(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】薬剤送出ポンプ用の低い起動力を有するバルブ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/22 20060101AFI20230704BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61M39/22 100
A61M5/142 500
(21)【出願番号】P 2021502587
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(86)【国際出願番号】 US2019042160
(87)【国際公開番号】W WO2020018642
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-27
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】イアン マクラフリン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アリス
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523535(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0204130(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3135965(EP,A1)
【文献】米国特許第5244459(US,A)
【文献】米国特許第1441508(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/22
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送出ポンプ用の低い起動力を有するバルブとして動作するバルブシステムであって、
第1の空隙と第2の空隙を含む、バルブ本体と;
前記第1の空隙に結合された、入口構成要素と;
前記第2の空隙に結合された、出口構成要素と;
前記バルブ本体を通って位置付けされ、前記第1の空隙、前記入口構成要素、前記第2の空隙および前記出口構成要素に結合され、かつサイドポートを含む、バルブ管と;
を含み、
前記バルブ本体は、シリコーン又はエラストマ材料から形成され、
前記バルブ管は、前記入口構成要素と前記出口構成要素との間を直線的に移動する、バルブシステム。
【請求項2】
低起動力、マイクロ、無流体変位バルブを含む、請求項1に記載のバルブシステム。
【請求項3】
前記入口構成要素が、流体を保管するタンクに結合されている、請求項1に記載のバルブシステム。
【請求項4】
前記出口構成要素が、患者に結合された流体経路構成要素に結合されている、請求項1に記載のバルブシステム。
【請求項5】
前記流体経路構成要素がカニューレを含む、請求項4に記載のバルブシステム。
【請求項6】
ポンプヘッドに結合されるように構成されている、請求項1に記載のバルブシステム。
【請求項7】
前記ポンプヘッドがポンプピストンとポンプチャンバを含み、前記バルブ管が前記ポンプチャンバに結合されている、請求項6に記載のバルブシステム。
【請求項8】
第1の動作段階中、前記サイドポートが前記入口構成要素と整列している、請求項7に記載のバルブシステム。
【請求項9】
第2の後続する動作段階中、前記ポンプピストンが第1の方向に移動させられて、タンクから流体を前記入口構成要素内、前記第1の空隙内、前記バルブ管内および前記ポンプチャンバ内に引込む、請求項8に記載のバルブシステム。
【請求項10】
第3の後続する動作段階中、
前記バルブ本体が移動させられて、前記出口構成要素と前記サイドポートを整列させる、請求項9に記載のバルブシステム。
【請求項11】
第4の後続する動作段階中、前記ポンプピストンが第2の反対方向に移動させられて、前記ポンプチャンバ内の前記流体を、前記バルブ管を通して外に、前記第2の空隙を通して外に、前記出口構成要素を通して外に、そして流体経路構成要素まで外へと押出す、請求項10に記載のバルブシステム。
【請求項12】
薬剤送出ポンプ用の低い起動力を有するバルブとして動作するバルブシステムであって、
第1の空隙と第2の空隙を含む、バルブ本体と;
前記第1の空隙に結合された、入口構成要素と;
前記第2の空隙に結合された、出口構成要素と;
前記バルブ本体を貫通して穿孔され、前記第1の空隙、前記入口構成要素、前記第2の空隙、および前記出口構成要素に結合され、かつサイドポートを含む、バルブ管と;
を含む、バルブシステムと;
ポンプピストンとポンプチャンバを含む、ポンプヘッドであって、前記バルブ管が前記ポンプチャンバに結合され、前記バルブ管が前記ポンプヘッドに対し流体結合されている、ポンプヘッドと;
を含み、
前記バルブ本体は、シリコーン又はエラストマ材料から形成され、
前記バルブ管は、前記入口構成要素と前記出口構成要素との間を直線的に移動する、
送出システム。
【請求項13】
前記バルブ管は、
前記入口構成要素が、前記入口構成要素内に引込むために流体を利用できる場合に、前記サイドポートを前記入口構成要素に整列させるべく、前記バルブ本体内部の第1の位置まで、そして
流体の送出のため前記バルブシステムから前記出口構成要素まで流体を押出さなければならない場合に、前記サイドポートを前記出口構成要素に整列させるべく、前記バルブ本体内部の第2の位置まで、
移動させられるように動作可能である、請求項12に記載の
送出システム。
【請求項14】
前記バルブ本体は、
前記入口構成要素が、前記入口構成要素内に引込むために流体を利用できる場合に、前記サイドポートを前記入口構成要素に整列させるべく、前記バルブ管との関係における第1の位置まで、そして
流体の送出のため前記バルブシステムから前記出口構成要素まで流体を押出さなければならない場合に、前記サイドポートを前記出口構成要素に整列させるべく、前記バルブ管との関係における第2の位置まで、
移動させられるように動作可能である、請求項12に記載の
送出システム。
【請求項15】
前記ポンプピストンが、流体を前記バルブ管内に引込み、前記ポンプチャンバから前記バルブ管内へ前記流体を押出すように構成されている、請求項12に記載の
送出システム。
