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特許7307233無人機、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】無人機、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230704BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230704BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230704BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALN20230704BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/09 H
B60W60/00
B60Q5/00 610A
B60Q5/00 670D
B60R16/02 655J
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022074570
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-250111(JP,A)
【文献】特開2019-032806(JP,A)
【文献】特開2014-139777(JP,A)
【文献】特開2003-177029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G05D 1/00- 1/12
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、
取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、
選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行する、無人機。
【請求項2】
前記音声選択処理では、
複数の前記音声識別情報のうち、前記他の無人機が選択していない前記音声識別情報が存在するか否かを判断し、
前記他の無人機が選択していない前記音声識別情報が存在すると判断した場合には当該音声識別情報を選択し、
全ての前記音声識別情報が前記他の無人機によって選択されていると判断した場合には、複数の前記他の無人機のうち一台を所定条件に基づいて特定し、特定した前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択する、請求項1に記載の無人機。
【請求項3】
前記音声選択処理では、複数の前記音声識別情報のうち、前記他の無人機が選択していない前記音声識別情報が存在するか否かを判断し、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合には、音声を出力中ではない前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項4】
前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合であって且つ音声を出力中ではない前記他の無人機が特定できない場合、音声の出力予定が無い前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択する、請求項3に記載の無人機。
【請求項5】
前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合に、周囲に存在する前記他の無人機に対し、前記音声識別情報の選択の解除を要求する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項6】
前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合に、複数の前記他の無人機のうち、前記無人機から離れる方向に移動する前記他の無人機を特定し、特定した前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項7】
前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合に、複数の前記他の無人機のうち、前記無人機との相対距離が最も大きいものを特定し、特定した前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項8】
前記音声選択処理では、周囲に前記他の無人機が存在しない場合には、標準の前記音声識別情報を選択する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項9】
前記音声識別情報の選択の解除要求を受信した場合には、選択している前記音声識別情報の選択を解除する解除処理をさらに実行する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項10】
前記音声選択処理において、一つの前記音声識別情報には、音声の内容が異なる複数の出力制御データが関連付けられており、選択中の前記音声識別情報のうち、音声の出力の契機となる音声出力イベントに応じた前記出力制御データを選択する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項11】
前記音声識別情報は、音声を発話する仮想的な話者毎に割り振られた情報である、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項12】
前記無人機は、荷物を配送先に配送し、
前記出力制御処理では、ユーザが前記荷物を受け取る操作を支援する音声を出力する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項13】
前記音声選択処理では、周囲の人物への案内に必要な一連の音声の出力を終了するまで同じ前記音声識別情報を用いて音声を出力する、請求項1又は2に記載の無人機。
【請求項14】
無人機の制御装置が、
互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、
取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、
選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行する、情報処理方法。
【請求項15】
無人機の制御装置に、
互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、
取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、
選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項16】
互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、第1の無人機の周囲に存在する1乃至複数の第2の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する処理と、
取得した前記音声識別情報に基づき、前記第2の無人機が選択した音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する処理と、
選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を前記第1の無人機に出力させる処理と、を実行する、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人機、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人機がユーザに荷物を配送する情報処理システムの実用化が進められている。例えば特許文献1に記載されたシステムは、荷物の受け渡しを行うポイントを巡る無人走行機(カート)を備える。無人走行機は状況に応じてスピーカから適宜アラートやビープ音を出力する。アラートは、危険度が高い場面、曲がる時、停止時、発進時、緊急事態が発生した時等に出力される。ビープ音は、無人走行機のボックス内に物品が残されている場合等に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/216502号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ配送エリア内で複数の無人走行機が配送を行う場合、それらの無人走行機が、交差点や、受け渡し場所等に一時的に集中する可能性がある。このような状況において各無人走行機がアラートやビープ音を出力する場合、アラート等を出力するタイミングが重なるおそれがある。このような場合、それらの無人走行機の周囲に存在する人物は、音源である無人走行機が判別しにくくなることにより、無人走走行機に対する対処に戸惑うことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、無人機を提供する。前記無人機は、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行する。
