開第2013/328585号明細書によって知られている。
【0037】
膜と、支持板または試験装置との間の固定された関連付けをもたらすこれらの知られている解決策は、プローブカードが半導体ウェーハと押圧接触している試験動作中の、膜自体の移動および変形に関連付けられた続く問題を有している。
【0038】
この場合には実際に、中央部分22Aは、半導体ウェーハ24上に集積された被試験デバイスの圧力によって(特に、コンタクトマイクロプローブ25と、この被試験デバイスの接触パッド24Aとの間の接触によって)上昇する。膜の中央部分22Aの移動は、支持板23との、または試験装置との接触が生じるその周辺部分22Cにおける、その後の応力(特に、せん断応力のほかにも曲げタイプのもの)を伴う、中間部分22Bの弾性変形を伴う。
【0039】
膜22の周辺部分22Cにおいて存在しているこれらの応力は、それを破損させる(場合によっては局所の微小な破損)リスクを増加させる。
【0040】
いずれの場合にも、膜22の周辺部分22Cの、これらの応力、ならびに、その後の変形および考えられる、微小なまたは規模の大きな破損の存在は、搬送信号(特に高周波のもの)の品質を悪化させる。
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本発明の技術的課題はよって、先行技術によって製造されたプローブカードに現在もなお影響を及ぼしている制約および欠点を解消することを可能にするような機能的および構造的特徴を有するプローブカードであって、特に、複数の高周波信号を、これらの信号にノイズを何ら加えることなく搬送することができる一方で、被試験デバイスのパッドとの、複数の関連したコンタクトプローブの接触中のその正しい動作を確実にし、これらのコンタクトプローブが関連付けられた膜の、特に、機械的および電気的接触をもたらすその周辺部分における破損、変形、および/または移動のリスクを除去するプローブカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
本発明の基礎をなす解決策の考えは、その中に含まれる、互いの電気的接触のための好適なパッドを装備する膜および支持板間の所望の機械的接触をもたらすことができる一方で、膜をその長手方向に沿って延伸させて、その異なる位置変更動作の場合にも、その完全性を確実にする弾性押圧要素をそのプローブカードに装備することである。
【0043】
この解決策の考えに基づけば、上記技術的課題は、主に、電子デバイスの試験装置用のプローブカードであって、少なくとも1つの支持板、ならびに、可撓性膜、およびその第1の面と関連付けられた複数のコンタクトプローブであって、これらのコンタクトプローブが、半導体ウェーハ上に集積された被試験デバイスの複数の接触パッドに当接するのに適切であり、および、高周波信号を搬送するのに適切である、複数のコンタクトプローブを備える、電子デバイスの試験装置用のプローブカードであって、それが、少なくとも1つの摺接エリアであって、さらに、摺接エリアにおいて支持板に押圧接触するのに適切である、支持板上に作られた第1の接触パッドおよび可撓性膜上にその周辺部分において作られた第2の接触パッド、ならびに、この摺接エリアにおいて可撓性膜の周辺部分に押圧接触して、第2の接触パッドを第1の接触パッドに押圧接触させ、可撓性膜と支持板との間の電気的および機械的接触をもたらす少なくとも1つの押圧要素を含む少なくとも1つの摺接エリアを備える、電子デバイスの試験装置用のプローブカードによって解決される。
【0044】
特に、本発明は、個々に、または組み合わせの状態で採用される、以下のさらなる任意的な特徴を備える。
【0045】
本発明の一態様によれば、押圧要素は、可撓性膜の周辺部分にその第1の面において当接するのに適切である少なくとも1つの可撓性ヘッドを備え、この可撓性ヘッドが、押圧要素の締結条件下で圧搾されるのに適切であり、および、可撓性膜上に作られた第1の接触パッドにおいて配置された少なくとも1つの接触面を有する場合がある。
【0046】
特に、この押圧要素は、可撓性ヘッドと関連付けられた支持体をさらに備え、この支持体が、締結条件下での可撓性ヘッドの当接のための少なくとも1つの段差を装備している場合がある。
【0047】
さらに、この支持体は、押圧要素の締結条件下で支持板に当接するのに適切であり、および、この支持板上に形成された導電トラックにおいて開口を装備している、少なくとも1つの突起を備える場合がある。
【0048】
本発明の一態様によれば、可撓性ヘッドは、少なくとも1つの被試験デバイスを備える半導体ウェーハの平面に実質的に対応する基準平面に直交する方向において圧搾されることができる場合がある。
【0049】
特に、この可撓性ヘッドは、この締結中に長手方向に可撓性膜を延伸させるように基準平面に対して少なくとも1つの傾斜面をさらに備えるように成形される場合がある。
【0050】
可撓性ヘッドの傾斜面は、15°と75°との間に含まれる値を有する角度、好ましくは45°を基準平面との間で形成する場合がある。
