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特許7307156電気化学装置、電気機器、電気自動車及び給電制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】電気化学装置、電気機器、電気自動車及び給電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230704BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20230704BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230704BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20230704BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20230704BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H02J1/00 309R
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L58/10
H02H7/00 K
H02H7/18
H02J1/00 304H
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021517617
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021078231
(87)【国際公開番号】W WO2022001143
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】202010612162.6
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520124888
【氏名又は名称】東莞新能安科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dongguan Poweramp Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xinghui Road, Songshan Lake Park, Dongguan City, Guangdong Province, 523000, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】周 軍
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-509068(JP,A)
【文献】特開2013-183495(JP,A)
【文献】特開2009-038925(JP,A)
【文献】特開2009-089535(JP,A)
【文献】特開2013-179760(JP,A)
【文献】特表2008-538892(JP,A)
【文献】特開2016-225440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02H 7/00
H02H 7/10 - 7/20
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 15/42
B60L 50/60
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に電力を供給するために使用される電気化学装置であって、
電池セット、給電主回路、予備充電回路及び制御モジュールを備え、
前記給電主回路は、前記電池セットと電気的に接続され、
前記予備充電回路は、第1スイッチと、前記第1スイッチに電気的に接続されるサーマルエレメントとを含み、前記サーマルエレメントのインピーダンスは、温度の上昇に伴って高くなり、
前記第1スイッチは、前記制御モジュール及び前記給電主回路に電気的に接続され、
前記制御モジュールは、前記給電主回路の遮断を制御するように構成され、また、前記制御モジュールは、前記第1スイッチをオンにして前記予備充電回路を導通するように制御し、
前記制御モジュールは、予備充電回路が予め設定された条件に達した場合に、前記第1スイッチがオフするように制御して前記予備充電回路を遮断し、
前記予備充電回路は、温度制御スイッチをさらに備え、
前記サーマルエレメントは、前記温度制御スイッチにさらに接続され、前記第1スイッチが失効していることを判断すると、前記温度制御スイッチは、前記サーマルエレメントの温度が所定の閾値を超えたことを検出すると、切れることを特徴とする電気化学装置。
【請求項2】