【請求項16】
薬剤送出ポンプ用の低い起動力を有するバルブとして動作するバルブシステムであって、
バルブ本体と;
前記バルブ本体の内部に位置付けされた、第1の隔壁と;
前記バルブ本体の内部に位置付けされ、かつ前記第1の隔壁と整列した、第2の隔壁と;
第1のポンプチャンバに結合され、かつ前記第1の隔壁および前記第2の隔壁の第1の側に位置付けされた、第1のピストンと;
第2のポンプチャンバに結合され、かつ前記整列した第1の隔壁および第2の隔壁の第2の側に位置付けされた、第2のピストンと;
第1のサイドポート、第2のサイドポートならびに前記第1および第2のサイドポートの間に位置付けされたセンタープラグを含む、管であって、
前記管が、前記バルブ本体および前記第1の隔壁および前記第2の隔壁を通って位置付けされ、かつ前記第1および第2のピストンの間に位置付けされ、
前記第1のサイドポートが前記管の入口構成要素部分に結合され、前記第2のサイドポートが前記管の出口構成要素部分に結合され、
前記入口構成要素部分が流体を保管するタンクに結合され、前記出口構成要素部分が流体経路構成要素に結合されている、
管と;
を含み、
前記第1の隔壁及び前記第2の隔壁はそれぞれ、液体シリコーンゴムまたは他の適合性あるエラストマ材料から形成されている、バルブシステム。
【請求項17】
第1の動作段階中、前記管が、前記第1のサイドポートを前記第1のピストンおよび前記第1のポンプチャンバに結合するべく、かつ前記第2のサイドポートを前記第2のピストンおよび前記第2のポンプチャンバに結合するべく、移動させられるように動作可能である、請求項16に記載のバルブシステム。
【請求項18】
第2の後続する動作段階中、前記第1および第2のピストンが両方共、第1の方向に移動させられて、前記入口構成要素部分および前記第1のサイドポートを通って流体を前記第1のポンプチャンバ内に引込むように、かつ前記第2のポンプチャンバから前記第2のサイドポートおよび前記出口構成要素部分を通って流体を外へ圧出するように、動作可能である、請求項17に記載のバルブシステム。
【請求項19】
第3の後続する動作段階中、前記管が、前記第1のサイドポートを前記第2のピストンおよび前記第2のポンプチャンバに結合するべく、かつ前記第2のサイドポートを前記第1のピストンおよび前記第1のポンプチャンバに結合するべく、移動させられるように動作可能である、請求項18に記載のバルブシステム。
【請求項20】
第4の後続する動作段階中、前記第1および第2のピストンが両方共、第1の方向とは反対の第2の方向に移動させられて、前記入口構成要素部分および前記第1のサイドポートを通って流体を
前記第2のポンプチャンバ内に引込むように、かつ前記第1のポンプチャンバから前記第2のサイドポートおよび前記出口構成要素部分を通って流体を外へ圧出するように、動作可能である、請求項19に記載のバルブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容全体が参照により本明細書に組込まれている、2018年7月17日出願の「薬剤送出ポンプ用低力バルブ」なる名称の仮特許出願第62/699,022号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来のバルブは、材料または構成要素を流体経路内に侵入させてこの流体経路を閉鎖することによって開放または閉鎖時に流体を変位させる。このようなバルブには、逆止弁、ピンチ弁、仕切り弁、およびニードル弁、ならびに他の一般的な従来のバルブが含まれ得る。これらのタイプのバルブは、比較的低力および比較的小型となるように製造され得るが、これらのタイプのバルブは同様に、各バルブ起動に伴い意図されない流体送出が発生し得ることから、用量精度の問題をもたらす可能性もある。
【0003】
開放および閉鎖時に流体を変位させない他のタイプのバルブは、より大きくより高い力のものとなる確率が高い。例えば、回転(栓)バルブおよびせん断バルブは、シールを維持するために高圧縮シール(高力)を使用する。しかしながら、これらのバルブは典型的にOリングを使用する。非常に小さいサイズにおけるOリングの許容誤差に起因して、これらのバルブを起動させるための力は、各Oリング上の圧縮量に応じて大幅に変動し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低い起動力を有し、より高い投薬精度を提供するために動作時には流体を変位させないバルブを得ることが有益であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示されているのは、バルブ本体、入口構成要素、出口構成要素およびバルブ管を含むバルブシステムの一実施例である。バルブ本体は第1の空隙および第2の空隙を含み得る。入口構成要素は第1の空隙に結合され得、出口構成要素は第2の空隙に結合され得る。バルブ管はサイドポートを含むことができ、バルブ本体を貫通して位置付けされ、第1の空隙、入口構成要素、第2の空隙および出口構成要素に結合され得る。
【0006】
開示されているのは、バルブ本体、入口構成要素、出口構成要素およびバルブ管を含む別のバルブシステムの実施例である。バルブ本体は第1の空隙および第2の空隙を含み得る。入口構成要素は第1の空隙に結合され得、出口構成要素は第2の空隙に結合され得る。バルブ管はサイドポートを含み、バルブ本体を貫通して穿孔され第1の空隙、入口構成要素、第2の空隙および出口構成要素に結合され得る。バルブ管は、入口構成要素に結合されたタンク内に保管された流体をバルブシステム内に引込みバルブ管に結合されたポンプチャンバに提供しなければならない場合に、サイドポートを入口構成要素に整列させるべくバルブ本体内部の第1の位置まで移動させられるように動作可能であり得、ここでバルブ管は、ポンプチャンバ内に保管された流体をバルブシステムの外にそして出口構成要素に結合された流体経路構成要素上へと押出さなければならない場合に、サイドポートを出口構成要素に整列させるべくバルブ本体内部の第2の位置まで移動させられる。
【0007】