【0051】
本発明の別の態様によれば、可撓性ヘッドは、シリコーンゴムで、またはエラストマでできている場合がある。
【0052】
さらに、本発明の一態様によれば、押圧要素は、押圧要素の対向圧部としてふるまう、支持板に固定されたガイドと関連付けられる場合がある。
【0053】
プローブカードは、ガイドと、支持体との間に配置された締結ピンをさらに備える場合がある。
【0054】
本発明のなお別の態様によれば、可撓性膜が、第1の接触パッドにおいてその本体部から突起して形成され、および、可撓性膜を保持するための、位置合わせピンのそれぞれのハウジングスロットを備える少なくとも一対の翼をさらに備え、これらのハウジングスロットが、この長手方向に対して反対の方向における、位置合わせピンの移動を可能にするように長手方向に沿った細長い形状を有する場合がある。
【0055】
さらに、本発明の一態様によれば、可撓性膜は、誘電材料、好ましくはポリアミドでできている場合があり、10と100μmとの間に含まれる、好ましくは50μmに等しい厚さを有する場合がある。
【0056】
さらに、コンタクトプローブは、200μm未満の高さを有する場合がある。
【0057】
本発明の別の態様によれば、支持板は、試験装置に接続するのに適切であるプリント回路基板である場合がある。
【0058】
本発明のさらなる態様によれば、可撓性膜が、可撓性膜の中間部分において周辺部分に向けて中央部分から延在している導電トラックを備え、これらの導電トラックが、コンタクトプローブを摺接エリアの接触パッドに接続する場合がある。
【0059】
これらの導電トラックは、可撓性膜の第1の面において、および/もしくは、可撓性膜の第2の、および対向する面において作られる場合があり、ならびに/または、それらは、場合によってはいくつかのレベルで可撓性膜内に埋め込まれる場合がある。
【0060】
さらに、可撓性膜は、可撓性膜上に作られた導電トラックの通過に適した、第1の、および第2の面間の接続のための導電ビアを備える場合がある。
【0061】
本発明の別の態様によれば、支持板は、可撓性膜の通過のための開口を装備している場合がある。
【0062】
最後に、コンタクトプローブはT字状であり得る。
【発明の効果】
【0063】
本発明によるプローブカードの特徴および利点は、添付図面を参照して、限定的でない例として表すその実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】先行技術によって実現されたプローブカードを概略的に示す。
【
図2A】先行技術によって実現された高周波応用分野用の膜を装備したプローブカードを概略的に示す。
【
図2B】先行技術によって実現された高周波応用分野用の膜を装備したプローブカードの代替的な実施形態を概略的に示す。
【
図3A】本発明によって実現された高周波応用分野用の膜を装備したプローブカードを概略的に示す。
【
図3B】本発明によって実現された高周波応用分野用の膜を装備したプローブカードの代替的な実施形態を概略的に示す。
【
図4A】
図3Aおよび
図3Bのプローブカードの、それらの異なる動作条件における詳細を拡大尺度で示す。
【
図4B】
図3Aおよび
図3Bのプローブカードの、それらの異なる動作条件における詳細を拡大尺度で示す。
【
図5A】本発明によって実現された高周波応用分野用の膜を装備したプローブカードのさらなる代替策を概略的に示す。
【
図5B】本発明によって実現された高周波応用分野用の膜を装備したプローブカードのさらなる代替策を概略的に示す。
【
図6A】
図5Aおよび
図5Bのプローブカードの、それらの異なる動作条件における詳細を拡大尺度で、および単純化された形態で示す。
【
図6B】
図5Aおよび
図5Bのプローブカードの、それらの異なる動作条件における詳細を拡大尺度で、および単純化された形態で示す。
【
図7】
図3A、3B、または5A、5Bのプローブカードに含まれた膜を上方から概略的に示す。
【
図8】
図5Aおよび5Bのプローブカードを上方からの軸測投影で概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図を(特に
図3Aおよび3B)が参照され、本発明によって実現されたプローブカードが、全体的および概略的に30で示される。
【0066】
なお、複数の図は、概略図であり、縮尺通りに描かれていない一方、それらは、本発明の重要な特徴を強調するように描かれている。さらに、複数の図では、異なる構成要素が概略的に描かれており、それらの形状は、所望の応用分野に応じて変更可能である。さらに、複数の図では、同一の参照番号が形状または機能の点で同一の要素を表すことに留意すべきである。最後に、図に示す実施形態に関して表した特有の配置は、他の図に示す他の実施形態にも使用される場合がある。
【0067】
