(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】作業チャネルへの封止可能なアクセスを提供する装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20230704BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61B1/018 512
A61B1/00 650
(21)【出願番号】P 2021510789
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(86)【国際出願番号】 IB2019059411
(87)【国際公開番号】W WO2020089864
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ネーラメガム、ベンカテッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラワト、シャリン シン
(72)【発明者】
【氏名】アネージャ、ハルチェタン シン
(72)【発明者】
【氏名】アパディヤイ、スワーミー
(72)【発明者】
【氏名】ラジャラトナム、ブーパティ
(72)【発明者】
【氏名】バロス、アミット
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-253396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0087705(US,A1)
【文献】特表2003-533297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0081878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/018
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検キャップを備え、該生検キャップは、第1端部及び第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間において当該生検キャップ内に画定される内部チャンバと、前記第1端部において前記内部チャンバと流体連通するキャップ細孔とを有し、
前記内部チャンバ内に配置される複数のシール部材を備え、該シール部材は、各々が前記キャップ細孔と流体連通している開口部を有し、
前記内部チャンバ内に配置されたベースを備え、該ベースは、前記開口部の各々と流体連通する前記ベースを貫通するベース細孔を有し、
前記複数のシール部材は、
前記ベースが前記生検キャップの前記第1端部から間隔を隔てて配置されるように前記ベースと前記生検キャップの前記第1端部との間に配置され、
前記ベースが、前記ベースから先端側に延びるとともに作業チャネルのポートと係合するように前記生検キャップの前記第2端部を越える少なくとも2つの拡張部をさらに備える、
シールアセンブリ。
【請求項2】
前記ベースが、前記生検キャップと摩擦係合するように構成された凹部をさらに備える、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記凹部が外部環状凹部である、請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記ベースの基端部が前記ベース細孔に向かう勾配を有し、前記勾配が、第2角度に移行する第1角度を有し、前記第2角度を有する勾配が前記第1角度を有する勾配と前記ベース細孔との間にあり、前記第2角度が前記第1角度より大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記第1角度が30°であり、前記第2角度が45°である、請求項4に記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のシール部材の前記開口部の各々が、互いに、前記ベース細孔と前記キャップ細孔とに軸方向に整合される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
前記複数のシール部材のうちの少なくとも1つが、らせん状パターンで前記開口部の周囲で半径方向に延びる複数の面を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
前記複数のシール部材のうちの少なくとも1つが、前記開口部に向かって半径方向内向きに延びる複数の突起を備え、前記複数の突起が、角度がオフセットした層である、請求項1~7のいずれか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の突起が、前記開口部がシールを通って軸方向に延びるように、前記シール部材の中心に前記開口部を画定している、請求項8に記載のシールアセンブリ。
【請求項10】
内視鏡のポートに取り付けるように構成された装置であって、
生検キャップと、
ベースであって、前記ポートと流体連通するように当該ベースを貫通するベース細孔を画定し、かつ、前記ポートに係合するように構成された固定領域を有するベースと、
を備え、
前記ベースは、前記ポートの上面と係合するように構成され、かつ、前記ポートの側面と係合するように前記ベースの前記固定領域のいずれかの側から先端側に延びる少なくとも2つの拡張部を有し、
前記ベースの周囲には、前記生検キャップと係合するように構成された凹部が配置される、
装置。
【請求項11】
前記凹部が外部環状凹部である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ベースの基端部が前記ベース細孔に向かう勾配を有し、前記勾配が第2角度に移行する第1角度を有し、前記第2角度を有する勾配が前記第1角度を有する勾配と前記ベース細孔との間にあり、前記第2角度が前記第1角度より大きい、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1角度が30°であり、前記第2角度が45°である、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、内視鏡、内視鏡アセンブリ、ガイドワイヤ、ガイドチューブ、イントロデューサ、並びに、内視鏡、ガイドワイヤ、ガイドチューブ及びイントロデューサ用の器具キャップ等の医療装置の分野に関する。特に、本発明は、内視鏡用の作業チャネル等、作業チャネルへの医療器具のための封止可能なアクセスを提供する生検キャップ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡処置では、例えば、医療従事者は、内視鏡の作業チャネルの入口又は基端ポートを介する患者と大気との間の望ましくない流体交換を防止しながら、医療器具により作業チャネルを通して患者の解剖学的構造にアクセスするという難題に直面する。例えば、胆汁、空気又は他の流体が、不適当に患者の体内に入るか又は体内から漏れ出る可能性がある。不十分な漏れ防止により、医療従事者又は患者に対して非衛生的環境がもたらされ、感染等の健康上の問題の可能性が増大するとともに、処置中の医療従事者の欲求不満が増大する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
これらのことを考慮して、本発明の医療装置、システム及び方法により種々の有利な医学的転帰を実現することができる。
本発明の実施形態は、概して、内視鏡用の作業チャネル等、医療装置の作業チャネルへの医療器具に対する封止可能なアクセスを提供する生検キャップ構成を支援することができ、こうした医療装置のための設計、材料、製造方法及び使用代替案を含む。
【0004】
一実施形態では、シールアセンブリは、生体キャップを含むことができ、該生体キャップは、内部の内部チャンバ、第1端部における、内部チャンバと流体連通するキャップ細孔、及び第2端部における固定部材を有する。内部チャンバ内に、複数のシール部材を配置することができ、各シール部材は、キャップ細孔と流体連通しているシール細孔を有する。固定部材内にベース配置を配置することができ、ベースは、シール細孔の各々と流体連通している、ベースを貫通するベース細孔を有する。
【0005】
ここで又は他の場所で記載するさまざまな実施形態では、ベースは、固定部材と係合するように構成された凹部を含むことができる。凹部は、外部環状凹部であり得る。ベースの基端部は、ベース細孔に向かう勾配を有することができ、勾配は、第2角度に移行する第1角度を有し、第2角度は、第1角度と細孔との間にあり、第2角度は、第1角度より大きい。第1角度は約30°とすることができ、第2角度は約45°とすることができる。ベースは、ベースから先端側に延びるとともに作業チャネルのポートと係合するように構成される少なくとも2つの拡張部を含むことができる。複数のシール部材の細孔の各々は、互いに、ベース細孔と、かつ、キャップ細孔と軸方向に整合することができる。複数のシール部材のうちの少なくとも1つが、らせん状パターンでシール細孔の周囲で半径方向に延びる複数の面を含むことができる。複数のシール部材のうちの少なくとも1つが、シール細孔に向かって半径方向内向きに延びる複数の突起を含むことができ、複数の突起は、角度がオフセットした層である。複数の突起は、シール細孔がシールを通って軸方向に延びるように、シール部材の中心にシール細孔を画定することができる。
【0006】
一実施形態では、内視鏡のポートに取り付けるように、装置を構成することができる。細孔が、ポートと流体連通して、装置を貫通することができる。少なくとも2つの拡張部が、ベースから先端側に延びることができるとともに、作業チャネルのポートと係合するように構成される。装置の周囲に、生検キャップと係合するように構成された凹部を配置することができる。
【0007】
ここで又は他の場所で記載するさまざまな実施形態では、凹部は外部環状凹部であり得る。ベースの基端部が、ベース細孔に向かう勾配を有することができ、勾配は、第2角度に移行する第1角度を有し、第2角度は、第1角度と細孔との間にあり、第2角度は、第1角度より大きい。第1角度は約30°とすることができ、第2角度は約45°とすることができる。ベースは、ベースから先端側に延びるとともに作業チャネルのポートと係合するように構成される少なくとも2つの拡張部を含むことができる。細孔の周囲に、ポートに対して圧縮封止するように構成された隆起部があり得る。
【0008】
一実施形態では、シールシステムは、作業チャネルと作業チャネルの基端部におけるポートとを有する内視鏡を含むことができる。ポートの周囲にベースを配置することができ、ベースはベースを貫通するベース細孔を有する。生検キャップの端部に、貫通するキャップ細孔を有する生検キャップと固定部材とがあり得る。固定部材は、キャップ細孔がベース細孔及びポートと流体連通するように、ベースの周囲に配置される。
【0009】
ここで又は他の場所で記載するさまざまな実施形態では、医療器具が、キャップ細孔、ベース細孔及びポートを通って延びることができる。ベースは、ベースから先端側に延びるとともに作業チャネルのポートと係合するように構成される、少なくとも2つの拡張部を含むことができる。生検キャップの内部チャンバ内にシール部材を配置することができ、シール部材は、キャップ細孔と流体連通するシール細孔を有する。
【0010】
一実施形態では、医療装置は、内視鏡と組み合わせて使用されるシールを含むことができる。シールは、中心ルーメンを囲繞する周囲外壁を含む本体を備えることができる。本体は、上面及び底面と、外壁からルーメンの中心に向かって半径方向内向きに延びる複数の突起とを有することができる。複数の突起は、一続きの周方向に、かつ、角度がオフセットした層で配置することができ、各層は複数の突起を含む。
【0011】
さまざまな実施形態では、複数の突起は、ルーメンの中心において開口部を画定することができ、開口部は、シールを通って軸方向に延びる。一続きの角度がオフセットした層は、突起が、本体の上面から底面までシールを回って下向きにらせん状になるように、本体に沿って軸方向に延びることができる。各層は、同じ数の突起を含むことができる。各層の複数の突起は、周方向に間隔を空けて配置することができる。各層は、3~15の突起を含むことができる。複数の突起は、3~15の層で配置することができる。突起の各層は、隣接する層から10~40度オフセットすることができる。外壁の外面は複数の軸方向スリットを含むことができる。
