(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】ステアリング装置およびステアリング装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20230704BHJP
B62D 3/12 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D3/12 503Z
(21)【出願番号】P 2022517996
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2020072073
(87)【国際公開番号】W WO2021052674
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】102019214406.3
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ルフ
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0175192(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018202226(DE,A1)
【文献】特表2019-521636(JP,A)
【文献】特開2013-046506(JP,A)
【文献】特開2005-091092(JP,A)
【文献】特開2004-153897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
B62D 3/00-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング装置であって、
少なくとも1つのステアリング構成部材(12)を収容しかつ/または保持するために設けられていて、プラスチックから成る少なくとも1つのハウジング部分(14)を含むステアリングハウジング(10)と、
少なくとも1つの検出量を検出するセンサユニット(16)と、
前記センサユニット(16)を接触接続する少なくとも1つの接続線路(20)を備える接続ユニット(18)と、
を備え、
前記センサユニット(16)は、前記ステアリング構成部材(12)の表面特性を検出するために、かつ/または前記ステアリングハウジング(10)内に侵入する異物を検出するために設けられており、
前記センサユニット(16)
および前記接続線路(20)は、
MID(成形回路部品)として、前記ハウジング部分(14)に材料結合的に結合されていて
、前記ハウジング部分(14)の前記プラスチック内に組み込まれている、かつ/または埋め込まれている、ステアリング装置。
【請求項2】
前記ハウジング部分(14)は、ステアリングアクチュエータ(24)、特に電動モータを取り付けるための連結伝動装置(22)の領域に配置されていることを特徴とする、請求項
1記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記ステアリングハウジング(10)は、少なくとも大部分がプラスチックから成る基体(26)を有し、前記ハウジング部分(14)は、前記基体(26)と一体に形成されていることを特徴とする、請求項1
または2記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記ステアリングハウジングは、少なくとも大部分が金属から成る基体を有し、前記ハウジング部分は、前記基体に摩擦結合的、形状結合的かつ/または材料結合的に結合された別体のハウジング要素として形成されていることを特徴とする、請求項1から
3までのいずれか1項記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記検出量を検出する前記センサユニット(16)は、加速度センサ、湿度センサおよび/または腐食センサとして形成された少なくとも1つのセンサ要素(28,30)を含むことを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項記載のステアリング装置。
【請求項6】
請求項1から
5までのいずれか1項記載の少なくとも1つのステアリング装置を備えるステアリングシステム(32)。
【請求項7】
ステアリング装置を製造する方法であって、
少なくとも1つのステアリング構成部材(12)を収容しかつ/または保持するためのステアリングハウジング(10)の少なくとも1つのハウジング部分(14)をプラスチックから製造し、
前記ステアリング構成部材(12)の表面特性を検出するための、かつ/または前記ステアリングハウジング(10)内に侵入する異物を検出するためのセンサユニット(16)
と、
前記センサユニット(16)を接触接続する少なくとも1つの接続線路(20)と、