前記予め設定された条件は、プリチャージ電流値が予め設定された閾値よりも大きいことを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記第1スイッチが失効すると、前記サーマルエレメントの温度が上昇し続け、かつ、前記サーマルエレメント自体のインピーダンスが増大し、前記サーマルエレメントが前記プリチャージ電流を制限するために用いられることを特徴とする請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
予め定められた条件は、プリチャージ時間が予め定められた時間よりも大きいことを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記予備充電回路と前記制御モジュールとの間に電気的に接続され、前記予備充電回路のプリチャージ電流を検出し、且つ検出したプリチャージ電流を前記制御モジュールにフィードバックする電流検出回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記温度制御スイッチは、サーマルエレメントと前記第1スイッチとの間に電気的に接続され、前記温度制御スイッチは、前記サーマルエレメントに近接して配置されて、前記サーマルエレメントの温度を感知するために用いられることを特徴とする請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記第1スイッチは、第1端が前記制御モジュールに電気的に接続され、第2端が前記温度制御スイッチに電気的に接続され、第3端が前記電流検出回路に電気的に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記給電主回路は、第2スイッチ及び第3スイッチを含み、
前記第2スイッチでは、第1端が前記制御モジュールに電気的に接続され、第2端が前記第3スイッチの第2端に電気的に接続され、第3端が前記第1スイッチの第3端に電気的に接続され、
前記第3スイッチでは、第1端が前記制御モジュールに電気的に接続され、第3端が負荷の一端に電気的に接続されることを特徴とする請求項7に記載の電気化学装置。
【請求項9】
第1端が前記電池セットの正極に電気的に接続され、第2端が前記給電主回路の入力端子に電気的に接続されるヒューズをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項10】
前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項11】
前記電気化学装置は、電池パックであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項12】
電気機器に電力を供給するために使用される電気化学装置であって、
電池セット、給電主回路、予備充電回路及び制御モジュールを備え、
前記給電主回路は、前記電池セットと電気的に接続され、前記予備充電回路は、第1スイッチと、前記第1スイッチに電気的に接続されるサーマルエレメントとを含み、前記サーマルエレメントのインピーダンスは、温度の上昇に伴って高くなり、
前記第1スイッチは、前記制御モジュール及び前記給電主回路に電気的に接続され、前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに電気的に接続され、
前記予備充電回路は、温度制御スイッチをさらに備え、
前記サーマルエレメントは、前記温度制御スイッチにさらに接続され、前記第1スイッチが失効していることを判断すると、前記温度制御スイッチは、前記サーマルエレメントの温度が所定の閾値を超えたことを検出すると、切れることを特徴とする電気化学装置。
【請求項13】
前記サーマルエレメントは、セラミック正温度係数サーミスタ素子であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学装置。
【請求項14】
前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに直列に接続されていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の電気化学装置。
【請求項15】
第1スイッチがオンするように制御して、サーマルエレメントを含む予備充電回路を導通させ、前記予備充電回路により、電気機器を予備充電するステップと、
予備充電回路が予め設定された条件に達した場合に、前記第1スイッチがオフするように制御して、前記予備充電回路を遮断するステップと、を備え、
ここで、前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに電気的に接続され、且つ温度の上昇に伴ってインピーダンスが高くなり、
前記予備充電回路は、温度制御スイッチをさらに備え、
前記サーマルエレメントは、前記温度制御スイッチにさらに接続され、前記第1スイッチが失効していることを判断すると、前記温度制御スイッチは、前記サーマルエレメントの温度が所定の閾値を超えたことを検出すると、切れることを特徴とする電気化学装置の給電制御方法。
【請求項16】
