IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

<>
  • 特許-送信方法及び送信装置 図1
  • 特許-送信方法及び送信装置 図2
  • 特許-送信方法及び送信装置 図3
  • 特許-送信方法及び送信装置 図4
  • 特許-送信方法及び送信装置 図5
  • 特許-送信方法及び送信装置 図6
  • 特許-送信方法及び送信装置 図7
  • 特許-送信方法及び送信装置 図8
  • 特許-送信方法及び送信装置 図9
  • 特許-送信方法及び送信装置 図10
  • 特許-送信方法及び送信装置 図11
  • 特許-送信方法及び送信装置 図12
  • 特許-送信方法及び送信装置 図13
  • 特許-送信方法及び送信装置 図14
  • 特許-送信方法及び送信装置 図15
  • 特許-送信方法及び送信装置 図16
  • 特許-送信方法及び送信装置 図17
  • 特許-送信方法及び送信装置 図18
  • 特許-送信方法及び送信装置 図19
  • 特許-送信方法及び送信装置 図20
  • 特許-送信方法及び送信装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】送信方法及び送信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2368 20110101AFI20230704BHJP
   H04N 21/2362 20110101ALI20230704BHJP
【FI】
H04N21/2368
H04N21/2362
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022105481
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2021075990の分割
【原出願日】2014-07-04
(65)【公開番号】P2022121617
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】61/856,139
(32)【優先日】2013-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】遠間 正真
(72)【発明者】
【氏名】井口 賀敬
(72)【発明者】
【氏名】西 孝啓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久也
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-221826(JP,A)
【文献】特開2006-352306(JP,A)
【文献】特開2004-350250(JP,A)
【文献】特開2000-078197(JP,A)
【文献】国際公開第2008/117524(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に再生可能な単位の映像データを再生するための映像制御情報を送信する映像制御情報送信ステップと、
前記映像データを送信する映像データ送信ステップと、
前記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データを再生するための音声制御情報を送信する音声制御情報送信ステップと、
前記音声データを送信する音声データ送信ステップとを含み、
前記音声データは、各々が個別に再生可能な複数の音声サンプルを含み、
前記音声制御情報は、前記複数の音声サンプルのうち最初に再生される音声サンプルの再生開始時刻である先頭再生開始時刻を示す時刻情報を含み、
前記音声データ送信ステップでは、前記音声データを、各々が前記複数の音声サンプルの一つを含む複数のパケットに分割し、前記音声制御情報とは異なるパケットで送信し、
前記複数のパケットの各々は、当該パケットが、前記複数のパケットの何番目のパケットであるかを示す順番情報を含み、
前記映像データは、映像信号が分割されることにより得られた複数の映像データの一つであり、
前記音声データは、音声信号が分割されることにより得られた複数の音声データの一つである、
送信方法。
【請求項2】
個別に再生可能な単位の映像データを再生するための映像制御情報を送信する映像制御情報送信部と、
前記映像データを送信する映像データ送信部と、
前記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データを再生するための音声制御情報を送信する音声制御情報送信部と、
前記音声データを送信する音声データ送信部とを備え、
前記音声データは、各々が個別に再生可能な複数の音声サンプルを含み、
前記音声制御情報は、前記複数の音声サンプルのうち最初に再生される音声サンプルの再生開始時刻である先頭再生開始時刻を示す時刻情報を含み、
前記音声データ送信部は、前記音声データを、各々が前記複数の音声サンプルの一つを含む複数のパケットに分割し、前記音声制御情報とは異なるパケットで送信し、
前記複数のパケットの各々は、当該パケットが、前記複数のパケットの何番目のパケットであるかを示す順番情報を含み、
前記映像データは、映像信号が分割されることにより得られた複数の映像データの一つであり、
前記音声データは、音声信号が分割されることにより得られた複数の音声データの一つである、
送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信方法、受信方法、送信方法、及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)又はMMT(MPEG Media Transport)などのフォーマットにより、オーディオ及びビデオなどの符号化データをセグメント化し、得られたセグメントを分割することでパケット化し、得られたパケットを放送又は通信などで送信することが検討されている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、MMTに従って、符号化されたメディアデータをパケット毎に送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Information technology - High efficiency coding and media delivery in heterogeneous environment - Part1:MPEG media transport(MMT)、ISO/IEC DIS 23008-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、送信方法及び受信方法では、受信装置において、データを受信してから、映像及び音声が再生されるまでの遅延時間を低減することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、受信装置において、データを受信してから、映像及び音声が再生されるまでの遅延時間を低減できる送信方法又は受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る送信方法は、個別に再生可能な単位の映像データを再生するための映像制御情報を送信する映像制御情報送信ステップと、前記映像データを送信する映像データ送信ステップと、前記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データを再生するための音声制御情報を送信する音声制御情報送信ステップと、前記音声データを送信する音声データ送信ステップとを含み、前記音声データは、各々が個別に再生可能な複数の音声サンプルを含み、前記音声制御情報は、前記複数の音声サンプルのうち最初に再生される音声サンプルの再生開始時刻である先頭再生開始時刻を示す時刻情報を含み、前記音声データ送信ステップでは、前記音声データを、各々が前記複数の音声サンプルの一つを含む複数のパケットに分割し、前記音声制御情報とは異なるパケットで送信し、前記複数のパケットの各々は、当該パケットが、前記複数のパケットの何番目のパケットであるかを示す順番情報を含み、前記映像データは、映像信号が分割されることにより得られた複数の映像データの一つであり、前記音声データは、音声信号が分割されることにより得られた複数の音声データの一つである。
【0008】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
以上より、本発明は、受信装置において、データを受信してから、映像及び音声が再生されるまでの遅延時間を低減できる送信方法又は受信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】MP4ファイルの構成例を示す図である。
図2】MMTデータの構成例を示す図である。
図3】MMTデータにおける復号を開始できるオーディオサンプルを示す図である。
図4】MPEG-2 TSにおける復号を開始できるオーディオサンプルを示す図である。