を
MID(成形回路部品)法によって、前記ハウジング部分(14)の製造中に該ハウジング部分(14)の前記プラスチック内に組み込む、かつ/または埋め込む、
方法。
【請求項8】
前記ハウジング部分(14)を射出成形法で製造し、前記ハウジング部分(14)の前記プラスチックによって前記センサユニット(16)を取り囲むことを特徴とする、請求項
7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の前提部に記載のステアリング装置から出発する。さらに、本発明は、このようなステアリング装置を備えたステアリングシステムおよびステアリング装置を製造する方法に関する。
【0002】
ステアリング伝動装置、制御装置および/またはステアリングアクチュエータを収容する、従来技術に基づいて公知のステアリングハウジングは、通常、アルミニウム・ダイカスト合金から成っている。
【0003】
さらに、カテゴリーを成す独国特許出願公開第102017207094号明細書に基づいて公知の、ステアリングハウジングを備えたステアリングシステムは、少なくとも部分的にプラスチックから成っており、制御装置を収容する制御ハウジングおよび/または電動モータを収容する駆動装置ハウジングは、プラスチック射出成形法で製造されていてもよい。さらにこの場合、ステアリングシステムは、少なくとも1つの湿度センサを備えたセンサユニットを含んでおり、湿度センサは、ステアリングハウジングのセンサ室の内部に配置されている。このようなセンサ装置は、特に将来的なハイオートマチックのかつ/または自律式の走行のために必須であり、このようなセンサ装置を設けることによって、例えばステアリング伝動装置のようなステアリング構成部材の予期しない突然の故障を検出することができ、ハイオートマチックのかつ/または自律式の走行に結び付けられたステアリングシステムへの安全要求を満たすことができる。しかしながら、独国特許出願公開第102017207094号明細書に記載された、センサ室の内部への湿度センサの配置形態では、組付けプロセスがかなり複雑である。さらに、センサ室の内部への湿度センサの任意の位置決めは、ステアリングハウジング内に配置されるその他のステアリング構成部材および/または相応の領域へのアクセス可能性に基づいて、困難を伴ってしか可能でない。
【0004】
本発明の課題は、特に組付けに関して改善された特性を有するステアリング装置を提供することにある。この課題は、請求項1、請求項8および請求項9記載の特徴によって解決される。これに対して、本発明の好適な構成および発展形態は、従属請求項の記載から把握することができる。
【0005】
発明の開示
本発明は、ステアリング装置であって、少なくとも1つのステアリング構成部材を収容しかつ/または保持するために設けられていて、プラスチックから成る少なくとも1つのハウジング部分を含むステアリングハウジングと、特にステアリング構成部材の状態に関連した少なくとも1つの検出量を検出するセンサユニットと、を備える、ステアリング装置から出発する。
【0006】
センサユニットが、ハウジング部分に、例えば溶融結合、射出結合および/または接着結合によって材料結合的に結合されていることが提案される。このような構成によって、特に組付けを簡単にすることができる。さらに、ステアリングハウジングに接しかつ/またはステアリングハウジング内へのセンサユニットの有利にフレキシブルな位置決めを達成することができる。さらに、効果、特に部材効果、取付けスペース効果および/またはコスト効果を有利に改善することができ、作動確実性を高めることができる。
【0007】
「ステアリング装置」というのは、これに関連して、特にステアリングシステムの少なくとも一部、特にサブアセンブリであると理解すべきである。特に、ステアリングシステムは、車両、有利には自動車、特に有利には電気自動車への使用のために設けられている。さらに、車両は、これに関連して、好ましくは少なくとも2つの異なる走行モード、特に従来のかつ/またはマニュアルの走行モードと、ハイオートマチックのかつ/または自律式の走行モードとを含んでいる。「設けられている」というのは、特に特殊に設計かつ/または構成されていると理解すべきである。対象が規定の機能のために設けられているというのは、特に、対象がこの規定の機能を少なくとも1つの使用状態および/または作動状態において満たし、かつ/または実施すると理解すべきである。
【0008】