前記予め設定された条件は、プリチャージ電流値が予め設定された閾値よりも大きいことを含むことを特徴とする請求項15に記載の電気化学装置の給電制御方法。
【請求項17】
前記予め設定された条件は、プリチャージ時間が予め設定された時間よりも大きいことを含むことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の電気化学装置の給電制御方法。
【請求項18】
前記電気化学装置は、電池セット、給電主回路及び制御モジュールを備え、
前記給電主回路は、前記電池セットと電気的に接続され、
前記第1スイッチは、制御モジュール及び前記給電主回路に電気的に接続され、
予備充電回路が予め設定された条件に達した場合には、前記給電主回路がオフ状態を維持するように制御することを特徴とする請求項17に記載の電気化学装置の給電制御方法。
【請求項19】
前記第1スイッチが失効状態になると、前記サーマルエレメントの温度が上昇し続け、且つ前記サーマルエレメント自体のインピーダンスが増大して前記プリチャージ電流を制限することを特徴とする請求項15乃至請求項18の何れか一項に記載の電気化学装置の給電制御方法。
【請求項20】
前記サーマルエレメントの温度が上昇し続け、且つ前記サーマルエレメント自体のインピーダンスが増大すると、前記第1スイッチが失効したと決定されることを特徴とする請求項15乃至請求項18の何れか一項に記載の電気化学装置の給電制御方法。
【請求項21】
請求項1~11又は請求項12~14の何れか一項に記載の電気化学装置に電気的に接続され、前記電気化学装置により電力が供給されることを特徴とする電気機器。
【請求項22】
前記電気機器には、負荷が設けられており、前記予備充電路の出力端子は、前記負荷の入力端子に電気的に接続されていることを特徴とする請求項21に記載の電気機器。
【請求項23】
請求項1~11又は請求項12~14の何れか一項に記載の前記電気化学装置に電気的に接続され、且つ前記電気化学装置により電力が供給されることを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気化学装置、電気機器、電気自動車及び電気化学装置の給電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車のコントローラの内部には大きなコンデンサーがあり、もし予備充電回路がないなら、全車を電気的に充電する時、コンデンサーには電荷が無く、又は残留電圧しかない場合がある。給電電池をコンデンサーの両端に直接に接続することは、瞬間的な短絡に相当し、電池や他の高電圧部品を損害するおそれがある。このため、予備充電回路の役割は、電源投入時の大電流の衝撃を避け、これにより電池や高圧装置を保護することである。
【0003】
従来技術では、通常、予備放電抵抗及び制御スイッチを用いてプリチャージの機能を実現する。しかし、予備放電抵抗は、一定時間の過負荷電力を受けると深刻に発熱することがある。回路が外部に短絡されると、予備放電抵抗の発熱がより深刻になる。予備放電抵抗の動作の信頼性を保証するためには、通常、大出力抵抗を用いる必要があり、これにより、多くの空間を占有し、小型化電池構造の空間への搭載ができず、適用が十分に制限され、特に、制御スイッチが失効した場合に予備放電抵抗が持続的に昇温することを招くので、部品の発煙や焼損、さらには電池の発爆を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、集積度が高く、消費電力コストが低く、信頼性が高いなどの利点を有し、予備放電抵抗の発熱による電池の爆発という安全問題を回避するとともに、ユーザの使用体験を向上させることのできる電気化学装置、電気機器、電気自動車、及び電気化学装置の給電制御方法を提供することが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一実施態様に係る電気化学装置は、電気機器に電力を供給するために使用され、且つ電池セット、給電主回路、予備充電回路及び制御モジュールを備え、前記給電主回路は、電池セットと電気的に接続され、前記予備充電回路は、第1スイッチと、前記第1スイッチに電気的に接続されるサーマルエレメントとを含み、前記サーマルエレメントのインピーダンスは、温度の上昇に伴って高くなり、前記第1スイッチは、前記制御モジュール及び前記給電主回路に電気的に接続され、前記制御モジュールは、前記給電主回路の遮断を制御するように構成され、また、前記制御モジュールは、前記第1スイッチを切って前記予備充電回路をオンするように制御し、前記制御モジュールは、予備充電回路が予め設定された条件に達した場合に、前記第1スイッチがオフするように制御して前記予備充電回路を遮断する。
【0006】
本願の幾つかの態様によれば、予め設定された条件は、プリチャージ電流値が予め設定された閾値よりも大きいことを含む。
【0007】
本願の幾つかの態様によれば、前記第1スイッチが失効すると、前記サーマルエレメントの温度が上昇し続け、かつ、前記サーマルエレメント自体のインピーダンスが増大し、前記サーマルエレメントが前記プリチャージ電流を制限するために用いられる。