【0012】
一実施形態では、内視鏡と組み合わせて使用されるシールを製造する方法は、単一部品要素としてシールを成形することを含むことができる。シールは、中心ルーメンを囲繞する周壁を含む本体と、ルーメンから離れて壁から半径方向外向きに延びる複数の突起とを有するように、成形することができる。複数の突起は、一続きの周方向に、かつ、角度がオフセットした層で成形することができる。成形されたシールは、複数の突起が中心ルーメンの中心に向かって半径方向内向きに延びるように、裏返すことができる。
【0013】
さまざまな実施形態では、シールを成形することは、コア要素の周囲でマルチピースの半径方向に取出し可能なモールドを組み立てることを含むことができる。コア要素は、壁の形状を画定することができ、マルチピースモールドは、複数の突起の形状及び向きを規定する。成形することは、シールを射出成形することと、その後、マルチピースモールドを分解することとを含むことができる。シールを成形することは、頂部及びベースと複数のプレートとを含む軸方向に固定された(staked)モールドを組み立てることを含むことができる。各プレートは、突起の1つの層の形状及び向きを規定することができる。成形することは、シールを射出成形することと、その後、軸方向に固定されたモールドを分解することとを含むことができる。
【0014】
一実施形態では、内視鏡と組み合わせて使用されるシールは、中心ルーメンを囲繞する周囲外壁を含む本体を含むことができる。本体は、上面及び底面と、外壁からルーメンの中心に向かって半径方向に延びる少なくとも1つの支持壁と、支持壁から外壁の内面に沿って下向きにらせん状に延びる少なくとも1つのらせん状フラップとを有することができる。少なくとも1つのらせん状フラップは、ルーメンの中心に開口部を画定することができる。
【0015】
さまざまな実施形態では、少なくとも1つのらせん状フラップは、外壁の内面に沿ってらせん状に第1方向に、かつ、ルーメンの中心に向かって半径方向に第2方向に、下向きに延びることができる。少なくとも1つの支持壁は、第1支持壁及び第2支持壁のみから構成することができ、少なくとも1つのらせん状フラップは、第1らせん状フラップ及び第2らせん状フラップのみから構成される。第1らせん状フラップは、第1支持壁の上面から第2支持壁の底面まで延びることができる。各らせん状フラップは、本体の上面に隣接する第1端部と、本体の底面より下方に延びる第2端部とを有することができる。開口部は、一部には、第1支持壁と第2支持壁との間の空間として画定することができ、この空間は、第1支持壁及び第2支持壁の上面に隣接する第1径と、第1支持壁及び第2支持壁の底面に隣接する第2径とを有する。第1支持壁及び第2支持壁は、互いに正対して配置することができる。シールは、生検キャップの空洞内に配置することができる。生検キャップは、生検キャップを内視鏡のポートに固定する固定部材を備えたベースを有することができる。生検キャップは、ロック部材と、空洞を画定する外部シェルとを有することができる。
【0016】
一実施形態では、作業チャネルへの補強された封止可能なアクセスを提供する装置は、基端部、先端部及び長手方向軸を有する管状本体を含むことができる。管状本体の先端部は、それと流体連通している作業チャネルの基端部に取外し可能に配置されるように構成することができる。本体の基端部に実質的に直線状の細孔があり得る。細孔は、1つ又は複数の医療器具が細孔を通過するのを可能にし、同時に、細孔を通過する作業チャネルからの流体に対して実質的に封止するように構成される。細孔を引裂に対して補強するために、細孔の周囲に複数の補強リブを配列することができる。
【0017】
ここで又は他の場所で記載するさまざまな実施形態では、細孔は、細孔を通過する医療器具がないときは実質的に閉鎖され得る。リブは、長手方向軸に対して実質的に横方向の平面において半径方向に延びることができる。複数のリブの各リブは、横方向平面における幅寸法と、長手方向軸に対して実質的に平行な平面における厚さ寸法とを有することができる。リブのうちの1つ又は複数が、細孔に対して実質的に直角に延びることができる。細孔に対して実質的に直角に延びるリブは、複数のリブのうちの他の任意のものの幅より大きい幅を有することができる。リブは、細孔から離れるように半径方向に延びるに従い、大きい幅及び厚さを有することができる。リブは、細孔から離れるように半径方向に広がるに従い、幅及び厚さを連続的に増大させることができる。リブのうちの1つ又は複数が、リブの他のもののうちの1つ又は複数の厚さより大きい厚さを有することができる。管状本体は中空であり得る。リブは、中空管状本体の内部の表面上に配置することができる。リブは、横方向平面において細孔の周囲に円形パターンで対称に配置することができる。管状本体はシリコーンを含むことができる。装置は、内視鏡の作業チャネルへの封止可能なアクセスのための生検キャップであり得る。リブを有する本体の細孔を引き裂くために必要な力は、リブなしの細孔に対する引裂き力より大きいものであり得る。
【0018】
別の実施形態では、作業チャネルへの補強された封止可能なアクセスを提供する装置は、基端部、先端部及び長手方向軸を有する管状本体を含むことができる。管状本体の先端部は、それと流体連通している作業チャネルの基端部に取外し可能に配置されるように構成することができる。本体の基端部における実質的に直線状の細孔は、1つ又は複数の医療器具が細孔を通過するのを可能にし、同時に、細孔を通過する作業チャネルからの流体に対して実質的に封止するように構成することができる。引裂に対して細孔を補強するために、細孔の周囲に補強隆起部が延びることができる。
【0019】
ここで又は他の場所で記載するさまざまな実施形態では、本体は中空であり得る。隆起部は、本体の基端面に配置することができる。隆起部は、細孔から間隔を空けて配置することができる。隆起部は、引裂に対して抵抗力があり得る。隆起部は、楕円形、円形又は卵形である、細孔の周囲の外周輪郭を含むことができる。隆起部は、長手方向軸に対して平行な平面において、実質的に半月形状を含む断面を有することができる。細孔は、細孔を通って延びる医療器具がないときは実質的に閉鎖することができる。
【0020】
さらに別の実施形態では、作業チャネルへの補強された封止可能なアクセスを提供する装置は、基端部、先端部及び長手方向軸を有する管状本体を含むことができる。管状本体の先端部は、それと流体連通している作業チャネルの基端部に取外し可能に配置されるように構成することができる。本体の基端部に、第1端部及び第2端部を有する細孔があり得る。細孔は、1つ又は複数の医療器具が細孔を通過するのを可能にし、同時に、細孔を通過する作業チャネルからの流体に対して実質的に封止するように構成することができる。細孔は、2次元以上で長手方向軸に対して実質的に横方向の平面において延びる補強パターンを含むことができる。
【0021】
ここで又は他の場所で記載するさまざまな実施形態では、細孔は、第3端部を含むことができる。細孔は、第1端部から分割点まで実質的に直線状に延びることができる。細孔は、分割点から第2端部まで実質的に直線状に延びることができる。細孔は、分割点から第3端部まで実質的に直線状に延びることができる。細孔は、分割点から第1端部までに対して角度をなして、分割点から第2端部まで延びることができる。細孔は、分割点から第1端部までと同じ角度で分割点から第3端部まで延びることができる。第1端部から分割点まで延びる細孔の長さは、分割点から第2端部まで延びる細孔の長さより小さくすることができる。分割点から第3端部まで延びる細孔の長さは、分割点から第2端部まで延びる細孔の長さと実質的に同じであり得る。第2端部及び第3端部は各々、ガイドワイヤを受け入れるとともに実質的に固定するように構成することができる。
【0022】
実施形態、態様及び/又は例の上記概要は、本発明の各実施形態又はすべての実施態様を記載するようには意図されていない。図及び以下の詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示するものである。
【0023】
本発明の非限定的な実施形態について、概略的であり、かつ、正確な縮尺で描かれるように意図されていない添付の図を参照して、例として記載する。図において、図示する各同一の又は略同一の構成要素は、典型的には、単一の数値で表す。明確にする目的で、すべての図においてすべての構成要素に符号が付されてはおらず、当業者が本発明を理解することができるために例示が不要である場合は各実施形態のすべての構成要素を示してはいない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による、生検キャップを備えた内視鏡アセンブリ例の斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態による、生検キャップを示す、
図1に示す内視鏡アセンブリ例の一部の組立分解図。
【
図3】本発明の一実施形態による生検キャップの断面図。
【
図4】本発明の一実施形態によるシール部材の上面図。
【
図6】線6-6に沿った
図4及び
図5のシール部材の側断面図。
【
図8】本発明の一実施形態によるシール部材の上面図。
【
図10】医療装置が挿入される、
図8及び
図9のシール部材の上面斜視図。
【
図11】本発明の一実施形態による、
図8~
図10のシール部材を製造するか又は組み立てるために使用される別個のディスクの斜視図。
【
図12】本発明の一実施形態による、成形した後の、かつ、裏返される前のシール部材例の上面図。
【
図14】本発明の一実施形態による、成形した後の、かつ、裏返される前のシール部材例の斜視図。
【
図15】本発明の一実施形態による、成形した後の、かつ、裏返される前のシール部材例の部分上面図。
【
図16】本発明の一実施形態による、内部にシール部材が配置されるモールドの上面図。
【
図17】本発明の一実施形態による、組立て前のシール部材用のモールドの斜視図。
【
図20A】2本のガイドワイヤが貫通して延びている生検キャップの図。
【
図21A】本発明の一実施形態による、リブを含む生検キャップの底面図。
【
図22A】本発明の一実施形態による、隆起部を含む生検キャップの等角図。
【
図23A】本発明の一実施形態による、2次元以上で延びる細孔を含む生検キャップの等角図。
【
図25】本発明の一実施形態による、2次元以上で延びる細孔を含む生検キャップの上面図。
【
図26】本発明の一実施形態による、2次元以上で延びる細孔を含む生検キャップの上面図。
【
図27A】本発明の一実施形態による、生検キャップの細孔の作業チャネル側の拡大図。
【
図27B】本発明の一実施形態による、使用された生検キャップの細孔の作業チャネル側の拡大図。
【
図27C】本発明の一実施形態による、使用された生検キャップの細孔の作業チャネル側の拡大図。
【
図28A】本発明の一実施形態による、ベースの斜視図。
【
図29】本発明の一実施形態による、封止部材及びベースを含む生検キャップのアセンブリの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の態様は、さまざまな変更形態及び代替形態に適用可能であるが、そのうちの特定のものを例として図面に示しており、詳細に説明する。しかしながら、本発明の態様を記載する特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。反対に、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての変更形態、均等物及び代替形態を包含することを意図している。
【0026】
本発明は、記載する特定の実施形態に限定されない。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、添付の請求項の範囲を越えて限定的であるようには意図されていない。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0027】