ステアリングハウジングは、特に一体形にまたは複数の部分から形成されていて、有利には、制御装置を収容する少なくとも1つの制御ハウジング、特に電動モータとして形成されたステアリングアクチュエータを収容する駆動装置ハウジングならびに/またはステアリング伝動装置および/もしくは特にステアリング伝動装置にステアリングアクチュエータを結合する連結伝動装置を収容するステアリング伝動装置ハウジングを含んでいる。ステアリング構成部材は、結果として、特に、ステアリング伝動装置またはステアリング伝動装置の一部として、例えばラックとして形成されたステアリング調整要素またはステアリング調整要素の一部として、ステアリングセンサまたはステアリングセンサの一部として、制御装置または制御装置の一部として、ステアリングアクチュエータまたはステアリングアクチュエータの一部として、連結伝動装置または連結伝動装置の一部として、タイロッドまたはタイロッドの一部として、かつ/または例えばベローズとして形成されたシールユニットまたはシールユニットの一部として形成されていてもよい。特にステアリング装置は、また、少なくとも1つの、特に監視すべきステアリング構成部材および/または複数の監視すべきステアリング構成部材を含んでいてもよい。
【0009】
さらに、センサユニットは、特に検出量の、接触式のまたは有利には非接触式の検出のために設けられている。そのために、センサユニットは、特に少なくとも1つの、好ましくは電気式、音響式、光学式かつ/または磁気式のセンサ要素を含んでおり、このセンサ要素は、有利にはパッシブ型センサとして、かつ/またはアクティブ型センサとして形成されていてもよい。さらに、センサ要素は、有利には、ハウジング部分の、ステアリング構成部材に向けられた側に、かつ/またはハウジング部分の、ステアリングハウジングの収容室に向けられた側に配置されている。有利には、センサユニットは、また、特に互いに同一構造のまたは有利には互いに異なる複数のセンサ要素を含んでいてもよい。さらに、センサユニットは、特に、検出量に関連した検出信号を提供するために、好ましくは有線式に制御装置に、特に制御装置の計算ユニットに転送するために設けられている。さらに、検出量は、好ましくはステアリング構成部材の状態に関連していて、例えばステアリング構成部材の状態変化および/または材料変化を生じさせることができ、かつ/または例えば材料分解の形態の、ステアリング構成部材の現在の状態、状態変化および/または材料変化に相当することができる。特に好ましくは、センサユニットは、ステアリング構成部材の表面特性を検出するために、かつ/または例えば固体、特に塵埃および/または汚れおよび/または液体、特に水のような、ステアリングハウジング内に侵入する異物を検出するために設けられている。
【0010】
特に好適な構成によれば、センサユニットは、少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも大部分でもって、ハウジング部分のプラスチック内に組み込まれている、かつ/または埋め込まれていることが提案される。このように構成されていると、特に必要な組付けステップの数を減じることができ、同時に、有利に頑丈なステアリング装置を準備することができる。特に好ましくは、この場合、ハウジング部分の材料の射出成形によって、この材料でセンサユニットが取り囲まれている。「少なくとも大部分」というのは、特に少なくとも55%、有利には少なくとも75%、特に有利には少なくとも95%であると理解すべきである。
【0011】
さらに、ステアリング装置が、センサユニットを、特に電気的に接触接続する、例えば導体路の形態の、少なくとも1つの接続線路を備えた接続ユニットを含んでおり、この接続ユニットは、好ましくは制御装置にセンサユニットを接続するために設けられていることが提案される。有利には、接続線路は、ハウジング部分のプラスチック内に組み込まれている、かつ/または埋め込まれている。特に有利には、接続線路は、MID(成形回路部品)法によって製造されている、かつ/またはハウジング部分に結合されている。これによって、特に、センサユニットの特にフレキシブルな接触接続を達成することができる。これによって、さらに、接続線路を、有利には、特に容易にアクセス可能な箇所に案内することができ、これにより、制御装置との特に簡単な接続を達成することができる。
【0012】
さらに、ハウジング部分は、ステアリングアクチュエータ、特に既に上述したステアリングアクチュエータを取り付けるための連結伝動装置、特に既に上述した連結伝動装置の領域に配置されていることが提案される。この場合、ステアリング構成部材は、有利には、例えばボールねじ駆動装置、歯付きベルトプーリおよび/またはウォーム伝動装置またはこれに類したもののような連結伝動装置としてまたは連結伝動装置の一部として形成されていてもよい。これによって、特に作動確実性を高めることができる。また、これによって、特に、臨界的なかつ/または困難を伴ってしか監視することができないステアリング構成部材の監視をも可能にすることができる。
【0013】