【0008】
本願の幾つかの態様によれば、前記予備充電回路は、温度制御スイッチをさらに備え、前記サーマルエレメントは、温度制御スイッチにさらに接続され、前記温度制御スイッチは、前記サーマルエレメントの温度が所定の閾値を超えたことを検出すると、切れる。
【0009】
本願の幾つかの実施形態によれば、予備充電回路が予め設定された条件に達していない場合、制御モジュールは前記給電主回路が導通するように制御する。
【0010】
本願の幾つかの態様によれば、予め定められた条件は、予め定められた時間よりも、プリチャージ時間が大きいことを含む。
【0011】
本願の幾つかの態様によれば、前記電気化学装置は、前記予備充電回路と前記制御モジュールとの間に電気的に接続され、前記予備充電回路のプリチャージ電流を検出し、且つ検出したプリチャージ電流を前記制御モジュールにフィードバックする電流検出回路をさらに備える。
【0012】
本願の幾つかの態様によれば、前記温度制御スイッチは、サーマルエレメントと前記第1スイッチとの間に電気的に接続され、前記温度制御スイッチは、前記サーマルエレメントに近接して配置されて、前記サーマルエレメントの温度を感知するために用いられる。
【0013】
本願の幾つかの態様によれば、前記第1スイッチは、第1端が前記制御モジュールに電気的に接続され、第2端が前記温度制御スイッチに電気的に接続され、第2端が前記電流検出回路に電気的に接続されている。
【0014】
本願の幾つかの態様によれば、前記給電主回路は、第2スイッチ及び第3スイッチを含み、前記第2スイッチでは、第1端が前記制御モジュールに電気的に接続され、第2端が前記第3スイッチの第2端に電気的に接続され、第3端が前記第1スイッチの第3端に電気的に接続され、
前記第3スイッチでは、第1端が前記制御モジュールに電気的に接続され、第3端が負荷の一端に電気的に接続される。
【0015】
本願の幾つかの態様に係る電気化学装置は、第1端が前記電池セットの正極に電気的に接続され、第2端が前記給電主回路の入力端子に電気的に接続されるヒューズをさらに含む。
【0016】
本願の幾つかの態様によれば、前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに直列に接続されている。
【0017】
本願の幾つかの態様によれば、前記電気化学装置は、電池パックである。
【0018】
また、本発明の一実施形態が開示した電気化学装置は、電気機器に電力を供給するために使用され、且つ電池セット、給電主回路、予備充電回路及び制御モジュールを備え、
前記給電主回路は、電池セットと電気的に接続され、前記予備充電回路は、第1スイッチと、前記第1スイッチに電気的に接続されるサーマルエレメントとを含み、前記サーマルエレメントのインピーダンスは、温度の上昇に伴って高くなり、
前記第1スイッチは、前記制御モジュール及び前記給電主回路に電気的に接続され、前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに電気的に接続される。
【0019】
本願の幾つかの態様によれば、前記サーマルエレメントは、セラミック正温度係数サーミスタ素子である。
【0020】
本願の幾つかの態様によれば、前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに直列に接続されている。
【0021】
また、本願の一実施形態に係る電気化学装置の給電制御方法は、第1スイッチがオフするように制御して、サーマルエレメントを含む予備充電回路を導通させ、前記予備充電回路により、電気機器を予備充電するステップと、
予備充電回路が予め設定された条件に達した場合に、前記第1スイッチがオフするように制御して前記予備充電回路を遮断するステップと、を備え、ここで、前記サーマルエレメントは、前記第1スイッチに電気的に接続され、温度の上昇に伴ってインピーダンスが高くなる。
【0022】
本願の幾つかの態様によれば、前記予め設定された条件は、プリチャージ電流値が予め設定された閾値よりも大きいことを含む。
【0023】
本願の幾つかの態様によれば、前記予め設定された条件は、プリチャージ時間が予め設定された時間よりも大きいことを含む。
【0024】
本願の幾つかの態様によれば、予備充電回路が予め設定された条件に達した場合に、前記主回路がオフ状態を維持するように制御する。
【0025】
本願の幾つかの態様によれば、予備充電回路が予め設定された条件に達していない場合には、前記主回路がオン状態を維持するように制御する。
【0026】
本願の幾つかの態様によれば、予備充電回路が予め設定された条件に達していない場合には、前記第1スイッチがオフするように制御する。
【0027】
本願の幾つかの態様によれば、予備充電回路が予め設定された条件に達していない場合には、前記第1スイッチがオンするように制御する。
【0028】