図5】実施の形態1に係る送信データの構成例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るデータの送信順を示す図である。
図7】実施の形態1に係る送信装置のブロック図である。
図8】実施の形態1に係る送信処理のフローチャートである。
図9】実施の形態1に係る送信処理のフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る送信データの構成例を示す図である。
図11】実施の形態2に係る送信装置のブロック図である。
図12】実施の形態2に係る送信処理のフローチャートである。
図13】実施の形態3に係る送信データの構成例を示す図である。
図14】実施の形態3に係る送信データの構成例を示す図である。
図15】実施の形態3に係る送信装置のブロック図である。
図16】実施の形態3に係る送信処理のフローチャートである。
図17】実施の形態4に係る受信装置のブロック図である。
図18】実施の形態4に係る受信処理のフローチャートである。
図19】実施の形態5に係る受信装置のブロック図である。
図20】実施の形態5に係る受信処理のフローチャートである。
図21】実施の形態5に係る受信処理の別の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となった知見)
各セグメントは、ヘッダ部と符号化データの格納部とから構成される。受信装置は、符号化データからアクセスユニット(DASH及びMMTなどMP4をベースとするフォーマットにおいては、サンプルと呼ぶ)を分離する。また、受信装置は、アクセスユニットのPTS(Presentation Time Stamp)及びDTS(Decoding Time Stamp)を取得するには、ヘッダ部の解析が必要となる。
【0012】
ここで、従来の放送では、ビデオ及びオーディオは、アクセスユニット毎にパケット化され、MPEG-2 TS(Transport Stream)に多重化されて送信されていた。このため、受信装置は、アクセスユニットの分離、並びにPTS及びDTSの取得をパケット単位で行うことができた。
【0013】
一方、DASH及びMMTなどのように、セグメントがパケット化されて送信される場合には、受信装置は、ランダムアクセス時にもセグメントのヘッダを取得する必要がある。よって、受信装置が、セグメントの途中から信号の受信を開始した場合には、当該受信装置は、当該セグメントのアクセスユニットを復号できない。このため、受信装置が復号できるのは次のセグメントからである。このように、本発明者は、ランダムアクセスにおいて、復号の開始までの遅延時間が増大するという課題があることを見出した。
【0014】
以下、図1図4を参照して、MMTを構成するMPU(Media Processing Unit)をパケット多重化する従来の方法における、ランダムアクセス時の課題について説明する。
【0015】
まず、従来のMP4におけるビデオ及びオーディオデータの格納方法、並びに、MP4をベースとする伝送フォーマットであるMMTにおけるデータ格納例について説明する。
【0016】
図1は、MP4におけるデータ格納例を示す図である。図1に示すようにMP4ファイルは、複数のMP4フラグメント(Fragment)を含む。各MP4フラグメントは、一対のmoofとmdatとを含む。mdatは、交互に配置された複数のビデオサンプルと複数のオーディオサンプルとを含む。
【0017】
一般的に、MP4フラグメントはランダムアクセスポイントとして用いられ、ビデオのランダムアクセス単位(RAU:Random Access Unitと呼ぶ)を構成するサンプルが格納される。オーディオは、任意のサンプルから復号可能であるが、ビデオのランダムアクセス単位の再生区間に対応するサンプルが格納される。
【0018】
例えば、ビデオのランダムアクセス単位の再生区間が、10秒から11秒の1秒間であるとすると、対応するオーディオサンプルとして、10秒から11秒の1秒間のサンプルが格納される。
【0019】
ここで、ビデオのフレームレート及びオーディオのサンプリング周波数によっては、両者の再生区間が厳密には一致しないことがある。この場合には、例えば、ビデオの再生区間の先頭サンプルのPTSの直前となるPTSを持つオーディオのサンプルから、ビデオの再生区間の最終サンプルの再生終了時刻の直前となる再生終了時刻を持つオーディオのサンプルまでが選択される。
【0020】
図2は、MMTにおけるMPUへのデータの格納例を示す図である。図1の場合と同様に、ビデオとオーディオとのMPUの再生区間が等しくなるようにMPUが生成される。
【0021】
ビデオ及びオーディオのサンプルの復号においては、当該サンプルが属するMPUのヘッダ(moofなど)の解析が必要である。
【0022】
図3は、図2に示すようなMMTデータをMMTパケットなどにパケット多重化して送信する際のランダムアクセスにおける課題について示す図である。この図3は、MMTパケットに格納されて送信されるビデオ及びオーディオのデータの並び(送信順)を示す。ここでは、ビデオについては、ビデオサンプルV4からRAUが開始する。つまり、ビデオはビデオサンプルV4から復号可能である。
【0023】
また、ここでは、オーディオのN番目のMPU#Nは、オーディオサンプルA1から開始し、MPU#N+1は、オーディオサンプルA10から開始する。また、ビデオサンプルV4のPTSの直後となるPTSを持つオーディオサンプルはオーディオサンプルA2である。
【0024】
このような場合において、受信装置がビデオサンプルV4から受信を開始する場合、オーディオのMPU#Nのヘッダを取得できていないため、当該MPU#Nに含まれるオーディオサンプルA2及びA3等を復号できない。よって、受信装置でオーディオが復号できるのは、MPU#N+1の先頭サンプルであるオーディオサンプルA10からである。
【0025】
一方で、伝送フォーマットとしてMPEG-2 TS(Transport Stream)を用いる従来のTSにおいては、受信装置は、ビデオのランダムアクセスポイントの直後に開始するオーディオのアクセスユニットから復号できた。例えば、図4に示すように、図3と同一の並びでデータを受信した場合に、受信装置は、オーディオをオーディオサンプルA2から復号できる。
【0026】
以上のように、ビデオ及びオーディオが多重化されたMMTのストリームが放送又は通信などにより送信される場合には、受信装置が、ビデオのランダムアクセスポイントから復号を開始してからオーディオの再生を開始できるまでの遅延時間が長くなる場合があるという課題があった。
【0027】
ここで、ビデオに関しては、RAU単位でしか再生を開始できないという制限が存在する。そのため、ビデオのデータに関しては、映像が表示されるまでに、ある程度の遅延時間が存在するのは致し方ない。一方、オーディオは任意のサンプルから再生できにもかかわらず、上記のようなケースでは、再生を開始するまでに遅延時間が発生する。このように、受信装置が、再生可能なデータを受信しているにもかかわらず、そのデータの制御情報を受信できていないために当該データを再生できないという課題があること本発明者は見出した。
【0028】
本発明の一態様に係る送信方法は、個別に再生可能な単位の映像データを再生するための映像制御情報を送信する映像制御情報送信ステップと、前記映像データを送信する映像データ送信ステップと、前記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データを再生するための音声制御情報の送信順を前記映像制御情報の後に決定し、決定された前記送信順で前記音声制御情報を送信する音声制御情報送信ステップと、前記音声データを送信する音声データ送信ステップとを含む。
【0029】
これによれば、当該送信方法は、音声データの音声制御情報を、当該音声データに対応する映像データの映像制御情報より後に送信する。これにより、受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオも復号を開始できる。よって、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。また、音声のセグメントを細分化しなくてもよいため、オーバーヘッドも低減できる。
【0030】
例えば、前記音声データは、各々が個別に再生可能な複数の音声サンプルを含み、前記音声制御情報は、前記複数の音声サンプルの各々の再生開始時刻を示す時刻情報を含んでもよい。
【0031】
例えば、前記音声データの前記再生区間は、前記映像データの前記再生区間に略等しくてもよい。
【0032】
例えば、前記音声データ送信ステップでは、前記音声データを、各々が前記複数の音声サンプルの一つを含む複数のパケットに分割して送信し、前記複数のパケットの各々は、当該パケットが、前記複数のパケットの何番目のパケットであるかを示す順番情報を含んでもよい。
【0033】