開示されているのは、バルブシステムのさらに別の実施例である。該バルブシステムは、バルブ本体、第1の隔壁、第2の隔壁、第1のピストン、第2のピストンおよび管を含む。第1の隔壁は、バルブ本体の内部に位置付けされ得る。第2の隔壁はバルブ本体と共に位置付けされ、かつ第1の隔壁と整列している。第1のピストンは、第1のポンプチャンバに結合され、かつ第1の整列した隔壁および第2の隔壁の第1の側に位置付けされ得る。第2のピストンは、第2のポンプチャンバに結合され、かつ整列した第1の隔壁および第2の隔壁の第2の側に位置付けされ得る。管は、第1のサイドポート、第2のサイドポートならびに第1および第2のサイドポートの間に位置付けされたセンタープラグを含み得る。管は、バルブ本体および第1の隔壁および第2の隔壁を通って位置付けされ、かつ第1および第2のピストンの間に位置付けされ得る。第1のサイドポートは管の入口構成要素部分に結合され得る。第2のサイドポートは管の出口構成要素部分に結合され得る。入口構成要素部分は流体を保管するタンクに結合され得、出口構成要素部分は流体経路構成要素に結合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の例示的バルブシステム(またはバルブまたはバルブ構成要素)を示す。
【
図2】
図2は、バルブシステムの断面側面図を示す。
【
図3】
図3は、送出システム(またはポンプまたはバルブ送出システム)を示す。
【
図4】
図4は、
図3に示された送出システムの第2の動作段階を示す。
【
図5】
図5は、
図4に示された送出システムの第3の動作段階を示す。
【
図6】
図6は、
図5に示された送出システム300の第4の動作段階を示す。
【
図7】
図7は、
図6に示された送出システムの第5の動作段階を示す。
【
図8】
図8は、第2の例示的バルブシステムを示す。
【
図10】
図10は、第3の例示的バルブシステム(またはバルブまたはバルブ構成要素)を例示する。
【
図11】
図11は、バルブシステムの一部分の分解組立図を示す。
【
図13】
図13は、バルブシステムの例示的隔壁の近接図を示す。
【
図14】
図14は、
図13に描かれた隔壁実施例などのバルブシステムの例示的隔壁の断面側面図を示す。
【
図15】
図15は、
図13に描かれた例示的隔壁などのバルブシステムの例示的隔壁の代替的構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
さまざまな実施例が、流体を変位させることなく動作するバルブおよび/またはバルブシステムを提供する。提供されるバルブは、低い起動力で動作させることができ、かつウェアラブル薬剤送出装置またはポンプシステムの内部での使用に対応するため比較的小さくなる(マイクロまたはミニチュアスケール)ように製造可能である。他の実施例も同様に開示される。
【0010】
本明細書中で開示されているのは、上述の欠点を含めた従来のバルブの1つ以上の欠点を解決する1つ以上のバルブシステム、構成要素および使用方法である。開示されるバルブは、比較的少数の部品を用いて小さく製造され得、ユーザに液体薬剤を提供するためウェアラブル薬剤送出装置(例えば薬剤送出ポンプ)内で使用可能である。
【0011】
さまざまな実施例において、本明細書中で開示されるバルブは、1つまたは複数の隔壁を使用し得る。隔壁を使用することによって、従来のOリングベースのポンプシステムで使用され得るものよりも低いデュロメータの材料を使用することが可能となる。さらに、管、Oリングの内径(ID)および外径(OD)およびバレルの代りに管の直径によって、圧縮量を制御することができる。
【0012】
本明細書中で開示されるのは、例示的な低駆動力、マイクロ/ミニチュアかつ無流体変位型のバルブ(および/またはバルブシステムおよび/またはそれが関与する使用方法)である。説明されている通り、開示されるバルブは、マイクロ/ミニチュアスケールでの伝統的なOリングシールに関係する問題を解決する。成形プロセスの制約条件のため、サイズの縮小に比例したOリングの成形許容誤差のスケーリングは不可能である。このことから、バルブサイズの縮小につれてはるかに広い圧縮範囲ひいてはOリングシールを起動させるための力の範囲の増大が導かれる可能性がある。問題を悪化させているのは、非変位型バルブ(起動時に体積が変化しないバルブ)を創出するための多数のシールの必要性である。
【0013】
さまざまな実施例において、低力、非変位型のマイクロ・ミニチュアバルブを創出するために1つまたは複数の隔壁を貫通して穿孔されたサイドポート付き管を使用することのできるバルブの1つ以上の例が説明される。1つまたは複数の隔壁を貫通して穿孔することによって、シール力の量は、Oリングの場合に比べより制御されたものとなる。
【0014】
図1は、第1の例示的バルブシステム(またはバルブまたはバルブ構成要素)100を示す。バルブシステム100は、バルブ本体102、入口構成要素104、出口構成要素106、およびバルブ管108を含み得る。バルブ本体102は、シリコーンから形成され得、または他の適合性あるエラストマ材料から形成され得る。バルブ本体102は、単一の成形部品または構成要素としてか、または多数の成形部品または構成要素として形成され得る。入口構成要素104は、バルブ本体102内に(圧縮嵌めとして)設置され得る剛性チュービング構成要素であり得、またはバルブ本体102に固着されたチュービング構成要素であり得る。同様にして、他の実施例では、出口構成要素106は、バルブ本体102内に設置され得る剛性チュービング構成要素であり得、または、バルブ本体102に固着されたチュービング構成要素であり得る。例えば、バルブ管108は剛性チュービング構成要素であり得る。バルブ管108は、バルブ管108と入口構成要素104および/または出口構成要素106の間にシールを創出するように、バルブ本体102を貫通して位置付け(例えば穿孔)され得る。バルブ管108は、開口部を含むことができ、本明細書中でさらに説明される通り、バルブ本体102内部を前後に移動させることができる。バルブ管108は、閉鎖端部110を含み得る。閉鎖端部110は、圧着、溶接、形成、キャッピングおよび/または充填され得る。
【0015】
図2は、バルブシステム100の断面側面図を示す。図示されているように、バルブシステム100は、第1の開口部または空隙202および第2の開口部または空隙204を含み得る。第1の空隙202は、入口構成要素104に結合または連結され得る。第2の空隙204は、出口構成要素106に結合または連結され得る。さらに図示されているように、バルブ管108はサイドポート206を含み得る。サイドポート206は、バルブ管108内に1つ以上の開口部(例えば整列した開口部)を含み得る。サイドポート206は、研削加工方法、レーザー切断プロセス、機械加工プロセスを用いて形成され得、あるいは、(例えば成形プロセスを通した)バルブ管108のための独創的な形成プロセスの一部であり得る。