本願の幾つかの態様によれば、前記第1スイッチが失効状態になると、前記サーマルエレメントの温度が上昇し続け、且つ前記サーマルエレメント自体のインピーダンスが増大して前記プリチャージ電流を制限する。
【0029】
本願の幾つかの態様によれば、前記サーマルエレメントの温度が上昇し続け、且つ前記サーマルエレメント自体のインピーダンスが増大すると、前記第1スイッチが失効したと決定される。
【0030】
また、本発明の一実施形態は、上記の電気化学装置と電気的に接続された電気機器を開示し、前記電気化学装置は、前記電気機器に電力を供給するために用いられる。
【0031】
本願の一実施形態に係る上述した内容に基づく電気機器は、負荷を備え、前記予備充電路の出力端子は、前記負荷の入力端子に電気的に接続されている。
【0032】
また、本願の一実施形態は、電気自動車を開示し、前記電気自動車は、上述したような電気化学装置に電気的に接続され、前記電気化学装置は、前記電気自動車に電力を供給するために用いられる。
【発明の効果】
【0033】
本願の実施形態による電気化学装置、電気機器、電気自動車、及び給電制御方法は、予備充電回路により電気機器のコンデンサーを充電し、且つ一部の小電力負荷に給電し、主回路のスイッチを直接にオンすることに起因して、電気機器の充電瞬間に、過電流保護により正常に動作できないという問題を解決し、サーマル回路及び電流検出回路において温度制御スイッチを直列接続して、予備放電回路への多重制御及び検出を行なうことで、回路接続態様を変えることなく、予備放電回路による電気機器における小電力回路モジュールへの給電機能を実現し、かつ、過負荷や予備充電回路の制御失効により普通の純抵抗式予備充電回路がもたらす安全リスクを回避した。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本願の一実施形態に係る電気化学装置の模式図である。
図2】本願の他の実施形態に係る電気化学装置の模式図である。
図3】本願の第1実施形態による電気化学装置の回路図である。
図4】本願の第2実施形態による電気化学装置の回路図である。
図5】本願の第1実施形態による給電制御方法のフローチャートである。
図6】本願の第2実施形態による給電制御方法のフローチャートである。
【0035】
以下の具体的な実施形態では、上記の図面に関連して本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本願実施例における図面を合わせて、本願実施例における技術案を明確且つ全体的に説明するが、ここで述べる実施例は、あらゆる実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。
【0037】
図1及び図2に示すように、本願の実施形態に係る電気化学装置100は、電気機器200に電気的に接続されて、電気機器200に電力を供給する。本願の実施形態における前記電気化学装置100は、電池装置であってもよく、前記電気機器200は、電気自動車であってもよい、と理解できる。
【0038】
本願の実施形態において、前記電気化学装置100は、電池セット10と、予備充電回路20と、給電主回路30と、制御モジュール40と、を備える。
【0039】
前記電池セット10の出力端子はヒューズ50の入力端子に電気的に接続され、前記ヒューズ50の出力端子は前記給電主回路30の入力端子に電気的に接続され、前記給電主回路30の出力端子は前記電気機器200に電気的に接続されている。
【0040】
前記予備充電回路20の入力端子は、前記電池セット10の出力端子に電気的に接続され、前記予備充電回路20の出力端子は、前記電気機器200に電気的に接続されている。
【0041】
前記制御モジュール40は、前記予備充電回路20及び前記給電主回路30に電気的に接続されて、前記給電主回路30及び前記予備充電回路20の導通/遮断を制御する。
【0042】
具体的には、本願の実施形態では、前記予備充電回路20は、前記制御モジュール40及び前記給電主回路30に直列に接続された第1スイッチQ1を含む。前記予備充電回路20は、前記第1スイッチQ1に直列に接続されたサーマルエレメントF1をさらに含む。
【0043】
前記制御モジュール40は、前記第1スイッチQ1がオンように制御して前記予備充電回路20を導通することにより、前記予備充電回路20によって電気機器200を予備充電する。前記電気機器200へのプリチャージが予め設定された条件に達した場合に、前記制御モジュール40は、前記第1スイッチQ1がオフするように制御して前記予備充電回路20を遮断することにより、前記給電主回路30を介して前記電気機器200に給電する。
【0044】
本願の実施形態において、前記電気機器200の入力端子には負荷210が設けられていてもよい。前記給電主回路30の出力端子は前記負荷210の入力端子に電気的に接続され、前記予備充電回路20の出力端子は前記負荷210の入力端子に電気的に接続されている。具体的には、前記制御モジュール40は、前記負荷210へのプリチャージが予め設定された時間に達した後に、前記第1スイッチQ1がオフするように制御して前記予備充電回路20を遮断する。前記制御モジュール40は、前記負荷210へのプリチャージ電流値が予め設定された電流値より大きい場合には、前記第1スイッチQ1がオフするように制御して前記予備充電回路20を遮断する。