ステアリングハウジングは、特に基体を有していてもよく、この基体は、少なくとも大部分、好ましくは全体でもってプラスチックから成っており、ハウジング部分は、別体のハウジング要素として形成されていて、このハウジング要素は、基体に摩擦結合的、形状結合的かつ/または材料結合的に結合されている。しかしながら、本発明の好適な構成によれば、ステアリングハウジングは、基体を有していて、この基体は、少なくとも大部分、好ましくは全体でもってプラスチックから成っており、ハウジング部分は、基体と一体に形成されていることが提案される。基体とハウジング部分とは、特に同じ材料、特に同じプラスチックから成っていてもよく、例えば一成分射出成形法で製造することができる。しかしながら、代替的に、基体とハウジング部分とは、異なる材料から、特に異なるプラスチックから成っていてもよく、例えば二成分射出成形法および/または多成分射出成形法で製造することができる。特に好ましくは、基体とハウジング部分とは、共通の射出成形品として形成されている。「ステアリングハウジングの基体」というのは、これに関連して、特にステアリングハウジングの一部であると理解すべきであり、この一部は、全ステアリングハウジングの少なくとも55%、有利には75%、特に有利には少なくとも95%を含んでいる。これによって、特に、ステアリング装置の、特に簡単なかつ/または費用対効果の高い製造を達成することができる。
【0014】
代替的に、ステアリングハウジングは、基体を有していて、この基体は、少なくとも大部分、好ましくは全体でもって、例えばアルミニウムのような金属から成っており、ハウジング部分は、別体のハウジング要素として形成されていて、このハウジング要素は、基体に摩擦結合的、形状結合的かつ/または材料結合的に結合されている。これによって、特に有利には頑丈なステアリング装置を提供することができ、このステアリング装置は、特に、例えば内燃機関の排ガスによって生じることがある高温の領域にも使用することができる。
【0015】
センサユニットは、検出量を検出するために、例えばCCDセンサおよび/またはカメラとして形成されたセンサ要素を含んでいてもよい。しかしながら、検出量の、制御技術的に特に簡単なかつ/または費用対効果の高い検出は、特に、検出量を検出するセンサユニットが、加速度センサ、湿度センサおよび/または腐食センサとして形成された少なくとも1つのセンサ要素を含んでいる場合に得ることができる。
【0016】
さらに、特に既に上述したステアリング装置を製造する方法が提案され、この方法では、ステアリングハウジングの、特に少なくとも1つのステアリング構成部材を収容しかつ/または保持するために設けられた少なくとも1つのハウジング部分を、プラスチックから製造し、特にステアリング構成部材の状態に関連した少なくとも1つの検出量を検出するセンサユニットをハウジング部分の製造中にハウジング部分のプラスチック内に組み込む、かつ/または埋め込む。このようにすると、特に、既に上述した利点を得ることができる。特に組付けを簡単にすることができ、特に必要な組付けステップの数を減じることができる。さらに、ステアリングハウジングに接したかつ/またはステアリングハウジング内へのセンサユニットの有利にフレキシブルな位置決めを達成することができる。さらに、効果、特に部材効果、取付けスペース効果および/またはコスト効果を有利に改善することができ、かつ/または作動確実性を有利に高めることができる。
【0017】
さらに、ハウジング部分を射出成形法で製造し、ハウジング部分のプラスチックによってセンサユニットを取り囲むことが提案される。このようにすると、特に、ステアリング装置の特に簡単な製造を達成することができ、有利には、過度な加工処理を省き、コストを節減することができる。
【0018】
代替的にまたは補足的に、ハウジング部分を、MID(成形回路部品)法によって製造し、かつ/または特に電気的にセンサユニットに接続することが提案される。有利には、少なくとも接続ユニットおよび/または接続ユニットの少なくとも1つの接続線路は、MID(成形回路部品)法によって製造され、かつ/またはハウジング部分に接続される。これによって、特に、ステアリング装置の特に簡単な製造および/またはセンサユニットの特に簡単な接触接続を達成することができる。
【0019】
ステアリング装置、ステアリングシステムおよびステアリング装置を製造する方法は、上述した使用および実施形態に制限されるものではない。特に、本明細書に記載した機能を満たすためのステアリング装置、ステアリングシステムおよびステアリング装置を製造する方法は、個々の要素、部材およびユニットの、本明細書に述べた数とは異なる数を有していてもよい。
【0020】
更なる利点は、下記の図面の説明に記載されている。図面には、本発明の1つの実施例が示してある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ステアリングハウジングを含むステアリング装置を備えた例としてのステアリングシステムの少なくとも一部を示す斜視図である。
【