【0006】
別の態様では、情報処理方法を提供する。前記情報処理方法は、無人機の制御装置が、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行する。
【0007】
別の態様では、プログラムを提供する。前記プログラムは、無人機の制御装置に、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行させる。
【0008】
別の態様では、情報処理システムを提供する。前記情報処理システムは、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、第1の無人機の周囲に存在する1乃至複数の第2の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する処理と、取得した前記音声識別情報に基づき、前記第2の無人機が選択した前記音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する処理と、選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を前記第1の無人機に出力させる処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、周囲に他の無人機が存在する場合に、無人機が音声の出力元を識別しやすい音声を出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の物流管理システムの概略を示す図である。
図2】同実施形態の無人走行機の構成を説明するブロック図である。
図3】同実施形態における配送計画情報を示す模式図である。
図4】同実施形態における音声属性情報を示す模式図である。
図5】同実施形態における音声選択情報を示す模式図である。
図6】同実施形態における音声出力処理の手順を示すフローチャートである。
図7】同実施形態における音声選択処理の手順を示すフローチャートである。
図8】同実施形態における解除処理の手順を示すフローチャートである。
図9】同実施形態の複数の無人機が交差点付近に存在する例を示す図である。
図10】同実施形態の複数の無人機が交差点付近に存在する例を示す図である。
図11】同実施形態の複数の無人機が交差点付近に存在する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、無人機、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムの一実施形態について説明する。この実施形態では、無人機を、道路を走行する無人走行機として説明する。また、情報処理システムとして、無人走行機を用いて荷物を配送する物流管理システムについて説明する。
【0012】
<物流管理システム>
図1に示すように、物流管理システム1は、サーバ10及び無人走行機30を備える。物流管理システム1は、ネットワーク14を介してユーザ装置20に接続されている。
【0013】
<サーバ>
サーバ10は、物流管理者又は物流管理サービスを提供する管理者によって管理されるものである。サーバ10は、制御部11、記憶部12及び通信部13を備えている。制御部11は、演算装置及びメモリ(記憶媒体)を含む。演算装置は、記憶部12又はそれ以外のストレージからオペレーティングシステム、及び物流管理用のプログラム等の各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。演算装置は、以下で構成し得る。
【0014】
(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは、
(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)。
【0015】
演算装置は、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち非一時的なコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。又は、演算装置は、CPUに代えて若しくは加えて自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0016】
記憶部12は、補助記憶装置(記憶媒体)であって、物流を管理するための各種情報を記憶する。通信部13は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク14を介して、ユーザ装置20及び無人走行機30との間でデータを送受信する。なお、サーバ10は、物流管理者等が入力操作を行うための操作部、表示部を備えていてもよい。
【0017】
<ユーザ装置>
ユーザ装置20は、物流管理システム1を利用するユーザが用いる情報処理装置である。ユーザ装置20は、スマートフォン等の多機能電話端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ又はこれらの装置以外の情報処理装置である。ユーザ装置20のハードウェア構成は、サーバ10と同様の構成であり、上記の(1)~(3)を備える。演算装置は、記憶部又はそれ以外のストレージからオペレーティングシステムや荷物の受け取りに関する処理を実行するプログラム等の各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。ユーザ装置20は、配送に関する通知を物流管理システム1から受信する。通知は、物流管理システム1から発信された通話、電子メール、ユーザ装置20の記憶部に記憶されたアプリケーションにおける通知等である。
【0018】
<無人走行機>
無人走行機30は、人が搭乗しない移動体であって、UGV(Unmanned Ground Vehicle)とも呼称される。無人走行機30は、物流管理者又はその他の所有者によって管理される。無人走行機30は、周囲に存在する他の無人走行機30との間で車車間通信60を行う。無人走行機30は、配送対象である荷物を収容するボックス31を有している。図1に例示する無人走行機30は複数のボックス31を有している。無人走行機30は、各ボックス31、荷物、及び荷物を受け取るユーザを関連付けて記憶している。そして、ユーザが荷物を受け取る場面では、「1番ボックスが開きます」等の荷物の受け取りを支援する音声を出力する。
【0019】
図2を参照して無人走行機30の構成について説明する。無人走行機30は、制御装置32、駆動システム33、電池34、制動システム35を備える。
制御装置32のハードウェア構成は、サーバ10と同様の構成であり、上記の(1)~(3)を備える。
【0020】
駆動システム33は、電池34から供給される電力で駆動する駆動源、駆動源から得られる動力によって動作する動力伝達機構、駆動源等を制御する制御回路等を備える。駆動源は、本実施形態では電動モータである。なお、駆動源は、燃料を消費して駆動するエンジンであってもよい。この場合には、電池34に代えて駆動源に燃料を供給する燃料供給部が設けられる。また、無人走行機30は、複数の種類の駆動源を搭載したハイブリッド式のシステムを備えていてもよい。動力伝達機構は、駆動源の動力を車輪に伝達する。また、無人走行機30は、前後方向の移動だけでなく、前後方向と交差する所定方向への移動が可能であってもよい。例えば、車輪が第1方向とその逆方向だけでなく、第1方向と直交する方向を含む複数の方向に回転可能なものであってもよい。制動システム35は、制御装置32が出力した信号に基づいて、車輪の回転を停止する。制御装置32は、走行計画に基づいて、駆動システム33に対し発進、左折又は右折等の動作について指令を出力するとともに、制動システム35に停止指令又は減速指令を出力する。
【0021】
また、無人走行機30は、HMI(Human Machine Interface)36を備える。HMI36は、スピーカ37を備える。また、HMI36は、表示部38、及び入力操作部39を備えていてもよい。
