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特許7307202メッシュネットワークでのマルチメータノードの停電及び復旧検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】メッシュネットワークでのマルチメータノードの停電及び復旧検出
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230704BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J13/00 301B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021573246
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019036291
(87)【国際公開番号】W WO2020251527
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,マニシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴータム,ハマント
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,ルシケシュ
(72)【発明者】
【氏名】マルチンス,ヴィニシウス
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0203388(US,A1)
【文献】特開2018-125984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュネットワークにおいて停電を検出し復旧を報告するための方法であって、
前記方法は、
メッシュネットワークのノードの通信モジュールによって、該ノードにおける電源の電力ステータスを取得するステップであって、該ノードは、該通信モジュールと、該電源に接続された複数のメータとを備え、該電源は三相を含む、取得するステップと、
前記通信モジュールによって、且つ前記電源の電力ステータスに基づいて、前記電源の少なくとも1つの相が電力を失うかどうかを決定することによって、前記ノードで停電が発生したかどうかを決定するステップと、
停電が発生したと決定することに応答して、前記通信モジュールによって、前記複数のメータのうち、少なくとも1つの相に接続され、少なくとも1つの相が電力を失った後にもはや電力を供給されない、2つ以上のメータを識別するステップと、
前記通信モジュールによって、前記2つ以上のメータに対して、前記2つ以上のメータが停電していることを示す1つの停電メッセージを生成するステップと、
前記通信モジュールによって、前記1つの停電メッセージを前記メッシュネットワークを介してヘッドエンドシステムに送信するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のメータは、前記電源の1つの相に接続された単相メータ、又は、前記電源の2つ以上の相に接続された多相メータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ノードが、更に、前記電源に接続され、前記通信モジュールと通信するように構成された、計測処理ユニットを備え、
前記電源の電力ステータスを取得するステップが、前記電源の相が電力を失ったことを示す信号を前記計測処理ユニットから受信するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電源の電力ステータスを取得するステップが、更に、前記電源の全相が電力を失ったことを決定するべく前記計測処理ユニットと前記通信モジュールとの間の接続のステータス変化を検出するステップを
含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
更に、
前記電源の全相が電力を失ったと決定することに応答して、前記電源の全相が電力を失ったことを示すメッセージを生成することにより、1つの停電メッセージを生成するステップを
含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
更に、
前記電源の各相に関連するメータを識別するメータ-相データを取得するステップを含み、
少なくとも1つの相に接続され、少なくとも1つの相が電力を失った後にもはや電力を供給されない2つ以上のメータが、メータ-相データに基づいて決定される、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記1つの停電メッセージは、前記停電のタイムスタンプと、前記停電を被った前記2つ以上のメータの識別とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記通信モジュールによって、且つ前記電源の電力ステータスに基づいて、前記電源によって監視される相が電力を復旧するかどうかを決定することによって、電力復旧が発生したかどうかを決定するステップと、
電力復旧が発生したと決定することに応答して、電力を復旧する相に接続され、且つ、その相が電力を復旧する前に電力が供給されなかった前記複数のメータのうちの2つ以上のメータを、前記通信モジュールによって、決定するステップと、
前記通信モジュールによって、前記2つ以上のメータに対して、前記2つ以上のメータが電力を復旧したことを示す1つの電力復旧メッセージを生成するステップと、
前記通信モジュールによって、前記電力復旧メッセージを前記メッシュネットワークを介して前記ヘッドエンドシステムに送信するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記1つの停電メッセージは、前記ヘッドエンドシステムが配電網の停電マップを生成するために使用可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ネットワークのノードであって、
三相からなる電源に接続された複数のメータと、
通信モジュールと
を含み、
前記通信モジュールは、
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記ノードにて電源の電力ステータスを取得するステップと、
前記電源の電力ステータスに基づいて、前記電源の少なくとも1つの相が電力を失うか若しくは復旧するかを決定することにより、前記ノードにて電力ステータス変化イベントが発生したかどうかを決定するステップと、
電力ステータス変化イベントが発生したと決定することに応答して、前記少なくとも1つの相に接続され、電力ステータス変化イベントにより非電源から電源付きに、または電源付きから非電源に移行した、前記複数のメータのうちの2つ以上のメータを決定するステップと、
前記2つ以上のメータに対して、前記2つ以上のメータが電力ステータス変化を有することを示す1つの電力ステータス変化メッセージを生成するステップと、
前記1つの電力ステータス変化メッセージを、前記ネットワークを介してヘッドエンドシステムに送信するステップと
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリと
を含む、ノード。
【請求項11】
前記電力ステータス変化イベントは停電イベントを含み、
前記1つの電力ステータス変化メッセージは停電メッセージを含む
請求項10に記載のノード。
【請求項12】
前記電力ステータス変化イベントが電力復旧イベントを含み、
前記1つの電力ステータス変化メッセージが電力復旧メッセージを含む
請求項10に記載のノード。
【請求項13】
前記複数のメータは、前記電源の1つの相に接続された単相メータ、又は、前記電源の2つ以上の相に接続された多相メータを含む、
請求項10に記載のノード。
【請求項14】
前記ノードにて前記電源の電力ステータスを取得するステップは、前記電源の相が電力を失ったことを示す信号、又は、電源の相が電力を復旧したことを示す信号を受信するステップを
含む、請求項10に記載のノード。
【請求項15】
前記1つの電力ステータス変化メッセージは、電力ステータス変化イベントのタイムスタンプと、2つ以上のメータの識別情報を含む、
請求項10に記載のノード。
【請求項16】
デバイスであって、
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記デバイスにて電源の電力ステータスを取得するステップと、
前記電源の電力ステータスに基づいて、電源の少なくとも1つの相が電力を失うか若しくは復旧するかを決定することによって、前記デバイスにて電力ステータス変化イベントが発生したかどうかを決定するステップと、
電力ステータス変化イベントが発生したと決定することに応答して、前記少なくとも1つの相に接続され、前記電力ステータス変化イベントにより非電源から電源付きに、または電源付きから非電源に移行した、複数のメータのうちの2つ以上のメータを決定するステップであって、前記複数のメータは、前記デバイスと関連付けられる、決定するステップと、
前記2つ以上のメータに対して、前記2つ以上のメータが電力ステータスの変化を有することを示す1つの電力ステータス変化メッセージを生成するステップと、
前記1つの電力ステータス変化メッセージを、ネットワークを介してヘッドエンドシステムに送信するステップと
を含む動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリと
を含む、デバイス。
【請求項17】
前記電力ステータス変化イベントは停電イベントを含み、
前記1つの電力ステータス変化メッセージは停電メッセージを含む、
請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電力ステータス変化イベントは電力復旧イベントを含み、
前記1つの電力ステータス変化メッセージは電力復旧メッセージを含む、
請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスにて前記電源の電力ステータスを取得するステップは、
前記電源の相が電力を失ったことを示す信号、又は、前記電源の相が電力を復旧したことを示す信号を、受信するステップを含む、
請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記1つの電力ステータス変化メッセージは、前記電力ステータス変化イベントのタイムスタンプと、前記2つ以上のメータの識別情報とを含む、
請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、マルチメータノード内のメータに対する停電および復旧の検出および通信に関する。より詳細には、本開示は、マルチメータノード内の複数のメータに対する停電および復旧のための連結メッセージの検出および生成に関する。
【背景技術】
【0002】
配電網では、電力会社が配電工事における停電の発生場所や時間、停電が復旧した時間などを記録しておくことが重要である。これらの種類の情報は、電力会社が、停電に関連する問題を修復するための技術者の派遣、システムの再構成のための停電データの分析など、配電網を改善するための行動を取るために有用である。
【0003】
停電情報及び復旧情報を効率的に収集するために、電力会社は、配電網の様々な場所に配置されたスマートメータを利用している。ある場所で停電が発生すると、その場所に配備されたメータは、メッセージを生成し、そのメッセージをメッシュネットワーク上で電力会社に関連するヘッドエンドシステムに送信するように構成される。電力会社は、停電メッセージを解析することによって、停電を被った特定のメータとその場所を特定することができる。
【0004】
しかしながら、このような方法は、複数のメータが同じ場所に配備されているキャビネットメータなどのマルチメータノードを含むシナリオでは、非効率的であり、効果的でない。キャビネットメータでは、複数のメータが、1つの通信モジュールとともにキャビネット内に設置される。電源の1つの相が停電するなど、キャビネットメータで停電が発生すると、キャビネット内の一部のメータは影響を受け、他のメータは影響を受けない場合がある。しかし、既存のキャビネットメータは、キャビネットメータ全体が停電にならない限り、すなわち電源の三相すべてが停電にならない限り、影響を受けたメータを識別することができない。可能な解決策は、マルチメータノード内の各メータに通信モジュールを追加し、メータが停電になったときに、それぞれの通信モジュールが停電メッセージを生成して送信できるようにすることである。このようなソリューションは、マルチメータノードに複雑さを加えるだけでなく、1回の停電に対してメッシュネットワーク上で複数の停電メッセージを送信するため、非効率的である。メータを利用して停電の検出と通信を行う場合にも、同様の問題がある。
【発明の概要】
【0005】
マルチメータノード内の複数のメータについて停電と復旧のための連結メッセージを検出し生成するための装置とプロセスについての態様と例が開示されている。例えば、メッシュネットワークにおいて停電および復旧を検出し報告するための方法は、メッシュネットワークのノードにおける電源の電力ステータスを取得することを含む。ノードは、通信モジュールと、三相を有する電源に接続された複数のメータとを含む。ノードの通信モジュールは、電源の電力ステータスに基づいて、電源の少なくとも1つの相が電力を失うかどうかを決定することにより、ノードで停電が発生したかどうかを決定する。停電が発生したと決定することに応答して、通信モジュールは、少なくとも1つの相に接続され、少なくとも1つの相が電力を失った後にもはや電力供給されていない2つ以上のメータを識別する。通信モジュールは、2つ以上のメータについて、2つ以上のメータが停電していることを示す1つの停電メッセージを生成し、1つの停電メッセージをメッシュネットワーク上でヘッドエンドシステムに送信する。
【0006】