図2】ステアリングハウジングの、プラスチックから成っているハウジング部分と、ハウジング部分に結合されたセンサユニットとを示す詳細図である。
【
図3】ステアリング装置を製造する方法の例としてのフローチャートを示す図である。
【0022】
実施例の説明
図1には、例としてのステアリングシステム32の少なくとも一部が斜視図で示してある。このステアリングシステム32は、図示の例では電気アシスト式のステアリングシステムとして形成されている。さらに、ステアリングシステム32は、車両(図示せず)、特に電気自動車への使用のために設けられている。車両は、例えば少なくとも2つの異なる走行モード、特に従来のかつ/またはマニュアルの走行モードと、ハイオートマチックのかつ/または自律式の走行モードとを含んでいる。ステアリングシステム32は、取り付けられた状態で車両のホイールと相互作用関係にあり、車両の走行方向に影響を及ぼすように設けられている。さらに、ステアリングシステム32は、特に、機械式の貫通係合部を備えた従来のステアリングシステムとして、またはステア・バイ・ワイヤ式のステアリングシステムとして形成されていてもよい。しかしながら、代替的に、車両は、正確に1つの走行モード、特に従来のかつ/またはマニュアルの走行モードまたはハイオートマチックのかつ/または自律式の走行モードを有することも可能である。さらに、車両は、基本的に、電気自動車とは異なる車両として、例えば内燃機関を備えた自動車として形成されていてもよい。
【0023】
ステアリングシステム32は、ステアリング装置を有している。このステアリング装置は、ステアリングハウジング10を含んでいる。ステアリングハウジング10は、アウタハウジングとして形成されている。ステアリングハウジング10は、収容ハウジングとして形成されていて、特に少なくとも1つのステアリング構成部材12を収容しかつ/または保持するために設けられている。ステアリングハウジング10は、図示の例では、例えば、ステアリング伝動装置ハウジング34、制御ハウジング36および駆動装置ハウジング38を含んでいる。ステアリング伝動装置ハウジング34、制御ハウジング36および駆動装置ハウジング38は、ここでは例えば互いに一体に結合されている。しかしながら、代替的に、ステアリングハウジングは、ステアリング伝動装置ハウジング、制御ハウジングまたは駆動装置ハウジングしか含んでいなくてもよい。さらに、ステアリングハウジングは、ステアリング伝動装置ハウジングと、好ましくはステアリング伝動装置ハウジングに一体に結合された制御ハウジングとしか含んでいなくてもよいし、制御ハウジングと、好ましくは制御ハウジングに一体に結合された駆動装置ハウジングとしか含んでいなくてもよい。さらに、ステアリング伝動装置ハウジングを制御ハウジングおよび/または駆動装置ハウジングとは別に形成するか、制御ハウジングをステアリング伝動装置ハウジングおよび/または駆動装置ハウジングとは別に形成するか、または駆動装置ハウジングをステアリング伝動装置ハウジングおよび/または制御ハウジングとは別に形成することも可能である。
【0024】
ステアリングハウジング10は、基体26を有している。この基体26は、図示の例ではステアリングハウジング10全体の少なくとも90%を含んでいる。基体26は、ステアリング伝動装置ハウジング34の少なくとも一部、制御ハウジング36の少なくとも一部および駆動装置ハウジング38の少なくとも一部を有している。さらに、基体26は、図示の例では、プラスチック、特に熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂から成っている。しかしながら、代替的に、ステアリングハウジングの基体は、少なくとも大部分でもって、例えばアルミニウムのような金属から成っていてもよい。
【0025】
さらに、ステアリングハウジング10は、基体26に結合されたハウジング部分14を有している。このハウジング部分14は、図示の例では、ステアリングハウジング10全体の最大10%、有利には最大5%を含んでいる。ハウジング部分14は、ステアリング伝動装置ハウジング34の少なくとも一部、制御ハウジング36の少なくとも一部および/または駆動装置ハウジング38の少なくとも一部を有している。しかしながら、図示の例では、ハウジング部分14は、ステアリング伝動装置ハウジング34の一部だけを有している。さらに、ハウジング部分14は、少なくとも部分的にステアリング伝動装置ハウジング34、制御ハウジング36および駆動装置ハウジング38とは異なっている。ハウジング部分14は、連結伝動装置22の領域に配置されている。さらに、ハウジング部分14は、基体26に一体に結合されている。ハウジング部分14は、プラスチック、特に熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂から成っている。図示の例では、ハウジング部分14および基体26は、例えば同じプラスチックから成っている。このような場合には、基体26およびハウジング部分14は、共通の射出成形品として形成されている。しかしながら、基本的に、基体とハウジング部分とは異なる材料から成っていてもよく、かつ/または互いに別個に形成されていてもよい。この場合には、例えば、ハウジング部分を、基体に摩擦結合的、形状結合的かつ/または材料結合的に結合することができる別体のハウジング要素として形成することも可能である。さらに、ハウジング部分を、ステアリングハウジングの、連結伝動装置の領域とは異なる領域に配置することが可能である。