【0016】
バルブ本体102は、1つの(または複数の)隔壁とみなすことができる。
図2に示されているように、バルブ管108は、例えば、隔壁(例えばバルブ本体102)を貫通して穿孔され、バルブ管108全体にわたり隔壁を伸縮させてシールを創出することができる。バルブ本体102は、入口および出口構成要素104および106にそれぞれ連結された空隙202および204を含むことができ、ここでバルブ管108にはシールが全く提供されていない。バルブ管108は、サイドポート206を通して(入口構成要素104から)流体を引込むか、またはサイドポートを通して(出口構成要素106を通って)流体を押出すことのできるポンプヘッド(
図2には図示せず)に連結され得る。バルブシステム100は、適宜入口および出口構成要素104および106にポンプヘッドを連結しそこからそれを連結解除するため、空隙202および204の間でバルブ管108のサイドポート206を移動させるように動作可能であることによって機能し得る。さまざまな実施例において、ポンプ(
図2には図示せず)を同様にまたは代替的にバルブ管108に結合することができると思われる。
【0017】
バルブ本体102内部のバルブ管108の移動方向が208により示されている。図示されているように、バルブ管108は、バルブ本体102を通して208で示された方向に直線的に移動することができる。バルブ管108の移動により、サイドポート206を、入口構成要素104および出口構成要素106に対する露出の間で変更させることができる。入口構成要素104と出口構成要素106の間で遷移するとき、サイドポート206は、いかなる意図されない流体流をも防止するべく、入口構成要素104と出口構成要素106から完全に閉め切られ得る。
【0018】
さまざまな実施例において、バルブシステム100は、例えばウェアラブル薬剤送出装置を含めた薬剤送出装置の内部でまたはその一部として使用され得る。さまざまな実施例において、入口構成要素104を、液体薬剤または任意の液体治療薬(または任意の流体)を保管するタンクに連結することができる。さまざまな実施例において、出口構成要素106は、タンク内に保管された液体薬剤をユーザに送出できるような形でユーザまたは患者に結合される流体経路(例えばカニューレを含む)に対し結合され得る。さまざまな実施例において、液体薬剤はインシュリンであり得、バルブシステム100は、ウェアラブルインシュリン薬剤送出装置またはシステムの一部であり得る。
【0019】
さまざまな実施例において、バルブシステム100は、入口構成要素104または出口構成要素106のいずれかにサイドポート206を結合する遷移中に恒常な体積を維持することによって、意図されない流体流無く流体を内へおよび/または外へ圧送するように動作可能であり得る。さまざまな実施例において、さまざまな経路分離を必要とする流体経路に対してバルブシステム100を適用することができる。さまざまな実施例において、バルブシステム100は、二重入口および単一出口を含むことができ、かつ/またはバルブステーションの数を増大させるためにより多くの空隙または開放空間を追加することができる。任意の数の空隙、バルブステーション、入口および/または出口構成要素を収容することができる。
【0020】
図3は、送出システム300の断面側面図を表わし得る。
図3に示されているように、送出システム300はバルブシステム100を含み得る。送出システム300はさらに、バルブシステム100に結合されたポンプヘッド構成要素302をさらに含むことができる。ポンプヘッド構成要素302は、ポンプチャンバ304およびポンプピストン306を含み得る。
【0021】
図3は、第1のまたは初期の動作段階にある送出システム300を示す。図示されているように、送出システム300は、いつでもポンプチャンバ304に流体を充填できる状態にある。バルブ管108は、ポンプチャンバ304に結合され得る。入口構成要素104は、流体を保管するタンク(この実施例では図示せず)に結合され得る。出口構成要素106は、カニューレおよび/またはユーザに結合される他の流体経路に結合され得る。サイドポート206は、入口構成要素104と整列し/この入口構成要素104に対して開放しており、出口構成要素106に対して閉鎖されている。
【0022】
図4は、(
図3に示されているような送出システム300の動作段階に後続する)送出システム300の第2の動作段階を例示する。例えば、バルブ管108は、入口構成要素が、入口構成要素内に引込むために流体を利用できる(例えば、入口構成要素に対して結合された外部タンク(図示せず)内に保管されていてよい)場合に、サイドポート206を入口構成要素104に整列させるべくバルブ本体102内部の第1の位置まで移動するように動作可能であり得る。
図4に示されているように、ポンプピストン306は、方向402に移動させられる。ポンプピストン306の移動によって、矢印流れ標示404によって示されているようにポンプチャンバ304内に(入口構成要素104を通って、バルブ管108を通って、そしてポンプチャンバ304内に)流体が引込まれることになる。結果として、ポンプチャンバ304の全部または一部に流体を充填することができる。ポンプピストン306は、任意の好適な起動システムによって移動させられるように動作可能であり得る。
【0023】
図5は、(
図4に示されているような送出システム300の動作段階に後続する)送出システム300の第3の動作段階を例示する。
図5に示されているように、バルブ管108は、方向502に移動するように動作可能である。バルブ管108の移動により、サイドポート206は、(例えば第2の位置において)出口構成要素106と整列し/出口構成要素106に対して開放させられ、入口構成要素104に対して閉鎖させられ得る。
【0024】
図6は、(
図5に示されているような送出システム300の動作段階に後続する)送出システム300の第4の動作段階を例示する。