別の例では、ネットワークのノードは、3つの相を有する電源に接続された複数のメータと、通信モジュールとを含む。通信モジュールは、コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、プロセッサによって実行されると、プロセッサに動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリと、を含む。動作は、ノードにおける電源の電力ステータスを取得することを含む。動作は、電源の電力ステータスに基づいて、電源の相が電力を失うかまたは電力を復旧するかを決定することによって、ノードで電力ステータス変化イベントが発生したかどうかを決定することをさらに含む。電力ステータス変化イベントが発生したと決定することに応答して、動作は、相に接続され、電力ステータス変化イベントにより非電源から電源付きに、または電源付きから非電源に移行した複数のメータのうちの2つ以上のメータを決定することをさらに含む。動作は、2つ以上のメータに対して、2つ以上のメータが電力ステータスの変化を有することを示す1つの電力ステータス変化メッセージを生成することと、1つの電力ステータス変化メッセージをネットワークを介してヘッドエンドシステムに送信することとをさらに含む。
【0007】
追加の実施例では、メッシュネットワークにおいて停電および復旧を検出および報告するための装置が提供される。この装置は、コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを含む。動作は、デバイスにおける電源の電力ステータスを取得することと、電源の電力ステータスに基づいて、デバイスにおいて電力ステータス変化イベントが発生したかどうかを決定することとを含む。決定は、電源の少なくとも1つの相が電力を失うか、または電力を復旧するかを決定することによって行われる。電力ステータス変化イベントが発生したと決定することに応答して、動作は、少なくとも1つの相に接続され、電力ステータス変化イベントにより非電源から電源付きに、または電源付きから非電源に移行した2以上のメータを決定することを含む。前記2つ以上のメータは、前記デバイスに関連付けられる。動作は、2つ以上のメータに対して、2つ以上のメータが電力ステータス変化を有することを示す1つの電力ステータス変化メッセージを生成することと、1つの電力ステータス変化メッセージをネットワークを介してヘッドエンドシステムに送信することとをさらに含む。
【0008】
これらの例示的な態様および特徴は、ここで説明する発明対象を制限または定義するためではなく、本願で説明される概念の理解を助けるために例を提供するために言及されている。ここで説明する発明対象の他の態様、利点、および特徴は、本出願全体を検討した後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付図面を参照しながら読むと、よりよく理解される。
【0010】
図1図1は、本開示の特定の態様による、メッシュネットワークのマルチメータノードにおける停電および復旧を検出するための例示的な動作環境を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の特定の態様による、マルチメータノードにおける個々のメータに関連する停電および復旧を検出および通信するために構成されたマルチメータノードの態様を示す図である。
図3A図3Aは、本開示のある態様による、異なる停電事象により非電源のメータに移行したメータの例を示す図である。
図3B図3Bは、本開示のある態様による、異なる電力復旧イベントにより電源付きのメータに移行したメータの例を示す図である。
図4図4は、本開示のある態様による、マルチメータノードの状態移行図の一例である。
図5図5は、本開示のある態様による、マルチメータノードで発生した停電および復旧を検出および通信するためのプロセスの一例である。
図6図6は、本明細書に提示された技術およびテクノロジーの態様を実装するのに適した通信モジュールの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
マルチメータノード内のメータに関連する停電または復旧を検出し、マルチメータノードが存在するメッシュネットワークを通じて停電または復旧を通信するためのシステムおよび方法が提供される。例えば、配電網のある位置に配備されたキャビネットメータなどのマルチメータノードは、その場所で発生した停電(または復旧)を検出するように構成される。マルチメータノードは、ノードに供給される電力の1つ以上の相に関連する停電(または復旧)を検出することによって、停電を検出することができる。検出された相と、複数のメータと電源の相との間の接続などのマルチメータノードの構成とに基づいて、マルチメータノードは、停電によって電源付きのメータから非電源のメータに移行した、または電力復旧によって非電源のメータから電源付きのメータに移行した特定のメータを決定する。マルチメータノードは、さらに、それらの影響を受けたメータのための統合された停電または復旧メッセージを生成し、停電(または復旧)メッセージをメッシュネットワークを介してヘッドエンドシステムに通信する。
【0012】
本開示に記載の技術は、停電及び復旧の検出及びネットワークの通信の効率及び精度を向上させる。停電(または復旧)に関連する相(複数可)を検出することによって、マルチメータノードは、相(複数可)に接続されたメータを決定し、それによって停電(または復旧)によって影響を受けた個々のメータを識別することができる。このようにして、マルチメータノードは、電力ステータス変化イベントの影響を受けたメータに対してのみ停電メッセージを生成および送信することができる。また、停電(または復旧)メッセージを各メータに対して1つ生成するのではなく、統合して生成することで、メッセージが通信されるメッシュネットワークの帯域幅の消費を抑えることができる。このようなネットワークリソースの消費量の削減は、帯域幅が制限されているメッシュネットワークでは重要である。さらに、停電(または復旧)を検出した際に停電(または復旧)メッセージを自動生成することで、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでヘッドエンドシステムに停電(または復旧)を通知することができる。これにより、電力会社は、配電網における停電への対応時間を短縮し、資源の無駄を削減することができ、例えば、修理チームを派遣する前に停電復旧を検出することにより、修理チームが派遣されることを回避することができる。
【0013】
図1は、マルチメータノードが、それぞれのマルチメータノードで発生した停電または復旧を検出し、ヘッドエンドシステムに統合された電力ステータス変化メッセージを生成できる例示的なネットワーク100を示す。図1に示すネットワーク100は、複数のノード112A~112H(本明細書では、個別にノード112と呼ぶことも、まとめてノード112と呼ぶこともある)により形成されるメッシュネットワーク102を含む。ノード112は、ノードのそれぞれの配備位置からデータを収集するための測定ノード、ノードに利用可能なデータを処理するための処理ノード、あるノードから受信したデータをメッシュネットワーク100内の別のノードに転送するためのルータノード、又はこれらの機能の組み合わせを実行するように構成されたノードを含んでもよい。
【0014】
一例では、メッシュネットワーク102は、配電網で得られた測定データまたは他のデータを配信するために配電網と関連付けられている。この例では、ノード112は、配電網の様々な動作特性を測定し、収集したデータをメッシュネットワーク102を介してルートノード114A及び114B(本明細書では個別にルートノード114と呼ぶか、まとめてルートノード114と呼ぶことがある)に送信するように実装された、以下「メータ」とも呼ぶ電力計を含んでいる。