本発明の実施形態を内視鏡に関して説明するが、こうした装置、システム及び方法は、弁、作業チャネル、ポート、細孔、チャネル等を含む種々の医療装置又は他の装置で使用することができることが理解されるべきである。
【0028】
本明細書で用いる場合の単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈において別段明確な指示がない限り、複数の形態を同様に含むように意図される。「備える(comprises)」及び/若しくは「備えている(comprising)」又は「含む(includes)」及び/若しくは「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で用いる場合、言及する特徴、領域、ステップ、要素及び/又は構成要素の存在を明記するが、1つ又は複数の他の特徴、領域、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はその群の存在又は追加を排除するものではない。
【0029】
本明細書で用いる場合の「先端」という用語は、医療装置が患者の体内に導入されるときの医療装置に沿って医療従事者から最も遠く離れている端部を指し、「基端」という用語は、医療装置が患者の体内に導入されるときの医療装置に沿って医療従事者に最も近い端部を指す。
【0030】
本明細書で用いる場合の「及び」という接続詞は、文脈において別段明確な指示がない限り、そのように結合される構造体、構成要素、特徴等の各々を含み、「又は」という接続詞は、文脈において別段明確な指示がない限り、そのように結合される構造体、構成要素、特徴等のうちの1つ又は他のものを別々に、かつ、任意の組合せ及び数で含む。
【0031】
本明細書で用いる場合の「弁」という用語は、単独で、生検キャップ若しくはアセンブリとともに又は一体的に、複数の半径方向若しくは軸方向の突出部、突起又は壁を有する細孔、開口部、スリット、スロット、シール、シール部材を指し得る。
【0032】
本明細書においてすべての数値は、明示的に示されるか否かに関わらず「約」という用語によって修飾されるとみなされる。「約」という用語は、数値の文脈では、概して、当業者が、列挙された値と等価である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)とみなす範囲の数を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含み得る。「約」という用語の他の使用(すなわち、数値以外の文脈における使用)は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、かつ、本明細書の文脈と一貫するように、その通常の慣用的な定義を有するとみなされ得る。端点による数値範囲の列挙は、端点を含むその範囲内のすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
【0033】
明確にするために、本明細書及び/又は特許請求の範囲を通して、さまざまな記載する、かつ、/又は請求項に係る特徴を挙げ、かつ、/又は識別するために、ある特定の識別する数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4等)を使用する場合がある。こうした数値命名法は、限定的であるようには意図されておらず、単に例示的であることが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、簡潔及び明確にするために、先行して使用された数値命名法を変更しそれから逸脱する場合がある。すなわち、「第1」要素として識別された要素を、後に、「第2」要素、「第3」要素等と称する場合があり、若しくは、完全に省略する場合があり、かつ、/又は、異なる特徴を「第1」要素と称する場合がある。各事例における意味及び/又は指示は、当業者であれば明らかとなろう。
【0034】
「一体構造の」及び「単体の」という用語は、概して、1つの要素、又は、単一構造体若しくは基礎ユニット/要素から作製若しくは構成された複数の要素を指すものとする。一体構造の、かつ、/又は単体の要素は、複数の別個の要素を併せて組み立てるか又は他の方法で接合することによって作製された構造体及び/又は特徴は排除するものとする。
【0035】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載する実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造又は特性を含むとは限らないことを示すということに留意されたい。さらに、こうした言い回しは、必ずしも、同じ実施形態を指しているものではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性がある実施形態に関連して記載される場合、反対の意味で明確に述べられていない限り、明示的に記載されるか否かに関わらず、他の実施形態に関連してそうした特徴、構造又は特性に作用することは、当業者の知識の範囲内にある。すなわち、以下に記載するさまざまな個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていない場合であっても、それにも関わらず、当業者であれば理解されるように、他の追加の実施形態を形成するように、又は記載する実施形態を補足及び/又は補強するように組合せ可能であるか又は配置可能であるものとして想定される。
【0036】
多種多様の内視鏡アセンブリ、生検キャップ及びシールが開発される。既知の内視鏡アセンブリ、生検キャップ及びシールでは、各々が、いくつかの利点及び不都合を有する。代替的な内視鏡アセンブリ、生検キャップ及びシールとともに、それらを製造する方法及び使用する方法を提供することが依然として必要とされる。
【0037】
制御された流体交換を達成しようとして、内視鏡の作業チャネルと同一直線上の(例えば、作業チャネルの入口/基端ポートに取り付けられた)生検キャップが、望ましくない流体が入るか又は出るのを制限しながら作業チャネルへの封止可能な器具アクセスを提供することができる。これらの機能は、概して、反比例の関係にある可能性があり、医療従事者が器具をより容易に生検キャップに通すことができるようにすると、流体が生検キャップを通って漏れるのを防止することがより困難になる可能性がある。逆に、著しい漏れ防止に対して設計された生検キャップでは、医療従事者が医療器具を生検キャップに通すために余計な力が必要である可能性があり、これは、精密な器具の場合、又は大径を有する器具の場合、困難である可能性がある。さらに、医療器具が生検キャップを通して移動し、かつ、/又は適所に係止される際、生検キャップが損傷する可能性があり、これは漏れ保護を危うくする可能性がある。
【0038】
内視鏡の作業チャネルと同一直線上に弁を含む生検キャップを設置することを含むことができる内視鏡処置は、本明細書に記載する生検キャップ実施形態に対する状況に対して使用されるが、本発明の範囲内にあるこれらの実施形態及び他の実施形態は、上述したように、他の分野、製品及び処置において適用可能であり得ることが理解されるべきである。内視鏡処置は、例えば、内視鏡作業チャネルの入口又は基端ポートに生検キャップを取り付けることを含むことができる。次いで、内視鏡を患者の体腔又は管腔内に挿入することができる。次いで、体腔又は管腔にガスを注入して、可視化を向上させるとともにその中に作業空間を提供することができる。そうする際、体内で、かつ、チャネル内で陽圧を引き起こすことができる。圧力は、設置された生検キャップによって保持することができる。生検キャップ内の少なくとも1つの細孔を、開放し、生検キャップを通して挿入される1つ又は複数の医療器具を把持し、かつ、その周囲を封止するように構成することができる。弁、シール部材及び/又はキャップの細孔を横切る(すなわち、作業チャネル及び/又は患者の体内に出入りする)流体の交換を実質的に防止することに加えて、弁は、挿入されるか又は引き抜かれる際の器具の外面から液体を「スキージングする(squeegee)」ことができる。少なくとも1つの細孔は、流体の交換及び/又はガス注入損失を防止するために、器具によって塞がれていないときは実質的に又は完全に閉鎖するように構成される。
【0039】
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、異なる図面における同様の要素には同じ番号が付される。詳細な説明及び図面は、本発明を限定するのではなく例示するように意図される。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、記載及び/又は図示するさまざまな要素をさまざまな組合せ及び構成で配置することができることを理解するであろう。詳細な説明及び図面は、本発明の実施形態例を例示する。しかしながら、明確にするとともに理解を容易にするために、各図面にはすべての特徴及び/又は要素を示していない場合があるが、別段の指定がない限り、無関係に特徴及び/又は要素が存在するように理解され得る。
図1に、内視鏡及び/又は内視鏡アセンブリ例10を示す。内視鏡10は、到達することが望まれる特定の解剖学的構造によって通常識別される多くのタイプの内視鏡又は関連する医療装置のうちの任意のものであり得る。例えば、内視鏡10は、気管支鏡、結腸鏡、十二指腸鏡、食道鏡、ガイドチューブ、イントロデューサ(視覚又は可視化機能の有無に関わらず)、又は他の任意のタイプの内視鏡若しくは関連する医療装置であり得る。内視鏡10は、ハンドピース12と、ハンドピース12から先端チップ18まで先端側に延びる長尺状シャフト14とを含むことができる。シャフト14は、作業チャネル16を画定するルーメンを含むことができ、作業チャネル16は、シャフト14の先端チップ18の近くの先端部19から、ハンドピース12又は内視鏡10の別の部分に位置決めすることができるアクセスポート20までシャフト14を通して延びる。
図1では、内視鏡10は、単一の作業チャネルがあるように示されるが、他の実施形態では、内視鏡10は、要求に応じて複数の作業チャネルを含むことができることを理解することができる。
【0040】
ハンドピース12は、動作中にシャフト14の先端チップ18の移動を制御するために使用することができる、回転つまみ等、1つ又は複数の制御部22を含むことができる。例えば、第1回転つまみ22aが、シャフト14の先端チップ18の上下の移動又は偏向を制御することができ、第2回転つまみ22bが、シャフト14の先端チップ18の横方向の移動又は偏向を制御することができる。ハンドピース12は、1つ又は複数のボタン24も含むことができ、ボタン24は、内視鏡10のルーメンを通して空気、生理食塩水及び/又は水等の流体の吸引又は送達を作動させ、又は、要求に応じて他の機能を実施するために使用することができる。さらに、ハンドピース12は、外部光源(図示せず)に接続された光ケーブル26を含むことができる。
【0041】
図2を参照すると、内視鏡10の作業チャネル16へのアクセスを提供する、ハンドピース12のアクセスポート20が示される。内視鏡10の側部から又は別の場所で延びることができるアクセスポート20は、キャップ30をアクセスポート20に結合する結合部分28を含むことができる。アクセスポート20に取外し可能に取り付けるか又は永久的に取り付けることができるキャップ30は、内視鏡10の作業チャネル16を通して内視鏡装置を挿入し、かつ、/又は前進させるためのアクセスを提供することができる。
【0042】