図6に示されているように、ポンプピストン306は、サイドポート206を出口構成要素106と整列させる方向602に移動させられる。ポンプピストン306の移動により、流体は、送出のためのポンプチャンバ304からの方向(方向矢印604により図示)に、すなわちポンプチャンバ304からバルブ管108を通り、かつ出口構成要素106を通り(方向矢印604により標示されている通りに)(かつユーザへの送出のためカニューレおよび/または流体経路上へと)押出される。
【0025】
図7は、(
図6に示されているような送出システム300の動作段階に後続する)送出システム300の第5の動作段階を例示する。
図7に示されているように、サイドポート206は入口構成要素104と再度整列して、
図3に示された動作状態まで戻る。送出システム300は、タンクからポンプチャンバ304まで流体を引込み、それを患者に送出するために押出す後続サイクルを実装する目的で、
図3~7に例示されたステップ(またはその一部分)を反復することができる。
【0026】
バルブ管108の移動の代替案として、バルブ本体102をバルブ管108に沿って移動させて、サイドポート206を出口構成要素106と適切に整列させることができる。例えば、バルブ本体102は、入口構成要素104が、入口構成要素104内に引込むために流体を利用できる(例えば流体が入口構成要素104に結合された外部タンク内に保管されている)場合に、サイドポート206を入口構成要素104と整列させるべくバルブ管108との関係における第1の位置まで移動させられるように構成されかつ動作可能であり得る。バルブ本体102は、送出のために流体をバルブシステム100から外へ、出口構成要素106まで押出さなければならない場合に、サイドポート206を出口構成要素106と整列させるべくバルブ管108との関係における第2の位置まで移動させられるように構成されかつ動作可能であり得る。バルブ管108および/またはバルブ本体102は、任意の好適な起動システムによって移動させられ得る。
【0027】
図8は、第2の例示的バルブシステム(またはバルブまたはバルブ構成要素)800を示す。
図8に示されているように、バルブシステム800は、第1のシール本体構成要素802、第2のシール本体構成要素804、第3のシール本体構成要素806および第4のシール本体構成要素808を含み得る。シール本体構成要素の間に位置付けされているのは、第1の隔壁810、第2の隔壁812および第3の隔壁814であり得る。バルブシステム800はさらに、入口構成要素816、出口構成要素818およびバルブ管820を含み得る。バルブ管820は、開口部822を含み得る。入口構成要素816は、例えばタンクに結合され得る。出口構成要素818は、例えばユーザに結合された流体経路に結合され得る。
【0028】
バルブシステム800は、バルブシステム100の動作と類似した形で流体を引込み押出すために使用可能であるポンプヘッド(
図8には図示せず)に対して結合され得る。バルブ管820は、開口部822を入口構成要素816または出口構成要素818に結合して流体をタンクから引込みかつ/またはユーザへの送出のために流体を押出す目的で、隔壁810~814およびシール本体構成要素802~808の開口部/エアキャビティを通って移動させられ得る。
【0029】
図9は、バルブシステム800の分解組立図を示す。
図9は、バルブシステム800の構成要素の配設を図示している。シール本体802~808は剛性構成要素であり得る。隔壁810~814は、軟質材料および/または圧縮性材料であり得る。シール本体802~808は、内部開口部またはキャビティが整列できるような形で配設され得る。バルブ管820は、任意の形状であり得、シール本体802~808および隔壁810~814の開口部を通って位置付けされ得る。
【0030】
図10は、第3の例示的バルブシステム1000を示す。
図10に示されているように、バルブシステム1000はバルブ本体1002およびサイドポート付き管構成要素1004を含む。バルブ本体1002は、射出成形された熱可塑性物質により形成され得る。サイドポート付き管1004は、第1の開口部またはサイドポート1006、第2の開口部またはサイドポート1008およびプラグ1010を含み得る。サイドポート付き管1004は、バルブ本体1002内に設置される剛性チュービングであり得る。バルブ本体1002は、バルブシステム1000のポンプブロックとみなすことができる。
【0031】
プラグ1010は、管1004とは別個の部品または構成要素として管1004内に設置されてもよいし、または、スポット溶接プロセス、圧着プロセス、延伸加工プロセス、充填/閉塞プロセス、それらの任意の組合せなどを通して形成可能である。管1004の第1の部分は、管1004の入口構成要素1012であるかまたはそれを形成し得る。管1004の第2の部分は、管1004の出口構成要素1014であるかまたはそれを形成し得る。プラグ1010は、流体が入口構成要素1012と出口構成要素1014の間を通って流れる(例えば液体薬剤による)のを防止する一助となり得る。本明細書中で開示された他の実施例の場合と同様に、入口構成要素1012は、液体薬剤または他の治療薬を保管するタンクに結合され得、出口構成要素1014は、患者に結合された流体経路(例えばカニューレ)に結合され得る。
【0032】
さまざまな実施例において、管1004は、2つ以上の管で形成され得る。例えば、管1004は、共に接合されてプラグ1010を形成するエンドキャップを有し単一の構成要素として共に移動することのできる2つの別個の管で形成され得る。
【0033】
図10にさらに図示されているように、バルブシステム1000はさらに第1の隔壁構成要素1016および第2の隔壁構成要素1018を含み得る。第1の隔壁1016および第2の隔壁1018は各々、液体シリコーンゴムまたは他の適合性あるエラストマ材料から形成され得る。第1の隔壁1016および第2の隔壁1018は各々、単一の構成要素または部品としてかまたは多数の構成要素または部品として形成(例えば成形)され得る。第1の隔壁1016および第2の隔壁1018は各々、管1004によって穿孔され得る。バルブシステム1000はさらに、第1のピストン1020(例えば、
図10に描かれているようなバルブシステム1000の配向に基づいて左側のピストン)および第2のピストン1022(例えば、
図10に描かれているようなバルブシステム1000の配向に基づいて右側のピストン)を含み得る。第1および第2のピストン1020および1022は、それぞれ第1のピストンポンプチャンバ1024および第2のピストンポンプチャンバ1026の内部で(例えば直線的に)移動させることができる。