【0015】
メッシュネットワーク102のルートノード114は、ノード112と通信して、ノード112の管理、ノード112からのデータの収集、およびヘッドエンドシステム104へのデータの転送などの動作を実行するように構成されてもよい。ルートノード114は、それ自体がデータを測定し処理するためのノードとして機能するように構成することもできる。ルートノード114は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)コーディネータ、ゲートウェイ、またはヘッドエンドシステム104と通信することができる他の任意のデバイスであってもよい。ルートノード114は、最終的に、生成され収集されたデータを、1つ以上の追加のネットワーク120を介してヘッドエンドシステム104に送信する。ヘッドエンドシステム104は、ルートノード114からデータまたはメッセージのストリームを受信する中央処理システムとして機能することができる。ヘッドエンドシステム104は、収集されたデータを処理するか、または収集されたデータを様々なアプリケーションのために処理させることができる。
【0016】
一実施例では、ノード112の1つ以上は、キャビネットメータなどのマルチメータノードである。キャビネットメータでは、複数のメータが1つの通信モジュールと共にキャビネット内に設置される。メータは、単相メータまたは多相メータであればよい。いくつかの実装では、マルチメータノード112は、“電力ステータス変化イベント”と総称される停電イベントまたは電力復旧イベントによって影響を受けた個々のメータを識別するように構成される。次いで、マルチメータノード112は、影響を受けた複数のメータのための統合されたメッセージを生成する。電力ステータス変化イベントが停電を伴う場合、マルチメータノード112は、影響を受けた複数のメータに対する統合された停電メッセージ108を生成し、送信する。電力ステータス変化イベントが電力復旧を含む場合、マルチメータノード112は、統合された電力復旧メッセージ110を生成し、送信する。
【0017】
マルチメータノード112は、生成されたメッセージをルートノード114に送信し、ルートノード114は、それをヘッドエンドシステム104に転送する。ヘッドエンドシステム104は、受信した停電メッセージ108及び電力復旧メッセージ110を様々な用途に利用することができる。例えば、ヘッドエンドシステム104は、受信したメッセージに基づいて停電マップを生成し、電力線修理のためのアラートを生成することができる。また、ヘッドエンドシステム104は、受信したメッセージを分析して、配電網の特定の場所に関連する問題を特定することができる。例えば、停電メッセージがネットワーク内の他のノードよりも1つのマルチメータノード112から頻繁に受信される場合、ヘッドエンドシステム104は、このマルチメータノード112の位置の近くの電力線又は配電機器に潜在的な問題があり、潜在的な問題に対処するためにさらなる行動を取る必要があると決定することができる。マルチメータノード112内のメータに関連する電力ステータスの変化の検出および通信に関する追加の詳細は、図2図6に関して以下に説明される。
【0018】
本明細書で提供される説明はノード112に焦点を当てているが、複数のメータに関連する電力ステータス変化を検出および通信するためのメカニズムは、ノード112、ルートノード114、または複数のメータに関連するネットワーク100の他のノードを含むメッシュネットワーク102の任意のノードによって利用され得ることが理解されるべきである。さらに、図1は特定のネットワークトポロジー(例えば、DODAGツリー)を描いているが、他のネットワークトポロジーも可能である(例えば、リングトポロジー、メッシュトポロジー、スタートポロジー、など)。
【0019】
ここで図2を参照すると、図2は、本開示の特定の例に従って、マルチメータノード112の個々のメータに関連する停電および復旧を検出および通信するために構成されたマルチメータノード112の態様を例示する。図2に示されるマルチメータノード112は、計測モジュール202及び通信モジュール204を含む。計測モジュール202は、複数のメータ220A~220E(これらは、本明細書において個別にメータ220と呼ばれることも、集合的にメータ220と呼ばれることもある)を含む。メータ220は、単相メータ又は多相メータとすることができる。単相メータは、電源の三相のうちの一相に接続され、多相メータは、電源の複数相に接続される。メータ220の各々は、消費電力、ピーク電圧、最低電圧、負荷変化、またはそれらの任意の組み合わせなど、配電網に関連する動作特性を測定するように構成される。
【0020】
図2に示す例では、メータ220Aおよび220Bは、それぞれ電源のA相およびB相に接続される単相メータである。メータ220C及び220Eは多相メータであり、メータ220Cは電源の相A及びCに接続された二相メータであり、メータ220Eは電源の三相全てに接続された三相メータである。いくつかの構成では、2つまたは3つの単相メータを接続することによって、多相メータを実装することができる。例えば、二相メータ220Cは、1つが相Aに接続され、もう1つが相Cに接続された2つの信号相メータを接続することによって実装でき、同様に、三相メータ220Eは、相A、B、Cにそれぞれ接続された3つの単相メータを接続することによって構築することができる。
【0021】
図2に示すマルチメータノード112は、マルチメータノード112内の複数のメータ220を管理し、通信するように構成された計測処理ユニット210も含む。プロセッサ210は、配電網(図示せず)に接続され、配電網から電力を得る電力供給モジュール206を含む。電力供給モジュール206はまた、配電網によって提供される電力の相ステータスを監視するように構成されている。電力供給モジュール206を通じて、計測処理ユニット210は、電力の1つ以上の相における電力ステータス変化を検出することができる。計測処理ユニット210は、1つ以上の相において電力喪失が検出された場合、信号を生成するように構成され得る。信号は、電力を喪失した相を特定することができる。同様に、電源モジュールが1つ以上の相が復旧されたことを検出した場合、計測処理ユニット210は、電力が復元された相(複数可)を示す信号も生成することができる。
【0022】
計測処理ユニット210は、計測処理ユニット210とメータ220との間の通信を促進するように構成された通信インターフェース208をさらに含む。一例では、通信インターフェース208は、計測処理ユニット210と各メータ220との間に光ファイバー通信を提供する。通信インターフェース208を通じて、計測処理ユニット210は、メータ220のそれぞれと通信し、メータ220に関連する情報を決定することができる。例えば、計測処理ユニット210は、メータ220の各々に接続されている相(複数可)を決定することができる。いくつかの実装形態では、計測モジュール202は、メータ220を保持するための複数のスロットを含む。例えば、計測モジュール202は、各スロットが電源の3つの相のうちの1つに接続され、単相メータを保持するように構成された12個のスロットを含むことができる。多相メータは、多相メータの種類に応じて、スロットのうちの2つ又は3つを占有することができる。スロットの各々にはシリアル番号が割り当てられ、計測処理ユニット210は、通信インターフェース208を介してシリアル番号を取得することができる。メータ220によって占有されたスロット(複数可)のシリアル番号に基づいて、計測処理ユニット210は、メータ220によって占有されたスロット(複数可)及びメータに接続された相(複数可)を特定することができる。また、計測処理ユニット210は、通信インターフェース208を介して、メータ220の各々のシリアル番号を取得することができる。収集された情報に基づいて、計測処理ユニット210は、メータ220の情報及びそれらの関連する相情報を維持するために、メータ-相データ212を生成することができる。メータ220がスロットに差し込まれるか、またはスロットから引き出されると、計測処理ユニット210は、変化を反映させるためにメータ-相データ212を更新することができる。