【0045】
なお、本願の実施形態において、前記電気化学装置100は、電流検出回路60を含んでもよい。前記電流検出回路60は、前記予備充電回路20と前記制御モジュール40とに電気的に接続され、前記予備充電回路20のプリチャージ電流を検出し、且つ検出したプリチャージ電流を前記制御モジュール40にリアルタイムにフィードバックする。これにより、前記制御モジュール40は、前記電流検出回路60がフィードバックするプリチャージ電流に基づいて予備充電回路20及び前記給電主回路30を制御することができる。
【0046】
具体的には、前記制御モジュール40は、前記プリチャージ電流値が予め設定された電流値より大きい場合には、前記第1スイッチQ1がオフするように制御することにより、前記予備充電回路20を遮断する。例えば、前記電気機器200に短絡等の異常事態が発生する場合、このとき、前記予備充電回路20のプリチャージ電流が予め設定された電流値よりも大きくなる。これにより、前記制御モジュール40は、前記第1スイッチQ1に制御信号を出力して、前記予備充電回路20が遮断するように前記第1スイッチをオフにする。
【0047】
図3に示すように、図3は本願の第1実施形態による電気化学装置100と電気機器200とが接続されている回路図である。
【0048】
本願の実施形態では、前記予備充電回路20は、第1スイッチQ1及びサーマルエレメントF1を含む。前記給電主回路30は、第2スイッチQ2、第3スイッチQ3、及び第1抵抗R1を含む。
【0049】
前記第1スイッチQ1の第1端は、前記制御モジュール40の第1ピン1に電気的に接続され、前記第1スイッチQ1の第2端は、前記サーマルエレメントF1の第1端に電気的に接続され、前記第1スイッチQ1の第3端は、前記電流検出回路60及び前記第1抵抗R1の第2端に電気的に接続され、前記第1抵抗R1の第1端は、前記電池セット10の負極B-に電気的に接続され、前記電池セット10の正極B+は、前記ヒューズ50の入力端子に電気的に接続され、前記ヒューズ50の出力端子は、前記負荷210の入力端子及び前記給電主回路30の入力端子に電気的に接続されている。
【0050】
前記電流検出回路60は、前記第1抵抗R1の第1端及び第2端に電気的に接続され、前記電流検出回路60は、前記制御モジュール40の第3ピン3にも電気的に接続される。これにより、前記電流検出回路は、前記第1抵抗R1の両端の電圧を検出することにより、前記予備充電回路のプリチャージ電流を取得し、且つ取得したプリチャージ電流を前記制御モジュール40にフィードバックすることができる。
【0051】
前記第2スイッチQ2では、第1端が前記制御モジュール40の第2ピン2に電気的に接続され、第2端が前記第3スイッチQ3の第2端に電気的に接続され、第3端が前記第1スイッチQ1の第3端及び前記第1抵抗R1の第2端に電気的に接続される。前記第3スイッチQ3では、第1端が前記制御モジュールの第4ピン4に電気的に接続され、第3端が前記負荷210の一端に電気的に接続される。
【0052】
前記電気機器200は、電極コントローラと、電圧変換モジュール220と、第4スイッチS1と、第5スイッチS2と、第6スイッチS3と、第1コンデンサーC1と、第2抵抗R2と、第1電力素子L1と、第2電力素子L2と、を備えている。
【0053】
前記第1コンデンサーC1の第1端、第2抵抗R2の第1端、及び第4スイッチS1の第1端は、いずれも前記ヒューズ50の出力端子に電気的に接続され、前記電圧変換モジュール220は、前記第4スイッチS1の第1端と前記第5スイッチS2の第1端との間に電気的に接続され、前記電圧変換モジュール220は、前記第3スイッチQ3の第3端に電気的に接続されている。前記第1コンデンサーC1の第2端、第2抵抗R2の第2端、及びモータコントローラの第2端は、前記第3スイッチQ3の第3端に電気的に接続され、前記第4スイッチS1の第2端は、前記モータコントローラの第1端に電気的に接続され、前記第1電力素子L1は、前記第5スイッチS2の第2端と前記第3スイッチQ3の第3端との間に電気的に接続され、前記第6スイッチS3は、前記第2電力素子L2の第1端と前記電圧変換モジュール220との間に電気的に接続され、前記第2電力素子L2の第2端は、前記第3スイッチQ3の第3端に電気的に接続されている。
【0054】
本願の実施形態では、前記第1スイッチQ1、前記第2スイッチQ2及び前記第3スイッチQ3は、いずれもN型電界効果トランジスタであってもよい。前記第1スイッチQ1、前記第2スイッチQ2及び前記第3スイッチQ3の第1端は、いずれも前記N型電界効果トランジスタのゲートに対応し、前記第1スイッチQ1、前記第2スイッチQ2及び前記第3スイッチQ3の第2端は、前記N型電界効果トランジスタのドレインに対応し、前記第1スイッチQ1、前記第2スイッチQ2及び前記第3スイッチQ3の第3端は、前記N型電界効果トランジスタのソースに対応している。