その最も一般的な形態では、プローブカード30は、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスの試験を行うための装置(図示せず)の接続に適切である。特に、プローブカード30は、高周波の応用分野、すなわち、1GHz超の周波数を有する信号の搬送に適している。
【0068】
特に、プローブカード30は、可撓性膜32と、好ましくはこのプローブカード30と試験装置(図示せず)との間の接続を確実にするプリント回路基板(PCB)である支持板33との間に介在させた少なくとも1つの制動構造31を備える。
【0069】
プローブカード30は、複数の接触パッド34Aを装備した少なくとも1つの被試験デバイス34’を備える半導体ウェーハ34への当接に適切である。
【0070】
好適には、可撓性膜32は、互いに隣接している、第1の部分(または中央部分32A)、第2の部分(または中間部分32B)、および第3の部分(または周辺部分32C)を備える。特に、先行技術に関して上述したように、中央部分32Aが、制動構造31に接触することが意図されており、ならびに、それが、この半導体ウェーハ34の少なくとも1つの被試験デバイス34’において、よって、対応する接触パッド34Aにおいて形成され、周辺部分32Cが、支持板33に接触することが意図されている一方、中間部分32Bは、その試験動作中に中央部分32Aと接触する半導体ウェーハ34上に集積されたその被試験デバイス34’の移動に続いて、特に伸縮するように変形することが意図された部分である。
【0071】
プローブカード30は、可撓性膜32の、特にその中央部分32Aにおいて形成された第1の面F1上に配置された複数のコンタクトプローブ35をさらに備え、この第1の面F1は、
図3Aの局所参照による、可撓性膜32の下方面、すなわち、半導体ウェーハ34、よって、被試験デバイス34’およびその複数の接触パッド34Aに面する面である。
【0072】
複数のコンタクトプローブ35は、半導体ウェーハ34上に集積された被試験デバイス34’のこれらの接触パッド34Aへの機械的および電気的接触に適切であり、および、それらは、たとえば、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金の間で選択される導電材料、好ましくは白金合金でできている。
【0073】
複数のコンタクトプローブ35は、T字の茎部が可撓性膜32に接続される一方、T字の頭部が被試験デバイス34’の接触パッド34Aに接触するのに適切であるT字状(または逆転させたキノコ状)であり得る。あるいは、複数のコンタクトプローブ35は、さらに、被試験デバイス34’の接触パッド34Aに接触するための、ロジウムでできた突起接触部分を含み得る導電性バンプとして成形し得る。上述した例が本発明を限定するものとして解されるべきでないことは明らかであり、複数のコンタクトプローブ35は、半導体ウェーハ34上に集積された被試験デバイス34’の接触パッド34Aへの接続のためのいずれの好適な形状を有することもでき、たとえば、それらは、いわゆる柱体、または逆転させた錐体、場合によっては角錐台として成形し得る。
【0074】
好適には、複数のコンタクトプローブ35は、縮小された高さ、特に、少なくとも200μm未満の、一般に10μmと200μmとの間に含まれる高さを有し、高さは、被試験デバイス34’に、および、よって、半導体ウェーハ34に直交する、すなわち、図に示す局所参照系の軸Zに沿った方向において測定された、これらのコンタクトプローブ35の寸法を意味する。それにより、本発明のプローブカード30の複数のコンタクトプローブ35は、高周波デバイスを試験するのに適しており、その高さは、不利な自己インダクタンス現象を回避するようなものである。
【0075】
さらに、制動構造31は、第1の面F1に対向する、可撓性膜32の第2の面F2に当接し、ならびに、それは、この可撓性膜32の中央部分32Aにおいて位置付けられて、複数のコンタクトプローブ35との接触が生じるこの中央部分32Aにおいて、可撓性膜32に対する当接要素を形成し、および、それは、被試験デバイス34’の接触パッド34Aへのこれらのコンタクトプローブ35の押圧接触中の、軸Zの方向におけるその保持を可能にする。
【0076】
以上のように、この制動構造31は、よって、複数のコンタクトプローブ35のダンパ(damper)としてふるまい、接触パッド34A上のそれらの接触力を調節し、および、特に、それは、これらのコンタクトプローブ35の制動効果を最大にする一方で、半導体ウェーハ34上に集積された被試験デバイス34’との接触中の、すなわち、プローブカード30によって行われる試験動作中の、膜32の中央部分32Aの平坦性を確実にすることができる材料でできている場合がある。
【0077】