【0022】
スピーカ37は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実装され、警告音、注意喚起や荷物を受け取るための操作案内等の音声を出力する。
表示部38は、荷物を受け取るための操作に関する情報等を表示する。入力操作部39は、PIN(Personal Identification Number)等の認証コードを入力するためのタッチパネル、ボタンを備える入力装置、又は提示されたバーコードや二次元コードを認識するスキャナ等である。
【0023】
また、無人走行機30は、物体検知センサ40、慣性計測センサ41、位置検出センサ42及び車速センサ43を備える。これらのセンサは、検出結果を制御装置32に出力する。物体検知センサ40は、自車両周囲の物体を検知するセンサである。例えば、物体検知センサ40は、撮像装置である。撮像装置は、無人走行機30を中心とする全方位(全天球)を撮像する全方位カメラ、又は複数の可視光カメラから構成されることが好ましい。又は、物体検知センサ40として、ミリ波レーダや超音波センサ等の測距センサを用いることができる。又は物体検知センサ40は、赤外線センサを用いることができる。一例として、画像センサと、LiDAR(Light Detection and Ranging、又はLaser Imaging Detection and Ranging)を適用した赤外線センサを組み合わせて用いることができる。また、物体検知センサ40は、上記以外のセンサであってもよい。無人走行機30は、目的に応じて、これらのセンサのうち複数を備える。
【0024】
慣性計測センサ41は、加速度センサ、ジャイロセンサ等である。位置検出センサ42は、GPSセンサ、地磁気センサ、高度センサ及び変位センサ等である。車速センサ43は、車輪等に設けられ、無人走行機30の速度を検出する。
【0025】
次に制御装置32について説明する。制御装置32は、制御部45、記憶部46、通信部47を備える。制御部45は、サーバ10の制御部11とほぼ同じ構成である。
記憶部46は、サーバ10の記憶部12とほぼ同じ構成である。記憶部46には、自律走行のためのプログラム、地図情報等の自律走行に必要な各種情報が記憶されている。また、記憶部46には、倉庫や店舗等の始点から、荷物の受け渡し場所を経由して、終点に至る走行計画を示す走行計画情報と、荷物とユーザとを関連付けた配送計画情報とが記憶されている。走行計画情報は、交差点や道路の識別情報等を含んでいる。配送計画情報は、荷物の識別情報、荷物の受け渡し場所、荷物が収容されたボックス番号等を含んでいる。
【0026】
通信部47は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装されている。通信部47は、ネットワーク14を介して、ユーザ装置20及びサーバ10との間でデータを送受信する。また、通信部47は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。車車間通信で送受信される通信データには、各車両を識別する車両識別データ、車両位置、移動方向(進行方向)が含まれる。制御部45は、無人走行機30とそれ以外の車両とを含む車両との間で車車間通信を行うようにしてもよい。この場合、車車間通信データに含まれる車両識別データに基づいて、無人走行機30から送信されたデータであるか否かを判断するようにしてもよい。又は、制御部45は、通信部47を介して無人走行機30のみと通信を行うようにしてもよい。
【0027】
通信部47は、ネットワーク14を介して各種の通知をユーザ装置20に送信する。このとき、無人走行機30は、サーバ10を介して通知をユーザ装置20に送信してもよい。又は、無人走行機30は、サーバ10を介さずに通知をユーザ装置20に送信してもよい。また、無人走行機30は、ネットワーク14を介して、配送管理者が用いる管理者端末(図示略)に接続していてもよい。配送管理者は、管理者端末を用いて、無人走行機30に設けられた画像センサが撮影した画像を視認することで、無人走行機30の状態を監視してもよい。
【0028】
また、制御装置32は、音声出力制御部48及び音声記憶部49を備える。音声出力制御部48は、制御部45によって選択された音声識別情報に基づき、状況に応じた音声をスピーカ37から出力する。音声識別情報は、固有の特徴を有する音声に割り振られたものである。例えば、音声識別情報は、「1」~「3」といった3つの番号である。本実施形態においては、システム上で設定された仮想的な話者に対して音声識別情報が付与されている。例えば、「1」の音声識別情報には、性別が男性である特定の人物の発話による音声が関連付けられている。また、「2」の音声識別情報には、性別が女性である特定の人物の発話による音声が関連付けられている。また、「3」の音声識別情報には、性別が女性である特定の人物の発話による音声が関連付けられている。つまり、「1」~「3」の音声識別情報が関連付けられたデータに基づく音声は、ユーザが日常生活で個人が発話した肉声をその人物特有の声として識別しているように、各人物が発話しているものと認識することが可能である。例えば、音声の特徴は、例えば周波数の分布(例えばフォルマント)、基本周波数(例えばピッチ)、強度が最も大きい周波数等の音響的な特徴である。また、音声の特徴は、話すスピード、イントネーション等の特徴であってもよい。
【0029】
音声出力制御部48は、走行中に周囲に存在する人物に対し注意喚起を行う音声、荷物受け渡し時の操作案内や注意喚起を行う音声等を出力する。音声出力制御部48は、音声を出力する契機となるイベント(以下、音声出力イベントという)が発生した場合、音声記憶部49に記憶された音声データの中から音声出力イベントに適したものを選択する。そして、選択した音声データに含まれる波形データを用いて、音声をスピーカ37から出力する。波形データは、音声をスピーカ37から出力するための出力制御データに対応する。
【0030】
音声記憶部49には、音声データが記憶されている。音声データは、複数の音声識別情報毎に異なる波形データを記憶している。本実施形態では、音声データは、音声出力イベントに応じて異なる内容の音声を出力するための波形データを含む。なお、制御部45及び音声出力制御部48は一つの装置であってもよい。また、音声記憶部49及び記憶部46は一つの装置であってもよい。
【0031】
<データ構成>
図3図5を参照して、サーバ10の記憶部12及び無人走行機30の記憶部46に記憶されるデータについて説明する。
【0032】
図3は、配送計画情報51のデータ構成の一例を示す。配送計画情報51は、配送を行う無人走行機30毎に作成されている。サーバ10は、配送を行う複数の無人走行機30に対応する配送計画情報51を記憶部12に記憶している。無人走行機30は、自車両に対応する配送計画情報51を記憶部46に記憶している。
【0033】
図3に例示する配送計画情報51は、一台の無人走行機30の配送計画を示すデータである。配送計画情報51は、配送番号、ユーザID、配送先住所、配送日時、ボックス番号、通知先、及び配送状況を含んでいる。配送番号は、配送対象の荷物に対して割り振られた識別情報である。ユーザID及び配送先住所は、荷物を受け取るユーザ及びユーザの住所を示す。配送先住所は、荷物の受け渡し場所として複数のユーザが利用する共通のエリアの位置情報であってもよい。配送日時は、荷物が配送される予定の日にち及び時間帯を示す。ボックス番号は、無人走行機30に設けられたボックス31の識別情報を示す。つまり配送番号に対応する荷物とボックス31とは関連付けられて記憶されている。通知先は、ユーザに通知を送信するときの宛先である。通知は、例えばサーバ10が配送依頼を受け付けたとき、無人走行機30が拠点等を出発するとき、無人走行機30が出発後配送地点に到着するまでの期間内、無人走行機30が配送地点に到着したときのうち、少なくとも1つのタイミングで送信される。通知は、無人走行機30又はサーバ10がユーザ装置20に送信する。通知先は、ユーザの電子メールアドレス、ユーザの電話番号、ユーザ装置20のデバイストークン等が含まれる。また、通知先は、インターホン等の報知装置への送信先を含んでいてもよい。配送状況は、荷物の配送状況を示す。例えば、配送状況は、「配送完了」、「配送中」、「配送前」等の複数の状況のうち一つである。また、配送計画情報51は、配送順序、配送経路を含んでいてもよい。
【0034】
図4は、音声属性情報52を示す。無人走行機30は、音声属性情報52と、これに関連付けられた波形データ(図示略)とを音声データとして記憶部46に記憶している。