これによれば、受信装置は、音声制御情報を受信できない場合であっても、各音声サンプルの再生開始時刻を算出し、算出した再生開始時刻を用いて音声サンプルを再生できる。よって、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0034】
例えば、前記映像データは、映像信号が分割されることにより得られた複数の映像データの一つであり、前記音声データは、音声信号が分割されることにより得られた複数の音声データの一つであり、前記音声データの再生時間は、前記映像データの再生時間より短くてもよい。
【0035】
これによれば、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0036】
例えば、前記複数の音声データは、前記複数の映像データの各々の再生開始時刻と略等しい再生開始時刻の複数の音声データを含んでもよい。
【0037】
また、本発明の一態様に係る受信方法は、前記送信方法により送信された前記映像制御情報、前記映像データ、前記音声制御情報及び前記音声データを受信する。
【0038】
これによれば、受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオも復号を開始できる。よって、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0039】
また、本発明の一態様に係る受信方法は、前記送信方法により送信された前記映像制御情報、前記映像データ、前記音声制御情報及び前記音声データを受信する受信方法であって、前記複数の音声サンプルのうち最初に再生される音声サンプルの再生開始時刻である先頭再生開始時刻を取得する再生開始時刻取得ステップと、前記複数の音声サンプルの各々の再生時間を取得する再生時間取得ステップと、前記先頭再生開始時刻と、前記再生時間と、処理対象の前記パケットに含まれる前記順番情報とを用いて、当該処理対象の前記パケットに含まれる前記音声サンプルの再生開始時刻を判定する判定ステップとを含む。
【0040】
これによれば、受信装置は、音声制御情報を受信できない場合であっても、各音声サンプルの再生開始時刻を算出し、算出した再生開始時刻を用いて音声サンプルを再生できる。よって、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0041】
また、本発明の一態様に係る送信装置は、個別に再生可能な単位の映像データを再生するための映像制御情報を送信する映像制御情報送信部と、前記映像データを送信する映像データ送信部と、前記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データを再生するための音声制御情報の送信順を前記映像制御情報の後に決定し、決定された前記送信順で前記音声制御情報を送信する音声制御情報送信部と、前記音声データを送信する音声データ送信部とを備える。
【0042】
これによれば、当該送信装置は、音声データの音声制御情報を、当該音声データに対応する映像データの映像制御情報より後に送信する。これにより、受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオも復号を開始できる。よって、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。また、音声のセグメントを細分化しなくてもよいため、オーバーヘッドも低減できる。
【0043】
また、本発明の一態様に係る受信装置は、前記送信装置により送信された前記映像制御情報、前記映像データ、前記音声制御情報及び前記音声データを受信する。
【0044】
これによれば、当該受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオも復号を開始できる。よって、受信装置が音声データの復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0045】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0046】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0047】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0048】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る送信方法及び送信装置について説明する。本実施の形態に係る送信方法は、ビデオのMPUのMPUヘッダを格納するMMTパケットよりも後に、当該ビデオのMPUと同一再生区間を持つオーディオのMPUのMPUヘッダを格納するMMTパケットを送信する。
【0049】
これにより、受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオも復号を開始できる。よって、受信装置がオーディオの復号を開始するまでの遅延時間を低減できる。また、オーディオのセグメントが細分化されないため、オーバーヘッドも低減できる。
【0050】
まず、本実施の形態に係る送信方法におけるデータ構造を説明する。
【0051】
図5は、本実施の形態に係るMPUの構成を示す図である。図5に示すようにMMTデータは、複数のビデオMPU(V_MPU)と、複数のオーディオMPU(A_MPU)とを含む。
【0052】
各MPU(ビデオMPU及びオーディオMPU)は、MPUヘッダと、MPUペイロードとを含む。MPUヘッダは、MPUメタデータ(ftyp、mmpu及びmoovなど)と、FRGメタデータ(moof及びmdatなどmovie fragment単位のヘッダ)とを含む。また、MPUヘッダは、MPUメタデータに含まれる複数のサンプル各々のPTS及びDTSの少なくとも一方を示す情報を含む。
【0053】
なお、以下では、ビデオMPUのMPUヘッダをビデオMPUヘッダと呼び、ビデオMPUのMPUペイロードをビデオMPUペイロードと呼ぶ。また、オーディオMPUのMPUヘッダをオーディオMPUヘッダと呼び、オーディオMPUのMPUペイロードをオーディオMPUペイロードと呼ぶ。
【0054】
例えば、複数のオーディオMPUの各々は、複数のビデオMPUの一つと対応する。図5では、対応するビデオMPUとオーディオMPUとをV_MPU#n(nは自然数)及びA_MPU#nと表している。また、対応するオーディオMPUとビデオMPUとは、例えば、同一の再生区間を有する。
【0055】
なお、ビデオのフレームレート又はオーディオのサンプリング周波数によっては、両者の再生区間が厳密には一致しないことがある。このときは、例えば、ビデオMPUに対応するオーディオMPUとして、ビデオMPUの再生区間の先頭サンプルのPTSの直前となるPTSを持つオーディオのサンプルから、ビデオMPUの再生区間の最終サンプルの再生終了時刻の直前となる再生終了時刻を持つオーディオのサンプルまでが選択される。なお、ビデオMPUに対応するオーディオMPUとして、ビデオMPUの再生区間の先頭サンプルのPTSの直後となるPTSを持つサンプルから、ビデオMPUの再生区間の最終サンプルの再生終了時刻の直後となる再生終了時刻を持つサンプルまでが選択されてもよい。
【0056】
つまり、対応するビデオMPUとオーディオMPUとは略同一な再生区間を有する。言い換えると、対応するビデオMPUとオーディオMPUとは少なくともと再生区間の一部が重複する。
【0057】
図6は、本実施の形態におけるMTTパケットの送信順(多重化順)の一例を示す図である。
【0058】
ビデオMPUペイロードは、複数のビデオサンプル(アクセスユニット)V1~V8を含む。ビデオMPUは、複数のMMTパケット(以下、ビデオMMTパケットとも呼ぶ)に分割される。複数のビデオMMTパケットは、ビデオMPUヘッダが格納されるパケット(V_MPU(n)_H)と、ビデオMPUペイロードに含まれる複数のビデオサンプルが格納される複数のパケット(V_MPU(n)_P)とを含む。複数のパケット(V_MPU(n)_P)には、複数のビデオサンプル(V1~V8)が分割されて格納される。
【0059】
オーディオMPUペイロードは、複数のオーディオサンプル(アクセスユニット)A1~A10を含む。オーディオMPUは、複数のMMTパケット(以下、オーディオMMTパケットとも呼ぶ)に分割される。複数のオーディオMMTパケットは、オーディオMPUヘッダが格納されるパケット(A_MPU(n)_H)と、オーディオMPUペイロードに含まれる複数のオーディオサンプルが格納される複数のパケット(A_MPU(n)_P)とを含む。複数のパケット(A_MPU(n)_P)には、複数のオーディオサンプル(A1~A10)が分割されて格納される。
【0060】
本実施の形態では、図6に示すように、ビデオMPUのMPUヘッダを格納するMMTパケットV_MPU(n)_Hよりも後に、当該ビデオMPUに対応するオーディオMPUのMPUヘッダを格納するMMTパケットV_MPU(n)_Hを送信する。
【0061】