【0023】
図2に示すマルチメータノード112は、計測モジュール202内のメータ220の各々に関連する電力ステータスの変化を検出し、そのような電力ステータスの変化をヘッドエンドシステム104と通信するためのメッセージを生成するように構成された通信モジュール204をさらに含む。通信モジュール204は、計測処理ユニット210と通信して、メータ220を電源の相と関連付けるためのメータ-相データ212、電源の各相の電力ステータス、メータのシリアル番号、計測モジュール202のメータスロットなどの情報を取得する。
【0024】
構内へのマルチメータノード112の設置時、通信モジュール204は、電源投入後に計測モジュール202をヘッドエンドシステム104に登録するように構成される。一例では、通信モジュール204は、計測処理ユニット210からメータ登録情報を取得する。メータ登録情報は、例えば、メータ220又は計測モジュール202のメータスロットのシリアル番号又は他の識別情報、各メータ220に関連する顧客情報、又はそれらの組合せを含む。通信モジュール204は、計測モジュール202から登録情報及び他のメータ関連情報を取得する。例えば、計測処理ユニット210は、通信インターフェース208を介してメータ220と通信することにより、メータ関連情報を取得することができる。通信モジュール204は、登録情報をメッシュネットワーク102を介してヘッドエンドシステム104に送信する。ヘッドエンドシステム104は、課金又は保守等の目的で登録情報を保存してもよい。
【0025】
マルチメータノード112が動作しているとき、通信モジュール204は、メータ220によって生成された測定データなどの情報を取得するために、定期的に計測処理ユニット210と通信するように構成される。また、通信モジュール204は、電力ステータス変化メッセージを生成する際に使用されるメータ-相データ212の更新されたコピーを維持するように、メータ-相データ212を計測処理ユニット210から周期的に取得する。
【0026】
上述したように、電源に関連する電力ステータス変化がある場合、計測処理ユニット210は、変化および変化に関連する相を示す信号を生成する。例えば、電源の相Aが電力を喪失した場合、計測処理ユニット210は、相Aに電力喪失があることを示す信号を生成する。通信モジュール204は、計測処理ユニット210からこのような信号を受信し、電力ステータスの変化により影響を受けるメータ220を決定する。三つの相すべてが電力喪失するシナリオでは、計測処理ユニット210は、非電源のものとなり得、よって、電力喪失信号を生成できない。それらのシナリオでは、通信モジュール204は、高電圧ステータスから低電圧ステータスへの変化など、計測処理ユニット210と通信モジュール204との間の接続線上のステータス変化を検出することによって、電力喪失を検出するように構成され得る。
【0027】
電力ステータス変化の決定に基づいて、通信モジュール204は、影響を受けたメータに対して、停電メッセージ108または電力復旧メッセージ110のいずれかの電力ステータス変化メッセージを生成することができる。マルチメータノード112が三相すべての電力を失うシナリオでは、通信モジュール204は、内部コンデンサに蓄えられた電力を使用するなどして、シャットダウンする前に短時間動作することができる場合がある。この短時間の間に、通信モジュール204は、影響を受けたメータを決定し、停電メッセージ108を生成し、送信することができる。代替的または追加的に、通信モジュール204は、マルチメータノード112ですべての相がダウンしていることを示すメッセージを生成し、ヘッドエンドシステム104に送信することができる。
【0028】
本明細書に提示された開示のいくつかの態様によれば、メータが接続されているすべての相が電力を失い、したがってメータが非電源のメータに移行する場合、メータは停電を有すると見なされる。言い換えれば、メータが接続されている相のうちの1つが依然として電力を有している限り、メータは、電力供給されているとみなされ、停電を有さない。したがって、単相メータが接続する相が停電すると、単相メータは停電となる。しかし、多相メータの場合、メータが接続する相のうち1つだけが停電した場合、メータは停電しているとはみなされない。
【0029】
同様に、電力ステータスの変化がその相の1つ以上における電力復旧である場合、いくつかのメータは、電力復旧となる、すなわち電力復旧による非電力ステータスから電力ステータスへの変化となるかもしれない。例えば、非電源のメータ、すなわちメータに接続されている相のいずれも電力を有していない場合、相の最初の1つが電力を回復すると、電力復旧が発生する。このように、電源がその3つの相すべてで電力を失ったが、後に相Aで電力を回復した場合、電力復旧を有するメータは、多相メータの残りの相がまだ電力を有していなくても、相Aに接続されているすべての単相または多相メータを含む。
【0030】
図3Aは、本開示の特定の態様による、異なる停電イベントにより非電源のメータに移行したメータの例を示す表である。図3Aに示される例では、最も左の列は以前の電力ステータスを示し、残りの列はマルチメータノード112における異なる現在の電力ステータス変化イベントを示す。表の残りのエントリは、マルチメータノード112が対応する以前の電力ステータスを有する場合に、現在の電力喪失イベントにより非電源のメータに移行したメータを示す。例えば、マルチメータノード112の以前の電力ステータスが「電力喪失なし」であり、現在の電力ステータス変化イベントが「二相ダウン(A+B)」である場合、テーブルエントリ302は、現在の電力喪失イベントによって結果として生じる非電源のメータをリストアップする。この例では、相A及び相Bは、電力が失われた2つの相である。この場合、結果として生じる非電源のメータ、すなわち、相AおよびBの電力喪失により停電を被ったとみなされるメータには、相Aまたは相Bに接続された単相メータ、相Aおよび相Bに接続された二相メータ、相Aおよび相C、相Bおよび相C、ならびに三相メータに接続された二相メータは相Cからまだ電力を受けているので電力喪失を被ったとみなされないことに注意されたい。
【0031】