「生検キャップ」と称することができるキャップ30のようなキャップは、いくつかの機能を考慮して設計されることが多い。例えば、キャップ30は、作業チャネル16に対する流体/空気バリアを形成することができ、それは、ガス注入、及び作業チャネルからの胆汁流体の漏出を制御するのに役立つことができ、胆汁流体は、後に臨床医の手及び/又は床の上にこぼれ、それにより介入を妨げ、かつ、/又はバイオハザードになる可能性がある。さらに、キャップ30は、内部を貫通して延びる開口部32を有することができる。開口部32は、作業チャネル16と流体連通することができ、例えば、内視鏡装置又は器具を収容するために、作業チャネル16の開口部34のサイズを低減させることができる。従って、キャップ30のようなキャップは、作業チャネル16(又は、他の器具チャネル若しくはアクセス箇所)の開口部34において、作業チャネル16内に挿入される装置のサイズにより近いサイズに移行するように物理的移行部を形成するという点で、アダプタのようなものであり得る。生検キャップに関するいくつかの追加の考察は、2006年6月20日に出願され「内視鏡処置で使用される医療装置(Medical Device For Use In Endoscopic Procedure)」と題する米国特許第9,149,173号明細書、2006年4月17日に出願され「内視鏡で使用される改良された先端輪郭を有する長尺状医療装置(Elongate Medical Devices Having An Improved Distal Profile For Use With An Endocsope)」と題する米国特許出願第11/405,655号明細書、及び2006年4月7日に出願された「容易な装置通過のための生検ポート(Biopsy port for easy device passage)」と題する米国特許出願第11/400,806号明細書に見ることができ、それらの開示内容は、その全体がすべての目的で参照により本明細書に援用される。
【0043】
さまざまな実施形態において、例えば内視鏡の、作業チャネルへの封止可能なアクセスを提供する特徴及び利点は、生検キャップ及び生検キャップハウジングとの組合せで具現化することができる。補強することができる、作業チャネルへのこうした封止可能なアクセスは、2018年8月10日に出願され「内視鏡で使用される生検キャップ(Biopsy Cap For Use With Endoscope)」と題する米国特許出願第16/100,960号明細書、本願と同日に出願され「内視鏡用取付具(Attachments For Endoscopes)」と題する代理人整理番号8150.0613を有する米国特許出願、本願と同日に出願され「生検キャップ及び生検キャップハウジング(Biopsy Cap And Biopsy Cap Housing)」と題する代理人整理番号8150.0553を有する米国特許出願、本願と同日に出願され「生検キャップ及びハウジング用の装置、システム及び方法(Devices,Systems,And Methods For A Biopsy Cap And Housing)」と題する代理人整理番号8150.0657を有する米国特許出願、本願と同日に出願され「生検キャップ用内部シール(Internal Seal for Biopsy Cap)」と題する代理人整理番号8150.0610号を有する米国特許出願、本願と同日に出願され「作業チャネルへの封止可能なアクセスを提供する装置、システム及び方法(Devices,Systems,and Methods for Providing Sealable Access to a Working Channel)」と題する代理人整理番号8150.0555を有する米国特許出願の開示全体の特徴により実施することができ、これらは、各々、その全体がすべての目的で参照により本明細書に援用される。
【0044】
本発明の実施形態は、具体的に生検キャップ及び生検キャップハウジングに関して説明し、これらは、生検キャップと、内視鏡、腹腔鏡、又はスパイグラス(Spy Glass)(登録商標)直接可視化システム(Direct Visalization Sytem)(マサチューセッツ州マールボロのボストン・サイエンティフィック・コーポレーション(Boston Scientific Corp.))等の他の可視化システムのポートとを通して、種々の医療装置の送達及び/又は交換を可能にするように構成されるが、こうした設計は、封止可能なアクセスを含む種々の医療装置及び医療用途に適応し、かつ、/又はそうした装置及び用途で使用されるように、適合させることができるということが理解されるべきである。
【0045】
さらに、生検キャップの望ましい特徴のうちの少なくともいくつかを組み込むとともに他の望ましい特徴を有する、複数の生検キャップが想定される。本明細書は、想定されるキャップの実施形態のうちのいくつかを開示する。これらのキャップは、受動シールを含むことができる。本発明の目的で、受動シールは、体液及び/又は空気の漏れを防止するように(例えば、
図1の)ポート20において内視鏡10を封止するシールである。さらに、「受動的」であることにより、本明細書に開示するシールは、臨床医によるいかなるいわゆる「能動的」プロセス又はステップも必要なしにポート20において内視鏡10を密封するように構成される。
【0046】
図3を参照すると、本発明による生検キャップ130の一実施形態が示される。生検キャップ130は、内部チャンバ132を画定する外部シェル136と、(例えば、
図1の)ポート20にキャップ130を固定するのに役立つことができる固定部材140と、シェル136に接合された1つ又は複数のロック部材142と、外部シェル136内に配置された内部シール部材100とを含む。外部シェル136は、複数の異なる形状及び形態をとることができる。しかしながら、概して、外部シェル136は、比較的剛性若しくは硬質ポリマー/プラスチック、金属若しくは金属合金、セラミック等、又はそれらの組合せから作製することができ、より精密な内部(例えば、シール部材100)を覆う外骨格又は保護カバーに似た形態をとることができる。さらに、比較的剛性材料から外部シェル136を形成するため、キャップ130の複数の付属品及び/又は構造的構成要素を、シェル136に固定するか又はシェル136と一体的に形成することができる。例えば、固定部材140及び/又はロック部材142を、外部シェル136に固定するか又は外部シェル136と一体的に形成することができる。
【0047】
外部シェル136は、内部に形成された1つ又は複数の細孔146を有することができる。細孔146は、例えば、上面、すなわち固定部材140とは反対側の面に配置することができるが、側部又は側面を含む外部シェル136の他の任意の好適な部分が細孔146を含むことができる。細孔146は、入口点であり、又は他の方法で、キャップ130がポート20上に位置しているとき、キャップ130の内部チャンバ132を通って(例えば、
図1の)作業チャネル16内に延びる1つ又は複数の開口部を画定することができる。例えば、細孔146は、外部シェル136を通って延び、シール部材100へのアクセスを提供することができる。従って、細孔146は、キャップ130に外側開口部を形成することができ、そこで、シール部材100を介して作業チャネル16にアクセスすることができるように、他の医療装置(例えば、ガイドワイヤ、カテーテル等)を通過させることができる。キャップ130は、内部チャンバ132内に延びるフランジ138を含むことができる。シール部材100は、フランジ138の上に着座することができる。シール部材100は、その上面及び底面に開口部105を有することができ、それらは、キャップ130の細孔146と長手方向に整合することができる。細孔146は、医療装置を、開口部105内に、かつ、シール部材100を通して誘導することができる。
【0048】
さまざまな実施形態において、細孔146は、面取り又は傾斜縁部を有することができ、それは、医療装置を細孔146内に誘導するじょうごのように機能することができ、術者が医療装置を細孔146に通す能力を補助することができる。傾斜した細孔146を含めることによって具現化することができるじょうごのように送り込む機能に加えて、細孔146は、キャップ130に複数の追加の所望の特徴を与えることも可能である。例えば、細孔146は比較的剛性のある外部シェル136に形成されるため、かつ、細孔146は概して(例えば、
図1における)ポート20から距離をおいて位置決めされるため、細孔146及び/又は外部シェル136は、例えば、装置交換又は移動の間、本来は(例えば、ポート20において)内視鏡10に加えられる可能性がある歪みを緩和することができる、歪み緩和機構としても機能することができる。従って、装置交換中に発生する可能性があるせん断応力を、内視鏡10から離れるようにシフトさせることができ、これにより、キャップ130がポート20においてシールを維持する能力を向上させることができる。
【0049】
さまざまな実施形態において、固定部材140は、キャップ130の底面に配置することができる。固定部材140は、本明細書に開示するものを含む、任意の数の幅広い形態をとることができる。例えば、固定部材140は、一対のタブ150a、150bを含むことができ、それらは、ポート20(例えば、
図1)にスナップ式に嵌まるか又は他の方法で固定することができる。ポート20の上にタブ150a、150bを固定することは、例えば、タブ150a、150bをポート20の幅の狭いリング又は部分の上にスナップ式に嵌めることを含むことができる。これは、タブ150a、150bを、ポート20の周辺又は側部領域からポートの上にスナップ式に嵌めることを含むことができる。さらに、シェル136の一部は、切取部又は切欠き(図示せず)を含むことができ、それは、固定部材140のための何らかの構造的緩和機構を提供することができるとともに、タブ150a、150bが、キャップ130をポート20に固定するときに緩和機構がない場合より大きい柔軟性を有することができるようにすることができる。固定部材140及び/又はタブ150a、150bの正確な形態は変更することができる。例えば、異なる数のタブを利用することができ、異なる形状のタブを利用することができ、かつ、/又は、ポート20にキャップ130を固定するために、異なる固定システムを併せて利用することができる。例えば、タブ150a、150b又は別の好適な固定部材140によって、キャップ130とポート20との間の好適な接続を容易に作成することができない場合、こうした接続をもたらすようにさまざまなアダプタを設けることができる。
【0050】
ロック部材142は、概して、キャップ130の上面に隣接して配置することができ、キャップ130を通って作業チャネル16内に延びる装置(例えば、ガイドワイヤ、カテーテル等)の部分を固定及び/又は保持するために使用することができる。しかしながら、ロック部材142は、キャップ130及び/又はシェル136の任意の好適な面に配置することができる。ロック部材142は、シェル136に一体的に形成することも可能である。装置の位置を保持することに加えて、ロック部材142は、他の装置がキャップ130を介して作業チャネル16にアクセスすることができるように、キャップ130の中心から離れてこれらの装置を誘導する傾向もあり得る。少なくともいくつかの実施形態では、ロック部材142は、医療装置を適所に保持するために、医療装置を周囲に巻き付けるか又は押し付けることができる、ロック部材142内に形成された1つ又は複数の曲げ部、フック又はチャネル144を含むことができる。ロック部材142の数は変更することができる。いくつかの実施形態では、1つのロック部材142が利用される。他の実施形態では、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれより多くのロック部材142が利用される。さらに、ロック部材142の正確な形態も変更することができる。例えば、ロック部材142は、ロック部材142の方に装置を向ける傾向があり得るウィング又はフラップを含む場合もあれば含まない場合もある。
【0051】
図4は、
図3に示すキャップ130内に配置することができる、本発明の一実施形態によるシール部材200の上面図である。シール部材200は、中心ルーメン215を囲繞する周囲外壁210によって画定された本体205を含むことができる。少なくとも1つの軸方向支持壁230が、外壁210から中心ルーメン215内に半径方向に延びることができる。
図5に示すように、少なくとも1つのらせん状フラップ220が、支持壁230の上面232から、外壁210の内面に沿って下向きにらせん状に、支持壁230の底面234まで延びることができる。らせん状フラップ220及び支持壁230は、ルーメン215の中心までは延在せず、シール部材200を通して完全に延びる開口部240を残す。従って、医学的介入の一部として使用されるために、