可撓性膜32は、支持板33に向けてコンタクトプローブ35から信号を搬送するのに適切である好適な複数の導電トラックをさらに備える。複数の導電トラックは、可撓性膜32の表面上に、特に、第2の面F2上に、もしくは、図の局所参照によるその上方面上に、または、可撓性膜32自体の内部に形成することが可能であり、および、それらは、この可撓性膜32の中間部分32Bに沿ってその周辺部分32Cに達するまで、対応するコンタクトプローブ35と接触して、可撓性膜32の中央部分32Aから延在している。可撓性膜32の第1の面F1上に金属トラックを形成し、および、支持板33とのトラックの接触のために、可撓性膜32の第1、および第2の面F1、F2間に、メタライズされた貫通穴または導電ビアなどの好適な電気的接触構造を形成することも可能である。
【0078】
好適には、グラウンドメタライゼーションまたはグラウンドは、導電トラックが形成されない面上に位置付けられて、同軸型の高周波信号の伝送を確立する。
【0079】
有利には、本発明によれば、
図3Aに概略的に示すように、プローブカード30は、可撓性膜32と支持板33との間(特に、支持板33との接触が生じる、可撓性膜32の周辺部分32C)において形成された摺接エリア36も備える。特に、摺接エリア36は、支持板33上に形成された(特に、可撓性膜32に面するその面F、すなわち図の局所参照におけるその下方面上に形成された)複数の第1の接触パッド36Aと、可撓性膜32上に形成された(特に、支持板33に面するその第2の面F2、すなわち、図の局所参照におけるその上方面上に形成された)その導電トラックと接触している、複数の第2の接触パッド36Bを備え、これらの第1の、および第2の接触パッド36A、36Bは、可撓性膜32(特に、その周辺部分32C)が、支持板33と押圧接触している場合に、互いに面して押圧接触するのに適切である。好適には、これらの第1の接触パッド36Aおよび第2の接触パッド36Bは、対応する対において互いに面するように位置付けることが可能である。
【0080】
特に、
図3Aの例に示すように、プローブカード30は、可撓性膜32の周辺部分32C(特に、摺接エリア36)において、その第1の面F1に押圧接触しており、および、この摺接エリア36の第1の、および第2の接触パッド36A、36Bを押圧接触させるのに適切である押圧要素37も備える。
【0081】
それにより、有利には、本発明によれば、摺接エリア36は、可撓性膜32と支持板33との間の(特に、可撓性膜32の、さらにその導電トラックに接続された第1の接触パッド36Aと、支持板23の第2の接触パッド36Bとの間の)電気的接触をもたらす一方、押圧要素37は、これらの接触パッド36A、36B間の機械的接触を確実にする。
【0082】
好適には、本発明によれば、押圧要素37は、特に、可撓性膜32の周辺部分32Cにおいて形成され、プローブカード30の摺接エリア36において接触している少なくとも1つの可撓性ヘッド38を備える。さらに、この押圧要素37は、以下にさらに詳細に示すように、可撓性膜32とのその関連付けのために好適な締結要素を装備したその可撓性ヘッド38と関連付けられた支持体39を備える。
【0083】
特に、可撓性ヘッド38は、通常、特に図の局所参照の軸Zにより、互いに平行である、少なくとも1つの被試験デバイス34’を備える半導体ウェーハ34の、および、支持板33の平面に実質的に対応する基準平面πに直交する方向に沿って圧搾されるのに適切である。
【0084】
好適には、可撓性ヘッド38は、可撓性膜32の中間部分32Bに沿って配置するのに適切である少なくとも1つの傾斜面38Fと、可撓性膜32の周辺部分32Cに、その上に形成された複数の第2の接触パッド36Bにおいて当接するのに適切である接触面38Cとを備える。それにより、可撓性ヘッド38、特にその接触面38Cは、実際に、可撓性膜32に、これらの第2の接触パッド36Bにおいてのみ当接し、その機械的支持体を形成する。可撓性ヘッド38の圧搾は、その傾斜面38Fの存在により、張力を可撓性膜32に、S1として図に示すその長手方向に沿って加え、この方向S1における、可撓性膜32の延伸をもたらす。
【0085】
さらに、支持体39は有利には、可撓性ヘッド38のハウジング座を形成するように可撓性ヘッド38と、その傾斜面38Fに対して反対の位置において接触して形成された段差39Hを備える。好適には、支持体39は、支持板33に向けて支持体から突起する少なくとも1つの突起39Sも備え、および、それは、押圧要素37の締結条件下で(すなわち、可撓性ヘッド28が圧搾される場合に)それに当接して、突起39Sにおける支持体39の最大の高さHtにより、支持板33への、および、よって、可撓性膜32への、押圧要素37の接近のあらかじめ設定された最大値を確実にするのに適切である。
【0086】
可撓性ヘッド38が、シリコーンゴムで、またはエラストマでできている場合がある一方、支持体39は、鋼鉄もしくは他の金属またはセラミック材料でできている場合がある。さらに、支持体39の段差39Hは、200~400μmにおよぶ高さHを有する場合がある。
【0087】
図3Bに示す代替的な実施形態によれば、プローブカード30は、複数の接触要素41を収容するプローブヘッド40を制動構造31として備え、これらの複数の接触要素41のうちの8つが例としてのみで、