これにより、受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオも復号を開始できる。よって、受信装置がオーディオの復号を開始するまでの遅延時間を低減できる。また、オーディオのセグメントが細分化されないため、オーバーヘッドも低減できる。
【0062】
ここで、ビデオの符号化においては、RAUの先頭のアクセスユニット(MP4におけるサンプル)の符号量が、後続のアクセスユニットと比較して大きくなるのが一般的である。一方で、オーディオについては、アクセスユニットの符号量のバラツキは、ビデオに比べて少ない。このため、特に、オーディオ及びビデオの符号化データを多重化したパケット列を固定レートで送信する場合、ビデオのRAUの先頭アクセスユニットについては、復号時刻までにアクセスユニットの全データが受信できていることを保証するために、早い時刻から送出が開始される。従って、MMTにおいて、MPEG-2 TS(Transport Stream)と同様にSTD(System Target Decoder)のようなシステムデコーダモデルを規定した場合でも、n番目のビデオMPUヘッダを格納したMMTパケットよりも後に、n番目のオーディオMPUのヘッダを格納したMMTパケットを送信し、かつ、システムデコーダモデルを満たすことができる。
【0063】
以下、本実施の形態に係る送信装置の構成及びその動作を説明する。
【0064】
図7は、本実施の形態に係る送信装置100のブロック図である。図7に示す送信装置100は、MPU生成部101と、パケット多重化部102とを備える。パケット多重化部102は、ビデオヘッダ判定部111と、オーディオヘッダ判定部112と、多重化部113とを備える。
【0065】
図8は、本実施の形態に係る送信処理(多重化処理)のフローチャートである。
【0066】
MPU生成部101は、入力されたビデオ信号及びオーディオ信号を分割することで、複数のビデオMPU及び複数のオーディオMPUを生成する。
【0067】
次に、パケット多重化部102は、ビデオMPU及びオーディオMPUを多重化する。
【0068】
具体的には、まず、ビデオヘッダ判定部111は、n番目のビデオMPUであるV_MPU(n)のMPUヘッダを格納するMMTパケットの送信順(VH_LOC)が決定しているかどうかを判定する(S101)。
【0069】
VH_LOCが決定している場合(S101でYes)、オーディオヘッダ判定部112は、n番目のオーディオMPUであるA_MPU(n)のMPUヘッダを格納するMMTパケットが、VH__LOCよりも後に送信されるように送信順を決定する(S102)。
【0070】
次に、多重化部113は、オーディオMPU及びビデオMPUのデータをMMTパケットに格納し、パケットを多重化することで送信ストリームを生成する(S103)。なお、このとき、多重化部113は、オーディオMPUヘッダが格納されるMMTパケットを、ステップS102で決定された送信順に従い送信する。つまり、多重化部113は、n番目のオーディオMPUであるA_MPU(n)のMPUヘッダを格納するMMTパケットを、n番目のビデオMPUであるV_MPU(n)のMPUヘッダを格納するMMTパケットよりも後に送信する。
【0071】
一方、VH_LOCが決定していない場合(S101でNo)、多重化部113は、オーディオMPU及びビデオMPUのデータをMMTパケットに格納し、パケットを多重化することで送信ストリームを生成する(S103)。
【0072】
また、上記の一連の処理が、全てのMMTパケットが送信されるまで、繰り返し行われる(S104)。
【0073】
なお、ここでは、送信装置100は、ビデオMPUヘッダのMMTパケットを基準として、当該MMTパケットより送信順が後になるようにオーディオMPUヘッダのMMTパケットの送信順を決定しているが、オーディオMPUヘッダのMMTパケットを基準として、当該MMTパケットより送信順が前になるようにビデオMPUヘッダのMMTパケットの送信順を決定してもよい。言い換えると、多重化部113は、n番目のビデオMPUであるV_MPU(n)のMPUヘッダを格納するMMTパケットを、n番目のオーディオMPUであるA_MPU(n)のMPUヘッダを格納するMMTパケットよりも前に送信してもよい。
【0074】
なお、上記説明では、送信装置100は、各MPUに含まれるMPUヘッダとMPUペイロードとを単一のストリームに多重化して送信しているが、MPUヘッダ(又はMPUヘッダに含まれる情報の一部)を、MPUペイロードが多重化されたストリームとは別の信号として送信してもよい。この場合においても、送信装置100は、当該別の信号において、オーディオMPUヘッダを、当該オーディオMPUヘッダに対応するビデオMPUヘッダより後に送信する。
【0075】
また、送信装置100は、MPUヘッダを送信せずに、MPUペイロードのみを送信する場合も、オーディオMPUとビデオMPUとの再生区間を揃えてもよい。こうすることで、同期して再生されるビデオMPUとオーディオMPUとのインデックス番号が同一となる。MMTの伝送においては、MPU毎のPTS及びDTSの絶対値が受信装置へ提供される。よって、同期再生されるビデオMPUとオーディオMPUのインデックス番号が同一であることにより、受信装置における、再生を開始するビデオのアクセスユニットのPTSに対応するPTSを持つオーディオのアクセスユニットを探索する処理の処理量を削減できる。
【0076】
以上のように、本実施の形態に係る送信装置100は、図9に示す処理を行う。
【0077】
まず、送信装置100は、個別に再生可能な単位(RAU単位)の映像データ(ビデオMPU)を再生するための映像制御情報(ビデオMPUヘッダ)を送信する(S121)。
【0078】
次に、送信装置100は、上記個別に再生可能な単位(RAU単位)の映像データ(ビデオMPU)を送信する(S122)。
【0079】
次に、送信装置100は、上記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データ(オーディオMPU)を再生するための音声制御情報(オーディオMPUヘッダ)を、上記映像制御情報を送信した後に送信する(S123)。つまり、送信装置100は、上記映像データの再生区間に対応する再生区間の音声データ(オーディオMPU)を再生するための音声制御情報(オーディオMPUヘッダ)の送信順を上記映像制御情報の後に決定し、決定された送信順で音声制御情報を送信する。言い換えると、送信装置100は、音声制御情報の送信順が上記映像制御情報の前にならないように音声制御情報の送信順を決定し、決定された送信順で音声制御情報を送信する。これにより、音声制御情報は常に映像制御情報の後に送信される。言い換えると、送信装置100は、音声制御情報が映像制御情報より前に送信されることを禁止する。
【0080】
次に、送信装置100は、上記音声データを送信する(S124)。
【0081】
例えば、上記音声データは、各々が個別に再生可能な複数の音声サンプルを含む。また、音声制御情報は、複数の音声サンプルの各々の再生開始時刻を示す時刻情報(PTS)を含む。また、音声データの再生区間は、映像データの再生区間に略等しい。
【0082】
以上より、本実施の形態に係る送信装置100は、セグメントをパケット多重化して送信する際に、オーディオのセグメント(MPU)のヘッダを、当該オーディオのセグメントとセグメントの先頭PTSが一致するビデオのセグメントのヘッダよりも後に送信する。これにより、受信装置は、ランダムアクセス時にビデオの復号を開始できる時刻においてオーディオの復号も開始できる。よって、ビデオの復号の開始からオーディオの復号の開始までの遅延時間が低減される。また、オーディオのセグメントを細分化する必要がないため、オーバーヘッドも低減できる。
【0083】
(実施の形態2)
本実施の形態では、送信装置は、受信装置が、オーディオのサンプルデータに含まれる情報等に基づいてオーディオサンプルのPTSを決定できるストリームを生成する。これにより、受信装置は、オーディオMPUヘッダが取得できない場合でも、オーディオサンプルを再生できる。
【0084】
例えば、本実施の形態の方法を用いることで、図3に示すケースにおいても、受信装置は、オーディオサンプルA2から復号を開始できる。
【0085】
図10は、本実施の形態に係るオーディオMPUの構成を示す図である。
【0086】
図10に示すように、オーディオサンプルを格納する複数のMMTパケット(A_MPU(n)_P1~AMPU(n)_P8)の各々に、1つのオーディオサンプル(A1~A8のいずれか)が格納される。つまり、複数のMMTパケットは、複数のオーディオサンプルと一対一で対応する。
【0087】
また、各MMTパケットは、ヘッダと、オーディオサンプルのデータが格納されるペイロードとを含む。当該ヘッダは、フラグメントSNを含む。フラグメントSNは、MPUが分割された単位(フラグメント)のインデックス番号である。つまり、フラグメントSNは、そのフラグメント(パケット)がMPU内において何番目のフラグメントであるかを示す。また、本実施の形態では、1つのフラグメント(パケット)に1つのオーディオサンプルが格納されるので、このフラグメントSNは、当該フラグメントに含まれるオーディオサンプルの、MPU内における復号順を示す。