図3に示すキャップ130の細孔146を通してシール部材200のルーメン150内に、開口部240を通して作業チャネル16内に、医療装置を前進させることができる。別法として、らせん状フラップ220及び支持壁230は、(例えば、らせん状フラップ220及び/又は支持壁230が曲がり、かつ、/又は裂けることにより)器具がルーメン215を通過するのを可能にしながら、ルーメン215の中心まで延びることができる。
【0052】
図4に示す実施形態では、シール部材200は、互いに対向して配置された支持壁230を2つのみ含み、各々が2つの支持壁230のうちの一方かららせん状に延びているらせん状フラップ220を2つのみ含む。
図5に示すように、各らせん状フラップ220は、支持壁230の上面232における第1端部222から、反対側の支持壁230の底面234における第2端部224まで下向きにらせん状に延びることができる。下向きの方向は、本体205の上面212から底面214まで延びるものとして定義することができる。各らせん状フラップ220は、2つの方向において、すなわち、第1矢印226によって示す方向において外壁210に沿ってらせん状に、かつ、第2矢印228によって示す方向において開口部240に向かって半径方向に、下向きに延びることができる。下向きに傾斜しているらせん状フラップ220は、開口部240を通して装置を誘導するか又は送り込むのに役立つことができる。支持壁230は、開口部240を通って延びる長手方向軸に沿って直角に延びることができる。2つの支持壁230を互いに対向して配置することができ、らせん状フラップ220は、各々、円形シール部材200の実質的に半分を画定する。
【0053】
図4及び
図5に示す実施形態では、シール部材200は、2つの支持壁230のみ及び2つのらせん状フラップ220のみを備え、3つ以上の支持壁及びらせん状フラップを備えたシール部材と比較して利点を提供することができる。例えば、2つの支持壁230及び2つのらせん状フラップ220のみを含めることにより、フラップのその断面に沿った厚さを10~20%増大させることができ、それにより、封止性能を向上させることができる。さらに、フラップ及び支持壁の底部に形成されるあり得るポケットの数が低減する。これらのポケットは、フラップと支持壁との間の角度が低減すると深くなる可能性がある。支持壁及びフラップの数を2つのみに低減させることにより、フラップと支持壁との間の角度が増大するため、ポケット深さが低減し、それにより、装置の閉塞の発生が著しく低減し、装置の通過性、すなわち、装置がシール部材200を通って移動する能力が向上する。
【0054】
さまざまな実施形態において、シール部材200の外壁210は、上面及び底面の両方において一続きの交互の溝250及び脚部260を含むことができる。溝250及び脚部260により、2つ以上のシール部材200を(例えば、互いに軸方向に)積み重ねることができる。いくつかの実施形態では、溝250及び脚部260は、同じサイズであるとともに、外壁210の周囲(図示せず)に等しく間隔を空けて配置することができ、それにより、2つのシール部材200を、4つの90度の角度をなす向きのうちの任意の向きで積み重ねることができる。例えば、各シール部材200の2つの対向する支持壁230を互いに積み重ねる(一方のシール部材が180度回転する場合と同じである、「マイナス」又はダッシュ記号構成)、一方のシール部材100の2つの対向する支持壁230を第2のシール部材200の支持壁230に対して直角に向ける(一方のシール部材が90度回転する場合と同じである、「プラス」又は十字記号構成)。他の実施形態では、溝250及び脚部260を非等間隔に間隔を空けて配置し(
図5を参照)、2つのシール部材200を2つの180度の角度をなす向きにのみ積み重ねることができるようなサイズとすることができる。2つのシール部材200が「プラス」構成でのみ積み重ねることができるように溝250及び脚部260のサイズを決め、かつ、間隔を空けることにより、「マイナス」構成と比較して、医療装置がシール部材200を通過することができる同様の性能(例えば、通過性)で、より優れた封止が提供される。
【0055】
図6を参照すると、
図4及び
図5のシール部材の断面図が示されており、らせん状フラップ220が、本体205の上面212における第1端部222から、対向する支持壁230の底面234に隣接する第2端部224までらせん状に下向きに延びている。各支持壁230の底面234は、シール部材200の底面214より下方に延びている。
図7は、対向する支持壁230の各々を通る、
図6から90度回転した断面図を示す。
図7に、支持壁230に隣接する開口部240の可変径を示す。支持壁230は、外壁210に接続されたベース233から、部分的に開口部240を画定する内縁部235まで、下向きに角度をなすことができる。開口部240は、支持壁230の上面232に隣接する、向かい合う支持壁230の間の第1径D1から、支持壁230の底面234における第2径D2まで増大している。シール部材200の底部において孔径が増大することにより、湾曲チップ医療装置の導入を妨げる可能性があるポケットの形成が防止される。最上部における径D1の低減により、開口部240のより大きい底径D2が補償され、従って、シール部材200の封止特性が維持される。
【0056】
図4~
図7に示すシール部材200は、射出成形又は他の好適な成形技法によって形成された単一の一体構造部品であり得る。シール部材200は、可撓性シリコーン等のエラストマー材料から作製することができる。
【0057】
図8は、
図3に示すキャップ130内に配置することができる、本発明の一実施形態によるシール部材300の上面図を示す。シール部材300は、中心ルーメン315を囲繞する周囲外壁310によって画定された本体305を含むことができる。複数の突起320が、外壁310からルーメン315の中心に向かって半径方向に内向きに延びることができる。突起320は、外壁310に取り付けられたベース322からチップ324まで半径方向内向きに延びることができる。突起320のチップ324は、ルーメン315の中心でぶつからず、シール部材300を通して完全に延びる開口部340を残す。従って、医学的介入の一部として使用されるために、
図3に示すキャップ130の細孔146を通して、開口部340を通して、作業チャネル16内に、医療装置を前進させることができる。別法として、らせん状突起320は、器具が(例えば、突起320が曲がり、かつ、/又は裂けることにより)ルーメン315内を通過するのを可能にしながら、ルーメン315の中心まで延びることができる。
【0058】
さまざまな実施形態において、複数の突起320は、
図9に示すような階段状に、外壁310の上面312から底面314までシール部材300を回って下向きにらせん状になるように、一続きの周方向に角度がオフセットした層であるように向けることができる。各層は、複数の周方向に間隔を空けて配置された突起320を含むことができる。一続きのオフセットした層は、本体305に沿って軸方向に延びることができ、第1層321が本体の上面312の一部を画定し、第2層323が第1層321の下に、かつ、第1層321から周方向にオフセットして配置され、第3層325が第2層323の下に、かつ、第2層323から周方向にオフセットして配置され、第4層327が第3層325の下に、かつ、第3層325から周方向にオフセットして配置され、第5層329が第4層327の下に、かつ、第4層327から周方向にオフセットして配置される等である。最下層は、本体305の底面314の一部を画定することができる。
【0059】
シール部材300は、任意の数の突起320を含むことができる。いくつかの実施形態では、シール部材300は、複数の層を含むことができ、各層は、本体305の周囲に等間隔で配置された、例えば3~15の周方向に間隔を空けて配置された突起320を含む。シール部材300は、例えば3~15の突起の層を含むことができる。
図9に示す例では、本体305は、各々が5つの突起を有する7つの層を含む。
【0060】
医療装置は、シール部材300の開口部340を通して挿入することができ、突起320のチップ324は、医療装置と係合してシールを形成することができる。シール部材300は、長手方向スリット又は溝、特にC字形の長手方向溝を有するカテーテル又は他の医療装置に対して、改善されたシールを提供することができる。
図10に示すように、C字形溝410を有する装置400がシール部材300の開口部を通して挿入される場合、突起320のチップ324は、装置400の溝410に入ることができ、強化されたシールを提供する。外壁310を回って周方向に配置され、かつ、半径方向内向きに延びる複数の突起320は、装置400の回転向きに関わらず溝410と係合するという利点を提供することができる。また、装置400が、シール部材300内に配置される間に回転するとき、装置400が回転する際にいくつかの突起チップ324が溝410から滑り出る一方で、隣接する突起チップ324は溝410に入り、かつ、溝410を封止するため、溝410は封止されたままとなる。いくつかの実施形態では、突起チップ324は、特定の装置400の溝410の寸法と一致するようなサイズ及び形状とすることができる。
【0061】
種々の方法を使用して、シール部材300を製造し、かつ、/又は組み立てることができる。1つの例では、シール部材300は、
図11に示すように複数の別個のディスク370として成形することができる。さまざまな実施形態において、各ディスク370は、例えば5つの突起320があるように成形することができ(ただし、上述したように、他の数の突起320が想定される)、各突起320は、C字形溝と係合するようなサイズの寸法であるチップ324を有する。ディスク370は、各ディスクが開口部340の360°の周縁部全体に及ぶような角度で周方向にずれて、互いに積み重ねることができる。そして、積み重ねられたディスクを互いに接合して、シール部材300を形成することができる。この積重ねプロセスにより、シール部材300は所望の封止特性を有するようになるが、各ディスクを個別に成形した後にそれらをシール部材300に組み立てる方法は時間がかかる可能性があり、さらには、手動の組立は実現可能でないために高価な組立自動化プロセスを必要とする。さらに、組立中に各ディスクの角度向きを制御することは、費用がかかるとともに難題である可能性がある。これらの要因のすべてにより、組立のコストが上昇し、歩留まりが低下する可能性がある。
【0062】
しかしながら、すべての突起320が単一の成形された構成要素において内向きに面する状態で、シール部材300を成形することは、多くのアンダーカットが必要であり、かつ、工具の移動が制限されるため、困難である可能性がある。さらに、溶解コア成形プロセスにより、コストが増大するとともに、構成要素の品質が影響を受ける可能性がある。
【0063】
一実施形態では、シール部材300全体を、単純な費用効率の高い方法で、単一の一体構造部品で成形することができる。
図12に示すように、すべての突起320のベース322が外壁310の外周部に配置され、突起320のチップ324が半径方向外向きに延びる状態で、シール部材300を成形することができる。突起320は、一続きの周方向にオフセットした層で配置することができる。
図13に示す例では、各層は5つの突起320を有し、突起の7つの層があり、各層は上下の層から周方向にオフセットしている。この向きにより、突起320の階段が形成される。離型後、矢印390によって示すように、シール部材300を裏返して、突起320を中心に向ける。結果として得られる構造体は
図9に示すようなものである。突起320の層は、種々のパターンでオフセットすることができる。いくつかの実施形態では、突起の各層は、隣接する層から周方向に5~40度オフセットすることができる。
図13に示す例では、突起の層は、上及び/又は下の隣接する層から周方向に11度オフセットすることができる。
図14に示す別の例では、シール部材500は、上及び/又は下の隣接する層から周方向に22度オフセットしている突起520の7つの層を有することができる。
【0064】
一実施形態では、シール部材の外壁310は、