別の例では、以前の電力ステータスが「二相ダウン(B+C)」であり、現在のイベントが「一相ダウン(A)」である場合、テーブルエントリ304は、そのようなイベントにより非電源のメータに移行したメータをリストアップする。この例では、B相およびC相は、以前に電力を失った二つの相であり、A相は、現在のイベントにおいて電力を失った相である。この場合、非電源のメータには、A相に接続された単相メータ、A相とB相またはA相とC相に接続された二相メータ、および三相メータが含まれることになる。相BまたはCに接続された単相メータは、現在の事象が発生する前に既に電力喪失ステータスになっているため,現在の事象の影響を受けないことに注意すること。同様に、相BおよびCに接続された二相メータも、相Aでの電力喪失という現在のイベントによって影響を受けない。残りのテーブルエントリは、マルチメータノード112の以前の電力ステータスと現在のイベントとの他の組み合わせに対する結果として生じる非電源のメータをリストアップしている。
【0032】
図3Aの表は、イベントおよび以前の電力ステータスを例示するために特定のフェーズを使用しているが、これらの例示的フェーズは、電源付きのメータから非電源のメータに移行した、又はその逆に移行した、メータのセットを決定するためにイベントが発生したときに実際のフェーズと置き換えられることに留意されたい。例えば、現在のイベントが単相Cでの電力喪失であり、以前の電力ステータスが相Bでの一相ダウンである場合、テーブルエントリ306にリストされたメータのセットにおいて、AをCに置き換え、CをBに置き換えることによって、非電源のメータに移行したメータを決定することができる。その結果、この例のイベントによる非電源のメータは、C相の単体のメータと、C相およびB相の二相メータを含む。
【0033】
図3Bは、本開示のある態様による、異なる電力復旧イベントにより電源付きのメータに移行したメータの例を示すテーブルを示す図である。図3Aに示される表と同様に、図3Bの表の左端の列は以前の電力ステータスを示し、残りの列はマルチメータノード112における現在の電力ステータス変化イベントを示す。表の残りのエントリは、マルチメータノード112が以前の電力ステータスと現在の電力復旧イベントとの対応する組合せを有するとき、結果として生じる電源付きのメータを示す。例えば、マルチメータノード112の以前の電力ステータスが「三相ダウン」(すなわち、すべての相に電力がない)であり、現在の電力ステータス変化イベントが「二相回復(A+B)」である場合、テーブルエントリ312は、現在のイベントにより結果として生じる電源付きのメータをリストアップしている。この例では、相A及びBは、電力を回復した2つの相である。影響を受けたメータ、すなわち、相AおよびBの電力回復により電力が復旧したとみなされるメータは、相Aまたは相Bに接続された単相メータを含む。また、結果として生じる電源付きのメータは、これらのメータの少なくとも一相が電力回復したため、すべての二相および三相のメータを含む。
【0034】
図3Bに示される残りのテーブルエントリは、マルチメータノード112の以前の電力ステータスと現在の電力復旧イベントの他の組み合わせについて、結果として生じる電源付きのメータを決定するために使用されることが可能である。図3Aと同様に、図3Bに示されるテーブルで使用される例示的な相は、電源付きのメータに移行したメータのセットを決定するために電力復旧イベントが発生したときにマルチメータノード112で関与する実際の相に置き換えられることが可能である。
【0035】
図2に戻って参照すると、影響を受けたメータを決定した後、通信モジュール204は、これらのメータのために統合された電力ステータス変化メッセージを生成することができる。イベントが電力喪失イベントである場合、電力喪失イベントのために非電源のメータに移行したメータに対して、統合された停電メッセージ108を生成することができる。イベントが電力回復イベントである場合、電力復旧イベントにより電源付きのメータに移行したメータに対して、統合された電力復旧メッセージ110を生成することができる。このようにして、通信モジュール204は、例えば、三相メータが各相の電力を回復したときに、三相メータに対して3つのメッセージではなく1つのメッセージが送信されるので、ヘッドエンドシステム104に送信されるメッセージの数を減少させることができる。いくつかの実装では、停電メッセージ108及び電力復旧メッセージ110は、他の情報の中で、結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータのシリアル番号又は他の識別と、関連するイベントのタイムスタンプとを含む。通信モジュール204は、停電メッセージ108又は電力復旧メッセージ110を、メッシュネットワーク102を介してヘッドエンドシステム104に送信する。
【0036】
ヘッドエンドシステム104は、受信した停電メッセージ108又は電力復旧メッセージ110を使用して、電力ステータスの変化により生じた結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータを決定することができる。マルチメータノード112の設置時に受信した登録情報を利用することにより、ヘッドエンドシステム104は、停電または復電の位置を決定することができる。メッセージの種類に応じて、受信したメッセージに含まれる情報又はメッセージから得られる情報は、ヘッドエンドシステム104が停電マップを生成すること、停電の場所を決定すること、修理スケジュールを設定すること、又は停電復旧を検出した場合に修理クルーを撤退させることを容易にすることができる。
【0037】
図2は、計測モジュール202がメータ220とは別の1つの計測処理ユニットを有することを示しているが、他の構成も可能であることを理解されたい。例えば、メータの各々は、それ自身の計測処理ユニットを含むことができ、これらの計測処理ユニットは、上述した計測処理ユニット210の機能を集合的に実行することができる。代替的に、または追加的に、通信モジュール204は、計測処理ユニットのそれぞれと通信して、マルチメータノード112内のメータ220のそれぞれに関連する電力ステータス変化を検出するための情報を取得することができる。
【0038】
ここで図4を参照すると、マルチメータノードの状態移行図の一例が説明されている。図4に示すように、マルチメータノード112は、「全相オン」状態402、「一相ダウン」状態404、「二相ダウン」状態406、および「全相ダウン」状態408という4つの状態のうちの1つで動作し得る。電源が三相すべてに正常に電力を供給する場合、マルチメータノード112は、「全相オン」状態202で動作する。電源の三相のうちの一相が電力を失った場合、マルチメータノード112は、「一相ダウン」状態204で動作する。同様に、電源の三相のうちの二相が電力を失うと、マルチメータノード112は「二相ダウン」状態206で動作する。電源が三相すべての電力を失うと、マルチメータノード112は「電源オフ」状態208で動作する。
【0039】