【0088】
なお、オーディオサンプルを格納するMMTパケットには、MPUヘッダは含まれない。
【0089】
また、復号を開始するオーディオMPUにおける先頭サンプルのPTS(Presentation Time Stamp)は、MMTメッセージなどにより、別途受信装置へ送信される。
【0090】
例えば、放送の選局後に復号を開始する場合には、選局時に取得するMMTのPAメッセージなどにおいて、選局後の一定期間に送信されるMPUの先頭サンプルのPTSが示される。
【0091】
また、サンプルデータには、サンプリング周波数を示す情報が含まれる。例えば、MPEG-2及びMPEG-4のAACのADTS(Audio Data Transport Stream)方式においては、ADTSヘッダにサンプリング周波数及びチャネル構成を示す情報が含まれる。
【0092】
また、AACのADTS及びLATM(Low-overhead MPEG-4 Audio Transport Multiplex)をMP4に格納する際には、ADTSヘッダなどのヘッダ情報をサンプルデータから削除して、ヘッダ情報をmoovのstsdに格納することがある。この場合には、AACのサンプルデータに、ヘッダ情報が含まれるかどうかを示す情報を、MP4ファイルのブランド、又は、別途定義されたBoxなどに格納してもよいし、AACのサンプルデータに、ヘッダ情報が含まれるかどうかを放送などの運用規定において予め定めてもよい。あるいは、サンプルデータにヘッダ情報が含まれるかどうかを示す情報が、MMTのSI情報などに含まれてもよい。また、多重化方式がMMTである場合に、ストリームのタイプとしてADTS又はLATMを指定することで、ヘッダ情報がサンプルデータに含まれることを示してもよい。ヘッダ情報がサンプルデータに含まれる場合には、受信装置は、MPUヘッダが送信されない、又は、MPUヘッダが取得できない場合でも、ヘッダ情報に基づいてオーディオを復号し、再生できる。
【0093】
なお、ヘッダ情報がサンプルデータに含まれない場合には、受信装置は、予めサンプルの再生時間を取得する必要がある。なお、受信装置は、ヘッダ情報がサンプルデータに含まれない場合には、下記手法を用いずに、MPUヘッダが取得できるMPUから復号を開始してもよい。
【0094】
受信装置は、MPUの先頭サンプルのPTSと、1つオーディオサンプルの再生時間と、フラグメントSNとを用いて、オーディオサンプルのPTSを算出する。
【0095】
具体的には、受信装置は、下記(式1)を用いて、任意のオーディオサンプルのPTSを決定する。
【0096】
sample(i).pts=MPU(n).pts+(num_spl/sampling_rate)*frg_sn ・・・(式1)
【0097】
ここで、sample(i).ptsは、n番目のMPUにおけるi番目のサンプルのPTSであり、MPU(n).ptsは、n番目のMPUにおいて表示順で先頭となるサンプルのPTSである。
【0098】
num_splは、オーディオフレームに含まれるサンプル数である。なお、この場合のサンプルはMP4におけるサンプルとは異なる。MPEG-2又はMPEG-4のAAC(Advanced Audio Coding)の場合、サンプル数は1フレームあたり1024である。
【0099】
sampling_rateは、オーディオのサンプリング周波数であり、frg_snは、フラグメントSNである。
【0100】
つまり、受信装置は、オーディオフレームに含まれるサンプル数をサンプリング周波数で除算することで、一つのオーディオサンプルの再生時間を算出する。受信装置は、MPUの先頭サンプルのPTSに、一つのオーディオサンプルの再生時間とフラグメントSN(MPU内のサンプルのインデックス番号)との積を加算することで、オーディオサンプルのPTSを算出する。
【0101】
なお、オーディオサンプルの再生時間を、上記以外の方法により取得できる場合には、受信装置は、他の方法を用いてもよい。
【0102】
例えば、オーディオのサンプリング周波数が一定であるなど、サンプルの再生時間が一定である場合には、受信装置は、予め取得した再生時間に基づいて、オーディオサンプルのPTSを決定してもよい。
【0103】
また、MMTメッセージなどにより、サンプリング周波数、又は、サンプルの再生時間を示す情報が送信されてもよい。また、MMTパケットを、直接、又は、IPパケットに多重化したうえで、TSパケットに格納して送信する場合においては、MPEG-2システムのデスクリプタなどにより、サンプリング周波数、又は、サンプルの再生時間を示す情報が送信されてもよい。
【0104】
また、ビデオにおいても、フレームレートが既知である、又は、フレームレートがMMTメッセージなどにより別途取得できる場合には、本方法が適用できる。
【0105】
また、MPEG-4 AVC(Advanced Video Coding)、及びMPEG HEVC(High Efficiency Video Coding)などにおいては、サンプルデータに、SPS(Sequence Parameter Set)及びPPS(Picture Parameter Set)などの復号時の初期化情報が含まれる必要がある。SPS及びPPSがサンプル内に含まれるかどうかは、MP4のブランド名又はサンプルエントリのタイプにより識別できるため、これらの情報が別途送信されてもよい。
【0106】
以上により、受信装置は、オーディオMPUヘッダを受信できない場合でも、MPU内の任意のオーディオサンプルのPTSを取得できる。これにより、ビデオMPUヘッダとオーディオMPUヘッダとの送信順序に制約を設けることなく、オーディオが再生されるまでの遅延時間を低減できる。
【0107】
以下、本実施の形態に係る送信装置の構成及びその動作を説明する。
【0108】
図11は、本実施の形態に係る送信装置200のブロック図である。図11に示す送信装置200は、ビデオMPU生成部201と、オーディオMPU生成部202と、オーディオパケット化部203と、ビデオパケット化部204とを備える。
【0109】
図12は、本実施の形態に係る送信処理(多重化処理)のフローチャートである。
【0110】
まず、ビデオMPU生成部201は、n番目のビデオMPUであるV_MPU(n)の再生区間を決定する(S201)。また、ビデオパケット化部204は、決定されたV_MPU(n)を複数のMMTパケットにパケット化する。このとき、ビデオパケット化部204は、V_MPU(n)を、当該V_MPU(n)の先頭サンプルがランダムアクセスポイントとなるように生成する。つまり、V_MPU(n)は、1つ以上のビデオのランダムアクセス単位から構成される。
【0111】
次に、オーディオMPU生成部202は、V_MPU(n)の再生区間と一致するように、n番目のオーディオMPUであるA_MPU(n)の再生区間を決定する(S202)。
【0112】
次に、オーディオパケット化部203は、ステップS202で決定されたA_MPU(n)に含まれる各サンプルが、それぞれ1つのMMTパケットに格納されるように複数のMMTパケットを生成する(S203)。
【0113】
そして、送信装置200は、オーディオパケット化部203で生成されたオーディオのMMTパケットと、ビデオパケット化部204で生成されたビデオのMMTパケットとを多重化して送信する。
【0114】
なお、上記説明では、V_MPU(n)とA_MPU(n)との再生区間が一致しているが、V_MPU(n)とA_MPU(n)との再生区間は異なってもよい。本実施の形態においては、受信装置は、オーディオMPUを途中から受信しても、受信直後に取得したサンプルから復号を開始できるため、V_MPU(n)とA_MPU(n)との再生区間が必ずしも一致する必要はない。
【0115】
以上より、本実施の形態に係る送信装置200は、オーディオのセグメントをパケット多重化して送信する際に、セグメントのヘッダ部とデータ格納部とを別パケットに格納し、さらに、データ格納部をアクセスユニット毎にパケット化する。また、送信装置200は、アクセスユニットを格納するパケットのヘッダに、セグメント内における当該アクセスユニットの復号順を示すインデックス番号を格納して送信する。これにより、受信装置は、アクセスユニットのPTSを算出できる。よって、セグメントのパケット多重化動作を制約することなく、受信装置が復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0116】
つまり、送信装置200は、音声データ(オーディオMPU)を、各々が複数の音声サンプル(オーディオサンプル)の一つを含む複数のパケット(MMTパケット)に分割して送信する。また、複数のパケットの各々は、当該パケットが、複数のパケットの何番目のパケットであるかを示す順番情報(フラグメントSN)を含む。
【0117】
(実施の形態3)