【0055】
本願の実施形態では、前記サーマルエレメントF1は、セラミック正温度係数(Ceramic Positive Temperature Coefficient,CPTC)サーミスタ素子である。即ち、前記CPTC素子のインピーダンスは、温度の上昇に伴って高くなることが可能である。
【0056】
図4に示すように、図4は本願の第2実施形態による電気化学装置100と電気機器200とが接続されている回路図である。
【0057】
本願の第2実施形態における電気化学装置100は、第1実施形態における電気化学装置100と以下の点で相違している。
【0058】
本願の第2実施形態における予備充電回路20は、温度制御スイッチT1をさらに含み、本実施形態における前記温度制御スイッチT1は、前記第1スイッチQ1の第2端と前記サーマルエレメントF1との間に電気的に接続されている。
【0059】
前記温度制御スイッチT1は、前記サーマルエレメントF1に近接して設けられる。前記温度制御スイッチT1は、前記サーマルエレメントF1の温度を感知し、且つ前記サーマルエレメントF1の温度値が予め設定された温度値より大きいときには前記予備充電回路20を遮断する。
【0060】
以下、本願の電気機器200の動作原理を図4に示す回路で説明する。
【0061】
使用する場合、前記制御モジュール40の電源を入れると、前記制御モジュール40の第1ピン1は、第1信号を前記第1スイッチQ1に出力して、前記第1スイッチをオンにする。このとき、第2スイッチQ2及び第3スイッチQ3は、いずれもオフにされる。即ち、前記予備充電回路20は、電気機器における負荷に対してプリチャージを開始する。前記制御モジュール40は、一定時間のプリチャージを経て、前記第2スイッチQ2及び前記第3スイッチの状態を制御することにより、前記給電主回路を制御して前記電気機器200に給電する。
【0062】
プリチャージの過程において、前記電気機器200に異常(例えば、短絡)が発生した場合、前記電流検出回路60は、プリチャージ電流が電流の閾値を超えたことを検出し、前記制御モジュール40の第1ピン1は、前記第1スイッチQ1に第2信号を出力して、前記Q1をオフにして前記予備充電回路20を遮断することにより、プリチャージ動作を終了する。しかしながら、前記第1スイッチQ1が失効し、即ち、前記第1スイッチQ1がオフできないときに、前記サーマルエレメントF1と前記温度制御スイッチT1との協働は、第1スイッチが失効することによる結果を予防することができる。即ち、このとき、前記サーマルエレメントF1はインピーダンス特性によって温度が上昇し、キュリー温度点まで温度が上昇すると、前記サーマルエレメントF1のインピーダンスが増大し、オームの法則によって回路電流が制限される。しかし、このときのサーマルエレメントは、前記プリチャージ電流を完全に遮断することができず、前記温度制御スイッチT1は、前記サーモエレメントF1の温度をリアルタイムに感知する。前記サーマルエレメントF1の温度が予め設定された温度値より大きいときに、即ち、前記サーマルエレメントF1の温度がキュリー温度点に達したときに、前記温度制御スイッチT1はオフとなり、さらに前記予備充電回路20を遮断して、プリチャージ動作を終了する。
【0063】
これにより、本願発明は、電力消費コストが低く、信頼性が高いなどの利点を有し、予備放電抵抗の発熱による電池の爆発という安全問題を回避できるとともに、ユーザの使用体験度を向上させることもできる。
【0064】
前記サーマルエレメントの過電流が自動的にハイインピーダンス状態に遷移し、過電流状態を取り去り、本体温度が低下した後に元のインピーダンスの特性を復帰できるため、外部に継続的にプリチャージ電流が必要な場合、サーマルエレメントのインピーダンスを選択して電力と整合することにより、外部への給電能力を確保しつつ、外部負荷短絡状態を保護する役割も果たす。通常の同等電力の予備充電回路に比べて、本願の技術提案は、取付スペースが小さく、且つ集積度が高い。
【0065】
図5に示すように、本願の給電制御方法のフローチャートは、以下のステップを備える。
【0066】
ステップS41では、第1スイッチがオンするように制御して前記予備充電回路を導通させ、且つ前記予備充電回路によって電気機器を予備充電する。
【0067】
ステップS42では、前記予備充電回路のプリチャージ電流値が予め設定された電流値より大きいか否かを判断し、「はい」であればステップS45に進み、そうでなければステップS43に進む。
【0068】
前記予備充電回路のプリチャージ電流が予め設定された電流よりも小さい若しくは等しい場合、即ち前記予備充電回路は、前記電気機器に正常的に予備充電することができる。
【0069】
ステップS43では、プリチャージ時間が予め設定された時間に達したか否かを判断し、「はい」であればステップS44に進み、そうでなければステップS42に戻る。
【0070】