【0026】
さらに、ステアリング装置は、ステアリング伝動装置40(
図1では単に概略的に図示した)を含んでいる。ステアリング伝動装置40は、ステアリング伝動装置ハウジング34内に配置されている。ステアリング伝動装置40は、さらに、例えばラック式ステアリング伝動装置として形成されていて、操舵命令を、好ましくはフロントホイールとして形成されたホイールの操舵運動に変換するために設けられている。そのために、ステアリング伝動装置40は、特に可動にステアリング伝動装置ハウジング34内に支持された少なくとも1つのステアリング調整要素(図示せず)を含んでいる。しかしながら、原則的に、ステアリング伝動装置は、ウォーム式ステアリング伝動装置および/またはねじスピンドル式ステアリング伝動装置またはこれに類したものとして形成されていてもよい。
【0027】
さらに、ステアリング装置は、ステアリングアクチュエータ24(
図1に単に概略的に図示した)を含んでいる。ステアリングアクチュエータ24は、駆動装置ハウジング38内に配置されている。ステアリングアクチュエータ24は、ステアリング伝動装置40と相互作用関係にあり、操舵トルクを提供しかつステアリング伝動装置40に導入するために設けられている。そのために、ステアリングアクチュエータ24は、図示の例では特に永久励磁式の同期モータとして形成された少なくとも1つの電動モータ(図示せず)を含んでいる。しかしながら、原則的に、ステアリングアクチュエータは、複数の電動モータを含んでいてもよい。
【0028】
さらに、ステアリング装置は、連結伝動装置22(
図1に単に概略的に図示した)を含んでいる。この連結伝動装置22は、ステアリング伝動装置ハウジング34内に配置されている。連結伝動装置22は、ステアリングアクチュエータ24およびステアリング伝動装置40と相互作用関係にあり、ステアリングアクチュエータ24をステアリング伝動装置40に取り付けるために設けられている。そのために、連結伝動装置22は、ステアリング調整要素に連結されたボールねじ駆動装置(図示せず)を備えた少なくとも1つのベルトを含んでいてもよい。代替的に、連結伝動装置は、特にボールねじ伝動装置を備えたベルトの代わりに、例えばウォーム伝動装置を含んでいてもよい。
【0029】
さらに、ステアリング装置は、制御装置42(
図1に単に概略的に図示した)を有している。制御装置42は、制御ハウジング36内に配置されている。制御装置42は、ステアリングアクチュエータ24と相互作用関係にあり、ステアリングアクチュエータ24を作動のために制御するために設けられている。そのために、制御装置42は、特に、例えばマイクロプロセッサの形態の少なくとも1つのプロセッサを備えた計算ユニット(図示せず)と、少なくとも1つの作動メモリとを含んでいる。
【0030】
さらに、ステアリング装置は、図示の例では、特に少なくとも1つのベローズを備えたシールユニット44を含んでいる。図示の例では、ステアリング装置は、それぞれの車両側に相応のシールユニット44を含んでおり、このシールユニット44は、ステアリング伝動装置ハウジング34を流体技術的にシールしている。しかしながら、基本的に、シールユニットを別の形式で形成し、例えばベローズを省くことも可能である。
【0031】
特に、ステアリングシステム32の作動確実性を高めるために、かつ/またはハイオートマチックのかつ/または自律式の走行に結び付けられた安全要求を満たすために、ステアリング装置は、さらに、センサユニット16(
図2参照、
図1には図示せず)を含んでいる。センサユニット16は、少なくとも1つの検出量を検出するために設けられている。センサユニット16は、監視すべきステアリング構成部材12の状態に関連した少なくとも1つの検出量を検出するために設けられている。検出量は、例えばステアリング構成部材12の状態変化および/または材料変化を生じさせ、かつ/またはステアリング構成部材12の現在の状態、状態変化および/または材料変化に相当していてもよい。図示の例では、センサユニット16は、ステアリング構成部材12の表面特性を検出するために、かつ/またはステアリングハウジング10内に侵入する異物、特に水を検出するために設けられている。
【0032】