本実施の形態では、ビデオMPUとオーディオMPUとの再生区間を揃えることなく、オーディオMPUの再生時間を、ビデオMPUの再生時間より短く設定する。これにより、オーディオのMPUの送信頻度が上がるので、ランダムアクセス性を高めることができる。
【0118】
MPU単位でのランダムアクセスを想定すると、ビデオにおいては、符号化データにおけるRAUがMPUの最小単位である。一方、オーディオでは、任意のサンプル(アクセスユニット)から復号可能であるため、MPUを構成するサンプル数は自由に設定できる。
【0119】
例えば、ビデオのRAUの再生時間は、符号化効率とランダムアクセス性との兼ね合いから、0.5秒から1秒程度であることが一般的である。また、ビデオMPUの再生時間もRAUの再生時間に従うことになる。
【0120】
一方、オーディオの場合は、MPUの再生時間を0.1秒程度とすることも可能である。例えば、オーディオMPUの再生時間を0.1秒に設定すると、ビデオの再生を開始してから、遅くとも0.1秒以内にオーディオの再生を開始できる。このように、オーディオMPUの再生時間を短く設定することで、ビデオの再生を開始してからオーディオの再生を開始できるまでの遅延時間を短縮できる。
【0121】
図13は、本実施の形態に係るビデオMPU及びオーディオMPUの一例を示す図である。図13に示すように、複数のオーディオMPUの各々の再生時間は、複数のビデオMPUの各々の再生時間より短く設定される。
【0122】
また、ビデオMPUの先頭PTSに対して、いずれかのオーディオMPUの先頭PTSが対応するように、複数のオーディオMPUの再生区間が設定されてもよい。図14は、この場合のビデオMPU及びオーディオMPUの一例を示す図である。
【0123】
例えば、図13に示すようにオーディオMPUの再生区間が設定されると、ビデオMPU(1)の先頭PTSと同一の先頭PTSを持つオーディオMPUは存在しない。このように、図13に示す例では、ビデオMPUの先頭PTSに対して、いずれかのオーディオMPUの先頭PTSが対応することが保証されない。
【0124】
一方、図14に示すようにオーディオMPUの再生区間が設定されると、各ビデオMPUの先頭PTSと同一の先頭PTSを持つオーディオMPUが必ず存在する。つまり、ビデオMPUの先頭PTSに対して、いずれかのオーディオMPUの先頭PTSが対応することが保証される。
【0125】
また、ビデオのRAUの再生時間が一定であれば、送信装置は、MPU生成処理の開始に先立ってビデオのMPUの再生時間を取得することで、オーディオMPUの再生時間を決定できる。一方、ビデオ素材のフレームレートの切替わり又は符号化条件の変更が発生し、ビデオのRAUの再生時間が可変となる場合には、送信装置は、各ビデオMPUの再生時間を取得しながら、オーディオMPUの再生時間を決定する。
【0126】
以下、本実施の形態に送信装置の構成及びその動作を説明する。
【0127】
図15は、本実施の形態に係る送信装置300のブロック図である。図15に示す送信装置300は、ビデオMPU生成部301と、区間判定部302と、第1決定部303と、第2決定部304と、先頭決定部305と、MPU生成部306とを備える。
【0128】
図16は、本実施の形態に係る送信処理(多重化処理)のフローチャートである。
【0129】
まず、初期設定として、送信装置300は、nを0に設定することで、最初のMPUを選択する(S301)。
【0130】
次に、ビデオMPU生成部301は、ビデオのRAUに基づいて、先頭のビデオMPU(V_MPU(0))の再生区間を決定する(S302)。ここで、ビデオMPUは、1つ以上のRAUから構成される。
【0131】
次に、先頭決定部305は、V_MPU(0)と、先頭のオーディオMPU(A_MPU(0))との先頭サンプルのPTSが等しくなるように、A_MPU(0)の先頭サンプルを決定する(S303)。
【0132】
次に、区間判定部302は、処理対象のオーディオのMPU(A_MPU)が、V_MPU(n)の再生区間における最終MPUであるかを判定する(S304)。
【0133】
A_MPUが最終MPUである場合(S304でYes)、第1決定部303は、A_MPUの最終サンプルの再生終了時刻がV_MPU(n)の再生終了時刻と等しくなり、かつ、A_MPUの再生時間が閾値以下となるように、A_MPUの最終サンプルを決定する(S305)。
【0134】
一方、A_MPUが最終MPUでない場合(S304でNo)、第2決定部304は、A_MPUの再生時間が閾値以下となるように、A_MPUの最終サンプルを決定する(S306)。
【0135】
ここで、ステップS305及びS306で用いられる閾値は、ビデオのランダムアクセスポイントの再生開始からオーディオが再生開始できるまでの遅延時間がどこまで許容できるかに基づいて設定される。但し、MPUの再生時間が短くなると共に、送信データを占めるMPUヘッダの割合が増加する。特に、オーディオはビデオに比べてビットレートが低い。また、MPUヘッダにおいては、MPUに格納されるサンプル数に依存しない固定部分が大きい。よって、MPUヘッダのオーバーヘッドの低減は重要である。従って、例えば、遅延時間とMPUヘッダのオーバーヘッドとの両方に基づいて、MPUの再生時間が決定される。
【0136】
また、1つのMPUに格納できるオーディオのサンプル数は、1つのサンプルの再生時間に依存する。1つのサンプルの再生時間は、サンプリング周波数などに依存する。
【0137】
ステップS305又はS306の後、MPU生成部306は、ステップS303で決定されたオーディオMPUの先頭サンプルと、ステップS305又はS306で決定されたオーディオMPUの最終サンプルとに基づき、オーディオMPU(n)を生成する。
【0138】
次に、送信装置300は、nを1増加することで、次のMPUを選択し(S307)、全てのMPUの再生区間が決定されるまで、ステップS304~S307の処理を繰り返す(S308)。
【0139】
なお、先頭のMPU以降のMPUにおける先頭サンプルとして、直前のMPUにおける最終サンプルの直後のサンプルが設定される。
【0140】
また、送信装置300は、サンプリング周波数又はチャネル構成(モノラル、ステレオ、又は5.1チャネルなど)の切替わりにおいて、MPUを分けてもよい。こうすることで、同一MPUにおいてはオーディオの符号化条件が一定となる。これにより、受信装置は、再生時において、MPU単位での符号化条件の切替わりにのみ対応すればよいので、切替わり時点におけるシームレスな再生を容易に実現できる。例えば、受信装置は、再生時において、次のMPUのヘッダ、又は、先頭サンプルに格納される符号化条件(パラメータ)を先読みすることで、切替わりに前もって対応できる。
【0141】
また、図13及び図14に示すように、ビデオMPUの先頭PTSに対して、いずれかのオーディオMPUの先頭PTSが対応することが保証されてもよいし、保証されなくてもよい。
【0142】
以上より、本実施の形態に係る送信装置300は、ビデオのセグメント(MPU)の先頭がランダムアクセスポイントとなるように生成し、オーディオのセグメントの再生時間が所定値以下となるように生成する。また、送信装置300は、オーディオのセグメントの再生時間を、ビデオのセグメントよりも短く設定する。これにより、オーディオのセグメントに係るオーバーヘッドは増加するものの、受信装置におけるPTS算出処理などを不要にできる。また、受信装置が復号を開始するまでの遅延時間が低減される。
【0143】
つまり、映像データ(ビデオMPU)は、映像信号が分割されることにより得られた複数の映像データの一つである。音声データ(オーディオMPU)は、音声信号が分割されることにより得られた複数の音声データの一つである。そして、図13に示すように、音声データ(オーディオMPU)の再生時間は、映像データ(ビデオMPU)の再生時間より短い。
【0144】
また、図14に示すように、複数の音声データ(オーディオMPU)は、複数の映像データ(ビデオMPU)の各々の再生開始時刻(PTS)と略等しい再生開始時刻(PTS)の複数の音声データを含んでもよい。
【0145】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態1に係る送信装置100により送信されたデータを受信し、当該データを再生する受信装置について説明する。
【0146】
図17は、本実施の形態に係る受信装置400のブロック図である。図17に示す受信装置400は、ビデオMPU決定部401と、オーディオMPU決定部402と、サンプル決定部403とを備える。
【0147】
図18は、本実施の形態に係る受信処理のフローチャートである。図18に示すフローチャートは、ランダムアクセス時に復号を開始するオーディオサンプルを決定する際の動作例について示す。
【0148】