図3Bに示されている。
【0088】
一般に、プローブヘッド40は、複数の接触要素41を収容することが意図された本体42を備え、この本体42は、これらの接触要素41の支持および保持構造を形成する。
【0089】
特に、接触要素41は、第1の端部分41Aと第2の端部分41Bとの間を長手方向軸H-Hに沿って延在している略棒状の本体を備え、第1の端部分41Aは支持板43に当接するのに適切であり、および、第2の端部分41Bは、可撓性膜32の第2の面F2または上方面に当接するのに適切である。
【0090】
複数のコンタクトプローブ35の配分が、半導体ウェーハ34上に集積された被試験デバイス34’の複数の接触パッド34Aのそれと、数および位置において一致していなければならない一方、プローブヘッド40の複数の接触要素41の配分および数は、特に、可撓性膜32の中央部分32Aのための十分な支持体の形成、およびこの中央部分32Aの局所の、または全体の移動の阻止などの他の要件を満たすように選択されて、異なり得る。
【0091】
図示していない代替的な実施形態では、各接触要素41は、各接触要素41が、対応するコンタクトプローブ35の制動要素としてふるまい、半導体ウェーハ34上に集積された被試験デバイスの接触パッド34A上のその接触力を調節するように、1対1の対応関係で、この可撓性膜32の第1の面F1上に形成されたコンタクトプローブ35において可撓性膜32の第2の面F2に当接する。
【0092】
プローブヘッド40の本体42は、接触要素41が摺動可能にそれらの中に収容されたそれらのそれぞれのガイド穴を有する上方の板(またはガイド)、および下方の板(またはガイド)も備えている場合があり;接触要素41の、支持板33との、および可撓性膜32とのその接触中の変形を可能にするようにエアギャップにより、上方ガイドおよび下方ガイドを互いに離間させる場合がある。
【0093】
プローブヘッド40の複数の接触要素41は、特に、1.5mmと10mmとの間に含まれる長さ、すなわち、上述したように200μm未満であり、よって、ずっと大きな曲げ負荷能力を有する対応するコンタクトプローブ35の高さよりもずっと大きな長さを有し得る。好適には、これらの接触要素41は、対応するコンタクトプローブ35の制動効果を最大にすることができる材料でできている場合もある。
【0094】
さらに、各接触要素41が、隣接するものと独立して移動するので、各コンタクトプローブ35が同様に、被試験デバイス34’の接触パッド34Aとの接触中に、隣接するものと独立して移動し得ることを指摘する。
【0095】
好適には、接触要素41は、コンタクトプローブ35と、特に、それらの間に介在させた可撓性膜32により、電気的に絶縁される。
【0096】
さらに、可撓性膜32は、接触要素41の第2の端部分41Bがそれに当接するのが適切な、その第2の面F2上に形成されたその接触パッドの形態で複数の当接構造をさらに備え得る。当接構造は特に、可撓性膜32への接触要素41の第2の端部分41Bの当接を和らげ、実質的に、膜自体の保護構造としてふるまうのに適切である。
【0097】
好適には、コンタクトプローブ35は、直接、または、導電性接着剤のフィルムなどの構成要素の介在により、可撓性膜32内に形成された導電トラックに電気的に接続される。
【0098】
それにより、可撓性を有するものでもある導電トラックは、可撓性膜32への押圧当接の際に、摺接エリア36に向けた(特に、可撓性膜32上に形成された第2の接触パッド36Bに向けた、および、よって、支持板33上に形成された第1の接触パッド36Aに向けた)コンタクトプローブ35からの信号の所望のリダイレクションを行うために使用することが可能である。
【0099】
複数の導電トラックは、可撓性膜32の複数の面のうちの1つ、好ましくは、その第1の面F1もしくは第2の面F2、または膜自体の内部において延在している場合があり、すなわち、それらは、その中に埋め込まれる場合があり、導電トラックについて異なるレベルでも、これらの構成の組み合わせが可能である。特に、導電トラックが形成される可撓性膜32のレベルの数は、要件および/または状況に応じて、たとえば、搬送すべき信号の数に応じて、および、よって、この可撓性膜32上に形成されるべきリダイレクションパターンの複雑度に応じて変わり得る。たとえば、第1のレベルが電源信号を搬送するのに適切であるトラックを備え、および、第2のレベルがグラウンド信号を搬送するのに適切であるトラックを備える構成を提供することが可能である。
【0100】
特に、可撓性膜32の複数の導電トラックは、コンタクトプローブ35を接触パッド36Bと接触させる;それらは、よって、コンタクトプローブ35における、可撓性膜32の第1の面F1上に、すなわち、可撓性膜32の中央部分32Aにおいて、および、第2の接触パッド36Bにおける、可撓性膜32の第2の面F2上に、すなわち、可撓性膜32の周辺部分32Cにおいて形成される。特に、可撓性膜32は、一方面から他方面へのその導電トラックの通過を可能にするための、好適な開口またはビアを備え得る。あるいは、導電トラックは、可撓性膜32内に埋め込まれて形成され、その第2の面F2上のその中央部分32A、および、その第1の面F1上のその周辺部分32C内において表出され得る。