通信モジュール204は、マルチメータノード112がある状態から別の状態に移行するとき、結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータに対して電力ステータス変化メッセージ(停電メッセージ108または電力復旧メッセージ110)を生成する。例えば、「全相オン」状態402において、電源の三相のうちの一相が電力を失った場合、マルチメータノード112は、「全相オン」状態402から「一相ダウン」状態404に移行する。マルチメータノード112は、相の停電による移行によって非電源となったメータに対して停電メッセージ108を生成する。マルチメータノード112は、移行前に電源付きであったが移行後に非電源となったメータを決定することによって、結果的に電力供給されなくなるメータを決定することができる。それらの結果としての無電源メータの例は、図3Aに示されるテーブルエントリ308にリストアップされる。通信モジュール204は、これらの結果として生じる非電源のメータについて停電メッセージ108を生成し、そのメッセージをヘッドエンドシステム104に送信する。
【0040】
「一相ダウン」状態404から、電源がさらに一相の電力を失うと、マルチメータノード112は「二相ダウン」状態406に移行する。通信モジュール204は、この移行によって生じる非電源のメータを、移行前に電源付きであったが移行後に非電源となるメータとして再び決定することができる。これらの結果として生じる非電源のメータの例は、図3Aに示されるテーブルエントリ306にリストアップされる。通信モジュール204は、これらの結果として生じる非電源のメータについて別の停電メッセージ108を生成し、そのメッセージをヘッドエンドシステム104に送信する。
【0041】
「一相ダウン」状態404において、電源がダウンしていた相の電力を回復した場合、マルチメータノード112は「全相オン」状態402に戻るように移行する。通信モジュール204は、移行前にどの接続された相にも電力が供給されていなかったが、移行後に電力が供給される(すなわち、電力を有する少なくとも1つの相に接続される)ようになったメータを決定する。これらの結果的に電力が供給されたメータの例は、図3Bに示されるテーブルエントリ314にリストアップされる。通信モジュール204は、これらの結果として生じる電源付きのメータに対する電力復旧メッセージ110を生成し、そのメッセージをヘッドエンドシステム104に送信する。
【0042】
マルチメータノード112は、図4に示すように、マルチメータノード112の以前の状態および現在の電力ステータス変化イベントに応じて、他の状態間を移行することができる。各移行に応答して、通信モジュール204は、結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータを識別し、さらなる処理のために電力ステータス変化メッセージを生成してヘッドエンドシステム104に送信する。
【0043】
図5は、本開示の特定の態様による、マルチメータノードで発生した停電および復旧を検出および通信するためのプロセス500の一例である。メッシュネットワーク102の1つ以上のノード(例えば、マルチメータノード112またはマルチメータルートノード114)は、マルチメータノードの通信モジュール204において適切なプログラムコードを実行することによって、図5に描かれた動作を実装する。例示の目的のために、プロセス500は、図に描かれた特定の例を参照して説明される。しかしながら、他の実施例も可能である。
【0044】
ブロック502において、プロセス500は、ヘッドエンドシステム104にマルチメータノード内のメータを登録することを含む。マルチメータノードは、メータに関する情報を収集することによって登録を実行する。情報は、例えば、メータ220のシリアル番号または他の識別情報、あるいは計測モジュール202のメータスロット、各メータ220に関連する敷地の住所、各メータ220に関連する他の顧客情報、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。マルチメータノードの通信モジュール204は、登録情報を含む登録メッセージを生成し、それをヘッドエンドシステム104に送信する。
【0045】
ブロック504において、プロセス500は、マルチメータノードの計測モジュール202と通信して、メータ-相データ212、電源における電力ステータス変化を示す電力ステータスデータ、測定データ、および他のデータを含む、計測モジュール202に関連するデータまたはそこで得られたデータを取得することを含む。詳細に上述したように、計測モジュール202の計測処理ユニット210が電力供給モジュール206における電力喪失を検出した場合、計測処理ユニット210は、電力喪失及び関連する相(複数可)などを示す信号を生成する。同様に、計測処理ユニット210が電源の1つ以上の相で電力復旧を検出した場合、計測処理ユニット210は、電力復旧及び関連する相(複数可)を示す信号を生成する。通信モジュール204は、電力喪失または電力復旧をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで通信モジュール204によって検出し、ヘッドエンドシステム104に伝達できるように、これらの信号が生成されるとそれを受信するように構成され得る。
【0046】
ブロック506において、プロセス500は、計測モジュール202で検出された電力ステータス変化イベントがあるかどうかを、得られたデータに基づいて決定することを含む。通信モジュール204は、電力喪失信号又は電力復旧信号が計測モジュール202から受信されたかどうかを決定することによって、そのような決定を行うことができる。そうでない場合、プロセス500は、ブロック507に進み、必要に応じて得られたデータを処理する。例えば、通信モジュール204は、各メータにおける測定データを含むメッセージを生成し、そのメッセージをヘッドエンドシステム104に送信することができる。また、通信モジュール204は、測定データを家庭内ディスプレイを含む他のデバイスに送信するか、または他の通信モジュールに送信させることができる。その後、プロセス500は、ブロック504に進み、計測モジュール202からさらなるデータを受信する。
【0047】
通信モジュール204が、ブロック506において、電力ステータス変化イベントがあると決定した場合、プロセス500は、ブロック508において、電力ステータス変化イベントによる結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータを識別することを含む。いくつかの実装では、そして図2、3Aおよび3Bに関して上で詳細に論じたように、通信モジュール204は、電力喪失イベントによる結果として生じる非電源のメータを、イベントの前に電源の少なくとも1つの相によって電力供給されていたが、イベントの後に非電源である、メータとして決定する。電力ステータス変化イベントが電力復旧イベントである場合、通信モジュール204は、イベント前に非電源であったが、電力復旧イベントの後に少なくとも1つの相によって電力供給されるメータとして、結果として生じる電源付きのメータを決定する。通信モジュール204は、メータと電源の個々の相との間の接続を記述するメータ-相データ212に基づいて、結果として生じる電源付きのメータ又は電力供給されていないメータを決定することができる。通信モジュール204は、さらに、図4に示すように、電力ステータス変化イベントの前後の状態に基づいて、結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータを決定する。
【0048】