まず、ビデオMPU決定部401は、再生を開始するビデオMPU(V_MPU)を決定する(S401)。例えば、MMTパケットのヘッダには、ペイロードにMPUヘッダとサンプルデータとのどちらが含まれるかを示す識別情報が含まれる。また、パケットのID(TSパケットのPIDに相当)により、受信装置400は、ペイロードに格納されるデータが、ビデオ及びオーディオのアセットのいずれであるかも識別できる。従って、ビデオMPU決定部401は、放送又は通信において、ビデオのアセットに相当するパケットIDを持つパケットの受信を開始した後、最初にMPUヘッダを取得したMPUをV_MPUに決定する。
【0149】
次に、オーディオMPU決定部402は、V_MPUよりも後にMPUヘッダを受信したMPUの中から、V_MPUにおける表示順で先頭となるサンプルのPTS(先頭PTS)と同一の先頭PTSを持つオーディオMPUを探索し、探索により得られたオーディオMPUを、再生を開始するオーディオMPU(A_MPU)として決定する(S402)。ここで、PTSが同一であるとは、PTSが完全に一致している場合に限定されず、実施の形態1において説明したように、互いのPTSが略同一であればよい。
【0150】
また、オーディオ及びビデオMPUの先頭PTSは、MMTメッセージ、又は、MMTパケットをTSにより多重化する際のMPEG-2システムのデスクリプタなどにより別途示されるため、オーディオMPU決定部402は、これら別途示される情報に基づいて、V_MPUの先頭PTSを持つオーディオMPUを探索できる。なお、MPUの先頭PTSを示す情報が、MPUヘッダに含まれており、オーディオMPU決定部402は、この情報を用いて、V_MPUの先頭PTSを持つオーディオMPUを探索してもよい。
【0151】
次に、サンプル決定部403は、A_MPUの先頭サンプルから再生を開始すると決定する(S403)。
【0152】
なお、ステップS403においては、ビデオMPUとオーディオMPUとの再生区間が揃っていることが保証されるため、サンプル決定部403は、A_MPUの先頭サンプルから再生を開始すると決定できる。一方で、ビデオMPUとオーディオMPUとの再生区間が揃っていることが保証されない場合には、受信装置400は、以下の処理を行ってもよい。
【0153】
まず、受信装置400は、V_MPUの先頭PTS(V_MPU.pts)を取得する。
【0154】
次に、受信装置400は、V_MPUよりも後で最初に取得したオーディオMPUの先頭PTSを取得すると共に、MPUヘッダを解析してオーディオMPUの再生時間を取得する。そして、受信装置400は、V_MPU.ptsと同一のPTSを持つオーディオサンプルが当該オーディオMPUに含まれるかどうかを判定する。なお、PTSは必ずしも一致する必要はなく、受信装置400は、V_MPU.ptsの直前、又は、直後のPTSを持つオーディオサンプルがオーディオMPUに含まれるかどうかを判定してもよい。
【0155】
また、オーディオMPUの再生時間が、MPUの先頭PTSと同様に別途示される場合には、受信装置400は、MPUヘッダの解析を行わず、別途示される情報からオーディオMPUの再生時間を取得する。
【0156】
V_MPU.ptsと同一のPTSを持つオーディオサンプルが存在しないと判定された場合には、受信装置400は、次のオーディオMPUを取得して、上記判定処理を行う。そして、V_MPU.ptsと同一のPTSを持つオーディオサンプルが存在すると判定されるまで、受信装置400は、後続のオーディオMPUに対して、順次判定処理を繰り返す。
【0157】
なお、受信装置400は、ビデオについては、V_MPUの先頭サンプルから再生を開始して、オーディオについては、A_MPUの直後のMPUから再生を開始してもよい。ここで、ビデオにおいて復号順と表示順とが異なる場合には、受信装置400は、復号順で先頭のサンプルから復号を開始し、表示順で先頭のサンプルから再生(表示)を開始する。
【0158】
また、オーディオについては、ビデオのV_MPUの再生の開始に先立って、A_MPUから再生を開始し、ビデオについては、V_MPU.ptsの時刻から再生を開始してもよい。
【0159】
以上より、本実施の形態に係る受信装置400は、受信開始後に最初にヘッダを受信したビデオのセグメントから復号を開始すると決定し、復号開始するビデオのセグメントの先頭PTSと一致するオーディオのセグメントから復号を開始する。これにより、受信装置400は、復号開始までの遅延時間を低減できる。
【0160】
また、ここでは、実施の形態1に係る送信装置100により送信された信号を受信する場合について説明したが、同様の方法を実施の形態3に係る送信装置300により送信された信号を受信する場合にも適用できる。
【0161】
つまり、受信装置400は、受信開始後に最初にヘッダを受信したビデオのセグメントから復号を開始すると決定する。また、受信装置400は、先頭PTSが、復号を開始するビデオのセグメントのPTSと同一又は後であり、かつ、最初に受信したオーディオのセグメントから復号を開始する。これにより、受信装置400は、復号開始までの遅延時間を低減できる。
【0162】
このように、受信装置400は、実施の形態1又は3に係る送信装置100又は300により送信された映像制御情報(ビデオMPUヘッダ)、映像データ(ビデオMPU)、音声制御情報(オーディオMPUヘッダ)及び音声データ(オーディオMPU)を受信し、映像データ及び音声データを再生できる。
【0163】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態2に係る送信装置200により送信されたデータを受信し、当該データを再生する受信装置について説明する。
【0164】
図19は、本実施の形態に係る受信装置500のブロック図である。図19に示す受信装置500は、開始PTS決定部501と、判定部502と、第1PTS算出部503と、第2PTS算出部504と、サンプル取得部505とを備える。
【0165】
図20は、本実施の形態に係る受信処理のフローチャートである。図20に示すフローチャートは、復号を開始するオーディオサンプルを取得して、PTSを決定する動作例を示す。
【0166】
まず、開始PTS決定部501は、復号を開始するオーディオサンプルのPTS(tgt_pts)を決定する(S501)。また、PTSがtgt_ptsであるオーディオサンプルをtgt_splと記す。tgt_ptsは、例えば、再生を開始するビデオMPUの先頭PTSである。これは、放送の選局後、又は通信ネットワーク経由でコンテンツを取得する際の受信開始時には、ビデオのランダムアクセスポイントを基準とすることが一般的であるためである。
【0167】
次に、判定部502は、tgt_splが属するMPU(mpu_cur)のMPUヘッダを取得できているかどうかを判定する(S502)。例えば、判定部502は、MMTメッセージなどから別途取得した各MPUの先頭PTSに基づいて、PTSがtgt_ptsとなるサンプルが含まれるMPU(mpu_cur)を判定する。なお、MPUの先頭PTSを示す情報が、MPUヘッダに含まれ、判定部502は、当該情報に基づき、PTSがtgt_ptsとなるサンプルが含まれるMPU(mpu_cur)を判定してもよい。または、判定部502は、MMTパッケージを構成するアセットに関する情報を別途ダウンロードし、当該情報に基づき、PTSがtgt_ptsとなるサンプルが含まれるMPU(mpu_cur)を判定してもよい。
【0168】
MPU(mpu_cur)のMPUヘッダを取得できている場合(S502でYes)、第1PTS算出部503は、MPUヘッダを解析して、mpu_cur内におけるtgt_splのインデックス番号を取得する(S503)。ここで、MPUに含まれるサンプルのPTSは、moof内のtrunに含まれるサンプルのDTS及びPTSを示す情報に基づいて決定できる。moofの解析により得られるPTSは、MPUの先頭PTSからの差分値であるため、第1PTS算出部503は、得られたPTSに、MPUの先頭PTSを加算して実際のPTSを算出する。そして、第1PTS算出部503は、算出されたPTSがtgt_ptsと同一であるサンプルをtgt_splとして決定する。なお、PTSがtgt_ptsと同一であるサンプルが存在しない場合には、第1PTS算出部503は、PSTがtgt_ptsの直前或いは直後のサンプルをtgt_splとして決定する。
【0169】
次に、第1PTS算出部503は、tgt_splがMPU内において復号順で何番目のサンプルであるかを示すインデックス番号(フラグメントSN)を取得する。なお、MPUが複数のmovie fragmentから構成されている場合、フラグメントSNは、先頭のmovie fragmentの先頭サンプルからの通し番号である。
【0170】
一方、MPU(mpu_cur)のMPUヘッダを取得できていない場合(S502でNo)、第2PTS算出部504は、1サンプル当たりの再生時間などから、上記(式1)に基づいてサンプルのPTSを算出し、mpu_cur内におけるtgt_splのインデックス番号を取得する(S504)。また、(式1)を用いる方法以外の方法でサンプルのPTSが求められる場合には、第2PTS算出部504は、それらの方法を用いてもよい。なお、PTSの算出方法に関しては、上述した実施の形態2で詳しく説明している。
【0171】