【0101】
可撓性膜32が所望の可撓性および所望の電気的絶縁をもたらすことができる誘電材料、好ましくはポリアミドでできている一方、導電トラックは好ましくは、銅でできている。さらに、可撓性膜32は、10と100μmとの間に含まれる、好ましくは50μmに等しい厚さを有し得る。
【0102】
あるいは、図示しない実施形態では、接触要素41の1つまたは複数は、被試験デバイスと試験装置との間で信号を搬送するために使用することが可能である。この場合、接触要素41は、可撓性膜32内にその中央部分32Aにおいて形成された複数の導電性電気的接触要素により、対応するコンタクトプローブ35に電気的に接続され、これらの導電性電気的接触要素は、可撓性膜22の第1の面F1と第2の面F2との間に延在して、これらの対向する面F1およびF2を互いに接続する。特に、導電性電気的接触要素はたとえば、面F1およびF2と直交するこの可撓性膜32内に形成された好適な貫通穴または経路を導電材料で充填することによって形成することが可能である。
【0103】
それにより、参照されている接触要素は、一方でコンタクトプローブ35の制動要素としてふるまい、および、他方で支持板33に向けて信号を搬送する二重機能を行う。
【0104】
この実施形態では、支持板33は、それらのさらなる複数の導電性接触パッド(図示せず)を、二重機能を備えた、接触要素41の第1の端部分41Aにおいて備え、信号(特に、ショートプローブによって搬送することが要求されない信号、すなわち、高周波を有しない信号)を試験装置に向けて実際に搬送するために、それらに対してこれらの端部分が当接し、それにより、可撓性膜32による信号はコンタクトプローブ35によって搬送される高周波信号に限定され、単純にデスクランブリング(descrambling)される。
【0105】
有利には、本発明によれば、押圧要素37はよって、その、図に示す方向S1に沿った変形をもたらす張力を可撓性膜32に加えることができる。好適には、可撓性膜32の張力は、摺接エリア36の接触パッド36A、36Bの局所摺動ももたらし、これらのパッド間の電気的接触を改善する、考えられる表面酸化物の除去を伴うスクラブにより、その表面クリーニングが得られる。
【0106】
特に、この機構は、通常、互いに平行である、少なくとも1つの被試験デバイスを備える半導体ウェーハ34の、および、支持板33の平面に実質的に対応する基準平面πに対して傾斜している少なくとも面38Fを有するように成形された可撓性ヘッド38の好適な構成によって得られる。可撓性ヘッド38の傾斜面38Fは特に、この基準平面πと、すなわち、図の局所参照の軸Xと、15°と75°との間に含まれる値を有する、好ましくは45°の角度aを形成する場合がある。さらに、この傾斜面38Fは、可撓性膜32の中間部分32Bに略平行に配置される。
【0107】
よって、傾斜面38Fを装備した可撓性ヘッド38は、可撓性膜32を長手方向に、特に、図に示す方向S1に、好適には、プローブカード30から外方に、すなわち、制動構造31が位置付けられているエリアに対して反対の方向に延伸させることができる。
【0108】
特に、
図4Aおよび4Bに概略的に示すように、支持板33上の、可撓性膜32の、その周辺部分32Cにおける、および、よって、可撓性膜32上に形成された第2の接触パッド36Bへの、支持板33上に形成された接触パッド36Aの押圧接触をもたらす、摺接エリア36における押圧要素37の締結中に、その可撓性ヘッド38は、
図4Aに示す第1の高さH1から、
図4Bに示す第2のより低い高さH2へ、圧搾される。特に、この第1の高さH1は、1と2mmとの間に含まれる、好ましくは1.5mmに等しい値を有し、および、第2の高さH2は、0.8と1.2mmとの間に含まれる、好ましくは1mmに等しい値を有する。
【0109】
図4Bに示すように、押圧要素37の可撓性ヘッド38の圧搾は、その支持体39の締結により、方向S2に沿ったその移動により、もたらされる。
【0110】
この圧搾は、
図4Bに示すように、第1の長さL1から第2の長さL2への、可撓性ヘッド38の接触面38Cの延伸ももたらすが、しかし、可撓性膜32の周辺部分32C上に形成された第2の接触パッド36Bにおいて留まり、よって、圧搾された可撓性ヘッド38の機械的支持体としてふるまう。
【0111】
好適には、可撓性ヘッド38の、その圧搾条件における接触面38Cは、膜自体のいかなる考えられる損傷も回避する、支持体39と可撓性膜32との間の、高さH3を有する離間エリアを保って、段差39Hにより、支持体39に当接する。特に、この高さH3は、100と400μmとの間に含まれる、好ましくは250μmに等しい値を有する。