音声属性情報52は、音声識別情報52A及び内容識別情報52Bを含む。音声識別情報52Aは、音声特徴に対して割り振られた識別情報である。本実施形態では、異なる特徴を有する音声は3種類であり、音声識別情報52Aは、例えば「1」~「3」のいずれかである。内容識別情報52Bは、音声の内容を識別する情報である。音声の具体的な内容は、走行時の案内、ユーザが荷物を受け取る際の操作案内等である。例えば、「左へ曲がります」、「右へ曲がります」、「停車します」、「発進します」、「受け取りボックスは1番です」等の内容である。音声識別情報52Aには、複数の内容識別情報52Bが関連付けられている。また、内容識別情報52Bには、音声識別情報52Aに応じた波形データが関連付けられている。同一の音声識別情報52Aに関連付けられる複数の波形データは、同じ音声特徴を有する。音声出力制御部48は、発生した音声出力イベントに関連付けられた波形データを用いて音声を出力する。なお、サーバ10の記憶部46にも音声データが記憶されていてもよい。
【0035】
図5は、音声選択情報53のデータ構成の一例を示す。音声選択情報53は、無人走行機30の記憶部46に記憶されている。音声選択情報53は、制御部45が選択した音声識別情報52Aを含むデータである。音声選択情報53は、選択音声53A、開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを含む。制御部45が音声を選択していない場合は、選択音声53Aには、音声識別情報52Aが記録されない。制御部45が音声を選択している場合には、選択音声53Aに音声識別情報52Aが記録される。開始予定時刻53Bは、音声の出力を開始する予定の時刻を示す。終了予定時刻53Cは、一連の音声の出力を終了する予定の時刻を示す。
【0036】
開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cは、音声の内容に応じて設定される。例えば、無人走行機30が操作案内を行う場合、終了予定時刻53Cは、音声での操作案内を終了する時刻である。例えば一人のユーザに対する操作案内として、「PINコードを入力してください」、「1番のボックスが開きます」、「扉を閉じてください」、「発進します」等の一連の音声を出力する。このとき最初の音声の出力(例えば「PINコードを入力してください」)を開始する時点が開始予定時刻53Bである。また、最後の音声の出力(例えば「発進します」)を終了する時点が終了予定時刻53Cである。このように、1回の操作案内として一連の音声が出力される間、操作案内の途中で音声の特徴が変更されることを防ぐことができる。また、無人走行機30が、「左へ曲がります」等の走行中の周囲への注意喚起を行う場合には、左折を開始するときの予測時刻が開始予定時刻であってもよい。また、左折を終了する予測時刻が終了予定時刻であってもよい。また、無人走行機30は、走行状況に応じて、終了予定時刻を延長するようにしてもよい。
【0037】
次に、制御装置32が実行する各処理について説明する。制御装置32は、取得処理、音声選択処理、出力制御処理及び解除処理を実行する。
制御部45は取得処理を実行する。取得処理は、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報52Aのうち、周囲に存在する他の無人走行機30が選択した音声識別情報52Aを取得する処理である。
【0038】
制御部45は音声選択処理を実行する。音声選択処理は、取得した音声識別情報52Aに基づき、他の無人走行機30が選択した音声識別情報52Aと異なる音声識別情報52Aを選択する処理である。
【0039】
音声選択処理では、制御部45は、複数の音声識別情報52Aのうち、他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在するか否かを判断する。他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在すると判断した場合には、当該音声識別情報52Aを選択する。但し、他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在しないと判断した場合には、例外として、複数の他の無人走行機30のうち一台を所定条件に基づいて特定する。そして、特定した他の無人走行機30が選択している音声識別情報52Aを自身が用いる音声識別情報52Aとして選択する。
【0040】
制御部45は出力制御処理を実行する。具体的には、制御部45は音声出力制御部48に音声出力要求及び選択した音声識別情報52Aを出力する。音声出力制御部48は、音声出力要求に基づき出力制御処理を行う。この出力制御処理は、選択した音声識別情報52Aに対応する特徴を有する音声を出力する処理である。
【0041】
<動作>
次に、無人走行機30の制御装置32が音声を選択する処理手順について説明する。
図6は、音声を出力する処理の手順を示す。
【0042】
まず配送を開始する無人走行機30の制御部45は、走行計画を取得する(ステップS1)。走行計画は、サーバ10又は無人走行機30が配送計画情報51に基づいて作成したものである。走行計画は、走行を開始する始点から、荷物の受け渡し場所を経由して、走行を終了する終点に至るまでの道順を示す。走行計画を示す走行計画情報は、道路や交差点の識別情報等を含む。始点及び終点は、倉庫や店舗等の拠点である。始点及び終点は、同一の地点又は異なる地点であってもよい。
【0043】
制御部45は、走行計画に基づき、駆動システム33を駆動して走行を開始する(ステップS2)。無人走行機30が始点を出発すると、制御部45は、通信部47を介して、周囲に存在する他の無人走行機30との間で車車間通信を行う。制御部45は、車車間通信で送信するデータの一つとして、音声選択情報53を自車両の識別情報とともに他の無人走行機30に送信する。また、制御部45は、他の無人走行機30が送信した音声選択情報53を受信する。なお、制御部45は、ブロードキャスト通信で、音声選択情報53を周囲の通信可能な装置に向けて送信するようにしてもよい。又は制御部45は、周囲に他の無人走行機30が存在すると判断したとき又は他の無人走行機30から要求された場合のみ、音声選択情報53を送信するようにしてもよい。
【0044】
制御部45は、車車間通信により、周囲を走行する他の無人走行機30が存在するか否かを判断する(ステップS3)。例えば、制御部45は、無人走行機30の車両識別データを含む車車間通信データを受信したか否かに基づいて、周囲を走行する他の無人走行機30が存在するか否かを判断する。
【0045】
制御部45は、周囲を走行する無人走行機30が存在しないと判断した場合(ステップS3:NO)、標準の音声識別情報52Aを選択する(ステップS4)。標準の音声識別情報52Aに関連付けられた音声は、無人走行機30から出力される音声としてユーザが聴く頻度が最も高い音声である。或いは、標準の音声識別情報52Aに関連付けられた音声は、無人走行機30の周囲に存在する人物が最も聞き取りやすい音声である。なお、ステップS4で選択される音声識別情報52Aは、各音声識別情報52Aに割り振られた優先順位のうち最も優先順位が高い音声識別情報52Aであってもよい。
【0046】
一方、制御部45は、周囲を走行する他の無人走行機30が存在すると判定した場合(ステップS3:YES)、音声選択処理を行う(ステップS5)。この音声選択処理では、他の無人走行機30が選択した音声識別情報52Aと同一とならないように、自車両の無人走行機30の音声識別情報52Aを選択する。
【0047】
音声選択処理を終了(ステップS5)、又は標準の音声識別情報52Aを選択すると(ステップS4)、制御部45は、自身の音声選択情報53を更新する(ステップS6)。このとき、制御部45は、選択した音声識別情報52Aを音声選択情報53に選択音声53Aとして記録する。
【0048】
制御部45は、音声出力イベントが発生したか否かを判断する(ステップS7)。音声出力イベントは、無人走行機30が周囲に対して音声を出力する契機となるイベント(条件)である。音声出力イベントは複数設定されている。音声出力イベントの一例は、自車両周囲の危険な状況である。また、音声出力イベントの他の例は、無人走行機30の曲がる、止まる、発進するといった走行状態に関するイベントである。また、音声出力イベントの他の例は、荷物の受け取りに関してユーザを支援する状況である。荷物の受け取りに関する支援が必要な場面は、ユーザによる無人走行機30の操作の開始や、荷物の取り忘れ等の非常事態の発生等である。
【0049】