ステップS503又はS504の後、サンプル取得部505は、MMTパケットのヘッダにおけるMPUのシーケンス番号がmpu_curのシーケンス番号と一致し、かつ、フラグメントSNがステップS503又はS504で得られたインデックス番号と等しいパケットを取得し、当該パケットに含まれる、再生を開始するオーディオサンプルを取得する(S505)。
【0172】
ビデオのランダムアクセスポイントにおいて、対応するオーディオサンプルのMPUヘッダが取得できないケースがある。当該オーディオサンプルが属するMPUをMPU(n)とすると、受信装置500は、MPU(n)に含まれるサンプルについては、ステップS504の方法によりPTSを取得し、MPU(n+1)以降に含まれるサンプルについては、ステップS503の方法でPTSを取得する。
【0173】
なお、受信装置500は、ステップS502及びS503の処理を行わず、常にステップS504の方法でPTSを取得してもよい。
【0174】
また、ここでは、ステップS501において、ビデオの再生開始時刻に基づき、復号を開始するオーディオサンプルを決定する例を述べたが、受信開始後に最初に取得できるオーディオサンプルから再生を開始する場合にも本実施の形態を適用できる。図21は、この場合の受信処理のフローチャートである。
【0175】
まず、受信装置500は、復号を開始するオーディオサンプル(tgt_spl)を決定する(S511)。例えば、受信装置500は、最初に受信したオーディオサンプルを、tgt_splに決定する。
【0176】
次に、受信装置500は、tgt_splが属するMPU(mpu_cur)のMPUヘッダを取得できているかどうかを判定する(S512)。なお、この処理は上記ステップS502と同様である。
【0177】
MPU(mpu_cur)のMPUヘッダを取得できている場合(S512でYes)、受信装置500は、MPUヘッダを解析して、tgt_splのPTSを算出する(S513)。なお、PTSの算出方法の詳細は、上記ステップS503と同様である。
【0178】
一方、MPU(mpu_cur)のMPUヘッダを取得できていない場合(S512でNo)、受信装置500は、1サンプル当たりの再生時間などから、上記(式1)に基づいてサンプルのPTSを算出する(S514)。なお、PTSの算出方法の詳細は、上記ステップS504と同様である。
【0179】
以上の処理により、受信装置500は、オーディオのMPUヘッダを取得できない場合でも、オーディオサンプルのPTSを取得できる。
【0180】
以上より、受信装置500は、1パケットのペイロードから1アクセスユニット分のデータを取得し、インデックス番号に基づいて、セグメントにおける復号順で先頭となるアクセスユニットと、取得したアクセスユニットとのPTSの差分を算出する。さらに、受信装置500は、セグメントの先頭PTSを別途取得することで、アクセスユニットのPTSを決定する。このように、受信装置500においてアクセスユニットのPTSを算出することで、セグメントのパケット多重化動作を制約せずに、復号の開始までの遅延時間を低減できる。
【0181】
つまり、受信装置500は、実施の形態2に係る送信装置200により送信された映像制御情報(ビデオMPUヘッダ)、映像データ(ビデオMPU)、音声制御情報(オーディオMPUヘッダ)及び音声データ(オーディオMPU)を受信する。また、受信装置500は、音声データ(オーディオMPU)に含まれる複数の音声サンプル(オーディオサンプル)のうち最初に再生される音声サンプルの再生開始時刻(PTS)である先頭再生開始時刻を取得する。
【0182】
また、受信装置500は、複数の音声サンプルの各々の再生時間を取得する。例えば、受信装置500は、オーディオフレームに含まれるサンプル数と、サンプリング周波数とを取得し、取得したサンプル数及びサンプリング周波数から複数の音声サンプルの各々の再生時間を算出する。
【0183】
次に、受信装置500は、上記先頭再生開始時刻と、上記再生時間と、処理対象のパケットに含まれる順番情報(フラグメントSN)とを用いて、当該処理対象のパケットに含まれる音声サンプル(オーディオサンプル)の再生開始時刻(PTS)を判定する。
【0184】
(変形例)
本発明で適用される多重化方式は、MP4、MMT、又は、DASHに限定されるものではなく、オーディオ及びビデオなどの符号化データをセグメント化できる他のフォーマットに対しても本発明を適用できる。
【0185】
送信装置は、MMTパケットをIPパケットなどに格納して送信してもよい。さらに、放送においては、送信装置は、IPパケットを、TSパケット、又は、ARIB(電波産業会)で規定したTLV(Time Length Value)パケットなどに格納して送信してもよい。
【0186】
また、受信装置は、MPUなどのセグメントを、MMTパケットとは異なるパケットに多重化してもよい。オーディオ及びビデオのMPUデータを1本のストリームにパケット多重化可能な任意のプロトコルに本発明を適用できる。
【0187】
また、実施の形態1~3において、送信装置は、パケット多重化時のシステムデコーダモデル(MPEG-2システムにおけるSTD(System Target Decoder)のようなモデル)を満たすようにオーディオ及びビデオのパケットを多重化してもよい。また、MMTパケットの処理においても、システムデコーダモデルが規定できる。
【0188】
また、上記説明では、実施の形態1~3において異なる手法を個別に説明したが、これらの手法のうち2以上を組み合わせてもよい。例えば、実施の形態1に係る手法と、実施の形態2又は3に係る手法とを組み合わせることで、通信エラー等により、受信装置においてオーディオのMPUヘッダが取得できない場合には、実施の形態2又は3に係る手法によりオーディオが再生されるまでの遅延時間を低減できる。また、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせることで、PTSをMPUヘッダ以外の情報から算出する処理の発生頻度を低減できる。
【0189】
以上、実施の形態に係る送信装置、受信装置、送信方法及び受信方法ついて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0190】
また、上記実施の形態に係る送信装置及び受信装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0191】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0192】
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0193】
言い換えると、送信装置及び受信装置は、処理回路(processing circuitry)と、当該処理回路に電気的に接続された(当該制御回路からアクセス可能な)記憶装置(storage)とを備える。処理回路は、専用のハードウェア及びプログラム実行部の少なくとも一方を含む。また、記憶装置は、処理回路がプログラム実行部を含む場合には、当該プログラム実行部により実行されるソフトウェアプログラムを記憶する。処理回路は、記憶装置を用いて、上記実施の形態に係る送信方法又は受信方法を実行する。
【0194】
さらに、本発明は上記ソフトウェアプログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0195】
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
【0196】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0197】
また、上記の送信方法又は受信方法に含まれるステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0198】
以上、本発明の一つ又は複数の態様に係る送信装置、受信装置、送信方法及び受信方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明は、ビデオデータ及びオーディオデータなどのメディアトランスポートを行う装置又は機器に適用できる。
【符号の説明】
【0200】
100、200、300 送信装置
101 MPU生成部
102 パケット多重化部
111 ビデオヘッダ判定部
112 オーディオヘッダ判定部
113 多重化部
201、301 ビデオMPU生成部
202 オーディオMPU生成部
203 オーディオパケット化部
204 ビデオパケット化部
302 区間判定部
303 第1決定部
304 第2決定部
305 先頭決定部
306 MPU生成部
400、500 受信装置
401 ビデオMPU決定部
402 オーディオMPU決定部
403 サンプル決定部
501 開始PTS決定部
502 判定部
503 第1PTS算出部
504 第2PTS算出部
505 サンプル取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21