図15に示すように、成形中に内面に形成された1つ又は複数の軸方向の溝又はスリット395を含むことができる。スリット395は、シール部材300が裏返された後、外壁310の外面にあり、完成したシール部材300に対して応力緩和機構を提供することができる。スリット395は、裏返された後のシール部材300の歪みを防止するか又は歪みの低減に役立つことができる。
【0065】
任意の向きの突起320を備えた裏返しのシール部材300は、射出成形プロセスによって製造することができる。一実施形態では、
図16に示すように、シール部材300は、半径方向に取出し可能なモールド600を使用して形成することができる。半径方向に取出し可能なモールド600は、複数の半径方向に移動可能なセグメントとコア要素650とを含むことができる。矢印660によって示すように、シール部材300を離型するために半径方向に取り除かれるモールドセグメントに、所望の数及び向きの突起が形成される。コア要素650のサイズにより、シール部材300の外壁310の寸法が決まる。さまざまな実施形態では、
図17に示すような軸方向に固定されたモールド700を使用して、シール部材を形成することができる。軸方向に固定されたモールド700は、頂部710及びベース720と、一続きの固定された突起方向付けプレート730とを含むことができ、各プレート730は、突起320の1つの層の形状及び向きを画定する。
【0066】
さまざまな実施形態では、シール部材100、200、300は、内部を通って延びる医療装置の周囲で封止するのに好適であり得るプラスチック、フォーム、シリコーン、ゴム又はエラストマー等の軟質材料を含むことができる。シール部材100、200、300のための正確な形態及び材料は変更することができる。例えば、シール部材100、200、300は、吸収性である場合もあれば吸収性でない場合もある柔軟な又は成形可能な材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、シール部材100、200、300は、2000年5月17日に出願され「内視鏡用流体シール(Fluid Seal For Endoscope)」と題する米国特許第6,663,598号明細書に開示されるものと同様の構造に使用される材料を含むことができ、上記特許の開示内容は、その全体がすべての目的で参照により本明細書に援用される。少なくともいくつかの実施形態では、シール部材100、200、300は、シェル136の縁部(及び/又は頂部)まで横方向に延び、それにより、内部チャンバ132を実質的に充填することができる。これは、キャップ130内に、かつ、キャップ130から出るように移動する可能性がある流体を阻止するか又はその量を低減させるのに役立つことができる。別法として、シール部材100、200、300の頂部とシェル136の内部チャンバ132の頂部との間に間隙を形成することができ、その間隙を使用して、例えば、装置除去又は交換中にシール部材100、200、300から漏れ出る可能性があり、かつ、他の方法ではね返る可能性がある体液を保持することができる。さらなる実施形態では、シール部材100、200、300の一部がシェル136から延出することができ、歪み緩和機構を画定するか又は他の方法で歪み緩和機構として機能することができる。
【0067】
内視鏡用の生検キャップ130内に配置されることに加えて、シール部材100、200、300は、シール部材100、200、300を通して挿入される装置に沿って漏れ防止が必要とされる他の同様の用途にも、同様に適用することができる。さらに、下向きに向けられたフラップを有することにより、シール部材200は、シール部材200内部に流体を封止する一方向弁としても作用することができる。
【0068】
図18を参照すると、生検キャップ1800の等角図が示される。生検キャップ1800は、(例えば、
図1及び
図2に示すような)作業チャネルの入口と同一直線上に設置することができる。生検キャップ1800は、実質的に直線状の1次元スリットである細孔1802を含む。細孔1802は、細孔1802の壁の間にいかなる開放空間もない実質的に閉鎖した形態にある。細孔1802は、1つ又は複数の医療器具を細孔1802にすぐに通せる状態になっている。
【0069】
図19を参照すると、
図18の使用された生検キャップ1800の細孔1802の拡大図が示される。生検キャップ1800の細孔1802は、生検キャップ1800の一部を横切って実質的に直線状に延びている。細孔1802は、処置に使用された後、元の長さ1904より大きい長さ1906を有する。生検キャップ1800の使用中、1つ又は複数の医療器具は、細孔1802の直線状端部内に挿入される可能性があり、細孔1802の長さが元の長さ1904から拡大した長さ1906まで伸びるように、細孔1802は生検キャップ1800に沿ってさらに裂け、生検キャップ1800の封止強度が低減するとともに、裂ける前の細孔1802と比較して細孔1802の通過の容易さが向上する。
【0070】
図20A及び
図20Bを参照すると、本発明の一実施形態による、細孔2002を通って延びる2本のガイドワイヤ2024を含む、生検キャップ2000が示される。ガイドワイヤ2024は、細孔2002から離れるように延び、ガイド部材2022によって誘導される。ガイドワイヤ2024は、概して
図20Bに示すベクトル2026の方向において、細孔2002の壁に押し付けられる。これらのベクトル2026は、細孔2002の軸から幾分かの角度α離れる方向に広がるため、細孔2002は、ガイドワイヤ2024によって少なくとも細孔2002の端部において押し開かれる。
図20Bは、ガイドワイヤ2024が細孔2002を複数の方向に裂き、細孔2002の第1部分2004を開放させ、第2部分2006を広がった裂け目で開放させることを示す。細孔2002の第1部分2004は、不適当に開放し、細孔2002を通る流体のあり得る交換を可能にし、第2部分2006は、第1部分2004より広く開口するように裂け、細孔2002を通してさらに多くの流体が交換されるのを可能にする。
【0071】
さまざまな実施形態において、細孔を通して医療装置を挿入及び除去するために必要な軸方向の力を低減させるために、細孔の直線長さがより短い場合と比較した場合、細孔の直線長さが長い方が望ましい可能性がある。しかしながら、細孔の直線長さが長いほど、細孔の直線長さが短い場合と比較した場合、細孔を通る流体交換を防止する能力が低下する可能性があるため、両方の目的を達成する、例えば、流体の交換を阻止又は防止するように細孔を引裂に対して強化する一方で、器具に対する封止可能なアクセスを提供するのに役立つように、比較的短い線形細孔を補強することができる。例えば、細孔は、同時に、概して細孔を横切る流体の交換に対してシールがあるような、かつ、/又は、医療装置が作業チャネルから細孔を通して除去されるときに医療装置から流体をふき取ることができるような量の、医療装置の挿入に対する抵抗を有することができる。内視鏡処置において作業チャネルで使用される生検キャップの状況において、1つ又は複数の医療装置を細孔に通すために医療従事者から加えられる力の例示的な量は、約2.224N(約0.5lbf)~約15.569N(約3.5lbf)であり得る。
【0072】
図21A~
図21Fを参照すると、作業チャネルに対する補強された封止可能なアクセスを提供する装置の実施形態が示されており、この装置は、基端部2106、先端部2108を有するとともに長手方向軸に沿って延びている管状本体2104を備えた、生検キャップ2100を含む。先端部2108は、作業チャネルの基端部又は入口ポートにおいて作業チャネルと同一直線上に設置されるように構成される。生検キャップ2100は、本体2104の基端部2106に実質的に直線状の細孔2102を含む。細孔2102は、管状本体2104の長手方向軸に対して直角である中心線軸rに沿って延び、1つ又は複数の医療器具が細孔2102を通過するのを可能にし、同時に、細孔2102を通過する作業チャネルからの流体に対して実質的に封止するように構成される。細孔2102を中心に6つの補強リブ2110が配列される。
図21Aの生検キャップ2100の底面図から示すリブ2110は、管状本体2104の内部である表面2118に配置されるとともに、その表面2118から長手方向軸に沿って先端側に延びている。リブ2110は、長手方向軸に対して実質的に直角な平面において延びている。ノーマル軸nから最も離れているリブ2110は、ノーマル軸n又は軸rから約15°~約75°、又は約45°で配置することができる。リブ2110は、細孔2102を閉鎖位置で補強して、細孔2102が細孔2102を横切る流体圧及び交換に抵抗するのを補助するように作用する。軸nに近い方のリブ2110の配置及び数により、軸rに沿った生検キャップ2100の剛性に対して軸nに沿った生検キャップ2100の剛性が増大する。この(r軸に沿った剛性と比較して)増大した軸nに沿った剛性もまた、軸nに沿った抵抗力fを提供するのに役立つ。抵抗力fは、軸rに対して直角な方向に作用する力ベクトルと述べることができる。この抵抗力fは、物体(例えば、細孔2102を通過しているガイドワイヤ又は別の器具)によってもたらされる力に抵抗することができる。また、実質的に軸rに沿ってリブ2110は配置されておらず延びていない。これは、さらに、実質的に軸nの方向に沿った生検キャップ2100の細孔2102の剛性及び閉鎖を、軸rに沿った細孔2102の剛性及び閉鎖に比較して促進するように、行われる。細孔2102の開放及び/又は引裂をもたらす可能性がある、実質的に軸nに沿った(例えば、ガイドワイヤ又は器具によって加えられる)いかなる力も、力が実質的に軸rに沿って作用する可能性がある生検キャップ2100の部分と比較した場合により高い剛性を有する、生検キャップ2100の部分に、作用することになる。リブ2110は、細孔2102から半径方向に離れて第1端部2112から第2端部2114まで延びるに従い、より広く、かつ、より厚くなる(すなわち、リブ21210は、第1端部2112より第2端部2114の方が広く、かつ、厚い)。より狭く、かつ、薄い第1端部2112まで細孔2102に向かって延びるリブ2110のより広く、かつ、厚い第2端部2114は、均一な幅及び厚さのリブ2110と比較した場合、細孔2102の中心に向けられた、焦点が合わされた抵抗力ベクトルfに寄与する。さらに、r軸に対して直角であるとともにノーマル軸nに沿って延びるリブ2110の群のうちの所定のリブ2116は、ノーマル軸nからオフセットしている残りのリブ2110より幅が広い。リブ2116は、残りのリブ2110より幅が広いため、細孔2102の剛性及び閉鎖を促進するように、軸rに対して直角な方向における抵抗力ベクトルfに寄与するより多くの体積の材料を有する。例えば、1つ又は複数のリブ2110の幅、厚さ若しくは長さを増大させるか、又は、軸nに関してリブ2110の数及び/若しくは配置を増大させることにより、リブ2110の材料の結合された体積を増大させることは、細孔2102内の器具の力に抵抗して追加のリブ2110の質量を提供することにより、抵抗力ベクトルfに寄与することができる。リブ2110のこれらの特徴を調整して、引裂に対する所望の抵抗のレベル、細孔2102の閉鎖促進、流体交換の量、及び器具を細孔2102に通すために必要な器具力に対して生検キャップ2100を「調整する(tune)」ことができる。軸nに沿って延びるリブ2110は、軸nからオフセットしている別のリブ、例えば、生検キャップ2100の長手方向軸を中心に軸nから約15°~約75°、又は約45°の角度をなしているリブ2110より、抵抗力ベクトルfに寄与することができる。リブ2110を有する生検キャップ2100の細孔2102を引き裂くために必要な力は、リブ42110なしの同じ細孔に対する引裂き力より大きい。
図21A及び
図21Cは6つのリブ2110を示すが、任意の数(例えば、1、2、3、4、5、7、8、9、10、12、20、50、100等)のリブを含めることができる。これらの図は、リブ2110の間の可変の幅及び厚さを示すが、リブ2110は、均一な幅及び厚さであり得る。リブ2110は、細孔2102に作用している抵抗力ベクトルfが実質的に対称であるように、軸rを中心に実質的に対称に配置される。いくつかの実施形態では、配置は非対称であり得る。補強及び引裂への抵抗を補助するように、後述するように隆起部2120も含まれる。隆起部2120は、生検キャップ2100と組み合わせることができ、又は、生検キャップ2100は、隆起部2120を含まない場合もある。隆起部2120は、リブ2110の半径方向外側に配置することができ、又は、隆起部は、(例えば、後述する