制御部45は、音声出力イベントが発生していないと判断すると(ステップS7:NO)、ステップS9に進む。一方、制御部45は、音声出力イベントが発生したと判断すると(ステップS7:YES)、音声を出力する(ステップS8)。具体的には、制御部45は、音声出力イベントに応じた内容識別情報52Bを選択するとともに、音声出力制御部48に音声出力要求及び選択音声53Aに記録された音声識別情報52Aを送信する。音声出力制御部48は、音声識別情報52Aと内容識別情報52Bとに基づいて、音声識別情報52Aに応じた特徴の音声を出力する。
【0050】
また、制御部45は、音声出力イベントが発生したと判断すると、音声を出力する直前又は同時に、音声出力イベントに応じた開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定する。そして、それらを音声選択情報53に記録する。
【0051】
例えば、音声出力イベントに応じて音声出力時間が予め決められていてもよい。そして、制御部45は、この音声出力時間に基づいて開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定してもよい。なお、音声出力イベントが危険状況の検出であるとき、音声出力イベントの検出した直後に音声を出力するので、開始予定時刻53Bには音声出力イベントを検出した時刻が記録される。又は、物体検知センサ40が検出した物体の種類や数に応じて開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定してもよい。制御部45が、自車両の周囲に複数の人物が存在すると判定した場合、周囲に存在する人物の数が一人である場合よりも、音声を出力する期間を長くするとともに、その期間に基づいて終了予定時刻53Cを特定してもよい。
【0052】
また、曲がる、止まる、発進するといった走行状態の種類に応じて音声出力時間が予め決められていてもよい。そして、制御部45は、この音声出力時間に基づいて開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定してもよい。又は、制御部45は、車両走行状態等に基づいて開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定してもよい。車両走行状態は、位置検出センサ42、車速センサ43等から取得した検出結果、又は駆動システム33から取得した舵角、又は制動システム35から取得したブレーキ駆動状態等である。例えば、制御部45は、車速、舵角、及び交差点の大きさを判定可能な地図データに基づき、交差点を曲がるのに要する時間を算出してもよい。そして、算出した時間に基づいて開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定してもよい。
【0053】
また、荷物の受け取りに関する支援が必要な場面に応じて音声出力時間が予め決められていてもよい。そして、制御部45は、この音声出力時間に基づいて開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを決定してもよい。
【0054】
制御部45は、音声出力イベントが発生しないと判定したとき(ステップS7:NO)、又は音声を出力したとき(ステップS8)、終点に到着したか否かを判定する(ステップS9)。制御部45は、無人走行機30が終点に到着していないと判断すると(ステップS9:NO)、ステップS3に戻る。
【0055】
制御部45は、無人走行機30が終点に到着したと判断すると(ステップS9:YES)、音声出力処理を終了する。また、音声識別情報52Aの選択を解除した状態とする。
(音声選択処理)
次に図7を参照して音声選択処理(ステップS5)について詳述する。この音声選択処理は、基本的に周囲の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aを選択する処理である。周囲の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在しない場合には、所定の条件に基づいて、周囲の無人走行機30のうち一台を特定し、特定した無人走行機30が選択した音声識別情報52Aを選択する。
【0056】
まず、制御部45は、記憶部46に記録した音声選択情報53を参照して、自身が選択中の音声識別情報52Aがあるか否かを判断する(ステップS11)。選択中の音声識別情報52Aがある場合には(ステップS11:YES)、選択中の音声識別情報52Aを維持する(ステップS18)。操作案内の音声を既に出力している場合には、少なくとも操作案内が終了するまで音声識別情報52Aの選択が維持される。つまり、操作案内の途中で音声の特徴が変わることがないため、ユーザに違和感を与えないようにすることができる。
【0057】
一方、制御部45は、選択中の音声識別情報52Aが無いと判断すると(ステップS11:NO)、他の無人走行機30の音声識別情報52Aの選択状況を取得する(ステップS12)。制御部45は、周囲の他の無人走行機30が送信した通信データを記憶部46に記憶している。制御部45は、記憶部46に記憶されたデータのうち、音声選択情報53を取得する。このとき、制御部45は、音声選択情報53とともに記憶している車両位置に基づいて、自車両から所定距離範囲内に位置する車両の音声選択情報53を抽出するようにしてもよい。所定距離範囲は、無人走行機30が出力する音声を人が聞き取りやすい範囲である。例えば、人が無人走行機30から100m以内の距離に位置するとき無人走行機30が出力する音声を聞き取ることができ、100mを超えると無人走行機30が出力する音声を聞き取りにくい場合、所定距離範囲は100m以内の範囲とする。又は、制御部45は、自車両と通信可能な他の無人走行機30の全てを対象として、それらの車両から受信した通信データを、音声識別情報52Aの選択状況を判断するための通信データとして用いてもよい。
【0058】
制御部45は、選択されていない音声識別情報52Aが存在するか否かを判断する(ステップS13)。具体的には、制御部45は、取得した音声選択情報53に基づいて、「1」~「3」までの音声識別情報52Aのうち、選択されていない音声識別情報52Aが存在するか否かを判断する。例えば自車両の周囲に他の無人走行機30が1台のみ存在するとともに、その他の無人走行機30が「1」の音声識別情報52Aを選択している場合、「2」、「3」の音声識別情報52Aが選択されていないと判断する。また、自車両の周囲に他の無人走行機30が3台以上存在するとともに、それらの他の無人走行機30の各々が「1」~「3」の音声識別情報52Aを選択している場合、全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断する。
【0059】
制御部45は、選択されていない音声識別情報52Aが存在する、つまり選択可能な音声識別情報52Aが存在すると判断すると(ステップS13:YES)、その選択されていない音声識別情報52Aを選択して(ステップS19)、音声選択処理を終了する。
【0060】
一方、制御部45は、選択されていない音声識別情報52Aが存在しない、すなわち全ての音声識別情報52Aが選択済みであると判断すると(ステップS13:NO)、周囲の無人走行機30の音声出力状況を取得する(ステップS14)。音声出力状況は、音声を出力中であるか否か、出力中でない場合には出力予定があるか否かを含む。出力中であるか否かは、現在時刻が、取得した音声選択情報53に含まれる開始予定時刻53Bから終了予定時刻53Cまでの期間に含まれるか否かで判断することができる。出力予定があるか否かは、予め取得した音声選択情報53に開始予定時刻53Bが含まれるか否かに基づいて判断することができる。
【0061】
さらに制御部45は、取得した音声出力状況に基づいて、音声の出力中ではない無人走行機30又は出力予定が無い無人走行機30が存在するか否かを判断する(ステップS15)。制御部45は、音声の出力中ではない無人走行機30、又は出力予定が無い無人走行機30が存在しないと判断すると(ステップS15:NO)、所定条件に従って、音声が重なりにくいと想定される一台の無人走行機30を特定する(ステップS20)。このとき、制御部45は、記憶部46に記憶した通信データ又は新たに取得した通信データから、他の無人走行機30から移動方向と車両位置とを取得する。他の無人走行機30を選択する所定条件の一例は、移動方向が自車両から離れる方向で車両のうち自車両との相対距離が最も遠いものである。移動方向が自車両から離れる無人走行機30が一台である場合、この無人走行機30を特定する。移動方向が自車両から離れる方向は、例えば、自車両の移動方向と同じ方向、自車両の移動方向と直交する方向であって自車両と接近しないような方向等である。他の無人走行機30が自車両の移動方向に対して反対となる方向に移動する場合、自車両に接近することが想定されるため、無人走行機30の車両位置も考慮しつつ、自車両の移動方向に対して反対となる方向は含めないようにする。