【0112】
好適には、
図4Aおよび4Bに示すように、押圧要素37は、好適な締結ねじ33Vにより支持板33と関連付けられた、押圧要素37の締結体39の対向圧部としてふるまうガイド45と関連付けられる。さらに、締結ピン45Sが、ガイド45と、押圧要素37の支持体39との間に配置され、この支持体39は、この締結ピン45Sに好適なハウジング穴39Fを装備している。ガイド45への、押圧要素37の締結は、圧搾条件下での、ハウジング穴39Fへの締結ピン45Sの挿入、および可撓性ヘッド38による押圧要素37の正しい保持を伴う。
【0113】
可撓性膜32内に、その面F1およびF2を接続し、および、よって、導電トラックが第1の面F1上のコンタクトプローブ35および第2の面F2上の第2の接触パッド36Bを接触させることを可能にするために形成された穴の存在が、残念ながら、高周波信号の伝送における損失および障害につながることを指摘すべきである。
【0114】
図6Aに概略的に示す有利な代替的な実施形態によれば、プローブカード30は、好適には、可撓性膜32の通過を可能にし、および、第1の面F1において可撓性膜32の周辺部分32C内に第2の接触パッド36Bが形成されることも可能にする開口33Sを好適に装備した支持板33を備え得る。それにより、コンタクトプローブ35および第2の接触パッド36Bを接続するための導電トラックはすべて、この第1の面F1において形成され、可撓性膜32が一体に保持されることを可能にし、およびそれが行う高周波信号の伝送を改善することが可能である。
【0115】
この場合には、
図3Aおよび3Bの実施形態と同様に形成された押圧要素37は、可撓性膜32と支持板33との間に形成された摺接エリア36も、なお可撓性膜32の周辺部分32Cにおいて位置付けられた図の局所参照による支持板33の上方の、支持板33の面Fに対向する面において位置付けられる。
【0116】
プローブカード30は、
図5Aに概略的に示すような、制動構造31、または、支持板33と、その中央部分32Aにおけるその可撓性膜32との間に介在させた、
図5Bに示すような、複数の接触要素41を収容するプローブヘッド40を備え得る。
【0117】
以上のように、押圧要素は、半導体ウェーハ34の、および支持板33の平面に対応する基準平面πに直交する方向に沿って圧搾し、よって、可撓性膜32に、その長手方向S1に沿って張力を加え、この方向S1における可撓性膜32の延伸をもたらし、および、摺接エリア36の接触パッド36A、36Bの局所摺動ももたらすのに適切である可撓性ヘッド38を備える。
【0118】
特に、
図6Aおよび6Bに概略的に示すように、摺接エリア36における押圧要素37の位置付けは、可撓性膜32のその周辺部分32Cにおける、支持板33への押圧接触、および、よって、支持板33上に形成された第1の接触パッド36Aの、および可撓性膜32上に形成された第2の接触パッド36Bの機械的接触をもたらす;さらに、この押圧要素37の締結、すなわち、方向S2に沿ったその移動は、可撓性ヘッド38の圧搾、および、よって、その接触面38Cの延伸、ならびに、互いの上での第1の、および第2の接触パッド36A、36Bの摺動をもたらし、その摩擦、クリーニング、ならびに正しい電気的接触を確実にする。
【0119】
既に示したように、支持体39は、押圧要素37の締結条件下で、すなわち、可撓性ヘッド28が圧搾される場合に、支持板33に当接するのに適切である突起39Sを備える。好適には、突起39Sは、支持板33上に形成された複数の導電トラックにおいて開口39S1を装備している。開口39S1は、好ましくは、RF応用分野の場合にもこれらの導電トラックとのいかなる考えらえる干渉も回避するように、400μm超の高さHs1を有する。突起39Sは、支持板33の複数の導電トラックをまたがる略ブリッジ状である。
【0120】
図7に概略的に示す代替的な実施形態によれば、図に示すように、可撓性膜32は、この可撓性膜32上(特に、その第1の面F1上)に形成され、その長手方向に延在する導電トラック43に接続された接触パッド36Aにおいて、その本体部32’から突起して形成された少なくとも1対の翼32Lも備え得る。
【0121】
好適には、翼32Lは、可撓性膜32の保持のための、複数の位置合わせピン44のそれぞれのハウジングスロット32Sを備える。有利には、本発明によれば、スロット32Sは、可撓性膜32を延伸させた場合に位置合わせピン44のその方向における移動を可能にするように、長手方向S1に沿った細長い形状を有し、位置合わせピン44の移動は、
図5中の矢印S1’によって示すように、この延伸に対して反対の方向にある。それにより、可撓性膜32の延伸は、膜32の、本体部32’と翼32Lとの間のその複数の界面32Iにおける厄介なしわをもたらすものでなく、よって、これらの界面32Iにおける変形なしで、および、スロット32Sにおける、その微小のまたは規模の大きい破損なしで、数回、可撓性膜32自体の別の位置への移動を可能にし、その長い耐用寿命を確実にする。