【0034】
さまざまな実施例において、バルブシステム1000の構成要素は対称的に配設されていてよい。例えば、第1の隔壁1016および第2の隔壁1018は第1の軸に沿って整列され得、ピストン1020および1022は第1の軸と直交する第2の軸に沿って整列され得る。
【0035】
バルブシステム1000の構成要素の配設は、低力無変位型マイクロ/ミニチュアバルブを形成し得る。バルブシステム1000は、ポンプチャンバ1024および1026をバルブ本体1002の入口構成要素1012および出口構成要素1014に対して交番連結することのできる2位置4方向ポート付きバルブを提供するクロスフロー型バルブを提供し得る。隔壁1016および1018を貫通して穿孔するための管1004を提供することによって、シール力の量を、本明細書中に記載されているようなOリングの場合よりも正しく制御することができる。
【0036】
さまざまな実施例において、隔壁1016および1018は、バルブ本体1002とラジアルシールを形成することができる。各々の隔壁1016および1018は、管1004に対するシールが全く提供されていない場合、開口部または貫通孔(例えば空隙)で分離されたバルブ本体1002に対する2つのラジアルシール面を含むことができる。空隙は、サイドポート付き管1004に対する流体チャネルを提供し得る開口部を創出することができる。
【0037】
空隙およびバルブ本体1002の設計は、バルブ管1004の位置に基づき、ピストンポンプチャンバ1024および1026と入口および出口構成要素1012および1014を結合する別個の流体チャネルを創出し得る。バルブシステム1000は、ピストン1020および1022の移動に先立ち(例えばピストン1020および1022のストロークに先立ち)各々の隔壁1016および1018に沿った正しい位置にサイドポート付き管1004を起動/移動させることによって動作し、これにより、本明細書中でより詳しく説明される通り、入口または出口構成要素1012および1014と適正なピストン1020および1022を適切に連結および/または連結解除することができる。
【0038】
図11は、バルブシステム1000の一部分の分解組立図を示す。具体的には、
図11は、ポンプブロック1102、隔壁1016および1018およびサイドポート付き管1004(サイドポート付き管1004はニードルとも呼ばれ得る)の配設を示す。隔壁システム1016および1018は各々、単一部品の構成要素として表わされている。サイドポート付き管1004は、隔壁1016および1018を貫通して設置され得る。
【0039】
さまざまな実施例において、バルブ本体1002および隔壁1016および1018は、定置型であるかまたは、サイドポート付き管1004が起動または移動させられた時に固定状態に保持され得る。サイドポート付き管1004は、隔壁1016および1018およびバルブ本体1002を通して直線的に移動させられ得る。管1004の線形起動により、サイドポート1006および1008はピストンポンプチャンバ1024および1026(
図11では図示せず)と入口および出口構成要素1012および1014の間の連結を変更することができる。管1004は2つのサイドポート1006および1008間でプラグ1010によって塞がれていることから、動作中、管1004の入口構成要素1012と出口構成要素1014の間には全く連結が存在せず、このため、意図されない薬剤送出が防止される。
【0040】
図12は、バルブシステム1000の一部分(例えば
図11に描かれたバルブシステム1000の部分)の断面側面図を示す。
図12は、サイドポート付き管1004とピストンポンプチャンバ1024および1026(
図12には図示せず)の間でバルブシステム1000内部に具備された流体経路を示す。隔壁1016および1018の(バルブ本体1002および/またはバルブシステム1000の他の構成要素の設計および配設との関係における)設計および配設は、バルブ本体1002の内部のチャネルと管1004により提供されるチャネル(例えば管1004の内部開放部域)の間に流体連結部を提供し得る。隔壁1016および1018は同様に、あらゆる流体のバルブシステム1000からの漏出を防止するため、バルブ本体1002と共に2つの明確に異なる面シールも提供している。次に、サイドポート付き管1004は、隔壁によりポンプチャンバ1024および1026にアクセスできることになる。
【0041】
図12に示されているように、管1004の位置に基づいて、サイドポート1006をポンプチャンバ1026に結合させることができる。こうして、流体は、フロー矢印1202により示されているように入口構成要素1012からサイドポート1006を通って(例えば外部タンクまたは他の流体保持装置から)、バルブシステム1000内に引込まれ得る。フロー矢印1202は、ポンプチャンバ1026およびポンプチャンバ1026に結合されたバルブ本体1002内の任意のチャネル内に流体を引込むことができるということを示している。
【0042】
さらに、管1004の位置に基づいて、サイドポート1008をポンプチャンバ1024に結合することができる。こうして、流体は、フロー矢印1204により示されているようにサイドポート1008から出口構成要素1014までバルブシステム1000から外に(例えば患者に結合されたカニューレおよび/または外部流体経路まで)押出され得る。フロー矢印1204は、ポンプチャンバ1024およびポンプチャンバ1024に結合されたバルブ本体1002内の任意のチャネル内から外に流体を押出すことができるということを示している。
【0043】
図13は、バルブシステム1000の例示的隔壁(例えば隔壁1016)の近接図を示す。
【0044】
図14は、バルブシステム1000の例示的隔壁(例えば
図13に描かれている隔壁1016)の断面側面図を示す。
図14に示されているように、隔壁1016は、(バルブ本体1002に対する)第1のラジアル面シール1402および(同じくバルブ本体1002に対する)第2のラジアル面シール1404を含むことができる。さらに、隔壁1016は、内側開放部域またはチャネル1406ならびに第1の傾斜開口部またはチャネル1408および内側チャネル1406に結合された第2の傾斜開口部またはチャネル1410を含むことができる。流体は、管1004の位置に応じてサイドポート付き管1004内へと流れ標示1412が示すようにチャネル1408を通って双方向で流動し得る。同様にして、流体は、管1004の位置に応じてサイドポート付き管1004内へと流れ標示1414が示すようにチャネル1410を通って双方向で流動し得る。