【0062】
さらに制御装置32は、特定した他の無人走行機30が選択した音声識別情報52Aを選択する(ステップS21)。このように音声が重なりにくい他の無人走行機30の音声識別情報52Aを選択することで、同じ特徴を有する音声が自車両から近い位置で発せられることを抑制することができる。
【0063】
一方、制御部45は、音声の出力中ではない無人走行機30又は出力予定が無い無人走行機30が存在すると判断すると(ステップS15:YES)、対象となる他の無人走行機30に選択解除要求を送信する(ステップS16)。選択解除要求は、音声識別情報52Aの選択を解除するように求める要求である。選択解除要求は、選択解除要求の対象である他の無人走行機30の識別情報を含む。また、選択解除要求の代わりに、新たに音声識別情報52Aを選択し直す再選択要求を送信するようにしてもよい。選択解除要求を受信した他の無人走行機30は、音声識別情報52Aの選択を解除する。再選択要求を受信した他の無人走行機30は、音声識別情報52Aを再選択する。そして、解除を完了したことを示す情報を、選択解除要求を送信した無人走行機30に送信する。
【0064】
制御部45は、解除を完了したことを示す情報を受信すると、対象の無人走行機30が選択していた音声識別情報52Aを選択する(ステップS17)。そして音声選択処理を終了する。
【0065】
図8を参照して、選択解除処理について説明する。制御部45は、選択解除処理を、音声選択処理と並行して若しくは音声選択処理を終了した後に実行する。制御部45は、選択中の音声識別情報52Aがあるか否かを判断する(ステップS30)。
【0066】
制御部45は、選択中の音声識別情報が無いと判断すると(ステップS30:NO)、選択解除処理を終了する(ステップS33)。一方、制御部45は、選択中の音声識別情報があると判断すると(ステップS30:YES)、選択した音声識別情報52Aを維持するか否かを判断する(ステップS31)。
【0067】
制御部45は、音声識別情報52Aを維持するか否かは、音声選択情報53に含まれる終了予定時刻53Cに基づいて判断する。制御部45は、現在時刻が終了予定時刻53Cを過ぎていない場合には音声識別情報52Aを維持すると判断する。また、現在時刻が終了予定時刻53Cに到達している場合には、音声識別情報52Aを維持せずに解除すると判断する。また、制御部45は、選択解除要求を他の無人走行機30から受信している場合には、音声識別情報52Aを維持せずに解除すると判断する。
【0068】
制御部45は、選択した音声識別情報52Aを維持しないと判断した場合には(ステップS31:NO)、音声識別情報52Aの選択を解除する(ステップS33)。また、選択した音声識別情報52Aを維持すると判断した場合には(ステップS31:YES)、音声識別情報52Aの選択を解除せずに維持する(ステップS32)。
【0069】
このように、無人走行機30は始点を出発したときから音声識別情報52Aの選択及び解除を繰り返す。このため、無人走行機30の各々が選択できる音声の種類は限られているものの、複数の無人走行機30間で音声識別情報52Aを効率よく用いることが可能となる。その結果、同じ特徴を有する音声が、近い距離且つ同じタイミングで異なる無人走行機30から出力されることを抑制することができるので、周囲に存在する人物は音の出力元の無人走行機30を識別しやすくなる。
【0070】
次に図9~11を参照して、音声選択処理の例について詳述する。ここでは、無人走行機30が交差点付近を走行しつつ音声を選択する場合を例とする。
図9の例では、自車両である無人走行機30は、交差点100の手前を走行している。無人走行機30は、図9に示す位置において、音声識別情報52Aを選択していない状態である。交差点100付近には、無人走行機30の他に、他の無人走行機30Aが存在する。他の無人走行機30Aは「1」の音声識別情報52Aに関連付けられた音声を出力中である。他の無人走行機30Aは、交差点100を左折しながら「左へ曲がります」等の音声を出力する。無人走行機30の制御部45は、車車間通信により、他の無人走行機30Aが選択した音声識別情報52Aを取得する。無人走行機30の制御部45は、自車両では[2],「3」の音声識別情報52Aを利用可能と判断するとともに、それらのいずれかを選択する。このとき音声識別情報52Aの各々に関連付けられた優先順位に基づいて音声識別情報52Aを選択するようにしてもよい。
【0071】
図10の例では、交差点100付近には、無人走行機30の他に、他の無人走行機30A~30Cが存在する。他の無人走行機30Aは、「1」の音声識別情報52Aに関連付けられた音声を出力中である。他の無人走行機30Bは、「2」の音声識別情報52Aに関連付けられた音声を出力中である。他の無人走行機30Bは、例えば近くに位置するユーザ102に対し、「PINコードを入力してください」等の操作案内音声を出力している。他の無人走行機30Cは、「3」の音声識別情報52Aに関連付けられた音声を選択中であるが、出力予定が無い。この場面においては、全ての音声識別情報52Aが選択中であるため、選択されていない音声識別情報52Aは存在しない。他の無人走行機30Cが「3」の音声識別情報52Aの選択を解除した場合には、無人走行機30は、「3」の音声識別情報52Aを選択する。このような場合、無人走行機30及び他の無人走行機30Cは、いずれかに音声出力イベントが発生するまで「3」の音声識別情報52Aを交互に選択する状態になることがある。しかし、無人走行機30は周囲の他の無人走行機30の選択状態を考慮するため、無人走行機30及び他の無人走行機30Cの相対距離が離れると、無人走行機30は他の無人走行機30Cの音声の選択状態に影響を受けない状態になる。又は、他の無人走行機30Aが交差点100から遠ざかり、「1」の音声識別情報52Aが交差点100付近で選択されていない状態になると、例えば他の無人走行機30Aが「1」の音声識別情報52Aを選択する。そして、他の無人走行機30Cが「3」の音声識別情報52Aを選択可能な状態となる。
【0072】
図11の例では、交差点100付近には、無人走行機30の他に、他の無人走行機30A~30Cが存在する。他の無人走行機30A,30Bは、「1」の音声識別情報52A及び「2」の音声識別情報52Aに関連付けられた音声をそれぞれ出力中である。他の無人走行機30Cは、「3」の音声識別情報52Aに関連付けられた音声を選択中であって出力予定がある。つまり、他の無人走行機30A~30Cのいずれもが音声の出力中又は出力予定がある。この場合、無人走行機30の制御部45は、自車両から遠ざかる方向に移動する他の無人走行機30の中から最も相対距離が長い他の無人走行機30を選択する。図11の例では、自車両から遠ざかる無人走行機30は無人走行機30Aのみである。このため、制御部45は、「1」の音声識別情報52Aを選択する。これによれば、同じ音声識別情報52Aを選択した無人走行機30及び他の無人走行機30Aが、同じ特徴を有する音声を同じタイミングで出力する場面が生じたとしても、互いに近い位置で音声を出力することを抑制することができる。このため、交差点100の付近に存在する人物(例えば図11中のユーザ102)は、音声の出力元である無人走行機30,30Aを識別しやすくなる。
【0073】
上記実施形態から得られる効果について説明する。
(1)無人走行機30は、自車両の周囲に存在する他の無人走行機30が選択した音声識別情報52Aを取得し、その音声識別情報52Aとは異なる音声識別情報52Aを選択する。これによれば、互いに近い位置に存在する複数の無人走行機30が同じ期間内に音声を出力したとしても、それらの音声は特徴が異なる。これによれば、無人走行機30の周囲に存在するユーザは音声の出力元である無人走行機30を識別することができる。
【0074】
(2)自車両の周囲に他の無人走行機30が存在する場合、無人走行機30は、他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aを選択する。しかし、他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在しない、つまり全ての音声識別情報52Aが選択された状態にある場合が想定される。上記実施形態によれば、無人走行機30は、他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在する場合には当該音声識別情報52Aを選択する。また、他の無人走行機30が選択していない音声識別情報52Aが存在しない場合には、複数の他の無人走行機30のうち一台を所定条件に基づいて特定し、特定した他の無人走行機30が選択している音声識別情報52Aを選択する。この場合、周囲に存在する人物が、音の出力元である無人走行機30を識別しやすいような音声を選択することが可能となる。