さらに、図示の例では、連結伝動装置22は、特に監視すべきステアリング構成部材12に相当している。したがって、センサユニット16は、連結伝動装置22に割り当てられていて、連結伝動装置22を監視するために設けられている。代替的に、特に監視すべきステアリング構成部材は、連結伝動装置とは異なっていてもよく、例えばステアリング伝動装置、ステアリング調整要素、ステアリングセンサ、制御装置、ステアリングアクチュエータ、タイロッドおよび/またはシールユニットに相応していてもよい。
【0033】
検出量を検出するために、センサユニット16は、少なくとも1つのセンサ要素28,30を含んでいる。図示の例では、センサユニット16は、例えば2つのセンサ要素28,30を含んでいる。センサ要素28,30は、互いに異なって形成されている。センサ要素28,30の第1のセンサ要素28が、例えば加速度センサとして形成されているのに対して、センサ要素28,30の第2のセンサ要素30は、例えば湿度センサとして形成されている。基本的には、センサユニットは、単に1つのセンサ要素、または加速度センサおよび/または湿度センサとは異なる少なくとも1つのセンサ要素を含んでいてもよい。
【0034】
さらに、ステアリング装置は、センサユニット16を電気的に接触接続する接続ユニット18(
図2参照、
図1には図示せず)を含んでいる。この接続ユニット18は、図示の例では、センサユニット16を制御装置42に接続するために設けられている。そのために、接続ユニット18は、例えば導体路の形態の少なくとも1つの接続線路20を含んでいる。図示の例では、接続ユニット18は、例えば特に互いに同一の複数の接続線路20を含んでいる。
【0035】
組付けを簡単にするために、センサユニット16、特にセンサ要素28,30が、ハウジング部分14に材料結合的に結合されていることが提案される(特に
図2参照)。センサユニット16は、ハウジング部分14のプラスチック内に組み込まれている、かつ/または埋め込まれている。センサユニット16は、ハウジング部分14の製造中にハウジング部分14のプラスチック内に組み込まれる、かつ/または埋め込まれる。有利にはハウジング部分14の材料の射出成形によって、この材料でセンサユニット16が取り囲まれる。これによって、特に、ステアリングハウジング10に接したかつ/またはステアリングハウジング10内へのセンサユニット16の有利にフレキシブルな位置決めを達成することができる。センサユニット16は、さらに、センサ要素28,30が、ハウジング部分14の、ステアリング構成部材12に向けられた側に、かつ/またはハウジング部分14の、ステアリングハウジング10の収容室に向けられた側に配置されるように、ハウジング部分14に配置されている。
【0036】
さらに、接続線路20は、ハウジング部分14のプラスチック内に組み込まれている、かつ/または埋め込まれている。好ましくは、接続線路20は、MID(成形回路部品)法によって製造されている、かつ/またはハウジング部分14に接続されている。基本的には、接続ユニットおよび/または少なくとも1つの接続線路をハウジング部分とは別に、例えば可動の導体ケーブルの形態で形成することも可能である。さらに、接続ユニットおよび/または少なくとも1つの接続線路を既にハウジング部分の製造中にハウジング部分のプラスチック内に組み込む、かつ/または埋め込むことも可能である。
【0037】
図3には、最後に、ステアリング装置を製造する方法のフローチャートの例が示してある。
【0038】
第1の方法ステップ50では、特にステアリング構成部材12の状態に関連した検出量を検出するセンサユニット16が準備される。
【0039】
第2の方法ステップ52では、ハウジング部分14および/またはステアリングハウジング10が射出成形法で製造され、ハウジング部分14のプラスチックによって、センサユニット16が取り囲まれる。これによって、センサユニット16は、ハウジング部分14の製造中にハウジング部分14のプラスチック内に組み込まれる、かつ/または埋め込まれる。
【0040】
第3の方法ステップ54では、ハウジング部分14が、MID(成形回路部品)法によってセンサユニット16に電気的に接続される。このとき、少なくとも接続ユニット18および/または接続ユニット18の少なくとも1つの接続線路20が、MID(成形回路部品)法によって製造され、かつ/またはハウジング部分14に結合される。
【0041】
図3における例としてのフローチャートは、特に、ステアリング装置を製造する方法の一例を記載しているに過ぎない。特に、個々の方法ステップおよび/または方法ステップの順序は変えることができる。特に、第3の方法ステップを省き、かつ/または接続ユニット18および/または接続ユニット18の少なくとも1つの接続線路20を第2の方法ステップで、ひいては、ハウジング部分14の製造中にハウジング部分14のプラスチック内に組み込む、かつ/または埋め込むことも可能である。