【0045】
図15は、バルブシステム1000の例示的隔壁(例えば隔壁1016)の例示的構成を示す。隔壁1016-1は、多数の部品または構成要素として形成された隔壁1016を例示する。隔壁1016-2は、単一の部品または構成要素として形成された隔壁1016を例示する。
【0046】
図16~19は、バルブシステム1000の動作を示す。具体的には、
図16~19は、患者に対する送出のためにバルブシステム1000により流体の一部分を引込み圧出するための動作シーケンスを示す。
【0047】
図16は、第1のまたは初期の動作段階にあるバルブシステム1000を示す。動作シーケンス中の第1のステップの一部として、管1004は、バルブ作動のための適切な位置にサイドポート1006および1008をセットする目的で方向1602に移動するように起動させられる。具体的には、管1004は、ピストン1020/ピストンポンプチャンバ1024(例えば
図16に標示されているような左側のピストン)に結合されるべくサイドポート1006(すなわち入口構成要素1012に連結されたサイドポート)を位置付けするように移動させられる。さらに、サイドポート1008(すなわち出口構成要素1014に連結されたサイドポート)は、第2のピストン1022/ピストンポンプチャンバ1026に結合されるべく位置付けされる。サイドポート1006および1008は、本明細書中で説明されるように隔壁1016および1018内のフローチャネルを通って、それぞれピストンポンプチャンバ1024および1026に結合され得る。
図16に示されているように、流体1604の一部分が、バルブシステム1000内に位置付けされ、隔壁1016および1018およびピストンポンプチャンバ1026内に形成および/またはそれらに結合されたフローチャネルの一部分を占有する。ピストンポンプチャンバ1024(および結合されたあらゆるチャネル)は、空であるかまたは、いかなるまたは実質的にいかなる流体も有していない。
【0048】
図17は、(
図16に示されているようなバルブシステム1000の動作段階に後続する)バルブシステム1000の第2の動作段階を示す。
図17に図示されているように、ピストン1020および1022は両方共、方向1702に移動するべく(例えば一致して)起動させられるように動作可能である。流れ標示1704によって示されているように、流体1706を、入口構成要素1012からポンプチャンバ1024まで引込むことができる。さらに流れ標示1708によって示されているように、保管された流体1604(例えば、流体1706と同じものであるが流体の場所を区別するための別個に言及される流体)を、出口構成要素1014を通して押出すまたは圧出することができる。(本明細書中に記載の)隔壁1016および1018のラジアルシールは、管1004とポンプチャンバ1024および1026の間に位置付けされた流体チャネルと共に圧送圧力に対するシールを提供することができる。
【0049】
図18は、(
図17に示されているようなバルブシステム1000の動作段階に後続する)バルブシステム1000の第3の動作段階を示す。
図18に示されているように、管1004は、方向1802に移動するように起動される。具体的には、管1004は、ピストン1022/ピストンチャンバ1026に結合されるべくサイドポート1006(すなわち入口構成要素1012に連結されたサイドポート)を位置付けするように移動させられる。さらに、サイドポート1008(すなわち出口構成要素1014に結合されたサイドポート)は、第1のピストン1020/ピストンチャンバ1024に結合されるように位置付けされる。さらに、
図18に示されているように、先行する動作ステップ中に引込まれた流体1706は、ポンプチャンバ1024の内部に位置付けされる。ポンプチャンバ1026は、いかなるまたは実質的にいかなる流体も有していない可能性がある。
【0050】
図19は、(
図18に示されているようなバルブシステム1000の動作段階に後続する)バルブシステム1000の第4の動作段階を示す。
図19に図示されているように、ピストン1020および1022は両方共、方向1902に移動するように(例えば一致して)起動させられる。流れ標示1904によって示されているように、流体1906を、入口構成要素1012からポンプチャンバ1026まで引込むことができる。さらに流れ標示1908によって示されているように、保管された流体1706(例えば、流体1906と同じものであるが流体の場所を区別するための別個に言及される流体)を、出口構成要素1014を通して押出すまたは圧出することができる。
【0051】
流体をタンクからバルブシステム1000内に引込み患者への送出のためにそれを押出す後続サイクルを実装するため、
図16~19に示されたステップを反復することができる。
【0052】
本明細書中に記載の各実施例は、例えばウェアラブル薬剤送出システムを含めた薬剤送出システムの一部であり得る。
【0053】
本発明のいくつかの実施例を以上で説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されず、むしろ本明細書中で明示的に記載されたものに対する追加および修正も同様に本発明の範囲内に含められるべく意図されていることが明示的に指摘される。その上、本明細書中に記載のさまざまな実施例の特徴は互いに排他的ではなく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、たとえ本明細書中で明確にされていない場合であっても、さまざまな組合せおよび並べ換えの形で存在し得る、ということを理解すべきである。実際、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者であれば本明細書中で記載されたものの変形形態、修正および他の実装に気付くものである。したがって、本発明は、以上の例証的説明によってのみ定義されるべきものではない。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
第1の空隙と第2の空隙を含む、バルブ本体と;