【0075】
(3)無人走行機30は、全ての音声識別情報52Aが選択された状態にある場合に、出力中ではない他の無人走行機30又は出力予定が無い他の無人走行機30が選択している音声識別情報52Aを選択する。このため、複数の無人走行機30が同じ特徴を有する音声を異なる無人走行機30から出力する場合であっても、それらの音声が同じタイミングで出力されることを抑制することができる。
【0076】
(4)無人走行機30は、全ての音声識別情報52Aが選択された状態にある場合に、周囲に存在する無人走行機30に対し、選択解除要求を送信する。このため、音声識別情報52Aを効率的に選択することができる。
【0077】
(5)無人走行機30は、全ての音声識別情報52Aが選択された状態にある場合に、周囲に存在する複数の無人走行機30のうち、自車両から離れる方向に移動し且つ自車両との距離が最も大きい他の無人走行機30を特定する。そして、特定した他の無人走行機30が選択している音声識別情報52Aを選択する。これによれば、それらの無人走行機30が近い位置で同じ特徴を有する音声を出力し続けることがない。このため、それらの無人走行機30の近くに位置する人物は、同じ特徴を有する音声が異なる無人走行機30から出力されたとしても、音声を出力する無人走行機30を識別しやすくなる。
【0078】
(6)無人走行機30は、他の無人走行機30から選択解除要求を受信した場合には、選択している音声の選択を解除するようにした。このため、複数の無人走行機30の間で、音声識別情報52Aを効率的に選択することができる。
【0079】
(7)無人走行機30は、周囲に存在する他の無人走行機30が存在しない場合に標準の音声識別情報52Aを選択する。このため、音声の聞き取りやすさ、ユーザが聞き慣れていること等を優先して音声識別情報52Aを選択することができる。
【0080】
(8)一つの音声識別情報52Aには内容が異なる複数の波形データが関連付けられており、制御部45は音声出力イベントに応じて波形データを選択する。このため、他の無人走行機30と重複しないような特徴を有する音声であって、自車両周囲の状況に応じた音声を出力することができる。
【0081】
(9)上記実施形態では、音声識別情報52Aは、音声を発話する仮想的な話者に割り振られた情報である。このため、無人走行機30の周囲に存在する人物は、日常生活で各人物の肉声を聞き分けるように、音源である無人走行機30を識別することができる。
【0082】
(10)上記実施形態では、周囲の人物への案内に必要な一連の音声の出力を終了するまで同じ音声識別情報52Aを用いて音声を出力するようにした。これによれば、周囲に存在する人物が、一連の音声内容を、同じ特徴の音声で聞くことができる。
【0083】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
(音声選択処理)
・上記実施形態では、音声出力イベントが発生する前に音声識別情報52Aを選択するようにした。これに代えて、音声出力イベントが発生したことをトリガーとして音声識別情報52Aを選択するようにしてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、制御部45が全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断した場合に、複数の他の無人走行機30のうち一台を所定条件に基づいて特定した。そして、特定した他の無人走行機30が選択している音声識別情報52Aを選択した。これに代えて、全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断した場合に、他の無人走行機30が音声の出力を終了するまで待機するようにしてもよい。
【0085】
・上記実施形態では、制御部45が、全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断した場合に、音声を出力中ではない又は出力予定が無い無人走行機30を特定した。そして、特定した無人走行機30が選択している音声識別情報52Aを選択するようにした。これに代えて、制御部45は、出力予定であるか否かを考慮せず、音声を出力中ではない無人走行機30のみを特定するようにしてもよい。そして、音声を出力中ではない無人走行機30が存在しない場合に音声が重なりにくい無人走行機30を特定するようにしてもよい。この態様においては、無人走行機30は、一連の音声の出力を終了したと判断したときに音声の選択を解除する。この場合、音声選択情報53に開始予定時刻53B及び終了予定時刻53Cを記録しなくてもよい。
【0086】
・上記実施形態では、制御部45が全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断し且つ出力中ではない又は出力予定がない無人走行機が存在すると判断した場合に、他の無人走行機30に対し選択解除要求を送信するようにした。これに代えて、制御部45が、全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断した場合に、音声の出力状況以外の条件で他の無人走行機30を特定し、特定した他の無人走行機30に対して選択解除要求を送信してもよい。音声の出力状況以外の条件とは、自車両の音声出力イベントの緊急度や重要度が、他車両の音声出力イベントの緊急度や重要度よりも高いことであってもよい。又は、周囲に存在する全ての無人走行機30に対し選択解除要求を送信し、選択解除要求を受信した無人走行機30自身が、音声識別情報を解除するか否かを選択するようにしてもよい。音声識別情報52Aを解除することを選択した無人走行機30は、音声識別情報52Aを解除し、解除したことを示す情報及び自身の識別情報を選択解除要求の送信元である無人走行機30に送信する。
【0087】
・上記実施形態では、制御部45が全ての音声識別情報52Aが選択されていると判断し且つ出力中ではない又は出力予定がない他の無人走行機30が存在しないと判断した場合に、自車両から離れる方向に移動する他の無人走行機30の中で相対距離が最も長いものを特定した。そして、特定した他の無人走行機30が選択した音声識別情報52Aを選択するようにした。これに代えて、移動方向を考慮せず、他の無人走行機30の中で相対距離が最も長いものを特定するようにしてもよい。
【0088】
又は、制御部45は、相対距離を考慮せず、自車両の移動方向と異なる方向に移動する他の無人走行機30を特定してもよい。そして、特定した無人走行機30の音声識別情報52Aを選択するようにしてもよい。
【0089】
・上記実施形態では、制御部45、全ての音声識別情報52Aが選択中であると判断し且つ出力中ではない又は出力予定がない他の無人走行機30が存在すると判断した場合に、音声が重なりにくい他の無人走行機30を特定した。そして、他の無人走行機30に対し選択解除要求を送信するようにした。これに代えて、選択解除要求を送信せずに、その無人走行機30が選択した音声識別情報52Aを選択するようにしてもよい。この場合であっても出力中ではない又は出力予定が無い他の無人走行機30の音声識別情報52Aを選択することで、同じ音声特徴を有する音声が同じタイミングで出力されることを極力抑制することができる。
【0090】
(出力制御処理)
・上記実施形態では、音声識別情報52Aは、音声を発話する仮想的な話者毎に割り振られた情報である。無人走行機30は、選択した音声識別情報52Aに基づいて「左へ曲がります」等の内容の音声を出力した。これに代えて若しくは加えて、音声識別情報52Aに関連付けられた音声は、周波数やテンポ等の音声特徴が互いに異なるビープ音や警告音等の言語的な内容が伴わない音であってもよい。
【0091】
(無人機)
・上記実施形態について、無人走行機30は、荷物の配送を行うようにした。これに代えて若しくは加えて、無人走行機30は、荷物の集荷を行うようにしてもよい。
【0092】
・無人機は、無人航空機であってもよい。無人航空機は、人が搭乗しない航空機である。無人航空機は、無人走行機30と同様に、制御装置、駆動部、電池、及びHMIを備える。駆動部は、電池から供給される電力で駆動する駆動源、駆動源から得られる動力によって動作する回転翼等を含む。制御装置の記憶部には、自律飛行のためのプログラムの他、地図情報、運搬計画情報等の各種情報が記憶されている。同じ配送エリア内で複数の無人航空機が配送を行う場合、複数の無人航空機が互いに近づいた場合には注意喚起の音声や操作案内の音声が重複する可能性がある。このため、上記実施形態と同様な手順で音声を出力する処理を行うことで、周囲に存在する人物が、音声の出力元である無人航空機を識別しやすくなる。