【0122】
図5Bの実施形態によるプローブカード30の軸測投影図が
図8に概略的に示され、プローブカード30は、可撓性膜32に当接する複数の接触要素(図示せず)を装備しているプローブヘッド40を備える。
【0123】
可撓性膜32の通過のための支持板33における開口33Aの存在、および、支持板33に、対応する支持体39を締結するための好適なねじ39Vの他に、位置合わせピン45Sの通過穴39Fを装備している押圧要素37の存在を検証することが可能である。
【0124】
プローブカード30は、好適な締結ねじ33Vにより、支持板33と関連付けられた対向圧部としてふるまうガイド45と、支持板33に当接し、および、好適な締結ねじ50Vを装備しているさらなる対向圧部50とをさらに備え、このさらなる対向圧部50は、スチフナまたはCTE(熱膨張係数)調整器としてふるまうことができる。
【0125】
プローブカード30は最後に、支持板33上に形成された、押圧要素37において可撓性膜32に接触するエリアからの複数の導電トラック33Tを備える。上述したように、押圧要素37の支持体39は、締結条件下で支持板33に当接するのに適切であり、および、RF応用分野においてもいかなる考えられる干渉も回避するように、支持板33上に形成されたこれらの複数の導電トラック33Tにおいて開口39S1を装備している突起39Sを備える。
【0126】
まとめれば、本発明は、高周波信号を搬送することを可能にするように、可撓性膜の面に接続された非常に短い接触先端としてコンタクトプローブが成形されたプローブカードを提供する。好適には、プローブカードは、可撓性膜上の周辺部分および支持板上それぞれで形成され、および、それらのパッドとそれらに接続された対応する導電トラックとの間の所望の電気的接触をもたらすために互いへ押圧接触するのに適切である、第1および第2の接触パッドを含む、少なくとも1つの摺接エリアを備える。さらに、プローブカードは、この摺接エリアにおいて形成され、可撓性膜をその周辺部分において延伸させることができる少なくとも1つの押圧要素を備える。
【0127】
有利には、本発明によれば、提案されたプローブカードは、200μm未満の高さを有する、その中に備えられた接触先端の縮小されたサイズにより、特に、無線周波数応用分野において動作する。
【0128】
接触パッドおよび押圧要素を装備している摺接エリアの存在は、搬送信号内へのノイズの導入なしで、およびこの可撓性膜の微小のまたは規模の大きい破損のいかなるリスクもなしで、半導体ウェーハ上に集積された被試験デバイスの試験動作中に、プローブカードの正しい動作が確実にされることを可能にする。
【0129】
好適には、プローブカードは、それらの剛性を修正し、それらの破損の可能性を劇的に低減する一方でそれらが加える圧力の十分な低減を確実にし、ショートプローブが当接する被試験デバイスの接触パッドの考えられる破損を回避する、それらのコンタクトプローブの制動構造を備える。
【0130】
よって、本発明のプローブカードは、それを構成する構成要素の、または、ウェーハおよびその中に備えられた被試験デバイスの、平坦性の問題の場合にも正しく動作する。
【0131】
さらに、一部の接触要素が特定の信号を搬送するのにも適切であるハイブリッド構成を採用することができることは、特に、プローブカードを介して種々の信号が搬送されるべき場合に、可撓性膜による信号のデスクランブリングをかなり単純にする。たとえば、これらの接触要素により、電源信号、および/またはグラウンド信号、すなわち、特に短いコンタクトプローブを必要とする訳でない信号を搬送することが可能である一方で、自己インダクタンス問題を回避するためにショートプローブを必要とする高周波信号は、可撓性膜と関連付けられた接触先端によってのみ搬送される。
【0132】
押圧要素の可撓性ヘッドの構成は、摺接エリアの接触パッドにおけるその正しい位置付け、およびその正しい支持を確実にする。さらに、この押圧要素の支持体の構成は、可撓性膜を損傷するいかなるリスクもなしで、圧搾条件下でその可撓性ヘッドの正しい当接を確実にする。
【0133】
この可撓性膜は、可撓性膜の、または複数のスロット自体の局所損傷を回避するように、細長いスロット内に収容された位置合わせピンによっても保持され得る。
【0134】
さらに、プローブカードは、その構造的完全性を確実にし、および、高周波信号の伝送における損失を低減するように可撓性膜の通過のための開口を装備している支持板を備え得る。
【0135】
本発明のプローブカードの種々の利点が、垂直プローブヘッドの手法を駆使することにより、その製造工程を過度に複雑にすることなしで実現されることを指摘する。
【0136】
明らかに、不特定および特定の要件を満たすために、当業者は、すべて、以下の請求項によって画定されるような、本発明の保護の範囲内に収まる、上記プローブカードに対する種々の修正形態および代替形態をもたらすことが可能になる。