前記第1の空隙に結合された、入口構成要素と;
前記第2の空隙に結合された、出口構成要素と;
前記バルブ本体を通って位置付けされ、前記第1の空隙、前記入口構成要素、前記第2の空隙および前記出口構成要素に結合され、かつサイドポートを含む、バルブ管と;
を含む、バルブシステム。
[態様2]
低起動力、マイクロ、無流体変位バルブを含む、態様1に記載のバルブシステム。
[態様3]
前記入口構成要素が、流体を保管するタンクに結合されている、態様1に記載のバルブシステム。
[態様4]
前記出口構成要素が、患者に結合された流体経路構成要素に結合されている、態様1に記載のバルブシステム。
[態様5]
前記流体経路構成要素がカニューレを含む、態様4に記載のバルブシステム。
[態様6]
ポンプヘッドに結合されるように構成されている、態様1に記載のバルブシステム。
[態様7]
前記ポンプヘッドがポンプピストンとポンプチャンバを含み、前記バルブ管が前記ポンプチャンバに結合されている、態様6に記載のバルブシステム。
[態様8]
第1の動作段階中、前記サイドポートが前記入口構成要素と整列している、態様7に記載のバルブシステム。
[態様9]
第2の後続する動作段階中、前記ポンプピストンが第1の方向に移動させられて、タンクから流体を前記入口構成要素内、前記第1の空隙内、前記バルブ管内および前記ポンプチャンバ内に引込む、態様8に記載のバルブシステム。
[態様10]
第3の後続する動作段階中、バルブ本体が移動させられて、前記出口構成要素と前記サイドポートを整列させる、態様9に記載のバルブシステム。
[態様11]
第4の後続する動作段階中、前記ポンプピストンが第2の反対方向に移動させられて、前記ポンプチャンバ内の前記流体を、前記バルブ管を通して外に、前記第2の空隙を通して外に、前記出口構成要素を通して外に、そして流体経路構成要素まで外へと押出す、態様10に記載のバルブシステム。
[態様12]
バルブシステムであって、
第1の空隙と第2の空隙を含む、バルブ本体と;
前記第1の空隙に結合された、入口構成要素と;
前記第2の空隙に結合された、出口構成要素と;
前記バルブ本体を貫通して穿孔され、前記第1の空隙、前記入口構成要素、前記第2の空隙、および前記出口構成要素に結合され、かつサイドポートを含む、バルブ管と;
を含む、バルブシステムと;
ポンプピストンとポンプチャンバを含む、ポンプヘッドであって、前記バルブ管が前記ポンプチャンバに結合され、前記バルブ管が前記ポンプヘッドに対し流体結合されている、ポンプヘッドと;
を含む、システム。
[態様13]
前記バルブ管は、
前記入口構成要素が、前記入口構成要素内に引込むために流体を利用できる場合に、前記サイドポートを前記入口構成要素に整列させるべく、前記バルブ本体内部の第1の位置まで、そして
流体の送出のため前記バルブシステムから前記出口構成要素まで流体を押出さなければならない場合に、前記サイドポートを前記出口構成要素に整列させるべく、前記バルブ本体内部の第2の位置まで、
移動させられるように動作可能である、態様12に記載のバルブシステム。
[態様14]
前記バルブ本体は、
前記入口構成要素が、前記入口構成要素内に引込むために流体を利用できる場合に、前記サイドポートを前記入口構成要素に整列させるべく、前記バルブ管との関係における第1の位置まで、そして
流体の送出のため前記バルブシステムから前記出口構成要素まで流体を押出さなければならない場合に、前記サイドポートを前記出口構成要素に整列させるべく、前記バルブ管との関係における第2の位置まで、
移動させられるように動作可能である、態様12に記載のバルブシステム。
[態様15]
前記ポンプピストンが、流体を前記バルブ管内に引込み、前記ポンプチャンバから前記バルブ管内へ前記流体を押出すように構成されている、態様12に記載のバルブシステム。
[態様16]
バルブ本体と;
前記バルブ本体の内部に位置付けされた、第1の隔壁と;
前記バルブ本体と共に位置付けされ、かつ前記第1の隔壁と整列した、第2の隔壁と;
第1のポンプチャンバに結合され、かつ前記第1の隔壁および前記第2の隔壁の第1の側に位置付けされた、第1のピストンと;
第2のポンプチャンバに結合され、かつ前記整列した第1の隔壁および第2の隔壁の第2の側に位置付けされた、第2のピストンと;
第1のサイドポート、第2のサイドポートならびに前記第1および第2のサイドポートの間に位置付けされたセンタープラグを含む、管であって、
前記管が、前記バルブ本体および前記第1の隔壁および前記第2の隔壁を通って位置付けされ、かつ前記第1および第2のピストンの間に位置付けされ、
前記第1のサイドポートが前記管の入口構成要素部分に結合され、前記第2のサイドポートが前記管の出口構成要素部分に結合され、
前記入口構成要素部分が流体を保管するタンクに結合され、前記出口構成要素部分が流体経路構成要素に結合されている、
管と;
を含む、バルブシステム。
[態様17]
第1の動作段階中、前記バルブ管が、前記第1のサイドポートを前記第1のピストンおよび前記第1のポンプチャンバに結合するべく、かつ前記第2のサイドポートを前記第2のピストンおよび前記第2のポンプチャンバに結合するべく、移動させられるように動作可能である、態様16に記載のバルブシステム。
[態様18]
第2の後続する動作段階中、前記第1および第2のピストンが両方共、第1の方向に移動させられて、前記入口構成要素部分および前記第1のサイドポートを通って流体を前記第1のポンプチャンバ内に引込むように、かつ前記第2のポンプチャンバから前記第2のサイドポートおよび前記出口構成要素部分を通って流体を外へ圧出するように、動作可能である、態様17に記載のバルブシステム。
[態様19]
第3の後続する動作段階中、前記管が、前記第1のサイドポートを前記第2のピストンおよび前記第2のポンプチャンバに結合するべく、かつ前記第2のサイドポートを前記第1のピストンおよび前記第1のポンプチャンバに結合するべく、移動させられるように動作可能である、態様18に記載のバルブシステム。
[態様20]
第4の後続する動作段階中、前記第1および第2のピストンが両方共、第1の方向とは反対の第2の方向に移動させられて、前記入口構成要素部分および前記第1のサイドポートを通って流体を第2のポンプチャンバ内に引込むように、かつ前記第1のポンプチャンバから前記第2のサイドポートおよび前記出口構成要素部分を通って流体を外へ圧出するように、動作可能である、態様19に記載のバルブシステム。