ステップS44では、給電主回路における第2スイッチ及び第3スイッチの状態を制御して、前記給電主回路が電気機器に給電するように制御する。
【0071】
前記電気機器に対するプリチャージ時間が予め設定された時間に達した場合、即ち前記電気機器のプリチャージ動作が完了する。
【0072】
ステップS45では、第1スイッチがオフするように制御して、前記予備充電回路を遮断する。
【0073】
前記予備充電回路のプリチャージ電流が前記予め設定された電流よりも大きい場合、即ち前記電気機器には異常が発生した場合、前記第1スイッチがオフするように制御して前記予備充電回路を遮断し、さらにプリチャージを終了する必要がある。
【0074】
これにより、本願の電気化学装置の給電制御方法によれば、正常的に給電する前に、素子に対してより小さい電流で予め充電でき、まっすぐ充電する際にコンデンサーによる瞬間的な短絡を引き起こして、電池及び他の素子が破損することを回避することができる。
【0075】
図6に示すように、図6は一例示的な実施形態によるもう1つの電気化学装置の給電制御方法のフローチャートである。図5に示した方法と異なる点は、図6に示す方法は、第1スイッチが失効した場合の給電方法をさらに提供したことである。図6に示す給電制御方法は、以下のステップを備える。
【0076】
ステップS51では、第1スイッチがオンするように制御して、予備充電回路を導通させ、且つ前記予備充電回路によって電気機器を予備充電する。
【0077】
ステップS52では、前記予備充電回路のプリチャージ電流値が予め設定された電流値より大きいか否かを判断し、「はい」であればステップS55に進み、そうでなければステップS53に進む。
【0078】
ステップS53では、プリチャージ時間が予め設定された時間に達したか否かを判断し、「はい」であればステップS54に進み、そうでなければステップS52に戻る。
【0079】
ステップS54では、給電主回路における第2スイッチ及び第3スイッチの状態を制御して、前記給電主回路が電気機器に給電するように制御する。
【0080】
ステップS55では、前記第1スイッチがオフするように制御する。
【0081】
本願の実施形態では、前記電気機器に異常が発生し、即ち、前記プリチャージ電流値が予め設定された電流値より大きい場合には、前記制御モジュールは、前記第1スイッチに信号を出力して、前記第1スイッチがオフするように制御する。
【0082】
ステップS56では、第1スイッチが失効したか否かを判断し、前記第1スイッチが失効したと、ステップS57に進み、そうでなければステップS510に進む。
【0083】
ステップS57では、プリチャージ電流を制限するために、サーマルエレメントの温度が上昇する。
【0084】
ステップS58では、温度制御スイッチは、サーマルエレメントの温度をリアルタイムに感知する。
【0085】
ステップS59では、温度制御スイッチがオフであるか否かを判断し、オフであれば、ステップS510に進み、そうでなければステップS58に戻る。
【0086】
本願の実施形態では、サーマルエレメントの温度が所定の温度値より高いときに、即ち、前記サーマルエレメントの温度値がキュリー温度点まで達したときに、前記温度制御スイッチは自動的にオフになる。前記サーマルエレメントの温度が所定の温度値を下回った場合、前記温度制御スイッチがオフせず、即ち、前記温度制御スイッチがサーマルエレメントの温度を継続的に感知する。
【0087】
ステップS510では、前記温度制御スイッチがオフにされる場合には、前記予備充電回路を遮断し、プリチャージ動作を終了する。
【0088】
サーマルエレメントによる予備充電回路及び給電主回路を用いて、大電力プリチャージ抵抗の予備充電回路に代えて、取付過程でBMSの小型化を実現し、プリチャージ及び小電力給電機能を機能的に実現するとともに、予備放電抵抗の発熱による電池爆発の問題を回避できるようにする。
【0089】
当業者は、以上の実施形態は、本願の技術提案を説明するのみに用いられ、本願を制限するものではなく、本願の実質的精神範囲内である限り、以上の実施形態を適当に修正する又は均等に置換することで得られたものも、本願の保護範囲内に属されると理解するべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 電気化学装置
200 電気機器
10 電池セット
20 予備充電回路
30 給電主回路
40 制御モジュール
50 ヒューズ
60 電流検出回路
210 負荷
220 電圧変換モジュール
Q1 第1スイッチ
Q2 第2スイッチ
Q3 第3スイッチ
S1 第4スイッチ
S2 第5スイッチ
S3 第6スイッチ
F1 サーマルエレメント
T1 温度制御スイッチ
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
C1 第1コンデンサー
L1 第1電力素子
L2 第2電力素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6