図10に示すように)リブ2110を通して延びることができる。隆起部2120及び/又はリブ2110は、別法として又はさらに、生検キャップ2100の基端面及び/又は先端面に配置することができる。
【0073】
図21D~
図21Fを参照すると、本発明の一実施形態による、例示的なハウジング2120内にある生検キャップ2100が示される。ハウジング2120は、1つ又は複数の医療器具(例えば、ガイドワイヤ)を収容する可変サイズの係止溝2122を含む。医療器具は、ガイドアーム2126によっても補助することができる。生検キャップ2100は、生検キャップ2100の基端部に取り付けられるか又は一体的に形成された第1表面特徴部2114a、並びに、生検キャップ2100の管状本体2104に取り付けられるか又は一体的に形成された第2表面特徴部2114b及び第3表面特徴部2114cもまた含む。これらの表面特徴部2114a、2114b及び2114cは、ハウジング2120の内壁と一体的に形成される、リップ、段差特徴部等であり得るハウジング2120の対応する表面特徴部2116a、2116b、2116cと圧縮及び/又は摩擦係合している。凹状部分2112a、2112bが、生検キャップ2100の管状本体2104内に一体的に形成され、生検キャップ2100の外周部に対して約90度、表面特徴部2114b、2114cからオフセットしている。ピボット部材2114a、2114b(例えば、第1ピボットボタン、第1ピボット特徴部等)が、ハウジング2120内に一体的に形成され、対応する凹状部分2112a、2112bと圧縮及び/又は摩擦係合する。
【0074】
ここで、かつ、他の場所で記載する実施形態のさまざまなものにおいて、装置のリブは、装置の長手方向軸に対して実質的に横方向の平面において半径方向に延びることができる。複数のリブの各リブは、横方向平面における幅寸法と、長手方向軸に対して実質的に平行な平面における厚さ寸法とを有することができる。リブのうちの1つ又は複数が、装置の細孔に対して実質的に直角に延びることができる。他の任意のリブの幅より大きい幅を有するいくつかのリブが、細孔に対して実質的に直角に延びることができる。これらのリブは、細孔から離れるように半径方向に延びるに従い、大きい幅及び厚さを有することができる。これらのリブは、細孔から離れるように半径方向に延びるに従い、幅及び厚さを連続的に増大させることができる。これらのリブのうちの1つ又は複数が、上述したように、他のリブのうちの1つ又は複数の厚さより大きい厚さを有することができる。本体は中空とすることができ、リブは、管状本体の内部の表面上に配置することができる。リブは、上面にのみ若しくは底面にのみ、又は上面及び底面の両方に配置することができる。リブは、上述したように、装置の長手方向軸に対して横方向の平面において、細孔の周囲に円形パターンで対称に配置することができる。リブは、例えば隆起部等、本明細書に記載する他の補強特徴部と組み合わせることができる。
【0075】
図22A及び
図22Bを参照すると、作業チャネルに対する補強された封止可能なアクセスを提供する装置の一実施形態が示されており、それは、管状本体2204を備えた生検キャップ2200を含み、管状本体2204は、本体2204の基端部206に閉鎖された実質的に直線状の細孔2202を有し、細孔2202は、1つ又は複数の医療器具が細孔2202を通過するのを可能にすると同時に、細孔2202を通過する作業チャネルからの流体に対して実質的に封止するように構成される。(基端部2206とは反対側の)本体2204の先端部は、作業チャネルの基端部又は入口ポートにおいて作業チャネルと同一直線上に設置されるように構成される。本体2204の基端部2206に、細孔2202を中心に延びる隆起部2210が配置される。隆起部2210は、細孔2202を中心に、細孔2202を取り巻くように、形状が円形であるが、例えば、楕円形、卵形、形状の組合せ等、任意の形状であり得る、外周輪郭を有する。隆起部2210は、管状本体2204の隆起部2210内の中心にある内側部分2208より厚い、装置2200の長手方向に対して平行な平面における断面厚さを有する。隆起部2210の厚さは、種々の厚さとすることができ、例えば、隆起部2210の厚さは、細孔2202が貫通して延びる本体2204の基端部2206の壁の厚さより、少なくとも25%大きくすることができる。例えば、隆起部2210は、約0.071インチ(約1.80ミリメートル)のピーク厚さを有することができ、細孔2202が貫通して延びる生検キャップ2200の基端部2206の壁の厚さは、約0.038インチ(約0.97ミリメートル)であり得る。隆起部2210の厚さは、本来は細孔2202を引き裂く可能性がある、細孔2202の壁に対する医療器具からの力に対して、抵抗を提供する。隆起部2210の断面は、実質的に半円形又は半月の形状であるが、例えば、放物線状、湾曲、矩形、テーパ状、それらの組合せ等、多数の他の形状を採用することができる。細孔2202は、隆起部2210まで延在せず、裂けた細孔2202が隆起部2210まで伝播する前に、最小限の量の引裂を可能にする。細孔2202の端部と隆起部2210の端部とに間隔があることにより、細孔2202と略同じか又はそれより大きい医療装置が望ましくない抵抗なしに細孔2202に挿入され、かつ、通されるのを可能にすることができる。さらに、細孔2202の端部と隆起部2210の端部との間に間隔があることは、細孔2202における引裂の伝播を防止するのに役立つことができる。
【0076】
図23A及び
図23Bを参照すると、作業チャネルへの補強された封止可能なアクセスを提供する装置の一実施形態が示されており、それは、管状本体を備えた生検キャップ2300を含み、管状本体は、長手方向軸と本体の基端部2306における細孔2302とを有する。生検キャップ2300は、作業チャネルと同一直線上に設置されるように構成される。細孔2302は、1つ又は複数の医療器具が細孔2302を通過し、同時に、細孔2302を通過する作業チャネルからの流体に対して実質的に封止するように構成される。細孔2302は、2次元以上で長手方向軸に対して実質的に横方向の平面において延びる補強パターンを有する。細孔2302は、第1端部2310、第2端部2312及び第3端部2314を有する。細孔2302は、第1端部2312から分割点2316まで実質的に直線状に延び、分割点2316から第2端部2312及び第3端部2314の各々まで別個に、かつ、実質的に直線状に延び続けている。細孔2302により、複数の医療器具が同じ端部2310、2312、2314を塞ぐことなく、複数の医療器具が、細孔2302の端部2310、312、2314内に受け入れられ、かつ、固定されるのが可能になり、それにより、
図24及び
図25を参照して後述するとともに
図18~
図20Bを参照して上述したように細孔2302の引裂を低減させることができる。分割点2316から第2端部2312及び第3端部2314の各々まで延びる細孔2302の部分は、実質的に同じ長さであり、分割点2316から第1端部まで、かつ、細孔2302の軸rから実質的に同じ角度で延びているが、これらの角度及び長さは可変であるか、又は端部の間で均一及び可変の何らかの組合せであり得る。角度は、分割点2316から第2端部2312及び第3端部2314の各々まで延びる細孔2302の部分が、細孔2302内に医療装置を固定するように構成された係止溝の方に向けられるようなものであり得る。さらに、3つの端部2310、2312及び2314を示すが、任意の数の端部、例えば、適所に固定すべき医療器具の数と等価な数の端部を採用することができる。分割点2316から第2端部2312及び第3端部2314まで延びる細孔2302の部分は、第1端部2310から分割点2316まで延びる細孔2302の部分より長いが、これらの部分は、互いに対して長さ可変であり得るか、又は、実質的に等価であり得る。第2端部2312及び第3端部2314は、実質的に裂けることなく各々単一のガイドワイヤを収容するように構成することができる。ガイドワイヤの例示的な直径は、約0.025インチ(約0.635ミリメートル)~約0.038インチ(約0.965ミリメートル)の範囲とすることができ、軸rに沿った第1端部2310から分割点2316までの細孔2302の例示的な長さは、約0.040インチ(1.016ミリメートル)であり得るが、細孔2302を通して複数のガイドワイヤ、複数の器具及び/又はより大きい器具を収容するために、より大きい長さを使用することができる。分割点2316から第2端部2312又は第3端部2314までの細孔2302の例示的な長さは、約0.040インチ(1.016ミリメートル)であり得るとともに、約0.050インチ(1.27ミリメートル)未満であり得る。軸rに沿った第1端部2310から、第2端部2312と第3端部2314との間の点までの細孔2302の長さは、約0.080インチ(2.032ミリメートル)~約0.140インチ(3.556ミリメートル)であり得る。細孔2302の周囲に、
図22A及び
図22Bを参照して考察した隆起部2210と同様の隆起部2318を示すが、さまざまな実施形態は、隆起部2318を含む場合もあれば除外する場合もある。
【0077】
図24を参照すると、生検キャップ2400の上面図が示されており、それは、第1端部2404から第2端部2406まで延びる実質的に直線状の細孔2402を含む。2つの医療器具2420(例えば、ガイドワイヤ)が、第2端部2406における細孔2402を通って延び、(例えば、医療器具2420を係止溝内に固定している間及びその後)ベクトル2422の全体的な方向において細孔2402壁に押し付けられている。実質的に直線状の細孔2402は、第1端部2404の近くの第1部分2410において開放され、第2端部の近くの第2部分2412において開放するように裂けている。
図24におけるこの引裂及び開放により、細孔2402は、
図19の細孔1902に沿って延びる実質的に直線状の裂け目である
図19に示す任意の間隙空間より、大きい間隙空間まで開放している。細孔2402は、上記
図20A及び
図20Bにおける同様の生検キャップ2000に関して記載したものと同様に裂ける。
【0078】
図25を参照すると、作業チャネルに対する補強された封止可能なアクセスを提供する装置の一実施形態の上面図が示されており、これは、2次元以上で装置の長手方向軸に対して実質的に横方向の平面において延びる補強パターンを有する細孔2502を備えた、生検キャップ2500を含む。上記
図23A及び
図23Bの例示及び考察と同様に、細孔2502は、第1端部2504から分割点まで延び、その後、第2端部2506及び第3端部2508の各々まで延びている。2つの医療器具2520(例えば、ガイドワイヤ)は、第2端部2506及び第3端部2508の各々に1つの細孔2502を通って延びる。医療器具2520は、(例えば、医療器具2520を係止溝内に固定している間及びその後)ベクトル2522の全体的な方向において細孔2502の壁に押し付けられる。
【0079】
図24及び
図25における力ベクトル2422、2522及び引裂を比較すると、引裂は、実質的に、
図19の細孔1902に沿って延びる直線状の裂け目である、
図19に示すものより、細孔2402、2502を開放している。
図24及び
図25の実質的に直線状の細孔2402、2502は、第1端部2404、2504の近くの第1部分2410、2510と反対側の端部(第2端部2406、2506及び第3端部2508)の近くの第2部分2412、2512との両方において、裂け、かつ、/又は開放される。本発明の一実施形態による、
図25の補強パターン細孔2502は、医療装置2520の各々に対して別個の第2端部2506及び第3端部2508を含むため、細孔2502は、第2端部2506及び第3端部2508の方向に沿って実質的に直線状に裂けることができ、その結果、
図25の第1部分2510及び第2部分2512の開放領域がもたらされ、それらは、細孔に対する補強パターンがない、
図24の第1部分2410及び第2部分2412それぞれの開放領域より小さい。
図24の部分2410、2412の開放領域と比較した場合に、