ブロック510において、プロセス500は、結果として生じる電源付きの、又は、非電源のメータに対する統合された電力ステータス変化メッセージを生成することを含む。電力ステータス変化が停電を含む場合、通信モジュール204は、統合された停電メッセージ108を生成する。電力ステータスの変化が電力復旧を含む場合、通信モジュール204は、統合された電力復旧メッセージ110を生成する。いくつかの例では、電力ステータス変化メッセージは、結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータのシリアル番号又は他の識別子、及び電力ステータス変化イベントのタイムスタンプを含む。
【0049】
ブロック512において、プロセス500は、電力ステータス変化メッセージを、メッシュネットワーク102を介してヘッドエンドシステム104に送信することを含む。その後、プロセス500は、ブロック504に進み、通信モジュール204は、計測モジュール202からデータを取得し続ける。
【0050】
上記の開示は、結果として生じる電源付きの、又は非電源のメータに対して1つの統合された電力ステータス変化メッセージを生成することに焦点を当てているが、電力ステータス変化イベントに対して2つ以上のメッセージが生成され得ることを理解されたい。例えば、2つの停電メッセージ108が停電イベントに対して生成されてもよく、1つは結果として生じる電源付きの、又は非電源の単相メータに対して、1つは結果として生じる電源付きの、又は非電源の多相メータに対して生成される。1つ以上の電力ステータス変化メッセージを生成する他の方法が利用されてもよい。
【0051】
例示的なノード
【0052】
図6は、本明細書に記載される電力ステータス変化検出および通信を実施するために採用され得る例示的な通信モジュール600を示す。通信モジュール600は、バス610を介して通信可能に結合されたプロセッサ602、メモリ604、およびトランシーバデバイス620をそれぞれ含み得る。通信モジュール600の構成要素は、A/C電源またはバッテリー(図示せず)などの低エネルギー源によって電力を供給することができる。トランシーバデバイス620は、他のノードと通信するためのアンテナ608を含む(または通信可能に結合される)ことができる。いくつかの例では、トランシーバデバイスは、信号を無線で送受信するための無線周波数(「RF」)トランシーバである。
【0053】
プロセッサは、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、ステートマシン、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、または他の適切なコンピューティングデバイスを含んでもよい。プロセッサは、任意の数のコンピューティングデバイスを含むことができ、メモリ604などのコンピュータ可読媒体に通信可能に結合され得る。プロセッサ602は、コンピュータ実行可能なプログラム命令を実行するか、又はメモリに格納された情報にアクセスして、本明細書に記載されたメータ-相データ212などの動作を実行することができる。命令は、任意の適切なコンピュータプログラミング言語で書かれたコードからコンパイラ及び/又はインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令で構成されてもよい。通信モジュール204に提供されるような命令が実行されるとき、命令は、通信モジュール600を構成して、本明細書に記載される操作のいずれかを実行するようにしてもよい。プロセッサ、メモリ、バス、およびトランシーバ装置は、互いに通信している別個の構成要素として図6に描かれているが、他の実装も可能である。本明細書で議論されるシステムおよびコンポーネントは、任意の特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成に限定されるものではない。
【0054】
一般的な考慮事項
【0055】
請求項の発明対象の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が本明細書に記載されている。しかしながら、当業者は、請求項の発明対象が、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、当業者に知られているであろう方法、装置、又はシステムは、請求書の発明対象を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0056】
本明細書で議論される特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成に限定されるものではない。コンピューティングデバイスは、1つ以上の入力を条件とする結果を提供するコンポーネントの任意の適切な配置を含むことができる。好適なコンピューティング装置は、コンピューティングシステムを汎用コンピューティング装置から本発明対象の1つ以上の態様を実装する特殊コンピューティング装置へとプログラムまたは構成する格納ソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に格納されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータシステムを含んでいる。任意の適切なプログラミング、スクリプト、または他のタイプの言語または言語の組み合わせが、コンピューティング装置をプログラミングまたは構成する際に使用されるソフトウェアにおいて本明細書に含まれる教示を実装するために使用され得る。
【0057】
本明細書に開示された方法の態様は、そのようなコンピューティングデバイスの動作において実行されてもよい。上記の例で提示されたブロックの順序は、変化させることができる;例えば、ブロックは、再順序付け、結合、および/またはサブブロックに分割することができる。特定のブロックまたはプロセスは、並行して実行することができる。
【0058】
本明細書における「するように適合された」または「するように構成された」の使用は、追加のタスクまたはステップを実行するように適合または構成されたデバイスを妨げない、開放的かつ包括的な言語として意図されるものである。さらに、「に基づく」の使用は、プロセス、ステップ、計算、または他の動作が、1つまたは複数の言及された条件または値「に基づく」場合、実際には、言及されたものを超える追加の条件または値に基づくことができるという意味で、開放的で包括的であることを意図している。本明細書に含まれる見出し、リスト、および番号付けは、説明を容易にするためだけのものであり、限定することを意図するものではない。
【0059】
本発明対象は、その特定の態様に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の理解に達した時点で、そのような態様に対する変更、変形、および同等物を容易に作成し得ることが理解されよう。したがって、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されており、当業者に容易に明らかになるような本発明対象に対する変更、変形、および/または追加を含めることを排除するものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6