【0093】
・無人走行機30は、自車両が自律して走行を行う自律走行を行うものとした。これに代えて、無人走行機30は、先導する他の無人走行機30等に追従して走行するものとしてもよい。また配送以外の作業を行う無人走行機であってもよい。
【0094】
・無人走行機30は、管理者端末によって遠隔操作されるものであってもよい。管理者端末はネットワーク14に接続されている。この態様であっても、無人走行機30は周囲に存在する他の無人走行機30との間で車車間通信を行って音声識別情報52Aを選択する。
【0095】
(物流管理システムの構成)
・上記実施形態では、無人走行機30が音声記憶部49を備えるようにした。これに代えてサーバ10が音声記憶部49を備えるようにしてもよい。無人走行機30は、音声識別情報52Aの選択が完了したとき等に、サーバ10に音声データの送信要求を送信する。サーバ10は、音声データの送信要求を受信すると、音声データを無人走行機30に送信する。
【0096】
・上記実施形態では、無人走行機30が他の無人走行機30との間で車車間通信によって音声選択情報53や選択解除要求を送受信するようにした。これに代えて、無人走行機30と路側等に設置された通信装置との間で路車間通信によって音声選択情報53や選択解除要求を送受信するようにしてもよい。通信装置は、周囲の無人走行機30から各種データを収集し、収集したデータを周囲の無人走行機30に対し送信する。又は、無人走行機30は、サーバ10との間で、音声選択情報53や選択解除要求を送受信するようにしてもよい。サーバ10は、無人走行機30から各種データを収集する。また、サーバ10は、各データの送信元の無人走行機30との相対距離が所定距離以内の無人走行機30に対し、各データを送信する。
【0097】
・上記実施形態では、無人走行機30が、取得処理、音声選択処理、出力制御処理及び解除処理を実行するようにした。これに代えて、サーバ10、管理者端末又はネットワーク14に接続されたその他の装置が、これらの処理の少なくとも一つを実行するようにしてもよい。例えばサーバ10が上記処理の一部を行い、残りの処理を無人走行機30が行う場合には、サーバ10及び無人走行機30は、処理の結果を共有する必要がある場合に、処理の結果を互いに送受信する。また、サーバ10は複数の装置から構成されていてもよい。例えば物流管理のプラットフォームを提供するPFサーバと、PFサーバから取得した情報に基づいて実際に配送計画を生成する管理サーバとから構成されていてもよい。
【0098】
上記各実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
[付記1]無人機は、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人機が選択した前記音声識別情報を取得する取得処理と、取得した前記音声識別情報に基づき、前記他の無人機が選択した音声識別情報と異なる前記音声識別情報を選択する音声選択処理と、選択した前記音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行する。
【0099】
[付記2]〔付記1〕に記載の無人機において、前記音声選択処理では、複数の前記音声識別情報のうち、前記他の無人機が選択していない前記音声識別情報が存在するか否かを判断し、前記他の無人機が選択していない前記音声識別情報が存在すると判断した場合には当該音声識別情報を選択し、全ての前記音声識別情報が前記他の無人機によって選択されていると判断した場合には、複数の前記他の無人機のうち一台を所定条件に基づいて特定し、特定した前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択してもよい。
【0100】
[付記3]〔付記1〕又は〔付記2〕に記載の無人機において、前記音声選択処理では複数の前記音声識別情報のうち、前記他の無人機が選択していない前記音声識別情報が存在するか否かを判断し、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合には、音声を出力中ではない前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択してもよい。
【0101】
[付記4]〔付記3〕に記載の無人機において、前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合であって且つ音声を出力中ではない前記他の無人機が特定できない場合、音声の出力予定が無い前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択してもよい。
【0102】
[付記5]〔付記1〕~〔付記4〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合に、周囲に存在する前記他の無人機に対し、前記音声識別情報の選択の解除を要求してもよい。
【0103】
[付記6]〔付記1〕~〔付記5〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合に、複数の前記他の無人機のうち、前記無人機から離れる方向に移動する前記他の無人機を特定し、特定した前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択してもよい。
【0104】
[付記7]〔付記1〕~〔付記6〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声選択処理では、全ての前記音声識別情報が選択されていると判断した場合に、複数の前記他の無人機のうち、前記無人機との相対距離が最も大きいものを特定し、特定した前記他の無人機が選択している前記音声識別情報を選択してもよい。
【0105】
[付記8]〔付記1〕~〔付記7〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声選択処理では、周囲に前記他の無人機が存在しない場合には、標準の前記音声識別情報を選択してもよい。
【0106】
[付記9]〔付記1〕~〔付記8〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声識別情報の選択の解除要求を受信した場合には、選択している前記音声識別情報の選択を解除する解除処理をさらに実行してもよい。
【0107】
[付記10]〔付記1〕~〔付記9〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声選択処理において、一つの前記音声識別情報には、音声の内容が異なる複数の出力制御データが関連付けられており、選択中の前記音声識別情報のうち、音声の出力の契機となる音声出力イベントに応じた前記出力制御データを選択してもよい。
【0108】
[付記11]〔付記1〕~〔付記10〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声識別情報は、音声を発話する仮想的な話者毎に割り振られた情報でしてもよい。
[付記12]〔付記1〕~〔付記11〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記無人機は、荷物を配送先に配送し、前記出力制御処理では、ユーザが前記荷物を受け取る操作を支援する音声を出力してもよい。
【0109】
[付記13]〔付記1〕~〔付記12〕のいずれか1項に記載の無人機において、前記音声選択処理では、周囲の人物への案内に必要な一連の音声の出力を終了するまで同じ前記音声識別情報を用いて音声を出力してもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…物流管理システム、10…サーバ、20…ユーザ装置、30…無人走行機。
【要約】
【課題】周囲の他の無人機が出力する音声と区別しやすい音声を出力する。
【解決手段】無人走行機30は、互いに異なる特徴を有する音声にそれぞれ関連付けられた複数の音声識別情報のうち、周囲に存在する他の無人走行機30が選択した音声識別情報を取得する取得処理と、取得した音声識別情報に基づき、他の無人走行機30が選択した音声識別情報と異なる音声識別情報を選択する音声選択処理と、選択した音声識別情報に対応する特徴を有する音声を出力する出力制御処理と、を実行する。
【選択図】図1
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