図25の部分2510、2512のこれらの開放領域の方が小さいことにより、器具が通されるときに細孔2502を横切る流体の交換に対してより優れたシールが可能になる。
【0080】
図26は、本発明の一実施形態による、2次元以上で延びる細孔2602を含む、生検キャップ2600の上面図を示す。第4端部2620も含む細孔2602を有する
図26の実施形態は、
図23A及び
図23Bと同じである。第4端部2620は、第1端部2610と反対側に延び、分割点2616から、かつ、実質的に軸rに沿って延び、第2端部2612と第3端部2614との間にある。第4端部2620は、追加のガイドワイヤを収容することができ、かつ、/又は医療装置の通過性に役立つことができる。
【0081】
図27A~
図27Cは、本発明の実施形態による生検キャップの拡大図を示す。生検キャップの細孔2702が、生検キャップの一部を横切って実質的に直線状に延びている。細孔2702は、細孔2702の端部2704の間の長さを有する。生検キャップの使用中、細孔2702を通して1つ又は複数の医療器具を挿入することができ、これにより引裂がもたらされる可能性がある。本明細書に記載するようなリブ2710及び/又は隆起部2720により、引裂を制限することができ、又は引裂伝播を低減させることができる。
図27Aを参照すると、リブ2710及び隆起部2720を含む生検キャップの細孔2702は、使用後にいかなる引裂ももたらされていない。
図27Bを参照すると、端部2704の間の細孔2702の元の長さは、裂けた端部2706の間のより大きいサイズの細孔まで裂けているが、引裂は、生検キャップの機能に影響を与えるようには伝播していない。
図27Bの元の細孔2702の(端部2704の間の)長さは、約1.5mm~約4mmであり得るが、裂けた細孔2702の(裂けた端部2706の間の)長さは、少なくとも5mmであり得る。
図27Cを参照すると、細孔2702は、細孔2702と実質的に非一直線状である(すなわち、元の端部1004の間の線に沿った)引裂経路を有する裂けた端部2706に向かって裂けることができる。非一直線状の裂け目端部2706は、半径方向に隆起部2720内で、かつ、半径方向にリブ2710内でも維持される。
【0082】
図28A~
図28Dを参照すると、本発明の一実施形態によるベース2830が示されており、それは、凹状環状部分2832を含む。凹状環状部分2832は、生検キャップ130、2900(例えば、上の
図3及び下の
図29)の一部として形成された固定部材140に対して相補的とすることができ、従って、生検キャップ130は摩擦嵌合を介してベース2830に固定することができる、ということが理解されよう。ベース2830及び/又は生検キャップは、生検キャップがベース2830の適所にスナップフィットされるのを可能にするために十分に可撓性のある材料から形成することができる。ベース2830は、ポート20(例えば、
図2)と摩擦係合するように構成することができる固定領域2840も画定する。拡張部2844が、固定領域2840の両側においてベース2830から先端側に延びている。拡張部2844は、術者が、拡張部2844のうちの少なくとも一方がポート20の嵌合面と接触するとともに、それと係合することができるように、固定領域2840をポート20の上に向けるのを補助することができる。拡張部2844は、術者が、ポート20からベース2830を取り除くためにハンドルとしても術者を補助することができる。細孔2842が、生検キャップ130、2900及びベース2830を通って延びる長尺状部材を収容するために、ベース2830を貫通して延びている。細孔2842を形成するベース2830の基端部2834は、流体及び/又は器具を細孔2842内に先端側に送り込むことができる、じょうごのような形状を有する。基端部2834の傾斜するじょうごのような形状は、第2角度βまで先端側に移行する第1角度αで勾配を有する。基端部2834がより厚い角度α部分からより薄い角度β部分に細孔2842に向かって移行する(すなわち、テーパ状である)ように、角度αは角度βより小さくすることができ、それにより、細孔2842から離れるより細孔2842に近い方の通過性を大きくする(すなわち、器具を移動させるための軸方向の力を小さくする)ことができる。α角度及びβ角度は、0~360度の任意の角度とすることができ、例えば、角度αは約30°とすることができ、角度βは約45°とすることができる。ポート20の周囲に設置された固定領域2840は、一次シールとして作用することができ、ポート20の上面と圧縮係合する固定領域2840の周囲に延びる隆起部2846は、二次シールとして作用することができる。
【0083】
図29は、本発明の一実施形態による、生検キャップ2900、ベース2902及び封止部材2910、2912、2914、2916のアセンブリの断面図を示す。封止部材2910、2912、2914、2916は生検キャップ2900内に配置され、キャップ2900はベース2902の上に配置される。生検キャップ2900、ベース2902、封止部材2910、2912、2914、2916及びポートの細孔が、すべて長手方向軸lに沿って軸方向に実質的に位置合わせされるように、固定領域2904をポートに固定することにより、ポートにアセンブリ全体を結合することができる。本発明を通して考察した任意の封止部材が、生検キャップ2900内に組み付けるために好適である。
【0084】
さまざまな実施形態において、生検キャップの細孔が、生検キャップの壁を完全に貫通して延びない場合もある。細孔は、生検キャップの壁の厚さ内である特定の距離で終端することができ、それにより、使用時、医療器具により、細孔における壁の残りの厚さを通して穿刺することができる。別法として、膜によって細孔を覆うことができ、膜は、使用時に医療器具によって穿刺される前に細孔にわたって配置されるように、生検キャップの壁に貼り付けることができる。
【0085】
さまざまな実施形態において、細孔の長さ又は長さの一部は、約2mm~約5mm、約1.5mm~約4mm、約3mm等の範囲であり得る。「Y字形」細孔の端部を有する部分の長さは、約3mmであり得る。細孔から伝播する裂け目の長さは、細孔の長さに応じて生検キャップの機能を危うくする可能性がある。例えば、細孔の長さの約10%の長さを有する裂け目をもたらす医療器具は、生検キャップの性能に影響を与えるのに十分に重大であり得る。
【0086】
さまざまな実施形態において、生検キャップは、シリコーン、液状シリコーンゴム、ゴム、ポリマー、エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、軟質プラスチック、又はそれらの組合せ等、可撓性材料を含むことができる。さまざまな機能に対して、キャップにわたる可変厚さ、例えば、作業チャネルと同一直線上に固定して設置するためのより厚い本体、医療装置が通過するための細孔の周囲のより薄い壁、引裂の広がりを防止するための細孔の周囲のより厚い隆起部、細孔の閉鎖位置を維持するのに役立つより厚いリブ部分等を採用することができる。
【0087】
さまざまな実施形態において、生検カップを管状本体に成形して、特定のハウジング内に設置されるように、かつ、/又は特定の作業チャネルと適合性があるように構成又はカスタマイズされる構造又は形状を構成することができる。本発明による、ここで又は他の場所で記載する実施形態によるパターン化細孔をその構造に切り込むことができる。
【0088】
さまざまな生検キャップ、シール部材及びモールドとともにそれらのさまざまな構成要素は、成形、鋳造、機械加工等又は他の任意の好適な技法を含む本質的に任意の好適な製造技法に従って製造することができる。さらに、さまざまな構造は、金属、金属合金、ポリマー、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組合せ等、又は他の任意の好適な材料等、医療装置に一般に関連する材料を含むことができる。これらの材料は、処置中の可視化に役立つように、透明又は半透明材料を含むことができる。好適な金属及び金属合金のいくつかの例としては、304V、304L及び316LVステンレス鋼等のステンレス鋼;軟鋼;線形弾性及び/又は超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625等のUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)等のUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)等のUNS:N10276、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金等)、ニッケル-銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035等)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイB2(ALLOY B2)(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等の他のニッケル合金;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)等のUNS:R30003等);白金富化ステンレス鋼;それらの組合せ等;又は、他の任意の好適な材料が挙げられる。
【0089】
好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリング・プラスティックス社(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル系又はエステル系の共重合体(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン社(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフ・アトケム社(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標)等)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、又は、混合物、組合せ、それらの共重合体、ポリマー/金属複合材料等を挙げることができる。
【0090】
さらに、本明細書に開示した(さまざまな固定部材、ロック部材等を含む)構造の部分又は構成要素に、熱可塑性エラストマー等、グリップを向上させることができる比較的軟質の材料でコーティングすることができる。コーティングは、隆起部、表面凹凸、出っ張り、溝、突起等、グリップを向上させることができる追加の特徴部を含む場合もあれば含まない場合もある。
【0091】
さらに、本明細書に開示したさまざまな構造は、1回のみ使用されるように設計することができ、又は、繰返し使用されるように設計することができる。従って、本明細書に開示した構造は、複数回の滅菌及び/又は洗浄に耐えることができる材料から製造することができる。これは、本明細書に開示したようなキャップ全体、又はキャップのうちの任意もののさまざまな特徴のうちの任意のものに当てはまり得る。
【0092】
本発明は、多くの点で単に例示的であることが理解されるべきである。本発明の範囲を越えることなく、詳細、特に、形状、サイズ及びステップの配置といった事項に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、1つの実施形態例の特徴のうちの任意のものが他の実施形態で使用されるという使用法を含むことができる。
【0093】
本明細書に開示し、かつ、請求項に係る装置及び/又は方法のすべてが、本発明を鑑みて過度の実験なしに作成し、かつ、実施することができる。本発明の装置及び方法について、好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した装置及び/又は方法に対して、かつ、方法のステップ又は連続したステップにおいて変更を適用することができることが明らかとなろう。当業者には明らかなこうした同様の置換形態及び変更形態のすべてが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲及び概念にあると考えられる。